説明

防水型ヒンジモジュールおよび電子機器

【課題】
本発明は、回転とスライドとの双方が生じる機構を有し、かつ防水を必要とする電子機器等に関し、回転およびスライドする機構を実現した防水型ヒンジモジュールを備える。
【解決手段】
第1のヒンジ部品110が、長穴111と、第2のヒンジ部品120に向いて凹に形成された環状溝113とを有し、その環状溝113内に、防水用の環状のガスケット137が装入されたものであり、第2のヒンジ部材120が、中央に表裏に貫通した穴121aを有し第1のヒンジ部品110側に突出して長穴111に挿入され縁部112に係止されて抜け止めされるとともにその長穴111の長手方向に移動自在な筒状突起121と、筒状突起121の周囲に広がってガスケット137の摺動を受ける摺動面122とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転とスライドとの双方が生じる機構を有し、かつ防水を必要とする電子機器およびその電子機器に備えられるヒンジモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、回転しながらスライドする機構を有する電子機器が登場してきている。
【0003】
図1〜図4は回転しながらスライドする機構を有する携帯電話機の外観を示す図であり、図1は、表示ユニットを立てた状態を示す斜視図、図2は、表示ユニットを左に倒した状態を示す斜視図、図3は、表示ユニットを右に倒した状態を示す斜視図、図4は、本体ユニット上に表示ユニットを閉じた状態の斜視図である。
【0004】
この携帯電話機10は、本体ユニット20と、その本体ユニット20にヒンジ31を介して開閉自在に取り付けられた支持ユニット30と、その支持ユニット30に、回転およびスライド自在に支持された表示ユニット40とを有する。
【0005】
本体ユニット20には、配列された多数のキー21が備えられており、支持ユニット30には、第1のカメラ32および第2のカメラ33(図4参照)が備えられており、表示ユニット40には、メイン画面41およびサブ画面42(図4参照)が備えられている。この携帯電話機10は、図1に示す開状態と図4に示す開状態との間で開閉するとともに表示ユニット40が、図1に示す立てた状態と、図2に示す左に倒れた状態と、図3に示す右に倒れた状態との間で回動し、これら3つの状態で安定した姿勢を維持することができる。
【0006】
この携帯電話機10は、無線通信を使って電話による通話や電子メールの送受信等を行なうことができる。また、この携帯電話機10は、テレビのデジタル放送受像機能を有しており、テレビ受像にあたってはメイン画面41を横に倒した状態の方が見易く、このため、この携帯電話機10は表示ユニット40を横に倒すことができる構造となっている。尚、携帯電話機の機能については、ここでの主題ではなく、また広く知られているため、ここでのこれ以上の説明は省略する。
【0007】
ところで、図1〜図4に示す携帯電話機10の表示ユニット40を例えば図1に示す立てた状態から図2に示すように左に倒そうとしたとき、表示ユニット40が、仮に、支持ユニット30に対し回転動作のみ行なえるものとした場合、表示ユニット40の下端左角43が、支持ユニット30の、表示ユニット40の下縁を支える台座部34と干渉し、図1に示す立てた状態から図2に示す左に倒れた状態に移行させることができない。このため、表示ユニット40は支持ユニット30に対し回転を行なうとともに上下にスライドする構造となっており、表示ユニット40を図1に示す立てた状態から図2に示す左に倒れた状態に移行させようとして表示ユニット40を左に回すと、表示ユニット40の下端左角43と支持ユニット30の台座部34との干渉により途中までは表示ユニット40が上にスライドしながら回転し、途中からは図示しない付勢部材の付勢により表示ユニット40が下にスライドしながら回転して図2に示す左に倒れた状態となる。表示ユニット40を図2に示す左に倒れた状態から図1に示す立てた状態に移行させる際も同様である。また、図1に示す立てた状態と図3に示す右に倒れた状態との間で回転させる場合も、今度は表示ユニット40の下端右角44が支持ユニット30の台座部34と干渉するという相違を除き、やはり回転とスライドとの双方が同時に生じることになる。
【0008】
近年の傾向として、携帯電話機にも防水が望まれてきており、防水型の携帯電話機も登場してきているが、上記のような回転とスライドとの双方の動きが必要となる携帯電話機については防水性能を有するものは存在しない。
【0009】
このように、従来、回転しながらスライドする機構を特徴とする電子機器においては、ヒンジモジュール自体が防水・防塵性能を持つものは存在していない。類似構造としては、油圧ピストンのオイルシールや回転軸周りのシールなどがある。しかしながらこれらの機構は、ピストンであれば直線的に一方向にだけ移動する機構であり、回転軸の場合では円周一方向にのみ回転するに過ぎない。回転しながら回転軸方向にピストン運動といった機構も存在するがシール部材の圧縮方向は軸半径方向のみである。またこれらの構造の多くは大型で、小型の電子機器には向かない。
【0010】
特許文献1には、携帯型電子機器における防水構造が示されているが、これも回転のみ行なう構造のものであり、回転とスライドとの双方を行なう機構における防水構造は示されていない。
【特許文献1】特開2007−292280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記事情に鑑み、回転するとともに回転軸とは異なる方向にスライドする機構を実現した防水型ヒンジモジュール、およびそのヒンジモジュールにより回転およびスライド自在に構成された電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の防水型ヒンジモジュールは、第1のヒンジ部品と、その第1のヒンジ部品に対向する第2のヒンジ部品を備え、
上記第1のヒンジ部品が、表裏に貫通した長穴と、その長穴との間にその長穴を取り巻く縁部を形成してその縁部を一周に渡って取り巻く、第2のヒンジ部品に向いて凹に形成された環状溝とを有し、その環状溝内に、防水用の環状のガスケットが、そのガスケットの厚み方向の一部が第2のヒンジ部品側に食み出した状態に装入されたものであり、
上記第2のヒンジ部材が、中央に表裏に貫通した穴を有し第1のヒンジ部品側に突出して前上記長穴に挿入され上記縁部に係止されて抜け止めされるとともにその長穴の長手方向に移動自在な筒状突起と、その筒状突起の周囲に広がって上記ガスケットの摺動を受ける摺動面とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明の防水型ヒンジモジュールは、長穴と筒状突起とを備え、筒状突起を中心とした回転と、筒状突起の、長穴の長手方向へのスライドとにより、回転とスライドとの双方を実現している。
【0014】
また、本発明の防水型ヒンジモジュールは、長穴を取り巻く環状構内に環状のガスケットが装入され、そのガスケットの厚み方向の一部が環状溝から食み出して摺動面上を摺動する構成を有するため、長穴および筒状突起の穴への水の侵入が防止される。
【0015】
ここで、本発明の防水型ヒンジモジュールにおいて、上記第1のヒンジ部品および上記第2のヒンジ部品のうちの一方のヒンジ部品が、他方のヒンジ部品に向いて凹に形成された軌道溝を有し、他方のヒンジ部品が軌道溝内に入り込む軌道制御用ピンを有し、上記第1のヒンジ部品および上記第2のヒンジ部品が、上記長穴による筒状突起の案内と、上記軌道溝による軌道制御用ピンの案内とにより、相対的な姿勢変化の軌道が定められてなるものであることが好ましい。
【0016】
上記の軌道溝と軌道制御用ピンを備えると、回転とスライドによる姿勢の変化を一つの軌道上に規制することができる。
【0017】
尚、軌道溝は、第1のヒンジ部品と第2のヒンジ部品のいずれのヒンジ部品に設けられていてもよく、軌道制御用ピンは軌道溝が設けられたヒンジ部品とは異なるもう一方のヒンジ部品に設けられる。
【0018】
また、本発明の防水型ヒンジモジュールにおいて、上記筒状突起が、摺動用スペーサを介在させて上記縁部に係止されたものであることが好ましい。
【0019】
摺動用スペーサを介在させることにより、ガスケットの圧縮量を一定に保つことができ、安定した回転やスライドが実現できる。
【0020】
ここで、上記摺動用スペーサの、筒状突起が長穴内で移動したときに隣接部品との間で摺動する側の面が、弧状に形成されていることが更に好ましい。
【0021】
摺動用スペーサとしては例えば樹脂等からなる摺動抵抗の低い材質のものが利用されるが、その摺動用スペーサを弧状に形成することによって摺動抵抗をさらに低減し、さらに円滑な回転・スライドを実現することができる。
【0022】
また、本発明の防水型ヒンジモジュールにおいて、上記摺動面が、第1のヒンジ部品と第2のヒンジ部品の相対的な移動軌跡の全域で、ガスケットの環状の全周を受ける広がりを有するものであることが好ましい。
【0023】
摺動面が、移動軌跡の全域でガスケットの全周を受ける広がりを有することで、第1のヒンジ部品と第2のヒンジ部品がどのように移動しても防水性能が確実に維持される。
【0024】
さらに、本発明の防水型ヒンジモジュールにおいて、上記軌道制御用ピンが軌道溝底面に接する長さを有し、第1のヒンジ部品と第2のヒンジ部品との間隔の規制を担うものであることが好ましい。
【0025】
こうすることにより、第1のヒンジ部品と第2のヒンジ部品との間隔が一定に保たれ、円滑な動きが確保される。
【0026】
また、本発明の防水型ヒンジモジュールにおいて、第1ヒンジ部品が、長穴の端面に配置された摺動用部材を有するものであることが好ましく、上記一方のヒンジ部品が、軌道溝側壁に配置された摺動用部材を有するものであることが好ましく、上記摺動面が、ガスケットとの摺動摩擦低減処理が施された面であることが好ましい。
【0027】
これらの場合、部品間の摩擦力が低減し、一層円滑な回転・スライドが実現できる。
【0028】
また、本発明の防水型ヒンジモジュールにおいて、上記筒状突起が、第1のヒンジ部品と第2のヒンジ部品との間隔を規定するスペーサを挟んで上記縁部に係止されたものであることが好ましい。
【0029】
上記のスペーサを挟むことにより、製造時にそのスペーサの厚みを調整することでガスケットの圧縮量を適正に調整することができ、防水性の維持と回転・スライドの動きの円滑さを高い次元で両立させることができる。
【0030】
さらに、本発明の防水型ヒンジモジュールにおいて、上記筒状突起を長穴の一方の端に向けて付勢する付勢部材を有することが好ましく、その付勢部材はバネであってもよい。
【0031】
このような付勢部材を備えると第1のヒンジ部品と第2のヒンジ部品の姿勢を一層安定に保つことができる。
【0032】
また、本発明の電子機器は、上記のいずれかの態様のヒンジモジュールを有する電子機器であって、
上記長穴に連通する第1の開口を有し第1のヒンジ部品に固定された第1のケースと、
上記筒状突起の穴に連通する第2の開口を有し第2のヒンジ部品に固定された第2のケースと、
上記第1の開口、上記筒状突起の穴、および上記第2の開口を通って第1のケース内部と第2のケース内部との間に延びるケーブルとを有することを特徴とする。
【0033】
本発明の電子機器は、上記の構成により第1のケースと第2のケースを相対的に回転およびスライドさせることができ、また、第1のケース内部と第2のケース内部をケーブルで接続しそのケーブルを介して信号の送受信を行なうことができる。
【0034】
ここで、本発明の電子機器において、上記第1のケースが、第1の開口の周りを一巡する形状の第1の防水用両面テープを挟んで第1のヒンジ部品に固定されたものであり、
上記第2のケースが、第2の開口の周りを一巡する形状の第2の防水用両面テープを挟んで第2のヒンジ部品に固定されたものであることが好ましい。
【0035】
こうすることにより第1のケースと第1のヒンジ部品との間、および第2のケースと第2のヒンジ部品との間も防止性が維持される。
【0036】
あるいは、本発明の電子機器において、上記第1のケースが、第1の開口の周りを一巡する形状の第1の防水用シール又は接着剤を挟んで第1のヒンジ部品に固定されたものであり、上記第2のケースが、第2の開口の周りを一巡する形状の第2の防水用シール又は接着剤を挟んで第2のヒンジ部品に固定されたものであってもよく、あるいは、
上記第1のケースが、第1の開口を一巡する形状に第1のヒンジ部品に熱溶着されることにより、第1の開口への水の侵入が防止されたものであり、上記第2のケースが、第2の開口を一巡する形状に、第2のヒンジ部品に熱溶着されることにより、第2の開口への水の侵入が防止されたものであってもよい。
【0037】
このような構成によっても、第1のケースと第1のヒンジ部品との間、および第2のケースと第2のヒンジ部品との間の防止性能が維持される。
【0038】
さらに、本発明の電子機器において、上記第1のケースがネジ止め用の第1の貫通穴を有するとともに第1のヒンジ部品が貫通した第1のネジ穴を有し、この第1のケースが、第1のヒンジ部品に、第1の貫通穴と第1のネジ穴とを使ってネジ止めされたものであって、第1のヒンジ部品が、第1のネジ穴の第2のヒンジ部品側の開口を塞ぐ第1の防水部材を有し、
上記第2のケースがネジ止め用の第2の貫通穴を有するとともに第2のヒンジ部品が貫通した第2のネジ穴を有し、この第2のケースが、第2のヒンジ部品に、第2の貫通穴と第2のネジ穴を使ってネジ止めされたものであって、第2のヒンジ部品が、第2のネジ穴の第1のヒンジ部品側の開口を塞ぐ第2の防水部材を有するものであってもよい。
【0039】
ネジ止めの構成であっても、上記の第1の防水部材、第2の防水部材を備えることにより防水性能が維持される。
【発明の効果】
【0040】
以上の本発明によれば、回転とスライドとの双方の動きを実現し、かつ防水性を付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0042】
尚、以下では、本発明の電子機器の一実施形態として携帯電話機について説明するが、外観および外観から見た部品の動きは、図1〜図4に示した携帯電話機と同じであり、ここでは図1〜図4をそのまま援用することとし、携帯電話機の外観や外観上の動きについての重複説明は省略する。
【0043】
図5は、図1〜図4に示す携帯電話機10の支持ユニットと表示ユニットとの間に配置されたヒンジモジュールを示す図である。
【0044】
ここで、図1〜図4に示す支持ユニット30のヒンジモジュール100への取付けに関係する部分を第1のケース300と称し、図1〜図4に示す表示ユニット40のヒンジモジュール100の取付けに関係する部分を第2のケース400と称している。
【0045】
図5(A)は、ヒンジモジュールを、第1のケース側(図4の上方から支持部材30を透過して見た側)から見て示した平面図、図5(B)は、図5(A)に示す矢印A−Aに沿う断面図、図5(C)は、図5(A)に示す矢印B−Bに沿う断面図である。但し、図5(A)に示す平面図において、図示の煩雑さを避けるため、例えば、図5(B)に示す開口301等、一部の図示を省略してある。図5(B),図5(C)についても同様である。
【0046】
このヒンジモジュール100は、支持ユニット30(図1〜図4参照)の一部を成す第1のケース300に固定された、板状の第1のヒンジ部品110と、表示ユニット40(図1〜図4参照)の一部を成す第2のケース400に固定された、第1のヒンジ部品110と対向して広がる板状の第2のヒンジ部品120とから構成されている。第1のケース300は、第1のヒンジ部品110の中央が覗くように形成された大きな開口301を有し、第2のケース400は、後述する筒状突起121の穴121aの囲りだけ開いた開口401を有する。
【0047】
また、図6は、ヒンジモジュールの分解斜視図である。
【0048】
図6には、図5に示す第1のケース200および第2のケース300は図示されていないが、第1のケース200は、図6の上方に示す防水性両面テープ132の上に位置し、第2のケース300は、図6の下方に示す防水性両面テープ142の下に位置する。
【0049】
以下、図5と図6を参照しながら、本実施形態のヒンジモジュールについて説明する。
【0050】
第1のヒンジ部品110は、中央に表裏に貫通した長穴111と、その長穴111との間にその長穴111を取り巻く縁部112を形成してその縁部112を一周に渡って取り巻く環状溝113とを有する。この環状溝113は、第2のヒンジ部品120に向いて凹に形成されており、この環状溝113内には防水用の環状のガスケット137が装入されている。このガスケット137の厚みは、環状溝113の深さよりも厚く、このため、このガスケット137の厚み方向の一部は第2のヒンジ部品120側に食み出し、第2のヒンジ部品120の、後述する摺動面122に当たり、第1のヒンジ部品110と第2のヒンジ部品120の相対的な動きにより、その摺動面122上を摺動し、第1のヒンジ部品110と第2のヒンジ部品120とに挟まれた隙間からの、そのガスケット137の内側への水の侵入を防止している。
【0051】
また、第1のヒンジ部品110には、第2のヒンジ部品120に向いて凹に形成された軌道溝114を有する。この軌道溝114には、第2のヒンジ部品120側の軌道制御用ピン140が嵌入している。この軌道制御用ピン140は、第2のヒンジ部品120に設けられた穴123を貫通したネジ141により第2のヒンジ部品120に固定されている。
【0052】
さらに、第1のヒンジ部品110には、その周縁部分に4つのネジ穴115が設けられている。
【0053】
この第1のヒンジ部品110の裏面には、図6に示すような形状の防水用両面テープ132が置かれる。この防水用両面テープ132は、その中央部分に、第1のヒンジ部品110に形成された環状溝113および軌道溝114の裏面側の突起を避けるように形成された大きな穴132aを有し、さらにその周囲に、ネジ131を貫通させるための4つの穴132bを有する。第1のヒンジ部品110の裏面110には、その防水用両面テープ132が置かれ、さらにその第1のヒンジ部品110との間にその防水用両面テープ132を挟むように、第1のケース200(図6には不図示、図5参照)が置かれ、その第1のケース200が4本のネジ131で、防水用両面テープ132を間に挟んで第1のヒンジ部品110にネジ止めされる。第1のヒンジ部品110のネジ穴115は、その第1のヒンジ部品110の表裏に貫通したネジ穴であり、このネジ穴115にネジ131が螺入されていてもこのままでは水圧がかかるとそのネジ穴115から水が侵入するおそれがあり、したがってここでは、ネジ穴115の表面側(第2のヒンジ部品120側)がネジ穴防水テープ136で塞がれる。
【0054】
次に第2のヒンジ部材120について説明する。
【0055】
第2のヒンジ部材120は、その中央部分に第2のヒンジ部材120の表裏に貫通した穴121aを有し第1のヒンジ部品110側に突出した筒状突起121を有する。この筒状突起121は、第1のヒンジ部品110に形成された長穴111に挿入され、その長穴111の周囲に形成された縁部112に係止されて抜け止めされる。具体的には、その縁部112の裏面側(第2のヒンジ部品120側を向いた表面に対する裏面)には、摺動用スペーサ138が置かれ、筒状突起121は長穴111を貫通するとともに長穴111に入り込む大きさのスペーサ134を貫通し、さらにカシメ部品133が貫通してその状態でカシメ加工される。これにより筒状突起121は、長穴111を貫通した状態のまま縁部112に係止されて長穴111からの抜けが防止される。ただし、この筒状突起121は長穴111に挿入された状態で、長穴111の長手方向に移動し、また回転することができる。
【0056】
ここで、筒状突起121の穴121aには、信号伝達用のケーブル(図示せず)が通され、そのケーブルは、第1のケース300に形成された開口301を通ってその第1のケース300を含む支持ユニット30(図1〜図4参照)の内部にまで延びるとともに、第2のケース400に形成された開口401を通ってその第2のケース400を含む表示ユニット40(図1〜図4参照)の内部にまで延びている。
【0057】
第2のヒンジ部品120の、中央の筒状突起121の周囲には、前述したように、第1のヒンジ部品110に形成された環状溝113に嵌入したガスケット137の摺動を受ける摺動面122を有する。この摺動面122は、第1のヒンジ部品110と第2のヒンジ部品120の相対的な移動軌跡の全域で、ガスケット137の環状の全周を受ける広がりを有するものであり、第1のヒンジ部品110と第2のヒンジ部品120が相対的にどのような姿勢にあってもガスケット137の内側への水の侵入が防止される。この摺動面122には、ガスケット137が押圧されることによる防水性と第1のヒンジ部品110と第2のヒンジ部品120が相対的に回転およびスライドする際の動きの円滑さを高い次元で両立させるために、テフロン(登録商標)加工等の表面処理が施されている。あるいはこのような表面処理に代えて、摺動面122にテフロン(登録商標)テープ等低摩擦部品が貼着されていてもよく、あるいはグリス塗布により同等の性能を与えてもよい。
【0058】
また、第2のヒンジ部品120には、これも前述したようにネジ141が貫通する穴123を有し、その穴123を貫通したネジ141により軌道制御用ピン140が第2のヒンジ部品120に固定され、この軌道制御用ピン140は、第1のヒンジ部品110に形成された軌道溝114に嵌入し、その軌道溝114に案内される。この軌道制御用ピン140は、軌道溝114に嵌入してその軌道溝114の底面に接し、第1のヒンジ部品110と第2のヒンジ部品120との間隔の規制の一翼も担っている。
【0059】
ここで、第1のヒンジ部品110と第2のヒンジ部品120は、長穴111に筒状突起121が入り込んでその筒状突起121がその長穴111に案内されることと軌道溝114内に軌道制御用ピン140が入り込んでその軌道制御用ピン140が軌道溝114に案内されることで、第1のヒンジ部品110と第2のヒンジ部品120の相対的な姿勢変化の軌道が定められている。
【0060】
また、第2のヒンジ部品120にはその周縁部分に4つのネジ穴124が形成されている。第2のヒンジ部品120の裏面(第1のヒンジ部品110に向けた面を表面とし、その反対側の裏面)には、筒状突起121の穴121aを避けるように穴142aが形成された防水用両面テープ142が配置され、さらに第2のヒンジ部品120との間に防水用両面テープ142を挟むように第2のケース300(図6には不図示、図5参照)が配置され、第2のケース300が、4本のネジ143により、防水用両面テープ142と、各ネジ143に対応し各ネジ143が貫通した、円環状のネジ穴防水テープ144とを間に挟んだ状態で、第2のヒンジ部品120にネジ止め固定される。この第2のヒンジ部品120に形成されたネジ穴124は、第2のヒンジ部品120の表裏に貫通しており、第1のヒンジ部品110のネジ穴115の場合と同様、ネジ穴124からの水の侵入を防止するため、ネジ穴124の表側(第1のヒンジ部品110側)の開口がネジ穴防水テープ139で塞がれている。
【0061】
図7は、図5(B)に示すヒンジモジュールの断面の一部分の拡大図、図8は、図7の円R1内を更に拡大して示した図である。
【0062】
第2のヒンジ部品120に形成された筒状突起121は、スペーサ134およびカシメ部品133を挟んでカシメ加工されており、また、カシメ部品133と第1のヒンジ部品110との間には摺動用スペーサ138が介在している。スペーサ134は、第1のヒンジ部品110と第2のヒンジ部品120との間隔を定める役割りを担っており、このスペーサ134をカシメ部品133とは別部品としておき、製造段階でそのスペーサ134の厚さを適切に選択することにより、第1のヒンジ部品110と第2のヒンジ部品120の間隙寸法が適切に設定される。
【0063】
また摺動用スペーサ138は摩擦抵抗の低い、例えばポリアセタール(POM)等の材料のものが使用され、長穴111内での筒状突起121のスライドや回転を円滑にしている。
【0064】
図9は、摺動用スペーサの変形例を示す図である。
【0065】
摺動用スペーサ138は、カシメ部品133との間で摺動するが、図9に示す変形例の場合、その摺動用スペーサ138のカシメ部品133側の摺動面が円弧状に形成されている。このような円弧状に形成すると摩擦抵抗を更に低減させ、さらに円滑な動きが可能となる。
【0066】
尚、摺動用スペーサは、カシメ部品133の外形に適合した形状とし、カシメ部品133に固定してもよく、その場合は摺動用スペーサ138は第1のヒンジ部品110との間で摺動することになり、この場合は、摺動用スペーサ138の、第1のヒンジ部品110側の面を円弧状に形成することが好ましい。
【0067】
図10は、図5(C)に示すヒンジモジュールの断面の一部分の拡大図、図11は、第1のヒンジ部品の第2のヒンジ部品側の面を示した斜視図である。
【0068】
図11は軌道溝114の説明用であり、この軌道溝114は深さが一定の凹形状を有している。
【0069】
ここで、図10には、軌道溝114に軌道制御用ピン140が入り込み、その軌道制御用ピン140が軌道溝の底面に接している状態が示されている。このように、ネジ141および軌道溝制御用ピン140の寸法を、ネジ141で軌道溝制御用ピン140を取り付けたときに、その軌道制御用ピン140が軌道溝114の底面に接する長さに形成しておくことによって、この軌道制御用ピン140に、軌道溝114に案内されて回転やスライドの動作を規定する役割りに加え、さらに第1のヒンジ部品110と第2のヒンジ部品120の間隔を規定する役割りを担わせることができる。
【0070】
図12は、図5(A)にも示すヒンジモジュールの平面図であり、図13の切断面を示すために再掲した図、図13は、図12に示す矢印A−Aの断面の一部分の拡大図である。
【0071】
図13に示すように第1のケース300と第1のヒンジ部品110とをネジ131でネジ止めするための、第1のヒンジ部品110に形成されたネジ穴115は、第2のヒンジ部品120側の開口が広がっており、その開口には、ネジ穴防水テープ136が貼着されている。これにより、ネジ穴115からの浸水や塵埃の侵入が防止される。
【0072】
尚、ここでは、第1のヒンジ部品110のネジ穴115とそのネジ穴115を塞ぐネジ穴防水テープ136について説明したが、図6に示す第2のヒンジ部品120のネジ穴124とそのネジ穴124を塞ぐネジ穴防水テープ139についても同様である。
【0073】
図14は、付勢バネを明示的に示した図である。図14(A)では第1のケース300に対し第2のケース400が立設した状態にあり、図14(B)では第1のケース300に対し第2のケース400が横に倒れた状態にある。
【0074】
ここにはバネ144が示されており、このバネ144は、筒状突起121を、長穴111内の、常に軌道溝114に寄った方向(図に示す矢印X方向)に付勢している。このため、第2のケース400を矢印Y方向に回転させようとしたとき、回転途中で手を離しても、第2のケース400は、図14(A)に示す立設した位置又は図14(B)に示す横に倒れた位置に自ずと移動する。したがって、第2のケース400は、図14(A)に示す立位置、図14(B)に示す横位置、および、図示は省略したが、第2のケース400が図14(B)とは逆方向に倒れた横位置の3つの位置で安定することになる(図1〜図3参照)。
【0075】
尚、この図14ではコイルバネを示したがコイルバネに限らず板バネ等を用いてもよく、また、この図14に示すバネの取付位置は一例であって、バネの取付位置はそのバネの形状等に応じて変更される。
【0076】
次に上記の実施形態の変形例について説明する。
【0077】
図15は、第1のヒンジと第2のヒンジとを組み合わせた状態の斜視図、図16は、第1のヒンジ部品の、第2のヒンジ部品側を向いた面を示す斜視図である。
【0078】
ここで、図15(A)は、第2のヒンジ部品側から見た斜視図、図15(B)は、第1のヒンジ部品側から見た斜視図である。
【0079】
また、図17は、第1のヒンジ部品と第2のヒンジ部品とを組合せた状態を示す図であり、図17(A)は第1のヒンジ部品側から見た平面図、図17(B)は図17(A)に示す矢印A−Aに沿う断面図、図17(C)は、図17(A)に示す矢印B−Bに沿う断面図である。
【0080】
さらに、図18は、図17(B)に示す断面図の一部分の拡大図である。
【0081】
これらの図15〜図18に示すように、長穴111の端面には潤滑性の良い樹脂からなる摺動部材151が配置されており、またこれと同様に軌道溝114の側壁にも潤滑性の良い樹脂からなる摺動部材152が配置されている。ここで潤滑性の良い摺動部材151,152としては、例えばポリアセタール(POM)やテフロン(登録商標)樹脂などが利用可能である。
【0082】
この摺動部材151を長穴111の端面に配置すると、第1のヒンジ部品110の長穴111と第2のヒンジ部品120の筒状突起121との間の摩擦が低減され、また、摺動部材152を軌道溝114の側壁に配置すると、第1のヒンジ部品110の軌道溝114と第2のヒンジ部品120側の軌道制御用ピン140との間の摩擦が低減され、いずれの場合も、第1のヒンジ部品110と第2のヒンジ部品120の相対的な回転やスライドの動作が一層円滑となる。
【0083】
また、前述の実施形態では、図6に示す防水用両面テープ132で第1のケース300(図5参照)と第1のヒンジ部品110との間の防水を担い、もう1つの防水用両面テープ142で、第2のケース400(図5参照)と第2のヒンジ部品120との間の防水を担っているが、それらの両面テープ132,142に代えて、第1のケース300がその第1のケースの開口301の周りを一巡する形状の防水用シール又は接着剤層を挟んで第1のヒンジ部品110に固定され、これと同様に、第2のケース400がその第2のケースの開口401の周りを一巡する形状の防水用シール又は接着剤層を挟んで第2のヒンジ部品120に固定され、これにより、第1のケース300と第1のヒンジ部品110との間、および、第2のケース400と第2のヒンジ部品120との間の防水性を確保してもよい。あるいは、さらに別の変形例として、第1のケース300が、その第1のケースの開口301を一巡する形状に第1のヒンジ部品110に熱溶着されることにより、第1のケースの開口301への水の侵入が防止されたものであり、第2のケース400が、その第2のケースの開口401を一巡する形状に、第2のヒンジ部品120に熱溶着されることにより、その第2のケースの開口401への水の侵入が防止されたものであってもよい。
【0084】
このように、第1のケース300と第1のヒンジ部材110との間、および第2のケース400と第2のヒンジ部材120との間は、様々な手段により防水性を確保することができる。
【0085】
尚、ここでは、本発明の防水型電子機器の一例として携帯電話機について説明したが、本発明は、携帯電話機に限られるものではなく、回転とスライドとの双方の動きを必要とする電子機器に広く採用することができる。
【0086】
以下、本発明の各種形態を付記する。
【0087】
(付記1)
第1のヒンジ部品と、該第1のヒンジ部品に対向する第2のヒンジ部品を備え、
前記第1のヒンジ部品が、表裏に貫通した長穴と、該長穴との間に該長穴を取り巻く縁部を形成して該縁部を一周に渡って取り巻く、前記第2のヒンジ部品に向いて凹に形成された環状溝とを有し、該環状溝内に、防水用の環状のガスケットが、該ガスケットの厚み方向の一部が前記第2のヒンジ部品側に食み出した状態に装入されたものであり、
前記第2のヒンジ部材が、中央に表裏に貫通した穴を有し前記第1のヒンジ部品側に突出して前記長穴に挿入され前記縁部に係止されて抜け止めされるとともに該長穴の長手方向に移動自在な筒状突起と、該筒状突起の周囲に広がって前記ガスケットの摺動を受ける摺動面とを有することを特徴とする防水型ヒンジモジュール。
【0088】
(付記2)
前記第1のヒンジ部品および前記第2のヒンジ部品のうちの一方のヒンジ部品が、他方のヒンジ部品に向いて凹に形成された軌道溝を有し、他方のヒンジ部品が前記軌道溝内に入り込む軌道制御用ピンを有し、前記第1のヒンジ部品および前記第2のヒンジ部品が、前記長穴による前記筒状突起の案内と、前記軌道溝による前記軌道制御用ピンの案内とにより、相対的な姿勢変化の軌道が定められてなるものであることを特徴とする付記1記載の防水型ヒンジモジュール。
【0089】
(付記3)
前記筒状突起が、摺動用スペーサを介在させて前記縁部に係止されたものであることを特徴とする付記1又は2記載の防水型ヒンジモジュール。
【0090】
(付記4)
前記摺動用スペーサの、前記筒状突起が前記長穴内で移動したときに隣接部品との間で摺動する側の面が、弧状に形成されていることを特徴とする付記3記載の防水型ヒンジモジュール。
【0091】
(付記5)
前記摺動面が、前記第1のヒンジ部品と前記第2のヒンジ部品の相対的な移動軌跡の全域で、前記ガスケットの環状の全周を受ける広がりを有するものであることを特徴とする付記1又は2記載の防水型ヒンジモジュール。
【0092】
(付記6)
前記軌道制御用ピンが前記軌道溝底面に接する長さを有し、前記第1のヒンジ部品と前記第2のヒンジ部品との間隔の規制を担うものであることを特徴とする付記2記載の防水型ヒンジモジュール。
【0093】
(付記7)
前記第1ヒンジ部品が、前記長穴の端面に配置された摺動用部材を有するものであることを特徴とする付記1又は2記載の防水型ヒンジモジュール。
【0094】
(付記8)
前記一方のヒンジ部品が、前記軌道溝側壁に配置された摺動用部材を有するものであることを特徴とする付記2記載の防水型ヒンジモジュール。
【0095】
(付記9)
前記摺動面が、前記ガスケットとの摺動摩擦低減処理が施された面であることを特徴とする付記1又は2記載の防水型ヒンジモジュール。
【0096】
(付記10)
前記筒状突起が、前記第1のヒンジ部品と前記第2のヒンジ部品との間隔を規定するスペーサを挟んで前記縁部に係止されたものであることを特徴とする付記1又は2記載の防水型ヒンジモジュール。
【0097】
(付記11)
前記筒状突起を前記長穴の一方の端に向けて付勢する付勢部材を有することを特徴とする付記1又は2記載の防水型ヒンジモジュール。
【0098】
(付記12)
前記付勢部材がバネであることを特徴とする付記11記載の防水型ヒンジモジュール。
【0099】
(付記13)
付記1から3のうちのいずれか1項記載のヒンジモジュールを有する電子機器であって、
前記長穴に連通する第1の開口を有し前記第1のヒンジ部品に固定された第1のケースと、
前記筒状突起の穴に連通する第2の開口を有し前記第2のヒンジ部品に固定された第2のケースと、
前記第1の開口、前記筒状突起の穴、および前記第2の開口を通って前記第1のケース内部と前記第2のケース内部との間に延びるケーブルとを有することを特徴とする電子機器。
【0100】
(付記14)
前記第1のケースが、前記第1の開口の周りを一巡する形状の第1の防水用両面テープを挟んで前記第1のヒンジ部品に固定されたものであり、
前記第2のケースが、前記第2の開口の周りを一巡する形状の第2の防水用両面テープを挟んで前記第2のヒンジ部品に固定されたものであることを特徴とする付記13記載の電子機器。
【0101】
(付記15)
前記第1のケースが、前記第1の開口の周りを一巡する形状の第1の防水用シール又は接着剤を挟んで前記第1のヒンジ部品に固定されたものであり、
前記第2のケースが、前記第2の開口の周りを一巡する形状の第2の防水用シール又は接着剤を挟んで前記第2のヒンジ部品に固定されたものであることを特徴とする付記13記載の電子機器。
【0102】
(付記16)
前記第1のケースが、前記第1の開口を一巡する形状に前記第1のヒンジ部品に熱溶着されることにより、該第1の開口への水の侵入が防止されたものであり、
前記第2のケースが、前記第2の開口を一巡する形状に、前記第2のヒンジ部品に熱溶着されることにより、該第2の開口への水の侵入が防止されたものであることを特徴とする付記13記載の電子機器。
【0103】
(付記17)
前記第1のケースがネジ止め用の第1の貫通穴を有するとともに前記第1のヒンジ部品が貫通した第1のネジ穴を有し、該第1のケースが、該第1のヒンジ部品に、該第1の貫通穴と該第1のネジ穴とを使ってネジ止めされたものであって、該第1のヒンジ部品が、該第1のネジ穴の前記第2のヒンジ部品側の開口を塞ぐ第1の防水部材を有し、
前記第2のケースがネジ止め用の第2の貫通穴を有するとともに前記第2のヒンジ部品が貫通した第2のネジ穴を有し、該第2のケースが、前記第2のヒンジ部品に、該第2の貫通穴と該第2のネジ穴を使ってネジ止めされたものであって、該第2のヒンジ部品が、該第2のネジ穴の前記第1のヒンジ部品側の開口を塞ぐ第2の防水部材を有することを特徴とする付記13又は14記載の電子機器。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】表示ユニットを立てた状態を示す斜視図である。
【図2】表示ユニットを左に倒した状態を示す斜視図である。
【図3】表示ユニットを右に倒した状態を示す斜視図である。
【図4】本体ユニット上に表示ユニットを閉じた状態の斜視図である。
【図5】図1〜図4に示す携帯電話機の支持ユニットと表示ユニットとの間に配置されたヒンジモジュールを示す図である。
【図6】ヒンジモジュールの分解斜視図である。
【図7】図5(B)に示すヒンジモジュールの断面の一部分の拡大図である。
【図8】図7の円R1内を更に拡大して示した図である。
【図9】摺動用スペーサの変形例を示す図である。
【図10】図5(C)に示すヒンジモジュールの断面の一部分の拡大図である。
【図11】第1のヒンジ部品の第2のヒンジ部品側の面を示した斜視図である。
【図12】図5(A)に示すヒンジモジュールの平面図であり、切断面を示すために再掲した図である。
【図13】図12にも示す矢印A−Aの断面の一部分の拡大図である。
【図14】付勢バネを明示的に示した図である。
【図15】第1のヒンジと第2のヒンジとを組み合わせた状態の斜視図である。
【図16】第1のヒンジ部品の、第2のヒンジ部品側を向いた面を示す斜視図である。
【図17】第1のヒンジ部品と第2のヒンジ部品とを組合せた状態を示す図である。
【図18】図17(B)に示す断面図の一部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0105】
10 携帯電話機
20 本体ユニット
21 キー
30 支持ユニット
31 ヒンジ
32 第1のカメラ
33 第2のカメラ
34 台座部
40 表示ユニット
41 メイン画面
42 サブ画面
43 下端左角
100 ヒンジモジュール
110 ヒンジ部品
111 長穴
112 縁部
113 環状溝
114 軌道溝
115,124 ネジ穴
120 第2のヒンジ部品
121 筒状突起
121a,123,132b 穴
122 摺動面
131,141 ネジ
132,142 防水性両面テープ
133 カシメ部品
134 スペーサ
136,139 ネジ穴防水テープ
137 ガスケット
138 摺動用スペーサ
140 軌道制御用ピン
144 バネ
151,152 摺動部材
300 第1のケース
400 第2のケース
301,401 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のヒンジ部品と、該第1のヒンジ部品に対向する第2のヒンジ部品を備え、
前記第1のヒンジ部品が、表裏に貫通した長穴と、該長穴との間に該長穴を取り巻く縁部を形成して該縁部を一周に渡って取り巻く、前記第2のヒンジ部品に向いて凹に形成された環状溝とを有し、該環状溝内に、防水用の環状のガスケットが、該ガスケットの厚み方向の一部が前記第2のヒンジ部品側に食み出した状態に装入されたものであり、
前記第2のヒンジ部材が、中央に表裏に貫通した穴を有し前記第1のヒンジ部品側に突出して前記長穴に挿入され前記縁部に係止されて抜け止めされるとともに該長穴の長手方向に移動自在な筒状突起と、該筒状突起の周囲に広がって前記ガスケットの摺動を受ける摺動面とを有することを特徴とする防水型ヒンジモジュール。
【請求項2】
前記第1のヒンジ部品および前記第2のヒンジ部品のうちの一方のヒンジ部品が、他方のヒンジ部品に向いて凹に形成された軌道溝を有し、他方のヒンジ部品が前記軌道溝内に入り込む軌道制御用ピンを有し、前記第1のヒンジ部品および前記第2のヒンジ部品が、前記長穴による前記筒状突起の案内と、前記軌道溝による前記軌道制御用ピンの案内とにより、相対的な姿勢変化の軌道が定められてなるものであることを特徴とする請求項1記載の防水型ヒンジモジュール。
【請求項3】
前記筒状突起を前記長穴の一方の端に向けて付勢する付勢部材を有することを特徴とする請求項1又は2記載の防水型ヒンジモジュール。
【請求項4】
請求項1から3のうちのいずれか1項記載のヒンジモジュールを有する電子機器であって、
前記長穴に連通する第1の開口を有し前記第1のヒンジ部品に固定された第1のケースと、
前記筒状突起の穴に連通する第2の開口を有し前記第2のヒンジ部品に固定された第2のケースと、
前記第1の開口、前記筒状突起の穴、および前記第2の開口を通って前記第1のケース内部と前記第2のケース内部との間に延びるケーブルとを有することを特徴とする電子機器。
【請求項5】
前記第1のケースが、前記第1の開口の周りを一巡する形状の第1の防水用両面テープを挟んで前記第1のヒンジ部品に固定されたものであり、
前記第2のケースが、前記第2の開口の周りを一巡する形状の第2の防水用両面テープを挟んで前記第2のヒンジ部品に固定されたものであることを特徴とする請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1のケースがネジ止め用の第1の貫通穴を有するとともに前記第1のヒンジ部品が貫通した第1のネジ穴を有し、該第1のケースが、該第1のヒンジ部品に、該第1の貫通穴と該第1のネジ穴とを使ってネジ止めされたものであって、該第1のヒンジ部品が、該第1のネジ穴の前記第2のヒンジ部品側の開口を塞ぐ第1の防水部材を有し、
前記第2のケースがネジ止め用の第2の貫通穴を有するとともに前記第2のヒンジ部品が貫通した第2のネジ穴を有し、該第2のケースが、前記第2のヒンジ部品に、該第2の貫通穴と該第2のネジ穴を使ってネジ止めされたものであって、該第2のヒンジ部品が、該第2のネジ穴の前記第1のヒンジ部品側の開口を塞ぐ第2の防水部材を有することを特徴とする請求項4又は5記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−197987(P2009−197987A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43336(P2008−43336)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】