障害物検出装置
【課題】近距離においても物標の位置を精度良く得る。
【解決手段】センサ2で物標を検出する障害物検出装置1において、センサ2により物標が検出されていた状態から該物標が検出できない状態となったときに、センサ2により物標が検出されていた状態のときの該物標の位置及び速度情報と、センサ2で物標を検出することができなくなったときからの経過時間と、から、センサ2により物標を検出できないときの該物標の位置を推定する推定手段83を備える。
【解決手段】センサ2で物標を検出する障害物検出装置1において、センサ2により物標が検出されていた状態から該物標が検出できない状態となったときに、センサ2により物標が検出されていた状態のときの該物標の位置及び速度情報と、センサ2で物標を検出することができなくなったときからの経過時間と、から、センサ2により物標を検出できないときの該物標の位置を推定する推定手段83を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自車両の推定進路内に占める障害物の大きさ及び該障害物との相対速度に基づいて制動を開始するタイミングを変化させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、自車両と障害物との相対速度が低い場合において、自車両が障害物に衝突するか否かの判定を精度良く行うためには、相対速度が高い場合と比較して、より近い距離まで障害物の位置を精度良く検出する必要がある。また、衝突直前まで障害物の位置を正確に求めることができれば、障害物と適正な距離を保って自車両を停止させることが可能となる。
【0004】
しかし、障害物が至近距離にある場合には、レーダ等のセンサではレーダ波の送信から反射波の受信までの時間が短くなるために、障害物の位置の検出精度が低下する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−132867号公報
【特許文献2】特開2008−302850号公報
【特許文献3】特開2007−274037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、近距離においても物標の位置を精度良く得ることができる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために本発明による障害物検出装置は、以下の手段を採用した。すなわち、本発明による障害物検出装置は、
センサで物標を検出する障害物検出装置において、
前記センサにより物標が検出されていた状態から該物標が検出できない状態となったときに、前記センサにより物標が検出されていた状態のときの該物標の位置及び速度情報と、前記センサで物標を検出することができなくなったときからの経過時間と、から、前記センサにより物標を検出できないときの該物標の位置を推定する推定手段を備えることを特徴とする。
【0008】
すなわち、センサにより物標が検出できない状態のときには、物標の位置を推定することで、物標の位置を補完している。推定手段は、物標がセンサに対してどのように相対移動していたのかに基づいて物標の位置を推定している。例えば、センサにより物標が検出できない状態となる直前に物標が相対移動していた状態が、そのまま継続しているものとする。そして、その後の経過時間に応じて位置を推定することができる。なお、速度情報には、センサの速度(センサが搭載されている自車両の速度としても良い。)及び物標の速度を含むことができる。物標の速度は0であっても良い。また、速度情報には、加速度又は速度の方向、曲率半径も含むことができる。
【0009】
本発明においては、前記物標が検出できない状態となったときとは、前記センサの性能が保証されている最近の距離よりも物標の距離が近くなったときであっても良い。
【0010】
この最近の距離よりも物標の距離が近くなると、たとえセンサにより物標を検出することができても、その情報は保証されたものではないため、信頼性が低い。したがって、このような状態のときには、センサに検出される情報は用いずに、代わりに推定手段による推定を行なう。これにより、物標の位置を精度良く得ることができる。
【0011】
本発明においては、前記物標が検出できない状態となったときとは、物標を見失ったときであっても良い。
【0012】
これは、センサにより物標が検出されない状態である。これは、実際に物標が存在しないことにより物標が検出されない場合もあれば、実際には物標が存在しているにも関わらず該物標が検出されない場合もある。このようなときに物標の位置を推定すれば、物標の位置を精度良く得ることができる。
【0013】
本発明においては、前記推定手段は、物標との相対速度に基づいて該物標の位置を推定することができる。
【0014】
これは、センサにより実際に検出される物標との相対速度である。この相対速度によれば、センサと物標との距離がどのように変化するのか分かるため、該物標の位置を推定すること可能となる。
【0015】
また、本発明においては、前記推定手段は、旋回半径を加味して物標の位置を推定することができる。
【0016】
この旋回半径とは、センサの旋回半径である。なお、障害物検出装置の旋回半径としても良く、障害物検出装置が搭載されている自車両の旋回半径としても良い。センサが旋回していれば、該センサに対する物標の相対位置が変化するため、旋回半径を加味して物標の位置を推定すれば、精度の向上を図ることができる。例えば、センサにより物標が検出できない状態となる直前のセンサの旋回半径が、その後も継続しているものとする。
【0017】
本発明においては、前記推定手段は、前記物標が検出できない状態となった後で、前記センサにより離反する物標が検出されたときには、物標の位置の推定を終了させることができる。
【0018】
この場合、検出できない状態となった物標と、センサにより検出される離反する物標と、は同じ物標であると考えられる。また、離反する物標が検出されたということは、センサと離反する物標との間に他の物標が存在しないともいえる。そして、センサにより物標を検出することが可能であれば、該センサにより物標を検出すれば良いため、物標の位置の推定を終了させることができる。
【0019】
本発明においては、前記推定手段は、前記物標が検出できない状態となった後で、前記センサにより距離が閾値よりも大きな物標が検出されたときには、物標の位置の推定を終了させることができる。
【0020】
物標が進路変更又は右左折することにより、センサの検出範囲外に移動すれば、センサにより該物標を検出できない状態となる。ここで、物標が複数存在していた場合に、一方の物標の影に他方の物標が入ることにより、該他方の物標が検出されない場合がある。この場合、一方の物標がセンサの検知範囲外に移動すれば、他方の物標が検出される。この
検出される他方の物標はある程度離れた位置に存在している。すなわち、他方の物標が検出される距離の下限値を閾値として予め設定しておけば、センサにより検出される距離に基づいて、他方の物標が検出されたか否か判定できる。そして、他方の物標が検出されたときには、一方の物標は既に存在していないため、該物標の位置の推定は終了させることができる。
【0021】
本発明においては、前記推定手段により推定される物標の位置と、前記センサで検出される物標の位置と、を所定の割合でフュージョンする、フュージョン手段を備えることができる。
【0022】
ここで、センサの性能が保証されている最近の距離よりも物標の距離が近くなったときであっても、該センサにより物標の位置を検出することができる場合もある。ただし、このときに検出される物標の位置は、保証されたものではないが、物標のおおよその位置を得ることはできる。一方、センサにより物標が検出できない状態となった後に該物標の速度や進行方向が変化すると、物標の位置の推定精度が低下する。そこで、推定手段により推定される物標の位置と、センサで検出される物標の位置と、をフュージョンさせることにより、複数の検出結果に基づいて物標の位置を求めることができるので、物標の検出精度を向上させることができる。例えば、推定手段により推定される物標の位置と、センサで検出される物標の位置と、を結ぶ線分を所定の割合で分ける点の位置をフュージョン手段により得られる物標の位置とする。
【0023】
なお、所定の割合は、一定の値であっても良いが、変化させても良い。例えば、前記センサで物標を検出することができなくなったときからの経過時間が長いほど、前記センサで検出される物標の位置の影響度が低くなるようにしても良い。センサで物標を検出することができなくなった直後では、センサによる検出値の精度は高い。したがって、センサで検出される物標の位置の割合を高くしてフュージョンさせれば、精度を高くすることができる。また、速度や距離に応じて変化させても良い。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、近距離においても物標の位置を精度良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例に係る障害物検出装置を示すブロック図である。
【図2】補完フラグがONとなるときの条件を示した図である。
【図3】補完フラグがONとなるときの条件を示した図である。
【図4】補完フラグがONとされた後にOFFとされるときの条件を示した図である。
【図5】補完フラグがONとされた後にOFFとされるときの条件を示した図である。
【図6】物標の位置を推定するときの概要を示した図である。
【図7】物標の位置を推定するときの概要を示した図である。
【図8】物標の位置を推定するときの概要を示した図である。
【図9】フュージョン位置を求めるときの概要を示した図である。
【図10】物標の位置の推定開始からの経過時間と混合割合Cとの関係の一例を示した図である。
【図11】実施例に係る障害物検出装置が作動するときのフローを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る障害物検出装置の具体的な実施態様について図面に基づいて説明す
る。
【実施例1】
【0027】
図1は、本実施例に係る障害物検出装置1を示すブロック図である。本実施例に係る障害物検出装置1は、道路を走行する自車両に搭載されて、自車両前方の他車両等の物標(障害物)を検出する装置である。なお、本実施例では、物標として自車両前方の他車両を例に挙げて説明する。
【0028】
障害物検出装置1は、ミリ波レーダ2、レーダECU3、操舵角センサ4、ヨーレートセンサ5、車輪速センサ6、システムECU8を備えて構成されている。
【0029】
ミリ波レーダ2は、自車両の前部に設けられて、自車両の前方に存在する物標の自車両からの方向及び距離を検出するものである。ミリ波レーダ2は、自車両の前方の所定範囲においてミリ波を走査して、その反射波を受信することにより、反射波を検出した夫々の方向について、物標までの距離を検出する。このミリ波レーダ2による検出は所定時間毎に行われる。ミリ波レーダ2は、検出した方向及び距離に応じた信号をレーダECU3に逐次出力する。
【0030】
ここで、ミリ波レーダ2には、最低保証距離が設定されている。この最低保証距離よりも近い距離では、ミリ波レーダ2の検出精度が低下するために該ミリ波レーダ2の性能が保証されない。このため、本実施例では、最低保証距離よりも近い距離では、ミリ波レーダ2の検出精度が低下するものとして扱う。
【0031】
なお、本実施例ではミリ波レーダ2が、本発明におけるセンサに相当する。また、本実施例では、物標の検出をミリ波レーダ2により行うが、物標の距離や速度を検出可能な他のセンサを用いても良い。
【0032】
レーダECU3は、自車両の前方に存在する物標の自車両に対する位置を演算するものであり、例えばCPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成される。レーダECU3は、物標相対位置演算部31及び物標相対速度演算部32を備えている。
【0033】
物標相対位置演算部31は、ミリ波レーダ2から出力される信号を逐次取得し、この信号に基づいて自車両の前方に物標が存在する場合に該物標を検出する。また、物標相対位置演算部31は、検出した物標の自車両に対する位置(相対位置)を演算する。相対位置は、距離及び横位置で示される。物標が自車両の斜め前方に位置するときには、実際の距離を、自車両の進行方向成分と、自車両の真横方向成分(進行方向と直交する方向成分)と、に分けて考える。そして、自車両の進行方向の成分を「距離」とし、自車両の右側の真横方向の成分を「横位置」として求める。物標相対位置演算部31は、この演算結果に応じた信号をシステムECU8へ出力する。
【0034】
物標相対速度演算部32は、検出した物標の自車両に対する速度を演算する。物標相対速度演算部32は、この演算結果に応じた信号をシステムECU8へ出力する。なお、単に物標の速度を演算しても良い。
【0035】
なお、ミリ波レーダ2及びレーダECU3は、物標の情報を取得する手段として機能する。
【0036】
操舵角センサ4は、自車両のステアリングシャフトに設けられて、自車両のステアリングの操舵角を検出するセンサである。操舵角センサ4は、ロータリエンコーダ等を備えており、自車両の運転者が入力した操舵角の方向及び大きさを検出する。また、操舵角セン
サ4は、検出した操舵角の方向及び大きさに応じた操舵角信号をシステムECU8へ出力する。
【0037】
ヨーレートセンサ5は、自車両の一部に設けられ、自車両のヨーレートを検出するセンサである。ヨーレートセンサ5は、自車両のヨーレートを検出し、検出したヨーレートに応じた信号をシステムECU8へ出力する。
【0038】
車輪速センサ6は、自車両の各車輪に設けられて、車輪速パルスを検出するセンサである。車輪速センサ6は、各車輪における車輪速パルスを夫々検出し、検出した車輪速パルスに応じた車輪速パルス信号をシステムECU8へ出力する。
【0039】
なお、操舵角センサ4、ヨーレートセンサ5、車輪速センサ6は、自車両の情報を取得する手段として機能する。
【0040】
システムECU8は、検出又は推定される物標の位置に応じて警報等を行なうか否か判定するものであり、例えばCPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されている。システムECU8は、レーダECU3、操舵角センサ4、ヨーレートセンサ5、車輪速センサ6の夫々から出力される信号を取得し、取得した各信号に基づいて所定の処理を実行することにより、警報等を行なうか否か判定する。このシステムECU8は、補完フラグ演算部81、補完フラグキャンセル演算部82、推定位置演算部83、フュージョン位置演算部84、及び衝突判定演算部85を備えている。
【0041】
補完フラグ演算部81は、補完フラグの設定を行なう。補完フラグとは、物標の位置をミリ波レーダ2により検出する代わりに、演算により推定するか否かを示すフラグである。補完フラグがONのときには、物標の位置を推定し、補完フラグがOFFのときには、物標の位置をミリ波レーダ2により検出する。
【0042】
図2及び図3は、補完フラグがONとなるときの条件を示した図である。距離及び横位置の基準点は、ミリ波レーダ2が取り付けられている箇所である。図2は、物標と自車両との距離が最低保証距離よりも短くなった場合を示している(以下同じ)。ここで、ミリ波レーダ2には、最低保証距離が設定されているが、この最低保証距離はミリ波レーダ2の個体差によるばらつきを考慮して決定される。そのため、最低保証距離より短い距離であっても正確に位置を検出できるものもある。しかし、その精度は保証されていないため、最低保証距離よりも短い距離では、ミリ波レーダ2により検出される位置ではなく、推定される位置を用いる。図2では、自車両が物標に接近しているために、物標の相対速度が負の値となる。そして、最低保証距離未満まで物標が接近したときに補完フラグがONとされる。
【0043】
また、図3は、ミリ波レーダ2により検出されていた物標を見失った場合を示している。ミリ波レーダ2により検出されていた物標を見失った場合において、そのときの物標の距離が離れていれば衝突する虞はないが、近距離の場合には衝突する虞がある。このため、近距離で物標を見失った場合には、位置の推定を行なうようにしている。図3では、自車両が物標に接近しているために、物標の相対速度が負の値となる。そして、途中で物標を見失うことによりロストフラグがONとなる。ロストフラグについては後述する。
【0044】
すなわち、補完フラグがONとされる条件は以下の(1)または(2)の2通りある。そして、何れかの条件が成立したときに補完フラグがONとされる。また、何れの条件も成立しない場合には、補完フラグはOFFとされる。
(1)物標までの距離が最低保証距離未満のとき(図2参照)。
(2)ロストフラグがONのときで且つロストフラグがONとなったときの物標までの
距離が閾値A未満のとき(図3参照)。
なお、ロストフラグとは、それまで捕捉していた物標を見失ったか否かを示すフラグである。ロストフラグは、それまでミリ波レーダ2により捕捉していた物標を見失ったときにONとされ、これ以外ではOFFとされるフラグである。また、閾値Aは、物標を見失った後であっても位置を推定する必要のある距離であり、例えば最低保証距離としても良く、実験等により最適値を求めても良い。例えば、捕捉していた物標を見失った際に該物標が衝突する虞のある距離に存在していた場合には、物標の位置の推定を行なうようにする。
【0045】
補完フラグキャンセル演算部82は、補完フラグ演算部81により補完フラグがONとされた後であっても、物標が自車両に衝突する虞がなくなった場合には、補完フラグをOFFとする。
【0046】
ここで、図4及び図5は、補完フラグがONとされた後にOFFとされるときの条件を示した図である。図4は、補完フラグがONとされた後に自車両から離反する物標を検出した場合を示している。例えば渋滞中に自車両前方の至近距離に物標が停止しているときにおいて該物標の位置を推定している場合には、物標が発進して自車両から離反すれば、衝突する虞は無くなる。また、ミリ波レーダ2により物標が検出されたことにより、該物標よりもさらに近い距離に他の物標が存在することなないと判定できる。したがって、自車両の走行車線上にこのようの物標が検出されれば、物標の位置を推定する必要はないので、自車両の走行車線上に離反物となる他の物標が存在するときには、補完フラグがOFFとされる。このときの物標の相対速度は正の値であり、自車両から離反する方向である。なお、最低保証距離未満で離反する物標が検出された場合であっても補完フラグをOFFとして良い。
【0047】
また、図5は、補完フラグがONとされた後に自車両からの距離が閾値Bよりも大きな物標を検出した場合を示している。ここで、物標の位置を推定しているときに、この物標が右折または左折をして自車両の走行車線上に存在しなくなった場合には、衝突の可能性がなくなる。そして、この右左折した物標の更に前方に他の物標が存在する場合には、該他の物標が検出される。したがって、自車両から比較的遠い距離(閾値Bよりも大きな距離)に存在する他の物標が検出された場合には、該他の物標と自車両との間に存在していた物標は自車両の走行車線上から移動したと判定し、補完フラグがOFFとされる。
【0048】
すなわち、物標の位置を推定中にミリ波レーダ2で検出される他の物標に着目して、該位置を推定中の物標が自車両に衝突する可能性がなくなったか否か判定している。そして、以下の(3)または(4)に示す2つの条件のうちの何れかの条件が成立したときに補完フラグがOFFとされ、それ以外のときには補完フラグはそのままの値を維持する。
(3)自車両の走行車線上に離反物となる物標が存在するとき。
(4)自車両の走行車線上に距離が閾値Bよりも大きな物標が存在するとき。
なお、閾値Bは実験等により最適値を求める。また、(3)及び(4)のどちらの場合にも、操舵角センサ4及びヨーレートセンサ5から自車両の旋回半径を求めて、この旋回半径に基づいて自車両の走行車線を求め、この自車両の走行車線上に物標が存在するか否か判定することができる。
【0049】
推定位置演算部83は、補完フラグがONとなる直前にミリ波レーダ2により検出された情報と、自車両の情報と、を用いて物標の位置を演算する。なお、補完フラグがOFFの時には、物標の位置の演算は行なわない。
【0050】
図6、図7、図8は、物標の位置を推定するときの概要を示した図である。図6は、自車両が直進している場合を示している。また、図7は、自車両が旋回半径Rで旋回してい
る場合を示している。図8は、過去の履歴から相対速度を演算する場合を示している。
【0051】
図6においては、演算周期で1周期前の物標の距離及び横位置を夫々、Y(K−1)[m],X(K−1)[m]とし、自車両の速度をV[m/s]、演算周期をΔT[s]として、現時点での推定距離Y(K)[m]、横位置X(K)[m]を求めている。これは、以下の式で求めることができる。
X(K)=X(K−1)
Y(K)=Y(K−1)−V・ΔT
【0052】
すなわち、自車両が直進しているので、物標の横位置は変化しないものとしている。また、物標の距離は、演算周期ΔTの間にどれだけ接近したのかに基づいて演算している。このように、物標の距離及び横位置を演算していけば、演算時における物標の距離及び横位置を推定することができる。なお、物標の位置の推定を開始したときの該物標の距離から、該物標を見失ってからの経過時間に速度Vを乗じた値を減じることによっても、現時点における物標の距離を推定することができる。
【0053】
なお、上記式では自車両の直進時を想定しており、自車両の速度情報から距離のみを推定している。これに対し、自車両の操舵情報(旋回半径R)も利用することで、距離と横位置とを同時に求めることもできる(図7参照)。すなわち、物標の位置の推定を開始したときの自車両の旋回半径Rがその後も維持されているものとして、物標の距離及び横位置を演算することができる。また、過去の捕捉点の履歴から推定される相対速度から推定を行なうことも可能である(図8参照)。例えば、物標の位置の推定を開始したときの相対加速度を加味して、演算時における物標の相対速度を求め、該物標の距離及び横位置を演算することができる。
【0054】
なお、推定位置演算部83により推定される物標の位置は、そのまま用いても良いし、重み付けを行なった後に用いても良い。推定位置演算部83により推定される物標の位置は、ミリ波レーダ2の検出値に基づいて得られる物標の位置よりも信頼度が低いため、ミリ波レーダ2により実際に物標の位置を検出していたときよりも推定される物標の位置の重みを小さくする(影響度を低くする)。なお、本実施例では推定位置演算部83が、本発明における推定手段に相当する。
【0055】
次に、フュージョン位置演算部84は、物標の位置を推定しているときにミリ波レーダ2により物標が検出されている場合には、この検出されている物標の位置と、推定される位置と、を組み合わせた位置を演算する(フュージョンする)。なお、組み合わせて得られる位置をフュージョン位置と称する。
【0056】
ここで、物標までの距離が最低保証距離未満のときであっても、ミリ波レーダ2により物標の検出が可能な場合もある。しかし、このときに検出される物標の位置は保証されたものではないため、そのままでは用いない。本実施例では、推定される物標の位置と、ミリ波レーダ2により検出される物標の位置と、を組み合わせることで、物標の位置の推定精度を高めている。
【0057】
図9は、フュージョン位置を求めるときの概要を示した図である。ミリ波レーダ2により検出される横位置及び距離を夫々XM(K),YM(K)とすると、フュージョン位置(XF(K),YF(K))は以下の式で求めることができる。なお、ミリ波レーダ2で物標を捕捉することができない場合には、フュージョン位置は求めない。
XF(K)=(1−C)・X(K)+C・XM(K)
YF(K)=(1−C)・Y(K)+C・YM(K)
ただし、Cはミリ波レーダ2により検出される位置情報を用いる割合(混合割合)であ
り、最適値は実験により求めておく。混合割合Cが高いほど、ミリ波レーダ2による検出値の影響度が大きくなる。
【0058】
なお、混合割合Cは、一定の値でも良いが、推定を開始してからの時間、距離、車速等に応じて変更しても良い。
【0059】
図10は、物標の位置の推定開始からの経過時間と混合割合Cとの関係の一例を示した図である。図10では、推定開始からの経過時間が長くなるほど、混合割合を小さくしている。すなわち、経過時間が長くなるほど、ミリ波レーダ2により検出される位置の影響度を低くしている。なお、本実施例ではフュージョン位置演算部84が、本発明におけるフュージョン手段に相当する。
【0060】
そして、衝突判定演算部85により、物標の位置及び相対速度が所定の状態にあると判定されると、システムECU8は、作動デバイス9に信号を出力する。この所定の状態は、自車両が物標に衝突する虞のある状態である。作動デバイス9は、例えば音や光による警報装置91や自動でブレーキをかける装置92(自動ブレーキ装置92)である。そして、自車両と物標とが所定の状態であるときに作動デバイス9を作動させる。なお、操舵により物標を回避するための装置を作動デバイス9に含むことができる。
【0061】
図11は、本実施例に係る障害物検出装置1が作動するときのフローを示したフローチャートである。本ルーチンはシステムECU8により所定の時間毎に繰り返し実行される。
【0062】
ステップS101では、ミリ波レーダ2により検出される物標までの距離が、最低保証距離未満であるか否か判定される。すなわち、ミリ波レーダ2の検出結果をそのまま用いることができない状態であるか否か判定される。ステップS101で肯定判定がなされた場合には、ステップS102へ進んで補完フラグがONとされる。一方、ステップS101で否定判定がなされた場合には、ステップS103へ進む。
【0063】
ステップS103では、ロストフラグがONであるか否か判定される。すなわち、ミリ波レーダ2が物標を見失ったか否か判定される。ステップS103で肯定判定がなされた場合にはステップS104へ進み、否定判定がなされた場合にはステップS108へ進む。
【0064】
ステップS104では、ミリ波レーダ2が物標を見失ったときに検出されていた物標までの距離(ロスト前検出距離)が閾値A未満であるか否か判定される。すなわち、物標の位置を推定したほうが良いか否か判定している。ステップS104で肯定判定がなされた場合には、ステップS102へ進んで補完フラグがONとされる。一方、ステップS104で否定判定がなされた場合にはステップS108へ進む。
【0065】
ステップS105では、離反物が存在するか否か判定する。すなわち、至近距離に存在していた物標(他車両)が、発進して離反しているか否か判定される。ステップS105で肯定判定がなされた場合にはステップS107へ進んで補完フラグがOFFとされる。一方、ステップS105で否定判定がなされた場合にはステップS106へ進む。
【0066】
ステップS106では、自車両からの距離が閾値Bよりも大きな物標が存在するか否か判定される。すなわち、今まで捕捉できなかった他の物標が捕捉可能となったか否か判定される。本ステップでは、至近距離に存在していた物標(他車両)が、右折若しくは左折、又は進路変更をしたか否か判定している。ステップS106で肯定判定がなされた場合には、ステップS107へ進んで補完フラグがOFFとされる。一方、ステップS106
で否定判定がなされた場合には、ステップS108へ進む。
【0067】
ステップS108では、補完フラグがONであるか否か判定される。すなわち、物標の位置を推定する必要があるのか否か判定される。ステップS108で肯定判定がなされた場合にはステップS109へ進み、否定判定がなされた場合には本ルーチンを終了させる。なお、補完フラグがOFFの場合には、ミリ波レーダ2により物標の位置が検出される。
【0068】
ステップS109では、物標の位置が推定される。そして、ステップS110では、捕捉点が存在するか否か判定される。すなわち、ミリ波レーダ2により最低保証距離未満で物標が捕捉されているか否か判定される。すなわち、フュージョン位置を求めることが可能であるか否か判定される。ステップS110で肯定判定がなされた場合にはステップS111へ進み、否定判定がなされた場合にはステップS109で推定された物標の位置をそのまま用いるため本ルーチンを終了させる。
【0069】
ステップS111では、ミリ波レーダ2により得られる位置と、推定された位置と、でフュージョンが行なわれる。すなわち、混合割合Cに従ってフュージョン位置が求められる。
【0070】
このようにして、物標の位置が求められる。そして、物標の位置が所定の位置であると、システムECU8は作動デバイス9を作動させる。
【0071】
以上説明したように本実施例によれば、ミリ波レーダ2の最低保証距離未満であっても物標の位置を推定することにより、物標の位置を得ることができる。これにより、精度の低いミリ波レーダ2の検出結果をそのまま用いる必要がないため、不必要な警報や運転支援が行なわれることを抑制できる。
【符号の説明】
【0072】
1 障害物検出装置
2 ミリ波レーダ
3 レーダECU
4 操舵角センサ
5 ヨーレートセンサ
6 車輪速センサ
8 システムECU
9 作動デバイス
31 物標相対位置演算部
32 物標相対速度演算部
81 補完フラグ演算部
82 補完フラグキャンセル演算部
83 推定位置演算部
84 フュージョン位置演算部
85 衝突判定演算部
91 警報装置
92 自動ブレーキ装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自車両の推定進路内に占める障害物の大きさ及び該障害物との相対速度に基づいて制動を開始するタイミングを変化させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、自車両と障害物との相対速度が低い場合において、自車両が障害物に衝突するか否かの判定を精度良く行うためには、相対速度が高い場合と比較して、より近い距離まで障害物の位置を精度良く検出する必要がある。また、衝突直前まで障害物の位置を正確に求めることができれば、障害物と適正な距離を保って自車両を停止させることが可能となる。
【0004】
しかし、障害物が至近距離にある場合には、レーダ等のセンサではレーダ波の送信から反射波の受信までの時間が短くなるために、障害物の位置の検出精度が低下する虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−132867号公報
【特許文献2】特開2008−302850号公報
【特許文献3】特開2007−274037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、近距離においても物標の位置を精度良く得ることができる技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために本発明による障害物検出装置は、以下の手段を採用した。すなわち、本発明による障害物検出装置は、
センサで物標を検出する障害物検出装置において、
前記センサにより物標が検出されていた状態から該物標が検出できない状態となったときに、前記センサにより物標が検出されていた状態のときの該物標の位置及び速度情報と、前記センサで物標を検出することができなくなったときからの経過時間と、から、前記センサにより物標を検出できないときの該物標の位置を推定する推定手段を備えることを特徴とする。
【0008】
すなわち、センサにより物標が検出できない状態のときには、物標の位置を推定することで、物標の位置を補完している。推定手段は、物標がセンサに対してどのように相対移動していたのかに基づいて物標の位置を推定している。例えば、センサにより物標が検出できない状態となる直前に物標が相対移動していた状態が、そのまま継続しているものとする。そして、その後の経過時間に応じて位置を推定することができる。なお、速度情報には、センサの速度(センサが搭載されている自車両の速度としても良い。)及び物標の速度を含むことができる。物標の速度は0であっても良い。また、速度情報には、加速度又は速度の方向、曲率半径も含むことができる。
【0009】
本発明においては、前記物標が検出できない状態となったときとは、前記センサの性能が保証されている最近の距離よりも物標の距離が近くなったときであっても良い。
【0010】
この最近の距離よりも物標の距離が近くなると、たとえセンサにより物標を検出することができても、その情報は保証されたものではないため、信頼性が低い。したがって、このような状態のときには、センサに検出される情報は用いずに、代わりに推定手段による推定を行なう。これにより、物標の位置を精度良く得ることができる。
【0011】
本発明においては、前記物標が検出できない状態となったときとは、物標を見失ったときであっても良い。
【0012】
これは、センサにより物標が検出されない状態である。これは、実際に物標が存在しないことにより物標が検出されない場合もあれば、実際には物標が存在しているにも関わらず該物標が検出されない場合もある。このようなときに物標の位置を推定すれば、物標の位置を精度良く得ることができる。
【0013】
本発明においては、前記推定手段は、物標との相対速度に基づいて該物標の位置を推定することができる。
【0014】
これは、センサにより実際に検出される物標との相対速度である。この相対速度によれば、センサと物標との距離がどのように変化するのか分かるため、該物標の位置を推定すること可能となる。
【0015】
また、本発明においては、前記推定手段は、旋回半径を加味して物標の位置を推定することができる。
【0016】
この旋回半径とは、センサの旋回半径である。なお、障害物検出装置の旋回半径としても良く、障害物検出装置が搭載されている自車両の旋回半径としても良い。センサが旋回していれば、該センサに対する物標の相対位置が変化するため、旋回半径を加味して物標の位置を推定すれば、精度の向上を図ることができる。例えば、センサにより物標が検出できない状態となる直前のセンサの旋回半径が、その後も継続しているものとする。
【0017】
本発明においては、前記推定手段は、前記物標が検出できない状態となった後で、前記センサにより離反する物標が検出されたときには、物標の位置の推定を終了させることができる。
【0018】
この場合、検出できない状態となった物標と、センサにより検出される離反する物標と、は同じ物標であると考えられる。また、離反する物標が検出されたということは、センサと離反する物標との間に他の物標が存在しないともいえる。そして、センサにより物標を検出することが可能であれば、該センサにより物標を検出すれば良いため、物標の位置の推定を終了させることができる。
【0019】
本発明においては、前記推定手段は、前記物標が検出できない状態となった後で、前記センサにより距離が閾値よりも大きな物標が検出されたときには、物標の位置の推定を終了させることができる。
【0020】
物標が進路変更又は右左折することにより、センサの検出範囲外に移動すれば、センサにより該物標を検出できない状態となる。ここで、物標が複数存在していた場合に、一方の物標の影に他方の物標が入ることにより、該他方の物標が検出されない場合がある。この場合、一方の物標がセンサの検知範囲外に移動すれば、他方の物標が検出される。この
検出される他方の物標はある程度離れた位置に存在している。すなわち、他方の物標が検出される距離の下限値を閾値として予め設定しておけば、センサにより検出される距離に基づいて、他方の物標が検出されたか否か判定できる。そして、他方の物標が検出されたときには、一方の物標は既に存在していないため、該物標の位置の推定は終了させることができる。
【0021】
本発明においては、前記推定手段により推定される物標の位置と、前記センサで検出される物標の位置と、を所定の割合でフュージョンする、フュージョン手段を備えることができる。
【0022】
ここで、センサの性能が保証されている最近の距離よりも物標の距離が近くなったときであっても、該センサにより物標の位置を検出することができる場合もある。ただし、このときに検出される物標の位置は、保証されたものではないが、物標のおおよその位置を得ることはできる。一方、センサにより物標が検出できない状態となった後に該物標の速度や進行方向が変化すると、物標の位置の推定精度が低下する。そこで、推定手段により推定される物標の位置と、センサで検出される物標の位置と、をフュージョンさせることにより、複数の検出結果に基づいて物標の位置を求めることができるので、物標の検出精度を向上させることができる。例えば、推定手段により推定される物標の位置と、センサで検出される物標の位置と、を結ぶ線分を所定の割合で分ける点の位置をフュージョン手段により得られる物標の位置とする。
【0023】
なお、所定の割合は、一定の値であっても良いが、変化させても良い。例えば、前記センサで物標を検出することができなくなったときからの経過時間が長いほど、前記センサで検出される物標の位置の影響度が低くなるようにしても良い。センサで物標を検出することができなくなった直後では、センサによる検出値の精度は高い。したがって、センサで検出される物標の位置の割合を高くしてフュージョンさせれば、精度を高くすることができる。また、速度や距離に応じて変化させても良い。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、近距離においても物標の位置を精度良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例に係る障害物検出装置を示すブロック図である。
【図2】補完フラグがONとなるときの条件を示した図である。
【図3】補完フラグがONとなるときの条件を示した図である。
【図4】補完フラグがONとされた後にOFFとされるときの条件を示した図である。
【図5】補完フラグがONとされた後にOFFとされるときの条件を示した図である。
【図6】物標の位置を推定するときの概要を示した図である。
【図7】物標の位置を推定するときの概要を示した図である。
【図8】物標の位置を推定するときの概要を示した図である。
【図9】フュージョン位置を求めるときの概要を示した図である。
【図10】物標の位置の推定開始からの経過時間と混合割合Cとの関係の一例を示した図である。
【図11】実施例に係る障害物検出装置が作動するときのフローを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る障害物検出装置の具体的な実施態様について図面に基づいて説明す
る。
【実施例1】
【0027】
図1は、本実施例に係る障害物検出装置1を示すブロック図である。本実施例に係る障害物検出装置1は、道路を走行する自車両に搭載されて、自車両前方の他車両等の物標(障害物)を検出する装置である。なお、本実施例では、物標として自車両前方の他車両を例に挙げて説明する。
【0028】
障害物検出装置1は、ミリ波レーダ2、レーダECU3、操舵角センサ4、ヨーレートセンサ5、車輪速センサ6、システムECU8を備えて構成されている。
【0029】
ミリ波レーダ2は、自車両の前部に設けられて、自車両の前方に存在する物標の自車両からの方向及び距離を検出するものである。ミリ波レーダ2は、自車両の前方の所定範囲においてミリ波を走査して、その反射波を受信することにより、反射波を検出した夫々の方向について、物標までの距離を検出する。このミリ波レーダ2による検出は所定時間毎に行われる。ミリ波レーダ2は、検出した方向及び距離に応じた信号をレーダECU3に逐次出力する。
【0030】
ここで、ミリ波レーダ2には、最低保証距離が設定されている。この最低保証距離よりも近い距離では、ミリ波レーダ2の検出精度が低下するために該ミリ波レーダ2の性能が保証されない。このため、本実施例では、最低保証距離よりも近い距離では、ミリ波レーダ2の検出精度が低下するものとして扱う。
【0031】
なお、本実施例ではミリ波レーダ2が、本発明におけるセンサに相当する。また、本実施例では、物標の検出をミリ波レーダ2により行うが、物標の距離や速度を検出可能な他のセンサを用いても良い。
【0032】
レーダECU3は、自車両の前方に存在する物標の自車両に対する位置を演算するものであり、例えばCPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成される。レーダECU3は、物標相対位置演算部31及び物標相対速度演算部32を備えている。
【0033】
物標相対位置演算部31は、ミリ波レーダ2から出力される信号を逐次取得し、この信号に基づいて自車両の前方に物標が存在する場合に該物標を検出する。また、物標相対位置演算部31は、検出した物標の自車両に対する位置(相対位置)を演算する。相対位置は、距離及び横位置で示される。物標が自車両の斜め前方に位置するときには、実際の距離を、自車両の進行方向成分と、自車両の真横方向成分(進行方向と直交する方向成分)と、に分けて考える。そして、自車両の進行方向の成分を「距離」とし、自車両の右側の真横方向の成分を「横位置」として求める。物標相対位置演算部31は、この演算結果に応じた信号をシステムECU8へ出力する。
【0034】
物標相対速度演算部32は、検出した物標の自車両に対する速度を演算する。物標相対速度演算部32は、この演算結果に応じた信号をシステムECU8へ出力する。なお、単に物標の速度を演算しても良い。
【0035】
なお、ミリ波レーダ2及びレーダECU3は、物標の情報を取得する手段として機能する。
【0036】
操舵角センサ4は、自車両のステアリングシャフトに設けられて、自車両のステアリングの操舵角を検出するセンサである。操舵角センサ4は、ロータリエンコーダ等を備えており、自車両の運転者が入力した操舵角の方向及び大きさを検出する。また、操舵角セン
サ4は、検出した操舵角の方向及び大きさに応じた操舵角信号をシステムECU8へ出力する。
【0037】
ヨーレートセンサ5は、自車両の一部に設けられ、自車両のヨーレートを検出するセンサである。ヨーレートセンサ5は、自車両のヨーレートを検出し、検出したヨーレートに応じた信号をシステムECU8へ出力する。
【0038】
車輪速センサ6は、自車両の各車輪に設けられて、車輪速パルスを検出するセンサである。車輪速センサ6は、各車輪における車輪速パルスを夫々検出し、検出した車輪速パルスに応じた車輪速パルス信号をシステムECU8へ出力する。
【0039】
なお、操舵角センサ4、ヨーレートセンサ5、車輪速センサ6は、自車両の情報を取得する手段として機能する。
【0040】
システムECU8は、検出又は推定される物標の位置に応じて警報等を行なうか否か判定するものであり、例えばCPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されている。システムECU8は、レーダECU3、操舵角センサ4、ヨーレートセンサ5、車輪速センサ6の夫々から出力される信号を取得し、取得した各信号に基づいて所定の処理を実行することにより、警報等を行なうか否か判定する。このシステムECU8は、補完フラグ演算部81、補完フラグキャンセル演算部82、推定位置演算部83、フュージョン位置演算部84、及び衝突判定演算部85を備えている。
【0041】
補完フラグ演算部81は、補完フラグの設定を行なう。補完フラグとは、物標の位置をミリ波レーダ2により検出する代わりに、演算により推定するか否かを示すフラグである。補完フラグがONのときには、物標の位置を推定し、補完フラグがOFFのときには、物標の位置をミリ波レーダ2により検出する。
【0042】
図2及び図3は、補完フラグがONとなるときの条件を示した図である。距離及び横位置の基準点は、ミリ波レーダ2が取り付けられている箇所である。図2は、物標と自車両との距離が最低保証距離よりも短くなった場合を示している(以下同じ)。ここで、ミリ波レーダ2には、最低保証距離が設定されているが、この最低保証距離はミリ波レーダ2の個体差によるばらつきを考慮して決定される。そのため、最低保証距離より短い距離であっても正確に位置を検出できるものもある。しかし、その精度は保証されていないため、最低保証距離よりも短い距離では、ミリ波レーダ2により検出される位置ではなく、推定される位置を用いる。図2では、自車両が物標に接近しているために、物標の相対速度が負の値となる。そして、最低保証距離未満まで物標が接近したときに補完フラグがONとされる。
【0043】
また、図3は、ミリ波レーダ2により検出されていた物標を見失った場合を示している。ミリ波レーダ2により検出されていた物標を見失った場合において、そのときの物標の距離が離れていれば衝突する虞はないが、近距離の場合には衝突する虞がある。このため、近距離で物標を見失った場合には、位置の推定を行なうようにしている。図3では、自車両が物標に接近しているために、物標の相対速度が負の値となる。そして、途中で物標を見失うことによりロストフラグがONとなる。ロストフラグについては後述する。
【0044】
すなわち、補完フラグがONとされる条件は以下の(1)または(2)の2通りある。そして、何れかの条件が成立したときに補完フラグがONとされる。また、何れの条件も成立しない場合には、補完フラグはOFFとされる。
(1)物標までの距離が最低保証距離未満のとき(図2参照)。
(2)ロストフラグがONのときで且つロストフラグがONとなったときの物標までの
距離が閾値A未満のとき(図3参照)。
なお、ロストフラグとは、それまで捕捉していた物標を見失ったか否かを示すフラグである。ロストフラグは、それまでミリ波レーダ2により捕捉していた物標を見失ったときにONとされ、これ以外ではOFFとされるフラグである。また、閾値Aは、物標を見失った後であっても位置を推定する必要のある距離であり、例えば最低保証距離としても良く、実験等により最適値を求めても良い。例えば、捕捉していた物標を見失った際に該物標が衝突する虞のある距離に存在していた場合には、物標の位置の推定を行なうようにする。
【0045】
補完フラグキャンセル演算部82は、補完フラグ演算部81により補完フラグがONとされた後であっても、物標が自車両に衝突する虞がなくなった場合には、補完フラグをOFFとする。
【0046】
ここで、図4及び図5は、補完フラグがONとされた後にOFFとされるときの条件を示した図である。図4は、補完フラグがONとされた後に自車両から離反する物標を検出した場合を示している。例えば渋滞中に自車両前方の至近距離に物標が停止しているときにおいて該物標の位置を推定している場合には、物標が発進して自車両から離反すれば、衝突する虞は無くなる。また、ミリ波レーダ2により物標が検出されたことにより、該物標よりもさらに近い距離に他の物標が存在することなないと判定できる。したがって、自車両の走行車線上にこのようの物標が検出されれば、物標の位置を推定する必要はないので、自車両の走行車線上に離反物となる他の物標が存在するときには、補完フラグがOFFとされる。このときの物標の相対速度は正の値であり、自車両から離反する方向である。なお、最低保証距離未満で離反する物標が検出された場合であっても補完フラグをOFFとして良い。
【0047】
また、図5は、補完フラグがONとされた後に自車両からの距離が閾値Bよりも大きな物標を検出した場合を示している。ここで、物標の位置を推定しているときに、この物標が右折または左折をして自車両の走行車線上に存在しなくなった場合には、衝突の可能性がなくなる。そして、この右左折した物標の更に前方に他の物標が存在する場合には、該他の物標が検出される。したがって、自車両から比較的遠い距離(閾値Bよりも大きな距離)に存在する他の物標が検出された場合には、該他の物標と自車両との間に存在していた物標は自車両の走行車線上から移動したと判定し、補完フラグがOFFとされる。
【0048】
すなわち、物標の位置を推定中にミリ波レーダ2で検出される他の物標に着目して、該位置を推定中の物標が自車両に衝突する可能性がなくなったか否か判定している。そして、以下の(3)または(4)に示す2つの条件のうちの何れかの条件が成立したときに補完フラグがOFFとされ、それ以外のときには補完フラグはそのままの値を維持する。
(3)自車両の走行車線上に離反物となる物標が存在するとき。
(4)自車両の走行車線上に距離が閾値Bよりも大きな物標が存在するとき。
なお、閾値Bは実験等により最適値を求める。また、(3)及び(4)のどちらの場合にも、操舵角センサ4及びヨーレートセンサ5から自車両の旋回半径を求めて、この旋回半径に基づいて自車両の走行車線を求め、この自車両の走行車線上に物標が存在するか否か判定することができる。
【0049】
推定位置演算部83は、補完フラグがONとなる直前にミリ波レーダ2により検出された情報と、自車両の情報と、を用いて物標の位置を演算する。なお、補完フラグがOFFの時には、物標の位置の演算は行なわない。
【0050】
図6、図7、図8は、物標の位置を推定するときの概要を示した図である。図6は、自車両が直進している場合を示している。また、図7は、自車両が旋回半径Rで旋回してい
る場合を示している。図8は、過去の履歴から相対速度を演算する場合を示している。
【0051】
図6においては、演算周期で1周期前の物標の距離及び横位置を夫々、Y(K−1)[m],X(K−1)[m]とし、自車両の速度をV[m/s]、演算周期をΔT[s]として、現時点での推定距離Y(K)[m]、横位置X(K)[m]を求めている。これは、以下の式で求めることができる。
X(K)=X(K−1)
Y(K)=Y(K−1)−V・ΔT
【0052】
すなわち、自車両が直進しているので、物標の横位置は変化しないものとしている。また、物標の距離は、演算周期ΔTの間にどれだけ接近したのかに基づいて演算している。このように、物標の距離及び横位置を演算していけば、演算時における物標の距離及び横位置を推定することができる。なお、物標の位置の推定を開始したときの該物標の距離から、該物標を見失ってからの経過時間に速度Vを乗じた値を減じることによっても、現時点における物標の距離を推定することができる。
【0053】
なお、上記式では自車両の直進時を想定しており、自車両の速度情報から距離のみを推定している。これに対し、自車両の操舵情報(旋回半径R)も利用することで、距離と横位置とを同時に求めることもできる(図7参照)。すなわち、物標の位置の推定を開始したときの自車両の旋回半径Rがその後も維持されているものとして、物標の距離及び横位置を演算することができる。また、過去の捕捉点の履歴から推定される相対速度から推定を行なうことも可能である(図8参照)。例えば、物標の位置の推定を開始したときの相対加速度を加味して、演算時における物標の相対速度を求め、該物標の距離及び横位置を演算することができる。
【0054】
なお、推定位置演算部83により推定される物標の位置は、そのまま用いても良いし、重み付けを行なった後に用いても良い。推定位置演算部83により推定される物標の位置は、ミリ波レーダ2の検出値に基づいて得られる物標の位置よりも信頼度が低いため、ミリ波レーダ2により実際に物標の位置を検出していたときよりも推定される物標の位置の重みを小さくする(影響度を低くする)。なお、本実施例では推定位置演算部83が、本発明における推定手段に相当する。
【0055】
次に、フュージョン位置演算部84は、物標の位置を推定しているときにミリ波レーダ2により物標が検出されている場合には、この検出されている物標の位置と、推定される位置と、を組み合わせた位置を演算する(フュージョンする)。なお、組み合わせて得られる位置をフュージョン位置と称する。
【0056】
ここで、物標までの距離が最低保証距離未満のときであっても、ミリ波レーダ2により物標の検出が可能な場合もある。しかし、このときに検出される物標の位置は保証されたものではないため、そのままでは用いない。本実施例では、推定される物標の位置と、ミリ波レーダ2により検出される物標の位置と、を組み合わせることで、物標の位置の推定精度を高めている。
【0057】
図9は、フュージョン位置を求めるときの概要を示した図である。ミリ波レーダ2により検出される横位置及び距離を夫々XM(K),YM(K)とすると、フュージョン位置(XF(K),YF(K))は以下の式で求めることができる。なお、ミリ波レーダ2で物標を捕捉することができない場合には、フュージョン位置は求めない。
XF(K)=(1−C)・X(K)+C・XM(K)
YF(K)=(1−C)・Y(K)+C・YM(K)
ただし、Cはミリ波レーダ2により検出される位置情報を用いる割合(混合割合)であ
り、最適値は実験により求めておく。混合割合Cが高いほど、ミリ波レーダ2による検出値の影響度が大きくなる。
【0058】
なお、混合割合Cは、一定の値でも良いが、推定を開始してからの時間、距離、車速等に応じて変更しても良い。
【0059】
図10は、物標の位置の推定開始からの経過時間と混合割合Cとの関係の一例を示した図である。図10では、推定開始からの経過時間が長くなるほど、混合割合を小さくしている。すなわち、経過時間が長くなるほど、ミリ波レーダ2により検出される位置の影響度を低くしている。なお、本実施例ではフュージョン位置演算部84が、本発明におけるフュージョン手段に相当する。
【0060】
そして、衝突判定演算部85により、物標の位置及び相対速度が所定の状態にあると判定されると、システムECU8は、作動デバイス9に信号を出力する。この所定の状態は、自車両が物標に衝突する虞のある状態である。作動デバイス9は、例えば音や光による警報装置91や自動でブレーキをかける装置92(自動ブレーキ装置92)である。そして、自車両と物標とが所定の状態であるときに作動デバイス9を作動させる。なお、操舵により物標を回避するための装置を作動デバイス9に含むことができる。
【0061】
図11は、本実施例に係る障害物検出装置1が作動するときのフローを示したフローチャートである。本ルーチンはシステムECU8により所定の時間毎に繰り返し実行される。
【0062】
ステップS101では、ミリ波レーダ2により検出される物標までの距離が、最低保証距離未満であるか否か判定される。すなわち、ミリ波レーダ2の検出結果をそのまま用いることができない状態であるか否か判定される。ステップS101で肯定判定がなされた場合には、ステップS102へ進んで補完フラグがONとされる。一方、ステップS101で否定判定がなされた場合には、ステップS103へ進む。
【0063】
ステップS103では、ロストフラグがONであるか否か判定される。すなわち、ミリ波レーダ2が物標を見失ったか否か判定される。ステップS103で肯定判定がなされた場合にはステップS104へ進み、否定判定がなされた場合にはステップS108へ進む。
【0064】
ステップS104では、ミリ波レーダ2が物標を見失ったときに検出されていた物標までの距離(ロスト前検出距離)が閾値A未満であるか否か判定される。すなわち、物標の位置を推定したほうが良いか否か判定している。ステップS104で肯定判定がなされた場合には、ステップS102へ進んで補完フラグがONとされる。一方、ステップS104で否定判定がなされた場合にはステップS108へ進む。
【0065】
ステップS105では、離反物が存在するか否か判定する。すなわち、至近距離に存在していた物標(他車両)が、発進して離反しているか否か判定される。ステップS105で肯定判定がなされた場合にはステップS107へ進んで補完フラグがOFFとされる。一方、ステップS105で否定判定がなされた場合にはステップS106へ進む。
【0066】
ステップS106では、自車両からの距離が閾値Bよりも大きな物標が存在するか否か判定される。すなわち、今まで捕捉できなかった他の物標が捕捉可能となったか否か判定される。本ステップでは、至近距離に存在していた物標(他車両)が、右折若しくは左折、又は進路変更をしたか否か判定している。ステップS106で肯定判定がなされた場合には、ステップS107へ進んで補完フラグがOFFとされる。一方、ステップS106
で否定判定がなされた場合には、ステップS108へ進む。
【0067】
ステップS108では、補完フラグがONであるか否か判定される。すなわち、物標の位置を推定する必要があるのか否か判定される。ステップS108で肯定判定がなされた場合にはステップS109へ進み、否定判定がなされた場合には本ルーチンを終了させる。なお、補完フラグがOFFの場合には、ミリ波レーダ2により物標の位置が検出される。
【0068】
ステップS109では、物標の位置が推定される。そして、ステップS110では、捕捉点が存在するか否か判定される。すなわち、ミリ波レーダ2により最低保証距離未満で物標が捕捉されているか否か判定される。すなわち、フュージョン位置を求めることが可能であるか否か判定される。ステップS110で肯定判定がなされた場合にはステップS111へ進み、否定判定がなされた場合にはステップS109で推定された物標の位置をそのまま用いるため本ルーチンを終了させる。
【0069】
ステップS111では、ミリ波レーダ2により得られる位置と、推定された位置と、でフュージョンが行なわれる。すなわち、混合割合Cに従ってフュージョン位置が求められる。
【0070】
このようにして、物標の位置が求められる。そして、物標の位置が所定の位置であると、システムECU8は作動デバイス9を作動させる。
【0071】
以上説明したように本実施例によれば、ミリ波レーダ2の最低保証距離未満であっても物標の位置を推定することにより、物標の位置を得ることができる。これにより、精度の低いミリ波レーダ2の検出結果をそのまま用いる必要がないため、不必要な警報や運転支援が行なわれることを抑制できる。
【符号の説明】
【0072】
1 障害物検出装置
2 ミリ波レーダ
3 レーダECU
4 操舵角センサ
5 ヨーレートセンサ
6 車輪速センサ
8 システムECU
9 作動デバイス
31 物標相対位置演算部
32 物標相対速度演算部
81 補完フラグ演算部
82 補完フラグキャンセル演算部
83 推定位置演算部
84 フュージョン位置演算部
85 衝突判定演算部
91 警報装置
92 自動ブレーキ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサで物標を検出する障害物検出装置において、
前記センサにより物標が検出されていた状態から該物標が検出できない状態となったときに、前記センサにより物標が検出されていた状態のときの該物標の位置及び速度情報と、前記センサで物標を検出することができなくなったときからの経過時間と、から、前記センサにより物標を検出できないときの該物標の位置を推定する推定手段を備えることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項2】
前記物標が検出できない状態となったときとは、前記センサの性能が保証されている最近の距離よりも物標の距離が近くなったときであることを特徴とする請求項1に記載の障害物検出装置。
【請求項3】
前記物標が検出できない状態となったときとは、物標を見失ったときであることを特徴とする請求項1に記載の障害物検出装置。
【請求項4】
前記推定手段は、物標との相対速度に基づいて該物標の位置を推定することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の障害物検出装置。
【請求項5】
前記推定手段は、旋回半径を加味して物標の位置を推定することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の障害物検出装置。
【請求項6】
前記推定手段は、前記物標が検出できない状態となった後で、前記センサにより離反する物標が検出されたときには、物標の位置の推定を終了させることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の障害物検出装置。
【請求項7】
前記推定手段は、前記物標が検出できない状態となった後で、前記センサにより距離が閾値よりも大きな物標が検出されたときには、物標の位置の推定を終了させることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の障害物検出装置。
【請求項8】
前記推定手段により推定される物標の位置と、前記センサで検出される物標の位置と、を所定の割合でフュージョンする、フュージョン手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の障害物検出装置。
【請求項1】
センサで物標を検出する障害物検出装置において、
前記センサにより物標が検出されていた状態から該物標が検出できない状態となったときに、前記センサにより物標が検出されていた状態のときの該物標の位置及び速度情報と、前記センサで物標を検出することができなくなったときからの経過時間と、から、前記センサにより物標を検出できないときの該物標の位置を推定する推定手段を備えることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項2】
前記物標が検出できない状態となったときとは、前記センサの性能が保証されている最近の距離よりも物標の距離が近くなったときであることを特徴とする請求項1に記載の障害物検出装置。
【請求項3】
前記物標が検出できない状態となったときとは、物標を見失ったときであることを特徴とする請求項1に記載の障害物検出装置。
【請求項4】
前記推定手段は、物標との相対速度に基づいて該物標の位置を推定することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の障害物検出装置。
【請求項5】
前記推定手段は、旋回半径を加味して物標の位置を推定することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の障害物検出装置。
【請求項6】
前記推定手段は、前記物標が検出できない状態となった後で、前記センサにより離反する物標が検出されたときには、物標の位置の推定を終了させることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の障害物検出装置。
【請求項7】
前記推定手段は、前記物標が検出できない状態となった後で、前記センサにより距離が閾値よりも大きな物標が検出されたときには、物標の位置の推定を終了させることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の障害物検出装置。
【請求項8】
前記推定手段により推定される物標の位置と、前記センサで検出される物標の位置と、を所定の割合でフュージョンする、フュージョン手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の障害物検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−123535(P2011−123535A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−278342(P2009−278342)
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月8日(2009.12.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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