説明

障害物検知装置

【課題】 乗員に違和感を与えずに障害物との距離を正確に伝えることができる障害物検知装置を提供する。
【解決手段】 障害物検知装置10は所定の検知領域に波動を送信する送信部と前記波動が障害物21によって反射された反射波を受信する受信部とからなるセンサ部7により、車両1の障害物21を検知する。センサ部7の出力により障害物21までの距離を計測する。検知距離可変回路16により最大検知距離L1内における予め定められた検知距離L2,L3を変化させる。警報手段20により検知距離に対応して段階的に警報を発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の衝突を防止する障害物検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両後方における障害物の存否を検知し、乗員に警報にて報知する障害物検知装置としては、車両の後部バンパーに超音波センサを設置し、この超音波センサから放射した波動が障害物に衝突して反射された反射波を受信して、その反射波から車両後方にある障害物を検知するものが従来より提案されていた。
【0003】
ところが、4輪駆動車においては、テイルゲートなどの開閉体を開放している場合や、後方に背面タイヤさらにスキーキャリア等を設置している場合には、前記超音波センサから障害物までの距離と車両の最後部から障害物までの距離との間に差が生じ、超音波センサが障害物を検知した時には、既に乗員が認識している以上に障害物に接近してしまうという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するために、センサ部の最大検知距離を変化させることによって、すなわち、超音波センサと車両の最後部との間に生じた距離に対応して最大検知距離を伸ばすことによって、障害物の存否を早期に報知し障害物を回避する操作が間に合うようにした障害物検知装置が開示されている(例えば特許文献1)。また、センサ部から障害物までの距離を正しい値に補正することにより障害物を回避する車両用障害物検知器が開示されている(例えば特許文献2)。
【特許文献1】特開2002−318282号公報
【特許文献2】特開平6−242238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1においては、乗員は、目視により障害物との距離感を掴みながら後進し、障害物との距離が小さくなった時、すなわち最大検知距離内に存在する障害物を検知することにより鳴り始めた警報を頼りにして注意深く後進し、障害物との接触を防ぐものである。ところが、前記超音波センサから障害物までの距離と車両の最後部から障害物までの距離との間に差が生じる場合、最大検知距離が変化すると、障害物と車両の最後部との間が未だ十分に離れている地点から警報が鳴り始めるため、乗員に違和感を与え、乗員が無用な注意を払わなければならないという懸念があった。また、上記した特許文献2においては、検知器と障害物までの距離を補正し、バンパが障害物に接触するのを防ぐものであるが、警報音が一定であるため、障害物に対しどの程度近づいているのか乗員が知ることができないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、乗員に違和感を与えずに障害物との距離を正確に伝えることができる障害物検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、所定の検知領域に波動を送信する送信部と、前記波動が障害物によって反射された反射波を受信する受信部とからなるセンサ部と、このセンサ部の出力により障害物の存否を検出する検出部とを備えた車両の障害物を検知する障害物検知装置において、最大検知距離内において予め定められた検知距離を変化させる検知距離可変部を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1において、前記検知距離可変部は、車両の後部に設けられた開閉体の開閉に連動して切換えられることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、前記検知距離可変回路は、前記センサ部から障害物までの距離と車両の最後部から障害物までの距離との間に生じる差に応じて、前記検知距離を変化させることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、前記検知距離に対応して段階的に警報を発生する警報手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1記載の障害物検知装置によれば、検知距離可変回路により障害物までの検知距離を変化させ、開閉体が開いている場合等、センサ部から障害物までの距離と車両の最後部から障害物までの距離との間に差が生じている場合にも正確に障害物との距離を乗員に報知させることができると共に、最大検知距離を変化させないため、乗員に違和感を与えることがない。
【0012】
また、請求項2に記載の障害物検知装置によれば、検知距離可変回路が開閉体の開閉に応じて切換えられるので、荷物の積み込み及び積み下ろしの際に、開閉体を開放したまま後進するなど、一時的に前記センサ部から障害物までの距離と車両の最後部から障害物までの距離との間に差が生じる場合に、乗員がスイッチを切換え忘れたとしても確実に検知距離可変回路により検知距離を適正に変化させることができるので、障害物との距離を正確かつ確実に報知することができる。
【0013】
また、請求項3に記載の障害物検知装置によれば、前記センサ部から障害物までの距離と車両の最後部から障害物までの距離との間に生じる差に応じて、前記検知距離を変化させるので、車両の最後部と障害物との距離をより正確に測定でき、乗員に報知することができるので、乗員の運転し易さを向上することができる。
【0014】
また、請求項4に記載の障害物検知装置によれば、検知距離に応じて警報を発生させるので、乗員はその警報を聞いただけで車両の最後部と障害物との距離を感覚的に知ることができ、障害物との接触を容易に回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。図1は本実施形態に係る障害物検知装置を備えた車両の斜視図であり、(a)テイルゲートを閉じた状態、(b)テイルゲートを開いた状態を示す図である。図2は障害物検知装置の構成を示すブロック図である。図3は車両の後部側面図であり、センサ部と車両の最後部との関係を模式的に示す図である。図4はメインフローを示すフローチャートである。図5は報知処理Aを示すフローチャートである。図6は報知処理Bを示すフローチャートである。
【0016】
図1に示す車両1は、4輪駆動車であり、後部に荷台2が設けられており、この荷台2は一対の側壁体3と開閉体であるテイルゲート4を備えている。前記テイルゲート4は、下方で荷台2に回動自在に軸支されている。これにより、テイルゲート4は、垂直に起立して前記側壁体3に係合し閉状態(図1(a))となり、後方に傾倒し水平に保持されて開状態(図1(b)となる。したがって、開状態においては、テイルゲート4が後部バンパ5よりも後方に突き出ることになる。尚、テイルゲート4は、開状態において支持体6により水平に保持される。後部バンパ5には、センサ部7が複数個、所定間隔に設置されており、後述する制御部に電気的に接続されている。
【0017】
図2に示す障害物検知装置10は、制御部11と、該制御部11の入力側に設けられた前記センサ部7と、出力側に設けられた警報装置12とからなる。前記制御部11は、前記センサ部7から放射する超音波などの波動を生成する送波回路13と、前記センサ部7から放射された波動が障害物によって反射された反射波を電気信号に変換する受波回路14と、受波回路14により変換された電気信号から障害物の存否を検出する後述する検出部と、最大検知距離内における検知距離を変化させる検知距離可変部である検知距離可変回路16と、障害物までの距離を、予め定められた検知距離と対比し警報音を決定する報知処理部である報知処理回路17とからなり、電源18及び、前記検知距離可変回路16を切換えるスイッチ19が接続されている。
【0018】
前記センサ部7は、図3に示すように、車両後方の検知領域ARに前記送波回路13で生成された波動を放射する発信部と、発信部から放射された波動が障害物に衝突することによって反射された反射波を受信し前記受波回路14に出力する受信部とを備える。警報手段20は、前記警報装置12と前記報知処理回路17とからなる。前記警報装置12は、ブザー等の警報音を発し、乗員に障害物の存否を報知する。警報装置12の警報音は、段階的に異なる警報音、例えば長い断続音、短い断続音、連続音が定められており、予め定められた検知距離に各警報音が対応付けられている。
【0019】
前記検出部は、前記反射波により前記検知距離に障害物が存在するか否かを検出する機能を有する。具体的には、前記検出部は、前記センサ部7で受波した反射波によりセンサ部7から障害物21までの距離を測定する機能を有する距離測定回路15である。この距離測定回路15は、予め記憶された図示しないプログラムにより前記受波回路14で変換された電気信号に基づいて障害物21までの距離を測定する。
【0020】
前記報知処理回路17は、前記距離測定回路15の出力である障害物21との距離Lが図3に示す検知距離L1,L2,L3のいずれかに該当するか判別し、その検知距離に相当する警報音を鳴らすよう警報装置12に指示する。前記スイッチ19は、検知距離可変回路16を切換え検知距離を変化させるためのもので、図示しないが、乗員の操作しやすい位置に配置された第1のスイッチと前記リアゲートの開閉機構部に設置された第2のスイッチとからなる。前記第1のスイッチは、乗員の手動によりオンオフが切換えられ、主に、背面タイヤを備えた場合やスキーキャリアを備えた場合等、恒常的に前記センサ部7から障害物21までの距離と車両1の最後部から障害物21までの距離との間に差が生じる場合にこの第1のスイッチを用いて切換える。また、前記第2のスイッチは、テイルゲート4の開閉に伴いオンオフが切換えられるスイッチ19であり、閉じた状態ではオフ、開いたときにオンとなるように設置される。この第2のスイッチは主に、荷物の積み込み及び積み下ろしの際に、テイルゲート4を開けたまま後進するなど、一時的に前記センサ部7から障害物21までの距離と車両1の最後部から障害物21までの距離との間に差が生じる場合に、乗員がスイッチ19を切換え忘れたとしても確実に検知距離可変回路16を起動又は停止することができる。このスイッチ19は、通常ではオフ状態になっており、オンするとアースへ接続される。
【0021】
前記検知距離可変回路16は、図3(b)に示すように、前記センサ部7から障害物21までの距離と車両1の最後部から障害物21までの距離との間に生じる差に応じて、前記検知距離を変化させる。すなわち、予め定められた検知距離に前記センサ部7から障害物21までの距離と車両1の最後部から障害物21までの距離との間に生じる差αを加算して、報知処理回路17に出力する。さらに詳述すると、テイルゲート4が閉じている状態(図(a))では、センサ部7を基点として、後方に最大検知距離L1と、L1内にさらに検知距離L2,L3とが予め定められている。これに対し、スイッチ19がオンされると、検知距離可変回路16が起動し、最大検知距離L1はそのまま維持されると共に、検知距離L2及びL3にセンサ部と車両1の最後部との距離αが加算されることによって、基点がテイルゲート4の高さ分の距離だけ後方に変更される(図(b))。こうすることにより、最大検知距離L1を変更することなく、L2,L3の検知距離を変更できるので、乗員に違和感を与えることなく、しかもテイルゲート4を開いている状態においても、車両1の最後部と障害物21との実際の距離に応じた適正な警報音を発生させ、障害物21との接触を確実に防ぐことができる。また、検知距離可変回路16によってL2,L3に加算される距離αは、背面タイヤや、スキーキャリア等の車両1の最後部に備えられる付属品の奥行き分に対応して複数定められ、又は、可変とされ、適宜乗員が図示しない調節ツマミを操作することにより選択、調整される。一方、テイルゲート4を開放したことにより検知距離可変回路16が起動された場合には、テイルゲート4の高さ分の距離αが択一的に加算されることとしてもよい。
【0022】
次に上記構成の作用について図4を参照して説明する。図4は制御部11の制御動作を示すメインフローチャートである。初めに、制御部11は乗員の手動により第1のスイッチ19がオンされたか又はテイルゲート4が開放されたことにより第2のスイッチ19がオンされているか否かを判別する。この判別が“YES”のときは、S2に移り検知距離可変処理を行う。検知距離可変処理により、L2,L3に加算される距離の差αが報知処理回路17に出力される。加算される距離の差αとは、テイルゲート4の高さ分、又は、テイルゲート4に備えられる背面タイヤやスキーキャリアの奥行き分等の予め定められた値であって、前記センサ部7から障害物21までの距離と車両1の最後部から障害物21までの距離との間に生じる差に相当する値である。このように距離の差αを報知処理回路17に出力し、報知処理Aに移る(ST1)。S1の判別が“NO”のときは、直ちに報知処理Bに移る(ST2)。
【0023】
図5は報知処理A(ST1)を示すフローチャートである。以下、前記検知距離可変処理(S2)が行われた場合において、参考としてL1=1800mm、L2=1200mm、L3=600mm、α=300mmとした場合を付記して説明する。まず、報知処理回路17は、図示しないシフトレバーがリバースレンジ(以下、Rレンジ)にあるか否かを判別する。この判別が“YES”のとき、すなわち乗員が車両1を後進させようとしていると判別したとき、S6において距離測定回路15の出力により測定された障害物21との距離Lが検知距離L1(1800mm)より小さいか否かを判別する。この判別が“YES”のときは、S7に移り、“NO”のときは、S5に戻る。S7では、さらに障害物21との距離Lが検知距離L2+α(1200mm+300mm=1500mm)より大きいか否かを判別する。この判別が“YES”のとき、すなわち、障害物21がL1(1800mm)>L>L2+α(1500mm)の範囲に存在すると認識したときは、当該検知距離に相当する警報音を鳴らすよう警報装置12へ指示を出力し(S8)、警報装置12は相当する警報音、例えば長い断続音を鳴らし、車両1の最後部から1500mm以内であって、まだ1200mm以上離れた範囲に障害物21が存在することを乗員に報知し、S5に戻る。S7の判別が“NO”のとき、すなわち、障害物21がL<L2+α(1500mm)範囲に存在すると判別したときは、S9に移る。S9では、障害物21との距離Lが検知距離L3+α(600mm+300mm=900mm)より大きいか否かを判別する。この判別が“YES”のとき、すなわち、障害物21がL2+α(1500mm)>L>L3+α(900mm)の範囲に存在すると認識したときは、当該検知距離に相当する警報音を鳴らすよう警報装置12へ指示を出力し、警報装置12は相当する警報音、例えば短い断続音を鳴らし車両1の最後部から1200mm以内であって、まだ600mm以上離れた範囲に障害物が接近していることを乗員に報知し、S5に戻る。S9の判別が“NO”のとき、すなわち、報知処理回路17は障害物21がL<L3+α(900mm)の範囲に存在すると判別したときは、S11に移り、当該検知距離に相当する警報音を鳴らすよう警報装置12へ指示を出力し、警報装置12は相当する警報音、例えば連続音を鳴らし、障害物21が車両1の最後部から600mm以内に接近していることを乗員に報知する。
【0024】
前記S5における判別が“NO”のときは、S12に移り、警報音が鳴っているか否かを判別する。この判別が“YES”のときは、S13において警報音を停止した上でS5に戻り、“NO”のときは、直ちにS5に戻る。
【0025】
図6は報知処理Bを示すフローチャートである。尚、報知処理B(ST2)は、上記した報知処理Aに対し検知距離が変更されていない点のみが異なり、報知処理Aにおけるαを0とした場合に相当するので、簡単のため適宜省略して説明する。また、上記と同様に参考としてL1=1800mm、L2=1200mm、L3=600mmとする。前記S7に相当するS27では、障害物21との距離Lが検知距離L2(1200mm)より大きいか否かを判別する。この判別が“YES”のとき、すなわち、障害物21がL1(1800mm)>L>L2(1200mm)の範囲に存在すると認識したときは、当該検知距離に相当する警報音を鳴らすよう警報装置12へ指示を出力し(S28)、S25に戻る。S27の判別が“NO”のとき、すなわち、報知処理回路17は障害物21がL<L2(1200mm)範囲に存在すると判別したときは、前記S9に相当するS29に移る。S29では、障害物21との距離Lが検知距離L3(600mm)より大きいか否かを判別する。この判別が“YES”のとき、すなわち、報知処理回路17が障害物21がL2(1200mm)>L>L3(600mm)の範囲に存在すると認識したときは、当該検知距離に相当する警報音を鳴らすよう警報装置12へ指示を出力し、S25に戻る。S29の判別が“NO”のとき、すなわち、報知処理回路17は障害物21がL<L3(600mm)の範囲に存在すると判別したときは、前記S11に相当するS31に移り、当該検知距離に相当する警報音を鳴らすよう警報装置12へ指示を出力する。
【0026】
以上のように、例えば、後部バンパ5すなわちセンサ部7から後方に1400mmの地点に障害物21が存在する場合において、検知距離可変処理をしない場合は、L2の検知距離はセンサ部7から1200mm、L3の検知距離はセンサ部7から600mmであるので、報知処理回路17は、障害物21がL1(1800mm)とL2(1200mm)との間に存在すると認識する(図3(a))。この場合、テイルゲート4を開き障害物21と車両1の最後部との実際の距離が1100mmであって、実質的に障害物21がL2とL3の間に存在するにもかかわらず長い断続音を発生させることとなる。これに対し、検知距離可変処理を行った場合には、L2とL3の基点を後方に300mmずらし、L2の検知距離をセンサ部7から1500mmとし、L3の検知距離をセンサ部7から900mmとするので、報知処理回路17は、障害物21がL2(1500mm)とL3(900mm)との間に存在すると認識し、適正に短い断続音を発生させるので、早い段階から乗員に適切な注意を促すことができる(図3(b))。
【0027】
上記のように、検知距離可変回路16で検知距離を変更することにより、通常の場合より距離αだけ早く障害物21がL2及びL3の範囲内に存在することを認識することができるので、リアゲートが開いている場合等前記センサ部7から障害物21までの距離と車両1の最後部から障害物21までの距離との間に距離の差αが生じている場合にも、確実に障害物21への接触を回避することができる。また、検知距離可変回路16は最大検知距離L1を変更しないため、乗員に違和感を与えることなく、しかも、障害物21との間に十分な距離が存する場合に余計な注意を払わせることがないので、より使い勝手の向上を図ることができるものである。
【0028】
上記のように本実施形態では請求項1に対応して、所定の検知領域に波動を送信する送信部と、前記波動が障害物21によって反射された反射波を受信する受信部とからなるセンサ部7と、このセンサ部7の出力により障害物21の存否を検出する距離測定回路15とを備えた車両1の障害物21を検知する障害物検知装置10において、最大検知距離L1内における予め定められた前記検知距離L2,L3を変化させる検知距離可変回路16を備えたから、検知距離可変回路16により検知距離を変化させ、開閉体が開いている場合等、前記センサ部7から障害物21までの距離と車両1の最後部から障害物21までの距離との間に距離の差αが生じている場合にも正確に障害部との距離を乗員に報知させることができると共に、最大検知距離を変化させないため、乗員に違和感を与えることがない。
【0029】
また、請求項2に対応して、前記検知距離可変回路16は、車両1の後部に設けられた開閉体の開閉に連動して切換えられるから、荷物の積み込み及び積み下ろしの際に、開閉体を開放したまま後進するなど、一時的に前記センサ部7から障害物21までの距離と車両1の最後部から障害物21までの距離との間に差αが生じる場合に、乗員がスイッチ19を切換え忘れたとしても確実に検知距離可変回路16により検知距離を適正に変化させることができるので、障害物21との距離を正確かつ確実に報知することができる。
【0030】
また、請求項3に対応して、前記検知距離可変回路16は、前記センサ部7から障害物21までの距離と車両1の最後部から障害物21までの距離との間に生じる差に応じて、前記検知距離L2,L3を変化させるから、車両1の最後部と障害物21との距離をより正確に測定でき、乗員に報知することができるので、乗員の運転し易さを向上することができる。
【0031】
また、請求項4に対応して、検知距離に対応して段階的に警報を発生する警報手段20を備えたから、乗員はその警報を聞いただけで車両1の最後部と障害物21との距離を感覚的に知ることができ、障害物21を効果的に回避することができる。
【0032】
本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態に係る障害物検知装置を備えた車両の斜視図であり、(a)テイルゲートを閉じた状態、(b)テイルゲートを開いた状態を示す図である。
【図2】同上、障害物検知装置の構成を示すブロック図である。
【図3】同上、車両の後部側面図であり、センサ部と車両の最後部との関係を模式的に示す図である。
【図4】同上、メインフローを示すフローチャートである。
【図5】同上、報知処理Aを示すフローチャートである。
【図6】同上、報知処理Bを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
7 センサ部
10 障害物検知装置
12 警報装置(警報手段)
15 距離測定回路(検出部)
16 検知距離可変回路(検知距離可変部)
17 報知処理回路(警報手段)
19 スイッチ
20 警報手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の検知領域に波動を送信する送信部と、前記波動が障害物によって反射された反射波を受信する受信部とからなるセンサ部と、このセンサ部の出力により障害物の存否を検出する検出部とを備えた車両の障害物を検知する障害物検知装置において、最大検知距離内において予め定められた検知距離を変化させる検知距離可変部を備えたことを特徴とする障害物検知装置。
【請求項2】
前記検知距離可変部は、車両の後部に設けられた開閉体の開閉に連動して切換えられることを特徴とする請求項1記載の障害物検知装置。
【請求項3】
前記検知距離可変部は、前記センサ部から障害物までの距離と車両の最後部から障害物までの距離との間に生じる差に応じて、前記検知距離を変化させることを特徴とする請求項1又は2記載の障害物検知装置。
【請求項4】
前記検知距離に対応して段階的に警報を発生する警報手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の障害物検知装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−145248(P2006−145248A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332126(P2004−332126)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】