電動機の固定子及びその製造方法
【課題】ステータコアの各歯部に導線を下層と上層の2つのコイルに分けて巻付け、各層のコイルの端部を並列結線して2つのコイルに並行して電流を流すようにした電動機の固定子において、引出し線の結線作業や、固定作業がしやすくなるようにする。
【解決手段】 ステータコア10の各歯部11に、下層の第1コイルと、上層の第2コイルとを巻線し、各コイルの一端W1a、W2aをステータコア10の一方の端面から取出して電源側に接続される線として結束し、各コイルの他端W1b、W2bをステータコア10の他方の端面から取出して中性点に接続される線として結束し、第1コイルと第2コイルとに並行して電流が流れるように結線することにより、電動機の固定子21を得る。
【解決手段】 ステータコア10の各歯部11に、下層の第1コイルと、上層の第2コイルとを巻線し、各コイルの一端W1a、W2aをステータコア10の一方の端面から取出して電源側に接続される線として結束し、各コイルの他端W1b、W2bをステータコア10の他方の端面から取出して中性点に接続される線として結束し、第1コイルと第2コイルとに並行して電流が流れるように結線することにより、電動機の固定子21を得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機の固定子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に電動機の巻線は、出力が大きくなるほど、また電源電圧が小さくなるほど巻数が減少し、かつ線径が大きくなる。巻線の線径が大きくなると線の剛性が高くなり、巻線作業などが困難になって品質の低下を招くことが知られている。
【0003】
このため、複数の導線を並列して巻付けてコイルを形成したり、ステータコアの各歯部に導線を下層と上層の2つのコイルに分けて巻付け、各層のコイルの端部を並列結線して2つのコイルに並行して電流を流すようにすることが行われている。
【0004】
例えば下記特許文献1には、上記のうち後者の方法で巻線して得られる電動機の固定子として、ステータコアに絶縁部材からなる巻枠部を装着し、この巻枠部に巻線を巻付けて集中巻線となし、3相各々の極間接続を並列接続とする電動機の固定子において、各極の巻線を、巻方向が互いに逆な下層巻線(巻始め側)と上層巻線(巻終り側)に分割するとともに、下層巻線の巻終り部の巻線を巻枠部から外部に引き出したあとに再び巻枠部に引き入れて上層巻線を行い、極の巻始め線(下層巻線の巻始め線)と巻終り線(上層巻線の巻終り線)を接続して一端となし、下層巻線と上層巻線の中間部で外部に引き出された線(中間引出し線)を他端となして、それぞれの相に結線することを特徴とする電動機の固定子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4197570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に示される固定子では、電線の巻始め線の保持と、巻終り線の取出しと、下層巻線と上層巻線の中間部での引出しとを、ステータコアの同じ端面側で行っているので、巻始め線、巻終り線、中間引出し線が、ステータコアの同じ端面から引出されることになり、引出し線の結線ミスが生じやすくなり、引出し線を結線して絶縁材を被せた接続部のステータコアへの固定スペースがとりにくくなるという問題があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、ステータコアの各歯部に導線を下層と上層の2つのコイルに分けて巻付け、各層のコイルの端部を並列結線して2つのコイルに並行して電流を流すようにした電動機の固定子において、引出し線の結線作業や、固定作業がしやすくなるようにした電動機の固定子及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の電動機の固定子は、複数の歯部及びこの歯部間に形成されたスロットを有するステータコアと、前記歯部に絶縁材を介して回巻されたコイルとを備え、
前記コイルは、各歯部の下層に巻かれた第1コイルと、各歯部の上層に巻かれた第2コイルとを有し、
各コイルの一端が前記ステータコアの一方の端面から取出されて電源側に接続される線として結束され、
各コイルの他端が前記ステータコアの他方の端面から取出されて中性点に接続される線として結束されており、
前記第1コイルと第2コイルとに並行して電流が流れるように結線されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の固定子によれば、各コイルの一端と他端とが、それぞれステータコアの反対側の端面から取出されて、一方の端面から取出された線が電源側に接続され、他方の端面から取出された線が中性点に接続されるので、引出し線の結線ミスが生じにくくなり、結線後に接続部を固定する際のスペースも大きくとることができる。したがって、引出し線の結線作業や、固定作業がしやすくなる。
【0010】
本発明の電動機の固定子においては、前記ステータコアの各端面から取出されて結束されたそれぞれの線は、絶縁材で被覆されて前記ステータコアに固定されていることが好ましい。この場合、絶縁材としては、絶縁チューブや樹脂材などが挙げられる。
【0011】
また、本発明の電動機の固定子の製造方法の一つは、複数の歯部及びこの歯部間に形成されたスロットを有するステータコアの前記歯部に絶縁材を装着し、前記スロットを通って前記歯部の周りを周回するノズルを有する巻線装置を用い、前記歯部に対して、並列結線される第1コイルと第2コイルとを連続して巻線する電動機の固定子の製造方法において、
前記ステータコアの一端面側で導線の始端部を保持して、第1コイルを巻線し、
第1コイルの巻終りのときに前記ステータコアの他端面側で前記ノズルを停止させ、前記ノズルと前記第1コイルとの間の導線をフックで引っ張り出し、
その状態で前記ノズルを前記ステータコアの一端面側に移動させて、クランプ兼カッター装置により、該一端面側に引き出された前記導線の前記第1コイル側を切断分離すると共に、前記ノズル側をクランプさせ、
更に、前記フックで前記ステータコアの他端面側に引き出された導線を更に引っ張って、前記一端面側で切断分離された導線の巻終り端部を前記他端面側に引っ張り出し、
次いで、前記ノズルを再び同じ方向に周回させて第2コイルを巻線し、
第2コイルの巻終りのときに前記ステータコアの他端面側で前記ノズルを停止させ、前記ノズルと前記第2コイルとの間の導線をフックで引っ張り出し、
その状態で前記ノズルを前記ステータコアの一端面側に移動させて、クランプ兼カッター装置により、該一端面側に引き出された前記導線の前記第2コイル側を切断分離すると共に、前記ノズル側をクランプさせ、
更に、前記フックで前記ステータコアの他端面側に引き出された導線を更に引っ張って、前記一端面側で切断分離された導線の巻終り端部を前記他端面側に引っ張り出すことを特徴とする。
【0012】
上記電動機の固定子の製造方法によれば、第1コイルの巻終りのときにステータコアの他端面側でノズルを停止させ、前記ノズルと前記第1コイルとの間の導線をフックで引っ張り出し、その状態で前記ノズルを前記ステータコアの一端面側に移動させて、クランプ兼カッター装置により、該一端面側に引き出された前記導線の前記第1コイル側を切断分離すると共に、前記ノズル側をクランプさせ、更に、前記フックで前記ステータコアの他端面側に引き出された導線を更に引っ張って、前記一端面側で切断分離された導線の巻終り端部を前記他端面側に引っ張り出すようにしたので、第1コイルの巻始め端部を一端面側に取出し、巻終り側の端部を他端面側に取出すことができる。
【0013】
同様に、第2コイルの巻終りのときにステータコアの他端面側でノズルを停止させ、前記ノズルと前記第2コイルとの間の導線をフックで引っ張り出し、その状態で前記ノズルを前記ステータコアの一端面側に移動させて、クランプ兼カッター装置により、該一端面側に引き出された前記導線の前記第2コイル側を切断分離すると共に、前記ノズル側をクランプさせ、更に、前記フックで前記ステータコアの他端面側に引き出された導線を更に引っ張って、前記一端面側で切断分離された導線の巻終り端部を前記他端面側に引っ張り出すことにより、第2コイルの巻始め端部を一端面側に取出し、巻終り側の端部を他端面側に取出すことができる。
【0014】
その結果、第1コイルと第2コイルとを同じ方向に巻いて、それぞれの巻始め端部をステータコアの一端面側に引出し、それぞれの巻終り端部をステータコアの他端面側に引出すことができる。そして、各コイルの巻始め端部と巻終り端部とをステータコアの異なる端面で結線できるので、引出し線の結線ミスが生じにくくなり、結線後に接続部を固定する際のスペースも大きくとることができる。
【0015】
また、第1コイルと第2コイルとを同じ方向に巻くことができるので、ステータコアの歯部を周回するノズルの軌跡を、例えば特開2006−94632号公報に示されるように、巻線中の線がたるまないように左右非対称な軌跡にして巻線することが可能となる。
【0016】
また、本発明の電動機の固定子の製造方法のもう一つは、複数の歯部及びこの歯部間に形成されたスロットを有するステータコアの前記歯部に絶縁材を装着し、前記スロットを通って前記歯部の周りを周回するノズルを有する巻線装置を用い、前記歯部に対して、並列結線される第1コイルと第2コイルとを連続して巻線する電動機の固定子の製造方法において、
前記ステータコアの一端面側で導線の始端部を保持して、第1コイルを巻線し、
第1コイルの巻終りのときに前記ステータコアの他端面側で前記ノズルを停止させ、前記ノズルと前記第1コイルとの間の導線をフックで引っ張り出し、
次いで、前記ノズルを前記第1コイルと逆方向に回転させて第2コイルを巻線し、
第2コイル巻線後に前記ノズルを前記ステータコアの一端面側で停止させ、クランプ兼カッター装置により、該一端面側に引き出された前記導線の前記第2コイル側を切断分離すると共に、前記ノズル側をクランプさせることを特徴とする。
【0017】
上記電動機の固定子の製造方法によれば、第1コイルの巻線操作の後、第2コイルの巻線操作をスムーズに行うことができると共に、第1コイルの巻始め端部と、第2コイルの巻終り端部とを、ステータコアの一端面側に引出し、第1コイルの巻終り端部と、第2コイルの巻始め端部とを繋がった状態で、ステータコアの他端面側に引出すことができる。そして、第1コイルと第2コイルとで巻線方向を逆にしたことで、例えば、第1コイルの巻始め端部から巻終り端部への電流の流れと、第2コイルの巻終り端部から巻始め端部への電流の流れとが並行することになる。このため、ステータコアのそれぞれの端面に引出された導線どうしを結線することにより、第1コイルと第2コイルとを並列結線することが可能となり、引出し線の結線ミスが生じにくくなり、結線後に固定する際のスペースも大きくとることができる。
【0018】
本発明の電動機の固定子の製造方法においては、前記ステータコアのいずれか一方の端面に取り出された前記第1コイル及び前記第2コイルの一端部を電源側に接続される線として結束し、前記ステータコアの他方の端面に取り出された前記第1コイル及び前記第2コイルの他端部を、中性点に接続される線として結束することが好ましい。
【0019】
また、前記ステータコアの各端面から取出されて結束されたそれぞれの導線を、絶縁材で被覆して前記ステータコアに固定することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ステータコアの各歯部の下層に巻かれる第1コイルと、各歯部の上層に巻かれる第2コイルの、一端と他端とが、それぞれステータコアの反対側の端面から取出されて、一方の端面から取出された線が電源側に接続され、他方の端面から取出された線が中性点に接続されるので、引出し線の結線ミスが生じにくくなり、結線後に接続部を固定する際のスペースも大きくとることができる。したがって、引出し線の結線作業や、固定作業がしやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による電動機の固定子の巻線状態を示す平面図である。
【図2】本発明による電動機の固定子の第1の製造方法において、第1コイルの巻線終了時にノズルをステータコアの他端面側で停止した状態を示す説明図である。
【図3】同第1の製造方法において、ノズルと第1コイルとの間にフックを挿入した状態を示す説明図である。
【図4】同第1の製造方法において、ノズルと第1コイルとの間の導線をフックで引っ張り出した状態を示す説明図である。
【図5】同第1の製造方法において、更にノズルをステータコアの一端面側に移動させ、ノズルと第1コイルとの間にクランプ兼カッター装置を挿入した状態を示す説明図である。
【図6】同第1の製造方法において、クランプ兼カッター装置によりノズルと第1コイルとの間の導線を引っ張り出した状態を示す説明図である。
【図7】同第1の製造方法において、クランプ兼カッター装置により、前記導線の第1コイル側を切断分離すると共に、ノズル側をクランプさせた状態を示す説明図である。
【図8】同第1の製造方法において、前記フックでステータコアの他端面側に引き出された導線を更に引っ張って、前記一端面側で切断分離された導線の巻終り端部を前記他端面側に引っ張り出した状態を示す説明図である。
【図9】同第1の製造方法において、前記ノズルを再び同じ方向に周回させて第2コイルを巻線し、第2コイルの巻終りのときに前記ステータコアの他端面側で前記ノズルを停止させ、前記ノズルと前記第2コイルとの間にフックを挿入した状態を示す説明図である。
【図10】同第1の製造方法において、前記ノズルと前記第2コイルとの間の導線をフックで引っ張り出した状態を示す説明図である。
【図11】同第1の製造方法において、前記ノズルを前記ステータコアの一端面側に移動させた状態を示す説明図である。
【図12】同第1の製造方法において、前記ノズルと第2コイルとの間にクランプ兼カッター装置を挿入した状態を示す説明図である。
【図13】同第1の製造方法において、クランプ兼カッター装置により、前記ノズルと前記第2コイルとの間の導線を引っ張り出した状態を示す説明図である。
【図14】同第1の製造方法において、クランプ兼カッター装置により、前記導線の前記第2コイル側を切断分離すると共に、前記ノズル側をクランプさせた状態を示す説明図である。
【図15】同第1の製造方法において、前記フックでステータコアの他端面側に引き出された導線を更に引っ張って、前記一端面側で切断分離された導線の巻終り端部を前記他端面側に引っ張り出した状態を示す説明図である。
【図16】同第1の製造方法により、ステータコアの全歯部に巻線をした状態を示す斜視図である。
【図17】同第1の製造方法において、ステータコアの他端面側から引き出された導線を結線した状態を示す斜視図である。
【図18】ステータコアの他端面側から引き出された導線を結線した状態で、第2絶縁チューブ(接続点チューブ)で覆い、ステータコアの他端面に結束して固定した状態を示す平面図である。
【図19】ステータコアの一端面側から引き出された導線を第1絶縁チューブで覆い、リード線と結線した状態を示す斜視図である。
【図20】ステータコアの一端面から引き出された導線を、更に太い第2絶縁チューブ(接続点チューブ)で覆って、ステータコアの一端面に固定した状態を示す平面図である。
【図21】各コイルの結線状態を示す回路図である。
【図22】本発明による電動機の固定子の第2の製造方法において、第1コイルの巻線終了時にノズルをステータコアの他端面側で停止した状態を示す説明図である。
【図23】同第2の製造方法において、ノズルと第1コイルとの間にフックを挿入した状態を示す説明図である。
【図24】同第2の製造方法において、ノズルと第1コイルとの間の導線をフックで引っ張り出した状態を示す説明図である。
【図25】同第2の製造方法において、ノズルを第1コイルとは逆方向に周回させて第2コイルを巻線した状態を示す説明図である。
【図26】同第2の製造方法において、ノズルと第1コイルとの間にクランプ兼カッター装置を挿入した状態を示す説明図である。
【図27】同第2の製造方法において、ノズルと第1コイルとの間の導線をクランプ兼カッター装置で引っ張り出した状態を示す説明図である。
【図28】同第2の製造方法において、クランプ兼カッター装置により、導線の第2コイル側を切断分離すると共に、ノズル側をクランプさせた状態を示す説明図である。
【図29】同第2の製造方法により、ステータコアの全歯部に巻線をした状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0023】
図1は、本発明において、ステータコア10内にコイル巻線装置の巻線ヘッド14を挿入し、巻線を施す状態を示している。
【0024】
まず、ステータコア10は、内周に複数の歯部11を有し、各歯部11の間は、スロット12をなしている。ステータコア10の歯部11の上下端面、及びスロット12の内周面には、絶縁材からなる巻枠(インシュレータ)13が装着されている。この実施形態では、ステータコア10に歯部11が9個、スロット12が9個設けられているが、歯部11やスロット12の数は特に限定されるものではない。
【0025】
巻線ヘッド14は、この実施形態の場合、放射状に等間隔で突設された3つのノズル15を有し、3つの歯部11に対して同時に巻線を施すようになっている。したがって、この実施形態では、巻線操作を3回行うことにより、全歯部11に巻線が施されることになる。なお、ステータコア10の全スロットに対応する数のノズル15を有する巻線ヘッド14を用いて、全てのスロット12にノズル15を同時に挿入して巻線を行うことも可能である。
【0026】
ノズル15は、例えば特許第4252656号公報に示されるような機構によって、歯部11の回りを周回するように移動すると共に、巻線ヘッド14に対して半径方向に出没動作し、導線Wを歯部11の突出方向に整列させて多層に巻線を施すようになっている。
【0027】
本発明による電動機の固定子の第1の製造方法においては、図2に示すように、ステータコア10の一端面側(図中下方の端面側)で、クランプ兼カッター装置17で導線の巻始め端部W1aを保持し、ノズル15を対応する歯部11の回りに周回させて、歯部11の下層に巻かれた第1コイルC1を形成する。そして、第1コイルC1の巻線終了の直前にノズル15をステータコア10の他端面側(図中上方の端面側)で停止させる。
【0028】
なお、クランプ兼カッター装置17は、フック部18と、切断保持部19とを有し、フック部18と切断保持部19とで導線を挟持することにより、導線を切断して、コイルに繋がる側の端部を遊離すると共に、ノズル15に繋がる側の端部を保持するようになっている。
【0029】
次に、図3に示すように、ステータコア10の他端面側で、第1コイルC1とノズル15との間にフック20が挿入される。このとき、ステータコア10を支持する図示しない台を下降させることによりステータコア10を下降させて、第1コイルC1とノズル15との間にフック20を挿入しやすくする。
【0030】
そして、図4に示すように、フック20が後退して、導線Wを引っ掛けて半径方向外方に所定長さ引っ張り出す。なお、フック20が後退した後、ステータコア10を上昇させて元の位置に復帰させる。
【0031】
次に、図5に示すように、ノズル15が再び半周回ってステータコア10の一端面側に移動する。そして、第1コイルC1とノズル15との間にクランプ兼カッター装置17のクランプ部18が挿入される。このとき、ステータコア10を支持する図示しない台を上昇させることによりステータコア10を上昇させて、第1コイルC1とノズル15との間にクランプ兼カッター装置17のクランプ部18を挿入しやすくする。
【0032】
この状態で、図6に示すように、クランプ兼カッター装置17が後退し、第1コイルC1の巻終り端部W1bを引っ張り出す。なお、クランプ兼カッター装置17が後退した後に、ステータコア10を下降させて元の位置に復帰させる。
【0033】
更に、図7に示すように、クランプ兼カッター装置17のクランプ部18と切断保持部19とが閉じて、第1コイルC1側に伸びる導線の巻終り端部W1bを遊離すると共に、ノズル15側に繋がる端部を保持する。このノズル15側に繋がる端部が、第2コイルC2の巻始め端部W2aとなる。
【0034】
そして、図8に示すように、フック20を更に後退させ、ステータコア10の一端面側に引き出された、第1コイルC1の巻終り端部W1bを、ステータコア10の他端面側に引っ張り出す。
【0035】
次に、図9に示すように、ノズル15を再び第1コイルC1と同じ方向に周回させて、第1コイルC1の上層に第2コイルC2の巻線を行い、第2コイルC2の巻線終了の直前でノズル15をステータコア10の他端面側で停止させる。そして、第2コイルC2とノズル15との間にフック20を挿入する。なお、前述したように、このとき、ステータコア10を下降させて、第2コイルC2とノズル15との間にフック20が挿入されやすくする。
【0036】
そして、図10に示すように、フック20が後退して、巻終り端部W2bを引っ掛けて半径方向外方に所定長さ引っ張り出す。
【0037】
次に、図11に示すように、ノズル15が再び半周回ってステータコア10の一端面側に移動する。
【0038】
そして、図12に示すように、第2コイルC2とノズル15との間にクランプ兼カッター装置17のクランプ部18が挿入される。なお、前述したように、このとき、ステータコア10を上昇させて、第2コイルC2とノズル15との間にクランプ兼カッター装置17のクランプ部18が挿入されやすくする。
【0039】
この状態で、図13に示すように、クランプ兼カッター17が後退し、第2コイルC2の巻終り端部W2bを引っ張り出す。
【0040】
更に、図14に示すように、クランプ兼カッター装置17のクランプ部18と切断保持部19とが閉じて、第2コイルC2側に伸びる導線の巻終り端部W2bを遊離すると共に、ノズル15側に繋がる端部を保持する。このノズル15側に繋がる端部が、次の極の第1コイルC1の巻始め端部W1aとなる。
【0041】
そして、図15に示すように、フック20を更に後退させ、ステータコア10の一端面側に引き出された、第2コイルC2の巻終り端部W2bを、ステータコア10の他端面側に引っ張り出す。
【0042】
この結果、第1コイルC1及び第2コイルC2の巻始め端部W1a、W2aが、ステータコア10の一端面側に引き出され、巻終り端部W1b、W2bがステータコア10の他端面側に引き出された状態となる。第1コイルC1及び第2コイルC2は、いずれも同じ方向に巻かれているので、各コイルC1、C2の巻始め端部W1a、W2aから、巻終り端部W1b、W2bに並行して電流を流すことにより、2本の導線をパラ巻きした場合とほぼ同等の出力が得られる。
【0043】
このような操作を3回繰り返すことにより、U、V、Wの各相のコイルを3極ずつ形成し、図16に示すように、合計9極のコイルからなる固定子21が形成される。そして、ステータコア10の各極の歯部11から、ステータコアの各端面に2本ずつの導線Wが引き出されている。すなわち、図16において、ステータコア10の一方の端面(下方の端面)からは、第1コイルC1及び第2コイルC2の巻始め端部W1a、W2aが引き出され、ステータコア10の他方の端面(上方の端面)からは、第1コイルC1及び第2コイルC2の巻終り端部W1b、W2bが引き出されている。
【0044】
次に、図17に示すように、ステータコア10の他方の端面から引き出された2本ずつの導線を3組ずつ引き出し、U,V,Wの各2本ずつ、合計6本の引き出し線をまとめ、各相との接触を防ぐための絶縁チューブ22で覆う。その後、接続部26を半田もしくは溶接、端子によって結線し、中性点を形成するようにする。その結果、6本ずつ結線されて絶縁チューブ22で覆われた端部が、3本形成されることになる。
【0045】
そして、図18に示すように、絶縁チューブ22で覆った3本の端部に第2絶縁チューブ28を被せ、ステータコア10の巻枠13の外周壁の内側に沿って引き回し、紐23で巻枠13に縛り付けて固定する。このとき、巻枠13の外周に突起32が形成されているので、この突起32に紐23を引き掛けて縛り付けることができる。
【0046】
一方、ステータコア10の一方の端面から引き出された各極2本ずつの導線は、図19に示すように、第1絶縁チューブ25で覆い、更に、U,V,Wの各相毎に、3本の第1絶縁チューブ25を集め、合計6本の導線とリード線27とを接続部26によって結線する。
【0047】
更に、図20に示すように、各相の第1絶縁チューブ25とリード線27との接続部26の結線部を、折り曲げるようにして大径の第2絶縁チューブ28(接続点チューブ)に挿入し、第2絶縁チューブ28から引出したリード線27と第2絶縁チューブ28と共に、ステータコア10の巻枠13の外周壁の内側に沿って引き回し、紐23で巻枠13に縛り付けて固定する。そして、U,V、Wの各相に、対応するリード線27に電源端子29を接続する。
【0048】
なお、巻枠13の外周壁には、複数の溝30が所定箇所に設けられ、溝30の間に突片31が形成されている。そして、所定の突片31の外周には、突起32が形成され、前記リード線27及び第2絶縁チューブ28(接続点チューブ)は、紐23によって、上記突起32に引掛けながら上記突片32に縛り付けることによって固定されている。
【0049】
図21には、上記のようにして得られた固定子の各コイルの結線状態を示す回路図が示されている。それぞれの歯部11に第1コイルC1及び第2コイルC2が巻き付けられて各極のコイルが形成されている。U、V、Wの各コイルのステータコア10の他端面(図16,17における上方の端面)から取り出された導線Wbは、U、V、Wの相どうしで互いに結線されて中性点を構成している。
【0050】
また、U、V、Wの各コイルのステータコア10の一端面(図16,17における下方の端面、図19における上方の端面)から取り出された導線Waは、U、V、Wのそれぞれの相毎の導線とリード線27を互いに結線し、それぞれのリード線27が電源端子29に接続されている。
【0051】
このように、本発明による電動機の固定子の第1の製造方法によれば、ステータコア10の一方の端面側から、電源側に接続される導線Wa(第1コイルの巻始め端部W1a、第2コイルの巻始め端部W2a)が取り出され、ステータコア10の他方の端面側から、中性点に接続される導線Wb(第1コイルの巻終り端部W1b、第2コイルの巻終り端部W2b)が取り出されるので、全ての導線を一つの端面側から取り出した場合に比べて、電源側へ行く導線と中性点側へ行く導線を区別することができ、結線ミスを生じにくくすることができる。
【0052】
また、結線した導線を第2絶縁チューブ(接続点チューブ)等の絶縁材で覆って、ステータコア10に固定する際のスペースも広くとることができる。
【0053】
更に、この実施形態では、第1コイルC1と第2コイルC2とを同じ方向に巻いて形成できるので、例えば特開2006−94632号公報に示されるように、ステータコアの歯部を周回するノズルの軌跡を、巻線中の線がたるまないように左右非対称な軌跡にして巻線することが可能となる。
尚、本実施形態の第1の製造方法では、ステータコア10の一方の端面側から取り出された導線Wa(第1コイルの巻始め端部W1a、第2コイルの巻始め端部W2a)を電源側に接続し、ステータコア10の他方の端面側から取り出された導線Wb(第1コイルの巻終り端部W1b、第2コイルの巻終り端部W2b)を中性点側に接続しているが、ステータコア10の一方の端面側から取り出された導線Wa(第1コイルの巻始め端部W1a、第2コイルの巻始め端部W2a)を中性点側に接続し、ステータコア10の他方の端面側から取り出された導線Wb(第1コイルの巻終り端部W1b、第2コイルの巻終り端部W2b)を電源側に接続しても同様の効果が得られる。
【0054】
次に、図22〜29を参照して、本発明による電動機の固定子の第2の製造方法について説明する。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には、同符号を付して、その説明を省略することにする。
【0055】
図22に示すように、ステータコア10の一端面側(図中下方の端面)でクランプ兼カッター17によって第1コイルC1の巻始め端部W1aを保持し、第1コイルC1を巻線した後、ノズル15をステータコア10の他端面側(図中上方の端面側)で停止する。
【0056】
次いで、図23に示すように、ステータコア10を下降させて、第1コイルC1とノズル15の間に、フック20を挿入する。
【0057】
そして、図24に示すように、フック20を後退させて、第1コイルC1とノズル15の間の導線Wをフック20に引き掛けて所定長さ引っ張り出す。その後ステータコア10を上昇させて元の位置に復帰させる。なお、フック20から第1コイルC1に連結された側が第1コイルC1の巻終り端部W1bとなり、フック20からノズル15に連結された側が第2コイルC2の巻始め端部W2aとなる。
【0058】
次に、図25に示すように、今度は、第1コイルC1とは逆方向にノズル15を周回させて、第2コイルC2を巻線する。第2コイルC2の巻線が終了したら、ノズル15をステータコア10の一端面側で停止する。
【0059】
そして、ステータコア10を上昇させて、図26に示すように、第2コイルC2とノズル15の間に、クランプ兼カッター17のクランプ部18を挿入する。
【0060】
続いて、図27に示すように、クランプ兼カッター17のクランプ部18を後退させ、第2コイルC2とノズル15の間の巻終り端部W2bを所定長さ引っ張り出す。その後、ステータコア10を下降させて元の位置に復帰させる。
【0061】
更に、図28に示すように、クランプ兼カッター17を閉じて第2コイルC2側に伸びる巻終り端部W2bを遊離すると共に、ノズル15側に繋がる端部を保持する。
【0062】
このような操作を3回繰り返すことにより、U、V、Wの各相のコイルを3極ずつ形成し、図29に示すように、合計9極のコイルからなる固定子21aが形成される。そして、ステータコア10の各極の歯部11から、ステータコアの各端面に2本ずつの導線Wが引き出されている。すなわち、図28において、ステータコア10の一方の端面(下方の端面)からは、第1コイルC1の巻始め端部W1a及び第2コイルC2の巻終り端部W2bが引き出され、ステータコア10の他方の端面(上方の端面)からは、ループ状に繋がった状態で第1コイルC1の巻終り端部W1b及び第2コイルC2の巻始め端部W2aが引き出されている。尚、本実施形態では作業性の容易性(特に、接続部で結線するための導線端部の絶縁被覆の皮むき作業を容易にする等)及び絶縁性(特に、歯部に巻かれた各相の導線が接触しないように絶縁チューブ22で覆い絶縁不良を低減する等)を考慮しループ状に繋がった第1コイルC1の巻終り端部W1b及び第2コイルC2の巻始め端部W2aを切断して切り離している。
【0063】
そして、ステータコア10の他方の端面(上方の端面)から突出した導線Wの巻終り端部W1b、巻始め端部W2aは、前記実施形態における図17、18と同様に、U,V,Wの各2本ずつ、合計6本の引き出し線をまとめ、各相との接触を防ぐための絶縁チューブ22で覆う。その後、接続部によって結線して中性点を形成し、更にそれらを第2絶縁チューブ28(接続点チューブ)で覆い、ステータコア10に固定する。
【0064】
また、ステータコア10の一方の端面(下方の端面)から突出した導線Wの巻始め端部W1a、巻終り端部W2bは、前記実施形態における図19、20と同様に、第1絶縁チューブで覆い、更に、U,V,Wの各相毎に、3本の第1絶縁チューブを集め、合計6本の導線とリード線とを接続部によって結線する。更に、各相の第1絶縁チューブとリード線との結線部を折り曲げるようにして大径の第2絶縁チューブ(接続点チューブ)に挿入し、第2絶縁チューブ(接続点チューブ)から引出したリード線と第2絶縁チューブと共に、ステータコア10の巻枠13の外周壁の内側に沿って引き回し、紐で巻枠に縛り付けて固定する。そして、リード線は、ステータコアの外側に引き出し、対応する電源端子に接続する。
【0065】
この場合、第2コイルC2には、巻終り端部W2bが電源側となり、巻始め端部W2aが中性点側となるが、第2コイルC2は、ノズル15を第1コイルC1とは逆方向に周回させて形成したので、結果的に第1コイルC1と電流の流れる方向が同じとなり、2つのコイルC1、C2に並列して電流を流すことが可能となる。
【0066】
このように、本発明による電動機の固定子の第2の製造方法によれば、第1コイルC1の巻線終了後に導線Wをフック20で保持して、第2コイルC2を逆方向に巻いて形成することにより、2つのコイルC1,C2の巻線操作を作業性よく行うことができる。
【0067】
また、電源側に接続する導線と、中性点側に接続する導線とを、ステータコア10の反対側の面から取出すようにしたので、結線ミスを防止できると共に、導線の巻始め端部や巻終り端部を絶縁材で絶縁して、ステータコアの対応する端面に固定でき、導線の端部を絶縁して固定する作業を迅速に行うことができる。
尚、本実施形態の第2の製造方法では、ステータコア10の一方の端面(下方の端面)から第1コイルC1の巻始め端部W1a及び第2コイルC2の巻終り端部W2bが引き出され電源側に接続され、ステータコア10の他方の端面(上方の端面)から第1コイルC1の巻終り端部W1b及び第2コイルC2の巻始め端部W2aが引き出され中性点側に接続しているが、ステータコア10の一方の端面(下方の端面)から第1コイルC1の巻始め端部W1a及び第2コイルC2の巻終り端部W2bが引き出され中性点側に接続され、ステータコア10の他方の端面(上方の端面)から第1コイルC1の巻終り端部W1b及び第2コイルC2の巻始め端部W2aが引き出され電源側に接続しても同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0068】
10 ステータコア
11 歯部
12 スロット
13 絶縁材からなる巻枠
14 巻線ヘッド
15 ノズル
16 導線導入筒
17 クランプ兼カッター
18 クランプ部
19 切断端部
20 フック
21、21a 固定子
22 絶縁チューブ
23 紐
25 第1絶縁チューブ
26 接続部
27 リード線
28 第2絶縁チューブ(接続点チューブ)
29 電源端子
30 溝
31 突片
32 突起
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機の固定子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に電動機の巻線は、出力が大きくなるほど、また電源電圧が小さくなるほど巻数が減少し、かつ線径が大きくなる。巻線の線径が大きくなると線の剛性が高くなり、巻線作業などが困難になって品質の低下を招くことが知られている。
【0003】
このため、複数の導線を並列して巻付けてコイルを形成したり、ステータコアの各歯部に導線を下層と上層の2つのコイルに分けて巻付け、各層のコイルの端部を並列結線して2つのコイルに並行して電流を流すようにすることが行われている。
【0004】
例えば下記特許文献1には、上記のうち後者の方法で巻線して得られる電動機の固定子として、ステータコアに絶縁部材からなる巻枠部を装着し、この巻枠部に巻線を巻付けて集中巻線となし、3相各々の極間接続を並列接続とする電動機の固定子において、各極の巻線を、巻方向が互いに逆な下層巻線(巻始め側)と上層巻線(巻終り側)に分割するとともに、下層巻線の巻終り部の巻線を巻枠部から外部に引き出したあとに再び巻枠部に引き入れて上層巻線を行い、極の巻始め線(下層巻線の巻始め線)と巻終り線(上層巻線の巻終り線)を接続して一端となし、下層巻線と上層巻線の中間部で外部に引き出された線(中間引出し線)を他端となして、それぞれの相に結線することを特徴とする電動機の固定子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4197570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に示される固定子では、電線の巻始め線の保持と、巻終り線の取出しと、下層巻線と上層巻線の中間部での引出しとを、ステータコアの同じ端面側で行っているので、巻始め線、巻終り線、中間引出し線が、ステータコアの同じ端面から引出されることになり、引出し線の結線ミスが生じやすくなり、引出し線を結線して絶縁材を被せた接続部のステータコアへの固定スペースがとりにくくなるという問題があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、ステータコアの各歯部に導線を下層と上層の2つのコイルに分けて巻付け、各層のコイルの端部を並列結線して2つのコイルに並行して電流を流すようにした電動機の固定子において、引出し線の結線作業や、固定作業がしやすくなるようにした電動機の固定子及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の電動機の固定子は、複数の歯部及びこの歯部間に形成されたスロットを有するステータコアと、前記歯部に絶縁材を介して回巻されたコイルとを備え、
前記コイルは、各歯部の下層に巻かれた第1コイルと、各歯部の上層に巻かれた第2コイルとを有し、
各コイルの一端が前記ステータコアの一方の端面から取出されて電源側に接続される線として結束され、
各コイルの他端が前記ステータコアの他方の端面から取出されて中性点に接続される線として結束されており、
前記第1コイルと第2コイルとに並行して電流が流れるように結線されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の固定子によれば、各コイルの一端と他端とが、それぞれステータコアの反対側の端面から取出されて、一方の端面から取出された線が電源側に接続され、他方の端面から取出された線が中性点に接続されるので、引出し線の結線ミスが生じにくくなり、結線後に接続部を固定する際のスペースも大きくとることができる。したがって、引出し線の結線作業や、固定作業がしやすくなる。
【0010】
本発明の電動機の固定子においては、前記ステータコアの各端面から取出されて結束されたそれぞれの線は、絶縁材で被覆されて前記ステータコアに固定されていることが好ましい。この場合、絶縁材としては、絶縁チューブや樹脂材などが挙げられる。
【0011】
また、本発明の電動機の固定子の製造方法の一つは、複数の歯部及びこの歯部間に形成されたスロットを有するステータコアの前記歯部に絶縁材を装着し、前記スロットを通って前記歯部の周りを周回するノズルを有する巻線装置を用い、前記歯部に対して、並列結線される第1コイルと第2コイルとを連続して巻線する電動機の固定子の製造方法において、
前記ステータコアの一端面側で導線の始端部を保持して、第1コイルを巻線し、
第1コイルの巻終りのときに前記ステータコアの他端面側で前記ノズルを停止させ、前記ノズルと前記第1コイルとの間の導線をフックで引っ張り出し、
その状態で前記ノズルを前記ステータコアの一端面側に移動させて、クランプ兼カッター装置により、該一端面側に引き出された前記導線の前記第1コイル側を切断分離すると共に、前記ノズル側をクランプさせ、
更に、前記フックで前記ステータコアの他端面側に引き出された導線を更に引っ張って、前記一端面側で切断分離された導線の巻終り端部を前記他端面側に引っ張り出し、
次いで、前記ノズルを再び同じ方向に周回させて第2コイルを巻線し、
第2コイルの巻終りのときに前記ステータコアの他端面側で前記ノズルを停止させ、前記ノズルと前記第2コイルとの間の導線をフックで引っ張り出し、
その状態で前記ノズルを前記ステータコアの一端面側に移動させて、クランプ兼カッター装置により、該一端面側に引き出された前記導線の前記第2コイル側を切断分離すると共に、前記ノズル側をクランプさせ、
更に、前記フックで前記ステータコアの他端面側に引き出された導線を更に引っ張って、前記一端面側で切断分離された導線の巻終り端部を前記他端面側に引っ張り出すことを特徴とする。
【0012】
上記電動機の固定子の製造方法によれば、第1コイルの巻終りのときにステータコアの他端面側でノズルを停止させ、前記ノズルと前記第1コイルとの間の導線をフックで引っ張り出し、その状態で前記ノズルを前記ステータコアの一端面側に移動させて、クランプ兼カッター装置により、該一端面側に引き出された前記導線の前記第1コイル側を切断分離すると共に、前記ノズル側をクランプさせ、更に、前記フックで前記ステータコアの他端面側に引き出された導線を更に引っ張って、前記一端面側で切断分離された導線の巻終り端部を前記他端面側に引っ張り出すようにしたので、第1コイルの巻始め端部を一端面側に取出し、巻終り側の端部を他端面側に取出すことができる。
【0013】
同様に、第2コイルの巻終りのときにステータコアの他端面側でノズルを停止させ、前記ノズルと前記第2コイルとの間の導線をフックで引っ張り出し、その状態で前記ノズルを前記ステータコアの一端面側に移動させて、クランプ兼カッター装置により、該一端面側に引き出された前記導線の前記第2コイル側を切断分離すると共に、前記ノズル側をクランプさせ、更に、前記フックで前記ステータコアの他端面側に引き出された導線を更に引っ張って、前記一端面側で切断分離された導線の巻終り端部を前記他端面側に引っ張り出すことにより、第2コイルの巻始め端部を一端面側に取出し、巻終り側の端部を他端面側に取出すことができる。
【0014】
その結果、第1コイルと第2コイルとを同じ方向に巻いて、それぞれの巻始め端部をステータコアの一端面側に引出し、それぞれの巻終り端部をステータコアの他端面側に引出すことができる。そして、各コイルの巻始め端部と巻終り端部とをステータコアの異なる端面で結線できるので、引出し線の結線ミスが生じにくくなり、結線後に接続部を固定する際のスペースも大きくとることができる。
【0015】
また、第1コイルと第2コイルとを同じ方向に巻くことができるので、ステータコアの歯部を周回するノズルの軌跡を、例えば特開2006−94632号公報に示されるように、巻線中の線がたるまないように左右非対称な軌跡にして巻線することが可能となる。
【0016】
また、本発明の電動機の固定子の製造方法のもう一つは、複数の歯部及びこの歯部間に形成されたスロットを有するステータコアの前記歯部に絶縁材を装着し、前記スロットを通って前記歯部の周りを周回するノズルを有する巻線装置を用い、前記歯部に対して、並列結線される第1コイルと第2コイルとを連続して巻線する電動機の固定子の製造方法において、
前記ステータコアの一端面側で導線の始端部を保持して、第1コイルを巻線し、
第1コイルの巻終りのときに前記ステータコアの他端面側で前記ノズルを停止させ、前記ノズルと前記第1コイルとの間の導線をフックで引っ張り出し、
次いで、前記ノズルを前記第1コイルと逆方向に回転させて第2コイルを巻線し、
第2コイル巻線後に前記ノズルを前記ステータコアの一端面側で停止させ、クランプ兼カッター装置により、該一端面側に引き出された前記導線の前記第2コイル側を切断分離すると共に、前記ノズル側をクランプさせることを特徴とする。
【0017】
上記電動機の固定子の製造方法によれば、第1コイルの巻線操作の後、第2コイルの巻線操作をスムーズに行うことができると共に、第1コイルの巻始め端部と、第2コイルの巻終り端部とを、ステータコアの一端面側に引出し、第1コイルの巻終り端部と、第2コイルの巻始め端部とを繋がった状態で、ステータコアの他端面側に引出すことができる。そして、第1コイルと第2コイルとで巻線方向を逆にしたことで、例えば、第1コイルの巻始め端部から巻終り端部への電流の流れと、第2コイルの巻終り端部から巻始め端部への電流の流れとが並行することになる。このため、ステータコアのそれぞれの端面に引出された導線どうしを結線することにより、第1コイルと第2コイルとを並列結線することが可能となり、引出し線の結線ミスが生じにくくなり、結線後に固定する際のスペースも大きくとることができる。
【0018】
本発明の電動機の固定子の製造方法においては、前記ステータコアのいずれか一方の端面に取り出された前記第1コイル及び前記第2コイルの一端部を電源側に接続される線として結束し、前記ステータコアの他方の端面に取り出された前記第1コイル及び前記第2コイルの他端部を、中性点に接続される線として結束することが好ましい。
【0019】
また、前記ステータコアの各端面から取出されて結束されたそれぞれの導線を、絶縁材で被覆して前記ステータコアに固定することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ステータコアの各歯部の下層に巻かれる第1コイルと、各歯部の上層に巻かれる第2コイルの、一端と他端とが、それぞれステータコアの反対側の端面から取出されて、一方の端面から取出された線が電源側に接続され、他方の端面から取出された線が中性点に接続されるので、引出し線の結線ミスが生じにくくなり、結線後に接続部を固定する際のスペースも大きくとることができる。したがって、引出し線の結線作業や、固定作業がしやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明による電動機の固定子の巻線状態を示す平面図である。
【図2】本発明による電動機の固定子の第1の製造方法において、第1コイルの巻線終了時にノズルをステータコアの他端面側で停止した状態を示す説明図である。
【図3】同第1の製造方法において、ノズルと第1コイルとの間にフックを挿入した状態を示す説明図である。
【図4】同第1の製造方法において、ノズルと第1コイルとの間の導線をフックで引っ張り出した状態を示す説明図である。
【図5】同第1の製造方法において、更にノズルをステータコアの一端面側に移動させ、ノズルと第1コイルとの間にクランプ兼カッター装置を挿入した状態を示す説明図である。
【図6】同第1の製造方法において、クランプ兼カッター装置によりノズルと第1コイルとの間の導線を引っ張り出した状態を示す説明図である。
【図7】同第1の製造方法において、クランプ兼カッター装置により、前記導線の第1コイル側を切断分離すると共に、ノズル側をクランプさせた状態を示す説明図である。
【図8】同第1の製造方法において、前記フックでステータコアの他端面側に引き出された導線を更に引っ張って、前記一端面側で切断分離された導線の巻終り端部を前記他端面側に引っ張り出した状態を示す説明図である。
【図9】同第1の製造方法において、前記ノズルを再び同じ方向に周回させて第2コイルを巻線し、第2コイルの巻終りのときに前記ステータコアの他端面側で前記ノズルを停止させ、前記ノズルと前記第2コイルとの間にフックを挿入した状態を示す説明図である。
【図10】同第1の製造方法において、前記ノズルと前記第2コイルとの間の導線をフックで引っ張り出した状態を示す説明図である。
【図11】同第1の製造方法において、前記ノズルを前記ステータコアの一端面側に移動させた状態を示す説明図である。
【図12】同第1の製造方法において、前記ノズルと第2コイルとの間にクランプ兼カッター装置を挿入した状態を示す説明図である。
【図13】同第1の製造方法において、クランプ兼カッター装置により、前記ノズルと前記第2コイルとの間の導線を引っ張り出した状態を示す説明図である。
【図14】同第1の製造方法において、クランプ兼カッター装置により、前記導線の前記第2コイル側を切断分離すると共に、前記ノズル側をクランプさせた状態を示す説明図である。
【図15】同第1の製造方法において、前記フックでステータコアの他端面側に引き出された導線を更に引っ張って、前記一端面側で切断分離された導線の巻終り端部を前記他端面側に引っ張り出した状態を示す説明図である。
【図16】同第1の製造方法により、ステータコアの全歯部に巻線をした状態を示す斜視図である。
【図17】同第1の製造方法において、ステータコアの他端面側から引き出された導線を結線した状態を示す斜視図である。
【図18】ステータコアの他端面側から引き出された導線を結線した状態で、第2絶縁チューブ(接続点チューブ)で覆い、ステータコアの他端面に結束して固定した状態を示す平面図である。
【図19】ステータコアの一端面側から引き出された導線を第1絶縁チューブで覆い、リード線と結線した状態を示す斜視図である。
【図20】ステータコアの一端面から引き出された導線を、更に太い第2絶縁チューブ(接続点チューブ)で覆って、ステータコアの一端面に固定した状態を示す平面図である。
【図21】各コイルの結線状態を示す回路図である。
【図22】本発明による電動機の固定子の第2の製造方法において、第1コイルの巻線終了時にノズルをステータコアの他端面側で停止した状態を示す説明図である。
【図23】同第2の製造方法において、ノズルと第1コイルとの間にフックを挿入した状態を示す説明図である。
【図24】同第2の製造方法において、ノズルと第1コイルとの間の導線をフックで引っ張り出した状態を示す説明図である。
【図25】同第2の製造方法において、ノズルを第1コイルとは逆方向に周回させて第2コイルを巻線した状態を示す説明図である。
【図26】同第2の製造方法において、ノズルと第1コイルとの間にクランプ兼カッター装置を挿入した状態を示す説明図である。
【図27】同第2の製造方法において、ノズルと第1コイルとの間の導線をクランプ兼カッター装置で引っ張り出した状態を示す説明図である。
【図28】同第2の製造方法において、クランプ兼カッター装置により、導線の第2コイル側を切断分離すると共に、ノズル側をクランプさせた状態を示す説明図である。
【図29】同第2の製造方法により、ステータコアの全歯部に巻線をした状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0023】
図1は、本発明において、ステータコア10内にコイル巻線装置の巻線ヘッド14を挿入し、巻線を施す状態を示している。
【0024】
まず、ステータコア10は、内周に複数の歯部11を有し、各歯部11の間は、スロット12をなしている。ステータコア10の歯部11の上下端面、及びスロット12の内周面には、絶縁材からなる巻枠(インシュレータ)13が装着されている。この実施形態では、ステータコア10に歯部11が9個、スロット12が9個設けられているが、歯部11やスロット12の数は特に限定されるものではない。
【0025】
巻線ヘッド14は、この実施形態の場合、放射状に等間隔で突設された3つのノズル15を有し、3つの歯部11に対して同時に巻線を施すようになっている。したがって、この実施形態では、巻線操作を3回行うことにより、全歯部11に巻線が施されることになる。なお、ステータコア10の全スロットに対応する数のノズル15を有する巻線ヘッド14を用いて、全てのスロット12にノズル15を同時に挿入して巻線を行うことも可能である。
【0026】
ノズル15は、例えば特許第4252656号公報に示されるような機構によって、歯部11の回りを周回するように移動すると共に、巻線ヘッド14に対して半径方向に出没動作し、導線Wを歯部11の突出方向に整列させて多層に巻線を施すようになっている。
【0027】
本発明による電動機の固定子の第1の製造方法においては、図2に示すように、ステータコア10の一端面側(図中下方の端面側)で、クランプ兼カッター装置17で導線の巻始め端部W1aを保持し、ノズル15を対応する歯部11の回りに周回させて、歯部11の下層に巻かれた第1コイルC1を形成する。そして、第1コイルC1の巻線終了の直前にノズル15をステータコア10の他端面側(図中上方の端面側)で停止させる。
【0028】
なお、クランプ兼カッター装置17は、フック部18と、切断保持部19とを有し、フック部18と切断保持部19とで導線を挟持することにより、導線を切断して、コイルに繋がる側の端部を遊離すると共に、ノズル15に繋がる側の端部を保持するようになっている。
【0029】
次に、図3に示すように、ステータコア10の他端面側で、第1コイルC1とノズル15との間にフック20が挿入される。このとき、ステータコア10を支持する図示しない台を下降させることによりステータコア10を下降させて、第1コイルC1とノズル15との間にフック20を挿入しやすくする。
【0030】
そして、図4に示すように、フック20が後退して、導線Wを引っ掛けて半径方向外方に所定長さ引っ張り出す。なお、フック20が後退した後、ステータコア10を上昇させて元の位置に復帰させる。
【0031】
次に、図5に示すように、ノズル15が再び半周回ってステータコア10の一端面側に移動する。そして、第1コイルC1とノズル15との間にクランプ兼カッター装置17のクランプ部18が挿入される。このとき、ステータコア10を支持する図示しない台を上昇させることによりステータコア10を上昇させて、第1コイルC1とノズル15との間にクランプ兼カッター装置17のクランプ部18を挿入しやすくする。
【0032】
この状態で、図6に示すように、クランプ兼カッター装置17が後退し、第1コイルC1の巻終り端部W1bを引っ張り出す。なお、クランプ兼カッター装置17が後退した後に、ステータコア10を下降させて元の位置に復帰させる。
【0033】
更に、図7に示すように、クランプ兼カッター装置17のクランプ部18と切断保持部19とが閉じて、第1コイルC1側に伸びる導線の巻終り端部W1bを遊離すると共に、ノズル15側に繋がる端部を保持する。このノズル15側に繋がる端部が、第2コイルC2の巻始め端部W2aとなる。
【0034】
そして、図8に示すように、フック20を更に後退させ、ステータコア10の一端面側に引き出された、第1コイルC1の巻終り端部W1bを、ステータコア10の他端面側に引っ張り出す。
【0035】
次に、図9に示すように、ノズル15を再び第1コイルC1と同じ方向に周回させて、第1コイルC1の上層に第2コイルC2の巻線を行い、第2コイルC2の巻線終了の直前でノズル15をステータコア10の他端面側で停止させる。そして、第2コイルC2とノズル15との間にフック20を挿入する。なお、前述したように、このとき、ステータコア10を下降させて、第2コイルC2とノズル15との間にフック20が挿入されやすくする。
【0036】
そして、図10に示すように、フック20が後退して、巻終り端部W2bを引っ掛けて半径方向外方に所定長さ引っ張り出す。
【0037】
次に、図11に示すように、ノズル15が再び半周回ってステータコア10の一端面側に移動する。
【0038】
そして、図12に示すように、第2コイルC2とノズル15との間にクランプ兼カッター装置17のクランプ部18が挿入される。なお、前述したように、このとき、ステータコア10を上昇させて、第2コイルC2とノズル15との間にクランプ兼カッター装置17のクランプ部18が挿入されやすくする。
【0039】
この状態で、図13に示すように、クランプ兼カッター17が後退し、第2コイルC2の巻終り端部W2bを引っ張り出す。
【0040】
更に、図14に示すように、クランプ兼カッター装置17のクランプ部18と切断保持部19とが閉じて、第2コイルC2側に伸びる導線の巻終り端部W2bを遊離すると共に、ノズル15側に繋がる端部を保持する。このノズル15側に繋がる端部が、次の極の第1コイルC1の巻始め端部W1aとなる。
【0041】
そして、図15に示すように、フック20を更に後退させ、ステータコア10の一端面側に引き出された、第2コイルC2の巻終り端部W2bを、ステータコア10の他端面側に引っ張り出す。
【0042】
この結果、第1コイルC1及び第2コイルC2の巻始め端部W1a、W2aが、ステータコア10の一端面側に引き出され、巻終り端部W1b、W2bがステータコア10の他端面側に引き出された状態となる。第1コイルC1及び第2コイルC2は、いずれも同じ方向に巻かれているので、各コイルC1、C2の巻始め端部W1a、W2aから、巻終り端部W1b、W2bに並行して電流を流すことにより、2本の導線をパラ巻きした場合とほぼ同等の出力が得られる。
【0043】
このような操作を3回繰り返すことにより、U、V、Wの各相のコイルを3極ずつ形成し、図16に示すように、合計9極のコイルからなる固定子21が形成される。そして、ステータコア10の各極の歯部11から、ステータコアの各端面に2本ずつの導線Wが引き出されている。すなわち、図16において、ステータコア10の一方の端面(下方の端面)からは、第1コイルC1及び第2コイルC2の巻始め端部W1a、W2aが引き出され、ステータコア10の他方の端面(上方の端面)からは、第1コイルC1及び第2コイルC2の巻終り端部W1b、W2bが引き出されている。
【0044】
次に、図17に示すように、ステータコア10の他方の端面から引き出された2本ずつの導線を3組ずつ引き出し、U,V,Wの各2本ずつ、合計6本の引き出し線をまとめ、各相との接触を防ぐための絶縁チューブ22で覆う。その後、接続部26を半田もしくは溶接、端子によって結線し、中性点を形成するようにする。その結果、6本ずつ結線されて絶縁チューブ22で覆われた端部が、3本形成されることになる。
【0045】
そして、図18に示すように、絶縁チューブ22で覆った3本の端部に第2絶縁チューブ28を被せ、ステータコア10の巻枠13の外周壁の内側に沿って引き回し、紐23で巻枠13に縛り付けて固定する。このとき、巻枠13の外周に突起32が形成されているので、この突起32に紐23を引き掛けて縛り付けることができる。
【0046】
一方、ステータコア10の一方の端面から引き出された各極2本ずつの導線は、図19に示すように、第1絶縁チューブ25で覆い、更に、U,V,Wの各相毎に、3本の第1絶縁チューブ25を集め、合計6本の導線とリード線27とを接続部26によって結線する。
【0047】
更に、図20に示すように、各相の第1絶縁チューブ25とリード線27との接続部26の結線部を、折り曲げるようにして大径の第2絶縁チューブ28(接続点チューブ)に挿入し、第2絶縁チューブ28から引出したリード線27と第2絶縁チューブ28と共に、ステータコア10の巻枠13の外周壁の内側に沿って引き回し、紐23で巻枠13に縛り付けて固定する。そして、U,V、Wの各相に、対応するリード線27に電源端子29を接続する。
【0048】
なお、巻枠13の外周壁には、複数の溝30が所定箇所に設けられ、溝30の間に突片31が形成されている。そして、所定の突片31の外周には、突起32が形成され、前記リード線27及び第2絶縁チューブ28(接続点チューブ)は、紐23によって、上記突起32に引掛けながら上記突片32に縛り付けることによって固定されている。
【0049】
図21には、上記のようにして得られた固定子の各コイルの結線状態を示す回路図が示されている。それぞれの歯部11に第1コイルC1及び第2コイルC2が巻き付けられて各極のコイルが形成されている。U、V、Wの各コイルのステータコア10の他端面(図16,17における上方の端面)から取り出された導線Wbは、U、V、Wの相どうしで互いに結線されて中性点を構成している。
【0050】
また、U、V、Wの各コイルのステータコア10の一端面(図16,17における下方の端面、図19における上方の端面)から取り出された導線Waは、U、V、Wのそれぞれの相毎の導線とリード線27を互いに結線し、それぞれのリード線27が電源端子29に接続されている。
【0051】
このように、本発明による電動機の固定子の第1の製造方法によれば、ステータコア10の一方の端面側から、電源側に接続される導線Wa(第1コイルの巻始め端部W1a、第2コイルの巻始め端部W2a)が取り出され、ステータコア10の他方の端面側から、中性点に接続される導線Wb(第1コイルの巻終り端部W1b、第2コイルの巻終り端部W2b)が取り出されるので、全ての導線を一つの端面側から取り出した場合に比べて、電源側へ行く導線と中性点側へ行く導線を区別することができ、結線ミスを生じにくくすることができる。
【0052】
また、結線した導線を第2絶縁チューブ(接続点チューブ)等の絶縁材で覆って、ステータコア10に固定する際のスペースも広くとることができる。
【0053】
更に、この実施形態では、第1コイルC1と第2コイルC2とを同じ方向に巻いて形成できるので、例えば特開2006−94632号公報に示されるように、ステータコアの歯部を周回するノズルの軌跡を、巻線中の線がたるまないように左右非対称な軌跡にして巻線することが可能となる。
尚、本実施形態の第1の製造方法では、ステータコア10の一方の端面側から取り出された導線Wa(第1コイルの巻始め端部W1a、第2コイルの巻始め端部W2a)を電源側に接続し、ステータコア10の他方の端面側から取り出された導線Wb(第1コイルの巻終り端部W1b、第2コイルの巻終り端部W2b)を中性点側に接続しているが、ステータコア10の一方の端面側から取り出された導線Wa(第1コイルの巻始め端部W1a、第2コイルの巻始め端部W2a)を中性点側に接続し、ステータコア10の他方の端面側から取り出された導線Wb(第1コイルの巻終り端部W1b、第2コイルの巻終り端部W2b)を電源側に接続しても同様の効果が得られる。
【0054】
次に、図22〜29を参照して、本発明による電動機の固定子の第2の製造方法について説明する。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には、同符号を付して、その説明を省略することにする。
【0055】
図22に示すように、ステータコア10の一端面側(図中下方の端面)でクランプ兼カッター17によって第1コイルC1の巻始め端部W1aを保持し、第1コイルC1を巻線した後、ノズル15をステータコア10の他端面側(図中上方の端面側)で停止する。
【0056】
次いで、図23に示すように、ステータコア10を下降させて、第1コイルC1とノズル15の間に、フック20を挿入する。
【0057】
そして、図24に示すように、フック20を後退させて、第1コイルC1とノズル15の間の導線Wをフック20に引き掛けて所定長さ引っ張り出す。その後ステータコア10を上昇させて元の位置に復帰させる。なお、フック20から第1コイルC1に連結された側が第1コイルC1の巻終り端部W1bとなり、フック20からノズル15に連結された側が第2コイルC2の巻始め端部W2aとなる。
【0058】
次に、図25に示すように、今度は、第1コイルC1とは逆方向にノズル15を周回させて、第2コイルC2を巻線する。第2コイルC2の巻線が終了したら、ノズル15をステータコア10の一端面側で停止する。
【0059】
そして、ステータコア10を上昇させて、図26に示すように、第2コイルC2とノズル15の間に、クランプ兼カッター17のクランプ部18を挿入する。
【0060】
続いて、図27に示すように、クランプ兼カッター17のクランプ部18を後退させ、第2コイルC2とノズル15の間の巻終り端部W2bを所定長さ引っ張り出す。その後、ステータコア10を下降させて元の位置に復帰させる。
【0061】
更に、図28に示すように、クランプ兼カッター17を閉じて第2コイルC2側に伸びる巻終り端部W2bを遊離すると共に、ノズル15側に繋がる端部を保持する。
【0062】
このような操作を3回繰り返すことにより、U、V、Wの各相のコイルを3極ずつ形成し、図29に示すように、合計9極のコイルからなる固定子21aが形成される。そして、ステータコア10の各極の歯部11から、ステータコアの各端面に2本ずつの導線Wが引き出されている。すなわち、図28において、ステータコア10の一方の端面(下方の端面)からは、第1コイルC1の巻始め端部W1a及び第2コイルC2の巻終り端部W2bが引き出され、ステータコア10の他方の端面(上方の端面)からは、ループ状に繋がった状態で第1コイルC1の巻終り端部W1b及び第2コイルC2の巻始め端部W2aが引き出されている。尚、本実施形態では作業性の容易性(特に、接続部で結線するための導線端部の絶縁被覆の皮むき作業を容易にする等)及び絶縁性(特に、歯部に巻かれた各相の導線が接触しないように絶縁チューブ22で覆い絶縁不良を低減する等)を考慮しループ状に繋がった第1コイルC1の巻終り端部W1b及び第2コイルC2の巻始め端部W2aを切断して切り離している。
【0063】
そして、ステータコア10の他方の端面(上方の端面)から突出した導線Wの巻終り端部W1b、巻始め端部W2aは、前記実施形態における図17、18と同様に、U,V,Wの各2本ずつ、合計6本の引き出し線をまとめ、各相との接触を防ぐための絶縁チューブ22で覆う。その後、接続部によって結線して中性点を形成し、更にそれらを第2絶縁チューブ28(接続点チューブ)で覆い、ステータコア10に固定する。
【0064】
また、ステータコア10の一方の端面(下方の端面)から突出した導線Wの巻始め端部W1a、巻終り端部W2bは、前記実施形態における図19、20と同様に、第1絶縁チューブで覆い、更に、U,V,Wの各相毎に、3本の第1絶縁チューブを集め、合計6本の導線とリード線とを接続部によって結線する。更に、各相の第1絶縁チューブとリード線との結線部を折り曲げるようにして大径の第2絶縁チューブ(接続点チューブ)に挿入し、第2絶縁チューブ(接続点チューブ)から引出したリード線と第2絶縁チューブと共に、ステータコア10の巻枠13の外周壁の内側に沿って引き回し、紐で巻枠に縛り付けて固定する。そして、リード線は、ステータコアの外側に引き出し、対応する電源端子に接続する。
【0065】
この場合、第2コイルC2には、巻終り端部W2bが電源側となり、巻始め端部W2aが中性点側となるが、第2コイルC2は、ノズル15を第1コイルC1とは逆方向に周回させて形成したので、結果的に第1コイルC1と電流の流れる方向が同じとなり、2つのコイルC1、C2に並列して電流を流すことが可能となる。
【0066】
このように、本発明による電動機の固定子の第2の製造方法によれば、第1コイルC1の巻線終了後に導線Wをフック20で保持して、第2コイルC2を逆方向に巻いて形成することにより、2つのコイルC1,C2の巻線操作を作業性よく行うことができる。
【0067】
また、電源側に接続する導線と、中性点側に接続する導線とを、ステータコア10の反対側の面から取出すようにしたので、結線ミスを防止できると共に、導線の巻始め端部や巻終り端部を絶縁材で絶縁して、ステータコアの対応する端面に固定でき、導線の端部を絶縁して固定する作業を迅速に行うことができる。
尚、本実施形態の第2の製造方法では、ステータコア10の一方の端面(下方の端面)から第1コイルC1の巻始め端部W1a及び第2コイルC2の巻終り端部W2bが引き出され電源側に接続され、ステータコア10の他方の端面(上方の端面)から第1コイルC1の巻終り端部W1b及び第2コイルC2の巻始め端部W2aが引き出され中性点側に接続しているが、ステータコア10の一方の端面(下方の端面)から第1コイルC1の巻始め端部W1a及び第2コイルC2の巻終り端部W2bが引き出され中性点側に接続され、ステータコア10の他方の端面(上方の端面)から第1コイルC1の巻終り端部W1b及び第2コイルC2の巻始め端部W2aが引き出され電源側に接続しても同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0068】
10 ステータコア
11 歯部
12 スロット
13 絶縁材からなる巻枠
14 巻線ヘッド
15 ノズル
16 導線導入筒
17 クランプ兼カッター
18 クランプ部
19 切断端部
20 フック
21、21a 固定子
22 絶縁チューブ
23 紐
25 第1絶縁チューブ
26 接続部
27 リード線
28 第2絶縁チューブ(接続点チューブ)
29 電源端子
30 溝
31 突片
32 突起
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の歯部及びこの歯部間に形成されたスロットを有するステータコアと、前記歯部に絶縁材を介して回巻されたコイルとを備え、
前記コイルは、各歯部の下層に巻かれた第1コイルと、各歯部の上層に巻かれた第2コイルとを有し、
各コイルの一端が前記ステータコアの一方の端面から取出されて電源側に接続される線として結束され、
各コイルの他端が前記ステータコアの他方の端面から取出されて中性点に接続される線として結束されており、
前記第1コイルと第2コイルとに並行して電流が流れるように結線されていることを特徴とする電動機の固定子。
【請求項2】
前記ステータコアの各端面から取出されて結束されたそれぞれの線は、絶縁材で被覆されて前記ステータコアに固定されている請求項1記載の電動機の固定子。
【請求項3】
複数の歯部及びこの歯部間に形成されたスロットを有するステータコアの前記歯部に絶縁材を装着し、前記スロットを通って前記歯部の周りを周回するノズルを有する巻線装置を用い、前記歯部に対して、並列結線される第1コイルと第2コイルとを連続して巻線する電動機の固定子の製造方法において、
前記ステータコアの一端面側で導線の始端部を保持して、第1コイルを巻線し、
第1コイルの巻終りのときに前記ステータコアの他端面側で前記ノズルを停止させ、前記ノズルと前記第1コイルとの間の導線をフックで引っ張り出し、
その状態で前記ノズルを前記ステータコアの一端面側に移動させて、クランプ兼カッター装置により、該一端面側に引き出された前記導線の前記第1コイル側を切断分離すると共に、前記ノズル側をクランプさせ、
更に、前記フックで前記ステータコアの他端面側に引き出された導線を更に引っ張って、前記一端面側で切断分離された導線の巻終り端部を前記他端面側に引っ張り出し、
次いで、前記ノズルを再び同じ方向に周回させて第2コイルを巻線し、
第2コイルの巻終りのときに前記ステータコアの他端面側で前記ノズルを停止させ、前記ノズルと前記第2コイルとの間の導線をフックで引っ張り出し、
その状態で前記ノズルを前記ステータコアの一端面側に移動させて、クランプ兼カッター装置により、該一端面側に引き出された前記導線の前記第2コイル側を切断分離すると共に、前記ノズル側をクランプさせ、
更に、前記フックで前記ステータコアの他端面側に引き出された導線を更に引っ張って、前記一端面側で切断分離された導線の巻終り端部を前記他端面側に引っ張り出すことを特徴とする電動機の固定子の製造方法。
【請求項4】
複数の歯部及びこの歯部間に形成されたスロットを有するステータコアの前記歯部に絶縁材を装着し、前記スロットを通って前記歯部の周りを周回するノズルを有する巻線装置を用い、前記歯部に対して、並列結線される第1コイルと第2コイルとを連続して巻線する電動機の固定子の製造方法において、
前記ステータコアの一端面側で導線の始端部を保持して、第1コイルを巻線し、
第1コイルの巻終りのときに前記ステータコアの他端面側で前記ノズルを停止させ、前記ノズルと前記第1コイルとの間の導線をフックで引っ張り出し、
次いで、前記ノズルを前記第1コイルと逆方向に回転させて第2コイルを巻線し、
第2コイル巻線後に前記ノズルを前記ステータコアの一端面側で停止させ、クランプ兼カッター装置により、該一端面側に引き出された前記導線の前記第2コイル側を切断分離すると共に、前記ノズル側をクランプさせることを特徴とする電動機の固定子の製造方法。
【請求項5】
前記ステータコアのいずれか一方の端面に取り出された前記第1コイル及び前記第2コイルの一端部を電源側に接続される線として結束し、前記ステータコアの他方の端面に取り出された前記第1コイル及び前記第2コイルの他端部を、中性点に接続される線として結束する請求項3又は4記載の電動機の固定子の製造方法。
【請求項6】
前記ステータコアの各端面から取出されて結束されたそれぞれの導線を、絶縁材で被覆して前記ステータコアに固定する請求項3〜5のいずれか1つに記載の電動機の固定子の製造方法。
【請求項1】
複数の歯部及びこの歯部間に形成されたスロットを有するステータコアと、前記歯部に絶縁材を介して回巻されたコイルとを備え、
前記コイルは、各歯部の下層に巻かれた第1コイルと、各歯部の上層に巻かれた第2コイルとを有し、
各コイルの一端が前記ステータコアの一方の端面から取出されて電源側に接続される線として結束され、
各コイルの他端が前記ステータコアの他方の端面から取出されて中性点に接続される線として結束されており、
前記第1コイルと第2コイルとに並行して電流が流れるように結線されていることを特徴とする電動機の固定子。
【請求項2】
前記ステータコアの各端面から取出されて結束されたそれぞれの線は、絶縁材で被覆されて前記ステータコアに固定されている請求項1記載の電動機の固定子。
【請求項3】
複数の歯部及びこの歯部間に形成されたスロットを有するステータコアの前記歯部に絶縁材を装着し、前記スロットを通って前記歯部の周りを周回するノズルを有する巻線装置を用い、前記歯部に対して、並列結線される第1コイルと第2コイルとを連続して巻線する電動機の固定子の製造方法において、
前記ステータコアの一端面側で導線の始端部を保持して、第1コイルを巻線し、
第1コイルの巻終りのときに前記ステータコアの他端面側で前記ノズルを停止させ、前記ノズルと前記第1コイルとの間の導線をフックで引っ張り出し、
その状態で前記ノズルを前記ステータコアの一端面側に移動させて、クランプ兼カッター装置により、該一端面側に引き出された前記導線の前記第1コイル側を切断分離すると共に、前記ノズル側をクランプさせ、
更に、前記フックで前記ステータコアの他端面側に引き出された導線を更に引っ張って、前記一端面側で切断分離された導線の巻終り端部を前記他端面側に引っ張り出し、
次いで、前記ノズルを再び同じ方向に周回させて第2コイルを巻線し、
第2コイルの巻終りのときに前記ステータコアの他端面側で前記ノズルを停止させ、前記ノズルと前記第2コイルとの間の導線をフックで引っ張り出し、
その状態で前記ノズルを前記ステータコアの一端面側に移動させて、クランプ兼カッター装置により、該一端面側に引き出された前記導線の前記第2コイル側を切断分離すると共に、前記ノズル側をクランプさせ、
更に、前記フックで前記ステータコアの他端面側に引き出された導線を更に引っ張って、前記一端面側で切断分離された導線の巻終り端部を前記他端面側に引っ張り出すことを特徴とする電動機の固定子の製造方法。
【請求項4】
複数の歯部及びこの歯部間に形成されたスロットを有するステータコアの前記歯部に絶縁材を装着し、前記スロットを通って前記歯部の周りを周回するノズルを有する巻線装置を用い、前記歯部に対して、並列結線される第1コイルと第2コイルとを連続して巻線する電動機の固定子の製造方法において、
前記ステータコアの一端面側で導線の始端部を保持して、第1コイルを巻線し、
第1コイルの巻終りのときに前記ステータコアの他端面側で前記ノズルを停止させ、前記ノズルと前記第1コイルとの間の導線をフックで引っ張り出し、
次いで、前記ノズルを前記第1コイルと逆方向に回転させて第2コイルを巻線し、
第2コイル巻線後に前記ノズルを前記ステータコアの一端面側で停止させ、クランプ兼カッター装置により、該一端面側に引き出された前記導線の前記第2コイル側を切断分離すると共に、前記ノズル側をクランプさせることを特徴とする電動機の固定子の製造方法。
【請求項5】
前記ステータコアのいずれか一方の端面に取り出された前記第1コイル及び前記第2コイルの一端部を電源側に接続される線として結束し、前記ステータコアの他方の端面に取り出された前記第1コイル及び前記第2コイルの他端部を、中性点に接続される線として結束する請求項3又は4記載の電動機の固定子の製造方法。
【請求項6】
前記ステータコアの各端面から取出されて結束されたそれぞれの導線を、絶縁材で被覆して前記ステータコアに固定する請求項3〜5のいずれか1つに記載の電動機の固定子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2011−55653(P2011−55653A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202967(P2009−202967)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【特許番号】特許第4456173号(P4456173)
【特許公報発行日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(390020031)三工機器株式会社 (39)
【出願人】(000100872)アイチエレック株式会社 (58)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【特許番号】特許第4456173号(P4456173)
【特許公報発行日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(390020031)三工機器株式会社 (39)
【出願人】(000100872)アイチエレック株式会社 (58)
【Fターム(参考)】
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