説明

酸素燃焼ボイラシステム,微粉炭燃焼ボイラの改造方法,酸素燃焼ボイラシステムの制御装置及びその制御方法

【課題】
本発明は、簡易な設備で、配管内に露点腐食が生じることを抑制することを課題とする。
【解決手段】
本発明は、酸素製造設備と、石炭供給設備と、バーナと、前記バーナを備えたボイラと、前記ボイラの燃焼排ガスを外部に導く煙道と、該煙道の途中に設置された排ガス処理設備と、該排ガス処理設備の下流に設置され、前記排ガスから二酸化炭素を分離する二酸化炭素分離設備と、排ガス再循環系統と、酸素供給系統とを有し、前記排ガス処理設備が少なくともSO3除去装置,水分除去装置を有し、前記排ガス再循環系統の排ガス取入口が前記排ガス処理設備の下流側、かつ、前記二酸化炭素分離設備の上流側に設置されるとともに、前記排ガス取入口から取り入れられた排ガスを前記石炭供給系統に戻すことを特徴とする。
【効果】
本発明によれば、簡易な設備で、配管内に露点腐食が生じることを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素燃焼ボイラシステム,微粉炭燃焼ボイラの改造方法,酸素燃焼ボイラシステムの制御装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微粉炭燃焼ボイラと蒸気タービン発電設備で構成される石炭火力発電システムは、近年の石油需給の逼迫や天然ガス需要の増大に伴う価格高騰などの情勢を反映して、将来のエネルギー供給を考える上で重要な役割を占めると考えられている。しかしながら、石炭燃焼それ自体には、石油・天然ガス燃焼に比較してCO2排出原単位が大きいという重大な問題点がある。エネルギーの石炭火力依存比率の上昇にともなうCO2排出量増大は、地球温暖化を防止する上で、必ず回避されねばならない事項の一つとなっている。
【0003】
そこで、石炭火力発電システムから大気中へのCO2排出量を大幅に削減する手段が既に複数提案されている。その中で酸素燃焼ボイラシステムは、最も有望な対策案の一つとして世界的に開発が進められている。
【0004】
酸素燃焼ボイラシステムの基本原理を以下に述べる。通常の石炭燃焼ボイラが空気を支燃ガスとしているのに対し、酸素燃焼ボイラでは燃焼排ガスの大半を煙道の中途から抜き出した後に酸素製造装置で生成した高純度の酸素を混合し、酸素濃度を調整したものを支燃ガスとして用いる。これにより、プラントから排出される最終的な排ガスの流量が通常の1/4程度に減少するとともに、排ガスのCO2濃度が飛躍的に高まるため、排ガスからCO2を容易に分離回収することができる。
【0005】
特許文献1には、ボイラから回収した排ガスと、酸素分離装置によって分離された酸素とを混合し、支燃ガスとしてボイラに供給する酸素燃焼ボイラシステムが開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平5−231609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の技術では、ボイラから回収した排ガスを冷却機で冷却することにより、排ガスから液化二酸化炭素を分離させる。この液化二酸化炭素を再度気化させて、酸素と共にボイラに供給している。従って、二酸化炭素の液化及び気化というエネルギー損失が生じていた。
【0008】
一方、ボイラから回収した排ガスを気体のままでボイラに再循環させた場合、再循環用配管に露点腐食が生じる問題もあった。
【0009】
そこで本発明は、簡易な設備で、配管内に露点腐食が生じることを抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、空気から酸素を分離する酸素製造設備と、石炭を乾燥粉砕する石炭供給設備と、前記石炭供給設備より供給された石炭が流れる燃料流路及び支燃ガスが流れる支燃ガス流路を備えたバーナと、前記バーナを備えたボイラと、前記ボイラの燃焼排ガスを外部に導く煙道と、該煙道の途中に設置された排ガス処理設備と、該排ガス処理設備の下流に設置され、前記排ガスから二酸化炭素を分離する二酸化炭素分離設備と、前記煙道の中途に排ガス取入口を有し前記排ガスの一部を抜き出す排ガス再循環系統と、前記排ガス再循環系統を流れる排ガスに前記酸素製造設備で製造された酸素を供給する酸素供給系統とを有し、前記排ガス処理設備が少なくともSO3除去装置,水分除去装置を有し、前記排ガス再循環系統の排ガス取入口が前記排ガス処理設備の下流側、かつ、前記二酸化炭素分離設備の上流側に設置されるとともに、前記排ガス取入口から取り入れられた排ガスを前記石炭供給設備に戻すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易な設備で、配管内に露点腐食が生じることを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
石炭を主燃料とした二酸化炭素回収型の酸素燃焼ボイラシステムにおいて、主要な開発課題は以下に列挙する4点に集約される。1)酸素製造設備と二酸化炭素分離設備での動力消費に起因する送電端効率低下の抑止。2)起動停止や負荷変化に対応し、付帯設備(酸素製造設備,二酸化炭素分離設備)と協調して安定な運転を実現するプラント制御方法の確立。3)再循環排ガスと酸素の混合ガスを支燃ガスとした燃焼場における、安定した燃焼性能の確保と微量有害物質生成量の抑制。4)大規模な排ガス再循環機構の導入に起因する各種排ガス含有成分の濃縮によって発生する障害の回避。
【0013】
本発明は、主として上記4)の課題を解決することを目的としている。
【0014】
排ガスからの二酸化炭素回収のみが目的であれば、酸素のみで石炭を燃焼することが有効である。酸素のみで燃焼した場合の排ガスの主要組成はCO2とH2Oとなり、排ガス冷却手段等によりH2Oを分離除去すれば容易にCO2を高濃度で回収できる。しかしながら、酸素のみで石炭を燃焼した場合には、燃焼火炎の温度が空気燃焼の場合に比較して500℃以上も上昇する。そのため、この燃焼手段を石炭火力プラントに適用しようとすれば、ボイラを構成する金属材料として高価な耐熱鋼を使用する必要が生じる。また、バーナ部分で支燃ガスの吹き出し流速が低下するため、安定した火炎形成が困難になる。そして、生成する排ガス量が空気燃焼時に比較して1/4以下となるため、ボイラの伝熱管部分を通過する排ガスの流速が極端に低下して熱伝達効率が低下し熱回収が困難になるという問題点もある。
【0015】
このため、従来提案されている酸素燃焼ボイラシステムでは、多量の排ガスを再循環させ酸素と混合した後にボイラに供給する機構が設けられている。具体的には、バーナに供給される支燃ガスの流量およびボイラ内を通過する排ガスの流量が、従来の空気燃焼ボイラに比較しておおよそ70%を下回らないような設計が為される。このような手段により、従来の空気燃焼ボイラの設備を大幅に変更することなく、高効率な熱回収/発電を安定して実現できる。
【0016】
ところが、このような大規模な排ガス再循環を実施することで、新たに以下のような問題点が生じることが判明した。
【0017】
第1の問題点は、露点腐食の発生に関するものである。従来の空気燃焼ボイラでは、排ガスに含まれるSO3に起因する硫酸露点腐食を回避するために、脱硫設備よりも上流側では機器の内表面温度が硫酸露点温度を下回らないような設計が為される。酸素燃焼ボイラシステムにおいては、SO3を含んだ排ガスが再循環用配管,再循環用ファン,熱交換設備,石炭供給設備,バーナ等の系統をも通過することになるため、これらの機器や配管にも同様の露点回避措置が必要となることは明らかである。ただしここで重要な点は、再循環ループ内の排ガス中では、硫酸露点温度に影響を与えるSO3およびH2O濃度が、空気燃焼ボイラにおける一般的な排ガスに比較して約4倍に増加することである。これにより、硫酸露点は約40℃上昇して系統内の露点腐食の発生ポテンシャルは大幅に増加し、本事象に対する新たな対応が必要となる。特に、再循環排ガスの温度低下が発生しやすい石炭供給設備とその下流にあるバーナまでの配管系統における防食対策が最重要となる。
【0018】
第2の問題点は、石炭の乾燥性能低下に関するものである。従来の空気燃焼ボイラでは、加熱した高温空気を石炭供給設備内の石炭粉砕ミルに供給することにより、石炭に含まれている多量の付着水分を燃焼前に乾燥する手段が講じられている。乾燥が十分に出来なければ、バーナで石炭が着火する際に付着水分が多量の蒸発潜熱を奪うこととなり、着火性能低下による燃焼不安定が発生する。一方、従来の酸素燃焼ボイラシステムにおける循環排ガス中のH2O濃度は約30%に上昇するため、再循環排ガスを使用して空気燃焼ボイラにおける高温空気と同等の乾燥性能を得るためには、石炭粉砕ミルに供給する排ガスの温度をさらに上昇させるような特段の対策が必要となる。排ガス温度の上昇は、発火の危険性や機器構成部材の耐熱性を考慮して慎重に行われなければならず、困難な点が多い。
【0019】
第3の問題点は、窒素酸化物(NOx)生成量の増加に関するものである。一般に、酸素燃焼ボイラシステムにおいては排ガス中のN2濃度が非常に低く維持されるため、ボイラ内でのサーマルNOxの生成が大幅に抑制され、結果として供給熱量当たりのNOx生成量が従来型ボイラに比べて低減できることが知られている。したがって、酸素燃焼ボイラシステムにおいてNOxの転換率のさらなる低減を試みる場合には、燃料中のN分の酸化によって生ずるフューエルNOxの生成率を抑制する手段を講ずる必要がある。ところが、第1/第2の問題点でも記述したとおり、酸素燃焼ボイラシステムでは、ボイラ内を通過する排ガス中のH2O濃度が約30%にも達するため、火炎内でのN分の酸化が促進され、フューエルNOxの生成率が増加する傾向が現れることが判明した。
【0020】
以下、図面を用いて、本発明の酸素燃焼ボイラシステムについて説明する。ただし、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0021】
図1は本発明を適用した酸素燃焼ボイラシステムの1例である。燃料の石炭は、図示しない石炭搬送装置によって石炭供給設備である石炭粉砕ミル11に供給され、微粉炭燃焼に適した粒度に粉砕される。粉砕された石炭は、石炭粉砕ミル11に供給される再循環排ガスによって石炭供給配管19を通ってバーナ12の燃料流路に供給される。バーナ12には、ボイラ火炉に燃料を供給する燃料流路及び支燃ガスを供給する支燃ガス流路を備える。石炭供給配管19の中途には、酸素供給配管16が接続され必要に応じて酸素が混合される。石炭供給配管19中における再循環排ガスに適当量の酸素を混合することは、バーナ12における石炭の着火性能を高める効果がある。酸素供給系統は、一方の端部が酸素製造設備10に接続されており、他方は排ガス再循環配管14及び石炭供給配管19に分岐して接続されている。
【0022】
酸素供給配管16に供給する酸素は、酸素製造設備10によって空気から分離された酸素を使用する。なお、この際に生成する多量の窒素を主体とするガスは、窒素ガス搬送配管15によって煙突9より放散される。
【0023】
図1の酸素燃焼ボイラシステムには、煙道の中途に設けられた排ガス取入口22と、排ガスの一部を抜き出す排ガス再循環配管14とを備えた排ガス再循環系統を有する。排ガス再循環配管14は途中で分岐しており、一方の出口は石炭粉砕ミル11に接続されている。バーナ12の支燃ガス流路にはもう一方の排ガス再循環配管14が接続され、酸素供給配管16から供給された酸素と再循環排ガスの混合ガスが供給される。前記混合ガスが石炭供給配管19から供給される石炭ともにバーナ12からボイラ1内に供給され、火炎を形成する。
【0024】
排ガス再循環配管14は、バーナ12よりも下流側に設置されたアフターガスポート13にも接続されており、バーナ12とは別に前記混合ガスをボイラ1に供給する。アフターガスポート13は、空気燃焼ボイラにおけるアフターエアーポートと同様の機能を担う。すなわち、バーナ12とアフターガスポート13に供給される混合ガス流量を適度に調整することで、ボイラ1内部に還元雰囲気の領域を形成して石炭中の窒素分がNOxに転換するのを抑止する。また、アフターガスポート13からの噴流によってボイラ1内のガスの混合を促進し、未燃分を低減する。
【0025】
なお、石炭粉砕ミル11,バーナ12,アフターガスポート13に供給される再循環排ガスは、図示しない流量調整手段により各々の流量配分が調整されている。また、酸素供給配管16についても、分岐先に図示しない流量調整手段を有し、各分岐先への供給量が調整される。さらに、バーナ12とアフターガスポート13からボイラ1に供給される混合ガスの酸素濃度を別個に調整するために、酸素供給配管16をさらに2系統に分岐させて別個に流量配分を調整した後に、バーナ12とアフターガスポート13各々の上流の排ガス再循環配管14に供給することもできる。このように、供給される混合ガスの流量とその酸素濃度を別個に調整できる機能をもつことは、ボイラ1内における還元雰囲気形成と未燃分燃焼をよりきめ細かく調整できるため好ましい。
【0026】
ボイラ1内で発生した熱は、高温高圧の蒸気を介して図示しない蒸気タービン発電設備に供給され、発電する。
【0027】
ボイラ1で生成した排ガスは、煙道20に導かれて脱硝装置2に供給され、排ガス中のNOx成分が低減される。ただし、燃焼方法の改善などでNOxの生成量が十分に低減できる場合には、脱硝装置2を省略しても良い。
【0028】
脱硝装置2を出た排ガスは熱交換設備3に供給されて減温される。熱交換設備3で排ガスから回収された熱は、同じく熱交換設備3に供給された再循環排ガスに供給されてボイラ1に循環し、プラントの熱効率低下を抑止する。
【0029】
熱交換設備3を出た排ガスは乾式脱塵装置4に導かれて95%以上の煤塵成分が除去され、次に湿式脱硫装置5で95%以上のSO2が除去される。排ガスはその後さらに、SO3除去装置である湿式脱塵装置6で98%以上のSO3成分が除去され、水分除去装置である冷却脱水塔7で排ガス中の水分率が低減される。その後、冷却脱水塔7の下流側の煙道20上に設置された排ガス取入口22から、排ガスの一部が再循環ファン21によって排ガス再循環配管14に誘引されて熱交換設備3で加熱された後に、前記の通り石炭粉砕ミル11,バーナ12およびアフターガスポート13に供給される。
【0030】
以上述べてきたように、SO3除去装置,水分除去装置を有した排ガス処理設備のもとで、SO3除去装置,水分除去装置の下流側に排ガス取入口を設けることで、排ガスからSO3と水分を除去して再循環させることが出来る。従って、本実施例における再循環排ガス中のSO3濃度は1ppm以下、水分濃度は1%以下となり、本実施例における排ガス処理を施さずに排ガスを再循環させた場合に比較して、硫酸露点温度を大幅に低下させることができる。そのため、機器や配管系統において高価な防食材料を採用したり厳重な保温手段や加熱ヒータを用いて防食対策を講じる必要が無い。また、新たにSO3除去装置,水分除去装置を設けなくとも、既存の石炭燃焼ボイラシステムに設けられた湿式脱塵装置と冷却脱水塔を使用することで簡易な設備構成が可能となり、排ガス再循環配管14,再循環ファン21,熱交換設備3,石炭粉砕ミル11、および石炭供給配管19等における露点腐食発生の可能性を顕著に低減できる。
【0031】
そして、本実施例におけるSO3除去装置は、湿式脱塵装置を用いることが望ましい。湿式脱硫装置では、水分と結合した粒子状のSO3ミストを除去することが困難であり、SO3ミストの除去には湿式脱塵装置が適しているからである。
【0032】
前記の硫酸露点温度の変化について以下に詳述する。図5は、排ガス中のSO3濃度と水分濃度に対する硫酸露点温度の変化を表した広く知られている図表である。図中のA点は、従来の一般的な空気燃焼ボイラの排ガス組成における露点温度の一例を示す。B点は、SO3除去装置と水分除去装置を経ずに排ガス再循環を実施した場合の酸素燃焼ボイラシステムにおける排ガス組成に基づく露点温度の一例である。酸素燃焼ボイラシステムにおいては、空気燃焼の場合に比較して排ガス量が約30%減少することに加え、排ガス再循環によりSO3と水分の濃度が3〜4倍に増加するため、硫酸露点温度は約40℃上昇し、大幅に露点腐食発生の危険性が高まる。図中のC点は本実施例における再循環排ガス組成に基づく酸露点温度を示す。B点に比較して約90℃露点温度が低下しSO3濃度も約1ppmに抑えられるため、硫酸露点腐食の発生を有効に抑止できる。
【0033】
さらに、本実施例のように排ガス取入口を水分除去装置の下流側に設けて排ガスを再循環させ、この排ガスを石炭供給設備に戻すことにより、石炭供給設備に供給される排ガス中の水分濃度が従来の空気燃焼ボイラにおける石炭粉砕ミルへの供給空気並みに低減される。そのため、従来の酸素燃焼ボイラシステムで問題となっていた石炭乾燥能力低下に対して、特段の設備追加や新規設計の導入の必要が無くなる。またさらに、本実施例における再循環排ガス中の水分濃度低減は、燃焼火炎内でのフューエルNOx生成量を抑止する効果を示すため、最終排ガス中の有害成分低減の観点からも好ましい。
【0034】
冷却脱水塔7を出た排ガスの内、再循環に使用されない排ガスは二酸化炭素分離設備であるCO2圧縮液化設備8に供給され、排ガス中からCO2が分離液化される。また、分離したCO2は、液化せずに高圧の気体としてパイプライン等で需要元に供給するようにしても良い。CO2圧縮液化設備8で液化されない排ガスは、オフガスとして排出する。オフガスの主たる成分は、窒素,酸素であり、NOx等の微量成分と、若干のCO2が含まれる。オフガスは酸素製造設備10で発生する多量の窒素と混合して煙突9から大気中に放散される。
【0035】
このように、排ガス取入口が二酸化炭素分離設備の上流側に設置されることで、排ガスのままでボイラに再循環させることが出来る。そのため、液化二酸化炭素を再度気化させてボイラに供給する際のエネルギー損失を無くすことが可能である。
【0036】
また、本実施例では、排ガス取入口から取り入れられた排ガスが、バーナ12の支燃ガス流路及びアフターガスポート13にも供給されている。水分が除去された排ガスをバーナ12の支燃ガス流路及びアフターガスポート13にも供給することで、NOx生成量をより低減することが可能である。
【0037】
また、本発明の酸素燃焼ボイラシステムは、既存の微粉炭燃焼ボイラを改造する際にも有効である。即ち、既存の微粉炭燃焼ボイラが、石炭を乾燥粉砕する石炭供給設備と、石炭供給設備より供給された石炭が流れる燃料流路及び支燃ガスが流れる支燃ガス流路を備えたバーナと、このバーナを備えたボイラと、ボイラの燃焼排ガスを外部に導く煙道と、この煙道の途中に設置された排ガス処理設備を備えている場合、本実施例の排ガス再循環系統を追加すると共に、酸素製造設備,二酸化炭素分離設備を設けることで、本実施例の効果を得ることが可能である。
【実施例2】
【0038】
図2は石炭を燃料とした酸素燃焼ボイラシステムに本発明を適用した別の実施例である。
【0039】
本実施例は、実施例1と同様の作用を有する装置で構成される部分が多いため、以下では実施例1との相違点のみを述べる。以下に記述されない装置に関しては、実施例1におけるのと同様の作用効果を有するものとする。
【0040】
本実施例が実施例1と異なる点は、排ガス取入口を煙道20上に2ヶ所設置し、各々の排ガス取入口から抜き出した排ガスを、それぞれ異なる部位に供給するように排ガス再循環配管を設置したことにある。
【0041】
本実施例では、実施例1と同様の第1の排ガス取入口22の他に、第2の排ガス取入口22aが設けられている。第2の排ガス取入口22aは、熱交換設備3,乾式脱塵装置4,湿式脱硫装置5,湿式脱塵装置6,冷却脱水塔7のいずれよりも上流側であって、脱硝装置2の下流側に設けられている。
【0042】
排ガス取入口22aには排ガス再循環配管14aが接続され、図示しない送風ファンによってアフターガスポート13に排ガスを供給する。排ガス再循環配管14aには図示しない流量調整手段が備えられており、排ガスの流量が調整可能となっている。なお、排ガス再循環配管14aには酸素供給配管16が接続されており、図示しない流量調整手段によって流量を調整された酸素が排ガスに混合される。このようにして、アフターガスポート13に供給される混合ガスの流量と酸素濃度が独立して調整可能となっている。
【0043】
石炭粉砕ミル11とバーナ12の支燃ガス流路に再循環排ガスを供給する排ガス再循環配管14は、実施例1と同様に冷却脱水塔7の下流側に設置された第1の排ガス取入口22に接続され、全ての排ガス処理を施された排ガスを循環させる。但し、実施例1と異なり、排ガス取入口22を備えた第1の排ガス再循環配管14はアフターガスポート13と接続されていない。
【0044】
なお、本実施例の排ガス取入口22aは、ボイラ1と脱硝装置2の中間部の煙道20に設置しても良い。
【0045】
このように、第2の排ガス再循環系統の排ガス取入口が脱硝装置と熱交換設備との間に設けられることで、熱交換設備3から冷却脱水塔7に至る各設備の通過排ガス量がおおよそ15%減少するため、装置をより小型化できる利点がある。さらには、高温排ガスの一部が機器類による熱損失なしでボイラに再循環されるので、プラントの熱効率が向上する。また、排ガス再循環配管14a中の硫酸露点温度は、実施例1に比較して上昇しても、350℃以上の高温排ガスを中途で顕著な温度低下を発生させること無くアフターガスポート13に供給できるため、露点腐食発生の可能性を非常に小さくすることが出来る。
【実施例3】
【0046】
図3は石炭の酸素燃焼ボイラシステムに本発明を適用した別の実施例である。
【0047】
本実施例は、実施例1,実施例2と同様の作用を有する装置で構成される部分が多いため、以下では実施例1,実施例2との相違点のみを述べる。以下に記述されない装置に関しては、前記実施例と同様の作用効果を有するものとする。
【0048】
本実施例が実施例1,実施例2と異なる点は、排ガス取入口の一つが乾式脱塵装置4と熱交換設備3との間に設置され、排ガス取入口22bから抜き出した再循環排ガスが、バーナ12の支燃ガス流路とアフターガスポート13に供給されることである。
【0049】
本実施例では、実施例1と同様の第1の排ガス取入口22の他に、第2の排ガス取入口22bを、熱交換設備3,湿式脱硫装置5,湿式脱塵装置6,冷却脱水塔7のいずれよりも上流側で、且つ乾式脱塵装置4の下流側である煙道20上に設置する。なお、本実施例における乾式脱塵装置4は熱交換設備3よりも上流側に配置されるため、より高温の排ガスに対応できるようにする必要がある。そのため、350℃以上の高温排ガスに対応できる高温乾式脱塵装置が望ましい。
【0050】
第2の排ガス取入口22bには排ガス再循環配管14bが接続され、図示しない送風ファンによってアフターガスポート13およびバーナ12の支燃ガス流路に排ガスを供給する。排ガス再循環配管14bには図示しない流量調整手段が備えられており、アフターガスポート13側とバーナ12側に供給する排ガスの流量が別個に調整可能となっている。なお、排ガス再循環配管14bには酸素供給配管16が接続されており、図示しない流量調整手段によって流量を調整された酸素が排ガスに混合される。また、実施例1と同様に、アフターガスポート13とバーナ12の支燃ガス流路に供給される混合ガスの流量とその酸素濃度を別個に調整できる手段を設置することができる。この調整手段を設置することは、ボイラ1内における還元雰囲気形成と未燃分燃焼をよりきめ細かく調整できるため好ましい。
【0051】
一方、排ガス再循環配管14は、冷却脱水塔7の下流側に設置された第1の排ガス取入口22に接続されており、全ての排ガス処理を施された排ガスを石炭粉砕ミル11に供給する。しかし、実施例1,実施例2とは異なりアフターガスポート13やバーナ12の支燃ガス流路とは接続されていない。
【0052】
第2の排ガス再循環系統の排ガス取入口が乾式脱塵装置と熱交換設備との間に設置することにより、熱交換設備3,湿式脱硫設備5,湿式脱塵設備6、および冷却脱水塔7の各設備の通過排ガス量が実施例1に比較して約50%減少する。そのため、実施例2と比較しても、さらに装置を小型化できる利点がある。さらには、実施例2よりさらに多量の高温排ガスを機器類による熱損失なしにボイラに再循環することで、熱効率の向上に寄与する。また、排ガス再循環配管14b中の硫酸露点温度は、実施例2に比較してさらに上昇するが、350℃以上の高温排ガスを中途で顕著な温度低下を発生させること無くアフターガスポート13とバーナ12に供給できるため、露点腐食発生の可能性は極小である。
【0053】
そして、第2の排ガス再循環系統の排ガス取入口が前記乾式脱塵装置の下流側に設けることで、脱塵処理した排ガスをアフターガスポートとバーナの支燃ガス流路に供給することが出来る。そのため、排ガス再循環系統の配管及び排ガスがボイラに噴出する出口となるアフターガスポート及びバーナの支燃ガス流路において、排ガスの粉塵による流路の閉塞を抑制することも可能である。
【実施例4】
【0054】
図4は石炭の酸素燃焼ボイラシステムに本発明を適用した別の実施例である。
【0055】
本実施例は、実施例1と同様の作用を有する装置で構成される部分が多いため、以下では実施例1との相違点のみを述べる。以下に記述されない装置に関しては、実施例1におけるのと同様の作用効果を有するものとする。
【0056】
本実施例が実施例1と異なる点は、酸素製造設備10で空気から酸素を分離した後の窒素を主体とするガスを煙突に供給する窒素ガス搬送配管15に窒素ガス分岐配管18が設置されている点である。また、窒素ガス分岐配管18が冷却脱水塔7の内部に設けられた伝熱管に接続されており、冷却脱水塔7において窒素ガスと煙道20中の排ガスとの熱交換が行えるように配置されている。熱交換を終えた窒素ガスは再び窒素ガス搬送配管15に戻され、CO2圧縮液化設備8からのオフガスと混合した後に、煙突9より大気中に放散される。なお、窒素ガス分岐配管18と窒素ガス搬送配管には、流量調節弁と遮断弁が設置され、窒素ガス分岐配管中を流れる窒素ガスの流量が調整可能となっている。
【0057】
本実施例においては、室温より温度の低い窒素ガスを熱交換に用いることが、排ガスとの熱交換効率を向上させて、高い除湿効果を得るために有効である。したがって、酸素製造設備10が深冷分離式の装置で構成されることはより望ましい。
【0058】
また、冷却脱水塔7内に熱交換手段を設けず、独立した熱交換装置を冷却脱水塔7の下流側に設置したり、冷却脱水塔を設置せずに熱交換装置のみで水分除去装置を構成することもできる。
【0059】
本実施例の構成とすることにより、廃棄される窒素ガスの冷熱を有効に活用でき、再循環排ガスからの水分除去をさらに確実に実施できる。そのため、システム全体の熱効率が高まると同時に排ガスの水分除去に由来して発揮される本発明の効果をより安定して獲得することができる。
【実施例5】
【0060】
図6は、実施例1の酸素燃焼ボイラシステムにおいて、再循環ガス制御装置を示した図である。本実施例では、再循環ガス制御装置について説明する。
【0061】
再循環ガス制御装置100は、デマンド信号101に基づき再循環ガス流量を制御する信号112,113とO2ガス供給量を制御する信号110,111、及び石炭流量を制御する信号114を出力する。
【0062】
デマンド信号101には、主に負荷デマンド及び出力デマンドの2つがある。負荷デマンドとは、ボイラ火炉の負荷を決めるデマンド信号である。この負荷デマンドに応じて、再循環ガス制御装置100では、石炭供給量と同時に、それに見合うO2供給量(酸素比)、および再循環ガス流量(O2濃度)が決定される。そして、図示しない流量検知手段によって、目標とする流量に制御する。具体的には、石炭粉砕ミル11に石炭を供給する石炭供給系統に設けられた制御弁に信号114を送信することで、石炭供給量を調整する。また、O2供給量を制御するために、酸素供給配管16に設けられた制御弁に信号110,111を送信するとともに、再循環ガス流量を制御するため、排ガス再循環配管14に設けられた制御弁に信号112,113を送信する。
【0063】
次に、出力デマンドは、負荷デマンド一定のもとで、火炉収熱量が目標値に対して変動した場合に発信されるデマンド信号である。一般的には、O2供給量は変えずに再循環ガス流量を増減させて(O2濃度を変化させて)火炉の収熱量を微調整する。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に基づいてCO2回収型の酸素燃焼ボイラシステムを構成することにより、大規模な排ガス再循環に起因する種々のコスト上昇要因や技術上の困難が排除されるため、CO2回収型火力発電の普及が促進され、地球温暖化抑止に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の一実施例による酸素燃焼ボイラシステムの構成である。
【図2】本発明の一実施例による酸素燃焼ボイラシステムの構成である。
【図3】本発明の一実施例による酸素燃焼ボイラシステムの構成である。
【図4】本発明の一実施例による酸素燃焼ボイラシステムの構成である。
【図5】本発明における再循環排ガス組成と硫酸露点腐食温度の関係を示す線図である。
【図6】本発明の酸素燃焼ボイラシステムに適用する制御装置を表す図である。
【符号の説明】
【0066】
1 ボイラ
2 脱硝装置
3 熱交換設備
4 乾式脱塵装置
5 乾式脱硫装置
6 湿式脱硫装置
7 冷却脱水塔
8 CO2圧縮液化設備
9 煙突
10 酸素製造設備
11 石炭粉砕ミル
12 バーナ
13 アフターガスポート
14,14a,14b 排ガス再循環配管
15 窒素ガス搬送配管
16 酸素供給配管
18 窒素ガス分岐配管
19 石炭供給配管
20 煙道
21 再循環ファン
22,22a,22b 排ガス取入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気から酸素を分離する酸素製造設備と、石炭を乾燥粉砕する石炭供給設備と、前記石炭供給設備より供給された石炭が流れる燃料流路及び支燃ガスが流れる支燃ガス流路を備えたバーナと、前記バーナを備えたボイラと、前記ボイラの燃焼排ガスを外部に導く煙道と、該煙道の途中に設置された排ガス処理設備と、該排ガス処理設備の下流に設置され、前記排ガスから二酸化炭素を分離する二酸化炭素分離設備と、前記煙道の中途に排ガス取入口を有し前記排ガスの一部を抜き出す排ガス再循環系統と、前記排ガス再循環系統を流れる排ガスに前記酸素製造設備で製造された酸素を供給する酸素供給系統とを有し、
前記排ガス処理設備が少なくともSO3除去装置,水分除去装置を有し、前記排ガス再循環系統の排ガス取入口が前記排ガス処理設備の下流側、かつ、前記二酸化炭素分離設備の上流側に設置されるとともに、前記排ガス取入口から取り入れられた排ガスを前記石炭供給設備に戻すことを特徴とする酸素燃焼ボイラシステム。
【請求項2】
請求項1記載の酸素燃焼ボイラシステムであって、
前記排ガス取入口から取り入れられた排ガスが、前記バーナの支燃ガス流路、及び前記バーナの下流側に配置されたアフターガスポートに供給されることを特徴とする酸素燃焼ボイラシステム。
【請求項3】
空気から酸素を分離する酸素製造設備と、石炭を乾燥粉砕する石炭供給設備と、前記石炭供給設備より供給された石炭が流れる燃料流路及び支燃ガスが流れる支燃ガス流路を備えたバーナと、前記バーナを備えたボイラと、前記ボイラの燃焼排ガスを外部に導く煙道と、該煙道の途中に設置された排ガス処理設備と、該排ガス処理設備の下流に設置され、前記排ガスから二酸化炭素を分離する二酸化炭素分離設備と、前記煙道の中途に排ガス取入口を有し前記排ガスの一部を抜き出す2つの排ガス再循環系統と、前記排ガス再循環系統を流れる排ガスに前記酸素製造設備で製造された酸素を供給する酸素供給系統とを有し、
前記排ガス処理設備が少なくとも脱硝装置,熱交換設備,SO3除去装置,水分除去装置を有し、
第1の排ガス再循環系統の排ガス取入口が前記SO3除去装置及び前記水分除去装置の下流側、かつ、前記二酸化炭素分離設備の上流側に設置されるとともに、前記排ガス取入口から取り入れられた排ガスを前記石炭供給設備に戻すとともに、
第2の排ガス再循環系統の排ガス取入口が前記脱硝装置の下流側、かつ、前記熱交換設備の上流側に設けられ、前記排ガス取入口から取り入れられた排ガスを前記バーナの下流側に設けられたアフターガスポートに供給することを特徴とする酸素燃焼ボイラシステム。
【請求項4】
空気から酸素を分離する酸素製造設備と、石炭を乾燥粉砕する石炭供給設備と、前記石炭供給設備より供給された石炭が流れる燃料流路及び支燃ガスが流れる支燃ガス流路を備えたバーナと、前記バーナを備えたボイラと、前記ボイラの燃焼排ガスを外部に導く煙道と、該煙道の途中に設置された排ガス処理設備と、該排ガス処理設備の下流に設置され、前記排ガスから二酸化炭素を分離する二酸化炭素分離設備と、前記煙道の中途に排ガス取入口を有し前記排ガスの一部を抜き出す2つの排ガス再循環系統と、前記排ガス再循環系統を流れる排ガスに前記酸素製造設備で製造された酸素を供給する酸素供給系統とを有し、
前記排ガス処理設備が少なくとも乾式脱塵装置,熱交換設備,SO3除去装置,水分除去装置を有し、
第1の排ガス再循環系統の排ガス取入口が前記SO3除去装置及び前記水分除去装置の下流側、かつ、前記二酸化炭素分離設備の上流側に設置されるとともに、前記排ガス取入口から取り入れられた排ガスを前記石炭供給設備に戻すとともに、
第2の排ガス再循環系統の排ガス取入口が前記乾式脱塵装置の下流側、かつ、前記熱交換設備の上流側に設けられ、前記排ガス取入口から取り入れられた排ガスを前記バーナの支燃ガス流路、及び前記バーナの下流側に配置されたアフターガスポートに供給することを特徴とする酸素燃焼ボイラシステム。
【請求項5】
石炭を乾燥粉砕する石炭供給設備と、前記石炭供給設備より供給された石炭が流れる燃料流路及び支燃ガスが流れる支燃ガス流路を備えたバーナと、前記バーナを備えたボイラと、前記ボイラの燃焼排ガスを外部に導く煙道と、該煙道の途中に設置された排ガス処理設備とを備えた微粉炭燃焼ボイラの改造方法であって、
空気から酸素を分離する酸素製造装置と、前記排ガス処理設備の下流側で前記排ガスから二酸化炭素を分離する二酸化炭素分離設備と、前記排ガス処理設備が備えるSO3除去装置,水分除去装置の下流側、かつ、前記二酸化炭素分離設備の上流側に排ガス再循環系統の排ガス取入口を設置し、前記排ガス取入口から取り入れられた排ガスを前記酸素製造装置で分離した酸素と混合して前記石炭供給設備に戻すことを特徴とする微粉炭燃焼ボイラの改造方法。
【請求項6】
空気から酸素を分離する酸素製造設備と、石炭を乾燥粉砕する石炭供給設備と、前記石炭供給設備より供給された石炭が流れる燃料流路及び支燃ガスが流れる支燃ガス流路を備えたバーナと、前記バーナを備えたボイラと、前記ボイラの燃焼排ガスを外部に導く煙道と、該煙道の途中に設置された排ガス処理設備と、該排ガス処理設備の下流に設置され、前記排ガスから二酸化炭素を分離する二酸化炭素分離設備と、前記煙道の中途に排ガス取入口を有し前記排ガスの一部を抜き出す排ガス再循環系統と、前記排ガス再循環系統を流れる排ガスに前記酸素製造設備で製造された酸素を供給する酸素供給系統とを有し、
前記排ガス処理設備が少なくともSO3除去装置,水分除去装置を有し、前記排ガス再循環系統の排ガス取入口が前記排ガス処理設備の下流側、かつ、前記二酸化炭素分離設備の上流側に設置されるとともに、前記排ガス取入口から取り入れられた排ガスを前記石炭供給設備に戻すように構成された酸素燃焼ボイラシステムの制御装置であって、
前記ボイラの負荷を決める制御信号及びボイラ火炉の収熱量に応じて発信される制御信号に応じて、前記石炭供給設備に供給する石炭量,再循環ガス流量及び前記酸素供給系統によって供給される酸素量を調整する手段を備えたことを特徴とする酸素燃焼ボイラシステムの制御装置。
【請求項7】
空気から酸素を分離する酸素製造設備と、石炭を乾燥粉砕する石炭供給設備と、前記石炭供給設備より供給された石炭が流れる燃料流路及び支燃ガスが流れる支燃ガス流路を備えたバーナと、前記バーナを備えたボイラと、前記ボイラの燃焼排ガスを外部に導く煙道と、該煙道の途中に設置された排ガス処理設備と、該排ガス処理設備の下流に設置され、前記排ガスから二酸化炭素を分離する二酸化炭素分離設備と、前記煙道の中途に排ガス取入口を有し前記排ガスの一部を抜き出す排ガス再循環系統と、前記排ガス再循環系統を流れる排ガスに前記酸素製造設備で製造された酸素を供給する酸素供給系統とを有し、
前記排ガス処理設備が少なくともSO3除去装置,水分除去装置を有し、前記排ガス再循環系統の排ガス取入口が前記排ガス処理設備の下流側、かつ、前記二酸化炭素分離設備の上流側に設置されるとともに、前記排ガス取入口から取り入れられた排ガスを前記石炭供給設備に戻すように構成された酸素燃焼ボイラシステムの制御方法であって、
前記ボイラの負荷を決める制御信号及びボイラ火炉の収熱量に応じて発信される制御信号に応じて、前記石炭供給設備に供給する石炭量,再循環ガス流量及び前記酸素供給系統によって供給される酸素量を調整することを特徴とする酸素燃焼ボイラシステムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−270753(P2009−270753A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120865(P2008−120865)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】