説明

重合体状配合物およびその使用方法

約10%〜約95%のヘイズおよび約50〜約125の45度光沢を有するポリ乳酸およびポリプロピレン配合物を含んでなるフィルム。ポリプロピレンおよびポリ乳酸を配合して重合体状配合物を製造し、重合体状配合物をフィルムに製造し、そしてフィルムを配向することを含んでなる配向フィルムの製造方法。ポリプロピレンおよびポリ乳酸を配合して重合体状配合物を製造し、重合体状配合物を型内に射出し、そして製品を製造することを含んでなる射出成型製品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
この開示は重合体状組成物に関する。より具体的には、この開示は生分解性重合体を含んでなる重合体状組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
合成重合体状物質、特にポリプロピレン樹脂、は医学装置から食品容器までの範囲にわたる種々の最終用途製品の製造において広く使用されている。多くの産業、例えば包装産業、は二軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムを包含する種々の完成品を作成するための種々の製造方法においてこれらのポリプロピレン物質を使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
合成重合体状物質から構成される製品は広範な用途を有するが、それらの使用に対する1つの欠点はこれらの物質は自然環境において半永久的に残る傾向があることである。環境的関心に応えて、より容易に生分解可能な重合体状物質の製造および利用における興味が増大してきた。「グリーン物質」としても知られるこれらの物質は自然環境において加速された分解を受けうる。これらの生分解性重合体状物質の使用はそれらの劣悪な機械的および/または物理的性質によりしばしば限定される。それ故、望ましい物理的および/または機械的性質を有する生分解性重合体状組成物に対する要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
要旨
約10%〜約95%のヘイズおよび約50〜約125の45度光沢を有するポリ乳酸およびポリプロピレン配合物を含んでなるフィルムがここに開示される。
【0005】
ポリプロピレンおよびポリ乳酸を配合して重合体状配合物を製造し、重合体状配合物をフィルムに製造し、そしてフィルムを配向することを含んでなる配向フィルムの製造方法もここに開示される。
【0006】
ポリプロピレンおよびポリ乳酸を配合して重合体状配合物を製造し、重合体状配合物を型内に射出し、そして製品を製造することを含んでなる射出成型製品の製造方法もここに開示される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面の簡単な記述
この開示およびその利点のさらに完全な理解のために、次に添付図面および詳細な記述と関連させて以下の簡単な記述が参考にされ、ここで等しい整理番号は等しい部品を表す。
【図1】図1は実施例1からの試料に関する押し出し中の溶融圧力のプロットである。
【図2】図2は実施例1からの試料に関する原子力顕微鏡写真を表す。
【図3】図3は実施例2からの試料に関するオーブン温度の関数としての延伸降伏強さのプロットである。
【図4】図4は実施例2からの試料に関する135℃の延伸温度におけるヘイズおよび45度光沢のプロットである。
【図5】図5は実施例2からの試料に関する延伸温度の関数としてのヘイズ百分率のプロットである。
【図6】図6は実施例2からの試料に関する延伸温度の関数としての45度光沢のプロットである。
【図7】図7は実施例2からの試料に関する130℃の延伸温度における表面粗さのAFM写真である。
【図8】図8は実施例2からの試料に関する145℃の延伸温度における表面粗さのAFM写真である。
【図9】図9は実施例6からの試料に関する延伸温度の関数としての貯蔵モジュラス、破壊時の引張り強さ、および破壊時の伸びのプロットである。
【図10】図10は実施例2からの試料に関する130℃および145℃の延伸温度において製造されたフィルム密度のプロットである。
【図11】図11は実施例2からの試料に関するロード範囲(road range)の温度において製造されたフィルム密度のプロットである。
【図12】図12は実施例10からの試料に関する延伸温度の関数としてのBOPP密度のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な記述
生分解性重合体状組成物並びにそれらの製造および使用方法がここに開示される。ここでは生分解性重合体状組成物は生存している物質の作用により特に害のない生成物に破壊されうる物質を含んでなる。ある態様では、生分解性重合体状組成物はポリ乳酸、或いはポリプロピレンおよびポリ乳酸を含んでなる。以下では、この開示はPP/PLA配合物と称するポリプロピレンおよびポリ乳酸を含んでなる組成物に焦点を当てる。
【0009】
PP/PLA配合物は望ましい性質、例えばポリプロピレンまたはポリ乳酸のいずれか単独と比べる時に増加した強さおよび/または改良された光学的性質、を示すことができる。以下では、性質の比較(例えば機械的、物理的、光学的)はポリ乳酸を欠く他の同様なポリプロピレン組成物またはポリプロピレンを欠く他の同様なポリ乳酸組成物を含んでなる重合体状組成物との比較で行われる。
【0010】
ある態様では、PP/PLA配合物はポリプロピレンを含んでなる。ポリプロピレンはホモ重合体で供給されうるが、ホモ重合体は5%までの例えばエチレンおよび1−ブテンの如きC−Cアルファ−オレフィン類を包含するがそれらに限定されない別のアルファ−オレフィンを含有しうる。少量の他のアルファ−オレフィン類の可能な存在にもかかわらず、このポリプロピレンはポリプロピレンホモ重合体として一般的に称される。別の態様では、ポリプロピレンは高結晶性ポリプロピレン、ポリプロピレン異相(heterophasic)共重合体、またはそれらの組み合わせを含んでなりうる。
【0011】
この開示における使用に適するポリプロピレンホモ重合体はこの開示の助けによって当該技術で既知であるいずれのタイプのポリプロピレンも包含しうる。例えば、ポリプロピレンホモ重合体はアタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、セミアイソタクチック、シンジオタクチックポリプロピレン、またはそれらの組み合わせでありうる。重合体はその懸垂基が無作為方式で重合体連鎖の両側に配置されている時には「アタクチック」である。対照的に、重合体はその懸垂基の全てが連鎖の同一側に配置されている時には「アイソタクチック」でありそしてその懸垂基が連鎖の反対側に交互にある時には「シンジオタクチック」である。セミアイソタクチック重合体では、一つおきの繰り返し単位が無作為置換基を有する。
【0012】
ある態様では、この開示における使用に適するポリプロピレンはASTM D1505に従い測定される0.895g/cc〜0.920g/cc、或いは0.900g/cc
〜0.915g/cc、および或いは0.905g/cc〜0.915g/cc、の密度;示差走査熱量法により測定される150℃〜170℃、或いは155℃〜168℃、および或いは160℃〜165℃、の溶融温度;ASTM D1238条件“L”に従い測定される0.5g/10分〜30g/10分、或いは1.0g/10分〜15g/10分、および或いは1.5g/10分〜5.0g/10分、のメルトフローレート;ASTM
D638に従い測定される200,000psi〜350,000psi、或いは220,000psi〜320,000psi、および或いは250,000psi〜320,000psi、の引張り弾性率;ASTM D638に従い測定される3,000psi〜6,000psi、或いは3,500psi〜5,500psi、および或いは4,000psi〜5,500psi、の降伏時の引張り応力;ASTM D638に従い測定される5%〜30%、或いは5%〜20%、および或いは5%〜15%、の降伏時の引張り歪み;ASTM D790に従い測定される120,000psi〜330,000psi、或いは190,000psi〜310,000psi、および或いは220,000psi〜300,000psi、の曲げ弾性率;ASTM D2463に従い測定される3インチ−ポンド〜50インチ−ポンド、或いは5インチ−ポンド〜30インチ−ポンド、および或いは9インチ−ポンド〜25インチ−ポンド、のガードナー衝撃;ASTM D256Aに従い測定される0.2フィートポンド/インチ〜20フィートポンド/インチ、或いは0.5フィートポンド/インチ〜15フィートポンド/インチ、および或いは0.5フィートポンド/インチ〜10フィートポンド/インチ、の切欠きアイゾット衝撃強さ;ASTM D2240に従い測定される30〜90、或いは50〜85、および或いは60〜80、のショアD硬度;並びにASTM D648に従い測定される50℃〜125℃、或いは80℃〜115℃、および或いは90℃〜110℃、の熱歪み温度を有することができる。
【0013】
この開示における使用に適するポリプロピレンホモ重合体の例はトータル・ペトロケミカルズ・USA・インコーポレーテッド(Total Petrochemicals USA,Inc.)から市販されているポリプロピレンホモ重合体である3371、3271、3270、および3276を包含するが、それらに限定されない。ある態様では、ポリプロピレンホモ重合体(例えば、3371)は一般的に表1に示された物理的性質を有する。
【0014】
【表1】

【0015】
別の態様では、ポリプロピレンは高結晶性ポリプロピレンホモ重合体(HCPP)でありうる。HCPPは主としてアイソタクチックポリプロピレンを含有しうる。重合体におけるアイソタクチック性はメソペンダット(meso pentads)を用いる13
NMR分光法により測定できそしてメソペンダットの百分率(%mmmm)として表示できる。ここで使用される際には、用語「メソペンダット」は重合体連鎖の同一側に置かれた連続するメチル基をさす。ある態様では、HCPPは97%より大きい、または98%より大きい、または99%より大きい、メソペンダット百分率を有する。HCPPは幾らかの量のアタクチックまたは非晶質重合体を含んでなりうる。重合体のアタクチック部分はキシレン中に可溶性であり、そしてそのためにキシレン可溶性部分(XS%)と称される。XS%の測定では、重合体を沸騰しているキシレンの中に溶解させそして次に溶液を0℃に冷却すると、重合体のアイソタクチックまたは結晶性部分の沈殿をもたらす。XS%は、冷たいキシレン中に可溶性のまま残る元の量の部分である。従って、重合体中のXS%は製造される結晶性重合体の程度の指示値である。重合体の合計量(100%)はASTM D5492−98に従い測定されるキシレン可溶性部分およびキシレン不溶性部分の合計である。ある態様では、HCPPは1.5%より少ない、または1.0%より少ない、または0.5%より少ない、キシレン可溶性部分を有する。
【0016】
ある態様では、この開示における使用に適するHCPPはASTM D1505に従い測定される0.895g/cc〜0.920g/cc、或いは0.900g/cc〜0.915g/cc、および或いは0.905g/cc〜0.915g/cc、の密度;ASTM D1238に従い測定される0.5g/10分〜30g/10分、或いは1.0g/10分〜15g/10分、および或いは1.5g/10分〜5.0g/10分、のメルトフローレート;ASTM D882に従い測定される350,000psi〜420,000psi、或いは380,000psi〜420,000psi、および或いは400,000psi〜420,000psi、の機械方向(MD)における割線モジュラス;ASTM D882に従い測定される400,000psi〜700,000psi、
或いは500,000psi〜700,000psi、および或いは600,000psi〜700,000psi、の横方向(TD)における割線モジュラス;ASTM D882に従い測定される19,000psi〜28,000psi、或いは22,000psi〜28,000psi、および或いは25,000psi〜28,000psi、のMDにおける破壊時の引張り強さ;ASTM D882に従い測定される20,000psi〜40,000psi、或いは30,000psi〜40,000psi、および或いは35,000psi〜40,000psi、のTDにおける破壊時の引張り強さ;ASTM D882に従い測定される50%〜200%、或いは100%〜180%、および或いは120%〜150%、のMDにおける破壊時の伸び;ASTM D882に従い測定される50%〜150%、或いは60%〜100%、および或いは80%〜100%、のTDにおける破壊時の伸び;示差走査熱量法により測定される150℃〜170℃、或いは155℃〜170℃、および或いは160℃〜170℃、の溶融温度;ASTM D2457に従い測定される70〜95、或いは75〜90、および或いは80〜90、の45度における光沢;ASTM D1003に従い測定される0.5%〜2.0%、或いは0.5%〜1.5%、および或いは0.5%〜1.0%、の百分率ヘイズ;並びにASTM F1249−90に従い測定される0.15〜0.30g−ミル/100インチ/日、或いは0.15〜0.25g−ミル/100インチ/日、および或いは0.20〜0.21g−ミル/100インチ/日、の水蒸気透過率を有することができる。
【0017】
この開示における使用に適するHCPPの例はトータル・ペトロケミカルズ・USA・インコーポレーテッドから市販されているHCPPである3270を包含するが、それらに限定されない。HCPP(例えば、3270)は一般的に表2に示された物理的性質を有することができる。
【0018】
【表2】

【0019】
別の態様では、ポリプロピレンはポリプロピレン異相共重合体(PPHC)であることができ、ここではポリプロピレンホモ重合体相または成分が共重合体相または成分と一緒になっている。PPHCはPPHCの合計重量を基準として6.5重量%より多く〜11.5重量%より少ない、或いは8.5重量%より多く〜10.5重量%より少ない、或いは9.5重量%からの、エチレンを含んでなりうる。ここで、成分の百分率は断らない限り合計組成物中のその成分の重量百分率をさす。
【0020】
PPHCの共重合体相はエチレン/プロピレンゴム(EPR)とも称するプロピレンおよびエチレンのランダム共重合体でありうる。PP衝撃共重合体は、エチレンおよびプロプレンのランダム配置を有する短いシークエンスまたはブロックにより中断されている際立ったホモ重合体相を示す。ランダム共重合体と比べて、EPRを含んでなるブロック断片は共重合体全体としてのものとは異なるある種の重合体特性(例えば、固有粘度)を有する。理論により限定されることは望まないが、PPHCのEPR部分はゴム状特性を有し、それらはホモ重合体成分のマトリックス内に組み入れられる時にPPHCに増加した衝撃強さを与えるために機能しうる。ある態様では、PPHCのEPR部分はPPHCの14重量%より多く、或いはPPHCの18重量%より多く、或いはPPHCの14重量%〜18重量%、を構成する。
【0021】
PPHCのEPR部分中に存在するエチレンの量はEPR部分の合計重量を基準として38重量%〜50重量%、或いは40重量%〜45重量%、でありうる。PPHCのEPR部分中に存在するエチレンの量はフーリエ変換赤外分光(FTIR)方法を用いて分光写真法で測定できる。具体的には、重合体状試料のFTIRスペクトルを既知のEPRエチレン含有量を有する一連の試料に関して記録する。各エチレン濃度に関して720cm−1/900cm−1における透過率の比を計算しそして次に較正曲線を作成できる。較正曲線上での線状回帰分析を次に行って式を誘導し、それを次に使用して試料物質に関するEPRエチレン含有量を決定することができる。
【0022】
PPHCのEPR部分はプロピレンホモ重合体成分のものとは異なる固有粘度を示しうる。ここでは固有粘度は溶液中の重合体が該溶液の粘度を増加させる能力をさす。粘度はここでは内部摩擦による流れの抵抗として定義される。ある態様では、PPHCのEPR部分の固有粘度は2.0dl/gより大きく、或いは2.0dl/g〜3.0dl/g、或いは2.4dl/g〜3.0dl/g、或いは2.4dl/g〜2.7dl/g、或いは2.6dl/g〜2.8dl/g、でありうる。PPHCのEPR部分の固有粘度はASTM D5225に従い決定される。
【0023】
ある態様では、PPHCは65g/10分〜130g/10分、或いは70g/10分〜120g/10分、或いは70g/10分〜100g/10分、或いは70g/10分〜90g/10分、或いは75g/10分〜85g/10分、或いは90g/10分、のメルトフローレート(MFR)を有することができる。高いMFRにより示されるような優れた流動性質は成型された重合体状成分の高生産量製造を可能にする。ある態様では、PPHCは改質なしで反応器等級樹脂であり、それは低水準PPとも称することができる。ある種の態様では、PPHCは調節されたレオロジー等級樹脂であり、そこではメルトフローレートは例えば粘度変更(visbreaking)の如き種々の技術により調節されていた。例えば、MFRは引用することにより本発明の内容となる米国特許第6,503,990号明細書に記述されているように粘度変更により増加させることができる。この公報に記述されているように、樹脂のMFRを増加させる量の過酸化物が片、粉末、またはペレット形態の重合体樹脂と混合される。ここで定義されるMFRは特定温度においてそして特定負荷下でオリフィス中を流れるであろう溶融重合体樹脂の量をさす。MFRは特定寸法のオリフィスの中を230℃の温度および2.16kgの負荷においてポリプロピレンを押し出すデッドウエイトピストンであるプラストメーター(Plastom
eter)を用いてASTM D1238に従い測定することができる。
【0024】
適するPPHC類の代表例はトータル・ペトロケミカルズ・USA・インコーポレーテッドから市販されている衝撃共重合体樹脂である4920Wおよび4920WZを包含するが、それらに限定されない。ある態様では、PPHC(例えば、4920W)は一般的に表3に示された物理的性質を有する。
【0025】
【表3】

【0026】
ある態様では、ポリプロピレンは所望する物理的性質、例えば印刷性、増加した光沢、または減じられたブロッキング傾向、を付与するための添加剤も含有しうる。添加剤の例は安定剤、紫外線遮断剤、酸化剤、抗酸化剤、制電剤、紫外線吸収剤、難燃剤、加工油、離型剤、着色剤、顔料/染料、充填剤、および/または当業者に既知の他の添加剤を包含するが、それらに限定されない。上記の添加剤は単独でまたは組み合わせて使用して重合体の種々の調合物を製造することができる。例えば、安定剤すなわち安定化剤を使用して重合体樹脂を過度の温度および/または紫外線への露呈による劣化から保護することを助けうる。これらの添加剤は所望する性質を与えるために有効な量で含有されうる。有効な添加量および重合体状組成物へのこれらの添加剤の包含方法は当業者によりこの開示の助けによって決めることができる。
【0027】
ポリプロピレンは当業者に既知であるいずれかの適する触媒を用いて製造することができる。例えば、ポリプロピレンはチーグラー−ナッタ触媒、メタロセン触媒、またはそれらの組み合わせを用いて製造することができる。
【0028】
ある態様では、ポリプロピレンは典型的にはチタンおよび有機金属アルミニウム化合物、例えばトリエチルアルミニウム(CAl、をベースとするチーグラー−ナッタ触媒を用いて製造される。チーグラー−ナッタ触媒およびそのような触媒の製造方法は米国特許第4,298,718号明細書、第4,544,717号明細書、および第4,767,735号明細書に記述されており、それらのそれぞれは引用することにより本発明の内容となる。
【0029】
別の態様では、ポリプロピレンはメタロセン触媒を用いて製造できる。メタロセン触媒はπ結合を通して遷移金属と配位されている1個もしくはそれ以上のシクロペンタジエニ
ル(Cp)基(これは置換されていてもまたは未置換であってもよく、それぞれの置換は同一もしくは相異なる)と結合している配位化合物として一般に特徴づけることができる。メタロセン触媒の例およびそのような触媒の製造方法は米国特許第4,794,096号明細書および米国特許第4,975,403号明細書に詳細に記述されており、それらのそれぞれは引用することにより本発明の内容となる。メタロセン触媒の使用により製造されるポリオレフィン類の例は米国特許第5,158,920号明細書、第5,416,228号明細書、第5,789,502号明細書、第5,807,800号明細書、第5,968,864号明細書、第6,225,251号明細書、第6,777,366号明細書、第6,777,367号明細書、第6,579,962号明細書、第6,468,936号明細書、第6,579,962号明細書、および第6,432,860号明細書にさらに詳細に記述されており、それらのそれぞれは引用することにより本発明の内容となる。
【0030】
ポリプロピレンはいずれかの他の触媒、例えばそれぞれが引用することにより本発明の内容となる米国特許第7,056,991号明細書および第6,653,254号明細書に記述されているような、チーグラー−ナッタ触媒およびメタロセン触媒の組み合わせ、を用いて製造することもできる。
【0031】
ポリプロピレンはプロピレンを単独で適当な反応容器中に触媒(例えば、チーグラー−ナッタ、メタロセン、など)の存在下でそしてそれらの重合用に適する反応条件下で入れることにより製造できる。オレフィンを重合体に重合するための標準的な装置および方法は当業者に既知である。そのような方法は溶液相、気相、スラリー相、塊状相、高圧方法またはそれらの組み合わせを包含しうる。そのような方法は米国特許第5,525,678号明細書、米国特許第6,420,580号明細書、米国特許第6,380,328号明細書、米国特許第6,359,072号明細書、米国特許第6,346,586号明細書、米国特許第6,340,730号明細書、米国特許第6,339,134号明細書、米国特許第6,300,436号明細書、米国特許第6,274,684号明細書、米国特許第6,271,323号明細書、米国特許第6,248,845号明細書、米国特許第6,245,868号明細書、米国特許第6,245,705号明細書、米国特許第6,242,545号明細書、米国特許第6,211,105号明細書、米国特許第6,207,606号明細書、米国特許第6,180,735号明細書、および米国特許第6,147,173号明細書に詳細に記述されており、それらは引用することにより本発明の内容となる。
【0032】
ある態様では、ポリプロピレンは気相重合方法により製造される。気相重合方法の一例は連続的循環系を包含し、そこでは循環気流(或いは再循環流または流動化媒体として知られる)が反応器中で重合熱により加熱される。反応器外部の冷却系により循環気流から循環の別の部分中へ熱が除かれる。1種もしくはそれ以上の単量体を含有する循環気流を流動床を通して触媒の存在下で反応条件下で連続的に循環させることができる。循環気流は一般的に流動床から引き出されそして反応器中に逆に戻される。同時に、重合体生成物を反応器から引き出すことができそして新しい単量体を加えて、重合した単量体を置換することができる。気相方法における反応器圧力は約100psig〜約500psig、または約200psig〜約400psig、または約250psig〜約350psig、に変動しうる。気相方法における反応器温度は、引用することにより本発明の内容となる米国特許第4,543,399号明細書、米国特許第4,588,790号明細書、米国特許第5,028,670号明細書、米国特許第5,317,036号明細書、米国特許第5,352,749号明細書、米国特許第5,405,922号明細書、米国特許第5,436,304号明細書、米国特許第5,456,471号明細書、米国特許第5,462,999号明細書、米国特許第5,616,661号明細書、米国特許第5,627,242号明細書、米国特許第5,665,818号明細書、米国特許第5,677
,375、および米国特許第5,668,228号明細書に記述されているように、約30℃〜約120℃、または約60℃〜約115℃、または約70℃〜約110℃、または約70℃〜約95℃、に変動しうる。
【0033】
ある態様では、ポリプロピレンはスラリー相重合方法により製造される。スラリー相は一般に固体粒状重合体の液体重合媒体中懸濁液の製造を包含し、それに単量体および場合により水素が触媒と共に加えられる。懸濁液(これは希釈剤を包含しうる)は間欠的にまたは連続的に反応器から除去することができ、そこでは揮発性成分を重合体から分離しそして、場合により蒸留後に、反応器に再循環させることができる。重合媒体中で使用される液化した希釈剤はC〜Cアルカン(例えば、ヘキサンまたはイソブテン)を包含しうる。使用される媒体は一般的に重合条件下で液体でありそして比較的不活性である。塊状相方法はスラリー方法のものと同様である。しかしながら、ある方法は塊状方法、スラリー方法または塊状スラリー方法でありうる。
【0034】
ある態様では、ポリプロピレンはPP/PLA配合物中にPP/PLA配合物の合計重量の51重量パーセント(重量%)〜99重量%、或いは70重量%〜95重量%、或いは80重量%〜90重量%、の量で存在する。
【0035】
ある態様では、PP/PLA配合物はポリ乳酸を含んでなる。この開示における使用に適するポリ乳酸は当業界で既知のタイプでありうる。例えば、ポリ乳酸はポリ−L−ラクチド(PLLA)、ポリ−D−ラクチド(PDLA)、ポリ−LD−ラクチド(PDLLA)、またはそれらの組み合わせを含んでなりうる。ポリ乳酸は当業者に既知であるいずれかの適当な方法を用いて製造できる。例えば、引用することにより本発明の内容となる米国特許第5,310,865号明細書に記述されているようにポリ乳酸は乳酸の脱水縮合により製造できる。或いは、ポリ乳酸は乳酸からの環式ラクチド(環式二量体としても知られる)の合成およびその後の環式ラクチドの開環重合により製造できる。そのような方法の例は引用することにより本発明の内容となる米国特許第2,758,987号明細書に記述されている。
【0036】
触媒をポリ乳酸の製造において使用することができる。触媒はその方法に適するいずれのタイプであってもよい。そのような触媒の例はオクチル酸錫の如き錫化合物、チタン酸テトライソプロピルの如きチタン化合物、ジルコニウムイソプロポキシドの如きジルコニウム化合物、および三酸化アンチモンの如きアンチモン化合物を包含するが、それらに限定されない。
【0037】
これまでに記述されたもののような添加剤をポリ乳酸組成物の中に加えることができる。ポリ乳酸を製造するための別の方法は米国特許第5,821,327号明細書、米国特許第5,770,682号明細書、米国特許第5,508,378号明細書、米国特許第5,470,944号明細書、および米国特許第4,797,468号明細書に記述されており、それらは引用することにより本発明の内容となる。
【0038】
ある態様では、この開示における使用に適するポリ乳酸はASTM D792に従い測定される1.238g/cc〜1.265g/cc、或いは1.24g/cc〜1.26g/cc、および或いは1.245g/cc〜1.255g/cc、の密度;ASTM D1238に従い測定される5g/10分〜35g/10分、或いは10g/10分〜30g/10分、および或いは10g/10分〜20g/10分、のメルトインデックス(210℃、2.16kg);ASTM D3418に従い測定される150℃〜180℃、或いは160℃〜175℃、および或いは160℃〜170℃、の結晶溶融温度;ASTM D3417に従い測定される45℃〜85℃、或いは50℃〜80℃、および或いは55℃〜75℃、のガラス転移温度;ASTM D638に従い測定される4,000
psi〜25,000psi、或いは5,000psi〜20,000psi、および或いは5,500psi〜20,000psi、の引張り降伏強さ;ASTM D638に従い測定される1.5%〜10%、或いは2%〜8%、および或いは3%〜7%、の引張り伸び;ASTM D790に従い測定される250,000psi〜600,000psi、或いは300,000psi〜550,000psi、および或いは400,000psi〜500,000psi、の曲げ弾性率;ASTM D256に従い測定される0.1フィート−ポンド/インチ〜0.8フィート−ポンド/インチ、或いは0.2フィート−ポンド/インチ〜0.7フィート−ポンド/インチ、および或いは0.4フィート−ポンド/インチ〜0.6フィート−ポンド/インチ、の切欠きアイゾット衝撃強さを有することができる。
【0039】
この開示における使用に適するポリ乳酸の例は、ネーチャー・ウォークス(Nature Works)LLCから市販されているNatureWorks 3051Dを包含するが、それに限定されない。ある態様では、この開示における使用に適するポリ乳酸(例えば、NatureWorks(登録商標)3051D)は一般的に表4に示された物理的性質を有することができる。
【0040】
【表4】

【0041】
ある態様では、ポリ乳酸はPP/PLA配合物中にPP/PLA配合物の合計重量の1重量%〜40重量%、或いは5重量%〜30重量%、或いは10重量%〜20重量%、の量で存在する。
【0042】
理論により限定されることは望まないが、PP/PLA配合物中の分散されたPLA相は気孔形成剤(cavitating agents)として機能しうる。ここでは、気孔形成剤はフィルム製造工程中にフィルムの構造内で気孔を形成しうる化合物をさす。
【0043】
ある態様では、PP/PLA配合物は気孔形成促進剤をさらに含んでなる。ここでは、気孔形成促進剤はPP/PLA配合物中のPLA分散相の気孔形成効果を増強しうる化合物をさし、そしてPP/PLA配合物の加工ウィンドーを広げうる。気孔形成促進剤は官能化されたポリプロピレン、例えば極性単量体で官能化されたポリプロピレン、を含んでなりうる。そのような極性単量体の例は無水マレイン酸(MAH)、アクリル酸、アルキルアクリル酸、ビニルスルホン酸、アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、
アルキルスルホン酸、アクリロニトリル、アクリレートエステル類、例えばメチルメタクリレート、スチレンスルホン酸など、並びにそれらの組み合わせを包含するが、それらに限定されない。ある態様では、気孔形成促進剤は以下でマレイン酸処理されたポリプロピレン(PP−g−MAH)と称する無水マレイン酸で官能化されたポリプロピレンを含んでなる。
【0044】
この開示における使用に適する気孔形成促進剤の例はPOLYBOND−3002およびX−10083を包含するがそれらに限定されず、それらはPP−g−MAHであり且つ両者ともクロンプトン・コーポレーション(Crompton Corporation)から市販されている。ある態様では、この開示における使用に適する気孔形成促進剤(例えば、POLYBOND−3002)は一般的に表5に示された物理的性質を有する。
【0045】
【表5】

【0046】
ある態様では、気孔形成促進剤はPP/PLA配合物中にPP/PLA配合物の合計重量の0.5重量パーセント(重量%)〜15重量%、或いは2重量%〜10重量%、或いは3重量%〜5重量%、の量で存在する。
【0047】
ある態様では、気孔形成促進剤はマレイン酸処理されたPPの合計重量の0.2重量%〜15重量%、或いは0.5重量%〜10重量%、或いは0.5重量%〜5重量%、の量のMAH含有量を有する無水マレイン酸グラフト化PPである。
【0048】
ある態様では、それぞれがここに記述されているタイプのPPホモ重合体、PLAホモ重合体、および場合により気孔形成促進剤を押し出し器を用いて押し出し混和として知られる方法で組み合わせることによりPP/PLA配合物を製造できる。押し出し混和は重合体および場合により添加剤を混合して所望する配合物を製造する工程をさす。混合は連続ミキサー、例えばPP/PLA配合物を混合/溶融するための、短い互いに噛み合わない反回転二軸押し出し器および単軸押し出し器またはポンプ操作用のギアポンプよりなるミキサー、を用いて行うことができる。
【0049】
この開示のPP/PLA配合物をいずれかの適当な方法により最終用途製品に転化することができる。ある態様では、この転化は当業者に既知であるようなプラスチックス成形方法である。ここに記述されているタイプの重合体状配合物をその中で製造できる最終用途製品の例は食品包装、事務用品、プラスチック製材(lumber)、代用製材、パティオデッキ、構造支持材、積層床組成物、重合体状フォーム基質、装飾表面(すなわち、王冠成型など)、耐候性屋外材料、販売地点の標識および表示、家庭用品および消費物品、建築絶縁材、化粧品包装、屋外代用材料、蓋および容器(すなわち、例えば食品、果実、飴およびクッキー)、器具、道具、電子部品、自動車部品、囲い、保護ヘッドギア、再
使用可能な塗装ボール、玩具(例えば、レゴブロック)、楽器、ゴルフクラブヘッド、パイプ、事業用機器および電話部品、シャワーヘッド、ドアハンドル、蛇口ハンドル、車輪カバー、自動車フロントグリルなどを包含する。他の最終用途製品は当業者に明らかになるであろう。ある態様では、PP/PLA配合物はここにさらに詳細に記述されるであろうBOPPフィルムの製造用に使用される。
【0050】
ここに記述されているタイプのPP/PLA配合物は改良された機械的、物理的、および/または光学的性質を示すことができる。ある態様では、この開示のPP/PLA配合物は射出成型製品を製造するために使用される。そのような製品は増加した引張り弾性率を示すことができる。引張り弾性率は引張り中の応力対弾性の比である。従って、引張り弾性率が大きくなればなるほど、物質は剛性がより大きくなり、そして特定量の歪みを生ずるのに必要な応力がより大きくなる。ある態様では、製品はASTM D638に従い測定される190kpsi〜350kpsi、或いは200kpsi〜300kpsi、或いは220kpsi〜250kpsi、の引張り弾性率を示すことができる。
【0051】
ある態様では、ここに記述されたタイプのPP/PLA配合物は組成物のアイゾット衝撃強さにより反映されるポリプロピレンホモ重合体のものに匹敵する衝撃強さを示す。アイゾット衝撃は試料中で破砕を開始させそして試料が破壊するまで破砕を続けるために必要な運動エネルギーとして定義される。アイゾット衝撃強さの試験は基準試料を1回の打撃で破壊する際に振子タイプハンマーから消費されるエネルギーにより示される曲げ衝撃による破壊に対する重合体の抵抗を測定する。試料は切欠かれ、それが応力を集中させそして延性破砕よりむしろ脆さを促進する。具体的には、アイゾット試験は試験試料の破壊中に振子により損失されるエネルギーの量を測定する。振子により損失されるエネルギーは、試料破砕を開始し、破砕を試料を越えて伝搬させるために必要なエネルギーと測定システムに伴う他のエネルギー損失(例えば、振子ベアリング内の摩擦、振子アーム振動、および試料放擲損失)との合計である。ある態様では、製品はASTM D256に従い測定される0.2フィート−ポンド/インチ〜1.0フィート−ポンド/インチ、或いは0.3フィート−ポンド/インチ〜0.8フィート−ポンド/インチ、或いは0.5フィート−ポンド/インチ〜0.6フィート−ポンド/インチ、のアイゾット衝撃強さを示すことができる。
【0052】
ある態様では、ここに記述されたタイプのPP/PLA配合物から構成される製品は増加した降伏時の引張り強さを示すことができる。降伏時の引張り強さは物質を降伏させるのに必要な単位面積当たりの力である。ある態様では、製品はASTM D882に従い測定される3500psi〜6000psi、或いは4000psi〜5500psi、或いは4500psi〜5000psi、の降伏時の引張り強さを示すことができる。
【0053】
ある態様では、ここに記述されたタイプのPP/PLA配合物から構成される製品は増加した曲げ弾性率により反映される増加した硬さを示す。曲げ弾性率試験は広義において試料物質角材を曲げるために必要な力を測定する。力は試料角材の中心に適用されるが、角材は両端で支持されている。ある態様では、製品はASTM D790に従い測定される150kpsi〜300kpsi、或いは180kpsi〜250kpsi、或いは200kpsi〜230kpsi、の曲げ弾性率を示すことができる。
【0054】
ある態様では、製品はフィルム、或いは二軸配向フィルムである。一般的に、重合体組成物の配向はそれにより方向性(互いに関する分子の配向)がフィルム内の重合体構造に付与される工程をさす。そのような配向を使用してフィルムに所望する性質、例えば靭性および不透明性、を付与する。ここで使用される際には、用語「二軸配向」は重合体状組成物がそのガラス転移温度以上であるがその結晶融点より下にある温度に加熱される工程をさす。加熱直後に、物質を次に押し出してフィルムにし、そして縦方法(すなわち、機
械方向)および横断または横方向(すなわち、幅方向)の両方に延伸する。そのような延伸は同時にまたは順次に行うことができる。
【0055】
ある態様では、ここに記述されているタイプのPP/PLA配合物を押し出し器の中で210℃もしくはそれ以下の、または180℃〜250℃の、または200℃〜220℃の、温度に加熱する。溶融重合体は次にダイを通って出ていきそして溶融プラークを使用して押し出しフィルム、流延フィルム、二軸延伸フィルムなどを製造することができる。ある態様では、溶融プラークはダイを通って出ていきそして追加延伸なしにローラー上にまきつけられて押し出しフィルムを製造することができる。或いは、溶融プラークはダイを通って出ていきそして冷却ローラー上にまきつけられながら一軸延伸され、そこでそれが冷却されて流延フィルムを製造することができる。
【0056】
ある態様では、溶融プラークはダイを通って出ていきそして第一のローラー(例えば、冷却ローラー)上に送られて、それが重合体状組成物(即ちPP/PLA配合物)を固化させてフィルムにする。次に、フィルムを縦方向および横方向に延伸することによりそのようなフィルムを配向することができる。縦配向は一般的に2つの連続的に配置されたローラーの使用により行われ、第二(または速いローラー)は所望する配向比に対応してより遅いローラーに関連する速度で操作される。或いは、縦配向は速度が高まる一連のローラーを通して、時には温度調節および他の機能用の追加の中間ローラーを用いて、行うことができる。
【0057】
縦配向後に、フィルムを冷却し、予備加熱し、そして横配向区域に送ることができる。横配向区域は、例えば、幅枠機構を包含しており、そこでフィルムは横方向に圧力が加えられる。アニーリングおよび/または追加の処理をそのような配向後に行うことができる。
【0058】
或いは、フィルムを両方向に同時に延伸することができる。ある態様では、フィルムは1.0MPa〜30MPa、或いは3MPa〜15MPa、或いは5MPa〜10MPa、の延伸力を用いて製造することができる。ある態様では、フィルムは機械方向に90℃〜160℃、或いは100℃〜180℃、の温度において配向され、そして横方向に130℃〜180℃、或いは100℃〜180℃、の温度において配向される。
【0059】
この開示のPP/PLA配合物から製造される配向フィルムは1%割線モジュラスにおいて反映されるような、PPホモ重合体から製造される配向フィルムのものに匹敵する硬さを示すことができる。割線モジュラスは物質の歪み応答に対する応力すなわち適用される力の下で変形に耐える能力の測定値である。ある態様では、ここに開示されているPP/PLA配合物はASTM D882に従い測定される200kpsi〜400kpsi、或いは200kpsi〜300kpsi、或いは220kpsi〜280kpsi、或いは240kpsi〜260kpsi、の1%割線モジュラスを有する配向フィルムを製造することができる。
【0060】
ある態様では、ここに記述されているタイプのPP/PLA配合物から構成される配向フィルムは、破壊時の引張り強さ(降伏/破壊強さとも称する)および破壊時の引張り伸び(降伏/破壊時の伸びとも称する)に反映されるような、純粋な二軸配向PPフィルムに匹敵する引張り性質を示す。引張り性質を測定するための試験は重合体配向方向に平行である機械方向(MD)および/または重合体配向方向に垂直である横方向(TD)において行うことができる。破壊時の引張り強さは物質を破壊するのに必要な単位面積当たりの力である。ある態様では、MDにおける破壊時の引張り強さはASTM D882に従い測定される20kpsi〜40kpsi、または25kpsi〜35kpsi、または25kpsi〜30kpsi、の範囲にわたる。破壊時の引張り伸びは引張り下で物質が
破壊する前に起きる長さにおける百分率増加である。ある態様では、MDにおける破壊時の引張り伸びはASTM D882に従い測定される50%〜150%、または80%〜120%、または90%〜100%、の範囲にわたる。
【0061】
理論により限定されることは望まないが、冷却時に、延伸により課される分子整列は結晶化と競う傾向があり、そして引張られた重合体分子が延伸力の方向に整列された結晶領域を有する結晶性網目構造に凝縮(condense)する。二軸フィルム製造に関するさらなる開示は、引用することにより本発明の内容となる米国特許第4,029,876号明細書および米国特許第2,178,104号明細書に見られる。
【0062】
さらに、ここに記述されているタイプのPP/PLA配合物から製造されるフィルムは多層フィルムの1つもしくはそれ以上の層を形成しうる。多層フィルムの他の層は当該技術で既知のいずれかの共押し出し可能なフィルム、例えばシンジオタクチックポリプロピレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、ブチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブチレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブチレン三元共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ナイロン類など、またはそれらの組み合わせ、でありうる。
【0063】
ある態様では、ここに記述されているタイプのPP/PLA配合物から製造される配向フィルム(例えば、二軸配向フィルム)は不透明である。不透明フィルムは一般的に立方センチメートル当たり0.5グラム(g/cm)〜0.95g/cm、または0.6g/cm〜0.9g/cm、または0.5g/cm〜0.8g/cm、または0.5g/cm〜0.7/cm、の密度により測定される気孔含有量(例えば、多孔性)を有する。そのような不透明フィルムは全てがここでこれまでに記述されたタイプのPPマトリックス、気孔形成剤としてのPLA分散相、および/または気孔形成促進剤(例えば、PP−g−MAH)を含んでなる重合体状組成物からここでこれもこれまでに記述された方法を用いて製造することができる。ある態様では、PP/PLA配合物は1種もしくはそれ以上の無機充填剤、例えば炭酸カルシウム、二酸化チタン、カオリン、アルミナ三水和物、硫酸カルシウム、タルク、雲母、ガラス微球、またはそれらの組み合わせ、をさらに含んでなりうる。そのような無機充填剤の存在はフィルム不透明性を改良しうる。無機充填剤は1重量%〜20重量%、或いは1重量%〜15重量%、或いは1重量%〜10重量%、の量で存在しうる。
【0064】
ここに開示されているPP/PLA配合物から製造されるBOPPフィルムは他の同様なPPホモ重合体または他の同様なPLAホモ重合体を用いて製造される同様なBOPPフィルムと比べて改良された光学的性質、遮断性質および/または印刷性を示すことができる。
【0065】
ある態様では、ここに開示されているPP/PLA配合物から製造されるBOPPフィルムは増加した光沢を示す。物質の光沢は光と物質の表面との相互作用、より具体的には表面が反射方向に光を反射する能力、に基づく。光沢度を入射光の角度、例えば45°入射角度(「45度光沢」としても知られる)の関数として測定することにより光沢は測定される。ある態様では、ここに記述されているタイプのPP/PLA配合物から製造されるBOPPフィルムはASTM D2457に従い測定される50〜125、または80〜120、または100〜120、の45度光沢を有する。
【0066】
ヘイズは物質内部からまたはその表面から拡散された光により生ずる物質の曇った外観である。物質のヘイズは30%もしくはそれより低いヘイズ百分率に関してはASTM D1003−00に従い測定することができる。30%より高いヘイズ百分率を有する物
質はASTM E167に従い測定することができる。ある態様では、ここに記述されているタイプのPP/PLA配合物から製造されるBOPPフィルムはASTM D1003に従い測定される8%〜90%、または10%〜95%、または20%〜90%、または10%〜90%、のヘイズ百分率を有する。
【0067】
ある態様では、ここに開示されているPP/PLA配合物から製造されるBOPPフィルムはPPホモ重合体から製造されるBOPPフィルムに匹敵する収縮率を示す。最初に冷却時の流入方向における収縮の長さ(示差収縮の測定時にはMDと称する)および交差流方向で生ずる収縮の長さ(示差収縮の測定時にはTDと称する)を測定することによりフィルム収縮率を計算できる。特定温度における流入および交差流収縮における差異に100%を掛け算して収縮百分率を与える。ある態様では、フィルムは1%〜15%の収縮率を有する。
【0068】
この開示のPP/PLA配合物から製造されるBOPPフィルムは減じられた酸素透過率(oxygen transmission rate;OTR)により反映される改良された酸素遮断性質を示すことができる。OTRは酸素気体が温度および相対湿度の特定条件においてフィルム中を透過する定常状態速度である。フィルムの一面を酸素雰囲気に露呈することによりOTRを測定できる。酸素はフィルム中に溶解しそして物質中を透過するにつれて、窒素がフィルムの反対側に流れそして伝達された酸素分子を電量センサーに移送する。この値が伝達速度として報告される。この速度を物質の平均厚さで掛け算し、結果が透過率とみなされる。ある態様では、この開示のPP/PLA配合物から製造される1ミルのBOPPフィルムはASTM D3895に従い測定される100°Fにおける150〜450cc/100インチ/24時間、または100°Fにおける300〜450cc/100インチ/24時間、または100°Fにおける300〜400cc/100インチ/24時間、または100°Fにおける300〜350cc/100インチ/24時間、または100°Fにおける150〜250cc/100インチ/24時間、の酸素透過率を有する。
【0069】
この開示のPP/PLA配合物から製造されるBOPPフィルムは増加した水蒸気透過率(WVTR)を示すことができる。ある態様では、この開示のPP/PLA配合物から製造される1ミルのBOPPフィルムはASTM F1249に従い測定される100°Fにおける0.8〜2g/100インチ/24時間、または100°Fにおける0.8〜1.5g/100インチ/24時間、または100°Fにおける0.8〜1.0g/100インチ/24時間、の水蒸気透過率を有する。
【0070】
この開示のPP/PLA配合物から製造される流延フィルムは増加した表面張力を示すことができる。この開示のPP/PLA配合物から製造される流延フィルムの表面張力は水の小滴とBOPPフィルムとの間の角度を測定することにより測定できる。接触角度は、液体/蒸気(例えば、水滴)界面がフィルムの表面と合致する角度である。ある態様では、フィルムは85〜110度の接触角度を有することができる。
【実施例】
【0071】
開示を一般的に記述してきたが、以下の実施例は開示の特定態様としてそしてその実施法および利点を示すために提示される。実施例は説明のために提示されそして明細書または特許請求の範囲をいずれかの方法により限定する意図がないことを理解すべきである。
【実施例1】
【0072】
気孔形成促進剤を用いてそして用いずに製造されたPP/PLA配合物の溶融圧力を試験した。トータル・ペトロケミカルズ(Total Petrochemicals)ポリプロピレン3271を10%のPLA 6201D(押し出し前に75℃において6時
間にわたり真空下で予め乾燥された)と配合することにより試料1を製造した。3271、10%のPLA6201、およびポリプロピレン上にグラフト化された0.6%の無水マレイン酸(MAH)を含有する5%のPOLYBOND 3002(マレイン酸処理されたポリプロピレン)を配合することにより試料2を製造した。配合された混合物を27mmの共−回転2スクリュー押し出し器の中に押し出した。押し出し器のスクリュー速度は100rpmに設定されそして生産速度は15ポンド/時であった。デボル口を真空にして押し出し中に発生した揮発分を除去した。配合物のメルトフローレート(MFR)を表6に示す。
【0073】
【表6】

【0074】
押し出し時間の関数としての溶融圧力データは図1に示されている。図1に言及すると、試料2(気孔形成剤を含有する)はより早い時間ではより高い溶融圧力を有した。より遅い時間は、試料2の溶融圧力が安定化して試料の最終的な溶融圧力が同様であることを生じたことを示した。
【0075】
両方の試料の押し出しペレットを圧縮成型しそして引き続き原子力顕微鏡(AFM)によりPP中のPLAの相分散度に関して同定した。両方の試料のAFM像は図2に示されている。図2に言及すると、両方の試料は非混和性配合物形態で示され、ここで円形物体110として表示されるPLAがプロピレン連続相120内に分散されている。試料1では、PLAはPP内で種々の寸法の物体を形成することがわかり、物体の一部は5マイクロメートル(μm)より大きい寸法を有する。気孔形成促進剤を用いて製造された比較試料2では、PP内に分散された同様な量のPLA110を示す。理論により限定しようとは望まないが、気孔形成促進剤であるマレイン酸処理されたポリプロピレンはPPおよびPLA相の間に幾らかの有極性相互作用およびH−結合を導入することがありそしてPLA分散をある程度まで助けうる。
【実施例2】
【0076】
種々のPP/PLA配合物の降伏強さを試験しそしてPPと比較した。各々がPPおよびPLAを含有する試料3−5と表示される3種の試料を製造した。試料4は気孔形成剤POLYBOND 3002をさらに含有し、試料5は32%のMAHを有する高度にマレイン酸処理されたPPである気孔形成促進剤X−10083を含有していた。全ての成分の量は表7に表示されている。試料は実施例1に記述されている通りにして製造されそして16ミル厚さのシートに流し込み成型されそしてBrueckner Karo IVを用いて延伸された。面積延伸比は6x6であり、機械および横の両方向に30m/分の延伸速度であった。物質は130℃〜155℃の広い温度ウィンドウで延伸できた。
【0077】
【表7】

【0078】
結果は表8にまとめられそして図3にプロットされている。
【0079】
【表8】

【0080】
図3は延伸温度の関数としての機械方向における延伸降伏強さのプロットである。結果は配合物質を130〜155℃の広い温度ウィンドウ内で延伸できたことを示す。全体として、物質のほとんど全ては特定温度において純粋なポリプロピレンに匹敵する延伸力において延伸できた。PLAおよびまたはマレイン酸処理されたPPを有するポリプロピレン樹脂はそれ故、二軸配向加工用に適する。
【実施例3】
【0081】
実施例2からの試料(試料3−5)を用いて製造されたフィルムに関する光学性質を試験しそしてPPと比較した。試料3−5を135℃において延伸してBOPPフィルムを製造した。試料のヘイズおよび45度光沢を純粋なポリプロピレン試料のものと一緒にそれぞれASTM方法D1003−00およびD2457に従い測定し、結果は表9にまとめられそして図4にプロットされる。
【0082】
【表9】

【0083】
結果はマレイン酸処理されたPPを用いてまたは用いない場合のPLAの存在が二軸配向フィルムのヘイズを有意に増加させたことを示し、PP/PLA配向フィルム内で起きた気孔形成を示す。図4に言及すると、PP/PLA配合物(試料3)のBOPPフィルムは曇りを見せ、約68%のヘイズ百分率であった。試料4中のPOLYBOND−3002の存在はヘイズ百分率を約50%に減少させたが、X−10083を用いて製造された試料5は約80%の百分率を有していた。試料の45度光沢は同様な傾向を示した。113%の45度光沢を有する試料と比べて、POLYBOND−3002は45度光沢を108%に減少させそしてX−10083は45度光沢を117%に増加させた。この実施例で製造された全てのフィルムは純粋なPPフィルムよりはるかに光沢があるように見えた。
【実施例4】
【0084】
気孔形成促進剤としてのマレイン酸処理されたPPの不存在下で製造されたPP/PLA配合物から製造されたBOPPフィルムのヘイズをさらに試験した。試料3(実施例2参照)から製造されたフィルムを130℃〜155℃の範囲にわたる6種の延伸温度において延伸した。各条件に関するヘイズ百分率を次に測定しそして結果は表10にまとめられそして図5に示され、ここでヘイズ百分率は延伸温度の関数としてプロットされる。
【0085】
【表10】

【0086】
結果は気孔形成剤の不存在下で製造されたPP/PLA配合物はより低い温度において延伸された時にはヘイズ増加を示したことを表わす。130℃〜145℃の温度範囲で延伸温度が高まるにつれてヘイズ百分率は減少した。ヘイズ百分率は145℃においてその
最低値に達し、温度が155℃に高まるにつれてヘイズにおける最少の変化が起きた。
【0087】
試料3に関する種々の延伸温度における45度光沢も試験した。結果は表11にまとめられそして図6に示される。
【0088】
【表11】

【0089】
図6は延伸温度の関数としての45度光沢のプロットである。延伸温度の関数としての45度光沢に関して観察された傾向は延伸温度の関数としてのヘイズ百分率に関して観察された傾向と同様であることが観察された。図6に言及すると、試料は最低延伸温度である130℃においてその最高光沢値を有していた。130℃〜145℃の温度範囲内で延伸温度が高まるにつれて試料3に関する45度光沢は減少した。45度光沢は145℃においてその最低値に達し、温度が155℃に高まるにつれて45度光沢における最少の変化が起きた。
【0090】
試料3に関する表面粗さも試験した。理論により限定しようとは望まないが、高ヘイズBOPPフィルムに関すると一般に表面はより粗いため表面ヘイズは一般にフィルムの合計ヘイズに有意に寄与する。それぞれ図7および8に示されているように、2種の延伸温度である130℃および145℃におけるAFM写真が実施例2からの試料3および4の両方に関して得られた。表面粗さはAFM写真に基づいても定量化されそして結果は表12に示されている。Raは平均表面粗さを記述するために最も普遍的に使用されているパラメーターでありそして評価長さにわたり測定された粗さプロフィルの絶対値の要素として定義される。Z−範囲はz−方向における平均変位をさし、最高最低の表面粗さを反映する。
【0091】
【表12】

【0092】
図7および8は同じ目盛りである。図7に言及すると、130℃の延伸温度における試料3は多数の高度に広幅の非ガウスピーク220を示し、それらは実質的に重複する傾向があった。比較として、145℃で延伸された試料3はそれより少ない数のピーク230
を有し、それらは一般的により小さい大きさで現れるガウスであった、図8。それ故、145℃で延伸された試料は130℃で延伸された同じ試料より滑らかに見えた。試料3が130℃における高いヘイズ百分率並びに高い45度光沢を有することに注目することは興味ある。重合体試料は典型的にはヘイズおよび光沢の間の逆の関係を示すため、これは予期されない。例えば、高いヘイズを示す試料は典型的には低い光沢を有する。130℃における高いヘイズおよび高い45度光沢の両方を有する試料3は例えばアルミニウム箔のような金属フィルムで見られるものと同様な独特なフィルム外観をもたらす。理論により限定しようとは望まないが、高い光沢は表面上のPLA相の存在と関連するかもしれない。
【実施例5】
【0093】
PP/PLA配合物の印刷性を、これらの配合物の1種に関する表面張力度を測定することにより、試験した。具体的には、PP/PLA配合物から製造されたフィルムに関する接触角度を測定しそしてプロピレンホモ重合体から製造されたフィルムに関する接触角度と比較した。流し込み成型フィルム試料(試料6)、BOPP用の流し込み成型シート(試料7)、およびBOPPフィルム(試料8)の3種の試料をポリピロピレン(トータル・ペトロケミカルズ・ポリプロピレン3271)および10%のPLAを有するPP/PLA配合物(PLA−6201D Lot#WD0294テラマック・ユニチカ・リミテッド(Terramac Unitika Ltd))から製造した。結果は表13にまとめられている。
【0094】
【表13】

【0095】
結果はPP/PLA配合物を用いて製造された材料に関する接触角度がポリプロピレンよりわずかだけ低いことを示す。それ故、PP/PLAに関する表面張力はポリプロピレンのものに匹敵する。
【0096】
これらの配合物から製造されたフィルムの印刷性に関するPP/PLA配合物中の異なるポリプロピレンホモ重合体の使用の影響を試験した。流し込み成型フィルムは試料10−12と表示される。試料11は6g/10分のメルトフローレートを有するホモ重合体ポリプロピレンであるトータル・ペトロケミカルズPPH 5060を含有し、試料12は15.0g/10分のメルトフローレートを有するメタロセン触媒を用いて製造されたホモ重合体ポリプロピレンであるトータル・ペトロケミカルズMR 2002を含有していた。PPH 5060およびMR 2002の両方はトータル・ペトロケミカルズから市販されている。試料11および12はさらに10%のPLAを含有していた。試料10はトータル・ペトロケミカルズ3271ポリプロピレンホモ重合体を含有する比較試料であった。これらのフィルムに関する接触角度を測定しそして表14にまとめられている。
【0097】
【表14】

【0098】
結果は、PPH 5060を含有するPP/PLA配合物から製造されたフィルムに関する接触角度はMR 2002を含有するPP/PLA配合物から製造されたフィルムに関するものよりわずかに低く、後者はまたトータル・ペトロケミカルズ3271よりわずかに低いことを示す。より低い接触角度はより高い表面張力を示唆しており、それはフィルムが良好な印刷性質を有することを示す。結果は、ある種のプロピレン樹脂がPLAと配合される場合には流し込み成型フィルムの印刷性がある程度改良できたことを示した。
【実施例6】
【0099】
実施例2からの試料3から製造されたBOPPフィルムの数種の機械的性質を測定しそしてPPと比較した。1%割線モジュラス、破壊時の引張り強さ、および破壊時の伸びを機械方向(MD)において測定し、そして結果は表15にまとめられそして図9にプロットされる。
【0100】
【表15】

【0101】
PLAはPPより高いモジュラスを有するため、PP/PLA配合物から製造されたフィルム中のPLAの存在はフィルムの硬さを高めることが予期される。図9に言及すると、PP/PLA配合物から製造されたフィルムはポリプロピレンホモ重合体に匹敵する1%割線モジュラスを示すが、PP/PLA配合物はホモ重合体と比べて減少した破壊時の引張り強さおよび破壊時の伸びを示す。
【実施例7】
【0102】
トータル・ペトロケミカルズ3271の射出成型により製造された試料の引張り強さ、曲げ弾性率およびアイゾット衝撃を10%のPLAを含有するPP/PLA配合物の射出成型により製造された試料と比較した。結果は表16にまとめられている。
【0103】
【表16】

【0104】
結果は、射出成型試料に関すると、BOPPフィルムとは異なり、PP/PLA配合物はPPより高い硬さを有する。理論により限定しようとは望まないが、この観察はBOPPフィルム中の二軸配向中の界面境界面の処理(例えば気孔形成)によるかもしれない。射出成型試料に関すると、PPおよびPLAの間の界面接着性は未変化のままであり、PP/PLA配合物中でさえ高い硬さのPLAの利点をある程度まで保持できるようにさせる。
【実施例8】
【0105】
PP/PLA配合物から製造されたBOPPフィルムの収縮、OTRおよびWVTRを試験した。PPまたはPP/10%PLAのいずれかを含有する2種の試料を製造しそしてそれぞれ試料15および16と指定した。試料を用いて実施例2に記述された通りにして指定された延伸温度において BOPPフィルムを製造した。各試料に関する収縮、OTRおよびWVTRをこれまでに論じられたようにして測定しそして結果は表17にまとめられている。
【0106】
【表17】

【0107】
表17からは、PLAを含むおよび含まないBOPPフィルムに関する135℃における収縮における差異は小さい。PP/PLAに関するOTRにおけるわずかな減少がPPと比べた時に観察された。PP/PLA配合物配向フィルムは多分PLA成分の有極性による水分に対する増加した透過率を示した。さらに、PP/PLA配合物フィルムは13
5℃において延伸された時には比較的透明に見えた145℃において延伸されたものと比べて比較的不透明であった。しかしながら、種々の温度において延伸されたPP/PLA配合物は同様なOTRを示した。全体として、ここに記述されたPP/PLA配合物から製造された配向フィルムは酸素に対するわずかに改良された遮断性質および水分に対する低下した遮断性を有していた。
【実施例9】
【0108】
実施例2からの試料から製造されたBOPPフィルムにおける気孔形成を試験しそして
PPと比較した。低い温度(すなわち、135℃)において延伸された全てのBOPPフィルム(試料3−5)は不透明で銀ラスターがあるように見えた。理論により限定しようとは望まないが、これらの結果はPLA分散相が二軸配向中に気孔形成剤として作用することの指標であると信じられた。気孔形成はフィルム密度に関連するため、実施例2からのフィルムの密度を測定しそしてポリプロピレンから製造されたBOPPフィルムの密度と比較した。結果は表18、19にまとめられ、そして図10および11に示される。
【0109】
【表18】

【0110】
図10はPPホモ重合体トータル・ペトロケミカルズ3371および試料3−5に関する135℃および145℃の延伸温度におけるBOPPフィルム密度のプロットである。PP/PLA配合物の予測された密度が計算されそして対照線300として示される。対照線は以下の式:
ΦPPρPP+ΦPLAρPLA
[式中、Φおよびρはそれぞれ配合物中の各成分の容量部分および密度である]
を用いて計算された。図10に言及すると、低いおよび高い温度の両方で延伸されたポリプロピレンフィルムは匹敵するフィルム密度を有するようである。しかしながら、PP/PLA配合物は予測されたものより低い密度を有するフィルムを生じ、フィルム中の気孔の存在を示唆している。理論により限定しようとは望まないが、高モジュラス分散相は二軸配向中にポリプロピレンマトリックスと共に変形または配向しないため気孔形成を促進してマトリックス−粒子境界において気孔の形成を開始するために必要である。
【0111】
【表19】

【0112】
図11に言及すると、POLYBONDの添加は高い延伸温度においてさえPPフィルム気孔形成を促進し、気孔形成に対するマレイン酸処理されたPP(すなわち、POLYBOND)およびPLAの相乗効果を示す。しかしながら、はるかに高いマレイン酸処理度を有するX−10083はPPフィルム気孔形成に対する相乗効果を示さなかった。当然の結果として、適切なマレイン酸処理度を有するマレイン酸処理されたPPは配向PPフィルムのPLA気孔形成を高めうる。
【実施例10】
【0113】
より多いPLA量におけるBOPPフィルムの密度を試験した。試料17、18、および19と指定された3種のBOPP試料を製造した。試料17はトータル・ペトロケミカルズ・ポリプロピレン3371から製造され、試料18は70%のトータル・ペトロケミカルズ・ポリプロピレンおよび30%のPLA6201を配合することにより製造され、そして試料19は70%のトータル・ペトロケミカルズ・ポリプロピレンおよび30%のPLA6201、並びに3%のPolybondを配合することにより製造された。全ての試料を次にBruckner Karo IVを用いて30m/分の延伸速度および同時6x6延伸比において二軸配向のために延伸した。しかしながら、試料18および19はそのような条件では容易に延伸されなかった。条件を3m/分の延伸速度および同時4x4延伸比に変えた。延伸は約145℃〜約155℃の温度範囲において行われた。結果は表20にまとめられそして図12に示される。
【0114】
【表20】

【0115】
理論により限定しようとは望まないが、より大量のPLAの存在は、特に横方向において、延伸力を低下させ、それは多分延伸中の気孔形成によるものであった。図12は延伸温度の関数としてのBOPP密度のプロットである。図12に言及すると、融和されてい
ない試料である試料18は試料17と比べた時により低いBOPP密度をそして図11(試料3)に示されているようにより低いPLA量を有することが観察された。理論により限定しようとは望まないが、より低い延伸温度、より低い延伸速度、および/またはより低い延伸比がフィルムの気孔形成にとってより好ましく、試料18で観察されたようなより低い密度をもたらす。
【0116】
さらに、試料18および19は白色でありそして不透明で粗い表面を有するように見えた。試料18および90の両者を光学顕微鏡下でさらに観察すると大きな気孔を有することが見出された。
【0117】
態様を示しそして記述してきたが、開示の精神および教示から逸脱せずにそれらの改変を当業者により行うことができる。ここに記述された態様は例示用のみであり、そして限定することを意図しない。ここに開示された内容の多くの変更および改質は可能でありそして発明の範囲内である。多くの範囲または限定が明白に述べられている場合には、そのような明白な範囲または限定は明白に述べられた範囲または限定内に入る同様な程度の相互作用する範囲または限定を包括すると理解すべきである(例えば、約1〜約10は2、3、4などを包括し、0.10より大きいは0.11、0.12、0.13などを包括する)。例えば、下限Rおよび上限Rを有する数範囲が表わされている場合には常に、その範囲に入るいずれの数も具体的に表わされる。特に、範囲内のそれに続く数が具体的に表わされる:R=R+k*(R−R)、ここでkは1パーセント増分での1パーセント〜100パーセントの範囲にわたる変数であり、すなわち、kは1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、...50パーセント、51パーセント、52パーセント、.....、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント、または100パーセントである。さらに、以上で定義された2つのRにより定義されるいずれの数範囲も具体的に表わされる。特許請求の範囲のいずれかの要素に関する用語「場合により」の使用は、当該要素が必要であるか或いは必要でないかを意味することが意図される。両方の場合とも請求の範囲内であることが意図される。例えば含んでなる、包含する、有するなどの如きより広い用語の使用は、例えば本質的になる、実質的に含んでなるなどの如きより狭い用語を包括すると理解すべきである。
【0118】
従って、保護の範囲は以上で示された記述により限定されるのではなく、以下の特許請求の範囲によってのみ限定され、その範囲は特許請求の範囲の全ての同等物を包含する。それぞれのおよび全ての特許請求の範囲は本発明の態様として明細書に組み入れられる。それ故、特許請求の範囲はさらなる記述でありそして本開示の追加である。参考文献、特に本出願の優先権日後の発行日付を有するかもしれないいずれかの参考文献、の論議はそれが本発明の先行技術であることの承認ではない。ここに引用される全ての特許、特許出願、および文献は、ここに示されたものを補充する例示、工程、または他の詳細事項を与える程度までは、引用することにより本発明の内容となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約10%〜約95%のヘイズおよび約50〜約125の45度光沢を有するポリ乳酸およびポリプロピレン配合物を含んでなるフィルム。
【請求項2】
ポリプロピレンがポリプロピレンホモ重合体、高結晶性ポリプロピレン、ポリプロピレン異相共重合体、またはそれらの組み合わせをさらに含んでなる請求項1のフィルム。
【請求項3】
ポリ乳酸がポリ−L−ラクチド、ポリ−D−ラクチド、ポリ−LD−ラクチド、またはそれらの組み合わせを含んでなる請求項1のフィルム。
【請求項4】
ポリプロピレンが配合物の重量の51重量%〜99重量%の量で存在し、そして
ポリ乳酸が配合物の重量の1重量%〜40重量%の量で存在する、請求項1のフィルム。
【請求項5】
気孔形成促進剤をさらに含んでなる請求項1のフィルム。
【請求項6】
気孔形成促進剤が無水マレイン酸で官能化されたポリプロピレン、ポリプロピレングラフト化された無水マレイン酸、アクリル酸、アルキルアクリル酸、ビニルスルホン酸、アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アクリロニトリル、アクリル酸エステル類、またはそれらの組み合わせを含んでなる請求項5のフィルム。
【請求項7】
気孔形成促進剤が配合物の重量の0.5重量%〜15重量%の量で存在する請求項5のフィルム。
【請求項8】
ポリプロピレングラフト化された無水マレイン酸が、無水マレイン酸をポリプロピレングラフト化された無水マレイン酸の合計重量の0.2重量%〜15重量%の量で含んでなる請求項6のフィルム。
【請求項9】
無機充填剤をさらに含んでなる請求項1のフィルム。
【請求項10】
無機充填剤が炭酸カルシウム、二酸化チタン、カオリン、アルミナ三水和物、硫酸カルシウム、タルク、雲母、ガラス微球、またはそれらの組み合わせを含んでなる請求項9のフィルム。
【請求項11】
無機充填剤が配合物の重量の1%〜20%の量で存在する請求項9のフィルム。
【請求項12】
ポリプロピレンおよびポリ乳酸を配合して重合体状配合物を製造し、
重合体状配合物をフィルムに製造し、そして
フィルムを配向する
ことを含んでなる配向フィルムの製造方法。
【請求項13】
200kpsi〜400kpsiの1% 割線モジュラスを有する請求項12の配向フィルム。
【請求項14】
20kpsi〜40kpsiの破壊時の引張り強さを有する請求項12の配向フィルム。
【請求項15】
50%〜150%の破壊時の引張り伸びを有する請求項12の配向フィルム。
【請求項16】
1.0MPa〜30MPaの延伸力を用いて製造される請求項12の配向フィルム。
【請求項17】
フィルムが不透明である請求項12の配向フィルム。
【請求項18】
0.5g/cm〜0.95g/cmの密度を有する請求項12の配向フィルム。
【請求項19】
フィルムが1ミルの厚さおよび300cc/100インチ/24時間〜450cc/100インチ/24時間の酸素透過率を有する請求項12の配向フィルム。
【請求項20】
フィルムが1ミルの厚さおよび0.8g/100インチ/24時間〜2.0g/100インチ/24時間の水蒸気透過率を有する請求項12の配向フィルム。
【請求項21】
ポリプロピレンおよびポリ乳酸を配合して重合体状配合物を製造し、
重合体状配合物を型内に射出し、そして
製品を製造する
ことを含んでなる射出成型製品の製造方法。
【請求項22】
190kpsi〜350kpsiの引張りモジュラスを有する請求項21の射出成型製品。
【請求項23】
0.2フィートポンド/インチ〜1.0フィートポンド/インチのアイゾット衝撃強さを有する請求項21の射出成型製品。
【請求項24】
3,500psi〜6,000psiの降伏時の引張り強さを有する請求項21の射出成型製品。
【請求項25】
150kpsi〜300kpsiの曲げ弾性率を有する請求項21の射出成型製品。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図2】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−526949(P2011−526949A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516613(P2011−516613)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2009/048497
【国際公開番号】WO2010/002668
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(391024559)フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド (98)
【氏名又は名称原語表記】FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED
【Fターム(参考)】