説明

鋼片研削方法および鋼片研削装置の制御装置

【課題】スイング式の鋼片研削装置において45度研削を行う場合、鋼片の被研削面全体を均一に研削する。
【解決手段】スラブSの平面Ssの研削加工に際して、斜角制御手段124により研削砥石16が砥石斜角45度に位置させられる場合に、当接位置制御手段126により平面Ssに対して研削砥石16が当接させられると、研削砥石16が平面Ssに接する位置によっては平面Ssに対する研削砥石16の外周面の当たり面角度に傾きが生じたり接する位置によってその傾きが異なる可能性があることに対して、揺動角度補正手段128によりスラブ厚みTと砥石径Dとに基づいて平面Ssに対して研削砥石16の回転軸心Cgが平行になるように第3軸心C3まわりの研削砥石16の揺動角度が補正されるので、平面Ssに対する研削砥石16の外周面の当たり面角度に傾きが生じ難くなり、研削砥石16とスラブSとの当たり方が一定に保たれ易くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラブやビレット等の鋼片の表面(被研削面)に研削加工を施す鋼片研削方法およびその方法を実行する鋼片研削装置の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばスラブの連続鋳造設備においてガス切断機により所定の長さに切断され次工程の圧延工程に送られた板状のスラブの表面には、疵やスケール等が存在する。これら疵等が存在するスラブに対して圧延処理が施されて製造された鋼板の表面には、上記疵等に起因する各種の欠陥が生ずる。このことは、製品の品質が不安定になると共に、製造歩留りが低下する原因にもなる。このため、スラブが圧延される前に、そのスラブの表面の疵等を除去することが求められる。その方法としては、例えばスラブの表面を溶融させつつ高圧エア等でその溶融部位を吹き飛ばす方法や、スラブの表面を研削砥石で研削加工する方法が考えられる。特に、一般鋼に比較してステンレス鋼等の特殊鋼は、可及的に余分な部位の除去を行わないことが求められるため、より細かく除去量を設定可能である前記研削加工による方法が広く用いられている。例えば、特許文献1や特許文献2に記載されたものがそれである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−218663号公報
【特許文献2】特開2001−47353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、一般的に、前記研削加工では、回転軸心まわりに回転する研削砥石を鋼片の平面(被研削面)に押し当てつつその被研削面に対する研削方向に平行な研削経路に沿って直線的に相対移動させ、次いでその研削経路に平行な他の研削経路に沿って相対移動させることを順次行って一面全体を研削している。この際、研削砥石の回転軸心を研削経路と平行な方向にする(すなわち研削砥石の回転方向を研削経路と垂直な方向にする)場合、研削加工後の鋼片の被研削面上には研削経路に沿って研削砥石による円弧形状が研削経路分だけ残る可能性がある。これに対して、研削砥石の回転軸心を研削経路に対して所定角度例えば45度傾けて(交差させて)研削加工を行う(すなわち研削砥石の回転方向を研削経路に対して所定角度例えば45度傾けて研削加工を行う)ことが考えられる。このような45度研削では、鋼片の被研削面は研削経路に沿って台形形状に研削され、それらが隣同士重なり合うことで研削加工後の鋼片の被研削面は一面全体が平らに研削されると考えられる。また、研削砥石による研削痕が研削経路に対して45度の傾きをもつことから、研削痕が研削経路に対して直交する場合に比べて、その粗さが後工程での圧延上良好なものになると考えられる。
【0005】
ところで、特許文献1に記載された鋼片研削装置は、被研削面に対して研削砥石を垂直方向に移動させて押圧し、その被研削面を研削する構成のものである。一方、これとは別の構成の鋼片研削装置として、特許文献2に記載された鋼片研削装置のように、研削経路と平行な軸心まわりに研削砥石を回転させ、被研削面に対する研削砥石の垂直位置を移動させて被研削面に押圧し、その被研削面を研削する所謂スイング式のものもある。そして、特許文献1に記載された鋼片研削装置では、鋼片の研削加工において前記45度研削を採用する場合でも、研削砥石の軸心を研削経路と平行な方向にする場合と同様に、被研削面に対して研削砥石が垂直方向に移動させられることから、すなわち研削砥石の軸心が被研削面に対して平行状態を保ちながら移動させられることから、被研削面に対する研削砥石の外周面の当たり面角度に傾きが生じ難い。一方で、上記スイング式の鋼片研削装置では、研削砥石の軸心を研削経路に平行な方向とする場合は、研削砥石の軸心が被研削面に対して平行状態を保ちながら研削経路と平行な軸心まわりを回転させられることから、被研削面に対する研削砥石の外周面の当たり面角度に傾きが生じ難い。しかしながら、上記スイング式の鋼片研削装置にて前記45度研削を採用する場合には、研削経路に対して45度傾けられた研削砥石の軸心が研削経路と平行な軸心まわりを回転させられることから、研削砥石が被研削面に接する位置によっては被研削面に対する研削砥石の外周面の当たり面角度に傾きが生じたり、接する位置によってその傾きが異なる場合がある。そうすると、研削砥石と鋼片との当たり方が一定に保たれず、被研削面の面全体を均一に研削することができない可能性がある。また、研削砥石の外周面が片減りする可能性がある。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、スイング式の鋼片研削装置において研削砥石の回転軸心が研削方向に対して所定角度例えば45度傾いた状態にて研削加工を行う場合であっても、鋼片の被研削面の面全体を均一に研削することができる鋼片研削方法およびその方法を実行する鋼片研削装置の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための本発明の要旨とするところは、(a) 鋼片の被研削面に平行な回転軸心がその被研削面に対する所定の研削方向に対してその回転軸心に垂直な第1軸心まわりに所定角度分傾いた状態にて、その回転軸心まわりに回転する研削砥石をその被研削面に押し当てつつその研削方向に平行なその被研削面上の1つの研削経路に沿って直線的に相対移動させ、次いでその研削経路に平行な他の研削経路に沿って相対移動させることを順次行うことにより、その被研削面に研削加工を施す鋼片研削方法であって、(b) 前記鋼片の被研削面の研削加工に際して、前記研削方向に平行且つ前記被研削面からの垂直方向距離が一定な第2軸心まわりに前記第1軸心と共に前記研削砥石を回転させることにより、前記被研削面に対して前記研削砥石を当接させる当接位置制御工程と、(c) 前記鋼片の厚みと前記研削砥石の径とに基づいて前記研削方向及び前記第1軸心に垂直な第3軸心まわりに前記第1軸心と共に前記研削砥石を揺動させることにより、前記被研削面に対して前記研削砥石の回転軸心が平行となるように前記第3軸心まわりの前記研削砥石の揺動角度を補正する揺動角度補正工程とを、含むことにある。
【発明の効果】
【0008】
このようにすれば、鋼片の被研削面の研削加工に際して、鋼片の被研削面に平行な回転軸心がその被研削面に対する所定の研削方向に対してその回転軸心に垂直な第1軸心まわりに所定角度分傾いた状態にてその回転軸心まわりに回転する研削砥石をその被研削面に押し当てる場合に、当接位置制御工程により前記研削方向に平行且つ前記被研削面からの垂直方向距離が一定な第2軸心まわりに前記第1軸心と共に前記研削砥石が回転させられて前記被研削面に対して前記研削砥石が当接させられると、研削砥石が被研削面に接する位置によっては被研削面に対する研削砥石の外周面の当たり面角度に傾きが生じたり接する位置によってその傾きが異なる可能性があることに対して、揺動角度補正工程により前記鋼片の厚みと前記研削砥石の径とに基づいて前記研削方向及び前記第1軸心に垂直な第3軸心まわりに前記第1軸心と共に前記研削砥石を揺動させられて前記被研削面に対して前記研削砥石の回転軸心が平行となるように前記第3軸心まわりの前記研削砥石の揺動角度が補正されるので、被研削面に対する研削砥石の外周面の当たり面角度に傾きが生じ難くなる。従って、研削砥石と被研削面との当たり方が常に一定に保たれ易くなり、被研削面の面全体を均一に研削することが可能になる。また、研削砥石の外周面の減り方を均一にすることが可能になる。このように、スイング式の鋼片研削装置において研削砥石の回転軸心が研削方向に対して所定角度例えば45度傾いた状態にて研削加工を行う場合であっても、鋼片の被研削面の面全体を均一に研削することができる。
【0009】
また、研削砥石の揺動角度補正が自動で行われることにより、例えば鋼片研削装置の操作者(運転者)が手動運転にて目視確認しながら揺動角度補正を行って研削加工することなく(すなわち人が介入することなく)自動で被研削面の手入れが行える。よって、一人で複数台の鋼片研削装置の操作が可能になり、例えば運転者はモニタ等で監視するだけで良くなる。更に、自動手入れによる均一な被研削面研削(平面研削)が得られ、例えば後工程の圧延にて製品の品質向上が計れる。
【0010】
ここで、好適には、前記揺動角度補正工程において前記研削砥石の揺動角度が補正される際には、前記研削砥石が前記研削経路上を移動させられるように、前記鋼片の厚みと前記研削砥石の径とに基づいて前記研削方向及び前記研削経路の垂直方向における前記研削砥石のそれぞれの位置を補正する研削位置補正工程を更に含むことにある。このようにすれば、揺動角度補正工程における研削砥石の揺動角度補正に伴って研削方向及び研削経路の垂直方向における研削砥石のそれぞれの位置(すなわち被研削面上における研削砥石の研削位置)がずれる可能性があることに対して、研削位置補正工程により研削砥石が研削経路上を移動させられるように鋼片の厚みと研削砥石の径とに基づいてその研削位置が補正されるので、被研削面の面全体を一層均一に研削することが可能になる。また、研削砥石の位置補正が自動で行われることにより、例えば鋼片研削装置の操作者(運転者)が手動運転にて目視確認しながら位置補正を行って研削加工することなく(すなわち人が介入することなく)自動で被研削面の手入れが行える。よって、一人で複数台の鋼片研削装置の操作が可能になり、例えば運転者はモニタ等で監視するだけで良くなる。更に、自動手入れによる一層均一な被研削面研削(平面研削)が得られ、例えば後工程の圧延にて製品の品質向上が計れる。
【0011】
また、好適には、前記揺動角度補正工程及び前記研削位置補正工程では、各々予め定められた関係から前記鋼片の厚みと前記研削砥石の径とに基づいて各々補正量を算出し、前記研削砥石の揺動角度補正及び前記研削砥石の位置補正を行うことにある。このようにすれば、揺動角度補正工程における研削砥石の揺動角度補正及び研削位置補正工程における研削砥石の位置補正が適切に行われる。
【0012】
また、好適には、前記鋼片の被研削面に研削加工を施すことに加えて、その被研削面の端縁に研削加工を施すものであり、前記研削経路に平行な前記端縁の研削加工に際して、前記被研削面の研削加工時の補正に加え、所定形状にて前記端縁が面取りされるように、前記研削砥石の径に基づいて前記研削経路の垂直方向における前記研削砥石の位置を前記被研削面の外側方向へずらす研削位置オフセット工程を更に含むことにある。このようにすれば、被研削面の研削加工時の補正に加え、研削位置オフセット工程により所定形状にて端縁が面取りされるように研削砥石の径に基づいて研削経路の垂直方向における研削砥石の位置が被研削面の外側方向へずらされるので、被研削面の端縁を均一に研削することが可能になる。また、研削砥石の揺動角度補正と位置補正が自動で行われることにより、例えば人が介入することなく自動で被研削面の端縁の手入れが行える。よって、一人で複数台の鋼片研削装置の操作が可能になり、例えば運転者はモニタ等で監視するだけで良くなる。更に、自動手入れによる均一な端縁研削(コーナー研削)が得られ、例えば後工程の圧延にて製品の品質向上が計れる。
【0013】
また、好適には、前記研削位置オフセット工程では、予め定められた関係から前記研削砥石の径に基づいてずらし量を算出し、前記研削砥石の位置ずらしを行うことにある。このようにすれば、研削位置オフセット工程における研削砥石の位置ずらしが適切に行われる。
【0014】
また、前記目的を達成するための他の発明の要旨とするところは、(a) 鋼片の被研削面に平行な回転軸心がその被研削面に対する所定の研削方向に対してその回転軸心に垂直な第1軸心まわりに所定角度分傾いた状態にて、その回転軸心まわりに回転する研削砥石をその被研削面に押し当てつつその研削方向に平行なその被研削面上の1つの研削経路に沿って直線的に相対移動させ、次いでその研削経路に平行な他の研削経路に沿って相対移動させることを順次行うことにより、その被研削面に研削加工を施す鋼片研削装置の制御装置であって、(b) 前記鋼片研削装置は、前記被研削面と平行な面内で移動可能に設けられた台車と、(c) 第3軸心を有する第3軸とその第3軸心に垂直な前記第1軸心を有する第1軸とその第1軸心に垂直な前記回転軸心を有する砥石支持軸とを順次介して前記研削砥石を回転駆動する砥石駆動装置と、(d) 前記研削方向に平行且つ前記被研削面からの垂直方向距離が一定の第2軸心まわりに回転可能に前記台車に設けられ、前記第3軸が前記研削方向と垂直となるように前記砥石駆動装置を支持する支持台と、(e) 前記研削砥石が所定の荷重で前記鋼片に押圧されるように前記砥石駆動装置を前記第2軸心まわりに回転させる押圧装置と、(f) 前記第3軸心まわりに前記第1軸と共に前記研削砥石を揺動させる揺動装置とを備え、(g) 前記鋼片の被研削面の研削加工に際して、前記第2軸心まわりに前記第1軸心と共に前記研削砥石を回転させることにより、前記被研削面に対して前記研削砥石を当接させる当接位置制御手段と、(h) 前記鋼片の厚みと前記研削砥石の径とに基づいて第3軸心まわりに前記第1軸心と共に前記研削砥石を揺動させることにより、前記被研削面に対して前記研削砥石の回転軸心が平行となるように前記第3軸心まわりの前記研削砥石の揺動角度を補正する揺動角度補正手段とを、含むことにある。
【0015】
このようにすれば、鋼片の被研削面の研削加工に際して、鋼片の被研削面に平行な回転軸心がその被研削面に対する所定の研削方向に対してその回転軸心に垂直な第1軸心まわりに所定角度分傾いた状態にてその回転軸心まわりに回転する研削砥石をその被研削面に押し当てる場合に、当接位置制御手段により前記研削方向に平行且つ前記被研削面からの垂直方向距離が一定な第2軸心まわりに前記第1軸心と共に前記研削砥石が回転させられて前記被研削面に対して前記研削砥石が当接させられると、研削砥石が被研削面に接する位置によっては被研削面に対する研削砥石の外周面の当たり面角度に傾きが生じたり接する位置によってその傾きが異なる可能性があることに対して、揺動角度補正手段により前記鋼片の厚みと前記研削砥石の径とに基づいて前記研削方向及び前記第1軸心に垂直な第3軸心まわりに前記第1軸心と共に前記研削砥石を揺動させられて前記被研削面に対して前記研削砥石の回転軸心が平行となるように前記第3軸心まわりの前記研削砥石の揺動角度が補正されるので、被研削面に対する研削砥石の外周面の当たり面角度に傾きが生じ難くなる。従って、研削砥石と被研削面との当たり方が常に一定に保たれ易くなり、被研削面の面全体を均一に研削することが可能になる。また、研削砥石の外周面の減り方を均一にすることが可能になる。このように、スイング式の鋼片研削装置において研削砥石の回転軸心が研削方向に対して所定角度例えば45度傾いた状態にて研削加工を行う場合であっても、鋼片の被研削面の面全体を均一に研削することができる。
【0016】
また、研削砥石の揺動角度補正が自動で行われることにより、例えば鋼片研削装置の操作者(運転者)が手動運転にて目視確認しながら揺動角度補正を行って研削加工することなく(すなわち人が介入することなく)自動で被研削面の手入れが行える。よって、一人で複数台の鋼片研削装置の操作が可能になり、例えば運転者はモニタ等で監視するだけで良くなる。更に、自動手入れによる均一な被研削面研削(平面研削)が得られ、例えば後工程の圧延にて製品の品質向上が計れる。
【0017】
また、好適には、前記揺動角度補正手段により前記研削砥石の揺動角度が補正される際には、前記研削砥石が前記研削経路上を移動させられるように、前記鋼片の厚みと前記研削砥石の径とに基づいて前記研削方向及び前記研削経路の垂直方向における前記研削砥石のそれぞれの位置を補正する研削位置補正手段を更に含むことにある。このようにすれば、揺動角度補正手段による研削砥石の揺動角度補正に伴って研削方向及び研削経路の垂直方向における研削砥石のそれぞれの位置(すなわち被研削面上における研削砥石の研削位置)がずれる可能性があることに対して、研削位置補正手段により研削砥石が研削経路上を移動させられるように鋼片の厚みと研削砥石の径とに基づいてその研削位置が補正されるので、被研削面の面全体を一層均一に研削することが可能になる。また、研削砥石の位置補正が自動で行われることにより、例えば鋼片研削装置の操作者(運転者)が手動運転にて目視確認しながら位置補正を行って研削加工することなく(すなわち人が介入することなく)自動で被研削面の手入れが行える。よって、一人で複数台の鋼片研削装置の操作が可能になり、例えば運転者はモニタ等で監視するだけで良くなる。更に、自動手入れによる一層均一な被研削面研削(平面研削)が得られ、例えば後工程の圧延にて製品の品質向上が計れる。
【0018】
また、好適には、前記揺動角度補正手段及び前記研削位置補正手段は、各々予め定められた関係から前記鋼片の厚みと前記研削砥石の径とに基づいて各々補正量を算出し、前記研削砥石の揺動角度補正及び前記研削砥石の位置補正を行うことにある。このようにすれば、揺動角度補正手段による研削砥石の揺動角度補正及び研削位置補正手段による研削砥石の位置補正が適切に行われる。
【0019】
また、好適には、前記鋼片の被研削面に研削加工を施すことに加えて、その被研削面の端縁に研削加工を施すものであり、前記研削経路に平行な前記端縁の研削加工に際して、前記被研削面の研削加工時の補正に加え、所定形状にて前記端縁が面取りされるように、前記研削砥石の径に基づいて前記研削経路の垂直方向における前記研削砥石の位置を前記被研削面の外側方向へずらす研削位置オフセット手段を更に含むことにある。このようにすれば、被研削面の研削加工時の補正に加え、研削位置オフセット手段により所定形状にて端縁が面取りされるように研削砥石の径に基づいて研削経路の垂直方向における研削砥石の位置が被研削面の外側方向へずらされるので、被研削面の端縁を均一に研削することが可能になる。また、研削砥石の揺動角度補正と位置補正が自動で行われることにより、例えば人が介入することなく自動で被研削面の端縁の手入れが行える。よって、一人で複数台の鋼片研削装置の操作が可能になり、例えば運転者はモニタ等で監視するだけで良くなる。更に、自動手入れによる均一な端縁研削(コーナー研削)が得られ、例えば後工程の圧延にて製品の品質向上が計れる。
【0020】
また、好適には、前記研削位置オフセット手段は、予め定められた関係から前記研削砥石の径に基づいてずらし量を算出し、前記研削砥石の位置ずらしを行うことにある。このようにすれば、研削位置オフセット手段による研削砥石の位置ずらしが適切に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例の鋼片研削方法を実施するスラブ研削装置の全体配置図である。
【図2】図1のスラブ研削装置の要部平面図である。
【図3】図2のIII矢視図にあたる、スラブ研削装置の側面図である。
【図4】図2における砥石駆動装置及びブーム部分の平面図である。
【図5】図4のV矢視図にあたる、砥石駆動装置及びブームの側面図である。
【図6】図4の砥石駆動モータ部分を除く砥石駆動装置のA−A視部分断面図である。
【図7】図4における揺動斜角部部分の内部を示す平面図である。
【図8】図4における揺動用油圧シリンダ付近を示す図であって、横行方向前進側から視た図である。
【図9】スラブに平面研削及びコーナー研削を施す為のスラブ研削装置の制御系統の構成を説明するブロック線図である。
【図10】制御装置による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図11】研削砥石の研削経路を説明するスラブの平面図である。
【図12】制御装置に予め記憶されている研削条件の相互対応関係を示す複数組のマップの一例を示す図である。
【図13】図9の制御装置による制御作動の要部すなわち45度研削を採用する場合にスラブの平面に対して端縁を含む一面全体を均一に研削する為の制御作動を説明するフローチャートであって、図14のメインルーチンの一部すなわち研削砥石の揺動補正に関する部分を構成するサブルーチンである。
【図14】図9の制御装置による制御作動の要部すなわち45度研削を採用する場合にスラブの平面に対して端縁を含む一面全体を均一に研削する為の制御作動を説明するフローチャートであって、上記制御作動のメインルーチンである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比、形状、ハッチング、破線(隠れ線)、仮想線等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例】
【0023】
図1は、本発明の一実施例の鋼片研削方法を実施する鋼片研削装置としてのスラブ研削装置10の全体配置図である。また、図2は、図1のスラブ研削装置10の要部平面図である。また、図3は、図2のIII矢視図にあたる、スラブ研削装置10の側面図である。図1〜3において、スラブ置台14の所定載置位置には圧延素材としての板状の鋼片であるスラブSが前工程を経て図示しないリフト装置によって載置される。図1は、スラブSが2つ載置された状態を示している。尚、本実施例においては便宜上、図1に示すように、スラブSの長手方向をX方向すなわち走行方向Xとし、図に向かって左側を走行方向X左側、図に向かって右側を走行方向X右側とする。また、スラブSの幅方向をY方向すなわち横行方向Yとし、図に向かって上側を横行方向Y前進側、図に向かって下側を横行方向Y後退側とする。また、図3に示すように、スラブSの厚み方向をZ方向すなわち押圧方向Zとし、図に向かって上側を押圧方向Z上側、図に向かって下側を押圧方向Z下側とする。
【0024】
スラブ置台14の横行方向Y後退側の床面上には、1対の走行レール18がスラブSの研削経路Rの方向(研削方向)すなわち走行方向Xに沿って平行に設けられている。また、スラブ置台14の横行方向Y前進側の床面上には、1対の集塵用レール20が同じく走行方向Xに沿って平行に設けられている。
【0025】
1対の走行レール18上には、その上を転動する2対の車輪22aと、それら2対の車輪22aをそれぞれ連結する車軸22bと、車輪22aの2組をそれぞれ回転可能に支持する一対のベースブロック22cと、そのベースブロック22cの押圧方向Z上側の面に固設された走行台車ベース22dとを備えた走行台車(X方向台車)22が設けられている。走行台車ベース22dの押圧方向Z下側の下面には、減速ギヤ対24を介して車軸22bに動力伝達可能に連結された走行駆動用モータ26と、床面上に固定されたラックギア28に噛み合うギア30を有する走行用PG(パルスジェネレータ)32とが設けられている。走行台車22は、走行駆動用モータ26が作動することにより一対の走行レール18上を走行方向Xに平行な方向に移動可能である。また、走行用PG32は、走行台車22の移動に伴って回転させられるギア30の回転に応じて、その移動距離又は移動位置(走行方向Xにおける走行位置)を示す電気的なパルス信号を出力するようになっている。走行台車ベース22dの押圧方向Z上側の面には、制御盤34や油圧ユニット35や入力操作装置36が設けられている。また、この走行台車ベース22dの押圧方向Z上側の面には、1対の横行レール38をスラブSの研削経路Rとは垂直な方向すなわち横行方向Yに沿って平行に支持する一対の横行レール支持フレーム40がそれぞれ立設されている。
【0026】
1対の横行レール38上には、その上を転動する4個の車輪42aと、その車輪42aをそれぞれ回転可能に支持するキャリッジ台42bを備えたキャリッジ(Y方向台車)42が設けられている。キャリッジ台42bには、横行レール支持フレーム40の内側面に固定された不図示のラックギアに噛み合うピニオンギア44を出力軸に有する横行駆動用サーボモータ46が設けられている。キャリッジ42は、横行駆動用サーボモータ46が作動することにより一対の横行レール38上を横行方向Yに平行な方向に移動可能である。また、横行駆動用サーボモータ46には横行用PG(パルスジェネレータ)48が内蔵されている。この横行用PG48は、キャリッジ42の移動に伴って回転させられるピニオンギア44の回転に応じて、その移動距離又は移動位置(横行方向Yにおける横行位置)を示す電気的なパルス信号を出力するようになっている。
【0027】
このように構成されたキャリッジ42は、スラブSに対して走行台車22を介して研削経路Rと平行な方向(すなわち走行方向Xに平行な方向)に移動可能且つ研削経路Rと垂直な方向(すなわち走行方向Xに直交する横行方向Yに平行な方向)に移動可能に設けられた台車、すなわちスラブSの被研削面である平面Ssと平行な面内で移動可能に設けられた台車として機能する。また、キャリッジ台42bには、研削砥石16を回転駆動する砥石駆動装置50を支持する支持台としてのブーム52が吊下部材42cを介して押圧方向Z下側に吊り下げられている。また、キャリッジ台42bの押圧方向Z上側の面には、支持部材54が横行方向Y前進側に固定されている。この支持部材54には、ブラケット56を介して押圧用サーボシリンダ58の基部が取り付けられている。押圧用サーボシリンダ58のシリンダロッド60の先端は砥石駆動装置50に連結されている。
【0028】
このように研削砥石16、走行台車22、キャリッジ42、砥石駆動装置50、ブーム52などにより構成されたスラブ研削装置10は、回転軸心Cgまわりに回転する研削砥石16の外周面をスラブSの平面Ssに押し当てつつその研削砥石16をスラブSの所定の研削方向例えばスラブSの長手方向に平行な平面Ss上の1つの研削経路R1に沿って直線的に相対移動させ、次いでその研削経路R1に平行な平面Ss上の他の複数本の研削経路Rに沿って相対移動させることを順次行うことにより、スラブSの平面Ssに研削加工を施すものである。
【0029】
一方、集塵装置12は、一対の集塵用レール20上において、その上を転動する4個の車輪12aと、その車輪12aをそれぞれ回転可能に支持する集塵台12bと、集塵台12bに固定された移動ダクト12cを備えている。また、集塵装置12は、スラブSに対応する位置に、研削粉等の飛散を防止する為の移動集塵フード12dを備えている。集塵装置12は、例えば走行台車22と連結されてその走行台車22と共に走行方向Xに沿って移動させられる。その為、集塵装置12は、集塵走行用モータ12eを備えている。尚、この集塵装置12は、スラブ研削装置10を構成する1つの装置としても良い。
【0030】
走行台車ベース22dと集塵台12bとには、スラブ置台14上に載置されるスラブSを挟むように、一対のセンサ収納箱62が横行方向Yに向かい合って設けられている。センサ収納箱62内には、投光器と受光器とで構成される光電センサとしての一対のスラブ長手端検出センサ64が収納されている。また、走行台車ベース22d側のセンサ収納箱62内には、スラブ置台14上に載置されたスラブSの横行方向Y後退側の側面までの距離を測長する後退側測長センサ66が収納されている。集塵台12b側のセンサ収納箱62内には、スラブ置台14上に載置されたスラブSの横行方向Y前進側の側面までの距離を測長する前進側測長センサ68が収納されている。更に、走行台車ベース22dには、研削砥石16を挟むように、投光器と受光器とで構成される光電センサとしての一対の砥石径検出センサ70が走行方向Xに向かい合って設けられている。
【0031】
図4は、図2における砥石駆動装置50及びそれを支持するブーム52部分の平面図である。また、図5は、図4のV矢視図にあたる、砥石駆動装置50及びブーム52の側面図である。図6は、図4の砥石駆動用モータ72を除く砥石駆動装置50のA−A視部分断面図である。図4〜6において、砥石駆動装置50は、砥石駆動用モータ72と、回転伝達部74と、揺動斜角部76と、砥石保持部78とを主体として構成されている。砥石駆動用モータ72は、動力伝達可能に回転伝達部74に連結され、その回転伝達部74と共にブーム52上に固定されている。
【0032】
回転伝達部74は、ブーム52に固定される回転伝達部ハウジング74aと、回転伝達部ハウジング74aに第3軸心C3まわりに回転可能に支持される回転伝達部中空部材74bと、回転伝達部中空部材74bに第3軸心C3まわりに回転可能に支持される第3軸74cと、第3軸74cと相対回転不能に第3軸74cの揺動斜角部76側の先端に固定される傘歯車74dと、回転伝達部ハウジング74aの押圧方向Z上側の外側に固定され且つ押圧用サーボシリンダ58のシリンダロッド60の先端を回転伝達部ハウジング74aと連結するブラケット74eとを主体として構成されている。回転伝達部74の第3軸74cは、砥石駆動用モータ72の出力軸72aとカップリング80を介して動力伝達可能に連結されている。
【0033】
揺動斜角部76は、回転伝達部中空部材74bと一体的に固定される揺動斜角部ハウジング76aと、揺動斜角部ハウジング76aに第1軸心C1まわりに回転可能に支持される揺動斜角部中空部材76bと、揺動斜角部中空部材76bに第1軸心C1まわりに回転可能に支持され且つ第3軸74cに垂直な第1軸76cと、傘歯車74dと動力伝達可能に噛み合い且つ第1軸76cと相対回転不能に第1軸76cの回転伝達部74側の先端に固定される傘歯車76dと、第1軸76cと相対回転不能に第1軸76cの砥石保持部78側の先端に固定される傘歯車76eと、揺動斜角部ハウジング76aに固定されて揺動斜角部中空部材76bを揺動斜角部ハウジング76aに対して回転させる斜角用油圧シリンダ76fと、揺動斜角部ハウジング76aに固定されて揺動斜角部中空部材76bを回転不能に揺動斜角部ハウジング76aと連結するロック用油圧シリンダ76gと、揺動斜角部ハウジング76aの研削砥石16側の外側に固定され且つ研削砥石16の回転方向を研削経路Rと直交させた(すなわち研削砥石16の回転軸心Cgを研削経路Rに平行とした)所謂砥石斜角90度及び研削砥石16の回転方向を研削経路Rに対して所定角度例えば45度傾けた(すなわち研削砥石16の回転軸心Cgを研削経路Rに対して所定角度例えば45度傾けた(交差させた))所謂砥石斜角45度をそれぞれ検出する近接スイッチとしての砥石斜角90度スイッチ76h及び砥石斜角45度スイッチ76iと、揺動斜角部ハウジング76aのブーム52側の外側に固定され且つ後述する揺動用油圧シリンダ94のシリンダロッド96の先端を揺動斜角部ハウジング76aと連結するブラケット76jとを主体として構成されている。尚、第1軸心C1は第1軸76cの軸心のことであり、他の回転軸についても同様である。また、研削砥石16の回転軸心Cgは砥石支持軸78bの軸心でもある。
【0034】
砥石保持部78は、揺動斜角部中空部材76bと一体的に固定される砥石保持部ハウジング78aと、砥石保持部ハウジング78aに対して研削砥石16の回転軸心Cgまわりに回転可能に支持され且つ第1軸76cに垂直な研削砥石16の回転軸としての砥石支持軸78bと、傘歯車76eと動力伝達可能に噛み合い且つ砥石支持軸78bと相対回転不能に砥石支持軸78bの略中央付近に固定される傘歯車78cと、砥石支持軸78bの走行方向X右側の先端側に砥石支持軸78bに対して回転不能に取り付けられて研削砥石16を同軸心に並列に2個狭持する一対のフランジ78dと、砥石保持部ハウジング78aに固定されて研削砥石16の押圧方向Z上側を覆う砥石カバー78eと、砥石斜角90度スイッチ76h及び砥石斜角45度スイッチ76iのターゲットとして砥石カバー78eに取り付けられる検出体78fとを主体として構成されている。
【0035】
このように構成された砥石駆動装置50は、第3軸74cとその第3軸74cに垂直な第1軸76cとその第1軸76cに垂直な砥石支持軸78bとを順次介して砥石駆動用モータ72の回転を研削砥石16へ伝達し、並列に設けられた2つの研削砥石16を回転駆動する。
【0036】
図7は、図4における揺動斜角部76部分の内部を示す平面図である。図5〜7において、斜角用油圧シリンダ76fのラックピストン76kに噛み合うセクタギア76lが揺動斜角部中空部材76bに一体的に固設されている。ラックピストン76kは、斜角用油圧シリンダ76fへの油圧供給により走行方向Xに沿って摺動させられるものであり、走行方向X左側から作動油が供給されると図7の如く走行方向X右側へ位置させられ、反対に走行方向X右側から作動油が供給されると走行方向X左側へ位置させられる。セクタギア76lは、ラックピストン76kの摺動に伴って、第1軸心C1まわりに(第1軸心C1の円周方向に沿って)移動させられる。従って、斜角用油圧シリンダ76fの作動により、揺動斜角部中空部材76bと共に砥石保持部ハウジング78a(砥石保持部78)が第1軸心C1まわりに回転させられる。例えば、斜角用油圧シリンダ76fへ走行方向X左側から作動油が供給されるとラックピストン76kが図7の如く走行方向X右側へ移動させられ、砥石斜角90度が砥石斜角90度スイッチ76hにより検出されると砥石斜角90度が達成される。また、斜角用油圧シリンダ76fへ走行方向X右側から作動油が供給されるとラックピストン76kが走行方向X左側へ移動させられ、砥石斜角45度が砥石斜角45度スイッチ76iにより検出されると砥石斜角45度が達成される(図4参照)。このように、斜角用油圧シリンダ76fは、第1軸心C1まわりに研削砥石16を移動させる斜角装置として機能する。
【0037】
また、セクタギア76lには、砥石斜角90度の位置と砥石斜角45度の位置とに対応してセクタギア76l(すなわち揺動斜角部中空部材76b)を第1軸心C1まわりに回転不能に固定する一対のロック用切欠76n及び76oがそれぞれ設けられている。このロック用切欠76n及び76oには、ロック用油圧シリンダ76gの作動により一対のロックキー76mが進入してセクタギア76lを回転不能に固定する。例えば、砥石斜角90度が砥石斜角90度スイッチ76hにより検出されるとロック用油圧シリンダ76gが作動させられ、一対の斜角90度ロック用切欠76nにロックキー76mが進入させられる。また、砥石斜角45度が砥石斜角45度スイッチ76iにより検出されるとロック用油圧シリンダ76gが作動させられ、一対の斜角45度ロック用切欠76oにロックキー76mが進入させられる。
【0038】
図4〜6に戻り、ブーム52は、砥石駆動用モータ72と回転伝達部74とを押圧方向Z上側の面に載置し固定するブームフレーム52aと、研削方向(研削経路R、走行方向X)に平行且つ平面Ss(見方を換えればスラブ置台14のスラブS載置面)からの垂直方向距離が一定の第2軸心C2を有してブームフレーム52aの押圧方向Z下側の面の略中央に両端をブームフレーム52aから突出する形で固定される第2軸52bと、この第2軸52bの両端側にそれぞれ配置されて吊下部材42c(図3参照)によりキャリッジ42に一体的に固設されると共に第2軸52bをベアリング52cを介して第2軸心C2まわりに回転可能に且つキャリッジ42に対して相対位置移動不能に保持する一対の保持部材52dと、ブームフレーム52aの横行方向Y前進側の面であって走行方向X左側の端部に固定され且つ揺動用油圧シリンダ94の基部先端をブームフレーム52aと連結するブラケット52eとを主体として構成されている。
【0039】
このように構成されたブーム52(ブームフレーム52a)は、押圧用サーボシリンダ58のシリンダロッド60が伸縮(前進・後退)させられることにより第2軸心C2まわりに回転可能にキャリッジ42に設けられ、第3軸74cが研削方向に垂直となるように砥石駆動装置50を支持する支持台として機能する。砥石駆動装置50が第2軸心C2まわりに回転させられると、図5の中心点a,b,cに示すように、研削砥石16も第2軸心C2まわりに回転させられる。つまり、研削砥石16は、押圧用サーボシリンダ58が作動することによりスラブSに対する押圧方向Zの相対位置が移動させられる。このように、押圧用サーボシリンダ58は、研削砥石16が所定の荷重でスラブSに押圧されるように砥石駆動装置50を第2軸心C2まわりに回転させる押圧装置として機能する。また、ブームフレーム52aの走行方向X右側の突出部52gに固定されたセクタギア82に噛み合うギア84を有する砥石上下位置用PG(パルスジェネレータ)86が例えば吊下部材42cに固設されている。この砥石上下位置用PG86は、ブームフレーム52aと一体的に第2軸心C2まわりに回転するセクタギア82の移動に伴って回転させられるギア84の回転に応じて、ブームフレーム52aの移動に伴う研削砥石16の移動距離又は移動位置(押圧方向Zにおける上下位置)を示す電気的なパルス信号を出力するようになっている。また、押圧用サーボシリンダ58のシリンダロッド60を後退させることにより砥石駆動装置50を第2軸52bまわりに回転させて研削砥石16を押圧方向Z上側へ移動させたときの端である砥石上昇端を検出する近接スイッチとしての砥石上昇端スイッチ87が例えば砥石上下位置用PG86と同様に吊下部材42cに固設されている。また、砥石上昇端スイッチ87のターゲットとしての検出体52fがブームフレーム52aの押圧方向Z上側に取り付けられている。
【0040】
図8は、図4における揺動用油圧シリンダ94付近を示す図であって、横行方向Y前進側から視た図である。図4〜6、8において、揺動用油圧シリンダ94のシリンダロッド96が伸縮(前進・後退)させられると、ブラケット76jを介してシリンダロッド96の先端と連結される揺動斜角部ハウジング76aは第3軸心C3まわりに回転(揺動)させられる。つまり、回転伝達部中空部材74bや揺動斜角部76や砥石保持部78は揺動斜角部ハウジング76aと一体的に第3軸心C3まわりに揺動させられる。このように、揺動用油圧シリンダ94は、揺動斜角部76の第1軸76cと共に砥石保持部78に保持された研削砥石16を第3軸心C3まわりに揺動させる揺動装置として機能する。また、回転伝達部中空部材74bの砥石駆動用モータ72側の先端に固定されたセクタギア88に噛み合うギア90を有する砥石揺動位置用PG(パルスジェネレータ)92がブームフレーム52aの押圧方向Z上側の面にブラケット52hを介して固設されている。この砥石揺動位置用PG92は、揺動斜角部ハウジング76aと一体的に第3軸心C3まわりに回転するセクタギア88の移動に伴って回転させられるギア90の回転に応じて、揺動斜角部ハウジング76aの回転に伴う研削砥石16の回転角度又は回転位置(第3軸心C3まわりの(第3軸心C3の円周方向における)揺動位置、揺動角度)を示す電気的なパルス信号を出力するようになっている。また、研削砥石16を第3軸心C3まわりに左回りに揺動させたときの端である砥石揺動左回り端を検出する近接スイッチとしての砥石揺動左回り端スイッチ93が砥石揺動位置用PG92と並んでブラケット52hに固設されている。また、砥石揺動左回り端スイッチ93のターゲットとしての検出体88aがセクタギア88の押圧方向Z上側に取り付けられている。尚、本実施例においては便宜上、図8に示すように、第3軸心C3まわり(第3軸心C3の円周方向)を揺動方向Fとし、図に向かって時計回りを揺動方向F右回り、図に向かって反時計回りを揺動方向F左回りとする。従って、揺動用油圧シリンダ94のシリンダロッド96が前進させられると研削砥石16は揺動方向F右回りに揺動させられ、揺動用油圧シリンダ94のシリンダロッド96が後退させられると研削砥石16は揺動方向F左回りに揺動させられる。
【0041】
ここで、スラブ研削装置10(集塵装置12を含む)は、スラブSの研削加工を行わないときには、例えば走行方向X左側の端部付近の待機位置Wにて待機させられる(図1参照)。この待機位置Wでは、例えば研削砥石16の取り替えや各装置の点検が行われる。また、スラブSは、平面Ssに研削加工が施されることに加え、後工程での圧延時の更なる製品品質向上(製品疵の防止)の為、平面Ssの端縁Sc例えば四方の角(コーナ)に研削加工が施される。この平面Ssの研削加工を平面研削と称し、端縁Scの研削加工をコーナー研削と称す。また、図1ではスラブSが2つ載置された状態を示しているが、例えば走行方向X左側に載置されているスラブSを研削加工をしている際には、走行方向X右側に載置されている研削加工後のスラブSをスラブ置台14から取り除いたり、研削加工前のスラブSをスラブ置台14の走行方向X右側に載置する。このようなことを順次繰り返して研削加工を行う。また、本実施例では、研削加工する平面Ssの一面全体がより平らに研削されること、研削痕の粗さが後工程での圧延上より良好なものとされることなどを考慮して、研削砥石16を前記砥石斜角90度とするのではなく、コーナー研削も含め前記砥石斜角45度として研削加工を実行する。このような、回転軸心Cgが平面Ssに対する所定の研削方向に対して回転軸心Cgに垂直な第1軸心C1まわりに所定角度θ分例えば45度分傾いた状態にて研削砥石16を平面Ssに押し当てて実行する研削加工を45度研削と称する。
【0042】
ところで、本実施例のスラブ研削装置10は、平面Ssに対して研削砥石16を垂直方向に移動させて押圧し、平面Ssを研削加工するスラブ研削装置ではない。つまり、本実施例のスラブ研削装置10は、ブーム52上に支持された砥石駆動装置50と共に研削砥石16の回転軸心Cgを研削経路Rと平行な第2軸心C2まわりに回転させることにより、平面Ssに対する研削砥石16の押圧方向Zの相対位置(すなわち垂直位置)を移動させて押圧し、平面Ssを研削加工する所謂スイング式のスラブ研削装置である。
【0043】
そして、前記45度研削を採用する場合、平面Ssに対して研削砥石を垂直方向に移動させる型式のスラブ研削装置では、研削砥石の回転軸心が平面Ssに対して平行状態を保ちながら移動させられるので、平面Ssに対する研削砥石の外周面の当たり面角度に傾きが生じ難いし、平面Ss上における研削砥石の研削位置にずれが生じ難い。これに対して、本実施例のスイング式のスラブ研削装置10では、前記砥石斜角45度とされた研削砥石16の回転軸心Cgが第2軸心C2まわりを回転させられるので、研削砥石16の磨耗による径変化により変化させられる研削砥石16の平面Ssに対する垂直位置(すなわち研削砥石16がスラブSに接する位置)によっては研削砥石16の回転軸心Cgが平面Ssに対して平行とならず、平面Ssに対する研削砥石16の外周面の当たり面角度に傾きが生じたり、平面Ss上における研削砥石16の研削位置にずれが生じたり、平面Ssに対する垂直位置によって当たり面角度の傾きが異なる場合がある。そうすると、研削砥石16とスラブSとの当たり方が一定に保たれず、平面Ssの面全体を均一に研削することができなかったり、また研削砥石16の外周面が片減りする可能性がある。
【0044】
そこで、本実施例では、前記45度研削に際して、研削砥石16の平面Ssに対する垂直位置に拘わらず研削砥石16の回転軸心Cgが平面Ssに対して平行となるように、揺動用油圧シリンダ94を用いて研削砥石16を第3軸心C3まわりに揺動させることにより研削砥石16の揺動角度を補正する。この際、揺動角度を補正することにより研削砥石16の研削位置にずれが生じることから、前記砥石斜角45度とされた研削砥石16の回転軸心Cgが第2軸心C2まわりを回転させられることによる研削位置ずれも含めて、研削砥石16の研削位置を補正する。
【0045】
以下に、スイング式のスラブ研削装置10における45度研削に際して、スラブSの平面Ssに対して端縁Scを含む研削面全体を均一に研削するスラブ研削方法及びその方法を実行する制御装置の作動について詳細に説明する。
【0046】
図9は、スラブSに平面研削及びコーナー研削を施す為のスラブ研削装置10や集塵装置12の制御系統の構成を説明するブロック線図である。制御盤34には、例えば制御装置100、サーボモータ駆動制御回路102、モータ駆動制御回路104等が備えられている。また、油圧ユニット35には、サーボシリンダ駆動制御回路106、油圧制御回路108等が備えられている。制御装置100は、CPU110、RAM112、ROM114、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータであって、RAM112の一時記憶機能を利用しつつ予めROM114に記憶されたプログラムに従って入力信号を処理し、制御信号を出力する。上記入力信号としては、例えば走行用PG32、横行用PG48、砥石上下位置用PG86、砥石揺動位置用PG92などから入力される各部の移動位置などを示すパルス信号、スラブ長手端検出センサ64、後退側測長センサ66、前進側測長センサ68、砥石径検出センサ70などから入力される各部の長さなど示す信号、砥石斜角90度スイッチ76h、砥石斜角45度スイッチ76i、砥石上昇端スイッチ87、砥石揺動左回り端スイッチ93などから入力される各部が移動端に達した状態などを示す検出信号、入力操作装置36等から入力される例えばスラブSの厚み(スラブ厚み)Tを示す信号などが該当する。また、スラブ研削装置10の各種アクチュエータの作動状態は、上記制御信号が対応する各種回路に供給されることによって制御される。例えば、横行駆動用サーボモータ46は、サーボモータ駆動制御回路102に対して所定の制御信号が供給されることで所定量回転させられる。また、集塵走行用モータ12e、走行駆動用モータ26、砥石駆動用モータ72は、モータ駆動制御回路104に対してそれぞれ所定の制御信号が供給されることでそれぞれ作動させられる。また、押圧用サーボシリンダ58は、サーボシリンダ駆動制御回路106に対して所定の制御信号が供給されることで作動させられる。また、油圧駆動式のアクチュエータ例えば斜角用油圧シリンダ76f、ロック用油圧シリンダ76g、揺動用油圧シリンダ94は、油圧制御回路108の対応するそれぞれの電磁弁に対して所定の制御信号が供給されることにより油圧回路が切り換えられてそれぞれ作動させられる。
【0047】
図10は、制御装置100による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。また、図11は、研削砥石16の研削経路Rを説明するスラブSの平面図である。図10において、事前動作制御部すなわち事前動作制御手段120は、スラブSの研削加工前の事前動作を行う。例えば、事前動作制御手段120は、走行方向X左側へ走行台車22を移動させるように走行駆動用モータ26を駆動する指令をモータ駆動制御回路104へ出力し、走行台車22を走行方向X左側へ移動させたときの端である走行左端を検出する不図示の近接スイッチによりその走行左端が検出されることを条件として走行台車22を走行左端に位置させる。この走行左端は、走行方向Xの原点であり、この走行左端で走行位置「0」とする。そして、走行用PG32からの電気的なパルス信号に基づいて走行台車22の走行方向X右側への移動にて現在値を増加するものとする。また、事前動作制御手段120は、横行方向Y後退側へキャリッジ42を移動させるように横行駆動用サーボモータ46を駆動する指令をサーボモータ駆動制御回路102へ出力し、キャリッジ42を横行方向Y後退側へ移動させたときの端である横行後退端を検出する不図示の近接スイッチによりその横行後退端が検出されることを条件としてキャリッジ42を横行後退端に位置させる。この横行後退端は、横行方向Yの原点であり、この横行後退端で横行位置「0」とする。そして、横行用PG48からの電気的なパルス信号に基づいてキャリッジ42の横行方向Y前進側への移動にて現在値を増加するものとする。
【0048】
また、事前動作制御手段120は、今回の研削加工が終了した後に、次回の研削加工に備えて研削砥石16の径(砥石径)Dを測定する。例えば、事前動作制御手段120は、後述する斜角制御手段124により研削砥石16を砥石斜角90度に位置させ且つキャリッジ42を所定の横行位置へ移動させると共に、一対の砥石径検出センサ70の間を横切るように後述する当接位置制御手段126により研削砥石16を押圧方向Zに沿って移動させる。そして、事前動作制御手段120は、研削砥石16が一対の砥石径検出センサ70の間を横切る際の横切り開始から横切り終了までの砥石上下位置用PG86の電気的なパルス信号に応じた垂直位置に基づいて砥石径Dを測定する。尚、上記所定の横行位置は、例えば研削砥石16の押圧方向Zに沿った移動により研削砥石16の回転軸心Cgが一対の砥石径検出センサ70の間を略横切るとして予め求められて例えばROM114に記憶された横行位置である。
【0049】
また、事前動作制御手段120は、新たなスラブSの研削加工に際して、スラブSの走行方向Xの長さと横行方向Yの長さとを測長する。例えば、事前動作制御手段120は、図11(a)に示すように、一対のセンサ収納箱62の間がスラブSの走行方向X左側端から右側端へ移動するように、走行台車22を走行方向X左側から右側へ移動させる。そして、事前動作制御手段120は、スラブSが一対のスラブ長手端検出センサ64の間に位置する際の開始から終了までの走行用PG32の電気的なパルス信号に応じた走行位置に基づいて、スラブSの走行方向Xの載置位置を検出すると共にスラブSの走行方向Xの長さを測定する。また、事前動作制御手段120は、後退側測長センサ66からの信号に応じたスラブSの横行方向Y後退側の側面までの距離及び前進側測長センサ68からの信号に応じたスラブSの横行方向Y前進側の側面までの距離に基づいて、スラブSの横行方向Yの載置位置を検出すると共にスラブSの横行方向Yの長さを測定する。
【0050】
研削制御部すなわち研削制御手段122は、斜角制御部すなわち斜角制御手段124と、当接位置制御部すなわち当接位置制御手段126と、揺動角度補正部すなわち揺動角度補正手段128と、研削位置補正部すなわち研削位置補正手段130と、研削位置オフセット部すなわち研削位置オフセット手段132とを備え、砥石斜角45度にて研削砥石16を回転軸心Cgまわりに回転させると共に、その研削砥石16を所定の研削荷重にて平面Ssに対して研削砥石16の回転軸心Cgが平行になるようにスラブSに押し当てつつ研削経路Rに沿って予め設定された一定の送り速度で相対移動させることにより、スラブSの平面Ssに対して端縁Scを含む一面に研削加工を施す。
【0051】
具体的には、斜角制御手段124は、第1軸心C1まわりに研削砥石16の回転軸心Cgを所定角度θ分回転させることにより、研削方向(走行方向X)に対する平面Ssの水平方向における研削砥石16の角度を変更する、すなわち研削方向に対して研削砥石16の回転軸心Cgを交差させる。本実施例では、スラブSの平面Ssの研削加工に際して、斜角制御手段124は、斜角用油圧シリンダ76fへ走行方向X右側から作動油を供給する指令を油圧制御回路108へ出力し、ラックピストン76kを走行方向X左側へ移動させて砥石斜角45度が砥石斜角45度スイッチ76iにより検出されることを条件として研削砥石16を砥石斜角45度に位置させる。この際、斜角制御手段124は、ロック用油圧シリンダ76gへ作動油を供給する指令を油圧制御回路108へ出力し、一対の斜角45度ロック用切欠76oにロックキー76mを進入させてセクタギア76lを第1軸心C1まわりに回転不能に固定する、すなわち研削砥石16を第1軸心C1まわりに回転不能に固定する。また、斜角制御手段124は、斜角用油圧シリンダ76fへ走行方向X左側から作動油を供給する指令を油圧制御回路108へ出力し、ラックピストン76kを走行方向X右側へ移動させて砥石斜角90度が砥石斜角90度スイッチ76hにより検出されることを条件として研削砥石16を砥石斜角90度に位置させる。この際、斜角制御手段124は、砥石斜角45度時と同様に、ロック用油圧シリンダ76gへ作動油を供給する指令を油圧制御回路108へ出力し、研削砥石16を第1軸心C1まわりに回転不能に固定する。
【0052】
当接位置制御手段126は、スラブSの平面Ssの研削加工に際して、研削方向(走行方向X)と平行な第2軸心C2まわりに第1軸心C1と共に研削砥石16(回転軸心Cg)を回転させることにより、スラブの平面Ssに対する研削砥石16の垂直位置を変更する、すなわち平面Ssに対して研削砥石16を当接させる。ここで、スラブ置台14においてスラブSが載置される押圧方向Z上側の面位置が予めROM114等に記憶されておれば、スラブ厚みTと砥石径Dとが判ることにより、スラブSの研削加工に際して研削砥石16の外周面をスラブSの平面Ssに当接させる為の上記垂直位置が例えば所定の基準垂直位置に対して一律に決められる。この所定の基準垂直位置は、例えば研削砥石16が前記砥石上昇端にあるときの平面Ss位置に対する研削砥石16の垂直位置であり、この砥石上昇端で垂直位置「0」とする。そして、砥石上下位置用PG86からの電気的なパルス信号に基づいて研削砥石16の押圧方向Z下側への移動にて現在値を増加するものとする。当接位置制御手段126は、押圧用サーボシリンダ58のシリンダロッド60を後退させる指令をサーボシリンダ駆動制御回路106へ出力し、砥石駆動装置50を第2軸52bの第2軸心C2まわりに回転させることで研削砥石16を押圧方向Z上側へ移動させて砥石上昇端が砥石上昇端スイッチ87により検出されることを条件として研削砥石16を砥石上昇端に位置させる。また、当接位置制御手段126は、スラブSの研削加工に際して、入力操作装置36を介して予め入力されたスラブ厚みTと事前動作制御手段120により測定された砥石径Dとに基づいて、研削砥石16の外周面をスラブSの平面Ssに当接させるように押圧用サーボシリンダ58のシリンダロッド60を前進させる指令をサーボシリンダ駆動制御回路106へ出力し、研削砥石16を砥石上昇端から押圧方向Z下側へ移動させて研削砥石16の上記垂直位置を変更する。
【0053】
また、当接位置制御手段126は、スラブSの平面Ssに当接する位置すなわち研削位置では所定の研削荷重にて研削砥石16をスラブSに対して押圧させるように押圧用サーボシリンダ58のシリンダロッド60の長さを制御する指令をサーボシリンダ駆動制御回路106へ出力する。例えば、当接位置制御手段126は、研削砥石16がスラブSに押圧される荷重の大きさに応じて変化する砥石駆動用モータ72のモータ電流(モータ負荷)を検出し、そのモータ負荷が所定の研削荷重に対応した所定の研削負荷(設定研削負荷)になるように、研削砥石16をスラブSに押し当てた際の研削砥石16にかかる荷重をPLC(Power Level Control)により制御する。
【0054】
揺動角度補正手段128は、スラブSの平面Ssの研削加工に際して、当接位置制御手段126による前記スラブ厚みTと砥石径Dとに基づいた研削砥石16の垂直位置の変更に伴って研削砥石16の回転軸心Cgが平面Ssに対して平行とならなくなることを抑制する為に、スラブ厚みTと砥石径Dとに基づいて研削方向(走行方向X)と垂直な第3軸心C3まわりに第1軸心C1と共に研削砥石16(回転軸心Cg)を揺動させることにより、平面Ssに対して研削砥石16の回転軸心Cgが平行となるように第3軸心C3まわりの研削砥石16の揺動角度を補正する。この研削砥石16の揺動角度は、研削砥石16を第3軸心C3まわりに揺動させるときの所定の基準揺動位置に対する角度である。この所定の基準揺動位置は、例えば第1軸心C1が第2軸心C2に対して垂直になるときの研削砥石16の位置であり、本実施例では研削砥石16が前記砥石揺動左回り端にあるときの揺動角度を「+9.9度」としたときに揺動角度「0」となる研削砥石16の位置である。そして、砥石揺動位置用PG92からの電気的なパルス信号に基づいて研削砥石16の揺動方向F左回りへの移動にて現在値を増加し、研削砥石16の揺動方向F右回りへの移動にて現在値を減少するものとする。
【0055】
また、揺動角度補正手段128は、予め定められて例えばROM114に記憶された関係としての次式(1)からスラブ厚みTと砥石径Dとに基づいて揺動角度補正量Pを算出する揺動角度補正量算出部すなわち揺動角度補正量算出手段129を備えている。この数式(1)から算出される揺動角度補正量Pは、例えばスラブ厚みTが「250mm」、砥石径Dが「φ760mm」であるときに研削砥石16の回転軸心Cgを平面Ssに対して平行にする揺動角度補正量Pを基準にしたときの揺動角度補正量である。
P=(30/100)×((T+D/2)-535) [0.1度] ・・・(1)
【0056】
そして、揺動角度補正手段128は、揺動角度補正量算出手段129により算出された揺動角度補正量Pに基づいて、揺動用油圧シリンダ94のシリンダロッド96の長さを制御して研削砥石16を第3軸心C3まわりに揺動させる。例えば、揺動角度補正手段128は、揺動角度補正量Pの正負を判断し、揺動角度補正量Pが正(+)の値であれば、揺動角度補正量Pに応じて揺動用油圧シリンダ94のシリンダロッド96を後退させる指令を油圧制御回路108へ出力し、研削砥石16を揺動方向F左回りへ揺動させて研削砥石16の回転軸心Cgが平面Ssに対して平行になるように研削砥石16の揺動角度を補正する。反対に、揺動角度補正手段128は、揺動角度補正量Pが負(−)の値であれば、揺動角度補正量Pに応じて揺動用油圧シリンダ94のシリンダロッド96を前進させる指令を油圧制御回路108へ出力し、研削砥石16を揺動方向F右回りへ揺動させて研削砥石16の回転軸心Cgが平面Ssに対して平行になるように研削砥石16の揺動角度を補正する。
【0057】
研削位置補正手段130は、研削砥石16の垂直位置の変更や揺動角度の補正に伴う研削位置ずれを抑制する為に、揺動角度補正手段128において研削砥石16の揺動角度が補正される際には、研削砥石16が研削経路R上を移動させられるように、スラブ厚みTと砥石径Dとに基づいて研削方向(走行方向X)及び研削経路Rの垂直方向(横行方向Y)における研削砥石16のそれぞれの位置、すなわち走行方向Xの走行位置(X)及び横行方向Yの横行位置(Y)によって定まる研削砥石16の研削位置を補正する。
【0058】
また、研削位置補正手段130は、予め定められて例えばROM114に記憶された関係としての次式(2)及び次式(3)からスラブ厚みTと砥石径Dとに基づいて走行位置補正量x及び横行位置補正量yを算出する研削位置補正量算出部すなわち研削位置補正量算出手段131を備えている。
x=(110/185)×(T+D/2)-(110/185)×(250+760/2) [mm] ・・・(2)
y=(56−260/2760×(D-489))-(42/225×(T-125)) [mm] ・・・(3)
【0059】
そして、研削位置補正手段130は、研削位置補正量算出手段131により算出された走行位置補正量x及び横行位置補正量yに基づいて、走行駆動用モータ26及び横行駆動用サーボモータ46を作動させて研削砥石16の研削位置を移動させる。例えば、研削位置補正手段130は、走行位置補正量xに応じて走行駆動用モータ26を駆動する指令をモータ駆動制御回路104へ出力し、研削経路Rに対応する予め定められた当初の走行方向Xにおける研削位置に対して走行位置補正量x分だけ走行台車22を移動して研削砥石16の研削位置を補正する。また、研削位置補正手段130は、横行位置補正量yに応じて横行駆動用サーボモータ46を駆動する指令をサーボモータ駆動制御回路102へ出力し、研削経路Rに対応する予め定められた当初の横行方向Yにおける研削位置に対して横行位置補正量y分だけキャリッジ42を移動して研削砥石16の研削位置を補正する。
【0060】
研削位置オフセット手段132は、研削経路Rに平行な端縁Sc(すなわち走行方向Xに平行な端縁ScX)の研削加工に際して、平面Ssの研削加工時の補正(すなわち研削砥石16の揺動角度の補正及び研削砥石16の研削位置の補正)に加え、所定形状にてその端縁ScXが面取りされるように、砥石径Dに基づいて研削経路Rの垂直方向(横行方向Y)における研削砥石16の横行位置を平面Ssの外側方向へずらす。尚、研削経路Rに垂直な端縁Sc(すなわち横行方向Yに平行な端縁ScY)の研削加工の際は、上記オフセットは行わず、平面Ssの研削加工時の補正と同じ補正のみを行う。上記所定形状は、図11(d)の端縁ScX部の「A−A断面」形状に示すように、例えば端縁ScX部の研削角度が平面Ssに対して15度未満となるような予め定められた浅い面取り形状である。
【0061】
また、研削位置オフセット手段132は、予め定められて例えばROM114に記憶された関係としての次式(4)から砥石径Dに基づいてずらし量としてのオフセット量Δyを算出するオフセット量算出部すなわちオフセット量算出手段133を備えている。
Δy=(D/2)×sin15° [mm] ・・・(4)
【0062】
そして、研削位置オフセット手段132は、オフセット量算出手段133により算出されたオフセット量Δyに基づいて、横行駆動用サーボモータ46を作動させて研削砥石16の研削位置を移動させる。例えば、研削位置オフセット手段132は、横行方向Y後退側の端縁ScXの研削加工時には、研削位置補正手段130による研削砥石16の当初の研削位置に対する補正に加え、オフセット量−Δyに応じて横行駆動用サーボモータ46を駆動する指令をサーボモータ駆動制御回路102へ出力し、オフセット量Δy分だけキャリッジ42を横行方向Y後退側へ移動して研削砥石16の研削位置をオフセットする。一方、研削位置オフセット手段132は、横行方向Y前進側の端縁ScXの研削加工時には、研削位置補正手段130による研削砥石16の当初の研削位置に対する補正に加え、オフセット量+Δyに応じて横行駆動用サーボモータ46を駆動する指令をサーボモータ駆動制御回路102へ出力し、オフセット量Δy分だけキャリッジ42を横行方向Y前進側へ移動して研削砥石16の研削位置をオフセットする。
【0063】
研削制御手段122は、研削位置補正手段130により補正された研削位置や研削位置オフセット手段132によりオフセットされた研削位置において、すなわち当初の研削位置が補正されて結果的に予め定められた研削経路Rに対応する研削位置となる補正後の研削位置やその補正後の研削位置をオフセットした後の研削位置において、砥石斜角45度とした研削砥石16を研削経路Rや各端縁Scに沿って移動させるように走行駆動用モータ26及び横行駆動用サーボモータ46を駆動する指令をモータ駆動制御回路104及びサーボモータ駆動制御回路102へ出力し、スラブSの平面Ssに対して端縁Scを含む一面に研削加工を施す。
【0064】
平面研削における研削開始位置は、図11(a)に示すように、研削砥石16のスラブSへの食込み防止の為、例えば走行方向X右側端且つ横行方向Y後退側端付近である位置a、及び走行方向X左側端且つ横行方向Y前進側端付近である位置bの2カ所の何れかとし、横行方向Yの原点側に近くなる横行方向Y後退側にて最終の研削加工が完了する位置へ研削開始位置を位置決めする。例えば、平面研削加工の合計が偶数層の場合は研削開始位置を位置aへ位置決めし、平面研削加工の合計が奇数層の場合は研削開始位置を位置bへ位置決めする。また、2層目以降の折返し後の横行方向の送りピッチ幅は、図11(b)に示すように、研削砥石16のスラブSへの食込み防止の為、例えば折返し後の1ピッチ目は予め設定された送りピッチ幅pの半分すなわち送りピッチ幅(1/2)pとし、2ピッチ目からは元々の設定送りピッチ幅pとする。また、折返し手前での横行方向の送りピッチ幅は、図11(c)に示すように、研削砥石16のスラブSへの食込み防止の為、例えば折返し手前の研削方向が横行方向Y前進側では走行方向X左側から走行方向X右側への方向、横行方向Y後退側では走行方向X右側から走行方向X左側への方向の2パターンとなるように、層数毎に折返し位置までの残り量を判断して2.5ピッチ目前から送りピッチ幅を調整する。
【0065】
一方、コーナー研削における研削開始位置は、図11(d)に示すように、研削砥石16のスラブSへの食込み防止の為、例えば走行方向X右側端且つ横行方向Y後退側端位置、及び走行方向X左側端且つ横行方向Y前進側端位置の2カ所の何れかとし、研削砥石16の現在の位置が近い位置へ研削開始位置を位置決めする。また、研削順番は、例えば横行方向Yの一方の端縁ScYを研削加工後に走行方向Xの一方の端縁ScXを研削し、横行方向Yの他方の端縁ScYを研削加工後に走行方向Xの他方の端縁ScXを研削する。具体的には、図11(d)の実線矢印aに示すように走行方向X左側の端縁ScYを研削加工後、破線矢印aに示すようにその端縁ScYに沿って研削加工せずに折返し、実線矢印bに示すように横行方向Y前進側の端縁ScXを研削加工後、破線矢印bに示すようにその端縁ScXに沿って研削加工せずに折返す。その後、同様に、矢印c、dに示すように走行方向X右側の端縁ScY及び横行方向Y後退側の端縁ScXを研削加工する。尚、研削順番としては、上述した矢印a、b、c、dの順の他に、矢印c、d、a、bの順でも良い。
【0066】
ところで、スラブSの平面Ssには反りが現れている場合がある。このような場合に対応して、制御装置100には、研削制御手段122によるスラブSの研削加工に先立ってスラブSの反り検出を実行する反り検出部すなわち反り検出手段134が更に備えられても良い。上記スラブSの反りは、水平なスラブ置台14上にスラブSを載置し、回転している研削砥石16をスラブSの平面Ssに前記所定の研削荷重よりも小さな所定の反り検出用荷重で押し当てて走行方向Xに一定速度で相対移動させるとき、砥石上下位置用PG86を用いて検出されるスラブSの垂直位置の最低位置[mm]と最高位置[mm]との差[mm]として定義される。このように回転している研削砥石16がスラブSの平面Ssに接触してその反りを検出するための接触子として機能するものであり、上記所定の反り検出用荷重は反りを正確に検出する為の予め定められた研削目的の荷重よりも大幅に小さなスラブSに軽く接触する程度の荷重である。また、上記のように、研削砥石16を反り検出用荷重でスラブSの平面Ssに接触させつつスラブSの走行方向Xへ相対移動させる過程で検出される最低位置と最高位置との差で反りが算出されるので、その反りが研削砥石16の磨耗による径変化に影響されない利点がある。
【0067】
具体的には、反り検出手段134は、スラブSの平面Ssにおいて、回転している研削砥石16を予め設定された反り検出用荷重でそのスラブSの平面Ssに軽く押し当てて、その研削砥石16を複数本の研削経路Rのうちの所定の反り検出用研削経路例えば図11(a)に示すようなスラブSの研削経路R1に沿って予め設定された一定の送り速度で相対的に位置aから位置cまで送る。そして、反り検出手段134は、研削砥石16の垂直位置を砥石上下位置用PG86を用いて検出し、その垂直位置に基づいてスラブSの走行方向Xの反りを検出して例えば制御装置100のRAM112に記憶する。また、本実施例では、スラブSの反りは、研削砥石16の垂直位置と、走行用PG32によって得られる研削砥石16の走行方向Xの走行位置とに基づく2次元の座標情報として得られる。
【0068】
研削制御手段122は、例えばROM114に予め記憶されている関係(マップ)、すなわち図12に示すような各研削条件の値の相互関係を幾つかの区分ごとにまとめた複数組の表すなわち研削条件テーブルから、反り検出手段134にて得られた反りに基づいて研削砥石16の研削速度を決定する。そして、研削制御手段122は、その決定した研削速度、入力操作装置を介して予め設定された研削加工時の取代、及び不図示の温度計にて測定されたスラブSの温度に基づいて研削荷重(研削負荷)、研削砥石16の送りピッチ幅p、及び研削砥石16により研削される層数を決定する。
【0069】
上記研削条件テーブルは、予め設定された取代が研削砥石16の周速、平面Ssの反り、スラブSの温度の各条件下で、確実に且つ能率良く研削されるように予め実験的に求められたものである。研削砥石16の研削速度とは、スラブSの平面Ssに研削加工を施す際のすなわち回転する研削砥石16をスラブSの平面Ssに押し当てつつ研削砥石16を前記複数本の研削経路Rに沿って直線的に相対移動させる際の、研削砥石16の移動速度のことである。また、研削砥石16の送りピッチ幅pとは、前記複数本の研削経路Rにおいて隣接する研削経路の走行方向Xに直行する方向の相互間隔距離のことである。また、上記「反りに基づいて」とは、例えば反り検出手段134により検出されたスラブSの垂直位置の最低位置[mm]と最高位置[mm]との差[mm]の大きさに基づくことを意味する。また、研削制御手段122において用いられる所定の研削荷重は、例えば良好な研削面が得られる為の予め実験的に求められて記憶された関係から、研削砥石16による研削の取代、スラブSの温度、研削砥石16の研削速度、研削砥石16の送りピッチ幅p、及び研削砥石16により研削される層数の少なくとも1つに基づいて決定される研削目的の荷重である。
【0070】
図10に戻り、各種動作完了判定部すなわち各種動作完了判定手段136は、上述した各種手段による各種動作が各々完了したか否かを判定する。例えば、各種動作完了判定手段136は、事前動作制御手段120によるスラブSの測長動作の為の走行台車22の走行方向X左側から右側への移動作動に基づいて、スラブSの測長動作が完了したか否かを判定する。また、各種動作完了判定手段136は、砥石上昇端スイッチ87による砥石上昇端の検出信号に基づいて当接位置制御手段126により研削砥石16が砥石上昇端に位置させられているか否かを判定する。また、各種動作完了判定手段136は、揺動角度補正手段128よる揺動角度の補正動作の為の油圧制御回路108への指令出力、及び研削位置補正手段130による走行位置(X)及び横行位置(Y)の補正動作の為のモータ駆動制御回路104及びサーボモータ駆動制御回路102への指令出力に基づいて、研削加工の際の補正動作が何れも完了したか否かを判定する。また、各種動作完了判定手段136は、反り検出手段134による反り検出動作の為の研削経路R1上における位置aから位置cまでの研削砥石16の送り作動に基づいて、スラブSの反り検出動作が完了したか否かを判定する。また、各種動作完了判定手段136は、研削制御手段122によるスラブSの研削加工の為のモータ駆動制御回路104及びサーボモータ駆動制御回路102への指令出力に基づいて、スラブSの平面Ssに対して端縁Scを含む一面に施す研削加工動作が完了したか否かを判定する。
【0071】
図13及び図14は、制御装置100による制御作動の要部すなわち45度研削を採用する場合にスラブSの平面Ssに対して端縁Scを含む一面全体を均一に研削する為の制御作動を説明するフローチャートであり、スラブSの自動研削加工毎に繰り返し実行される。また、この制御作動は、45度研削を採用する場合にスラブSの平面Ssに対して端縁Scを含む一面全体を均一に研削することができるスラブ研削方法を実行する為のものでもある。また、図14は上記制御作動のメインルーチンであり、図13は図14のメインルーチンの一部すなわち研削砥石16の揺動補正に関する部分を構成するサブルーチンである。
【0072】
図13において、先ず、各種動作完了判定手段136に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S31において、例えば砥石上昇端スイッチ87による砥石上昇端の検出信号に基づいて研削砥石16が砥石上昇端に位置させられているか否かが判定される。このS31の判断が否定される場合は当接位置制御手段126に対応するS32において、押圧用サーボシリンダ58のシリンダロッド60を後退させる指令がサーボシリンダ駆動制御回路106へ出力され、研削砥石16が第2軸52bまわりに押圧方向Z上側へ回転移動させられることにより研削砥石16が砥石上昇端に位置させられる。このS32が実行された後、上記S31が再び実行される。このS31の判断が肯定される場合は揺動角度補正量算出手段129に対応するS33において、前記式(1)からスラブ厚みTと砥石径Dとに基づいて平面Ssに対して研削砥石16の回転軸心Cgが平行とされるように揺動角度補正量Pが算出される。次いで、研削位置補正量算出手段131に対応するS34において、前記式(2)からスラブ厚みTと砥石径Dとに基づいて走行位置補正量xが算出される。次いで、研削位置補正量算出手段131に対応するS35において、前記式(3)からスラブ厚みTと砥石径Dとに基づいて横行位置補正量yが算出される。
【0073】
次いで、揺動角度補正手段128に対応するS36において、上記S33にて算出された揺動角度補正量Pに基づいて、揺動用油圧シリンダ94のシリンダロッド96の長さが制御されて研削砥石16が第3軸心C3まわりに揺動させられる。このS36を具体的に説明すると、先ず、S36aにおいて上記S33にて算出された揺動角度補正量Pの正負が判断される。このS36aにて揺動角度補正量Pが正(+)の値であると判断された場合はS36bにおいて、揺動角度補正量Pに応じて揺動用油圧シリンダ94のシリンダロッド96を後退させる指令が油圧制御回路108へ出力され、研削砥石16が揺動方向F左回りへ揺動させられて研削砥石16の回転軸心Cgが平面Ssに対して平行とされるように研削砥石16の揺動角度が補正される。一方で、このS36aにて揺動角度補正量Pが負(−)の値であると判断された場合はS36cにおいて、揺動角度補正量Pに応じて揺動用油圧シリンダ94のシリンダロッド96を前進させる指令が油圧制御回路108へ出力され、研削砥石16が揺動方向F右回りへ揺動させられて研削砥石16の回転軸心Cgが平面Ssに対して平行とされるように研削砥石16の揺動角度が補正される。
【0074】
次いで、研削位置補正手段130に対応するS37において、上記S34にて算出された走行位置補正量xに応じて走行駆動用モータ26を駆動する指令がモータ駆動制御回路104へ出力され、研削経路Rに対応する当初の走行方向Xにおける研削位置に対して走行位置補正量x分だけ走行台車22が移動させられて研削砥石16の研削位置が補正される。次いで、同じく研削位置補正手段130に対応するS38において、上記S35にて算出された横行位置補正量yに応じて横行駆動用サーボモータ46を駆動する指令がサーボモータ駆動制御回路102へ出力され、研削経路Rに対応する当初の横行方向Yにおける研削位置に対して横行位置補正量y分だけキャリッジ42が移動させられて研削砥石16の研削位置が補正される。つまり、上記S37及びS38において、走行位置(X)及び横行位置(Y)によって定まる研削砥石16の当初の研削位置が結果的に予め定められた研削経路Rに対応する研削位置となるように補正される。次いで、各種動作完了判定手段136に対応するS39において、上記S36にて実行される揺動角度の補正動作の為の油圧制御回路108への指令出力、及び上記S37及びS38にて実行される走行位置(X)及び横行位置(Y)の補正動作の為のモータ駆動制御回路104及びサーボモータ駆動制御回路102への指令出力に基づいて、研削加工の際の補正動作が何れも完了したか否かが判定される。このS39の判断が否定される場合は肯定されるまで繰り返し実行されるが、S39の判断が肯定される場合は図14のメインルーチンへ戻される。
【0075】
図14において、先ず、事前動作制御手段120に対応するS10において、一対のセンサ収納箱62(一対のスラブ長手端検出センサ64、後退側測長センサ66、前進側測長センサ68)の間がスラブSの走行方向X左側端から右側端へ移動させられるように走行台車22が走行方向X左側から右側へ移動させられ、走行用PG32の電気的なパルス信号に応じた走行位置に基づいてスラブSの走行方向Xの載置位置が検出されると共にスラブSの走行方向Xの長さが測定され、また後退側測長センサ66及び前進側測長センサ68からの信号に応じたスラブSの各側面までの距離に基づいてスラブSの横行方向Yの載置位置が検出されると共にスラブSの横行方向Yの長さが測定される。次いで、斜角制御手段124に対応するS20において、斜角用油圧シリンダ76fへ走行方向X右側から作動油を供給する指令が油圧制御回路108へ出力され、ラックピストン76kが走行方向X左側へ移動させられて研削砥石16が砥石斜角45度に位置させられる。この際、ロック用油圧シリンダ76gへ作動油を供給する指令が油圧制御回路108へ出力され、一対の斜角45度ロック用切欠76oにロックキー76mが進入させられて研削砥石16が第1軸心C1まわりに回転不能に固定される。次いで、前記図13のサブルーチン(S31乃至S39)に対応するS30において、研削加工の際の補正すなわち研削砥石16の揺動角度の補正及び研削位置の補正が実行される。次いで、各種動作完了判定手段136に対応するS40において、S10にて実行されるスラブSの測長動作の為の走行台車22の走行方向X左側から右側への移動作動に基づいてスラブSの測長動作が完了したか否かが判定される。
【0076】
上記S40の判断が否定される場合は肯定されるまで繰り返し実行されるが、S40の判断が肯定される場合は反り検出手段134に対応するS50において、スラブSの研削加工に先立ち、回転している研削砥石16が研削目的の所定の研削荷重よりも大幅に小さなスラブSに軽く接触する程度の所定の反り検出用荷重にてスラブSの平面Ssに軽く押し当てられつつスラブSの研削経路R1に沿って位置aから位置cまで送られ、砥石上下位置用PG86を用いて検出される研削砥石16の垂直位置に基づいてスラブSの走行方向Xの反りが検出される。次いで、各種動作完了判定手段136に対応するS60において、上記S50にて実行される反り検出動作の為の研削経路R1上における位置aから位置cまでの研削砥石16の送り作動に基づいてスラブSの反り検出動作が完了したか否かが判定される。
【0077】
上記S60の判断が否定される場合は肯定されるまで繰り返し実行されるが、S60の判断が肯定される場合は研削制御手段122に対応するS70において、上記S30にて補正された補正後の研削位置にて、砥石斜角45度とした研削砥石16が研削経路Rに沿って移動させられるように走行駆動用モータ26及び横行駆動用サーボモータ46を駆動する指令がモータ駆動制御回路104及びサーボモータ駆動制御回路102へ出力され、例えば図11(a)〜(c)に示すように、スラブSの平面Ssの一面全体に研削加工が実行される。
【0078】
次いで、オフセット量算出手段133、研削位置オフセット手段132、及び研削制御手段122に対応するS80において、前記式(4)から砥石径Dに基づいてオフセット量Δyが算出される。横行方向Y後退側の端縁ScXの研削加工時には、オフセット量−Δyに応じて横行駆動用サーボモータ46を駆動する指令がサーボモータ駆動制御回路102へ出力され、オフセット量Δy分だけキャリッジ42が横行方向Y後退側へ移動させられて上記S30にて補正された補正後の研削砥石16の研削位置(すなわち平面Ssの研削加工時の研削位置)がオフセットされる。一方、横行方向Y前進側の端縁ScXの研削加工時には、オフセット量+Δyに応じて横行駆動用サーボモータ46を駆動する指令がサーボモータ駆動制御回路102へ出力され、オフセット量Δy分だけキャリッジ42が横行方向Y前進側へ移動させられて上記S30にて補正された平面Ssの研削加工時の研削位置がオフセットされる。尚、端縁ScYの研削加工時には、上記S30にて補正された平面Ssの研削加工時の研削位置がオフセットされない。そして、上記S30にて補正された補正後の研削位置やその補正後の研削位置を上記オフセットした後の研削位置にて、砥石斜角45度とした研削砥石16が各端縁Scに沿って移動させられるように走行駆動用モータ26及び横行駆動用サーボモータ46を駆動する指令がモータ駆動制御回路104及びサーボモータ駆動制御回路102へ出力され、例えば図11(d)に示す矢印a、b、c、d(或いは矢印c、d、a、b)の研削順で、スラブSの平面Ssの端縁Scに研削加工が実行される。次いで、各種動作完了判定手段136に対応するS90において、上記S70及びS80にて実行されるスラブSの平面研削動作及びコーナー研削動作の為のモータ駆動制御回路104及びサーボモータ駆動制御回路102への指令出力に基づいてスラブSの平面Ssに対して端縁Scを含む一面に施す研削加工動作が完了したか否かが判定される。
【0079】
上記S90の判断が否定される場合は肯定されるまで繰り返し実行されるが、S90の判断が肯定される場合は事前動作制御手段120、斜角制御手段124、及び当接位置制御手段126に対応するS100において、次回のスラブSの研削加工に備える研削加工前の事前動作として、研削砥石16が砥石斜角90度に位置させられ且つキャリッジ42が所定の横行位置へ移動させられると共に一対の砥石径検出センサ70の間を横切るように研削砥石16が押圧方向Zに移動させられ、研削砥石16が一対の砥石径検出センサ70の間を横切る際の横切り開始から横切り終了までの砥石上下位置用PG86の電気的なパルス信号に応じた垂直位置に基づいて砥石径Dが測定される。
【0080】
本実施例では、制御装置100によって行われる上記一連の制御作動の各ステップに対応する当接位置制御手段126、揺動角度補正手段128、研削位置補正手段130、研削位置オフセット手段132等の各手段は、当接位置制御工程、揺動角度補正工程、研削位置補正工程、研削位置オフセット工程等の各工程にそれぞれ対応している。
【0081】
上述のように、本実施例によれば、スラブSの平面Ssの研削加工に際して、斜角制御手段124により第1軸心C1まわりに研削砥石16の回転軸心Cgが所定の角度分移動させられて研削砥石16が砥石斜角45度に位置させられる場合に、当接位置制御手段126により研削方向(走行方向X)に平行且つ平面Ssからの垂直方向距離が一定な第2軸心C2まわりに第1軸心C1と共に研削砥石16が回転させられてスラブSの平面Ssに対して研削砥石16が当接させられると、研削砥石16が平面Ssに接する位置によっては平面Ssに対する研削砥石16の外周面の当たり面角度に傾きが生じたり接する位置によってその傾きが異なる可能性があることに対して、揺動角度補正手段128によりスラブ厚みTと砥石径Dとに基づいて研削方向(走行方向X)及び第1軸心C1に垂直な第3軸心C3まわりに第1軸心C1と共に研削砥石16が揺動させられて平面Ssに対して研削砥石16の回転軸心Cgが平行となるように第3軸心C3まわりの研削砥石16の揺動角度が補正されるので、平面Ssに対する研削砥石16の外周面の当たり面角度に傾きが生じ難くなる。従って、研削砥石16とスラブSとの当たり方が常に一定に保たれ易くなり、平面Ssの面全体を均一に研削することが可能になる。また、研削砥石16の外周面の減り方を均一にすることが可能になる。このように、スイング式のスラブ研削装置10において例えば45度研削を採用する場合であっても、スラブSの平面Ssの面全体を均一に研削することができる。
【0082】
また、研削砥石16の揺動角度補正が自動で行われることにより、例えばスラブ研削装置10の操作者(運転者)が手動運転にて目視確認しながら揺動角度補正を行って研削加工することなく(すなわち人が介入することなく)自動でスラブSの平面Ssの手入れが行える。よって、一人で複数台のスラブ研削装置10の操作が可能になり、例えば運転者はモニタ等で監視するだけで良くなる。更に、自動手入れによる均一な平面研削が得られ、例えば後工程の圧延にて製品の品質向上が計れる。
【0083】
また、本実施例によれば、揺動角度補正手段128による研削砥石16の揺動角度補正に伴って研削方向(走行方向X)及び研削経路Rの垂直方向(横行方向Y)における研削砥石16のそれぞれの位置(すなわち平面Ss上における走行位置(X)及び横行位置(Y)にて定まる研削砥石16の研削位置)がずれる可能性があることに対して、揺動角度補正手段128により研削砥石16の揺動角度が補正される際には、研削位置補正手段130により研削砥石16が研削経路R上を移動させられるようにスラブ厚みTと砥石径Dとに基づいて研削砥石16の研削位置が補正されるので、平面Ssの面全体を一層均一に研削することが可能になる。また、研削砥石16の研削位置補正が自動で行われることにより、例えばスラブ研削装置10の操作者(運転者)が手動運転にて目視確認しながら位置補正を行って研削加工することなく(すなわち人が介入することなく)自動でスラブSの平面Ssの手入れが行える。よって、一人で複数台のスラブ研削装置10の操作が可能になり、例えば運転者はモニタ等で監視するだけで良くなる。更に、自動手入れによる一層均一な平面研削が得られ、例えば後工程の圧延にて製品の品質向上が計れる。
【0084】
また、本実施例によれば、揺動角度補正手段128は、予め定められた関係(前記式(1))からスラブ厚みTと砥石径Dとに基づいて揺動角度補正量Pを算出し、研削砥石16の揺動角度補正を行うので、揺動角度補正手段128による研削砥石16の揺動角度補正が適切に行われる。また、研削位置補正手段130は、予め定められた関係(前記式(2)及び式(3))からスラブ厚みTと砥石径Dとに基づいて走行位置補正量x及び横行位置補正量yを算出し、研削砥石16の研削位置補正を行うので、研削位置補正手段130による研削砥石16の研削位置補正が適切に行われる。
【0085】
また、本実施例によれば、研削経路Rに平行な端縁Sc(すなわち走行方向Xに平行な端縁ScX)の研削加工に際して、平面Ssの研削加工時の補正(すなわち研削砥石16の揺動角度の補正及び研削砥石16の研削位置の補正)に加え、研削位置オフセット手段132により所定形状にてその端縁ScXが面取りされるように砥石径Dに基づいて研削経路Rの垂直方向(横行方向Y)における研削砥石16の横行位置(Y)が平面Ssの外側方向へずらされるので、端縁Scを均一に研削することが可能になる。また、研削砥石16の揺動角度補正と研削位置補正が自動で行われることにより、例えば人が介入することなく自動で端縁Scの手入れが行える。よって、一人で複数台のスラブ研削装置10の操作が可能になり、例えば運転者はモニタ等で監視するだけで良くなる。更に、自動手入れによる均一なコーナー研削が得られ、例えば後工程の圧延にて製品の品質向上が計れる。
【0086】
また、本実施例によれば、研削位置オフセット手段132は、予め定められた関係(前記式(4))から砥石径Dに基づいてオフセット量Δyを算出し、端縁ScXの研削加工に際して研削砥石16の位置ずらしを行うので、研削位置オフセット手段132による研削砥石16の位置ずらしが適切に行われる。
【0087】
また、本実施例によれば、制御装置100に備えられた各手段に対応する各工程により実現されるスラブ研削装置10におけるスラブ研削方法においても、上記同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0088】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0089】
例えば、前述の実施例では、斜角制御手段124により研削砥石16が砥石斜角45度と砥石斜角90度とに選択的に位置させられ、砥石斜角45度にてスラブSの研削加工が行われたが、研削砥石16が砥石斜角45度にのみ位置させられるスイング式のスラブ研削装置においてスラブSの研削加工が行われても良い。このような、スラブ研削装置であっても本発明は適用され得る。また、このような場合には、研削方向(走行方向X)に対する研削砥石16の角度変更に関する機構・装置(例えばセクタギア76lや斜角装置として機能する斜角用油圧シリンダ76f)や制御装置(例えば斜角制御手段124)や制御工程(図14のS20)は備えられる必要はない。また、砥石径Dは砥石斜角45度にて砥石斜角90度の場合と同様に、研削砥石16が砥石径検出センサ70の間を横切る際の砥石上下位置用PG86の電気的なパルス信号に応じた垂直位置に基づいて測定される。また、砥石径Dは、砥石径検出センサ70を用いる以外に、例えば砥石上下位置用PG86を用いて測定しても良い。また、第1軸心C1まわりに研削砥石16の回転軸心Cgを所定角度θ分回転させる態様として研削砥石16を砥石斜角45度に位置させることを例示したが、所定角度θは必ずしも45度でなくとも良く、砥石斜角90度とする場合と比較して研削加工後の平面Ss全体がより平らに研削される角度であれば良い。研削砥石16が砥石斜角45度でなくても回転軸心Cgを所定角度θ分回転させると、研削加工時に回転軸心Cgが平面Ssと平行になり難いという問題が生じることから、砥石斜角45度のときと同様に、本発明が適用されて揺動角度が補正される。
【0090】
また、前述の実施例の各式(1)〜(4)における各項の数値は、スラブ厚みTが「250mm」、砥石径Dが「φ760mm」であるときに研削砥石16の回転軸心Cgを平面Ssに対して平行にする揺動角度補正量Pを基準にしたときの一例であり、基本となるスラブ厚みTや砥石径Dに応じて予め求められるものである。
【0091】
また、前述の実施例では、鋼片としてスラブSを例示し、鋼片研削装置としてスラブ研削装置10を例示したが、ビレット等の他の鋼片であっても本発明は適用され得る。また、スラブ研削装置10はスラブ置台14に載置される2つのスラブSに順次研削加工を施すものであったが、スラブ置台14には1つのスラブSのみが載置されるものであっても良いし、3個以上が載置されるものであっても良い。このようにしても本発明は適用され得る。
【0092】
また、前述の実施例では、研削砥石16は砥石保持部78により同軸心に並列に2個狭持されていたが、これに限らず、例えば1個のみが狭持されるものでも良いし、3個以上が狭持されるものでも良い。このようにしても本発明は適用され得る。
【0093】
また、前述の実施例では、スラブ厚みTは入力操作装置36を介して予め入力されているものであったが、これに限らず、例えばスラブSを挟むようにスラブSの厚み方向(押圧方向Z)に移動する一対の光電センサと押圧方向Zの移動量を検出するPG(パルスジェネレータ)とによりスラブ厚みTを測定するようにしても良い。
【0094】
また、前述の実施例では、前記「反りに基づいて」とは、例えば反り検出手段134にて検出されたスラブSの垂直位置を基に算出した押圧方向Zの最低位置[mm]と最高位置[mm]との差[mm]の大きさに基づくことを意味するとされていたが、その検出されたスラブSの垂直位置等を基に別の算出基準により求めた値に基づいてもよい。例えば、スラブSの走行方向Xの勾配の大きさ、或いはスラブSの走行方向Xの長さに対するスラブSの走行方向Xの表面に沿う長さの割合などに基づいてもよい。
【0095】
また、前述の実施例では、図12に示すような関係において前記「予め記憶されている」とは、例えば前記関係を幾つかの区分ごとにまとめた表すなわち研削条件テーブルすなわちマップの形で複数組予め記憶されていることを意味するとされていたが、例えば計算式の形で予め記憶されていてもよい。
【0096】
また、前述の実施例では、反り検出手段134にて検出した反りは研削経路R1に沿って倣う研削砥石16の垂直位置に基づいて検出されていたが、これに限らず、例えば研削経路R1以外の他の研削経路Rの何れかに沿って倣う研削砥石16の垂直位置に基づいて検出されてもよい。
【0097】
また、前述の実施例では、スラブSの平面Ss及び端縁Scに研削加工が施されたが、これに限らず、例えばスラブSの平面Ssのみに研削加工が施されてもよい。
【0098】
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0099】
10:スラブ研削装置(鋼片研削装置)
16:研削砥石
42:キャリッジ(台車)
50:砥石駆動装置
52:ブーム(支持台)
52b:第2軸
58:押圧用サーボシリンダ(押圧装置)
74c:第3軸
76c:第1軸
78b:砥石支持軸
94:揺動用油圧シリンダ(揺動装置)
100:制御装置
126:当接位置制御手段(当接位置制御工程)
128:揺動角度補正手段(揺動角度補正工程)
130:研削位置補正手段(研削位置補正工程)
132:研削位置オフセット手段(研削位置オフセット工程)
C1:第1軸心
C2:第2軸心
C3:第3軸心
Cg:研削砥石の回転軸心
R:研削経路
S:スラブ
Ss:平面(被研削面)
Sc:端縁
ScX:研削経路に平行な端縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼片の被研削面に平行な回転軸心が該被研削面に対する所定の研削方向に対して該回転軸心に垂直な第1軸心まわりに所定角度分傾いた状態にて、該回転軸心まわりに回転する研削砥石を該被研削面に押し当てつつ該研削方向に平行な該被研削面上の1つの研削経路に沿って直線的に相対移動させ、次いで該研削経路に平行な他の研削経路に沿って相対移動させることを順次行うことにより、該被研削面に研削加工を施す鋼片研削方法であって、
前記鋼片の被研削面の研削加工に際して、
前記研削方向に平行且つ前記被研削面からの垂直方向距離が一定な第2軸心まわりに前記第1軸心と共に前記研削砥石を回転させることにより、前記被研削面に対して前記研削砥石を当接させる当接位置制御工程と、
前記鋼片の厚みと前記研削砥石の径とに基づいて前記研削方向及び前記第1軸心に垂直な第3軸心まわりに前記第1軸心と共に前記研削砥石を揺動させることにより、前記被研削面に対して前記研削砥石の回転軸心が平行となるように前記第3軸心まわりの前記研削砥石の揺動角度を補正する揺動角度補正工程と
を、含むことを特徴とする鋼片研削方法。
【請求項2】
前記揺動角度補正工程において前記研削砥石の揺動角度が補正される際には、前記研削砥石が前記研削経路上を移動させられるように、前記鋼片の厚みと前記研削砥石の径とに基づいて前記研削方向及び前記研削経路の垂直方向における前記研削砥石のそれぞれの位置を補正する研削位置補正工程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の鋼片研削方法。
【請求項3】
前記揺動角度補正工程及び前記研削位置補正工程では、各々予め定められた関係から前記鋼片の厚みと前記研削砥石の径とに基づいて各々補正量を算出し、前記研削砥石の揺動角度補正及び前記研削砥石の位置補正を行うことを特徴とする請求項2に記載の鋼片研削方法。
【請求項4】
前記鋼片の被研削面に研削加工を施すことに加えて、該被研削面の端縁に研削加工を施すものであり、
前記研削経路に平行な前記端縁の研削加工に際して、前記被研削面の研削加工時の補正に加え、所定形状にて前記端縁が面取りされるように、前記研削砥石の径に基づいて前記研削経路の垂直方向における前記研削砥石の位置を前記被研削面の外側方向へずらす研削位置オフセット工程を更に含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の鋼片研削方法。
【請求項5】
前記研削位置オフセット工程では、予め定められた関係から前記研削砥石の径に基づいてずらし量を算出し、前記研削砥石の位置ずらしを行うことを特徴とする請求項4に記載の鋼片研削方法。
【請求項6】
鋼片の被研削面に平行な回転軸心が該被研削面に対する所定の研削方向に対して該回転軸心に垂直な第1軸心まわりに所定角度分傾いた状態にて、該回転軸心まわりに回転する研削砥石を該被研削面に押し当てつつ該研削方向に平行な該被研削面上の1つの研削経路に沿って直線的に相対移動させ、次いで該研削経路に平行な他の研削経路に沿って相対移動させることを順次行うことにより、該被研削面に研削加工を施す鋼片研削装置の制御装置であって、
前記鋼片研削装置は、
前記被研削面と平行な面内で移動可能に設けられた台車と、
第3軸心を有する第3軸と該第3軸心に垂直な前記第1軸心を有する第1軸と該第1軸心に垂直な前記回転軸心を有する砥石支持軸とを順次介して前記研削砥石を回転駆動する砥石駆動装置と、
前記研削方向に平行且つ前記被研削面からの垂直方向距離が一定の第2軸心まわりに回転可能に前記台車に設けられ、前記第3軸が前記研削方向と垂直となるように前記砥石駆動装置を支持する支持台と、
前記研削砥石が所定の荷重で前記鋼片に押圧されるように前記砥石駆動装置を前記第2軸心まわりに回転させる押圧装置と、
前記第3軸心まわりに前記第1軸と共に前記研削砥石を揺動させる揺動装置とを備え、
前記鋼片の被研削面の研削加工に際して、
前記第2軸心まわりに前記第1軸心と共に前記研削砥石を回転させることにより、前記被研削面に対して前記研削砥石を当接させる当接位置制御手段と、
前記鋼片の厚みと前記研削砥石の径とに基づいて第3軸心まわりに前記第1軸心と共に前記研削砥石を揺動させることにより、前記被研削面に対して前記研削砥石の回転軸心が平行となるように前記第3軸心まわりの前記研削砥石の揺動角度を補正する揺動角度補正手段と
を、含むことを特徴とする鋼片研削装置の制御装置。
【請求項7】
前記揺動角度補正手段により前記研削砥石の揺動角度が補正される際には、前記研削砥石が前記研削経路上を移動させられるように、前記鋼片の厚みと前記研削砥石の径とに基づいて前記研削方向及び前記研削経路の垂直方向における前記研削砥石のそれぞれの位置を補正する研削位置補正手段を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の鋼片研削装置の制御装置。
【請求項8】
前記揺動角度補正手段及び前記研削位置補正手段は、各々予め定められた関係から前記鋼片の厚みと前記研削砥石の径とに基づいて各々補正量を算出し、前記研削砥石の揺動角度補正及び前記研削砥石の位置補正を行うことを特徴とする請求項7に記載の鋼片研削装置の制御装置。
【請求項9】
前記鋼片の被研削面に研削加工を施すことに加えて、該被研削面の端縁に研削加工を施すものであり、
前記研削経路に平行な前記端縁の研削加工に際して、前記被研削面の研削加工時の補正に加え、所定形状にて前記端縁が面取りされるように、前記研削砥石の径に基づいて前記研削経路の垂直方向における前記研削砥石の位置を前記被研削面の外側方向へずらす研削位置オフセット手段を更に含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の鋼片研削装置の制御装置。
【請求項10】
前記研削位置オフセット手段は、予め定められた関係から前記研削砥石の径に基づいてずらし量を算出し、前記研削砥石の位置ずらしを行うことを特徴とする請求項9に記載の鋼片研削装置の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−235377(P2011−235377A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107628(P2010−107628)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(000004293)株式会社ノリタケカンパニーリミテド (449)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】