金属化フィルムおよびそれを含む物品
金属化フィルムおよび金属化フィルムを含む物品を開示している。金属化フィルムは、金属層が2つの架橋されたポリマー層と接触しかつそれらの間に配置されている、複数層を含むことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属化フィルムおよびそれを含む物品、ならびに金属化フィルムおよび金属化フィルムを含む物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属化フィルムは、発動機付き乗り物、ボート、家具、建築材料、家庭電化製品、標示板などのさまざまな工業品や消費財に取り付けることのできる立体装飾用品を作るのに広く使用されている。これらの装飾用品または機能物品(functional articles)は金属の対応品の代わりに用いることができ、その結果、軽量化、製造費の低減、耐候性の向上、デザインの柔軟性、別の物理的または機械的性質、およびより鮮明な細部装飾の少なくとも1つがもたらされる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、金属化フィルムおよび少なくとも1つの金属化フィルムを含む物品に関する。金属化フィルムは幾つかの個別の層を含み、それらの各々は1つまたは複数の特徴を、得られた金属化フィルムまたは金属化フィルムを含んでいる物品に与える。例えば、本発明の1つの実施態様では、金属化フィルムは、(i)少なくとも一部が架橋された第1ポリマーを含んでいるポリマープライマー層、(ii)少なくとも一部が架橋された第2ポリマーを含んでいるポリマー保護層、および(iii)ポリマープライマー層とポリマー保護層との間の金属層を含む。
【0004】
本発明の別の例示的実施態様では、金属化フィルムは、少なくとも一部が架橋されている第1ポリマーを含むポリマープライマー層と、少なくとも一部が架橋されている第2ポリマーを含むポリマー保護層と、ポリマープライマー層とポリマー保護層との間にある金属層とを含み、(i)ポリマープライマー層が金属層の反対側に外側接着剤表面を有するかまたは(ii)金属化フィルムが金属層の反対側のポリマープライマー層上に接着剤層をさらに含み、その接着剤層がポリマープライマー層の反対側に外側接着剤表面を有する。ポリマープライマー層の外側接着剤表面は室温で粘着性があってよく(例えば、感圧接着剤(PSA))、あるいは加熱後に粘着性を有するものでもよい(例えば、熱活性化可能接着剤)。1つの例示的実施態様では、ポリマープライマー層の外側接着剤表面は感圧接着剤(PSA)である。
【0005】
金属化フィルムが接着剤層をさらに含む一部の実施態様では、接着剤層は感圧接着剤(PSA)層、熱活性化可能接着剤層(例えば、ホットメルト接着剤層)、またはそれらの組合わせであってよい。他の実施態様では、接着剤層は熱硬化性接着剤または熱硬化性PSAであってよい。接着剤層が感圧接着剤(PSA)層を含む場合、金属化フィルムは、感圧接着剤層の露出外面を一時的に保護するためのはく離ライナーをさらに含むことができる。
【0006】
本発明のさらに別の例示的実施態様では、金属化フィルムは、(i)少なくとも一部が架橋されている第1ポリマーを含むポリマープライマー層と、(ii)少なくとも一部が架橋されている第2ポリマーを含むポリマー保護層と、(iii)ポリマープライマー層とポリマー保護層との間にある金属層と、(iv)金属層の反対側にあるポリマープライマー層上の感圧接着剤(PSA)層とを含む。この例示的実施態様では、金属化フィルムは、感圧接着剤(PSA)層の露出外面を一時的に保護するためのはく離ライナーをさらに含んでもよい。
【0007】
本発明はまた、上述の例示的金属化フィルムなどの少なくとも1つの金属化フィルムを含む製品に関する。(i)少なくとも一部が架橋されている第1ポリマーを含むポリマープライマー層、(ii)少なくとも一部が架橋されている第2ポリマーを含むポリマー保護層、(iii)ポリマープライマー層とポリマー保護層との間にある金属層、および(iv)金属層の反対側にあるポリマープライマー層上の接着剤層に加えて、本発明の物品は、1つまたは複数の追加層を含んでもよく、その追加層としては追加の接着剤層、1つまたは複数のはく離ライナー、追加のポリマー保護層、追加のポリマープライマー層、熱成形可能層、1つまたは複数の永久取り付け基材、およびそれらの組合わせがあるが、これらに限定されない。1つの例示的実施態様では、物品はウェザーストリップ材などのエラストマー基材に取り付けられた金属化フィルムを含む。別の例示的実施態様では、物品は、熱成形可能物品を形成する熱成形可能層に取り付けられた金属化フィルムを含み、その熱成形可能物品は熱成形して本発明の金属化フィルムを含む熱成形物品を形成できる。
【0008】
本発明はさらに、金属化フィルムの製造方法、および少なくとも1つの金属化フィルムを含む物品の製造方法に関する。例示的実施態様では、金属化フィルムの形成方法は、外面を有するポリマー保護層を提供するステップと、外面上に金属層を付着させるステップと、金属層上にポリマープライマー層を適用するステップと、ポリマー保護層およびポリマープライマー層を架橋させるステップと、任意選択的にポリマープライマー層上に接着剤層を適用するステップとを含み、(i)ポリマープライマー層が金属層の反対側に外側接着剤表面を有するかまたは(ii)金属化フィルムが金属層の反対側のポリマープライマー層上に接着剤層を含み、その接着剤層がポリマープライマー層の反対側に外側接着剤表面を有する。本発明の方法では、さまざまなフィルム形成方法、金属付着方法、コーティング方法、および/または架橋方法を使用してよい。少なくとも1つの金属化フィルムを含む物品の製造方法では、その方法は熱成形ステップなどの追加のステップを含んでもよい。
【0009】
上記の「課題を解決するための手段」は、本発明の各開示実施態様またはあらゆる実施について記載することを意図するものではない。以下に示す「発明を実施するための最良の形態」の節では、こうした実施例をさらに詳細に例示する。
【0010】
上記の各態様は、添付図面と照らし合わせながら、さまざまな実施態様についての以下の詳細な説明を考慮するならば、さらに完全に理解できる。
【0011】
本発明は、さまざまな変更態様や代替形態が可能であるが、それらの詳細は図の中で例として示してあり、これらから詳しく説明する。ただし、その目的は、説明されている特定の実施態様に本発明を限定することではないことを理解すべきである。それとは逆に、その目的は、本開示内容の趣旨および範囲に含まれる変更態様、等価物、および代替形態すべてを包含することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の原理をより理解できるように、本発明の具体的な実施態様を以下に説明し、特有の用語を用いて具体的な実施態様を説明する。とはいえ、特有の用語を用いていることが本発明の範囲を限定することを意図しているものではないことは理解されるであろう。改変、さらなる変更、および本発明が関係する当業者が通常気付くであろう本発明に記載されている原理のさらなる応用は、意図されている。
【0013】
本発明は、金属化フィルムおよび金属化フィルムの製造方法に関する。本発明はさらに、少なくとも1つの金属化フィルムを含む製品、ならびに少なくとも1つの金属化フィルムを含む製品の製造方法に関する。
【0014】
本発明の例示的金属化フィルムを図1に示す。図1に示すように、例示的金属化フィルム10は、少なくとも部分的に架橋されたポリマープライマー層11、金属層12、少なくとも部分的に架橋されたポリマー保護層13、および接着剤層14を含む。この例示的実施態様では、金属層12の外面121および122はポリマー保護層13の架橋された外面131およびポリマープライマー層11の架橋された外面111にそれぞれ直接接触している。さらに、この実施態様では、接着剤層14がポリマープライマー層11と直接接触している。
【0015】
少なくとも部分的に架橋された2つの層の間に金属層を配置すると、幾つかの望ましい特性を有する金属フィルムが得られることが見出された。実施態様によっては、得られた金属化フィルムは、延伸後の光学濃度の減少量が驚くほど少ない。さらに実施態様によっては、得られた金属化フィルムは、延伸すると表面抵抗率が驚くほど増大する。2つの架橋されたポリマー層の間に金属層を隔離し閉じ込めると、得られた金属化フィルムの全体的な性能特性が驚くほど大幅に向上する。例えば、フィルム弾性、熱劣化、および耐食性などの特定の特性が向上し、結果として後の処理工程における強靭さが増大した、環境耐久性のある金属化フィルムが得られる。
【0016】
本発明において使用される「架橋された」という用語は、機械的に変形させられるときまたは高温にさらされたときに高分子材料が流動抵抗のある、事実上無限に近いほど大きな分子量となる高分子量材料のことを指す。「少なくとも部分的に架橋された」という表現は、機械的に変形させられるときまたは高温にさらされたときに少なくとも一部が流動抵抗のある高分子材料または高分子材料の層のことを指す。例えば、高分子材料の比較的厚い層は、機械的に変形させられるときまたは高温にさらされたとき第1外面は流動抵抗があるが、反対側の第2外面は機械的に変形させられるときまたは高温にさらされたとき、流動抵抗が最小となるように、少なくとも部分的に架橋することができる。
【0017】
図1に示されているように、本発明の金属化フィルムは幾つかの個別の層を含むことができる。本発明の例示的金属化フィルムの個別の層、全体的な構成、およびさまざまなフィルム構成限定要素に関する説明を以下に示す。
【0018】
I.金属化フィルムの構成および特性
本発明の金属化フィルムは独特のフィルム構造を有している。本発明の金属化フィルムの各層の説明、ならびに得られる金属化フィルムの例示的フィルム特性を以下に示す。
【0019】
A.金属化フィルム層
本発明の金属化フィルムは、以下の個別の層の1つまたはそれ以上を含む。
【0020】
1.ポリマー保護層
本発明の金属化フィルムは、例示的金属化フィルム10の例示的ポリマー保護層13のような少なくとも1つのポリマー保護層を含む。ポリマー保護層は、隣接した金属層を覆って、得られる金属化フィルムに以下の特性の1つまたはそれ以上を与える:耐引掻性、耐衝撃性、耐水性、耐候性、耐溶剤性、耐酸化性、および耐紫外線放射崩壊性(resistance to degradation by ultraviolet radiation)。ほとんどの実施態様では、金属層のどの部分も露出しないようにポリマー保護層が隣接金属層を完全に覆っている。
【0021】
ポリマー保護層は1種または複数種のポリマー成分を含むことができ、1種または複数種のポリマー成分の少なくとも1種は架橋されている。本発明の実施態様によっては、金属層に隣接したポリマー保護層の外面のみが架橋されている。本発明の他の実施態様では、架橋された高分子材料は実質的にポリマー保護層の厚み全体にわたって分散している(すなわち、ポリマー保護層の外面だけとは異なり、ポリマー保護層全体に架橋ステップを実施する)。
【0022】
本発明の他の実施態様では、ポリマー保護層内の架橋度は異なっていてポリマー保護層の厚みに沿って架橋の勾配が形成されている。その場合、金属層に隣接したポリマー保護層の外面は比較的架橋度が高く、ポリマー保護層内の架橋度は、金属層に隣接したポリマー保護層の外面からの距離が離れるにつれて減少する。この実施態様では、金属層の反対側のポリマー保護層の外面は、金属層に隣接したポリマー保護層の外面の架橋度を基準にすると架橋度がもっとも低くなっている(架橋がある場合)。
【0023】
好適な架橋性ポリマー成分としては、ポリウレタン、極性基を含んでいるポリマーまたはコポリマー、ポリオレフィン、エチレン/酢酸ビニル/酸三元共重合体、アクリレート系物質、酸またはヒドロキシル官能性ポリエステル、イオノマー、フルオロポリマー、フルオロポリマー/アクリレートブレンド、あるいはそれらの任意の組合わせなどがあるが、これらに限定されない。本発明の実施態様によっては、架橋性ポリマー成分により、伸びるポリマー保護層が提供され、そのポリマー保護層は、ポリマー保護層の降伏点を越えない限り、緩めたときに元の長さ(または幅)に実質的に回復する。そのようなポリマー保護層があると、その上の金属層はポリマー保護層の伸長時に分断状態になるが、その後ポリマー保護層を緩めると、ポリマー保護層の降伏点を越えない限り、実質的に伸長前の状態に戻る。
【0024】
1つの例示的実施態様では、ポリマー保護層は架橋された脂肪族水性ポリウレタン樹脂を含む。例示的脂肪族水性ポリウレタン樹脂としては、米国特許第6,071,621号明細書(その内容全体を本明細書に援用する)に記載されているものなどがある。市販の脂肪族水性ポリウレタンとしては、オランダ国ワールワイクのアビシア(Avecia(Waalwijk in The Netherlands))から「ネオレッズ」(NEOREZ)という商品名で販売されている原料(例えば、ネオレッズ(NEOREZ)SR 9699、XR 9679、およびXR 9603)、およびペンシルバニア州ピッツバーグのバイエル社(Bayer Corp.(Pittsburgh,PA))から「バイヒドール」(BAYHYDROL)という商品名で販売されている原料(例えば、バイヒドール(BAYHYDROL)121)があるが、これらに限定されない。水性ポリウレタン樹脂は、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどのさまざまなタイプのポリオールから作ることができる。より優れた非汚染性が求められる一部の用途には、ポリカーボネート系ポリウレタンの使用が望ましいことがある。
【0025】
別の例示的実施態様では、ポリマー保護層は、1種または複数種のポリオールとポリイソシアネートとを反応させて形成される架橋された溶剤ベースのポリウレタン樹脂を含む。用途によっては、ポリオールおよびポリイソシアネートは芳香族基が含まれていないことが望ましい。好適なポリオールとしては、ペンシルバニア州ピッツバーグのバイエル社(Bayer Corporation(Pittsburgh,PA))から「デスモフェン」(DESMOPHEN)という商品名で市販されている原料などがあるが、これに限定されない。ポリオールは、ポリエステルポリオール(例えば、デスモフェン(DESMOPHEN)631A、650A、651A、670A、680、110、および1150)、ポリエーテルポリオール(例えば、デスモフェン(DESMOPHEN)550U、1600U、1900U、および1950U)、またはアクリルポリオール(例えば、デモフェン(DEMOPHEN)A160SN、A575、およびA450BA/A)であってよい。本発明の1つの実施態様では、3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を使用して、架橋されたポリウレタンを得る。好適なポリイソシアネート化合物としては、ペンシルバニア州ピッツバーグのバイエル社(Bayer Corporation(Pittsburgh,PA))から「モンジュール」(MONDUR)および「デスモジュール」(DESMODUR)という商品名で市販されている原料(例えば、デスモジュール(DESMODUR)XP7100およびデスモジュール(DESMODUR)3300)などがあるが、これらに限定されない。
【0026】
さらに別の例示的実施態様では、ポリマー保護層は、(i)ポリマー鎖に沿った少なくとも1つの極性基、(ii)少なくとも1つのオレフィン部分、または(iii)(i)と(ii)の両方を含んでいる架橋されたポリマーまたはコポリマーを含む。実施態様によっては、極性基は、複数種の酸基、それらのエステル、またはそれらの塩である。例えば、極性基は、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸塩である。好適なカルボン酸、カルボン酸エステル、およびカルボン酸塩としては、アクリル酸、C1〜C20のアクリレートエステル、アクリレート塩、(メタ)アクリル酸、C1〜C20(メタ)アクリレートエステル、(メタ)アクリレート塩、またはそれらの組合わせがあるが、これらに限定されない。好適なメタクリレートエステルおよびアクリレートエステルは、典型的には、約20個までの炭素原子または約12個までの炭素原子(分子のアクリレートおよびメタクリレート部分を除く)を含む。実施態様によっては、メタクリレートエステルおよびアクリレートエステルは約4個〜約12個の炭素原子を含む。
【0027】
ポリマーまたはコポリマーのオレフィン部分は、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、またはそれらの組合わせなどのモノマーをラジカル重合させることによって形成できる。実施態様によっては、オレフィン原料としては、エチレン不飽和を有するオレフィンモノマーなどがある。例えば、ポリエチレンオリゴマーまたはエチレンモノマーと極性基を有するモノマーとを反応させれば、ポリマー保護層に用いられるコポリマーを形成できる。
【0028】
実施態様によっては、コポリマーは、エチレン不飽和を有するオレフィンモノマーと、(メタ)アクリル酸、C1〜C20の(メタ)アクリレートエステル、(メタ)アクリレート塩、アクリル酸、C1〜C20のアクリレートエステル、アクリレート塩、またはそれらの組合わせから選択される第2モノマーとの反応生成物である。コポリマーは、約80〜約99重量パーセントのオレフィンモノマーおよび約1〜約20重量パーセントの第2モノマーを用いて製造できる。例えば、コポリマーは、約83〜約97重量パーセントのオレフィンモノマーおよび約3〜約17重量パーセントのアクリル酸、C1〜C20のアクリレートエステル、アクリレート塩、(メタ)アクリル酸、C1〜C20の(メタ)アクリレートエステル、(メタ)アクリレート塩、またはそれらの組合わせを共重合させることにより製造できる。別の例では、コポリマーは、約90〜約96重量パーセントのオレフィンモノマーおよび約4〜約10重量パーセントのアクリル酸、C1〜C20のアクリレートエステル、アクリレート塩、(メタ)アクリル酸、C1〜C20の(メタ)アクリレートエステル、(メタ)アクリレート塩、またはそれらの組合わせを含む。
【0029】
(メタ)アクリレート基またはアクリレート基の塩がポリマーまたはコポリマー中に存在している場合、塩の正イオンは典型的には、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、または遷移金属イオンである。例えば、正イオンとしては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、または亜鉛などを挙げることができる。
【0030】
実施態様によっては、ポリマー保護層は、例えば、エチレン(メタ)アクリル酸またはエチレンアクリル酸などのコポリマーを含む。ポリマー保護層に用いるのに好適な市販のコポリマーとしては、プリマコール(PRIMACOR)3330(アクリル酸を6.5%およびエチレンを93.5%含む)などの「プリマコール」(PRIMACOR)という商品名でミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company(Midland,MI))から入手可能なコポリマー、ニュクレル(NUCREL)0403(エチレンとメタクリル酸とのコポリマー)などの「ニュクレル」(NUCREL)という商品名でデラウェア州ウィルミントンのデュ・ポン(DuPont(Wilmington,DE))から市販されているコポリマー、「エルバロイ」(ELVALOY)(エチレンとアクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、またはアクリル酸メチルとのコポリマー)という商品名で市販されているコポリマー、および「サーリン」(SURYLN)(エチレンとアクリル酸のイオノマー)という商品名で市販されているコポリマーなどがあるが、これらに限定されない。
【0031】
ある程度の架橋をポリマー保護層内に生じさせるためには、1種またはそれ以上の上記の高分子材料を任意の既知の架橋技術で架橋させることができる。その技術としては、(i)1種または複数種の高分子材料の反応性基を使用した化学的架橋、(ii)架橋添加剤を1種または複数種の高分子材料と組み合わせて使用した化学的架橋、(iii)架橋を引き起こす量の照射(例えば、電子線照射)に1種または複数種の高分子材料をさらすなどの架橋ステップを用いた、1種または複数種の高分子材料の物理的架橋、あるいは(iv)(i)、(ii)および(iii)の任意の組合わせなどがあるが、これらに限定されない。
【0032】
例えば、上記の水性ポリウレタン組成物は、ジアジリジンなどの架橋剤(例えば、約3重量パーセント未満)を添加することにより、架橋されうる。市販のジアジリジンは、「ネオクリル」(NEOCRYL)(例えば、ネオクリル(NEOCRYL)CX−100)という商品名でオランダ国ワールワイクのアビシア(Avecia(Waalwijk in the Netherlands))から販売されている。さらに、上記の溶剤ベースのポリウレタン樹脂は、例えば、架橋剤または硬化剤(メラミン樹脂などの)との反応により、架橋されうる。本発明に用いるのに好適な他の架橋剤としては、グリシジルエステル、尿素/ホルムアルデヒド樹脂、アミンおよびアミン官能性樹脂、およびシランなどがあるが、これらに限定されない。
【0033】
(i)ポリマー鎖に沿った少なくとも1つの極性基、(ii)少なくとも1つのオレフィン部分、または(iii)(i)と(ii)の両方を含んでいる上記のポリマーまたはコポリマーは、例えば、電子線照射を用いて架橋されうる。実施態様によっては、コポリマーのオレフィン部分は、例えば、電子線照射を用いて架橋できる。コポリマーは第二級水素の引抜きによって架橋が可能であるが、これにより、ラジカル中間体が形成される。このラジカル中間体はその後、他のオレフィンラジカルまたは追加のコポリマーと結合して分子量のより大きな物質を形成する。コポリマーのオレフィン部分の構造によるが、ラジカル中間体は架橋反応によって分子量を増大させる反応ではなく、崩壊反応を起こしうる。オレフィン部分がポリエチレンを含んでいる場合、切断反応(scission reactions)に起因する崩壊の量は小さい。ポリエチレンは電子線照射にさらされると架橋しうるが、ポリプロピレンはポリエチレンと比べて鎖切断反応を受ける傾向が大きくなる。
【0034】
通常、架橋反応を上回って過度にポリマーの鎖切断反応が起こらなければ、照射量はできるだけ多くする。分子量の減少は、照射によってポリマーが過度に劣化したことことの指標となりうる。したがって、鎖切断反応が起こる傾向のあるポリマーの場合、照射量は典型的には、照射ポリマーの重量平均分子量が、照射されなかったこと以外はすべて同一のコポリマーの重量平均分子量の少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%となるように制限される。架橋されたコポリマーの重量平均分子量は、架橋されなかったこと以外はすべて同一のコポリマーの重量平均分子量よりも大きいことが好ましい。
【0035】
実施態様によっては、電子線照射量は約10ミリラド未満である。例えば、その量は、約0.1〜約10ミリラドの範囲または約3〜約7ミリラドの範囲にすることができる。照射の電圧は、典型的には約600キロボルトにすることができる。例えば、電圧は約25〜約600キロボルト、約50〜約300キロボルト、または約100〜約200キロボルトの範囲にすることができる。より高い電圧を使用すれば、厚さのより厚いコポリマーを貫通させることができる。
【0036】
本発明に用いるのに好適な他の物理架橋ステップとしては、ガンマ線、X線および紫外線などの電離放射線形態への暴露などがあるが、これらに限定されない。
【0037】
化学的/物理的方法を組み合わせた架橋方法である別の代わりの架橋方法は、増感剤(紫外線開始剤など)をポリマー層に含有させることを伴う。フィルムを紫外線にさらすと、ポリマー保護層内で架橋反応が開始される。フィルムを後架橋するこの方法は、金属化フィルムの処理に関してより大きな自由を使用者に与えることになり、フィルムの実用性が増す。例えば、フィルムの使用者は接着剤を基材に塗布する前および塗布している間(熱成形ステップの時など)に、フィルムの伸び率がより大きいことを望む場合がある。しかしながら後ほど、接着接合させた後に、フィルムと基材の間で性質をよりいっそう適合させる目的で、フィルムの硬さおよび/または耐熱性を高めたいことがある。このことは、高いゴム弾性を有する基材または複雑な立体成形品(自動車用ウェザーシールなど)を取り扱う際に望まれる特定の要件や兼ね合いに対処するときに特に当てはまる。
【0038】
ポリマー保護層は、ポリマー保護層の1種または複数種のポリマー成分に含有させた1種または複数種の添加剤をさらに含んでよい。好適な添加剤としては、染料、顔料、湿潤剤(界面活性剤など)、不活性な充填材(例えば、ガラス微小球)、ワックスやスリップ剤、紫外線安定剤(ベンゾトリアゾール類およびベンゾフェノン類など)とヒンダードアミン安定剤の併用、およびそれらの組合わせなどがあるが、これらに限定されない。
【0039】
1種または複数種の添加剤は、存在する場合、ポリマー保護層の全重量に基づいて約50重量パーセント(pbw)まで占めることができ、残りは1種または複数種の高分子材料である。典型的には、それぞれの個々の添加剤は、存在する場合、ポリマー保護層の全重量に基づいて約0.05pbwより多くかつ約20pbwまでの範囲の量、好ましくは約0.1pbwと約10pbwの間、もっとも好ましくは約0.5pbwと約5pbwの間の量だけ存在し、残りは1種または複数種の高分子材料である。
【0040】
ポリマー保護層は、ポリマー保護層外面の特性、特に金属層に隣接したポリマー保護層の外面(例えば、図1に示すポリマー保護層13の外層131)の特性を変えるために、1種または複数種の表面処理が施されてもよい。好適な表面処理としては、コロナ放電表面処理、火炎処理、およびグロー放電表面処理などがあるが、これらに限定されない。ポリマー保護層の内部または表面に巨視的な劣化が生じない限り、官能基を化学的にグラフトできるかまたはフィルムの表面を酸化できる任意の表面処理が許容される。1つの例示的実施態様では、1種または複数種の表面処理を行うと、ポリマー保護層と金属層との間の粘着力が向上する。
【0041】
ポリマー保護層は、所望に応じて高い光沢面を有していても低い光沢面を有していてもよい。さらに、ポリマー保護層の反射率も、所望に応じて高くても低くてもよい。下にある金属層がポリマー保護層を通して見えるように、ポリマー保護層は可視光線に対して透明であることが望ましい。本明細書で使用される「透明」という用語は、可視光線の少なくとも約50パーセントが通過するような物質のことを指す。例えば、透明な物質は、可視光線の少なくとも約75パーセント、少なくとも約80パーセント、少なくとも約85パーセント、少なくとも約90パーセント、または少なくとも約95パーセントを通すことができる。用途によっては、ポリマー保護層は着色されていても透明である。例えば、ポリマー保護層に色をつけるために、ポリマー保護層は染料および/または顔料を含んでいてよい。
【0042】
ポリマー保護層は、自立フィルムなどの予備成形層として提供してもよく、あるいは溶液からはく離ライナー上にキャストしてもよい。例えば、ポリマー保護層が脂肪族水性ポリウレタン樹脂である場合、ウレタンの水性分散液を剥離剤が塗布されたポリエステルフィルムなどのはく離ライナー上にキャストできる。その後、キャストされたウレタン分散液を乾燥させて水分を除去できる。通常、ポリウレタンは乾燥ステップで架橋も行われるが、後ほど架橋してもよい。別の例では、溶剤を含んでいないかまたは含んでいるポリイソシアネートとポリオールの混合物を、はく離ライナー上にキャストできる。その後、キャストされた混合物を乾燥させて溶剤(ある場合)を除去し、硬化させて架橋されたフィルムを形成できる。
【0043】
ポリマー保護層をはく離ライナー上に形成する場合、はく離ライナーは、ポリマー保護層の外面に起伏状の(topographical)特徴を与えるのに使用できる。例えば、はく離ライナーは、ポリマー保護層の外面に沿って谷および/または隆起の均一なパターンを与えることができる。他の実施態様では、はく離ライナーは、ポリマー保護層の外面に実質的な平滑面を与えるのに使用できる。あるいはまた、はく離ライナーにより、不規則な表面模様付き表面または艶消面をポリマー保護層に与えることができる。本発明に用いるのに好適なはく離ライナーとしては、米国特許出願公開第20040048024号明細書および同第20030129343号明細書(現在では米国特許第6,984,427号明細書)に開示されているはく離ライナーなどがあるが、これらに限定されない。それらの開示内容全体を本明細書に援用する。
【0044】
本発明の他の実施態様では、ポリマー保護層を金属層と接合する前または後に、ポリマー保護層の外面には、エンボスして外面にパターンを設けることができる。例えば、実施態様によっては、金属層の反対側のポリマー保護層の外面にエンボスして金属化フィルムにパターンを設けることができる。他の実施態様では、金属層に隣接するポリマー保護層の外面にエンボスしてパターンを設け、その上に金属層を付着させる。本発明に用いるのに好適なエンボス方法としては、米国特許第5,897,930号明細書(その開示内容全体を本明細書に援用する)に開示されているエンボス方法などがあるが、これらに限定されない。
【0045】
本発明の実施態様によっては、金属層に隣接したポリマー保護層の外面は、その上に非常に小さな起伏状の特徴(それがある場合)を有する実質的にフラットで平滑な平面の表面であってよい。本明細書で使用される「平面」という用語は、実質的に同一面内にある層の表面を表すのに使用される。これらの実施態様では、後で施される金属層により、金属化フィルムに鏡のような外観を与えることができる。本発明の他の実施態様では、金属層に隣接したポリマー保護層の外面は、起伏状の特徴をその上に有する表面など、非平面の表面を有していてよい。上記のとおり、エンボス技法を用いて、金属層に隣接したポリマー保護層の外面に起伏状の特徴を与えることができる。その他の技法としては、起伏状の特徴をその中に有する別のはく離ライナーを使用して金属層に隣接したポリマー保護層の外面を形成するものなどを挙げることができるが、これらに限定されない。これらの実施態様では、後で適用される金属層により、金属化フィルムに別の外観を与えることができる。
【0046】
ポリマー保護層は所望の任意の厚さを有していてよいが、典型的にはポリマー保護層の平均厚さは少なくとも約5マイクロメートル(μm)である。用途によっては、ポリマー保護層の厚さは、少なくとも約10μm、少なくとも約15μm、少なくとも約20μm、または少なくとも約25μmである。ポリマー保護層の厚さに制限はないが、通常、ポリマー保護層の厚さは約50μm未満である。用途によっては、ポリマー保護層の厚さは、約40μm未満、約35μm未満、または約30μm未満である。例えば、厚さは、約5〜約50μm、または約10〜約40μm、または約20〜約30μmの範囲にすることができる。
【0047】
2.金属層
本発明の金属化フィルムは、例示的金属化フィルム10の例示的金属層12などの金属層をさらに含む。金属層は、不透明でも反射性でも無反射性でもよい。実施態様によっては、金属層は、光沢のある鏡のような仕上がりとなる。さらに、金属層は、ポリマー保護層とポリマープライマー層との間に、金属材料の連続または不連続パターンを形成してもよい。
【0048】
金属層は、例えば、金属、合金、および金属間組成物などの広範囲の金属含有物質から選択できる。金属層は、スズ、金、銀、アルミニウム、インジウム、ニッケル、鉄、マンガン、バナジウム、コバルト、亜鉛、クロム、銅、チタン、およびそれらの組合わせを含むことができる。組合わせの例としては、ステンレス鋼およびインコネル(INCONEL(登録商標))合金などがあるが、これらに限定されない。
【0049】
金属層は通常、金属を上記のポリマー保護層に付着させて形成される。金属は、知られている任意の技法で付着させることができる。例えば、好適な付着方法としては、スパッタリング、電気めっき、イオンスパッター、または真空蒸着などがあるが、これらに限定されない。用途によっては、真空蒸着方法を用いて金属を付着させる。本発明に用いるのに好適な金属付着方法としては、Foundations of Vacuum Coating Technology by D.M.Mattox,published by William Andrew/Noyes(2003年)(その開示内容全体を本明細書に援用する)に開示されている金属付着方法などがあるが、これらに限定されない。
【0050】
金属層の厚さは、所望の表面状態にするために必要に応じて変えることができる。実施態様によっては、金属化層の平均厚さは少なくとも50オングストロームである。例えば、金属層の平均厚さは、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも400、少なくとも800、または少なくとも1000オングストロームにすることができる。
【0051】
金属層は連続パターンを含んでもよく、例えば、金属層はポリマー保護層の外面を実質的に覆う金属材料の単一領域を含む。この実施態様の例を図2Aを示す。その中では、例示的金属領域30は、例示的ポリマー保護層37を完全に覆っており、金属の単一領域を形成する金属材料の単一連続パターンを含んでいる。図2Bに示す別の実施態様では、金属材料40の単一連続領域を使用して、ポリマー保護層37の外面38上に文字「C」などのパターンを形成することができる。本発明の別の実施態様では、図2Cに示す例示的実施態様のように、金属層は、ポリマー保護層の外面に2つ以上の不連続金属材料領域を有する不連続パターンを含むことができる。図2Cに示すように、2つの分離された金属材料領域50を使用して、ポリマー保護層37の外面38に2つの別個の文字「CC」を含む不連続パターンを形成することができる。
【0052】
金属層が連続パターンを含むか不連続パターンを含むかにかかわらず、金属材料の各領域(例えば、例示的金属領域30、40および50のそれぞれ)は、複数の互いに隣接して配置された個別の金属領域を含むことができ、その結果として得られる金属領域(図3Aに示すような例示的金属領域120など)を形成することができる。実施態様によっては、1つまたは複数の金属領域を含んでいる金属層(例示的金属領域120など)を金属化フィルムに組み込むことによって、金属化フィルムの耐食性を向上させることができることが見出された。図3Aに示すように、例示的金属領域120は複数の不連続金属領域62を含み、それが金属材料のパターン64を形成している。この実施態様では、金属領域120は視覚的に連続しているように見えるが、金属領域120は表面伝導率または抵抗率の点では不連続である。
【0053】
例示的金属領域120が不連続であるため、金属層の表面抵抗率は少なくとも約2オーム/cm2、望ましくは少なくとも約10オーム/cm2となる。1つの例示的実施態様では、金属領域の表面抵抗率は少なくとも約3、少なくとも約5、少なくとも約10、または少なくとも約20オーム/cm2である。実施態様によっては、性能上の理由から表面抵抗率をできるだけ高くするとともに、その用途での見た目を美しくするという要件を満たす同じように高い光学濃度を維持することが望ましい。
【0054】
例示的金属領域120のような複数の隣接した個別の金属領域を有する金属領域を形成する1つの方法は金属付着ステップを含み、その付着ステップは金属領域内で伝導性が生じる前または生じた直後に終了させられる。そのような付着ステップを図3Bに示す。この図は図3Aに示した例示的金属領域120の横断面図を示している。図3Bに示すように、複数の不連続金属領域62はポリマー高分子層37の外面38から上方に突出している。金属付着工程の間に、それぞれの個別の金属領域62は段階的な過程によって組み立てられ、(例示的基部金属付着物62Aのような)基部の金属付着物が最初に外面38に沿った場所39のところでポリマー高分子層37の外面38に付着すると考えられている。場所39は、(i)ポリマー高分子層37に使用される高分子材料の官能基、(ii)ポリマー高分子層37に使用される添加剤の官能基、(iii)上記の表面処理の1つまたはそれ以上に起因する表面処理部位、あるいは(i)、(ii)および(iii)の任意の組合わせに相当しうる。図3Bに示すように、例示的基部金属付着物62Aはポリマー高分子層37の外面38に沿って互いに離間されている。追加の金属が付着するにつれ、例示的中間金属付着物62Bおよび62Cのような1つまたは複数の中間金属付着物によって、高さが増大し、個別の金属領域62間の間隔が減少した個別の金属領域62(外面38から突出している)がもたらされる。付着ステップの際のある時点で、金属付着ステップを継続させた場合、個別の金属領域62は互いに融合して、電気的にすべて相互連結した連続金属領域が形成される。本発明の実施態様によっては、金属付着ステップを停止させて、図3Bに示すように隣接した個別の金属領域62の外周間に間隔が開くようにすることが望ましい。付着時の金属の挙動の主要な駆動力となるのは、有機系(organic−based)ポリマー層の表面エネルギーに対して金属の表面エネルギーが高いという性質である。相対表面エネルギーの差があるからといって、金属とポリマー層との間に有利な相互作用またはぬれが生じ、それによって金属が最初に個別の微視的な領域に付着することが可能になるわけではない。
【0055】
図3Bに示すように、個別の金属領域62の最上部金属付着物62Dの外周65は互いに近接して配置されるが、それらの間に間隔があることが望ましい。実施態様によっては、個別の金属領域62の最上部金属付着物62Dの外周65は、互いに接触しても、なおかつ不連続伝導率を有する金属領域をもたらすものであってよい。本明細書で使用される「不連続伝導率」という用語は、典型的には約0.1モー未満の表面伝導率または少なくとも約10オーム/cm2の表面低効率を有する金属領域または金属層を表すのに用いられる。ただし、これは使用する金属によって変化しうる。
【0056】
典型的には、ある特定の表面に付着する金属の量は金属層の光学濃度によって測定できる。光学濃度は透過率の尺度であり、透過率の負の対数を取ることによって得られる。光学濃度は付着する金属によって異なることになるが、典型的には、金属層は約2.0未満の光学濃度を有する。例えば、アルミニウムは約2.0未満の望ましい光学濃度を有することができるが、スズは約2.0と約2.2の間の望ましい光学濃度を有することができる。
【0057】
電離放射線を用いてポリマー保護層、ポリマープライマー層、またはその両方の架橋を実施することが、金属化フィルムの形成に伴う場合、電気的に不連続な(すなわち、不連続伝導率を有する)金属層を保持すると、付加的な便益がもたらさせることも見出された。金属層に伝導性があり、電子線照射を用いて1種またはそれ以上のポリマー層を架橋する場合、金属は伝導性シールドとして働いて、電子線が両方の層を貫通しないようにすることができる。シールドのように働く際に、金属層の伝導性により、大量の激しい放電をもたらす電荷が金属層内に実際に生成され、それは金属層にかなりの損傷を生じさせる。電子ビームを用いてポリマー層を架橋する場合、この荷電/放電挙動のため、有用なフィルムを製造することができない。それに対して、金属層の電気抵抗を高く保つとフィルムの誘電特性が維持され、それにより電子線照射を用いてポリマー保護層およびポリマープライマー層の一方または両方を架橋することが可能になる。
【0058】
3.ポリマープライマー層
本発明の金属化フィルムは、例示的金属化フィルム10の例示的ポリマープライマー層11のような少なくとも1つのポリマープライマー層も含む。少なくとも1つのポリマープライマー層は、図1の例示的金属化フィルム10に示すように上記のポリマー保護層とは反対側の金属層の外面を覆う。ポリマー保護層と同じように、ポリマープライマー層も次のような特性の1つまたは複数を金属層に与える:耐引掻性、耐衝撃性、耐水性、耐候性、耐溶剤性、耐酸化性、および耐紫外線放射崩壊性。さらにプライマー層は、他の層(例えば、接着剤)が容易に付着できる表面を提供する。ほとんどの実施態様では、ポリマープライマー層は、金属層のどの部分も露出しないように、上記のポリマー保護層とは反対側の金属層の外面を完全に覆う。
【0059】
ポリマープライマー層は、上記のポリマー成分の1種またはそれ以上およびポリマー保護層に用いるのに好適な任意の添加剤を含んでもよい。さらに、ポリマープライマー層の1つまたは複数の外面は、ポリマープライマー層の外面を変えるために1種または複数種の上記の表面処理が施されてよい。1つの例示的実施態様では、金属層に隣接するポリマープライマー層の外面(例えば、図1に示すポリマープライマー層11の外層111)は上記の表面処理の1つによって表面処理される。さらに、金属表面の反対側のポリマープライマー層の側は、上述の方法、例えばコロナ処理、火炎処理、グロー処理などを用いて処理を行って、他の層への接着性を向上させることができる。
【0060】
本発明の1つの例示的実施態様では、金属層の反対側の外側接着剤表面をポリマープライマー層に設けるために、ポリマープライマー層は1種または複数種の熱可塑性高分子材料を含む。ポリマープライマー層の外側接着剤表面は、室温で粘着性(例えば、感圧)であるか、または加熱後に粘着性を有する(例えば、熱活性化可能)ものであってよい。外側接着剤表面を設けるためにポリマープライマー層に用いるのに好適な熱可塑性ポリマーとしては、ポリオレフィン、ポリウレタン、ナイロン、ポリアクリレート、およびそれらの組合わせなどがあるが、これらに限定されない。
【0061】
ポリマープライマー層に用いるのに好適な感圧接着剤および熱活性化可能接着剤としては、再発行米国特許第RE024906号明細書およびEP0384598号明細書に開示されている接着剤などがあるが、それらに限定されない。それらの開示内容全体を本明細書に援用する。さらに、金属層の反対側のポリマープライマー層の外側接着剤表面は、ポリマープライマー層の空気抜きができるような、または貼り直しができるような、あるいはその両方が行えるような表面構造を含んでいてよい。
【0062】
ポリマー保護層の形成に使用する高分子材料のように、ポリマープライマー層の形成に使用する1種または複数種の高分子材料の少なくとも1種は架橋される。ポリマー保護層の場合のように、ポリマープライマー層の架橋度はさまざまであってよい。本発明の実施態様によっては、金属層に隣接したポリマープライマー層の外面のみが架橋されている。本発明の他の実施態様では、架橋された高分子材料は実質的にポリマープライマー層の厚み全体にわたって分散されている(すなわち、ポリマープライマー層の外面だけとは異なり、ポリマープライマー層全体に架橋ステップを実施する)。他の実施態様では、ポリマープライマー層内の架橋度は異なっていてポリマープライマー層の厚みに沿って架橋の勾配が形成されている。その場合、金属層に隣接したポリマープライマー層の外面は比較的架橋度が高く、ポリマープライマー層内の架橋度は、金属層に隣接したポリマープライマー層の外面からの距離が離れるにつれて減少する。この実施態様では、金属層の反対側のポリマープライマー層の外面は、金属層に隣接したポリマープライマー層の外面の架橋度を基準にすると架橋度がもっとも低くなっている(架橋がある場合)。
【0063】
好適な架橋方法としては、ポリマー保護層に関連して上に記載した架橋方法の任意のものが挙げられる。金属化フィルムの一部に架橋の勾配をつけたい場合、電子ビームで架橋を行うなら、ポリマー保護層、プライマー層、または金属化フィルム構成全体の内部に架橋の勾配を生じさせる機会が提供される。
【0064】
金属層がポリマープライマー層を通して見えるように、ポリマープライマー層は可視光線に対して透明であってよい。すなわち、ポリマープライマー層は、少なくとも可視光線の約50パーセントがポリマープライマー層を通過できる。例えば、実施態様によっては、ポリマープライマー層は、可視光線の少なくとも約75パーセント、少なくとも約80パーセント、少なくとも約85パーセント、少なくとも約90パーセント、または少なくとも約95パーセントを通すことができる。用途によっては、ポリマープライマー層は着色されていても透明である。例えば、ポリマープライマー層に色をつけるために、ポリマープライマー層は染料および/または顔料を含んでいてよい。
【0065】
上記のポリマー保護層のように、ポリマープライマー層も自立フィルムのような予備成形された層として提供したり、あるいは溶液から基材(はく離ライナーなど)に、または金属層に直接キャストしたりすることができる。1つの例示的実施態様では、ポリマープライマー層はエチレンアクリル酸(EAA)コポリマーフィルムなどの自立フィルムである。
【0066】
複数層として存在する場合、各ポリマープライマー層が金属化フィルム構成全体に寄与しうる。上で述べたように、金属層に隣接したポリマープライマー層の少なくとも一部は架橋される。金属層から離れて配置された追加のポリマープライマー層(すなわち、隣接した別のポリマープライマー層)がある場合それは架橋されてもされなくてもよい。金属層から離して配置された追加のポリマープライマー層は、金属層に隣接したポリマープライマー層と金属層に隣接したポリマープライマー層への所望の粘着性がない追加層(例えば、ポリオレフィン層)との間の結束層としての役目を果たすことができる。
【0067】
ポリマープライマー層が単一層を含むか複数層を含むかにかかわらず、上記の金属層に隣接したポリマープライマー層は、金属層に隣接しかつ金属層表面にぴったり密着する外面を有する。例えば、上述のように、本発明の実施態様によっては、金属層に隣接したポリマー保護層の外面は、その上に非常に小さな起伏状の特徴(それがある場合)を有する実質的にフラットで平滑な平面の表面である。これらの実施態様では、後で適用される金属層は実質的に平面の外面を有し、その上にポリマープライマー層が施される。これらの実施態様では、金属層に隣接したポリマープライマー層の外面も、実質的に平面の外面(例えば、ポリマー保護層の対応外面に対する相補的外面)を有する。本発明の他の実施態様では、金属層に隣接したポリマー保護層の外面は、起伏状の特徴をその上に有する表面など、非平面の表面を有していてよい。これらの実施態様では、後で適用される金属層は非平面の層である。これらの実施態様では、金属層に隣接したポリマープライマー層の外面は、ポリマー保護層の対応外面の起伏状の特徴と一致する相補的な非平面の外面を有する。
【0068】
各ポリマープライマー層は典型的には、少なくとも約5マイクロメートル(μm)の平均厚さを有する。金属化フィルムの特定用途に応じて、ポリマープライマー層は1.0ミリメートル(mm)以上を超える平均厚さを有していてよい。典型的には、ポリマープライマー層の厚さは、少なくとも約10μm、少なくとも約15μm、少なくとも約20μm、または少なくとも約25μmである。ポリマープライマー層の厚さに制限はないが、通常、ポリマープライマー層の厚さは約50μm未満である。用途によっては、ポリマープライマー層の厚さは、約40μm未満、約35μm未満、または約30μm未満である。例えば、厚さは、約5〜約50μm、または約10〜約40μm、または約20〜約30μmの範囲にすることができる。
【0069】
本発明の実施態様によっては、ポリマー保護層およびポリマー保護層のぞれぞれは独立に1種または複数種の架橋されるポリマー成分を含み、各層の少なくとも1種のポリマー成分は官能基を有しており、その結果として(i)金属層に隣接したポリマー保護層の外面(例えば、図1に示されているポリマー保護層13の外面131)、および(ii)金属層に隣接したポリマープライマー層の外面(例えば、図1に示されているポリマープライマー層11の外面111)に同様の表面電荷または表面極性が全体的にもたらされる。そのような実施態様の例を図4に示す。
【0070】
図4に示すように、ポリマー保護層13の外面131およびポリマープライマー層11の外面111のそれぞれは、金属層12の各側に正の表面電荷または表面極性を有する。図示していないが、ポリマー保護層13の外面131およびポリマープライマー層11の外面111は、金属層12の各側に負の表面電荷または表面極性を有しうることを理解すべきである。上述のように、ポリマー成分を用いて特定の表面電荷または表面極性をある特定の表面に与えることができる。他の実施態様では、添加剤を各層に用いて特定の表面電荷または表面極性をある特定の表面に与えることができる。例えば、以下の添加剤から選択される1種または複数種の添加剤を用いて表面電荷または表面極性をある特定の表面に与えることができる:(i)酸性官能基(スルホン酸、燐酸、ホスホン酸、ホウ酸、カルボン酸、これらの酸の塩、これらの酸のエステル、またはそれらの組合わせなど)を有する添加剤、および(ii)塩基性官能基(メルカプト基、アミン基、アルコキシ基、ニトリル基、複素環式部分(米国特許第5,081,213号明細書に記載されているものなど)など)を有する添加剤。例示的添加剤としては、ベンゾトリアゾール、酸素含有または硫黄含有化合物(メルカプトシランなど)などがあるが、これらに限定されない。
【0071】
1つの例示的実施態様では、官能基を有するポリマー成分は、例えば、水性ポリウレタン、溶剤型ポリウレタン、酸性モノマーを有するポリマーまたはコポリマー(例えば、エチレンアクリル酸(EAA)コポリマー)、あるいは塩基性モノマーを有するポリマーまたはコポリマー(例えば、ポリアミド、またはポリアクリルアミドコポリマー)を含んでよい。
【0072】
本発明の実施態様によっては、ポリマー保護層およびポリマープライマー層のそれぞれは独立に、1種または複数種の架橋された高分子材料を単独でまたは1種または複数種の添加剤と一緒に含み、各層の高分子材料または添加剤の少なくとも1種が酸性官能基または塩基性官能基を有する。別の例示的実施態様では、ポリマー保護層およびポリマープライマー層のそれぞれは独立に、1種または複数種の架橋された高分子材料を単独でまたは1種または複数種の添加剤と一緒に含み、(i)各層の高分子材料または添加剤の少なくとも1種が酸性官能基を有するか、(ii)各層の高分子材料または添加剤の少なくとも1種が塩基性官能基を有するか、(iii)金属層に隣接する一方の層の外面にコロナ放電またはグロー放電表面処理が施されるか、(iv)(i)と(iii)の両方であるか、または(v)(ii)と(iii)の両方である。
【0073】
4.接着剤層
本発明の金属化フィルムは、例えば、上記の耐食金属化フィルムの外面が接着剤特性を所望の程度まで有していない場合(例えば、ポリマープライマー層の外面が接着剤特性を有していない場合)、例示的金属化フィルム10の例示的接着剤層14のような少なくとも1つの接着剤層をさらに含んでよい。この実施態様では、接着剤層は図1の例示的金属化フィルム10に示すように、ポリマープライマー層の外面を覆っている。好適な接着剤層としては、感圧接着剤層、熱活性化可能接着剤層、またはそれらの組合わせなどがあるが、これらに限定されない。感圧接着剤層は、熱可塑性接着剤層、熱硬化性接着剤層、および/または微細構造の感圧接着剤層であってよい。
【0074】
任意の好適な接着剤ポリマーを接着剤層に含有させることができる。接着剤ポリマーは、熱可塑性、熱硬化性、またはそれらの組合わせであってよい。接着剤表面は、室温で粘着性(例えば、感圧)であるか、または加熱後に粘着性を有する(例えば、熱活性化可能)ものであってよい。好適な熱可塑性接着剤としては、ポリオレフィン、ポリウレタン、エポキシ、ナイロン、ポリアクリレート、およびそれらの組合わせなどがあるが、これらに限定されない。好適な熱硬化性接着剤としては、一液型または二液型エポキシ、一液型または二液型ポリウレタン、一液型または二液型ポリアクリレート、またはそれらの組合わせなどがあるが、これらに限定されない。
【0075】
本発明に用いるのに好適な感圧接着剤および熱活性化可能接着剤としては、再発行米国特許第RE024906号明細書およびEP0384598号明細書に開示されている接着剤などがあるが、これらに限定されない。それら開示内容全体を本明細書に援用する。
【0076】
実施態様によっては、ポリマープライマー層の外面の接着剤層は、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、またはそれらの組合わせを含む。1つの望ましい実施態様では、接着剤層は感圧接着剤を含む。接着剤層が感圧接着剤外面を有している場合、はく離ライナーを用いて感圧接着剤外面を一時的に保護することができる。
【0077】
別の望ましい実施態様では、接着剤層はホットメルト接着剤などの熱活性化可能接着剤を含む。さらに別の望ましい実施態様では、接着剤層は、ポリマープライマー層に隣接した感圧接着剤層、および感圧接着剤層の外面上の熱活性化可能接着剤(ホットメルト接着剤など)を含む。
【0078】
接着剤ポリマー(または他の上記のポリマー層)内の極性官能基を用いると、ポリマープライマー層(またはポリマー保護層)と金属層との間の粘着力、ならびにポリマープライマー層(またはポリマー保護層)と接着剤層との間の粘着力を高めることができる。代表的な極性基としては、酸(例えば、スルホン酸、燐酸、ホスホン酸、ホウ酸、およびカルボン酸)、そられの酸の塩、それらの酸のエステル、またはそれらの組合わせなどがあるが、これらに限定されない。その他の代表的な極性基としては、アミン基、アルコキシ基、ニトリル基、複素環式部分(米国特許第5,081,213号明細書に記載されているものなど)などがある。
【0079】
実施態様によっては、極性基は、酸根、それらのエステル、またはそれらの塩である。例えば、極性基は、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸塩である。好適なカルボン酸、カルボン酸エステル、およびカルボン酸塩としては、アクリル酸、C1〜C20のアクリル酸エステル、アクリレート塩、(メタ)アクリル酸、C1〜C20(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリレート塩、またはそれらの組合わせがあるが、これらに限定されない。そのような基は、通常、ポリマー層、金属層、およびそれらの組合わせなどの他の表面に好適な粘着力を与えることができる。
【0080】
B. 金属化フィルム特性
本発明の金属化フィルムは、以下の特性の1つまたはそれ以上を有することができる。架橋されたポリマー保護層と架橋されたポリマープライマー層との間に金属層を隔離し閉じ込めると、金属層は平面配向を全体的に維持できるが、これは所望の美しい鏡のような外観を保つのに非常に重要なことである。これは、施工処理ステップ(加熱活性化接着剤結合、熱成形またはこの分野における実際の使用など)の間に高温環境にフィルムがさらされた場合に、あるレベルの性能を達成するのにも役立つ。先行技術の場合、金属層と少なくとも1つの熱可塑性層との間で直接接触が行われている。この場合、温度が上昇してフィルムの軟化点に近づくにつれ、金属層は熱可塑性ポリマー層内の運動の直接の結果である運動自体の影響を受けやすくなる。単に軟化転移(softening transition)が経るだけで、金属層が破壊され、フィルムの光学的特性も破壊されうる。
【0081】
架橋されたポリマー保護層とポリマープライマー層との間に金属層を隔離すると、金属層の光学的性質はフィルムの変形に対して極めて安定していることも驚くべきことである。実際、フィルム変形のずれが大きい(場合によっては、フィルム伸び率が100%より大きいか、さらには150%よりも大きい)場合でも、それによって起こるフィルム不透明度の減少はほんのわずかであり許容されるものであることは非常に驚くべきことである。それに対して、架橋されたポリマー保護層およびプライマー層を含んでいない同様のフィルム構成でこの大きさのフィルム変形が起こると、フィルムの不透明度の減少は非常に大きくなり、通常は許容できないものになる。熱可塑性層を金属層と直接接触させて使用した場合の不透明度のこの減少は、熱可塑性層内に発生する可塑性物質のような流動に起因する回復不能な不可逆の引張りの結果として起こるという提唱がある。フィルムの架橋効果によって物質内の可塑性物質のような流動が制限され、こうしてフィルムの不可逆引張りが著しく減少する。
【0082】
ポリマー保護層、金属層、およびポリマープライマー層を含んでいる金属化フィルムは、種々の接着剤層を利用してさまざまな最終製品構成に対応できる標準化基本構造として役立つ。これにより、この基本金属化フィルムには、さまざまな物品に安定した一貫性のある外観を提供する目的で、さまざまな用途に組み込む機会が与えられる。例えば、ポリマープライマー層をコロナ処理し、アクリルPSAをその表面に積層できる。そのようにすると、その後、得られた金属化フィルムを自動車の「B」ピラーポスト(pillar post)などの基材にそのまま積層することができる。これにより「B」ピラーはクロムのような外観になる。同じフィルム構成にさらに熱活性化可能接着剤を積層することができる。その後、それをウェザーシールに加熱積層し、自動車のドアの周囲に取り付ければ、まったく異なる2つの表面を同じ外観にすることができる。さらに、基本金属化フィルムを熱成形し樹脂で補強すれば、自動車の識別票の場合のような、金属的なクロムのような浮き出し文字にすることができる。その後これを乗り物に取り付けることができる。これら3つの場合すべてにおいて、同じ基本金属化フィルムをさまざまな加工条件および接着要求条件に対応するよう変更して、自動車のさまざまな表面が一貫した外観を有するようにすることができる。使用および用途におけるこのような柔軟性は、本発明以前のフィルム構成と比べると著しい改善である。
【0083】
II.金属化フィルムを含む製品
本発明はさらに、上記の金属化フィルムの1種またはそれ以上を含む製品に関する。本発明の製品は、上述のポリマープライマー層、金属層、ポリマー保護層、および任意選択の接着剤層のほかに、以下の構成要素を1つまたはそれ以上含むことができる。
【0084】
A.はく離ライナー
本発明の製品は、金属化フィルムの上記の層のほかに、少なくとも1つのはく離ライナーをさらに含んでよい。上述のとおり、第1はく離ライナーは、ポリマー保護層を支えるため、また第1はく離ライナーを除去する前のポリマー保護層を一時的に保護するために使用してよい。粘着性接着剤層(例えば、感圧接着剤層)が本発明の製品に含まれる場合(ポリマープライマー層またはポリマープライマー層の外面など)、第2はく離ライナーを使用して第2はく離ライナーを除去する前の接着剤層を一時的に保護することができる。そのような例示的物品を図5に示す。
【0085】
図5に示すように、例示的物品20は、ポリマープライマー層11、金属層12、ポリマー保護層13、および接着剤層14を含んでいる金属化フィルムを含む。さらに、物品20は、ポリマー保護層13の外面上の第1はく離ライナー15および接着剤層14の外面上の第2はく離ライナー16を含んでいる。第1はく離ライナーおよび第2はく離ライナーがあるので、最も外側の表面が感圧接着剤である金属化フィルムをロール形式で供給できる。はく離ライナー(すなわち、図5に示す接着剤層14の外面上の例示的第2はく離ライナー16)を除去して、金属化フィルムを基材の表面に取り付けることができる。第1はく離ライナーおよび第2はく離ライナーがあると、金属化フィルム上の接着剤層ができるだけ汚れないようにしたり、ポリマー保護層の損傷を防いだり、金属化フィルムの取り扱いを容易にしたりするのにも役立つ。
【0086】
第1および第2はく離ライナーは典型的には1つまたは複数の層の材料を含む。実施態様によっては、はく離ライナーは、紙、ポリエステル、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン)、またはその他のポリマーフィルム材料の層を含む。はく離ライナーは、はく離ライナーと接着剤層との間の粘着力の大きさを減少させるために材料でコーティングすることができる。そのようなコーティングとしては、例えば、シリコーンまたはフルオロケミカル材料などを挙げることができる。本発明では市販の任意のはく離ライナーを使用してよい。
【0087】
上述のように、第1はく離ライナー15を使用して起伏状の特徴をポリマー保護層13の外面に設けることができる。さらに、所望される場合には、第2はく離ライナー16を使用して起伏状の特徴を接着剤層14の外面に設けることもできる。例えば、どちらかのはく離ライナーで、ポリマー保護層13および/または接着剤層14の外面に沿って谷および/または隆起の均一(または不均一)パターンを設けることができる。他の実施態様では、いずれかのはく離ライナーを使用して、実質的な平滑面をポリマー保護層13および/または接着剤層14の外面に設けることができる。上述のように、本発明に用いるのに好適なはく離ライナーとしては、米国特許出願公開第20040048024号明細書および同第20030129343号明細書(現在では米国特許第6,984,427号明細書)に開示されているはく離ライナーなどがあるが、これらに限定されない。それら開示内容全体を本明細書に援用する。
【0088】
図6は、第1はく離ライナー15と第2はく離ライナー16とが除去された後、図5の物品20をある特定の基材に取り付けた図を示している。第2はく離ライナー16が除去されたなら、熱を加えるかどうかにかかわりなく、圧力を加えて物品20を基材18に取り付けることができる。基材18は、ポリマー基材(例えば、フィルム、気泡体、成形品など)、ガラス基材、セラミック基材、金属基材、織物などを含む任意の基材(ただし、これらに限定されない)であってよい。本発明の物品は、自動車および家庭電化製品用バッジ、紋章、ミラーフィルム(mirror films)、太陽反射フィルム、装飾用ラミネートフィルム、グラフィックスなどのさまざまな装飾品(ただし、これらに限定されない)を製造するのに有用でありうる。用途によっては、物品20の層の1つは着色されていてよい。
【0089】
B.熱成形可能層
本発明の物品は、上記の金属化フィルムの少なくとも1つを、少なくとも1つの熱成形可能層と一緒に含むことができる。1つまたは複数の熱成形可能層を、ポリマー保護層の外面、ポリマープライマー層の外面、またはその両方に配置することができる。熱成形可能層は、ポリマープライマー層または追加の接着剤層を介して金属化フィルムに離れないように取り付けることができる。あるいは熱成形可能層は、ポリマー保護層、ポリマープライマー層、またはその両方の形成時に使用された構成要素(例えば、層)であってよい。上記の耐食金属化フィルムの少なくとも1つを少なくとも1つの熱成形可能層と一緒に含んでいる得られた熱成形可能物品は、熱成形して、耐食金属化フィルムを含む熱成形物品を形成できる。任意の従来の熱成形技法(例えば、成形)を用いて熱成形物品を成形できる。本発明に用いるのに好適な熱成形可能材料としては、任意の熱可塑性材料、熱硬化性材料、またはそれらの組合わせなどがあるが、これらに限定されない。有用な熱成形可能材料の例として、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびポリオレフィンのブレンドなどの熱可塑性材料がある。1つの望ましい実施態様では、熱成形可能層はエンジニアリング熱可塑性材料(engineering thermoplastic material)を含む。好適なエンジニアリング熱可塑性材料としては、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート)、一部のポリエチレン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)、SAN(スチレン/アクリロニトリル)、ポリウレタン、ポリアクリル、およびそれらのブレンドなどがあるが、これらに限定されない。
【0090】
別の望ましい実施態様では、熱成形可能物品は、上記の金属化フィルムの少なくとも1種をポリカーボネートまたはポリエステル熱成形可能層と一緒に含む。ポリカーボネートまたはポリエステル熱成形可能層は直接に、ポリマープライマー層の外側接着剤表面に結合させてもよく(例えば、ポリマープライマー層が架橋されたPSAを含んでいる場合)、あるいはポリマープライマー層の外面上の追加の接着剤層(例えば、PSA層)に結合させてもよい。
【0091】
得られた熱成形可能物品または熱成形物品は、さまざまな用途に使用できる。1つの例示的実施態様では、熱成形可能物品または熱成形物品は、屋外標識やバックライト付きディスプレイなどの標識に使用される。そのようなディスプレイは典型的には照明設備を収納する筐体を含み、筐体ハウジングの前面はフィルムで覆われている。前面が透明フィルムで覆われているそのような装置の1つが米国特許第5,224,770号明細書に記載されており、その開示内容全体を本明細書に援用する。前面が有孔フィルムで覆われている別のそうした装置が米国特許出願公開第2002/0034608号明細書に記載されており、その開示内容全体を本明細書に援用する。米国特許出願公開第2002/0034608号明細書では、有孔フィルムは、日中はフィルムが光を反射して画像を表示するようにハウジングを覆うように配置されているが、夜間には背後から照明を当ててフィルムの後ろから画像を照らすことができる。
【0092】
本発明では、金属化フィルムは、米国特許第5,224,770号明細書および米国特許出願公開第2002/0034608号明細書の透明フィルムと似たようにして使用してよい。本発明の金属化フィルムおよびそれから作製する熱成形可能物品または熱成形物品は、夜または暗がりでも背面から表示を照らせるように、十分な光の透過率、典型的には約15〜25%の光の透過率を有する。金属化フィルムは、日中または照らされた室内で光を反射して画像(例えば、フィルム中に熱成形された三次元画像)を表示するように、フィルム上にコーティングされた十分な金属を含むことが望ましい。本発明の1つの特定の実施態様では、フィルムはポリマー保護層側に画像が形成され(例えば、グラフィックスが金属化フィルムに施され)、その後、ポリマープライマー側が感圧接着剤または加熱活性化接着剤でコーティングされる。その後、フィルムを好適な高分子材料(エンジニアリング熱可塑性材料など)に積層してから、所望の形状に熱成形して、照明を収容するハウジング用のカバーを形成できる。あるいはまた、フィルムを熱可塑性材料に積層し、三次元画像となるように熱成形することができる。そのような構成は日中/夜間の標識に適している。
【0093】
C.追加の上部コート層
本発明の物品は、上記の金属化フィルムの少なくとも1つを、ポリマー保護層の外面に設けられる1つまたは複数の追加の上部コート層と一緒に含むことができる。好適な上部コート層材料としては、上記のポリマー保護層の形成に使用される高分子材料があるが、これらに限定されない。存在する場合、1つまたは複数の追加の上部コート層は、(i)何らかの形でポリマー保護層を保護するか(例えば、UV保護、耐引掻性、耐候性など)、(ii)ポリマー保護層(例えば、ポリオレフィン層)への所望の粘着性がない追加層とポリマー保護層との間の結束層として働くか、あるいは(iii)(i)と(ii)の両方を行う。
【0094】
D.永久取り付け基材
本発明の物品は、上記の金属化フィルムの少なくとも1つを、ポリマー保護層の外面、ポリマープライマー層の外面またはその両方に設けられる1つまたは複数の永久取り付け基材層と一緒に含むことができる。上述のように、好適な基材層(例えば、図6に示す例示的基材18)としては、ポリマー基材(例えば、フィルム、気泡体、成形品など)、ガラス基材、セラミック基材、金属基材、織物などがあるが、これらに限定されない。本発明の1つの望ましい実施態様では、基材はエラストマー基材である。
【0095】
エラストマー基材は、例えば、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーを架橋して形成される熱硬化性材料であってよい。あるいはまた、エラストマー基材は、例えば、ゴム状材料を熱可塑性材料とブレンドして形成される熱可塑性材料であってもよい。好適な熱可塑性材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリ塩化ビニルなどがあるが、これらに限定されない。好適なゴム状材料としては、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、ニトリルゴム、ポリクロロプレン、クロロスルホン化ポリエチレン、およびスチレンブタジエンゴムなどがあるが、これらに限定されない。ゴムは、加硫されているか、動的加硫(dynamically vulcanized)されているか、または加硫されていないものでよい。市販のエラストマー基材材料としては、サントプレーン(SANTOPRENE(登録商標))、ビラム(VYRAM(登録商標))、ジオラスト(GEOLAST(登録商標))、トレフシン(TREFSIN(登録商標))、ビスタフレックス(VISTAFLEX(登録商標))、およびダイトロン(DYTRON(登録商標))などがあるが、これらに限定されない。熱可塑性または熱硬化性材料は、多くの場合さまざまな添加剤や充填剤(カーボンブラック、安定剤、可塑剤など)と混合される。
【0096】
熱可塑性または熱硬化性材料の量は、用途で求められている物理的性質に応じて大きく変わりうるものであり、典型的には、エラストマー材料の重量に基づいて少なくとも約15重量パーセントである。実施態様によっては、熱可塑性材料の重量は、エラストマー材料の重量に基づいて約85重量パーセント以下、約70重量パーセント以下、または約60重量パーセント以下である。ゴム状材料の量は、エラストマー材料の重量に基づいて少なくとも約5重量パーセントである。実施態様によっては、ゴム状材料の重量は、エラストマー材料の重量に基づいて約85重量パーセント以下、約70重量パーセント以下、または約60重量パーセント以下である。
【0097】
エラストマー材料によっては、ゴム状材料と熱可塑性または熱硬化性材料との重量比は約5:95〜約95:5である。例えば、ゴム状材料と熱可塑性または熱硬化性材料との重量比は、約20:80〜約80:20、約30:70〜約70:30、または約40:60〜約60:40にすることができる。
【0098】
本発明の1つの望ましい実施態様では、物品は、基材層に永久取り付けされた上記の金属化フィルムの少なくとも1つをエラストマー系ウェザーシールの形態で含む。この実施態様では、金属化フィルムは、熱活性化可能接着剤層単独で、または熱活性化可能接着剤層と金属化フィルムとの間に配置した別個の感圧接着剤層と組み合わせたものによってウェザーシールに永久取り付けしてよい。例えば、ドイツ国キューンハイデのEHVO有限会社(EHVO GmbH(Kuehnheide,Germany))のヒートボンドラミネーター(Heat−Bond Laminator)TE2417型などの熱接着貼合せ機を使用して、ウェザーシールを金属化フィルムの加熱活性化接着剤表面と接触させる直前にウェザーシール(例えば、EPDMゴム異形材)を予熱できる。ウェザーシールの予熱に使用する空気流の例示的温度として、約90リットル/分の流量で約650℃を挙げることができる。テープ貼付け速度は、赤外線放射の設定が55%で約12m/分にすることができる。
【実施例】
【0099】
実施例1
93.64部のアルベルディング・ボレー(Alberdingk−Boley)PUD樹脂U933(ノースカロライナ州シャーロットのアルベルディング・ボレー社(Alberdingk Boley Inc.(Charlotte,NC.)から入手可能な水性ポリカーボネートポリウレタン分散液)、4.86部のUV(紫外線)安定剤溶液、および1.5部のアジリジン溶液を混合して、ポリウレタン分散液を調製した。10.2部のチヌビン(TINUVIN(登録商標))292(ニューヨーク州タリータウンのチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals Corp.(Tarrytown,NY))から入手可能なヒンダードアミン光安定剤)、17.3部のチヌビン(TINUVIN(登録商標))1130(ニューヨーク州タリータウンのチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals Corp.(Tarrytown,NY)から入手可能なヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤)、3.9部のトリトン(TRITON(登録商標))GR−7M(コネチカット州ダンベリーのユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.(Danbury,CT)から入手可能なナトリウムスルホサクシネート界面活性剤)、9部のAMP−95(イリノイ州バッファローグローヴのアンガス・ケミカル社(Angus Chemical Co.(Buffalo Grove,IL)から入手可能なpH調整剤であるアミノメチルプロパノール)、および66.7部の脱イオン水を混合して透明な黄色の溶液を形成させることにより、紫外線安定剤溶液を調製した。アジリジン溶液は、50部の脱イオン水中の50部のネオクリル(NEOCRYL(登録商標))CX−100(マサチューセッツ州ウィルミントンのネオレジンズ社(Neoresins,Inc.(Wilmington,MA)から入手可能な多官能性のアジリジン)であった。
【0100】
ノッチバーコーターを用いて、ポリウレタン分散液をおよそ127μm(5ミル)の厚さまで裸のポリエステルフィルム上に塗布した。分散液は、ゾーン1、2、および3がそれぞれ190°F、350°F、および350°Fに温度設定された3ゾーン・オーブン中で乾燥および硬化させて、厚さが約25.4μm(1ミル)のフィルムを形成させた。各ゾーンの長さは約3.66m(12フィート)であった。フィルムは、50mAの電流を用いて、9.14mpm(30フィート/分)のライン・スピードで酸素グローで処理した。グローチャンバーへの酸素の流量は、3×10-2トルの真空下で195sccmであった。
【0101】
ポリエステルフィルム上のポリウレタンフィルムを金属蒸気コーティングチャンバーの冷却ドラムの回りに装着し、ポリウレタン面がドラムから離れた側にくるようにした。冷却ドラムの温度は15.6℃(60°F)に設定し、チャンバーはポンプで約3×10-5トルの真空度まで下げた。シャッター付き開口部の後ろで、220ミリアンペアの設定値まで電力を徐々に増大させることにより、電子ビーム銃を用いて、スズを保持している2個の黒鉛るつぼを過熱した。3.05m/分(10フィート/分)の速度で冷却ドラム上のフィルムを引っ張って、部分的に開かれた開口部を通り過ぎさせて、蒸気状スズにフィルムを露出し、スズがウェブ上に凝縮して金属化ポリウレタンフィルムが形成されるようにした。
【0102】
30.5μm(1.2ミル)の厚さの層のEAA(ミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル社(Dow Chemical Co.(Midland,MI)から「プリマコール」(PRIMACOR)3330という商品名で市販されているエチレンアクリル酸)を、ポリエステルはく離フィルム上に押し出した。EAA層は、5ミリラドの電子線照射(175kV)に暴露することにより架橋してから、129.4℃(265°F)に設定されたホットカンを用いてポリウレタンフィルムの金属層に積層した。
【0103】
フィルムラミネートのEAA側を、窒素雰囲気中、3.05m/分(10フィート/分)の速度、26Hzおよび250ワットの電力設定でコロナ処理し、その後、約65.6℃(150°F)に加熱したニップロールを用いてはく離ライナー上のアクリル感圧接着剤の層に積層した。アクリル接着剤の組成は、アクリル酸イソオクチル81部およびアクリル酸19部であった。その後アクリル接着剤を、下塗り熱可塑性熱活性化可能接着剤の層に結合させた。熱活性化可能接着剤は、エチレンとプロピレンの熱可塑性コポリマー(テキサス州ヒューストンのエクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Co.,Houston,TX)から入手可能なPP7035E5インパクト・コポリマー(IMPACT copolymer)であった。EP0384598(その内容全体を本明細書に援用する)に記載された手順に従って、電子線照射を用いてN,N−ジメチルアクリルアミドを表面にグラフトすることにより、接着剤を下塗した。その後得られたラミネートを、熱圧貼合せ機(heat pressure laminator)であるWL−30型ラミネーター(Laminator)(ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Company(St.Paul,MN))を用い、ウェザーストリップ表面および金属化ラミネートの熱活性化可能接着剤側を熱気流によって加熱することにより、翼形のウェザーシールに熱接着した。その際の加熱は、貼合せ機のアプリケーターホイール(applicator wheel)を用いて2つの表面を積層して一緒にする直前に行った。ウェザーシールは、オハイオ州アクロンのアドバンスト・エラストマー・システム,LP(Advanced Elastomer Systems,LP(Akron,OH))から「サントプレーン」(SANTOPRENE(登録商標))という商品名で市販されているプロピレンとEPDMゴムのブレンドである、動的加硫エラストマーから形成した。
【0104】
得られたウェザーシールは鏡のような外観を呈しており、これは、(i)手で押して圧力を加えるか、または(ii)6.35mm(0.25インチ)のマンドレルの回りに複合物品を完全に巻きつけることによって変形させることができたが、金属のような外観は失われなかった。
【0105】
不透明度や反射性を失うことなくクロムフィルムが耐えられる変形量を、金属化フィルム(すなわち、ポリウレタンフィルム、金属層、およびEAA層)のフィルム特性を測定することによって求めた。これは表1に示すさまざまな長さに引っ張る前と後に行った。フィルムはインストロン引張試験機を用いて引っ張った。2.54cm(1インチ)×7.62cm(3インチ)のフィルムサンプルを試験機のジョーに配置し、ジョーとジョーの間のギャップは5.08cm(2インチ)に設定した。ジョーでフィルムを固定した位置(これは元の長さである5.08cm(2インチ)を示す)の印をフィルム上に付けた。ジョーをゆっくり広げて、フィルムの引張り長さである6.35cm(2.5インチ)にした。これは1.27cm(0.5インチ)の伸長またはそれに対応する25%の伸び率であることを示す。フィルムを約15秒間ジョーに放置し、ジョーの位置に再び印を付けた。フィルムをジョーから取り外し、以下の特性を測定した。
【0106】
光学濃度(Opt濃度)−マクベス(Macbeth)TD504光学機器を用いてフィルムの光透過率を測定した。光学濃度は、測定したフィルムの光透過率の負の対数をとることにより計算した。典型的には、光学濃度は約0.8〜約1.2以上の範囲であるが、その範囲は金属および所望の外観に応じて変化しうる。
【0107】
表面抵抗率(Surf抵抗率)−表面抵抗率はデコム・インスツルメンツ社(Decom Instruments Inc.)製の717コンダクタンス・モニター(Conductance monitor)を用いて測定した。フィルムサンプルはサンプルプローブの間に入れて測定し、表面抵抗率はオーム/cm2で記録した。応答なし(NR)は、伝導率を測定できなかったことを示す。
【0108】
%弾性回復(%ER)−これは、フィルムをジョーから取り外した後にフィルムが回復した量だった。フィルムは、少なくとも1時間、周囲温度(約22℃)で平面上にサンプルを横たえて、フィルムの最終長さになるようにしてから測定した。フィルムは1時間以内にほとんど回復した。すべてのサンプルの元の長さは一貫して5.08cm(2インチ)であった。%ERは以下のようにして計算した。
%ER=[(フィルムの引張り長さ−フィルムの最終長さ)/元の長さ]×100
%ヒステリシス(%HYS)−これは、引張り後にフィルムが受けた永久変形の量であった。また%引張りと%弾性回復の差である。(%HYS=(%引張り−%ER))
【0109】
別のフィルムサンプルも表1に示したフィルムの引張り長さまで引っ張って、上述のようにして試験した。
【0110】
【表1】
【0111】
加熱活性化接着剤層を含んだ金属化フィルムラミネートについても上述のように試験し、フィルムの特性を測定した。フィルムラミネート構成は、上から下の順に、ポリウレタンフィルム、金属層、EAA層、アクリル接着剤層、および熱活性化可能接着剤層であった。
【0112】
【表2】
【0113】
表1のデータは、150%も引っ張った後でも、本発明のフィルムは金属様の外観を保持していることを示している。驚いたことに、上記のデータは、引張り後の光学濃度の減少量が驚くほど少ないこと、また同様に驚くほど表面抵抗率が増大することを示した。
【0114】
実施例1のフィルムの引張りおよび伸び率も試験した。試験結果を表3に示す。フィルムは、2.54cm(1インチ)幅のサンプルを用いてインストロン引張試験機で試験した。金属化フィルムの構成は、ポリウレタン層、金属層、およびEAA層であった。フィルムラミネートの構成は、ポリウレタン層、金属層、EAA層、アクリル接着剤層および熱活性化可能接着剤層であった。熱活性化可能接着剤層それ自体についても試験した。
【0115】
【表3】
【0116】
フィルムラミネートの試験時に、フィルムはおよそ200%の伸び率まで結合力を維持し、そのポイントでは、最大の全伸び率を示したサンプルの半分において、クリアコートフィルム(すなわち、ポリウレタン層)は破断して引張力の低下が起きるが、引き続き伸長することが観察された。これはおよそ450%の伸び率まで継続したが、そのポイントでプライマー層(EAAフィルム)は破断し、フィルム構造は熱活性化可能接着剤により保持されたままであった。フィルムラミネートは、550と602%の間の伸び率で破断するまで伸長し続けた。その他のサンプルの場合、フィルムは粘着性のあるフィルムとして単に破断またはちぎれただけであった。
【0117】
比較例1
エチレンアクリル酸層の代わりに、層の厚さが12.7μm(0.5ミル)の熱可塑性ポリアミド(イリノイ州エルジンのヘンケル・アドヒージブズ(Henkel Adhesives(Elgin,IL)から入手可能なマクロメルト(MACROMELT)6240)を用いた以外は、実施例1の手順に従って金属化フィルムラミネートを作製した。ポリアミドを紙のはく離ライナー上にコーティングし、110℃(230°F)の温度に設定されたニップを用いて金属層に加熱積層してフィルムラミネートを形成した。実施例1の手順に従ってフィルムラミネートを引っ張って、フィルム特性ならびに光学濃度および表面抵抗率を測定した。元の長さは5.08cm(2インチ)であった。試験結果を表4に示す。
【0118】
【表4】
【0119】
伸長が大きくなるとヒステリシスの量が多くなることを試験結果は示しており、これは金属層がさらに破壊されて光学濃度が低くなることと調和しているように思われる。
【0120】
実施例2
「インコレズ」(INCOREZ)007/129という商品名でインダストリアル・コポリマーズ社(Industrial Copolymers Ltd.)から提供されているポリウレタン分散樹脂を、ノッチバー(notch bar)コーティング装置を用いて未乾燥の厚さが8ミルとなるよう裸のPETライナー上にコーティングした。コーティングしたライナーを60℃(140°F)のオーブン中に1時間入れて、コーティングが完全に乾燥するようにした。その後このフィルムをデントン・バキューム(Denton Vacuum)(DV−502A)蒸気ラボコーター(evaporative lab coater)中に入れた。フィルムをベルの内面にテープで留めたままにして、6個のタングステン線バスケットのそれぞれにスズを2回を加えた。ベルをチャンバーの上に置き、ポンプでおよそ1×10-5トルの真空に下げた。この操作におよそ20分間かかった。タングステン線バスケットへの電力負荷を、電力レベルが35に達するまで上げた。この上昇におよそ2分間かかり、約45秒間電力レベルを35に保持した。その後電力負荷を速やかに最初のポスト(post)まで下げた。2番目のタングステン線バスケットのポストに関して操作を繰り返した。機械はおよそ10分間停止した。その後、機械のチャンバーを大気圧になるまで窒素でパージした。
【0121】
フィルムはバスケットの加熱効果のせいで一部の領域が白化したが、サンプルはライナーに面した表面で非常に反射性があった。その後、このサンプルを実施例1で用いたEAAプライマー層に、実施例1で用いた実験室用貼合せ機によって中くらいからゆっくりの積層速度で129.4℃(265°F)で積層した。その後このフィルムサンプルは、深さが約1.5mmの「JEEP」という文字を有する熱成形雌型を用いて熱成形した。それからこの金型を二液型ポリウレタン樹脂でコーティングしたが、これにより金型はいっぱいになり、シートの裏面にポリウレタンの薄い層が形成された。ポリウレタンを、12.7μm(0.5ミル)の厚さのマクロメルト(MACROMELT)6240のフィルムで覆い、アクリル気泡体テープの層に積層した。熱成形、裏込め、および積層の各プロセスについてはEP0392847に記載されている。サンプルをおよそ10分間硬化させてから、「JEEP」の文字をその上に有する得られたシートを金型から取り外した。
【0122】
その後シートを半分に切断した。シートの半分を、実験室において30.48mpm(100fpm)でPPGインダストリーズ社(PPG Industries Inc.)のUV処理装置モデルQC1202中を5回通過させた。その際に両方のUVランプは「最高(Full)」の設定にした。露出後にサンプルのフィルム側のシートがカールしていた。これは、UVへの露出時に硬化が起きたせいで、ポリウレタンのクリアコートフィルムにいくらか硬化が生じたことを示唆した。透明なポリウレタンフィルムのサンプルについて、上述のように紫外線に露出した場合としない場合の引張りおよび伸び率も評価した。表5に示した引張りおよび伸び率の結果は3つのサンプルの平均である。
【0123】
【表5】
【0124】
上記のサンプルは、UV露出サンプルの引張り力が強くなっており、伸び率が低くなっていることから明らかなように、フィルムがある程度、後硬化したことを明らかに示している。事前に露出したフィルムを使用すると、成形品の熱成形鮮明度(thermoforming definition)を高度なものにすることができる。UVに露出してフィルムを架橋すると、より硬くて、より耐久性のあるフィルムが得られ、熱成形操作による細部のよりすぐれた鮮明度が保たれる。これは、後架橋ステップが施されることで、フィルムの耐溶剤性および総合的耐久性などの全体的な性能をより優れたものにすることもできるはずである。
【0125】
実施例3
EAA層の代わりにポリウレタン層を金属コーティングに積層する以外は、実施例1の手順に従ってフィルムラミネートを作製する。約121.1℃(250°F)の温度設定でホットカンを用いてポリウレタン層を積層する。アクリル感圧接着剤を用いて、第2ポリウレタンフィルムを熱活性化可能接着剤に積層する。その後、実施例1に記載されているようにして熱活性化可能接着剤を翼形のウェザーシールに積層する。
【0126】
実施例4
1ミルの厚さのEAA層をポリウレタン上に積層し、EAA表面を金属化すること以外は、実施例1の手順に従ってフィルムラミネートを作製する。第2EAA層を金属コーティングに積層し、それ以上の層は実施例1に述べたようにして積層する。
【0127】
実施例5
48.82部のアルベルディング・ボレー(Alberdingk−Boley)PUD樹脂U933、および48.82部のアルベルディング・ボレー(Alberdingk−Boley)PUD樹脂U911(ノースカロライナ州シャーロットのアルベルディング・ボレー社(Alberdingk Boley Inc.(Charlotte,NC.)から入手可能な水性ポリカーボネートポリウレタン分散液)、4.86部のUV(紫外線)安定剤溶液、および1.5部のアジリジン溶液を用いて分散液を調製した以外は、実施例1の手順に従って、1つのEAA層を含む金属化ポリウレタンフィルム作製した。10.2部のチヌビン(TINUVIN(登録商標))292(ニューヨーク州タリータウンのチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals Corp.(Tarrytown,NY))から入手可能なヒンダードアミン光安定剤)、17.3部のチヌビン(TINUVIN(登録商標))1130(ニューヨーク州タリータウンのチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals Corp.(Tarrytown,NY)から入手可能なヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤)、3.9部のトリトン(TRITON(登録商標))GR−7M(コネチカット州ダンベリーのユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.(Danbury,CT)から入手可能なナトリウムスルホサクシネート界面活性剤)、9部のAMP−95(イリノイ州バッファローグローヴのアンガス・ケミカル社(Angus Chemical Co.(Buffalo Grove,IL)から入手可能なpH調整剤であるアミノメチルプロパノール)、および66.7部の脱イオン水を混合して透明な黄色の溶液を形成させることにより、紫外線安定剤溶液を調製した。アジリジン溶液は、50部の脱イオン水中の50部のネオクリル(NEOCRYL(登録商標))CX−100(マサチューセッツ州ウィルミントンのネオレジンズ社(Neoresins,Inc.(Wilmington,MA)から入手可能な多官能性のアジリジン)であった。
【0128】
フィルムのEAA側を、はく離ライナー上の架橋されたアクリル感圧接着剤の層に積層した。ホットメルトアクリル接着剤は、中圧水銀ランプからの500mJ/cm2のUV−A照射にさらすことで架橋された、95.42部の2−メチルアクリル酸ブチル、3.98部のアクリルアミドおよび0.60部のベンゾフェノンの組成物であった。
【0129】
実施例6
EAA層を省き、架橋された感圧接着剤を金属層に直接積層して厚さが38.1μm(1.5ミル)の接着剤層を形成したことを以外は、実施例5の手順に従って金属化ポリウレタンフィルムを作製した。
【0130】
実施例7〜8および参考例R1
参考例R1のフィルムは、ミネソタ州セントポールの3Mカンパニーのコマーシャル・グラフィクス・デビジョン(3M Company,Commercial Graphics Division,St.Paul,MN)から入手可能なスコッチカル(Scotchcal(登録商標))3635−110フィルムであった。
【0131】
寸法が30.5cm(12インチ)×30.5cm(12インチ)の1.59mm(0.0625インチ)のポリカーボネートのシート(イリノイ州エルムハーストのマクマスター・カー(McMaster Carr(Elmhurst,IL)から入手可能)を、65.6℃(150°F)で3時間乾燥させた。実施例5および6ならびに参考例R1の金属化フィルムの感圧接着剤側をポリカーボネートシートに積層して、貼合せスタックのサンプルを形成した。この貼合せスタックのサンプルを、65.6℃(150°F)で12時間乾燥させた。スタックが周囲の室温に冷やされた後、サンプルの鏡面性を、以下に記載する手順に従って測定した。
【0132】
サンプルは、ラボフォーム2024サーモフォーマー(Labform 2024 Thermoformer)(ニューヨーク州ウエスト・ナイアックのヒドロ・トリム・コーポレーション(Hydro−Trim Corporation(W.Nyack,NY)から入手可能)を用いて、中密度ファイバーボードでできた図7A−7Bに示すような金型構成を有する金型の表面にスタックのポリカーボネート側が向かい合うようにした状態で、熱成形した。オーブン温度を229.4℃(445°F)に設定したオーブンを用いて、スタックの両側を90秒間加熱した。その後スタックを金型上で9秒間真空成形した。
【0133】
図7A−7Bに示すように、金型70は全体的な長さと幅の寸法が約17.8cm(7インチ)×17.8cm(7インチ)で高さが3.8cm(1.5インチ)である長方形である。幅方向の向かい合った縁71はそれぞれ閉鎖角(enclosed angle)が80度である。長さ方向の縁は、一方の縁72では閉鎖角A1が60度であり、反対側の縁73では閉鎖角A2が75度である。金型70には閉鎖角A3が90度であるV形の溝74があり、その溝は閉鎖角A1が60度である縁72から8.9cm(3.5インチ)の距離d1に配置されている。溝74によって金型70の平面75が大きな平面76と小さな平面77に分けられており、溝74の底80は下側の縁79の9.6mm(0.38インチ)上に位置している。
【0134】
各熱成形フィルムサンプルの鏡面性を、大きな平面76上の領域78で上述のようにして測定した。ある特定のフィルムサンプルの対応領域は領域78がおよそ10%引っ張られていた。両方の実施例のフィルムでは、鏡面性の高いフィルムを上面に有する熱成形シートが作製されたが、参考例R1は拡散反射表面を有していた。
【0135】
反射率の測定は、分光比色計(ニューヨーク州ニューウィンザーのグレタグマクベス(GretagMacBeth(NewWindsor,NewYork)から入手可能なグレタグマクベス・カラー・アイ(GretagMacBeth Color−Eye)7000 UV)で行った。波長帯域(約350〜750ナノメートル)の関数としての反射率は、各サンプルごとに反射成分(specular component)を含むように、また反射成分を除外するように測定した。ある特定のフィルムの鏡面性の度合いは、反射成分を含めた場合および反射成分を除外した場合の分光反射率の値の差を計算して測定した。ある特定の帯域で反射率の値が低い(すなわち、差が小さい)場合、それは拡散反射フィルム(すなわち、鏡面でない)であることを示すが、値が大きい場合は鏡面性の高いフィルム(すなわち、鏡面)であることを示す。
【0136】
以下の表6は、(i)鏡面性の度合い、すなわち、熱成形する前の実施例7および8ならびに参考例R1のフィルムサンプルでの反射成分を含む場合と含まない場合の値の差、さらに(ii)熱成形後のある特定フィルムの鏡面性の度合いを示している。各フィルムサンプル(すなわち、実施例7および8ならびに参考例R1)の鏡面性の差のプロットを図8に示す。図8に示されるように、本発明の実施例7および8は、熱成形プロセスステップに起因する鏡面性の差が参考例R1と比べて小さいことを示した(すなわち、参考例R1の線の対の間の距離がより大きいことで示されている)。
【0137】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の例示的金属化フィルムの横断面図である。
【図2A】本発明の例示的金属化フィルムに用いるのに好適な例示的金属層の斜視図である。
【図2B】本発明の例示的金属化フィルムに用いるのに好適な別の例示的金属層の斜視図である。
【図2C】本発明の例示的金属化フィルムに用いるのに好適な例示的金属層の斜視図であり、この例示的金属層は少なくとも2つの別個の金属領域を有する不連続パターンを含んでいる。
【図3A】本発明の金属化フィルムの金属層に用いるのに好適な例示的金属領域の上部表面の斜視図であり、この例示的金属領域は、視覚的に連続しているが伝導性が不連続な金属領域を含んでいる。
【図3B】図3Aの例示的金属領域の横断面図である。
【図4】図1の例示的金属化フィルムの個別の層の斜視図である。
【図5】本発明の金属化フィルムを含む例示的物品の横断面図である。
【図6】基材に付着した金属化フィルムを含む例示的物品の横断面図である。
【図7A】実施例7〜8および参考例R1における熱成形ステップで使用した例示的金型の斜視図である。
【図7B】図7Aに示されている矢印Aの方向から見た、図7Aに示されている例示的金型の側面図である。
【図8】実施例7〜8および参考例R1のフィルムのサンプルでの鏡面性対波長のプロットを示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属化フィルムおよびそれを含む物品、ならびに金属化フィルムおよび金属化フィルムを含む物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属化フィルムは、発動機付き乗り物、ボート、家具、建築材料、家庭電化製品、標示板などのさまざまな工業品や消費財に取り付けることのできる立体装飾用品を作るのに広く使用されている。これらの装飾用品または機能物品(functional articles)は金属の対応品の代わりに用いることができ、その結果、軽量化、製造費の低減、耐候性の向上、デザインの柔軟性、別の物理的または機械的性質、およびより鮮明な細部装飾の少なくとも1つがもたらされる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、金属化フィルムおよび少なくとも1つの金属化フィルムを含む物品に関する。金属化フィルムは幾つかの個別の層を含み、それらの各々は1つまたは複数の特徴を、得られた金属化フィルムまたは金属化フィルムを含んでいる物品に与える。例えば、本発明の1つの実施態様では、金属化フィルムは、(i)少なくとも一部が架橋された第1ポリマーを含んでいるポリマープライマー層、(ii)少なくとも一部が架橋された第2ポリマーを含んでいるポリマー保護層、および(iii)ポリマープライマー層とポリマー保護層との間の金属層を含む。
【0004】
本発明の別の例示的実施態様では、金属化フィルムは、少なくとも一部が架橋されている第1ポリマーを含むポリマープライマー層と、少なくとも一部が架橋されている第2ポリマーを含むポリマー保護層と、ポリマープライマー層とポリマー保護層との間にある金属層とを含み、(i)ポリマープライマー層が金属層の反対側に外側接着剤表面を有するかまたは(ii)金属化フィルムが金属層の反対側のポリマープライマー層上に接着剤層をさらに含み、その接着剤層がポリマープライマー層の反対側に外側接着剤表面を有する。ポリマープライマー層の外側接着剤表面は室温で粘着性があってよく(例えば、感圧接着剤(PSA))、あるいは加熱後に粘着性を有するものでもよい(例えば、熱活性化可能接着剤)。1つの例示的実施態様では、ポリマープライマー層の外側接着剤表面は感圧接着剤(PSA)である。
【0005】
金属化フィルムが接着剤層をさらに含む一部の実施態様では、接着剤層は感圧接着剤(PSA)層、熱活性化可能接着剤層(例えば、ホットメルト接着剤層)、またはそれらの組合わせであってよい。他の実施態様では、接着剤層は熱硬化性接着剤または熱硬化性PSAであってよい。接着剤層が感圧接着剤(PSA)層を含む場合、金属化フィルムは、感圧接着剤層の露出外面を一時的に保護するためのはく離ライナーをさらに含むことができる。
【0006】
本発明のさらに別の例示的実施態様では、金属化フィルムは、(i)少なくとも一部が架橋されている第1ポリマーを含むポリマープライマー層と、(ii)少なくとも一部が架橋されている第2ポリマーを含むポリマー保護層と、(iii)ポリマープライマー層とポリマー保護層との間にある金属層と、(iv)金属層の反対側にあるポリマープライマー層上の感圧接着剤(PSA)層とを含む。この例示的実施態様では、金属化フィルムは、感圧接着剤(PSA)層の露出外面を一時的に保護するためのはく離ライナーをさらに含んでもよい。
【0007】
本発明はまた、上述の例示的金属化フィルムなどの少なくとも1つの金属化フィルムを含む製品に関する。(i)少なくとも一部が架橋されている第1ポリマーを含むポリマープライマー層、(ii)少なくとも一部が架橋されている第2ポリマーを含むポリマー保護層、(iii)ポリマープライマー層とポリマー保護層との間にある金属層、および(iv)金属層の反対側にあるポリマープライマー層上の接着剤層に加えて、本発明の物品は、1つまたは複数の追加層を含んでもよく、その追加層としては追加の接着剤層、1つまたは複数のはく離ライナー、追加のポリマー保護層、追加のポリマープライマー層、熱成形可能層、1つまたは複数の永久取り付け基材、およびそれらの組合わせがあるが、これらに限定されない。1つの例示的実施態様では、物品はウェザーストリップ材などのエラストマー基材に取り付けられた金属化フィルムを含む。別の例示的実施態様では、物品は、熱成形可能物品を形成する熱成形可能層に取り付けられた金属化フィルムを含み、その熱成形可能物品は熱成形して本発明の金属化フィルムを含む熱成形物品を形成できる。
【0008】
本発明はさらに、金属化フィルムの製造方法、および少なくとも1つの金属化フィルムを含む物品の製造方法に関する。例示的実施態様では、金属化フィルムの形成方法は、外面を有するポリマー保護層を提供するステップと、外面上に金属層を付着させるステップと、金属層上にポリマープライマー層を適用するステップと、ポリマー保護層およびポリマープライマー層を架橋させるステップと、任意選択的にポリマープライマー層上に接着剤層を適用するステップとを含み、(i)ポリマープライマー層が金属層の反対側に外側接着剤表面を有するかまたは(ii)金属化フィルムが金属層の反対側のポリマープライマー層上に接着剤層を含み、その接着剤層がポリマープライマー層の反対側に外側接着剤表面を有する。本発明の方法では、さまざまなフィルム形成方法、金属付着方法、コーティング方法、および/または架橋方法を使用してよい。少なくとも1つの金属化フィルムを含む物品の製造方法では、その方法は熱成形ステップなどの追加のステップを含んでもよい。
【0009】
上記の「課題を解決するための手段」は、本発明の各開示実施態様またはあらゆる実施について記載することを意図するものではない。以下に示す「発明を実施するための最良の形態」の節では、こうした実施例をさらに詳細に例示する。
【0010】
上記の各態様は、添付図面と照らし合わせながら、さまざまな実施態様についての以下の詳細な説明を考慮するならば、さらに完全に理解できる。
【0011】
本発明は、さまざまな変更態様や代替形態が可能であるが、それらの詳細は図の中で例として示してあり、これらから詳しく説明する。ただし、その目的は、説明されている特定の実施態様に本発明を限定することではないことを理解すべきである。それとは逆に、その目的は、本開示内容の趣旨および範囲に含まれる変更態様、等価物、および代替形態すべてを包含することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の原理をより理解できるように、本発明の具体的な実施態様を以下に説明し、特有の用語を用いて具体的な実施態様を説明する。とはいえ、特有の用語を用いていることが本発明の範囲を限定することを意図しているものではないことは理解されるであろう。改変、さらなる変更、および本発明が関係する当業者が通常気付くであろう本発明に記載されている原理のさらなる応用は、意図されている。
【0013】
本発明は、金属化フィルムおよび金属化フィルムの製造方法に関する。本発明はさらに、少なくとも1つの金属化フィルムを含む製品、ならびに少なくとも1つの金属化フィルムを含む製品の製造方法に関する。
【0014】
本発明の例示的金属化フィルムを図1に示す。図1に示すように、例示的金属化フィルム10は、少なくとも部分的に架橋されたポリマープライマー層11、金属層12、少なくとも部分的に架橋されたポリマー保護層13、および接着剤層14を含む。この例示的実施態様では、金属層12の外面121および122はポリマー保護層13の架橋された外面131およびポリマープライマー層11の架橋された外面111にそれぞれ直接接触している。さらに、この実施態様では、接着剤層14がポリマープライマー層11と直接接触している。
【0015】
少なくとも部分的に架橋された2つの層の間に金属層を配置すると、幾つかの望ましい特性を有する金属フィルムが得られることが見出された。実施態様によっては、得られた金属化フィルムは、延伸後の光学濃度の減少量が驚くほど少ない。さらに実施態様によっては、得られた金属化フィルムは、延伸すると表面抵抗率が驚くほど増大する。2つの架橋されたポリマー層の間に金属層を隔離し閉じ込めると、得られた金属化フィルムの全体的な性能特性が驚くほど大幅に向上する。例えば、フィルム弾性、熱劣化、および耐食性などの特定の特性が向上し、結果として後の処理工程における強靭さが増大した、環境耐久性のある金属化フィルムが得られる。
【0016】
本発明において使用される「架橋された」という用語は、機械的に変形させられるときまたは高温にさらされたときに高分子材料が流動抵抗のある、事実上無限に近いほど大きな分子量となる高分子量材料のことを指す。「少なくとも部分的に架橋された」という表現は、機械的に変形させられるときまたは高温にさらされたときに少なくとも一部が流動抵抗のある高分子材料または高分子材料の層のことを指す。例えば、高分子材料の比較的厚い層は、機械的に変形させられるときまたは高温にさらされたとき第1外面は流動抵抗があるが、反対側の第2外面は機械的に変形させられるときまたは高温にさらされたとき、流動抵抗が最小となるように、少なくとも部分的に架橋することができる。
【0017】
図1に示されているように、本発明の金属化フィルムは幾つかの個別の層を含むことができる。本発明の例示的金属化フィルムの個別の層、全体的な構成、およびさまざまなフィルム構成限定要素に関する説明を以下に示す。
【0018】
I.金属化フィルムの構成および特性
本発明の金属化フィルムは独特のフィルム構造を有している。本発明の金属化フィルムの各層の説明、ならびに得られる金属化フィルムの例示的フィルム特性を以下に示す。
【0019】
A.金属化フィルム層
本発明の金属化フィルムは、以下の個別の層の1つまたはそれ以上を含む。
【0020】
1.ポリマー保護層
本発明の金属化フィルムは、例示的金属化フィルム10の例示的ポリマー保護層13のような少なくとも1つのポリマー保護層を含む。ポリマー保護層は、隣接した金属層を覆って、得られる金属化フィルムに以下の特性の1つまたはそれ以上を与える:耐引掻性、耐衝撃性、耐水性、耐候性、耐溶剤性、耐酸化性、および耐紫外線放射崩壊性(resistance to degradation by ultraviolet radiation)。ほとんどの実施態様では、金属層のどの部分も露出しないようにポリマー保護層が隣接金属層を完全に覆っている。
【0021】
ポリマー保護層は1種または複数種のポリマー成分を含むことができ、1種または複数種のポリマー成分の少なくとも1種は架橋されている。本発明の実施態様によっては、金属層に隣接したポリマー保護層の外面のみが架橋されている。本発明の他の実施態様では、架橋された高分子材料は実質的にポリマー保護層の厚み全体にわたって分散している(すなわち、ポリマー保護層の外面だけとは異なり、ポリマー保護層全体に架橋ステップを実施する)。
【0022】
本発明の他の実施態様では、ポリマー保護層内の架橋度は異なっていてポリマー保護層の厚みに沿って架橋の勾配が形成されている。その場合、金属層に隣接したポリマー保護層の外面は比較的架橋度が高く、ポリマー保護層内の架橋度は、金属層に隣接したポリマー保護層の外面からの距離が離れるにつれて減少する。この実施態様では、金属層の反対側のポリマー保護層の外面は、金属層に隣接したポリマー保護層の外面の架橋度を基準にすると架橋度がもっとも低くなっている(架橋がある場合)。
【0023】
好適な架橋性ポリマー成分としては、ポリウレタン、極性基を含んでいるポリマーまたはコポリマー、ポリオレフィン、エチレン/酢酸ビニル/酸三元共重合体、アクリレート系物質、酸またはヒドロキシル官能性ポリエステル、イオノマー、フルオロポリマー、フルオロポリマー/アクリレートブレンド、あるいはそれらの任意の組合わせなどがあるが、これらに限定されない。本発明の実施態様によっては、架橋性ポリマー成分により、伸びるポリマー保護層が提供され、そのポリマー保護層は、ポリマー保護層の降伏点を越えない限り、緩めたときに元の長さ(または幅)に実質的に回復する。そのようなポリマー保護層があると、その上の金属層はポリマー保護層の伸長時に分断状態になるが、その後ポリマー保護層を緩めると、ポリマー保護層の降伏点を越えない限り、実質的に伸長前の状態に戻る。
【0024】
1つの例示的実施態様では、ポリマー保護層は架橋された脂肪族水性ポリウレタン樹脂を含む。例示的脂肪族水性ポリウレタン樹脂としては、米国特許第6,071,621号明細書(その内容全体を本明細書に援用する)に記載されているものなどがある。市販の脂肪族水性ポリウレタンとしては、オランダ国ワールワイクのアビシア(Avecia(Waalwijk in The Netherlands))から「ネオレッズ」(NEOREZ)という商品名で販売されている原料(例えば、ネオレッズ(NEOREZ)SR 9699、XR 9679、およびXR 9603)、およびペンシルバニア州ピッツバーグのバイエル社(Bayer Corp.(Pittsburgh,PA))から「バイヒドール」(BAYHYDROL)という商品名で販売されている原料(例えば、バイヒドール(BAYHYDROL)121)があるが、これらに限定されない。水性ポリウレタン樹脂は、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどのさまざまなタイプのポリオールから作ることができる。より優れた非汚染性が求められる一部の用途には、ポリカーボネート系ポリウレタンの使用が望ましいことがある。
【0025】
別の例示的実施態様では、ポリマー保護層は、1種または複数種のポリオールとポリイソシアネートとを反応させて形成される架橋された溶剤ベースのポリウレタン樹脂を含む。用途によっては、ポリオールおよびポリイソシアネートは芳香族基が含まれていないことが望ましい。好適なポリオールとしては、ペンシルバニア州ピッツバーグのバイエル社(Bayer Corporation(Pittsburgh,PA))から「デスモフェン」(DESMOPHEN)という商品名で市販されている原料などがあるが、これに限定されない。ポリオールは、ポリエステルポリオール(例えば、デスモフェン(DESMOPHEN)631A、650A、651A、670A、680、110、および1150)、ポリエーテルポリオール(例えば、デスモフェン(DESMOPHEN)550U、1600U、1900U、および1950U)、またはアクリルポリオール(例えば、デモフェン(DEMOPHEN)A160SN、A575、およびA450BA/A)であってよい。本発明の1つの実施態様では、3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を使用して、架橋されたポリウレタンを得る。好適なポリイソシアネート化合物としては、ペンシルバニア州ピッツバーグのバイエル社(Bayer Corporation(Pittsburgh,PA))から「モンジュール」(MONDUR)および「デスモジュール」(DESMODUR)という商品名で市販されている原料(例えば、デスモジュール(DESMODUR)XP7100およびデスモジュール(DESMODUR)3300)などがあるが、これらに限定されない。
【0026】
さらに別の例示的実施態様では、ポリマー保護層は、(i)ポリマー鎖に沿った少なくとも1つの極性基、(ii)少なくとも1つのオレフィン部分、または(iii)(i)と(ii)の両方を含んでいる架橋されたポリマーまたはコポリマーを含む。実施態様によっては、極性基は、複数種の酸基、それらのエステル、またはそれらの塩である。例えば、極性基は、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸塩である。好適なカルボン酸、カルボン酸エステル、およびカルボン酸塩としては、アクリル酸、C1〜C20のアクリレートエステル、アクリレート塩、(メタ)アクリル酸、C1〜C20(メタ)アクリレートエステル、(メタ)アクリレート塩、またはそれらの組合わせがあるが、これらに限定されない。好適なメタクリレートエステルおよびアクリレートエステルは、典型的には、約20個までの炭素原子または約12個までの炭素原子(分子のアクリレートおよびメタクリレート部分を除く)を含む。実施態様によっては、メタクリレートエステルおよびアクリレートエステルは約4個〜約12個の炭素原子を含む。
【0027】
ポリマーまたはコポリマーのオレフィン部分は、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、またはそれらの組合わせなどのモノマーをラジカル重合させることによって形成できる。実施態様によっては、オレフィン原料としては、エチレン不飽和を有するオレフィンモノマーなどがある。例えば、ポリエチレンオリゴマーまたはエチレンモノマーと極性基を有するモノマーとを反応させれば、ポリマー保護層に用いられるコポリマーを形成できる。
【0028】
実施態様によっては、コポリマーは、エチレン不飽和を有するオレフィンモノマーと、(メタ)アクリル酸、C1〜C20の(メタ)アクリレートエステル、(メタ)アクリレート塩、アクリル酸、C1〜C20のアクリレートエステル、アクリレート塩、またはそれらの組合わせから選択される第2モノマーとの反応生成物である。コポリマーは、約80〜約99重量パーセントのオレフィンモノマーおよび約1〜約20重量パーセントの第2モノマーを用いて製造できる。例えば、コポリマーは、約83〜約97重量パーセントのオレフィンモノマーおよび約3〜約17重量パーセントのアクリル酸、C1〜C20のアクリレートエステル、アクリレート塩、(メタ)アクリル酸、C1〜C20の(メタ)アクリレートエステル、(メタ)アクリレート塩、またはそれらの組合わせを共重合させることにより製造できる。別の例では、コポリマーは、約90〜約96重量パーセントのオレフィンモノマーおよび約4〜約10重量パーセントのアクリル酸、C1〜C20のアクリレートエステル、アクリレート塩、(メタ)アクリル酸、C1〜C20の(メタ)アクリレートエステル、(メタ)アクリレート塩、またはそれらの組合わせを含む。
【0029】
(メタ)アクリレート基またはアクリレート基の塩がポリマーまたはコポリマー中に存在している場合、塩の正イオンは典型的には、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、または遷移金属イオンである。例えば、正イオンとしては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、または亜鉛などを挙げることができる。
【0030】
実施態様によっては、ポリマー保護層は、例えば、エチレン(メタ)アクリル酸またはエチレンアクリル酸などのコポリマーを含む。ポリマー保護層に用いるのに好適な市販のコポリマーとしては、プリマコール(PRIMACOR)3330(アクリル酸を6.5%およびエチレンを93.5%含む)などの「プリマコール」(PRIMACOR)という商品名でミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company(Midland,MI))から入手可能なコポリマー、ニュクレル(NUCREL)0403(エチレンとメタクリル酸とのコポリマー)などの「ニュクレル」(NUCREL)という商品名でデラウェア州ウィルミントンのデュ・ポン(DuPont(Wilmington,DE))から市販されているコポリマー、「エルバロイ」(ELVALOY)(エチレンとアクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、またはアクリル酸メチルとのコポリマー)という商品名で市販されているコポリマー、および「サーリン」(SURYLN)(エチレンとアクリル酸のイオノマー)という商品名で市販されているコポリマーなどがあるが、これらに限定されない。
【0031】
ある程度の架橋をポリマー保護層内に生じさせるためには、1種またはそれ以上の上記の高分子材料を任意の既知の架橋技術で架橋させることができる。その技術としては、(i)1種または複数種の高分子材料の反応性基を使用した化学的架橋、(ii)架橋添加剤を1種または複数種の高分子材料と組み合わせて使用した化学的架橋、(iii)架橋を引き起こす量の照射(例えば、電子線照射)に1種または複数種の高分子材料をさらすなどの架橋ステップを用いた、1種または複数種の高分子材料の物理的架橋、あるいは(iv)(i)、(ii)および(iii)の任意の組合わせなどがあるが、これらに限定されない。
【0032】
例えば、上記の水性ポリウレタン組成物は、ジアジリジンなどの架橋剤(例えば、約3重量パーセント未満)を添加することにより、架橋されうる。市販のジアジリジンは、「ネオクリル」(NEOCRYL)(例えば、ネオクリル(NEOCRYL)CX−100)という商品名でオランダ国ワールワイクのアビシア(Avecia(Waalwijk in the Netherlands))から販売されている。さらに、上記の溶剤ベースのポリウレタン樹脂は、例えば、架橋剤または硬化剤(メラミン樹脂などの)との反応により、架橋されうる。本発明に用いるのに好適な他の架橋剤としては、グリシジルエステル、尿素/ホルムアルデヒド樹脂、アミンおよびアミン官能性樹脂、およびシランなどがあるが、これらに限定されない。
【0033】
(i)ポリマー鎖に沿った少なくとも1つの極性基、(ii)少なくとも1つのオレフィン部分、または(iii)(i)と(ii)の両方を含んでいる上記のポリマーまたはコポリマーは、例えば、電子線照射を用いて架橋されうる。実施態様によっては、コポリマーのオレフィン部分は、例えば、電子線照射を用いて架橋できる。コポリマーは第二級水素の引抜きによって架橋が可能であるが、これにより、ラジカル中間体が形成される。このラジカル中間体はその後、他のオレフィンラジカルまたは追加のコポリマーと結合して分子量のより大きな物質を形成する。コポリマーのオレフィン部分の構造によるが、ラジカル中間体は架橋反応によって分子量を増大させる反応ではなく、崩壊反応を起こしうる。オレフィン部分がポリエチレンを含んでいる場合、切断反応(scission reactions)に起因する崩壊の量は小さい。ポリエチレンは電子線照射にさらされると架橋しうるが、ポリプロピレンはポリエチレンと比べて鎖切断反応を受ける傾向が大きくなる。
【0034】
通常、架橋反応を上回って過度にポリマーの鎖切断反応が起こらなければ、照射量はできるだけ多くする。分子量の減少は、照射によってポリマーが過度に劣化したことことの指標となりうる。したがって、鎖切断反応が起こる傾向のあるポリマーの場合、照射量は典型的には、照射ポリマーの重量平均分子量が、照射されなかったこと以外はすべて同一のコポリマーの重量平均分子量の少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%となるように制限される。架橋されたコポリマーの重量平均分子量は、架橋されなかったこと以外はすべて同一のコポリマーの重量平均分子量よりも大きいことが好ましい。
【0035】
実施態様によっては、電子線照射量は約10ミリラド未満である。例えば、その量は、約0.1〜約10ミリラドの範囲または約3〜約7ミリラドの範囲にすることができる。照射の電圧は、典型的には約600キロボルトにすることができる。例えば、電圧は約25〜約600キロボルト、約50〜約300キロボルト、または約100〜約200キロボルトの範囲にすることができる。より高い電圧を使用すれば、厚さのより厚いコポリマーを貫通させることができる。
【0036】
本発明に用いるのに好適な他の物理架橋ステップとしては、ガンマ線、X線および紫外線などの電離放射線形態への暴露などがあるが、これらに限定されない。
【0037】
化学的/物理的方法を組み合わせた架橋方法である別の代わりの架橋方法は、増感剤(紫外線開始剤など)をポリマー層に含有させることを伴う。フィルムを紫外線にさらすと、ポリマー保護層内で架橋反応が開始される。フィルムを後架橋するこの方法は、金属化フィルムの処理に関してより大きな自由を使用者に与えることになり、フィルムの実用性が増す。例えば、フィルムの使用者は接着剤を基材に塗布する前および塗布している間(熱成形ステップの時など)に、フィルムの伸び率がより大きいことを望む場合がある。しかしながら後ほど、接着接合させた後に、フィルムと基材の間で性質をよりいっそう適合させる目的で、フィルムの硬さおよび/または耐熱性を高めたいことがある。このことは、高いゴム弾性を有する基材または複雑な立体成形品(自動車用ウェザーシールなど)を取り扱う際に望まれる特定の要件や兼ね合いに対処するときに特に当てはまる。
【0038】
ポリマー保護層は、ポリマー保護層の1種または複数種のポリマー成分に含有させた1種または複数種の添加剤をさらに含んでよい。好適な添加剤としては、染料、顔料、湿潤剤(界面活性剤など)、不活性な充填材(例えば、ガラス微小球)、ワックスやスリップ剤、紫外線安定剤(ベンゾトリアゾール類およびベンゾフェノン類など)とヒンダードアミン安定剤の併用、およびそれらの組合わせなどがあるが、これらに限定されない。
【0039】
1種または複数種の添加剤は、存在する場合、ポリマー保護層の全重量に基づいて約50重量パーセント(pbw)まで占めることができ、残りは1種または複数種の高分子材料である。典型的には、それぞれの個々の添加剤は、存在する場合、ポリマー保護層の全重量に基づいて約0.05pbwより多くかつ約20pbwまでの範囲の量、好ましくは約0.1pbwと約10pbwの間、もっとも好ましくは約0.5pbwと約5pbwの間の量だけ存在し、残りは1種または複数種の高分子材料である。
【0040】
ポリマー保護層は、ポリマー保護層外面の特性、特に金属層に隣接したポリマー保護層の外面(例えば、図1に示すポリマー保護層13の外層131)の特性を変えるために、1種または複数種の表面処理が施されてもよい。好適な表面処理としては、コロナ放電表面処理、火炎処理、およびグロー放電表面処理などがあるが、これらに限定されない。ポリマー保護層の内部または表面に巨視的な劣化が生じない限り、官能基を化学的にグラフトできるかまたはフィルムの表面を酸化できる任意の表面処理が許容される。1つの例示的実施態様では、1種または複数種の表面処理を行うと、ポリマー保護層と金属層との間の粘着力が向上する。
【0041】
ポリマー保護層は、所望に応じて高い光沢面を有していても低い光沢面を有していてもよい。さらに、ポリマー保護層の反射率も、所望に応じて高くても低くてもよい。下にある金属層がポリマー保護層を通して見えるように、ポリマー保護層は可視光線に対して透明であることが望ましい。本明細書で使用される「透明」という用語は、可視光線の少なくとも約50パーセントが通過するような物質のことを指す。例えば、透明な物質は、可視光線の少なくとも約75パーセント、少なくとも約80パーセント、少なくとも約85パーセント、少なくとも約90パーセント、または少なくとも約95パーセントを通すことができる。用途によっては、ポリマー保護層は着色されていても透明である。例えば、ポリマー保護層に色をつけるために、ポリマー保護層は染料および/または顔料を含んでいてよい。
【0042】
ポリマー保護層は、自立フィルムなどの予備成形層として提供してもよく、あるいは溶液からはく離ライナー上にキャストしてもよい。例えば、ポリマー保護層が脂肪族水性ポリウレタン樹脂である場合、ウレタンの水性分散液を剥離剤が塗布されたポリエステルフィルムなどのはく離ライナー上にキャストできる。その後、キャストされたウレタン分散液を乾燥させて水分を除去できる。通常、ポリウレタンは乾燥ステップで架橋も行われるが、後ほど架橋してもよい。別の例では、溶剤を含んでいないかまたは含んでいるポリイソシアネートとポリオールの混合物を、はく離ライナー上にキャストできる。その後、キャストされた混合物を乾燥させて溶剤(ある場合)を除去し、硬化させて架橋されたフィルムを形成できる。
【0043】
ポリマー保護層をはく離ライナー上に形成する場合、はく離ライナーは、ポリマー保護層の外面に起伏状の(topographical)特徴を与えるのに使用できる。例えば、はく離ライナーは、ポリマー保護層の外面に沿って谷および/または隆起の均一なパターンを与えることができる。他の実施態様では、はく離ライナーは、ポリマー保護層の外面に実質的な平滑面を与えるのに使用できる。あるいはまた、はく離ライナーにより、不規則な表面模様付き表面または艶消面をポリマー保護層に与えることができる。本発明に用いるのに好適なはく離ライナーとしては、米国特許出願公開第20040048024号明細書および同第20030129343号明細書(現在では米国特許第6,984,427号明細書)に開示されているはく離ライナーなどがあるが、これらに限定されない。それらの開示内容全体を本明細書に援用する。
【0044】
本発明の他の実施態様では、ポリマー保護層を金属層と接合する前または後に、ポリマー保護層の外面には、エンボスして外面にパターンを設けることができる。例えば、実施態様によっては、金属層の反対側のポリマー保護層の外面にエンボスして金属化フィルムにパターンを設けることができる。他の実施態様では、金属層に隣接するポリマー保護層の外面にエンボスしてパターンを設け、その上に金属層を付着させる。本発明に用いるのに好適なエンボス方法としては、米国特許第5,897,930号明細書(その開示内容全体を本明細書に援用する)に開示されているエンボス方法などがあるが、これらに限定されない。
【0045】
本発明の実施態様によっては、金属層に隣接したポリマー保護層の外面は、その上に非常に小さな起伏状の特徴(それがある場合)を有する実質的にフラットで平滑な平面の表面であってよい。本明細書で使用される「平面」という用語は、実質的に同一面内にある層の表面を表すのに使用される。これらの実施態様では、後で施される金属層により、金属化フィルムに鏡のような外観を与えることができる。本発明の他の実施態様では、金属層に隣接したポリマー保護層の外面は、起伏状の特徴をその上に有する表面など、非平面の表面を有していてよい。上記のとおり、エンボス技法を用いて、金属層に隣接したポリマー保護層の外面に起伏状の特徴を与えることができる。その他の技法としては、起伏状の特徴をその中に有する別のはく離ライナーを使用して金属層に隣接したポリマー保護層の外面を形成するものなどを挙げることができるが、これらに限定されない。これらの実施態様では、後で適用される金属層により、金属化フィルムに別の外観を与えることができる。
【0046】
ポリマー保護層は所望の任意の厚さを有していてよいが、典型的にはポリマー保護層の平均厚さは少なくとも約5マイクロメートル(μm)である。用途によっては、ポリマー保護層の厚さは、少なくとも約10μm、少なくとも約15μm、少なくとも約20μm、または少なくとも約25μmである。ポリマー保護層の厚さに制限はないが、通常、ポリマー保護層の厚さは約50μm未満である。用途によっては、ポリマー保護層の厚さは、約40μm未満、約35μm未満、または約30μm未満である。例えば、厚さは、約5〜約50μm、または約10〜約40μm、または約20〜約30μmの範囲にすることができる。
【0047】
2.金属層
本発明の金属化フィルムは、例示的金属化フィルム10の例示的金属層12などの金属層をさらに含む。金属層は、不透明でも反射性でも無反射性でもよい。実施態様によっては、金属層は、光沢のある鏡のような仕上がりとなる。さらに、金属層は、ポリマー保護層とポリマープライマー層との間に、金属材料の連続または不連続パターンを形成してもよい。
【0048】
金属層は、例えば、金属、合金、および金属間組成物などの広範囲の金属含有物質から選択できる。金属層は、スズ、金、銀、アルミニウム、インジウム、ニッケル、鉄、マンガン、バナジウム、コバルト、亜鉛、クロム、銅、チタン、およびそれらの組合わせを含むことができる。組合わせの例としては、ステンレス鋼およびインコネル(INCONEL(登録商標))合金などがあるが、これらに限定されない。
【0049】
金属層は通常、金属を上記のポリマー保護層に付着させて形成される。金属は、知られている任意の技法で付着させることができる。例えば、好適な付着方法としては、スパッタリング、電気めっき、イオンスパッター、または真空蒸着などがあるが、これらに限定されない。用途によっては、真空蒸着方法を用いて金属を付着させる。本発明に用いるのに好適な金属付着方法としては、Foundations of Vacuum Coating Technology by D.M.Mattox,published by William Andrew/Noyes(2003年)(その開示内容全体を本明細書に援用する)に開示されている金属付着方法などがあるが、これらに限定されない。
【0050】
金属層の厚さは、所望の表面状態にするために必要に応じて変えることができる。実施態様によっては、金属化層の平均厚さは少なくとも50オングストロームである。例えば、金属層の平均厚さは、少なくとも100、少なくとも200、少なくとも400、少なくとも800、または少なくとも1000オングストロームにすることができる。
【0051】
金属層は連続パターンを含んでもよく、例えば、金属層はポリマー保護層の外面を実質的に覆う金属材料の単一領域を含む。この実施態様の例を図2Aを示す。その中では、例示的金属領域30は、例示的ポリマー保護層37を完全に覆っており、金属の単一領域を形成する金属材料の単一連続パターンを含んでいる。図2Bに示す別の実施態様では、金属材料40の単一連続領域を使用して、ポリマー保護層37の外面38上に文字「C」などのパターンを形成することができる。本発明の別の実施態様では、図2Cに示す例示的実施態様のように、金属層は、ポリマー保護層の外面に2つ以上の不連続金属材料領域を有する不連続パターンを含むことができる。図2Cに示すように、2つの分離された金属材料領域50を使用して、ポリマー保護層37の外面38に2つの別個の文字「CC」を含む不連続パターンを形成することができる。
【0052】
金属層が連続パターンを含むか不連続パターンを含むかにかかわらず、金属材料の各領域(例えば、例示的金属領域30、40および50のそれぞれ)は、複数の互いに隣接して配置された個別の金属領域を含むことができ、その結果として得られる金属領域(図3Aに示すような例示的金属領域120など)を形成することができる。実施態様によっては、1つまたは複数の金属領域を含んでいる金属層(例示的金属領域120など)を金属化フィルムに組み込むことによって、金属化フィルムの耐食性を向上させることができることが見出された。図3Aに示すように、例示的金属領域120は複数の不連続金属領域62を含み、それが金属材料のパターン64を形成している。この実施態様では、金属領域120は視覚的に連続しているように見えるが、金属領域120は表面伝導率または抵抗率の点では不連続である。
【0053】
例示的金属領域120が不連続であるため、金属層の表面抵抗率は少なくとも約2オーム/cm2、望ましくは少なくとも約10オーム/cm2となる。1つの例示的実施態様では、金属領域の表面抵抗率は少なくとも約3、少なくとも約5、少なくとも約10、または少なくとも約20オーム/cm2である。実施態様によっては、性能上の理由から表面抵抗率をできるだけ高くするとともに、その用途での見た目を美しくするという要件を満たす同じように高い光学濃度を維持することが望ましい。
【0054】
例示的金属領域120のような複数の隣接した個別の金属領域を有する金属領域を形成する1つの方法は金属付着ステップを含み、その付着ステップは金属領域内で伝導性が生じる前または生じた直後に終了させられる。そのような付着ステップを図3Bに示す。この図は図3Aに示した例示的金属領域120の横断面図を示している。図3Bに示すように、複数の不連続金属領域62はポリマー高分子層37の外面38から上方に突出している。金属付着工程の間に、それぞれの個別の金属領域62は段階的な過程によって組み立てられ、(例示的基部金属付着物62Aのような)基部の金属付着物が最初に外面38に沿った場所39のところでポリマー高分子層37の外面38に付着すると考えられている。場所39は、(i)ポリマー高分子層37に使用される高分子材料の官能基、(ii)ポリマー高分子層37に使用される添加剤の官能基、(iii)上記の表面処理の1つまたはそれ以上に起因する表面処理部位、あるいは(i)、(ii)および(iii)の任意の組合わせに相当しうる。図3Bに示すように、例示的基部金属付着物62Aはポリマー高分子層37の外面38に沿って互いに離間されている。追加の金属が付着するにつれ、例示的中間金属付着物62Bおよび62Cのような1つまたは複数の中間金属付着物によって、高さが増大し、個別の金属領域62間の間隔が減少した個別の金属領域62(外面38から突出している)がもたらされる。付着ステップの際のある時点で、金属付着ステップを継続させた場合、個別の金属領域62は互いに融合して、電気的にすべて相互連結した連続金属領域が形成される。本発明の実施態様によっては、金属付着ステップを停止させて、図3Bに示すように隣接した個別の金属領域62の外周間に間隔が開くようにすることが望ましい。付着時の金属の挙動の主要な駆動力となるのは、有機系(organic−based)ポリマー層の表面エネルギーに対して金属の表面エネルギーが高いという性質である。相対表面エネルギーの差があるからといって、金属とポリマー層との間に有利な相互作用またはぬれが生じ、それによって金属が最初に個別の微視的な領域に付着することが可能になるわけではない。
【0055】
図3Bに示すように、個別の金属領域62の最上部金属付着物62Dの外周65は互いに近接して配置されるが、それらの間に間隔があることが望ましい。実施態様によっては、個別の金属領域62の最上部金属付着物62Dの外周65は、互いに接触しても、なおかつ不連続伝導率を有する金属領域をもたらすものであってよい。本明細書で使用される「不連続伝導率」という用語は、典型的には約0.1モー未満の表面伝導率または少なくとも約10オーム/cm2の表面低効率を有する金属領域または金属層を表すのに用いられる。ただし、これは使用する金属によって変化しうる。
【0056】
典型的には、ある特定の表面に付着する金属の量は金属層の光学濃度によって測定できる。光学濃度は透過率の尺度であり、透過率の負の対数を取ることによって得られる。光学濃度は付着する金属によって異なることになるが、典型的には、金属層は約2.0未満の光学濃度を有する。例えば、アルミニウムは約2.0未満の望ましい光学濃度を有することができるが、スズは約2.0と約2.2の間の望ましい光学濃度を有することができる。
【0057】
電離放射線を用いてポリマー保護層、ポリマープライマー層、またはその両方の架橋を実施することが、金属化フィルムの形成に伴う場合、電気的に不連続な(すなわち、不連続伝導率を有する)金属層を保持すると、付加的な便益がもたらさせることも見出された。金属層に伝導性があり、電子線照射を用いて1種またはそれ以上のポリマー層を架橋する場合、金属は伝導性シールドとして働いて、電子線が両方の層を貫通しないようにすることができる。シールドのように働く際に、金属層の伝導性により、大量の激しい放電をもたらす電荷が金属層内に実際に生成され、それは金属層にかなりの損傷を生じさせる。電子ビームを用いてポリマー層を架橋する場合、この荷電/放電挙動のため、有用なフィルムを製造することができない。それに対して、金属層の電気抵抗を高く保つとフィルムの誘電特性が維持され、それにより電子線照射を用いてポリマー保護層およびポリマープライマー層の一方または両方を架橋することが可能になる。
【0058】
3.ポリマープライマー層
本発明の金属化フィルムは、例示的金属化フィルム10の例示的ポリマープライマー層11のような少なくとも1つのポリマープライマー層も含む。少なくとも1つのポリマープライマー層は、図1の例示的金属化フィルム10に示すように上記のポリマー保護層とは反対側の金属層の外面を覆う。ポリマー保護層と同じように、ポリマープライマー層も次のような特性の1つまたは複数を金属層に与える:耐引掻性、耐衝撃性、耐水性、耐候性、耐溶剤性、耐酸化性、および耐紫外線放射崩壊性。さらにプライマー層は、他の層(例えば、接着剤)が容易に付着できる表面を提供する。ほとんどの実施態様では、ポリマープライマー層は、金属層のどの部分も露出しないように、上記のポリマー保護層とは反対側の金属層の外面を完全に覆う。
【0059】
ポリマープライマー層は、上記のポリマー成分の1種またはそれ以上およびポリマー保護層に用いるのに好適な任意の添加剤を含んでもよい。さらに、ポリマープライマー層の1つまたは複数の外面は、ポリマープライマー層の外面を変えるために1種または複数種の上記の表面処理が施されてよい。1つの例示的実施態様では、金属層に隣接するポリマープライマー層の外面(例えば、図1に示すポリマープライマー層11の外層111)は上記の表面処理の1つによって表面処理される。さらに、金属表面の反対側のポリマープライマー層の側は、上述の方法、例えばコロナ処理、火炎処理、グロー処理などを用いて処理を行って、他の層への接着性を向上させることができる。
【0060】
本発明の1つの例示的実施態様では、金属層の反対側の外側接着剤表面をポリマープライマー層に設けるために、ポリマープライマー層は1種または複数種の熱可塑性高分子材料を含む。ポリマープライマー層の外側接着剤表面は、室温で粘着性(例えば、感圧)であるか、または加熱後に粘着性を有する(例えば、熱活性化可能)ものであってよい。外側接着剤表面を設けるためにポリマープライマー層に用いるのに好適な熱可塑性ポリマーとしては、ポリオレフィン、ポリウレタン、ナイロン、ポリアクリレート、およびそれらの組合わせなどがあるが、これらに限定されない。
【0061】
ポリマープライマー層に用いるのに好適な感圧接着剤および熱活性化可能接着剤としては、再発行米国特許第RE024906号明細書およびEP0384598号明細書に開示されている接着剤などがあるが、それらに限定されない。それらの開示内容全体を本明細書に援用する。さらに、金属層の反対側のポリマープライマー層の外側接着剤表面は、ポリマープライマー層の空気抜きができるような、または貼り直しができるような、あるいはその両方が行えるような表面構造を含んでいてよい。
【0062】
ポリマー保護層の形成に使用する高分子材料のように、ポリマープライマー層の形成に使用する1種または複数種の高分子材料の少なくとも1種は架橋される。ポリマー保護層の場合のように、ポリマープライマー層の架橋度はさまざまであってよい。本発明の実施態様によっては、金属層に隣接したポリマープライマー層の外面のみが架橋されている。本発明の他の実施態様では、架橋された高分子材料は実質的にポリマープライマー層の厚み全体にわたって分散されている(すなわち、ポリマープライマー層の外面だけとは異なり、ポリマープライマー層全体に架橋ステップを実施する)。他の実施態様では、ポリマープライマー層内の架橋度は異なっていてポリマープライマー層の厚みに沿って架橋の勾配が形成されている。その場合、金属層に隣接したポリマープライマー層の外面は比較的架橋度が高く、ポリマープライマー層内の架橋度は、金属層に隣接したポリマープライマー層の外面からの距離が離れるにつれて減少する。この実施態様では、金属層の反対側のポリマープライマー層の外面は、金属層に隣接したポリマープライマー層の外面の架橋度を基準にすると架橋度がもっとも低くなっている(架橋がある場合)。
【0063】
好適な架橋方法としては、ポリマー保護層に関連して上に記載した架橋方法の任意のものが挙げられる。金属化フィルムの一部に架橋の勾配をつけたい場合、電子ビームで架橋を行うなら、ポリマー保護層、プライマー層、または金属化フィルム構成全体の内部に架橋の勾配を生じさせる機会が提供される。
【0064】
金属層がポリマープライマー層を通して見えるように、ポリマープライマー層は可視光線に対して透明であってよい。すなわち、ポリマープライマー層は、少なくとも可視光線の約50パーセントがポリマープライマー層を通過できる。例えば、実施態様によっては、ポリマープライマー層は、可視光線の少なくとも約75パーセント、少なくとも約80パーセント、少なくとも約85パーセント、少なくとも約90パーセント、または少なくとも約95パーセントを通すことができる。用途によっては、ポリマープライマー層は着色されていても透明である。例えば、ポリマープライマー層に色をつけるために、ポリマープライマー層は染料および/または顔料を含んでいてよい。
【0065】
上記のポリマー保護層のように、ポリマープライマー層も自立フィルムのような予備成形された層として提供したり、あるいは溶液から基材(はく離ライナーなど)に、または金属層に直接キャストしたりすることができる。1つの例示的実施態様では、ポリマープライマー層はエチレンアクリル酸(EAA)コポリマーフィルムなどの自立フィルムである。
【0066】
複数層として存在する場合、各ポリマープライマー層が金属化フィルム構成全体に寄与しうる。上で述べたように、金属層に隣接したポリマープライマー層の少なくとも一部は架橋される。金属層から離れて配置された追加のポリマープライマー層(すなわち、隣接した別のポリマープライマー層)がある場合それは架橋されてもされなくてもよい。金属層から離して配置された追加のポリマープライマー層は、金属層に隣接したポリマープライマー層と金属層に隣接したポリマープライマー層への所望の粘着性がない追加層(例えば、ポリオレフィン層)との間の結束層としての役目を果たすことができる。
【0067】
ポリマープライマー層が単一層を含むか複数層を含むかにかかわらず、上記の金属層に隣接したポリマープライマー層は、金属層に隣接しかつ金属層表面にぴったり密着する外面を有する。例えば、上述のように、本発明の実施態様によっては、金属層に隣接したポリマー保護層の外面は、その上に非常に小さな起伏状の特徴(それがある場合)を有する実質的にフラットで平滑な平面の表面である。これらの実施態様では、後で適用される金属層は実質的に平面の外面を有し、その上にポリマープライマー層が施される。これらの実施態様では、金属層に隣接したポリマープライマー層の外面も、実質的に平面の外面(例えば、ポリマー保護層の対応外面に対する相補的外面)を有する。本発明の他の実施態様では、金属層に隣接したポリマー保護層の外面は、起伏状の特徴をその上に有する表面など、非平面の表面を有していてよい。これらの実施態様では、後で適用される金属層は非平面の層である。これらの実施態様では、金属層に隣接したポリマープライマー層の外面は、ポリマー保護層の対応外面の起伏状の特徴と一致する相補的な非平面の外面を有する。
【0068】
各ポリマープライマー層は典型的には、少なくとも約5マイクロメートル(μm)の平均厚さを有する。金属化フィルムの特定用途に応じて、ポリマープライマー層は1.0ミリメートル(mm)以上を超える平均厚さを有していてよい。典型的には、ポリマープライマー層の厚さは、少なくとも約10μm、少なくとも約15μm、少なくとも約20μm、または少なくとも約25μmである。ポリマープライマー層の厚さに制限はないが、通常、ポリマープライマー層の厚さは約50μm未満である。用途によっては、ポリマープライマー層の厚さは、約40μm未満、約35μm未満、または約30μm未満である。例えば、厚さは、約5〜約50μm、または約10〜約40μm、または約20〜約30μmの範囲にすることができる。
【0069】
本発明の実施態様によっては、ポリマー保護層およびポリマー保護層のぞれぞれは独立に1種または複数種の架橋されるポリマー成分を含み、各層の少なくとも1種のポリマー成分は官能基を有しており、その結果として(i)金属層に隣接したポリマー保護層の外面(例えば、図1に示されているポリマー保護層13の外面131)、および(ii)金属層に隣接したポリマープライマー層の外面(例えば、図1に示されているポリマープライマー層11の外面111)に同様の表面電荷または表面極性が全体的にもたらされる。そのような実施態様の例を図4に示す。
【0070】
図4に示すように、ポリマー保護層13の外面131およびポリマープライマー層11の外面111のそれぞれは、金属層12の各側に正の表面電荷または表面極性を有する。図示していないが、ポリマー保護層13の外面131およびポリマープライマー層11の外面111は、金属層12の各側に負の表面電荷または表面極性を有しうることを理解すべきである。上述のように、ポリマー成分を用いて特定の表面電荷または表面極性をある特定の表面に与えることができる。他の実施態様では、添加剤を各層に用いて特定の表面電荷または表面極性をある特定の表面に与えることができる。例えば、以下の添加剤から選択される1種または複数種の添加剤を用いて表面電荷または表面極性をある特定の表面に与えることができる:(i)酸性官能基(スルホン酸、燐酸、ホスホン酸、ホウ酸、カルボン酸、これらの酸の塩、これらの酸のエステル、またはそれらの組合わせなど)を有する添加剤、および(ii)塩基性官能基(メルカプト基、アミン基、アルコキシ基、ニトリル基、複素環式部分(米国特許第5,081,213号明細書に記載されているものなど)など)を有する添加剤。例示的添加剤としては、ベンゾトリアゾール、酸素含有または硫黄含有化合物(メルカプトシランなど)などがあるが、これらに限定されない。
【0071】
1つの例示的実施態様では、官能基を有するポリマー成分は、例えば、水性ポリウレタン、溶剤型ポリウレタン、酸性モノマーを有するポリマーまたはコポリマー(例えば、エチレンアクリル酸(EAA)コポリマー)、あるいは塩基性モノマーを有するポリマーまたはコポリマー(例えば、ポリアミド、またはポリアクリルアミドコポリマー)を含んでよい。
【0072】
本発明の実施態様によっては、ポリマー保護層およびポリマープライマー層のそれぞれは独立に、1種または複数種の架橋された高分子材料を単独でまたは1種または複数種の添加剤と一緒に含み、各層の高分子材料または添加剤の少なくとも1種が酸性官能基または塩基性官能基を有する。別の例示的実施態様では、ポリマー保護層およびポリマープライマー層のそれぞれは独立に、1種または複数種の架橋された高分子材料を単独でまたは1種または複数種の添加剤と一緒に含み、(i)各層の高分子材料または添加剤の少なくとも1種が酸性官能基を有するか、(ii)各層の高分子材料または添加剤の少なくとも1種が塩基性官能基を有するか、(iii)金属層に隣接する一方の層の外面にコロナ放電またはグロー放電表面処理が施されるか、(iv)(i)と(iii)の両方であるか、または(v)(ii)と(iii)の両方である。
【0073】
4.接着剤層
本発明の金属化フィルムは、例えば、上記の耐食金属化フィルムの外面が接着剤特性を所望の程度まで有していない場合(例えば、ポリマープライマー層の外面が接着剤特性を有していない場合)、例示的金属化フィルム10の例示的接着剤層14のような少なくとも1つの接着剤層をさらに含んでよい。この実施態様では、接着剤層は図1の例示的金属化フィルム10に示すように、ポリマープライマー層の外面を覆っている。好適な接着剤層としては、感圧接着剤層、熱活性化可能接着剤層、またはそれらの組合わせなどがあるが、これらに限定されない。感圧接着剤層は、熱可塑性接着剤層、熱硬化性接着剤層、および/または微細構造の感圧接着剤層であってよい。
【0074】
任意の好適な接着剤ポリマーを接着剤層に含有させることができる。接着剤ポリマーは、熱可塑性、熱硬化性、またはそれらの組合わせであってよい。接着剤表面は、室温で粘着性(例えば、感圧)であるか、または加熱後に粘着性を有する(例えば、熱活性化可能)ものであってよい。好適な熱可塑性接着剤としては、ポリオレフィン、ポリウレタン、エポキシ、ナイロン、ポリアクリレート、およびそれらの組合わせなどがあるが、これらに限定されない。好適な熱硬化性接着剤としては、一液型または二液型エポキシ、一液型または二液型ポリウレタン、一液型または二液型ポリアクリレート、またはそれらの組合わせなどがあるが、これらに限定されない。
【0075】
本発明に用いるのに好適な感圧接着剤および熱活性化可能接着剤としては、再発行米国特許第RE024906号明細書およびEP0384598号明細書に開示されている接着剤などがあるが、これらに限定されない。それら開示内容全体を本明細書に援用する。
【0076】
実施態様によっては、ポリマープライマー層の外面の接着剤層は、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、またはそれらの組合わせを含む。1つの望ましい実施態様では、接着剤層は感圧接着剤を含む。接着剤層が感圧接着剤外面を有している場合、はく離ライナーを用いて感圧接着剤外面を一時的に保護することができる。
【0077】
別の望ましい実施態様では、接着剤層はホットメルト接着剤などの熱活性化可能接着剤を含む。さらに別の望ましい実施態様では、接着剤層は、ポリマープライマー層に隣接した感圧接着剤層、および感圧接着剤層の外面上の熱活性化可能接着剤(ホットメルト接着剤など)を含む。
【0078】
接着剤ポリマー(または他の上記のポリマー層)内の極性官能基を用いると、ポリマープライマー層(またはポリマー保護層)と金属層との間の粘着力、ならびにポリマープライマー層(またはポリマー保護層)と接着剤層との間の粘着力を高めることができる。代表的な極性基としては、酸(例えば、スルホン酸、燐酸、ホスホン酸、ホウ酸、およびカルボン酸)、そられの酸の塩、それらの酸のエステル、またはそれらの組合わせなどがあるが、これらに限定されない。その他の代表的な極性基としては、アミン基、アルコキシ基、ニトリル基、複素環式部分(米国特許第5,081,213号明細書に記載されているものなど)などがある。
【0079】
実施態様によっては、極性基は、酸根、それらのエステル、またはそれらの塩である。例えば、極性基は、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸塩である。好適なカルボン酸、カルボン酸エステル、およびカルボン酸塩としては、アクリル酸、C1〜C20のアクリル酸エステル、アクリレート塩、(メタ)アクリル酸、C1〜C20(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリレート塩、またはそれらの組合わせがあるが、これらに限定されない。そのような基は、通常、ポリマー層、金属層、およびそれらの組合わせなどの他の表面に好適な粘着力を与えることができる。
【0080】
B. 金属化フィルム特性
本発明の金属化フィルムは、以下の特性の1つまたはそれ以上を有することができる。架橋されたポリマー保護層と架橋されたポリマープライマー層との間に金属層を隔離し閉じ込めると、金属層は平面配向を全体的に維持できるが、これは所望の美しい鏡のような外観を保つのに非常に重要なことである。これは、施工処理ステップ(加熱活性化接着剤結合、熱成形またはこの分野における実際の使用など)の間に高温環境にフィルムがさらされた場合に、あるレベルの性能を達成するのにも役立つ。先行技術の場合、金属層と少なくとも1つの熱可塑性層との間で直接接触が行われている。この場合、温度が上昇してフィルムの軟化点に近づくにつれ、金属層は熱可塑性ポリマー層内の運動の直接の結果である運動自体の影響を受けやすくなる。単に軟化転移(softening transition)が経るだけで、金属層が破壊され、フィルムの光学的特性も破壊されうる。
【0081】
架橋されたポリマー保護層とポリマープライマー層との間に金属層を隔離すると、金属層の光学的性質はフィルムの変形に対して極めて安定していることも驚くべきことである。実際、フィルム変形のずれが大きい(場合によっては、フィルム伸び率が100%より大きいか、さらには150%よりも大きい)場合でも、それによって起こるフィルム不透明度の減少はほんのわずかであり許容されるものであることは非常に驚くべきことである。それに対して、架橋されたポリマー保護層およびプライマー層を含んでいない同様のフィルム構成でこの大きさのフィルム変形が起こると、フィルムの不透明度の減少は非常に大きくなり、通常は許容できないものになる。熱可塑性層を金属層と直接接触させて使用した場合の不透明度のこの減少は、熱可塑性層内に発生する可塑性物質のような流動に起因する回復不能な不可逆の引張りの結果として起こるという提唱がある。フィルムの架橋効果によって物質内の可塑性物質のような流動が制限され、こうしてフィルムの不可逆引張りが著しく減少する。
【0082】
ポリマー保護層、金属層、およびポリマープライマー層を含んでいる金属化フィルムは、種々の接着剤層を利用してさまざまな最終製品構成に対応できる標準化基本構造として役立つ。これにより、この基本金属化フィルムには、さまざまな物品に安定した一貫性のある外観を提供する目的で、さまざまな用途に組み込む機会が与えられる。例えば、ポリマープライマー層をコロナ処理し、アクリルPSAをその表面に積層できる。そのようにすると、その後、得られた金属化フィルムを自動車の「B」ピラーポスト(pillar post)などの基材にそのまま積層することができる。これにより「B」ピラーはクロムのような外観になる。同じフィルム構成にさらに熱活性化可能接着剤を積層することができる。その後、それをウェザーシールに加熱積層し、自動車のドアの周囲に取り付ければ、まったく異なる2つの表面を同じ外観にすることができる。さらに、基本金属化フィルムを熱成形し樹脂で補強すれば、自動車の識別票の場合のような、金属的なクロムのような浮き出し文字にすることができる。その後これを乗り物に取り付けることができる。これら3つの場合すべてにおいて、同じ基本金属化フィルムをさまざまな加工条件および接着要求条件に対応するよう変更して、自動車のさまざまな表面が一貫した外観を有するようにすることができる。使用および用途におけるこのような柔軟性は、本発明以前のフィルム構成と比べると著しい改善である。
【0083】
II.金属化フィルムを含む製品
本発明はさらに、上記の金属化フィルムの1種またはそれ以上を含む製品に関する。本発明の製品は、上述のポリマープライマー層、金属層、ポリマー保護層、および任意選択の接着剤層のほかに、以下の構成要素を1つまたはそれ以上含むことができる。
【0084】
A.はく離ライナー
本発明の製品は、金属化フィルムの上記の層のほかに、少なくとも1つのはく離ライナーをさらに含んでよい。上述のとおり、第1はく離ライナーは、ポリマー保護層を支えるため、また第1はく離ライナーを除去する前のポリマー保護層を一時的に保護するために使用してよい。粘着性接着剤層(例えば、感圧接着剤層)が本発明の製品に含まれる場合(ポリマープライマー層またはポリマープライマー層の外面など)、第2はく離ライナーを使用して第2はく離ライナーを除去する前の接着剤層を一時的に保護することができる。そのような例示的物品を図5に示す。
【0085】
図5に示すように、例示的物品20は、ポリマープライマー層11、金属層12、ポリマー保護層13、および接着剤層14を含んでいる金属化フィルムを含む。さらに、物品20は、ポリマー保護層13の外面上の第1はく離ライナー15および接着剤層14の外面上の第2はく離ライナー16を含んでいる。第1はく離ライナーおよび第2はく離ライナーがあるので、最も外側の表面が感圧接着剤である金属化フィルムをロール形式で供給できる。はく離ライナー(すなわち、図5に示す接着剤層14の外面上の例示的第2はく離ライナー16)を除去して、金属化フィルムを基材の表面に取り付けることができる。第1はく離ライナーおよび第2はく離ライナーがあると、金属化フィルム上の接着剤層ができるだけ汚れないようにしたり、ポリマー保護層の損傷を防いだり、金属化フィルムの取り扱いを容易にしたりするのにも役立つ。
【0086】
第1および第2はく離ライナーは典型的には1つまたは複数の層の材料を含む。実施態様によっては、はく離ライナーは、紙、ポリエステル、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン)、またはその他のポリマーフィルム材料の層を含む。はく離ライナーは、はく離ライナーと接着剤層との間の粘着力の大きさを減少させるために材料でコーティングすることができる。そのようなコーティングとしては、例えば、シリコーンまたはフルオロケミカル材料などを挙げることができる。本発明では市販の任意のはく離ライナーを使用してよい。
【0087】
上述のように、第1はく離ライナー15を使用して起伏状の特徴をポリマー保護層13の外面に設けることができる。さらに、所望される場合には、第2はく離ライナー16を使用して起伏状の特徴を接着剤層14の外面に設けることもできる。例えば、どちらかのはく離ライナーで、ポリマー保護層13および/または接着剤層14の外面に沿って谷および/または隆起の均一(または不均一)パターンを設けることができる。他の実施態様では、いずれかのはく離ライナーを使用して、実質的な平滑面をポリマー保護層13および/または接着剤層14の外面に設けることができる。上述のように、本発明に用いるのに好適なはく離ライナーとしては、米国特許出願公開第20040048024号明細書および同第20030129343号明細書(現在では米国特許第6,984,427号明細書)に開示されているはく離ライナーなどがあるが、これらに限定されない。それら開示内容全体を本明細書に援用する。
【0088】
図6は、第1はく離ライナー15と第2はく離ライナー16とが除去された後、図5の物品20をある特定の基材に取り付けた図を示している。第2はく離ライナー16が除去されたなら、熱を加えるかどうかにかかわりなく、圧力を加えて物品20を基材18に取り付けることができる。基材18は、ポリマー基材(例えば、フィルム、気泡体、成形品など)、ガラス基材、セラミック基材、金属基材、織物などを含む任意の基材(ただし、これらに限定されない)であってよい。本発明の物品は、自動車および家庭電化製品用バッジ、紋章、ミラーフィルム(mirror films)、太陽反射フィルム、装飾用ラミネートフィルム、グラフィックスなどのさまざまな装飾品(ただし、これらに限定されない)を製造するのに有用でありうる。用途によっては、物品20の層の1つは着色されていてよい。
【0089】
B.熱成形可能層
本発明の物品は、上記の金属化フィルムの少なくとも1つを、少なくとも1つの熱成形可能層と一緒に含むことができる。1つまたは複数の熱成形可能層を、ポリマー保護層の外面、ポリマープライマー層の外面、またはその両方に配置することができる。熱成形可能層は、ポリマープライマー層または追加の接着剤層を介して金属化フィルムに離れないように取り付けることができる。あるいは熱成形可能層は、ポリマー保護層、ポリマープライマー層、またはその両方の形成時に使用された構成要素(例えば、層)であってよい。上記の耐食金属化フィルムの少なくとも1つを少なくとも1つの熱成形可能層と一緒に含んでいる得られた熱成形可能物品は、熱成形して、耐食金属化フィルムを含む熱成形物品を形成できる。任意の従来の熱成形技法(例えば、成形)を用いて熱成形物品を成形できる。本発明に用いるのに好適な熱成形可能材料としては、任意の熱可塑性材料、熱硬化性材料、またはそれらの組合わせなどがあるが、これらに限定されない。有用な熱成形可能材料の例として、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびポリオレフィンのブレンドなどの熱可塑性材料がある。1つの望ましい実施態様では、熱成形可能層はエンジニアリング熱可塑性材料(engineering thermoplastic material)を含む。好適なエンジニアリング熱可塑性材料としては、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート)、一部のポリエチレン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)、SAN(スチレン/アクリロニトリル)、ポリウレタン、ポリアクリル、およびそれらのブレンドなどがあるが、これらに限定されない。
【0090】
別の望ましい実施態様では、熱成形可能物品は、上記の金属化フィルムの少なくとも1種をポリカーボネートまたはポリエステル熱成形可能層と一緒に含む。ポリカーボネートまたはポリエステル熱成形可能層は直接に、ポリマープライマー層の外側接着剤表面に結合させてもよく(例えば、ポリマープライマー層が架橋されたPSAを含んでいる場合)、あるいはポリマープライマー層の外面上の追加の接着剤層(例えば、PSA層)に結合させてもよい。
【0091】
得られた熱成形可能物品または熱成形物品は、さまざまな用途に使用できる。1つの例示的実施態様では、熱成形可能物品または熱成形物品は、屋外標識やバックライト付きディスプレイなどの標識に使用される。そのようなディスプレイは典型的には照明設備を収納する筐体を含み、筐体ハウジングの前面はフィルムで覆われている。前面が透明フィルムで覆われているそのような装置の1つが米国特許第5,224,770号明細書に記載されており、その開示内容全体を本明細書に援用する。前面が有孔フィルムで覆われている別のそうした装置が米国特許出願公開第2002/0034608号明細書に記載されており、その開示内容全体を本明細書に援用する。米国特許出願公開第2002/0034608号明細書では、有孔フィルムは、日中はフィルムが光を反射して画像を表示するようにハウジングを覆うように配置されているが、夜間には背後から照明を当ててフィルムの後ろから画像を照らすことができる。
【0092】
本発明では、金属化フィルムは、米国特許第5,224,770号明細書および米国特許出願公開第2002/0034608号明細書の透明フィルムと似たようにして使用してよい。本発明の金属化フィルムおよびそれから作製する熱成形可能物品または熱成形物品は、夜または暗がりでも背面から表示を照らせるように、十分な光の透過率、典型的には約15〜25%の光の透過率を有する。金属化フィルムは、日中または照らされた室内で光を反射して画像(例えば、フィルム中に熱成形された三次元画像)を表示するように、フィルム上にコーティングされた十分な金属を含むことが望ましい。本発明の1つの特定の実施態様では、フィルムはポリマー保護層側に画像が形成され(例えば、グラフィックスが金属化フィルムに施され)、その後、ポリマープライマー側が感圧接着剤または加熱活性化接着剤でコーティングされる。その後、フィルムを好適な高分子材料(エンジニアリング熱可塑性材料など)に積層してから、所望の形状に熱成形して、照明を収容するハウジング用のカバーを形成できる。あるいはまた、フィルムを熱可塑性材料に積層し、三次元画像となるように熱成形することができる。そのような構成は日中/夜間の標識に適している。
【0093】
C.追加の上部コート層
本発明の物品は、上記の金属化フィルムの少なくとも1つを、ポリマー保護層の外面に設けられる1つまたは複数の追加の上部コート層と一緒に含むことができる。好適な上部コート層材料としては、上記のポリマー保護層の形成に使用される高分子材料があるが、これらに限定されない。存在する場合、1つまたは複数の追加の上部コート層は、(i)何らかの形でポリマー保護層を保護するか(例えば、UV保護、耐引掻性、耐候性など)、(ii)ポリマー保護層(例えば、ポリオレフィン層)への所望の粘着性がない追加層とポリマー保護層との間の結束層として働くか、あるいは(iii)(i)と(ii)の両方を行う。
【0094】
D.永久取り付け基材
本発明の物品は、上記の金属化フィルムの少なくとも1つを、ポリマー保護層の外面、ポリマープライマー層の外面またはその両方に設けられる1つまたは複数の永久取り付け基材層と一緒に含むことができる。上述のように、好適な基材層(例えば、図6に示す例示的基材18)としては、ポリマー基材(例えば、フィルム、気泡体、成形品など)、ガラス基材、セラミック基材、金属基材、織物などがあるが、これらに限定されない。本発明の1つの望ましい実施態様では、基材はエラストマー基材である。
【0095】
エラストマー基材は、例えば、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーを架橋して形成される熱硬化性材料であってよい。あるいはまた、エラストマー基材は、例えば、ゴム状材料を熱可塑性材料とブレンドして形成される熱可塑性材料であってもよい。好適な熱可塑性材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリ塩化ビニルなどがあるが、これらに限定されない。好適なゴム状材料としては、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、ニトリルゴム、ポリクロロプレン、クロロスルホン化ポリエチレン、およびスチレンブタジエンゴムなどがあるが、これらに限定されない。ゴムは、加硫されているか、動的加硫(dynamically vulcanized)されているか、または加硫されていないものでよい。市販のエラストマー基材材料としては、サントプレーン(SANTOPRENE(登録商標))、ビラム(VYRAM(登録商標))、ジオラスト(GEOLAST(登録商標))、トレフシン(TREFSIN(登録商標))、ビスタフレックス(VISTAFLEX(登録商標))、およびダイトロン(DYTRON(登録商標))などがあるが、これらに限定されない。熱可塑性または熱硬化性材料は、多くの場合さまざまな添加剤や充填剤(カーボンブラック、安定剤、可塑剤など)と混合される。
【0096】
熱可塑性または熱硬化性材料の量は、用途で求められている物理的性質に応じて大きく変わりうるものであり、典型的には、エラストマー材料の重量に基づいて少なくとも約15重量パーセントである。実施態様によっては、熱可塑性材料の重量は、エラストマー材料の重量に基づいて約85重量パーセント以下、約70重量パーセント以下、または約60重量パーセント以下である。ゴム状材料の量は、エラストマー材料の重量に基づいて少なくとも約5重量パーセントである。実施態様によっては、ゴム状材料の重量は、エラストマー材料の重量に基づいて約85重量パーセント以下、約70重量パーセント以下、または約60重量パーセント以下である。
【0097】
エラストマー材料によっては、ゴム状材料と熱可塑性または熱硬化性材料との重量比は約5:95〜約95:5である。例えば、ゴム状材料と熱可塑性または熱硬化性材料との重量比は、約20:80〜約80:20、約30:70〜約70:30、または約40:60〜約60:40にすることができる。
【0098】
本発明の1つの望ましい実施態様では、物品は、基材層に永久取り付けされた上記の金属化フィルムの少なくとも1つをエラストマー系ウェザーシールの形態で含む。この実施態様では、金属化フィルムは、熱活性化可能接着剤層単独で、または熱活性化可能接着剤層と金属化フィルムとの間に配置した別個の感圧接着剤層と組み合わせたものによってウェザーシールに永久取り付けしてよい。例えば、ドイツ国キューンハイデのEHVO有限会社(EHVO GmbH(Kuehnheide,Germany))のヒートボンドラミネーター(Heat−Bond Laminator)TE2417型などの熱接着貼合せ機を使用して、ウェザーシールを金属化フィルムの加熱活性化接着剤表面と接触させる直前にウェザーシール(例えば、EPDMゴム異形材)を予熱できる。ウェザーシールの予熱に使用する空気流の例示的温度として、約90リットル/分の流量で約650℃を挙げることができる。テープ貼付け速度は、赤外線放射の設定が55%で約12m/分にすることができる。
【実施例】
【0099】
実施例1
93.64部のアルベルディング・ボレー(Alberdingk−Boley)PUD樹脂U933(ノースカロライナ州シャーロットのアルベルディング・ボレー社(Alberdingk Boley Inc.(Charlotte,NC.)から入手可能な水性ポリカーボネートポリウレタン分散液)、4.86部のUV(紫外線)安定剤溶液、および1.5部のアジリジン溶液を混合して、ポリウレタン分散液を調製した。10.2部のチヌビン(TINUVIN(登録商標))292(ニューヨーク州タリータウンのチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals Corp.(Tarrytown,NY))から入手可能なヒンダードアミン光安定剤)、17.3部のチヌビン(TINUVIN(登録商標))1130(ニューヨーク州タリータウンのチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals Corp.(Tarrytown,NY)から入手可能なヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤)、3.9部のトリトン(TRITON(登録商標))GR−7M(コネチカット州ダンベリーのユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.(Danbury,CT)から入手可能なナトリウムスルホサクシネート界面活性剤)、9部のAMP−95(イリノイ州バッファローグローヴのアンガス・ケミカル社(Angus Chemical Co.(Buffalo Grove,IL)から入手可能なpH調整剤であるアミノメチルプロパノール)、および66.7部の脱イオン水を混合して透明な黄色の溶液を形成させることにより、紫外線安定剤溶液を調製した。アジリジン溶液は、50部の脱イオン水中の50部のネオクリル(NEOCRYL(登録商標))CX−100(マサチューセッツ州ウィルミントンのネオレジンズ社(Neoresins,Inc.(Wilmington,MA)から入手可能な多官能性のアジリジン)であった。
【0100】
ノッチバーコーターを用いて、ポリウレタン分散液をおよそ127μm(5ミル)の厚さまで裸のポリエステルフィルム上に塗布した。分散液は、ゾーン1、2、および3がそれぞれ190°F、350°F、および350°Fに温度設定された3ゾーン・オーブン中で乾燥および硬化させて、厚さが約25.4μm(1ミル)のフィルムを形成させた。各ゾーンの長さは約3.66m(12フィート)であった。フィルムは、50mAの電流を用いて、9.14mpm(30フィート/分)のライン・スピードで酸素グローで処理した。グローチャンバーへの酸素の流量は、3×10-2トルの真空下で195sccmであった。
【0101】
ポリエステルフィルム上のポリウレタンフィルムを金属蒸気コーティングチャンバーの冷却ドラムの回りに装着し、ポリウレタン面がドラムから離れた側にくるようにした。冷却ドラムの温度は15.6℃(60°F)に設定し、チャンバーはポンプで約3×10-5トルの真空度まで下げた。シャッター付き開口部の後ろで、220ミリアンペアの設定値まで電力を徐々に増大させることにより、電子ビーム銃を用いて、スズを保持している2個の黒鉛るつぼを過熱した。3.05m/分(10フィート/分)の速度で冷却ドラム上のフィルムを引っ張って、部分的に開かれた開口部を通り過ぎさせて、蒸気状スズにフィルムを露出し、スズがウェブ上に凝縮して金属化ポリウレタンフィルムが形成されるようにした。
【0102】
30.5μm(1.2ミル)の厚さの層のEAA(ミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル社(Dow Chemical Co.(Midland,MI)から「プリマコール」(PRIMACOR)3330という商品名で市販されているエチレンアクリル酸)を、ポリエステルはく離フィルム上に押し出した。EAA層は、5ミリラドの電子線照射(175kV)に暴露することにより架橋してから、129.4℃(265°F)に設定されたホットカンを用いてポリウレタンフィルムの金属層に積層した。
【0103】
フィルムラミネートのEAA側を、窒素雰囲気中、3.05m/分(10フィート/分)の速度、26Hzおよび250ワットの電力設定でコロナ処理し、その後、約65.6℃(150°F)に加熱したニップロールを用いてはく離ライナー上のアクリル感圧接着剤の層に積層した。アクリル接着剤の組成は、アクリル酸イソオクチル81部およびアクリル酸19部であった。その後アクリル接着剤を、下塗り熱可塑性熱活性化可能接着剤の層に結合させた。熱活性化可能接着剤は、エチレンとプロピレンの熱可塑性コポリマー(テキサス州ヒューストンのエクソンモービル・ケミカル社(ExxonMobil Chemical Co.,Houston,TX)から入手可能なPP7035E5インパクト・コポリマー(IMPACT copolymer)であった。EP0384598(その内容全体を本明細書に援用する)に記載された手順に従って、電子線照射を用いてN,N−ジメチルアクリルアミドを表面にグラフトすることにより、接着剤を下塗した。その後得られたラミネートを、熱圧貼合せ機(heat pressure laminator)であるWL−30型ラミネーター(Laminator)(ミネソタ州セントポールの3Mカンパニー(3M Company(St.Paul,MN))を用い、ウェザーストリップ表面および金属化ラミネートの熱活性化可能接着剤側を熱気流によって加熱することにより、翼形のウェザーシールに熱接着した。その際の加熱は、貼合せ機のアプリケーターホイール(applicator wheel)を用いて2つの表面を積層して一緒にする直前に行った。ウェザーシールは、オハイオ州アクロンのアドバンスト・エラストマー・システム,LP(Advanced Elastomer Systems,LP(Akron,OH))から「サントプレーン」(SANTOPRENE(登録商標))という商品名で市販されているプロピレンとEPDMゴムのブレンドである、動的加硫エラストマーから形成した。
【0104】
得られたウェザーシールは鏡のような外観を呈しており、これは、(i)手で押して圧力を加えるか、または(ii)6.35mm(0.25インチ)のマンドレルの回りに複合物品を完全に巻きつけることによって変形させることができたが、金属のような外観は失われなかった。
【0105】
不透明度や反射性を失うことなくクロムフィルムが耐えられる変形量を、金属化フィルム(すなわち、ポリウレタンフィルム、金属層、およびEAA層)のフィルム特性を測定することによって求めた。これは表1に示すさまざまな長さに引っ張る前と後に行った。フィルムはインストロン引張試験機を用いて引っ張った。2.54cm(1インチ)×7.62cm(3インチ)のフィルムサンプルを試験機のジョーに配置し、ジョーとジョーの間のギャップは5.08cm(2インチ)に設定した。ジョーでフィルムを固定した位置(これは元の長さである5.08cm(2インチ)を示す)の印をフィルム上に付けた。ジョーをゆっくり広げて、フィルムの引張り長さである6.35cm(2.5インチ)にした。これは1.27cm(0.5インチ)の伸長またはそれに対応する25%の伸び率であることを示す。フィルムを約15秒間ジョーに放置し、ジョーの位置に再び印を付けた。フィルムをジョーから取り外し、以下の特性を測定した。
【0106】
光学濃度(Opt濃度)−マクベス(Macbeth)TD504光学機器を用いてフィルムの光透過率を測定した。光学濃度は、測定したフィルムの光透過率の負の対数をとることにより計算した。典型的には、光学濃度は約0.8〜約1.2以上の範囲であるが、その範囲は金属および所望の外観に応じて変化しうる。
【0107】
表面抵抗率(Surf抵抗率)−表面抵抗率はデコム・インスツルメンツ社(Decom Instruments Inc.)製の717コンダクタンス・モニター(Conductance monitor)を用いて測定した。フィルムサンプルはサンプルプローブの間に入れて測定し、表面抵抗率はオーム/cm2で記録した。応答なし(NR)は、伝導率を測定できなかったことを示す。
【0108】
%弾性回復(%ER)−これは、フィルムをジョーから取り外した後にフィルムが回復した量だった。フィルムは、少なくとも1時間、周囲温度(約22℃)で平面上にサンプルを横たえて、フィルムの最終長さになるようにしてから測定した。フィルムは1時間以内にほとんど回復した。すべてのサンプルの元の長さは一貫して5.08cm(2インチ)であった。%ERは以下のようにして計算した。
%ER=[(フィルムの引張り長さ−フィルムの最終長さ)/元の長さ]×100
%ヒステリシス(%HYS)−これは、引張り後にフィルムが受けた永久変形の量であった。また%引張りと%弾性回復の差である。(%HYS=(%引張り−%ER))
【0109】
別のフィルムサンプルも表1に示したフィルムの引張り長さまで引っ張って、上述のようにして試験した。
【0110】
【表1】
【0111】
加熱活性化接着剤層を含んだ金属化フィルムラミネートについても上述のように試験し、フィルムの特性を測定した。フィルムラミネート構成は、上から下の順に、ポリウレタンフィルム、金属層、EAA層、アクリル接着剤層、および熱活性化可能接着剤層であった。
【0112】
【表2】
【0113】
表1のデータは、150%も引っ張った後でも、本発明のフィルムは金属様の外観を保持していることを示している。驚いたことに、上記のデータは、引張り後の光学濃度の減少量が驚くほど少ないこと、また同様に驚くほど表面抵抗率が増大することを示した。
【0114】
実施例1のフィルムの引張りおよび伸び率も試験した。試験結果を表3に示す。フィルムは、2.54cm(1インチ)幅のサンプルを用いてインストロン引張試験機で試験した。金属化フィルムの構成は、ポリウレタン層、金属層、およびEAA層であった。フィルムラミネートの構成は、ポリウレタン層、金属層、EAA層、アクリル接着剤層および熱活性化可能接着剤層であった。熱活性化可能接着剤層それ自体についても試験した。
【0115】
【表3】
【0116】
フィルムラミネートの試験時に、フィルムはおよそ200%の伸び率まで結合力を維持し、そのポイントでは、最大の全伸び率を示したサンプルの半分において、クリアコートフィルム(すなわち、ポリウレタン層)は破断して引張力の低下が起きるが、引き続き伸長することが観察された。これはおよそ450%の伸び率まで継続したが、そのポイントでプライマー層(EAAフィルム)は破断し、フィルム構造は熱活性化可能接着剤により保持されたままであった。フィルムラミネートは、550と602%の間の伸び率で破断するまで伸長し続けた。その他のサンプルの場合、フィルムは粘着性のあるフィルムとして単に破断またはちぎれただけであった。
【0117】
比較例1
エチレンアクリル酸層の代わりに、層の厚さが12.7μm(0.5ミル)の熱可塑性ポリアミド(イリノイ州エルジンのヘンケル・アドヒージブズ(Henkel Adhesives(Elgin,IL)から入手可能なマクロメルト(MACROMELT)6240)を用いた以外は、実施例1の手順に従って金属化フィルムラミネートを作製した。ポリアミドを紙のはく離ライナー上にコーティングし、110℃(230°F)の温度に設定されたニップを用いて金属層に加熱積層してフィルムラミネートを形成した。実施例1の手順に従ってフィルムラミネートを引っ張って、フィルム特性ならびに光学濃度および表面抵抗率を測定した。元の長さは5.08cm(2インチ)であった。試験結果を表4に示す。
【0118】
【表4】
【0119】
伸長が大きくなるとヒステリシスの量が多くなることを試験結果は示しており、これは金属層がさらに破壊されて光学濃度が低くなることと調和しているように思われる。
【0120】
実施例2
「インコレズ」(INCOREZ)007/129という商品名でインダストリアル・コポリマーズ社(Industrial Copolymers Ltd.)から提供されているポリウレタン分散樹脂を、ノッチバー(notch bar)コーティング装置を用いて未乾燥の厚さが8ミルとなるよう裸のPETライナー上にコーティングした。コーティングしたライナーを60℃(140°F)のオーブン中に1時間入れて、コーティングが完全に乾燥するようにした。その後このフィルムをデントン・バキューム(Denton Vacuum)(DV−502A)蒸気ラボコーター(evaporative lab coater)中に入れた。フィルムをベルの内面にテープで留めたままにして、6個のタングステン線バスケットのそれぞれにスズを2回を加えた。ベルをチャンバーの上に置き、ポンプでおよそ1×10-5トルの真空に下げた。この操作におよそ20分間かかった。タングステン線バスケットへの電力負荷を、電力レベルが35に達するまで上げた。この上昇におよそ2分間かかり、約45秒間電力レベルを35に保持した。その後電力負荷を速やかに最初のポスト(post)まで下げた。2番目のタングステン線バスケットのポストに関して操作を繰り返した。機械はおよそ10分間停止した。その後、機械のチャンバーを大気圧になるまで窒素でパージした。
【0121】
フィルムはバスケットの加熱効果のせいで一部の領域が白化したが、サンプルはライナーに面した表面で非常に反射性があった。その後、このサンプルを実施例1で用いたEAAプライマー層に、実施例1で用いた実験室用貼合せ機によって中くらいからゆっくりの積層速度で129.4℃(265°F)で積層した。その後このフィルムサンプルは、深さが約1.5mmの「JEEP」という文字を有する熱成形雌型を用いて熱成形した。それからこの金型を二液型ポリウレタン樹脂でコーティングしたが、これにより金型はいっぱいになり、シートの裏面にポリウレタンの薄い層が形成された。ポリウレタンを、12.7μm(0.5ミル)の厚さのマクロメルト(MACROMELT)6240のフィルムで覆い、アクリル気泡体テープの層に積層した。熱成形、裏込め、および積層の各プロセスについてはEP0392847に記載されている。サンプルをおよそ10分間硬化させてから、「JEEP」の文字をその上に有する得られたシートを金型から取り外した。
【0122】
その後シートを半分に切断した。シートの半分を、実験室において30.48mpm(100fpm)でPPGインダストリーズ社(PPG Industries Inc.)のUV処理装置モデルQC1202中を5回通過させた。その際に両方のUVランプは「最高(Full)」の設定にした。露出後にサンプルのフィルム側のシートがカールしていた。これは、UVへの露出時に硬化が起きたせいで、ポリウレタンのクリアコートフィルムにいくらか硬化が生じたことを示唆した。透明なポリウレタンフィルムのサンプルについて、上述のように紫外線に露出した場合としない場合の引張りおよび伸び率も評価した。表5に示した引張りおよび伸び率の結果は3つのサンプルの平均である。
【0123】
【表5】
【0124】
上記のサンプルは、UV露出サンプルの引張り力が強くなっており、伸び率が低くなっていることから明らかなように、フィルムがある程度、後硬化したことを明らかに示している。事前に露出したフィルムを使用すると、成形品の熱成形鮮明度(thermoforming definition)を高度なものにすることができる。UVに露出してフィルムを架橋すると、より硬くて、より耐久性のあるフィルムが得られ、熱成形操作による細部のよりすぐれた鮮明度が保たれる。これは、後架橋ステップが施されることで、フィルムの耐溶剤性および総合的耐久性などの全体的な性能をより優れたものにすることもできるはずである。
【0125】
実施例3
EAA層の代わりにポリウレタン層を金属コーティングに積層する以外は、実施例1の手順に従ってフィルムラミネートを作製する。約121.1℃(250°F)の温度設定でホットカンを用いてポリウレタン層を積層する。アクリル感圧接着剤を用いて、第2ポリウレタンフィルムを熱活性化可能接着剤に積層する。その後、実施例1に記載されているようにして熱活性化可能接着剤を翼形のウェザーシールに積層する。
【0126】
実施例4
1ミルの厚さのEAA層をポリウレタン上に積層し、EAA表面を金属化すること以外は、実施例1の手順に従ってフィルムラミネートを作製する。第2EAA層を金属コーティングに積層し、それ以上の層は実施例1に述べたようにして積層する。
【0127】
実施例5
48.82部のアルベルディング・ボレー(Alberdingk−Boley)PUD樹脂U933、および48.82部のアルベルディング・ボレー(Alberdingk−Boley)PUD樹脂U911(ノースカロライナ州シャーロットのアルベルディング・ボレー社(Alberdingk Boley Inc.(Charlotte,NC.)から入手可能な水性ポリカーボネートポリウレタン分散液)、4.86部のUV(紫外線)安定剤溶液、および1.5部のアジリジン溶液を用いて分散液を調製した以外は、実施例1の手順に従って、1つのEAA層を含む金属化ポリウレタンフィルム作製した。10.2部のチヌビン(TINUVIN(登録商標))292(ニューヨーク州タリータウンのチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals Corp.(Tarrytown,NY))から入手可能なヒンダードアミン光安定剤)、17.3部のチヌビン(TINUVIN(登録商標))1130(ニューヨーク州タリータウンのチバ・スペシャリティー・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals Corp.(Tarrytown,NY)から入手可能なヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤)、3.9部のトリトン(TRITON(登録商標))GR−7M(コネチカット州ダンベリーのユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corp.(Danbury,CT)から入手可能なナトリウムスルホサクシネート界面活性剤)、9部のAMP−95(イリノイ州バッファローグローヴのアンガス・ケミカル社(Angus Chemical Co.(Buffalo Grove,IL)から入手可能なpH調整剤であるアミノメチルプロパノール)、および66.7部の脱イオン水を混合して透明な黄色の溶液を形成させることにより、紫外線安定剤溶液を調製した。アジリジン溶液は、50部の脱イオン水中の50部のネオクリル(NEOCRYL(登録商標))CX−100(マサチューセッツ州ウィルミントンのネオレジンズ社(Neoresins,Inc.(Wilmington,MA)から入手可能な多官能性のアジリジン)であった。
【0128】
フィルムのEAA側を、はく離ライナー上の架橋されたアクリル感圧接着剤の層に積層した。ホットメルトアクリル接着剤は、中圧水銀ランプからの500mJ/cm2のUV−A照射にさらすことで架橋された、95.42部の2−メチルアクリル酸ブチル、3.98部のアクリルアミドおよび0.60部のベンゾフェノンの組成物であった。
【0129】
実施例6
EAA層を省き、架橋された感圧接着剤を金属層に直接積層して厚さが38.1μm(1.5ミル)の接着剤層を形成したことを以外は、実施例5の手順に従って金属化ポリウレタンフィルムを作製した。
【0130】
実施例7〜8および参考例R1
参考例R1のフィルムは、ミネソタ州セントポールの3Mカンパニーのコマーシャル・グラフィクス・デビジョン(3M Company,Commercial Graphics Division,St.Paul,MN)から入手可能なスコッチカル(Scotchcal(登録商標))3635−110フィルムであった。
【0131】
寸法が30.5cm(12インチ)×30.5cm(12インチ)の1.59mm(0.0625インチ)のポリカーボネートのシート(イリノイ州エルムハーストのマクマスター・カー(McMaster Carr(Elmhurst,IL)から入手可能)を、65.6℃(150°F)で3時間乾燥させた。実施例5および6ならびに参考例R1の金属化フィルムの感圧接着剤側をポリカーボネートシートに積層して、貼合せスタックのサンプルを形成した。この貼合せスタックのサンプルを、65.6℃(150°F)で12時間乾燥させた。スタックが周囲の室温に冷やされた後、サンプルの鏡面性を、以下に記載する手順に従って測定した。
【0132】
サンプルは、ラボフォーム2024サーモフォーマー(Labform 2024 Thermoformer)(ニューヨーク州ウエスト・ナイアックのヒドロ・トリム・コーポレーション(Hydro−Trim Corporation(W.Nyack,NY)から入手可能)を用いて、中密度ファイバーボードでできた図7A−7Bに示すような金型構成を有する金型の表面にスタックのポリカーボネート側が向かい合うようにした状態で、熱成形した。オーブン温度を229.4℃(445°F)に設定したオーブンを用いて、スタックの両側を90秒間加熱した。その後スタックを金型上で9秒間真空成形した。
【0133】
図7A−7Bに示すように、金型70は全体的な長さと幅の寸法が約17.8cm(7インチ)×17.8cm(7インチ)で高さが3.8cm(1.5インチ)である長方形である。幅方向の向かい合った縁71はそれぞれ閉鎖角(enclosed angle)が80度である。長さ方向の縁は、一方の縁72では閉鎖角A1が60度であり、反対側の縁73では閉鎖角A2が75度である。金型70には閉鎖角A3が90度であるV形の溝74があり、その溝は閉鎖角A1が60度である縁72から8.9cm(3.5インチ)の距離d1に配置されている。溝74によって金型70の平面75が大きな平面76と小さな平面77に分けられており、溝74の底80は下側の縁79の9.6mm(0.38インチ)上に位置している。
【0134】
各熱成形フィルムサンプルの鏡面性を、大きな平面76上の領域78で上述のようにして測定した。ある特定のフィルムサンプルの対応領域は領域78がおよそ10%引っ張られていた。両方の実施例のフィルムでは、鏡面性の高いフィルムを上面に有する熱成形シートが作製されたが、参考例R1は拡散反射表面を有していた。
【0135】
反射率の測定は、分光比色計(ニューヨーク州ニューウィンザーのグレタグマクベス(GretagMacBeth(NewWindsor,NewYork)から入手可能なグレタグマクベス・カラー・アイ(GretagMacBeth Color−Eye)7000 UV)で行った。波長帯域(約350〜750ナノメートル)の関数としての反射率は、各サンプルごとに反射成分(specular component)を含むように、また反射成分を除外するように測定した。ある特定のフィルムの鏡面性の度合いは、反射成分を含めた場合および反射成分を除外した場合の分光反射率の値の差を計算して測定した。ある特定の帯域で反射率の値が低い(すなわち、差が小さい)場合、それは拡散反射フィルム(すなわち、鏡面でない)であることを示すが、値が大きい場合は鏡面性の高いフィルム(すなわち、鏡面)であることを示す。
【0136】
以下の表6は、(i)鏡面性の度合い、すなわち、熱成形する前の実施例7および8ならびに参考例R1のフィルムサンプルでの反射成分を含む場合と含まない場合の値の差、さらに(ii)熱成形後のある特定フィルムの鏡面性の度合いを示している。各フィルムサンプル(すなわち、実施例7および8ならびに参考例R1)の鏡面性の差のプロットを図8に示す。図8に示されるように、本発明の実施例7および8は、熱成形プロセスステップに起因する鏡面性の差が参考例R1と比べて小さいことを示した(すなわち、参考例R1の線の対の間の距離がより大きいことで示されている)。
【0137】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の例示的金属化フィルムの横断面図である。
【図2A】本発明の例示的金属化フィルムに用いるのに好適な例示的金属層の斜視図である。
【図2B】本発明の例示的金属化フィルムに用いるのに好適な別の例示的金属層の斜視図である。
【図2C】本発明の例示的金属化フィルムに用いるのに好適な例示的金属層の斜視図であり、この例示的金属層は少なくとも2つの別個の金属領域を有する不連続パターンを含んでいる。
【図3A】本発明の金属化フィルムの金属層に用いるのに好適な例示的金属領域の上部表面の斜視図であり、この例示的金属領域は、視覚的に連続しているが伝導性が不連続な金属領域を含んでいる。
【図3B】図3Aの例示的金属領域の横断面図である。
【図4】図1の例示的金属化フィルムの個別の層の斜視図である。
【図5】本発明の金属化フィルムを含む例示的物品の横断面図である。
【図6】基材に付着した金属化フィルムを含む例示的物品の横断面図である。
【図7A】実施例7〜8および参考例R1における熱成形ステップで使用した例示的金型の斜視図である。
【図7B】図7Aに示されている矢印Aの方向から見た、図7Aに示されている例示的金型の側面図である。
【図8】実施例7〜8および参考例R1のフィルムのサンプルでの鏡面性対波長のプロットを示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が架橋されている第1ポリマーを含むポリマープライマー層と、
少なくとも一部が架橋されている第2ポリマーを含むポリマー保護層と、
前記ポリマープライマー層と前記ポリマー保護層との間にある金属層と
を含む金属化フィルムであって、
(i)前記ポリマープライマー層が前記金属層の反対側に外側接着剤表面を有するかまたは(ii)前記金属化フィルムが前記金属層の反対側の前記ポリマープライマー層上に接着剤層をさらに含み、前記接着剤層が前記ポリマープライマー層の反対側に外側接着剤表面を有する、金属化フィルム。
【請求項2】
前記ポリマープライマー層が前記金属層の反対側に外側接着剤表面を有する、請求項1に記載の金属化フィルム。
【請求項3】
前記金属層の反対側の前記ポリマープライマー層上に接着剤層をさらに含み、前記接着剤層が前記ポリマープライマー層の反対側に外側接着剤表面を有する、請求項1に記載の金属化フィルム。
【請求項4】
前記外側接着剤表面が感圧接着剤またはホットメルト接着剤を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項5】
前記外側接着剤表面が感圧接着剤を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項6】
前記金属化フィルムが感圧接着剤層とホットメルト接着剤層とを含む、請求項1に記載金属化フィルム。
【請求項7】
前記外側接着剤表面が感圧接着剤を含み、ホットメルト接着剤層が前記外側接着剤表面に取り付けられる、請求項6に記載の金属化フィルム。
【請求項8】
前記金属化フィルムの少なくとも1つの最も外側の表面を覆うはく離ライナーをさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項9】
前記金属化フィルムの少なくとも1つの最も外側の表面がその上に起伏状の特徴を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項10】
前記第1ポリマーの第1表面と前記第2ポリマーの第2表面の両方が前記金属層に面し、かつ(i)前記第1表面および第2表面上に酸性官能基を有するか、(ii)前記第1表面および第2表面上に塩基性官能基を有するか、(iii)コロナ放電またはグロー放電表面処理が施されるか、(iv)前記の(i)と(iii)の両方か、あるいは(v)前記の(ii)と(iii)の両方である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項11】
前記ポリマープライマー層、前記ポリマー保護層、またはその両方が水性高分子材料を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項12】
前記第1ポリマーおよび前記第2ポリマーが、前記ポリマープライマー層および前記ポリマー保護層の厚み全体にわたって実質的に架橋されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項13】
前記ポリマー保護層が、架橋されたポリウレタン、カルボキシル基を含んでいる架橋されたポリマーまたはコポリマー、架橋されたポリオレフィン、架橋されたエチレン/酢酸ビニル/酸三元共重合体、あるいはそれらの任意の組合わせを含み、かつ前記ポリマープライマー層が、架橋されたポリウレタン、カルボキシル基を含んでいる架橋されたポリマーまたはコポリマー、架橋されたポリオレフィン、架橋されたエチレン/酢酸ビニル/酸三元共重合体、あるいはそれらの任意の組合わせを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項14】
前記ポリマー保護層が光学的に透明な架橋されたポリウレタンを含み、かつ前記ポリマープライマー層が架橋されたエチレンアクリル酸コポリマーを含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項15】
前記金属層が、インジウム、アルミニウム、スズ、ステンレス鋼、銅、銀、金、クロム、ニッケル、それらの合金、あるいはそれらの任意の組合わせを含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項16】
前記外側接着剤表面に接着接合させた基材をさらに含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項17】
前記基材がエラストマー基材を含む、請求項16に記載の金属化フィルム。
【請求項18】
前記エラストマー基材がウェザーシール基材を含む、請求項17に記載の金属化フィルム。
【請求項19】
前記基材が熱成形可能層を含む、請求項16に記載の金属化フィルム。
【請求項20】
前記熱成形可能層がポリカーボネートまたはポリエステルを含む、請求項19に記載の金属化フィルム。
【請求項21】
前記熱成形可能層がポリカーボネートを含む、請求項20に記載の金属化フィルム。
【請求項22】
請求項1〜16および19〜21のいずれか一項に記載の金属化フィルムを含む熱成形可能物品。
【請求項23】
請求項1〜16および19〜22のいずれか一項に記載の金属化フィルムまたは熱成形可能物品を含む成形品。
【請求項24】
請求項1〜16および19〜23のいずれか一項に記載の金属化フィルム、熱成形可能物品または成形品を含む、標識。
【請求項25】
請求項1〜16および19〜23のいずれか一項に記載の金属化フィルム、熱成形可能物品または成形品を含む、バックライト付き標識。
【請求項26】
外面を有するポリマー保護層を提供するステップと、
前記外面上に金属層を付着させるステップと、
前記金属層上にポリマープライマー層を適用するステップと、
前記ポリマー保護層を架橋するステップと、
前記ポリマープライマー層を架橋するステップと、
任意選択的に前記ポリマープライマー層上に接着剤層を適用するステップと
を含む金属化フィルムの形成方法であって、
(i)前記ポリマープライマー層が前記金属層の反対側に外側接着剤表面を有するかまたは(ii)前記金属化フィルムが前記金属層の反対側の前記ポリマープライマー層上に前記接着剤層を含み、前記接着剤層が前記ポリマープライマー層の反対側に外側接着剤表面を有する、金属化フィルムの形成方法。
【請求項27】
前記ポリマープライマー層上に接着剤層を適用することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記提供するステップが、
ポリマー保護層組成物をはく離基材に適用するステップと、
前記組成物中に存在するいかなる水または溶剤も除去するステップと
を含む、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリマー保護層を架橋するステップと前記ポリマープライマー層を架橋するステップとを同時に行う、請求項26〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記ポリマー保護層を架橋する前記ステップが前記付着ステップの前に行われ、前記ポリマープライマー層を架橋するステップが前記の適用するステップの前に行われる、請求項26〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
コロナ放電表面処理、火炎表面処理、またはグロー放電表面処理を用いて、前記ポリマー保護層の前記第1表面、前記ポリマープライマー層の前記第2表面、またはその両方を表面処理することをさらに含む、請求項26〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第1表面の反対側の前記ポリマープライマー層の外面、前記第2表面の反対側の前記保護層の外面、前記接着剤層(存在する場合)の外面、またはそれらの任意の組合わせに少なくとも1つの追加層を取り付けることをさらに含む、請求項26〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つの追加層がはく離ライナーを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記金属化フィルムの最も外側の表面の一方または両方に起伏状の特徴を設けることをさらに含む、請求項26〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記ポリマー保護層を架橋する前記ステップが前記取り付けステップの後に行われる、請求項32〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記外側接着剤表面に熱成形可能層を取り付けて熱成形可能物品を形成することをさらに含む、請求項26〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記熱成形可能物品を熱成形することをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記金属化フィルムにグラフィックスを適用することをさらに含む、請求項26〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記金属化フィルムを標識またはバックライト付き標識に組み込むことをさらに含む、請求項26〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
少なくとも一部が架橋されている第1ポリマーを含むポリマープライマー層と、
少なくとも一部が架橋されている第2ポリマーを含むポリマー保護層と、
前記ポリマープライマー層と前記ポリマー保護層との間にある金属層と
を含む金属化フィルムであって、
(i)前記ポリマープライマー層が前記金属層の反対側に外側接着剤表面を有するかまたは(ii)前記金属化フィルムが前記金属層の反対側の前記ポリマープライマー層上に接着剤層をさらに含み、前記接着剤層が前記ポリマープライマー層の反対側に外側接着剤表面を有する、金属化フィルム。
【請求項2】
前記ポリマープライマー層が前記金属層の反対側に外側接着剤表面を有する、請求項1に記載の金属化フィルム。
【請求項3】
前記金属層の反対側の前記ポリマープライマー層上に接着剤層をさらに含み、前記接着剤層が前記ポリマープライマー層の反対側に外側接着剤表面を有する、請求項1に記載の金属化フィルム。
【請求項4】
前記外側接着剤表面が感圧接着剤またはホットメルト接着剤を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項5】
前記外側接着剤表面が感圧接着剤を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項6】
前記金属化フィルムが感圧接着剤層とホットメルト接着剤層とを含む、請求項1に記載金属化フィルム。
【請求項7】
前記外側接着剤表面が感圧接着剤を含み、ホットメルト接着剤層が前記外側接着剤表面に取り付けられる、請求項6に記載の金属化フィルム。
【請求項8】
前記金属化フィルムの少なくとも1つの最も外側の表面を覆うはく離ライナーをさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項9】
前記金属化フィルムの少なくとも1つの最も外側の表面がその上に起伏状の特徴を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項10】
前記第1ポリマーの第1表面と前記第2ポリマーの第2表面の両方が前記金属層に面し、かつ(i)前記第1表面および第2表面上に酸性官能基を有するか、(ii)前記第1表面および第2表面上に塩基性官能基を有するか、(iii)コロナ放電またはグロー放電表面処理が施されるか、(iv)前記の(i)と(iii)の両方か、あるいは(v)前記の(ii)と(iii)の両方である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項11】
前記ポリマープライマー層、前記ポリマー保護層、またはその両方が水性高分子材料を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項12】
前記第1ポリマーおよび前記第2ポリマーが、前記ポリマープライマー層および前記ポリマー保護層の厚み全体にわたって実質的に架橋されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項13】
前記ポリマー保護層が、架橋されたポリウレタン、カルボキシル基を含んでいる架橋されたポリマーまたはコポリマー、架橋されたポリオレフィン、架橋されたエチレン/酢酸ビニル/酸三元共重合体、あるいはそれらの任意の組合わせを含み、かつ前記ポリマープライマー層が、架橋されたポリウレタン、カルボキシル基を含んでいる架橋されたポリマーまたはコポリマー、架橋されたポリオレフィン、架橋されたエチレン/酢酸ビニル/酸三元共重合体、あるいはそれらの任意の組合わせを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項14】
前記ポリマー保護層が光学的に透明な架橋されたポリウレタンを含み、かつ前記ポリマープライマー層が架橋されたエチレンアクリル酸コポリマーを含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項15】
前記金属層が、インジウム、アルミニウム、スズ、ステンレス鋼、銅、銀、金、クロム、ニッケル、それらの合金、あるいはそれらの任意の組合わせを含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項16】
前記外側接着剤表面に接着接合させた基材をさらに含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の金属化フィルム。
【請求項17】
前記基材がエラストマー基材を含む、請求項16に記載の金属化フィルム。
【請求項18】
前記エラストマー基材がウェザーシール基材を含む、請求項17に記載の金属化フィルム。
【請求項19】
前記基材が熱成形可能層を含む、請求項16に記載の金属化フィルム。
【請求項20】
前記熱成形可能層がポリカーボネートまたはポリエステルを含む、請求項19に記載の金属化フィルム。
【請求項21】
前記熱成形可能層がポリカーボネートを含む、請求項20に記載の金属化フィルム。
【請求項22】
請求項1〜16および19〜21のいずれか一項に記載の金属化フィルムを含む熱成形可能物品。
【請求項23】
請求項1〜16および19〜22のいずれか一項に記載の金属化フィルムまたは熱成形可能物品を含む成形品。
【請求項24】
請求項1〜16および19〜23のいずれか一項に記載の金属化フィルム、熱成形可能物品または成形品を含む、標識。
【請求項25】
請求項1〜16および19〜23のいずれか一項に記載の金属化フィルム、熱成形可能物品または成形品を含む、バックライト付き標識。
【請求項26】
外面を有するポリマー保護層を提供するステップと、
前記外面上に金属層を付着させるステップと、
前記金属層上にポリマープライマー層を適用するステップと、
前記ポリマー保護層を架橋するステップと、
前記ポリマープライマー層を架橋するステップと、
任意選択的に前記ポリマープライマー層上に接着剤層を適用するステップと
を含む金属化フィルムの形成方法であって、
(i)前記ポリマープライマー層が前記金属層の反対側に外側接着剤表面を有するかまたは(ii)前記金属化フィルムが前記金属層の反対側の前記ポリマープライマー層上に前記接着剤層を含み、前記接着剤層が前記ポリマープライマー層の反対側に外側接着剤表面を有する、金属化フィルムの形成方法。
【請求項27】
前記ポリマープライマー層上に接着剤層を適用することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記提供するステップが、
ポリマー保護層組成物をはく離基材に適用するステップと、
前記組成物中に存在するいかなる水または溶剤も除去するステップと
を含む、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリマー保護層を架橋するステップと前記ポリマープライマー層を架橋するステップとを同時に行う、請求項26〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記ポリマー保護層を架橋する前記ステップが前記付着ステップの前に行われ、前記ポリマープライマー層を架橋するステップが前記の適用するステップの前に行われる、請求項26〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
コロナ放電表面処理、火炎表面処理、またはグロー放電表面処理を用いて、前記ポリマー保護層の前記第1表面、前記ポリマープライマー層の前記第2表面、またはその両方を表面処理することをさらに含む、請求項26〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第1表面の反対側の前記ポリマープライマー層の外面、前記第2表面の反対側の前記保護層の外面、前記接着剤層(存在する場合)の外面、またはそれらの任意の組合わせに少なくとも1つの追加層を取り付けることをさらに含む、請求項26〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つの追加層がはく離ライナーを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記金属化フィルムの最も外側の表面の一方または両方に起伏状の特徴を設けることをさらに含む、請求項26〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記ポリマー保護層を架橋する前記ステップが前記取り付けステップの後に行われる、請求項32〜34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記外側接着剤表面に熱成形可能層を取り付けて熱成形可能物品を形成することをさらに含む、請求項26〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記熱成形可能物品を熱成形することをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記金属化フィルムにグラフィックスを適用することをさらに含む、請求項26〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記金属化フィルムを標識またはバックライト付き標識に組み込むことをさらに含む、請求項26〜38のいずれか一項に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【公表番号】特表2008−534318(P2008−534318A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503225(P2008−503225)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/010786
【国際公開番号】WO2006/102592
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/010786
【国際公開番号】WO2006/102592
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】
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