説明

酸素センサ制御装置

【課題】脈動する酸素センサの出力値のもと精度よく補正係数を算出する酸素センサ制御装置を提供する。
【解決手段】燃料断期間中の排気管への大気の総供給量M1が所定量M2以上となった場合(S4:YES)、クランク角センサの出力信号が取得される(S9)。取得された出力信号に基づくクランク角が所定角度である場合(S10:YES)、実装酸素センサの出力値Ipbが取得される(S11)。出力値Ipbの加重平均値Ipcが算出され(S14)、燃料断期間中の加重平均値Ipcの最大値Ipdが更新される(S18)。燃料断が終了されると(S8:YES)、最大値Ipdが代表値Ipeに設定される(S19)。代表値Ipeに基づいて、新たな補正係数Kpが算出され(S21)、算出された補正係数Kpが記憶される(S22)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素センサを使用して排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の内燃機関の排気通路(排気管)に酸素センサを設置し、排気ガス中の酸素濃度を検出して空燃比を制御することが行われている。しかしながら、個々の酸素センサの出力特性のバラツキや、酸素センサの経時劣化に起因して、酸素濃度の検出精度が異なるという問題がある。そこで、内燃機関への燃料供給を停止し、排気通路内がほぼ大気雰囲気になっていると推定されるとき、補正係数を算出して、酸素センサの出力値と酸素濃度との関係を較正する大気補正を行う技術が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−32466号公報
【特許文献2】特開平4−103854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、内燃機関への燃料供給を停止した状態であっても、内燃機関では、各気筒において吸気・圧縮・膨張・排気行程のピストン動作が繰り返されるため、酸素センサが設けられている排気通路を流れる大気の圧力は変動している。この大気の圧力の変動などの要因によって、酸素センサの出力値は、圧力の変動などに依存した変動(以下、「脈動」という。)を示す。このため、この酸素センサの出力値に及ぶ脈動の影響を考慮しなければ、酸素センサの出力値を用いての補正係数の算出を精度良く行えているとは言い難い側面があった。
【0005】
本発明の目的は、脈動する酸素センサの出力値のもと精度よく補正係数を算出する酸素センサ制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る酸素センサ制御装置は、内燃機関の排気管に取り付けられた酸素センサの出力値と酸素濃度との関係を較正するための補正係数を記憶する記憶手段を備え、前記記憶手段に記憶された前記補正係数と前記酸素センサの前記出力値とを用いて、前記排気管を流通する排気ガスの酸素濃度を検出する酸素センサ制御装置において、前記内燃機関のクランク角を検出するクランク角センサの出力信号を取得する出力信号取得手段と、前記内燃機関の燃料供給を停止する燃料断が行われる期間である燃料断期間中において、前記出力信号取得手段によって取得された前記出力信号に基づく前記クランク角が、予め設定された所定角度であるか否かを判断するクランク角判断手段と、前記クランク角判断手段によって前記クランク角が前記所定角度であると判断された場合に、前記酸素センサの前記出力値を取得する出力値取得手段と、前記燃料断期間中に前記出力値取得手段によって取得された前記出力値に基づいて、新たな補正係数を算出する補正係数算出手段と、前記補正係数算出手段によって算出された前記補正係数を前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段とを備えている。
【0007】
この場合、燃料断期間中にクランク角判断手段によってクランク角が所定角度であると判断された場合に、酸素センサの出力値が取得される。そして、取得された酸素センサの出力値に基づいて新たな補正係数が算出される。つまり、一定のクランク角で酸素センサの出力値が取得され、補正係数が算出される。クランク角の大きさは、内燃機関の運転状態(各気筒の吸気・圧縮・膨張・排気行程)に連動している。このため、クランク角の大きさは、酸素センサが設けられている排気管内の大気の圧力の変動に連動している。本発明では、一定のクランク角で酸素センサの出力値を取得するので、出力値を取得するタイミングにおける内燃機関の運転状態が略同じになり、排気管内の大気の圧力も略同じになる。この結果、一定のクランク角における出力値のバラツキの幅は、脈動の振幅よりも小さい値となる。このため、出力値の脈動が、補正係数の算出に与える影響を低減できる。よって、脈動する酸素センサの出力値のもとでも、精度よく補正係数を算出することができる。なお、新たな補正係数は、例えば、取得された酸素センサの出力値と基準値(例えば、標準的な酸素センサが大気雰囲気に晒された際に当該センサが出力する値)とに基づいて算出することができる。
【0008】
前記酸素センサ制御装置は、前記燃料断期間中に前記出力値取得手段によって取得された複数の前記出力値に基づいて、前記燃料断期間中の前記出力値を代表する値である代表値を決定する代表値決定手段を備え、前記補正係数算出手段は、前記燃料断期間中における前記出力値と前記補正係数とを乗算した補正値が予め設定された基準値に近づくように、前記代表値決定手段によって決定された前記代表値と前記基準値とに基づいて、新たな前記補正係数を算出してもよい。この場合、複数の出力値に基づく代表値が使用され、新たな補正係数が算出される。このため、偶発的に生じたノイズを含む1つの出力値に基づいて補正係数が算出されるのを防げ、個々の出力値のバラツキの影響を低減することができ、精度よく補正係数を算出することができる。なお、複数の出力値に基づく代表値とは、例えば、複数の出力値を平均化処理した値や、その平均化処理した値の最大値を挙げることができる。なお、平均化処理としては、例えば、複数の出力値の加重平均、移動平均、相加平均などを挙げることができる。
【0009】
前記酸素センサ制御装置は、前記内燃機関から前記排気管に供給される大気の供給量を計測する供給量計測手段から前記供給量を取得して、前記燃料断期間中における前記供給量の総量である総供給量を算出する総供給量算出手段と、1回の前記燃料断期間において、前記総供給量算出手段によって算出された前記総供給量が、予め設定された所定量以上になったか否かを判断する総供給量判断手段とを備え、前記クランク角判断手段は、前記総供給量判断手段によって前記総供給量が前記所定量以上になったと判断された場合に、前記出力信号取得手段によって取得された前記出力信号に基づく前記クランク角が、前記所定角度であるか否かを判断してもよい。大気の総供給量が所定量以上になった場合、且つクランク角が所定角度となった場合に、出力値取得手段によって酸素センサの出力値が取得される。そして、取得された酸素センサの出力値に基づいて補正係数が算出される。例えば、排気管内が略大気雰囲気となる量に所定量を設定すれば、略大気雰囲気になった環境で酸素センサの出力値を確実に取得できるので、精度よく補正係数を算出することができる。
【0010】
前記酸素センサ制御装置は、1回の前記燃料断期間において、前記燃料断が開始されてからの経過時間が、予め設定された所定時間を経過したか否かを判断する経過時間判断手段を備え、前記クランク角判断手段は、前記経過時間判断手段によって前記燃料断が開始されてからの前記経過時間が前記所定時間を経過したと判断された場合に、前記出力信号取得手段によって取得された前記出力信号に基づく前記クランク角が、前記所定角度であるか否かを判断してもよい。燃料断が開始されてからの経過時間が所定時間を経過した場合、且つクランク角が所定角度になった場合に、出力値取得手段によって酸素センサの出力値が取得される。そして、取得された酸素センサの出力値に基づいて補正係数が算出される。例えば、燃料断が開始された後排気管内が略大気雰囲気となるために必要な時間を所定時間として設定すれば、略大気雰囲気になった環境で酸素センサの出力値を取得できるので、精度よく補正係数を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】酸素センサ制御装置10を含むエンジン制御システム1の物理的構成及び電気的構成を示す模式図である。
【図2】燃料断期間中における大気の総供給量M1の変化と、実装酸素センサ20の出力値Ipbの変化の一例を示すグラフである。
【図3】燃料断期間中におけるクランク角の変化と、実装酸素センサ20の出力値Ipbの変化の一例を示すグラフである。
【図4】第一メイン処理を示すフローチャートである。
【図5】第二メイン処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具現化した一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、各種処理のフローチャートなどは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0013】
図1は、酸素センサ制御装置10を含むエンジン制御システム1の構成図である。エンジン制御システム1において、車両の内燃機関(エンジン)100の排気管120には酸素センサ20(以下、実装酸素センサ20という。)が取付けられ、実装酸素センサ20にはコントローラ22が接続されている。そして、コントローラ22に酸素センサ制御装置10が接続されている。本実施形態における酸素センサ制御装置10は、エンジンコントロールユニット(ECU)の機能を有している。
【0014】
内燃機関100の吸気管110にはスロットル弁102が設けられ、内燃機関100の各気筒には、燃料を筒内に供給するためのインジェクタ(燃料噴射弁)104が設置されている。また、排気管120の下流側に排ガス浄化触媒130が取付けられている。また、内燃機関100には、圧力センサ(図示外)、温度センサ(図示外)、及びクランク角センサ108等の各種センサが設置され、吸気管110にはエアフロメータ107が設置されている。エアフロメータ107は、大気の吸気量を測定する。吸気された大気は、排気管120に供給されるので、エアフロメータ107は、大気の吸気量を測定することで、排気管120に供給される大気の供給量を測定している。クランク角センサ108は、内燃機関100のピストン103に接続されたクランクシャフト109の回転角度(以下、クランク角という。)を計測する。なお、本実施形態では、ピストン運動の1サイクル(吸気・圧縮・膨張・排気行程)で、クランクシャフト109が1回転する2ストロークエンジンを例にして説明する。CPU2は、クランク角センサ108によって出力される出力信号に基づいて、0度から360度の間のクランク角(図3参照)を検出できる。
【0015】
各種センサ及びエアフロメータ107からの運転条件情報(エンジンの圧力、温度、クランク角、エンジン回転数、大気の供給量等)は、酸素センサ制御装置10に入力される。なお、図2における矢印125は、運転条件情報のうち、エンジン圧力と温度が入力される経路を簡単に表わしている。酸素センサ制御装置10は、上記運転条件情報、実装酸素センサ20からの排気ガス中の酸素濃度検出値、及び運転者によるアクセルペダル106の踏み込み量等に応じて、スロットル弁102を制御して内燃機関100に供給する大気の量を制御すると共に、インジェクタ104からの燃料噴射量を制御する。これによって、酸素センサ制御装置10は、適切な空燃比で内燃機関100の運転を行う。
【0016】
酸素センサ制御装置10は、中央演算処理装置(CPU)2、ROM3、RAM4、外部とのインターフェース回路(I/F)5、外部からの入力装置7、及び出力装置9を備えたマイクロコンピュータと、EEPROM等からなる不揮発メモリ8とを回路基板に実装したユニットである。そして、酸素センサ制御装置10(CPU2)は、ROM3に予め記憶されたプログラムに従って入力信号を処理し、インジェクタ104による燃料噴射量の制御信号を出力装置9から出力したり、後述する第一メイン処理を行ったりする。
【0017】
実装酸素センサ20は、例えば、酸素イオン伝導性の固体電解質体に一対の電極を設けたセルを2つ用いた、いわゆる2セル式の空燃比センサである。詳細には、実装酸素センサ20は、ガス検出素子を内側に保持すると共に、排気管120に装着するためのハウジングを備えている。また、ガス検出素子は、酸素ポンプセルと酸素濃度検出セルとを、多孔質体を介して排気ガスが導入される中空の測定室が介在するように積層し、さらにこれら2つのセルを活性温度にまで加熱するためのヒータを積層した公知の構成を有する素子である。なお、実際の個々の内燃機関に取付けられた実装酸素センサ20を、後述する基準酸素センサと区別するため、本実施形態では「実装酸素センサ」と称している。
【0018】
実装酸素センサ20は、各種抵抗や差動増幅器等を備えた検出回路である公知のコントローラ22に接続されている。コントローラ22は実装酸素センサ20にポンプ電流を供給し、該ポンプ電流を電圧に変換して酸素濃度検出信号として酸素センサ制御装置10に出力する。より具体的には、コントローラ22は、酸素濃度検出セルの出力が一定値となるように、酸素ポンプセルヘの通電制御を行う。この場合、酸素ポンプセルは、測定室内の酸素を外部に汲み出す、或いは、測定室に酸素を汲み入れるように動作する。このときに酸素ポンプセルにポンプ電流が流れる。コントローラ22は、ポンプ電流を、検出抵抗器を介して電圧に変換して酸素センサ制御装置10に出力する。なお、ポンプ電流とコントローラ22から出力される電圧とは、排気管120内の酸素濃度に対応しているという点で同等の意味を有するので、酸素センサ制御装置10は、コントローラ22から出力される電圧の値を検出することで、間接的にポンプ電流の値を検出している。このため、以下の説明では、酸素センサ制御装置10(CPU2)が検出するポンプ電流の値を、実装酸素センサ20の「出力値Ipb」という。出力値Ipbの変動は、排気管120内の酸素濃度の変動に対応している。
【0019】
次に、補正係数Kpについて説明する。補正係数Kpは、内燃機関100に取り付けられた実装酸素センサ20の出力値Ipbと酸素濃度との関係を較正するための係数であり、不揮発メモリ8に記憶されている。以下の説明では、理想的とされる酸素センサ、換言すれば、製造バラツキの中心の出力特性を有する標準的な酸素センサであって、実装酸素センサ20と同一の構成からなる酸素センサを、「基準酸素センサ」という。また、基準酸素センサを大気雰囲気(酸素濃度約20.5%)に晒した場合に出力される電流の値を基準値Ipaといい、本実施形態では、一例として、基準値Ipaは「4mA」であるとする。
【0020】
補正係数Kpは、実装酸素センサ20の出力値Ipbに補正係数Kpを乗算した値(以下、「補正値Ipf」という。)が基準酸素センサの出力値に近づくように定められる。例えば、実装酸素センサ20を大気雰囲気に晒した場合の補正値Ipfが、基準値Ipa「4mA」と同一になれば、実装酸素センサ20の出力値Ipbに基づく補正値Ipfと、基準酸素センサの出力値が同一になる。このように、補正値Ipfを用いることで、実装酸素センサ20の特性のばらつき(個体差バラツキ)や劣化具合の影響を軽減して、基準酸素センサと同等の精度で酸素濃度を検出することができる。このため、インジェクタ104からの燃料噴射量を酸素センサの特性のばらつきや劣化具合に依存することなく適切な量に制御することができる。なお、補正係数Kpは、不揮発メモリ8に記憶されている。また、本実施形態では、補正係数Kpは、内燃機関100への燃料供給を停止した雰囲気(燃料断)の期間中の実装酸素センサ20の出力値Ipbに基づいて算出(更新)される。燃料断期間中は、インジェクタ104から燃料噴射が行われていないため、排気管120内の雰囲気が大気雰囲気となり、基準酸素センサの大気雰囲気における出力値である基準値Ipaと比較することで、補正係数Kpを算出することができるからである。補正係数Kpの算出の詳細については、後述する。
【0021】
次に、図2を参照して、1回の燃料断期間中における実装酸素センサ20の出力値Ipbの変化の一例について説明する。図2は、燃料断が開始されてからの時間と大気の総供給量M1との関係(紙面上側のグラフ)、及び、燃料断が開始されてからの時間と実装酸素センサ20の出力値Ipbとの関係(紙面下側のグラフ)を表している。大気の総供給量M1は、燃料断期間中にエアフロメータ107によって計測された、排気管120への大気の供給量を加算した値である。燃料断が開始されてから時間が経過するごとに大気の総供給量M1は増加する。排気管120に大気が供給されるので、排気管120等に残った燃料断が開始される前の排気ガスが大気と入れ換わる。
【0022】
排気管120等に残った排気ガスが大気と入れ換わるまでに時間を要するので、排気管120内の酸素濃度が大気の酸素濃度に近づくまでに時間を要する。図2では、一例として、大気の総供給量M1が所定量M2(g)になった場合に、排気管120内の酸素濃度が大気の酸素濃度に近づく場合を示している。大気の総供給量M1が所定量M2(g)になるのに要する時間は時間T2である。よって、大気の総供給量M1が所定量M2(g)となるのに要する時間T2の間、実装酸素センサ20の出力値Ipbは徐々に大きくなる。そして、排気管120内の酸素濃度が大気の酸素濃度に近づくと、出力値Ipbの値は概ね安定する。ただし、排気管120内の酸素濃度が大気の酸素濃度に近づいても、内燃機関100の各気筒のピストン運動が繰り返されるため、出力値Ipbは脈動している。なお、図2の時間T2の期間において、実際には出力値Ipbは脈動しながら徐々に大きくなっているが、脈動の図示は省略している。以下の説明では、特定の出力値について述べる場合、出力値201等のように符号で表し、出力値を特定しない場合、出力値Ipbと記載する。また、図2における「●」で示した出力値201〜209等は、クランク角が180度の場合の出力値Ipbを表している。
【0023】
次に、図3を参照して、燃料断期間中におけるクランク角の変化と出力値Ipbの脈動との関係の一例について説明する。図3では、燃料断期間中における時間とクランク角との関係(紙面上側のグラフ)、及び、燃料断期間中における時間と実装酸素センサ20の出力値Ipbとの関係(紙面下側のグラフ)を表している。脈動は、内燃機関100の各気筒におけるピストン運動による排気管120内の圧力の変動に依存して発生する。また、各気筒のピストン運動は、クランク角に対応しており、クランク角が0度から360度に変化する間に、ピストン運動の1サイクル(吸気・圧縮・膨張・排気行程)が行われる。つまり、クランク角の大きさは内燃機関の運転状態(各気筒の吸気・圧縮・膨張・排気行程)に連動している。このため、クランク角の大きさは、排気管120内の大気の圧力の変動に連動しており、さらには、実装酸素センサ20の出力値Ipbの脈動に連動している。よって、図3に示すように、クランク角が0度から360度に変化する期間31,32,33における出力値Ipbの値は、それぞれの期間で似た変動を示す。このため、同一のクランク角「180度」の出力値210〜213は、互いに近い値となる。
【0024】
次に、図4を参照して、酸素センサ制御装置10のCPU2によって実行される第一メイン処理について説明する。第一メイン処理は、酸素センサ制御装置10に電源が供給されることを契機に開始される。第一メイン処理が行われることによって、補正係数Kpが更新される。以下の説明において、変数Nは、加重平均値Ipc(後述)を算出するための出力値Ipbが取得された数のカウント等を行うための変数である。最大値Ipdは、1回の燃料断期間中に算出された加重平均値Ipcの最大値である。代表値Ipeは、1回の燃料断期間中の実装酸素センサ20の出力値Ipbを代表する値である。また、フローチャートにおけるステップを「S」と略記する。
【0025】
第一メイン処理では、まず、燃料断が新たに開始されたか否かが判断される(S1)。なお、内燃機関100では、酸素センサ制御装置10は、車両の減速や吸入空気量の状態等の運転条件に応じて、インジェクタ104からの燃料噴射量が0となる指示を出力する。S1では、この指示の出力の有無が検出されることで燃料断が開始されたか否かが判断される。燃料断が開始されていない場合(S1:NO)、処理はS1に戻る。
【0026】
燃料断が開始された場合(S1:YES)、燃料断期間中における排気管120への大気の供給量の総量である総供給量M1が「0」に設定される(S2)。なお、総供給量M1は、RAM4に記憶される。次いで、エアフロメータ107から大気の供給量が取得され、総供給量M1が算出される(S3)。次いで、1回の燃料断期間においてS3で算出された総供給量M1が、所定量M2(図2参照)以上になったか否かが判断される(S4)。なお、所定量M2の値は不揮発メモリ8に記憶されているとする(後述する所定角度の値も同様)。総供給量M1が所定量M2以上になっていない場合(S4:NO)、燃料断が終了したか否かが判断される(S5)。燃料断が終了されていない場合(S5:NO)、処理はS3に戻る。つまり、酸素センサ制御装置10は、燃料断期間中の総供給量M1が所定量M2以上になるか、その間に燃料断が終了するまで待機する。
【0027】
総供給量M1が所定量M2以上となる前に燃料断が終了された場合(S5:YES)、処理はS1に戻る。燃料断が継続し、総供給量M1が所定量M2以上となった場合(S4:YES)、最大値Ipdが「0」に設定され、代表値Ipeが「0」に設定される(S6)。次いで、変数Nが「0」に設定される(S7)。なお、最大値Ipdと代表値Ipeと変数NとはRAM4に記憶される。
【0028】
次いで、燃料断が終了されたか否かが判断される(S8)。燃料断が終了されていない場合(S8:NO)、クランク角センサ108の出力信号が取得される(S9)。次いで、S9で取得された出力信号に基づくクランク角が特定され、クランク角が所定角度であるか否かが判断される(S10)。本実施形態では、所定角度は「180度」であるとする。クランク角が「180度」ではない場合(S10:NO)、処理はS8に戻る。つまり、クランク角が所定角度になるまで、S9でクランク角センサ108の出力信号の取得が繰り返される。
【0029】
クランク角が「180度」である場合(S10:YES)、実装酸素センサ20の出力値Ipbが取得される(S11)。これによって、例えば、クランク角が「180度」の出力値201(図2参照)が取得される。次いで、S11で取得された実装酸素センサ20の出力値IpbがRAM4に記憶される(S12)。次いで、変数Nがインクリメントされ、1増加する(S13)。次いで、以下の式(1)が使用され、出力値Ipbの加重平均値Ipcが算出される(S14)。
Ipc=1/3{Ipb―Ipc(N−1)}+Ipc(N−1)・・・(1)
【0030】
上記式(1)の「Ipc(N−1)」は、直前に算出された加重平均値である。なお、燃料断期間中において、加重平均値Ipcの算出開始直後(変数N=1の時)は、「Ipc(N−1)」が存在しないため、変数N=1の時に得られる出力値Ipb(図2の例では、出力値201)を「Ipc(N−1)」に代入して、加重平均値Ipcを算出する。
【0031】
次いで、S14で算出された加重平均値IpcがRAM4に記憶される(S15)。次いで、変数Nが「3」以上であるか否かが判断される(S16)。変数Nが「3」以上でない場合には(S16:NO)、処理はS8に戻る。一方、変数Nが「3」以上である場合には(S16:YES)、S14で新たに算出され、S15で新たに記憶された加重平均値Ipcが、最大値Ipdより大きいか否かが判断される(S17)。加重平均値Ipcが最大値Ipdより大きい場合(S17:YES)、最大値Ipdに加重平均値Ipcの値が代入され、最大値Ipdが更新される(S18)。つまり、所謂ピークホールドが行われる。次いで、処理はS8に戻る。また、加重平均値Ipcが最大値Ipdより大きくない場合(S17:NO)、処理はS8に戻る。つまり、最大値Ipdの更新は行われない。
【0032】
S8からS18が繰り返されると、例えば、出力値201〜209(図2参照)が順次取得され(S11)、加重平均値Ipcが算出される(S14)。そして、算出した加重平均値Ipcが、最大値Ipdより大きい値となれば(S17:YES)、最大値Ipdが更新される(S18)。以降の出力値についても、同様の処理が行われる。
【0033】
燃料断が終了された場合(S8:YES)、最大値Ipdが代表値Ipeとして設定される(S19)。これによって、燃料断期間における出力値Ipbの加重平均値Ipcの最大値Ipdが代表値Ipeとして決定される。次いで、代表値Ipeが「0」より大きいか否かが判断される(S20)。なお、代表値Ipeが「0」になる場合とは、S18が行われる前に、燃料断が終了された場合である(S8:YES)。代表値Ipeが「0」である場合(S20:NO)、処理はS1に戻り、次の燃料断待ちが行われる。
【0034】
一方S20で、代表値Ipeが「0」より大きいと判断された場合(S20:YES)、新たな補正係数Kpが算出される(S21)。S21では、燃料断期間中における出力値Ipbと補正係数Kpとを乗算した補正値Ipfが、予め設定された基準値Ipa(4mA)に近づくように、新たな補正係数Kpが算出される。本実施形態では、S21において、基準値Ipaが代表値Ipeで除算されることで、新たな補正係数Kpが算出される(すなわち、「新たな補正係数Kp=基準値Ipa/代表値Ipe」の演算を行う)。
【0035】
次いで、S21で算出された補正係数Kpが、不揮発メモリ8に更新記憶される(S22)。つまり、内燃機関100に取り付けられた実装酸素センサ20の出力値Ipbと酸素濃度との関係が較正される。次いで、処理はS1に戻る。新たに補正係数Kpが算出されているので、CPU2は、内燃機関100に燃料が供給されている場合(燃料断期間以外の場合)に、最新の補正係数Kpを使用して排気ガスの酸素濃度を精度よく検出できる。このため、適切な空燃比で内燃機関100の運転を行うことができる。
【0036】
以上のように、本実施形態における第一メイン処理が実行される。本実施形態では、出力値Ipbが脈動していても、図3に示すように、クランク角が「180度」のときにS11で取得される出力値210〜213の値はそれぞれ近い値になる。言い換えると、出力値210〜213のバラツキの幅は、脈動の振幅よりも小さい値となる(図2に示す出力値201〜209も同様)。バラツキの幅の小さい出力値Ipbを使用して補正係数Kpが算出されるので、出力値Ipbの脈動が、補正係数Kpの算出に与える影響を低減できる。よって、実装酸素センサ20の脈動する出力値Ipbのもとでも、精度よく補正係数Kpを算出することができる。
【0037】
また、本実施形態では、補正係数Kpの算出に使用される代表値Ipeは、複数の加重平均値Ipcの最大値Ipdの値である。また、加重平均値Ipcは、複数の出力値Ipbの加重平均値である。つまり、補正係数Kpは、複数の出力値Ipbに基づく代表値Ipeと、基準値Ipaとに基づいて算出されている。複数の出力値Ipbに基づいて補正係数Kpが算出されるので、偶発的に生じたノイズを含む1つの出力値Ipbに基づいて補正係数Kpが算出されるのを防げ、個々の出力値Ipbのバラツキの影響を低減することができ、精度よく補正係数Kpを算出することができる。
【0038】
また、本実施形態では、変数Nが「3」以上である場合に(S16:YES)、S18で最大値Ipdが更新される。このため、変数Nが2以下の場合にS14で算出された加重平均値Ipcは、最大値Ipdには設定されず、代表値Ipeに設定されない。つまり、少なくとも3つ以上の出力値Ipbの値が反映された加重平均値Ipcが、代表値Ipeに設定される。このため、偶発的に生じたノイズの影響を低減でき、精度よく補正係数Kpを算出することができる。
【0039】
また、本実施形態では、大気の総供給量M1が、所定量M2以上となった場合に(S4:YES)、実装酸素センサ20の出力値Ipbが取得される(S11)。このため、排気管120内が略大気雰囲気になった環境で実装酸素センサ20の出力値Ipbを確実に取得できるので、精度よく補正係数Kpを算出することができる。
【0040】
本実施形態において、実装酸素センサ20が本発明の「酸素センサ」に相当し、不揮発メモリ8が本発明の「記憶手段」に相当する。図4のS9の処理を行うCPU2が本発明の「出力信号取得手段」に相当し、S10の処理を行うCPU2が本発明の「クランク角判断手段」に相当する。S11の処理を行うCPU2が本発明の「出力値取得手段」に相当し、S21の処理を行うCPU2が本発明の「補正係数算出手段」に相当する。S22の処理を行うCPU2が本発明の「記憶制御手段」に相当し、エアフロメータ107が本発明の「供給量計測手段」に相当する。S3の処理を行うCPU2が本発明の「総供給量算出手段」に相当し、S4の処理を行うCPU2が本発明の「総供給量判断手段」に相当する。
【0041】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、代表値Ipeは、複数の出力値Ipbの加重平均値Ipcの最大値Ipdであったが、これに限定されない。例えば、複数の加重平均値Ipcを使用して新たに算出した加重平均値でもよい。また、複数の出力値Ipbの最大値であってもよい。また、燃料断期間中の1つの出力値Ipb(例えば、燃料断期間中において最大の値を示した出力値Ipb)でもよい。また、5回の出力値Ipbのうちで、最大値と最小値とを除いた残りの3回の加重平均値であってもよい。また、燃料断期間中の出力値Ipbと補正係数Kpを乗算した補正値Ipfであってもよいし、燃料断期間中の補正値Ipfの加重平均値でもよい。なお、例えば、補正値Ipfに基づいて補正係数Kpを算出する場合、補正値Ipfを現在の補正係数Kpで除算した値で、基準値Ipaを除算することで、新たな補正係数Kpが算出される(すなわち、新たな補正係数Kp=基準値Ipa/(補正値Ipf/現在の補正係数Kp)の演算を行う)。以上のように代表値Ipeを設定して補正係数Kpを算出しても、一定のクランク角で出力値Ipbが取得されているので、精度よく補正係数Kpを算出できる。
【0042】
また、1回の燃料断期間毎に、S6〜S22が実行されて、補正係数Kpが更新されていたが、これに限定されない。例えば、2回以上の回数に設定された所定回数の燃料断期間毎に1回の割合で、補正係数Kpを更新してもよい。
【0043】
また、基準値Ipaが、基準酸素センサを大気雰囲気(酸素濃度約20.5%)に晒した場合に出力される電流の値であったが、これに限定されない。例えば、基準値Ipaは、設計に応じて任意に設定される値であってもよい。
【0044】
また、実装酸素センサ20は、2セル式の空燃比センサに限らず、1セル式の酸素センサであってもよい。また、実装酸素センサ20は、酸素濃度検出機能を有するセンサ(例えば、酸素濃度検出機能付きのNOxセンサ)であってもよい。また、加重平均値Ipc等、上記のすべての加重平均値を算出する平均化処理は、加重平均処理に限らず、例えば、相加平均処理や移動平均処理を行った平均値を算出するようにしてもよい。
【0045】
また、変数Nを用いた処理(例えば、S7,S13,及びS16の処理)を省いて、第一メイン処理を簡略するようにしてもよい。この場合、例えば、出力値が順次取得されたら(S11)、加重平均値を順次算出し(S14)、最大値を更新してもよい(S18)。なお、この場合、式(1)における、「Ipc(N−1)」には変数Nが使用されているが、この「Ipc(N−1)」は、直前に算出された加重平均値を表しているため、S14では、直前に算出された加重平均値を用いて、新たな加重平均値を算出するようにすればよい。
【0046】
また、酸素センサ制御装置10は、ECUの機能を有していたが、これに限定されない。例えば、ECUとは別体で構成され、燃料断が開始されたことをECUから伝達されたり、ECUに算出した補正係数Kpを伝達したりして補正係数Kpを更新するようにしてもよい。
【0047】
また、図3に示すように、CPU2は、クランク角センサ108の出力信号に基づき0度〜360度のクランク角を測定可能であったが、これに限定されない。例えば、内燃機関100のピストン運動の1サイクルのうち、180度と360度との2回のクランク角で、クランク角センサ108から出力信号が出力されるようにし、CPU2は、180度と360度とを測定可能であってもよい。この場合、180度または360度のうち、どちらか一方のクランク角になった場合に、実装酸素センサ20の出力値Ipbを取得して、補正係数Kpを算出してもよい。また、例えば、4ストロークエンジンなどの場合、クランクシャフト109の2回転で1サイクルを構成するため、クランク角は0度〜720度の間で変動する。このため、CPU2がクランク角センサ108の出力信号に基づき0度〜720度のクランク角を測定可能であり、0度〜720度の間の一定のクランク角で出力値Ipbを取得するように構成してもよい。
【0048】
また、メイン処理(図4参照)では、1回の燃料断期間において、大気の総供給量M1が所定量M2以上になった場合に(S4:YES)、クランク角が所定角度(180度)以上になったか否かが判断され(S10)、出力値Ipbが取得されていた(S11)。燃料断期間中のエンジンの回転数によって、排気管120内が大気雰囲気になる時間は変動するが、大気の総供給量M1が所定量M2以上になれば、排気管120内が大気雰囲気になる。このため、本実施形態のように総供給量M1を基準にして出力値Ipbの取得を開始することが望ましい。しかし、これに限定されない。例えば、1回の燃料断期間において、燃料断が開始されてからの経過時間が、所定の時間T2(図2参照)経過した場合(つまり、排気管120内が大気雰囲気になるのに必要な時間T2が経過した場合)に、クランク角が所定角度(180度)になったか否かが判断され、出力値Ipbが取得されてもよい。以下、この場合について、図5に示す第二メイン処理を参照して説明する。
【0049】
図5に示す第二メイン処理は、第一メイン処理(図4参照)の変形例である。より詳細には、第一メイン処理のS2〜S4が削除され、S31〜S34が追加されている。以下の説明では、第一メイン処理と同様の処理は同じ符号で示し、詳細の説明は省略する。
【0050】
第二メイン処理では、まず、第一メイン処理と同様に、燃料断が新たに開始されたか否かが判断される(S1)。燃料断が新たに開始された場合(S1:YES)、時間T1が「0」に設定される(S31)。時間T1は、燃料断が開始されてからの経過時間を示している。次いで、時間T1の計測が開始される(S32)。CPU2は、図示しない振動子のクロック信号を用いて時間T1を計測する。なお、別途タイマを設け、CPU2が当該タイマを用いて時間T1を計測するように構成してもよい。
【0051】
次いで、時間T1が時間T2以上になったか否かが判断される(S33)。つまり、燃料断が開始されてからの経過時間が、予め設定された所定時間T2(図2参照)を経過したか否かが判断される。時間T1が時間T2以上でない場合(S33:NO)、燃料断が終了されたか否かが判断される(S5)。燃料断が終了されていない場合(S5:NO)、処理はS33に戻る。燃料断が終了した場合(S5:YES)、処理はS1に戻る。時間T1が時間T2以上になった場合(S33:YES)、時間T1の計測が終了される(S34)。そして、第一メイン処理と同様に、S6〜S22が実行され、補正係数Kpが更新される。
【0052】
本実施形態では、排気管120内が略大気雰囲気となるために必要な時間T2(図2参照)が所定時間として設定されている。そして、燃料断が開始されてからの時間T1が時間T2を経過した場合に(S33:YES)、且つクランク角が所定角度(180度)になった場合に(S10:YES)、実装酸素センサ20の出力値Ipbが取得される(S11)。そして、新たな補正係数Kpが算出される(S21)。このように、時間T2が経過し排気管120内が略大気雰囲気になった環境で実装酸素センサ20の出力値Ipbを取得できるので、精度よく補正係数Kpを算出することができる。なお、本実施形態において、S33の処理を行うCPU2が本発明の「経過時間判断手段」に相当する。
【符号の説明】
【0053】
1 エンジン制御システム
2 CPU
8 不揮発メモリ
10 酸素センサ制御装置
20 実装酸素センサ
100 内燃機関
107 エアフロメータ
108 クランク角センサ
109 クランクシャフト
120 排気管
Ipa 基準値
Ipb 出力値
Ipe 代表値
Kp 補正係数
M1 総供給量
M2 所定量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気管に取り付けられた酸素センサの出力値と酸素濃度との関係を較正するための補正係数を記憶する記憶手段を備え、前記記憶手段に記憶された前記補正係数と前記酸素センサの前記出力値とを用いて、前記排気管を流通する排気ガスの酸素濃度を検出する酸素センサ制御装置において、
前記内燃機関のクランク角を検出するクランク角センサの出力信号を取得する出力信号取得手段と、
前記内燃機関の燃料供給を停止する燃料断が行われる期間である燃料断期間中において、前記出力信号取得手段によって取得された前記出力信号に基づく前記クランク角が、予め設定された所定角度であるか否かを判断するクランク角判断手段と、
前記クランク角判断手段によって前記クランク角が前記所定角度であると判断された場合に、前記酸素センサの前記出力値を取得する出力値取得手段と、
前記燃料断期間中に前記出力値取得手段によって取得された前記出力値に基づいて、新たな補正係数を算出する補正係数算出手段と、
前記補正係数算出手段によって算出された前記補正係数を前記記憶手段に記憶させる記憶制御手段と
を備えていることを特徴とする酸素センサ制御装置。
【請求項2】
前記燃料断期間中に前記出力値取得手段によって取得された複数の前記出力値に基づいて、前記燃料断期間中の前記出力値を代表する値である代表値を決定する代表値決定手段を備え、
前記補正係数算出手段は、前記燃料断期間中における前記出力値と前記補正係数とを乗算した補正値が予め設定された基準値に近づくように、前記代表値決定手段によって決定された前記代表値と前記基準値とに基づいて、新たな前記補正係数を算出することを特徴とする請求項1に記載の酸素センサ制御装置。
【請求項3】
前記内燃機関から前記排気管に供給される大気の供給量を計測する供給量計測手段から前記供給量を取得して、前記燃料断期間中における前記供給量の総量である総供給量を算出する総供給量算出手段と、
1回の前記燃料断期間において、前記総供給量算出手段によって算出された前記総供給量が、予め設定された所定量以上になったか否かを判断する総供給量判断手段と
を備え、
前記クランク角判断手段は、前記総供給量判断手段によって前記総供給量が前記所定量以上になったと判断された場合に、前記出力信号取得手段によって取得された前記出力信号に基づく前記クランク角が、前記所定角度であるか否かを判断することを特徴とする請求項1又は2に記載の酸素センサ制御装置。
【請求項4】
1回の前記燃料断期間において、前記燃料断が開始されてからの経過時間が、予め設定された所定時間を経過したか否かを判断する経過時間判断手段を備え、
前記クランク角判断手段は、前記経過時間判断手段によって前記燃料断が開始されてからの前記経過時間が前記所定時間を経過したと判断された場合に、前記出力信号取得手段によって取得された前記出力信号に基づく前記クランク角が、前記所定角度であるか否かを判断することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の酸素センサ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−211522(P2012−211522A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76622(P2011−76622)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】