金属コロイド含有塗膜形成物
【課題】様々な色調を呈する金属鏡面光沢領域を有し、優れた耐熱性を有する塗膜が形成された金属コロイド含有塗膜形成物、転写シート及び導電膜付き基材を提供する。低抵抗の導電膜を有する導電膜付き基材を提供する。品質保持性に優れたペン等、ディスポーザブルアンプル、スタンプ台等を提供する。金属本来のもつ色調と金属光沢を有する描画体を提供する。
【解決手段】本発明の金属コロイド含有塗膜形成物は、金属コロイド粒子が金属粒子と粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、保護剤が所定の官能基を分子構造に含み、金属コロイド粒子を水系、非水系の分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドを基材表面に塗布等した後、分散媒を除去して形成したことを特徴とする。
【解決手段】本発明の金属コロイド含有塗膜形成物は、金属コロイド粒子が金属粒子と粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、保護剤が所定の官能基を分子構造に含み、金属コロイド粒子を水系、非水系の分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドを基材表面に塗布等した後、分散媒を除去して形成したことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコロイド液が長期間安定であり、薄膜化に適する金属コロイドの用途に関する。更に本発明は様々な基材上に容易に金属鏡面光沢領域を形成できる金属コロイドの用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
導電性インクや導電性被膜の材料として用いられる金属コロイドとして、有機成分を含む高導電性の金属コロイド水溶液が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この金属コロイドは水系反応によって生成されるものであり、また、金属コロイドを形成した後に有機成分を混合したものであり、予め金属コロイドを形成し、その後に表面保護剤をコロイド表面に導入する場合、既に金属コロイド表面に存在している付着物によって保護剤の導入が不十分になる場合がある。また、金属コロイド等を水系で合成しているので表面保護剤が加水分解等の影響を受け、コロイドの安定性が低下する問題がある。
【0003】
また、金属コロイドを塗料組成物やガラスの着色剤として利用することも従来から知られている。例えば、高分子量顔料分散剤の存在下で金属化合物を還元して金属コロイドを製造することが知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、この方法もその主な具体例は水系反応によって金属コロイドを生成させるものであり、上記と同様の問題がある。さらに、共存する高分子保護コロイドは顔料分散剤であり、シランカップリング剤からなる保護剤をコロイド粒子表面に結合させるものではない。
【0004】
さらに、塩化金酸と保護高分子とを混合して金コロイドを生成させる方法において、金属粒子表面とは逆側の末端ないし側鎖部にアミノ基を有する保護高分子を用いる製造方法が知られているが(例えば、特許文献3参照。)、この方法は一般に用いられる水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を使用せずに金コロイドを生成させることを意図しており、保護高分子の還元作用を利用している。しかし、この場合には保護剤が高分子であるため有機鎖が多く、耐熱性が不十分である。
【0005】
また、従来より金粉と称して販売及び使用されてきた金インキは、偏平状黄金分粉末(銅−亜鉛合金粉)の表面に炭素数16〜22の飽和脂肪酸で処理され、平版印刷に使用されてきた。しかし、平版印刷用インキは高粘度であるため、グラビア印刷に用いる低粘度には適していない問題があった。そこで平版印刷においてもグラビア印刷のような鏡面光沢感が得られ、表面が平滑ではない紙においても、平滑な紙と同様の効果が発揮できる方策として、平均粒径10μm以下の片状黄銅金属粉100重量部に対し、0.1〜2重量部の炭素数14〜22の飽和脂肪酸と、0.1〜2重量部の炭素数14〜22の脂肪酸アミドが混合、被覆された金インキ用金粉が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。この特許文献4では、機械粉砕法等で製造した平均粒径10μm以下の金粉に飽和脂肪酸と脂肪酸アミドを上記所定量混合した金インキを印刷用インキとして使用すると、金属間の強い優れた鏡面光沢膜が得られる。
【0006】
また、アミノ基含有アルコキシシランを使用し、熱処理によってシリカ膜を有する金属コロイドを製造する方法も知られている(例えば、非特許文献1及び2参照。)。
しかし、この方法で用いるアミノ基含有シランは原料の塩化金酸からのコロイド生成を促進させるために用いられており、保護剤として用いているわけではない。また、この方法は熱処理によってコロイド化させるために、温度によって生成するコロイドの性状が異なり、安定した透過吸収性能を得ることができず、しかも、アルコキシド中に原料から混入する酸等によってゾルゲル液の加水分解が早まり液の寿命が短くなる傾向があり、さらに液が不安定である。
【特許文献1】特開2001−325831号公報
【特許文献2】特開平11−80647号公報
【特許文献3】特開2000−160210号公報
【特許文献4】特開2001−19872号公報
【非特許文献1】Extended Abstracts of 66th Fall Meeting of the Chemical Society of Japan、322頁
【非特許文献2】Proc SPIE Sol-gel Optics III、vol2288、130頁-139頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
更に、ナノサイズの金粒子を分子量の小さい保護剤により保護した金コロイドは、室温乾燥において黄金色の金属光沢が発現することが知られている。この場合の保護剤としては、炭素数1〜8のクエン酸、アジピン酸、リンゴ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸等の脂肪酸、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、イソプロピルアミン、モノブチルアミン、セカンダリーブチルアミン、ターシャリーブチルアミン、モノペンチルアミン、モノヘキシルアミン等のアミン等が挙げられる。しかし、上記保護剤を用いた金コロイドの場合、コロイド液に含有するメタル濃度は5重量%程度が上限であり、それ以上の濃度では凝集化やゲル化が起こり、安定性が極めて悪いため高濃度化ができない問題があった。例えば、金属に金を用いた金属コロイドを塗布及び自然乾燥して黄金光沢を出すには、紙のような繊維性の基材に対しては少なくとも金メタル含有濃度が20重量%以上必要である。低分子量の保護剤で保護した金属コロイドを安定性を無視して高濃度化した場合、塗布面に金属光沢は発現するものの、金の黄金光沢にはほど遠く、しかも密着性が極めて悪いため触れると簡単に剥がれてしまう問題がある。
この問題を改善するために、金属コロイドに高分子バインダ等を添加した場合は、ナノサイズの金属粒子が表面プラズマ共鳴によるプラズモン発色(SPR:Surface Plasma)を生じ、赤から赤紫色に着色されてしまうため、黄金光沢は発現しない。
【0008】
一方、本発明者らは、金属コロイドの付加価値を高めるために経時安定性の追求を行ってきた。鋭意研究を重ねた結果、窒素を含む保護剤を用いることにより、より経時安定性に優れた金属コロイドを提供することができることを見出した。また、このことによって金属コロイド塗料を塗布した際の膜の金属光沢には何ら影響を及ぼさない。
【0009】
本発明の第1の目的は、金属鏡面光沢領域を有し、優れた耐熱性を有する塗膜が形成された金属コロイド含有塗膜形成物、転写シート及び導電膜付き基材を提供することにある。
本発明の第2の目的は、様々な色調を呈した塗膜が形成された金属コロイド含有塗膜形成物、転写シート及び導電膜付き基材を提供することにある。
本発明の第3の目的は、低抵抗の導電膜を有する導電膜付き基材を提供することにある。
本発明の第4の目的は、品質保持性に優れたペン、筆ペン、ペン用カートリッジ、ディスポーザブルアンプル、スタンプ台及び印鑑台を提供することにある。
本発明の第5の目的は、金属本来のもつ色調と金属光沢を有する描画体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、金属コロイド粒子が金属粒子と粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドを基材表面に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成したことを特徴とする金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、基材がガラス、プラスチック、金属、木材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリート、石、繊維、紙及び皮革からなる群より選ばれた材質である金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、基材が人工爪、天然毛、人工毛、宝飾品、プラスチックモデル、小物袋、カード、色紙、人形、神仏像、位牌、衣服、織物及び額縁からなる群より選ばれた材質である金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明であって、基材が宝飾品であって、宝飾品が貴金属粘土から作製された金属コロイド含有塗膜形成物である。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4いずれか1項に係る発明であって、金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を更に含む金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明であって、金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属がAuである金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6いずれか1項に係る発明であって、金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項8に係る発明は、請求項1ないし7いずれか1項に係る発明であって、Auコロイド粒子を主成分とし、Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する金属コロイド含有塗膜形成物である。
【0012】
請求項9に係る発明は、金属コロイド粒子が金属粒子と粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドを表面又は裏面のいずれか一方又はその双方が剥離処理された転写基板に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した金属コロイド含有塗膜を有することを特徴とする転写シートである。
請求項10に係る発明は、請求項9に係る発明であって、金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を金属コロイド含有塗膜中に含む転写シートである。
請求項11に係る発明は、請求項10に係る発明であって、金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属がAuである転写シートである。
請求項12に係る発明は、請求項9ないし11いずれか1項に係る発明であって、金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である転写シートである。
請求項13に係る発明は、請求項9ないし12いずれか1項に係る発明であって、Auコロイド粒子を主成分とし、Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する転写シートである。
【0013】
請求項14に係る発明は、基材表面に請求項9ないし13いずれか1項に記載の転写シートから転写された転写膜を有する金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項15に係る発明は、請求項14に係る発明であって、転写を施す基材が、ガラス、プラスチック、金属、木材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリート、石、繊維、紙及び皮革からなる材料群から選ばれた材質である金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項16に係る発明は、請求項14又は15に係る発明であって、基材が人工爪、天然毛、人工毛、宝飾品、プラスチックモデル、小物袋、カード、色紙、人形、神仏像、位牌、衣服、織物及び額縁からなる群より選ばれた材質である金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項17に係る発明は、請求項16に係る発明であって、基材が宝飾品であって、宝飾品が貴金属粘土から作製された金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項18に係る発明は、請求項14ないし17いずれか1項に係る発明であって、金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を更に含む金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項19に係る発明は、請求項18に係る発明であって、金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属がAuである金属コロイド含有塗膜形成物である。
【0014】
請求項20に係る発明は、金属コロイド粒子が金属粒子と粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドを基材に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドを有する基材を所定の雰囲気下、15〜450℃の温度で1〜60分間保持することによって得られる比抵抗1×10-3Ω・cm以下の導電膜付き基材である。
請求項21に係る発明は、請求項20に係る発明であって、金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である導電膜付き基材である。
請求項22に係る発明は、請求項20又は21に係る発明であって、Auコロイド粒子を主成分とし、Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する導電膜付き基材である。
【0015】
請求項23に係る発明は、金属コロイド粒子が金属粒子と粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドをインクとして充填したペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプルである。
請求項24に係る発明は、請求項23に係る発明であって、金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲であるペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプルである。
請求項25に係る発明は、請求項23又は24に係る発明であって、Auコロイド粒子を主成分とし、Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈するペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプルである。
【0016】
請求項26に係る発明は、金属コロイド粒子が金属粒子と粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドをインクとして含浸したスタンプ台及び印鑑台である。
請求項27に係る発明は、請求項26に係る発明であって、金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲であるスタンプ台及び印鑑台である。
請求項28に係る発明は、請求項26又は27に係る発明であって、Auコロイド粒子を主成分とし、Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈するスタンプ台及び印鑑台である。
請求項29に係る発明は、請求項26ないし28いずれか1項に記載のスタンプ台又は印鑑台に含浸したインクを用いて描画された描画体である。
【0017】
請求項30に係る発明は、金属コロイド粒子が金属粒子と粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドをインクとしてインクジェットプリンタを用いて描画された描画体である。
請求項31に係る発明は、請求項30に係る発明であって、金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である描画体である。
請求項32に係る発明は、請求項30又は31に係る発明であって、Auコロイド粒子を主成分とし、Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する描画体である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の金属コロイド含有塗膜形成物や転写シートは、様々な色調を呈する金属鏡面光沢領域を有し、優れた耐熱性を有する塗膜が形成された金属コロイド含有塗膜を有する。
また本発明の導電膜付き基材は、様々な色調を呈する金属鏡面光沢領域を有し、優れた耐熱性を有し、更に低抵抗の導電膜が得られる。
更に、本発明のペン、筆ペン、ペン用カートリッジ、ディスポーザブルアンプル、スタンプ台及び印鑑台は、充填又は含浸した金属コロイドの品質保持性に優れる。これらを使用して描画した描画体は、金属本来のもつ色調と金属光沢を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
先ず、本発明の金属コロイド含有塗膜形成物について説明する。
本発明の金属コロイド含有塗膜形成物は、金属コロイドを基材表面に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、この金属コロイドから分散媒を除去して形成したことを特徴とする。本発明において使用する金属コロイドは、金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させることにより形成される。この金属コロイド粒子は、金属粒子とこの粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成される。また保護剤は分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有する。更に、保護剤はアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含む。
【0020】
このように、塗膜を形成する金属コロイド中の金属コロイド粒子を構成する保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に強固に配位修飾した構造を有しているので、この金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドは極めて高い安定性が得られる。この結果、高濃度の金属コロイドとすることができ、粘度変化および色調の変化も少ない。また保護剤の分子構造中に含まれるアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基は反応性が高いため、あらゆる基材に対して化学結合をする。また、金属粒子同士は自発的に自己組織化して最密充填を行い、反応性の官能基との間で縮合反応する。従って、このような特性を有する金属コロイドを用いて作製した本発明の金属コロイド含有塗膜形成物は、粒子間で有機−無機ハイブリッドバルク化するものと考えられるため、反応しない保護剤からなる金属コロイド、もしくは反応性の低い保護剤からなる金属コロイドを用いて作製した金属コロイド含有塗膜形成物に比べると比較的膜強度が高い。
【0021】
保護剤の一端が保護剤配位修飾部位をアンカーとして金属粒子表面に結合することによって、金属粒子表面に対しては保護剤が強固に結合されるため、金属コロイド自体の安定性が得られ、また保護剤の他端に位置する保護剤末端部位がコロイド最表面となり、この保護剤末端部位を反応性の高いアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基としたため、基材との密着性に優れる。保護剤が保護剤配位修飾部位をアンカーとして金属粒子表面に結合していることは、例えばNMR、GPC、TG−DTA、FT−IR、XPS、TOF−SIMS、X線小角散乱分析(Small Angle X-ray Scattering;SAXS)、可視紫外分光、ラマン分光(Surface Enhanced Raman Scattering;SERS)、X線吸収分光(X-ray Absorption Fine Structure;XAFS)等の分析手段などによって確認することができる。上記分析手段により、保護剤がどのような元素又はどのような原子団によってアンカーされているかも確認することができる。
【0022】
本発明の金属コロイド含有塗膜形成物に使用される基材としては、ガラスやプラスチック、金属、木材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリート、石、繊維、紙、皮革などの材質が挙げられる。具体的に基材を例示すれば、人工爪や天然毛、人工毛、宝飾品、プラスチックモデル、お守り袋や印鑑ケースなどの用途が挙げられる小物袋、名刺や記念カード、招待カード、グリーティングカードなどの用途が挙げられるカード、色紙、人形、神仏像、位牌、衣服、織物、額縁などの材質が挙げられる。なお、神仏像とは、世界中に存在するあらゆる宗教に関わる像のことを指し、何ら宗教の宗派に限定されるものではない。また基材が宝飾品であるとき、この宝飾品は貴金属粘土から作製されたものでもよい。
本発明の金属コロイド含有塗膜形成物には、金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を更に含むことが好ましい。塗膜中又は塗膜表面に上記金属粉末等を含むことで装飾性が高まる。このうち、金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属としてAuを用いることで、高い審美性が得られる。基材表面に金属コロイドを塗布等する方法としては、平版印刷、グラビア印刷、カルトン印刷、金属印刷、フォーム印刷、両面印刷、オーバープリント、インクジェット印刷、スクリーン印刷、スリットコート法、ディスペンサー法、スピンコート法、スプレイ法、ディッピング法、エアブラシ法等の方法が挙げられるが、上記方法に限られるものではなく、従来より知られている全ての方法を使用することができる。
【0023】
本発明において使用する金属コロイドにおいて、金属コロイド粒子を構成する保護剤中の窒素を含む原子団としては、アミノ基、アミド原子団及びイミド原子団からなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。金属コロイド粒子の製造方法は特に限定されず、金属コロイド粒子に対する上記結合構造が得られる製造方法であれば良いが、具体的な製法の一例としては、非水系において、アミノ基を含むアルコキシシランと金属化合物とを混合し、還元剤の存在下で金属化合物を還元することによって、アミノ基を含むアルコキシシランをアンカーとして上記アルコキシシランからなる保護剤が金属粒子表面に結合した金属コロイド粒子を得ることができる。非水系とは金属化合物の水溶液中で金属還元を行わずに、アミノ基含有アルコキシシランやアルコールなどの有機溶液中で金属化合物の金属還元を行うことを云う。従来の製造方法のように、水溶液中の還元反応によって金属コロイド粒子を生成させた後にアミノ基含有アルコキシシランを結合させる方法では、水中にアルコキシシランが曝されるため、加水分解の影響によって置換反応が進まない場合や、たとえ置換反応が進んでも、その後の加水分解によって安定性が損なわれ、本発明において使用する金属コロイド粒子を得るのは難しい。
【0024】
βジケトンなどのキレート剤を用いて、アルコキシシリル基がキレート剤によってキレート配位させた金属コロイド粒子は、加水分解反応を遅延させる効果があるため、更に安定性が増す。アルコキシシランは、1個又は2個のアミノ基を含有し、かつnが1以上〜3以下の有機鎖(−CH2−)nを有するものが好ましい。3個以上のアミノ基を有するアルコキシシランは有機鎖が長くなり、その結果、焼成後の色安定性に問題が発生するだけでなく、一般に合成が困難であり、高価である。また、有機鎖のnが3以上の場合にも有機鎖が長くなり熱安定性が減少する。具体的には、本発明で用いるアミノ基を有するアルコキシシランとしては、例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらの保護剤(アミノ基含有アルコキシシラン)の量は金属量に対してモル比で2倍から40倍であればよい。
【0025】
金属コロイド粒子を構成する金属粒子の金属種としては、例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Pd、Ni、Zn、Ru、Rh及びIrからなる群より選ばれた1種又は2種以上が挙げられる。これらの金属粒子を生成させる金属化合物としては、塩化金酸、シアン化金カリウム、塩化銀、硝酸銀、硫酸銀、シアン化銀、塩化白金酸、テトラクロロヘキサアミン白金、硝酸パラジウム、塩化パラジウム、塩化イリジウム酸、塩化イリジウム、塩化ルテニウム、硝酸ルテニウム、塩化ロジウム、硝酸ロジウム、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸銅、塩化亜鉛などの金属塩を用いることができる。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、トリメチルアミンボラン、ジメチルアミンボラン、ターシャリーブチルアミンボラン、2級アミン、3級アミン次亜リン酸塩、グリセリン、アルコール、過酸化水素、ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、ホルムアルデヒド水溶液、酒石酸塩、ブドウ糖、N-N-ジエチルグリシンナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ガス、硫酸第1鉄などを用いることができる。
【0026】
金属コロイド粒子を構成する金属粒子の平均粒子径は1〜100nmの範囲内、好ましくは1〜80nmの範囲内である。また、金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuを主成分とするとき、Au粒子の平均粒子径は1〜60nmの範囲内が好適である。また、金属コロイド粒子の形状は球状、多角状又はアメーバ状を有する粒状粒子である。特に、本発明の金属コロイド粒子は、粒子径が例えば0.1nm以上〜60nm以下であるものは安定性に優れる。粒子径が60nmより大きいと自重によって自然沈降する現象が見られる。また粒子径が0.1nm未満では発色効果が小さくなる。
【0027】
本発明において使用する金属コロイドは高濃度とすることができる。従来の方法によって得られる金属コロイド濃度は概ね1重量%以下であるが、本発明において使用する金属コロイドは濃度10重量%以上の高濃度にすることができる。しかも、このような高濃度の金属コロイドにおいてもコロイド液が安定であり、前述したように粘度変化が小さい。例えば、金属粒子がAuを含む金属コロイドの場合、Au濃度は0.1重量%〜95重量%の範囲内で安定であり、分散媒には有機溶剤でも水でも扱うことができる。金属コロイド中のAu濃度は、10重量%〜60重量%の範囲内がより好ましい。本発明の金属コロイド含有塗膜形成物における形成膜は優れた耐熱性を有する。具体的には、加熱基準温度、例えば300℃〜400℃前後の加熱下に400時間保持しても色調の変化が2%以下と、色調が殆ど変化しない。
【0028】
本発明の金属コロイド含有塗膜形成物は、膜を形成する金属コロイドの成分である金属粒子がAu粒子を主成分とするとき、Au粒子が本来有する光沢色の色調を呈する。また、Auコロイド粒子を主成分とし、Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜は、ピンクゴールドの色調を呈する。
上記色調の識別はCIE 1976 L*a*b*色空間(測定用光源C:色温度6774K)によって識別可能であり、本発明のピンクゴールドの色調は、CIE 1976 L*a*b*色空間における明度指数L*値が25〜99であり、クロマティクネス指数a*値及びb*値がそれぞれ+10〜+25及び+0.1〜+60である。なお、CIE 1976 L*a*b*色空間とは、国際照明委員会(CIE)が1976年にCIE XYZ表色系を変換し、表色系内の一定距離がどの色の領域でもほぼ知覚的に等歩度の差をもつように定めた色空間である。また明度指数L*値,クロマティクネス指数a*値及びb*値は、CIE 1976 L*a*b*色空間内の直交座標系で定められる量であり、次の式(1)〜(3)で表される。
L*=116(Y/Y0)1/3−16 …(1)
a*=500[(X/X0)1/3−(Y/Y0)1/3] …(2)
b*=200[(Y/Y0)1/3−(Z/Z0)1/3] …(3)
但し、X/X0,Y/Y0,Z/Z0>0.008856であり、X,Y,Zは物体色の三刺激値であり、X0,Y0,Z0は物体色を照明する光源の三刺激値でY0=100に基準化されている。
【0029】
次いで、本発明の転写シートについて説明する。
本発明の転写シートは、前述した本発明の金属コロイド含有塗膜形成物に使用した金属コロイドを表面又は裏面のいずれか一方又はその双方が剥離処理された転写基板に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した金属コロイド含有塗膜を有することを特徴とする。転写基材表面に金属コロイドを塗布等する方法としては、平版印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、カルトン印刷、金属印刷、フォーム印刷、両面印刷、オーバープリント、インクジェット印刷、スクリーン印刷、スリットコート法、ディスペンサー法、スピンコート法、スプレイ法、ディッピング法、エアブラシ法等の方法が挙げられるが、上記方法に限られるものではなく、従来より知られている全ての方法を使用することができる。なお、転写基板と金属コロイド含有塗膜との間にアクリル樹脂等の表面保護層を更に含むことにより、転写した際の転写膜表面に表面保護層が形成される。また、金属コロイド含有塗膜表面にホットメルト型樹脂の接着剤層を更に含むことにより、転写した際の転写膜と基材表面との密着性が更に向上する。本発明の転写シートには、前述した本発明の金属コロイド含有塗膜形成物に使用した金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を金属コロイド含有塗膜中に含むことが好ましい。塗膜に上記金属粉末等を含むことで装飾性が高まる。このうち、金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属としてAuを用いることで、高い審美性が得られる。
【0030】
本発明の転写シートの金属コロイド含有塗膜を基材表面に転写させることで、表面に転写膜を有する金属コロイド含有塗膜形成物を得ることができる。転写を施す基材としては、ガラス、プラスチック、金属、木材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリート、石、繊維、紙及び皮革からなる材料群から選ばれた材質が挙げられる。具体的に基材を例示すれば、人工爪、天然毛、人工毛、宝飾品、プラスチックモデル、お守り袋や印鑑ケースなどの用途が挙げられる小物袋、名刺や記念カードなどの用途が挙げられるカード、色紙、人形、神仏像、位牌、衣服、織物及び額縁からなる群より選ばれた材質が挙げられる。なお、本発明における神仏像とは、世界中に存在するあらゆる宗教に関わる像のことを指し、何ら宗教の宗派に限定されるものではない。また基材が宝飾品であるとき、この宝飾品は貴金属粘土から作製されたものでもよい。また転写を施す基材には、金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を更に含むことが好ましい。基材に上記金属粉末等を含ませることで装飾性が高まる。このうち、金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属としてAuを用いることで、高い審美性が得られる。
【0031】
次に、本発明の導電膜付き基材について説明する。
本発明の導電膜付き基材は、前述した本発明の金属コロイド含有塗膜形成物に使用した金属コロイドを基材に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドを有する基材を所定の雰囲気下、15〜450℃の温度で1〜60分間保持することによって得られる。得られた導電膜の比抵抗は1×10-3Ω・cm以下の低抵抗となる。本発明の導電膜付き基材に使用する基材の材質等は特に限定されない。導電膜付き基材の形成方法としては、先ず、平版印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、カルトン印刷、金属印刷、フォーム印刷、両面印刷、オーバープリント、インクジェット印刷、スクリーン印刷、スリットコート法、ディスペンサー法、スピンコート法、スプレイ法、ディッピング法、エアブラシ法等の方法を用いて基材に金属コロイドを塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写する。次に、金属コロイドを有する基材を所定の雰囲気下、15〜450℃の温度で1〜60分間保持する。上記熱処理を施して金属コロイドに含まれる溶媒を取除くことによって、低抵抗を有する導電膜が形成される。本発明の導電膜付き基材は配線材として使用することができる。導電膜を形成するための条件としては、15℃以上350℃未満の温度では30分〜60分保持することが好ましい。上記温度範囲内で保持時間が30分未満であると、溶媒或いは保護剤の分解或いは脱離が不十分であるため、所望の導電性が発現しない場合がある。また保持時間が60分を越えても、得られる導電膜の比抵抗はさほど変わらないため、生産性やコストの面で好ましくない。また、350〜450℃の温度では1〜60分保持することが好ましい。上記温度範囲内で保持時間が1分未満であると、溶媒或いは保護剤の分解或いは脱離が不十分であるか、或いは焼結が不十分であるため、所望の導電性が発現しない場合がある。また保持時間が60分を越えても、得られる導電膜の比抵抗はさほど変わらないため、生産性やコストの面で好ましくない。
【0032】
次に、本発明のペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプルについて説明する。
本発明のペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプルは、前述した本発明の金属コロイド含有塗膜形成物に使用した金属コロイドをインクとして充填したことを特徴とするペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプルである。本発明に使用する金属コロイド中の金属コロイド粒子は、保護剤が窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に結合しているので金属コロイド液が安定であり、初期粘度に対する粘度変化が低いため、品質保持性に優れたペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプルとすることができる。また、金属コロイドをインクとして充填したペンは、インクを容器に移したりする手間がいらず、手軽に金属コロイドからなる文字や模様を描くのに非常に便利である。水性ボールペンや油性ボールペン、筆ペンとして使用することができる。なお、上記ペンの形式及び形態は限定されない。
【0033】
本発明のペン用カートリッジ及びこのペン用カートリッジを接続したペンの一例について説明する。
図20(a)に示すように、ペン用カートリッジ10は、下部が密閉された筒体11と、この筒体11上部に接合され、中心に連通孔が設けられた蓋部13及び蓋部13の連通孔に緩挿された球状の栓14から構成され、この筒体11内部に金属コロイド12が充填される。筒体11及び蓋部13は合成樹脂製が好ましく、球状の栓14は金属製が好ましい。ペン用カートリッジ10は、蓋部13が下方又は斜め下方に向いた状態で、緩挿された球状の栓14がカートリッジの内部に押し上げられることで、蓋部13と球状の栓14との間に隙間が生じ、この隙間から金属コロイドが重力によって流れ出るようになっている。
また図20(b)に示すように、このペン用カートリッジ10を組込んだペン20は、筒状の上部軸胴21と、上端が上部軸胴21の下端と接続可能な筒状の下部軸胴22と、下部軸胴22の他端に接続される穂先26から構成される。下部軸胴22の内壁にはペン用カートリッジ10を嵌挿し、蓋部13と接触して球状の栓14をペン用カートリッジ10内部に押上げる接続部23が設けられる。接続部23の内部には、ペン用カートリッジ10が接続部23に接続され、この接続部23により球状の栓14が押上げられた際に、重力によりカートリッジ10内部から流れ出る金属コロイドを含浸する芯部24が下部軸胴22の他端を突出して設けられる。下部軸胴22の他端に接続された穂先26は、芯部24に含浸した金属コロイドを先端から吐出するように構成される。上部軸胴21、下部軸胴22及び接続部23は合成樹脂製が好ましい。また芯部24は金属コロイドが含浸可能な細孔が形成された構造を有する合成樹脂が好ましい。
ペン20へのペン用カートリッジ10の接続は、カートリッジの蓋部13を接続部23にあて、この接続部23と栓14をペン用カートリッジ10内部に押込むことで接続される。その際に、カートリッジ10内部に充填された金属コロイド12は、蓋部13と球状の栓14との隙間から流れ出て芯部24に含浸され、この芯部24を通じて穂先26へと供給される。このように構成されたペン用カートリッジ10を接続したペンは、非常に描きやすく、なめらかに描画することができる。このペンは所望の基材に所望の文字を書いたり、模様を描いたりするのにも非常に便利であり、またペンを用いて描画した文字や模様は金属本来の持つ金属光沢の色調を発現し、光輝性に優れる。なお、上記ペン用カートリッジの形式及び形態は限定されない。
【0034】
ディスポーザブルアンプルとは、金属コロイドを充填し、容器上部を熱圧着することで、金属コロイドを封入している合成樹脂からなる使い捨て容器のことであり、充填された金属コロイドは蓋の部分を横方向に回転させることで容易に開封することができ、任意の容器に移して金属コロイドからなるインクとして使用可能である。このディスポーザブルアンプルを用いて小分けに金属コロイドを保管することで、使用する際には必要な分だけを開封すればよいので、高価な金属コロイドを無駄に劣化させることが少ないという点において非常に有効である。
【0035】
ディスポーザブルアンプルの一例について説明する。
図21に示すように、ディスポーザブルアンプル30は、下部が密閉された筒体31とこの筒体31上部に接合された切断部33と蓋部32とから構成される。切断部33は手動で切断可能なように筒体31及び蓋部32よりも幅が広くないように設けられる。筒体31、蓋部32及び切断部33は合成樹脂製が好ましい。ディスポーザブルアンプル30は、筒体31内部に金属コロイド34を充填した後に、切断部33及び蓋部32を熱圧着することで金属コロイド34が封入された構造を有する。
このように構成されたディスポーザブルアンプル30では、蓋部32を横方向に回転させることにより、蓋部32はテコの原理で切断部33から容易に切断することができ、この切断面が筒体31内部と連通する。この連通部から筒体31内部に充填された金属コロイドを取出して使用することができる。なお、上記ディスポーザブルアンプルの形式及び形態は限定されない。
【0036】
次に、本発明のスタンプ台及び印鑑台について説明する。
本発明のスタンプ台及び印鑑台は、前述した本発明の金属コロイド含有塗膜形成物に使用した金属コロイドをインクとして含浸したスタンプ台及び印鑑台である。所定の濃度に調製した金属コロイドを十分に染み込ませることでスタンプ台及び印鑑台として使用することができる。金属コロイドからなるスタンプ台又は印鑑台を用いて作製した模様には金属本来のもつ色調と金属光沢が現れる。更に、これらのスタンプ台又は印鑑台に含浸したインクを用いて描画された描画体としても利用することができる。
【0037】
更に、本発明のインクジェットプリンタを用いた描画体について説明する。
本発明のインクジェットプリンタを用いた描画体は、前述した本発明の金属コロイド含有塗膜形成物で使用した金属コロイドをインクとしてインクジェットプリンタを用いて描画されたことを特徴とする描画体である。金属コロイドをインクとしてインクジェットプリンタを用いて描画された描画体は、金本来のもつ色調と金属光沢が現れる。具体的には、先ず、印鑑やスタンプを用いて市販品の黒色インクにて表面に模様が施された紙、黒色ペンにて表面に文字及び模様が描画された色紙及び黒色インクを用いて手形及び足形をつけた色紙を用意する。次いで、画像走査装置(スキャナ)を用いてそれぞれの紙及び色紙表面を走査して、コンピュータ内に画像データとして取込む。次に、本発明の金属コロイドをインクとするインクジェットプリンタを使用して、取込んだ画像データを基に紙及び色紙に画像データを印刷する。本発明で使用する金属コロイドを用いて紙及び色紙に印刷した文字及び模様は、黒色で描画等された文字及び模様と同様の形状が得られ、更に金属本来の持つ金属光沢の色調を発現し、光輝性に優れる。
なお、この実施の形態では、画像走査装置(スキャナ)を用いてそれぞれの紙及び色紙表面を走査して、コンピュータ内に画像データとして取込んでからインクジェットプリンタを用いて印刷したが、それぞれの紙及び色紙のような原紙だけではなく、これらの原紙が写されている写真、これらの模様や文字等が掲載された印刷物や刊行物を画像走査装置(スキャナ)を用いて走査して、コンピュータ内に画像データとして取込んだり、画像データとなっているものを直接インクジェットプリンタで印刷することで描画体としてもよい。
【実施例】
【0038】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<合成1>
金属塩として塩化金酸を、保護剤前駆体としてγ-アミノプロピルトリエトキシシラン、アセチルアセトンを、還元剤としてジメチルアミンボランをそれぞれ用意した。先ず、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン8.00gとアセチルアセトン12.00gに、金濃度が4.0重量%になるように塩化金酸を溶解したメタノール液を徐々に投入して混合溶液を調製した。次に、この混合溶液に還元剤であるジメチルアミンボランを適量添加した。この混合溶液の調製は60℃に保温し、混合溶液をマグネチックスターラーで攪拌しながら行い、金属コロイド粒子が生成して赤色を呈するまで還元反応させた。次に、還元反応を終えた混合溶液を室温にまで冷却し、冷却後、混合溶液を限外濾過法により脱塩を行い、水を分散媒として金属コロイドを得た。この金属コロイドに水を適宜添加して濃度を調節し、Auコロイド粒子を水に分散させた濃度50重量%の金属コロイドを得た。
得られた金属コロイド中のAuコロイド粒子を構成する保護剤分子についてTOF−SIMS分析を行った。TOF−SIMS分析によりAuとCNからなるクラスターイオンが優勢に検出された。更に、NMR(C,H)の分析結果を併せることにより、保護剤分子は窒素によってAu粒子表面に配位修飾していることが判った。
【0039】
<合成2>
金属塩として塩化金酸を、保護剤前駆体として3-アミノエタノール、アセチルアセトンを、還元剤としてジメチルアミンボランをそれぞれ用意した。先ず、3-アミノエタノール9.00gとアセチルアセトン12.00gに、金濃度で4.0重量%になるように塩化金酸を溶解したメタノール液を徐々に投入して混合溶液を調製した。次に、この混合溶液に還元剤であるジメチルアミンボランを適量添加した。この混合溶液の調製は60℃に保温し、混合溶液をマグネチックスターラーで攪拌しながら行い、金属コロイド粒子が生成して赤色を呈するまで還元反応させた。次に、還元反応を終えた混合溶液を室温にまで冷却し、冷却後、混合溶液を限外濾過法により脱塩を行い、水を分散媒として金属コロイドを得た。この金属コロイドに水を適宜添加して濃度を調節し、Auコロイド粒子を水に分散させた濃度50重量%の金属コロイドを得た。
得られた金属コロイド中のAuコロイド粒子を構成する保護剤分子についてTOF−SIMS分析を行った。TOF−SIMS分析によりAuとCNからなるクラスターイオンが優勢に検出された。更に、NMR(C,H)の分析結果を併せることにより、保護剤分子は窒素によってAu粒子表面に配位修飾していることが判った。
【0040】
<合成3〜27>
金属塩、保護剤前駆体、還元剤及び分散媒の種類を次の表1及び表2に示す化合物にそれぞれ変更した以外は、合成1と同様にして各種金属コロイドを得た。
【0041】
<合成28〜42>
金属塩、保護剤前駆体、還元剤及び分散媒の種類を次の表2及び表3に示す化合物にそれぞれ変更し、混合溶液の調製温度を35℃にした以外は、合成1と同様にして各種金属コロイドを得た。なお、表1〜表3中の保護剤前駆体の種類欄において、記号(A)〜(N)で示される化合物を表4に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
<実施例1>
合成1〜42でそれぞれ得られた50重量%濃度の金属コロイドを用意し、この50重量%濃度の金属コロイドを用いて5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%及び40重量%にそれぞれ希釈した金属コロイドをそれぞれ調製した。また基材として、人工毛、人工まつ毛、プラスチックモデル、お守り袋、印鑑ケース、記念カード、招待カード、グリーティングカード、人形、仏像、位牌、額縁、衣服及び織物をそれぞれ用意した。次に、調製した金属コロイドを用いて人工毛にはエアブラシにて吹付ける方法により塗布し、人工まつ毛、プラスチックモデル、人形及び仏像には筆を用いて全体を塗布した。また位牌には筆で所望の文字を書き、額縁にはフレーム部分のみを筆で塗布し、記念カード、招待カード、グリーティングカード、お守り袋、印鑑ケース、衣服及び織物には筆で所望の文字又は模様を描画した。基材への塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を十分に除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜形成物を得た。金属コロイドを用いて表面に文字を書いた招待カードの写真を図1(a)に、金属コロイドを用いて表面を塗布した人形の写真を図1(b)にそれぞれ示す。
図1(a)及び図1(b)から明らかなように、得られた金属コロイド含有塗膜形成物は金属本来の持つ金属光沢色調を発現し、光輝性、デザイン性に優れていることが判る。
【0047】
<実施例2>
基材として、指輪、銀粘土から作られた指輪、ピアス、イヤリング、ブレスレッド、ネックレス、キーホルダー、かんざし、時計、髪留め、ブローチ及びネクタイピンをそれぞれ用意した。次に、実施例1で調製した金属コロイドを用いて指輪、銀粘土から作られた指輪、ピアス、イヤリング、ブレスレッド、ネックレス、キーホルダー及びかんざしには筆を用いて金コロイドを塗布した。また、実施例1で調製した金属コロイドを用いて時計、髪留め、ブローチ及びネクタイピンにはエアブラシにて吹付ける方法にて金コロイドを塗布した。基材への塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を十分に除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜形成物を得た。金属コロイドを用いて表示部以外の表面を塗布した指輪の写真を図2(a)に、金属コロイドを用いて表面を塗布したピアスの写真を図2(b)に、金属コロイドを用いて表面を塗布した時計の写真を図2(c)にそれぞれ示す。
図2(a)〜図2(c)から明らかなように、得られた金属コロイド含有塗膜形成物は金属本来の持つ金属光沢の色調を発現した、光輝性及びデザイン性に優れた宝飾品となることが判る。
【0048】
<実施例3>
実施例1で調製した金属コロイドと、天然爪及び人工爪をそれぞれ用意した。図3に示すマニキュア用筆を用いて金属コロイドを塗布する方法により、天然爪及び人工爪表面に金属コロイドを塗布した。塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜形成物を得た。塗布法により表面に金属コロイド含有塗膜を形成した天然爪を図4に示す。
図4より明らかなように、天然爪表面に形成した金属コロイド含有塗膜は、金本来の持つ金光沢の色調を発現し、金属鏡面を有した平滑性に優れた膜となることが判る。
【0049】
<実施例4>
図5に示すマニキュア用エアブラシを用いて金属コロイドを吹付ける方法により、天然爪表面及び人工爪表面に実施例1で調製した金属コロイドを吹付けた。吹付け後は、ドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜形成物を得た。吹付け法により表面に金属コロイド含有塗膜を形成した天然爪を図6に示す。
図6より明らかなように、天然爪表面に形成した金属コロイド含有塗膜は、金本来の持つ金光沢の色調を発現しているが、前述した実施例3の筆で塗布して形成した塗膜とは異なり、艶消し(mat)された光沢を有し、かつ平滑性に優れた塗膜が得られていることが判る。
【0050】
<実施例5>
実施例3と同様にマニキュア用筆を用いて天然爪表面及び人工爪表面に実施例1で調製した金属コロイドを塗布した。塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜形成物を得た。得られた形成物の金属コロイド含有塗膜の上からトップコート剤を塗布して重ね塗りすることにより、トップコーティングして金属コロイド含有塗膜を剥がれ難くした。人工爪表面に形成した金属コロイド含有塗膜は、実施例3で得られた塗膜と同様に金本来の持つ金光沢の色調を発現し、更には金属鏡面を有した平滑性に優れた塗膜であった。
【0051】
<実施例6>
先ず、人工爪を用意し、この人工爪表面にアンダーコート剤を塗布してアンダーコート層を形成した。次に、実施例3と同様にマニキュア用筆を用いてアンダーコート層表面に実施例1で調製した金属コロイドを塗布した。塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜形成物を得た。人工爪表面に形成した金属コロイド含有塗膜は、実施例3及び実施例5で得られた塗膜と同様に金本来の持つ金光沢の色調を発現し、更には金属鏡面を有した、平滑性に優れた塗膜となった。
【0052】
<実施例7>
先ず、人工爪を用意し、この人工爪表面にアンダーコート剤を塗布してアンダーコート層を形成した。次に、実施例3と同様にマニキュア用筆を用いてアンダーコート層表面に実施例1で調製した金属コロイドを塗布した。塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜形成物を得た。次に形成した金属コロイド含有塗膜の上からトップコート剤を塗布して重ね塗りすることにより、トップコーティングして金属コロイド含有塗膜を剥がれ難くした。人工爪表面に形成した金属コロイド含有塗膜は実施例3、実施例5及び実施例6で得られた塗膜と同様に金本来の持つ金光沢の色調を発現し、更には金属鏡面を有した、平滑性に優れた塗膜となった。
【0053】
<実施例8>
金属コロイドを塗布する際に、エアブラシを用いて爪の先だけに塗布した以外は実施例7と同様にして金属コロイド含有塗膜を人工爪表面に形成した。また、金属コロイドを塗布する際に、マニキュア用筆で爪表面に所望の模様を描いた以外は実施例7と同様にして金属コロイド含有塗膜を人工爪表面に形成した。爪の先だけにエアブラシを用いて塗布した人工爪及びマニキュア用筆で爪表面に所望の模様を描いた人工爪は実施例3〜7と同様に金属本来の持つ金属本来の色調を発現しているだけでなく、非常にデザイン性に優れていた。
【0054】
<実施例9>
実施例1で調製した金属コロイドに、平均粒径が1〜10nmの金属微粒子を0.5%〜3%含有した以外は実施例7と同様にして金属コロイド含有塗膜を人工爪表面に形成した。人工爪表面に形成した金属コロイド含有塗膜はピンクゴールドの色調を発現し、非常にデザイン性に優れていた。
【0055】
<実施例10>
先ず、人工爪表面にアンダーコート剤を塗布乾燥してアンダーコート層を形成した。次いで、実施例3と同様にマニキュア用筆を用いてアンダーコート層表面に実施例1で調製した金属コロイドを塗布した。塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜形成物を得た。次に、形成した金属コロイド含有塗膜の上からトップコート剤を塗布し、トップコート剤が完全に乾燥する前に、所望の箇所に素材としてラメ剤を振りかけ、更にダイヤモンド天然石及びピンクサファイヤ天然石を散りばめ、上から押し付けるようにして定着させ、ドライヤーの風をあててトップコート剤を乾燥させることでそれら素材を固定化した。更にトップコート剤を塗布することにより素材の固定化を強固にした。金属コロイド含有塗膜を形成した人工爪を図7に示す。
図7より明らかなように、金属コロイド含有塗膜とラメ剤、ダイヤモンドやピンクサファイヤの天然宝石を組合わせることで光輝性及びデザイン性が向上していることが判る。
【0056】
<実施例11>
先ず、マニキュア用筆を用いて人工爪の先だけに実施例1で調製した金属コロイドを塗布した。塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜形成物を得た。次に、形成した金属コロイド含有塗膜の上からトップコート剤を塗布し、トップコート剤が完全に乾燥する前に、所望の箇所に素材としてルビー、ダイヤモンド及びサファイヤ天然石を並べて、上から押し付けるようにして定着させ、ドライヤーの風をあててトップコート剤を乾燥させることでそれら素材を固定化した。更にトップコート剤を塗布することにより素材の固定化を強固にした。得られた金属コロイド含有塗膜を形成した人工爪を図8に示す。
図8より明らかなように、爪の先だけに形成した金属コロイド含有塗膜とルビー、ダイヤモンド及びサファイヤの天然宝石を組合わせることで光輝性及びデザイン性が向上していることが判る。
【0057】
<実施例12>
先ず、マニキュア用筆を用いて人工爪表面に実施例1で調製した金属コロイドで所望の模様を描いた。描画後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜形成物を得た。次に、形成した金属コロイド含有塗膜の上からトップコート剤を爪表面全面に塗布し、トップコート剤が完全に乾燥する前に、所望の箇所に素材として金箔粉末、ダイヤモンド天然石及びピンクサファイヤ天然石を散りばめ、上から押し付けるようにして定着させ、ドライヤーの風をあててトップコート剤を乾燥させることでそれら素材を固定化した。更にトップコート剤を塗布することにより素材の固定化を強固にした。金属コロイド含有塗膜と金箔粉末、ダイヤモンド及びピンクサファイヤの天然宝石を組合わせることで光輝性及びデザイン性が向上した。
【0058】
<実施例13>
先ず、図9に示すように、離形性合成紙からなる基材2の片面にアクリル樹脂からなるコーティング液を塗布し、表面保護層4を形成した。次に、この表面保護層4の上に実施例1で調製した金コロイドを塗布し、金属コロイド含有塗膜層5を形成した。更に、金属コロイド含有塗膜層5の上にホットメルト型樹脂からなるコーティング液を塗布することにより接着剤層6を形成し、基材2上に、表面保護層4、金属コロイド含有塗膜層5及び接着剤層6からなる転写層3が形成された転写シート1を作製した。
【0059】
<実施例14>
インクジェットプリンタにより文字や模様を描画して金属コロイド含有塗膜層5を形成した以外は実施例13と同様にして転写シートを作製した。
【0060】
<実施例15>
実施例13及び実施例14の転写シートを用いて紙、衣類、皮革及びガラスに熱圧転写することにより、表面に金属コロイド含有塗膜を形成した金属コロイド含有塗膜形成物を得た。金属コロイド含有塗膜は金属本来の持つ金属光沢の色調を発現し、光輝性に優れていた。また塗膜を指で擦っても剥離しなかった。なお、熱圧転写方法は従来より公知の方法により行うことが可能である。
【0061】
<実施例16>
150mm×150mm×1mmのプラズマ処理済みガラスシートを用意し、実施例1の合成11で得られた50重量%濃度Auコロイドをインクジェットプリンタのインクタンクに入れてガラスシート上に線幅約2mm、長さ100mmの黄金光沢色の線を5本描画した。描画したガラスシートを室温で乾燥した後、ガラスシート上に得られた黄金光沢色の線の電気抵抗値を測定したところ、その測定値は比抵抗9.8×10-6Ω・cmであった。
<実施例17>
実施例16で得られた描画したガラスシートを大気中300℃の温度で10分間保持して焼成した後、ガラスシート上に得られた黄金光沢色の線の電気抵抗値を測定したところ、その測定値は比抵抗2.7×10-6Ω・cmであった。
【0062】
<実施例18>
50mm×50mm×1.0mmのアルミナシートを2枚用意し、実施例1の合成28,29で得られた50重量%濃度Auコロイドを用いてスクリーン印刷を施してアルミナシート表面の10mm×25mmの範囲にそれぞれ塗膜を形成させた。塗膜を形成したアルミナシートを大気中25℃で1時間自然乾燥した。得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、合成28のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、7.7×10-6Ω・cmであり、合成29のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、9.2×10-6Ω・cmであった。
<実施例19>
50mm×50mm×1.0mmのアルミナシートを2枚用意し、実施例1の合成30で得られた50重量%濃度Auコロイドを用いてオフセット印刷を施して2枚のアルミナシート表面の10mm×25mmの範囲にそれぞれ塗膜を形成させた。一方の塗膜を形成したアルミナシートを大気中25℃で1時間自然乾燥した。他方の塗膜を形成したアルミナシートを大気中450℃で1分焼成した後、自然冷却させた。室温まで冷却した後、得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、自然乾燥した塗膜の抵抗値は、8.8×10-6Ω・cmであり、焼成した塗膜の抵抗値は、2.5×10-6Ω・cmであった。
【0063】
<実施例20>
50mm×50mm×1.0mmのガラスシートを2枚用意し、実施例1の合成31で得られた50重量%濃度Auコロイドを用いてスプレー塗布を施してガラスシート表面の10mm×25mmの範囲にそれぞれ塗膜を形成させた。一方の塗膜を形成したガラスシートを大気中15℃で30分間自然乾燥した。他方の塗膜を形成したガラスシートを大気中350℃で1分焼成した後、自然冷却させた。室温まで冷却した後、得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、自然乾燥した塗膜の抵抗値は、3.5×10-5Ω・cmであり、焼成した塗膜の抵抗値は、3.7×10-6Ω・cmであった。
<実施例21>
50mm×50mm×1.0mmのガラスシートを用意し、実施例1の合成32で得られた50重量%濃度Auコロイドを用いて回転速度200rpm、3分間の条件でスピンコートを施してガラスシート表面に塗膜を形成させた。塗膜を形成したガラスシートを大気中25℃で1時間自然乾燥した。得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、その抵抗値は、7.1×10-6Ω・cmであった。
【0064】
<実施例22>
50mm×50mm×1.0mmのアルミナシートを4枚用意し、実施例1の合成33,34,35並びに36で得られた50重量%濃度Auコロイドを用いてスリットコート印刷を施してアルミナシート表面の10mm×25mmの範囲にそれぞれ塗膜を形成させた。塗膜を形成したアルミナシートを大気中25℃で1時間自然乾燥した。得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、合成33のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、1.7×10-5Ω・cmであり、合成34のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、9.1×10-6Ω・cmであり、合成35のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、1.6×10-5Ω・cmであり、合成36のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、8.7×10-6Ω・cmであった。
<実施例23>
50mm×50mm×1.0mmのアルミナシートを5枚用意し、実施例1の合成37,38,39,40並びに41で得られた50重量%濃度Auコロイドを用いてスクリーン印刷を施してアルミナシート表面の10mm×25mmの範囲にそれぞれ塗膜を形成させた。塗膜を形成したアルミナシートを大気中40℃で1時間自然乾燥した。得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、合成37のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、5.7×10-6Ω・cmであり、合成38のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、5.1×10-6Ω・cmであり、合成39のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、6.6×10-5Ω・cmであり、合成40のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、7.0×10-6Ω・cmであり、合成41のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、5.7×10-5Ω・cmであった。
<実施例24>
50mm×50mm×1.0mmのアルミナシートを用意し、実施例1の合成42で得られた50重量%濃度Agコロイドを用いてスクリーン印刷を施してアルミナシート表面の10mm×25mmの範囲に塗膜を形成させた。塗膜を形成したアルミナシートを大気中60℃で30分間自然乾燥した。得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、その抵抗値は、4.1×10-6Ω・cmであった。
【0065】
<実施例25>
図10(a)に示すように、下部が密閉された筒体11と、この筒体11上部に接合され、中心に連通孔が設けられた蓋部13及び蓋部13の連通孔に緩挿された球状の栓14から構成され、この筒体11内部に実施例1で調製した金属コロイド12が充填されたペン用カートリッジ10を用意した。
また図10(b)に示すように、このペン用カートリッジ10を組み込むペン20を用意した。このペン20は、筒状の上部軸胴21と、上端が上部軸胴21の下端と接続可能な筒状の下部軸胴22と、下部軸胴22の他端に接続される穂先26から構成され、下部軸胴22の内壁にはペン用カートリッジ10を嵌挿し、蓋部13と接触して球状の栓14をペン用カートリッジ10内部に押し上げる接続部23が設けられている。また接続部23の内部には、ペン用カートリッジ10が接続部23に接続され、この接続部23により球状の栓14が押し上げられた際に、重力によりカートリッジ10内部から流れ出る金属コロイドを含浸する芯部24が下部軸胴22の他端を突出して設けられている。更に下部軸胴22の他端に接続された穂先26は、芯部24に含浸した金属コロイドを先端から吐出するように構成されている。
【0066】
ペン20へのペン用カートリッジ10の接続は、カートリッジの蓋部13を接続部23にあて、この接続部23と栓14をペン用カートリッジ10内部に押込むことにより接続した。その際に、カートリッジ10内部に充填された金属コロイド12は、蓋部13と球状の栓14との隙間から流れ出て芯部24に含浸され、この芯部24を通じて穂先26へと供給された。このように構成されたペン用カートリッジ10を接続したペンは、非常に描きやすく、なめらかに描画することができた。このペンは所望の基材に所望の文字を書いたり、模様を描いたりするのにも非常に便利であり、またペンを用いて描画した文字や模様は金属本来の持つ金属光沢の色調を発現し、光輝性に優れていた。
【0067】
<実施例26>
図11に示すように、下部が密閉された筒体31とこの筒体31上部に接合された切断部33と蓋部32とから構成され、切断部33は手動で切断可能なように筒体31及び蓋部32よりも幅が広くないように設けられ、筒体31内部に実施例1で調製した金属コロイド34を充填した後に、切断部33及び蓋部32を熱圧着することで金属コロイド34が封入された構造を有するディスポーザブルアンプル30を用意した。
このように構成されたディスポーザブルアンプル30では、蓋部32を横方向に回転させることにより、蓋部32はテコの原理で切断部33から容易に切断することができ、この切断面が筒体31内部と連通した。この連通部から筒体31内部に充填された金属コロイドを取出して使用することができた。
【0068】
<実施例27>
実施例1で調製した金属コロイドを20重量%濃度に調製した。この金属コロイドを十分に染み込ませることでスタンプ台及び印鑑台を作製した。それらの写真を図12(a)に示す。また、それらを用いて模様を施したカードもあわせて図12(b)に示す。図12(b)より明らかなように、金属コロイドからなるスタンプ台又は印鑑台を用いて作製した模様には金本来のもつ色調と金属光沢が現れた。
【0069】
<実施例28>
実施例1で調製した金属コロイドを20重量%濃度に調製した。また基材として紙、皮革及び木材を用意した。この金属コロイドを用いてインクジェットプリンタ装置にて描画試験を行った。紙としては表面に文字や模様を描画して名刺、グリーティングカード、記念カード及び招待カードを作成し、皮革としては革の財布に描画した。また、木材としては位牌に所望の文字を描画した。インクジェットプリンタ装置で描画して金属コロイド含有塗膜を形成したグリーティングカードを図13(a)に、インクジェットプリンタ装置で描画して金属コロイド含有塗膜を形成した位牌を図13(b)にそれぞれ示す。図13(a)及び図13(b)より明らかなように、金属コロイドを用いてインクジェット装置により描画した模様には金本来のもつ色調と金属光沢が現れた。
【0070】
<実施例29>
実施例1で調製した金属コロイドをインクとして筆で色紙に文字と模様を描画した。この文字と模様は金属本来の持つ金属光沢の色調を発現し、光輝性に優れていた。なお、文字や模様を描画する際は、前述した実施例25で示した金属コロイドをインクとして充填したペンを用いてもよい。
【0071】
<実施例30>
実施例1で調製した金属コロイドをインクとして、色紙に手形及び足形をとった。その手形及び足形は金属本来の持つ金属光沢の色調を発現し、光輝性に優れていた。
【0072】
<実施例31>
先ず、印鑑やスタンプを用いて市販品の黒色インクにて表面に模様が施された紙、黒色ペンにて表面に文字及び模様が描画された色紙及び黒色インクを用いて手形及び足形をつけた色紙を用意した。次いで、画像走査装置(スキャナ)を用いてそれぞれの紙及び色紙表面を走査して、コンピューター内に画像データとして取り込んだ。次に、実施例1で調製した金属コロイドをインクとするインクジェットプリンタを使用して、取り込んだ画像データを基に紙及び色紙に画像データを印刷した。本発明の金属コロイドを用いて紙及び色紙に印刷した文字及び模様は、黒色で描画等された文字及び模様と同様の形状が得られており、更に金属本来の持つ金属光沢の色調を発現し、光輝性に優れていた。
【0073】
なお、この実施例31では、画像走査装置(スキャナ)を用いてそれぞれの紙及び色紙表面を走査して、コンピューター内に画像データとして取り込んでからインクジェットプリンタを用いて印刷したが、それぞれの紙及び色紙のような原紙だけではなく、これらの原紙が写されている写真、これらの模様や文字等が掲載された印刷物や刊行物を画像走査装置(スキャナ)を用いて走査して、コンピューター内に画像データとして取り込んだり、画像データとなっているものを直接インクジェットプリンタで印刷してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1(a)】金属コロイドを用いて表面に文字を書いた記念カードの写真図。
【図1(b)】金属コロイドを用いて表面を塗布した人形の写真図。
【図2(a)】金属コロイドを用いて表面を塗布した指輪の写真図。
【図2(b)】金属コロイドを用いて表面を塗布したピアスの写真図。
【図2(c)】金属コロイドを用いて表面を塗布した時計の写真図。
【図3】実施例3のマニキュア用筆を用いた金属コロイドの塗布方法を示す写真図。
【図4】図3の塗布方法により表面に金属コロイド含有塗膜を形成した指の爪の写真図。
【図5】実施例4のマニキュア用エアブラシを用いた金属コロイドの吹付け方法を示す写真図。
【図6】図5の吹付け方法により表面に金属コロイド含有塗膜を形成した指の爪の写真図。
【図7】実施例10の表面に金属コロイド含有塗膜、ラメ剤、ダイヤモンド及びピンクサファイヤの天然宝石を組合わせて形成した人工爪の写真図。
【図8】実施例11の表面に金属コロイド含有塗膜、ルビー、ダイヤモンド及びサファイヤの天然宝石を組合わせて形成した人工爪の写真図。
【図9】実施例13の転写シートの断面図。
【図10(a)】実施例25の金属コロイドをインクとして充填したペン用カートリッジの断面図。
【図10(b)】実施例25のペン用カートリッジを接続したペンの断面図。
【図11】実施例26のディスポーザブルアンプルの断面図。
【図12(a)】実施例27の金属コロイドを染み込ませて作製したスタンプ台及び印鑑台の写真図。
【図12(b)】図12(a)の印鑑台を用いて模様を施した記念カードの写真図。
【図13(a)】実施例28のインクジェットプリンタ装置で描画して金属コロイド含有塗膜を形成したグリーティングカードの写真図。
【図13(b)】実施例28のインクジェットプリンタ装置で描画して金属コロイド含有塗膜を形成した位牌の写真図。
【技術分野】
【0001】
本発明はコロイド液が長期間安定であり、薄膜化に適する金属コロイドの用途に関する。更に本発明は様々な基材上に容易に金属鏡面光沢領域を形成できる金属コロイドの用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
導電性インクや導電性被膜の材料として用いられる金属コロイドとして、有機成分を含む高導電性の金属コロイド水溶液が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この金属コロイドは水系反応によって生成されるものであり、また、金属コロイドを形成した後に有機成分を混合したものであり、予め金属コロイドを形成し、その後に表面保護剤をコロイド表面に導入する場合、既に金属コロイド表面に存在している付着物によって保護剤の導入が不十分になる場合がある。また、金属コロイド等を水系で合成しているので表面保護剤が加水分解等の影響を受け、コロイドの安定性が低下する問題がある。
【0003】
また、金属コロイドを塗料組成物やガラスの着色剤として利用することも従来から知られている。例えば、高分子量顔料分散剤の存在下で金属化合物を還元して金属コロイドを製造することが知られている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、この方法もその主な具体例は水系反応によって金属コロイドを生成させるものであり、上記と同様の問題がある。さらに、共存する高分子保護コロイドは顔料分散剤であり、シランカップリング剤からなる保護剤をコロイド粒子表面に結合させるものではない。
【0004】
さらに、塩化金酸と保護高分子とを混合して金コロイドを生成させる方法において、金属粒子表面とは逆側の末端ないし側鎖部にアミノ基を有する保護高分子を用いる製造方法が知られているが(例えば、特許文献3参照。)、この方法は一般に用いられる水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を使用せずに金コロイドを生成させることを意図しており、保護高分子の還元作用を利用している。しかし、この場合には保護剤が高分子であるため有機鎖が多く、耐熱性が不十分である。
【0005】
また、従来より金粉と称して販売及び使用されてきた金インキは、偏平状黄金分粉末(銅−亜鉛合金粉)の表面に炭素数16〜22の飽和脂肪酸で処理され、平版印刷に使用されてきた。しかし、平版印刷用インキは高粘度であるため、グラビア印刷に用いる低粘度には適していない問題があった。そこで平版印刷においてもグラビア印刷のような鏡面光沢感が得られ、表面が平滑ではない紙においても、平滑な紙と同様の効果が発揮できる方策として、平均粒径10μm以下の片状黄銅金属粉100重量部に対し、0.1〜2重量部の炭素数14〜22の飽和脂肪酸と、0.1〜2重量部の炭素数14〜22の脂肪酸アミドが混合、被覆された金インキ用金粉が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。この特許文献4では、機械粉砕法等で製造した平均粒径10μm以下の金粉に飽和脂肪酸と脂肪酸アミドを上記所定量混合した金インキを印刷用インキとして使用すると、金属間の強い優れた鏡面光沢膜が得られる。
【0006】
また、アミノ基含有アルコキシシランを使用し、熱処理によってシリカ膜を有する金属コロイドを製造する方法も知られている(例えば、非特許文献1及び2参照。)。
しかし、この方法で用いるアミノ基含有シランは原料の塩化金酸からのコロイド生成を促進させるために用いられており、保護剤として用いているわけではない。また、この方法は熱処理によってコロイド化させるために、温度によって生成するコロイドの性状が異なり、安定した透過吸収性能を得ることができず、しかも、アルコキシド中に原料から混入する酸等によってゾルゲル液の加水分解が早まり液の寿命が短くなる傾向があり、さらに液が不安定である。
【特許文献1】特開2001−325831号公報
【特許文献2】特開平11−80647号公報
【特許文献3】特開2000−160210号公報
【特許文献4】特開2001−19872号公報
【非特許文献1】Extended Abstracts of 66th Fall Meeting of the Chemical Society of Japan、322頁
【非特許文献2】Proc SPIE Sol-gel Optics III、vol2288、130頁-139頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
更に、ナノサイズの金粒子を分子量の小さい保護剤により保護した金コロイドは、室温乾燥において黄金色の金属光沢が発現することが知られている。この場合の保護剤としては、炭素数1〜8のクエン酸、アジピン酸、リンゴ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸等の脂肪酸、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、イソプロピルアミン、モノブチルアミン、セカンダリーブチルアミン、ターシャリーブチルアミン、モノペンチルアミン、モノヘキシルアミン等のアミン等が挙げられる。しかし、上記保護剤を用いた金コロイドの場合、コロイド液に含有するメタル濃度は5重量%程度が上限であり、それ以上の濃度では凝集化やゲル化が起こり、安定性が極めて悪いため高濃度化ができない問題があった。例えば、金属に金を用いた金属コロイドを塗布及び自然乾燥して黄金光沢を出すには、紙のような繊維性の基材に対しては少なくとも金メタル含有濃度が20重量%以上必要である。低分子量の保護剤で保護した金属コロイドを安定性を無視して高濃度化した場合、塗布面に金属光沢は発現するものの、金の黄金光沢にはほど遠く、しかも密着性が極めて悪いため触れると簡単に剥がれてしまう問題がある。
この問題を改善するために、金属コロイドに高分子バインダ等を添加した場合は、ナノサイズの金属粒子が表面プラズマ共鳴によるプラズモン発色(SPR:Surface Plasma)を生じ、赤から赤紫色に着色されてしまうため、黄金光沢は発現しない。
【0008】
一方、本発明者らは、金属コロイドの付加価値を高めるために経時安定性の追求を行ってきた。鋭意研究を重ねた結果、窒素を含む保護剤を用いることにより、より経時安定性に優れた金属コロイドを提供することができることを見出した。また、このことによって金属コロイド塗料を塗布した際の膜の金属光沢には何ら影響を及ぼさない。
【0009】
本発明の第1の目的は、金属鏡面光沢領域を有し、優れた耐熱性を有する塗膜が形成された金属コロイド含有塗膜形成物、転写シート及び導電膜付き基材を提供することにある。
本発明の第2の目的は、様々な色調を呈した塗膜が形成された金属コロイド含有塗膜形成物、転写シート及び導電膜付き基材を提供することにある。
本発明の第3の目的は、低抵抗の導電膜を有する導電膜付き基材を提供することにある。
本発明の第4の目的は、品質保持性に優れたペン、筆ペン、ペン用カートリッジ、ディスポーザブルアンプル、スタンプ台及び印鑑台を提供することにある。
本発明の第5の目的は、金属本来のもつ色調と金属光沢を有する描画体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、金属コロイド粒子が金属粒子と粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドを基材表面に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成したことを特徴とする金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、基材がガラス、プラスチック、金属、木材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリート、石、繊維、紙及び皮革からなる群より選ばれた材質である金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、基材が人工爪、天然毛、人工毛、宝飾品、プラスチックモデル、小物袋、カード、色紙、人形、神仏像、位牌、衣服、織物及び額縁からなる群より選ばれた材質である金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明であって、基材が宝飾品であって、宝飾品が貴金属粘土から作製された金属コロイド含有塗膜形成物である。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4いずれか1項に係る発明であって、金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を更に含む金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明であって、金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属がAuである金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6いずれか1項に係る発明であって、金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項8に係る発明は、請求項1ないし7いずれか1項に係る発明であって、Auコロイド粒子を主成分とし、Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する金属コロイド含有塗膜形成物である。
【0012】
請求項9に係る発明は、金属コロイド粒子が金属粒子と粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドを表面又は裏面のいずれか一方又はその双方が剥離処理された転写基板に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した金属コロイド含有塗膜を有することを特徴とする転写シートである。
請求項10に係る発明は、請求項9に係る発明であって、金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を金属コロイド含有塗膜中に含む転写シートである。
請求項11に係る発明は、請求項10に係る発明であって、金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属がAuである転写シートである。
請求項12に係る発明は、請求項9ないし11いずれか1項に係る発明であって、金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である転写シートである。
請求項13に係る発明は、請求項9ないし12いずれか1項に係る発明であって、Auコロイド粒子を主成分とし、Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する転写シートである。
【0013】
請求項14に係る発明は、基材表面に請求項9ないし13いずれか1項に記載の転写シートから転写された転写膜を有する金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項15に係る発明は、請求項14に係る発明であって、転写を施す基材が、ガラス、プラスチック、金属、木材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリート、石、繊維、紙及び皮革からなる材料群から選ばれた材質である金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項16に係る発明は、請求項14又は15に係る発明であって、基材が人工爪、天然毛、人工毛、宝飾品、プラスチックモデル、小物袋、カード、色紙、人形、神仏像、位牌、衣服、織物及び額縁からなる群より選ばれた材質である金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項17に係る発明は、請求項16に係る発明であって、基材が宝飾品であって、宝飾品が貴金属粘土から作製された金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項18に係る発明は、請求項14ないし17いずれか1項に係る発明であって、金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を更に含む金属コロイド含有塗膜形成物である。
請求項19に係る発明は、請求項18に係る発明であって、金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属がAuである金属コロイド含有塗膜形成物である。
【0014】
請求項20に係る発明は、金属コロイド粒子が金属粒子と粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドを基材に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドを有する基材を所定の雰囲気下、15〜450℃の温度で1〜60分間保持することによって得られる比抵抗1×10-3Ω・cm以下の導電膜付き基材である。
請求項21に係る発明は、請求項20に係る発明であって、金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である導電膜付き基材である。
請求項22に係る発明は、請求項20又は21に係る発明であって、Auコロイド粒子を主成分とし、Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する導電膜付き基材である。
【0015】
請求項23に係る発明は、金属コロイド粒子が金属粒子と粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドをインクとして充填したペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプルである。
請求項24に係る発明は、請求項23に係る発明であって、金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲であるペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプルである。
請求項25に係る発明は、請求項23又は24に係る発明であって、Auコロイド粒子を主成分とし、Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈するペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプルである。
【0016】
請求項26に係る発明は、金属コロイド粒子が金属粒子と粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドをインクとして含浸したスタンプ台及び印鑑台である。
請求項27に係る発明は、請求項26に係る発明であって、金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲であるスタンプ台及び印鑑台である。
請求項28に係る発明は、請求項26又は27に係る発明であって、Auコロイド粒子を主成分とし、Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈するスタンプ台及び印鑑台である。
請求項29に係る発明は、請求項26ないし28いずれか1項に記載のスタンプ台又は印鑑台に含浸したインクを用いて描画された描画体である。
【0017】
請求項30に係る発明は、金属コロイド粒子が金属粒子と粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドをインクとしてインクジェットプリンタを用いて描画された描画体である。
請求項31に係る発明は、請求項30に係る発明であって、金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である描画体である。
請求項32に係る発明は、請求項30又は31に係る発明であって、Auコロイド粒子を主成分とし、Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する描画体である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の金属コロイド含有塗膜形成物や転写シートは、様々な色調を呈する金属鏡面光沢領域を有し、優れた耐熱性を有する塗膜が形成された金属コロイド含有塗膜を有する。
また本発明の導電膜付き基材は、様々な色調を呈する金属鏡面光沢領域を有し、優れた耐熱性を有し、更に低抵抗の導電膜が得られる。
更に、本発明のペン、筆ペン、ペン用カートリッジ、ディスポーザブルアンプル、スタンプ台及び印鑑台は、充填又は含浸した金属コロイドの品質保持性に優れる。これらを使用して描画した描画体は、金属本来のもつ色調と金属光沢を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
先ず、本発明の金属コロイド含有塗膜形成物について説明する。
本発明の金属コロイド含有塗膜形成物は、金属コロイドを基材表面に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、この金属コロイドから分散媒を除去して形成したことを特徴とする。本発明において使用する金属コロイドは、金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させることにより形成される。この金属コロイド粒子は、金属粒子とこの粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成される。また保護剤は分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有する。更に、保護剤はアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含む。
【0020】
このように、塗膜を形成する金属コロイド中の金属コロイド粒子を構成する保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に強固に配位修飾した構造を有しているので、この金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドは極めて高い安定性が得られる。この結果、高濃度の金属コロイドとすることができ、粘度変化および色調の変化も少ない。また保護剤の分子構造中に含まれるアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基は反応性が高いため、あらゆる基材に対して化学結合をする。また、金属粒子同士は自発的に自己組織化して最密充填を行い、反応性の官能基との間で縮合反応する。従って、このような特性を有する金属コロイドを用いて作製した本発明の金属コロイド含有塗膜形成物は、粒子間で有機−無機ハイブリッドバルク化するものと考えられるため、反応しない保護剤からなる金属コロイド、もしくは反応性の低い保護剤からなる金属コロイドを用いて作製した金属コロイド含有塗膜形成物に比べると比較的膜強度が高い。
【0021】
保護剤の一端が保護剤配位修飾部位をアンカーとして金属粒子表面に結合することによって、金属粒子表面に対しては保護剤が強固に結合されるため、金属コロイド自体の安定性が得られ、また保護剤の他端に位置する保護剤末端部位がコロイド最表面となり、この保護剤末端部位を反応性の高いアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基としたため、基材との密着性に優れる。保護剤が保護剤配位修飾部位をアンカーとして金属粒子表面に結合していることは、例えばNMR、GPC、TG−DTA、FT−IR、XPS、TOF−SIMS、X線小角散乱分析(Small Angle X-ray Scattering;SAXS)、可視紫外分光、ラマン分光(Surface Enhanced Raman Scattering;SERS)、X線吸収分光(X-ray Absorption Fine Structure;XAFS)等の分析手段などによって確認することができる。上記分析手段により、保護剤がどのような元素又はどのような原子団によってアンカーされているかも確認することができる。
【0022】
本発明の金属コロイド含有塗膜形成物に使用される基材としては、ガラスやプラスチック、金属、木材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリート、石、繊維、紙、皮革などの材質が挙げられる。具体的に基材を例示すれば、人工爪や天然毛、人工毛、宝飾品、プラスチックモデル、お守り袋や印鑑ケースなどの用途が挙げられる小物袋、名刺や記念カード、招待カード、グリーティングカードなどの用途が挙げられるカード、色紙、人形、神仏像、位牌、衣服、織物、額縁などの材質が挙げられる。なお、神仏像とは、世界中に存在するあらゆる宗教に関わる像のことを指し、何ら宗教の宗派に限定されるものではない。また基材が宝飾品であるとき、この宝飾品は貴金属粘土から作製されたものでもよい。
本発明の金属コロイド含有塗膜形成物には、金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を更に含むことが好ましい。塗膜中又は塗膜表面に上記金属粉末等を含むことで装飾性が高まる。このうち、金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属としてAuを用いることで、高い審美性が得られる。基材表面に金属コロイドを塗布等する方法としては、平版印刷、グラビア印刷、カルトン印刷、金属印刷、フォーム印刷、両面印刷、オーバープリント、インクジェット印刷、スクリーン印刷、スリットコート法、ディスペンサー法、スピンコート法、スプレイ法、ディッピング法、エアブラシ法等の方法が挙げられるが、上記方法に限られるものではなく、従来より知られている全ての方法を使用することができる。
【0023】
本発明において使用する金属コロイドにおいて、金属コロイド粒子を構成する保護剤中の窒素を含む原子団としては、アミノ基、アミド原子団及びイミド原子団からなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。金属コロイド粒子の製造方法は特に限定されず、金属コロイド粒子に対する上記結合構造が得られる製造方法であれば良いが、具体的な製法の一例としては、非水系において、アミノ基を含むアルコキシシランと金属化合物とを混合し、還元剤の存在下で金属化合物を還元することによって、アミノ基を含むアルコキシシランをアンカーとして上記アルコキシシランからなる保護剤が金属粒子表面に結合した金属コロイド粒子を得ることができる。非水系とは金属化合物の水溶液中で金属還元を行わずに、アミノ基含有アルコキシシランやアルコールなどの有機溶液中で金属化合物の金属還元を行うことを云う。従来の製造方法のように、水溶液中の還元反応によって金属コロイド粒子を生成させた後にアミノ基含有アルコキシシランを結合させる方法では、水中にアルコキシシランが曝されるため、加水分解の影響によって置換反応が進まない場合や、たとえ置換反応が進んでも、その後の加水分解によって安定性が損なわれ、本発明において使用する金属コロイド粒子を得るのは難しい。
【0024】
βジケトンなどのキレート剤を用いて、アルコキシシリル基がキレート剤によってキレート配位させた金属コロイド粒子は、加水分解反応を遅延させる効果があるため、更に安定性が増す。アルコキシシランは、1個又は2個のアミノ基を含有し、かつnが1以上〜3以下の有機鎖(−CH2−)nを有するものが好ましい。3個以上のアミノ基を有するアルコキシシランは有機鎖が長くなり、その結果、焼成後の色安定性に問題が発生するだけでなく、一般に合成が困難であり、高価である。また、有機鎖のnが3以上の場合にも有機鎖が長くなり熱安定性が減少する。具体的には、本発明で用いるアミノ基を有するアルコキシシランとしては、例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらの保護剤(アミノ基含有アルコキシシラン)の量は金属量に対してモル比で2倍から40倍であればよい。
【0025】
金属コロイド粒子を構成する金属粒子の金属種としては、例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Pd、Ni、Zn、Ru、Rh及びIrからなる群より選ばれた1種又は2種以上が挙げられる。これらの金属粒子を生成させる金属化合物としては、塩化金酸、シアン化金カリウム、塩化銀、硝酸銀、硫酸銀、シアン化銀、塩化白金酸、テトラクロロヘキサアミン白金、硝酸パラジウム、塩化パラジウム、塩化イリジウム酸、塩化イリジウム、塩化ルテニウム、硝酸ルテニウム、塩化ロジウム、硝酸ロジウム、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸銅、塩化亜鉛などの金属塩を用いることができる。還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、トリメチルアミンボラン、ジメチルアミンボラン、ターシャリーブチルアミンボラン、2級アミン、3級アミン次亜リン酸塩、グリセリン、アルコール、過酸化水素、ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、ホルムアルデヒド水溶液、酒石酸塩、ブドウ糖、N-N-ジエチルグリシンナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ガス、硫酸第1鉄などを用いることができる。
【0026】
金属コロイド粒子を構成する金属粒子の平均粒子径は1〜100nmの範囲内、好ましくは1〜80nmの範囲内である。また、金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuを主成分とするとき、Au粒子の平均粒子径は1〜60nmの範囲内が好適である。また、金属コロイド粒子の形状は球状、多角状又はアメーバ状を有する粒状粒子である。特に、本発明の金属コロイド粒子は、粒子径が例えば0.1nm以上〜60nm以下であるものは安定性に優れる。粒子径が60nmより大きいと自重によって自然沈降する現象が見られる。また粒子径が0.1nm未満では発色効果が小さくなる。
【0027】
本発明において使用する金属コロイドは高濃度とすることができる。従来の方法によって得られる金属コロイド濃度は概ね1重量%以下であるが、本発明において使用する金属コロイドは濃度10重量%以上の高濃度にすることができる。しかも、このような高濃度の金属コロイドにおいてもコロイド液が安定であり、前述したように粘度変化が小さい。例えば、金属粒子がAuを含む金属コロイドの場合、Au濃度は0.1重量%〜95重量%の範囲内で安定であり、分散媒には有機溶剤でも水でも扱うことができる。金属コロイド中のAu濃度は、10重量%〜60重量%の範囲内がより好ましい。本発明の金属コロイド含有塗膜形成物における形成膜は優れた耐熱性を有する。具体的には、加熱基準温度、例えば300℃〜400℃前後の加熱下に400時間保持しても色調の変化が2%以下と、色調が殆ど変化しない。
【0028】
本発明の金属コロイド含有塗膜形成物は、膜を形成する金属コロイドの成分である金属粒子がAu粒子を主成分とするとき、Au粒子が本来有する光沢色の色調を呈する。また、Auコロイド粒子を主成分とし、Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜は、ピンクゴールドの色調を呈する。
上記色調の識別はCIE 1976 L*a*b*色空間(測定用光源C:色温度6774K)によって識別可能であり、本発明のピンクゴールドの色調は、CIE 1976 L*a*b*色空間における明度指数L*値が25〜99であり、クロマティクネス指数a*値及びb*値がそれぞれ+10〜+25及び+0.1〜+60である。なお、CIE 1976 L*a*b*色空間とは、国際照明委員会(CIE)が1976年にCIE XYZ表色系を変換し、表色系内の一定距離がどの色の領域でもほぼ知覚的に等歩度の差をもつように定めた色空間である。また明度指数L*値,クロマティクネス指数a*値及びb*値は、CIE 1976 L*a*b*色空間内の直交座標系で定められる量であり、次の式(1)〜(3)で表される。
L*=116(Y/Y0)1/3−16 …(1)
a*=500[(X/X0)1/3−(Y/Y0)1/3] …(2)
b*=200[(Y/Y0)1/3−(Z/Z0)1/3] …(3)
但し、X/X0,Y/Y0,Z/Z0>0.008856であり、X,Y,Zは物体色の三刺激値であり、X0,Y0,Z0は物体色を照明する光源の三刺激値でY0=100に基準化されている。
【0029】
次いで、本発明の転写シートについて説明する。
本発明の転写シートは、前述した本発明の金属コロイド含有塗膜形成物に使用した金属コロイドを表面又は裏面のいずれか一方又はその双方が剥離処理された転写基板に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドから分散媒を除去して形成した金属コロイド含有塗膜を有することを特徴とする。転写基材表面に金属コロイドを塗布等する方法としては、平版印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、カルトン印刷、金属印刷、フォーム印刷、両面印刷、オーバープリント、インクジェット印刷、スクリーン印刷、スリットコート法、ディスペンサー法、スピンコート法、スプレイ法、ディッピング法、エアブラシ法等の方法が挙げられるが、上記方法に限られるものではなく、従来より知られている全ての方法を使用することができる。なお、転写基板と金属コロイド含有塗膜との間にアクリル樹脂等の表面保護層を更に含むことにより、転写した際の転写膜表面に表面保護層が形成される。また、金属コロイド含有塗膜表面にホットメルト型樹脂の接着剤層を更に含むことにより、転写した際の転写膜と基材表面との密着性が更に向上する。本発明の転写シートには、前述した本発明の金属コロイド含有塗膜形成物に使用した金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を金属コロイド含有塗膜中に含むことが好ましい。塗膜に上記金属粉末等を含むことで装飾性が高まる。このうち、金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属としてAuを用いることで、高い審美性が得られる。
【0030】
本発明の転写シートの金属コロイド含有塗膜を基材表面に転写させることで、表面に転写膜を有する金属コロイド含有塗膜形成物を得ることができる。転写を施す基材としては、ガラス、プラスチック、金属、木材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリート、石、繊維、紙及び皮革からなる材料群から選ばれた材質が挙げられる。具体的に基材を例示すれば、人工爪、天然毛、人工毛、宝飾品、プラスチックモデル、お守り袋や印鑑ケースなどの用途が挙げられる小物袋、名刺や記念カードなどの用途が挙げられるカード、色紙、人形、神仏像、位牌、衣服、織物及び額縁からなる群より選ばれた材質が挙げられる。なお、本発明における神仏像とは、世界中に存在するあらゆる宗教に関わる像のことを指し、何ら宗教の宗派に限定されるものではない。また基材が宝飾品であるとき、この宝飾品は貴金属粘土から作製されたものでもよい。また転写を施す基材には、金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を更に含むことが好ましい。基材に上記金属粉末等を含ませることで装飾性が高まる。このうち、金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属としてAuを用いることで、高い審美性が得られる。
【0031】
次に、本発明の導電膜付き基材について説明する。
本発明の導電膜付き基材は、前述した本発明の金属コロイド含有塗膜形成物に使用した金属コロイドを基材に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、金属コロイドを有する基材を所定の雰囲気下、15〜450℃の温度で1〜60分間保持することによって得られる。得られた導電膜の比抵抗は1×10-3Ω・cm以下の低抵抗となる。本発明の導電膜付き基材に使用する基材の材質等は特に限定されない。導電膜付き基材の形成方法としては、先ず、平版印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、カルトン印刷、金属印刷、フォーム印刷、両面印刷、オーバープリント、インクジェット印刷、スクリーン印刷、スリットコート法、ディスペンサー法、スピンコート法、スプレイ法、ディッピング法、エアブラシ法等の方法を用いて基材に金属コロイドを塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写する。次に、金属コロイドを有する基材を所定の雰囲気下、15〜450℃の温度で1〜60分間保持する。上記熱処理を施して金属コロイドに含まれる溶媒を取除くことによって、低抵抗を有する導電膜が形成される。本発明の導電膜付き基材は配線材として使用することができる。導電膜を形成するための条件としては、15℃以上350℃未満の温度では30分〜60分保持することが好ましい。上記温度範囲内で保持時間が30分未満であると、溶媒或いは保護剤の分解或いは脱離が不十分であるため、所望の導電性が発現しない場合がある。また保持時間が60分を越えても、得られる導電膜の比抵抗はさほど変わらないため、生産性やコストの面で好ましくない。また、350〜450℃の温度では1〜60分保持することが好ましい。上記温度範囲内で保持時間が1分未満であると、溶媒或いは保護剤の分解或いは脱離が不十分であるか、或いは焼結が不十分であるため、所望の導電性が発現しない場合がある。また保持時間が60分を越えても、得られる導電膜の比抵抗はさほど変わらないため、生産性やコストの面で好ましくない。
【0032】
次に、本発明のペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプルについて説明する。
本発明のペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプルは、前述した本発明の金属コロイド含有塗膜形成物に使用した金属コロイドをインクとして充填したことを特徴とするペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプルである。本発明に使用する金属コロイド中の金属コロイド粒子は、保護剤が窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に結合しているので金属コロイド液が安定であり、初期粘度に対する粘度変化が低いため、品質保持性に優れたペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプルとすることができる。また、金属コロイドをインクとして充填したペンは、インクを容器に移したりする手間がいらず、手軽に金属コロイドからなる文字や模様を描くのに非常に便利である。水性ボールペンや油性ボールペン、筆ペンとして使用することができる。なお、上記ペンの形式及び形態は限定されない。
【0033】
本発明のペン用カートリッジ及びこのペン用カートリッジを接続したペンの一例について説明する。
図20(a)に示すように、ペン用カートリッジ10は、下部が密閉された筒体11と、この筒体11上部に接合され、中心に連通孔が設けられた蓋部13及び蓋部13の連通孔に緩挿された球状の栓14から構成され、この筒体11内部に金属コロイド12が充填される。筒体11及び蓋部13は合成樹脂製が好ましく、球状の栓14は金属製が好ましい。ペン用カートリッジ10は、蓋部13が下方又は斜め下方に向いた状態で、緩挿された球状の栓14がカートリッジの内部に押し上げられることで、蓋部13と球状の栓14との間に隙間が生じ、この隙間から金属コロイドが重力によって流れ出るようになっている。
また図20(b)に示すように、このペン用カートリッジ10を組込んだペン20は、筒状の上部軸胴21と、上端が上部軸胴21の下端と接続可能な筒状の下部軸胴22と、下部軸胴22の他端に接続される穂先26から構成される。下部軸胴22の内壁にはペン用カートリッジ10を嵌挿し、蓋部13と接触して球状の栓14をペン用カートリッジ10内部に押上げる接続部23が設けられる。接続部23の内部には、ペン用カートリッジ10が接続部23に接続され、この接続部23により球状の栓14が押上げられた際に、重力によりカートリッジ10内部から流れ出る金属コロイドを含浸する芯部24が下部軸胴22の他端を突出して設けられる。下部軸胴22の他端に接続された穂先26は、芯部24に含浸した金属コロイドを先端から吐出するように構成される。上部軸胴21、下部軸胴22及び接続部23は合成樹脂製が好ましい。また芯部24は金属コロイドが含浸可能な細孔が形成された構造を有する合成樹脂が好ましい。
ペン20へのペン用カートリッジ10の接続は、カートリッジの蓋部13を接続部23にあて、この接続部23と栓14をペン用カートリッジ10内部に押込むことで接続される。その際に、カートリッジ10内部に充填された金属コロイド12は、蓋部13と球状の栓14との隙間から流れ出て芯部24に含浸され、この芯部24を通じて穂先26へと供給される。このように構成されたペン用カートリッジ10を接続したペンは、非常に描きやすく、なめらかに描画することができる。このペンは所望の基材に所望の文字を書いたり、模様を描いたりするのにも非常に便利であり、またペンを用いて描画した文字や模様は金属本来の持つ金属光沢の色調を発現し、光輝性に優れる。なお、上記ペン用カートリッジの形式及び形態は限定されない。
【0034】
ディスポーザブルアンプルとは、金属コロイドを充填し、容器上部を熱圧着することで、金属コロイドを封入している合成樹脂からなる使い捨て容器のことであり、充填された金属コロイドは蓋の部分を横方向に回転させることで容易に開封することができ、任意の容器に移して金属コロイドからなるインクとして使用可能である。このディスポーザブルアンプルを用いて小分けに金属コロイドを保管することで、使用する際には必要な分だけを開封すればよいので、高価な金属コロイドを無駄に劣化させることが少ないという点において非常に有効である。
【0035】
ディスポーザブルアンプルの一例について説明する。
図21に示すように、ディスポーザブルアンプル30は、下部が密閉された筒体31とこの筒体31上部に接合された切断部33と蓋部32とから構成される。切断部33は手動で切断可能なように筒体31及び蓋部32よりも幅が広くないように設けられる。筒体31、蓋部32及び切断部33は合成樹脂製が好ましい。ディスポーザブルアンプル30は、筒体31内部に金属コロイド34を充填した後に、切断部33及び蓋部32を熱圧着することで金属コロイド34が封入された構造を有する。
このように構成されたディスポーザブルアンプル30では、蓋部32を横方向に回転させることにより、蓋部32はテコの原理で切断部33から容易に切断することができ、この切断面が筒体31内部と連通する。この連通部から筒体31内部に充填された金属コロイドを取出して使用することができる。なお、上記ディスポーザブルアンプルの形式及び形態は限定されない。
【0036】
次に、本発明のスタンプ台及び印鑑台について説明する。
本発明のスタンプ台及び印鑑台は、前述した本発明の金属コロイド含有塗膜形成物に使用した金属コロイドをインクとして含浸したスタンプ台及び印鑑台である。所定の濃度に調製した金属コロイドを十分に染み込ませることでスタンプ台及び印鑑台として使用することができる。金属コロイドからなるスタンプ台又は印鑑台を用いて作製した模様には金属本来のもつ色調と金属光沢が現れる。更に、これらのスタンプ台又は印鑑台に含浸したインクを用いて描画された描画体としても利用することができる。
【0037】
更に、本発明のインクジェットプリンタを用いた描画体について説明する。
本発明のインクジェットプリンタを用いた描画体は、前述した本発明の金属コロイド含有塗膜形成物で使用した金属コロイドをインクとしてインクジェットプリンタを用いて描画されたことを特徴とする描画体である。金属コロイドをインクとしてインクジェットプリンタを用いて描画された描画体は、金本来のもつ色調と金属光沢が現れる。具体的には、先ず、印鑑やスタンプを用いて市販品の黒色インクにて表面に模様が施された紙、黒色ペンにて表面に文字及び模様が描画された色紙及び黒色インクを用いて手形及び足形をつけた色紙を用意する。次いで、画像走査装置(スキャナ)を用いてそれぞれの紙及び色紙表面を走査して、コンピュータ内に画像データとして取込む。次に、本発明の金属コロイドをインクとするインクジェットプリンタを使用して、取込んだ画像データを基に紙及び色紙に画像データを印刷する。本発明で使用する金属コロイドを用いて紙及び色紙に印刷した文字及び模様は、黒色で描画等された文字及び模様と同様の形状が得られ、更に金属本来の持つ金属光沢の色調を発現し、光輝性に優れる。
なお、この実施の形態では、画像走査装置(スキャナ)を用いてそれぞれの紙及び色紙表面を走査して、コンピュータ内に画像データとして取込んでからインクジェットプリンタを用いて印刷したが、それぞれの紙及び色紙のような原紙だけではなく、これらの原紙が写されている写真、これらの模様や文字等が掲載された印刷物や刊行物を画像走査装置(スキャナ)を用いて走査して、コンピュータ内に画像データとして取込んだり、画像データとなっているものを直接インクジェットプリンタで印刷することで描画体としてもよい。
【実施例】
【0038】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<合成1>
金属塩として塩化金酸を、保護剤前駆体としてγ-アミノプロピルトリエトキシシラン、アセチルアセトンを、還元剤としてジメチルアミンボランをそれぞれ用意した。先ず、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン8.00gとアセチルアセトン12.00gに、金濃度が4.0重量%になるように塩化金酸を溶解したメタノール液を徐々に投入して混合溶液を調製した。次に、この混合溶液に還元剤であるジメチルアミンボランを適量添加した。この混合溶液の調製は60℃に保温し、混合溶液をマグネチックスターラーで攪拌しながら行い、金属コロイド粒子が生成して赤色を呈するまで還元反応させた。次に、還元反応を終えた混合溶液を室温にまで冷却し、冷却後、混合溶液を限外濾過法により脱塩を行い、水を分散媒として金属コロイドを得た。この金属コロイドに水を適宜添加して濃度を調節し、Auコロイド粒子を水に分散させた濃度50重量%の金属コロイドを得た。
得られた金属コロイド中のAuコロイド粒子を構成する保護剤分子についてTOF−SIMS分析を行った。TOF−SIMS分析によりAuとCNからなるクラスターイオンが優勢に検出された。更に、NMR(C,H)の分析結果を併せることにより、保護剤分子は窒素によってAu粒子表面に配位修飾していることが判った。
【0039】
<合成2>
金属塩として塩化金酸を、保護剤前駆体として3-アミノエタノール、アセチルアセトンを、還元剤としてジメチルアミンボランをそれぞれ用意した。先ず、3-アミノエタノール9.00gとアセチルアセトン12.00gに、金濃度で4.0重量%になるように塩化金酸を溶解したメタノール液を徐々に投入して混合溶液を調製した。次に、この混合溶液に還元剤であるジメチルアミンボランを適量添加した。この混合溶液の調製は60℃に保温し、混合溶液をマグネチックスターラーで攪拌しながら行い、金属コロイド粒子が生成して赤色を呈するまで還元反応させた。次に、還元反応を終えた混合溶液を室温にまで冷却し、冷却後、混合溶液を限外濾過法により脱塩を行い、水を分散媒として金属コロイドを得た。この金属コロイドに水を適宜添加して濃度を調節し、Auコロイド粒子を水に分散させた濃度50重量%の金属コロイドを得た。
得られた金属コロイド中のAuコロイド粒子を構成する保護剤分子についてTOF−SIMS分析を行った。TOF−SIMS分析によりAuとCNからなるクラスターイオンが優勢に検出された。更に、NMR(C,H)の分析結果を併せることにより、保護剤分子は窒素によってAu粒子表面に配位修飾していることが判った。
【0040】
<合成3〜27>
金属塩、保護剤前駆体、還元剤及び分散媒の種類を次の表1及び表2に示す化合物にそれぞれ変更した以外は、合成1と同様にして各種金属コロイドを得た。
【0041】
<合成28〜42>
金属塩、保護剤前駆体、還元剤及び分散媒の種類を次の表2及び表3に示す化合物にそれぞれ変更し、混合溶液の調製温度を35℃にした以外は、合成1と同様にして各種金属コロイドを得た。なお、表1〜表3中の保護剤前駆体の種類欄において、記号(A)〜(N)で示される化合物を表4に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
<実施例1>
合成1〜42でそれぞれ得られた50重量%濃度の金属コロイドを用意し、この50重量%濃度の金属コロイドを用いて5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%及び40重量%にそれぞれ希釈した金属コロイドをそれぞれ調製した。また基材として、人工毛、人工まつ毛、プラスチックモデル、お守り袋、印鑑ケース、記念カード、招待カード、グリーティングカード、人形、仏像、位牌、額縁、衣服及び織物をそれぞれ用意した。次に、調製した金属コロイドを用いて人工毛にはエアブラシにて吹付ける方法により塗布し、人工まつ毛、プラスチックモデル、人形及び仏像には筆を用いて全体を塗布した。また位牌には筆で所望の文字を書き、額縁にはフレーム部分のみを筆で塗布し、記念カード、招待カード、グリーティングカード、お守り袋、印鑑ケース、衣服及び織物には筆で所望の文字又は模様を描画した。基材への塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を十分に除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜形成物を得た。金属コロイドを用いて表面に文字を書いた招待カードの写真を図1(a)に、金属コロイドを用いて表面を塗布した人形の写真を図1(b)にそれぞれ示す。
図1(a)及び図1(b)から明らかなように、得られた金属コロイド含有塗膜形成物は金属本来の持つ金属光沢色調を発現し、光輝性、デザイン性に優れていることが判る。
【0047】
<実施例2>
基材として、指輪、銀粘土から作られた指輪、ピアス、イヤリング、ブレスレッド、ネックレス、キーホルダー、かんざし、時計、髪留め、ブローチ及びネクタイピンをそれぞれ用意した。次に、実施例1で調製した金属コロイドを用いて指輪、銀粘土から作られた指輪、ピアス、イヤリング、ブレスレッド、ネックレス、キーホルダー及びかんざしには筆を用いて金コロイドを塗布した。また、実施例1で調製した金属コロイドを用いて時計、髪留め、ブローチ及びネクタイピンにはエアブラシにて吹付ける方法にて金コロイドを塗布した。基材への塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を十分に除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜形成物を得た。金属コロイドを用いて表示部以外の表面を塗布した指輪の写真を図2(a)に、金属コロイドを用いて表面を塗布したピアスの写真を図2(b)に、金属コロイドを用いて表面を塗布した時計の写真を図2(c)にそれぞれ示す。
図2(a)〜図2(c)から明らかなように、得られた金属コロイド含有塗膜形成物は金属本来の持つ金属光沢の色調を発現した、光輝性及びデザイン性に優れた宝飾品となることが判る。
【0048】
<実施例3>
実施例1で調製した金属コロイドと、天然爪及び人工爪をそれぞれ用意した。図3に示すマニキュア用筆を用いて金属コロイドを塗布する方法により、天然爪及び人工爪表面に金属コロイドを塗布した。塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜形成物を得た。塗布法により表面に金属コロイド含有塗膜を形成した天然爪を図4に示す。
図4より明らかなように、天然爪表面に形成した金属コロイド含有塗膜は、金本来の持つ金光沢の色調を発現し、金属鏡面を有した平滑性に優れた膜となることが判る。
【0049】
<実施例4>
図5に示すマニキュア用エアブラシを用いて金属コロイドを吹付ける方法により、天然爪表面及び人工爪表面に実施例1で調製した金属コロイドを吹付けた。吹付け後は、ドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜形成物を得た。吹付け法により表面に金属コロイド含有塗膜を形成した天然爪を図6に示す。
図6より明らかなように、天然爪表面に形成した金属コロイド含有塗膜は、金本来の持つ金光沢の色調を発現しているが、前述した実施例3の筆で塗布して形成した塗膜とは異なり、艶消し(mat)された光沢を有し、かつ平滑性に優れた塗膜が得られていることが判る。
【0050】
<実施例5>
実施例3と同様にマニキュア用筆を用いて天然爪表面及び人工爪表面に実施例1で調製した金属コロイドを塗布した。塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜形成物を得た。得られた形成物の金属コロイド含有塗膜の上からトップコート剤を塗布して重ね塗りすることにより、トップコーティングして金属コロイド含有塗膜を剥がれ難くした。人工爪表面に形成した金属コロイド含有塗膜は、実施例3で得られた塗膜と同様に金本来の持つ金光沢の色調を発現し、更には金属鏡面を有した平滑性に優れた塗膜であった。
【0051】
<実施例6>
先ず、人工爪を用意し、この人工爪表面にアンダーコート剤を塗布してアンダーコート層を形成した。次に、実施例3と同様にマニキュア用筆を用いてアンダーコート層表面に実施例1で調製した金属コロイドを塗布した。塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜形成物を得た。人工爪表面に形成した金属コロイド含有塗膜は、実施例3及び実施例5で得られた塗膜と同様に金本来の持つ金光沢の色調を発現し、更には金属鏡面を有した、平滑性に優れた塗膜となった。
【0052】
<実施例7>
先ず、人工爪を用意し、この人工爪表面にアンダーコート剤を塗布してアンダーコート層を形成した。次に、実施例3と同様にマニキュア用筆を用いてアンダーコート層表面に実施例1で調製した金属コロイドを塗布した。塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜形成物を得た。次に形成した金属コロイド含有塗膜の上からトップコート剤を塗布して重ね塗りすることにより、トップコーティングして金属コロイド含有塗膜を剥がれ難くした。人工爪表面に形成した金属コロイド含有塗膜は実施例3、実施例5及び実施例6で得られた塗膜と同様に金本来の持つ金光沢の色調を発現し、更には金属鏡面を有した、平滑性に優れた塗膜となった。
【0053】
<実施例8>
金属コロイドを塗布する際に、エアブラシを用いて爪の先だけに塗布した以外は実施例7と同様にして金属コロイド含有塗膜を人工爪表面に形成した。また、金属コロイドを塗布する際に、マニキュア用筆で爪表面に所望の模様を描いた以外は実施例7と同様にして金属コロイド含有塗膜を人工爪表面に形成した。爪の先だけにエアブラシを用いて塗布した人工爪及びマニキュア用筆で爪表面に所望の模様を描いた人工爪は実施例3〜7と同様に金属本来の持つ金属本来の色調を発現しているだけでなく、非常にデザイン性に優れていた。
【0054】
<実施例9>
実施例1で調製した金属コロイドに、平均粒径が1〜10nmの金属微粒子を0.5%〜3%含有した以外は実施例7と同様にして金属コロイド含有塗膜を人工爪表面に形成した。人工爪表面に形成した金属コロイド含有塗膜はピンクゴールドの色調を発現し、非常にデザイン性に優れていた。
【0055】
<実施例10>
先ず、人工爪表面にアンダーコート剤を塗布乾燥してアンダーコート層を形成した。次いで、実施例3と同様にマニキュア用筆を用いてアンダーコート層表面に実施例1で調製した金属コロイドを塗布した。塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜形成物を得た。次に、形成した金属コロイド含有塗膜の上からトップコート剤を塗布し、トップコート剤が完全に乾燥する前に、所望の箇所に素材としてラメ剤を振りかけ、更にダイヤモンド天然石及びピンクサファイヤ天然石を散りばめ、上から押し付けるようにして定着させ、ドライヤーの風をあててトップコート剤を乾燥させることでそれら素材を固定化した。更にトップコート剤を塗布することにより素材の固定化を強固にした。金属コロイド含有塗膜を形成した人工爪を図7に示す。
図7より明らかなように、金属コロイド含有塗膜とラメ剤、ダイヤモンドやピンクサファイヤの天然宝石を組合わせることで光輝性及びデザイン性が向上していることが判る。
【0056】
<実施例11>
先ず、マニキュア用筆を用いて人工爪の先だけに実施例1で調製した金属コロイドを塗布した。塗布後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜形成物を得た。次に、形成した金属コロイド含有塗膜の上からトップコート剤を塗布し、トップコート剤が完全に乾燥する前に、所望の箇所に素材としてルビー、ダイヤモンド及びサファイヤ天然石を並べて、上から押し付けるようにして定着させ、ドライヤーの風をあててトップコート剤を乾燥させることでそれら素材を固定化した。更にトップコート剤を塗布することにより素材の固定化を強固にした。得られた金属コロイド含有塗膜を形成した人工爪を図8に示す。
図8より明らかなように、爪の先だけに形成した金属コロイド含有塗膜とルビー、ダイヤモンド及びサファイヤの天然宝石を組合わせることで光輝性及びデザイン性が向上していることが判る。
【0057】
<実施例12>
先ず、マニキュア用筆を用いて人工爪表面に実施例1で調製した金属コロイドで所望の模様を描いた。描画後はドライヤーの風をあてて金属コロイド中の分散媒を除去することにより乾燥させて金属コロイド含有塗膜形成物を得た。次に、形成した金属コロイド含有塗膜の上からトップコート剤を爪表面全面に塗布し、トップコート剤が完全に乾燥する前に、所望の箇所に素材として金箔粉末、ダイヤモンド天然石及びピンクサファイヤ天然石を散りばめ、上から押し付けるようにして定着させ、ドライヤーの風をあててトップコート剤を乾燥させることでそれら素材を固定化した。更にトップコート剤を塗布することにより素材の固定化を強固にした。金属コロイド含有塗膜と金箔粉末、ダイヤモンド及びピンクサファイヤの天然宝石を組合わせることで光輝性及びデザイン性が向上した。
【0058】
<実施例13>
先ず、図9に示すように、離形性合成紙からなる基材2の片面にアクリル樹脂からなるコーティング液を塗布し、表面保護層4を形成した。次に、この表面保護層4の上に実施例1で調製した金コロイドを塗布し、金属コロイド含有塗膜層5を形成した。更に、金属コロイド含有塗膜層5の上にホットメルト型樹脂からなるコーティング液を塗布することにより接着剤層6を形成し、基材2上に、表面保護層4、金属コロイド含有塗膜層5及び接着剤層6からなる転写層3が形成された転写シート1を作製した。
【0059】
<実施例14>
インクジェットプリンタにより文字や模様を描画して金属コロイド含有塗膜層5を形成した以外は実施例13と同様にして転写シートを作製した。
【0060】
<実施例15>
実施例13及び実施例14の転写シートを用いて紙、衣類、皮革及びガラスに熱圧転写することにより、表面に金属コロイド含有塗膜を形成した金属コロイド含有塗膜形成物を得た。金属コロイド含有塗膜は金属本来の持つ金属光沢の色調を発現し、光輝性に優れていた。また塗膜を指で擦っても剥離しなかった。なお、熱圧転写方法は従来より公知の方法により行うことが可能である。
【0061】
<実施例16>
150mm×150mm×1mmのプラズマ処理済みガラスシートを用意し、実施例1の合成11で得られた50重量%濃度Auコロイドをインクジェットプリンタのインクタンクに入れてガラスシート上に線幅約2mm、長さ100mmの黄金光沢色の線を5本描画した。描画したガラスシートを室温で乾燥した後、ガラスシート上に得られた黄金光沢色の線の電気抵抗値を測定したところ、その測定値は比抵抗9.8×10-6Ω・cmであった。
<実施例17>
実施例16で得られた描画したガラスシートを大気中300℃の温度で10分間保持して焼成した後、ガラスシート上に得られた黄金光沢色の線の電気抵抗値を測定したところ、その測定値は比抵抗2.7×10-6Ω・cmであった。
【0062】
<実施例18>
50mm×50mm×1.0mmのアルミナシートを2枚用意し、実施例1の合成28,29で得られた50重量%濃度Auコロイドを用いてスクリーン印刷を施してアルミナシート表面の10mm×25mmの範囲にそれぞれ塗膜を形成させた。塗膜を形成したアルミナシートを大気中25℃で1時間自然乾燥した。得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、合成28のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、7.7×10-6Ω・cmであり、合成29のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、9.2×10-6Ω・cmであった。
<実施例19>
50mm×50mm×1.0mmのアルミナシートを2枚用意し、実施例1の合成30で得られた50重量%濃度Auコロイドを用いてオフセット印刷を施して2枚のアルミナシート表面の10mm×25mmの範囲にそれぞれ塗膜を形成させた。一方の塗膜を形成したアルミナシートを大気中25℃で1時間自然乾燥した。他方の塗膜を形成したアルミナシートを大気中450℃で1分焼成した後、自然冷却させた。室温まで冷却した後、得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、自然乾燥した塗膜の抵抗値は、8.8×10-6Ω・cmであり、焼成した塗膜の抵抗値は、2.5×10-6Ω・cmであった。
【0063】
<実施例20>
50mm×50mm×1.0mmのガラスシートを2枚用意し、実施例1の合成31で得られた50重量%濃度Auコロイドを用いてスプレー塗布を施してガラスシート表面の10mm×25mmの範囲にそれぞれ塗膜を形成させた。一方の塗膜を形成したガラスシートを大気中15℃で30分間自然乾燥した。他方の塗膜を形成したガラスシートを大気中350℃で1分焼成した後、自然冷却させた。室温まで冷却した後、得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、自然乾燥した塗膜の抵抗値は、3.5×10-5Ω・cmであり、焼成した塗膜の抵抗値は、3.7×10-6Ω・cmであった。
<実施例21>
50mm×50mm×1.0mmのガラスシートを用意し、実施例1の合成32で得られた50重量%濃度Auコロイドを用いて回転速度200rpm、3分間の条件でスピンコートを施してガラスシート表面に塗膜を形成させた。塗膜を形成したガラスシートを大気中25℃で1時間自然乾燥した。得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、その抵抗値は、7.1×10-6Ω・cmであった。
【0064】
<実施例22>
50mm×50mm×1.0mmのアルミナシートを4枚用意し、実施例1の合成33,34,35並びに36で得られた50重量%濃度Auコロイドを用いてスリットコート印刷を施してアルミナシート表面の10mm×25mmの範囲にそれぞれ塗膜を形成させた。塗膜を形成したアルミナシートを大気中25℃で1時間自然乾燥した。得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、合成33のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、1.7×10-5Ω・cmであり、合成34のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、9.1×10-6Ω・cmであり、合成35のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、1.6×10-5Ω・cmであり、合成36のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、8.7×10-6Ω・cmであった。
<実施例23>
50mm×50mm×1.0mmのアルミナシートを5枚用意し、実施例1の合成37,38,39,40並びに41で得られた50重量%濃度Auコロイドを用いてスクリーン印刷を施してアルミナシート表面の10mm×25mmの範囲にそれぞれ塗膜を形成させた。塗膜を形成したアルミナシートを大気中40℃で1時間自然乾燥した。得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、合成37のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、5.7×10-6Ω・cmであり、合成38のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、5.1×10-6Ω・cmであり、合成39のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、6.6×10-5Ω・cmであり、合成40のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、7.0×10-6Ω・cmであり、合成41のコロイドを用いた塗膜の抵抗値は、5.7×10-5Ω・cmであった。
<実施例24>
50mm×50mm×1.0mmのアルミナシートを用意し、実施例1の合成42で得られた50重量%濃度Agコロイドを用いてスクリーン印刷を施してアルミナシート表面の10mm×25mmの範囲に塗膜を形成させた。塗膜を形成したアルミナシートを大気中60℃で30分間自然乾燥した。得られた塗膜の電気抵抗値を測定したところ、その抵抗値は、4.1×10-6Ω・cmであった。
【0065】
<実施例25>
図10(a)に示すように、下部が密閉された筒体11と、この筒体11上部に接合され、中心に連通孔が設けられた蓋部13及び蓋部13の連通孔に緩挿された球状の栓14から構成され、この筒体11内部に実施例1で調製した金属コロイド12が充填されたペン用カートリッジ10を用意した。
また図10(b)に示すように、このペン用カートリッジ10を組み込むペン20を用意した。このペン20は、筒状の上部軸胴21と、上端が上部軸胴21の下端と接続可能な筒状の下部軸胴22と、下部軸胴22の他端に接続される穂先26から構成され、下部軸胴22の内壁にはペン用カートリッジ10を嵌挿し、蓋部13と接触して球状の栓14をペン用カートリッジ10内部に押し上げる接続部23が設けられている。また接続部23の内部には、ペン用カートリッジ10が接続部23に接続され、この接続部23により球状の栓14が押し上げられた際に、重力によりカートリッジ10内部から流れ出る金属コロイドを含浸する芯部24が下部軸胴22の他端を突出して設けられている。更に下部軸胴22の他端に接続された穂先26は、芯部24に含浸した金属コロイドを先端から吐出するように構成されている。
【0066】
ペン20へのペン用カートリッジ10の接続は、カートリッジの蓋部13を接続部23にあて、この接続部23と栓14をペン用カートリッジ10内部に押込むことにより接続した。その際に、カートリッジ10内部に充填された金属コロイド12は、蓋部13と球状の栓14との隙間から流れ出て芯部24に含浸され、この芯部24を通じて穂先26へと供給された。このように構成されたペン用カートリッジ10を接続したペンは、非常に描きやすく、なめらかに描画することができた。このペンは所望の基材に所望の文字を書いたり、模様を描いたりするのにも非常に便利であり、またペンを用いて描画した文字や模様は金属本来の持つ金属光沢の色調を発現し、光輝性に優れていた。
【0067】
<実施例26>
図11に示すように、下部が密閉された筒体31とこの筒体31上部に接合された切断部33と蓋部32とから構成され、切断部33は手動で切断可能なように筒体31及び蓋部32よりも幅が広くないように設けられ、筒体31内部に実施例1で調製した金属コロイド34を充填した後に、切断部33及び蓋部32を熱圧着することで金属コロイド34が封入された構造を有するディスポーザブルアンプル30を用意した。
このように構成されたディスポーザブルアンプル30では、蓋部32を横方向に回転させることにより、蓋部32はテコの原理で切断部33から容易に切断することができ、この切断面が筒体31内部と連通した。この連通部から筒体31内部に充填された金属コロイドを取出して使用することができた。
【0068】
<実施例27>
実施例1で調製した金属コロイドを20重量%濃度に調製した。この金属コロイドを十分に染み込ませることでスタンプ台及び印鑑台を作製した。それらの写真を図12(a)に示す。また、それらを用いて模様を施したカードもあわせて図12(b)に示す。図12(b)より明らかなように、金属コロイドからなるスタンプ台又は印鑑台を用いて作製した模様には金本来のもつ色調と金属光沢が現れた。
【0069】
<実施例28>
実施例1で調製した金属コロイドを20重量%濃度に調製した。また基材として紙、皮革及び木材を用意した。この金属コロイドを用いてインクジェットプリンタ装置にて描画試験を行った。紙としては表面に文字や模様を描画して名刺、グリーティングカード、記念カード及び招待カードを作成し、皮革としては革の財布に描画した。また、木材としては位牌に所望の文字を描画した。インクジェットプリンタ装置で描画して金属コロイド含有塗膜を形成したグリーティングカードを図13(a)に、インクジェットプリンタ装置で描画して金属コロイド含有塗膜を形成した位牌を図13(b)にそれぞれ示す。図13(a)及び図13(b)より明らかなように、金属コロイドを用いてインクジェット装置により描画した模様には金本来のもつ色調と金属光沢が現れた。
【0070】
<実施例29>
実施例1で調製した金属コロイドをインクとして筆で色紙に文字と模様を描画した。この文字と模様は金属本来の持つ金属光沢の色調を発現し、光輝性に優れていた。なお、文字や模様を描画する際は、前述した実施例25で示した金属コロイドをインクとして充填したペンを用いてもよい。
【0071】
<実施例30>
実施例1で調製した金属コロイドをインクとして、色紙に手形及び足形をとった。その手形及び足形は金属本来の持つ金属光沢の色調を発現し、光輝性に優れていた。
【0072】
<実施例31>
先ず、印鑑やスタンプを用いて市販品の黒色インクにて表面に模様が施された紙、黒色ペンにて表面に文字及び模様が描画された色紙及び黒色インクを用いて手形及び足形をつけた色紙を用意した。次いで、画像走査装置(スキャナ)を用いてそれぞれの紙及び色紙表面を走査して、コンピューター内に画像データとして取り込んだ。次に、実施例1で調製した金属コロイドをインクとするインクジェットプリンタを使用して、取り込んだ画像データを基に紙及び色紙に画像データを印刷した。本発明の金属コロイドを用いて紙及び色紙に印刷した文字及び模様は、黒色で描画等された文字及び模様と同様の形状が得られており、更に金属本来の持つ金属光沢の色調を発現し、光輝性に優れていた。
【0073】
なお、この実施例31では、画像走査装置(スキャナ)を用いてそれぞれの紙及び色紙表面を走査して、コンピューター内に画像データとして取り込んでからインクジェットプリンタを用いて印刷したが、それぞれの紙及び色紙のような原紙だけではなく、これらの原紙が写されている写真、これらの模様や文字等が掲載された印刷物や刊行物を画像走査装置(スキャナ)を用いて走査して、コンピューター内に画像データとして取り込んだり、画像データとなっているものを直接インクジェットプリンタで印刷してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1(a)】金属コロイドを用いて表面に文字を書いた記念カードの写真図。
【図1(b)】金属コロイドを用いて表面を塗布した人形の写真図。
【図2(a)】金属コロイドを用いて表面を塗布した指輪の写真図。
【図2(b)】金属コロイドを用いて表面を塗布したピアスの写真図。
【図2(c)】金属コロイドを用いて表面を塗布した時計の写真図。
【図3】実施例3のマニキュア用筆を用いた金属コロイドの塗布方法を示す写真図。
【図4】図3の塗布方法により表面に金属コロイド含有塗膜を形成した指の爪の写真図。
【図5】実施例4のマニキュア用エアブラシを用いた金属コロイドの吹付け方法を示す写真図。
【図6】図5の吹付け方法により表面に金属コロイド含有塗膜を形成した指の爪の写真図。
【図7】実施例10の表面に金属コロイド含有塗膜、ラメ剤、ダイヤモンド及びピンクサファイヤの天然宝石を組合わせて形成した人工爪の写真図。
【図8】実施例11の表面に金属コロイド含有塗膜、ルビー、ダイヤモンド及びサファイヤの天然宝石を組合わせて形成した人工爪の写真図。
【図9】実施例13の転写シートの断面図。
【図10(a)】実施例25の金属コロイドをインクとして充填したペン用カートリッジの断面図。
【図10(b)】実施例25のペン用カートリッジを接続したペンの断面図。
【図11】実施例26のディスポーザブルアンプルの断面図。
【図12(a)】実施例27の金属コロイドを染み込ませて作製したスタンプ台及び印鑑台の写真図。
【図12(b)】図12(a)の印鑑台を用いて模様を施した記念カードの写真図。
【図13(a)】実施例28のインクジェットプリンタ装置で描画して金属コロイド含有塗膜を形成したグリーティングカードの写真図。
【図13(b)】実施例28のインクジェットプリンタ装置で描画して金属コロイド含有塗膜を形成した位牌の写真図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属コロイド粒子が金属粒子と前記粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、前記保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ前記窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、
前記保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、
前記金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドを基材表面に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成したことを特徴とする金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項2】
基材がガラス、プラスチック、金属、木材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリート、石、繊維、紙及び皮革からなる群より選ばれた材質である請求項1記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項3】
基材が人工爪、天然毛、人工毛、宝飾品、プラスチックモデル、小物袋、カード、色紙、人形、神仏像、位牌、衣服、織物及び額縁からなる群より選ばれた材質である請求項1又は2記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項4】
基材が宝飾品であって、前記宝飾品が貴金属粘土から作製された請求項3記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項5】
金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を更に含む請求項1ないし4いずれか1項に記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項6】
金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属がAuである請求項5記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項7】
金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である請求項1ないし6いずれか1項に記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項8】
Auコロイド粒子を主成分とし、前記Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する請求項1ないし7いずれか1項に記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項9】
金属コロイド粒子が金属粒子と前記粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、前記保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ前記窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、
前記保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、
前記金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドを表面又は裏面のいずれか一方又はその双方が剥離処理された転写基板に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成した金属コロイド含有塗膜を有することを特徴とする転写シート。
【請求項10】
金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を金属コロイド含有塗膜中に含む請求項9記載の転写シート。
【請求項11】
金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属がAuである請求項10記載の転写シート。
【請求項12】
金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である請求項9ないし11いずれか1項に記載の転写シート。
【請求項13】
Auコロイド粒子を主成分とし、前記Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する請求項9ないし12いずれか1項に記載の転写シート。
【請求項14】
基材表面に請求項9ないし13いずれか1項に記載の転写シートから転写された転写膜を有する金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項15】
転写を施す基材が、ガラス、プラスチック、金属、木材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリート、石、繊維、紙及び皮革からなる材料群から選ばれた材質である請求項14記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項16】
基材が人工爪、天然毛、人工毛、宝飾品、プラスチックモデル、小物袋、カード、色紙、人形、神仏像、位牌、衣服、織物及び額縁からなる群より選ばれた材質である請求項14又は15記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項17】
基材が宝飾品であって、前記宝飾品が貴金属粘土から作製された請求項16記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項18】
金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を更に含む請求項14ないし17いずれか1項に記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項19】
金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属がAuである請求項18記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項20】
金属コロイド粒子が金属粒子と前記粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、前記保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ前記窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、
前記保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、
前記金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドを基材に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドを有する基材を所定の雰囲気下、15〜450℃の温度で1〜60分間保持することによって得られる比抵抗1×10-3Ω・cm以下の導電膜付き基材。
【請求項21】
金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である請求項20記載の導電膜付き基材。
【請求項22】
Auコロイド粒子を主成分とし、前記Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する請求項20又は21記載の導電膜付き基材。
【請求項23】
金属コロイド粒子が金属粒子と前記粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、前記保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ前記窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、
前記保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、
前記金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドをインクとして充填したペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプル。
【請求項24】
金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である請求項23記載のペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプル。
【請求項25】
Auコロイド粒子を主成分とし、前記Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する請求項23又は24記載のペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプル。
【請求項26】
金属コロイド粒子が金属粒子と前記粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、前記保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ前記窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、
前記保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、
前記金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドをインクとして含浸したスタンプ台及び印鑑台。
【請求項27】
金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である請求項26記載のスタンプ台及び印鑑台。
【請求項28】
Auコロイド粒子を主成分とし、前記Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する請求項26又は27記載のスタンプ台及び印鑑台。
【請求項29】
請求項26ないし28いずれか1項に記載のスタンプ台又は印鑑台に含浸したインクを用いて描画された描画体。
【請求項30】
金属コロイド粒子が金属粒子と前記粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、前記保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ前記窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、
前記保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、
前記金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドをインクとしてインクジェットプリンタを用いて描画された描画体。
【請求項31】
金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である請求項30記載の描画体。
【請求項32】
Auコロイド粒子を主成分とし、前記Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する請求項30又は31記載の描画体。
【請求項1】
金属コロイド粒子が金属粒子と前記粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、前記保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ前記窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、
前記保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、
前記金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドを基材表面に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成したことを特徴とする金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項2】
基材がガラス、プラスチック、金属、木材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリート、石、繊維、紙及び皮革からなる群より選ばれた材質である請求項1記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項3】
基材が人工爪、天然毛、人工毛、宝飾品、プラスチックモデル、小物袋、カード、色紙、人形、神仏像、位牌、衣服、織物及び額縁からなる群より選ばれた材質である請求項1又は2記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項4】
基材が宝飾品であって、前記宝飾品が貴金属粘土から作製された請求項3記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項5】
金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を更に含む請求項1ないし4いずれか1項に記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項6】
金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属がAuである請求項5記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項7】
金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である請求項1ないし6いずれか1項に記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項8】
Auコロイド粒子を主成分とし、前記Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する請求項1ないし7いずれか1項に記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項9】
金属コロイド粒子が金属粒子と前記粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、前記保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ前記窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、
前記保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、
前記金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドを表面又は裏面のいずれか一方又はその双方が剥離処理された転写基板に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成した金属コロイド含有塗膜を有することを特徴とする転写シート。
【請求項10】
金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を金属コロイド含有塗膜中に含む請求項9記載の転写シート。
【請求項11】
金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属がAuである請求項10記載の転写シート。
【請求項12】
金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である請求項9ないし11いずれか1項に記載の転写シート。
【請求項13】
Auコロイド粒子を主成分とし、前記Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する請求項9ないし12いずれか1項に記載の転写シート。
【請求項14】
基材表面に請求項9ないし13いずれか1項に記載の転写シートから転写された転写膜を有する金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項15】
転写を施す基材が、ガラス、プラスチック、金属、木材、タイルを含むセラミック、セメント、コンクリート、石、繊維、紙及び皮革からなる材料群から選ばれた材質である請求項14記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項16】
基材が人工爪、天然毛、人工毛、宝飾品、プラスチックモデル、小物袋、カード、色紙、人形、神仏像、位牌、衣服、織物及び額縁からなる群より選ばれた材質である請求項14又は15記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項17】
基材が宝飾品であって、前記宝飾品が貴金属粘土から作製された請求項16記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項18】
金属粉末、金属箔、金属微粒子、光沢剤、ラメ剤、色紙片、天然宝石及び人工宝石からなる群より選ばれた1種又は2種以上を更に含む請求項14ないし17いずれか1項に記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項19】
金属粉末、金属箔又は金属微粒子に用いられる金属がAuである請求項18記載の金属コロイド含有塗膜形成物。
【請求項20】
金属コロイド粒子が金属粒子と前記粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、前記保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ前記窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、
前記保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、
前記金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドを基材に塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドを有する基材を所定の雰囲気下、15〜450℃の温度で1〜60分間保持することによって得られる比抵抗1×10-3Ω・cm以下の導電膜付き基材。
【請求項21】
金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である請求項20記載の導電膜付き基材。
【請求項22】
Auコロイド粒子を主成分とし、前記Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する請求項20又は21記載の導電膜付き基材。
【請求項23】
金属コロイド粒子が金属粒子と前記粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、前記保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ前記窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、
前記保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、
前記金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドをインクとして充填したペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプル。
【請求項24】
金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である請求項23記載のペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプル。
【請求項25】
Auコロイド粒子を主成分とし、前記Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する請求項23又は24記載のペン、筆ペン、ペン用カートリッジ及びディスポーザブルアンプル。
【請求項26】
金属コロイド粒子が金属粒子と前記粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、前記保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ前記窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、
前記保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、
前記金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドをインクとして含浸したスタンプ台及び印鑑台。
【請求項27】
金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である請求項26記載のスタンプ台及び印鑑台。
【請求項28】
Auコロイド粒子を主成分とし、前記Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する請求項26又は27記載のスタンプ台及び印鑑台。
【請求項29】
請求項26ないし28いずれか1項に記載のスタンプ台又は印鑑台に含浸したインクを用いて描画された描画体。
【請求項30】
金属コロイド粒子が金属粒子と前記粒子表面に配位修飾した保護剤とにより構成され、前記保護剤が分子中に窒素を含む炭素骨格を有し、かつ前記窒素又は窒素を含む原子団をアンカーとして金属粒子表面に配位修飾した構造を有し、
前記保護剤がアルコキシシリル基、シラノール基及びハイドロキシアルキル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上の官能基を分子構造に含み、
前記金属コロイド粒子を水系又は非水系のいずれか一方の分散媒又はその双方を混合した分散媒に所定の割合で混合して分散させた金属コロイドをインクとしてインクジェットプリンタを用いて描画された描画体。
【請求項31】
金属コロイド粒子を構成する金属粒子がAuであり、平均粒子径が1〜60nmの範囲である請求項30記載の描画体。
【請求項32】
Auコロイド粒子を主成分とし、前記Auコロイド粒子以外に平均粒子径が1〜10nmの金属粒子が0.1〜10%含まれる金属コロイド粒子を分散媒に分散させた金属コロイドを用いて塗布、吹付け、印刷、吐出又は転写した後、前記金属コロイドから分散媒を除去して形成した塗膜がピンクゴールドの色調を呈する請求項30又は31記載の描画体。
【図9】
【図1(a)】
【図1(b)】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図2(c)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図11】
【図12(a)】
【図12(b)】
【図13(a)】
【図13(b)】
【図1(a)】
【図1(b)】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図2(c)】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図11】
【図12(a)】
【図12(b)】
【図13(a)】
【図13(b)】
【公開番号】特開2006−76283(P2006−76283A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−108966(P2005−108966)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【出願人】(597065282)株式会社ジェムコ (151)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【出願人】(597065282)株式会社ジェムコ (151)
【Fターム(参考)】
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