説明

鍵管理装置

【課題】複数人の利用者に、利用者1人につき、1本または複数の鍵を貸し出すことができ、各利用者の鍵貸出・返却の履歴を記録できる鍵管理装置の提供。
【解決手段】
鍵管理装置Aは、差込穴11、ピンスイッチ12、LED13、ループコイル14、RFID受信部15、およびソレノイド16を複数組に配置し、制御部18が主制御部4との間で情報通信を行うタグスロット1と、電磁ロック25を備え前面開口21に扉24を取り付けたハウジング本体22と、ハウジング本体22に配設される操作パネル3と、マイクロコンピュータ41を有する主制御部4とを備え、固有IDを書き込んだRFID51をタグ内部に埋設し鍵52をタグ5に取り付けている。この鍵管理装置Aは、複数人の利用者に、利用者1人につき、1本または複数の鍵52を貸し出すことができ、且つ、各利用者の鍵貸出・返却の履歴がメモリ42に記録されるため、管理者は、各利用者の鍵の貸出しや、鍵の返却状態を詳細に把握することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会社等において、鍵を使って社員が所定の部屋(所定エリア)へ出入りする場合に好適な、鍵の貸出・返却を管理する鍵管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鍵を鍵ホルダにリングで連結し、指紋認証で、扉のフックおよび回転フックのロック解除を行う鍵管理装置が開示されている。
特許文献2には、固有の識別コードを電気回路チップを鍵に埋設し、非接触で識別コードを読み取って鍵管理を行う鍵管理装置が開示されている。
特許文献3には、非接触ICカードを用いて本人確認を行う電子機器制御方法が開示されている。
特許文献4には、鍵ホルダに接触式ICチップを取り付け、操作パネルで本人認証を行って扉を開ける構造の保管庫用ユニットが開示されている。
【特許文献1】特開2002−30836号公報
【特許文献2】特開2001−182388号公報
【特許文献3】特開2004−54305号公報
【特許文献4】特開2008−13332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の鍵管理装置は、1人の指紋に対して1個の鍵が対応する構成であるので、1人に複数の鍵を貸し出すことができない。また、鍵を返却する挿入位置が決まっているので、誤った位置に挿入すると、ホルダ保持部が破損したり、管理装置が誤作動する。
特許文献2の鍵管理装置は、鍵貸出者がどの鍵でも持ち出すことができてしまうので、誤った鍵を持ち出すおそれがある。また、鍵のつまみ部にカバーを取り付けるため、鍵の使い勝手が悪くなる。
特許文献3の技術は、非接触ICカードを用いる場合、アンテナ部を、近接して多数、設置すると、混信して誤作動する。
特許文献4の保管庫用ユニットは、鍵ホルダの電極が露出しているので、接触式ICチップが静電気等で破壊し易いとともに、接点にゴミ等が付着して接触不良を起こし易い。また、鍵ホルダを挿入する収納凹部が決まっているため、誤った収納凹部に返却すると、保管庫用ユニットが誤作動するため使い勝手が悪い。
【0004】
本発明の目的は、複数人の利用者に、利用者1人につき、1本または複数の鍵を貸し出すことができ、各利用者の鍵貸出・返却の履歴を記録できる鍵管理装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔請求項1について〕
鍵管理装置は、タグスロットと、ハウジングと、操作パネルと、マイクロコンピュータとを備える。
【0006】
タグスロットは、板状のタグを差し込むための差込穴と、穴奥に位置して前方へ付勢されるピンがタグ差込によって押圧されると接点が閉成するピンスイッチと、タグ抜取の可・待機・不可を報知するための報知ランプと、RFIDのデータ読取用のループコイルと、RFIDリーダーと、タグ抜取の可・不可を切り替えるソレノイドとを複数組、備えている。
所定エリアへ入室できる鍵を取り付けたタグは、固有IDを書き込んだRFIDをタグ内部に埋設している。
【0007】
ハウジングは、前面開口を有し、タグスロットを内蔵するハウジング本体と、窓を有しハウジング本体の前面開口に回動可能に取り付けられる扉と、扉の開錠・施錠を行う電磁ロックとを備える。
操作パネルは、初期設定操作、鍵貸出操作、鍵返却操作、および暗証番号の入力を行うための複数のキーと、利用者IDを書き込んだデータチップを埋設した非接触ICカードからデータを読み取るためのループアンテナと、ICカードリーダーと、動作状態を表示する表示器とを備え、窓から目視して操作できる様にハウジングに配設される。
マイクロコンピュータは、操作パネルのキー操作、スイッチの接点状態、およびID読取内容に基づいて、RFIDリーダー、タグリーダー、電磁ロック、報知ランプ、ソレノイド、および表示器を制御する。
【0008】
つぎに、この鍵管理装置の使用方法を説明する。
鍵管理装置を管理する管理者は、操作パネルを操作して初期設定操作(暗証番号の登録、タグと非接触ICカードとの関連付け等)を行う。
鍵を取り付けた複数のタグを各差込穴に差し込む。
タグがどの差込穴に差し込まれているかは、RFIDリーダーがRFIDからIDを読み取り、読み取ったIDと差込穴位置とをマイクロコンピュータが関連づけて行う。
【0009】
利用者が鍵を持ち出す場合には、操作パネルのキーで鍵貸出操作を行ってから非接触ICカードをループアンテナに近接させる。
ICカードリーダーがデータチップから利用者IDを読み取って利用者登録されているか否かをマイクロコンピュータが判別(利用者判別)し、登録されている利用者であると判別されると、電磁ロックを解除(扉の開錠を指示)する。
【0010】
そして、マイクロコンピュータは、判別した利用者IDでタグ抜取が許可される固有IDが読み取れるタグが差し込まれている差込穴の内、優先順位が最も高いものを抜取可とし、抜取可(1つ)、抜取待機、および抜取不可にする旨を報知ランプで報知する。
【0011】
利用者が操作パネルのキーで再度、鍵貸出操作を行って、該当する差込穴のソレノイドが抜取可になると、前方へ付勢されるピンにより、その差込穴に差し込まれているタグが前方に押し出される。そして、マイクロコンピュータが、差込穴の内、優先順位が次に高いものを抜取可にし、抜取可(1つ)、抜取待機、および抜取不可にする旨を報知ランプで報知する。
利用者が、前方に押し出されたタグを抜き取って扉を締めると、マイクロコンピュータが電磁ロックを作動させて施錠する。
【0012】
利用者が鍵を返す場合には、操作パネルのキーで鍵返却操作を行ってから非接触ICカードをループアンテナに近接させる。
鍵を取り付けたタグがどの差込穴に返却されたかは、返却によるピンスイッチの接点閉成に基づいて、RFIDリーダーがRFIDからIDを読み取り、差込穴位置と読み取ったIDとをマイクロコンピュータが関連づけることにより行う。
【0013】
鍵を取り付けたタグを差し込んで利用者が扉を締めると、マイクロコンピュータが電磁ロックを作動させて施錠する。
マイクロコンピュータは、差込穴に対する差込・抜取を行ったタグの利用者ID毎の鍵貸出・返却の履歴をメモリに記録する。
【0014】
鍵管理装置は、複数人の利用者に、利用者1人につき、1本または複数の鍵を貸し出すことができ、各利用者の鍵貸出・返却の履歴をメモリに記録することができるため、管理者は、各利用者の鍵貸出し返却状態を詳細に把握することができる。
鍵管理装置は、差込穴位置と読み取ったIDとをマイクロコンピュータが関連づけるため、鍵を取り付けたタグを返す場合に、どの位置の差込穴でも、空いていれば返却することができるので使い勝手が良い。
【0015】
鍵管理装置は、判別した利用者IDでタグ抜取が許可される固有IDが読み取れるタグが差し込まれている差込穴の内、優先順位が最も高いものを抜取可にし、抜取可(1つ)、抜取待機、および抜取不可を報知ランプで報知し、利用者による鍵貸出操作によって、抜取可のタグが前方に押し出されて利用者が抜き取ると、優先順位が次に高い差込穴を抜取可にし、抜取可(1つ)、抜取待機、および抜取不可を報知ランプで報知する構造である。
【0016】
このため、誤った鍵の持ち出しを防止できるとともに、鍵自体を改造しないので鍵の使用に支障をきたさない。
タグおよび非接触ICカードは、何れも非接触式であるので、静電気等による破壊が防止できるとともに、接点がないので接触不良を起こさない。
【0017】
〔請求項2について〕
鍵管理装置は、タグスロットと、ハウジングと、操作パネルと、主制御部とを備える。 タグスロットは、板状のタグを差し込むための差込穴と、穴奥に位置して前方へバネ付勢されるピンがタグ差込によって押圧されると接点が閉成するピンスイッチと、点滅、点灯、消灯でタグ抜取の可・待機・不可を報知するLEDと、RFIDのデータ読取用のループコイルと、RFID受信部と、タグ抜取の可・不可を切り替えるためのソレノイドとを複数組備え、スロット側マイクロコンピュータを有する制御部が、一連の処理、および後述する主制御部との間で情報通信を行う。
所定エリアへ入室できる鍵を取り付けたタグは、固有IDを書き込んだRFIDをタグ内部に埋設している。
【0018】
ハウジングは、前面開口を有し、タグスロットを内蔵するハウジング本体と、窓を有しハウジング本体の前面開口に回動可能に取り付けられる扉と、扉の開錠・施錠を行う電磁ロックとを備える。
操作パネルは、初期設定操作、鍵貸出操作、鍵返却操作、および暗証番号の入力を行うための複数のキーと、利用者IDを書き込んだデータチップを埋設した非接触ICカードからデータを読み取るためのループアンテナと、ICカードリーダーと、動作状態を表示する表示器とを備え、窓から目視して操作できる様にハウジングに配設される。
マイクロコンピュータを有する主制御部は、タグスロットの制御部との間で情報通信するとともに、操作パネルのキー操作の把握、スイッチの接点状態の把握、およびID解読を行って、電磁ロック制御、ソレノイド制御、表示制御、およびLED点灯制御を行う。
【0019】
つぎに、この鍵管理装置の使用方法を説明する。
鍵管理装置を管理する管理者は、操作パネルを操作して初期設定操作(暗証番号の登録、タグと非接触ICカードとの関連付け等)を行う。
【0020】
鍵を取り付けた複数のタグを各差込穴に差し込む。
タグがどの差込穴に差し込まれているかは、RFIDリーダーがRFIDからIDを読み取り、読み取ったIDと差込穴位置とをマイクロコンピュータが関連づけて行う。
なお、スロット側マイクロコンピュータを有する制御部と、マイクロコンピュータを有する主制御部との間で情報通信が行われる。
【0021】
利用者が鍵を持ち出す場合には、操作パネルのキーで鍵貸出操作を行ってから非接触ICカードをループアンテナに近接させる。
ICカードリーダーがデータチップから利用者IDを読み取って利用者登録されているか否かをマイクロコンピュータが判別(利用者判別)し、登録されている利用者であると判別されると、電磁ロックを解除(扉の開錠を指示)する。
【0022】
そして、マイクロコンピュータは、判別した利用者IDでタグ抜取が許可される固有IDが読み取れるタグが差し込まれている差込穴の内、優先順位が最も高いものを抜取可となる様にLED点灯制御を行い、LEDの光り方により、タグ抜取可(点滅;1つ)、タグ抜取待機(点灯)、タグ抜取不可(消灯)を報知する。
【0023】
利用者が操作パネルのキーで再度、鍵貸出操作を行って、該当する差込穴のソレノイドが抜取可になると、前方へ付勢されるピンにより、その差込穴に差し込まれているタグが前方に押し出される。そして、マイクロコンピュータが優先順位が次に高いソレノイドを抜取可にし、タグ抜取可(点滅;1つ)、タグ抜取待機(点灯)、タグ抜取不可(消灯)をLEDで報知する。
利用者が、前方に押し出されたタグを抜き取って扉を締めると、マイクロコンピュータが電磁ロックで施錠する。
【0024】
利用者が鍵を返す場合には、操作パネルのキーで鍵返却操作を行ってから非接触ICカードをループアンテナに近接させる。
鍵を取り付けたタグがどの差込穴に返却されたかは、返却によるピンスイッチの接点閉成に基づいて、RFIDリーダーがRFIDからIDを読み取り、差込穴位置と読み取ったIDとをマイクロコンピュータが関連づけることにより行う。
【0025】
鍵を取り付けたタグを差し込んで利用者が扉を締めると、マイクロコンピュータが電磁ロックで施錠する。
マイクロコンピュータは、差込穴に対する差込・抜取を行ったタグの固有ID毎の鍵貸出・返却の履歴をメモリに記録する。
【0026】
鍵管理装置は、複数人の利用者に、利用者1人につき、1本または複数の鍵を貸し出すことができ、各利用者の鍵貸出・返却の履歴をメモリに記録することができるため、管理者は、各利用者の鍵貸出し返却状態を詳細に把握することができる。
鍵管理装置は、差込穴位置と読み取ったIDとをマイクロコンピュータが関連づけるため、鍵を取り付けたタグを返す場合に、どの位置の差込穴でも、空いていれば返却することができるので使い勝手が良い。
【0027】
鍵管理装置は、判別した利用者IDでタグ抜取が許可される固有IDが読み取れるタグが差し込まれている差込穴の内、優先順位が最も高いものをタグ抜取可にし、タグ抜取可(1つ)、タグ抜取待機、およびタグ抜取不可をLEDで報知し、利用者が操作パネルのキーで再度、鍵貸出操作を行って前方に押し出されたタグを抜き取ると、優先順位が次に高い差込孔を、LEDで報知{タグ抜取可(点滅;1つ)、タグ抜取待機(点灯)、タグ抜取不可(消灯)}する構造である。
【0028】
このため、誤った鍵の持ち出しを防止できるとともに、鍵自体を改造しないので鍵の使用に支障をきたさない。
タグおよび非接触ICカードは、何れも非接触式であるので、静電気等による破壊が防止できるとともに、接点がないので接触不良を起こさない。
【0029】
〔請求項3について〕
鍵の貸出・返却は、利用者が非接触ICカードをループアンテナへ近接させる行為を行う替わりに、(a)操作パネルのキーから暗証番号を入力して照合させる操作だけで行うか、(b)非接触ICカードをループアンテナへ近接させる行為に加え、操作パネルのキーから暗証番号を入力して照合させる操作も行う。
【0030】
(a)の場合は、社員証がない会社等の場合に好適であり、暗証番号が利用者IDの替わりとなる。
(b)の場合は、本人認証が厳重になり、非接触ICカードに対応する暗証番号を入力しないと電磁ロックが解除されない。このため、非接触ICカードの所有者になりすまして、不正に鍵を持ち出すという不具合が生じない。
【0031】
〔請求項4について〕
ソレノイドへの通電を停止すると可動片が嵌まり込む切欠がタグの略中央の両側面に形成され、タグの先端部には底にRFIDを配置して封止するための凹所が形成され、タグ表面からRFID迄の距離とタグ裏面からRFID迄の距離とが同じになる様に、凹所の深さを設定している。
【0032】
このため、タグを差込穴に、上下どちら向きに挿入しても、RFIDとループコイルとの距離が略同じになるため、ループコイルから放射する電波が小出力であっても、RFIDの読み取りを高精度で行うことができる。また、小出力で良いので、ループコイルを隣接させることができ、多数の差込穴を並設することができ、ハウジング内に多くの鍵を収容することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
鍵管理装置は、タグを差し込む差込穴、穴奥に位置するピンスイッチ、タグ抜取を報知するLED、RFID読取用のループコイル、RFID受信部、およびタグ抜取を切り替えるためのソレノイドを上下左右に配置し、スロット側マイクロコンピュータを有する制御部が、一連の処理、および主制御部との間で情報通信を行うタグスロットと、開錠・施錠を行う電磁ロックを備え、ハウジング本体の前面開口に回動可能に扉を取り付けたハウジングと、ハウジングに配設される操作パネルと、マイクロコンピュータを有する主制御部とを備える。なお、所定エリアへ入室できる鍵を取り付けたタグは、固有IDを書き込んだRFIDをタグ内部に埋設している。
【0034】
この鍵管理装置は、複数人の利用者に、利用者1人につき、1本または複数の鍵を貸し出すことができ、且つ、各利用者の鍵貸出・返却の履歴がメモリに記録されるため、管理者は、各利用者の鍵の貸出しや、鍵の返却状態を詳細に把握することができる。また、差込穴位置と読み取ったIDとをマイクロコンピュータが関連づけるため、鍵を取り付けたタグを返す場合に、どの位置の差込穴でも、空いていれば返却することができるので使い勝手が良い。
【実施例1】
【0035】
本発明の実施例1(請求項1、2、4に対応)を図1〜図5に基づいて説明する。
鍵管理装置Aは、タグスロット1と、ハウジング2と、操作パネル3と、主制御部4とを備える。
タグスロット1は、タグ5を差し込む差込穴11と、穴奥に位置するピンスイッチ12と、タグ抜取を報知するLED13と、RFID読取用のループコイル14と、RFID受信部15と、タグ抜取を切り替えるためのソレノイド16とを各々、複数組(10列×3段)備え、スロット側マイクロコンピュータ17を有する制御部18が、一連の処理、および主制御部4との間で情報通信を行う。
【0036】
ハウジング2は、前面開口21を有し、複数(30個)のタグスロット1を内蔵するハウジング本体22と、窓23を有しハウジング本体22の前面開口21に回動可能に取り付けられる扉24と、扉24の開錠・施錠を行う電磁ロック25とを備える。
【0037】
操作パネル3は、各種入力を行うためのキー31a〜31fと、非接触ICカード30からデータを読み取るためのループアンテナ32と、ICカードリーダー33と、LCD34と、状態表示用のLED35a〜35cとを備える。この操作パネル3は、窓23から目視しながら直接操作できる様にハウジング2に配設される。なお、非接触ICカード30には、利用者IDを書き込んだデータチップfが埋設されており、顔写真付の社員証を兼ねている。
【0038】
主制御部4は、マイクロコンピュータ41およびメモリ42を組み付けた制御回路43からなる。マイクロコンピュータ41は、タグスロット1の制御部18との間で情報通信するとともに、操作パネル3のキー操作の把握、ピンスイッチ12の接点状態の把握、およびID解読を行って、電磁ロック25に対する電磁ロック制御、ソレノイド16に対するソレノイド制御、LCD34に対する表示制御、およびLED13に対するLED点灯制御を行う。なお、メモリ42には、差込穴11に対する差込・抜取を行ったタグのRFIDの固有ID毎に、鍵貸出・返却の履歴が記録される。
【0039】
タグ5は、固有IDを書き込んだRFID51がタグ内部に埋設されている。このタグ5には、所定エリアへ入室できる鍵52が取り付けられている。
タグ5の先端寄りの両側面には、ソレノイド16への通電を停止すると可動片16aが嵌まり込む切欠53、53が形成されている。
また、タグ5の先端部には底にRFID51を配置して封止するための凹所54が形成されている。この凹所54の深さは、タグ表面からRFID51迄の距離とタグ裏面からRFID51迄の距離とが同じになる様に設定されている。
【0040】
つぎに、この鍵管理装置Aの使用方法を説明する。
<新規登録>
非接触ICカード30にタグ5を新規に登録する
“登録”と記載されたキー31eを、複数回押圧して「シンキ トウロク」モードにする。なお、追圧する毎に、→「シンキ トウロク」→「トウロク ヘンコウ」→「アンショウ ヘンコウ」→「キョウセイ カイジョウ」→「エラー カイジョ」→「ジコクノ セッテイ」→とモードが切り替わる。
【0041】
“実行”と記載されたキー31bを押圧すると、「アンショウ バンゴウ No.=?」とLCD34に表示されるので、登録してある暗証番号(初期値;99999999)をテンキーから入力する。
「アンショウ バンゴウ No.=××××××××」とLCD34に表示されるので、“実行”と記載されたキー31bを押圧すると、認識音が鳴り、扉24が開く。
【0042】
「タグ ソウニュウ」とLCD34に表示されるので、タグ5を空いている差込穴11に差し込む。タグ5を認識すると、差込穴11の横にあるLED13が点灯する。
【0043】
“実行”と記載されたキー31bを押圧すると、「トウロク ホウホウ
1.ICカード 2.10キー」とLCD34に表示されるので、テンキーから、「1」を入力し、“実行”と記載されたキー31bを押圧する。
【0044】
「UID=? カード タッチ」とLCD34に表示されるので、非接触ICカード30をループアンテナ32にかざす。
非接触ICカード30を認識すると、認識音が鳴り、「UID=×××××××× ニンシキ シマシタ」とLCD34に表示される。
【0045】
「フクスウ トウロク シマスカ?
1.トウロク 2.シュウリョウ」とLCD34に表示されるので、複数の非接触ICカード30を登録する場合には、テンキーから「1」を入力し、“実行”と記載されたキー31bを押圧し、段落〔0051〕の操作を繰り返す。
また、終了する場合には、テンキーから「2」を入力し、“実行”と記載されたキー31bを押圧して終了する。
【0046】
<貸出;図5参照>
非接触ICカード30を使って、鍵が付いたタグ5を貸出す。
ステップs1で“貸出”と記載されたキー31aを押圧する。
ステップs2で非接触ICカード30をループアンテナ32にかざす。
ステップs3で、マイクロコンピュータ41は、認識した非接触ICカード30が登録済みであるか否かを判別し、未登録のカードである場合(NO)にはステップs4に進み、登録済みカードである場合(YES)にはステップs5に進む。
【0047】
ステップs4でエラー音を発生させ、ステップs2へ戻る。
ステップs5で、マイクロコンピュータ41は、電磁ロック25を開錠(扉24が開く)し、ステップs6に進む。
【0048】
ステップs6で、マイクロコンピュータ41は、認識した利用者IDでタグ抜取が許可される固有IDが読み取れるタグ5が差し込まれている差込穴11の内、優先順位が最も高いタグ5が差し込まれている差込穴11のタグスロット1のLED13が点滅(1つ)し、残りのタグ5が差し込まれている差込穴11のタグスロット1のLED13が点灯する様にLED点灯制御を行う。
【0049】
ステップs7で、マイクロコンピュータ41は、“貸出”と記載されたキー31aを利用者が押圧したか否かを判別し、キー31aが押圧された場合にはステップs8へ進み、キー31aが押圧されていない場合にはステップs9へ進む。
ステップs8で、マイクロコンピュータ41は、LED13が点滅しているタグスロット1のソレノイド16へ通電してロックを解除し、ステップs6へ戻る。
【0050】
これにより、可動片16aが嵌まっている切欠53から取り出され、前方へ付勢するピンにより、その差込穴11に差し込まれているタグ5が前方に押し出される。なお、戻ったステップs6では、次に優先順位が高いタグ5が差し込まれている差込穴11のタグスロット1のLED13が点滅(1つ)し、残りのタグ5が差し込まれている差込穴11のタグスロット1のLED13が点灯する様にLED点灯制御を行う。
【0051】
ステップs9で、マイクロコンピュータ41は、“取消し”と記載されたキー31dを利用者が押圧したか否かを判別し、キー31dが押圧された場合にはステップs10へ進み、キー31dが押圧されていない場合にはステップs6へ戻る。
ステップs10で、マイクロコンピュータ41は、電磁ロック25を施錠(扉24をロック)する。
【0052】
本実施例の鍵管理装置Aは、以下の利点を有する。
鍵管理装置Aは、複数人の利用者に、利用者1人につき、1本または複数本の鍵52を貸し出すことができ、各利用者の鍵貸出・返却の履歴をメモリ42に記録することができるため、管理者は、各利用者の鍵貸出し返却状態を詳細に把握することができる。
鍵管理装置Aは、差込穴位置と読み取ったIDとをマイクロコンピュータ41が関連づけるため、鍵52を取り付けたタグ5を返す場合に、どの位置の差込穴11でも、空いていれば返却することができるので使い勝手が良い。
【0053】
鍵管理装置Aは、判別した利用者IDでタグ抜取が許可される固有IDが読み取れるタグ5が差し込まれている差込穴11の内、優先順位が最も高いものをタグ抜取可にし、タグ抜取可(点滅;1つ)、タグ抜取待機(点灯)、およびタグ抜取不可(消灯)をLED13で報知し、利用者が操作パネル3のキー31aを押圧(鍵貸出操作)して前方に押し出されたタグ5を抜き取ると、優先順位が次に高い差込孔を、LED13で報知{タグ抜取可(点滅;1つ)、タグ抜取待機(点灯)、タグ抜取不可(消灯)}する構造である。
【0054】
このため、誤った鍵52の持ち出しを防止できるとともに、鍵自体を改造しないので鍵52の使用に支障をきたさない。
タグ5および非接触ICカード30は、何れも非接触式であるので、静電気等による破壊が防止できるとともに、接点がないので接触不良を起こさない。
【0055】
鍵管理装置Aは、ソレノイド16への通電を停止すると可動片16aが嵌まり込む切欠53をタグ5の略中央の両側面に形成し、タグ5の先端部に、底にRFID51を配置して封止するための凹所54を形成し、タグ表面からRFID51迄の距離とタグ裏面からRFID51迄の距離とが同じになる様に、凹所54の深さを設定している。
【0056】
このため、タグ5を差込穴11に、上下どちら向きに挿入しても、RFID51とループコイル14との距離が略同じになるため、ループコイル14から放射する電波が小出力であっても、RFID51の読み取りを高精度で行うことができる。また、小出力でであるので、ループコイル14を隣接させることができ、多数の差込穴11を並設することができ、ハウジング2内に多くの鍵52を収容することができる。
【0057】
非接触ICカード30は、顔写真付の社員証を兼ねているため、自分の非接触ICカード30を他の社員に貸してしまう行為を抑制できるため、他の社員が鍵52を不正に持ち出すという不具合を防止できる。
【0058】
本発明は、上記実施例以外に、以下の実施態様を含む。
a.鍵52の貸出・返却は、利用者が非接触ICカード30をループアンテナ32へ近接させる行為を行う替わりに下記の様にしても良い(請求項3に対応)。
(a)操作パネル3のキーから暗証番号を入力して照合させる操作だけで行っても良い。この場合は、社員証がない会社等の場合に好適であり、暗証番号が利用者IDの替わりとなる。
(b)非接触ICカード30をループアンテナ32へ近接させる行為に加え、操作パネル3のキーから暗証番号を入力して照合させる操作も行う。この場合は、本人認証が厳重になり、非接触ICカード30に対応する暗証番号を入力しないと電磁ロックが解除されない。このため、非接触ICカード30の利用者になりすまして、不正に鍵52を持ち出すという不具合が生じない。
【0059】
b.タグ5は、関連する鍵群に応じて多色に色分けすると使い勝手が良い。
c.自分が鍵52を借りたい時間帯に、他の人が借りない様に、その鍵52のタグ5に時間指定をかけて、他の利用者が抜けないように利用制限をかけても良い。
d.貸出しや、操作履歴は、SDカード等のメモリに格納しても良い。
e.メカニカルキー(機械式キー)でも、扉24を開けられる様にしても良い。
f.バッテリとDC・ACインバータを用意し、停電時に鍵管理装置Aを作動できる様にしても良い。
g.10連スロットを10組、組み込んでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施例1にかかる鍵管理装置の傾視図である。
【図2】その鍵管理装置に用いる制御部の説明図である。
【図3】その鍵管理装置のブロック図である。
【図4】その鍵管理装置のソレノイド回りの傾視図である。
【図5】その鍵管理装置の作動(貸出操作)を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
f データチップ
1 タグスロット
2 ハウジング
3 操作パネル
5 タグ
11 差込穴
12 ピンスイッチ
13 LED(報知ランプ)
14 ループコイル
15 RFID受信部(RFIDリーダー)
16 ソレノイド
17 スロット側マイクロコンピュータ
51 RFID
21 前面開口
22 ハウジング本体
23 窓
24 扉
25 電磁ロック
31a〜31f キー
32 ループアンテナ
33 ICカードリーダー
34 LCD(表示器)
41 マイクロコンピュータ
42 メモリ
52 鍵

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のタグを差し込むための差込穴、穴奥に位置して前方へ付勢されるピンがタグ差込によって押圧されると接点が閉成するピンスイッチ、タグ抜取の可・待機・不可を報知するための報知ランプ、RFIDのデータ読取用のループコイル、RFIDリーダー、およびタグ抜取の可・不可を切り替えるソレノイドを複数組、備えたタグスロットと、
前面開口を有し、前記タグスロットを内蔵するハウジング本体、窓を有し前記ハウジング本体の前記前面開口に回動可能に取り付けられる扉、および該扉の開錠・施錠を行う電磁ロックを備えるハウジングと、
初期設定操作、鍵貸出操作、鍵返却操作、および暗証番号の入力を行うための複数のキー、利用者IDを書き込んだデータチップを埋設した非接触ICカードからデータを読み取るためのループアンテナ、ICカードリーダー、および動作状態を表示する表示器を備え、前記窓から目視して操作できる様に前記ハウジングに配設される操作パネルと、
前記操作パネルのキー操作、前記スイッチの接点状態、およびID読取内容に基づいて、前記RFIDリーダー、タグリーダー、前記電磁ロック、前記報知ランプ、前記ソレノイド、および前記表示器を制御するマイクロコンピュータとを備え、
固有IDを書き込んだRFIDをタグ内部に埋設した前記タグは、所定エリアへ入室できる鍵を取り付けて各差込穴に差し込まれ、
前記マイクロコンピュータは、利用者が前記鍵の貸出・返却時に前記操作パネルのキーを操作してから前記非接触ICカードを前記ループアンテナに近接させると、利用者判別を行った後に前記扉の開錠・施錠を指示し、判別した利用者IDでタグ抜取が許可される固有IDが読み取れるタグが差し込まれている差込穴のソレノイドを順次、抜取可にするとともに、前記報知ランプで報知し、前記差込穴に対する差込・抜取を行ったタグのRFIDの固有IDを解読して鍵貸出・返却の履歴をメモリに記録することを特徴とする鍵管理装置。
【請求項2】
板状のタグを差し込むための差込穴、穴奥に位置して前方へバネ付勢されるピンがタグ差込によって押圧されると接点が閉成するピンスイッチ、点滅、点灯、消灯でタグ抜取の可・待機・不可を報知するLED、RFIDのデータ読取用のループコイル、RFID受信部、およびタグ抜取の可・不可を切り替えるためのソレノイドを複数組備え、スロット側マイクロコンピュータを有する制御部が、一連の処理、および後述する主制御部との間で情報通信を行うタグスロットと、
前面開口を有し、前記タグスロットを内蔵するハウジング本体、窓を有し前記ハウジング本体の前記前面開口に回動可能に取り付けられる扉、および該扉の開錠・施錠を行う電磁ロックを備えるハウジングと、
初期設定操作、鍵貸出操作、鍵返却操作、および暗証番号の入力を行うための複数のキー、利用者IDを書き込んだデータチップを埋設した非接触ICカードからデータを読み取るためのループアンテナ、ICカードリーダー、および動作状態を表示する表示器を備え、前記窓から目視して操作できる様に前記ハウジングに配設される操作パネルと、
前記タグスロットの制御部との間で情報通信するとともに、前記操作パネルのキー操作の把握、前記スイッチの接点状態の把握、およびID解読を行って、電磁ロック制御、ソレノイド制御、表示制御、およびLED点灯制御を行う、マイクロコンピュータを有する主制御部とを備え、
固有IDを書き込んだRFIDをタグ内部に埋設した前記タグは、所定エリアへ入室できる鍵を取り付けて各差込穴に差し込まれ、
前記マイクロコンピュータは、利用者が前記鍵の貸出・返却時に前記操作パネルのキーを操作してから前記非接触ICカードを前記ループアンテナに近接させると、利用者判別を行った後に前記扉を開錠・施錠を指示し、
判別した利用者IDでタグ抜取が許可される固有IDが読み取れるタグが差し込まれている差込穴のソレノイドの一つをタグ抜取可とし残りを抜取待機とし、タグが抜き取られる毎に、一つずつ抜取可としていくとともに前記LEDで報知し、前記差込穴に対する差込・抜取を行ったタグのRFIDの固有IDを解読して鍵貸出・返却の履歴をメモリに記録することを特徴とする鍵管理装置。
【請求項3】
前記鍵の貸出・返却は、前記利用者が前記非接触ICカードを前記ループアンテナへ近接させる行為を行う替わりに、
(a)前記操作パネルの前記キーから暗証番号を入力して照合させる操作だけで行うか、(b)前記非接触ICカードを前記ループアンテナへ近接させる行為に加え、前記操作パネルの前記キーから暗証番号を入力して照合させる操作も行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載に鍵管理装置。
【請求項4】
前記ソレノイドへの通電を停止すると可動片が嵌まり込む切欠が前記タグの略中央の両側面に形成され、
前記タグの先端部には底に前記RFIDを配置して封止するための凹所が形成され、タグ表面からRFID迄の距離とタグ裏面からRFID迄の距離とが同じになる様に、前記凹所の深さを設定したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の鍵管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−264000(P2009−264000A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114800(P2008−114800)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(508083909)古川電装株式会社 (1)
【Fターム(参考)】