説明

長繊維ペレット、その製造方法、及び繊維強化熱可塑性樹脂複合材料成型品の製造方法

【課題】射出成型中における強化繊維の繊維長を長く保つことができ、射出成型機の供給用ホッパー内部でブリッジは発生せず安定して供給され、得られた成型品は高強度・高剛性である長繊維ペレットを提供する。
【解決手段】厚さが200μm以下の熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープ1枚以上を強化繊維の配向方向に沿って曲折して束ねた長繊維ペレットであって、強化繊維を構成する単繊維の合計が1000〜80000本、長さが1〜50mmであり、熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープの配向方向と直交する外周に、熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープに含浸される熱可塑性樹脂を溶融して形成した融着帯を有する長繊維ペレット2とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂含有長繊維テープを所定形状に形成してなる長繊維ペレット、その製造方法、及び長繊維ペレットを材料に使用した繊維強化熱可塑性樹脂複合材料成型品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維等の強化繊維で補強された繊維強化樹脂複合材料は、引張強度・引張弾性率が高く、耐熱性、耐薬品性、疲労特性、耐摩耗性に優れる、線膨張係数が小さく寸法安定性に優れる、電磁波シールド性、X線透過性に富むなどの優れた特長を有していることから、スポーツ・レジャー、航空・宇宙、一般産業用途に幅広く適用されている。従来は、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を複合材料のマトリックスとすることが多かったが、最近、リサイクル性・高速成型性の観点から熱可塑性樹脂が注目されている。
【0003】
繊維強化熱可塑性樹脂複合材料のマトリックスとしては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66など)、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられる。
【0004】
繊維強化熱可塑性樹脂複合材料の成型方法としては、コンパウンドペレットの射出成型、長繊維ペレットの射出成型、射出圧縮成型、押出成型、ランダムマットを使用したスタンピング成型などが挙げられる。
【0005】
これらのうち、長繊維ペレットを材料に使用する射出成型は、複雑な形状を容易に成型でき、且つ、バリ取りなどの後加工が不要であり、生産性が高いことから急速に市場が成長している。なお、長繊維ペレットは、例えば、特許文献1に開示された方法によって製造することができる。
【0006】
しかしながら、上記長繊維ペレットを材料に使用して射出成型法で成型された成型品は、プレス成型法により成型された成型品と比べて機械的特性が劣る。
【0007】
その原因は、射出成型法においては、材料である長繊維ペレットを投入してから成型に至るまでの間に長繊維ペレット中の強化繊維が折損されて短くなるためである。
【0008】
プレス成型法では、例えば繊維長10mmの樹脂含有炭素繊維からなる長繊維ペレットを材料として用いて繊維強化熱可塑性樹脂複合材料を成型した場合、成型品から抽出した炭素繊維の長さは約10mmで短くはなっていない。これに対し、射出成型法では同じ繊維長10mmの樹脂含有炭素繊維からなる長繊維ペレットを材料として用いて繊維強化熱可塑性樹脂複合材料を成型した場合、成型品から抽出した炭素繊維の長さは僅か1mm程度と短くなることがある。
【0009】
そのため、射出成型法で成型された繊維強化熱可塑性樹脂複合材料成型品中の強化繊維の長伸化、成型品の物性向上が望まれている。
【特許文献1】特開2003−305779号公報 (特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記問題に対し射出成型機メーカーを中心に、射出成型機の押出機のスクリューの圧縮比を小さくしたり、チェックリングのクリヤランスを大きくしたりする取組がなされている。また、金型メーカーを中心に、強化繊維が折れにくいようなゲート形状を工夫する取組が進んでいる。これらは、いずれも射出成型品中における強化繊維長を長くするのに、ある程度有効であるが、まだ不充分である。
【0011】
本発明者は、繊維強化熱可塑性樹脂複合材料成型品製造用原料の長繊維ペレットについて検討しているうち、広幅で薄肉の形状の繊維強化熱可塑性樹脂テープを束ねて形成する長繊維ペレットに想到した。
【0012】
この長繊維ペレットは柔軟性に優れるため、これを材料として用いて繊維強化熱可塑性樹脂複合材料を射出成型したところ、射出成型機の押出機シリンダー内において、マトリックス樹脂が溶融する前の段階でも強化繊維が折損するのを防ぐことができ、この部分での繊維長を長く保つことについて改善できることを見出した。
【0013】
しかしながら、射出成型機の原料供給用ホッパー内部で前記テープ同士が互いに支え合ってテープの落下を阻害するブリッジが発生してしまう場合もあった。そこで、ブリッジが発生しないようにテープを繊維軸に沿って折りたたみ、その外周辺部を軽く溶着することにより、又は、前記テープを少なくとも3000フィラメント以下になるまで繊維軸に沿って裁断した後、ちょうど薪を束ねるように丸断面に束ねて、その外周辺部を軽く溶着することにより、前記ブリッジの発生を防止することが出来ることを、本発明者は見出した。
【0014】
以上の構成にすることにより、成型中における強化繊維の繊維長を長く保つことができ、射出成型機の長繊維ペレット供給用ホッパー内部でペレット同士が互いに支え合ってペレットの落下を阻害するブリッジの発生を防止して、長繊維ペレットは安定してホッパーから押出スクリューに供給され、更にスクリュー中で短繊維化することが抑制されることを見出し、その結果得られた成型品は高強度・高剛性であることを、本発明者は知得し本発明を完成するに至った。
【0015】
従って、本発明の目的とするところは、上記問題を解決した長繊維ペレット、その製造方法、及び当該長繊維ペレットを使用した繊維強化熱可塑性樹脂複合材料成型品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成する本発明は、以下に記載のものである。
【0017】
[1] 厚さが200μm以下の熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープ1枚以上を強化繊維の配向方向に沿って曲折して束ねた長繊維ペレットであって、強化繊維を構成する単繊維の合計が1000〜80000本、長さが1〜50mmである長繊維ペレット。
【0018】
[2] 熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープの配向方向と直交する外周に、熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープに含浸される熱可塑性樹脂を溶融して形成した融着帯を有する[1]に記載の長繊維ペレット。
【0019】
[3] 長繊維ペレットに含まれる熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープが1枚であって、前記テープ1枚に含まれる単繊維が12000本以上である[1]に記載の長繊維ペレット。
【0020】
[4] 長繊維ペレットに含まれる熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープが2枚以上であって、前記テープ1枚に含まれる単繊維が3000本以下である[1]に記載の長繊維ペレット。
【0021】
[5] 強化繊維が炭素繊維又はガラス繊維である[1]に記載の長繊維ペレット。
【0022】
[6] 熱可塑性樹脂がポリプロピレン、ポリアミド又はポリカーボネートである[1]に記載の長繊維ペレット。
【0023】
[7] 長繊維ペレット中の強化繊維の質量含有率が5〜70%である[1]に記載の長繊維ペレット。
【0024】
[8] 12000本以上の強化繊維用の単繊維からなるストランドに熱可塑性樹脂を含浸して、幅が10mm以上、厚さが200μm以下の熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープを得る第1工程と、
前記熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープを、強化繊維の配向方向に沿って不規則に折り曲げて折曲テープを得る第2工程と、
前記折曲テープの配向方向に直交する外周を熱可塑性樹脂の融点以上に加熱することにより前記折曲テープの外周の少なくとも一部に溶融した熱可塑性樹脂で形成された融着帯を有する融着テープを得る第3工程と、
前記融着テープを強化繊維の配向方向に垂直に切断して長さ1〜50mmの長繊維ペレットを製造する第4工程とからなる、
長繊維ペレットの製造方法。
【0025】
[9] 12000本以上の強化繊維用の単繊維からなるストランドに熱可塑性樹脂を含浸して、幅が10mm以上、厚さが200μm以下の熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープを得る第1の工程と、
前記熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープを、強化繊維の配向方向に沿って裁断して、3000本以下の強化繊維の単繊維からなる分割テープを得る第2工程と、
前記分割テープ複数枚を強化繊維の配向方向に揃えると共に束ねて分割テープ束を得る第3工程と、
前記分割テープ束の配向方向に直交する外周を熱可塑性樹脂の融点以上に加熱することにより前記分割テープ束の外周の少なくとも一部に溶融した熱可塑性樹脂で形成された融着帯を有する融着テープ束を得る第4工程と、
前記融着テープ束を強化繊維の配向方向に垂直に切断して長さ1〜50mmの長繊維ペレットを製造する第5工程とからなる、
長繊維ペレットの製造方法。
【0026】
[10] [1]に記載の長繊維ペレットを射出成型機に供給して射出成形型に射出することを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂複合材料成型品の製造方法。
【発明の効果】
【0027】
本発明の長繊維ペレットは、上記のような構成であるので、これを材料として用いて繊維強化熱可塑性樹脂複合材料を射出成型する場合、射出成型機のスクリューで混練される際に簡単に分解されて柔軟性が高くなる。その結果、成型中における強化繊維は折れ難くなり、繊維長を長く保つことができる。更に、射出成型機の長繊維ペレット供給用ホッパー内部でブリッジは発生せず長繊維ペレットはスクリューに安定して供給される。このため、得られた繊維強化熱可塑性樹脂複合材料成型品は高強度・高剛性である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明長繊維ペレットの概念の一例を示すもので、(A)は側面図、(B)は断面図である。
【0030】
図1において、2は長繊維ペレットで、4は熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープ(強化テープ)である。この強化テープ4は、一方向に配向した強化用原料繊維6に熱可塑性樹脂8を含浸させた薄いテープ状のものであり、長繊維ペレット2は強化テープ4を1枚以上[本図1においては1枚]、強化繊維6の配向方向に沿って曲折して束ねてなる。
【0031】
強化繊維6を構成する単繊維の合計は1000〜80000本、好ましくは10000〜70000本である。
【0032】
長繊維ペレット2の長さ(繊維の配向方向長さ)lは1〜50mm、好ましくは5〜20mmである。
【0033】
長繊維ペレット2の長さが50mmを超える場合は、射出成型時にホッパー内部でブリッジが発生し、長繊維ペレットの材料としての安定供給に支障を来すため好ましくない。他方、長繊維ペレット2の長さが1mm未満の場合は、繊維強化熱可塑性樹脂複合材料成型品中の強化繊維の繊維長が短くなり、成型品の物性が低下するので好ましくない。
【0034】
強化テープ4の厚さは200μm以下、好ましくは100μm以下である。
【0035】
強化テープ4の厚さが200μmを超える場合は、このテープからなる長繊維ペレットを材料として用いて射出成型する際に繊維が折損され易く、得られる繊維強化熱可塑性樹脂複合材料成型品中の強化繊維の繊維長が短くなり、成型品の物性が低下するので好ましくない。
【0036】
強化テープ4の繊維配向方向と直角方向外周には、強化テープ4を加熱溶融して形成した融着帯10が複数列[本図1(A)においては2列]、複数本[本図1(B)においては2本]形成されている。
【0037】
本例において、長繊維ペレット2に含まれる強化テープ4は1枚であって、前記強化テープ1枚に含まれる単繊維は12000本以上である。また、強化テープ4は繊維の配向方向(テープの長さ方向)に沿って不規則に折り曲げられている。
【0038】
強化テープ4を構成する強化繊維6は、炭素繊維、ガラス繊維、バラ系アラミド繊維等が好ましい。これら繊維のうちでも、本発明の長繊維ペレットは、射出成型中における強化繊維の繊維長保持効果の観点から、従来の射出成型法では折損し易い炭素繊維に特に有効である。
【0039】
前記折曲テープ4に含浸させる熱可塑性樹脂8としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66など)、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどを使用することができる。
【0040】
折曲テープ4中の熱可塑性樹脂の含浸量は30〜95質量%、即ち折曲テープ4中の強化繊維の含有率は70〜5質量%が好ましい。
【0041】
本発明の長繊維ペレットは、その物性が上記範囲内にあれば、その製造方法及び製造装置としては、特に限定されるものではないが、例えば以下の製造方法及び製造装置により製造することができる。
【0042】
図2は、本発明長繊維ペレットの概念の他の例を示す断面図である。
【0043】
図2において、12は長繊維ペレットで、14は熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープ(強化テープ)である。この強化テープ14は、一方向に配向した強化用原料繊維16に熱可塑性樹脂18を含浸させた薄いテープ状のもので、3000本以下、好ましくは100〜2000本の単繊維を含む。
【0044】
前記強化テープ14は複数枚[本図2においては9枚]が束ねられ、強化テープ束とされている。前記強化テープ束の繊維配向方向と直角方向外周には、強化テープ束を加熱して形成した融着帯20が複数列、複数本[本図2においては3本]形成されている。
【0045】
長繊維ペレット12を構成する強化テープ14は、枚数が多いほどテープが柔軟性に富むようになり好ましいが、裁断する手間が大変なので、強化繊維の集束数にも依るが、好ましくは2枚以上、より好ましくは4〜40枚、特に好ましくは6〜25枚である。
【0046】
強化テープの厚さ、強化繊維の材質、熱可塑性樹脂の種類、長繊維ペレット中の強化繊維の質量含有率などについては、図2の例も図1の例と同様である。
【0047】
以下、図面を参照して本発明長繊維ペレットの製造方法を詳細に説明する。この製造方法の一例(長繊維ペレット製造例A)は、前述の図1の例の長繊維ペレットを製造する方法であって、以下のように第1工程〜第4工程とからなる。
【0048】
(長繊維ペレット製造例A第1工程)
図3は本発明の長繊維ペレット製造用原料の熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープを製造するのに用いる装置の一例を示す概略図であり、(A)は上記製造装置の正面図であり、(B)は(A)におけるA〜A線に沿った右側面断面図である。
【0049】
図3において、22は熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープの製造装置である。
【0050】
26は、ほぼ直方体の溶融樹脂含浸装置で、下面が開放された筺状の上型部34と上面が開放された筺状の下型部38とからなり、上型部34と下型部38とを互いに嵌合することにより、その内部に空間部36を形成している。樹脂含浸装置下型部38の下流側端部はほぼ1/4円の円弧状に面取りされた摺動材料からなる部材(摺動部材)P、Qで形成されている。
【0051】
前記摺動部材P、Qにはローラーからなるノズル上部部材40が、摺動部材P、Qに液密に押圧された状態でコ字状の上部支持枠42に取り付けられ、差込みバー44によって固定されている。樹脂含浸装置下型部38の下流側端部には、上型部34と同様にローラーからなるノズル下部部材46が、摺動部材P、Qに液密に押圧された状態で下部支持枠48a、48bに取り付けられ、差込みバー50によって固定されている。
【0052】
樹脂含浸装置下型部38は、ノズル上部部材40ともノズル下部部材46とも接触しており、樹脂含浸装置下型部38側の摺動部材P、Qは、ノズル上部部材40側の接触面ともノズル下部部材46側の接触面とも同じ形状である。しかも、樹脂含浸装置下型部38の摺動部材P、Qは、砲金等の強度、柔軟性が適度の材質のものが用いられている。そのため、樹脂含浸装置下型部38の、ノズル上部部材40及びノズル下部部材46との接触面は、溶融樹脂が漏れない構造になっている。
【0053】
下流側スリットノズル32は、摺動部材P、Q間においてノズル上部部材40とノズル下部部材46との間隙で形成されてなる。摺動部材P、Q間の長さ(スリット幅)は10mm以上、好ましくは20mm以上であり、ノズル上部部材とノズル下部部材との間隙(スリット間隙)は500μm以下、好ましくは100μm以下である。
【0054】
ノズル上部部材40及びノズル下部部材46は何れも加熱されている。加熱温度は溶融樹脂含浸装置26内の温度から樹脂の融点付近にあることが好ましい。この温度は通常100〜400℃、好ましくは150〜300℃の範囲でコントロールされている。
【0055】
更に、本例においてはノズル上部部材40が上下に揺動するように形成したが、ノズル下部部材46が上下に揺動するようにしても良い。
【0056】
この製造装置22において、炭素繊維24は12000本以上、好ましくは12000〜50000本の単繊維からなるストランドの形態で上流側スリットノズル30から樹脂含浸装置空間部36に供給される。樹脂含浸装置空間部36を走行中の炭素繊維ストランド24は、しごきバー64a、64bに押圧されてジグザグに走行しながら解繊されると共に溶融熱可塑性樹脂が含浸せしめられる。溶融熱可塑性樹脂で含浸された炭素繊維24は、下流側スリットノズル32に通され、幅広薄肉テープの形態で引き出される。
【0057】
上部支持枠42の一方の下端58aと下部支持枠48aの上端60aとの間隙、及び、上部支持枠42の他方の下端58bと下部支持枠48bの上端60bとの間隙は、何れも下流側スリットノズル32の間隙と同じにしてある。
【0058】
通常の運転においては下流側スリットノズル32の間隙が一定であるように、上部支持枠42の一方の下端58aと下部支持枠48aの上端60aとの間隙、及び、上部支持枠42の他方の下端58bと下部支持枠48bの上端60bとの間隙には、それぞれシムテープ等の間隙調節部材62a及び62bなどを挟んでおく。下流側スリットノズル32の間隙は、この間隙調節部材62a、62bの厚さを変更することにより調節できる。
【0059】
なお、64aは上型部34に取り付けた所定数(本図では5本)の上部しごきバー(固定)、64bは下型部38に取り付けた所定数(本図では5本)の下部しごきバー(固定)である。図2において、矢印Xは炭素繊維ストランド24の走行方向を示し、28は溶融熱可塑性樹脂供給用の樹脂供給経路である。
【0060】
図2の例の製造装置22では、下流側スリットノズル32の直ぐ下流に、20℃前後の温度にされた冷却ローラー74、76が設けられている。この製造装置22を用いてテープを製造する場合、下流側スリットノズル32から引き出されたテープは融点以上の温度であるので、外気中での自然冷却では表面張力等が作用してテープ厚みが増加し、テープ幅が減少する方向に変形しやすい。
【0061】
そこで、下流側スリットノズル32の直後に冷却ローラー74、76を設けてテープを瞬時にマトリックス樹脂の融点以下まで急冷することによりテープ変形を防止できる。
【0062】
冷却ローラー74、76は、下流側スリットノズル32の下流のできるだけ近い位置に取り付けることが好ましい。
【0063】
冷却ローラー74は、支持枠78に取り付けられ、差込みバー(回転軸)80によって固定されている。冷却ローラー74は、支持枠82a、82b(不図示)に取り付けられ、差込みバー(回転軸)84によって固定されている。
【0064】
支持枠82a、82b(不図示)は固定端86a、86b(不図示)で接続、固定されている。一方、支持枠78は、支持枠82a、82b(不図示)から切り離され、しかも固定端には接続されていない。冷却ローラー74には差込みバー84及び支持枠78を介して圧力シリンダー88が設けられている。
【0065】
以上の方法により本発明の長繊維ペレット製造用原料である、12000本以上の互いに平行に配向した強化繊維からなり、テープ幅が10mm以上、テープ厚さが200μm以下である熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープ(強化テープ)が得られる。
【0066】
図4は、この強化テープの一例の概念を示す断面図である。図4において、92は強化テープである。この強化テープ92は、一方向に配向した強化繊維94に熱可塑性樹脂96が含浸されてなる薄いテープ状のものである。
【0067】
(長繊維ペレット製造例A第2工程)
上記強化テープを、強化繊維の配向方向に沿って不規則に折り曲げることにより、折曲テープが得られる。
【0068】
(長繊維ペレット製造例A第3工程)
上記折曲テープの配向方向に直交する外周を熱可塑性樹脂の融点以上に加熱することにより、前記折曲テープの外周の少なくとも一部に溶融した熱可塑性樹脂で形成された融着帯を有する融着テープが得られる。
【0069】
(長繊維ペレット製造例A第4工程)
上記融着テープを強化繊維の配向方向に垂直にペレット長さを調節しつつ切断することにより、長さが1〜50mmの長繊維ペレットが得られる。
【0070】
次に、本発明長繊維ペレットの製造方法の他の例(長繊維ペレット製造例B)を説明する。この製造方法は、前述の図2の例の長繊維ペレットを製造する方法であって、以下のように第1工程〜第5工程とからなる。
【0071】
(長繊維ペレット製造例B第1工程)
前述の図1の例の長繊維ペレットを製造する方法(長繊維ペレット製造例A)の第1工程と同様の方法により、本発明の長繊維ペレット製造用原料である、12000本以上の互いに平行に配向した強化繊維からなり、テープ幅が10mm以上、テープ厚さが200μm以下である熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープ(強化テープ)が得られる。
【0072】
(長繊維ペレット製造例B第2工程)
上記強化テープを、強化繊維の配向方向に平行に裁断することにより、テープ幅が3mm以下で、3000本以下の強化繊維の単繊維からなる分割テープが得られる。
【0073】
(長繊維ペレット製造例B第3工程)
上記分割テープ2枚以上、好ましくは4〜20枚を強化繊維の配向方向に揃えると共に束ねることにより分割テープ束が得られる。
【0074】
(長繊維ペレット製造例B第4工程)
上記分割テープ束の配向方向に直交する外周の一部又は全部を熱可塑性樹脂の融点以上に加熱することにより前記折曲テープ束の外周の少なくとも一部に溶融した熱可塑性樹脂で形成された融着帯を有する融着テープ束が得られる。
【0075】
(長繊維ペレット製造例B第5工程)
上記融着テープ束を強化繊維の配向方向に垂直にペレット長さを調節しつつ切断することにより、長さが1〜50mmの長繊維ペレットが得られる。
【0076】
(繊維強化熱可塑性樹脂複合材料成型品の製造例)
上記長繊維ペレット製造例A、長繊維ペレット製造例B等で得られた長繊維ペレットを加熱して熱可塑性樹脂を溶融させると共に、混練した混練物を射出成形型に射出することにより、成型中においては、強化繊維の繊維長を長く保つことができ、射出成型機の長繊維ペレット供給用ホッパー内部でブリッジは発生せず長繊維ペレットは安定して供給され、得られた繊維強化熱可塑性樹脂複合材料成型品は、高強度・高剛性である。
【0077】
射出成型機としては、図5に示すような公知のものを用いることができる。
【0078】
図5中、102は射出成型機であり、スクリュー本体104と、加熱シリンダー106とからなる。スクリュー本体104には、長繊維ペレット108が供給されるホッパー110側(上流側)から金型112側(下流側)に向かってフライト114a、114b、114c、…、114k、114l、…、114r、114s、114tが形成され、各フライト間は、スクリュー溝116a、116b、…、116k、…、116r、116sが形成されている。
【0079】
スクリュー本体104の下流側には小径部118を間に置いてスクリューヘッド120が形成されている。小径部118の向かいの加熱シリンダー106にはチェックリング122が形成されている。
【0080】
金型112は前型124と後型126とからなり、ゲート128から供給される長繊維ペレットの混練物は、前型と後型との間隙130に導入され、ここで成型品が得られる。
【0081】
ホッパー110から供給された長繊維ペレット108は、加熱シリンダー106内で外部からの熱エネルギーを受けると共に、スクリュー本体104の回転に伴い、得られる混練物は、チェックリング122を通って金型112に送り込まれる。
【0082】
この剪断流動によって従来の長繊維ペレットは、繊維が折損され易く、得られる繊維強化熱可塑性樹脂複合材料成型品中の強化繊維の繊維長が短くなり、成型品の物性が低下する。
【0083】
これに対し、本発明の長繊維ペレットは、この剪断流動を受けても、成型中における強化繊維の繊維長を長く保つことができる。このことは、本発明の長繊維ペレット製造原料の熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープは、熱可塑性樹脂を含浸する際、しごきバーに押圧されてジグザグに走行しながら解繊され、しかも急冷によって解繊状態が保たれ、これを束ねたものは周面において融着されているものの内部は解繊状態が保たれているため、剪断流動を柔軟に受け止めることができるからと考えられる。
【実施例】
【0084】
以下の実施例及び比較例に記載した条件により強化テープ、長繊維ペレット、繊維強化熱可塑性樹脂複合材料成型品を作製した。
【0085】
[実施例1]
図3に示す製造装置において、下流側スリットノズル間隙を130μm、上下ノズル部材間の応力を30Nに調整した後、樹脂含浸装置空間部内の溶融樹脂[ポリプロピレン樹脂(汎用射出成型グレード、メルトフローレート20g/10分)]の温度及び上下ノズル部材の温度を230℃に調整した。
【0086】
この製造装置においては、冷却ローラーを、下流側スリットノズルの下流でノズルローラーと冷却ローラーとの軸心距離で200mmの箇所に設置し、冷却ローラーの温度を20℃に調整した。
【0087】
この溶融樹脂含浸装置において、原料炭素繊維ストランド[東邦テナックス社製ベスファイトSTS−24K F301(直径7μm×24000フィラメント、繊度1.6g/m)]を3m/分で走行させ、熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープ(強化テープ)を作製した。得られた強化テープの幅は30mm、炭素繊維の質量含有率は30%であった。
【0088】
次いで、この強化テープを、炭素繊維の配向方向に沿って不規則に折り曲げて折曲テープを得た。
【0089】
この折曲テープの外周を熱可塑性樹脂の融点以上の180℃に加熱することにより前記折曲テープの外周の少なくとも一部に溶融した熱可塑性樹脂で形成された融着帯を有する融着テープを得た。
【0090】
この融着テープを強化繊維の配向方向に垂直に長さ10mmにカットして、長繊維ペレットを得た。続いて、この長繊維ペレットについて図5に示す射出成型機を用いて230℃で射出成型し、150mm角×3.1mm厚の平板を作製した。
【0091】
また、射出成型時に長繊維ペレット中の炭素繊維が、(1)スクリュー混練圧縮時(本スクリューの圧縮率2.96%)、(2)チェックリング通過時、(3)金型内ゲート部通過時の何処で炭素繊維が折れるかを、図5の長繊維ペレット108、スクリュー溝116k、チェックリング122入、チェックリング122出、成型品130における重量平均繊維長を測定して調べた。その結果を表1に示す。
【0092】
なお、重量平均繊維長は以下の方法で測定した。
【0093】
採取した試料0.5gに熱濃硫酸を加えてマトリックスのポリプロピレン樹脂を分解し、炭素繊維を取り出した。次に、超音波装置を用いて炭素繊維を水中に分散させ、四分法を3回以上繰り返した後、濾過した。濾紙上に残った炭素繊維500本以上について繊維長を測定し、その重量平均繊維長を次式
重量平均繊維長 = Σ(繊維長)2 / Σ(繊維長)
を用いて求めた。
【0094】
上記150mm角×3.1mm厚の平板について、平板から10mm幅×90mm長×3.1mm厚の曲げ試験片を5本切り出し、JIS K 7171に準拠して3点曲げ試験(スパン/厚さ比=20、試験速度5mm/分)を実施し、曲げ強度を測定した。その結果を表1に示す。
【0095】
[実施例2]
実施例1で得られた強化テープを、炭素繊維の配向方向に平行に裁断してテープ幅が1.3mmで、約1000本の炭素繊維からなる分割テープを得た。
【0096】
この分割テープ24枚を束ねて分割テープ束を得、前記分割テープ束の外周を熱可塑性樹脂の融点以上の180℃に加熱することにより前記分割テープ束の外周の少なくとも一部に溶融した熱可塑性樹脂で形成された融着帯を有する融着テープ束を得た。
【0097】
この融着テープ束を強化繊維の配向方向に垂直に長さ10mmにカットして、長繊維ペレットを得た。続いて、この長繊維ペレットについて実施例1と同様に図5に示す射出成型機を用いて成型品を作製し、射出成型時における強化繊維の重量平均繊維長の変化、並びに、射出成型品の曲げ強度を測定した。その結果を表1に示す。
【0098】
[比較例1]
図3に示す強化テープ製造装置において、下流側スリットノズル32を、開口部が円形で、その直径が2.5mmのダイスに取り替え、冷却ローラー74、76を取り外した。この改造装置を用い、前記ダイスの下流側以外は実施例1と同様に操作して、熱可塑性樹脂含浸強化繊維成型物(強化成型物)を作製したところ、得られた強化成型物は、断面が円形で、その直径が2.5mmの棒状のものであった。
【0099】
この棒状の強化成型物を強化繊維の配向方向に垂直に長さ10mmにカットして、長繊維ペレットを得た。図6は、得られた長繊維ペレットの概念を示す断面図である。図6において、132は長繊維ペレットである。この長繊維ペレット132は、一方向に配向した強化繊維134に熱可塑性樹脂136が含浸されてなる。
【0100】
なお、比較例1の強化成型物は、実施例1と同様にして、広がった強化繊維ストランド中に溶融樹脂を含浸させた後に、まだ樹脂が溶けたままの状態のうちに丸ダイスを通して作製したものである。そのため、図6に示すように広がった強化繊維ストランド134中に十分に熱可塑性樹脂136が含浸されている。
【0101】
続いて、この長繊維ペレットについて実施例1と同様に図5に示す射出成型機を用いて成型品を作製し、射出成型時における強化繊維の重量平均繊維長の変化、並びに、射出成型品の曲げ強度を測定した。その結果を表1に示す。
【0102】
[比較例2]
比較例1の強化成型物製造装置において、しごきバー64a、64bを取り外した。この改造装置を用い、溶融樹脂含浸装置26での操作以外は比較例1と同様に操作して、強化成型物を作製したところ、得られた強化成型物は、断面が円形で、その直径が2.5mmの棒状のものであった。
【0103】
この棒状の強化成型物を強化繊維の配向方向に垂直に長さ10mmにカットして、長繊維ペレットを得た。図7は、得られた長繊維ペレットの概念を示す断面図である。図7において、142は長繊維ペレットである。この長繊維ペレット142は、一方向に配向した強化繊維144に熱可塑性樹脂146が含浸されてなる。
【0104】
なお、比較例2の強化成型物は、実施例1と同様にして、強化繊維ストランドを十分に広げないで溶融樹脂を含浸させ、そのままの状態のうちに丸ダイスを通して作製したものである。そのため、図7に示すように強化繊維ストランド144中に熱可塑性樹脂146は十分には含浸されていない。
【0105】
続いて、この長繊維ペレットについて実施例1と同様に図5に示す射出成型機を用いて成型品を作製し、射出成型時における強化繊維の重量平均繊維長の変化、並びに、射出成型品の曲げ強度を測定した。その結果を表1に示す。
【0106】
[比較例3]
実施例1で得られた強化テープを強化繊維の配向方向に垂直に長さ10mmにカットしたものを、そのまま長繊維ペレットとして実施例1と同様に図5に示す射出成型機に投入した。しかし、ホッパー110内部でブリッジが発生し試験片成型品は得られなかった。
【0107】
【表1】

【0108】
実施例1〜2の強化テープは、樹脂含浸装置内部のしごきバー、及び、加熱ローラーで広げた強化テープを直ちに冷却固化させているため、広幅扁平形状のものを作製でき、このテープを剪断、集束、融着して得た長繊維ペレットを材料に用いて射出成型したところ、成型中における強化繊維の繊維長を長く保つことができ、得られた炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP)成型物は高い曲げ強度を示した。
【0109】
比較例1〜2で得られた熱可塑性樹脂含浸強化繊維成型物(強化成型物)は、断面円形の棒状物であり、これをカットして得た長繊維ペレットを材料に用いて射出成型したところ、成型中において強化繊維は折損し易く、得られたCFRTP成型物はあまり高い曲げ強度を示さなかった。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明長繊維ペレットの概念の一例を示すもので、(A)は側面図、(B)は断面図である。
【図2】本発明長繊維ペレットの概念の他の例を示す断面図である。
【図3】本発明の長繊維ペレット製造用原料である熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープの製造装置の一例を示す概略図であり、(A)は上記製造装置の正面図であり、(B)は(A)におけるA〜A線に沿った右側面断面図である。
【図4】本発明長繊維ペレットの原料として用いる熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープの一例の概念を示す断面図である。
【図5】実施例1〜2及び比較例1〜3で用いた射出成型機を示す概略側面断面図である。
【図6】比較例1で得られた長繊維ペレットの概念を示す断面図である。
【図7】比較例2で得られた長繊維ペレットの概念を示す断面図である。
【符号の説明】
【0111】
2、108、132、142 長繊維ペレット
4、14、92 強化テープ
6、16、94、134、144 強化繊維
8、18、96、136、146 熱可塑性樹脂
10、20 融着帯
22 熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープの製造装置
24 強化繊維
26 溶融樹脂含浸装置
28 溶融熱可塑性樹脂供給用の樹脂供給経路
30 上流側スリットノズル
32 下流側スリットノズル
34 溶融樹脂含浸装置上型部
36 溶融樹脂含浸装置空間部
38 溶融樹脂含浸装置下型部
40 ノズル上部部材
42、48a、48b、78、82a 支持枠
44、50、80、84 差込みバー
46 ノズル下部部材
52a、52b、86a 固定端
56、88 付勢手段
58a、58b 支持枠の下端
60a、60b 支持枠の上端
62a、62b 間隙調節手段
64a、64b しごきバー
74、76 冷却ローラー
102 射出成型機
104 スクリュー本体
106 加熱シリンダー
110 ホッパー
112 金型
114a、114b、114c、…、114k、114l、…、114r、114s、114t フライト
116a、116b、…、116k、…、116r、116s スクリュー溝
118 小径部
120 スクリューヘッド
122 チェックリング
124 金型の前型
126 金型の後型
128 ゲート
130 前型と後型との間隙
l 長繊維ペレットの長さ
m 長繊維ペレットの幅
P、Q 摺動部材
X 炭素繊維ストランドの走行方向を示す矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
厚さが200μm以下の熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープ1枚以上を強化繊維の配向方向に沿って曲折して束ねた長繊維ペレットであって、強化繊維を構成する単繊維の合計が1000〜80000本、長さが1〜50mmである長繊維ペレット。
【請求項2】
熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープの配向方向と直交する外周に、熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープに含浸される熱可塑性樹脂を溶融して形成した融着帯を有する請求項1に記載の長繊維ペレット。
【請求項3】
長繊維ペレットに含まれる熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープが1枚であって、前記テープ1枚に含まれる単繊維が12000本以上である請求項1に記載の長繊維ペレット。
【請求項4】
長繊維ペレットに含まれる熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープが2枚以上であって、前記テープ1枚に含まれる単繊維が3000本以下である請求項1に記載の長繊維ペレット。
【請求項5】
強化繊維が炭素繊維又はガラス繊維である請求項1に記載の長繊維ペレット。
【請求項6】
熱可塑性樹脂がポリプロピレン、ポリアミド又はポリカーボネートである請求項1に記載の長繊維ペレット。
【請求項7】
長繊維ペレット中の強化繊維の質量含有率が5〜70%である請求項1に記載の長繊維ペレット。
【請求項8】
12000本以上の強化繊維用の単繊維からなるストランドに熱可塑性樹脂を含浸して、幅が10mm以上、厚さが200μm以下の熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープを得る第1工程と、
前記熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープを、強化繊維の配向方向に沿って不規則に折り曲げて折曲テープを得る第2工程と、
前記折曲テープの配向方向に直交する外周を熱可塑性樹脂の融点以上に加熱することにより前記折曲テープの外周の少なくとも一部に溶融した熱可塑性樹脂で形成された融着帯を有する融着テープを得る第3工程と、
前記融着テープを強化繊維の配向方向に垂直に切断して長さ1〜50mmの長繊維ペレットを製造する第4工程とからなる、
長繊維ペレットの製造方法。
【請求項9】
12000本以上の強化繊維用の単繊維からなるストランドに熱可塑性樹脂を含浸して、幅が10mm以上、厚さが200μm以下の熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープを得る第1の工程と、
前記熱可塑性樹脂含浸強化繊維テープを、強化繊維の配向方向に沿って裁断して、3000本以下の強化繊維の単繊維からなる分割テープを得る第2工程と、
前記分割テープ複数枚を強化繊維の配向方向に揃えると共に束ねて分割テープ束を得る第3工程と、
前記分割テープ束の配向方向に直交する外周を熱可塑性樹脂の融点以上に加熱することにより前記分割テープ束の外周の少なくとも一部に溶融した熱可塑性樹脂で形成された融着帯を有する融着テープ束を得る第4工程と、
前記融着テープ束を強化繊維の配向方向に垂直に切断して長さ1〜50mmの長繊維ペレットを製造する第5工程とからなる、
長繊維ペレットの製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の長繊維ペレットを射出成型機に供給して射出成形型に射出することを特徴とする繊維強化熱可塑性樹脂複合材料成型品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−254566(P2007−254566A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80025(P2006−80025)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(303013268)帝人テクノプロダクツ株式会社 (504)
【Fターム(参考)】