説明

防水シートの接合構造及び接合方法

【解決手段】複数の不透水性シートの側端部同士が、少なくとも該不透水性シートに熱融着可能な熱可塑性樹脂層と、これより高融点の耐熱層とからなる接合用シートによって接合されていることを特徴とする防水シートの接合構造、及び該接合構造を適用し、複数の不透水性シートの側端部同士を重ね合わせるか又は近接させ、該重ね合わせた部位又は近接させた部位に、前記接合用シートの、熱可塑性樹脂層側を対向させて重ねると共に、耐熱層側から加熱加圧し、複数の不透水性シートの側端部同士に該接合用シートの熱可塑性樹脂を熱融着することによって接合することを特徴とする防水シートの接合方法。
【効果】本発明によれば、本発明によれば、トンネル等の施工に用いる防水シートの接合構造及び接合方法に関し、従来用いられる自動溶接機では接合困難な部位を簡便で確実に接合できる防水シートの接合構造及び接合方法を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル等の施工に用いる防水シートの接合構造及び接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、NATM工法に見られるように、トンネルの一次覆工コンクリートと二次覆工コンクリートとの間に防水シートを介装し、一次覆工コンクリート側からの湧水が二次覆工コンクリート側に漏水するのを防止することが行われている。
一般に、この防水シートは、透水性シートと不透水性シートとからなり、該透水性シート側を一次覆工コンクリート側に、該不透水性シート側を二次覆工コンクリート側になるよう介装することにより、地山からの湧水を該透水性シートによってトンネル外に導出すると共に、該不透水性シートによって二次覆工コンクリート側への漏水を防止している。従って、当該施工にあたっては、防水シートによる二次覆工コンクリートに対する一次覆工コンクリートの液密な展張作業が必須となる。
防水シートの展張作業にあたっては、防水シート面積に対して、展張面積が非常に大きいため、複数の防水シートを接合しながら展張することが前提となり、従来、この接合は、自動溶接機を用いた融着・接合がなされている。
【0003】
特開平7−113399号公報(特許文献1)には、熱融着性の防水シートを屋根瓦状に重ね合わせて施工箇所に張り、その重ね合わせた部位を専用の自動溶接機の該部位長さ方向への移動の下、該溶接機の熱ごてによる加熱、該熱ごての後に隣接するピンチローラによる挟圧で融着・接合する防水シートの施工法について記載されている。
このような自動溶接機を用いた防水シートの施工法は、隣接する防水シートの側端部同士を、一定の幅で当該自動溶接機に必要な接合幅を確保しながら重ね合わせることが可能な部位には有効である。しかし、防水シートの展張作業は、通例凹凸を有する一次覆工コンクリート面を、トンネル断面、周方向に沿って馴染ませるように行われるため、隣接する防水シートの側端部同士の重ね合わせた幅が、一定の幅にならない部位もでき、特に当該自動溶接機に必要な接合幅よりも狭い部位では、接合が不十分になったり、接合ができなかったりすることがある。
【0004】
例えば「山岳トンネル工法における防水工指針(案) シート防水編」(昭和61年6月,社団法人日本トンネル技術協会),p.29(非特許文献1)には、防水シート側端部同士の接合が不十分な部位や接合ができなかった部位に、これらの部位よりも大きい補修用防水シートを重ね、両者の界面に手動式熱風溶着機で熱風をあてながら、該補修用防水シートをハンドローラー等で押圧し接合する補修方法について記載されている。
しかし、該補修方法は該補修部位が天井や壁面に生じ、該補修部位を地に対して略水平な状態で地方向から天方向へ向けて補修することが前提であり、重力に逆らいながら、該補修用防水シートの一方の側(上記界面に接する面)から熱風、他方の側(上記界面に接する面の反対の面)から加圧を行うもので、熟練工に委ねざるを得ない困難なものであった。
即ち、従来用いられる自動溶接機では接合が困難な部位を簡便で確実に接合できる防水シートの接合構造及び接合方法がなかった。
【0005】
【特許文献1】特開平7−113399号公報
【非特許文献1】「山岳トンネル工法における防水工指針(案) シート防水編」(昭和61年6月,社団法人日本トンネル技術協会)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、トンネル等の施工に用いる防水シートの接合構造及び接合方法に関し、従来用いられる自動溶接機では接合が困難な部位を簡便で確実に接合できる防水シートの接合構造及び接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記目的を達成するため、鋭意検討を行った結果、複数の不透水性シートの側端部同士が、少なくとも該不透水性シートに熱融着可能な熱可塑性樹脂層と、これより高融点の耐熱層とからなる接合用シートによって接合されている防水シートの接合構造が有効であり、さらに前記接合構造を適用し、複数の不透水性シートの側端部同士を重ね合わせるか又は近接させ、該重ね合わせた部位又は近接させた部位に、前記接合用シートの、熱可塑性樹脂層側を対向させて重ねると共に、耐熱層側から加熱加圧し、複数の不透水性シートの側端部同士に該接合用シートの熱可塑性樹脂を熱融着することによって接合する防水シートの接合方法によれば、従来用いられる自動溶接機では接合困難な部位を簡便で確実に接合できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0008】
即ち、本発明は下記防水シートの接合構造及び接合方法を提供する。
請求項1:
複数の不透水性シートの側端部同士が、少なくとも該不透水性シートに熱融着可能な熱可塑性樹脂層と、これより高融点の耐熱層とからなる接合用シートによって接合されていることを特徴とする防水シートの接合構造。
請求項2:
前記熱可塑性樹脂層が、酢酸ビニルを16〜50質量%含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体からなることを特徴とする請求項1記載の防水シートの接合構造。
請求項3:
前記熱可塑性樹脂層が、極性基を3〜50質量%グラフト重合している変性ポリオレフィンからなることを特徴とする請求項1記載の防水シートの接合構造。
請求項4:
前記耐熱層が、金属箔からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の防水シートの接合構造。
請求項5:
請求項1乃至4のいずれか1項記載の接合構造を適用し、複数の不透水性シートの側端部同士を重ね合わせるか又は近接させ、該重ね合わせた部位又は近接させた部位に、前記接合用シートの、熱可塑性樹脂層側を対向させて重ねると共に、耐熱層側から加熱加圧し、複数の不透水性シートの側端部同士に該接合用シートの熱可塑性樹脂を熱融着することによって接合することを特徴とする防水シートの接合方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トンネル等の施工に用いる防水シートの接合構造及び接合方法に関し、従来用いられる自動溶接機では接合困難な部位を簡便で確実に接合できる防水シートの接合構造及び接合方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態及び実施例】
【0010】
以下、本発明について図面を参照してより詳細に説明する。
図1(A)は本発明の一構成例に採用される接合用シート1を示す断面図であり、(B)は他の接合用シート1’を示す断面図である。
接合用シート1は、熱可塑性樹脂層2の一面に、これより高融点の耐熱層3が積層されてなる。また、接合用シート1’は、熱可塑性樹脂層2と、これより高融点の耐熱層3との間に両者を接合する接着層4が介挿されてなる。
ここで、後述するように接合用シート1又は1’の熱可塑性樹脂層2,2は、いずれも防水シート5の不透水性シート7に熱融着可能なものである。
【0011】
接合用シート1は、熱可塑性樹脂層2と耐熱層3の相溶性(接着性)が高く、例えば、押出しラミネート法などを用い、接着層4を介すことなく、熱可塑性樹脂層2と耐熱層3がラミネートされた形態を示し、接合用シート1’は、熱可塑性樹脂層2と耐熱層3の相溶性(接着性)が低く、例えば、ドライラミネート法などを用い、粘着剤や接着剤による接着層4を介して、熱可塑性樹脂層2と耐熱層3がラミネートされた形態を示している。
【0012】
また、図2は本発明の一構成例に採用される防水シート5を示す断面図である。
防水シート5は、透水性シート6、不透水性シート7からなる積層体で、両シートは両側端部、即ち、透水性シート6の一方の側端部6aと不透水性シート7の一方の側端部7a、透水性シート6の他方の側端部6bと不透水性シート7の他方の側端部7bが互いに遊離状態となるように部分的に接着されている。なお、両シート6,7の接着は、両シート6,7の両側端部が互いに遊離状態になっていれば良く、他の部分は部分接着されていても全面接着されていても良いものである。
透水性シート6、不透水性シート7はいずれも、従来トンネル施工に使用されているものを使用することができ、具体的に透水性シート6には、ポリエステル,ポリオレフィン(ポリエチレン,ポリプロピレン等)(以下、順に‘PET’,‘PO’,‘PE’,‘PP’と略記)のプラスチック樹脂から形成される不織布又は織布を、不透水性シート7には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、‘EVA’と略記),PO(PE,PP等),ポリ塩化ビニル(以下、‘PVC’と略記)等のプラスチック樹脂から形成されるシートを用いることができる。
【0013】
図3は本発明の一構成例に係る防水シート5,5の接合部位を説明する斜視図であり、図4(A)は図3の防水シート5,5を一点鎖線X2に沿って該防水シート5,5面に垂直に切断した断面図であり、(B)は図3の防水シート5,5を一点鎖線X1に沿って該防水シート5,5面に垂直に切断した断面図であり、(C)は図3の防水シート5,5を一点鎖線X3に沿って該防水シート5,5面に垂直に切断した断面である。
図4(A),(B),(C)は、いずれも図3の紙面に対して紙面裏から表へ垂直に向かう方向を、図4の紙面上の上から下に垂直に向かう方向に一致させ、かつ図3紙面上の一点鎖線X1,X2,X3に付した矢印の方向に向けて見たものである。
【0014】
図3に示したハッチングは、2つの防水シート5,5の不透水性シート7,7の側端部7a,7b同士の重さなり合う部位を示している。
この重さなり合う部位を自動溶接機で接合するに際し、該重なり合う部位の幅が一点鎖線X3に沿って防水シート5,5面に垂直に切断した断面、即ち、図4(C)のように正規の幅WX3を維持できている場合は接合に支障をきたさないが、一点鎖線X2に沿って防水シート5,5面に垂直に切断した断面、即ち、図4(A)のように正規の幅よりもやや不足する場合(幅WX2)や、一点鎖線X1に沿って防水シート5,5面に垂直に切断した断面、即ち、図4(B)のように重なり合う部位の幅が全く存在しない場合(幅−WX1)は、接合が不十分になるか、接合が全くできなくなる。
本発明はこのような不透水性シート7,7の側端部7a,7b同士の重なり合う部位の幅が正規の幅WX3に満たない場合(幅WX2,幅−WX1)を含む防水シートの接合に係るものである。
なお、ここでいう正規の幅WX3とは、少なくとも従来の自動溶接機による接合に必要な所定の幅であって、実際に融着される接合幅以上の幅であり、50〜100mm程度の幅を指す。
【0015】
本発明の一構成例に係る防水シート5,5の接合構造は、図4(A),(B)に示すように2つの防水シート5,5がトンネル地山、一次覆工コンクリート11の面に、共に透水性シート6,6側の面が対向するように配設され、一方の防水シート5の透水性シート6の一側端部6aと他方の防水シート5の透水性シート6の他の側端部6bとが重ね合わせられ、該透水性シート6,6の側端部6a,6bの重ね合わせられた部位がコンクリート釘8で一次覆工コンクリート11側に固定されると共に、一方の防水シート5の不透水性シート7の一側端部7aと他方の防水シート5の不透水性シート7の他の側端部7bとが重ね合わせられるか(図3の一点鎖線X2に沿って防水シート5,5面に垂直に切断した断面、即ち図4(A)に該当)又は近接され(図3の一点鎖線X1に沿って防水シート5,5面に垂直に切断した断面、即ち図4(B)に該当)、該不透水性シート7,7の側端部7a,7bの重ね合わせられた部位又は近接された部位に前記接合用シート1又は1’の熱可塑性樹脂層2側が対向させて重ねられ、2つの不透水性シート7,7の側端部7a,7bに該接合用シートの熱可塑性樹脂が熱融着されることによって接合されてなる構造を採っている。
【0016】
このような防水シート5,5の接合構造を採ることによって、防水シート5,5の展張作業が凹凸を有する一次覆工コンクリート面11に馴染ませるように行われるに際し、2つの防水シート5,5の不透水性シート7,7の一方の側端部7aと他方の側端部7bの重ね合わせられた部位が、従来の自動溶接機に必要な接合幅(上記正規の幅WX3)に対して不足したり(幅WX2)、或いは重ね合わせられた部位が全く存在しなかったり(幅−WX1)しても、上記接合用シート1又は1’を介して不透水性シート7,7の側端部7a,7b同士を簡便で確実に接合することができる。
【0017】
即ち、本発明の防水シート5,5の接合構造に係る接合用シート1又は1’は、少なくとも熱可塑性樹脂層2と、これより高融点の耐熱層3とが一体にラミネートされており、該耐熱層3側から熱可塑性樹脂層2への熱伝達による接合を前提とした構成であるため、後述する2つの防水シート5,5の不透水性シート7,7の側端部7a,7bを接合用シート1又は1’によって接合するに際し、非特許文献1の補修用防水シートと異なり、熱を印加する方向と押圧する方向とを一致させることができるため、該側端部7a,7bを容易に融着・接合することを可能とする簡便さと単調な作業性の良さを備えたものとなる。
しかも、接合用シート1又は1’をなす各層は、公知のシート成形技術を用いて作製され、その一体化は後述する公知のラミネート技術で作製されるので、該各層の厚さはもとより、ラミネート後の厚さもばらつきの少ない高品質なものであることから、該接合用シート1又は1’の熱可塑性樹脂層2と防水シート5,5の不透水性シート7,7の側端部7a,7b同士との接着品質(接着強度,接着耐久性など)も変動しにくい高品質なものとなる。
【0018】
以上、本発明の一構成例に係る2つの防水シート5,5の接合構造について述べたが、3つ以上の複数の防水シートの接合構造についても、接合用シート1又は1’による同様の接合構造とすることができる。
即ち、3つの防水シートの接合構造については、トンネル地山、一次覆工コンクリート11の面に、3つの防水シート5,5,5の透水性シート6,6,6側の面が対向するように配設され、3つの防水シート5,5,5の透水性シート6,6,6の一側端部6a,6a,6aと他の側端部6b,6b,6bが(6a,6a,6b)又は(6a,6b,6b)の組み合わせで重ね合わせられ、この組み合わせで重ね合わせられた部位がコンクリート釘8で一次覆工コンクリート11側に固定されると共に、3つの防水シート5,5,5の不透水性シート7,7,7の一側端部7a,7a,7aと他の側端部7b,7b,7bが(7a,7a,7b)又は(7a,7b,7b)の組み合わせで重ね合わせられるか又は近接され、該不透水性シートの側端部(7a,7a,7b)又は(7a,7b,7b)の組み合わせの重ね合わせられた部位又は近接された部位に前記接合用シート1又は1’の熱可塑性樹脂層2側が対向させて重ねられ、3つの不透水性シート7,7,7の側端部(7a,7a,7b)又は(7a,7b,7b)に該接合用シート1又は1’の熱可塑性樹脂2が熱融着されることによって接合されてなる構造とすることができる。
4つの防水シートの接合構造については、トンネル地山、一次覆工コンクリート11の面に、4つの防水シート5,5,5,5の透水性シート6,6,6,6側の面が対向するように配設され、4つの防水シート5,5,5,5の透水性シート6,6,6,6の一側端部6a,6a,6a,6aと他の側端部6b,6b,6b,6bが(6a,6a,6b,6b)の組み合わせで重ね合わせられ、この組み合わせで重ね合わせられた部位がコンクリート釘8で一次覆工コンクリート11側に固定されると共に、4つの防水シート5,5,5,5の不透水性シート7,7,7,7の一側端部7a,7a,7a,7aと他の側端部7b,7b,7b,7bが(7a,7a,7b,7b)の組み合わせで重ね合わせられるか又は近接され、該不透水性シートの側端部(7a,7a,7b,7b)の組み合わせの重ね合わせられた部位又は近接された部位に前記接合用シート1又は1’の熱可塑性樹脂層2側が対向させて重ねられ、4つの不透水性シートの側端部(7a,7a,7b,7b)に該接合用シート1又は1’の熱可塑性樹脂2が熱融着されることによって接合されてなる構造とすることができる。
図5はこのような防水シートの接合構造の特に不透水性シートの平面図を示しており、(A)は不透水性シートの3枚重ねの一例を、(B)は不透水性シートの4枚重ねの一例を示す平面図である。なお、図中のS1,S2,S3,S4はそれぞれ不透水性シートを示している。
【0019】
ここで、本発明の防水シートの接合構造に採用される接合用シート1又は1’の熱可塑性樹脂層2の材質としては、トンネル等の施工に用いられる防水シート5をなす不透水性シート7に熱融着できる材質でなければならず、上述の通り該不透水性シート7の材質は、EVA樹脂、PO(PE,PP等)樹脂、PVC樹脂等の熱可塑性樹脂が用いられることから、これらと同種の樹脂や、これらの樹脂をベースに熱融着性等を考慮した変性樹脂を用いることができ、中でもEVA樹脂又は変性PO樹脂が好適である。
【0020】
本発明の防水シートの接合構造に採用される接合用シート1又は1’の熱可塑性樹脂層2に用いられるEVA樹脂は、酢酸ビニル(以下、‘VA’と略記)含有量を適宜調整することによりEVA樹脂の接着性、強度、伸びを調整することができる。一般に、EVA樹脂へのVA含有量を増やせば、強度は減少し、接着性、伸びは増大し、逆にEVA樹脂へのVA含有量を減らせば、強度は増大し、接着性、伸びは減少することから、EVA樹脂のVA含有量は16〜50質量%が好ましく、より好ましくは20〜35質量%とすることができる。
【0021】
また、本発明の防水シートの接合構造に採用される接合用シート1又は1’の熱可塑性樹脂層2に用いられるPO樹脂には、通例のPE樹脂やPP樹脂等の完全非極性のPO樹脂、及びそれらにアクリル酸や無水マレイン酸などの極性基(カルボキシル基)をグラフト重合することにより極性を持たせ、接着性を付与させた変性PO樹脂を用いることができる。
この場合、PO樹脂(PE樹脂,PP樹脂等)へのアクリル酸や無水マレイン酸などの極性基(カルボキシル基)のグラフト量は3〜50質量%、より好ましくは7〜40質量%とすることができる。3質量%よりも極性基のグラフト量が少ないと十分な接着性を付与させることができず、逆に50質量%より極性基のグラフト量が多いとPO樹脂本来の化学的特性(耐薬品性等)や物理的特性(剛性強度等)が失われるばかりか、接着性も効率的に上げられないため好ましくない。
【0022】
本発明の防水シートの接合構造に採用される接合用シート1又は1’の熱可塑性樹脂層2の厚さは、0.1〜1.5mm、より好ましくは、0.2〜1.0mmとすることができる。熱可塑性樹脂層2の厚さが0.1mmよりも薄いと、加熱機9のコテ10による熱印加によって溶融し、流動する熱可塑性樹脂の量が不足するため、接合用シート1又は1’の熱可塑性樹脂層2と防水シート5の不透水性シート7との熱融着が不十分になり、両者の接合機能が不足するおそれがあり、逆に1.5mmよりも厚いと、熱可塑性樹脂層2の剛性強度が上がって、熱可塑性樹脂層2を防水シート5の不透水性シート7の7a,7bの重ね合わせ部位へ馴染ませることが困難になり、やはり接合用シート1又は1’の熱可塑性樹脂層2と防水シート5の不透水性シート7との熱融着が不十分になり、両者の接合機能が不足するおそれがある。
【0023】
本発明の防水シートの接合構造に採用される接合用シート1又は1’の耐熱層3の材質は、熱可塑性樹脂層2との融点の差、熱可塑性樹脂層2との相溶性(接着性)、そして熱伝導速度(熱伝導率)を考慮して決めることができる。
本発明の防水シートの接合構造に採用される接合用シート1又は1’の耐熱層3の融点は、熱可塑性樹脂層2(及び接着層4)の融点に対して50℃以上、好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上の温度差があることが好ましい。50℃未満の温度差の場合、加熱機9のコテ10により耐熱層3を経て熱可塑性樹脂層2に十分に熱伝導する前に耐熱層3が容易に溶融し、加熱機9のコテ10に融着してしまい、補修作業を中断させざるを得なくなるおそれがある。
また、本発明の防水シートの接合構造に採用される接合用シート1又は1’の耐熱層3を、熱可塑性樹脂層2に対して相溶性(接着性)が高いものとすることにより、図1(B)のような接着層4を介す必要がなくなるため(従って、図1(A)のような構成にできるため)、コスト的に有利になると共に、耐熱層3から熱可塑性樹脂層2への熱伝導を直接的なものとすることができ、より好ましい。
さらに、本発明の防水シートの接合構造に採用される接合用シート1又は1’の耐熱層3は、0.1W/mK以上の熱伝導率のものを使用することが好ましい。これは0.1W/mK未満の熱伝導率のものを使用すると、加熱機9のコテ10からの熱を、耐熱層3を介して熱可塑性樹脂層2へ十分に伝えることができないためである。
このような条件を満たす耐熱層3の材質として、具体的には、熱可塑性樹脂層2の材質よりも高融点であることが前提となるが、PET、ポリアミド(以下、‘PA’と略記)などのプラスチック樹脂や、アルミ、銅、ステンレス(以下、順に‘Al’,‘Cu’,‘Stl’と略記)等の金属箔を挙げることができる。
【0024】
本発明の防水シートの接合構造に採用される接合用シート1又は1’として、上記防水シート5の不透水性シート7への熱融着性、熱可塑性樹脂層2と耐熱層3との融点の差、熱可塑性樹脂層2と耐熱層3との相溶性(ラミネート加工性,接着層有無)、耐熱層3の熱伝導速度(熱伝導率)を勘案すると、熱可塑性樹脂層2と耐熱層3との材質的な組み合わせの中で最も好ましい組み合わせは、(熱可塑性樹脂層2/耐熱層3)=(プラスチック樹脂/金属箔)とするのが好ましく、具体的に例示すると、(熱可塑性樹脂層2/耐熱層3)=(EVA樹脂/Al箔),(EVA樹脂/Cu箔),(EVA樹脂/Stl箔),(PE樹脂/Al箔),(PE樹脂/Cu箔),(PE樹脂/Stl箔),(変性PE樹脂/Al箔),(変性PE樹脂/Cu箔),(変性PE樹脂/Stl箔),(変性PP樹脂/Al箔),(変性PP樹脂/Cu箔),(変性PP樹脂/Stl箔)等の組み合わせが好適である。
【0025】
また、(熱可塑性樹脂層2/耐熱層3)=(プラスチック樹脂/プラスチック樹脂)の組み合わせも勿論可能であり、具体的に例示すると、(熱可塑性樹脂層2/耐熱層3)=(EVA樹脂/PET樹脂),(EVA樹脂/PA樹脂),(PE樹脂/PET樹脂),(PE樹脂/PA樹脂),(変性PE樹脂/PET樹脂),(変性PE樹脂/PA樹脂),(変性PP樹脂/PET樹脂),(変性PP樹脂/PA樹脂)等の組み合わせを採用することができる。
【0026】
さらに、本発明の防水シートの接合構造に採用される接合用シート1又は1’の耐熱層3は、上記プラスチック樹脂、金属箔を任意の組み合わせでラミネートしたものも用いることができる。
【0027】
また、本発明の防水シートの接合構造に採用される接合用シート1又は1’の耐熱層3の厚さは、0.01〜0.1mm、より好ましくは0.03〜0.08mmとすることができる。耐熱層3の厚さが0.01mmよりも薄いと、耐熱層3の剛性強度が不足するおそれがあり、逆に0.1mmよりも厚いと、耐熱層3の剛性強度が上がって、熱可塑性樹脂層2を防水シート5の不透水性シート7へ馴染ませることが困難になり、防水シート5の不透水性シート7を接合する機能が不足するおそれがある。
【0028】
上記熱可塑性樹脂層2と耐熱層3は公知のラミネート技術を用い容易に積層することができる。
上記熱可塑性樹脂層2の材質と耐熱層3の材質との相溶性(接着性)が高い組み合わせ、例えば、(熱可塑性樹脂層2/耐熱層3)=(EVA樹脂/Al箔),(EVA樹脂/Cu箔),(変性PE樹脂/PA樹脂),(変性PE樹脂/PET樹脂),(変性PE樹脂/Al箔),(変性PE樹脂/Cu箔),(変性PP樹脂/PA樹脂),(変性PP樹脂/PET樹脂),(変性PP樹脂/Al箔),(変性PP樹脂/Cu箔)等であれば、例えば、予め公知のシート化技術で作製された耐熱シート(層)3の上に熱可塑性樹脂を溶融・押出して熱可塑性樹脂層2を形成し、これを加圧ロール間に通過させ、加圧一体化し、接合用シート1とする押出しラミネート法、或いは耐熱性樹脂及び熱可塑性樹脂を共に溶融・押出して耐熱層3と熱可塑性樹脂層2を形成し、これを加圧ロール間に通過させ、加圧一体化し、接合用シート1とする共押出しラミネート法等を用いることができる。
【0029】
また、特に上記熱可塑性樹脂層2の材質と耐熱性層3の材質との相溶性(接着性)が低い組み合わせ、例えば、(熱可塑性樹脂層2/耐熱層3)=(EVA樹脂/PA樹脂),(EVA樹脂/PET樹脂),(PE樹脂/Al箔),(PE樹脂/Cu箔),(PE樹脂/PET樹脂),(PE樹脂/PA樹脂)等であれば、例えば、耐熱シート(層)3と熱可塑性樹脂シート(層)2のどちらか一方或いは両方に液状のイソシアネート系やウレタン系などの接着剤を塗布して接着層4を形成し、これを一旦、乾燥させた後、重ね合わせ、これらを加圧ロールで加圧一体化し、接合用シート1’とするドライラミネート法等を用いることができる。
なお、上記熱可塑性樹脂層2の材質と耐熱層3の材質との相溶性(接着性)が高い組み合わせであっても、両者間に接着層4を介挿し、例えば、上記ドライラミネート法等により一体化し、接合用シート1’とすることも勿論可能である。
【0030】
このように本発明の接合構造に採用される接合用シート1又は1’は、公知のシート成形技術やラミネート技術を用いて形成できるので、これをなす各層(熱可塑性樹脂層2,耐熱層3,必要に応じて接着層4)の厚さは数μmの公差にコントロールでき、厚さばらつきの少ない高品質なものとすることができる。
【0031】
また、例えば上記の接着剤に変えてアクリル系やシリコーン系などの粘着剤を、耐熱シート(層)3と熱可塑性樹脂シート(層)2のどちらか一方、或いは両方に塗布又は転写して接着層4を形成し、これらを加圧ロールで加圧一体化し、接合用シート1’とすることもできる。この場合、必要に応じて、補修後に耐熱層3を剥ぎ取り除去することも可能となる。
【0032】
このようにして積層・形成される接合用シート1又は1’の大きさ、厚さなどは、上記熱可塑性樹脂層2及び耐熱層3(そして接着層4)の厚さを考慮しつつも、特に制限されず、従来よりトンネルの防水施工に使用されている防水シート5の不透水性シート7の側端部同士の接合部位の大きさや厚さを考慮し、幅150mm程度、厚さ0.3〜1.6mm,特に0.5mm程度とするのが好適である。
また、このような接合用シート1又は1’をロール状とし、必要に応じて、任意の長さに切り出せるようなカッター手段を付与させると、さらに使い勝手がよくなり好ましい。
【0033】
こうした本発明の一構成例に係る防水シートの接合構造を適用した防水シートの接合方法は、図4(A),(B)に示すように2つの防水シート5,5がトンネル地山、一次覆工コンクリート11の面に、共に透水性シート6,6側の面が対向するように配設し、一方の防水シート5の透水性シート6の一側端部6aと他方の防水シート5の透水性シート6の他の側端部6bとを重ね合わせ、該透水性シート6,6の側端部6a,6bの重ね合わせた部位をコンクリート釘8で一次覆工コンクリート11側に固定すると共に、一方の防水シート5の不透水性シート7の一側端部7aと他方の防水シート5の不透水性シート7の他の側端部7bとを重ね合わせるか(図3の一点鎖線X2に沿う断面、即ち図4(A)に該当)又は近接させ(図3の一点鎖線X1に沿う断面、即ち図4(B)に該当)、該不透水性シート7,7の側端部7a,7bの重ね合わせた部位又は近接させた部位に、前記接合用シート1又は1’の、熱可塑性樹脂層2側を対向させて重ねると共に、該接合用シート1又は1’の耐熱層3側からアイロンなどの加熱機9のコテ10で加熱加圧し、2つの不透水性シート7,7の側端部7a,7b同士に該接合用シート1又は1’の熱可塑性樹脂を熱融着することによって接合する方法を採ることができる。
このような本発明の防水シートの接合方法をとることによって、従来の自動溶接機では接合困難な部位を簡便で確実に接合することができる。
【0034】
この場合、上記接合用シート1又は1’を採用した接合方法に係る接着品質(接着強度,接着耐久性など)と、接着時間を勘案すると、(熱可塑性樹脂層2/耐熱層3)=(プラスチック樹脂/金属箔)の組み合わせ、具体的には、(EVA樹脂/Al箔),(EVA樹脂/Cu箔),(EVA樹脂/Stl箔),(PE樹脂/Al箔),(PE樹脂/Cu箔),(PE樹脂/Stl箔),(変性PE樹脂/Al箔),(変性PE樹脂/Cu箔),(変性PE樹脂/Stl箔),(変性PP樹脂/Al箔),(変性PP樹脂/Cu箔),(変性PP樹脂/Stl箔)等の組み合わせなら、加熱機9のコテ10の表面温度は300〜600℃、より好ましくは400〜500℃であり、加熱機9のコテ10の上記耐熱層3への加圧は0.5〜1.5MPa、より好ましくは0.7〜1.2MPaであり、時間は10〜90秒、より好ましくは30〜60秒とすることができ、(熱可塑性樹脂層2/耐熱層3)=(プラスチック樹脂/プラスチック樹脂)の組み合わせ、具体的には、(EVA樹脂/PET樹脂),(EVA樹脂/PA樹脂),(PE樹脂/PET樹脂),(PE樹脂/PA樹脂),(変性PE樹脂/PET樹脂),(変性PE樹脂/PA樹脂),(変性PP樹脂/PET樹脂),(変性PP樹脂/PA樹脂)等の組み合わせなら、加熱機9のコテ10の表面温度は120〜300℃、より好ましくは150〜280℃であり、加熱機9のコテ10の上記耐熱層3への加圧は0.5〜1.5MPa、より好ましくは0.7〜1.2MPaであり、時間は10〜90秒、より好ましくは30〜60秒とすることができる。
【0035】
以上、本発明の一構成例に係る防水シートの接合構造を適用した2つの防水シート5,5の接合方法について述べたが、3つ以上の複数の防水シートの接合方法についても、接合用シート1又は1’ による同様の接合方法とすることができる。
即ち、3つの防水シートの接合方法については、トンネル地山、一次覆工コンクリート11の面に、3つの防水シート5,5,5の透水性シート6,6,6側の面が対向するように配設し、3つの防水シート5,5,5の透水性シート6,6,6の一側端部6a,6a,6aと他の側端部6b,6b,6bが(6a,6a,6b)又は(6a,6b,6b)の組み合わせで重ね合わせ、この組み合わせで重ね合わせた部位をコンクリート釘8で一次覆工コンクリート11側に固定すると共に、3つの防水シート5,5,5の不透水性シート7,7,7の一側端部7a,7a,7aと他の側端部7b,7b,7bが(7a,7a,7b)又は(7a,7b,7b)の組み合わせで重ね合わせるか又は近接させ、該不透水性シートの側端部(7a,7a,7b)又は(7a,7b,7b)の組み合わせの重ね合わせた部位又は近接させた部位に前記接合用シート1又は1’の熱可塑性樹脂層2側を対向させて重ねると共に、該接合用シート1又は1’の耐熱層3側からアイロンなどの加熱機9のコテ10で加熱加圧し、3つの不透水性シートの側端部(7a,7a,7b)又は(7a,7b,7b)に該接合用シート1又は1’の熱可塑性樹脂2を熱融着することによって接合する方法とすることができる。
4つの防水シートの接合構造については、トンネル地山、一次覆工コンクリート11の面に、4つの防水シート5,5,5,5の透水性シート6,6,6,6側の面が対向するように配設し、4つの防水シート5,5,5,5の透水性シート6,6,6,6の一側端部6a,6a,6a,6aと他の側端部6b,6b,6b,6bが(6a,6a,6b,6b)の組み合わせで重ね合わせ、この組み合わせで重ね合わせた部位をコンクリート釘8で一次覆工コンクリート11側に固定すると共に、4つの防水シート5,5,5,5の不透水性シート7,7,7,7の一側端部7a,7a,7a,7aと他の側端部7b,7b,7b,7bが(7a,7a,7b,7b)の組み合わせで重ね合わせるか又は近接させ、該不透水性シートの側端部(7a,7a,7b,7b)の組み合わせの重ね合わせた部位又は近接させた部位に前記接合用シート1又は1’の熱可塑性樹脂層2側を対向させて重ねると共に、該接合用シート1又は1’の耐熱層3側からアイロンなどの加熱機9のコテ10で加熱加圧し、4つの不透水性シートの側端部(7a,7a,7b,7b)に該接合用シート1又は1’の熱可塑性樹脂2を熱融着することによって接合する方法とすることができる。
(図5(A),(B)を参照されたい。)
【0036】
いずれにせよ、本発明の防水シートの接合構造は、従来用いられる自動溶接機では接合が困難な部位に有効に適用され、複数の不透水性シートの重ね合わせ又は近接部位に前記接合用シートの熱可塑性樹脂層側が対向、重ねられ、複数の該防水シートの不透水性シートの重ね合わせ又は近接部位に該接合用シートの熱可塑性樹脂層が熱融着されてなる漏水防止構造であり、その接合方法は、特に複数の防水シートの不透水性シートの側端部同士を重ね合わせ又は近接すると共に、上記接合用シートを用いて、該重ね合わせ又は近接部位に前記接合用シートの熱可塑性樹脂層側を対向、重ねると共に、該接合用シートの耐熱層側から加熱機で加熱、加圧することにより、少なくとも接合用シートの熱可塑性樹脂層を溶融、流動化させて、複数の該防水シートの不透水性シートの重ね合わせ又は近接部位に該接合用シートを熱融着し、接合する簡便で確実なものである。
しかも、かかる本発明に採用される接合用シートは、低融点の熱可塑性樹脂層2と、これより高融点の耐熱層(と必要に応じ接着層)とが公知のラミネート技術に基づき、一体にラミネートされているので、各層の厚さも一体ラミネート後の厚さのバラツキも極めて小さく、結果として該接合用シート1又は1’を用い、自動溶接機では防水シートの、特に不透水性シート側端部同士の接合ができない部位を補修する際も本シート1枚のみで扱い易く、該熱可塑性樹脂層は、容易に不透水性シートの側端部の重ね合わせ又は近接部位の不透水性シート層に熱融着し、接合することができる簡便さと作業性の良さを備えたもので、しかも接着品質(接着強度,接着耐久性など)が変動しにくい高品質なものである。
なお、上述の加熱機にかえて、熱風ガンと加圧ゴテを用いても何ら問題なく、本発明と同様な作用効果を奏することができる。また、その他の構成についても本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更して差支えない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】(A)は本発明の一構成例に採用される接合用シート1を示す断面図であり、(B)は他の接合用シート1’を示す断面図である。
【図2】本発明の一構成例に採用される防水シート5を示す断面図である。
【図3】本発明の一構成例に係る防水シート5,5の接合部位を説明する斜視図である。
【図4】(A)は図3の防水シート5,5を一点鎖線X1に沿って該防水シート5,5面に垂直に切断した断面図であり、(B)は図3の防水シート5,5を一点鎖線X2に沿って該防水シート5,5面に垂直に切断した断面図であり、そして(C)は図3の防水シート5,5を一点鎖線X3に沿って該防水シート5,5面に垂直に切断した断面図である。
【図5】本発明に係る防水シートの特に不透水性シートの平面図を示しており、(A)は不透水性シートの3枚重ねを、(B)は不透水性シートの4枚重ねを示す平面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 接合用シート
2 熱可塑性樹脂層
3 耐熱層
4 接着層
5 防水シート
6 透水性シート
6a 透水性シートの一側端部
6b 透水性シートの他の側端部
7 不透水性シート
7a 不透水性シートの一側端部
7b 不透水性シートの他の側端部
8 コンクリート釘
9 加熱機
10 コテ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の不透水性シートの側端部同士が、少なくとも該不透水性シートに熱融着可能な熱可塑性樹脂層と、これより高融点の耐熱層とからなる接合用シートによって接合されていることを特徴とする防水シートの接合構造。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂層が、酢酸ビニルを16〜50質量%含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体からなることを特徴とする請求項1記載の防水シートの接合構造。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂層が、極性基を3〜50質量%グラフト重合している変性ポリオレフィンからなることを特徴とする請求項1記載の防水シートの接合構造。
【請求項4】
前記耐熱層が、金属箔からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の防水シートの接合構造。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の接合構造を適用し、複数の不透水性シートの側端部同士を重ね合わせるか又は近接させ、該重ね合わせた部位又は近接させた部位に、前記接合用シートの、熱可塑性樹脂層側を対向させて重ねると共に、耐熱層側から加熱加圧し、複数の不透水性シートの側端部同士に該接合用シートの熱可塑性樹脂を熱融着することによって接合することを特徴とする防水シートの接合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−50895(P2008−50895A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−230033(P2006−230033)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【出願人】(000224101)藤森工業株式会社 (292)
【出願人】(591029921)フジモリ産業株式会社 (65)
【Fターム(参考)】