説明

電圧増倍回路

【課題】 保守の時間短縮および出力電圧変更時のコスト節約ができる電圧倍増回路を提供すること。
【解決手段】 本発明は、電圧増倍回路を提供し、電圧ポンピングブロック20およびファンクション信号発生器35を備える。電圧ポンピングブロック20は、入力電圧のポンピングを行うために、第1ダイオード22、第2ダイオード24、第1結合コンデンサ26および第2結合コンデンサ28からなる。本発明によれば、多レベル電圧ポンピングブロックを形成することができ、また、電圧ポンピングブロック20は、保守にはダイオードおよびコンデンサを交換することだけですみ、また、電圧ポンピングの範囲を容易に調節するためにはダイオードおよびコンデンサの数を増減させるだけでよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧増倍回路に関し、特に、ダイオードおよびコンデンサを使用して電圧ポンピングの効果を達成する電圧増倍回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ステップアップDC/DCコントローラ集積回路は、正または負電圧の電圧ポンピングを達成するために、ダイオード、MOSFET、コイル、ショットキーダイオードおよびフィルタコンデンサが使用されている。図1に示されている正電圧増倍回路の従来回路は、トランジスタまたはMOSFET10、コイル11、ショットキーダイオード12、コンデンサ13、コンデンサ14、コンデンサ15およびステップアップDC/DCコントローラ集積回路16を備える。
【0003】
この電圧ポンピング回路は次の欠点を有する、すなわち、高周波発振の結果として高エネルギーのEMI(電磁障害)が発生するが、低電磁障害の集積回路を使用すると部品コストが増加する。異なった会社で製造されたポンピング電圧集積回路には互いに互換性がなく、製品の納期の影響がある。加えて、使用されていた集積回路の製造が止まると、印刷回路板の構造およびレイアウトを変更しなければならなくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、電圧増倍回路を提供することである。本発明の電圧増倍回路は、多レベル電圧ポンピングブロックを製造することができ、メンテナンスするためにはただダイオード及びコンデンサを交換するだけでよく、電圧を変えるために印刷回路基板の構造やレイアウトを変える必要がない。したがって、本発明はさらに、コストの低減および修理しやすいという目的を達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記目的を達成するために、本発明の電圧増倍回路は、第1ダイオード、第2ダイオード、第1結合コンデンサおよび第2結合コンデンサを有する第1電圧ポンピングブロックと、種々のファンクション波形の信号を発生するファンクション信号発生回路とを備えており、このファンクション信号発生器は正弦波、方形波、三角波、パルス波及び不規則波を発生する。この回路において、第1ダイオードの一方側は入力電圧の受け取り用であり、第1ダイオードの他方側は第1結合コンデンサおよび第2ダイオードの一方側に接続されている。第1結合コンデンサの他方側はファンクション信号を受け取る。第2ダイオードの他方側は第2結合コンデンサの一方側に接続されて出力電圧を出力し、第2結合コンデンサの他方側は接地されている。
【0006】
本発明によれば、入力信号を受け取る信号入力回路と、電圧ポンピングを行う複数の電圧ポンピングブロックと、ファンクション信号を発生するファンクション信号発生器とを備える別の電圧増倍回路が供給される。図4に示すように、それぞれの電圧ポンピングブロックは、第1ダイオード、第2ダイオード、第1結合コンデンサおよび第2結合コンデンサを有している。第1ダイオードの一方側は入力電圧の受け取り用であり、他方側は第1結合コンデンサおよび第2ダイオードの一方側に接続されている。第1結合コンデンサの他方側はファンクション信号発生器からの信号を受け取る。第2ダイオードの他方側は第2結合コンデンサの一方側に接続されて出力電圧を出力し、第2結合コンデンサの他方側は接地されている。前レベルの電圧ポンピングブロックは、次レベルの電圧ポンピングブロックの入力電圧として使用される。前レベルの電圧ポンピングブロックの第2ダイオードの他方側は、次レベルの電圧ポンピングブロックの第1ダイオードの側に接続されている。
【発明の効果】
【0007】
上述したように、本発明は、以下の効果を達成することができる、すなわち、
1.低コストであると共に、ファンクション信号(正弦波、方形波、三角波、パルス波または不規則波)発生器は、トランジスタ、演算増幅器、標準論理集積回路または水晶発振器にすることができる。
2.低周波で低電磁障害性である。
3.発信器の周波数が固定され、電磁放射を抑圧しやすい。
4.回路が単純で、保守しやすい。したがって、間接的に製品のコストを、また保守コストを低減しやすい。
5.部品の入手および特定の仕様を必要とせず、高い交換特性を有する。
6.単一電源の環境において、本発明による必須のファンクション信号発生器及びダイオードとコンデンサを含む回路を用いることにより、高価であると共に複雑な従来の回路を用いることなしに、VFDのグリッドに供給するための正電圧を発生することができる。
7.電圧の要求値に応じて、ダイオードおよびコンデンサからなる回路の数を増減させることができ、また、必要な電圧を発生するために電圧を安定させるデバイス(ツェナーダイオードまたは定電圧集積回路など)を追加することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明に従った好適な実施形態を、添付の図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0009】
図2(a)は、本発明の好適な実施形態に従った正電圧増倍器の回路図である。図2(a)を参照すると、正電圧増倍回路は、電圧ポンピングブロック20を備える。電圧ポンピングブロック20は、第1ダイオード22、第2ダイオード24、第1結合コンデンサ26および第2結合コンデンサ28を有している。ここで第1ダイオード22の一方側は正電圧Vinの受け取り用であり、第1ダイオード22の他方側は第1結合コンデンサ26および第2ダイオード24の一方側に接続されている。第1結合コンデンサ26の他方側はファンクション信号を受け取る。第2ダイオード24の他方側は第2結合コンデンサ28の一方側に接続されて、ノードN1に電圧を出力する。第2結合コンデンサ28の他方側は接地されている。
【0010】
図2(b)は、本発明の好適な実施形態に従った正電圧増倍器の回路図である。図2(b)を参照すると、ファンクション信号を発生するファンクション信号発生回路30を備え、ファンクション信号は、正弦波、方形波、三角波、パルス波または不規則波とし得る。ノードN12に示されているように、出力電圧Voは以下に示すとおりである。
Vo=Viピーク+Vin
【0011】
図2(c)は、本発明の好適な実施形態に従った負電圧増倍器の回路図である。図2(c)および図2(a)を参照すると、本実施形態では、ダイオードが逆に接続され、図2(a)の正電圧の代わりに負電圧が与えられる。それにより、負電圧増倍回路は簡単なものとなる。
【0012】
図2(d)は、図2(b)の正電圧増倍回路に従った負電圧増倍回路図である。この回路は電圧値:−Vo=Viピーク+(|−V−|)をノードN2に出力する。入力電圧がV−であるとき、ダイオードの一方側が負電圧を受け取るか、または接地される。
【0013】
図3(a)は、本発明の別の好適な実施形態に従った正電圧増倍器の回路図である。図3(a)を参照すると、電圧増倍回路は、入力電圧V+を受け取るための入力回路33と、第1正電圧ポンピングブロック34、第2正電圧ポンピングブロックなどの、すべて電圧のポンピング用である複数の電圧ポンピングブロックと、出力電圧を出力するノードN5と、ファンクション信号を発生するファンクション信号発生器35とを備えている。それぞれの電圧ポンピングブロックは、第1ダイオード22、第2ダイオード24、第1結合コンデンサ26および第2結合コンデンサ28を有している。第1ダイオード22の一方側は入力電圧V+の受け取り用であり、他方側は第1結合コンデンサ26の一方側および第2ダイオード24に接続されている。第1結合コンデンサ26の他方側はファンクション信号発生器からファンクション信号を受け取る。第2ダイオード24の他方側は第2結合コンデンサ28の一方側に接続されて出力電圧を出力し、第2結合コンデンサ28の他方側は接地されている。
【0014】
上述したように、前レベルの電圧ポンピングブロックのは次レベルの電圧ポンピングブロックの入力電圧として使用される。前レベルの電圧ポンピングブロックの第2ダイオードの他方側は、次レベルの電圧ポンピングブロックの第1ダイオードの側に接続される。第1ダイオードの一方側は入力電圧の受け取り用であり、第1ダイオードの他方側は第1結合コンデンサおよび第2ダイオードの一方側に接続される。第1結合コンデンサの他方側はファンクション信号を受け取り、第2ダイオードの他方側は第2結合コンデンサの一方側に接続されて出力電圧を出力し、第2結合コンデンサの他方側は接地されている。
【0015】
図3(b)は、本発明の別の好適な実施形態に従った負電圧増倍器の回路図である。本実施形態は、3つの負電圧ポンピングブロックを負電圧のポンピング用に利用して、電圧値:−Vo=3×Viピーク+(|V−|)を出力する。
【0016】
本発明の他の実施形態では、3つの正電圧ポンピングブロックか、または3つの負電圧ポンピングブロックを使用することだけに制限されない。反対に、正電圧ポンピングブロックおよび負電圧ポンピングブロックを同時に使用して、負荷の電圧に従って電圧ポンピングブロックの数を適当に調節することができる。
【0017】
図4は、本発明の別の好適な実施形態に従って正および負の電圧増倍器を同時に使用する回路図である。図4は、本発明が正および負電圧の電圧ポンピングを行うことができることを示す。本実施形態の電圧増倍器は、入力電圧の受け取り用の入力回路41と、電圧のポンピングを行う複数の正電圧ポンピングブロックと、電圧のポンピングを行う複数の負電圧ポンピングブロックと、正電圧を出力するノードN8と、負電圧を出力するノードN10と、ファンクション信号を発生するファンクション信号発生器49とを備えている。なかでも、それぞれの電圧ポンピングブロックは、第1ダイオード51、第2ダイオード52、第1結合コンデンサ53および第2結合コンデンサ54を有している。第1ダイオード51の一方側は入力電圧の受け取り用であり、他方側は第1結合コンデンサ53および第2ダイオード52の一方側に接続されている。第1結合コンデンサ53の他方側はファンクション信号を受け取り、第2ダイオード52の他方側は第2結合コンデンサ54の一方側に接続されて出力電圧を出力し、第2結合コンデンサ54の他方側は接地されている。また、前レベルの電圧ポンピングブロックが、次レベルの電圧ポンピングブロックの入力電圧として利用され、前レベルの電圧ポンピングブロックの第2ダイオード52の他方側は、次レベルの電圧ポンピングブロックの第1ダイオード55の側に接続されている。
【0018】
図5は、本発明の別の好適な実施形態に従ってVFDに電圧増倍器を利用した回路図である。本実施形態では、正電圧ポンピングブロックがVFDに適用されて、高価な集積回路を使用せず、この簡単な電圧増倍回路を使用することによって入力電圧を必要な電圧に容易にポンピングすることができる。正の高電圧を発生してVFDのグリッドに提供するために、高価な従来の回路を使用する代わりに、ダイオードおよびコンデンサからなる回路を使用しているだけである。さらに、本発明で提供された回路は、部品の入手が容易であり、保守および部品の交換が容易である。
【0019】
別の実施形態では、電圧を安定させるデバイス(ツェナーダイオードまたはレギュレータ集積回路など)を追加することができる。その場合、ファンクション信号は正弦波、方形波、三角波、パルス波または不規則波であり、出力電圧をVFDに印加することができる。
【0020】
以上に好適な実施形態を参照しながら説明してきたが、当業者であれば、本発明および添付の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の変更および修正を行い得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、従来技術に従った正電圧ポンピング回路を示す回路図である。
【図2】図2(a)は、本発明の好適な実施形態に従った正電圧増倍器の回路図である。図2(b)は、本発明の好適な実施形態に従った正電圧増倍器の回路図である。図2(c)は、本発明の好適な実施形態に従った負電圧増倍器の回路図である。図2(d)は、図2(c)の負電圧増倍回路に従った回路図である。
【図3】図3(a)は、本発明の別の好適な実施形態に従った正電圧増倍器の回路図である。図3(b)は、本発明の別の好適な実施形態に従った負電圧増倍器の回路図である。
【図4】図4は、本発明の別の好適な実施形態に従った正および負の電圧増倍器を同時に用いる回路図である。
【図5】図5は、本発明の別の好適な実施形態に従ってVFDに電圧増倍器を用いる回路図である。
【符号の説明】
【0022】
20 電圧ポンピングブロック
22 第1ダイオード
24 第2ダイオード
26 第1結合コンデンサ
28 第2結合コンデンサ
35 ファンクション信号発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ダイオード、第2ダイオード、第1結合コンデンサおよび第2結合コンデンサを有する電圧ポンピングブロックと、
ファンクション信号を発生するファンクション信号発生回路と、
を備える電圧増倍回路であって、
前記第1ダイオードの一方側は入力電圧の受け取り用であり、前記第1ダイオードの他方側は前記第1結合コンデンサおよび前記第2ダイオードの一方側に接続され、前記第1結合コンデンサの他方側は前記ファンクション信号を受け取り、前記第2ダイオードの他方側は前記第2結合コンデンサの一方側に接続されて出力電圧を出力し、前記第2結合コンデンサの他方側は接地されていることを特徴とする電圧増倍回路。
【請求項2】
前記入力電圧は、正か、または負であることを特徴とする請求項1に記載の電圧増倍回路。
【請求項3】
前記ファンクション信号は、正弦波、方形波、三角波、パルス波または不規則波であることを特徴とする請求項1に記載の電圧増倍回路。
【請求項4】
前記出力電圧は、真空蛍光管表示装置に出力されることを特徴とする請求項1に記載の電圧増倍回路。
【請求項5】
電圧のポンピングを行う複数の電圧ポンピングブロックと、
ファンクション信号を発生するファンクション信号発生器と、
を備える電圧増倍回路であって、
前記電圧ポンピングブロックの各々が、第1ダイオード、第2ダイオード、第1結合コンデンサおよび第2結合コンデンサを有し、前記第1ダイオードの一方側は入力電圧の受け取り用であり、他方側は前記第1結合コンデンサおよび前記第2ダイオードの一方側に接続され、前記第1結合コンデンサの他方側は前記ファンクション信号を受け取り、前記第2ダイオードの他方側は前記第2結合コンデンサの一方側に接続されて出力電圧を出力し、前記第2結合コンデンサの他方側は接地されており、
前レベルの前記電圧ポンピングブロックは、次レベルの前記電圧ポンピングブロックの入力電圧として使用され、前レベルの前記電圧ポンピングブロックの前記第2ダイオードの他方側は、次レベルの前記電圧ポンピングブロックの前記第1ダイオードの側に接続されていることを特徴とする電圧増倍回路。
【請求項6】
前記入力電圧は、正か、または負であることを特徴とする請求項5に記載の電圧増倍回路。
【請求項7】
前記ファンクション信号は、正弦波、方形波、三角波、パルス波または不規則波であることを特徴とする請求項5に記載の電圧増倍回路。
【請求項8】
前記出力電圧は、真空蛍光管表示装置に出力されることを特徴とする請求項5に記載の電圧増倍回路。
【請求項9】
電圧のポンピングを行う複数の正電圧ポンピングブロックと、
別の電圧のポンピングを行う複数の負電圧ポンピングブロックと、
ファンクション信号を発生するファンクション信号発生器と、
を備える電圧増倍回路であって、
前記正または負電圧ポンピングブロックの各々が、第1ダイオード、第2ダイオード、第1結合コンデンサおよび第2結合コンデンサを有し、前記第1ダイオードの一方側は入力電圧の受け取り用であり、他方側は前記第1結合コンデンサおよび前記第2ダイオードの一方側に接続され、前記第1結合コンデンサの他方側は前記ファンクション信号を受け取り、前記第2ダイオードの他方側は前記第2結合コンデンサの一方側に接続されて出力電圧を出力し、前記第2結合コンデンサの他方側は接地されており、
前レベルの前記電圧ポンピングブロックは、次レベルの前記電圧ポンピングブロックの入力電圧として使用され、前レベルの前記電圧ポンピングブロックの前記第2ダイオードの他方側は、次レベルの前記電圧ポンピングブロックの前記第1ダイオードの側に接続されていることを特徴とする電圧増倍回路。
【請求項10】
前記入力電圧は、正か、または負であることを特徴とする請求項9に記載の電圧増倍回路。
【請求項11】
前記ファンクション信号は、正弦波、方形波、三角波、パルス波または不規則波であることを特徴とする請求項9に記載の電圧増倍回路。
【請求項12】
前記出力電圧は、真空蛍光管表示装置に出力されることを特徴とする請求項9に記載の電圧増倍回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−174687(P2006−174687A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−208059(P2005−208059)
【出願日】平成17年7月19日(2005.7.19)
【出願人】(503331115)技發科技股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】