説明

酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物およびその製造方法

【課題】透明性に優れ、高温下でも黄色化しにくいポリシロキサン系硬化体、ならびにこのような硬化体が得られる、酸化物微粒子が高度に分散したポリシロキサン組成物およびその製造方法を提供。
【解決手段】上記酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物は、有機溶媒中、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物の存在下で、(A)ケイ素酸化物微粒子および/または金属酸化物微粒子、および重量平均分子量が500以上3,000未満の範囲にあるアルコキシ末端の多官能ポリシロキサン(b1)と、重量平均分子量が2,000以上100,000以下の範囲にあるヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(b2)とを、これらの合計100重量部に対して、重量比(b1/b2)が3/97〜55/45の範囲で脱アルコール反応させて得られる多官能ポリシロキサンを混合して、前記酸化物微粒子(A)を有機溶媒中に分散させることにより得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケイ素酸化物微粒子および/または金属酸化物微粒子がジメチルシロキサン連鎖を有する多官能ポリシロキサンを含む有機溶媒中に高度に分散したポリシロキサン組成物およびその硬化体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、耐久性に優れるシロキサン材料に各種機能を付与する手段として、シロキサン骨格を有するバインダー(以下、「シロキサン系バインダー」ともいう)とケイ素酸化物および/または各種金属酸化物との複合化が検討されている。このシロキサン系バインダーの1つとして、ポリジメチルシロキサンが知られている。このポリジメチルシロキサンは通常200℃以上の高温下でない限り劣化せず、耐熱性、耐紫外線性に優れたシロキサン系バインダーとして有用であり、さらに柔軟性にも優れている点で様々な用途に使用される。
【0003】
シロキサン系バインダーとケイ素酸化物や金属酸化物とを複合化する場合、これらは分散液の形態で調製されることが多い。ところが、シロキサン系バインダーは水に溶け難いため、分散媒として有機溶剤を使用する必要があり、一方、ケイ素酸化物微粒子や金属酸化物微粒子(以下、これらをまとめて「酸化物微粒子」という)は有機溶媒中で凝集しやすいため、水媒体中に分散させることが多い。このため、有機溶媒中に酸化物微粒子を微分散させるには、炭素数6以上の有機基を有するリン酸、スルホン酸またはカルボン酸(特許文献1参照)、オキシアルキレン基を有する有機化合物、オキシアルキレン基を有するリン酸等のエステル(特許文献2参照)、あるいはオキシアルキレン基を有するシラン化合物(特許文献3参照)を用いる必要があった。
【0004】
しかしながら、これらの化合物を使用して酸化物微粒子を有機溶媒中に微分散させる方法で、酸化物微粒子とシロキサン系バインダーとを複合化させた場合、分散液の分散性は良好であるが、上記化合物とシロキサン系バインダーとの相溶性が悪く、たとえば、溶媒を除去して塗膜を形成した場合、塗膜が白化することがあった。また、製膜条件等を制御して透明な塗膜を形成しても、この塗膜には、炭素数6以上の有機基を有するリン酸等やオキシアルキレン基を有する化合物が残存するため、紫外線照射下や150℃以上の高温下等の過酷な環境下では塗膜の着色やクラック発生等の不具合が生じることがあった。
【0005】
また、従来の酸化物微粒子を含有するポリシロキサン組成物を用いて透明な塗膜を形成する場合、ポリシロキサン組成物は、通常30〜90重量%の分散溶媒を含み、さらに、酸化物微粒子の分散安定性を確保するため、E型粘度計により測定した25℃、ローター回転数5rpmにおける粘度が通常15mPa・s以下と低粘度に調製される。このような低粘度の酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物に比重の重い充填材を添加すると、充填材が沈降分離することがあった。このため、従来は、ポリエチレングリコール等の有機系増粘剤を配合して高粘度化されていたが、熱や紫外線で着色やクラックが発生し、耐熱性、耐紫外線性等の耐久性が劣っていた。また、ポリエチレングリコール等の有機系増粘剤を添加せず、たとえば、固形分濃度を増大させても粘度を上昇することができるが、シロキサン系バインダーがゲル化したり、酸化物微粒子が沈降したりすることがあった。
【特許文献1】特開2004−283822号公報
【特許文献2】特開2005−185924号公報
【特許文献3】特開2004−99879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、透明性に優れ、高温下でも黄色化しにくいポリシロキサン系硬化体、ならびにこのような硬化体が得られる、酸化物微粒子が高度に分散したポリシロキサン組成物およびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記問題点を解決すべく鋭意研究した結果、予め、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンとアルコキシ末端多官能ポリシロキサンとを、あるいはアルコキシ基含有ポリジメチルシロキサンとシラノール末端多官能ポリシロキサンとを脱アルコール反応させて、ジメチルシロキサン連鎖を有する多官能ポリシロキサンを形成し、この多官能ポリシロキサンを含有する有機溶媒中で、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物の存在下、酸化物微粒子を処理することにより、ポリシロキサンを含有する有機溶媒中で酸化物微粒子が高度に分散したポリシロキサン組成物が得られることを見出し、さらに、この組成物から得られる硬化体が、透明性に優れ、高温下でも黄色化しにくいことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明に係る酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物は、有機溶媒中、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物の存在下で、
(A)ケイ素酸化物微粒子および/または金属酸化物微粒子、および
(B1)下記平均組成式(1)
1aSiOb(OR2c (1)
(式中、R1は水素原子またはオキシアルキレン基を有しない1価の炭化水素基であり、
1が複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、R2はアルキル基であり、R2が複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、aは0
を超えて2未満、bは0を超えて2未満、cは0を超えて4未満、かつa+b×2+c=4である)
で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500以上3,000未満の範囲にあるアルコキシ末端の多官能ポリシロキサン(b1)と、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000以上100,000以下の範囲にあるヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(b2)とを、これらの合計100重量部に対して、重量比(b1/b2)が3/97〜55/45の範囲で脱アルコール反応させて得られる多官能ポリシロキサン、あるいは
(B2)下記平均組成式(1’)
1aSiOb(OH)c (1’)
(式中、R1は水素原子またはオキシアルキレン基を有しない1価の炭化水素基であり、
1が複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、aは0を超えて
2未満、bは0を超えて2未満、cは0を超えて4未満、かつa+b×2+c=4である)
で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500以上3,000未満の範囲にあるヒドロキシ末端の多官能ポリシロキサン(b3)と、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000以上100,000以下の範囲にあるアルコキシ末端ポリジメチルシロキサン(b4)とを、これらの合計100重量部に対して、重量比(b3/b4)が3/97〜55/45の範囲で脱アルコール反応させて得られる多官能ポリシロキサン
を混合して、前記酸化物微粒子(A)を有機溶媒中に分散させることにより得られる。
【0009】
前記多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)をさらに加水分解・縮合した後、前
記酸化物微粒子(A)と混合することが好ましい。
前記脱アルコール反応における触媒は金属キレート化合物であることが好ましい。
【0010】
前記酸化物微粒子(A)と前記多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)とを塩基性化合物の存在下で混合することが好ましい。
前記酸化物微粒子(A)と前記多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)とをビーズミルにより混合することが好ましい。
【0011】
前記酸化物微粒子(A)100重量部に対して、前記多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)を完全加水分解縮合物換算で1〜1000重量部混合することが好ましい。
本発明に係る硬化体は、上記酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物から得られる。
【0012】
本発明に係るLED封止材は、上記酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物に、さらに蛍光体を混合して得られることを特徴とする。
本発明に係る酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物の製造方法は、下記平均組成式(1)
1aSiOb(OR2c (1)
(式中、R1は水素原子またはオキシアルキレン基を有しない1価の炭化水素基であり、
1が複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、R2はアルキル基であり、R2が複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、aは0
を超えて2未満、bは0を超えて2未満、cは0を超えて4未満、かつa+b×2+c=4である)
で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500以上3,000未満の範囲にあるアルコキシ末端の多官能ポリシロキサン(b1)と、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000以上100,000以下の範囲にあるヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(b2)とを、これらの合計100重量部に対して、重量比(b1/b2)が3/97〜55/45の範囲で脱アルコール反応させて多官能ポリシロキサン(B1)、あるいは
下記平均組成式(1’)
1aSiOb(OH)c (1’)
(式中、R1は水素原子またはオキシアルキレン基を有しない1価の炭化水素基であり、
1が複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、aは0を超えて
2未満、bは0を超えて2未満、cは0を超えて4未満、かつa+b×2+c=4である)
で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500以上3,000未満の範囲にあるヒドロキシ末端の多官能ポリシロキサン(b3)と、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000以上100,000以下の範囲にあるアルコキシ末端ポリジメチルシロキサン(b4)とを、これらの合計100重量部に対して、重量比(b3/b4)が3/97〜55/45の範囲で脱アルコール反応させて得られる多官能ポリシロキサン(B2)
を調製した後、
該多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)とケイ素酸化物微粒子および/または金属酸化物微粒子(A)とを、有機溶媒中、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物の存在下で混合することを特徴とする。
【0013】
前記多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)をさらに加水分解・縮合した後、前記酸化物微粒子(A)と混合することが好ましい。
前記脱アルコール反応における触媒は金属キレート化合物であることが好ましい。
【0014】
前記酸化物微粒子(A)と前記多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)とを塩基性化合物の存在下で混合することが好ましく、前記酸化物微粒子(A)と前記多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)とをビーズミルにより混合することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、炭素数6以上の有機基を有するリン酸等やオキシアルキレン基を有する化合物を使用せずに、ジメチルシロキサン連鎖を有するポリシロキサンを含む有機溶媒に酸化物微粒子が高度に分散した組成物が得られる。この組成物は分散安定性に優れているとともに、酸化物微粒子と上記ポリシロキサンとを含有する透明な硬化体を形成できる。さらに、この硬化体は高温下でも黄色化しにくい。また、上記ポリシロキサンが、適度な長さのジメチルシロキサン連鎖を有し、柔軟性に優れているため、厚膜の硬化体を形成することもできる。特に、酸化物微粒子として高屈折性の金属酸化物微粒子を用いた硬化体は、発光素子として青色LED素子や紫外線LED素子を用いたLED素子の封止材として用いることができ、特に高輝度のLED素子の封止材に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物は、酸化物微粒子(A)とジメチルシロキサン連鎖を有する多官能ポリシロキサン(B)とを、炭素数6以上の有機基を有するリン酸等やオキシアルキレン基を有する化合物を使用せずに、有機溶媒中、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物の存在下で混合して分散処理を施すことにより得ることができる。
【0017】
〔酸化物微粒子(A)〕
本発明に用いられる酸化物微粒子(A)は、ケイ素酸化物微粒子および/または金属酸化物微粒子である。上記金属酸化物微粒子は、金属元素の酸化物微粒子であればその種類は特に限定されないが、たとえば、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ハフニウム、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化スカンジウム、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化プラセオジウム、酸化ネオジウム、酸化サマリウム、酸化ユウロピウム、酸化ガドリニウム、酸化テルビニウム、酸化ジスプロシウム、酸化ホルミウム、酸化エルビウム、酸化ツリウム、酸化イッテルビウム、酸化ルテチウム、酸化カルシウム、酸化ガリウム、酸化リチウム、酸化ストロンチウム、酸化タングステン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、およびこれらの複合体、ならびにインジウム−スズ複合酸化物などの上記金属2種以上の複合体の酸化物などの金属酸化物微粒子が挙げられる。また、上記酸化物微粒子として、ケイ素酸化物と金属酸化物との複合酸化物微粒子や金属酸化物微粒子の表面をケイ素酸化物で被覆した酸化物微粒子を用いることもできる。
【0018】
本発明において、酸化物微粒子は、1種単独で、または2種以上を混合して使用してもよい。酸化物微粒子(A)は、付与する機能に応じて適宜選択することができるが、たとえば、高屈折性を付与する場合にはTiO2微粒子が好ましく、紫外領域の透明性と高屈
折性を両立させる場合にはZrO2微粒子が好ましい。まや、UVカット機能を付与する
場合には、酸化セリウム微粒子、酸化亜鉛微粒子が好ましい。
【0019】
上記酸化物微粒子(A)の1次平均粒子径は、好ましくは0.1〜100nm、より好ましくは0.1〜70nm、特に好ましくは0.1〜50nmである。酸化物微粒子(A)の1次平均粒子径が上記範囲にあると、光透過性に優れた硬化体を得ることができる。
【0020】
このような酸化物微粒子(A)は、溶媒に分散されていない粉体の状態で添加しても、
イソプロピルアルコールなどの極性溶媒中やトルエンなどの非極性溶媒中に分散した分散体の状態で添加してもよい。添加前の酸化物微粒子(A)は、凝集して二次粒子を形成していてもよい。本発明では、多官能ポリシロキサン(B)の溶解性を考慮して適切な有機溶媒を適宜選択できる点で、粉体を使用することが好ましい。また、本発明の製造方法は、粉体の状態で添加する場合に、特に有効である。
【0021】
〔多官能ポリシロキサン(B)〕
本発明に用いられる多官能ポリシロキサン(B)は、ジメチルシロキサン連鎖を有する多官能ポリシロキサンであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500以上3,000未満の範囲にあるアルコキシ末端多官能ポリシロキサン(b1)と、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000以上100,000以下の範囲にあるヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(b2)とを脱アルコール反応させて得られるポリシロキサン(B1)、および、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500以上3,000未満の範囲にあるヒドロキシ末端多官能ポリシロキサン(b3)と、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000以上100,000以下の範囲にあるアルコキシ末端ポリジメチルシロキサン(b4)とを脱アルコール反応させて得られるポリシロキサン(B2)が挙げられる。
【0022】
(b1)アルコキシ末端多官能ポリシロキサン:
本発明に用いられるアルコキシ末端多官能ポリシロキサン(b1)は、
下記平均組成式(1)
1aSiOb(OR2c (1)
で表される、アルコキシ基を有する多官能ポリシロキサンであり、3次元架橋構造を有することが好ましい。
【0023】
式(1)中、R1は水素原子またはオキシアルキレン基を有しない1価の炭化水素基で
あり、R1が複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、R2はアルキル基であり、R2が複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよい。
aは0を超えて2未満、bは0を超えて2未満、cは0を超えて4未満、かつa+b×2+c=4である。R1、R2がそれぞれ複数存在する場合には、aは、水素原子とオキシアルキレン基を有しない1価の炭化水素基との合計のケイ素原子に対する割合、cは、アルコキシ基のケイ素原子に対する割合を表す。
【0024】
上記アルコキシ末端多官能ポリシロキサン(b1)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値で、500以上3,000未満、より好ましくは550以上3,000未満、特に好ましくは600以上3,000未満である。上記範囲の重量平均分子量を有するアルコキシ末端多官能ポリシロキサン(b1)を使用すると、硬化体形成時におけるクラック発生の抑制と良好な硬化性を両立できる。
【0025】
上記1価の炭化水素基は、オキシアルキレン基を有しなければ特に限定されないが、置換または無置換の1価の炭化水素基が挙げられる。上記1価の無置換炭化水素基としては、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、トリル基が挙げられる。炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。また、上記1価の置換炭化水素基としては、炭素数1〜8の置換アルキル基が挙げられる。上記置換アルキル基の置換基としては、ハロゲン、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、グリシジル基、グリシドキシ基、ウレイド基などが挙げられる。
【0026】
また、上記R2で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イ
ソプロピル基、ブチル基などが挙げられる。これらのアルキル基のうち、メチル基、エチル基が好ましい。
【0027】
このアルコキシ末端多官能ポリシロキサン(b1)は、たとえば、上記平均組成式を満たすように、多官能のアルコキシシランまたは多官能クロロシランを適宜組み合わせて加水分解・縮合させることによって製造できる。ただし、テトラアルコキシシラン類のみでの加水分解・縮合、およびジアルコキシシラン類のみでの加水分解・縮合は除く。
【0028】
上記多官能のアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン類;
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン類;
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン類が挙げられる。これらのアルコキシシラン類は1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0029】
また、多官能のアルコキシシランに加えて、1官能のアルコキシシランを併用することもできる。1官能のアルコキシシランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシランなどが挙げられる。これらの1官能のアルコキシシランは、使用するアルコキシシラン全量に対して、10重量%以下、好ましくは7重量%以下、より好ましくは5重量%以下で使用することが望ましい。
【0030】
また、上記分子量を満たすアルコキシ末端多官能ポリシロキサン(b1)として、信越
シリコーン社製のX40−9220(以上、商品名)、GE東芝シリコーン社製のXC96−B0446(以上、商品名)などの市販のシロキサンポリマーを用いることもできる。
【0031】
なお、上記アルコキシ末端多官能ポリシロキサン(b1)は、本発明の効果を損なわない範囲でSi−OH結合を有していてもよい。
(b2)ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン:
本発明に用いられるヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(b2)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000以上100,000以下、より好ましくは2,000以上80,000以下、特に好ましくは3,000以上70,000以下である。上記範囲の重量平均分子量を有するヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(b2)を使用すると、柔軟性に優れた多官能ポリシロキサン(B1)が得られ、硬化体形成時におけるクラック発生の抑制と硬化性とを両立できるため、硬化体の厚膜化を図ることができる。
【0032】
このヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(b2)は、たとえば、ジメチルジアルコキシシランまたはジメチルジクロロシランを加水分解・縮合させることによって製造できる。
【0033】
上記ジメチルジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−i−プロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシランなどが挙げられる。これらのジメチルジアルコキシシランは1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0034】
また、上記ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(b2)は、環状オルガノシロキサンを開環縮合させることによっても製造できる。環状オルガノシロキサンとしては、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、テチラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。
【0035】
また、上記分子量を満たすヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(b2)として、GE東芝シリコーン社製のYF−3057、YF−3800、YF−3802、YF−3897、XF−3905(以上、商品名)などの市販のヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンを用いることもできる。
【0036】
(b3)ヒドロキシ末端多官能ポリシロキサン:
本発明に用いられるヒドロキシ末端多官能ポリシロキサン(b3)は、
下記平均組成式(1’)
1aSiOb(OH)c (1’)
で表される、ヒドロキシ基を有する多官能ポリシロキサンであり、3次元架橋構造を有することが好ましい。
【0037】
式(1’)中、R1は、上記式(1)におけるR1と同様に定義される。aは0を超えて2未満、bは0を超えて2未満、cは0を超えて4未満、かつa+b×2+c=4である。R1が複数存在する場合には、aは、水素原子とオキシアルキレン基を有しない1価の
炭化水素基との合計のケイ素原子に対する割合を表す。
【0038】
上記ヒドロキシ末端多官能ポリシロキサン(b3)の重量平均分子量は、ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値で、500以上3,000未満、より好ましくは550以上3,000未満、特に好ましくは600以上3,000未満である。上記範囲の重量平均分子量を有するヒドロキシ末端多官能ポリシロキサン(b3)を使用すると、硬化体形成時におけるクラック発生の抑制と良好な硬化性を両立できる。
【0039】
上記1価の炭化水素基は、オキシアルキレン基を有しなければ特に限定されないが、置換または無置換の1価の炭化水素基が挙げられる。上記置換もしくは無置換の1価の炭化水素基としては、上記アルコキシ末端多官能ポリシロキサン(b1)で例示した置換または無置換の1価の炭化水素基と同様のものを挙げることができる。
【0040】
このヒドロキシ末端多官能ポリシロキサン(b3)は、たとえば、上記平均組成式を満たすように、多官能のアルコキシシランまたは多官能クロロシランを適宜組み合わせて加水分解・縮合させることによって製造できる。ただし、テトラアルコキシシラン類のみでの加水分解・縮合、およびジアルコキシシラン類のみでの加水分解・縮合は除く。
【0041】
上記多官能のアルコキシシランとしては、上記アルコキシ末端多官能ポリシロキサン(b1)で例示した多官能アルコキシシランと同様のものを挙げることができ、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0042】
また、ヒドロキシ末端多官能ポリシロキサン(b3)においても、多官能のアルコキシシランに加えて、上記アルコキシ末端多官能ポリシロキサン(b1)で例示した1官能のアルコキシシランを併用してもよい。このとき、1官能のアルコキシシランは、使用するアルコキシシラン全量に対して、10重量%以下、好ましくは7重量%以下、より好ましくは5重量%以下で使用することが望ましい。
【0043】
(b4)アルコキシ末端ポリジメチルシロキサン:
本発明に用いられるアルコキシ末端ポリジメチルシロキサン(b4)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000以上100,000以下、より好ましくは2,000以上80,000以下、特に好ましくは3,000以上70,000以下である。上記範囲の重量平均分子量を有するアルコキシ末端ポリジメチルシロキサン(b4)を使用すると、柔軟性に優れた多官能ポリシロキサン(B2)が得られ、硬化体形成時におけるクラック発生の抑制と硬化性とを両立できるため、硬化体の厚膜化を図ることができる。
【0044】
このアルコキシ末端ポリジメチルシロキサン(b4)は、たとえば、ジメチルジアルコキシシランまたはジメチルジクロロシランを加水分解・縮合させることによって製造できる。
【0045】
上記ジアルコキシシランとしては、上記ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(b2)で例示したジアルコキシシランと同様のものを挙げることができ、これらは1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0046】
(多官能ポリシロキサン(B)の製造方法)
上記多官能ポリシロキサン(B1)は、上記アルコキシ末端多官能ポリシロキサン(b1)と上記ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(b2)とを脱アルコール反応させることにより製造できる。また、上記多官能ポリシロキサン(B2)は、上記ヒドロキシ末端多官能ポリシロキサン(b3)と上記アルコキシ末端ポリジメチルシロキサン(b4)とを脱アルコール反応させることにより製造できる。これらの多官能ポリシロキサン(B1)および(B2)は、通常水を添加した後、さらに加水分解・縮合させることが好まし
い。これにより、多官能ポリシロキサン(B1)および(B2)が高分子量化し、得られる硬化体の透明性が向上する。上記各反応は、通常、有機溶媒中で触媒を用いて行なわれる。
【0047】
上記アルコキシ末端多官能ポリシロキサン(b1)と上記ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(b2)との混合比は、これらの合計100重量部に対して、重量比(b1/b2)で、3/97〜55/45であり、好ましくは5/95〜50/50、より好ましくは7/93〜30/70である。また、上記ヒドロキシ末端多官能ポリシロキサン(b3)と上記アルコキシ末端ポリジメチルシロキサン(b4)との混合比は、これらの合計100重量部に対して、重量比(b3/b4)で、3/97〜55/45であり、好ましくは5/95〜50/50、より好ましくは7/93〜30/70である。ポリシロキサン(b1)と(b2)との混合比、およびポリシロキサン(b3)と(b4)との混合比が上記範囲にあると、硬化体製造時のクラックの発生を抑制することができる。
【0048】
(脱アルコール反応)
上記脱アルコール反応の温度は、好ましくは30〜150℃、より好ましく40〜120℃、特に好ましくは50〜100℃である。反応時間は、好ましくは0.1〜24時間、より好ましくは0.5〜12時間、特に好ましくは1〜8時間である。また、脱アルコール反応は、各成分を反応容器に一括で仕込んで実施してもよいし、一方の成分に他方の成分を間欠的にもしくは連続的に添加しながら実施してもよい。
【0049】
上記脱アルコール反応により、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(b2)の両末端に、アルコキシ末端多官能ポリシロキサン(b1)が結合した構造の多官能ポリシロキサン(B1)、または、アルコキシ末端ポリジメチルシロキサン(b4)の両末端に、ヒドロキシ末端多官能ポリシロキサン(b3)が結合した構造の多官能ポリシロキサン(B2)が形成される。
【0050】
(加水分解・縮合反応)
加水分解・縮合反応の際に添加される水の量は、多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)100重量部に対して、通常0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜80重量部、より好ましくは1〜50重量部である。水の添加量が上記範囲にあると、加水分解・縮合反応が十分に進行するため好ましい。
【0051】
上記加水分解・縮合反応の温度は、好ましくは20〜150℃、より好ましくは30〜100℃、特に好ましくは40〜80℃である。反応時間は、好ましくは0.1〜24時間、より好ましくは0.5〜12時間、特に好ましくは1〜8時間である。
【0052】
(有機溶媒)
上記脱アルコール反応および加水分解・縮合反応において用いられる有機溶媒としては、たとえば、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などを挙げることができる。上記アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、i−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコールなどを挙げることができる。また、芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、エーテル類としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられ、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブ
チルケトンなどが挙げられ、エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレン、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ノルマルプロピル、乳酸イソプロピル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチルなどが挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらの有機溶媒のうち、脱アルコール反応では、反応を促進する観点から、アルコール以外の有機溶媒、たとえば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレンなどを使用することが好ましい。また、これらの有機溶媒は、予め脱水処理を施して、水分を除去した状態で使用することが好ましい。
【0053】
上記有機溶媒は、脱アルコール反応および加水分解・縮合反応のコントロール、得られる多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)を含む溶液の濃度もしくは粘度の調整、または硬化体製造時の厚み調整などを目的として適宜使用することができる。有機溶媒を使用する場合、その使用量は所望の条件に応じて適宜設定することができるが、たとえば、得られる多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)の濃度が、完全加水分解縮合物換算で、好ましくは5〜99重量%、より好ましくは7〜95重量%、特に好ましくは10〜90重量%となる量である。
【0054】
(触媒)
上記脱アルコール反応または加水分解・縮合反応に用いられる触媒としては、たとえば、塩基性化合物、酸性化合物および金属キレート化合物が挙げられる。
【0055】
(塩基性化合物)
上記塩基性化合物としては、アンモニア(アンモニア水溶液を含む)、有機アミン化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属のアルコキシドが挙げられる。これらのうち、アンモニアおよび有機アミン化合物が好ましい。
【0056】
有機アミンとしては、アルキルアミン、アルコキシアミン、アルカノールアミン、アリールアミンなどが挙げられる。
アルキルアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどの炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルアミンなどが挙げられる。
【0057】
アルコキシアミンとしては、メトキシメチルアミン、メトキシエチルアミン、メトキシプロピルアミン、メトキシブチルアミン、エトキシメチルアミン、エトキシエチルアミン、エトキシプロピルアミン、エトキシブチルアミン、プロポキシメチルアミン、プロポキシエチルアミン、プロポキシプロピルアミン、プロポキシブチルアミン、ブトキシメチルアミン、ブトキシエチルアミン、ブトキシプロピルアミン、ブトキシブチルアミンなどの炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシアミンなどが挙げられる。
【0058】
アルカノールアミンとしては、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、N−メチルメタノールアミン、N−エチルメタノールアミン、N−プロピルメタノールアミン、N−ブチルメタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミン、N−エチルプロパノールアミン、N−プロピルプロパノールアミン、N−ブチルプロパノールアミン、N−メチルブタノールアミン、N−エチルブタノールアミン、N−プロピルブタノールアミン、N−ブチルブタノールアミン、N,N−ジメチルメタノールアミン、N,N−ジエチルメタノールアミン、N,
N−ジプロピルメタノールアミン、N,N−ジブチルメタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N,N−ジエチルプロパノールアミン、N,N−ジプロピルプロパノールアミン、N,N−ジブチルプロパノールアミン、N,N−ジメチルブタノールアミン、N,N−ジエチルブタノールアミン、N,N−ジプロピルブタノールアミン、N,N−ジブチルブタノールアミン、N−メチルジメタノールアミン、N−エチルジメタノールアミン、N−プロピルジメタノールアミン、N−ブチルジメタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−エチルジプロパノールアミン、N−プロピルジプロパノールアミン、N−ブチルジプロパノールアミン、N−メチルジブタノールアミン、N−エチルジブタノールアミン、N−プロピルジブタノールアミン、N−ブチルジブタノールアミン、N−(アミノメチル)メタノールアミン、N−(アミノメチル)エタノールアミン、N−(アミノメチル)プロパノールアミン、N−(アミノメチル)ブタノールアミン、N−(アミノエチル)メタノールアミン、N−(アミノエチル)エタノールアミン、N−(アミノエチル)プロパノールアミン、N−(アミノエチル)ブタノールアミン、N−(アミノプロピル)メタノールアミン、N−(アミノプロピル)エタノールアミン、N−(アミノプロピル)プロパノールアミン、N−(アミノプロピル)ブタノールアミン、N−(アミノブチル)メタノールアミン、N−(アミノブチル)エタノールアミン、N−(アミノブチル)プロパノールアミン、N−(アミノブチル)ブタノールアミンなどの炭素数1〜4のアルキル基を有するアルカノールアミンが挙げられる。
【0059】
アリールアミンとしてはアニリン、N−メチルアニリンなどが挙げられる。
さらに、上記以外の有機アミンとして、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロキサイドなどのテトラアルキルアンモニウムハイドロキサイド;テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラプロピルエチレンジアミン、テトラブチルエチレンジアミンなどのテトラアルキルエチレンジアミン;メチルアミノメチルアミン、メチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルアミノブチルアミン、エチルアミノメチルアミン、エチルアミノエチルアミン、エチルアミノプロピルアミン、エチルアミノブチルアミン、プロピルアミノメチルアミン、プロピルアミノエチルアミン、プロピルアミノプロピルアミン、プロピルアミノブチルアミン、ブチルアミノメチルアミン、ブチルアミノエチルアミン、ブチルアミノプロピルアミン、ブチルアミノブチルアミンなどのアルキルアミノアルキルアミン;ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、モルホリン、メチルモルホリン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセンなども挙げられる。
【0060】
このような塩基性化合物は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、トリエチルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、ピリジンが特に好ましい。
【0061】
(酸性化合物)
上記酸性化合物としては、有機酸および無機酸が挙げられる。有機酸としては、たとえば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、ミキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、メタンス
ルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。上記無機酸としては、たとえば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸などが挙げられる。
【0062】
このような酸性化合物は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、マレイン酸、無水マレイン酸、メタンスルホン酸、酢酸が特に好ましい。
(金属キレート化合物)
上記金属キレート化合物としては、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物(以下、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物をまとめて、「有機金属化合物類」という)が挙げられる。
【0063】
上記有機金属化合物類としては、たとえば、下記式(a)
M(OR7r(R8COCHCOR9s (a)
(式中、Mは、ジルコニウム、チタンおよびアルミニウムからなる群からを選択される少なくとも1種の金属原子を表し、R7およびR8は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などの炭素数1〜6個の1価の炭化水素基を表し、R9は、前記炭素数1〜6個の1価の炭化水素基、または、
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオキシ基などの炭素数1〜16個のアルコキシル基を表し、rおよびsは、それぞれ独立に0〜4の整数であって、(r+s)=(Mの原子価)の関係を満たす)
で表される化合物(以下、「有機金属化合物(a)」という)、
1つのスズ原子に炭素数1〜10個のアルキル基が1〜2個結合した4価のスズの有機金属化合物(以下、「有機スズ化合物」という)、あるいは、
これらの部分加水分解物などが挙げられる。
【0064】
有機金属化合物(a)として、たとえば、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどの有機ジルコニウム化合物;
テトラ−i−プロポキシチタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどの有機チタン化合物;
トリ−i−プロポキシアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどの有機アルミニウム化合物が挙げられる。
【0065】
有機スズ化合物として、たとえば、
【0066】
【化1】

【0067】
などのカルボン酸型有機スズ化合物;
【0068】
【化2】

【0069】
などのメルカプチド型有機スズ化合物;
【0070】
【化3】

【0071】
などのスルフィド型有機スズ化合物;
【0072】
【化4】

【0073】
などのクロライド型有機スズ化合物;
(C492SnO、(C8172SnOなどの有機スズオキサイドや、これらの有機ス
ズオキサイドとシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオク
チルなどのエステル化合物との反応生成物;
などが挙げられる。
【0074】
このような金属キレート化合物は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、あるいはこれらの部分加水分解物が好ましい。
【0075】
塩基性化合物、酸性化合物および金属キレート化合物のうち、脱アルコール反応では反応性に優れる点で金属キレート化合物が好ましい。
上記脱アルコール反応において、上記塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物は、多官能ポリシロキサン(b1)または(b3)とポリジメチルシロキサン(b2)または(b4)との合計100重量部に対して、通常0.001〜20重量部、好ましくは0.005〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重量部添加される。
【0076】
上記加水分解・縮合反応において、上記塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物は、多官能ポリシロキサン(b1)または(b3)とポリジメチルシロキサン(b2)または(b4)との合計100重量部に対して、通常0.001〜50重量部、好ましくは0.005〜40重量部、より好ましくは0.01〜30重量部添加される。
【0077】
上記方法により得られる多官能ポリシロキサン(B1)および(B2)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値で通常3,000〜200,000、好ましくは4,000〜150,000、より好ましくは5,000〜100,000である。
【0078】
〔酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物およびその用途〕
本発明に係る酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物は、酸化物微粒子(A)とジメチルシロキサン連鎖を有する多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)とを、炭素数6以上の有機基を有するリン酸等やオキシアルキレン基を有する化合物を使用せずに、有機溶媒中、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物の存在下で混合して分散処理を施すことにより得ることができる。
【0079】
(有機溶媒)
上記有機溶媒としては、上記多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)製造時の脱アルコール反応や加水分解・縮合反応において例示した有機溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒のうち、酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物の分散安定性および高粘度化が図れるという点でアルコール以外の有機溶媒、たとえば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、およびこれらの混合物などが好ましい。また、これらの有機溶媒は、予め脱水処理を施して、水分を除去した状態で使用することが好ましい。
【0080】
上記有機溶媒の使用量は、酸化物微粒子(A)を均一に分散できる量であれば特に制限されないが、得られる酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物の固形分濃度が、好ましくは5〜80重量%、より好ましくは7〜70重量%、特に好ましくは10〜60重量%となる量である。
【0081】
(塩基性化合物、酸性化合物および金属キレート化合物)
上記塩基性化合物、酸性化合物および金属キレート化合物としては、上記多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)製造時の脱アルコール反応や加水分解・縮合反応におい
て例示した化合物が挙げられる。これらの塩基性化合物、酸性化合物および金属キレート化合物のうち、塩基性化合物および酸性化合物が好ましく、塩基性化合物がより好ましく、有機アミン化合物がさらに好ましく、トリエチルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、ピリジンが特に好ましい。
【0082】
上記塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物は、本発明の酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物に、上記酸化物微粒子(A)100重量部に対して、通常0.001〜20重量部、好ましくは0.005〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部、特に好ましくは0.01〜0.5重量部含有されていることが望ましい。上記範囲にあると酸化物微粒子(A)の分散安定性と酸化物微粒子含有ポリシロキサンの組成物の粘度を容易に制御できる。
【0083】
(酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物の製造方法)
上記酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物は、有機溶媒に酸化物微粒子(A)とジメチルシロキサン連鎖を有する多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)と、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物とを添加し、これらを十分に混合して酸化物微粒子(A)を有機溶媒中に分散させることにより調製することができる。このとき、ボールミル、サンドミル(ビーズミル,ハイシェアビーズミル)、ホジナイザー、超音波ホモジナイザー、ナノマイザー、プロペラミキサー、ハイシェアミキサー、ペイントシェーカーなどの公知の分散機を用いることが好ましく、特に高分散の微粒子分散体ボールミル、サンドミル(ビーズミル,ハイシェアビーズミル)が好適に使用される。上記のように、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物の存在下で酸化物微粒子(A)と多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)とを混合すると、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物の触媒作用により酸化物微粒子(A)の表面で多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)の縮合反応が進行し、酸化物微粒子(A)の表面が疎水性となり、有機溶媒中に微分散しやすくなると推測される。
【0084】
本発明の酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物は、酸化物微粒子(A)100重量部に対して、多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)を完全加水分解縮合物換算で、好ましくは1〜1000重量部、より好ましくは5〜900重量部、特により好ましくは10〜800重量部含有することが望ましい。
【0085】
また、上記酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物は、酸化物微粒子(A)が、体積平均分散粒径が300nm以下、好ましくは200nm以下で高度に分散した組成物である。
【0086】
また、本発明の酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物は、ポリエチレングリコール等の有機系増粘剤を使用せずに分散処理時間を延長することで高粘度化することができ、ゲル化や酸化物微粒子(A)の沈降も発生せず、高比重の添加剤を混合した場合にも沈降分離を抑制できる。
【0087】
上記酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物は、東機産業(株)製のRE80型粘度計により測定した25℃、ローター回転数5rpm、固形分濃度20重量%における粘度が、好ましくは20mPa・s以上、より好ましくは30mPa・s以上、特に好ましくは50mPa・s以上である。酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物の粘度が上記範囲にあると、高比重の充填剤を配合した場合にも分離することなく、容易に厚膜の硬化体を製造することができる。
【0088】
上記酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物は、酸化物微粒子(A)とジメチルシロキサン連鎖を有する多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)とを含有し、上記多官能
ポリシロキサン(B1)および(B2)が柔軟性に優れるため、厚さが10μm〜1mmの硬化体も形成できる。
【0089】
さらに、上記多官能ポリシロキサン(B1)および(B2)が複数の末端アルコキシ基を有するため、上記組成物中では、酸化物微粒子(A)が、炭素数6以上の有機基を有するリン酸等やオキシアルキレン基を有する化合物を使用せずに、高度に分散されている。これにより、過酷な環境下に曝しても劣化せず、透明性に優れた硬化体を形成できる。また、この硬化体には、架橋構造に炭素−炭素結合が存在せず、耐紫外線性にも優れている。たとえば、上記硬化体は、5000mW/m2、200時間の紫外線照射によっても黄
変(黄色化)しない。
【0090】
また、本発明の酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物は、さらに蛍光体を含有することができ、この硬化体はLED封止材として使用できる。
さらに、本発明の酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物は、硬化体の収縮−膨張を緩和するためにガラス繊維を含有していてもよい。ガラス繊維を含有する組成物を使用するとさらに厚膜の硬化体を形成することができる。また、硬化体の透明性を確保するために、上記多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)と上記ガラス繊維との屈折率差は0.01以下が好ましい。
【0091】
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の「部」および「%」は、特記しない限り、「重量部」および「重量%」を示す。また、実施例および比較例における各種測定は、下記の方法により行なった。
【0092】
〔GPC測定〕
シロキサンの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより下記条件で測定したポリスチレン換算値として示した。
装置:HLC−8120C(東ソー(株)製)
カラム:TSK−gel MultiporeHXL−M(東ソー社製)
溶離液:THF、流量0.5mL/min、負荷量5.0%、100μL
〔分散性〕
得られた組成物の外観を目視により観察した。微粒子の沈降が見られなかった組成物の体積平均分散粒径を、マイクロトラック超微粒子粒度分布計(日機装(株)製「UPA150」)により測定し、下記基準で評価した。
A:分離沈降なし。体積平均分散粒径≦200nm。
B:分離沈降なし。200nm<体積平均分散粒径≦300nm。
C:分離沈降なし。300nm<体積平均分散粒径。
D:分離沈降あり。
【0093】
[厚膜形成性]
得られた組成物を、乾燥膜厚が50μmになるように石英ガラス板上に塗布した後、100℃で1時間乾燥硬化させ、次いで、200℃で1時間乾燥硬化させて石英ガラス板上に膜厚50μmの硬化体を作製した。この硬化体の外観を目視で観察して下記基準で評価した。
A:クラックなし。
B:クラック発生。
【0094】
〔塗膜透明性〕
得られた組成物を、乾燥膜厚が20μmになるように石英ガラス板上に塗布した後、1
00℃で1時間乾燥硬化させ、次いで、200℃で1時間乾燥硬化させて石英ガラス板上に膜厚20μmの硬化体を作製した。この硬化体の波長500〜700nmにおける分光透過率を紫外可視分光光度計により測定し、下記基準で評価した。
A:光透過率が90%超。
B:光透過率が85%以上90%以下。
C:光透過率が70&以上85%未満。
D:光透過率が70%未満。
【0095】
〔黄色度〕
得られた分散体を、乾燥膜厚が20μmになるように石英ガラス板上に塗布した後、100℃で1時間乾燥硬化させ、次いで、200℃で1時間乾燥硬化させて石英ガラス板上に膜厚20μmの硬化体を作製した。この硬化体の波長450nmの光透過率を紫外可視分光光度計により測定して、下記基準で評価した。
A:光透過率が90%超。
B:光透過率が70〜90%。
C:光透過率が70%未満。
【0096】
[調製例1]
攪拌機および還流冷却器を備えた反応器に、Mw=1,000のアルコキシ末端ポリシロキサン(信越化学工業(株)製、商品名:X40−9220)14重量部と、Mw=20,000のヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(GE東芝シリコーン(株)製、商品名:XF−3905)86重量部と、トルエン42重量部と、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウムのイソプロピルアルコール75%希釈液0.2重量部とを入れて混合し、攪拌しながら70℃で3時間脱アルコール反応を行なった。次いで、メチルイソブチルケトン53重量部、トルエン53重量部および水0.6重量部を添加して、70℃で3時間加水分解・縮合反応を行ない、Mw=26,000の多官能ポリシロキサンを含む、固形分濃度40重量%のポリシロキサン溶液(I)を得た。
【0097】
[調製例2]
Mw=1,000のアルコキシ末端ポリシロキサン(X40−9220)の代わりにMw=800のアルコキシ末端シロキサンオリゴマー(GE東芝シリコーン(株)製、商品名:XC96−B0446)7重量部を使用し、Mw=20,000のヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(XF−3905)の量を93重量部に変更した以外は調製例1と同様にして、Mw=24,000の多官能ポリシロキサンを含む、固形分濃度40重量%のポリシロキサン溶液(II)を得た。
【0098】
[調製例3]
攪拌機および還流冷却器を備えた反応器に、Mw=800のアルコキシ末端ポリシロキサン(GE東芝シリコーン(株)製、商品名:XC96−B0446)7重量部と、Mw=20,000のヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(GE東芝シリコーン(株)製、商品名:XF−3905)93重量部と、トルエン42重量部と、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウムのイソプロピルアルコール75%希釈液0.2重量部とを入れて混合し、攪拌しながら70℃で3時間脱アルコール反応を行なった。得られた反応液にメチルイソブチルケトン53重量部とトルエン53重量部とを添加し、Mw=23,000の多官能ポリシロキサンを含む、固形分濃度40重量%のポリシロキサン溶液(III)を得た。
【0099】
[調製例4]
アルコキシ末端シロキサンオリゴマー(X40−9220)の量を60重量部、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(XF−3905)の量を40重量部に変更した以外は
調製例1と同様にして、Mw=30,000の多官能ポリシロキサンを含む、固形分濃度40重量%のポリシロキサン溶液(i)を得た。
【0100】
[実施例1]
粉体状のルチル型酸化チタン微粒子(一次平均粒径:30nm)100重量部と、ポリシロキサン成分として上記ポリシロキサン溶液(I)250重量部(固形分換算で100重量部)と、トリエチルアミン0.1重量部と、メチルエチルケトン650重量部とを容器に入れ、この混合物に0.1mm径のジルコニアビーズ2000重量部を添加して、ビーズミルを用いて1500rpmで1時間攪拌して微粒子を分散させ、固形分濃度20重量%の金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物(1)を得た。この組成物の特性を評価した結果を表1に示す。
【0101】
[実施例2]
トリエチルアミンの代わりにメタンスルホン酸0.1重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして固形分濃度20重量%の金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物(2)を調製した。この組成物の特性を評価した結果を表1に示す。
【0102】
[実施例3]
ルチル型酸化チタン微粒子の代わりに粉体状の酸化亜鉛微粒子(一次平均粒径:20nm)100重量部と、ポリシロキサン溶液(I)の代わりにポリシロキサン溶液(II)250重量部(固形分換算で100重量部)とを使用した以外は、実施例1と同様にして固形分濃度20重量%の金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物(3)を調製した。この組成物の特性を評価した結果を表1に示す。
【0103】
[実施例4]
ルチル型酸化チタン微粒子の代わりに粉体状の酸化ジルコニウム微粒子(一次平均粒径:20nm)100重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして固形分濃度20重量%の金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物(4)を調製した。この組成物の特性を評価した結果を表1に示す。
【0104】
[実施例5]
ポリシロキサン溶液(I)の代わりにポリシロキサン溶液(III)250重量部(固形
分換算で100重量部)とを使用した以外は、実施例4と同様にして固形分濃度20重量%の金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物(5)を調製した。この組成物の特性を評価した結果を表1に示す。
【0105】
[比較例1]
粉体状のルチル型酸化チタン微粒子(一次平均粒径:30nm)100重量部と、Mw=20,000のヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(GE東芝シリコーン(株)製、商品名:XF−3905)100重量部と、トリエチルアミン0.1重量部と、メチルエチルケトン800重量部とを容器に入れ、この混合物に0.1mm径のジルコニアビーズ2000重量部を添加して、ビーズミルを用いて1500rpmで1時間攪拌して微粒子を分散させ、固形分濃度20重量%の金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物(C1)を得た。この組成物の特性を評価した結果を表1に示す。
【0106】
[比較例2]
ポリシロキサン成分として上記ポリシロキサン溶液(I)の代わりにポリシロキサン溶液(i)250重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして固形分濃度20重量%の金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物(C2)を調製した。この組成物の特性を評価した結果を表1に示す。
【0107】
[比較例3]
トリエチルアミンを使用しなかった以外は実施例1と同様にして固形分濃度20重量%の金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物(C3)を調製した。この組成物の特性を評価した結果を表1に示す。
【0108】
[比較例4]
粉体状のルチル型酸化チタン微粒子(一次平均粒径:30nm)100重量部と、ポリシロキサン成分として上記ポリシロキサン溶液(I)250重量部(固形分換算で100重量部)と、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル(楠本化成(株)製、商品名:PLADD ED151)9重量部と、アセチルアセトン5重量部と、メチルエチルケトン650重量部とを容器に入れ、この混合物に0.1mm径のジルコニアビーズ2000重量部を添加して、ビーズミルを用いて1500rpmで1時間攪拌して微粒子を分散させ、固形分濃度20重量%の金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物(C4)を得た。この組成物の特性を評価した結果を表1に示す。
【0109】
[比較例5]
ルチル型酸化チタン微粒子の代わりに粉体状の酸化亜鉛微粒子(一次平均粒径:20nm)100重量部を使用した以外は、比較例4と同様にして固形分濃度20重量%の金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物(C5)を調製した。この組成物の特性を評価した結果を表1に示す。
【0110】
[比較例6]
ルチル型酸化チタン微粒子の代わりに粉体状の酸化ジルコニウム微粒子(一次平均粒径:20nm)100重量部を使用した以外は、比較例4と同様にして固形分濃度20重量%の金属酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物(C6)を調製した。この組成物の特性を評価した結果を表1に示す。
【0111】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒中、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物の存在下で、
(A)ケイ素酸化物微粒子および/または金属酸化物微粒子、および
(B1)下記平均組成式(1)
1aSiOb(OR2c (1)
(式中、R1は水素原子またはオキシアルキレン基を有しない1価の炭化水素基であり、
1が複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、R2はアルキル基であり、R2が複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、aは0
を超えて2未満、bは0を超えて2未満、cは0を超えて4未満、かつa+b×2+c=4である)
で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500以上3,000未満の範囲にあるアルコキシ末端の多官能ポリシロキサン(b1)と、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000以上100,000以下の範囲にあるヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(b2)とを、これらの合計100重量部に対して、重量比(b1/b2)が3/97〜55/45の範囲で脱アルコール反応させて得られる多官能ポリシロキサン、あるいは
(B2)下記平均組成式(1’)
1aSiOb(OH)c (1’)
(式中、R1は水素原子またはオキシアルキレン基を有しない1価の炭化水素基であり、
1が複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、aは0を超えて
2未満、bは0を超えて2未満、cは0を超えて4未満、かつa+b×2+c=4である)
で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500以上3,000未満の範囲にあるヒドロキシ末端の多官能ポリシロキサン(b3)と、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000以上100,000以下の範囲にあるアルコキシ末端ポリジメチルシロキサン(b4)とを、これらの合計100重量部に対して、重量比(b3/b4)が3/97〜55/45の範囲で脱アルコール反応させて得られる多官能ポリシロキサン
を混合して、前記酸化物微粒子(A)を有機溶媒中に分散させることにより得られる酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物。
【請求項2】
前記多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)をさらに加水分解・縮合した後、前記酸化物微粒子(A)と混合することを特徴とする請求項1に記載の酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物。
【請求項3】
前記脱アルコール反応における触媒が金属キレート化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物。
【請求項4】
前記酸化物微粒子(A)と前記多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)とを塩基性化合物の存在下で混合することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物。
【請求項5】
前記酸化物微粒子(A)と前記多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)とをビーズミルにより混合することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物。
【請求項6】
前記酸化物微粒子(A)100重量部に対して、前記多官能ポリシロキサン(B1)ま
たは(B2)を完全加水分解縮合物換算で1〜1000重量部混合することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物から得られる硬化体。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物に、さらに蛍光体を混合して得られることを特徴とするLED封止材。
【請求項9】
下記平均組成式(1)
1aSiOb(OR2c (1)
(式中、R1は水素原子またはオキシアルキレン基を有しない1価の炭化水素基であり、
1が複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、R2はアルキル基であり、R2が複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、aは0
を超えて2未満、bは0を超えて2未満、cは0を超えて4未満、かつa+b×2+c=4である)
で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500以上3,000未満の範囲にあるアルコキシ末端の多官能ポリシロキサン(b1)と、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000以上100,000以下の範囲にあるヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(b2)とを、これらの合計100重量部に対して、重量比(b1/b2)が3/97〜55/45の範囲で脱アルコール反応させて多官能ポリシロキサン(B1)、あるいは
下記平均組成式(1’)
1aSiOb(OH)c (1’)
(式中、R1は水素原子またはオキシアルキレン基を有しない1価の炭化水素基であり、
1が複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、aは0を超えて
2未満、bは0を超えて2未満、cは0を超えて4未満、かつa+b×2+c=4である)
で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500以上3,000未満の範囲にあるヒドロキシ末端の多官能ポリシロキサン(b3)と、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000以上100,000以下の範囲にあるアルコキシ末端ポリジメチルシロキサン(b4)とを、これらの合計100重量部に対して、重量比(b3/b4)が3/97〜55/45の範囲で脱アルコール反応させて得られる多官能ポリシロキサン(B2)
を調製した後、
該多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)とケイ素酸化物微粒子および/または金属酸化物微粒子(A)とを、有機溶媒中、塩基性化合物、酸性化合物または金属キレート化合物の存在下で混合することを特徴とする酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物の製造方法。
【請求項10】
前記多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)をさらに加水分解・縮合した後、前記酸化物微粒子(A)と混合することを特徴とする請求項9に記載の酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物の製造方法。
【請求項11】
前記脱アルコール反応における触媒が金属キレート化合物であることを特徴とする請求項9または10に記載の酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物の製造方法。
【請求項12】
前記酸化物微粒子(A)と前記多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)とを塩基
性化合物の存在下で混合することを特徴とする請求項9〜11のいずれかに酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物の製造方法。
【請求項13】
前記酸化物微粒子(A)と前記多官能ポリシロキサン(B1)または(B2)とをビーズミルにより混合することを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の酸化物微粒子含有ポリシロキサン組成物の製造方法。

【公開番号】特開2007−291324(P2007−291324A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−295912(P2006−295912)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】