説明

電動車両にバッテリーを電気的に接続するためのシステム

接続システムは、バッテリーと電動車両との間の電気的接続およびデータ接続を容易にするように設計される。コネクタは、バッテリーと車両の最初の位置ずれを考慮する一方で依然としてバッテリーと車両間の明白な接触を確実にする位置合わせ機構と共に設計される。この位置合わせ機構は、システムの機械的な構成要素が望ましくない負荷または応力下に置かれないことを確実にするようにシステムへのコンプライアンスも導入する。接続システムは、高電圧の電気を運ぶ電源コネクタだけでなく通信信号を運ぶデータコネクタも収容する。データコネクタは、高電圧の要素に近接することによって生じる干渉を防ぐためにシールドされる。接続システムは機械的なラッチまたはロック機構を用いない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 開示する実施形態は、概して、取り外し可能なバッテリーパックを有する電動車両に関する。具体的には、開示する実施形態は、取り外し可能なバッテリーパックと電動車両との間に電気的接続およびデータ接続を確立するためのコネクタ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 車両(例えば、乗用車、トラック、航空機、船、オートバイ、自立車両、ロボット、フォークリフトトラック等)は近代経済には欠かせない一部である。しかし残念なことに、かかる車両に動力を供給するために通常用いられる石油といった化石燃料は多くの欠点があり、例えば有限の国外の石油燃料源への依存、これらの国外燃料源が多くの場合不安定な地理的位置にあること、これらの燃料は公害や気候変化をもたらすことが挙げられる。これらの問題に対処する1つの方法としては、これらの車両の燃料経済性を増加することがある。最近では、ガソリン‐電気のハイブリッド車両が導入されており、これらの車両は、従来の内燃車両よりも実質的に少ない燃料を消費する。すなわち、ガソリン‐電気のハイブリッド車両は燃料経済性がよい。しかし、ガソリン‐電気のハイブリッド車両は、電動モータに加えて内燃エンジンを依然として必要とするので、化石燃料が必要でなくなるわけではない。
【0003】
[0003] この問題に対処する別の方法は、バイオ燃料といった再生可能資源燃料を使用することである。しかし、バイオ燃料は現在高価であり、広く商業的に利用されるになるのは何年も先のことである。
【0004】
[0004] これらの問題に対処するさらに別の方法は、燃料電池またはバッテリーによって電力が供給される電動モータといったクリーン技術を利用することである。しかし、これらのクリーン技術の多くはまだ実用段階にない。例えば、燃料電池車両は依然として開発段階にありかつ高価である。バッテリーも高価で、車両のコストを最大で40%増加させてしまう。同様に、充電式バッテリー技術も、大量生産されかつ費用効果的なバッテリーが長距離用に電動車両に電力を供給できるところまで進んでいない。現在のバッテリー技術は、ガソリンに匹敵するほどのエネルギー密度を提供しない。したがって、通常の完全に充電された電動車両用バッテリーを用いたとしても、電動車両は次に再充電されるまで、すなわち、所与の車両保管までに約40マイルしか走行することができず、電動車両の走行範囲は限られている。さらに、バッテリーを再充電するのに多くの時間がかかる。例えばバッテリーを一晩再充電しなければならないことがある。通常の電動車両用バッテリーの充電時間は何時間もかかるので、長い道程には再充電という選択肢はなく、バッテリー電源式電動車両のための実行可能な「クイック燃料補給」システムおよび方法が非常に望ましい。
【0005】
[0005] 既存技術は、再充電可能な永久バッテリーを使用する。しかし、本明細書に記載される幾つかの実施形態では、取り外し可能なバッテリーを使用する。これらの実施形態では、バッテリーと車両との間に最初から位置ずれが生じている場合に電気接続を形成することは困難となりうる。本明細書に記載されるバッテリーでは、同じ電気接続システムにおいて電力接続およびデータ接続の両方が包含される。高電圧の電力接続は、データ接続と、これらの接続が近接する場合には電磁干渉を生じさせてしまう。データ接続と電力接続とは干渉し合わないように互いから遠く離れるように移動させることができる。しかし、これらのコネクタを互いから離れるように移動させることは、2つの別個の接続組立体を作成することが必要となり、このことはコストを増大させかつシステムを複雑にしてしまう。
【0006】
[0006] したがって、上述した欠点に対処するシステムを提供することが非常に望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0007] 上述した欠点を解決するために、充電スポットとバッテリー交換ステーションのネットワークが配備され、それによりEV(電動車両)のユーザは自身の車両が常に充電済みで使用可能な状態に維持されることが可能となる。幾つかの実施形態は、バッテリー交換ステーションにおいて、使用消耗済みの(または部分的に放電された)バッテリーパックを完全に充電済み(または実質的に完全に充電済み)のバッテリーパックに迅速に交換するシステムおよび方法を提供する。この迅速な交換は、バッテリーを再充電するのに必要な時間よりもかなり短い時間内で行われる。したがって、長時間に及ぶバッテリー再充電時間は、バッテリーの範囲を超えて走行する電動車両のユーザにもはや関係なくなる。
【0008】
[0008] さらに、電動車両のバッテリーを車両の初期費用から切り離すことができるので電動車両のコストを大幅に削減できる。例えばバッテリーは金融機関またはサービスプロバイダといった車両のユーザ以外の関係者によって所有されてもよい。これらのコンセプトは、本明細書に参考として組み込む、「Electronic Vehicle Network」なる名称で2008年9月19日に出願された米国特許出願第12/234,591号により詳細に説明される。したがって、バッテリーは、消費者が購入する車両の一部ではなく、長い時間をかけて収益化を図るべき充電網(ERG)インフラストラクチャの一構成要素として取り扱われうる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0009] 以下に、電動車両におけるバッテリーパックを取り替えるまたは交換するためのシステムおよび方法の詳細な説明を与える。幾つかの実施形態は、車両に取り付けられ、迅速に交換可能なバッテリーパックの説明を与える。
【0010】
[0010] 幾つかの実施形態は、少なくとも部分的に電動の車両の底面に配置されるように構成されたバッテリーベイを提供する。バッテリーベイは、バッテリーパックをその中に少なくとも部分的に受容するように構成されたキャビティを画定するフレームを含む。幾つかの実施形態では、バッテリーベイのフレームは車両本体の構造の一部を形成して別個の構成要素ではない。バッテリーベイは、車両の底面によって形成される面(および/または例えば道路といった車両がその上を走行するように構成された面)に実質的に平行な軸周りに回転可能に枢軸する少なくとも1つのラッチ機構をさらに含む。ラッチ機構はキャビティ内に少なくとも部分的にバッテリーパックを保持するように構成される。幾つかの実施形態では、追加のラッチが、第1の軸に実質的に平行でありかつ第1の軸とは別個の追加の軸周りに回転可能に枢軸する。幾つかの実施形態では、この軸と追加の軸とは車両の長さに実質的に垂直である。
【0011】
[0011] 幾つかの実施形態では、トランスミッション組立体が、ラッチおよび追加のラッチに機械的に結合され、トランスミッション組立体はラッチおよび追加のラッチを互いに反対の回転方向に同時に回転するように構成される。幾つかの実施形態では、トランスミッション組立体を駆動するために電動モータがフレームに機械的に結合される。幾つかの実施形態では、トランスミッション組立体は車両の外部の回転機構によって駆動されるように構成される。
【0012】
[0012] 幾つかの実施形態は、少なくとも部分的に電動の車両の底面からバッテリーパックを取り外す方法を提供する。この方法は、車両に機械的に結合されたラッチ機構を回転して、ラッチと、少なくとも部分的に電動の車両の底面に配置されたバッテリーパックとの接触を解放することを含む。次にバッテリーパックは、車両の底面から離れるように平行移動させられる。幾つかの実施形態では、この取り外し方法には、回転の前に、第1のロック機構を機械的に係合解除することが含まれる。幾つかの実施形態では、この取り外し方法には、回転の前に、第2のロック機構を電子的に係合解除することが含まれる。幾つかの実施形態では、この取り外し方法は1分以内に行われる。
【0013】
[0013] 幾つかの実施形態は、バッテリーパックを電動車両に結合する別の方法を提供する。この結合方法は、電動車両の底面の前部端にある第1のラッチをバッテリーパックの前部端にある第1のストライカに、かつ、電動車両の底面の後部端にある第2のラッチをバッテリーパックの後部端にある第2のストライカに実質的に同時に係合させることを含む。次にバッテリーパックは、第1および第2のラッチをそれぞれの物理的ロック位置に回転することによって、電動車両内に実質的に同時にロックされる。幾つかの実施形態では、この結合方法は、第1および第2のラッチを反対方向に回転することによって、バッテリーパックを電動車両内に実質的に同時に垂直に持ち上げることを含み、それによりバッテリーパックと係合状態となりバッテリーパックが吊り上げられる。
【0014】
[0014] 幾つかの実施形態は、バッテリーパックを受容するためのバッテリーベイを含むバッテリーシステムを提供する。バッテリーベイは電動車両の底面にある。バッテリーベイは、バッテリーパックの前部端を電動車両の底面の前部端に機械的に結合するように構成された第1のラッチと、バッテリーパックの後部端を電動車両の底面の後部端に機械的に結合するように構成された第2のラッチとを含む。第1のラッチと第2のラッチは、実質的に同時に電動車両に対してバッテリーパックの前部端および後部端を係合状態にする、垂直に持ち上げる、およびロックすることによって、バッテリーパックを電動車両の底面に機械的に結合する。
【0015】
[0015] 幾つかの実施形態は、電動車両の底面に機械的に結合するように構成されたバッテリーパックと、バッテリーパックの近位端を電動車両の底面の近位端に機械的に結合するように構成された第1のラッチと、バッテリーパックの遠位端を電動車両の底面の遠位端に機械的に結合するように構成された第2のラッチとを含むバッテリーシステムを提供する。第1のラッチおよび第2のラッチは、バッテリーパックを電動車両の底面に実質的に同時に機械的に結合する。
【0016】
[0016] 幾つかの実施形態では、バッテリーベイは、キャビティの第1の側部においてフレームに取り付けられるラッチを含む。バッテリーベイは、キャビティの第1の側部とは反対のキャビティの第2の側部においてフレームに取り付けられる少なくとも1つの追加のラッチをさらに含む。追加のラッチは、車両の底面によって形成される面に実質的に平行な別の軸周りに回転可能にピボットする。追加のラッチは、バッテリーパックをキャビティ内に少なくとも部分的に保持するように構成される。
【0017】
[0017] 幾つかの実施形態では、バッテリーベイのラッチは、軸周りに回転する近位端と、バッテリーパック上のバー形状のストライカと係合するように構成された、近位端から離れた遠位とを有する。幾つかの実施形態では、ラッチの遠位端はフック形状を有する。
【0018】
[0018] 幾つかの実施形態では、フレームは車両のフレームと一体に形成される。幾つかの実施形態では、フレームは、少なくとも部分的に電動の車両に取り付けられるように構成された別個のユニットである。幾つかの実施形態では、フレームは部分的に電動の車両の前方車軸と後方車軸との間に設置される。幾つかの実施形態では、フレームは2つの長い側部と2つの短い側部とを有する実質的に矩形の開口を画定する。幾つかの実施形態では、フレームは、対応するバッテリーパックを受容するように構成された任意の形状を画定する5、6、またはそれ以上の数の側部を有する開口を画定する。幾つかの実施形態では、長い側部は車両の前部から後部に延在する軸に実質的に平行(またはほぼ平行)である軸に沿って延在する。幾つかの実施形態では、フレームは、バッテリーパックをその中に少なくとも部分的に受容するための実質的に立方形のキャビティを画定する。
【0019】
[0019] 幾つかの実施形態では、バッテリーベイは、フレームと少なくとも部分的に電動の車両との間に配置された1以上の振動ダンパを有する。
【0020】
[0020] 幾つかの実施形態では、ラッチおよび追加のラッチはそれぞれの軸周りを反対方向に実質的に同時に回転する。幾つかの実施形態では、バッテリーパックは、ラッチが互いに向かって実質的に同時に回転すると少なくとも部分的に電動の車両と係合状態となりロックされる。幾つかの実施形態では、バッテリーパックは、ラッチが互いから離れるように実質的に同時に回転すると部分的に電動の車両との係合状態が外れロック解除される。
【0021】
[0021] 幾つかの実施形態では、ラッチおよび追加のラッチは、実質的に同時に少なくとも部分的に電動の車両の底面からバッテリーパックを機械的に脱結合するように構成される。
【0022】
[0022] 幾つかの実施形態では、ラッチ(またはラッチ機構)は4バーリンク機構の一部である。幾つかの実施形態では、4バーリンク機構は、ラッチ筐体と、第1の枢軸点および第2の枢軸点を含み、第1の枢軸点はラッチ筐体の近位端に枢軸可能に結合される入力リンクと、第3の枢軸点および第4の枢軸点を含むラッチと、第1のロッド端および第2のロッド端を含むカプラリンクロッドとを含む。第4のピボット点はラッチ筐体の遠位端にピボット可能に結合される。第1のロッド端は、入力リンクの第2の枢軸点に旋回可能に結合される。第2のロッド端はさらに、ラッチの第3の枢軸点に旋回可能に結合される。
【0023】
[0023] 幾つかの実施形態では、カプラリンクロッドは、カプラリンクロッドの長さを調節するように構成された調節ボルトを含む。幾つかの実施形態では、入力リンクが第1の位置にある場合に、ラッチはバッテリーパックのストライカから機械的に脱結合するように構成される。幾つかの実施形態では、入力リンクが第2の位置にある場合に、ラッチはバッテリーパックのストライカに機械的に結合するように構成された係合位置にあり、入力リンク、カプラリンクロッド、およびフックは幾何学ロック構成にある。幾つかの実施形態では、ラッチは、車両の底面によって形成される面に実質的に垂直な軸に沿ってバッテリーパックを吊り上げるように構成される。
【0024】
[0024] 幾つかの実施形態では、バッテリーベイはバッテリーパックをさらに含み、バッテリーパックは、電気エネルギーを蓄積する少なくとも1つの充電式バッテリーセルと、その少なくとも1つの充電式バッテリーセルを少なくとも部分的に囲む筐体筐体とを含む。筐体は、ラッチと係合するように構成されたバー形状の少なくとも1つのストライカをさらに含む。
【0025】
[0025] 幾つかの実施形態では、バッテリーパックの筐体は、その長さよりも実質的に小さい高さを有し、筐体の一部は、バッテリーパックが車両に取り付けられている場合に車両の底面における周囲空気に少なくともその一部が露出される熱交換機構を含む。幾つかの実施形態では、バッテリーパックは、車両に取り付けられている場合に、電動車両の底面の面より下に少なくとも部分的に突出する。幾つかの実施形態では、筐体の一部は、バッテリーパックが車両に取り付けられている場合に車両の底面における周囲空気に少なくともその一部が露出される熱交換機構を含む。幾つかの実施形態では、熱交換機構は、ヒートシンク、熱交換機、冷却板、およびこれらの機構の組み合わせのうち少なくとも1つから選択される。幾つかの実施形態では、熱交換機構は筐体内を通り抜けるダクトを含む冷却機構である。幾つかの実施形態では、冷却ダクトは複数のフィンを含む。幾つかの実施形態では、冷却ダクトは吸入口を含む。幾つかの実施形態では、吸入口はデブリが冷却ダクトに進入することを防ぐフィルタを含む。
【0026】
[0026] 幾つかの実施形態では、バッテリーベイはバッテリーパックをさらに含む。バッテリーパックは、車両のバッテリーベイ内のキャビティを実質的に埋めるように構成された筐体を含む。この筐体は、第1の側壁と、第1の側壁とは反対の第2の側壁と、第1の側壁に配置され、バー形状を有する少なくとも1つのストライカ(第1のストライカの中心軸が第1の側壁と平行である)と、第2の側壁に配置され、バー形状を有する少なくとも1つの第2のストライカ(第2のストライカの中心軸が第2の側壁と平行である)と、電気エネルギーを蓄積する少なくとも1つのバッテリーセルとを含む。バッテリーセルは、筐体内に少なくとも部分的に閉じ込められる。幾つかの実施形態では、バー形状のストライカは、ローラーベアリングや低摩擦表面処置といったなんらかの減摩付属物を有する。
【0027】
[0027] 幾つかの実施形態では、バッテリーベイのフレームは、バッテリーパック上の少なくとも1つの位置合わせピンと嵌合するように構成された少なくとも1つの位置合わせソケットをさらに含む。
【0028】
[0028] 幾つかの実施形態では、バッテリーベイのフレームは、バッテリーベイに結合された少なくとも1つの圧縮バネをさらに含み、この少なくとも1つの圧縮バネは、バッテリーパックがキャビティ内に少なくとも部分的に保持される場合にバッテリーベイとバッテリーパックとの間に力を生成するように構成される。
【0029】
[0029] 幾つかの実施形態では、トランスミッション組立体は、第1のトルクバーに機械的に結合された複数のラッチをさらに含む。第1のトルクバーはラッチを作動させるように構成される。追加のラッチが第2のトルクバーに機械的に結合される。第2のトルクバーは追加のラッチを作動させるように構成される。さらに、第1のトルクバーおよび第2のトルクバーは、反対の方向に実質的に同時に回転するように構成される。幾つかの実施形態では、第1のトルクバーは、車両の前部端に最も近いバッテリーベイの側部にある。第2のトルクバーは、車両の後部端に最も近いバッテリーベイの側部にある。
【0030】
[0030] 幾つかの実施形態では、トランスミッション組立体は、第1のウォームギアセットを介して第1のトルクバーに結合された第1のギアシャフトと、第2のウォームギアセットを介して第2のトルクバーに結合された第2のギアシャフトとをさらに含む。第1のギアシャフトおよび第2のギアシャフトは反対方向に実質的に同時に回転することによって、第1のトルクバーおよび第2ントルクバーは、第1のウォームギアセットおよび第2のウォームギアセットを介して反対方向に実質的に同時に回転させられる。幾つかの実施形態では、第1のギアシャフトは、自在継ぎ手によって接合される2つのシャフトを含む。幾つかの実施形態は、設計には左右のウォームギアセットが含まれてもよく、これは、ギアシャフトが反対方向に回転することを必要としない設計である。
【0031】
[0031] 幾つかの実施形態では、トランスミッション組立体は、第1のギアシャフトおよび第2のギアシャフトに結合されたマイターギアセットをさらに含む。マイターギアセットは、第1および第2のギアシャフトを反対方向に同期して回転するように構成される。
【0032】
[0032] 幾つかの実施形態では、トランスミッション組立体は、ギアレシオセットを介してマイターギアセットに結合された駆動モータをさらに含む。駆動モータは、ギアレシオセットおよびマイターギアセットを介して第1および第2のギアシャフトを反対方向に回転するように構成される。
【0033】
[0033] 幾つかの実施形態では、トランスミッション組立体は、電動車両の底面に設置された駆動ソケットをさらに含む。このソケットは、マイターギアセットの中心ギアに結合される。ソケットの回転によってマイターギアセットが作動される。幾つかの実施形態では、駆動ソケットは非標準的な形状を有し、この非標準的な形状に対応するヘッドを有するソケットレンチを受容する。
【0034】
[0034] 幾つかの実施形態では、トランスミッション組立体は、マイターギアセットが回転することを防ぐように構成されたマイターギアロックをさらに含む。幾つかの実施形態では、マイターギアロックはキーによって解放されるように構成される。幾つかの実施形態では、キーはマイターギアロックを物理的にロック解除する。幾つかの実施形態では、マイターギアロックはバネで荷重がかけられる。
【0035】
[0035] 幾つかの実施形態では、バッテリーベイは1以上のラッチロックをさらに含み、これらの1以上のラッチロックは、係合状態になると、少なくとも1つのラッチが回転することを防ぐように構成される。幾つかの実施形態では、ラッチロックは、1つ以上のラッチロックに結合されたロック同期バーとロック同期バーに結合されたロックアクチュエータとをさらに含む。ロック同期バーは1以上のラッチロックを作動させるように構成される。ロックアクチュエータはロック同期バーを作動させるように構成される。幾つかの実施形態では、1以上のラッチロックはロックボルトである。幾つかの実施形態では、ロックアクチュエータは、ロックアクチュエータを介してロック同期バーを作動させるように構成された電動モータに結合される。幾つかの実施形態では、ロック同期バーは、1以上のラッチロックが係合状態となるように1以上のラッチロックを第1の方向に回転するように構成され、また、ロック同期バーは、1以上のラッチロックが係合解除されるように1以上のラッチロックを第2の方向に回転するように構成される。
【0036】
[0036] 幾つかの実施形態では、バッテリーベイは1以上のラッチロックをさらに含み、これらの1以上のラッチロックは、係合状態になると、少なくとも1つのラッチが回転することを防ぐように構成される。1以上のラッチロックは、マイターギアロックが解放されて初めて係合解除するように構成される。
【0037】
[0037] 幾つかの実施形態では、バッテリーベイは、ラッチの係合位置および係合解除位置を判断するように構成されたラッチ位置インジケータをさらに含む。
【0038】
[0038] 幾つかの実施形態では、ラッチは、機械的な結合なしで電子的に同期される。内部電動モータおよびトランスミッションを含む個々のラッチユニットがラッチ動作を行う。制御ユニットを用いて全てのラッチの動作を同期して制御する。
【0039】
[0039] 取り外し可能なバッテリーパックの係合(結合)および係合解除(脱離(uncoupling))は、少なくとも部分的に電動の車両の寿命に亘って何度も行われうる。幾つかの実施形態では、バッテリーパックおよび車両は最大3000サイクルの係合および係合解除に耐えるべきである。幾つかの実施形態では、構成要素は最大5000サイクルに耐えるべきである。結合または係合状態となると、高電圧および電流がバッテリーパックと車両間に流れ、それによりバッテリーパックは電動車両に電力を供給する。幾つかの実施形態では、バッテリーパックはデータを車両に通信するための回路をさらに含む。このような「スマート」バッテリーは、バッテリー充電、バッテリーの状態、残存範囲に関する情報または他の適当な情報を車両のコンピュータシステムに提供する。これらの実施形態では、データ信号経路もバッテリーパックと車両との間に各係合において形成される。電源接続およびデータ接続が形成されるためには、バッテリーパック上の電源およびデータコンタクトと、車両上の電気およびデータコンタクトが互いに適切に位置合わせされなければならない。例えば、適切な電気的接続を形成するために、小さいデータおよび電源ピンとソケットが正確に位置合わせされるべきである。さらに、データおよび電源コネクタは互いに接触したままで、また、垂直および水平方向の衝撃および振動、衝突等といった日常の運転によって生じる厳しい要因にも耐えなければならない。
【0040】
[0040] 本明細書に記載される接続システムは、バッテリーの取り外しおよび交換時のバッテリー側コネクタと車両側コネクタとの間に生じうる位置ずれを補償する迅速接続/切断システムを提供する。これらの実施形態は、ピンおよびソケット位置合わせ機構といった位置合わせ機構によって、バッテリーおよび車両の結合部分を適切な位置合わせ状態に動かすための構造上の柔軟性を提供する。これらの実施形態はさらに、1以上の位置ずれ軽減機構を提供する。具体的には、接続システムにおける少なくとも1つのコネクタは、バッテリーまたは車両のそれぞれに直接取り付けられた固定の搭載部分と、コネクタのデータおよび電源インターフェースを含む自由結合部分との間での移動を可能にするように設計されたカプラを含む。幾つかの実施形態では、それらの間で可能にされる移動は、水平、すなわち、車両の底面のX−Z面に実質的に平行である。幾つかの実施形態では、可能にされる移動はさらに垂直である。幾つかの実施形態では、カプラは、位置ずれの補償を支援することに加えて、電気的およびデータ構成要素を互いに接続した状態に維持する垂直力を与えるバネを含む。これらの実施形態のうちの幾つかは、日常の運転による振動および軋みにも関わらず対応するデータおよび電源ピンとの電気的な接触を維持することが可能であり、さらに3000サイクル以上の係合サイクルに耐えることが可能である導電性メッシュスリーブを有するデータおよび電源ソケットをさらに使用する。
【0041】
[0041] 幾つかの実施形態では、バッテリーパックと車両との間のデータ接続は、正確な位置合わせ能力を有する同じ電気接続システム内にある。つまり、単一のバッテリー側コネクタ構成要素が、データインターフェースおよび電源インターフェースの両方を含み、単一の車両側コネクタ構成要素もデータインターフェースおよび電源インターフェースの両方を含む。同じ電気接続システム内にデータ接続と電源接続を設けることの1つの利点は、1つの電気接続システムを用いて電源インターフェースとデータインターフェースの両方を同時に位置合わせすることができるということである。しかし、データ通信導体は、高電圧または大電流導体に近接することによって生じる電磁干渉の影響を受け易い。時に電磁干渉は、任意の高電圧または大電流の導体と任意のデータまたは信号導体との間に相当な距離を維持することによって解決することができる。しかし、車両とバッテリーとの正確な位置合わせを必要とする接続点の数を最小限とする要望を考慮すると、幾つかの実施形態では、電源インターフェースおよびデータインターフェースの両方を同じコネクタシステム構成要素上に含めることが有利である。これらの実施形態では、電磁干渉を解決するためにデータ導体と電源導体との間に適切な距離を維持することは現実的ではない。その代わりに、データおよび電源の両方に単一のコネクタを用いることを可能にする一方で、データ導体が電源導体に近接することによって生じる不所望の電磁効果を防ぐためにシールド機構が設けられる。同じコネクタ構成要素上に電気コネクタとデータコネクタの両方を有する電気接続システムの実施形態では、電気接続システムはさらに、データインターフェースを、接続システムにおいて互いに近くに置かれる高電圧の電気的インターフェースによって生じる電磁干渉からシールドするシールド機構を有する。幾つかの実施形態では、データコネクタおよび電気コネクタは、互いから1インチ以内にある。他の実施形態では、電気およびデータ接続は、以下に説明される電気接続システムの位置合わせ機構のような別個の位置合わせ機構をそれぞれ有する別個の接続システム上にある。
【0042】
[0042] 本明細書に記載される実施形態のもう1つの注目に値することは、電気接続システム自体に任意のラッチ機構がないことである。これらの実施形態は、電源インターフェースとデータインターフェースとの間の明白な接触を確実にするための追加のクランプまたはラッチ機構を必要としない。その代わりに、電気接続システムの実施形態の構成要素は、バッテリーベイにおけるラッチ機構によって互いに接触した状態に保持される。接続システムの実施形態に用いられる位置合わせ機構は、バッテリーパックおよび車両間の最初の位置ずれを補償するので、バッテリーパックを迅速に取り外し、複雑な電気コネクタをラッチするまたは位置合わせするための追加の懸念なしで車両のバッテリーベイ内に挿入することができる。さらに、ラッチ機構は、車両側コネクタとバッテリー側コネクタとの接続を維持するように適切な力でバッテリーを固定する。バッテリー交換プロセスのステップおよび複雑さを減少することによって、電動車両は毎日の使用により好都合になる。
【0043】
[0043] 幾つかの実施形態は、少なくとも部分的に電動の車両のバッテリー用の電気接続システムを提供する。この電気接続システムは、次の通りに、車両側コネクタおよびバッテリー側コネクタと共にシールド機構を使用する。車両側コネクタは、少なくとも部分的に電動の車両の底面に永続的に取り付けられるように構成される。バッテリー側コネクタは、バッテリーパックに永続的に取り付けられるように構成される。バッテリー側コネクタは、車両側コネクタと嵌合するように構成される。バッテリー側コネクタおよび車両側コネクタはさらに、少なくとも部分的に電動の車両の底面に実質的に垂直な軸に沿って互いに取り外し可能に結合される。各電気コネクタは、電気コネクタ間で高電圧の電気を送るための高電圧インターフェースと、電気コネクタ間でデータを送るためのデータインターフェースとを含む。電気接続システムは、高電圧接続要素によって生じる電磁効果に対抗するシールド機構をさらに含む。幾つかの実施形態では、シールド機構は、データインターフェースを高電圧インターフェースから分離して、高電圧接続要素によって生じる電磁効果に対抗する。幾つかの実施形態では、シールド機構はデータインターフェースを実質的に覆う筐体を含む。幾つかの実施形態では、筐体はL字型である。
【0044】
[0044] 幾つかの実施形態では、電気接続システムは、第1および第2の電気コネクタが結合される場合に、環境汚染を防ぐために第1および第2の電気コネクタ間に位置決めされたシールド機構をさらに含む。
【0045】
[0045] 幾つかの実施形態では、高電圧インターフェースは、導電性ピンと導電性ピンを受容するためのソケットとを含む。さらに、ソケットは導電性ピンと電気的接続を形成するための導電性メッシュスリーブで作られる。同様に、幾つかの実施形態では、データインターフェースも導電性ピンとソケットとを含み、ソケットは導電性メッシュスリーブで作られる。他の実施形態では、データインターフェースは光ファイバインターフェースを含む。
【0046】
[0046] 幾つかの実施形態では、高電圧の電気は約100と1000VDCの間である。他の実施形態では、高電圧の電気は約200と800VDCの間である。さらに他の実施形態では、高電圧の電気は約350と450VDCの間である。
【0047】
[0047] 幾つかの実施形態は、少なくとも部分的に電動の車両のバッテリー用の電気接続システムを提供する。この電気接続システムは、車両側コネクタとバッテリー側コネクタとの位置ずれを補償するための結合機構を次の通りに使用する。電気接続システムは、第1の電気コネクタと、第2の電気コネクタと、第1および第2の電気コネクタ間の位置ずれを補償するためのカプラとを含む。第1の電気コネクタは、少なくとも部分的に電動の車両の底面に搭載されるように構成される。第1の電気コネクタは、第2の電気コネクタの第2の結合部分と嵌合するための第1の結合部分を含む。第2の電気コネクタは、バッテリーに搭載されるように構成され、また、第1の電気コネクタの第1の結合部分と嵌合するための第2の結合部分を含む。これらの間には、第1および第2の電気コネクタ間の位置ずれを補償するためのカプラがある。第1および第2の結合部分は、高電圧の電気を送るための高電圧インターフェースと、第1および第2の結合部分間でデータを送るためのデータインターフェースとを含む。幾つかの実施形態では結合部分は車両側コネクタ上にある。他の実施形態では結合部分はバッテリー側コネクタ上にある。
【0048】
[0048] 幾つかの実施形態では、少なくとも部分的に電動の車両のバッテリー用の接続システムは、車両側コネクタとバッテリー側コネクタとの位置ずれを補償するための1以上の結合部分を次の通りに含む。第1の電気コネクタは、少なくとも部分的に電動の車両の底面に搭載されるように構成される。第1の電気コネクタは、第2の電気コネクタの第2の結合部分と嵌合するための第1の結合部分と、第1の電気コネクタを少なくとも部分的に電動の車両に取り付けるための第1の搭載部分と、第1の結合部分を第1の搭載部分に取り付けるための第1のカプラとを含む。第1のカプラは、第1の結合部分と第1の搭載部分との相対運動を可能にする。第2の電気コネクタはバッテリーに搭載されるように構成される。第2の電気コネクタは、第1の電気コネクタの第1の結合部分と嵌合するための第2の結合部分を含む。第1のカプラは、第1および第2の電気コネクタ間の位置ずれを補償する。第1および第2の結合部分は、高電圧の電気を送るための高電圧インターフェースと、第1および第2の結合部分間でデータを送るためのデータインターフェースとを含む。幾つかの実施形態では、第2の電気コネクタは、第2の電気コネクタをバッテリーに取り付けるための第2の搭載部分と、第2の結合部分を第2の搭載部分に取り付けるための第2のカプラもさらに含む。第2のカプラは、第2の結合部分と第2の搭載部分との相対運動を可能にする。第2のカプラも、第1および第2の電気コネクタ間の位置ずれを補償する。
【0049】
[0049] 幾つかの実施形態では、第1のカプラは、第1の結合部分が、第1の搭載部分に対して垂直面および水平面において移動可能であるように構成される。幾つかの実施形態では、第1のカプラは、第1の結合部分における穴と、第1の搭載部分に堅く取り付けられ第1の結合部分における穴を通り延在するボルトとで作られる。ボルトは穴より小さい直径を有する。幾つかの実施形態では、第1のカプラは、第1の結合部分と第1の搭載部分との間に位置決めされたコイルバネをさらに含む。幾つかの実施形態では、ボルトは、このコイルバネの中心を通り延在する。
【0050】
[0050] 幾つかの実施形態では、請求項の電気接続システムの第1の結合部分はピンとソケットとを含む。ピンとソケットは、第1および第2の結合部分間の側方の位置合わせを確実にするように構成される。幾つかの実施形態では、ソケットの内面は楕円形の断面を有するチャネルである。チャネルはピンより大きい内面を有して、チャネルの内面の一部とピンの外面の一部との間に空間を与える。
【0051】
[0051] 上述した実施形態は、1以上の上述した欠点に対処するものである。例えば、バッテリーの電気的インターフェース構成要素と、電動車両内のその対応ベイとの位置ずれは、記載された位置合わせおよび位置ずれ補償機構によって補償される。また、高電圧電源接続によって生じる電磁干渉は、様々なシールド機構によって解決または軽減される。幾つかの実施形態では、位置ずれと電磁干渉は共に上述した特徴の組み合わせを用いて対処され、それにより、多くの交換サイクルに耐えることができるロバストなバッテリー交換システムが作られる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】[0052] 図1は、電動車両ネットワークを示す。
【図2A】[0053] 図2Aは図1の電動車両の図であって、かかる電動車両の底面図である。
【図2B】[0053] 図2Bは図1の電動車両の図であって、かかる電動車両の側面図である。
【図3A】[0054] 図3Aは、図1の電動車両およびバッテリーパックの底面斜視図である。
【図3B】[0054] 図3Bは、図1の電動車両およびバッテリーパックの底面斜視図である。
【図4】[0055] 図4は、図1〜図3のバッテリーパックの一実施形態の斜視図である。
【図5】[0056] 図5は、様々な化学モジュールまたはセルを示す図1〜図3のバッテリーパックの一実施形態の斜視図である。
【図6】[0057] 図6は、第1の冷却システムを有するバッテリーパックの一実施形態の斜視図である。
【図7】[0058] 図7は、第2の冷却システムを有するバッテリーパックの別の実施形態の底面斜視図である。
【図8】[0059] 図8は、バッテリーパックの別の実施形態の斜視図である。
【図9】[0060] 図9は、電気接続システムの斜視図である。
【図10】[0061] 図10は、バッテリーベイおよびバッテリーベイのトランスミッション組立体に接続されたバッテリーパックの一実施形態の斜視図である。
【図11】[0062] 図11は、バッテリーベイの別の実施形態の斜視図である。
【図12】[0063] 図12は、図11のウォームギアセットの一実施形態の拡大斜視図(oblique view)である。
【図13】[0064] 図13は、図11の第1のギアセット機構の一実施形態の拡大斜視図である。
【図14】[0065] 図14は、駆動ソケットの一実施形態の拡大図を含むバッテリーおよびベイの底面の拡大斜視図である。
【図15】[0066] 図15は、ギアロックの一実施形態の斜視図である。
【図16】[0067] 図16は、ギアロックの別の実施形態の斜視図である。
【図17】[0068] 図17は、キーホールに挿入され図16のギアロックを解放するキーの拡大斜視図である。
【図18】[0069] 図18は、バッテリーパック上の位置合わせピンと嵌合するように構成された幾つかの位置合わせソケットを有するバッテリーベイの一実施形態の拡大斜視図である。
【図19A】[0070] 図19Aは、様々な位置にあるラッチ機構の側面図である。
【図19B】[0070] 図19Bは、様々な位置にあるラッチ機構の側面図である。
【図19C】[0070] 図19Cは、様々な位置にあるラッチ機構の側面図である。
【図20】[0071] 図20は、バッテリーベイのラッチロック機構の拡大斜視図である。
【図21】[0072] 図21は、バッテリーベイからバッテリーパックを解放するプロセスのフロー図である。
【図22】[0073] 図22は、バッテリーベイにバッテリーパックを係合するプロセスのフロー図である。
【図23A】[0074] 図23Aは、バッテリーベイのトランスミッション組立体の別の実施形態の斜視図である。
【図23B】[0074] 図23Bは、バッテリーベイのトランスミッション組立体の別の実施形態の拡大斜視図である。
【図24A】[0075] 図24Aは、電気接続システムの上面斜視図である。
【図24B】[0075] 図24Bは、図24Aの車両側コネクタの底面斜視図である。
【図25】[0076] 図25は、図24Aの電気接続システムの側面図である。
【図26】[0077] 図26は、図25の線26−26に沿って見た電気接続システムの車両側コネクタ部分の側断面図である。
【図27】[0078] 図27は、図25の線26−26に沿って見た電気接続システムのバッテリー側コネクタ部分の側断面図である。
【図28】[0079] 図28は、図24Aに示すデータおよび電源コネクタの幾つかの実施形態のメス側に用いられる導電性メッシュスリーブの斜視図である。
【図29】[0080] 図29は、図24Bに示す車両側コネクタの一部の部分分解斜視図である。
【図30】[0081] 図30は、図29の車両側コネクタに用いられるシールド機構の一実施例の斜視図である。
【図31】[0082] 図31は、図29のシールド機構の全側部の平面図を含む。
【0053】
[0083] 同様の参照番号は、全図にわたって対応する部分を指すものである。
【発明を実施するための形態】
【0054】
[0084] 図1は、幾つかの実施形態による電動車両ネットワーク100を示す。電子車両ネットワーク100は、車両102と、車両102に取り外し可能に搭載されるように構成されたバッテリーパック104を含む。幾つかの実施形態では、バッテリーパック104は、バッテリー(例えばリチウムイオン電池、鉛‐酸電池、ニッケル水素電池等)、コンデンサ、反応セル(例えば亜鉛‐空気セル)等といった電気エネルギーを蓄積可能な任意のデバイスを含む。幾つかの実施形態では、バッテリーパック104は、複数の個別のバッテリー、または、バッテリーセル/化学モジュールを含む。幾つかの実施形態では、バッテリーパック104はさらに冷却機構と、車両102またはバッテリー交換ステーション134の様々な要素に接続するための機械的および電気的コネクタを含む。これらの機械的および電気的コネクタを以下にさらに詳細に説明する。
【0055】
[0085] 幾つかの実施形態では、車両102は、車両の1以上の車輪を駆動する電動モータ103を含む。これらの実施形態では、電動モータ103は、バッテリーパック104(説明の便宜上、車両から離して図示する)からエネルギーを受け取る。車両102のバッテリーパック104は、ユーザ110の家130においてまたは1以上の充電ステーション132において充電されうる。例えば充電ステーション132は、ショッピングセンターの駐車場にあってよい。さらに、幾つかの実施形態では、車両102のバッテリーパック104は、1以上のバッテリー交換ステーション134において充電済みバッテリーパックと交換することができる。したがって、ユーザが車両のバッテリーの1回の充電分の範囲を超える距離を走行する場合、使用済み(または部分的に使用済み)のバッテリーを充電済みバッテリーと交換することでユーザはバッテリーが再充電されることを待つことなく走行を続けることができる。バッテリー交換ステーション134は、ユーザが車両102の使用済み(または部分的に使用済み)のバッテリーパック104を充電済みバッテリーパック104と交換することができるサービスステーションである。充電ステーション132は、バッテリーパック104が車両102に結合されている状態でバッテリーパック104を充電するためのエネルギーを供給する。ネットワーク100のこれらの構成要素は、「Electronic Vehicle Network」なる名称で2008年9月18日に出願された米国特許出願第12/234,591号により詳細に説明されるように、関連の電力およびデータネットワークに接続される。この出願の開示内容は本明細書に参考として組み込むものとする。
【0056】
[0086] 図2A〜図2Bは、少なくとも部分的に電動の車両102の側面図および底面図である。車両102は、その底面において車両102に取り付けられる取り外し可能なバッテリーパック104(本明細書では時に単にバッテリーとも呼ぶ)を含む。幾つかの実施形態では、バッテリーパック104は実質的に平坦で、車両102の長さの少なくとも一部に沿って、すなわち、車両の長手X軸に沿って延在する。幾つかの実施形態では、バッテリー104は、車両102の底面の面204より下に突出しうる、すなわち、負のY軸方向に突出しうる。車両の底面から突出することは、バッテリーパック104の空冷に有用である。これは突出しているバッテリーパックは周囲気流に晒されることによる。図6に関連して以下に記載される空気吸入口を有する実施形態では、少なくともこれらの空気吸入口が車両102の底面において周囲空気に晒されて、車両102が前進している場合に気流を受ける。バッテリーパックが車両に組み込まれている幾つかの実施形態では、すなわち、アフターマーケットでは、バッテリーパックは車両の底面から突出しうる。
【0057】
[0087] バッテリー104またはその一部が、車両102の底面の面204より下に突出する場合、それは、しかしながら、外見的にあまり好ましくない場合がある。したがって、幾つかの実施形態では、装飾用フェアリング202が車両に取り付けられてバッテリーパック104を隠すようにしてもよい。幾つかの実施形態では、装飾用フェアリング202はさらに滑らかな外形を作り障害を減らす。この装飾用フェアリング202は、車両の前部、側部、および後部のいずれかまたはすべてに搭載されてよい。
【0058】
[0088] 図3Aおよび図3Bは、図1の電動車両102およびバッテリーパック104の底面斜視図である。図3Aは、バッテリーベイ108内に搭載されたバッテリーパック104を示す。図3Bは、バッテリーベイ108から取り外されたバッテリーパック104を示す。バッテリーベイ108は、車両102の底面に配置されるキャビティ302の外形を画定するフレーム118を含む。キャビティ302は、その中にバッテリーパック104を少なくとも部分的に受容するように構成される。幾つかの実施形態では、ベイフレーム118は、その中に実質的に立方形または矩形の平行六面体のバッテリーパック104を少なくとも部分的に受容するために、実質的に矩形形状を有する。幾つかの実施形態では、フレーム108は、図示するように、(X軸に平行である)車両102の長さの少なくとも一部に沿った2つの長い側部と、(Z軸に平行である)車両の幅の少なくとも一部に沿った2つの短い側部とを有する。幾つかの実施形態では、フレーム118の長い側部は、(X軸に平行である)車両102の前部から後部に延在する軸と実質的に平行な軸に沿って延在する。幾つかの実施形態では、バッテリーベイ108は車両102の後方車軸と前方車軸の間で車両フロアボードの下に設置される。
【0059】
[0089] 幾つかの実施形態では、バッテリーベイ108がその中に挿入されるキャビティ302は、従来のガソリンまたはハイブリッド車両では燃料タンクおよびマフラーによって通常占有される既存の容積を使用する。このようにすると、バッテリーパック104が追加されても収納および/または乗客容積に実質的に影響を与えない。幾つかの実施形態では、車両本体のフロア構造が、バッテリーパックを収容するようにボウル(basin)の形状にされる。車両の底部にまたはその付近においてバッテリーベイ108があることによって、バッテリーパック104が車両に結合されているときに、車両の質量中心または重心を下げ、それにより、車両のコーナリング、ロードホールディング、および性能が向上する。幾つかの実施形態では、バッテリーベイ108は、バッテリーパック104を保護するために、前部または後部衝突の際にも曲がらないように設計された車両の領域内に設置される。
【0060】
[0090] 幾つかの実施形態では、バッテリーベイ108は内蔵式ユニットである。幾つかの実施形態では、バッテリーベイの車両フレーム(またはユニボディ)への構造上の接続は弾性振動ダンパ(図示せず)によってなされる。これによりバッテリーベイ108は車両フレームの自然の曲げおよびねじれに干渉しない。幾つかの実施形態では、車両フレームへの接続は、ボルトといった取り外し可能な留め具によってなされる。他の実施形態では、バッテリーベイ104は、溶接または他の手段によって車両に実質的に永久に搭載される。
【0061】
[0091] バッテリーベイ108は、元の部品製造業者、国内安全基準、または国際安全基準によって義務付けられる荷重係数に耐えられるように設計される。幾つかの実施形態では、バッテリーベイ108は、以下の荷重係数に耐えられるように設計される。
・通常の動作条件:1〜100Hzで実質的に連続的に振動しうる+/−1.5GのFおよびF、および+/−4GのF(F、F、およびFは、それぞれ、X、Y、およびZ方向における力である)。幾つかの実施形態では、この条件では、バッテリーベイ108の塑性変形は実質的に生じない。
・例外の動作条件:実質的に連続的に振動しない+/−12GのFおよびF、および+/−8GのF。幾つかの実施形態では、これらの条件では、バッテリーベイ108の塑性変形は実質的に生じない。
・衝突条件:FおよびFで+/−30G、+/−20GのF
【0062】
[0092] 幾つかの実施形態では、通常および例外の動作条件時には、バッテリーパック104は、実質的に振動せず、揺れ動かず、または移動しない。
【0063】
[0093] 幾つかの実施形態では、バッテリーベイ108と車両フレームとの機械的な接続は、車両102の組立て時に与えられる。つまり、バッテリーベイ108は、少なくとも部分的に電気的である車両102に取り付けられるように構成された別個のユニットである。いくつかの実施形態では、この別個のユニット形式のバッテリーベイ108が、ビフォーマーケットまたはアフターマーケットでハイブリッドまたは内燃エンジン車両に組み込まれる。他の実施形態では、バッテリーベイ108の設計は、車両102のフレームと一体に形成される。
【0064】
[0094] 図4は、バッテリーパック104の一実施形態の斜視図である。幾つかの実施形態では、バッテリーパック104はその長さ(L)より実質的に小さい高さ(hまたはH)を有する。幾つかの実施形態では、バッテリー104は実質的に長くかつ平らな第1の部分401と、第1の部分より短くかつ厚い第2の部分402を有する。すなわち、第1の部分401は第2の部分の高さ(H)よりかなり小さい高さ(h)を有する。幾つかの実施形態では、第2の部分402は、後部乗客席の下若しくは背後、またはトランクの一部内に嵌り、したがって電動車両内の乗客の空間にあまり影響を与えないように構成されるので、大きい高さ(H)を有する。幾つかの実施形態では、バッテリーパック104の容積は200から300リットルである。幾つかの実施形態では、バッテリーパック104の重量は200〜300kgである。
【0065】
[0095] 幾つかの実施形態では、バッテリーパック104は、バッテリーパック内のバッテリーセル/化学モジュール(502、図5)の爆発を実質的に封じ込めかつ吸収するように作られる少なくとも部分的に密封された囲いである。バッテリーパック104の密封囲いは、埃、土、泥、水、氷、および小さい硬い物の衝突によってもたらされる損傷に実質的に耐えられる材料で作られる。好適な材料には一部のプラスチック、炭素繊維、またはポリマー等が含まれる。幾つかの実施形態では、バッテリーパック104上の外部カバーによって、厳しい環境条件や湿気または燃料蒸気の侵入からバッテリーの内部構成要素を保護しかつ隔離する。
【0066】
[0096] 幾つかの実施形態では、バッテリーパック104内のバッテリー管理システム(BMS)406がバッテリーパックの充電および放電サイクルを管理する。BMS406は車両搭載コンピュータと通信して、バッテリーの充電状態を報告し、危険な動作条件がある場合には警告する。幾つかの実施形態では、充電時、BMS406はバッテリー充電ステーション132と通信する。幾つかの実施形態では、BMS406は9ピンコネクタを介して車両搭載コンピュータと通信することができる。コネクタ内のピンの数はコネクタ設計に応じて異なる。幾つかの実施形態では、BMS406は、バッテリーパック104内に設置される切替えデバイスを用いてコネクタへの電流を切断することによって電子パック104と車両102との間の電力コネクタを作動可能および作動解除することができる。幾つかの実施形態では、BMS406は、充電、動作および格納時のバッテリーの安全問題の実質的にすべての面に対処する。
【0067】
[0097] 図5は、電気エネルギーを受け取り、蓄積し、かつ放出するバッテリーパック用化学モジュール502を有するバッテリーパック104の斜視図である。これらのモジュール502は、バッテリーパック筐体504内に収容される。これらの化学モジュール502は、本明細書において、時に充電式バッテリーセル502とも呼ぶ。幾つかの実施形態では、複数の化学モジュール502がバッテリーパック104内に配置される。他の実施形態では、少なくとも1つの化学モジュール502が用いられる。多くの実施形態では、各化学モジュール502は再充電可能であるが、使い捨ての非常時用バッテリーを用いてもよい場合がありうる。化学モジュール502は、BMSによって設定かつ制御されるパラメータに基づいて、充電ステーション132において、または、バッテリー交換ステーション134の充電部分においてまとまって再充電される。
【0068】
[0098] 図6は、バッテリーパック104が、バッテリーパック104からの熱を放散する冷却システムを含む一実施形態の斜視図である。幾つかの実施形態では、バッテリーパックの筐体504の一部は、バッテリーパック104が車両に取り付けられている場合に車両102の底面における周囲空気に少なくともその一部が露出される熱交換機構を含む。幾つかの実施形態では、熱は、モジュール502から、バッテリーパックの底部における熱交換機またはヒートシンクに電動される。幾つかの実施形態では、冷却システムは、バッテリーによって発生された熱をさらに放散するためにバッテリーを通り過ぎるようにラム(ram)気流を導く1以上の冷却ダクト602に流体連結する、外部カバーにおける開口404を含む。幾つかの実施形態では、冷却ダクト602はバッテリーパック104の長さ全体に延在する一方で、他の実施形態では、ダクトはモジュール502を最も良好に冷却するための任意の適切な経路を取る。幾つかの実施形態では、冷却ダクト602はバッテリーパック用モジュールからの熱を放散する熱交換機を通るように空気を導く。幾つかの実施形態では、冷却ダクト602はさらにその中に冷却フィン604を含む。幾つかの実施形態では、空冷は電気ファンによって達成される。幾つかの実施形態では、入口404が、車両が動作している間にダクト602を通るようにラム空気を導くための吸入口606を含む。幾つかの実施形態では、吸入口606は、冷却ダクト602内にデブリが侵入することを阻止するためのメッシュカバー608を含む。
【0069】
[0099] 図7は、バッテリーパックの底面から見たバッテリーパック104およびバッテリーベイフレームの斜視図である。幾つかの実施形態では、バッテリーパック104は、窪みまたはキャビティ702で構成される別の冷却システムを含む。窪み/キャビティ702は、車両の底部に沿って延在するバッテリーパック104の底面に設置されて、車両102の動作時に窪みまたはキャビティ上を空気が通過するように露出される。車両が停止した場合も、バッテリーによって発生された熱は、その大きい表面積と車両の底面において影に設置されることによって放散される。窪み/キャビティ702は、バッテリーパックの底部の全表面積を増加し、これはモジュール502を冷却することにさらに役立つ。幾つかの実施形態では、増加された表面積は冷却に十分であり、ダクトおよび/または熱交換機は不要である。幾つかの実施形態では、この増加された表面積は、1以上の上述した(例えば図6に記載されたフィン付き冷却ダクト、または、上述したヒートシンクおよび熱交換機といった)冷却機構と共に用いられる。
【0070】
[00100] 幾つかの実施形態では、図6および図7に関連して上述したようなシステムといったバッテリーパック用冷却システムは、フル動力動作および/または充電プロセス時に発生される熱の大部分を放散することができる。幾つかの実施形態では、冷却システムは、3KWの熱を放散することができる。バッテリーから放出される熱の正確な量は、設計ごとに異なる。幾つかの実施形態では、上述した冷却システムからの熱は、車両102の他の部分ではなく環境に実質的に放出される。
【0071】
[00101] 図7はさらに、バッテリーパック104の底面に複数のパイロット穴704を有する一実施形態を示す。これらのパイロット穴704は、出願第61/166,239号(「Battery Exchange Station」なる名称で2009年4月2日に出願し、本明細書に組み込むものとする)に記載される交換デバイスプラットホーム上の位置決めピンと嵌合し、交換デバイスプラットホームとバッテリーパック104が適切に位置合わせすることを支援する。幾つかの実施形態では、1つのパイロット穴がある。他の実施形態では、2以上のパイロット穴がある。図7の実施形態は、バッテリー上の各ストライカの両側にパイロット穴を示す。幾つかの実施形態では、パイロット穴704は、バッテリーではなくバッテリーベイのフレームにあり、また、実質的に同様に機能する。すなわち、バッテリー交換動作時に交換プラットホームの適切な位置合わせを容易にする。
【0072】
[00102] 図8は、別の実施形態であるバッテリーパック806の斜視図である。バッテリーパック806は、実質的に長くかつ平らな第1の部分401と、第1の部分より短くかつ厚い第2の部分と、長くかつ薄く、第1の部分401の長さに実質的に延在し、第1の部分401よりは高いが第2の部分の高さ以下の小さい高さを有する、バッテリーパックの第3の部分403とを有する。バッテリー104の第3の部分403は、図示するように運転席と乗客席との間に形成されたX方向における中心軸に沿って第1の部分401からY方向に突出する。さらに他の実施形態(図示せず)は、2つの異なる形状部分を有することなく実質的に立方形を有する。他の実施形態はより複雑な形状を有しうる。例えば幾つかの実施形態は幅広であるよりも高さがある。この一般的な形状を有する実施形態は、時に乗客空間の下ではなく乗客空間の背後に設置される。
【0073】
[00103] 幾つかの実施形態では、バッテリーパック104は、バッテリー104を車両102のバッテリーベイ108と位置合わせするための1以上のピン802を含む。ピン802はさらに、バッテリーパックがバッテリーベイ108内に間違った方向に挿入されないようにも用いられうる。例えば、バッテリーにおけるピンとバッテリーベイにおける対応開口は互いに調整される。
【0074】
[00104] 幾つかの実施形態では、バッテリーパック筐体504はさらにバー形状ストライカ1924を含み、これらのバー形状ストライカはバッテリーパック用筐体に堅く取り付けられ、バッテリーパック104の全重量を担持するように構成される。すなわち、バッテリーパックは、ストライカがバッテリーベイ108のラッチ1920(図19A)と係合する場合にストライカ1924から懸架されることが可能である。バッテリーパック104のすべてのバージョンはさらに、バッテリーパック104を車両102に迅速かつ安全に接続するおよび外すための電気コネクタ804(図9に関連して以下に説明される)を含む。幾つかの実施形態では、電気コネクタ804は、バッテリー104の第3の部分403上に設置されるが、他の実施形態では、電気コネクタはパックのどこにでも設置されてよい。
【0075】
[00105] 図9は、電気接続システム900の詳細な斜視図である。図9は、バッテリー電気コネクタ804と、対応するバッテリーベイ電気コネクタ902の両方を示し、これらは共に嵌合して電気接続システム900を形成する。バッテリー電気コネクタ804は、ベースユニット916によってバッテリーパック104に取り付けられる。同様の取り付け機構を用いて、バッテリーベイ電気コネクタ902をバッテリーベイ108のフレーム118に、または、直接電動車両102に取り付ける。幾つかの実施形態では、バッテリーベイ108とバッテリーパック104との間の電気的インターフェース(すなわちベイ電気コネクタ902とバッテリーパック電気コネクタ804との間の接続)は、パックと、ベイまたは車両との迅速な接続/取り外しを可能にする。
【0076】
[00106] これらのコネクタは共に、接続の電磁力が化学モジュール/バッテリーセル502を干渉することを遮蔽する電気シールド904も含む。電気シールドは接地されうる。幾つかの実施形態では、電気シールド904はさらに、湿気およびデブリが電気コネクタを汚して、電気的短絡および/または発火を引き起こすことを防ぐOリング913を含む。ベイ電気コネクタ902とバッテリーパック電気コネクタ804との位置合わせは、1以上のテーパー付き位置合わせピン912と対応位置合わせレセプタクルまたはソケット914によって容易にされる。幾つかの実施形態では、位置合わせピン912は、バッテリーパック電気コネクタ804上にある一方で、位置合わせソケット/レセプタクル914はベイ電気コネクタ902上にある。他の実施形態ではこの配置は入れ替えられる。幾つかの実施形態では、ピン912は、電気コネクタの不適切な嵌合を防ぐために互いに調整される。
【0077】
[00107] 幾つかの実施形態では、バッテリーベイ108とバッテリーパック104との間の電気接続は、2つの別個のコネクタグループを有する。第1のコネクタグループは、バッテリーパック104へのおよびバッテリーパック104からの電力用である(約400VDC、200amp)。第2のコネクタグループ910はデータ通信用である(5〜12V、低電流)。幾つかの実施形態では、コネクタは9つのピンを有する。他の実施形態では、コネクタは9より多いまたは少ない数のピンを有する。
【0078】
[00108] 幾つかの実施形態では、第1のコネクタグループは、充電機構からバッテリーパック104に電力を供給するための第1のコネクタ対906を含む。幾つかの実施形態では、充電機構は、車両102に接続し、(図1に示すように)バッテリーパックが車両に依然として結合されている際にバッテリーパック104を充電するスタンドアロンの充電ステーション132である。幾つかの実施形態では、充電機構は、バッテリー交換ステーション(134、図1)の一部に組み込まれる。バッテリー交換ステーションでは、車両102から取り外された消耗さ/放電されたバッテリーパック104が車両に挿入される前に再充電される。幾つかの実施形態では、第1のコネクタグループはさらに、バッテリーパック104から電動モータ103に電気を供給する第2のコネクタ対908を含む。
【0079】
[00109] 幾つかの実施形態では、バッテリー電気コネクタ804および対応バッテリーベイ電気コネクタ902は、バッテリーベイ108内へとバッテリーパック104が平行移動することによって共に嵌合する。バッテリー電気コネクタ804および対応バッテリーベイ電気コネクタ902は共に幾らかの浮遊(flotation)を有する。すなわち、これらのコネクタは左右に数ミリメートル動くことができる。オス型コネクタ(本実施形態ではバッテリーベイ電気コネクタ902)が、メス型コネクタ(本実施例ではバッテリー電気コネクタ804)内のソケット914に侵入する位置合わせピン912を有する。ピン912とソケット914との接続は、バッテリーパック104のバッテリーベイ108内のその最終位置に平行移動する間、電気接続システム900の2つの部分を位置合わせする。電気接続システム900の2つの部分の浮遊によって、2つのコネクタ部分の幾らかの位置ずれ(製造および組立公差によるもの)が可能となる。
【0080】
[00110] 幾つかの実施形態では、電気接続システム900における電気コネクタ906、908、および910は、機械的な接続(すなわち、図10および図19に記載されるトランスミッション組立体1000におけるラッチ機構1016、1018によってバッテリーベイ108内にバッテリーパック104をロックすること)が確立されて初めて自動的に互いに位置合わせし接続する。
【0081】
[00111] 図10は、バッテリーベイ108に接続されたバッテリーパック104の一実施形態の上面/側面斜視図である。本実施形態では、バッテリーパック104とバッテリーベイ108は実質的に立方形/矩形の平行六面体の形状にある。本実施形態は、第1の部分401の片面上にあるバッテリー電気コネクタ1022を含む。
【0082】
[00112] 幾つかの実施形態では、バッテリーベイ108は、バッテリーベイトランスミッション組立体1000を含む。トランスミッション組立体1000は、駆動モータ1310からあるいは外部/手動の回転源(例えば図13に示す駆動ソケット1308内に受容されるレンチ)からの動力を伝達するギア、回転シャフト、および関連の部品のまとまりである。ラッチ機構1016、1018は図19に関連して以下に詳細に説明される。
【0083】
[00113] 幾つかの実施形態では、トランスミッション組立体1000は、第1のギアシャフト1004および第2のギアシャフト1006をそれぞれ反対方向に駆動する第1のギアセット1002(例えばマイターギアセット)を含む。駆動モータ1310または手動回転によるY軸周りの回転力は、第1のギアセット1002によって、X軸周りのギアシャフト1004、1006の等しくかつそれぞれ反対の回転力に変換される。第1のギアシャフト1004は、第2のギアセット1008(例えば第1のウォームギアセット)に取り付けられる。第2のギアシャフト1006は、第3のギアセット1010(例えば第2のウォームギアセット)に取り付けられる。第2のギアセット1008および第3のギアセット1010は、図12に関連して以下により詳細に説明されるが、ギアシャフト1004、1006を、バッテリーベイの隅部を動力の流れが回ることを可能にするトルクバー1012、1014にそれぞれ接続する。すなわち、X軸周りのギアシャフト1004の回転力は、ギアセット1008によってZ軸周りのトルクバー1012の回転力に変換される一方でそれと同時に、X軸周りのギアシャフト1006の回転力(ギアシャフト1004の回転力と等しくかつ反対方向)は、ギアセット1010によって、Z軸周りのトルクバー1014の回転力(トルクバー1012の回転力と等しくかつ反対方向)に変換される。このようにして、トランスミッション組立体1000は、トルクバー1012、1014を駆動して、等しいがそれぞれ反対方向に実質的に同時に回転する。
【0084】
[00114] 幾つかの実施形態では、トルクバー1012、1014とギアシャフト1004、1006は、それぞれ、互いに直角にある。幾つかの実施形態では、トルクバー1012、1014とギアシャフト1004、1006は互いに鈍角を形成し、また、さらなる実施形態では、これらは互いに鋭角を形成する。本実施形態では、第2のギアセット1008は第1のギアシャフト1004を第1のトルクバー1012に接続し、第3のギアセット1010は第2のギアシャフト1006を第2のトルクバー1014に接続する。したがって、幾つかの実施形態では、第1のギアシャフト1004および第2のギアシャフト1006はそれぞれ反対方向に実質的に同時に回転し、それにより、第1のトルクバー1012および第2のトルクバー1014は、第2のギアセット1008および第3のギアセット1010を介して、それぞれ反対方向に実質的に同時に回転される。
【0085】
[00115] 図10に示す実施形態は、トルクバー1012、1014にそれぞれ取り付けられた2つのラッチ機構1016、1018を示す。これらのラッチ1016、1018は、車両の正常動作時にバッテリーパック104をバッテリーベイ108内に少なくとも部分的に保持する。
【0086】
[00116] 幾つかの実施形態は、第1のトルクバー1012に結合される1以上の第1のラッチ1016と、第2のトルクバー1014に結合される1以上の第2の/追加のラッチ1018を含む。第1のトルクバー1012は第1のラッチ機構1016を作動させるように構成され、第2のトルクバー1014は第2のラッチ機構1018を作動させるように構成される。第1のラッチ1016または第2のラッチ1018のうちの2以上のラッチが各トルクバー1012、1014に取り付けられる場合、トルクバーは確実に複数のラッチを作動させ、したがって実質的に同時に互いに回転する。
【0087】
[00117] 少なくとも1つのラッチロック機構1012によって、図20に関連してより詳細に説明されるようにロックが係合解除されるまで、ラッチ1016、1018がバッテリーベイ108からバッテリー104を解放することが阻止される。幾つかの実施形態では、1つのラッチロック機構1020だけが用いられるが、他の実施形態では、少なくとも1つのラッチロック機構1020が各トルクバー1014、1016に取り付けられる。幾つかの実施形態では、ラッチロック1020は電子的に作動される一方で、他の実施形態では機械的に作動される。
【0088】
[00118] 幾つかの実施形態では、第1のトルクバー1012は、車両102の先端に最も近いバッテリーベイ108の側面に設置され、第2のトルクバー1014は、車両の後部に最も近いバッテリーベイ108の側面に設置され、または、この配置は入れ替えられてもよい。トランスミッション組立体のギアセットおよび機構は、ラッチ機構1016、1018を作動させるようにトルクバー1012、1014が実質的に同じ角速度で反対方向に駆動される限り、どこに設置されてもよい。
【0089】
[00119] 図11は、バッテリーベイ108の別の実施形態の斜視図である。本実施形態も第1のギアシャフト1004および第2のギアシャフト1006をそれぞれ反対方向に駆動する第1のギアセット1002(例えばマイターギアセット)を含む。しかし、本実施形態では、バッテリーベイのフレームは矩形ではない。代わりに、バッテリーベイ108の1つの側面に沿って、第2のギアシャフト1006が3つの部分、第1の自在継ぎ手1104によって第2のギアシャフトリンク1106に接続される第1のギアシャフトリンク1102、および、第2の自在継ぎ手1110によって第3のギアシャフトリンク1112に接続される第3のギアシャフトリンク1108から構成される。このようにすると、第1のギアシャフト1006は、電動車両102の他の構成要素を収容するために曲げられる。したがって、バッテリーベイ108のキャビティは、第1のギアシャフト1006が第1のギアセット1002から延在する単一の直線構成要素である場合よりも小さい容積を有する。
【0090】
[00120] 図11はさらに、各トルクバー1012(図10)、1014の近くに設置されるトランスミッション組立体1000内のロック同期バー1112を示す。各ロック同期バー1112はラッチロック機構1020に取り付けられて、図20に対して以下に詳細に説明されるようにそのラッチ機構1016、1018が解放しないようにする。図11はさらに、図18により詳細に説明されるように、ラッチ1920の両側に設置される、ラッチ機構1016、1018内のバネ1806を示す。
【0091】
[00121] なお、様々な形態のシャフトおよびギアセットを上述したが、他の実施形態では、駆動トルクは、ベルト、プーリー、スプロケット駆動チェーンといった他のタイプの駆動構成要素を用いてラッチに伝達されることが可能である。
【0092】
[00122] 図12は、第2のギアセット1008および第3のギアセット1010の1つの実施形態を示す。幾つかの実施形態では、ギアセット1008、1010は、それぞれ、ヘリカルギア1202およびスパーギア1204から構成される。幾つかの実施形態では、ヘリカルギア1202はウォームギアである。動作時、ギアシャフト1004、1006に接続されたヘリカルギア1202の回転が、ヘリカルギア1210およびスパーギア1204上の互いに噛み合う歯によって対応するトルクバー1012、1014を回転する。ヘリカルギア1210およびスパーギア1204上の歯の正確な数と構成は、特定の電動車両102に応じて異なる。例えば幾つかの実施形態では、ヘリカルギア1202はかなり長くて多くのねじ山を有する一方で、幾つかの実施形態では、スパーギア1204は多くの歯を有するかまたは完全な円を形成する。他の実施形態では、ヘリカルギア1202の直径は図12に示す割合より大きい。正常動作では、ヘリカルギア1202は、ラッチ機構1016、1018が係合状態となるように1つの方向にスパーギア1204を回転し、それによりバッテリー104は持ち上げられてバッテリーベイ108内にロックされ、また、ヘリカルギア1202は、ラッチ機構1016、1018が係合解除するように反対方向にスパーギア1204を回転し、バッテリー104がバッテリーベイ108から取り外されることを可能にする。
【0093】
[00123] 図13は、第1のギアセット1002の一実施形態の詳細図を示す。幾つかの実施形態では、第1のギアセット1002はマイターギアセットである。幾つかの実施形態では、マイターギアセット1002は、第1の外側ギア1304および第2の外側ギア1306に結合された中心ギア1302を含む、3つのヘリカルベベルギアを含む。中心ギア1302が回転すると、中心ギアは第1の外側ギア1304を第1の回転方向に、第2の外側ギア1306を、第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に駆動する。第1の外側ギア1304は第1のギアシャフト1004を駆動する一方で、第2の外側ギア1306は第2のギアシャフト1006を駆動する。したがって、中心ギア1302の回転は、第1の外側ギア1304によって第1のギアシャフト1004を第1の回転方向に駆動する一方で、同時に/同期して、第2の外側ギア1306によって第2のギアシャフト1006を第2の回転方向に駆動する。幾つかの実施形態では、第1のギアセット1002、特に中心ギア1302は、電動車両102の底面に設置された駆動ソケット1308の回転によって駆動される。ギア1308を回転させるためには、シャフトが、駆動ソケット1308と嵌合するように構成されたアレン(Allen)またはソケットレンチ1314によって機械的に回転される。幾つかの実施形態では、メス型駆動ソケット1308は、非標準的な形状の駆動ソケット1308と嵌合するようにされた特定の形状のアレンまたはソケットレンチ1314のみを受容することができるように独特なまたは非標準的な形状を有する。
【0094】
[00124] 幾つかの実施形態では、トランスミッション組立体1000は、駆動モータギアレシオセット1312を介して電気駆動モータ1310によって駆動される。ギアレシオセット1312は第1のギアセット1302を駆動し、第1のギアセット1302は、第1のギアシャフト1004および第2のギアシャフト1006を同時に反対方向に駆動し、最終的には図10に関連して上述したようにラッチ機構1016、1018を同時に作動させる。幾つかの実施形態では、駆動モータ1310はシャフト1004、1006を回転するように多くの状況において用いられる一方で、駆動ソケット1308は手動でオーバーライドする状況のためだけに用いられる。幾つかの実施形態では、駆動ソケット1308は、第1のギアセット1002を駆動するために望ましい手段である。
【0095】
[00125] 図23Aおよび図23Bに示すように、幾つかの実施形態では、トランスミッション組立体1000は、右側のウォームギアセットである第2のギアセット1008と、左側のウォームギアセットである第3のギアセット1010を包含する。右側のギアセット1008および左側のギアセット1010がトランスミッション組立体1000に用いられる場合、第1のギアシャフト1004および第2のギアシャフト1006は、X軸周りの反対方向に回転するように駆動される必要がない。代わりに、左右のウォームギア(1008、1010)上の反対のねじ山によって、トルクバー1012がZ軸周りに、トルクバー1014がZ軸周りに(トルクバー1012の回転と等しく反対の方向に)駆動される。つまり、右側ウォームギア1008上のねじ山のピッチは、左側ウォームギア1010上のねじ山のピッチとは反対である。したがって、第1のギアセット1002は、図13に示すようにマイターギアセットである必要はなく、代わりに図23Bに示すより単純なギアセットである。つまり、左右のウォームギア1008、1010は、第1のギアセット1008の運動を、ウォームギアの反対のねじ山ピッチによって互いに反対の方向に変換するので、シャフト1004、1006は、同じ方向に回転することができ、複雑なマイターギアセットがシャフト1004、1006の作動点において必要でなくなる。
【0096】
[00126] 図14は、少なくとも部分的に電動の車両102の底面から見た、駆動ソケット1308の別の実施形態の底面斜視図を示す。幾つかの実施形態では、駆動ソケット1308は、バッテリーパック筐体1400内の穴を通り近接することができる。他の実施形態では、駆動ソケット1308は、バッテリーベイ108内のキャビティ302の側面において近接することができる。幾つかの実施形態では、第1のギアセット1002は、図17に示すようにキー1602がキーホール1402に挿入されて第1のギアセット1002をロック解除して初めてソケットレンチ1314によって駆動される。駆動ソケット1308と同様に、本実施形態では、キーホール1402も電動車両102の底面に設置され、バッテリー筐体1400内に穴が必要となる。他の実施形態では、キーホール1402はバッテリーベイ108内にある。
【0097】
[00127] 図15は、(幾つかの実施形態ではマイターギアロックである)第1のギアロック1502の一実施形態の斜視図である。本実施形態では、図において矢印によって示されるようにキーがキーホール1402に挿入されると、第1のギアロック1502が上方向に回転し、シャフト1004上の小型ギアから係合解除されてロック解除される。次に、第1のギアセット1002は、中心ギア1302を回転するというその機能を実行することができる。中心ギアは、第1のギアシャフト1004を第1の外側ギア1304によって第1の回転方向に駆動する一方で同時に、第2のギアシャフト1006を第2の外側ギア1306によって(第1の回転方向とは反対の)第2の回転方向に駆動する。キーが取り外されると、第1のギアロック1502は下方向に回転し、シャフト1004上の小型ギアと係合し、それをロックする。図15に示す実施形態では、トランスミッション組立体1000の電気駆動モータ1310は、第1のギアセット1002の上方に設置され、したがって、図13において記載されたような駆動モータギアセット1312を必要としない。
【0098】
[00128] 図16は、ギアロック1600の第2の実施形態の斜視図である。図16では、キー1602はキーホール1402の外側に示す。幾つかの実施形態では、キーホール1402は駆動ソケット1308の近くに設置される。幾つかの実施形態では、キー1602は、第1のギアセット1002の他の構成要素を回避しつつ、以下により詳細に説明されるようにギアロック1600の第2の実施形態を機械的に解放するための固有の非従来型の形状を有する。
【0099】
[00129] 図17は、キーホール1402に挿入され、第1のギアロック1502を解放するキー1602の詳細図である。図17では、第1のギアロック1502は、モータ1310とギアセット1312との間に位置決めされる。幾つかの実施形態では、キー1602は、ロッキングギア1706から離れるようにロッキング歯1704でロッキングラッチ1702を押すことによって第1のギアロック1502をロック解除する。幾つかの実施形態では、ロッキングラッチ1702は、キー1602が取り外されるとすぐに、そのロック位置に付勢されるように、すなわち、ロッキングギア106と嵌合ように設計される。幾つかの実施形態では、バネ1708がロッキングラッチ1702に取り付けられて付勢力を与えるが、他の実施形態ではロッキングラッチ1702を付勢するために重力または他の機構を用いてよい。幾つかの実施形態では、キー1602は、バッテリー交換プロセスの間ずっと挿入された位置のままにされる。他の実施形態では、キー1602は、最初に第1のギアロック1502をロック解除するためだけに必要とされ、バッテリー交換プロセスの間ずっと定位置にある必要はない。
【0100】
[00130] 図15〜図17に示す実施形態のようなキー1602および第1のギアロック1502のすべての実施形態において、第1のギアセット1002は、キー1602がギアロック1502をロック解除するまで回転しないようにされる。したがって、シャフト1004、1006、トルクバー1012、1014、およびそれらの対応ラッチ機構1016、1018は、ギアロック1502がロック解除されない限り回転しない。さらに、幾つかの実施形態では、(図20に関連して説明される)ラッチロック機構1020も、ラッチ機構1016、1018を作動させるプロセスが開始する前にロック解除されなければならない。幾つかの実施形態では、ラッチロック機構およびギアロック1502は互いに独立しており、トランスミッション組立体1000が作動可能となる前に個別に/独立して解放される。幾つかの実施形態では、ラッチロック機構1020は電気的に作動され、ギアロック1502は機械的に作動され、または、その逆であってもよい。2つの別個の機構(機械的および電気的)によって2つの異なるロックを作動させることによって、車両102からバッテリーパック104の許可されていない取り外しまたは偶発的に取り外されることが阻止される。さらに、幾つかの実施形態では、あらゆるロックにはバッテリー交換プロセスの前、プロセス中、またはプロセス後の可能な故障を示すインジケータが具備される。
【0101】
[00131] 車両102に搭載されて設置されるアクチュエータが上述したロックの一方または両方を作動させる。幾つかの実施形態では、アクチュエータは、車両の内蔵型コンピュータシステムから送信される単一の5V 15mAデジタル信号によって動作させられる。幾つかの実施形態では、アクチュエータは、インジケータによって過剰な電力潮流から保護される。幾つかの実施形態では、他のタイプの機械的または電気機械的アクチュエータを用いて安全ロックを取外してもよい。
【0102】
[00132] 図18は、バッテリー104上に配置されたテーパー付き位置合わせピン802を受容するように構成された幾つかの位置合わせソケット/穴1802を有するバッテリーベイ108を示す。図18は、2つの位置合わせソケット1802および位置合わせピン802を有する実施形態を示すが、幾つかの実施形態では1つの位置合わせソケット1802および位置合わせピン802しか用いない。幾つかの実施形態では、位置合わせピン802および位置合わせ穴は、バッテリーベイ108とのバッテリーパック104の逆行したまたは正しくない位置合わせを防ぐように互いに異なる形状となるように調整されている。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの圧縮バネ1806がバッテリーベイ108に搭載される。圧縮バネ1806は、バッテリーパック104がバッテリーベイ108のキャビティ302内に少なくとも部分的に保持されかつロックされると、バッテリーベイ108のフレーム118とバッテリーパック104との間に力を発生するように構成される。したがって、バネ1806は、運転時または他の動作時にバッテリーパック104とベイ108の垂直運動(Y軸運動)を吸収する。また、圧縮バネ1086は、バッテリー上のストライカ1924に接触しているラッチ1920をロック位置に維持することを支援し、また、ロックがロック解除された場合にバッテリーベイ108からバッテリー104を放出することも支援する。図18は、各ラッチ1920の両側に圧縮バネ1806を示す。ラッチの両側にある対応する圧縮バネ1806は、バッテリーにかかる、結果として生じる力は実質的に垂直(Y軸)方向のみであるように互いにバランスをとる。他の実施形態は、より多いまたは少ない数の圧縮バネ1806を使用する。幾つかの実施形態では、他のタイプの弾性機械的部品を用いてラッチに予め負荷をかけておく。例えばゴム製シールがバネ1806の代わりに用いられる。
【0103】
[00133] 図18は、3つのストライカ1924を有する実施形態を示す。図18におけるストライカは他の図面に示すようにバー形状ではなく、バッテリーパック104自体のフレーム118内の丸みが付けられた切欠け部分である。他の実施形態も非バー形状を使用する。幾つかの実施形態では、ストライカは様々な形態を有する。幾つかの実施形態では、ストライカは低摩擦のソリューションを含む。低摩擦ソリューションの例としては、次に限定されないが、図19Aに示すように要素1930としてローラーベアリングまたは低摩擦コーティングが含まれる。
【0104】
[00134] 図19Aは、バッテリーベイトランスミッション組立体1000によって使用されるラッチ機構1016、1018の一実施形態を示す。本実施形態では、ラッチ機構1016、1018は4バーリンク機構である。ラッチ機構1016、1018は、バッテリーベイのフレームに堅く取り付けられるラッチ筐体1902を含む。ラッチ機構はさらに、カム型入力リンク1904を含み、このカム型入力リンクは、固定のラッチ筐体1902に対して第1の枢軸点1906周りを、トルクバー1012、1014と共に回転/旋回するように第1の枢軸点1906において各トルクバーに堅く取り付けられる。トルクバーから遠い方の入力リンク1904の端は、第2の枢軸点1908において、カプラリンクロッド1910の第1のロッド端1912に回転可能に結合される。カプラリンクロッド1910は、第3の枢軸点1819においてラッチ1920に旋回可能に結合された、第1のロッド端1912から離れた第2のロッド端1914を有する。幾つかの実施形態では、カプラリンクロッド1910は、カプラリンクロッド1910の長さを調節するように構成された調節ボルト1916を含むターンバックルである。ラッチ1920は、ラッチ筐体1902の別の部分にピボット可能に接続された第4の枢軸点1922を有する。ラッチ1920は、第4の枢軸点1922の中心を通り延在する軸周りに旋回する。幾つかの実施形態では、ラッチが第4のピボット点1922おいて旋回する軸は、第1の枢軸点1906においてトルクバー1012、1014が回転する軸とは平行であるが別個である。ラッチは実質的に「V」字型またはフック形状であり、「V」字の頂点に第3の枢軸点1918がある。第4の枢軸点1922は、頂点から離れた「V」字の一端にある(この端は、本明細書においてラッチの近位端1926と呼ぶ)。「V」字のもう一端も「V」字の頂点から離れている(このもう一端は、ラッチの遠位端1928と呼ぶ)。ラッチの遠位端1928は、バッテリーパック104上のバー形状ストライカ1924と係合するように構成される。幾つかの実施形態では、ラッチ1920の遠位端1928は、図19Aに示すようにフック形状を有し、(図19Cに示すように)ストライカと係合している場合にストライカ1924を載せるように構成される。フック形状の遠位端1928は、バッテリーを係合/受容する際に、少なくとも部分的にバッテリーベイ108(図3)のキャビティ内にバッテリーパック104を係合するおよび持ち上げる際にも有用である。ストライカ1924は、ローラーベアリングまたは低摩擦コーティング1930といった低摩擦要素を有しうる。
【0105】
[00135] 図19Aに示すように、入力リンク1904が解放位置にある場合、ラッチ1920は、バッテリーパック104上の対応ストライカ1924から機械的に係合解除となるように構成される。すなわち、入力リンク1904が解放位置にある場合、ラッチ1920はストライカ1924に接触しない。入力リンク1904は、そこに接続されたトルクバー1012、1014によって駆動/回転される。
【0106】
[00136] 図19Bは、入力リンク1904が、ラッチ1920がバッテリーパック104上のストライカ1924と係合し始めて、バッテリーベイ108(図3)のキャビティ内に少なくとも僅かにバッテリーパック104を持ち上げ始めるように回転した中間位置を示す。
【0107】
[00137] 図19Cに示すように、入力リンク1904が完全に係合した位置にある場合、ストライカ1924は、ラッチ1920のフック形状の遠位端1928内に載せられ、入力リンク1904およびカプラリンクロッド1910は、幾何学ロック構成にある。幾何学ロックとは、入力リンク1904とカプラリンクロッド1910が互いに垂直に位置合わせされた状態にあり、カプラインクロッド1901は完全に伸ばされた位置にある。つまり、入力リンク1904、カプラリンクロッド1901、および第1の枢軸点1906、第2の枢軸点1918、第3の枢軸点1918はすべて同じ軸に実質的に沿っている。したがって、バッテリーパック104の任意の移動は、いずれの枢軸点を回転することなく固定のラッチ筐体1902への単一軸に沿った圧縮力または張力に変換される。入力リンク1904およびカプラリンクロッド1910は幾何学ロック状態にあるので、これらは、例えば車両102の運転中に、バッテリー104がバッテリーベイ108から解放されることを防止する。さらに、幾何学ロック位置では、バッテリーパック104から車両102の駆動構成要素には最小限の負荷しか伝達されない。
【0108】
[00138] 幾つかの実施形態では、(a)解放と(b)係合は次の通りに行われる。(a)バッテリーベイ108からのバッテリーパック104の解放は、トランスミッション組立体1000を用いて、バッテリーベイ108上のラッチ1920を回転してバッテリーパック104上のストライカ1924を係合解除することによって行われ、(b)バッテリーベイ108内への新しいバッテリーパック104の係合は、トランスミッション組立体1000を用いて、バッテリーベイ108上のラッチ1920を回転してバッテリーパック104上のストライカ1924を係合状態にする、持ち上げる、およびロックすることによって行われる。幾つかの実施形態では(a)解放は1分以内で行われる。幾つかの実施形態では(b)係合は1分以内で行われる。幾つかの実施形態では(a)バッテリーベイ108からの第1のバッテリーパック104の解放と、(b)バッテリーベイ108内への第2のバッテリーパック104の係合の両方が1分以内で行われる。
【0109】
[00139] 幾つかの実施形態では、ラッチ位置インジケータを用いて、ラッチ1920が係合位置にあるのか係合解除位置にあるのかを測定する。幾つかの実施形態では、ラッチ位置インジケータは、ラッチ1920の位置を電動車両102内のコンピュータシステムに通信する。幾つかの実施形態では、他のインジケータをバッテリーパック104およびバッテリーベイ108全体に用いて次の要素、すなわち、第1のギアロック1502、ラッチロック機構1020、ラッチ機構1016、1018、マイターギアセット1002、トルクバー1010、1012、ギアシャフト1004、1006、電気コネクタ804のいずれかまたはすべての機能、およびバッテリーベイ108内のバッテリーパック104の位置を確認する。幾つかの実施形態では、インジケータには、スイッチ、ホールセンサ、および/またはマイクロスイッチが含まれる。幾つかの実施形態では(位置合わせピン802およびラッチ機構1016、1018といった)位置合わせデバイスおよび位置インジケータによって、バッテリーパック104が正確にモニタリングされて、6つの異なる自由度(3度の並進および3度の回転)でバッテリーベイ108内に位置決めされることが可能となる。
【0110】
[00140] 幾つかの実施形態では、バッテリーベイは、次の内部の電気的な指示、すなわち、a)バッテリーベイとバッテリーパック間の電気コネクタの正常/異常な接続、b)バッテリーパックをバッテリーベイに留める各個別のラッチの開閉指示、c)各安全ロックデバイスの開閉指示、d)セクション14において言及したユニークキーのようなデバイスの有無、e)バッテリーパック周りの少なくとも3つの異なる位置においてバッテリーベイ内でのバッテリーパックの定位置/位置外れ、f)バッテリーベイ内の2つの異なる位置における過剰な/非過剰な温度測定値(過剰な温度とは90℃より高い温度でありうる)、および、g)簡易解放アクチュエータにおける過剰/非過剰の動力制限、の幾つかまたはすべてを有する。
【0111】
[00141] 図20は、ラッチロック機構1020の詳細図である。ラッチ1920がストライカ1924と係合した状態で、ラッチ機構1016、1018がそのロック構成にある場合、ラッチロック機構1020も係合状態にある。ラッチロック機構1020は、係合状態にある場合に、ラッチ機構1016、1018が回転することを防ぐように構成される。幾つかの実施形態では、ラッチロック機構1020は、ラッチ1920上の対応する歯2010が係合するように構成された歯付きカンチレバーロックアーム(2002)(ロックボルトとも呼ばれる)を含む。したがって、歯付きカンチレバーロックアーム2002は、係合状態にある場合、ラッチ1920が回転することを防ぐように構成される。歯付きカンチレバーロックアーム2002はロック同期バー2004に結合され、ロック同期バー2004は、回転された場合に歯付きカンチレバーロックアーム2002を係合解除するように構成される。ロック同期バー2004はさらにロックアクチュエータ2006にも結合され、ロックアクチュエータ2006は同期バー2004を回転するように構成される。幾つかの実施形態では、ロックアクチュエータ2006は、ギアセットまたは任意の他の適切な機構を介してロック同期バー2004を回転する電動モータ2008を含む。幾つかの実施形態では、電動モータ2008は電気ロックまたはロック解除信号によって始動させられる。他の実施形態では、ラッチロック機構は機械的に始動させられる。幾つかの実施形態では、電気的な始動および機械的な始動の両方が与えられ、機械的な始動は電子的に故障が生じた場合に有用である。幾つかの実施形態では、ラッチロック機構1020は、ギアロック1502(図15に示す)が解放されて初めて係合解除されるように構成される。
【0112】
[00142] ロック同期バー2004は、1以上のラッチロック1920がラッチ1920と係合するように、1以上のラッチロック2002を第1の方向に回転するように構成される。ロック同期バー2004はさらに、ラッチロック2002をラッチ1920から係合解除するように1以上のラッチロック2002を第2の、反対の方向に回転するように構成される。したがって、ラッチロックが、ラッチ1920をロック解除するために第2の方向に回転された後、ラッチは、上述した4バーリンクラッチ機構1016、1018を介するトルクバー1012、1014の回転によってストライカ1924から係合解除されることが可能となる。
【0113】
[00143] 上述した機構を用いて、電動駆動モータ1310によって駆動されるマイターギアセット1002によって、ラッチ1016、1018は互いに反対に回転させられる。バッテリーベイ108の両側にあるラッチ1016、1018が互いに離れるように回転すると、ラッチはバッテリー104上の対応するストライカ1924を解放する。
【0114】
[00144] 図21は、バッテリーベイからバッテリーパックを解放するプロセスのフロー図である。幾つかの実施形態では、解放プロセスは次の通りに行われる。第1のラッチ機構であるマイターギアロック1502が物理的に解放される(2102)。幾つかの実施形態では、この物理的な解放は、キーホール1402内に挿入されたキー1602によって行われる(2104)。第2のラッチ機構であるラッチロック機構1020が1以上のラッチ1016、1018を解放する(2106)。幾つかの実施形態では、ラッチロックは、電子ロック解除信号によって始動される電動モータ2008が、ロック同期バー2004を回転させることによってラッチロック2002を回転させてかつその歯をラッチ1920の歯から係合解除するロックアクチュエータ2006を作動させると、ロック解除される(2108)。マイターギアロックおよびラッチロックの両方が解放されると、バッテリー104はバッテリーベイ108から次の通りに解放される。駆動モータ1310がトランスミッション組立体を作動させる(2110)。幾つかの実施形態では、トランスミッション組立体は次の通りに作動させられる。駆動モータ1310がマイターギアセットを回転させ、マイターギアセットはギアシャフトを回転させ、ギアシャフトはウォームギアを回転させ、ウォームギアはトルクバーを回転させる(2112)。具体的には、駆動モータは、ギアレシオセット1312によってマイターギアセット1002の中心ギア1302を回転させる。中心ギア1312が回転するに従って、中心ギアは、第1の外側ギア1304を第1の回転方向に、第2の外側ギア1306を第1の回転方向の反対の第2の回転方向に駆動する。第1の外側ギア1304は第1のギアシャフト1004を第1の回転方向に駆動する一方で、第2の外側ギア1306は第2のギアシャフト1006を第2の回転方向に駆動する。第1のギアシャフト1004は第1のウォームギアセット1008によって第1のトルクバー1012を回転させる。第2のギアシャフト1006は第2のウォームギアセット1010によって第1のトルクバー1012の方向とは反対の方向に第2のトルクバー1014を回転させる。次に、第1のトルクバー1012の回転によって、少なくとも1つのラッチ1920が回転させられてバッテリー104上のストライカ1924が係合解除される(2114)。具体的には、入力リンク1904に結合されている第1のトルクバー1012が入力リンク1904を回転させ、入力リンクはラッチ1920がストライカ1924を係合解除するようにカプラリンクロッド1910を作動させる。幾つかの実施形態では、実質的に同時に、第2のトルクバー1014の回転によって、第2のトルクバー1014に結合されたラッチ機構1018を、第1のトルクバー1012に結合されたラッチ機構1016の方向とは反対の方向に回転させる。したがって、バッテリーベイ108の両側にあるラッチは互いから離れるように回転してそれぞれのストライカ1924を解放する(2116)。次に、バッテリーパックは、車両の底面から垂直に下方向に平行移動させられる。幾つかの実施形態では、バッテリーパックは、まず、バッテリーの下のプラットホーム上へと下げられ、次にこのプラットホームが下がることによってさらに下げられることによって並行移動させられる。
【0115】
[00145] 図22は、バッテリーパックをバッテリーベイに係合するプロセスのフロー図である。バッテリー104をバッテリーベイ108内に少なくとも部分的に係合することは、上述と実質的に同じプロセスが関与するが、逆である。具体的には、駆動モータ1310がトランスミッション組立体を作動させる(2202)。幾つかの実施形態では、トランスミッション組立体は、次の通りに作動される。駆動モータ1310がマイターギアセットを回転させ、マイターギアセットはギアシャフトを回転させ、ギアシャフトはウォームギアを回転させ、ウォームギアはトルクバーを回転させる(2204)。具体的には、駆動モータ1310はマイターギアセット1002の中心ギア1302を、ギアレシオセット1312によってバッテリー104を係合解除するために用いた方向とは反対の方向に回転する。中心ギア1302が回転するに従って、中心ギアは、第1の外側ギア1304を1つの回転方向に、第2の外側ギア1306を反対の方向に駆動する。第1の外側ギア1304は第1のギアシャフト1004を1つの方向に駆動する一方で、第2の外側ギア1306は第2のギアシャフト1006を反対の方向に駆動する。第1のギアシャフト1004は、第1のウォームギアセット1008によって第1のトルクバー1012を回転させる。第2のギアシャフト1006は、第2のウォームギアセット1010によって第1のトルクバー1012の方向とは反対の方向に第2のトルクバー1014を回転させる。次に、第1のトルクバー1012の回転によって、少なくとも1つの第1のラッチ1920が回転させられてバッテリー104上のストライカ1294と係合状態にされる(2206)。具体的には、入力リンク1904に結合されている第1のトルクバー1012は入力リンク1904を回転させ、入力リンクはラッチ1920がストライカ1924と係合するようにカプラリンクロッド1910を作動させる。幾つかの実施形態では、第1のラッチは、車両の底面の前部端に設置される。幾つかの実施形態では、実質的に同時に、電子車両の後部端に設置された第2のラッチも同様に回転させられる(2208)。
【0116】
[00146] 係合状態になると、ストライカは、電子車両のバッテリーベイ内へと少なくとも部分的にバッテリーを垂直に持ち上げる(2210)。持ち上げは次の通りに行われる。実質的に同時に、第2のトルクバー1014の回転によって、第2のトルクバー1014に結合されたラッチ機構1018が、第1のトルクバー1012に結合されたラッチ機構1016の方向とは反対の方向に回転する。したがって、バッテリーベイ108の両側のラッチは互いに向かって回転し、それぞれのストライカ1924を実質的に同時に係合状態とし、ストライカを持ち上げる。次に、バッテリーがバッテリーベイ108内に固定される(2212)。具体的には、ラッチ1920は、ストライカ1924に引っ掛かり、ラッチがその幾何学ロック(ちょうど中心にある)位置となるまでバッテリーを持ち上げる。バッテリー104が係合状態となると、第1のロック機構が係合状態となる(2214)。具体的には、ラッチ1016、1018の4バー機構がその幾何学ロック位置となると、キー1602がキーホール1401から外され、ロッキング歯1704を有するロッキングラッチ1702がロッキングギア1706と係合する(2216)。また、第2のロック機構は、電気的に係合状態となる(2218)。具体的には、電子ロック解除信号によって始動される電動モータ2008は、ロック同期バー2004を回転させることによってラッチロック2002を回転してかつその歯をラッチ1920の歯と係合させるロックアクチュエータ2006を作動させる(2220)。
【0117】
[00147] 幾つかの実施形態では、バッテリーベイ108は、上述した解放および係合機構が、少なくとも部分的に使用済みのバッテリー104を解放可能でかつそれを車両102の底面で少なくとも部分的に充電されたバッテリー104と交換可能であるように、少なくとも部分的に電動の車両102の底面に配置されるよう構成される。
【0118】
[00148] 図21および図22を参照して上述したように、幾つかの実施形態では、第1のラッチ機構1016および第2のラッチ機構1018は、それぞれの軸周りを反対方向に実質的に同時に回転する。幾つかの実施形態では、少なくとも2つのラッチが互いに向かって回転して、バッテリー104をバッテリーベイ108のキャビティ内に少なくとも部分的に係合状態にする、持ち上げる、かつロックする。幾つかの実施形態では、上述した少なくとも2つのラッチは、次に互いから離れるように回転してバッテリー104を係合解除する。同様に、バッテリーパック104は、第1のラッチ機構1016および第2のラッチ機構1018のラッチ1920が互いから実質的に同時に離れるように回転する場合、少なくとも部分的に電動の車両102から係合解除されるまたはロック解除される。
【0119】
[00149] 図24A〜図31は、図9に関連して上述したものに追加の詳細を与える、電気接続システムの様々な実施形態を示す。図9では、電動車両102に接続されたバッテリーベイ電気コネクタ902と嵌合するように構成された、バッテリーパック104に接続されたバッテリー電気コネクタ804を含む電気接続システム900の一実施形態を示した。図24A〜図30Bは電気接続システム2400を示す。これらの実施形態では、図9においてバッテリーベイ電気コネクタ902と称した要素の他の実施形態を説明するために車両側コネクタ2402という用語を用い、図9においてバッテリー電気コネクタ804と称した要素の他の実施形態を説明するためにバッテリー側コネクタ2452という用語を用いる。幾つかの場合においては、これらの実施形態には追加の構成要素を含むことに留意すべきである。例えば図30および図31に関連して説明されるシールド機構2902は、図9に関連して説明された電気シールド904とは異なるシールド機能を行う追加の要素である。さらに図9の電源コネクタ906および908とデータコネクタ910(ケーブルおよび接続インターフェースを含む)は、図24A〜図27に関連してより詳細に説明され、したがって、新しい名称および番号で言及する。
【0120】
[00150] 図24Aは、車両側コネクタ2404およびバッテリー側コネクタ2452を含む電気接続システム2400の上面斜視図である。図24Bは、車両側コネクタ2404の底面斜視図である。バッテリー側コネクタ2452はバッテリーパック104に取り付けられ、車両側コネクタ2402と嵌合することによってバッテリーパック104を車両102に電気的に接続する。幾つかの実施形態では、バッテリー側コネクタ2452は、以下に詳細に説明されるように位置ずれを補償するための機構を有する。同様に、車両側コネクタ2402は車両102に取り付けられ、バッテリー側コネクタ2452と嵌合することによって車両102をバッテリーパック104に電気的に接続する。幾つかの実施形態では、車両側コネクタ2402は、以下に詳細に説明されるように位置ずれを補償するための機構を有する。図面に関連して説明される構成要素は「バッテリー側」または「車両側」にあると説明されるが、これらの構成要素は交換してもよいことに留意すべきである。つまり、以下に示す実施形態において「バッテリー側」と説明されるあらゆるコメントは、代替の実施形態では「車両」上に搭載されても、またその逆であってもよい。図24Aに示すように、バッテリー側コネクタ2452は、バッテリー側搭載部分2454とバッテリー側結合部分2456を含む。バッテリー側結合部分2456は、1以上の位置合わせソケット2470を含む。幾つかの実施形態では、スリーブ2464によって囲まれる1以上のボルト2462が、バッテリー側結合部分2456をバッテリー側搭載部分3454に固定する。幾つかの実施形態では、バッテリー側結合部分2456およびバッテリー側搭載部分2454は互いに堅く固定され、それにより、両構成要素はバッテリーパックに対して固定される。他の実施形態では、バッテリー側コネクタ2452はさらに、バッテリー側結合部分2456とバッテリー側搭載部分2454との相対運動を可能にするバッテリー側カプラ2458(図27に示し、図27に関連して詳細に説明される)を含む。これらの構成要素間の相対運動は、バッテリー側コネクタ2452と車両側コネクタ2402との潜在的な位置ずれを軽減する。
【0121】
[00151] バッテリー側結合部分2456は、1以上の電源ソケット2486を有するバッテリー側電源インターフェース2466と、1以上のデータソケット2488を有するバッテリー側データインターフェース2468を収容する。幾つかの実施形態では、バッテリー側結合部分2456はさらに、バッテリー側電源インターフェース2466およびバッテリー側データインターフェース2468を含むバッテリー側結合部分の一部を囲み、これらの構成要素を汚れやデブリから保護するシール機構2472を含む。
【0122】
[00152] 図24Aに示すように、車両側コネクタ2402は、車両側搭載部分2404、車両側結合部分2406、および車両側カプラ2408を有する。車両側結合部分2406は、車両側カプラ2408を介して車両側搭載部分2404に接続される。車両側カプラ2408は、車両側結合部分2406と車両側搭載部分2404との相対運動を可能にして、バッテリー側コネクタ2452と車両側コネクタ2402との潜在的な位置ずれを軽減し、バッテリーと車両との相対運動を吸収するように設計される。車両側コネクタ2402はさらに、1以上の位置合わせピン2420も有する
【0123】
[00153] 図24Bは、車両側コネクタ2402の底面斜視図である。図24Bに示すように、車両側結合部分2406は、1以上の電源ピン2476を有する車両側電源インターフェース2416と、1以上のデータピン2478を有する車両側データインターフェース2418を収容する。車両側結合部分2406は、バッテリー側結合部分2456(図24A)に接続して、バッテリーパック104を車両102に電気的に接続する。車両側カプラ2408は、1以上のボルト2412およびコイルバネ2414を含む。幾つかの実施形態では、車両側カプラ2408は、図26に関連して以下に詳細に説明されるように、ボルト2412とコイルバネ2414の組み合わせを使用して、車両側結合部分2406と車両側搭載部分2404との相対運動を可能にする。
【0124】
[00154] 幾つかの実施形態では、車両側コネクタ2402を車両102に搭載するために用いられる車両側搭載部分2404は、車両102の底面の特定の外形に一致するように成形される。幾つかの実施形態では、車両側搭載部分2404は車両の底面に直接取り付けられる一方で、他の実施形態では、車両側搭載部分2404は、接続システム2400の車両側コネクタ2402とバッテリー側コネクタ2452との結合を容易にする車両の任意の部分に取り付けられる。車両側搭載部分2402は、車両102に取り付けられるように構成された任意の適切なプレート、ブラケット、または他の搭載機構である。幾つかのさらなる実施形態では、車両側搭載部分2404は車両102の一部を形成する。同様に、バッテリー側搭載部分2454も、車両側搭載部分2404について上述した方法と同様の方法でバッテリー104に取り付けられるまたはバッテリー104の一部を形成するように構成される。
【0125】
[00155] 図24Aはさらに、バッテリー側結合部分2456の一部を囲むシール機構2472を示す。車両側コネクタ2402とバッテリー側コネクタ1452が結合されると、シール機構2472は、車両側結合部分2406およびバッテリー側結合部分2456の2つの近接面間に配置される。シール機構2472は、電源インターフェース2416、2466およびデータインターフェース2418、2468を含む結合部分間の領域に環境汚染物質が進入することを防ぐように設計される。車両が通常動作する環境が非常に厳しいため、シール機構2472は、水、埃、汚れ、煤、化学物質等といった汚染物質からコネクタの最も感度の高い要素を保護するように設計される。幾つかの実施形態では、シール機構2472はゴム製のOリングである。幾つかの実施形態では、結合部分2406および2456は2以上のシール機構を使用する。幾つかの実施形態では、接続システム2400は、追加のタイプか、他のタイプのガスケットを含むシール機構の組み合わせか、または、異物の汚染物質を除去するように設計されたスクレイピング機構を用いる。
【0126】
[00156] 図24Aに示すように、1以上のテーパー付き位置合わせピン2420が、車両側結合部分2406に搭載される。テーパー付き位置合わせピン2420は、車両側結合部分2406の面(図3AのX−Z面)に垂直であり、かつ、結合部分2406および2454がそれに沿って接続される軸(図3AのY軸)に平行である。バッテリー側結合部分2456に搭載された1以上の位置合わせソケット2470は、テーパー付き位置合わせピン2420を受容するように構成される。幾つかの実施形態では、位置合わせソケット2470の開口の内側の縁は、摩擦を軽減し、位置合わせピン2420と位置合わせソケット2470との間に滑らかな接触界面を与えるために面取りされている。位置合わせピン2420および位置合わせソケット2470は、位置合わせピン2420が位置合わせソケット2470内にある場合、結合部分2406および2456とそれぞれの電源インターフェース2416、2466およびデータインターフェース2418、2468が位置合わせされるように搭載される。図26は位置合わせピン2420をより詳細に示す。
【0127】
[00157] 幾つかの実施形態では、1以上の位置合わせソケット2470は、それぞれ、実質的に円柱形の断面を有する。幾つかの実施形態では、位置合わせソケット2470のうちの1つは、円柱形断面ではなく楕円形断面を有する。本実施形態では、楕円形の位置合わせソケット2470は、楕円形の長寸法が2つのテーパー付き位置合わせピン2420間に形成される線に平行であるように搭載される。したがって、位置合わせピン2420と、位置合わせソケットのチャネルの内壁との間の余剰の空間は、厳密に平行ではない位置合わせピン2420を収容する。このことは、位置合わせピン2420および位置合わせソケット2470にかかる可能な機械的応力を軽減する。
【0128】
[00158] 位置合わせピン2420および位置合わせソケット2470は、電源インターフェース2416、2466、およびデータ2418、2468インターフェースに用いられる接続要素よりもロバストでかつ耐久性がある。例示した位置合わせピン2420および位置合わせソケット2470といった位置合わせ機構を用いることによって、位置合わせ機構がなければバッテリー104と車両102との位置ずれによって電気的インターフェースに与えられてしまいうる側方荷重および曲げ荷重に、より壊れ易い電気的およびデータ構成要素ではなくて構造上の構成要素によって耐えることができる。
【0129】
[00159] 図24Aに示すように、車両側結合部分2406は、車両側電源インターフェース2416および車両側データインターフェース2418を収容する。同様に、バッテリー側結合部分2456は、バッテリー側電源インターフェース2466およびバッテリー側データインターフェース2468を収容する。車両側電源インターフェース2416は、バッテリー側電源インターフェース2466に結合すると、バッテリー104と車両102間に高電圧および電流電気的エネルギーを送る。十分な推進力を与えるために、電動車両は最大で1000ボルトおよび最大で1000アンペアの直流電流を必要としうる。幾つかの実施形態では、車両は最大で400ボルトおよび200アンペアの直流電流を必要とする。幾つかの実施形態では、高電圧の電気は約100と100VDCの間である。他の実施形態では、高電圧の電気は約200と800VDCの間である。さらに他の実施形態では、高電圧の電気は約300と700VDCの間である。さらに他の実施形態では、高電圧の電気は約350と450VDCの間である。車両側電源インターフェース2416、2466の特定の電圧および電流容量は、用途の特定のエネルギーのニーズに応じて異なる。例えば高性能車両は、標準車両よりも高い電圧または電流を運ぶ容量が必要となりうる。
【0130】
[00160] 車両結合部分2406の車両側電源インターフェース2416は、バッテリー側結合部分2456の電源インターフェース2466によって受容される導電ピンを使用する。幾つかの実施形態では、車両側電源インターフェース2416は2つの導電性電源ピン2476を含む。他の実施形態では、車両側電源インターフェース2416は4以上の導電性電源ピン2476を含む。バッテリー側電源インターフェース2466の内面は、バッテリー104と車両102との間の送電を容易にするために導電性である。幾つかの実施形態では、バッテリー側電源インターフェース2466は、図28を参照して説明されるように、電源ピン2476と電気的に接触するように導電性メッシュスリーブを使用する電源ソケット2486を用いる。幾つかの実施形態では、バッテリー側電源インターフェース2466は、電源ピン2476と同数の電源ソケット2486を含む。
【0131】
[00161] 幾つかの実施形態では、車両側データインターフェース2418は17個の導電性データピン2478を含む。幾つかの実施形態では、車両側データインターフェース2418は、9個、15個、または20個のデータピン2478を有する。幾つかの実施形態では、バッテリー側データインターフェース2468は、データインターフェース2418にあるデータピン2478と同数のデータソケット2488を使用する。幾つかの実施形態では、車両側データインターフェース2418は、図28を参照して説明されるように、データピン2478と電気的に接触するように導電性メッシュスリーブを使用するデータソケット2488を用いる。データインターフェース2418および2468は、バッテリー104と車両102間を、電子通信信号を用いてデータを送信する。多くの電子通信信号がインターフェース2418および2468によってサポートされ、次に限定されないが、イーサネット(登録商標)、汎用シリアルバス、RS‐232、または任意の他の電気信号が含まれる。さらに、データインターフェース2418および2468は、次に限定されないが、TCP/IP、CAN−バス(コントロールエリアネットワーク)、または他のプロプライエタリプロトコルを含む多くの通信プロトコルをサポート可能である。幾つかの実施形態では、データインターフェース2418および2468は光学コネクタである。そのような実施形態では、データインターフェース2418および2468は、バッテリー104と車両102間でデータを送信するための導電ピンまたはソケットを必要としない。
【0132】
[00162] 図25は、車両側コネクタ2402およびバッテリー側コネクタ2452の正面図である。図25の線26−26は図26および図27に示す断面図を画定する。
【0133】
[00163] 図26は、図25に示す軸26−26に沿った車両側コネクタ2402の断面図である。図26は、この実施形態の車両側結合部分2406のより詳細な図を示す。幾つかの実施形態では、車両側カプラ2408は、車両側搭載部分2404および車両側結合部分2406に取り付けられ、コイルバネ2414によって囲まれたボルト2412を含む。ボルト2412は、ボルト2412のシャフトの直径より大きい車両側結合部分2406の穴2602を通される。コイルバネ2414は、車両側搭載部分2404と車両側結合部分2406との間に位置決めされる。コイルバネ2414には弾性があり、車両側搭載部分2404と車両側結合部分2406との間に弾力を与える。この弾力は車両側結合部分2406と車両側搭載部分2404との間にセンタリング力を与えて、コネクタ2402、2452が結合されていない場合に、車両側結合部分2406を中立位置に維持する。さらに、コイルバネ2414の弾性構造によって、車両側結合部分2406が垂直方向および水平方向の両方に移動して車両側結合部分2406およびバッテリー側結合部分2456の位置合わせを支援することが可能である。コイルバネ2414はさらに、車両102の運転時の垂直方向および水平方向の衝撃および振動も吸収する。ボルトとバネの形式の車両側カプラ2408は、水平面(図3Aにおいて画定されるX−Z面)において十分な自由遊び(free play)を与え、それにより、車両側コネクタ2404とバッテリー側カプラ2452が、完全なバッテリーベイ組立体の通常の幾何公差を前提として位置合わせすることが可能となる。つまり、バッテリーベイシステムの全体精度が高い場合、車両側カプラ2408に求められる自由遊びは少ない。例えば+/−3mmの自由遊びが十分である。低精度のバッテリーベイシステムでは、より多くの自由遊びが必要となる。幾つかの実施形態では、ボルトとバネの形式の車両側カプラ2408によって、車両102に実質的に平行な面(図3Aにおいて画定されるX−Z面)における+/−6mmの移動が可能となる。幾つかの実施形態では、ボルトおよびバネの形式の車両側カプラ2408によって、垂直軸(図3Aにおいて画定されるY軸)に沿って+/−6mmの移動が可能となる。
【0134】
[00164] 幾つかの実施形態では、コイルバネ2414はボルト2412を囲まず、車両側結合部分2406と車両側搭載部分2404との間の他の場所に位置決めされる。幾つかの実施形態では、車両側カプラ2408は、次に限定されないが、板バネ、エラストマーバネ、またはねじりバネを含む、コイルバネ以外の弾性機構を使用する。幾つかの実施形態では、車両側カプラ2408はより多いまたは少ない数のコイルバネおよびボルトを使用する。当業者であれば様々なバネおよび構成を用いてよいことは認識するであろう。
【0135】
[00165] 図26は、テーパー付き位置合わせピン2420およびその搭載機構をより詳細に示す。幾つかの実施形態では、1以上のテーパー付き位置合わせピン2420は、車両側結合部分2406に堅く固定される。他の実施形態では、1以上のテーパー付き位置合わせピン2420は、位置合わせピン2420と車両側結合部分2406との相対運動を可能とするように図26に示すように取り付けられる。幾つかの実施形態では、車両側カプラ2408は、上述したボルトおよびバネ機構だけでなく浮動ピン機構も含む。位置合わせピン2420用のマウントは、ピン2420と車両側結合部分2406との間で「I字形」の断面を有する中空のフランジ付きスリーブ2604を使用する。幾つかの実施形態では、フランジ付きスリーブ2604は2つのスリーブから構成され、各スリーブは組立てを容易にするように単一のフランジまたはショルダを有する。フランジ付きスリーブ2604のショルダまたはフランジは、車両側結合部分2406の面上にあり、また、車両側結合部分2406における穴2608の開口より広い。したがって、フランジは、テーパー付き位置合わせピン2420を、垂直方向において結合部分2406の面に係留した状態に維持する。フランジ付きスリーブ2604の外側の円柱面は穴2608の内径より小さく、2つの面の間に自由空間2606を残す。この自由空間2606によって、位置合わせピンが、位置合わせピン2420が搭載される車両側結合部分2406の面によって画定される面における幾らかの側方の遊びまたはその面において「浮遊する」ことが可能となる。幾つかの実施形態では、浮動ピン形式の車両側カプラ2408によって、車両102に実質的に平行な面(図3Aにおいて画定されるX−Z面)における+/−1mmの移動が可能となる。
【0136】
[00166] 図27は、図25に示す軸26−26に沿ったバッテリー側コネクタ2452の断面図である。バッテリー側搭載部分2454、バッテリー側結合部分2456、およびバッテリー側カプラ2458を含むバッテリー側コネクタ2452を示す。バッテリー側カプラ2458の一部を形成するボルト2462は、バッテリー側結合部分2456をバッテリー側搭載部分2454に固定する。幾つかの実施形態では、ボルト2462のシャフトはフランジ付きスリーブ2464によって囲まれる。フランジ付きスリーブ2464は2つのショルダまたはフランジを有し、中空の「I字形」の断面を形成する。幾つかの実施形態では、フランジ付きスリーブ2464は(図示するように)2つのスリーブから構成され、各スリーブは組立てを容易にするように単一のフランジまたはショルダを有する。フランジ付きスリーブ2464のショルダは、スリーブ2464がその中に着座するバッテリー側結合部分2456の開口より大きい直径を有する。スリーブのショルダは、バッテリー側結合部分2456の上面および底面に接触し、それにより、バッテリー側結合部分2456を(垂直方向において)バッテリー側搭載部分2454に係留した状態に維持する。
【0137】
[00167] スリーブ2464の外側円柱面は、バッテリー側結合部分2456の開口より小さい直径を有する。この構成により、バッテリー側結合部分2456における穴の壁と、スリーブ2464の円柱面との間に空間2702を残す。空間2702によって、バッテリー側結合部分2456がバッテリー側搭載部分2454に対して側方に移動することが可能となる。幾つかの実施形態では、空間2702によって、バッテリー側結合部分2456が1つの面において自由にスライドするまたは「浮遊する」ことが可能となる。幾つかの実施形態では、スライドするスリーブ形式のバッテリー側カプラ2458によって、車両102に実質的に平行な面(図3Aにおいて画定されるX−Z面)において+/−1mmの移動が可能となる。他の実施形態では、平面運動は接続システム2400およびその要素の特定の搭載位置に基づいて変化する。
【0138】
[00168] 図28は、バッテリー側結合部分インターフェース2456における、電源ソケット2486、データソケット2488のいずれか、または、電源ソケットおよびデータソケットの両方によって使用されるメッシュスリーブ2800の一例を示す。メッシュスリーブの導電性面は、2つのリング2804間に位置決めされた多数の導電線2802から構成される。導電線2802は、リング2804の中心により形成される軸に対して斜めにリング2804に取り付けられる。導電線2802およびリング2804のこの構成は、共に、セミスパイラル形状の導電性メッシュスリーブ2800を形成する。このセミスパイラル構成は、スリーブ2800に細くなるバイアスをかけ、スリーブ2800の内径を徐々に減少し、中間の内径2806が最小にされる。(車両側結合部分2406からの電源ピン2476またはデータピン2478といった)対応するピンは、リング2804より小さいが中間の内径2806より大きい直径を有する。したがって、ピンがスリーブ2800内に挿入されるに従って、中間の内径2806付近の導電線2802の一部は、ピンの大きい直径に対応するように変形しなければならない。このプロセスによって、導電線2802がピンの表面に対して確実に堅く保持される。メッシュスリーブ2800は、導電線2802がその弾性変形範囲において僅かにのみ曲がるように設計される。導電線2802の構成は、不適切なサイズのピンが挿入された場合に導電線が塑性変形に抵抗するようなものである。したがって、メッシュスリーブ2800およびピンは、自身への損傷なしにまたは電気的接続の劣化無しに多くの接触サイクルに耐えることが可能である。幾つかの実施形態では、ピンおよびソケットは、3000回以上の接続サイクルに耐えることが可能である。
【0139】
[00169] 図29は、車両側結合部分2406の分解図であり、シールド機構2902を示す。シールド機構2902は、接続システムにおいて、データ導体を電源導体から分離しかつ隔離する。図29は車両側結合部分2406のみを示すが、同様のシールド機構がバッテリー側結合部分2456にも用いられる。シールド機構2902は、データ導体およびインターフェース2418によって運ばれる信号を劣化しないように電磁または他の電気的干渉を防止するように特に設計される。上述したように、電動車両は、高い電圧と電流を必要とし、これは付近の電気通信信号を妨害しうる。同じコネクタ2400上にデータと電源の接続を用いることが望まれるため、このような干渉は防がなければならない。
【0140】
[00170] 図30は、車両側コネクタ2402およびバッテリー側コネクタ2452に含まれるシールド機構2902の斜視図である。図31は、図30のシールド機構2902のすべての側面の平面図を示す。シールド機構2902は、データ導体910およびデータインターフェース2418、2468を囲む。シールド機構2902は、金属、好適には電源導体および電源インターフェース2416、2466によって生成される電磁場に対抗するように設計される導電性金属材料から形成される。シールド機構2902の壁厚は、電磁場の強度と、電磁場に対するシールドの位置とに依存する。幾つかの実施形態では、壁厚は、電源導体によって発生される電磁干渉に依存して0.1mmと5mmの間である。シールド機構2902の通常の寸法は、データ線が収容される空間が十分あるような寸法である。幾つかの実施形態では、シールド機構2902は「L字形」またはエルボー形状である。幾つかの実施形態では、L字型シールド機構の具体的な寸法は、電源導体によって発生される電磁干渉の制約および周波数に依存する。上述した寸法で設計した場合、シールド機構2902の材料は、付近の高電圧導体によって発生される外部の電磁場に実質的に対抗する内部の電磁力を確立する。この対抗電磁場は、単に特別に設計されたシールド壁と材料の性質との相互作用によって生成される。この電磁場の生成には、正常に機能するための追加の電力または接地システムを必要としない。これは可能な限り単純でかつロバストな接続システムを用いることが望まれることを考えると特に有利である。
【0141】
[00171] 説明目的の上記記載は、具体的な実施形態を参照して説明してきた。しかし、上述の例示的な議論は包括的であることまたは発明を開示した形態に厳密に制限することを意図しない。上述の教示内容を鑑みて多くの修正および変形が可能である。例えば、上述した実施形態は、少なくとも部分的に電動の車両に関連して説明したが、本明細書に記載される機構は、取り外し可能なバッテリーを用いる少なくとも部分的に電動の任意の機械に使用してよい。実施形態は、本発明の原理およびその実用的な適用を最もよく説明し、それにより他の当業者が、考えられる特定の使用に適した様々な修正とともに、本発明および様々な実施形態を最大限に活用できるように選択かつ説明した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に電動の車両のバッテリー用の電気接続システムであって、
少なくとも部分的に電動の車両の底面に永続的に取り付けられるように構成された第1の電気コネクタと、
バッテリーに永続的に取り付けられるように構成された第2の電気コネクタと、
を備え、
前記第1および第2の電気コネクタは、前記少なくとも部分的に電動の車両の前記底面に実質的に垂直な軸に沿って互いに取り外し可能に結合されるように構成され、
前記第1および第2の電気コネクタのそれぞれは、
前記第1および第2の電気コネクタ間で高電圧の電気を送るための高電圧インターフェースと、
前記第1および第2の電気コネクタ間でデータを送るためのデータインターフェースと、
前記1以上の高電圧接続要素によって生じる電磁効果に抗するシールド機構と、をさらに備える、
電気接続システム。
【請求項2】
前記シールド機構は、前記高電圧インターフェースから前記データインターフェースを分離して、前記1以上の高電圧接続要素によって生じる電磁効果から前記データインターフェースを保護する、請求項1に記載の電気接続システム。
【請求項3】
前記シールド機構は、前記データインターフェースを実質的に覆う筐体を備える、請求項1に記載の電気接続システム。
【請求項4】
前記筐体はL字型である、請求項3に記載の電気接続システム。
【請求項5】
前記電気コネクタのうちの少なくとも一方は、前記第1および第2の電気コネクタが結合される場合に、環境汚染を防ぐために前記第1および第2の電気コネクタ間に位置決めされたシール機構をさらに備える、請求項1に記載の電気接続システム。
【請求項6】
前記高電圧インターフェースは、
導電性ピンと、
前記導電性ピンを受容するためのソケットと、
を備え、
前記ソケットは、前記導電性ピンと電気的接続を形成するための導電性メッシュスリーブを有する、請求項1に記載の電気接続システム。
【請求項7】
前記データインターフェースは、
導電性ピンと、
前記導電性ピンを受容するためのソケットと、
を備え、
前記ソケットは、前記導電性ピンと電気的接続を形成するための導電性メッシュスリーブを有する、請求項1に記載の電気接続システム。
【請求項8】
前記データインターフェースは、光ファイバインターフェースを備える、請求項1に記載の電気接続システム。
【請求項9】
高電圧の電気は約100と1000VDCの間である、請求項1に記載の電気接続システム。
【請求項10】
高電圧の電気は約200と800VDCの間である、請求項1に記載の電気接続システム。
【請求項11】
高電圧の電気は約350と450VDCの間である、請求項1に記載の電気接続システム。
【請求項12】
少なくとも部分的に電動の車両のバッテリー用の電気接続システムであって、
少なくとも部分的に電動の車両の底面に搭載されるように構成された第1の電気コネクタであって、第2の電気コネクタの第2の結合部分と嵌合するための第1の結合部分を含む、第1の電気コネクタと、
バッテリーに搭載されるように構成された前記第2の電気コネクタであって、前記第1の電気コネクタの前記第1の結合部分と嵌合するための前記第2の結合部分を含む、第2の電気コネクタと、
前記第1および第2の電気コネクタ間の位置ずれを補償するための第1のカプラと、
を備え、
前記第1および第2の結合部分は、
前記第1および第2の結合部分間で高電圧の電気を送るための高電圧インターフェースと、
前記第1および第2の結合部分間でデータを送るためのデータインターフェースと、
を備える、
電気接続システム。
【請求項13】
少なくとも部分的に電動の車両のバッテリー用の電気接続システムであって、
少なくとも部分的に電動の車両の底面に搭載されるように構成され、第2の電気コネクタの第2の結合部分と嵌合するための第1の結合部分と、前記第1の電気コネクタを前記少なくとも部分的に電動の車両に取り付けるための第1の搭載部分と、前記第1の結合部分を前記第1の搭載部分に取り付けるための、前記第1の結合部分と前記第1の搭載部分との相対運動を可能にする第1のカプラと、を備える第1の電気コネクタと、
バッテリーに搭載されるように構成され、前記第1の電気コネクタの前記第1の結合部分と嵌合するための前記第2の結合部分を備える第2の電気コネクタと、
を備え、
前記第1のカプラは、前記第1および第2の電気コネクタ間の位置ずれを補償し、
前記第1および第2の結合部分は、
前記第1および第2の結合部分間で高電圧の電気を送るための高電圧インターフェースと、
前記第1および第2の結合部分間でデータを送るためのデータインターフェースと、
を含む、
電気接続システム。
【請求項14】
前記第2の電気コネクタは、
前記第2の電気コネクタを前記バッテリーに取り付けるための第2の搭載部分と、
前記第2の結合部分を前記第2の搭載部分に取り付けるための第2のカプラと、
をさらに備え、
前記第2のカプラは、前記第2の結合部分と前記第2の搭載部分との相対運動を可能にし、
前記第2のカプラはさらに、前記第1および第2の電気コネクタ間の位置ずれを補償する、
電気接続システム。
【請求項15】
前記第1のカプラは、前記第1の結合部分が、前記第1の搭載部分に対して垂直面および水平面において移動することを可能にする、請求項13に記載の電気接続システム。
【請求項16】
前記第1のカプラは、
前記第1の結合部分における穴と、
前記第1の搭載部分に堅く取り付けられ、前記第1の結合部分における穴を通り延在し、前記穴より小さい直径を有するボルトと、
を備える、請求項13に記載の電気接続システム。
【請求項17】
前記第1のカプラは、前記第1の結合部分と前記第1の搭載部分との間に位置決めされたコイルバネをさらに備える、請求項16に記載の電気接続システム。
【請求項18】
前記ボルトは、前記コイルバネの中心を通り延在する、請求項17に記載の電気接続システム。
【請求項19】
前記第1の結合部分は、外面を有するピンをさらに含み、
前記第2の結合部分は、前記ピンを受容するための内面を有するソケットをさらに含み、
前記ピンおよびソケットは、前記第1および第2の結合部分間の横断の位置合わせを確実にするように構成される、請求項13に記載の電気接続システム。
【請求項20】
前記ソケットの前記内面はチャネルであり、前記チャネルは前記ピンより大きい内面を有して、前記チャネルの前記内面の一部と前記ピンの前記外面の一部との間に空間を与える、請求項19に記載の電気接続システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24A】
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【図24B】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31−1】
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【図31−2】
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【図31−3】
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【図31−4】
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【図31−5】
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【公表番号】特表2012−503470(P2012−503470A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−528021(P2011−528021)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/057594
【国際公開番号】WO2010/033881
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(509058335)ベター プレイス ,ゲーエムベーハー (7)
【Fターム(参考)】