雰囲気センサ
【課題】温度分布を均一化して、高温で且つ長時間駆動可能なヒータを有する雰囲気センサを提供する。
【解決手段】基板12上に所定の厚さで形成されたダイアフラム20、このダイアフラム上に形成されたヒータ18を有しこのヒータが発生する熱が測定される雰囲気によって奪われるもしくは与えられることで生ずるヒータの抵抗値に基づき雰囲気を測定する雰囲気センサであって、ダイアフラム20に形成されたヒータ18が互いに略平行且つジグザグ状に配設された複数のパターン部18Aからなり、配設された複数のパターン部の各パターン部の間隔dを各パターンの線幅b1よりも小さくした。
【解決手段】基板12上に所定の厚さで形成されたダイアフラム20、このダイアフラム上に形成されたヒータ18を有しこのヒータが発生する熱が測定される雰囲気によって奪われるもしくは与えられることで生ずるヒータの抵抗値に基づき雰囲気を測定する雰囲気センサであって、ダイアフラム20に形成されたヒータ18が互いに略平行且つジグザグ状に配設された複数のパターン部18Aからなり、配設された複数のパターン部の各パターン部の間隔dを各パターンの線幅b1よりも小さくした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサ、湿度センサ、ガスセンサ、フローセンサ等の雰囲気センサに関し、特に、より高温で且つ長時間駆動可能な薄膜型マイクロヒータ(発熱抵抗体)を作製することができる雰囲気センサに関する。
【背景技術】
【0002】
温度センサ、湿度センサ、ガスセンサ、フローセンサ等の雰囲気センサとしては、例えば、特許文献1に記載された雰囲気センサの構造が知られている。
【0003】
この雰囲気センサの構造を図14に示す。この雰囲気センサは、凹部111を有するセンサ基板110と、該センサ基板110上に配設された固定部112aと該固定部112aに続く支持架橋部112bと該支持架橋部112bを介して凹部111の上に橋架された橋架部112cとからなる薄膜絶縁体112と、該薄膜絶縁体112の上に配設された発熱抵抗体113とからなり、薄膜抵抗体113が発生する熱が測定される雰囲気によって奪われることによって生ずる発熱抵抗体113の抵抗値から該雰囲気を測定する。
【0004】
この雰囲気センサにおいては、薄膜絶縁体113の固定部112aと支持架橋部112bとの間の支持架橋端部Aにおける平面形状が鈍角に形成されているため、支持架橋端部Aの部分からのひび割れ等を防止することができる。
【0005】
また、薄膜絶縁体113の橋架部112cの形状は、正方形であり、この正方形の対向する2辺D1,D2間に平行に発熱抵抗体113をジグザグ状に配置しているため、端部Bでの機械的強度の増大を図ることができる。
【0006】
さらに、前述した雰囲気センサに有する発熱抵抗体113にあっては、発熱抵抗体113の中央部の温度が周辺部よりも高くなり、発熱抵抗体113の中央部が焼損しやすい。
【0007】
例えば、図15に示すような、雰囲気センサに用いられるジグザグ状の薄膜型で且つ角形形状のマイクロヒータ(発熱抵抗体)201にあっては、ヒータ201の両端にDC電源電圧を印加してヒータ201を加熱することにより、駆動温度を高くすると、ヒータ201の中央部付近である溶断部202が溶断してしまう。
【0008】
また、図16に示すような、雰囲気センサに用いられるジグザグ状の薄膜型で且つU字状のヒータ301にあっては、ヒータ301の両端に電圧を印加して駆動温度を高くすると、ヒータ301の中央付近である溶断部302の部分Aまたは部分Bが溶断してしまう。
【0009】
そこで、橋架部112cの中央部における発熱抵抗体113の間隔d2を周辺部の間隔d1に比較して大きくしている。これによって、温度分布が均一化し、中央部が焼損するおそれもなく、熱共振を起こす心配もなくなる。また、発熱抵抗体113の中央部付近に穴114を設けて、中央部の熱を発散させることにより、中央部の温度上昇を抑制し、焼損を防止している。
【特許文献1】特開平6−118046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図14乃至図16に示した従来の雰囲気センサにあっては、中央部の焼損を防止できるものの、ヒータの耐久温度や耐久時間が十分でなかった。例えば、ガスセンサの場合、ヒータの温度を約400℃以上にしなければ、メタンガスを検知できない。このため、より安定してメタンガスを検知するためには、ヒータの温度を450℃以上で長時間駆動できる必要があった。そこで、より高温で駆動でき、しかも長時間駆動できるヒータが要望されていた。
【0011】
また、前述したヒータにおいて、中央部分に穴114を設ける場合には、穴114を作製しなければならず、ヒータの構造がさらに複雑になるという問題点があった。
【0012】
本発明は、温度分布を均一にすることによって、より高温で且つ長時間駆動可能なヒータを有する雰囲気センサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成とした。請求項1の発明は、基板上に所定の厚さで形成されたダイアフラム、このダイアフラム上に形成されたヒータを有しこのヒータが発生する熱が測定される雰囲気によって奪われるもしくは与えられることで生ずるヒータの抵抗値に基づき雰囲気を測定する雰囲気センサであって、前記ダイアフラムに形成された前記ヒータが互いに略平行且つジグザグ状に配設された複数のパターン部からなり、配設された複数のパターン部の各パターン部の間隔を各パターンの線幅よりも小さくしたことを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1記載の雰囲気センサにおいて、配設された複数のパターン部の各パターン部の間隔を各パターンの線幅に対して略1/3以下にしたことを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2記載の雰囲気センサにおいて、前記ダイアフラムに接触した状態でこのダイアフラム上に形成された誘電体膜を有し、前記ヒータが前記誘電体膜に接触した状態でこの誘電体膜上に形成され、前記誘電体膜は、酸化物と、この酸化物に接触した状態でこの酸化物上に形成された窒化膜と、この窒化膜に接触した状態でこの窒化膜上に形成された酸化ハフニウムとを有し、前記ヒータが前記酸化ハフニウムに接触した状態でこの酸化ハフニウム上に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、ダイアフラムに形成されたヒータが互いに略平行且つジグザグ状に配設された複数のパターン部からなり、配設された複数のパターン部の各パターン部の間隔を各パターンの線幅よりも小さくしたので、ヒータの均熱性が向上し、ヒータの温度分布が均一化されて中央部付近が溶断しにくくなり、ヒータの耐久温度を高くすることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、前記配設された複数のパターン部の各パターン部の間隔を各パターンの線幅に対して略1/3以下にしたので、ヒータの均熱性が向上し、ヒータの温度分布が均一化されて中央部付近が溶断しにくくなり、ヒータの耐久温度を高くすることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、請求項1又は請求項2記載の効果に加え、ダイアフラムに接触した状態でこのダイアフラム上に形成された誘電体膜を有し、ヒータが誘電体膜に接触した状態でこの誘電体膜上に形成されているので、ヒータが生成する発熱量が基板中に熱拡散する現象を回避することができる。また、誘電体膜は、酸化物と、この酸化物に接触した状態でこの酸化物上に形成された窒化膜と、この窒化膜に接触した状態でこの窒化膜上に形成された酸化ハフニウムとを有し、前記ヒータが前記酸化ハフニウムに接触した状態でこの酸化ハフニウム上に形成されているので、ヒータが生成する発熱量が基板中に熱拡散する現象を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の雰囲気センサのいくつかの実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
まず、図15及び図16に示すようなヒータに直流電圧(DC電圧)を印加して駆動温度を高くすると、ヒータの中央付近が溶断する。このため、本出願人は、ヒータの温度分布シミュレーションや赤外線放射温度計による温度測定により、ヒータの中央部の温度が最も高く、その部分が溶断することを確認した。
【0021】
そこで、本出願人は、ヒータの中央部が溶断することなく、ヒータの温度分布を均一になるように設計することにより、より高温で且つ長時間駆動できるようなヒータを作製した。以下、雰囲気センサのヒータ構造についていくつかの例を上げて説明する。
【0022】
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図及び雰囲気センサに設けられたヒータの構造図である。図2は第1の実施の形態のヒータの耐久試験を行うヒータ性能評価装置の回路構成図である。
【0023】
この雰囲気センサ10は、温度センサ、湿度センサ、ガスセンサ、フローセンサ等であり、例えば、図1(a)に示すように、シリコン単結晶からなる基板12、この基板12の表面に接触して形成された酸化膜14、この酸化膜14上で酸化膜14に接触して形成された窒化膜16、この窒化膜16上で窒化膜16に接触して形成された酸化ハフニウム17、この酸化ハフニウム17上で酸化ハフニウム17に接触して形成され且つ白金からなるヒータ18、基板12の裏面に異方性エッチングにより形成されたダイアフラム20を備えて構成される。また、ヒータ18は、ダイアフラム20上に形成されている。
【0024】
酸化膜14、窒化膜16及び酸化ハフニウム17のそれぞれは、誘電体膜を構成する。酸化膜14は、基板12の表面を熱酸化処理することにより得られたシリコン酸化膜であり、厚みが例えば約6000Åである。窒化膜16は、厚みが例えば約2500Åであり、シリコン窒化膜である。酸化ハフニウム17は、厚みが例えば約500Åである。
【0025】
なお、窒化膜16及び酸化ハフニウム17に代えて、五酸化タンタル、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム等を用いることもできる。
【0026】
ヒータ18は、厚さが例えば約5000Åである。このヒータ18は、白金の他に、抵抗温度係数が大きく、高温まで熱的に安定な金属または化合物であれば良く、例えば、ニッケル、ロジウム、モリブデン、白金ロジウム、ルテニウムの酸化物、ハフニウムの酸化物等を用いることもできる。
【0027】
ダイアフラム20は、シリコン単結晶からなり、図1(b)に示すように、縦サイズがa1で且つ横サイズがa2であって正方形をなし、このダイアフラム20上にヒータ18が形成されてなる。ヒータ18は、図1(b)に示すように、縦サイズがc1で且つ横サイズがc2であって、互いに略平行且つジグザグ状に配設された複数のパターン部18Aからなる。
【0028】
一方のパターン部18Aの一端部には白金からなる電極22aが接続されており、他方のパターン部18Aの一端部には白金からなる電極22bが接続されている。この電極22a,22bには図2に示す電源1からのDC電圧が印加されるようになっていて、このDC電圧駆動によりヒータ18が発熱するようになっている。
【0029】
また、配設された複数のパターン部の各パターン部の間隔(以下、線間隔と称する。)dは、端部に配置されたパターン部から中央部に配置されたパターン部に向かうに従って広くなっている。さらに、この線間隔dにヒータの温度分布を均一化するための均熱体25a、25bが形成されてなる。この均熱体25a、25bは、例えば、白金等からなる。
【0030】
なお、各パターン間の線間隔をdとする。各パターン部と該パターン部に隣接するパターン部とを連結するための連結パターン部としてのターン部19の線幅をb2とする。
【0031】
このように構成された第1の実施の形態の雰囲気センサのヒータによれば、配設された複数のパターン部18Aの各パターン部の線間隔dにヒータの温度分布を均一化するための均熱体25a,25bが形成されてなるため、ヒータの均熱性が高まり、ヒータの温度分布が均一化されて、ヒータの中央部付近のみが高温となることなく、中央部付近が溶断せず、ヒータの耐久温度を高くすることができる。
【0032】
また、本出願人は、図2に示すヒータ性能評価装置を用いて、ヒータ18の耐久試験を行った。このヒータ性能評価装置は、電源1、この電源1からのDC電圧をヒータ18に印加してヒータ18に定電流を流してDC連続駆動するヒータ駆動回路3、ヒータ18の両端電圧を測定する電圧計5を有して構成される。ヒータ18の駆動温度は、ヒータ18に流す電流を調整することで任意に設定している。
【0033】
このようなヒータ性能評価装置によれば、ヒータ駆動回路3が、電源1からのDC電圧をヒータ18に印加してヒータ18に定電流を流してDC連続駆動し、電圧計5がヒータ18の抵抗値の変化を電圧でモニタし、その電圧値によりヒータ18の溶断を判断する。そして、14日間、ヒータ18が溶断せずにヒータ18を駆動した温度の最高温度をヒータ18の耐久温度とする。
【0034】
なお、ヒータ18は、実際には30秒毎に1回だけ100msオンするパルス駆動で使用するため、例えば、10年間、ヒータ18をパルス駆動する場合、その積算オン時間は、DC連続駆動では、12.5日に相当する。このため、ヒータ18の耐久試験期間を14日とした。ヒータの耐久試験結果を表1に示す。
【表1】
【0035】
この表1のように、線間隔dに均熱体を設けたヒータA、このヒータAから均熱体を取り除いた図3(a)に示すようなヒータB、線間隔dが各パターンについて同じとした図3(b)に示すようなヒータCについて耐久試験を行った。ヒータA及びヒータBの線間隔dは、‘5’,‘10’,‘20’,‘30’であり、ヒータCの線間隔dは、‘10’である。
【0036】
ヒータAの耐久温度は、575℃であり、ヒータBの耐久温度は、550℃であり、ヒータCの耐久温度は、525℃である。ヒータの線間隔dに均熱体を設けると、耐久温度が高いことが確認された。このため、より高温で駆動でき、しかもより長時間駆動できるヒータを作製することができた。
【0037】
また、第1の実施の形態の雰囲気センサでは、酸化膜14、窒化膜16、及び酸化ハフニウム17を設けたので、ヒータ18が生成する発熱量が基板12中に熱拡散する現象を回避することができる。
【0038】
また、ヒータ18が白金を用いて形成されているので、化学的に安定な白金をヒータに用いることにより、長期的に高い安定性、再現性及び信頼性を有する雰囲気センサを実現することができる。
【0039】
(第2の実施の形態)
図4は第2の実施の形態の雰囲気センサに設けられたヒータの構造図である。図4に示すヒータでは、配設された複数のパターン部の各パターン部18Aの線幅b1,b2を予め定められた標準的な線幅よりも太くしたことを特徴とする。ここで、予め定められた標準的な線幅とは、従来のヒータにおけるパターン部の線幅である。
【0040】
なお、第2の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図は、図1(a)に示す第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図と同一構成であるので、ここでは、その詳細は省略する。
【0041】
このようなヒータによれば、配設された複数のパターン部の各パターン部18Aの線幅b1,b2を予め定められた標準的な線幅よりも太くしたので、ヒータの均熱性が向上し、ヒータの温度分布が均一化される。また、線幅b1,b2が太いため、中央部付近が溶断しにくくなり、ヒータの耐久温度を高くすることができる。
【0042】
また、本出願人は、図2に示すヒータ性能評価装置を用いて、ヒータの耐久試験を行った。ヒータの耐久試験結果を表2に示す。
【表2】
【0043】
この表2のように、ヒータの線幅b1,b2の太さを変えたヒータA、ヒータB、ヒータCについて耐久試験を行った。ヒータCが従来のヒータに対応し、そのヒータCの線幅は、‘10’である。ヒータBの線幅は、‘30’であり、ヒータAの線幅は、‘40’である。
【0044】
ヒータAの耐久温度は、575℃であり、ヒータBの耐久温度は、525℃であり、ヒータCの耐久温度は、475℃であり、ヒータの線幅b1,b2が太い方が、耐久温度が高いことが確認された。このため、より高温で駆動でき、しかもより長時間駆動できるヒータを作製することができた。
【0045】
(第3の実施の形態)
図5は第3の実施の形態の雰囲気センサに設けられたヒータの構造図である。第3の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図は、図1(a)に示す第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図と同一構成であるので、ここでは、その詳細は省略する。
【0046】
図5において、ヒータが互いに略平行且つジグザグ状に配設された複数のパターン部18Aからなり、配設された複数のパターン部の各パターン部の線間隔dを各パターンの線幅b1に対して略数分の1以下にしたことを特徴とする。すなわち、線間隔dを各パターンの線幅b1に対して十分に狭くしたことを特徴とする。
【0047】
このようなヒータによれば、配設された複数のパターン部18Aの各パターン部の間隔dを各パターンの線幅b1に対して略数分の1以下にしたので、ヒータの均熱性が向上し、ヒータの温度分布が均一化されて中央部付近が溶断しにくくなり、ヒータの耐久温度を高くすることができる。
【0048】
また、本出願人は、図2に示すヒータ性能評価装置を用いて、ヒータの耐久試験を行った。ヒータの耐久試験結果を表3に示す。
【表3】
【0049】
この表3のように、ヒータの線線幅dを変えたヒータA、ヒータB、ヒータCについて耐久試験を行った。ヒータA〜Cの線幅b1,b2は、‘30’であり、ヒータAの線間隔dは、‘5’であり、ヒータBの線間隔は、‘10’であり、ヒータCの線間隔は、‘20’である。
【0050】
ヒータAの耐久温度は、575℃であり、ヒータBの耐久温度は、525℃であり、ヒータCの耐久温度は、475℃であり、ヒータの線間隔dが小さい方が、耐久温度が高いことが確認された。このため、より高温で駆動でき、しかもより長時間駆動できるヒータを作製することができた。
【0051】
(第1の実施の形態の第1の変形例)
図6は第1の実施の形態のヒータの第1の変形例を示す図である。第1の実施の形態のヒータの第1の変形例の雰囲気センサの全体構成図は、図1(a)に示す第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図と同一構成であるので、ここでは、その詳細は省略する。
【0052】
図6に示すヒータでは、図1に示す第1の実施の形態のヒータに対して、さらに、ヒータの各パターン部18Aの線幅b1,b2をさらに太くしたことを特徴とする。
【0053】
このように、各パターン部18Aの線幅をさらに太くしたので、ヒータの均熱性が向上し、ヒータの温度分布が均一化される。また、線幅が太いため、中央部付近が溶断しにくくなり、ヒータの耐久温度を高くすることができる。
【0054】
従って、第1の実施の形態のヒータの耐久温度よりもさらに、ヒータの耐久温度を高くすることができる。その結果、さらに高温で駆動でき、しかもより長時間駆動できるヒータを提供することができる。
【0055】
(第2の実施の形態の第1の変形例)
図7は第2の実施の形態のヒータの第1の変形例を示す図である。第2の実施の形態のヒータの第1の変形例の雰囲気センサの全体構成図は、図1(a)に示す第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図と同一構成であるので、ここでは、その詳細は省略する。
【0056】
図7に示すヒータでは、図4に示す第2の実施の形態のヒータに対して、さらに、配設された複数のパターン部の各パターン部の線間隔dを各パターンの線幅b1に対して十分に狭くしたことを特徴とする。
【0057】
このようなヒータによれば、配設された複数のパターン部18Aの各パターン部の間隔dを各パターンの線幅b1に対して十分に狭くしたので、ヒータの均熱性が向上し、ヒータの温度分布が均一化されて中央部付近が溶断しにくくなり、ヒータの耐久温度を高くすることができる。
【0058】
従って、第2の実施の形態のヒータの耐久温度よりもさらに、ヒータの耐久温度を高くすることができる。その結果、さらに高温で駆動でき、しかもより長時間駆動できるヒータを提供することができる。
【0059】
(第1の実施の形態の第2の変形例)
図8は第1の実施の形態のヒータの第2の変形例を示す図である。第1の実施の形態のヒータの第2の変形例の雰囲気センサの全体構成図は、図1(a)に示す第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図と同一構成であるので、ここでは、その詳細は省略する。
【0060】
図8に示すヒータでは、図1に示す第1の実施の形態のヒータに対して、さらに、配設された複数のパターン部の各パターン部の線間隔dを各パターンの線幅b1に対して十分に狭くしたことを特徴とする。
【0061】
このようなヒータによれば、配設された複数のパターン部18Aの各パターン部の間隔dを各パターンの線幅b1に対して十分に狭くしたので、ヒータの均熱性が向上し、ヒータの温度分布が均一化されて中央部付近が溶断しにくくなり、ヒータの耐久温度を高くすることができる。
【0062】
従って、第1の実施の形態のヒータの耐久温度よりもさらに、ヒータの耐久温度を高くすることができる。その結果、さらに高温で駆動でき、しかもより長時間駆動できるヒータを提供することができる。
【0063】
(第1の実施の形態の第3の変形例)
図9は第1の実施の形態のヒータの第3の変形例を示す図である。第1の実施の形態のヒータの第3の変形例の雰囲気センサの全体構成図は、図1(a)に示す第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図と同一構成であるので、ここでは、その詳細は省略する。
【0064】
図9に示すヒータ18は、図1に示す第1の実施の形態のヒータに対して、さらに、配設された複数のパターン部18Aの各パターン部と該パターン部に隣接するパターン部とを連結するための連結パターン部としてのターン部19A〜19Dの線幅b2が、複数のパターン部18Aの内の端部に配置されたパターン部から中央部に配置されたパターン部に向かうに従って太くなっていることを特徴とする。
【0065】
このようなヒータによれば、配設された複数のパターン部18Aの各パターン部と該パターン部に隣接するパターン部とを連結するための連結パターン部としてのターン部19A〜19Dの線幅b2が、複数のパターン部18Aの内の端部に配置されたパターン部から中央部に配置されたパターン部に向かうに従って太くなっているので、中央部付近の連結パターン部の発熱量が小さくなる。このため、ヒータ中央部付近のみが高温とならず、ヒータの温度分布が均一化されて中央部付近が溶断しにくくなり、ヒータの耐久温度を高くすることができる。
【0066】
従って、第1の実施の形態のヒータの耐久温度よりもさらに、ヒータの耐久温度を高くすることができる。その結果、さらに高温で駆動でき、しかもより長時間駆動できるヒータを提供することができる。
【0067】
(第1の実施の形態の第4の変形例)
図10は第1の実施の形態のヒータの第4の変形例を示す図である。第1の実施の形態のヒータの第4の変形例の雰囲気センサの全体構成図は、図1(a)に示す第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図と同一構成であるので、ここでは、その詳細は省略する。
【0068】
図10に示すヒータ18は、図1に示す第1の実施の形態のヒータに対して、さらに、配設された複数のパターン部18A〜18Eの長手方向の線幅b1が、複数のパターン部18A〜18Eの内の端部に配置されたパターン部18Aから中央部に配置されたパターン部18Eに向かうに従って太くなっている。
【0069】
このように、配設された複数のパターン部18A〜18Eの長手方向の線幅b1が、複数のパターン部18A〜18Eの内の端部に配置されたパターン部18Aから中央部に配置されたパターン部18Eに向かうに従って太くなっている。すなわち、温度が高い中央部付近のパターン部の線幅を太くすることにより、その部分が溶断しにくくなり、さらに、ヒータの耐久温度を高くすることができる。従って、第1の実施の形態のヒータの耐久温度よりもさらに、ヒータの耐久温度を高くすることができる。その結果、さらに高温で駆動でき、しかもより長時間駆動できるヒータを提供することができる。
【0070】
(第3の実施の形態の第1の変形例)
図11は第3の実施の形態のヒータの第1の変形例を示す図である。第3の実施の形態のヒータの第1の変形例の雰囲気センサの全体構成図は、図1(a)に示す第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図と同一構成であるので、ここでは、その詳細は省略する。
【0071】
図11に示すヒータ18は、図5に示す第3の実施の形態のヒータに対して、さらに、配設された複数のパターン部18Aの各パターン部と該パターン部に隣接するパターン部とを連結するための連結パターン部としてのターン部19A〜19Dの線幅b2が、複数のパターン部18Aの内の端部に配置されたパターン部から中央部に配置されたパターン部に向かうに従って太くなっていることを特徴とする。
【0072】
このようなヒータによれば、配設された複数のパターン部18Aの各パターン部と該パターン部に隣接するパターン部とを連結するための連結パターン部としてのターン部19A〜19Dの線幅b2が、複数のパターン部18Aの内の端部に配置されたパターン部から中央部に配置されたパターン部に向かうに従って太くなっているので、中央部付近の連結パターン部の発熱量が小さくなる。このため、ヒータ中央部付近のみが高温とならず、ヒータの温度分布が均一化されて中央部付近が溶断しにくくなり、ヒータの耐久温度を高くすることができる。
【0073】
従って、第3の実施の形態のヒータの耐久温度よりもさらに、ヒータの耐久温度を高くすることができる。その結果、さらに高温で駆動でき、しかもより長時間駆動できるヒータを提供することができる。
【0074】
(第3の実施の形態の第2の変形例)
図12は第3の実施の形態のヒータの第2の変形例を示す図である。第3の実施の形態のヒータの第2の変形例の雰囲気センサの全体構成図は、図1(a)に示す第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図と同一構成であるので、ここでは、その詳細は省略する。
【0075】
図12に示すヒータ18は、図5に示す第3の実施の形態のヒータに対して、さらに、配設された複数のパターン部18A〜18Eの長手方向の線幅b1が、複数のパターン部18A〜18Eの内の端部に配置されたパターン部18Aから中央部に配置されたパターン部18Eに向かうに従って太くなっている。
【0076】
このように、配設された複数のパターン部18A〜18Eの長手方向の線幅b1が、複数のパターン部18A〜18Eの内の端部に配置されたパターン部18Aから中央部に配置されたパターン部18Eに向かうに従って太くなっている。すなわち、温度が高い中央部付近のパターン部の線幅を太くすることにより、その部分が溶断しにくくなり、さらに、ヒータの耐久温度を高くすることができる。従って、第3の実施の形態のヒータの耐久温度よりもさらに、ヒータの耐久温度を高くすることができる。その結果、さらに高温で駆動でき、しかもより長時間駆動できるヒータを提供することができる。
【0077】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態の雰囲気センサを説明する。図13は第4の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図及び雰囲気センサに設けられたヒータの構造図である。
【0078】
この雰囲気センサは、図1に示す雰囲気センサの構成に加え、ヒータ18に接触した状態でこのヒータ18上に形成され且つヒータ18の発熱量に応じて発熱して可燃性ガスの燃焼に対して触媒として作用する触媒層としてのガス感応膜51を設けたことを特徴とする。
【0079】
この雰囲気センサは、例えば、接触燃焼式ガスセンサ等であり、可燃性ガスを燃焼する際に発生する燃焼熱を検出することによって可燃性ガスを検量するもので、前記ヒータ18が可燃性ガスの燃焼を促すように機能する。ガス感応膜51としては、パラジウム等の白金族触媒を担持したアルミナ等の担体を用いることができる。
【0080】
このような雰囲気センサによれば、可燃性ガスの燃焼に対して触媒として作用する触媒層としてのガス感応膜51を設けたので、十分なガス検知感度を実現でき、さらに、長期的に高い安定性、再現性及び信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ等のガスセンサを実現することができる。
【0081】
また、ガス感応膜51をヒータ18上に形成した雰囲気センサは、ガス感応膜51をヒータ18上に形成しない雰囲気センサよりもヒータ18の耐久温度が例えば約50℃程度低下するが、前述のヒータ構造により、ヒータ18の温度分布を均一化することで、ヒータ18の耐久温度を上げることができ、燃焼温度の高い各種のガスを識別することができる。
【0082】
また、第4の実施の形態の雰囲気センサは、図1に示す雰囲気センサのヒータ18上にガス感応膜51を形成したが、例えば、このガス感応膜51を、第2及び第3の実施の形態のヒータ、第1の実施の形態の第1乃至第4の変形例のヒータ、第2の実施の形態の第1の変形例のヒータ、第3の実施の形態の第1及び第2の変形例のヒータのいずれかのヒータ上に形成しても良い。
【0083】
なお、本発明は前述した実施の形態の雰囲気センサに限定されるものではない。前述の説明では、第1乃至第3の実施の形態のヒータの例、第1の実施の形態のヒータの第1乃至第4の変形例、第2の実施の形態のヒータの第1の変形例、第3の実施の形態のヒータの第1及び第2の変形例を示したが、これらの10通りの例の内の、少なくとも2つの例を組み合わせたものであっても良い。このようにすれば、ヒータ18の耐久温度はさらに高くなり、より高温で且つ長時間駆動可能で、より安定性の高いヒータを提供することができる。このほか、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、種々変形して実施可能であるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図及び雰囲気センサに設けられたヒータの構造図である。
【図2】第1の実施の形態のヒータの耐久試験を行うヒータ性能評価装置の回路構成図である。
【図3】第1の実施の形態の均熱体を有するヒータから均熱体を取り除いたヒータ及び各パターンの線間隔が同一サイズを持つヒータを示す図である。
【図4】第2の実施の形態の雰囲気センサに設けられたヒータの構造図である。
【図5】第3の実施の形態の雰囲気センサに設けられたヒータの構造図である。
【図6】第1の実施の形態のヒータの第1の変形例を示す図である。
【図7】第2の実施の形態のヒータの第1の変形例を示す図である。
【図8】第1の実施の形態のヒータの第2の変形例を示す図である。
【図9】第1の実施の形態のヒータの第3の変形例を示す図である。
【図10】第1の実施の形態のヒータの第4の変形例を示す図である。
【図11】第3の実施の形態のヒータの第1の変形例を示す図である。
【図12】第3の実施の形態のヒータの第2の変形例を示す図である。
【図13】第4の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図及び雰囲気センサに設けられたヒータの構造図である。
【図14】従来の雰囲気センサの構造を示す図である。
【図15】従来の雰囲気センサの角型状のヒータの溶断を示す図である。
【図16】従来の雰囲気センサの丸型状のヒータの溶断を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
1 電源
3 ヒータ駆動回路
5 電圧計
10 雰囲気センサ
12 基板
14 酸化膜
16 窒化膜
17 酸化ハフニウム
18 ヒータ
18A〜18E パターン部
19 ターン部
20 ダイアフラム
22a,22b 電極
25a,25b 均熱体
51 ガス感応膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサ、湿度センサ、ガスセンサ、フローセンサ等の雰囲気センサに関し、特に、より高温で且つ長時間駆動可能な薄膜型マイクロヒータ(発熱抵抗体)を作製することができる雰囲気センサに関する。
【背景技術】
【0002】
温度センサ、湿度センサ、ガスセンサ、フローセンサ等の雰囲気センサとしては、例えば、特許文献1に記載された雰囲気センサの構造が知られている。
【0003】
この雰囲気センサの構造を図14に示す。この雰囲気センサは、凹部111を有するセンサ基板110と、該センサ基板110上に配設された固定部112aと該固定部112aに続く支持架橋部112bと該支持架橋部112bを介して凹部111の上に橋架された橋架部112cとからなる薄膜絶縁体112と、該薄膜絶縁体112の上に配設された発熱抵抗体113とからなり、薄膜抵抗体113が発生する熱が測定される雰囲気によって奪われることによって生ずる発熱抵抗体113の抵抗値から該雰囲気を測定する。
【0004】
この雰囲気センサにおいては、薄膜絶縁体113の固定部112aと支持架橋部112bとの間の支持架橋端部Aにおける平面形状が鈍角に形成されているため、支持架橋端部Aの部分からのひび割れ等を防止することができる。
【0005】
また、薄膜絶縁体113の橋架部112cの形状は、正方形であり、この正方形の対向する2辺D1,D2間に平行に発熱抵抗体113をジグザグ状に配置しているため、端部Bでの機械的強度の増大を図ることができる。
【0006】
さらに、前述した雰囲気センサに有する発熱抵抗体113にあっては、発熱抵抗体113の中央部の温度が周辺部よりも高くなり、発熱抵抗体113の中央部が焼損しやすい。
【0007】
例えば、図15に示すような、雰囲気センサに用いられるジグザグ状の薄膜型で且つ角形形状のマイクロヒータ(発熱抵抗体)201にあっては、ヒータ201の両端にDC電源電圧を印加してヒータ201を加熱することにより、駆動温度を高くすると、ヒータ201の中央部付近である溶断部202が溶断してしまう。
【0008】
また、図16に示すような、雰囲気センサに用いられるジグザグ状の薄膜型で且つU字状のヒータ301にあっては、ヒータ301の両端に電圧を印加して駆動温度を高くすると、ヒータ301の中央付近である溶断部302の部分Aまたは部分Bが溶断してしまう。
【0009】
そこで、橋架部112cの中央部における発熱抵抗体113の間隔d2を周辺部の間隔d1に比較して大きくしている。これによって、温度分布が均一化し、中央部が焼損するおそれもなく、熱共振を起こす心配もなくなる。また、発熱抵抗体113の中央部付近に穴114を設けて、中央部の熱を発散させることにより、中央部の温度上昇を抑制し、焼損を防止している。
【特許文献1】特開平6−118046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図14乃至図16に示した従来の雰囲気センサにあっては、中央部の焼損を防止できるものの、ヒータの耐久温度や耐久時間が十分でなかった。例えば、ガスセンサの場合、ヒータの温度を約400℃以上にしなければ、メタンガスを検知できない。このため、より安定してメタンガスを検知するためには、ヒータの温度を450℃以上で長時間駆動できる必要があった。そこで、より高温で駆動でき、しかも長時間駆動できるヒータが要望されていた。
【0011】
また、前述したヒータにおいて、中央部分に穴114を設ける場合には、穴114を作製しなければならず、ヒータの構造がさらに複雑になるという問題点があった。
【0012】
本発明は、温度分布を均一にすることによって、より高温で且つ長時間駆動可能なヒータを有する雰囲気センサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成とした。請求項1の発明は、基板上に所定の厚さで形成されたダイアフラム、このダイアフラム上に形成されたヒータを有しこのヒータが発生する熱が測定される雰囲気によって奪われるもしくは与えられることで生ずるヒータの抵抗値に基づき雰囲気を測定する雰囲気センサであって、前記ダイアフラムに形成された前記ヒータが互いに略平行且つジグザグ状に配設された複数のパターン部からなり、配設された複数のパターン部の各パターン部の間隔を各パターンの線幅よりも小さくしたことを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1記載の雰囲気センサにおいて、配設された複数のパターン部の各パターン部の間隔を各パターンの線幅に対して略1/3以下にしたことを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2記載の雰囲気センサにおいて、前記ダイアフラムに接触した状態でこのダイアフラム上に形成された誘電体膜を有し、前記ヒータが前記誘電体膜に接触した状態でこの誘電体膜上に形成され、前記誘電体膜は、酸化物と、この酸化物に接触した状態でこの酸化物上に形成された窒化膜と、この窒化膜に接触した状態でこの窒化膜上に形成された酸化ハフニウムとを有し、前記ヒータが前記酸化ハフニウムに接触した状態でこの酸化ハフニウム上に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、ダイアフラムに形成されたヒータが互いに略平行且つジグザグ状に配設された複数のパターン部からなり、配設された複数のパターン部の各パターン部の間隔を各パターンの線幅よりも小さくしたので、ヒータの均熱性が向上し、ヒータの温度分布が均一化されて中央部付近が溶断しにくくなり、ヒータの耐久温度を高くすることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、前記配設された複数のパターン部の各パターン部の間隔を各パターンの線幅に対して略1/3以下にしたので、ヒータの均熱性が向上し、ヒータの温度分布が均一化されて中央部付近が溶断しにくくなり、ヒータの耐久温度を高くすることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、請求項1又は請求項2記載の効果に加え、ダイアフラムに接触した状態でこのダイアフラム上に形成された誘電体膜を有し、ヒータが誘電体膜に接触した状態でこの誘電体膜上に形成されているので、ヒータが生成する発熱量が基板中に熱拡散する現象を回避することができる。また、誘電体膜は、酸化物と、この酸化物に接触した状態でこの酸化物上に形成された窒化膜と、この窒化膜に接触した状態でこの窒化膜上に形成された酸化ハフニウムとを有し、前記ヒータが前記酸化ハフニウムに接触した状態でこの酸化ハフニウム上に形成されているので、ヒータが生成する発熱量が基板中に熱拡散する現象を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の雰囲気センサのいくつかの実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
まず、図15及び図16に示すようなヒータに直流電圧(DC電圧)を印加して駆動温度を高くすると、ヒータの中央付近が溶断する。このため、本出願人は、ヒータの温度分布シミュレーションや赤外線放射温度計による温度測定により、ヒータの中央部の温度が最も高く、その部分が溶断することを確認した。
【0021】
そこで、本出願人は、ヒータの中央部が溶断することなく、ヒータの温度分布を均一になるように設計することにより、より高温で且つ長時間駆動できるようなヒータを作製した。以下、雰囲気センサのヒータ構造についていくつかの例を上げて説明する。
【0022】
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図及び雰囲気センサに設けられたヒータの構造図である。図2は第1の実施の形態のヒータの耐久試験を行うヒータ性能評価装置の回路構成図である。
【0023】
この雰囲気センサ10は、温度センサ、湿度センサ、ガスセンサ、フローセンサ等であり、例えば、図1(a)に示すように、シリコン単結晶からなる基板12、この基板12の表面に接触して形成された酸化膜14、この酸化膜14上で酸化膜14に接触して形成された窒化膜16、この窒化膜16上で窒化膜16に接触して形成された酸化ハフニウム17、この酸化ハフニウム17上で酸化ハフニウム17に接触して形成され且つ白金からなるヒータ18、基板12の裏面に異方性エッチングにより形成されたダイアフラム20を備えて構成される。また、ヒータ18は、ダイアフラム20上に形成されている。
【0024】
酸化膜14、窒化膜16及び酸化ハフニウム17のそれぞれは、誘電体膜を構成する。酸化膜14は、基板12の表面を熱酸化処理することにより得られたシリコン酸化膜であり、厚みが例えば約6000Åである。窒化膜16は、厚みが例えば約2500Åであり、シリコン窒化膜である。酸化ハフニウム17は、厚みが例えば約500Åである。
【0025】
なお、窒化膜16及び酸化ハフニウム17に代えて、五酸化タンタル、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム等を用いることもできる。
【0026】
ヒータ18は、厚さが例えば約5000Åである。このヒータ18は、白金の他に、抵抗温度係数が大きく、高温まで熱的に安定な金属または化合物であれば良く、例えば、ニッケル、ロジウム、モリブデン、白金ロジウム、ルテニウムの酸化物、ハフニウムの酸化物等を用いることもできる。
【0027】
ダイアフラム20は、シリコン単結晶からなり、図1(b)に示すように、縦サイズがa1で且つ横サイズがa2であって正方形をなし、このダイアフラム20上にヒータ18が形成されてなる。ヒータ18は、図1(b)に示すように、縦サイズがc1で且つ横サイズがc2であって、互いに略平行且つジグザグ状に配設された複数のパターン部18Aからなる。
【0028】
一方のパターン部18Aの一端部には白金からなる電極22aが接続されており、他方のパターン部18Aの一端部には白金からなる電極22bが接続されている。この電極22a,22bには図2に示す電源1からのDC電圧が印加されるようになっていて、このDC電圧駆動によりヒータ18が発熱するようになっている。
【0029】
また、配設された複数のパターン部の各パターン部の間隔(以下、線間隔と称する。)dは、端部に配置されたパターン部から中央部に配置されたパターン部に向かうに従って広くなっている。さらに、この線間隔dにヒータの温度分布を均一化するための均熱体25a、25bが形成されてなる。この均熱体25a、25bは、例えば、白金等からなる。
【0030】
なお、各パターン間の線間隔をdとする。各パターン部と該パターン部に隣接するパターン部とを連結するための連結パターン部としてのターン部19の線幅をb2とする。
【0031】
このように構成された第1の実施の形態の雰囲気センサのヒータによれば、配設された複数のパターン部18Aの各パターン部の線間隔dにヒータの温度分布を均一化するための均熱体25a,25bが形成されてなるため、ヒータの均熱性が高まり、ヒータの温度分布が均一化されて、ヒータの中央部付近のみが高温となることなく、中央部付近が溶断せず、ヒータの耐久温度を高くすることができる。
【0032】
また、本出願人は、図2に示すヒータ性能評価装置を用いて、ヒータ18の耐久試験を行った。このヒータ性能評価装置は、電源1、この電源1からのDC電圧をヒータ18に印加してヒータ18に定電流を流してDC連続駆動するヒータ駆動回路3、ヒータ18の両端電圧を測定する電圧計5を有して構成される。ヒータ18の駆動温度は、ヒータ18に流す電流を調整することで任意に設定している。
【0033】
このようなヒータ性能評価装置によれば、ヒータ駆動回路3が、電源1からのDC電圧をヒータ18に印加してヒータ18に定電流を流してDC連続駆動し、電圧計5がヒータ18の抵抗値の変化を電圧でモニタし、その電圧値によりヒータ18の溶断を判断する。そして、14日間、ヒータ18が溶断せずにヒータ18を駆動した温度の最高温度をヒータ18の耐久温度とする。
【0034】
なお、ヒータ18は、実際には30秒毎に1回だけ100msオンするパルス駆動で使用するため、例えば、10年間、ヒータ18をパルス駆動する場合、その積算オン時間は、DC連続駆動では、12.5日に相当する。このため、ヒータ18の耐久試験期間を14日とした。ヒータの耐久試験結果を表1に示す。
【表1】
【0035】
この表1のように、線間隔dに均熱体を設けたヒータA、このヒータAから均熱体を取り除いた図3(a)に示すようなヒータB、線間隔dが各パターンについて同じとした図3(b)に示すようなヒータCについて耐久試験を行った。ヒータA及びヒータBの線間隔dは、‘5’,‘10’,‘20’,‘30’であり、ヒータCの線間隔dは、‘10’である。
【0036】
ヒータAの耐久温度は、575℃であり、ヒータBの耐久温度は、550℃であり、ヒータCの耐久温度は、525℃である。ヒータの線間隔dに均熱体を設けると、耐久温度が高いことが確認された。このため、より高温で駆動でき、しかもより長時間駆動できるヒータを作製することができた。
【0037】
また、第1の実施の形態の雰囲気センサでは、酸化膜14、窒化膜16、及び酸化ハフニウム17を設けたので、ヒータ18が生成する発熱量が基板12中に熱拡散する現象を回避することができる。
【0038】
また、ヒータ18が白金を用いて形成されているので、化学的に安定な白金をヒータに用いることにより、長期的に高い安定性、再現性及び信頼性を有する雰囲気センサを実現することができる。
【0039】
(第2の実施の形態)
図4は第2の実施の形態の雰囲気センサに設けられたヒータの構造図である。図4に示すヒータでは、配設された複数のパターン部の各パターン部18Aの線幅b1,b2を予め定められた標準的な線幅よりも太くしたことを特徴とする。ここで、予め定められた標準的な線幅とは、従来のヒータにおけるパターン部の線幅である。
【0040】
なお、第2の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図は、図1(a)に示す第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図と同一構成であるので、ここでは、その詳細は省略する。
【0041】
このようなヒータによれば、配設された複数のパターン部の各パターン部18Aの線幅b1,b2を予め定められた標準的な線幅よりも太くしたので、ヒータの均熱性が向上し、ヒータの温度分布が均一化される。また、線幅b1,b2が太いため、中央部付近が溶断しにくくなり、ヒータの耐久温度を高くすることができる。
【0042】
また、本出願人は、図2に示すヒータ性能評価装置を用いて、ヒータの耐久試験を行った。ヒータの耐久試験結果を表2に示す。
【表2】
【0043】
この表2のように、ヒータの線幅b1,b2の太さを変えたヒータA、ヒータB、ヒータCについて耐久試験を行った。ヒータCが従来のヒータに対応し、そのヒータCの線幅は、‘10’である。ヒータBの線幅は、‘30’であり、ヒータAの線幅は、‘40’である。
【0044】
ヒータAの耐久温度は、575℃であり、ヒータBの耐久温度は、525℃であり、ヒータCの耐久温度は、475℃であり、ヒータの線幅b1,b2が太い方が、耐久温度が高いことが確認された。このため、より高温で駆動でき、しかもより長時間駆動できるヒータを作製することができた。
【0045】
(第3の実施の形態)
図5は第3の実施の形態の雰囲気センサに設けられたヒータの構造図である。第3の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図は、図1(a)に示す第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図と同一構成であるので、ここでは、その詳細は省略する。
【0046】
図5において、ヒータが互いに略平行且つジグザグ状に配設された複数のパターン部18Aからなり、配設された複数のパターン部の各パターン部の線間隔dを各パターンの線幅b1に対して略数分の1以下にしたことを特徴とする。すなわち、線間隔dを各パターンの線幅b1に対して十分に狭くしたことを特徴とする。
【0047】
このようなヒータによれば、配設された複数のパターン部18Aの各パターン部の間隔dを各パターンの線幅b1に対して略数分の1以下にしたので、ヒータの均熱性が向上し、ヒータの温度分布が均一化されて中央部付近が溶断しにくくなり、ヒータの耐久温度を高くすることができる。
【0048】
また、本出願人は、図2に示すヒータ性能評価装置を用いて、ヒータの耐久試験を行った。ヒータの耐久試験結果を表3に示す。
【表3】
【0049】
この表3のように、ヒータの線線幅dを変えたヒータA、ヒータB、ヒータCについて耐久試験を行った。ヒータA〜Cの線幅b1,b2は、‘30’であり、ヒータAの線間隔dは、‘5’であり、ヒータBの線間隔は、‘10’であり、ヒータCの線間隔は、‘20’である。
【0050】
ヒータAの耐久温度は、575℃であり、ヒータBの耐久温度は、525℃であり、ヒータCの耐久温度は、475℃であり、ヒータの線間隔dが小さい方が、耐久温度が高いことが確認された。このため、より高温で駆動でき、しかもより長時間駆動できるヒータを作製することができた。
【0051】
(第1の実施の形態の第1の変形例)
図6は第1の実施の形態のヒータの第1の変形例を示す図である。第1の実施の形態のヒータの第1の変形例の雰囲気センサの全体構成図は、図1(a)に示す第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図と同一構成であるので、ここでは、その詳細は省略する。
【0052】
図6に示すヒータでは、図1に示す第1の実施の形態のヒータに対して、さらに、ヒータの各パターン部18Aの線幅b1,b2をさらに太くしたことを特徴とする。
【0053】
このように、各パターン部18Aの線幅をさらに太くしたので、ヒータの均熱性が向上し、ヒータの温度分布が均一化される。また、線幅が太いため、中央部付近が溶断しにくくなり、ヒータの耐久温度を高くすることができる。
【0054】
従って、第1の実施の形態のヒータの耐久温度よりもさらに、ヒータの耐久温度を高くすることができる。その結果、さらに高温で駆動でき、しかもより長時間駆動できるヒータを提供することができる。
【0055】
(第2の実施の形態の第1の変形例)
図7は第2の実施の形態のヒータの第1の変形例を示す図である。第2の実施の形態のヒータの第1の変形例の雰囲気センサの全体構成図は、図1(a)に示す第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図と同一構成であるので、ここでは、その詳細は省略する。
【0056】
図7に示すヒータでは、図4に示す第2の実施の形態のヒータに対して、さらに、配設された複数のパターン部の各パターン部の線間隔dを各パターンの線幅b1に対して十分に狭くしたことを特徴とする。
【0057】
このようなヒータによれば、配設された複数のパターン部18Aの各パターン部の間隔dを各パターンの線幅b1に対して十分に狭くしたので、ヒータの均熱性が向上し、ヒータの温度分布が均一化されて中央部付近が溶断しにくくなり、ヒータの耐久温度を高くすることができる。
【0058】
従って、第2の実施の形態のヒータの耐久温度よりもさらに、ヒータの耐久温度を高くすることができる。その結果、さらに高温で駆動でき、しかもより長時間駆動できるヒータを提供することができる。
【0059】
(第1の実施の形態の第2の変形例)
図8は第1の実施の形態のヒータの第2の変形例を示す図である。第1の実施の形態のヒータの第2の変形例の雰囲気センサの全体構成図は、図1(a)に示す第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図と同一構成であるので、ここでは、その詳細は省略する。
【0060】
図8に示すヒータでは、図1に示す第1の実施の形態のヒータに対して、さらに、配設された複数のパターン部の各パターン部の線間隔dを各パターンの線幅b1に対して十分に狭くしたことを特徴とする。
【0061】
このようなヒータによれば、配設された複数のパターン部18Aの各パターン部の間隔dを各パターンの線幅b1に対して十分に狭くしたので、ヒータの均熱性が向上し、ヒータの温度分布が均一化されて中央部付近が溶断しにくくなり、ヒータの耐久温度を高くすることができる。
【0062】
従って、第1の実施の形態のヒータの耐久温度よりもさらに、ヒータの耐久温度を高くすることができる。その結果、さらに高温で駆動でき、しかもより長時間駆動できるヒータを提供することができる。
【0063】
(第1の実施の形態の第3の変形例)
図9は第1の実施の形態のヒータの第3の変形例を示す図である。第1の実施の形態のヒータの第3の変形例の雰囲気センサの全体構成図は、図1(a)に示す第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図と同一構成であるので、ここでは、その詳細は省略する。
【0064】
図9に示すヒータ18は、図1に示す第1の実施の形態のヒータに対して、さらに、配設された複数のパターン部18Aの各パターン部と該パターン部に隣接するパターン部とを連結するための連結パターン部としてのターン部19A〜19Dの線幅b2が、複数のパターン部18Aの内の端部に配置されたパターン部から中央部に配置されたパターン部に向かうに従って太くなっていることを特徴とする。
【0065】
このようなヒータによれば、配設された複数のパターン部18Aの各パターン部と該パターン部に隣接するパターン部とを連結するための連結パターン部としてのターン部19A〜19Dの線幅b2が、複数のパターン部18Aの内の端部に配置されたパターン部から中央部に配置されたパターン部に向かうに従って太くなっているので、中央部付近の連結パターン部の発熱量が小さくなる。このため、ヒータ中央部付近のみが高温とならず、ヒータの温度分布が均一化されて中央部付近が溶断しにくくなり、ヒータの耐久温度を高くすることができる。
【0066】
従って、第1の実施の形態のヒータの耐久温度よりもさらに、ヒータの耐久温度を高くすることができる。その結果、さらに高温で駆動でき、しかもより長時間駆動できるヒータを提供することができる。
【0067】
(第1の実施の形態の第4の変形例)
図10は第1の実施の形態のヒータの第4の変形例を示す図である。第1の実施の形態のヒータの第4の変形例の雰囲気センサの全体構成図は、図1(a)に示す第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図と同一構成であるので、ここでは、その詳細は省略する。
【0068】
図10に示すヒータ18は、図1に示す第1の実施の形態のヒータに対して、さらに、配設された複数のパターン部18A〜18Eの長手方向の線幅b1が、複数のパターン部18A〜18Eの内の端部に配置されたパターン部18Aから中央部に配置されたパターン部18Eに向かうに従って太くなっている。
【0069】
このように、配設された複数のパターン部18A〜18Eの長手方向の線幅b1が、複数のパターン部18A〜18Eの内の端部に配置されたパターン部18Aから中央部に配置されたパターン部18Eに向かうに従って太くなっている。すなわち、温度が高い中央部付近のパターン部の線幅を太くすることにより、その部分が溶断しにくくなり、さらに、ヒータの耐久温度を高くすることができる。従って、第1の実施の形態のヒータの耐久温度よりもさらに、ヒータの耐久温度を高くすることができる。その結果、さらに高温で駆動でき、しかもより長時間駆動できるヒータを提供することができる。
【0070】
(第3の実施の形態の第1の変形例)
図11は第3の実施の形態のヒータの第1の変形例を示す図である。第3の実施の形態のヒータの第1の変形例の雰囲気センサの全体構成図は、図1(a)に示す第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図と同一構成であるので、ここでは、その詳細は省略する。
【0071】
図11に示すヒータ18は、図5に示す第3の実施の形態のヒータに対して、さらに、配設された複数のパターン部18Aの各パターン部と該パターン部に隣接するパターン部とを連結するための連結パターン部としてのターン部19A〜19Dの線幅b2が、複数のパターン部18Aの内の端部に配置されたパターン部から中央部に配置されたパターン部に向かうに従って太くなっていることを特徴とする。
【0072】
このようなヒータによれば、配設された複数のパターン部18Aの各パターン部と該パターン部に隣接するパターン部とを連結するための連結パターン部としてのターン部19A〜19Dの線幅b2が、複数のパターン部18Aの内の端部に配置されたパターン部から中央部に配置されたパターン部に向かうに従って太くなっているので、中央部付近の連結パターン部の発熱量が小さくなる。このため、ヒータ中央部付近のみが高温とならず、ヒータの温度分布が均一化されて中央部付近が溶断しにくくなり、ヒータの耐久温度を高くすることができる。
【0073】
従って、第3の実施の形態のヒータの耐久温度よりもさらに、ヒータの耐久温度を高くすることができる。その結果、さらに高温で駆動でき、しかもより長時間駆動できるヒータを提供することができる。
【0074】
(第3の実施の形態の第2の変形例)
図12は第3の実施の形態のヒータの第2の変形例を示す図である。第3の実施の形態のヒータの第2の変形例の雰囲気センサの全体構成図は、図1(a)に示す第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図と同一構成であるので、ここでは、その詳細は省略する。
【0075】
図12に示すヒータ18は、図5に示す第3の実施の形態のヒータに対して、さらに、配設された複数のパターン部18A〜18Eの長手方向の線幅b1が、複数のパターン部18A〜18Eの内の端部に配置されたパターン部18Aから中央部に配置されたパターン部18Eに向かうに従って太くなっている。
【0076】
このように、配設された複数のパターン部18A〜18Eの長手方向の線幅b1が、複数のパターン部18A〜18Eの内の端部に配置されたパターン部18Aから中央部に配置されたパターン部18Eに向かうに従って太くなっている。すなわち、温度が高い中央部付近のパターン部の線幅を太くすることにより、その部分が溶断しにくくなり、さらに、ヒータの耐久温度を高くすることができる。従って、第3の実施の形態のヒータの耐久温度よりもさらに、ヒータの耐久温度を高くすることができる。その結果、さらに高温で駆動でき、しかもより長時間駆動できるヒータを提供することができる。
【0077】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態の雰囲気センサを説明する。図13は第4の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図及び雰囲気センサに設けられたヒータの構造図である。
【0078】
この雰囲気センサは、図1に示す雰囲気センサの構成に加え、ヒータ18に接触した状態でこのヒータ18上に形成され且つヒータ18の発熱量に応じて発熱して可燃性ガスの燃焼に対して触媒として作用する触媒層としてのガス感応膜51を設けたことを特徴とする。
【0079】
この雰囲気センサは、例えば、接触燃焼式ガスセンサ等であり、可燃性ガスを燃焼する際に発生する燃焼熱を検出することによって可燃性ガスを検量するもので、前記ヒータ18が可燃性ガスの燃焼を促すように機能する。ガス感応膜51としては、パラジウム等の白金族触媒を担持したアルミナ等の担体を用いることができる。
【0080】
このような雰囲気センサによれば、可燃性ガスの燃焼に対して触媒として作用する触媒層としてのガス感応膜51を設けたので、十分なガス検知感度を実現でき、さらに、長期的に高い安定性、再現性及び信頼性を有する接触燃焼式ガスセンサ等のガスセンサを実現することができる。
【0081】
また、ガス感応膜51をヒータ18上に形成した雰囲気センサは、ガス感応膜51をヒータ18上に形成しない雰囲気センサよりもヒータ18の耐久温度が例えば約50℃程度低下するが、前述のヒータ構造により、ヒータ18の温度分布を均一化することで、ヒータ18の耐久温度を上げることができ、燃焼温度の高い各種のガスを識別することができる。
【0082】
また、第4の実施の形態の雰囲気センサは、図1に示す雰囲気センサのヒータ18上にガス感応膜51を形成したが、例えば、このガス感応膜51を、第2及び第3の実施の形態のヒータ、第1の実施の形態の第1乃至第4の変形例のヒータ、第2の実施の形態の第1の変形例のヒータ、第3の実施の形態の第1及び第2の変形例のヒータのいずれかのヒータ上に形成しても良い。
【0083】
なお、本発明は前述した実施の形態の雰囲気センサに限定されるものではない。前述の説明では、第1乃至第3の実施の形態のヒータの例、第1の実施の形態のヒータの第1乃至第4の変形例、第2の実施の形態のヒータの第1の変形例、第3の実施の形態のヒータの第1及び第2の変形例を示したが、これらの10通りの例の内の、少なくとも2つの例を組み合わせたものであっても良い。このようにすれば、ヒータ18の耐久温度はさらに高くなり、より高温で且つ長時間駆動可能で、より安定性の高いヒータを提供することができる。このほか、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、種々変形して実施可能であるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】第1の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図及び雰囲気センサに設けられたヒータの構造図である。
【図2】第1の実施の形態のヒータの耐久試験を行うヒータ性能評価装置の回路構成図である。
【図3】第1の実施の形態の均熱体を有するヒータから均熱体を取り除いたヒータ及び各パターンの線間隔が同一サイズを持つヒータを示す図である。
【図4】第2の実施の形態の雰囲気センサに設けられたヒータの構造図である。
【図5】第3の実施の形態の雰囲気センサに設けられたヒータの構造図である。
【図6】第1の実施の形態のヒータの第1の変形例を示す図である。
【図7】第2の実施の形態のヒータの第1の変形例を示す図である。
【図8】第1の実施の形態のヒータの第2の変形例を示す図である。
【図9】第1の実施の形態のヒータの第3の変形例を示す図である。
【図10】第1の実施の形態のヒータの第4の変形例を示す図である。
【図11】第3の実施の形態のヒータの第1の変形例を示す図である。
【図12】第3の実施の形態のヒータの第2の変形例を示す図である。
【図13】第4の実施の形態の雰囲気センサの全体構成図及び雰囲気センサに設けられたヒータの構造図である。
【図14】従来の雰囲気センサの構造を示す図である。
【図15】従来の雰囲気センサの角型状のヒータの溶断を示す図である。
【図16】従来の雰囲気センサの丸型状のヒータの溶断を示す図である。
【符号の説明】
【0085】
1 電源
3 ヒータ駆動回路
5 電圧計
10 雰囲気センサ
12 基板
14 酸化膜
16 窒化膜
17 酸化ハフニウム
18 ヒータ
18A〜18E パターン部
19 ターン部
20 ダイアフラム
22a,22b 電極
25a,25b 均熱体
51 ガス感応膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に所定の厚さで形成されたダイアフラム、このダイアフラム上に形成されたヒータを有しこのヒータが発生する熱が測定される雰囲気によって奪われるもしくは与えられることで生ずるヒータの抵抗値に基づき雰囲気を測定する雰囲気センサであって、
前記ダイアフラムに形成された前記ヒータが互いに略平行且つジグザグ状に配設された複数のパターン部からなり、配設された複数のパターン部の各パターン部の間隔を各パターンの線幅よりも小さくしたことを特徴とする雰囲気センサ。
【請求項2】
前記配設された複数のパターン部の各パターン部の間隔を各パターンの線幅に対して略1/3以下にしたことを特徴とする請求項1記載の雰囲気センサ。
【請求項3】
前記ダイアフラムに接触した状態でこのダイアフラム上に形成された誘電体膜を有し、前記ヒータが前記誘電体膜に接触した状態でこの誘電体膜上に形成され、前記誘電体膜は、酸化物と、この酸化物に接触した状態でこの酸化物上に形成された窒化膜と、この窒化膜に接触した状態でこの窒化膜上に形成された酸化ハフニウムとを有し、前記ヒータが前記酸化ハフニウムに接触した状態でこの酸化ハフニウム上に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の雰囲気センサ。
【請求項1】
基板上に所定の厚さで形成されたダイアフラム、このダイアフラム上に形成されたヒータを有しこのヒータが発生する熱が測定される雰囲気によって奪われるもしくは与えられることで生ずるヒータの抵抗値に基づき雰囲気を測定する雰囲気センサであって、
前記ダイアフラムに形成された前記ヒータが互いに略平行且つジグザグ状に配設された複数のパターン部からなり、配設された複数のパターン部の各パターン部の間隔を各パターンの線幅よりも小さくしたことを特徴とする雰囲気センサ。
【請求項2】
前記配設された複数のパターン部の各パターン部の間隔を各パターンの線幅に対して略1/3以下にしたことを特徴とする請求項1記載の雰囲気センサ。
【請求項3】
前記ダイアフラムに接触した状態でこのダイアフラム上に形成された誘電体膜を有し、前記ヒータが前記誘電体膜に接触した状態でこの誘電体膜上に形成され、前記誘電体膜は、酸化物と、この酸化物に接触した状態でこの酸化物上に形成された窒化膜と、この窒化膜に接触した状態でこの窒化膜上に形成された酸化ハフニウムとを有し、前記ヒータが前記酸化ハフニウムに接触した状態でこの酸化ハフニウム上に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の雰囲気センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−177972(P2006−177972A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28885(P2006−28885)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【分割の表示】特願平11−269473の分割
【原出願日】平成11年9月22日(1999.9.22)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【分割の表示】特願平11−269473の分割
【原出願日】平成11年9月22日(1999.9.22)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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