説明

電圧制御発振器、並びにそれを用いた無線通信システム及び位相同期回路。

【課題】 位相雑音特性の良好な電圧制御発振器、並びにそれを用いた無線通信システム及び位相同期回路を提供することを目的とする。
【解決手段】
電圧制御発振器10は、共振器Resと、共振器Resに入力側が接続された増幅器AMP1と、増幅器AMP1の出力側と共振器Resとの間に接続されたキャパシタC1aと、増幅器AMP1の入力側と出力側の間に、互いに直列になるように接続されたキャパシタC1bとインダクタL1を備える。さらに、共振器Resに入力側が接続された増幅器AMP2と、増幅器AMP2の出力側と共振器Resとの間に接続されたキャパシタC2aと、増幅器AMP2の入力側と出力側の間に、互いに直列になるように接続されたキャパシタC2bとインダクタL2とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧制御発振器、並びにそれを用いた無線通信システム及び位相同期回路に係り、特に位相雑音特性を改善する構成を備えた電圧制御発振器、並びにそれを用いた無線通信システム及び位相同期回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、急速に市場が拡大している移動体通信などの無線通信分野では、多バンド化、通信の高速化などが求められており、これに伴いRF−LSIに用いられる電圧制御発振器もより低雑音のものが求められている。
【0003】
従来のこの分野の電圧制御発振器の基本構成は、増幅器を差動構成にして正帰還をかけ、LC共振回路で発振周波数を決めるというものが主流であった(例えば、特許文献1、図5参照。)。このように構成した電圧制御発振器では、電流源、トランジスタ等により、一方の増幅器から共振器を介して他方の増幅器に意図しない直流電流が流れる。この直流電流が共振器により周波数変換されることにより、発振周波数近傍の位相雑音として出力され、電圧制御発振器の位相雑音特性を劣化させるという問題があった(例えば、特許文献1、図7参照。)。
【0004】
このような、電圧制御発振器の位相雑音特性の劣化を抑制する技術として、位相雑音特性劣化の原因となる、共振器を介して流れる意図しない直流電流を遮断するトランジスタを備えた増幅器を用いた電圧制御発振器が開示されている(例えば、特許文献1、図1参照。)。この構成によれば、位相雑音特性劣化の原因となる直流電流を遮断することができ、位相雑音特性の改善が図れる。
【0005】
しかしながら、このような電圧制御発振器では、直流電流を遮断するために、増幅器に複数のトランジスタを用いるため、増幅器の利得の周波数特性を劣化させるという問題がある。増幅器の利得の周波数特性が劣化することにより、電圧制御発振器から出力される信号のスルーレートが劣化し、結果的に位相雑音が混入しやすくなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−26782号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、位相雑音特性の良好な電圧制御発振器、並びにそれを用いた無線通信システム及び位相同期回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様の電圧制御発振器は、共振器と、前記共振器に入力側が接続された第1増幅器と、前記第1増幅器の出力側と前記共振器との間に接続された第1キャパシタと、前記第1増幅器の入力側と出力側の間に、直列に接続された第2キャパシタ及び第1インダクタと、前記共振器に入力側が接続された第2増幅器と、前記第2増幅器の出力側と前記共振器との間に接続された第3キャパシタと、前記第2増幅器の入力側と出力側の間に、直列に接続された第4キャパシタ及び第2インダクタと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の態様の電圧制御発振器は、電源電位ノードに一端が接続された定電流源と、前記定電流源の他端にソースが共通接続された第1pMOSトランジスタ及び第2pMOSトランジスタと、前記第1pMOSトランジスタのゲートにゲートが接続され、前記第1pMOSトランジスタのドレインにドレインが接続され、接地電位ノードにソースが接続された第1nMOSトランジスタと、前記第2pMOSトランジスタのゲートにゲートが接続され、前記第2pMOSトランジスタのドレインにドレインが接続され、接地電位ノードにソースが接続された第2nMOSトランジスタと、前記第1pMOSトランジスタ及び前記第1nMOSトランジスタのゲートと、前記第2pMOSトランジスタ及び前記第2pMOSトランジスタのゲートとの間に接続された共振器と、前記第1pMOSトランジスタ及び前記第1nMOSトランジスタのドレインと、前記第2pMOSトランジスタ及び前記第2pMOSトランジスタのゲートとの間に接続された第1キャパシタと、前記第1pMOSトランジスタ及び前記第1nMOSトランジスタのドレインと、前記第1pMOSトランジスタ及び前記第1nMOSトランジスタのゲートとの間に、直列に接続された第2キャパシタ及び第1インダクタと、前記第2pMOSトランジスタ及び前記第2nMOSトランジスタのドレインと、前記第1pMOSトランジスタ及び前記第1pMOSトランジスタのゲートとの間に接続された第3キャパシタと、前記第2pMOSトランジスタ及び前記第2nMOSトランジスタのドレインと、前記第2pMOSトランジスタ及び前記第2nMOSトランジスタのゲートとの間に、直列に接続された第4キャパシタ及び第2インダクタと、を備えたことを特徴とする
本発明の第3の態様の電圧制御発振器は、電源電位ノードに一端が接続された定電流源と、前記定電流源の他端にソースが共通接続された第1pMOSトランジスタ及び第2pMOSトランジスタと、前記第1pMOSトランジスタのゲートにベースが接続され、前記第1pMOSトランジスタのドレインにコレクタが接続され、設置電位ノードにエミッタが接続された第1バイポーラトランジスタと、前記第2pMOSトランジスタのゲートにベースが接続され、前記第2pMOSトランジスタのドレインにコレクタが接続され、設置電位ノードにエミッタが接続された第2バイポーラトランジスタと、前記第1pMOSトランジスタのゲート及び前記第1バイポーラトランジスタのベースと、前記第2pMOSトランジスタのゲート及び前記第2バイポーラトランジスのベースとの間に接続された共振器と、前記第1pMOSトランジスタのドレイン及び前記第1バイポーラトランジスタのコレクタと、前記第2pMOSトランジスタのゲート及び前記第2バイポーラトランジスのベースとの間に接続された第1キャパシタと、前記第1pMOSトランジスタのドレイン及び前記第1バイポーラトランジスタのコレクタと、前記第1pMOSトランジスタのゲート及び前記第1バイポーラトランジスタのベースとの間に直列に接続された第2キャパシタ及び第1インダクタと、前記第2pMOSトランジスタのドレイン及び前記第2バイポーラトランジスタのコレクタと、前記第1pMOSトランジスタのゲート及び前記第1バイポーラトランジスのベースとの間に接続された第3キャパシタと、前記第2pMOSトランジスタのドレイン及び前記第2バイポーラトランジスタのコレクタと、前記第2pMOSトランジスタのゲート及び前記第2バイポーラトランジスタのベースとの間に直列に接続された第4キャパシタ及び第2インダクタと、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様の無線通信システムは、信号送信手段と、信号受信手段とを備えた無線通信システムにおいて、信号送信手段は、請求項1乃至請求項6いずれか1項記載の電圧制御発振器を有する第1電圧制御発振回路と、前記電圧制御発振器からの信号に基づいて入力信号を変調し、出力する変調器と、前記変調器からの入力信号を増幅して出力するパワーアンプとを備え、信号受信手段は、入力信号を増幅して出力するローノイズアンプと、請求項1乃至請求項6いずれか1項記載の電圧制御発振器を有する第2電圧制御発振回路と、前記電圧制御発振器からの信号に基づいて、前記ローノイズアンプからの入力信号を復調し、出力する復調器とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様の位相同期回路は、基準信号の位相と位相比較信号の位相とを比較し、位相差に応じた第1信号を出力する位相比較回路と、前記位相比較回路からの前記第1信号をフィルタリングするループフィルタと、前記請求項1乃至6いずれ1項に記載の電圧制御発振器を含み、前記ループフィルタによりフィルタリングされた前記第1信号に応じた周波数の第2信号を出力する電圧制御発振回路と、前記第2信号を分周して前記第1信号として前記位相比較回路に出力する分周回路とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、位相雑音特性の良好な電圧制御発振器、並びにそれを用いた無線通信システム及び位相同期回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1に係る電圧制御発振器のブロック図である。
【図2】本発明の実施例1に係る増幅器の利得の周波数特性図である。
【図3】本発明の実施例1に係る電圧制御発振器の回路図例である。
【図4】本発明の実施例1に係る電圧制御発振器の回路図例である。
【図5】本発明の実施例1に係る電圧制御発振器の雑音特性を示す図である。
【図6】一般的な電圧制御発振器の雑音特性を示す図である。
【図7】本発明の実施例2に係る無線通信システムのブロック図である。
【図8】本発明の実施例3に係る位相同期回路のブロック図である。
【図9】一般的な電圧制御発振器の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0015】
図1を参照して、本発明の実施例1に係る電圧制御発振器10の構成について説明する。図1は、本発明の実施例1に係る電圧制御発振器10の構成を示すブロック図である。
【0016】
電圧制御発振器10は、増幅器AMP1、AMP2、共振器Res、キャパシタC1a、C1b、C2a、C2b、インダクタL1、L2、抵抗R1、R2を備える。
【0017】
電圧制御発振器10は、増幅器AMP1、AMP2が差動構成され、外部電圧で共振周波数を制御可能な共振器Resにより正帰還をかけられることにより、共振器の共振周波数で発振する狭義の電圧制御発振器を構成している。共振器Resの両端は、発振信号出力ノードとなり、出力端子Out1、Out2が接続されている。電圧制御発振器の出力は、出力端子Out1、Out2から差動出力される。このように、狭義の電圧制御発振器は、増幅器AMP1、AMP2と、共振器Resにより構成される。
【0018】
本実施例1の電圧制御発振器10は、以下に示すように、狭義の電圧制御発振器に加え、キャパシタC1a、C1b、C2a、C2b、インダクタL1、L2を備えることを特徴とする。
【0019】
キャパシタC1a、C2aは、それぞれ増幅器AMP1、AMP2の出力と、共振器Resの間に接続されている。キャパシタC1a、C2aは、後述するように、電圧制御発振器の位相雑音の原因となる直流電流を遮断する機能を有する。
【0020】
キャパシタC1b、インダクタL1は、互いに直列に接続され、増幅器AMP1の入出力間に接続されている。同様に、キャパシタC2b、インダクタL2は、互いに直列に接続され、増幅器AMP2の入出力間に接続されている。キャパシタC1b、インダクタL1、及びキャパシタC2b、インダクタL2は、後述するように、それぞれキャパシタC1a、C2aにより劣化した増幅器AMP1、AMP2の利得の周波数特性を改善する。
【0021】
さらに、増幅器AMP1の入出力間に抵抗R1、増幅器AMP2の入出力間に抵抗R2が接続されている。抵抗R1、抵抗R2は、後述するように、それぞれ増幅器AMP1、AMP2の利得の周波数特性を改善する機能を有する。
【0022】
さらに、図1、図2を参照して、電圧制御発振器10の素子(キャパシタC1a、C1b、C2a、C2b、インダクタL1、L2)の役割について説明する。図2は、増幅器AMP1の利得の周波数特性を示した模式図である。図2の(a)は、増幅器AMP1自体の利得の周波数特性である。図2の(b)は、増幅器AMP1の出力にキャパシタC1aを接続した場合の利得の周波数特性である。図2の(c)は、増幅器AMP1の出力にキャパシタC1aを接続し、かつ、互いに直列に接続したキャパシタC1b、インダクタL1を増幅器AMP1の入出力間に接続した場合の利得の周波数特性である。なお、増幅器AMP2、及び増幅器AMP2にキャパシタC2a、C2b、インダクタL2を接続した場合の利得の周波数特性も、図2に示す増幅器AMP1の場合と同様である。
【0023】
まず、キャパシタC1a、C2aの役割について説明する。従来のように、キャパシタC1a、C2aを備えない電圧制御発振器(狭義の電圧制御発振器)を構成する場合、発振動作の遷移過程で、一方の増幅器AMP1から共振器を介して他方の増幅器AMP2へと意図しない直流電流が流れる。この直流電流は、共振器により発振周波数の周期に合わせ周波数変換され、発振周波数近傍の位相雑音となる。本実施例1の電圧制御発振器10は、キャパシタC1a、C2aを、それぞれ増幅器AMP1、AMP2の出力と共振器Resの間に接続することにより、この意図しない直流電流を遮断することができる。これにより、位相雑音の低減を図ることができる。
【0024】
しかし、キャパシタC1a、C2aを増幅器AMP1、AMP2に接続することにより、増幅器AMP1の利得の周波数特性が劣化するという問題が生じる。図2に示すように、増幅器AMP1の出力にキャパシタC1aを接続した場合の増幅器AMP1の利得の周波数特性(図2の(b))は、キャパシタC1aを接続しない場合(増幅器AMP1自体)の利得(図2の(a))より高周波領域における利得が劣化する。これは、キャパシタC1aのインピーダンスが高周波領域において小さくなることにより、増幅器の高周波領域における利得を下げるためである。このため、共振器の共振周波数により決定される電圧制御発振器の発振周波数における増幅器の利得G2が、キャパシタC1aを接続しない場合の利得G1より小さくなる。さらに、高周波領域における利得が劣化するため発振周波数の高次周波数で発振する信号を増幅できなくなり、増幅器AMP1から出力される信号のスルーレートを劣化させる。これにより、増幅器AMP1から出力される信号に位相雑音が混入しやすくなる。
【0025】
この問題を解決するため、本実施例では、互いに直列に接続したキャパシタC1b、インダクタL1を増幅器AMP1の入出力間に接続することにより、共振周波数における増幅器AMP1の利得を改善している。図2に増幅器AMP1の利得の周波数特性が改善される様子を模式的に示す。図2に示すように、増幅器AMP1の出力にキャパシタC1aを接続し、かつ、互いに直列に接続したキャパシタC1b、インダクタL1を増幅器AMP1の入出力間に接続した場合の利得の周波数特性(図2の(c))は、増幅器AMP1の出力にキャパシタC1aを接続した場合の利得の周波数特性(図2の(b))より高周波領域における利得が改善される。これは、高周波領域においてインダクタL1のインピーダンスが大きくなるため、インダクタL1とキャパシタC1bの共振周波数f=1/2π(L1C1)1/2において増幅器AMP1の利得が大きくなるためである。このため、共振器の共振周波数により決定される電圧制御発振器の発振周波数における増幅器の利得G3が大きくなる。さらに、高周波領域における利得が改善するため発振周波数の高次周波数で発振する信号を増幅することができ、増幅器AMP1から出力される信号のスルーレートが改善される。これにより、増幅器AMP1から出力される信号に混入する位相雑音を低減することができる。さらに、互いに直列に接続したキャパシタC1b、インダクタL1を増幅器AMP1の入出力間に接続した場合の利得の周波数特性のピークにおける周波数f=1/2π(L1C1)1/2が、発振周波数より高くなることが好ましい。こうすることにより、発振周波数の高次周波数で発振する信号をさらに増幅することが可能となり、増幅器AMP1から出力される信号のスルーレートをさらに改善することができる。
【0026】
次に、抵抗R1、R2の役割について説明する。前述のように、互いに直列に接続したキャパシタC1b、インダクタL1を増幅器AMP1の入出力間に接続した場合、増幅器AMP1の利得の周波数特性のピークが急峻になる場合がある(図2の(d))。これは、L1、C1bの直列接続のインピーダンスは、理論的に共振周波数において無限大のインピーダンスをもつため、図2の(d)に示すようにLC共振器の共振周波数で非常に大きな利得をもつ場合があるためである。この場合、増幅器AMP1は、発振周波数の高次周波数で発振する信号を増幅することができなくなるため、増幅器AMP1から出力される信号のスルーレートが劣化する。これは、増幅器AMP1から出力される信号に位相雑音が混入しやすくなるため、好ましくない。そこで、本実施例1では、増幅器の入出力間に抵抗Rをダンピング抵抗として接続することにより、増幅器の利得の周波数特性のピークが急峻になるのを抑制している。これは、抵抗のインピーダンスは周波数に依存しないため、共振周波数近傍において、L1、C1b及び抵抗R1が接続された増幅器の入出力間のインピーダンスは抵抗R1により決定することができ、利得の周波数特性を図2の(c)のように平坦化することができるためである。これにより、増幅器AMP1から出力される信号に混入する位相雑音を低減することができる。なお、本実施例では、抵抗R1を、増幅器AMP1の入出力間に、キャパシタC1bとインダクタL1と並列に接続しているが、抵抗R1を、増幅器AMP1の入出力間に、キャパシタC1bとインダクタL1と直列に接続してもよい。
【0027】
以上のように、本実施例1の電圧制御発振器10では、増幅器AMP1、AMP2の出力にキャパシタC1a、C2aを接続し、かつ、互いに直列に接続したキャパシタC1b、インダクタL1を増幅器AMP1の入出力間に接続する。これにより、発振動作の遷移過程で、一方の増幅器AMP1から共振器を介して他方の増幅器AMP2へと流れる意図しない直流電流を遮断することで、位相雑音の低減を図り、かつ、増幅器AMP1から出力される信号のスルーレートが改善することで、増幅器AMP1から出力される信号に混入する位相雑音を低減することができる。
【0028】
さらに、本実施例1の電圧制御発振器10では、増幅器AMP1、AMP2の入出力間に、それぞれ抵抗R1、R2を接続する。これにより、幅器AMP1の利得の周波数特性のピークが急峻になるのを抑制し、増幅器AMP1から出力される信号に混入する位相雑音を低減することができる。
【0029】
図3は、本実施例の電圧制御発振器20の回路図である。図3を参照して、本実施例1の電圧制御発振器10の増幅器AMP1、AMP2をMOSトランジスタで構成した電圧制御発振器20について説明する。電圧制御発振器10と同じ構成については、同じ符号を付す。
【0030】
電圧制御発振器20の増幅器AMP1、AMP2は、定電流源I、pMOSトランジスタPM1、PM2と、nMOSトランジスタNM1、NM2により構成される。電圧制御発振器20は、前述したキャパシタC1a、C1b、C2a、C2b、インダクタL1、L2、抵抗R1、R2を備える。また、電圧制御発振器20が備える共振器Resは、LC共振器であり、可変キャパシタC0と、インダクタL0から構成される。
【0031】
定電流源Iは、電源電位ノードVddに一端が接続されている。定電流源Iの他端には、pMOSトランジスタPM1、PM2のソースが共通接続されている。
【0032】
pMOSトランジスタPM1のゲートは、nMOSトランジスタNM1のゲートに接続されている。pMOSトランジスタPM1のドレインは、nMOSトランジスタNM1のドレインに接続されている。
【0033】
pMOSトランジスタPM2のゲートは、nMOSトランジスタNM2のゲートに接続されている。pMOSトランジスタPM2のドレインは、nMOSトランジスタNM2のドレインに接続されている。
【0034】
nMOSトランジスタNM1のソースは、接地電位ノードに接続されている。
【0035】
nMOSトランジスタNM2のソースは、接地電位ノードに接続されている。
【0036】
このように構成することで、pMOSトランジスタPM1、nMOSトランジスタNM1から構成される増幅器AMP1と、pMOSトランジスタPM2、nMOSトランジスタNM2から構成される増幅器AMP2とが構成される。pMOSトランジスタPM1のゲートとnMOSトランジスタNM1のゲートを接続する配線部分が増幅器AMP1の入力(以下、「入力inamp1」と称する。)に相当し、pMOSトランジスタPM1のドレインとnMOSトランジスタNM1のドレインを接続する配線部分が増幅器AMP1の出力(以下、「出力outamp1」と称する。)に相当する。pMOSトランジスタPM2のゲートとnMOSトランジスタNM2のゲートを接続する配線部分が増幅器AMP2の入力(以下、「入力inamp2」と称する。)に相当し、pMOSトランジスタPM2のドレインとnMOSトランジスタNM2のドレインを接続する配線部分が増幅器AMP2の出力(以下、「出力outamp2」と称する。)に相当する。
【0037】
共振器Resを構成するキャパシタC0、インダクタL0は互いに並列に接続され、その一端がキャパシタC1aを介して増幅器AMP1の出力outamp1に接続され、その他端がキャパシタC2aを介して増幅器AMP2の出力outamp2に接続されている。
【0038】
共振器Resの両端は、発振信号出力ノードOut1、Out2とされる。
【0039】
キャパシタC1aは、増幅器AMP1の出力outamp1と共振器Resの間に接続されている。キャパシタC2aは、増幅器AMP2の出力outamp2と共振器Resの間に接続されている。前述したように、キャパシタC1a、C2aは、電圧制御発振器の位相雑音の原因となる直流電流を遮断する。さらに、互いに直列に接続したキャパシタC1b、インダクタL1が、増幅器AMP1の入力inamp1と出力outamp1の間に接続されている。同様に、互いに直列に接続したキャパシタC2b、インダクタL2が、増幅器AMP2の入力inamp2と出力outamp2の間に接続されている。前述したように、キャパシタC1b、インダクタL1及びキャパシタC2b、インダクタL2は、それぞれ増幅器AMP1、AMP2の利得の周波数特性を改善し、位相雑音を低減する。
【0040】
抵抗R1は増幅器AMP1の入力inamp1と出力outamp1の間に接続されている。抵抗R2は増幅器AMP2の入力inamp2と出力outamp2の間に接続されている。
【0041】
次に、電圧制御発振器20の一連の動作過程における各MOSトランジスタの動作について説明する。電圧制御発振器20は、以下に示す第1の定常状態と、第2の定常状態の間を遷移する。
【0042】
初期状態として、出力Out1の電位がL(Low)レベル、出力Out2の電位がH(High)レベルになっている第1の定常状態を想定する。各MOSトランジスタの状態は、pMOSトランジスタPM1がオン状態、pMOSトランジスタPM2がオフ状態、nMOSトランジスタNM1がオフ状態、nMOSトランジスタNM2がオン状態となっている。
【0043】
発振状態では、出力Out2の電位はHレベルからLレベルとの間で順次変化するので、出力Out2の電位はHレベルからLレベルに遷移し、第2の定常状態となる。各MOSトランジスタの状態は、pMOSトランジスタPM1がオフ状態、pMOSトランジスタPM2がオン状態、nMOSトランジスタNM1がオン状態、nMOSトランジスタNM2がオフ状態となっている。
【0044】
以上の2つの定常状態及びその遷移過程において注目すべき点は、従来のようにキャパシタC1a、C2aがない場合(キャパシタC1a、C2aが短絡されている場合)には、第1の定常状態において、pMOSトランジスタPM1、共振器Res、nMOSトランジスタNM2を経路として定電流源Iと接地電位ノード間に流れる直流電流が、電圧制御発振器20のようにキャパシタC1a、C2aを挿入することによりこの直流電流が遮断されていることである。同様に、第2の定常状態において、pMOSトランジスタPM2、共振器Res、nMOSトランジスタNM1を経路として定電流源Iと接地電位ノード間に流れる直流電流が、本実施例では、キャパシタC1a、C2aにより遮断されている。また、2つの定常状態間の遷移過程において定電流源Iと接地電位ノード間に流れる直流電流も、キャパシタC1a、C2aにより遮断される。
【0045】
その結果、2つの定常状態及びその遷移過程において、共振器Resを介して定電流源Iと接地電位間に流れるはずの直流電流は遮断される。これにより、共振器Resを直流電流が流れることにより発生する位相雑音を低減することが可能となり、電圧制御発振器20の位相雑音特性の改善が図れる。また、前述のように、キャパシタC1a、C2aを挿入することにより増幅器AMP1、AMP2の利得の周波数特性が劣化するが、キャパシタC1b、インダクタL1、及びキャパシタC2b、インダクタL2を挿入することで増幅器AMP1、AMP2の利得の周波数特性を改善している。また、前述のように、抵抗R1、R2を挿入することにより、増幅器AMP1、AMP2の利得の周波数特性を改善している。
【0046】
図4は、本実例の電圧制御発振器30の回路図である。図4を参照して、本実施例1の電圧制御発振器10の増幅器AMP1、AMP2をMOSトランジスタとバイポーラトランジスタで構成した電圧制御発振器30について説明する。電圧制御発振器10と同じ構成については、同じ符号を付す。
【0047】
電圧制御発振器30は、電圧制御発振器20における増幅器AMP1、AMP2のnMOSトランジスタNM1、NM2をそれぞれnpnトランジスタTr1、Tr2により置き換えた構成を有するものである。また、電圧制御発振器30は、前述したキャパシタC1a、C1b、C2a、C2b、インダクタL1、L2、抵抗R1、R2を備える。また、電圧制御発振器20が備える共振器Resは、LC共振器であり、可変キャパシタC0と、インダクタL0から構成される。
【0048】
定電流源Iは、電源電位ノードVddに一端が接続されている。定電流源Iの他端には、pMOSトランジスタPM1、PM2のソースが共通接続されている。
【0049】
pMOSトランジスタPM1のゲートは、npnバイポーラトランジスタTr1のベースに接続されている。pMOSトランジスタPM1のドレインは、npnトランジスタTr1のコレクタに接続されている。
【0050】
pMOSトランジスタPM2のゲートは、npnバイポーラトランジスタTr2のベースに接続されている。pMOSトランジスタPM2のドレインは、npnトランジスタTr2のコレクタに接続されている。
【0051】
npnバイポーラトランジスタTr1のエミッタは、接地電位ノードに接続されている。
【0052】
npnバイポーラトランジスタTr2のエミッタは、接地電位ノードに接続されている。
【0053】
このように構成することで、pMOSトランジスタPM1、nMOSトランジスタNM1から構成される増幅器AMP1と、pMOSトランジスタPM2、nMOSトランジスタNM2から構成される増幅器AMP2とが構成される。pMOSトランジスタPM1のゲートとnpnバイポーラトランジスタTr1のベースを接続する配線部分が増幅器AMP1の入力(以下、「入力inamp1」と称する。)に相当し、pMOSトランジスタPM1のドレインとnpnバイポーラトランジスタTr1のコレクタを接続する配線部分が増幅器AMP1の出力(以下、「出力outamp1」と称する。)に相当する。pMOSトランジスタPM2のゲートとnpnバイポーラトランジスタTr2のベースを接続する配線部分が増幅器AMP2の入力(以下、「入力inamp2」と称する。)に相当し、pMOSトランジスタPM2のドレインとnpnバイポーラトランジスタTr2のコレクタを接続する配線部分が増幅器AMP2の出力(以下、「出力outamp2」と称する。)に相当する。
【0054】
共振器Resを構成するキャパシタC0、インダクタL0は互いに並列に接続され、その一端がキャパシタC1aを介して増幅器AMP1の出力outamp1に接続され、その他端がキャパシタC2aを介して増幅器AMP2の出力outamp2に接続されている。
【0055】
共振器Resの両端は、発振信号出力ノードOut1、Out2とされる。
【0056】
キャパシタC1aは、増幅器AMP1の出力outamp1と共振器Resの間に接続されている。キャパシタC2aは、増幅器AMP2の出力outamp2と共振器Resの間に接続されている。前述したように、キャパシタC1a、C2aは、電圧制御発振器の位相雑音の原因となる直流電流を遮断する。さらに、互いに直列に接続したキャパシタC1b、インダクタL1が、増幅器AMP1の入力inamp1と出力outamp1の間に接続されている。同様に、互いに直列に接続したキャパシタC2b、インダクタL2が、増幅器AMP2の入力inamp2と出力outamp2の間に接続されている。前述したように、キャパシタC1b、インダクタL1及びキャパシタC2b、インダクタL2は、それぞれ増幅器AMP1、AMP2の利得の周波数特性を改善し、位相雑音を低減する。
【0057】
抵抗R1は増幅器AMP1の入力inamp1と出力outamp1の間に接続されている。抵抗R2は増幅器AMP2の入力inamp2と出力outamp2の間に接続されている。
【0058】
次に、電圧制御発振器30の一連の動作過程における各トランジスタの動作について説明する。電圧制御発振器30は、以下に示す第1の定常状態と、第2の定常状態の間を遷移する。
【0059】
初期状態として、出力Out1の電位がL(Low)レベル、出力Out2の電位がH(High)レベルになっている第1の定常状態を想定する。各トランジスタの状態は、pMOSトランジスタPM1がオン状態、pMOSトランジスタPM2がオフ状態、npnバイポーラトランジスタTr1がオフ状態、npnバイポーラトランジスタTr2がオン状態となっている。
【0060】
発振状態では、出力Out2の電位はHレベルからLレベルとの間で順次変化するので、出力Out2の電位はHレベルからLレベルに遷移し、第2の定常状態となる。各トランジスタの状態は、pMOSトランジスタPM1がオフ状態、pMOSトランジスタPM2がオン状態、npnバイポーラトランジスタTr1がオン状態、npnバイポーラトランジスタTr2がオフ状態となっている。
【0061】
以上のように、従来のようにキャパシタC1a、C2aがない場合には、第1の定常状態において、pMOSトランジスタPM1、共振器Res、npnトランジスタTr2を経路として定電流源Iと接地電位ノード間に流れる直流電流が、電圧制御発振器30のようにキャパシタC1a、C2aを挿入することによりこの直流電流が遮断されていることである。同様に、第2の定常状態において、pMOSトランジスタPM2、共振器Res、npnトランジスタTr1を経路として定電流源Iと接地電位ノード間に流れる直流電流が、電圧制御発振器30では、キャパシタC1a、C2aにより遮断されている。また、2つの定常状態間の遷移過程において定電流源Iと接地電位ノード間に流れる直流電流も、キャパシタC1a、C2aにより遮断される。
【0062】
その結果、2つの定常状態及びその遷移過程において、共振器Resを介して定電流源Iと接地電位間に流れるはずの直流電流は遮断される。これにより、共振器Resを直流電流が流れることにより発生する位相雑音を低減することが可能となり、電圧制御発振器20の位相雑音特性の改善が図れる。また、前述のように、キャパシタC1a、C2aを挿入することにより増幅器AMP1、AMP2の利得の周波数特性が劣化するのを、キャパシタC1b、インダクタL1、及びキャパシタC2b、インダクタL2を挿入することで改善している。また、前述のように、抵抗R1、R2を挿入することにより、増幅器AMP1、AMP2の利得の周波数特性を改善している。
【0063】
さらに、増幅器AMP1、AMP2をnpnバイポーラトランジスタTr1、Tr2で構成することにより、電圧制御発振器20のようにMOSトランジスタで構成する場合より、良好な高周波特性が得られる。
【0064】
次に、図5、図6、図9を参照して、本実施例の電圧制御発振器20と、一般的な電圧制御発振器70との位相雑音特性を比較した結果について説明する。図9は、一般的に用いられる電圧制御発振器70の回路図である。図9に示すように、一般的な電圧制御発振器70は、本実施例の電圧制御発振器20のキャパシタC1a、C2aを短絡し、キャパシタC1b、C2b、インダクタL1、L2、抵抗R1、R2を取り除くことにより構成される。図5は、電圧制御発振器20の位相雑音特性のシミュレーション結果図である。図6は、一般的な電圧制御発振器70の位相雑音特性のシミュレーション結果図である。
【0065】
図5(a)、図6(a)は、それぞれ電圧制御発振器20、電圧制御発振器70の周波数―バンド図である。電圧制御発振器20は、電圧制御発振器70にキャパシタC1a、C2a、C1b、C2b、インダクタL1、L2、抵抗R1、R2が加えられた構成となっているため、電圧制御発振器20と電圧制御発振器70とでは、周波数―バンド特性は異なる。同一バンドにおける発振周波数は、電圧制御発振器20、電圧制御発振器70において、それぞれ、3.981GHz、3.042GHzであった。
【0066】
図5(b)、図6(b)は、それぞれ電圧制御発振器20、電圧制御発振器70の発振周波数3.981GHz、3.042GHzにおける位相雑音特性図である。電圧制御発振器20では、発振周波数3.981GHzから100kHz離長における雑音は−114.5Bc/Hzであり、20MHz離長における雑音はー163.6dBc/Hzであった。一方、電圧制御発振器70では、発振周波数3.042GHzから100kHz離長における雑音は−106.1dBc/Hzであり、20MHz離長における雑音はー158.3dBc/Hzであった。
【0067】
上述のように、同一バンドにおける電圧制御発振器20と、電圧制御発振器70との位相雑音特性を比較した。このため、比較した電圧制御発振器20と、電圧制御発振器70の位相雑音特性は、異なる発振周波数における位相雑音であった。しかし、通常、発振周波数が高い方が位相雑音は大きくなるにも係らず、電圧制御発振器20は、電圧制御発振器70より高い発振周波数において、雑音が100KHz離長で8.4dBc/Hz、20MHz離長で5.3dBc/Hz低減している。これにより、本実施例の電圧制御発振器20の位相雑音特性の優位性が示された。
【実施例2】
【0068】
図7を参照して、本発明の実施例2に係る無線通信システム40について説明する。図7は、本発明の実施例2に係る無線通信システム40の構成を示すブロック図である。
【0069】
図7に示すように、無線通信システム40は、電波信号を送信又は受信する外部のアンテナ41から電波信号を送信するか、又は受信するかを選択する切り替え器42と、外部(端子In)から入力された入力信号を処理し、電波信号をアンテナ41に出力する信号送信手段43と、外部のアンテナ41から受信した電波信号を処理し、外部(端子Out)に出力する信号受信手段44とを有している。
【0070】
信号送信手段43は、外部から入力された信号を処理する入力信号処理回路45と、実施例1で示した電圧制御発振器10又は電圧制御発振器20又は電圧制御発振器30を有する第1電圧制御発振回路46と、第1電圧制御発振回路46からの入力信号に基づいて入力信号処理回路45からの入力信号を変調する変調器47と、変調器47の出力信号を増幅して外部のアンテナ41へ出力するパワーアンプ48とを有している。
【0071】
信号受信手段44は、外部のアンテナ41から受信した電波信号を増幅するローノイズアンプ49と、実施例1で示した電圧制御発振器10又は電圧制御発振器20又は電圧制御発振器30を有する第2電圧制御発振回路50と、第2電圧制御発振回路50からの入力信号に基づいてローノイズアンプ49からの入力信号を復調する復調器51と、復調器51からの入力信号を処理して外部に出力する出力信号処理回路52とを有している。また、ローノイズアンプ49の入力側にSAW(Surface Acoustic Wave)フィルタ53を挿入し、ローノイズアンプ49に入力する信号をフィルタリングしてもよい。
【0072】
以上のように、無線通信システム40に実施例1の電圧制御発振器10又は電圧制御発振器20又は電圧制御発振器30を有する電圧制御回路46を用いることにより、変調器47、復調器51において、雑音成分の少ない変調が可能となる。これにより、狭い周波数帯域に多数の信号を伝送することが可能となり、周波数帯域の効率的な利用が可能となる。
【0073】
従来、例えば携帯電話の一規格であるGSMの無線通信システムでは、ダイレクトコンバージョン送信方式を採用した場合、発振周波数から20MHz離長の受信帯域での雑音がー164dBm/Hzという非常に高い雑音特性を実現しなければならなかった。このため、GSMの無線通信システムは、ダイレクトコンバージョン送信方式に代えて、複雑で部品点数の多いアーキテクチャを採用することが主流となっていた。しかし、実施例1に示した電圧制御発振器10又は電圧制御発振器20又は電圧制御発振器30を用いた無線通信システム40によれば、GSMの無線通信システムのような位相雑音特性の要求の厳しいシステムにおいても、簡易で部品点数も比較的少ないダイレクトコンバージョンアーキテクチャを採用することが可能となる。
【実施例3】
【0074】
図8を参照して、本発明の実施例3に係る位相同期回路60について説明する。図8は、本発明の実施例3に係る位相同期回路60の構成を示すブロック図である。
【0075】
図8に示すように、位相同期回路60は、位相比較器61、ループフィルタ62、分周器64、実施例1で示した電圧制御発振器10又は電圧制御発振器20又は電圧制御発振器30を含む電圧制御発振回路63を有する。
【0076】
位相比較器61は、入力される基準信号と、電圧制御発振回路63の出力信号を分周器64で分周した信号とを比較する。位相比較器61から出力される信号は、ループフィルタ62を介して電圧制御発振回路63の共振器の共振周波数制御電圧として入力される。電圧制御発振回路63は、共振周波数制御電圧に基づき所望の周波数の信号を出力する。この構成により、位相同期発振器60は、基準信号により規定される位相及び周波数を有する信号を出力することができる。位相同期発振器は、情報・ネットワーク機器向けLSIなど、さまざまなLSIに搭載される。
【0077】
以上のように、位相同期回路60に実施例1の電圧制御発振器10又は電圧制御発振器20又は電圧制御発振器30を含む電圧制御発振回路63を用いることにより、位相同期回路60の位相雑音特性の改善効果が得られる。
【0078】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々、変更して実施できることは勿論である。
【符号の説明】
【0079】
10、20、30、70 電圧制御発振器
AMP1、AMP2 増幅器
Res 共振器
PM1、PM2 pMOSトランジスタ
NM1、NM2 nMOSトランジスタ
L0、L1、L2 インダクタ
C0 可変容量キャパシタ
C1、C2、C3、C4 キャパシタ
R1、R2 抵抗
Out1、Out2 出力
Tr1、Tr2 npnトランジスタ
40 無線通信システム
41 アンテナ
42 切り替え器
43 信号送信手段
44 信号受信手段
45 入力信号処理回路
46 第1電圧制御発振回路
47 変調器
48 パワーアンプ
49 ローノイズアンプ
50 第2電圧制御発振回路
51 復調器
52 出力信号処理回路
53 SAWフィルタ
60 位相同期回路
61 位相比較器
62 ループフィルタ
63 電圧制御発振回路
64 分周器
Out、In 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共振器と、
前記共振器に入力側が接続された第1増幅器と、
前記第1増幅器の出力側と前記共振器との間に接続された第1キャパシタと、
前記第1増幅器の入力側と出力側の間に、直列に接続された第2キャパシタ及び第1インダクタと、
前記共振器に入力側が接続された第2増幅器と、
前記第2増幅器の出力側と前記共振器との間に接続された第3キャパシタと、
前記第2増幅器の入力側と出力側の間に、直列に接続された第4キャパシタ及び第2インダクタと、
を備えたことを特徴とする電圧制御発振器。
【請求項2】
前記第1キャパシタと、前記第2キャパシタと、前記第1インダクタとを備えた前記第1増幅器の利得の周波数特性のピークにおける周波数と、前記第3キャパシタと、前記第4キャパシタと、前記第2インダクタとを備えた前記第2増幅器の利得の周波数特性のピークにおける周波数とが、前記共振器の共振周波数よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の電圧制御発振器。
【請求項3】
前記第1増幅器の入力側と出力側の間に接続された第1抵抗と、
前記第2増幅器の入力側と出力側の間に接続された第2抵抗と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2記載の電圧制御発振器。
【請求項4】
電源電位ノードに一端が接続された定電流源と、
前記定電流源の他端にソースが共通接続された第1pMOSトランジスタ及び第2pMOSトランジスタと、
前記第1pMOSトランジスタのゲートにゲートが接続され、前記第1pMOSトランジスタのドレインにドレインが接続され、接地電位ノードにソースが接続された第1nMOSトランジスタと、
前記第2pMOSトランジスタのゲートにゲートが接続され、前記第2pMOSトランジスタのドレインにドレインが接続され、接地電位ノードにソースが接続された第2nMOSトランジスタと、
前記第1pMOSトランジスタ及び前記第1nMOSトランジスタのゲートと、前記第2pMOSトランジスタ及び前記第2pMOSトランジスタのゲートとの間に接続された共振器と、
前記第1pMOSトランジスタ及び前記第1nMOSトランジスタのドレインと、前記第2pMOSトランジスタ及び前記第2pMOSトランジスタのゲートとの間に接続された第1キャパシタと、
前記第1pMOSトランジスタ及び前記第1nMOSトランジスタのドレインと、前記第1pMOSトランジスタ及び前記第1nMOSトランジスタのゲートとの間に、直列に接続された第2キャパシタ及び第1インダクタと、
前記第2pMOSトランジスタ及び前記第2nMOSトランジスタのドレインと、前記第1pMOSトランジスタ及び前記第1pMOSトランジスタのゲートとの間に接続された第3キャパシタと、
前記第2pMOSトランジスタ及び前記第2nMOSトランジスタのドレインと、前記第2pMOSトランジスタ及び前記第2nMOSトランジスタのゲートとの間に、直列に接続された第4キャパシタ及び第2インダクタと
を備えたことを特徴とする電圧制御発振器。
【請求項5】
電源電位ノードに一端が接続された定電流源と、
前記定電流源の他端にソースが共通接続された第1pMOSトランジスタ及び第2pMOSトランジスタと、
前記第1pMOSトランジスタのゲートにベースが接続され、前記第1pMOSトランジスタのドレインにコレクタが接続され、設置電位ノードにエミッタが接続された第1バイポーラトランジスタと、
前記第2pMOSトランジスタのゲートにベースが接続され、前記第2pMOSトランジスタのドレインにコレクタが接続され、設置電位ノードにエミッタが接続された第2バイポーラトランジスタと、
前記第1pMOSトランジスタのゲート及び前記第1バイポーラトランジスタのベースと、前記第2pMOSトランジスタのゲート及び前記第2バイポーラトランジスのベースとの間に接続された共振器と、
前記第1pMOSトランジスタのドレイン及び前記第1バイポーラトランジスタのコレクタと、前記第2pMOSトランジスタのゲート及び前記第2バイポーラトランジスのベースとの間に接続された第1キャパシタと、
前記第1pMOSトランジスタのドレイン及び前記第1バイポーラトランジスタのコレクタと、前記第1pMOSトランジスタのゲート及び前記第1バイポーラトランジスタのベースとの間に直列に接続された第2キャパシタ及び第1インダクタと、
前記第2pMOSトランジスタのドレイン及び前記第2バイポーラトランジスタのコレクタと、前記第1pMOSトランジスタのゲート及び前記第1バイポーラトランジスのベースとの間に接続された第3キャパシタと、
前記第2pMOSトランジスタのドレイン及び前記第2バイポーラトランジスタのコレクタと、前記第2pMOSトランジスタのゲート及び前記第2バイポーラトランジスタのベースとの間に直列に接続された第4キャパシタ及び第2インダクタと、
を備えたことを特徴とする電圧制御発振回路。
【請求項6】
信号送信手段と、信号受信手段とを備えた無線通信システムにおいて、
信号送信手段は、
請求項1乃至請求項6いずれか1項記載の電圧制御発振器を有する第1電圧制御発振回路と、
前記電圧制御発振器からの信号に基づいて入力信号を変調し、出力する変調器と、
前記変調器からの入力信号を増幅して出力するパワーアンプとを備え、
信号受信手段は、
入力信号を増幅して出力するローノイズアンプと、
請求項1乃至請求項6いずれか1項記載の電圧制御発振器を有する第2電圧制御発振回路と、
前記電圧制御発振器からの信号に基づいて、前記ローノイズアンプからの入力信号を復調し、出力する復調器とを備えることを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
基準信号の位相と位相比較信号の位相とを比較し、位相差に応じた第1信号を出力する位相比較回路と、
前記位相比較回路からの前記第1信号をフィルタリングするループフィルタと、
前記請求項1乃至6いずれ1項に記載の電圧制御発振器を含み、前記ループフィルタによりフィルタリングされた前記第1信号に応じた周波数の第2信号を出力する電圧制御発振回路と、
前記第2信号を分周して前記第1信号として前記位相比較回路に出力する分周回路とを備えることを特徴とする位相同期回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−226225(P2010−226225A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68664(P2009−68664)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】