説明

電子モジュールの製造方法

本発明は電子モジュールを製造する方法に関し、電子モジュールは導体パターン層(14)に電気的に接続される構成要素(6)を含む。この方法では、導体層(4)内に接点開口(17)を作製し、接触開口どうしの位置関係は、構成要素(6)の接触領域(7)どうしの位置関係に対応する。この後、構成要素(6)の接触領域(7)が接点開口(17)の位置に来るように、構成要素(6)と導体層(4)とを互いに位置合わせして、構成要素(6)を固定する。この後、構成要素(6)を導体層(4)に接続する導体材料を、少なくとも接点開口(17)内および構成要素(6)の接触領域(7)に作製する。接点の作製後に、導体層(4)をパターン化して導体パターン層(14)を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子モジュールの製造方法に関するものである。
【0002】
本発明は特に、1以上の構成要素を設置ベースに埋め込む製造方法に関するものである。製造中の電子モジュールは回路基板状のモジュールであり、このモジュールは複数の構成要素を含み、これらの構成要素は電子モジュール内に製造された導体構造を通して相互に電気的に接続される。特に、本発明は、複数の接点端子が接続される微小回路を含む電子モジュールに関する。もちろん、微小回路に加えてまたはこの代わりに、他の構成要素、例えば受動構成要素も、設置ベース内に埋め込むことができる。従って、一般にケースなしに回路基板に(回路基板の表面に)取り付けられる構成要素を電子モジュール内に埋め込むことが意図されている。他の重要な構成要素群は、一般に回路基板に対する取り付け用にケースに入った構成要素からなる。本発明に関連する電子モジュールは、もちろん他の種類の構成要素も含むことができる。
【0003】
設置ベースは、電気的構成要素を設置するためのベースとして使用される種類のものとすることができる。ベースの役割は、構成要素並びに必要な電気接続用の機械的取り付けベースを提供することにあり、これらの電気接続はベース上の他の構成要素およびベース外の構成要素の双方への電気接続である。設置ベースは回路基板とすることができ、従って本発明に関連する構成および方法は、回路基板の製造技術と密接に関連する。設置ベースは、他の何らかのベース、例えば、単一もしくは複数の構成要素を封止するために使用されるベース、または完結した動作モジュールのベースとすることができる。
【0004】
回路基板の製造技術は、例えば、微小回路の製造法において、基板である取り付けベースが半導体材料である一方、回路基板の設置ベースの基本材料がある種の絶縁材料であるという点で微小回路の製造とは異なる。微小回路を製造するための技術は、同様に一般的には回路基板を製造するための技術よりも、はるかに高価である。
【0005】
構成要素、特に半導体構成要素のケーシングおよびパッケージ(封止)は、構成要素のパッケージの主要な目的が、構成要素の周りにケーシングを形成し、構成要素を機械的に保護するとともに、構成要素の取り扱いを容易にすることであるという点で、微小回路の構成および製造とは異なる。構成要素のケーシングの表面には、接続部、一般的には突起が設けられ、これを用いることによって、ケーシングに入れられた構成要素を容易かつ適正に基板上で位置合わせして、この構成要素への所望の接続を作製することができる。これに加えて、構成要素のケーシングの内部に導体が存在し、これらの導体は、ケースの外部に突出した接続部を実際の構成要素の表面上の接触領域に接続し、これらの導体を通して、構成要素を所望の周辺装置と接続することができる。
【0006】
しかし、従来の技術を使用して製造された構成要素のケーシングは、かなりの量のスペースを必要とする。電子機器の寸法が小さくなるにつれて、大きなスペースを必要とするだけでなく、無用でありかつ不要なコストをもたらす構成要素のケーシングを省略しようという試みがなされてきた。この問題を解決するため、様々な構成および方法が開発され、これによって、構成要素を回路基板構造内部に配置できるようになった。構成要素は、回路基板の作製中に回路基板の内部に配置することが好ましい。
【0007】
【特許文献1】米国特許第6489685号
【0008】
米国特許第6489685号明細書には1つの解決策が記載されており、これによると、回路基板の作製中に構成要素を回路基板の内部に配置する。このような解決策において、導体パターンが支持ベースの上に形成され、構成要素は製造された導体パターンに接続される。この後、回路基板の基材として作用する絶縁層が導体パターンおよび構成要素上に形成され、この絶縁層の上に追加的な導体パターンを設けることができる。絶縁層を作製した後、支持ベースが構造から分離される。
【0009】
【特許文献2】米国特許第6038133号
【0010】
米国特許第6038133号明細書は、上記の方法に類似する方法のみならず、第2の解決策も記載されており、これによると、回路基板の作製中に構成要素を回路基板の内部に配置する。第2の解決策において、構成要素が導電性接着剤によって銅箔に接着され、この後、回路基板の基材として作用する絶縁層が銅箔および構成要素の上に形成される。絶縁層の作製の後、導体パターンが銅箔から作製される。
【0011】
【特許文献3】国際公開第03/065778号
【0012】
国際公開第03/065778号パンフレットには、少なくとも1つの導体パターンをベース中、並びに半導体構成要素用のバイア中に形成する方法が記載されている。この後、半導体構成要素が導体パターンに位置合わせされてバイア中に配置される。少なくとも1つの導体パターンが半導体構成要素の表面上の接触領域との電気接触を形成するように、半導体構成要素がベース構造に取り付けられるとともに、1以上の導体パターン層がベース中に作製される。
【0013】
【特許文献4】国際公開第03/065779号
【0014】
国際公開第03/065779号パンフレットには、バイアが第1表面と第2表面との間に延在するように、バイアを半導体構成要素用のベースに形成する方法が記載されている。バイアを形成した後、ポリマー膜が半導体構成要素用に形成されたバイアをも覆うように、ベース構造の第2表面上にポリマー膜を展開する。ポリマー膜が硬化するか、または部分的に硬化する前に、半導体構成要素をベースの第1表面の方向からベース中に作製された孔内に配置する。半導体構成要素はポリマー膜に押し付けられ、これによりポリマー膜に粘着する。この後、少なくとも1つの導体層が半導体構成要素の表面上の接触領域との電気接触を形成するように、ポリマー膜の最終硬化が起こるとともに、追加的な導体層が作製される。
【0015】
特許文献3および特許文献4に記載の方法によると、このバイアの方法を使用することによって、構成要素の接触バンプまたは他の接触領域への接点が形成される。バイアの方法は、構成要素への非常に高品質でかつ信頼性が高い電気接点を作製するために使用することができる。これは、接点を作製する際、化学的または電気化学的メタライゼーション(金属化)法を使用ことができるという事実に基づく。また、メタライゼーションの前に、例えばレーザまたはプラズマを用いることによって接触面を洗浄することができる。一方で、これらの国際公開公報に記載された方法では、回路基板の基材である絶縁層の表面上に直接形成された導体パターンに構成要素を接触させることができない。
【0016】
次に、特許文献1および特許文献2に記載の方法は、回路基板の基材として作用する絶縁層の表面上に直接形成された導体パターンに構成要素を直接取り付けることができるという利点を有する。これは、小型の電子モジュールの費用効果的な製造を意図する場合には、きわめて有利な特徴である。これらの米国特許文献に記載された方法によると、構成要素を直接導体パターン中に配置することもでき、この場合、位置合わせ精度に関連する問題はほとんど起きないことが期待される。しかし、電子モジュールを製造する際、これらの米国特許文献に記載の方法では、電気接点を構成要素と一緒に作製するというやり方に起因して、信頼性および歩留りに関する問題が生じ得る。
【0017】
小型で信頼性の高い構成要素の費用効果的な製造を目指す場合、構成要素の位置合わせおよび部材への接点の作成方法が、非常に重要な要因となる。構成要素を非常に正確に位置合わせすることが可能であるべきであり、また基板の内部に最終的に埋め込む前に位置合わせを検証できることが好ましい。構成要素が誤って位置合わせされると、信頼性の問題が生じるとともに歩留りが低下し、モジュールの製造の収益性が損なわれる。同様に、歩留りおよび信頼性は、構成要素に接点を形成する方法によっても影響される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、構成要素を回路基板または他の電子モジュールの内部に配置することのできる新しい方法を作り出すことを意図する。このような方法は、特に、構成要素の接触バンプまたは他の接触領域との高品質でかつ信頼性の高い電気接続部を形成することを可能にすべきである。さらに、構成要素を正確に位置合わせするとともに、回路基板の基材である絶縁層の表面のすぐ上にある導体層に、構成要素を電気的に直接接続する。
【0019】
本発明は、まず、構成要素の接触領域の位置に、この構成要素に関連する導体層内に接点開口を形成することを基礎とする。この後、例えば絶縁接着剤により構成要素を導体層に取り付け、接点開口に位置合わせする。この後、導体層と構成要素の接触領域との間の電気接点を接点開口を通して製造する。電気接点を製造したあと、導体パターンを導体層から製造する。
【0020】
より詳細には、本発明の方法は、請求項1の特徴部分の記載によって特徴付けられる。
【0021】
本発明により多くの利点がもたらされる。
【0022】
本発明の方法を使用することにより、構成要素の接触バンプまたは他の接触領域との高品質でかつ信頼性の高い電気接点を製造することができる。これは、接点を製造する際、例えば、回路基板産業において知られており、かつ信頼性が高いとされる何れかのマイクロバイア法を使用することができるという事実に基づく。接触領域をまずレーザまたはプラズマによって洗浄し、この後、化学的および/または電気化学的メタライゼーション法の使用により、接点開口中に金属を成長させることによって、接点を製造することもできる。
【0023】
この方法は、回路基板の基材である絶縁層の表面のすぐ上に存在する導体層に、構成要素を電気的に直接接続することも可能にする。構成要素が直接接点開口と、すなわち導体層内に形成された孔によって位置合わせされるので、この方法は、構成要素の取り付け前に、構成要素を精密に位置合わせすることも可能にする。
【0024】
いくつかの好適例では、構成要素を回路基板または他の電子モジュールの内部に最終的に閉じ込める前に、構成要素の位置合わせが成功したかどうかを接点開口を通してチェックすることができる。これは、この段階ではまだ、誤って位置合わせされた構成要素を構成から取り外して再び位置合わせすることができ、あるいは、モジュールのすべての構成要素を取り外し、他の電子モジュールに再利用することができるという点で有利である。このように、高価な構成要素が埋め込まれる電子モジュールを製造する際には、一層の節約が可能である。
【0025】
好適例による方法では、電子モジュールの導体パターン層の数を電流の要求に応じて選択することができる。例えば、1つまたは2つの導体パターン層を設けることができる。これ加えて、回路基板産業において知られた方法により、追加的な導体パターン層を製造することができる。従って、モジュール全体では例えば1つ、2つ、4つまたは6つの導体パターン層を設けることができる。通常、偶数の導体パターン層を形成するが、奇数の導体パターン層を製造することもできる。
【0026】
いくつかの好適例では、構成要素の一部を基材の絶縁層の導体層の第2表面に向けて配置することによって、構成の導電容量をも改善することができ、この場合、構成要素の有効表面は基板の両面に対向する。
【0027】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
この実施例による方法では、例えばむき出しの導体層4から製造を開始することができ、この導体層は例えば金属層とすることができる。導体層4に適用可能な製造材料は、例えば、銅箔(Cu)である。プロセス用に選択される導体層4が非常に薄いか、または導体層が他の理由で機械的に耐久性を有しない場合には、導体層4を支持層12によって支持することが推奨される。例えば、支持層12の製造からプロセスを開始することによって進めることもできる。支持層12は、例えば、導電材料(例えばアルミニウム(Al)、鋼または銅)または絶縁材料(例えばポリマー)にすることができる。パターン化されていない導体層4は、例えば回路基板産業では周知の何らかの製造方法を使用することによって、支持層12の第2表面に作製することができる。導体層は、例えば、支持層12の表面上に銅箔(Cu)をラミネート加工することよって形成することができる。あるいは、支持層12を導体層4の表面に作製することによって進めることができる。導体層4は、被覆された金属層にすることもでき、または複数の層または複数の材料を含む他の何らかの膜とすることもできる。
【0029】
例えば第1表面上に絶縁材料層を有する導体層4の形成から製造を開始することもできる。この場合、第1表面とは、絶縁層1の内部に埋め込まれた構成要素が取り付けられる側の表面をいう。一部の実施例では、絶縁層1とは逆側に、別の導体層4をさらに設けることができる。支持層12が使用される実施例の場合、支持層12は導体層4とは逆側の表面、すなわち第1表面にある。その後、孔または凹部2が、埋め込まれる構成要素の用に絶縁材料層1内に作製される。凹部2は、絶縁層1と導体層4とを相互に取り付ける前または取り付けた後に作製することができる。凹部2を形成する際、回路基板産業において知られた何れかの既知の加工方法、例えばフライス加工またはレーザ掘削を使用することができる。
【0030】
構成要素6を取り付ける前に、導体層4内の構成要素6の接触領域7の位置に接点開口17を形成する。接点開口17は、例えばレーザ装置による掘削によって形成することができる。接点開口17どうしの位置関係は、構成要素の接触領域7どうしの位置関係に従って選択し、一方、接点開口のそれぞれのグループの場所および位置は、構成要素が電子モジュール全体に対して正確に位置合わせされるように選択する。従って、電気接点の作製に加わる接触領域7毎に、接点開口17が1個形成される。形成される接点開口17の表面積は、対応する接触領域7の表面積と比較して同じくらいの大きさにすることができる。もちろん、接点開口17の表面積は、対応する接触領域7の表面積よりも小さく、あるいは一部の実施例ではわずかに大きく選定することができる。
【0031】
接点開口17は、第1または第2表面の方向から掘削することができる。支持層12が使用され、従ってこれが導体層の第2表面にある実施例の場合、接点開口17を第1表面の方向から掘削すると有利である、というのも、このような場合、掘削されるべき開口は支持層12を完全に貫通する必要がないからである。このような実施例では、接点開口17は、その後支持層12が分離されるときに開口される。また、導体層4によって形成される材料層及び支持層12を支持層の方向からのエッチングによって細くする方法で、接点開口を開口させることもできる。また、導体層4および支持層12を単一の材料層から形成することができる。この場合、支持体層12に対応する材料層の部分が取り除かれ、接点開口17が開口される。従って、接点開口17は導体層4の全体を通って延びるよう意図される。
【0032】
構成要素6は、接着剤によって導体層4の表面に取り付けられる。接着のために、接着剤層5を導体層4の取り付け面、または構成要素6の取り付け面、あるいは双方の取り付け面上に塗布する。この後、構成要素6は、位置合わせマークにより、構成要素6のために計画された位置に位置合わせされる。
【0033】
取り付け面とは、構成要素6の、導体層4に向いた面を称する。構成要素6の取り付け面は接触領域からなり、この接触領域を通して構成要素への電気接触が形成される。接触領域は、例えば、構成要素6の表面上の平坦な領域とすることができ、あるいは、より一般的には、構成要素6の表面から突出する接触バンプとすることができる。通常、構成要素6には少なくとも2つの接触領域または突起がある。複合微小回路には、ずっと多数の接触領域が存在し得る。
【0034】
多くの実施例において、接着剤が構成要素6と導体層4との間に残された空間を充たすような量の接着剤を取り付け表面に塗布することが好ましい。この場合、別個の充填剤は不要である。構成要素6と導体層4との間に残された空間を充たすことによって、構成要素6と導体層4との間の機械的接続が補強され、その結果、機械的により耐久性の高い構成が達成される。また、途切れなく包み込む接着剤層は、その後導体層4から形成される導体パターン14を支持するとともに、その後のプロセス段階において構成を保護する。接着中に、接着剤は接点開口17にも浸入する。
【0035】
接着剤とは、構成要素を導体層に取り付けるのに使用する材料を称する。接着剤の1つの特徴は、接着剤は比較的液状の形態で、さもなければ表面形状に合う形、例えば膜の形で導体層および/または構成要素の表面上に塗布することができる。接着剤の別の特徴として、塗布した後に、少なくとも他の何らかの方法により構成要素が構造に取り付けられるまで、接着剤が構成要素を(導体層に対して)定位置に保持することができるように、接着剤は硬化するか、あるいは少なくとも部分的に硬化することができる。接着剤の第3の特徴は、その接着能力、すなわちその接着される表面に粘着する能力である。
【0036】
接着とは、構成要素を導体層とを接着剤によって互いに取り付けることを称する。従って、接着の際、接着剤を構成要素と導体層との間に設けるとともに、構成要素を導体層に対して適切な位置に配置し、この場合、接着剤は構成要素および導体層に接触するとともに、少なくとも部分的に、構成要素と導体層との間の空間を充たす。この後、構成要素が接着剤によって導体層に取り付けられるように、接着剤を(少なくとも部分的に)硬化するまで待つか、あるいは能動的に硬化させる。一部の実施例では、接着中に、構成要素の接触突起を接着剤層を通して突き出させて導体層と接触させることができる。
【0037】
実施例において使用される接着剤は、例えば、熱硬化性エポキシ樹脂である。使用される接着剤が、導体膜、回路基板および構成要素に対する充分な粘着力を有するように、接着剤を選択する。接着剤の1つの好ましい特徴は、プロセス中に、接着剤の熱膨張が周囲の材料の熱膨張と過度に異ならないような適切な熱膨張率である。選択される接着剤は、また、短い硬化時間、好適には高々2、3秒の硬化時間を有することが好ましい。接着剤はこの時間中に少なくとも部分的に硬化し、構成要素を定位置に保持できるべきである。明らかに、最終的な硬化にはより多くの時間を要し得るし、実際に、後のプロセス段階との関係で計画することができる。また、接着剤は、使用される処理温度、例えば100〜265℃までの加熱に数度、および他の製造プロセスの応力変形、例えば化学的または機械的応力変形に耐えるべきである。接着剤は、絶縁材と同じオーダーの導電率を有すると好ましい。
【0038】
適切な絶縁材料層1を電子モジュール、例えば回路基板の基材として選択する。絶縁材料層1は、ポリマーベース、例えばガラス繊維強化エポキシシートFR4にすることができる。絶縁材料層1の適切な材料の他の例は、PI(ポリイミド)、FR5、アラミド、ポリテトラフルオロエチレン、テフロン(登録商標)、LCP(液晶ポリマー)および事前硬化させた結合剤層、すなわちプリプレグである。
【0039】
適切な方法を使用することによって、導体層4に接着された構成要素の寸法および相互間の位置関係に応じて選択した凹部またはバイアが、絶縁材料層1に作製される。凹部またはバイアは、構成要素6よりわずかに大きく作製することができ、このような場合、導体層4に対する絶縁材料層1の位置合わせは、それほど厳密でない。プロセス中に、構成要素6用のバイアが作製された絶縁材料層1を使用する場合、孔の作成されていない別個の絶縁材料層11をさらに使用することによって、一定の利点がもたらされる。構成要素用に形成されたバイアを覆うため、このような絶縁材料層11を絶縁材料層1の上に配置することができる。
【0040】
構成要素6の接着の後に絶縁材料層1を作製することもでき、このような場合、液体の形の絶縁材料を導体層および構成要素6上に塗布し、または部分的に未硬化の絶縁材料層をこれらの上に配置する。この後、絶縁材料が硬化して絶縁材料層1を形成する。
【0041】
製造中の電子モジュールに第2導体層が所望される場合、例えば絶縁材料層1の表面上に作製することができる。第2絶縁材料層11が使用される実施例において、導体層をこの第2絶縁材料層11の表面上に作製することができる。導体パターン19は第2導体層9から作製することができる。導体層9は、例えば同様の方法で、導体膜4にすることができる。しかし、単純な実施例において、および単純な電子モジュールを作製する際には、第2導体膜9を形成する必要がない。しかし、第2導体膜9は多様な方法で利用することができ、例えば、導体パターン及び構成要素6用の追加的な空間として、及びモジュール全体を電磁放射から保護するために用いることができる。第2導体膜9は、構造を補強し、例えば設置ベースのゆがみを減少させるためにも使用することができる。
【0042】
電子モジュール内にバイアを作製し、このバイアによって構成要素6の接触領域と導体層4の接触領域との間の電気接点を形成することができる。バイアを形成するため、接点開口17に入っている恐れのある接着剤および他の材料を接点開口17から洗浄除去する。構成要素が第1表面上に接着されるので、この作業は当然、導体材料4の第2表面の方向から実行される。接点開口の洗浄と関連して、構成要素6の接触領域7を洗浄することもでき、これによって、高品質の電気接点を製造するための前提条件がさらに改善される。洗浄は、プラズマ技術の使用により、化学的にまたはレーザを用いて行うことができる。接点開口17および接触領域がすでに充分清浄である場合、洗浄は当然に省略できる。
【0043】
洗浄後に、構成要素6の位置合わせの成功を確認することもできる、というのも、導体層4の方向からみると、正しく位置合わせされた構成要素の接触領域7を接点開口17を通してみることができるからである。
【0044】
この後、構成要素6と導体層4との間に電気接触が形成されるように、導体材料を孔17に持ってくる。導体材料は、例えば、接点開口に導電性ペーストを充填することによって作製することができる。導体材料は、回路基板産業において知られたいくつかの成長法のうちいずれかの使用によっても形成することができる。現時点では、最良の電気接点は、例えば化学的または電気化学的な方法を用いて導体材料を成長させることにより、金属ジョイントを形成することによって作製される。従って、少なくとも最も要求の厳しい実施例では、このような方法を常に使用することが意図される。化学的な方法により薄膜層を成長させ、より経済的な電気化学的方法により成長を継続させるのは、1つのよい代替案である。これらの方法に加えて、もちろん、最終結果の意味で有利な結果をもたらすいずれかの他の方法を使用することもできる。
【実施例1】
【0045】
以下では、図1〜11に示す手順の段階を参照して、本発明のいくつかの可能な実施例をより詳細に説明する。
【0046】
段階A(図1):
段階Aにおいて、適切な導体層4をプロセス用の出発材料として選択する。導体層4が支持基材12の表面上に配置された層状シートも、出発材料として選択することができる。層状シートは、例えば、処理に適した支持ベース12を使用し、適切な導体膜をこの支持ベース12の表面上に取り付けることによって製造することができる。
【0047】
支持ベース12は、導電材料、例えばアルミニウム(Al)製、または絶縁材料、例えばポリマー製とすることができる。導体層4は、例えば、銅(Cu)からラミネート加工した薄い金属箔を支持基材12の片方の表面に取り付けることによって作製することができる。金属箔は、例えば接着剤層を使用することにより支持ベースに取り付けることもでき、この接着剤層は、金属層をラミネート加工する前に、支持ベース12または金属箔の表面上に展開される。この段階では、金属箔にパターンが存在する必要はない。
【0048】
従って、この実施例において、自己支持型の導体層4を使用することもでき、この場合、支持層12は完全に省略される。図面に、導体層4の第1表面の絶縁層1を有する実施例をも示す。実施例を相互に区別するため、図1〜4において絶縁層1を破線によって示す。同様に、導体層4の表面上に絶縁層1が最初から設けられている実施例の場合、支持層12は使用しても使用しなくてもよい。
【0049】
段階B(図2):
接点開口17を、構成要素の電気接点に必要なバイアから作製する。接点開口17は、例えばレーザによりまたは機械的な掘削により、導体層4を貫いて作製される。図示した実施例において、接点開口17は、導体層の第1表面の方向から掘削されて、支持層12の材料まで延びる。図示される実施例において、位置合わせを手助けすべく使用することのできるバイア3が、接点開口17に加えて形成される。
【0050】
破線によって図示した実施例では、構成要素用の凹部2も、この段階の絶縁層1に形成されなければならない。
【0051】
段階C(図3):
段階Cにおいて、接着剤層5を、導体層4上の、構成要素6が取り付けられる領域内に塗布する。これらの領域を結合領域と呼ぶことができる。接着剤層5は、例えば、接点開口17を用いて位置合わせすることができる。接着剤層の厚さは、構成要素6を接着剤層5に押し付けたときに、接着剤が構成要素6と導体層4との間の空間を完全に充たすように選択する。構成要素6が接触突起7を含む場合、構成要素6と導体層4との間の空間が充分に充たされるには、接着剤層5の厚さは接触突起7の高さよりも例えば約1.1〜10倍大きくすべきである。構成要素6用に形成される接着剤層5の表面積は、構成要素6の対応する表面領域よりもやや大きくすることもでき、これによって不適切な充填の恐れも低減される。
【0052】
段階Cは、導体層4のコネクタ表面の代わりに構成要素6のコネクタ表面に接着剤層5を塗布する方法に変更することができる。これは、例えば構成要素を電子モジュール内の定位置に組み込む前に構成要素を接着剤に浸すことによって実行することができる。導体層4のコネクタ領域および構成要素6のコネクタ表面の双方に接着剤を塗布することによって進めることもできる。
【0053】
従って、構成要素6の接触領域7相互間の電気接触が接着剤層5自体において生成されないようにするため、この実施例で使用される接着剤は電気絶縁体である。
【0054】
段階D(図4):
段階Dにおいて、構成要素6を電子モジュール内の定位置に設定する。これは、例えば組立機械の支援により構成要素6を接着剤層5に押し付けることによって行うことができる。組立段階において、接点開口17を用いて構成要素6を正確に位置合わせすることができる。より概略的な位置合わせでは、バイア3または他の利用可能な位置合わせマークが基板に作製されていれば、これらを使用することもできる。
【0055】
構成要素6は、単独でまたは適切なグループで接着することができる。代表的な手順としては、設置ベースの底とも呼ぶことができる導体層を組立機械に対して適切な位置に配置し、この後、構成要素6を位置合わせするとともに、位置合わせおよび取り付け中に静止保持された設置ベースの底に押し付ける。
【0056】
段階E(図5):
導体層4に接着される構成要素6用の既製の孔2または凹部がすでに設けられた絶縁材料層1を、絶縁材料層4の上に配置する。絶縁材料層1は適切なポリマーベースから製造することができ、構成要素6の寸法および位置に応じて適切に選択された孔穴または凹部が、何れかの適切な方法を使用することによってこの絶縁材料層1に作製される。ポリマーベースは、例えば、回路基板産業において知られ広く使用されているプリプレグベースにすることができる。絶縁材料層1の代わりとなる材料については、段階2Aと関連づけてより詳細に説明する。
【0057】
接着剤層5が硬化し、あるいは絶縁材料層1が定位置に設定されている間に構成要素6を定位置に維持するのに充分なほど硬くなった後に初めて、段階Eを実行するのがよい。
【0058】
絶縁材料層1は、後に硬化し内部に孔を有しない絶縁材料のシートを、構成要素および導体層4上に配置することによって作製することもできる。このようなシートは、例えば、最適に選択されたプリプレグとすることができる。絶縁材料層1は、後に硬化する絶縁材料を、液体の形で構成要素および導体層4の上に塗布することによっても形成することができる。
【0059】
破線を用いて図示する実施例では、段階Eは当然に省略される、というのも、この実施例では絶縁材料層がすでに導体層4の上にあるからである。
【0060】
段階F(図6):
段階Fにおいて、パターン化されていないの絶縁材料層11を絶縁材料層1上に設定し、その後導体層9をその上に設定する。絶縁材料層1と同様に、絶縁材料層11は、適切なポリマー膜、例えば上述のプリプレグベースから製造することができる。導体層9は、例えば銅箔や目的に適した何れかの膜にすることができる。
【0061】
段階Fは、絶縁材料層1が構成要素6の周りに開口2を含む実施例において有利であり、および同様に、導体層9を絶縁材料層1の反対側に取り付けるのが望ましい場合に有利である。その後、絶縁材料11は、構成要素の開口2を充たすとともに、導体層9と絶縁材料層1とを相互に固定する。開口2を別個の充填剤で充たす方法で進めることできる。他方で、構成要素6の接着の後に絶縁材料層1が形成される場合、層1は既に自動的に一体化される。この場合、第2導体層9は、層1が硬化する前に、電子モジュールに、絶縁材料層1に対して直接取り付けることができる。
【0062】
従って、段階Fは一部の実施例では有利であるが、ほとんどの実施態様では、同様に省略するか、または別の種類の手順に置き換えることができる。
【0063】
段階G(図7):
この段階において、(層1および11にある)ポリマーが、導体層4および9の間にある構成要素6の周りにおいて一体化された密な層を形成するように、層1、11および9を熱および圧力を用いて加圧する。この手順は、第2導体層9を非常に均一かつ平坦にする。
【0064】
単一の導体パターン層14を含む単純な電子モジュールを製造する場合、段階Fを完全に省略することもでき、あるいは、層1および11をラミネート加工し、導体層9のない構造にすることができる。
【0065】
従って、段階Gは段階Fと密接な関係があるので、段階Fに関連する上述のような変更は、段階Gにも関係する。
【0066】
段階H(図8):
この段階において、支持ベース12を分離し、あるいは構造から除去する。除去は、例えば、機械的にまたはエッチングによって行うことができる。当然、支持ベース12を使用しない実施例では、段階Hを省略することができる。
【0067】
厚く途切れのない導体層(4および12の両方)が絶縁材料層1の表面にある実施例では、段階Hにおいて、支持ベース12に相当する導体層の一部分をエッチングにより除去することができる。
【0068】
段階Hにおいて、導体層4の第2表面において接点開口17を開口させる。しかし、接点開口17は、その後、通常接着剤5によって充填される。
【0069】
段階I(図9):
適切な方法の使用、例えば化学的に、あるいはレーザによってまたはプラズマエッチングによって接点開口17から接着剤を洗浄除去する。同時に、接点開口17の「底」に位置する、構成要素の接触領域7が洗浄される。一部の実施例では、洗浄を省略することができる。
【0070】
段階Iにおいて、所望すれば、他の孔穴、例えば絶縁材料層1を貫通するバイア用の孔3を形成することもできる。
【0071】
段階J(図10):
段階Iでは、接点開口17内で導体材料が成長する。プロセスの例では、導体材料はベース上の他の部分でも同時に成長し、従って、絶縁層4および9の厚さも増加する。所望すれば、孔3内で導体材料を成長させることもできる。
【0072】
成長させる導体材料は、例えば、銅または他の何れかの充分な導電性を有する材料にすることができる。導体材料の選択には、構成要素6の接点突起7の材料との電気接触を形成すべく材料の能力を考慮する。あるプロセスの例では、導体材料は主に銅である。銅のメタライゼーションは、化学銅の薄い層を孔17内に堆積させ、その後、電気化学的な銅成長法の使用によりめっきを継続することによって実行することができる。この例では、化学銅が使用される、というのも、化学銅は接着剤の上にも堆積物を形成するととともに、電気化学的なめっきでは導電体として作用するからである。従って、金属は湿式化学的方法の使用によって成長するので、成長が安価であるとともに、導体構造が良質になる。
【0073】
段階Jでは、構成要素5と導体層4との間の電気接触の形成が意図される。従って、段階Jでは、導体層4および9の厚さを増加させるのことが重要なわけではなく、その代わりに、段階Jにおいて孔17が適切な材料によってのみ充填されるように、プロセスを同程度に適切に設計することができる。この電気接触は、例えば、接点開口17に導電性ペーストを充填することによって、または他の何れかのマイクロバイア・メタライゼーション法を使用することにより作製することができる。
【0074】
段階K(図11):
段階Kにおいて、所望の導体パターン14および19を、ベースの表面の導体層4および9から作製する。導体層4のみが使用される実施例では、パターンはベースの一方の側のみに作製する。第2導体層9が使用される実施例でも、導体層4からのみ導体パターンを作製することによって進めることもできる。このような実施例では、パターン化されていない導体層9は例えば、機械的に電子モジュールを支持または保護する層として、あるいは電磁放射に対する保護として作用することができる。
【0075】
導体パターン14は、導体パターンの外側から導体層4の導体材料を取り除くことによって形成することができる。導体材料は、例えば、回路基板産業で広く使用されかつよく知られたパターン化(パターニング)およびエッチング法の何れかによって、取り除くことができる。
【0076】
段階Kの後、電子モジュールは1つまたは複数の構成要素6並びに導体パターン14および19(一部の実施例では、導体パターン14のみ)を含み、これらを用いて、1つ以上の構成要素6を外部回路にまたは相互に接続させることができる。このとき、動作系全体を製造するための前提条件が存在する。従って、電子モジュールが段階Kの後に出来上がるようにプロセスを設計することができ、図11は実際に、可能な電子モジュールの一例を示す。所望すれば、段階Kの後も、例えば、電子モジュールを保護剤で被覆することにより、または電子モジュールの第1および/または第2表面上に追加的な導体パターン層を製造することによりプロセスを継続することができる。
【実施例2】
【0077】
以下では、図12〜28に示す方法の段階を参照して、本発明のいくつかの他の可能な実施例を詳細に説明する。
【0078】
段階2A(図12):
電子モジュールの製造プロセス用に適切な絶縁材料シート1を選択し、このシートから設置ベースの本体を形成する。単一の絶縁材料層を使用する実施例において、絶縁材料層1の厚さは、好適には取り付けられる構成要素の厚さよりも大きくなければならない。これにより、構成要素を完全に設置ベースの内部に埋め込むことができ、一方、電子モジュールはその両側に平坦な表面を有することになる。もちろん、より厚い特別な構成要素であって、その表面が絶縁材料層1外に延びるものも、設置ベース内に埋め込むことができる。これは、複数の絶縁材料層を使用し、プロセス中にこれらの材料層を一緒に結合する実施例では、好ましい手順である。絶縁材料層全体の厚さが構成要素の厚さを上回る場合には、その後、構成要素を構造内に完全に埋め込むことができる。これは、構成の耐久性のため、電子モジュールの構成要素が完全に設置ベースの内部に配置されることが好ましいからである。
【0079】
この場合、プリプレグはとは、回路基板産業の基本材料であって、通常Bステージ樹脂を含浸させたガラス繊維強化絶縁マットを称する。一般に、多層回路基板を製造する際には、事前硬化された結合剤層が結合絶縁剤として使用される。そのBステージ樹脂は、樹脂が硬化しCステージ樹脂となる際に、例えば加圧またはラミネーションによって、熱および圧力により制御される方法で架橋される。被制御の硬化サイクルにおいて、温度の上昇中に、樹脂が軟化し、その粘性が低下する。液状樹脂は、圧力によって強制的に、その接合部分の孔および開口部の境界面に充たされる。事前硬化させた結合剤層を絶縁材料として使用する場合、この特徴は、構成要素の周りに残る空き空間を充填するために利用される。このように、別個の充填剤によって構成要素の設置凹部を充填する必要がないので、本実施例に開示する電子モジュール製造方法をより単純にすることができる。
【0080】
絶縁材料層1は、その両側1a、1bを導体層4、例えば金属層で表面加工されている。電子モジュールの製造者は、すでに表面加工された絶縁シートを初期材料として選択することもできる。
【0081】
段階2B(図13):
何らかの適切な方法を使用することにより、導体層4に孔を形成する。孔は、例えばレーザによる気化や、選択的エッチング方法といった、回路基板産業で広く使用されかつよく知られた方法によって作製することができる。作製された孔は、構成要素の電気接点に必要なバイア用の接点開口17、および構成要素の設置凹部2を製造するための開口部12となる。さらに、必要に応じて、バイアの製造用の孔13を形成することができる。孔穴12、13、17は、絶縁材料層1の表面を露出させることによって形成する。
【0082】
段階2C(図14):
基板に埋め込まれる構成要素にとって適切な寸法および形状を有する凹部2を絶縁材料層1内に形成する。凹部2は、例えば回路基板産業において使用される何れかの既知の方法を使用することによって、適切に形成することができる。凹部2は、例えばCO2レーザアブレーション方法、化学エッチングまたは機械的なミリングによって形成することができる。凹部2は、第2表面1bの方向から形成されるとともに、絶縁材料層1全体を通って、層の逆側の表面上にある導体材料層4の表面1aに向けて真っ直ぐ延びる。
【0083】
凹部2は、絶縁材料層1の表面上の導体層4が凹部の一方または他方の端部を閉じる方法で形成することができる。従って、導体層4ではなく絶縁材料1において有効な何れかの適切な選択方法を使用することができる。従って、形成された凹部2は、絶縁材料層1全体を通って延びるが、凹部2の他方の端部にある導体層4は損傷されないままである。凹部2は、相応のやり方により、設置ベースの双方の表面の方向から作製することができる。
【0084】
段階2D(図15):
電子モジュールブランクを裏返しにする。
【0085】
段階2E(図16):
表面1aの方向から、構成要素用の追加的な設置凹部2を絶縁材料層1内に作製する。あるいは、凹部2は段階2Cの方法によって作製することができる。凹部2を化学的なエッチングによって形成する場合、凹部2は、双方の表面に同時に形成することができる。
【0086】
段階2F(図17):
構成要素6が取り付けられるべき領域において、接合層5を導体層4に塗布する。これらの領域は、結合領域と呼ぶることができる。実際には、結合領域は、凹部2の「底」に設置される。接合層の厚さは、構成要素6が接合層5に押し付けられたときに、接着剤が構成要素6と導体層4との間の空間を完全に充たすように選択する。構成要素6が接触突起7を含む場合、構成要素6と導体層4との間の空間が充分に充たされるためには、接着剤層5の厚みは接触突起7の高さよりも例えば約1.5〜10倍大きくすべきである。構成要素6用に形成される接着剤層5の表面積は、構成要素6の対応する表面領域よりもやや大きくすることもでき、これによって不適切な充填の恐れも低減される。
【0087】
この段階は、導体層4のコネクタ表面の代わりに構成要素6のコネクタ表面上に接着剤層5を塗布することにより修正することができる。これは、例えば構成要素を電子モジュール内の定位置に組み込む前に、構成要素を接着剤に浸すことによって実行することができる。導体層4のコネクタ領域および構成要素6のコネクタ表面の双方に接着剤を塗布することによって進めることもできる。
【0088】
従って、構成要素6の接触領域7相互間の電気接触が接着剤層5自体において生じないようにするため、この実施例で使用される接着剤は電気絶縁体である。
【0089】
段階2G(図18):
表面1aの方向から、構成要素6を電子モジュール内の定位置に設定する。これは、例えば組立機械の支援により構成要素6を接着剤層5に押し付けることによって行うことができる。段階Dで説明したように、接点開口17により構成要素6を正確に位置合わせすることができる。
【0090】
段階2H(図19):
電子モジュールブランクを裏返しにする(段階2D参照)。
【0091】
段階2I(図19):
第2表面1b上に開口した設置凹部2の底に、接着剤層5を塗布する。段階2Iは、段階2Fと同様ではあるが、電子モジュールの逆側の表面の方向から実行される。
【0092】
原理的には、使用する製造装置が作業段階を2方向から実行することができる場合には、ブランクを裏返しにすることなしに、電子モジュールの逆側の表面上で実行すべき作業段階(例えば、段階2Fおよび2I)を、同時に、あるいは続けて実行することもできる。
【0093】
段階2J(図20):
段階Jにおいて、段階2Gと同様に、表面1bの方向から構成要素6を電子モジュール内の定位置に設定する。
【0094】
段階2K(図21):
段階Kにおいて、構成要素6と設置ベースの間に残った空間を、充填剤8、例えば何らかの適切なポリマーで完全に充たす。
【0095】
段階2L(図22):
適切な方法の使用、例えば化学的に、あるいはレーザによってまたはプラズマエッチングによって接点開口17から接着剤を洗浄除去する。同時に、接点開口17の「底」に位置する、構成要素の接触領域7が洗浄される。
【0096】
段階2M(図23):
他の孔、例えばバイア用の、絶縁材料層1を貫通する孔11を作製したい場合、段階2Mを実行する。
【0097】
絶縁材料層1の材料が、硬化させたCステージ材料である場合、孔11は、より早い段階、例えば段階2Cまたは2Fに関連して作製することができる。
【0098】
段階2N(図24):
接点開口17内で導体材料が成長する。プロセスの例では、導体材料はベース上の他の部分でも同時に成長し、従って、絶縁層4の厚さも増加する。所望すれば、孔11内でも導体材料を成長させることができる。
【0099】
成長させる導体材料は、例えば、銅または他の何れかの充分な導電性を有する材料にすることができる。導体材料の選択には、構成要素6の接点突起7との電気接触を形成する材料の能力を考慮する。ある実施プロセスでは、導体材料は主に銅である。銅のメタライゼーションは、化学銅の薄い層を孔17内に堆積させ、その後、電気化学的な銅成長法の使用によりめっきを継続することによって実行する。この例では、化学銅が使用される、というのも、化学銅は接着剤上にも堆積物を形成するととともに、電気化学的めっきにおいて導電体として作用するからである。従って、金属は湿式化学的方法の使用によって成長するので、成長が安価であるとともに、導体構造が良質になる。
【0100】
段階2Nでは、構成要素6と導体層4との間の電気接触の形成が意図される。従って、段階2Nでは、導体層4および9の厚さを増加させることが重要なわけではなく、その代わりに、段階2Nにおいて孔17が適切な材料によってのみ充填されるように、加工を同程度に適切に設計することができる。電気接触は、例えば、接点開口17に導電性ペーストを充填することによって、または他の何れかのマイクロバイア・メタライゼーション法を使用することにより形成することができる。
【0101】
段階2O(図25):
段階2Oにおいて、導体パターン14が基板1の両面に形成されるように、導体層4をパターン化(パターニング)する。パターン化は、例えば段階Kに記述した方法で実行できる。
【0102】
段階2Oの後、電子モジュールは1つまたは複数の構成要素6並びに導体パターン14および19(一部の実施例では、導体パターン14のみ)を含み、これにより、1つ以上の構成要素6を外部回路にまたは相互に接続することができる。このとき、動作系全体を製造するための前提条件が存在する。従って、電子モジュールが段階2Oの後に出来上がるようにプロセスを設計することができ、図25は実際に、可能な電子モジュールの一例を示す。所望すれば、段階2Oの後も、例えば、電子モジュールを保護剤で被覆することにより、または電子モジュールの第1および/または第2表面上に追加的導体パターン層を形成することによりプロセスを継続することができる。
【0103】
段階2P(図26):
基板1の両面上に絶縁材料層21を作製し、絶縁材料層21の表面上に導体層24を作製する。段階2Pは、例えば、適切なRCF膜を基板1の両面上に押し付けることによって実行する。その後、RCF膜は、絶縁材料層21および導体層24を含む。RCF膜が熱および圧力によって押し付けられると、RCF膜および層21のポリマーが導体層14と24との間に、一体化された高密度の絶縁材料層を形成する。この手順によって、導体層24も、非常に均一にかつ平坦になる。
【0104】
段階2Q(図27):
段階Qにおいて、導体層14と24との間にバイアを作製するための孔27を作製する。孔は、例えば、レーザによって作製することができる。
【0105】
段階2R(図28):
段階2Rでは、孔27内で導体材料が成長し、同時に導体層24も厚くなる。段階2Rは、段階2Nと同様に実行することができる。
【0106】
段階2Rの後に、導体層24をパターン化することによって、および場合によっては追加的な導体層を一方または双方の表面に形成することによって、プロセスを継続することができる。別個の構成要素を、従来の回路基板技術の方法で、電子モジュールの表面上の導体パターン層に接続することもできる。
【0107】
以上の一連の図に示した実施例は、複数の可能なプロセスを示し、これらにより本発明を利用することができる。しかし、本発明は上述のプロセスのみに制限されるわけではなく、本発明は、特許請求の範囲全体およびこれと等価なものを考慮に入れた他の様々なプロセスおよび最終製品をも包含する。本発明は、また、実施例によって示される構成および方法にのみに制限されるわけではなく、本発明の様々な応用が、非常に多くの異なる種類の電子モジュールおよび回路基板であって、上述の実施例とは大幅に異なるものの製造に適用できることは、当業者には明らかである。従って、図面の構成要素および回路は、製造プロセスを例示することのみを目的としている。従って、上述の実施例のプロセスに対して、本発明の基本思想から逸脱することなく、多くの変更を加えることができる。例えば、個々の段階で説明した製造技術やプロセス段階の相互の順序に変更を加えることができる。
【0108】
上述のプロセスにおいて、例えば、一方では第1表面の方向から取り付ける構成要素を何れかの第1技術によって取り付け、他方では第2表面の方向から取り付ける構成要素を前記第1技術とは異なる何れかの第2技術によって取り付けることにより、例えば、複数の構成要素取り付け技術を使用することができる。
【0109】
上述の実施例では、第1および第2の方向から埋め込まれる構成要素を含む電子モジュールが製造される。もちろん、本発明の範囲内において、1つの方向のみから埋め込まれる構成要素を含む単純なモジュールを製造することもできる。このようなより単純なモジュールによって、2つの方向に埋め込まれた構成要素を含むモジュールを製造することもできる。このようなモジュールは、例えば2つのモジュールを一緒に積層することによって製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の第1実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図2】本発明の第1実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図3】本発明の第1実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図4】本発明の第1実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図5】本発明の第1実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図6】本発明の第1実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図7】本発明の第1実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図8】本発明の第1実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図9】本発明の第1実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図10】本発明の第1実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図11】本発明の第1実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図12】本発明の第2実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図13】本発明の第2実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図14】本発明の第2実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図15】本発明の第2実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図16】本発明の第2実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図17】本発明の第2実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図18】本発明の第2実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図19】本発明の第2実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図20】本発明の第2実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図21】本発明の第2実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図22】本発明の第2実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図23】本発明の第2実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図24】本発明の第2実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図25】本発明の第2実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図26】本発明の第2実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図27】本発明の第2実施例による製造方法における断面を順に示す図である。
【図28】本発明の第2実施例による製造方法における断面を順に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体パターン層(14)に電気的に接続される構成要素(6)を含む電子モジュールを製造する方法において、
導体層(4)内に接点開口(17)を作製するステップであって、前記接点開口どうしの位置関係が、前記構成要素(6)の接触領域(7)どうしの位置関係に対応するステップと、
前記構成要素(6)の前記接触領域(7)が前記接点開口(17)の位置に来る方法で、前記構成要素(6)と前記導体層(4)とを互いに位置合わせして、前記構成要素(6)を固定するステップと、
前記構成要素(6)を前記導体層(4)に接続する導体材料を、少なくとも前記接点開口(17)内および前記構成要素(6)の接触領域(7)に設けるステップと、
前記導体層(4)をパターン化して前記導体パターン層(14)を形成するステップと
を具えていることを特徴とする電子モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記接点開口(17)を、パターン化されていない導体層(4)内に作製することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接点開口(17)を作製する際に、前記導体層(4)の第2表面上に支持層(12)が存在することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記接点開口(17)を前記導体層(4)の第1表面の方向から作製して、前記接点開口(17)を前記支持層(12)まで延在させ、前記構成要素(6)を前記導体層に接続する前に、前記支持層(12)を除去するか、または薄くすることによって、前記接点開口を露出させることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
絶縁接着剤(5)を用いて、前記構成要素を前記導体層に取り付けることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の方法。
【請求項6】
前記構成要素を接着した後に、かつ前記導体材料を前記構成要素の前記接触領域に設ける前に、
前記接点開口および前記構成要素の前記接触領域を、前記接点開口を通して洗浄するステップを具えていることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記構成要素を前記導体層に接続する前記導体材料を、化学的および/または電気化学的メタライゼーション法を用いて設けることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の方法。
【請求項8】
前記導体層が、第1表面(1a)および第2表面(1b)を有する基板内に含まれ、前記基板は、前記第1表面(1a)と前記第2表面(1b)との間に絶縁材料層(1)を含むとともに、少なくとも前記第1表面(1a)上に前記導体層(4)を含み、
前記方法が、前記構成要素(6)用の少なくとも1つの凹部(2)を前記基板(1)内に作製するステップであって、前記凹部(2)は、前記第2表面(1b)および前記絶縁材料層(1)を通って前記第1表面(1a)上の前記導体層(4)まで延在し、前記導体層(4)は、前記第1表面(1a)の方向から前記凹部(2)を覆うステップを具え、
この場合に、前記接点開口(17)を、前記導体層(4)内の前記凹部(2)の底に作製することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の方法。
【請求項9】
前記構成要素(6)を、前記第1表面(1a)および前記第2表面(1b)に共に対向する前記絶縁材料層(1)内に配置し、前記構成要素(6)の少なくとも一部を前記第1表面(1a)上の前記導体層(4)に接続し、かつ前記構成要素(6)の少なくとも一部を前記第2表面(1b)上の前記導体層(4)に接続する方法で、前記構成要素(6)への電気接点を形成することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記構成要素が取り付けられる前記導体層(4)の前記第1表面がむき出し面であり、前記構成要素(6)の取り付け後に、
前記導体層(4)に接着された前記構成要素(6)を包囲する絶縁材料層(1)を、前記導体層(4)の前記第1表面上に作製するステップを具えていることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の方法。
【請求項11】
前記絶縁材料層(1)の逆側の表面上に第2導体層を作製することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
2つ以上の前記構成要素(6)を電子モジュール内に埋め込み、埋め込まれた前記構成要素(6)を相互に電気的に接続して動作系全体を構成することを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の方法。
【請求項13】
前記導体層(4)に取り付けるべき少なくとも1つの前記構成要素が、封止されていない微小回路チップである請求項1〜12の何れか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公表番号】特表2008−503076(P2008−503076A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515973(P2007−515973)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【国際出願番号】PCT/FI2005/000274
【国際公開番号】WO2005/125298
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(504294798)イムベラ エレクトロニクス オサケユキチュア (14)
【Fターム(参考)】