説明

電動アシスト車両とその制御方法

【課題】加齢者あるいは、下肢の運動能力が低下した軽度の障害者が、自らの筋力を使用することで、筋力維持・向上を期待できる自立促進リハビリ用移動車両としての、新しいコンセプトの電動アシスト車両を提供する。
【解決手段】人力駆動部20を用いて、ペダル18に加えられた人力踏力は、クランクアーム21から一方向動力伝達手段22を介することで常に一方向の回転力としてクランク軸23に伝えられて、このクランク軸23に設けた主スプロケット26から動力伝達手段27へと人力駆動力が出力されるとともに、変化量読取り手段30にて読み取ったクランク軸の変化量に基づいて、補助駆動力演算部38に人力駆動力を伝えるというものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気動力を利用して人力をアシストする電動アシスト車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、加齢者や足に障害を有する方(以下、「加齢者等」と記す。)の運動能力、特にバランス感覚が衰え、二輪車に乗ることが困難となってきた場合、加齢者等が屋内や屋外を移動するための手段のひとつとして電動アシスト三輪車が用いられている。
【0003】
さらに、運動能力が低下した場合には、電動シニアカートが用いられている。
【0004】
一方、運転者が供給する人力を、円運動ではなく死点が短い交互往復運動を用いて運転者が搭乗した車両の推進力に変換する人力走行車なども提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
また、同様に、死点が短い交互往復運動を実現するために、レバー(本願でいう「クランクアーム」)と駆動軸(本願でいう「クランク軸」)との接続部にフリーホイルを設けたものもある(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開平6−135366号公報
【特許文献2】特許第3163494号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、加齢者等、特に膝の機能が低下してきた方にとって、電動アシスト三輪車のように、人力をクランクアームの回転力を用いて車両の駆動力として伝える乗り物は、膝の大きなストロークを要する屈伸運動が必要となるため、膝への負担が大きくなり、体力的に使用できる期間に限界があった。
【0007】
一方、電動アシスト三輪車を使用することができなくなった場合、次の移動手段として用いられるものは電動シニアカートとなる。
【0008】
この電動シニアカートは、バッテリーなどの電力を用いてモータを回転させることにより駆動力を得るというものであり、搭乗者は駆動源としての人力を提供する必要がなくなる。
【0009】
つまり、電動シニアカートは、下肢に障害を有する方や、加齢により足腰の機能が乏しくなった方にとっては有用な移動手段ではあるが、電動アシスト三輪車には乗れなくなった程度で、かつ、自分の足でゆっくりとではあるが歩くことができる程度の運動能力を有している方にとっては、残された運動能力を活用する機会が失われることになるため、急速な足腰の機能の低下を招く要因となっていた。
【0010】
言い換えれば、少しでも自立できる運動量力を有する方の運動機能の維持、または、なんらかの要因により、下肢の運動機能に障害を負い、リハビリをされている方などが移動するための手段として、電動アシスト三輪車と電動シニアカートとの間に位置する移動手段が存在しないという課題があった。
【0011】
次に、人力を効率よく自転車の駆動力として伝達する、という観点から、交互往復運動を駆動力に変換する人力車が特許文献1、2をはじめ、いろいろと提案されている。
【0012】
そこで、電動アシスト三輪車の人力供給手段として交互往復運動を用いたものを組み合わせるという発想に至るものの、実際には、クランク軸に与える力の向きが回転方向から交互往復運動と異なる方向に作用しているため、さまざまな工夫をしなければならない。
【0013】
特に、下肢の運動能力が低下している方が供給する人力駆動力をいかに精度よく検出するのか、という課題があった。
【0014】
本発明は、クランクアームの運動方向が異なる技術を融合させることで、これから高齢化社会を迎えるにあたって、確実に増加する足腰の弱った加齢者あるいは、下肢の運動能力が低下した軽度の障害者が、自らの筋力を使用することで、筋力維持・向上を期待できる自立促進リハビリ用移動車両としての、新しいコンセプトの電動アシスト車両を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の電動アシスト車両は、上記目的を達成するために、
一対のペダル各々と接続するクランクアームと、この一対のクランクアームの一方の動きに対し連動して、他方のクランクアームが常に反対方向に移動することでペダルが交互往復運動を行うクランクアーム位置復元手段と、クランクアームが行う交互往復運動の回転中心となるとともに、クランクアームとは所定の回転方向にのみ回転力を伝える一方向動力伝達手段を介して接続するクランク軸と、このクランク軸と同心に設けられた主駆動力伝達部と、クランク軸を支持する軸受け部と、この軸受け部内にクランク軸の変化量を検出する変化量読取り手段とを有する人力駆動部を具備し、ペダルに加えられた人力踏力は、クランクアームから一方向動力伝達手段を介することで常に一方向の回転力としてクランク軸に伝えられて、このクランク軸に設けた主駆動力伝達部から動力伝達手段へと人力駆動力が出力されるとともに、変化量読取り手段にて読み取ったクランク軸の変化量に基づいて、補助駆動力演算部に人力駆動力を伝えるというものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電動アシスト車両は、上述した構成により、搭乗者がペダルを介して供給する人力踏力の大きさ、いわゆる人力トルクを、人力トルクの供給源であるペダルに少しでも近い場所で、複雑な構造やソフト的な検出を行うことなく、検出することが可能となる。
【0017】
その結果、下肢の弱い高齢者あるいは障害者でも転倒の心配がなく、かつクランク回転式のような、ヒザに屈伸ストロークの過大な負担をかけることなく、安心して安全・容易に乗ることができ、適度な運動をしながら自力で移動することができ、小回りの利く、心身のリハビリ効果もかねた手軽で経済的な.自立支援電動アシスト車両を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
第1の発明は、一対のペダル各々と接続するクランクアームと、この一対のクランクアームの一方の動きに対し連動して、他方のクランクアームが常に反対方向に移動することでペダルが交互往復運動を行うクランクアーム位置復元手段と、クランクアームが行う交互往復運動の回転中心となるとともに、クランクアームとは所定の回転方向にのみ回転力を伝える一方向動力伝達手段を介して接続するクランク軸と、このクランク軸と同心に設けられた主駆動力伝達部と、クランク軸を支持する軸受け部と、この軸受け部内にクランク軸の変化量を検出する変化量読取り手段とを有する人力駆動部を用いて、ペダルに加えられた人力踏力は、クランクアームから一方向動力伝達手段を介することで常に一方向の回転力としてクランク軸に伝えられて、このクランク軸に設けた主スプロケットから動力伝達手段へと人力駆動力が出力されるとともに、変化量読取り手段にて読み取ったクランク軸の変化量に基づいて、補助駆動力演算部に人力駆動力を伝えるというものである。
【0019】
よって、搭乗者がペダルを介して供給する人力踏力の大きさ、いわゆる人力トルクを、人力トルクの供給源であるペダルに少しでも近い場所で、複雑な構造やソフト的な検出を行うことなく、検出することが可能となる。
【0020】
その結果、下肢の弱い高齢者あるいは障害者でも転倒の心配がなく、かつクランク回転式のような、ヒザに屈伸ストロークの過大な負担をかけることなく、安心して安全・容易に乗ることができ、適度な運動をしながら自力で移動することができ、小回りの利く、心身のリハビリ効果もかねた手軽で経済的な.自立支援電動アシスト車両を提供することができる。
【0021】
第2の発明は、一対のペダル各々と接続するクランクアームと、一対のクランクアームの反ペダル接続端を連絡するクランク軸と、一対のクランクアームを連絡するベルトと、クランク軸よりも上方で、かつ、フレームに対して回動自在に軸支されたペダルプーリとを有し、ベルトがペダルプーリ上を移動することによりペダルがクランク軸を回転中心とした交互往復運動を行い、かつ、クランクアームとクランク軸との接続部に一方向動力伝達手段を設けることでクランク軸が所定の回転方向のみの回転力を得るとともに、クランク軸を支持する軸受け部と、この軸受け部内にクランク軸の変化量を検出する変化量読取り手段とを設け、この変化量読取り手段にて読み取ったクランク軸の変化量に基づいて、補助駆動力演算部に人力駆動力を伝える人力駆動力検出部と、ペダルプーリを一端に、他端に入力側傘歯車を設けた入力軸と、一端に入力側傘歯車と対向する出力側傘歯車を有し、他端に駆動輪を連絡する車軸へと人力駆動力を伝達する出力軸と、入力側傘歯車と出力側傘歯車との間に各々の歯が噛み合うように取り付けた差動歯車と、この差動歯車の軸心に差動歯車の回転を支持する差動歯車軸と、入力側傘歯車と出力側傘歯車と差動歯車とを内蔵するように差動歯車箱とを設け、差動歯車箱に対して入力軸と出力軸と差動歯車軸とを各々一方向動力伝達手段を介して支持する差動歯車部とを備えた人力駆動部を具備し、ペダルに加えられた人力踏力は、差動歯車部を介して変換された人力駆動力として副駆動力伝達部へと伝達されるとともに、変化量読取り手段にて読み取ったクランク軸の変化量に基づいて、補助駆動力演算部に人力駆動力を伝えるというものである。
【0022】
よって、人力駆動力の伝達経路をより直接的なものとすることができる。
【0023】
すなわち、ペダルに加えられた人力踏力は、クランクアームからベルトを介してペダルプーリへと伝えられ、そのペダルプーリから差動歯車部を介して駆動輪である後輪の車軸に設けられた副駆動力伝達部へ伝達できるので、より効率的な人力駆動力の伝達が可能となる。
【0024】
第3の発明は、変化量読取り手段にて検出した検出値に、メカ的に人力トルクを減少させるように作用する力を考慮して、補正係数設ける、というものである。
【0025】
すなわち、搭乗者が加齢者や下肢に障害を持つ方など、供給できる人力踏力が少ない方が使用される場合、従来の電動アシスト自転車では、考慮する必要がなかった人力踏力を減少させる方向に作用する力の存在が大きいものとなる。
【0026】
よって、搭乗者が本来供給した人力踏力に対する規制値一杯の補助駆動力を供給するためには、このような補正係数を設ける必要がある。
【0027】
その結果、充分な補助駆動力を得た電動アシスト車両を提供できるので、快適な走行が可能となる。
【0028】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施例によって本発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0029】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1における電動アシスト車両の概念図を示すものである。
【0030】
また図2は、本発明の実施例1における電動アシスト車両の斜視図を示すものである。
【0031】
まず、図1、2において、1はフレームであり、前から順にヘッドチューブ2、メインパイプ3、チェーンステイ4、シートステイ5、立てパイプ6、プーリパイプ7から構成されている。
【0032】
そして、ヘッドチューブ2には、ハンドルステム8を経由してハンドル9が構成されている。
【0033】
本実施例では、U字型のハンドルを設けて、U字部近傍に載置台(図示せず)を設けて、バスケット10を載置している。
【0034】
このように、少しでも車両の低い位置にバスケット10を配置すれば、加齢者にとっては荷物の積み下ろし作業が行い易くなる。
【0035】
次に図2中、11は、前輪・後輪各々用のブレーキであり、12は、アシスト機能を選択(オン/オフ)することができるアシスト選択スイッチである。
【0036】
このアシスト選択スイッチ12は、補助駆動力演算部38と電気的に接続されている。
【0037】
他方、ヘッドチューブ2の下方には、フロントフォーク13が設けられ、本実施例における方向陀輪である前輪14を保持している。
【0038】
次に、立てパイプ6の上方からはシートポスト15が挿入されており、搭乗者16が腰掛ける着座シート17の高さを調節できるようになっている。
【0039】
なお、着座シート17は、搭乗者16がゆったりと座れるように、座部17aを大きくしたほうがよい。望ましくは、搭乗者でん部の投影面積の50%以上、具体的には、前後方向の寸法を40cm程度、幅方向の寸法を50cm程度とすれば、体力の衰えた加齢者が長時間座ったとしても、疲労を感じることは少ない。
【0040】
また、図に示すように、着座シート17に背もたれ部17bを設けておけば、搭乗者16にとって家庭用の椅子に腰掛けた場合と同様のリラックス感を得ることができ、長時間座ってもあまり疲れることがない。
【0041】
このようなリラックスした姿勢で搭乗者16が着座シート17に自然体で腰を下ろす。
【0042】
その足元にペダル18が位置するように着座シート17の高さを調整する。図のように、自然な姿勢で運転できれば、加齢による運動能力の劣化が生じたとしても、従来の自転車(二輪車や三輪車)に比べて、より日常生活に近い姿勢で運転することができるので、心理的にも安心して使用できる。
【0043】
次に、チェーンステイ4とシートステイ5の合うところを軸心として、後輪19が設けられている。
【0044】
なお、本実施例においては、電動アシスト車両を安定させるために前輪14を1つ、後輪19を左右2つとしている。
【0045】
そして、駆動輪を左右の後輪19と位置付けている。
【0046】
本発明は、この実施例に囚われることなく、前輪14を2つにしてもよいし、駆動輪を前輪14としてもよい。
【0047】
つぎに、入力駆動部20から駆動輪に動力が伝わる流れについて、図3〜図6を用いて説明する。
【0048】
ペダル18(18a、18b)はクランクアーム21(21a、21b)、一方向動力伝達手段の一つであるクラッチ22を介してクランク軸23に接続されている。
【0049】
左右のクランクアーム21a、21bは、クランクアーム位置復元手段46を構成するペダルプーリ24を介してベルト25で連絡してあり、ペダル18a、18bの位置を復元するように働いている。
【0050】
そして、クランク軸23に設けた主駆動力伝達部である主スプロケット26から動力伝達手段であるチェーン27を介して駆動輪である後輪19を接続する車軸28に設けた副駆動力伝達手段である副スプロケット29に人力駆動力が伝えられる。
【0051】
前述したように、左右のクランクアーム21a、21bは、その回転中心となるクランク軸23との接続部に、各々一方向のみに回転力を伝達するフリーホイル、ラチェット機構などを用いたクラッチ22が内挿された状態でクランク軸23に設けられている。
【0052】
また、クランク軸23には、ペダル18、クランクアーム21を通して供給された人力駆動力を回転動力として後輪19に伝達するための主スプロケット26と、クランク軸23の変化量を測定して搭乗者16から供給された人力駆動力をトルクとして検出するトルク検出部30が軸受け部42に内装されている。
【0053】
主スプロケット26は、左右の後輪19を両端に設けた車軸28に固定された副スプロケット29にチェーン27を介して連結されている。
【0054】
上記チェーン27の一部には、別途詳細説明をするモータを主要部品とする補助動力部31にて生成された補助駆動力を伝達する補助駆動力伝達部である駆動スプロケット32が設けられている。
【0055】
ここで、交互往復運動を行う人力駆動部20について、説明する。
【0056】
図5、図6に示すように、左右のクランクアーム21a、21bをベルト25で連結し、このベルト25を両クランクアーム21a、21bの中間に位置するプーリパイプ7の先端に設けたペダルプーリ24に係合するようにしてクランクアーム21a、21bの反復動作を支えている。
【0057】
具体的には、ベルト25をベダルプーリ24に掛け、ペダル18a(18b)の踏み込みに合わせて反踏み込み側のペダル18b(18a)がツルベのように左右自由に動作する。よって、一方のペダル18a(18b)を踏み込めば、他方のペダル18b(18a)は踏み込み開始位置まで引き上げられる。そして、引き上がっている他方のペダル18b(18a)を踏み込めば、一方のペダル18a(18b)が踏み込み開始位置まで引き上げられる。
【0058】
なお、図5(b)に示すように、プーリパイプ7に長穴41を設け、ペダルプーリ24をネジ止めする構造にしておけば、ペダルプーリ24の取り付け高さを調整可能とすることができる。
【0059】
また、図に示すように、ベルト25とクランクアーム21の接合部を、ベルト25に設けた複数の穴(図7中33)からネジ43で任意に選ぶようにすれば、ベルト25の長さを可変して固定できるようになる。
【0060】
次に、図8に示すようにアシスト選択スイッチ12はアシスト運転ON/OFFスイッチ34と、アシストモード切替部35を設け、アシスト力の比率を搭乗者16の体力に合わせて、切替できるように設定してある。なお、本実施例以外に、2段階といわず、他段階あるいは無段階に切替設定できるように設定することも可能である。
【0061】
以上のように構成された電動アシスト車両について、図4〜6を用いて、その動作、作用を説明する。
【0062】
まず、最適高さに調整した着座シート17に搭乗者が座る。
【0063】
そして、搭乗者16が太い矢印36aで示したように右ペダル18aを踏み込むと、右クランクアーム21aの回転中心に装着したクラッチ22aの外輪37aに前方向回転力が作用する。クラッチ22aは前方向回転力に対しては外輪37aと内部に嵌合するクランク軸23は拘束状態となるように設定しているため、クランク軸23に係止した主スプロケット26も前方向に回転する。
【0064】
主スプロケット26の前方向回転はチェーン27を介して後輪19同士を結ぶ車軸28の副スプロケット29に伝達され、車軸28を介して後輪19に前方向回転力を与える。
【0065】
次に、細い矢印37bに示すように、左ペダル18bを踏み込むと、左クランクアーム21bの回転中心に装着したクラッチ22bの外輪37bに前向き回転力が生じ、右側の場合と同様にクラッチ22bは前方向回転力に対しては外輪37bと内部に嵌合するクランク軸23は拘束状態となるため、クランク軸23に係止した主スプロケット26も前方向に回転し、副スプロケット29に前方向回転力を生じる。
【0066】
このとき、右クランクアーム21aは上側に移動するため、クランクアーム21aの回転中心となるクラッチ22aの外輪37aに反前方向回転力が生じようとする。しかしながら、クランク軸23とクラッチ22aの外輪37aは非拘束状態となっているため、クランク軸23が前方向の回転力を生じることに悪影響は生じない。
【0067】
以上のように左右のペダル18a、18bを交互に繰返して踏み込むことにより、クランク軸23には常に前方向回転力が加えられることになり、この回転力は主スプロケット26からチェーン27を介して後輪19の車軸28の副スプロケット29に伝達され、後輪19を駆動するように作用する。
【0068】
ところで、チェーン27の一部に噛合して設けた補助動力部31は、搭乗者16の踏込み力を図4に示すトルク検出部30にて検出し、アシスト選択スイッチ12にて設定した内容に応じて、補助駆動力演算部38にて必要な補助駆動力を演算する。その算出値に基づいて補助動力部31が制御され、補助駆動力伝達部である駆動スプロケット32を介してチェーン27に伝達される。
【0069】
その結果、搭乗者16の踏み込み力をアシストすることとなる。
【0070】
すなわち、従来の電動アシスト自転車のように、一方向の円運動を行うクランクアームの動きとは異なり、本構成のように、常に左右が逆方向に動作する、交互往復運動を行うクランクアーム21を用いたとしても、クランクアーム21とクランク軸23との接続箇所にクラッチ22を介することで、クランク軸23に出力される回転力は一定の方向となる。
【0071】
したがって、本実施例1を用いれば、搭乗者16がペダル18を介して供給する人力踏力の大きさ、いわゆる人力トルクを、人力トルクの供給源であるペダル18に少しでも近い場所で、複雑な構造やソフト的な検出を行うことなく、検出することが可能となる。
【0072】
なお、上記トルク検出部30は、磁気歪検出センサや、歪ゲージを用いたもの、あるいはトーションバーを用いたもの、その他、回動板と弾性体を用い、弾性体の変化量からトルクを検知する方法などでもよい。
【0073】
また、図7などに示すように、ストローク可変調節部となる複数の穴33を設けて、左右のクランクアーム21a、21b間を連結するベルト25の長さを調整することにより、ペダル踏込みストロークが可変できるようになり、搭乗者16の脚力に合わせた調節が可能となる。
【0074】
また、ペダルプーリ24を、プーリパイプ7に対して一端にネジ切りを施した支持軸39とナット40にて固定する構成としておけば、プーリパイプ7に設ける支持軸39を通す穴を長穴41とすることで、ペダルプーリ24の取付位置を任意に調整することができる。
【0075】
その結果、搭乗者16個々の体格や運動能力、特に脚力に応じたペダル18の踏込み開始位置とストロークが可変できる。
【0076】
以上のように、本実施例においては、後輪19を左右に2輪設けることにより、転倒の心配がなく、加齢者であっても安全に乗ることができる。
【0077】
また、人力駆動部20は両脚の交互直線踏込み運動による人力駆動力を発生する構成とすることにより、搭乗者16の膝部に大きな負担をかけることなく電動アシスト車両の前進運動を行うことができる。
【0078】
なお、本実施例では一方向クラッチ22を用いた例を示したが、フリーホイル、ラチェットを用いても同様の効果を得ることができる。
【0079】
また、動作方向反転機構はベルト25とペダルプーリ24を用いた例を示したが、チェーンとガイドスプロケットを用いても同様の効果を得ることができる。
【0080】
また、本実施例では後輪19は前輪14より大径とし、着座シート17の下部に収納するように配置しているので、前後方向長さがコンパクトに構成され、狭い通路でも方向転換がより容易で操縦性および保管性も向上する。
【0081】
また、着座シート17は人体でん部および背部を保持できる大きさとし、かつ膝部が自然曲げ着座状態で、ペダル18を作動できるようにシートパイプ15により座面高さを調節できるので、長時間座っていても、安定した姿勢が保て、疲れの少ない電動アシスト車両を得ることができる。
【0082】
また、図2に示すようにハンドル9の中心部をU字状に下げ、U字部にバスケット10を載置しているので、バスケット10への荷物の出し入れが楽となり、車両の重心位置が低くなるため、車両としての安定性もよく、かつ走行時の良好な前方視界を得ることができる。
【0083】
なお、バスケット10を着座シート17の下に配置することにより、さらに重心が下方に移動することで走行安定性を増すことも可能である。
【0084】
なお、本実施例において電動アシスト車両は後二輪の三輪車とした例を挙げたが、前二輪の三輪車、あるいは四輪車にしても同様の効果が得られるものである。
【0085】
(実施例2)
図9は、本発明の実施例2における電動アシスト車両の斜視図である。
【0086】
図9において、補助動力部45は駆動輪を構成する左右の後輪19のハブ部分に各々一体に設けた構成としている。
【0087】
なお、本実施例2において、上述した実施例1と同様の機能を有するものについては、同一の符号を付与し、実施例1の説明を援用する。
【0088】
本実施例2と上記実施例1との違いは、人力駆動部20からの人力駆動力と補助駆動力の伝達経路を別々の経路としたことにある。
【0089】
その結果、各動力の伝達経路が簡素となるとともに、左右の駆動輪である後輪19の独立駆動が図れ、路面の凹凸や傾斜、あるいは段差などに対しても細かな制御を施すことで、より安全、快適な走行感を得ることが可能となる。
【0090】
最後に、本実施例2においても実施例1と同様、従来の電動アシスト自転車のように、一方向の円運動を行うクランクアームの動きとは異なり、本構成のように、常に左右が逆方向に動作する、交互往復運動を行うクランクアーム21を用いたとしても、クランクアーム21とクランク軸23との接続箇所にクラッチ22を介することで、クランク軸23に出力される回転力は一定の方向となる。
【0091】
したがって、本人力駆動部20を用いれば、搭乗者16がペダル18を介して供給する人力踏力の大きさ、いわゆる人力トルクを、人力トルクの供給源であるペダル18に少しでも近い場所で、複雑な構造やソフト的な検出を行うことなく、検出することが可能となる。
【0092】
よって、人力駆動部20は両脚の交互直線踏込み運動による人力駆動力を発生する構成とすることにより、搭乗者16の膝部に大きな負担をかけることなく電動アシスト車両の前進運動を行うことができる。
【0093】
(実施例3)
図10は、本発明の実施例3における電動アシスト車両の斜視図を示すものである。
【0094】
また図11は、本発明の実施例3における差動歯車部による人力駆動力の伝わり表す電動アシスト車両の概念図を示すものである。
【0095】
なお、実施例2と同様、本実施例3において、上述した実施例1と同様の機能を有するものについては、同一の符号を付与し、実施例1の説明を援用する。
【0096】
本実施例3と上述した実施例2との違いは、人力駆動力の伝達経路をより直接的なものとしたことにある。
【0097】
すなわち、実施例2は、ペダル18に加えられた人力踏力を、クランク軸21や主スプロケット26、チェーン27などを介して駆動輪である後輪19の車軸28に設けられた副スプロケット29へ伝達していた。
【0098】
一方、本実施例3では、ペダル18に加えられた人力踏力は、クランクアーム21からベルト25を介してペダルプーリ24へと伝えられ、そのペダルプーリ24から差動歯車部70を介して駆動輪である後輪19の車軸28に設けられた副スプロケット29aへ伝達できる。
【0099】
この差動歯車部70による人力駆動力の伝達について、図11を用いて説明する。
【0100】
図中、60は差動歯車箱であり、一端にペダルプーリ24、他端に入力側傘歯車61を設けた入力軸62と、この入力軸62に対向して設けられた出力軸63が設けられている。
【0101】
出力軸63は、入力側傘歯車61と対向する位置に出力側傘歯車64を設けており、他端には、本実施例での駆動輪である後輪19を備えた車軸28に設けた副傘歯車29aと噛み合う出力端傘歯車65が設けられている。
【0102】
そして、入力側傘歯車61と出力側傘歯車64との間には、図に示すように、2つの傘歯車が差動歯車65a、65bとして、各々歯を噛み合わせた状態で設けられている。
【0103】
さらに、差動歯車65a、65bは、軸心となる差動歯車軸66a、66bが一方向動力伝達手段である一方向クラッチベアリング67a、67bを介して、差動歯車箱60に保持されている。
【0104】
なお、68a〜68dは各々保持する各軸62、63の動きを円滑にするためのベアリングであり、69は差動歯車部70を外部からの異物などから保護するための保護ケースである。
【0105】
上述した構成について、以下に作用、効果を記載する。
【0106】
はじめに、図11(a)に記載したものを正方向回転と位置付けて説明する。
【0107】
まず、搭乗者が右側のペダル(図11中18a、以下同じ)を踏み込んだ場合、クランクアーム21aやクランクアーム21aに施したベルト25により、ペダルプーリ24は、矢印71の方向に回転する。
【0108】
このとき、入力側傘歯車61は、矢印71と同じ方向に回転しようとする。
【0109】
その回転しようとする力は、差動歯車65a、65bを通して各々差動歯車軸66a、66bに伝えられるが、この差動歯車軸66a、66bを差動歯車箱60に保持する一方向クラッチ67a、67bは、拘束する状態に作動するため、差動歯車65a、65bは回転できない。
【0110】
その結果、差動歯車箱60の内部は、擬似的にひとつの固まりとなり、ベアリング68a、68bの作用により差動歯車箱60は、矢印72の方向に回転する。
【0111】
よって、出力端傘歯車65が出力する人力駆動力の回転方向は、矢印73の方向となり、この出力端傘歯車65と噛み合う副傘歯車29aには、矢印74の方向の回転力としての人力駆動力が加えられる。
【0112】
この人力駆動力は、車軸28を介して後輪19に伝えられ、後輪19は、車両の進行方向(図中、太い矢印)へと進むことになる。
【0113】
次に、図11(b)に記載したものを逆方向回転と位置付けて説明する。
【0114】
今回、搭乗者は左側のペダル18bを踏み込むため、クランクアーム21bやクランクアーム21bに施したベルト25により、ペダルプーリ24は、矢印75の方向に回転する。
【0115】
そして、入力側傘歯車61は、矢印75と同じ方向の矢印76の方向に回転する。
【0116】
このとき、差動歯車軸66a、66bを差動歯車箱60に保持する一方向クラッチは、非拘束状態とように作動するため、各歯車64、65a、65bは矢印76に対応した方向(76a〜76c)に回転する。
【0117】
その結果、差動歯車箱60は回転せず、出力端傘歯車65が矢印73の方向に回転する。
【0118】
よって、出力端傘歯車65が出力する人力駆動力の回転方向は、前述した正方向回転と同様に、矢印73の方向となり、この出力端傘歯車65と噛み合う副傘歯車29aには、矢印74の方向の回転力としての人力駆動力が加えられる。
【0119】
この人力駆動力は、車軸28を介して後輪19に伝えられ、後輪19は、車両の進行方向(図中、太い矢印)へと進むことになる。
【0120】
その後は、搭乗者が右、左、右と交互にペダルを踏み込むに従い、順次、正方向回転、逆方向回転、正方向回転と交互に保護ケース69内の動作が変わるものの、出力端傘歯車65以降の動作は変わらず、車両を図中、太い矢印の方向に進めることが可能となる。
【0121】
このような人力踏力から人力駆動力へと変換する動力経路を用いた場合、実施例2に比べて個性要素が少ないために変換損失を抑制することができる。
【0122】
すなわち、体力のある青年、壮年に比べて、体力の劣る加齢者や、下肢に障害を持つ方々にとって、乏しい体力を少しでも損失なく動力に活用できることは極めて重要な効果であり、このように高効率で乏しい体力を活用できる電動アシスト自転車を活用することで、残された体力の維持、向上を図ることが可能となる。
【0123】
(実施例4)
次に、図13を用いて、制御について説明する。
【0124】
図13は、本実施例の制御概念を示すブロック図である。
【0125】
まず、図13中80は、バッテリーであり、図1中、シートポスト近傍に設けられている。このバッテリー80の電源を駆動源として、各部の制御を行っている。
【0126】
次に、磁気歪検出センサ81は、クランク軸23に加えられた人力踏力のトルク値を測定するクランク軸変化量検出部であり、他の検出方法としては、歪ゲージを用いたものや、トーションバーを用いたもの、その他、回動板と弾性体を用い、弾性体の変化量からトルクを検知する方法などがある。
【0127】
この磁気歪検出センサ81で検出された値は、電動アシスト車両の制御部82(補助駆動力演算部38含む)に設けられた人力駆動力検出部であるクランク軸変化量入力部83に入力される。
【0128】
入力されたクランク軸23の変化量に基づいて、補助動力部31aで出力すべき値を補助動力演算部38aにて演算する。
【0129】
その一例について、図14を用いて説明する。
【0130】
図14は、本実施例の制御における各部での波形を示す特性図である。
【0131】
上から、(a)搭乗者がペダル18に加えた人力踏力、(b)磁気歪検出センサ30にて検出した検出値、(c)考慮すべき減少値、(d)(b)と(c)の合算値、(e)補助動力部31aが出力する補助動力の特性図である。
【0132】
まず、本電動アシスト車両を使用する搭乗者16は、加齢者や下肢に障害を持つなど、脚力の弱い方を中心としていることから、(a)で得られる人力踏力は、現在、普及している電動アシスト自転車の検出値よりも低い値となることが予想される。
【0133】
この人力踏力は、クランクアーム21とクランク軸23との接続点に設けられたクラッチ22により、実施例1に詳細説明したごとく、常に一方向の回転に変換される。
【0134】
ところが、このとき、電動アシスト自転車では起こらない課題がある。
【0135】
すなわち、クラッチ22が拘束状態となることの摩擦力の考慮である。
【0136】
つまり、磁気歪検出センサ81にて実際に測定される値は、上記摩擦力が加えられることによって、やや減少した人力踏力が検出されていることになる。よって、この減少値を考慮した合算値を算出する必要がある。
【0137】
具体的には、(b)の検出値に(c)で考慮すべきとされた現象値を引く(絶対値を足し合わせる)ことにより、真の人力踏力と考えられる合算値を導き出す。
【0138】
この補正した合算値に基づいて、補助動力にて出力すべき補助動力値を設定する必要がある。
【0139】
つまり、従来の電動アシスト自転車では、クランクアーム21とクランク軸23とは固定されていたこと、および、搭乗者が比較的体力がある方を中心としていたため、このような補正値を考慮する必要がなかった。
【0140】
しかしながら、本発明の電動アシスト車両の搭乗者16は、加齢者など、脚力が乏しい方を中心としている。
【0141】
従って、元々供給される人力踏力が小さな値である上に、人力駆動部20が従来とは異なる交互往復運動を行うために加えた工夫、つまりクランクアーム21とクランク軸23との接合部にクラッチ22を設けるという工夫が、上述した少ない人力踏力をさらに減少させる方向に作用することになる。
【0142】
この状態で、補助駆動力を演算すると、本来規制されたアシスト比率に余裕を持った補助駆動力の提供にしかならない。
【0143】
よって、本来規制されているアシスト比率の枠を充分使い切り、少しでも快適な乗り物となるように、減少した人力踏力を補正して補助駆動力を算出する必要があるというものである。
【0144】
なお、図12に示すように、磁気歪検出センサ30aを差動歯車箱60の出力軸30近傍に設けても同様の効果を得ることが可能であるが、本構成の場合、上述したように軸受け部42に磁気歪検出センサ30が配された場合よりも、経由する部材が多いため、考慮すべき減少値を大きくする必要がある。
【0145】
なお、少ない人力踏力から少しでも大きなクランク軸の変化量を得る方法としては、図15に示すような、長いクランクアーム21cを用いるという方法がある。
【0146】
(実施例5)
図16は、本発明の実施例5の電動アシスト車両の人力駆動部の動作状態概念図である。
【0147】
図16に示すように回転出力体および動力中継部は溝幅B1を調節できる一対の可変プーリ26a、29aとし、動力伝達手段は前述の溝に係合する回転ベルト27aとした無段変速機構を用いることにより、可変プーリ26a、29aの溝幅B1を可変して回転ベルト27aの可変プーリ26a、29aとの接触回転半径R(R1、R2)、r(r1、r2)を変化することにより回転比率R/rが変化し、搭乗者16の体力に応じて、より軽い力で車両を駆動したり、あるいは踏込み力を重くして移動速度を早くしたりすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
以上のように、本発明にかかる電動アシスト車両は、搭乗者が自ら有する筋力を利用したうえで、補助的に駆動力を得る電動アシスト車両とすることで、安全に、無理なく移動することができるため、自らの筋力の維持向上という意識向上を促しことができる。その利用分野は、三輪車、四輪車あるいは車椅子などの自立促進リハビリ用移動車両としての用途にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明の実施例1における電動アシスト車両の概念図
【図2】本発明の実施例1における電動アシスト車両の斜視図
【図3】本発明の実施例1における電動アシスト車両の人力駆動部を説明する斜視図
【図4】本発明の実施例1における電動アシスト車両の人力駆動部のクランク軸近傍の構造説明図
【図5】(a)は本発明の実施例1におけるクランクアーム位置復元手段の正面図、(b)は同クランクアーム位置復元手段の側面図
【図6】本発明の実施例1における人力駆動部の動作概念図
【図7】本発明の実施例1における電動アシスト車両の他の人力駆動部を説明する斜視図
【図8】本発明の実施例1におけるアシスト選択スイッチの平面図
【図9】本発明の実施例2における電動アシスト車両の斜視図
【図10】本発明の実施例3における電動アシスト車両の斜視図
【図11】本発明の実施例3における電動アシスト車両の人力駆動部の動作を説明する説明図
【図12】本発明の実施例4における電動アシスト車両の人力駆動部の動作を説明する説明図
【図13】本発明の実施例4における補助駆動力の制御概念を示すブロック図
【図14】本発明の実施例4における補助動力を算出するための各部における波形の特性図
【図15】本発明の実施例4における他の電動アシスト車両の概念図
【図16】本発明の実施例5における人力駆動部の動作状態を示す概念図
【符号の説明】
【0150】
1 フレーム
9 ハンドル
14 前輪
16 搭乗者
17 着座シート
18,18a,18b ペダル
19 後輪
20,20a 人力駆動部
21,21a,21b クランクアーム
22,22a,22b クラッチ(一方向動力伝達手段)
23 クランク軸
24 ペダルプーリ
25 ベルト
26 主スプロケット(主駆動力伝達部)
27 チェーン(動力伝達手段)
28 車軸
29 副スプロケット(副駆動力伝達部)
29a 副傘歯車(副駆動力伝達部)
30,30a,81 磁気歪検出センサ(変化量読取り手段)
31 補助動力部
32 駆動スプロケット(補助駆動力伝達部)
38,38a 補助駆動力演算部
42 軸受け部
46 クランクアーム位置復元手段
60 差動歯車箱
61 入力側傘歯車
62 入力軸
63 出力軸
64 出力側傘歯車
65a,65b 差動歯車
66a,66b 差動歯車軸
70 差動歯車部
83 クランク軸変化量入力部(人力駆動力検出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともいずれか一方が一対であるとともに、一方を方向陀輪、他方を駆動輪とする前輪および後輪と、
搭乗者が意図する進行方向を前記方向陀輪となる前輪または後輪のいずれかへ伝えるハンドルと、
前記搭乗者が乗る着座シートと、
前記搭乗者が左右各々の足で交互に踏み込むことで人力踏力を入力する一対のペダルと、
この一対のペダルから入力した前記人力踏力を人力駆動力へと変換し、変換した人力駆動力を動力伝達手段へと出力する人力駆動部と、
前記動力伝達手段を介して得た前記人力駆動力を前記駆動輪へと伝える副駆動力伝達部と、
前記人力駆動部で得た人力駆動力から補助できる補助駆動力を演算する補助駆動力演算部と、
前記演算結果に基づき補助駆動力を発生させる補助動力部と、
この補助動力部で発生した補助駆動力を駆動輪に伝達する補助駆動力伝達部と、
少なくとも前記前輪および後輪と、前記ハンドルと、前記着座シートと、前記人力駆動部とを支持するフレームとを具備し、
前記人力駆動部は、前記一対のペダル各々と接続するクランクアームと、
この一対のクランクアームの一方の動きに対し連動して、他方のクランクアームが常に反対方向に移動することで前記ペダルが交互往復運動を行うクランクアーム位置復元手段と、
前記クランクアームが行う交互往復運動の回転中心となるとともに、前記クランクアームとは所定の回転方向にのみ回転力を伝える一方向動力伝達手段を介して接続するクランク軸と、
このクランク軸と同心に設けられた主駆動力伝達部と、
前記クランク軸を支持する軸受け部と、
この軸受け部内に前記クランク軸の変化量を検出する変化量読取り手段とを有し、
前記ペダルに加えられた人力踏力は、前記クランクアームから前記一方向動力伝達手段を介することで常に一方向の回転力として前記クランク軸に伝えられて、このクランク軸に設けた主駆動力伝達部から前記動力伝達手段へと人力駆動力が出力されるとともに、
前記変化量読取り手段にて読み取った前記クランク軸の変化量に基づいて、前記補助駆動力演算部に人力駆動力を伝えることを特徴とする電動アシスト車両。
【請求項2】
前記クランクアーム位置復元手段は、前記回転中心よりも鉛直上方で、かつ、前記フレームに対して回動自在に軸支されたペダルプーリと、
前記一対のクランクアームを連絡するベルトとを具備し、
このベルトが前記ペダルプーリ上を移動することで前記ペダルが交互往復運動を行うことを特徴とする請求項1に記載の電動アシスト車両。
【請求項3】
少なくともいずれか一方が一対であるとともに、一方を方向陀輪、他方を駆動輪とする前輪および後輪と、
搭乗者が意図する進行方向を前記方向陀輪となる前輪または後輪のいずれかへ伝えるハンドルと、
前記搭乗者が乗る着座シートと、
前記搭乗者が左右各々の足で交互に踏み込むことで人力踏力を入力する一対のペダルと、
この一対のペダルから入力した前記人力踏力を人力駆動力へと変換し、変換した人力駆動力を前記駆動輪へと伝える副駆動力伝達部へと出力する人力駆動部と、
前記人力駆動部で得た人力駆動力から補助できる補助駆動力を演算する補助駆動力演算部と、
前記演算結果に基づき発生させた補助駆動力を直接前記駆動輪に伝達する補助動力部と、
少なくとも前記前輪および後輪と、前記ハンドルと、前記着座シートと、前記人力駆動部とを支持するフレームを具備し、
前記人力駆動部は、
前記一対のペダル各々と接続するクランクアームと、
前記一対のクランクアームの反ペダル接続端を連絡するクランク軸と、
前記一対のクランクアームを連絡するベルトと、
前記クランク軸よりも上方で、かつ、前記フレームに対して回動自在に軸支されたペダルプーリとを有し、
前記ベルトが前記ペダルプーリ上を移動することにより前記ペダルが前記クランク軸を回転中心とした交互往復運動を行い、かつ、前記クランクアームと前記クランク軸との接続部に一方向動力伝達手段を設けることで前記クランク軸が所定の回転方向のみの回転力を得るとともに、
前記クランク軸を支持する軸受け部と、
この軸受け部内に前記クランク軸の変化量を検出する変化量読取り手段とを設け、
この変化量読取り手段にて読み取った前記クランク軸の変化量に基づいて、前記補助駆動力演算部に人力駆動力を伝える人力駆動力検出部と、
前記ペダルプーリを一端に、他端に入力側傘歯車を設けた入力軸と、
一端に前記入力側傘歯車と対向する出力側傘歯車を有し、他端に前記駆動輪を連絡する車軸へと前記人力駆動力を伝達する出力軸と、
前記入力側傘歯車と前記出力側傘歯車との間に各々の歯が噛み合うように取り付けた差動歯車と、
この差動歯車の軸心に前記差動歯車の回転を支持する差動歯車軸と、
前記入力側傘歯車と前記出力側傘歯車と前記差動歯車とを内蔵するように差動歯車箱とを設け、
前記差動歯車箱に対して前記入力軸と前記出力軸と前記差動歯車軸とを各々一方向動力伝達手段を介して支持する差動歯車部とを備え、
前記ペダルに加えられた人力踏力は、前記差動歯車部を介して変換された人力駆動力として前記副駆動力伝達部へと伝達されるとともに、
前記変化量読取り手段にて読み取った前記クランク軸の変化量に基づいて、前記補助駆動力演算部に人力駆動力を伝えることを特徴とする電動アシスト車両。
【請求項4】
前記変化量読取り手段を、前記軸受け部内に換えて前記差動歯車箱内に設け、かつ、前記クランク軸に換えて前記出力軸の変化量を読み取り、この出力軸の変化量に基づいて、前記補助駆動力演算部に人力駆動力を伝達することを特徴とする請求項3に記載の電動アシスト車両。
【請求項5】
前記クランク軸の変化量を検出する変化量読取り手段にて読み取った検出値に基づいて、前記補助駆動力演算部で補助駆動力を算出する際、前記一方向動力伝達手段で減衰した人力駆動力を補う補正係数を加えて補正補助駆動力を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電動アシスト車両の制御方法。
【請求項6】
前記出力軸の変化量を検出する変化量読取り手段にて読み取った検出値に基づいて、前記補助駆動力演算部で補助駆動力を算出する際、差動歯車部で減衰した人力駆動力を補う補正係数を加えて補正補助駆動力を算出することを特徴とする請求項4に記載の電動アシスト車両の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−18885(P2008−18885A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−193832(P2006−193832)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】