説明

電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材及びその製造方法

【課題】判別が容易となるポリウレタン製弾性ゴム部材を提供する。
【解決手段】エッジ部分とバックアップ層の2層から構成されるポリウレタン製弾性ゴム部材において、エッジ部分とバックアップ層とが異なる色に形成されたものであって、 架橋剤又は低分子ポリオールと相溶する着色剤を用いて着色したポリウレタンによって着色したエッジ部分又は/及びバックアップ層が形成されている電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ポリウレタン製弾性部材を支持部材に接着した電子写真装置用のクリーニングブレードや現像ブレードに関する。電子写真装置としては、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ等がある。熱硬化型ポリウレタン製弾性ゴム部材は、クリーニングブレード、現像ブレード、導電ブレード、研磨ブレード、塗布ブレード等に用いられる。特に、電子写真装置用のクリーニングブレードに用いられるポリウレタン製弾性ゴム部材に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来電子写真方式に用いられるトナークリーニングには、装置の小型化、コストメリットのあるブレードクリーニング方式が広く使用されている。ブレードには長寿命、低μ、高温での異音対策、低温でのクリーニング性低下の対策、高温下の長期圧接状態でのヘタリによるクリーニング性低下の対策等が求められている。
また近年、カラー化に伴う画質向上などの理由により略球形状のトナーである所謂球形トナーを用いる機種が増えており、この球形トナーはクリーニングエッジとロールの隙間に入り込みやすく、エッジを押し上げてすり抜けやすくなってきている。装置が高速化するに伴い、ますますそのクリーニングブレードに対する要求は複雑で厳しくなってきている。
【0003】
クリーニングブレード又は現像ブレード用のポリウレタン製弾性部材として、低摩擦剤、研磨剤、導電剤等の添加剤を混入して成形したポリウレタン製弾性部材、あるいはポリウレタン製弾性部材表面にこれらの剤をスプレーやディッピングによるコーティングが試みられた。
一方、本出願人は、バックアップ層とエッジ部分又はニップ部を形成するポリウレタンの組成が異なる層からなる電子写真装置用のポリウレタン製のクリーニングブレード又は現像ブレードに関する発明を継続して提案してきた。
特許文献1(特開2007−30385号公報)では、連続成型法を用いた手法であって、外周に成形溝及び内部に加熱装置を備えた成形ドラムを用いて、合成樹脂を成形用原料とするブレードの素材を連続成形する方法において、2種以上の異なる液状合成樹脂原料を別々に注型することにより、異種材料を組み合わせたブレード素材を製造する方法を提案した。
特許文献2(特開2007−163676号公報)では、注型法を用いた手法であって、割り金型の一方の金型に、部分層を形成する液状合成樹脂をビード状に注型した後、金型を組み、ベース層を形成する液状合成樹脂を注型して、加熱硬化してブレード素材を形成するブレードの製造方法を提案した。
【0004】
従来のブレードは、単層で無色透明〜淡黄色透明のものが一般的であり、この場合、エッジ部分の識別が容易に判断出来なかった。また、2層ブレードについても、2層共に無色透明〜淡黄色透明のものが一般的であり、この場合においてもエッジ部分の識別が容易ではなかった。その為、接着する際に誤って、本来接着する面とは反対側で接着する事が生じていた。
ブレードとして用いる場合、弾性ゴム部材であるシートをホルダーと呼ばれる金具に接着して用いるのが一般的であり、シートの使用面は固定される。例えば、遠心成型の場合はエアー面を使用し、連続平板成型法(キャストプレス成型法)の場合は、金型面を使用する。すなわち、シートには、表裏があり特定の面を使用する必要がある。しかし、ブレード用シートは、従来、無色透明〜淡黄色透明であり、使用面の特定に労を要していた。例えば、シートの表面に光を当て、その反射光の様子や、金型表面に生じるアバタの存在有無の確認等によって、判断していた。
また、ブレード用シートの種類は、1mm程度のわずかに異なるサイズが用いられることがある。1mm程度のサイズの違いの判別は、実際に金尺等の定規を使用して判別するしか手段がなく、シートサイズの判別にも労を要していた。また、電子写真用機器に組みつける際にも、取付け箇所毎に判別する作業を要している。
【0005】
【特許文献1】特開2007−30385号公報
【特許文献2】特開2007−163676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、判別が容易となるポリウレタン製弾性ゴム部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、本出願人が継続して追求してきた材質の異なる部分層を形成したポリウレタン製弾性部材の製造技術を適用することにより発明を完成したものである。本出願明細書で記載するところ、エッジ部分とバックアップ層とが異なる色に形成されているとは、一方が無色で他方が有色を含むものであって、異なる有色を用いる場合も当然に含まれる概念として使用されている。
【0008】
本発明の主な解決手段は次のとおりである。
(1)エッジ部分とバックアップ層から構成されるポリウレタン製弾性ゴム部材において、
エッジ部分とバックアップ層とが異なる色に形成されたものであって、
架橋剤又は低分子ポリオールと相溶する着色剤を用いて着色したポリウレタンによって着色したエッジ部分又は/及びバックアップ層が形成されていることを特徴とする電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
(2)着色が、青、緑、赤又は黄色であることを特徴とする電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
(3)青色着色剤が、シアン系青色顔料であって、顔料濃度を0.06〜4.60%とすることを特徴とする(1)又は(2)記載の電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
(4)緑色着色剤が、フタロシアニングリーンであって、顔料濃度を0.06〜2.07%とすることを特徴とする(1)又は(2)記載の電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
(5)赤色着色剤が、マゼンダ系顔料であって、顔料濃度を0.06〜0.83%とすることを特徴とする(1)又は(2)記載の電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
(6)黄色着色剤が、C.l.Pigment Yellow 81であって、顔料濃度を0.06〜4.16%以下とすることを特徴とする(1)又は(2)記載の電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
(7)架橋剤成分として、1,4−ブタンジオール(BD)、エチレングリコール(EG)、 ポリプロピレングリコール(PPG)(数平均分子量500以下)、ポリエチレングリコール(PEG)(数平均分子量500以下)のいずれかの短鎖ジオールを用いることを特徴とする(1)〜(6)記載の電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
(8)ポリウレタン製弾性ゴム部材が、外周に溝を形成した回転成型ドラムを利用して連続成型する成型手段によって得られたことを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
(9)(1)〜(8)のいずれかに記載されたポリウレタン製弾性ゴム部材を支持体に接着したことを特徴とする電子写真用のクリーニングブレード。
(10)エッジ部分とバックアップ層とが異なる色に形成されたポリウレタン製弾性ゴム部材の製造方法であって、外周に溝を形成した回転成型ドラムを利用して連続成型するポリウレタン製弾性ゴム部材の製造方法であって、
着色剤を架橋剤に添加して均一に混合し、その後ポリオールと混合し、更にその後イソシアネートと混合して得られたポリウレタンをエッジ部分成形用又は/及びバックアップ成型用として準備し、エッジ部分の成型用ポリウレタンを注型し、その後バックアップ層を形成するポリウレタンを注型することを特徴とするポリウレタン製弾性ゴム部材の製造方法。
(11)エッジ部分とバックアップ層とが異なる色に形成されたポリウレタン製弾性ゴム部材の製造方法であって、架橋剤又は低分子ポリオールと相溶する着色剤を用いて着色したポリウレタンによって着色したエッジ部分が形成されている電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材の製造方法であって、
ポリウレタン製弾性ゴム部材が、外周に溝を形成した回転成型ドラムを利用して連続成型する成型手段を用いて電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材の製造方法であって
架橋剤又は低分子ポリオールと相溶する着色剤を架橋剤又は低分子ポリオールに添加混合して着色したポリウレタンをエッジ部分形成用の注型用ポリウレタンとして用い、
当該エッジ層を形成するポリウレタン材料を先に成形ドラムの溝内に流し込み該成形ドラムを回転しながら硬化させて、半硬化した後、バックアップ層を形成するポリウレタン材料を流しこみ回転させながら硬化させて部分2層から構成される帯状の弾性ゴム部材を取り出して、定寸にカットしてポリウレタン製弾性部材製造する方法。
【発明の効果】
【0009】
(1)エッジ部分がバックアップ層とは色によって視覚的に明確に認識できるので、ポリウレタン製弾性ゴム部材の方向性を明確に視認でき、加工、整列、検査、選別、支持部材との接合、機器への組みつけ作業等の際に識別作業負担を軽減し、誤認を防止でき、作業効率、歩留まりを向上させることができる。例えば、エッジ部の目視外観検査では、無着色の従来品に比べてエッジを着色した品は、検査スピードを6倍に向上させることができた。
(2)バックアップ層も含めて有色とすることができるので、更に区別性を高めることができ、商品区分毎に色による系統化が可能となるので、製品管理が便利になる。無色も含めて青、緑、赤、黄色の5色が使用可能であり、エッジ部分とバックアップ層の使い分けも可能であるので、視認による区別性を豊富にできる。
(3)エッジ部分のみを区別可能にする製法としては、外周に溝を形成した回転成型ドラムを利用して連続成型するポリウレタン製弾性ゴム部材の製造方法が適している。次に、割型を用いた成型法によっても製造可能であるが、割型を用いる場合は、1品生産であり、支持金具に成型と同時に接合できることに特徴があるので、ポリウレタン弾性部材そのものを取り扱う必要性は少ないので、連続成型法よりも利点は小さい。一方、遠心成型法では厚み方向に2層となったシートを成型することができるが、エッジ部分のみをバックアップ層と区別して成型することは不可能である。
【0010】
(4)ポリウレタンとの相溶性の高い着色剤を使用することにより、着色剤が経時変化によってブリードアウトすることが防止できる。着色材料としては、顔料又は染料を使用することができ、ブリードアウト防止としては顔料が適している。
(5)本願発明では、2液性の非溶剤型の熱硬化型ポリウレタンが適している。架橋剤又はポリールに着色剤添加混合した後に、イソシアネートと混合する順番とすることにより、ムラのない均一な着色ができる。特に、着色剤を架橋剤に添加した状態で準備し、その後ポリオールと混合し、イソシアネート混合する順とするのが好ましい。例えば、注型直前のプレポリマーに着色剤を添加する場合は、着色剤を均一に混合するために時間を要し、2液性であるので反応が進み、可使時間が少なくなってしまうので、生産性が悪く不適当である。架橋剤に着色剤を予め混合しておくことにより、順次他のポリウレタン成分を混合することにより、着色剤の分散を良好に行うことができ、可使時間への影響を及ぼさないようにすることができる。
(6)本発明によって得られるポリウレタン弾性ゴム部材は、クリーニングブレード、現像ブレード、導電ブレード、研磨ブレード、塗布ブレード等、電子写真装置用のブレードに適している。特に、エッジ部分の仕上げ加工を要するクリーニングブレードに適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本願発明は、エッジ部分とバックアップ層の2層から構成されるポリウレタン製弾性ゴム部材において、エッジ部分とバックアップ層とが異なる色に形成されたものであって、 架橋剤又は低分子ポリオールと相溶する着色剤を用いて着色したポリウレタンによって着色したエッジ部分又は/及びバックアップ層が形成されていることを特徴とする電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材。及び、このポリウレタン弾性ゴム部材を支持体に接合した電子写真装置用のブレードである。また、ポリウレタン弾性ゴム部材の製造方法、装置を提案するものである。
<ブレードの形状・構成>
本発明のクリーニングブレードは、例えば、図1に示すエッジ部分の部分層1とバックアップ層となるベース層2からなるポリウレタン製弾性部材を支持部材4に接着して構成される。ポリウレタンはエステル系ポリウレタンを用いるか、エッジ部分にエステル系ポリウレタンを用いベース部にはエーテル系ポリウレタンを用いることもできる。
本発明によって得られるポリウレタン弾性ゴム部材は、クリーニングブレード、現像ブレード、導電ブレード、研磨ブレード、塗布ブレード等、電子写真装置用のブレードに適している。
例えば、図2に全体が2層に形成されている例(図2(b))とエッジ部分のみを着色した例(図2(a))を対比して表示した。全体2層では、色別に構成されていても、弾性ゴム部材の上下のどちらの方向にすればよいか容易には判別できないが、エッジ部分のみが着色している場合は、容易に判別できることが明らかである。その結果、支持部材と弾性ゴム部材との接着箇所の誤認を防止できる。
【0012】
<着色剤>
本発明では、エッジ部分とバックアップ層が区別できるように異なる色にポリウレタン弾性ゴム部材を形成する。本発明では、区別色として、着色剤を添加しないポリウレタンの地の色も一つとして含む。着色剤は、青、緑、赤、黄色の4色を使用することができる。4色の混合も可能である。区別可能性は、エッジ部分のみに着色する場合とバックアップ層のみに着色する場合と、エッジ部分とバックアップ層の双方に着色する場合があり、この使い分けによって、多くの種類に区別することができる。したがって、エッジ部分の区別性からさらに製品の種別管理として用いることができる。
着色剤としては、ポリウレタンと均一に混合してブリードアウトなどの弊害が発生しない相溶性の良い剤が適している。染料と顔料では顔料が適している。
相溶性の観点から、各種の着色剤を選定した結果、次の剤が適していることを見出した。
【0013】
青色顔料として、C.l.Pigment Blue 15のシアン系顔料が適している。例えば、レジノカラー工業社製O-9485(青)を使用することができる。C.l.Pigment Blue 15は、分散性に優れインクジェット用インキなどにも使用されている。この青色顔料は、ポリウレタン全量に対して、顔料濃度を0.05%以上であって、4.60%以下とすることが適している。最適量は2.33%である。
緑色顔料として、フタロシアニングリーンが適している。例えば、レジノカラー工業社製O-271(緑)を使用することができる。この緑色顔料は、ポリウレタン全量に対して、顔料濃度を0.06%以上であって、2.07%以下とすることが適している。最適量は1.06%である。
赤色顔料として、C.l.Pigment Violet 19、 C.l.Pigment Red 176、 C.l.Pigment Red 122等のマゼンダ系顔料が適している。例えば、山陽色素社製UT RED 4337を使用することができる。この赤色顔料は、ポリウレタン全量に対して、顔料濃度を0.06%以上であって、0.83%以下とすることが適している。最適量は0.44%である。
黄色顔料として、C.l.Pigment Yellow 81が適している。例えば、山陽色素社製UT YELLOW 4683を使用することができる。この黄色顔料は、ポリウレタン全量に対して、濃度を0.06%以上であって、4.16%以下とすることが適している。最適量は2.11%である。
【0014】
<着色剤の配合方法>
着色剤の配合は対象のポリウレタンの全体に均一に分散させることが重要である。偏りがあると、物性の不均一性の原因となる。従来のポリウレタン成分の調合の最後に着色剤を配合する場合は、少量の着色剤を均一に分散混合させるためには、時間を要し、プレポリマーの可使時間が短くなり、生産性に影響が出る。
本発明では、ポリウレタン成分あるいは架橋剤あるいはポリールに配合して均一に分散させることが好ましい。本発明では、非溶剤型で2液性の熱硬化型のポリウレタンの使用が適しているので、特に、予め架橋剤に配合しておくことにより、装置構成、成形工程に対する影響を小さくすることができる。
また、エッジ部分に使用するポリウレタンの注型量は少量なので混合作業が容易である。
【0015】
図3に着色剤の配合方法ついて、例示する。ポリウレタンの主な成分である架橋剤、ポリオール、イソシアネートと着色剤を一回で混合するイメージを図3(b)に示し、最初に架橋剤と着色剤を混合攪拌して準備し、その後ポリオールと混合攪拌し、更にその後イソシアネートと混合攪拌する順に行う工程イメージを図3(a)に示している。なお、数値はポリオールを100重量部として、他の成分の重量部を示している。
図3(a)に示すように、同じ分量の成分同士を混合すると、均一に分散させることが容易である。また、ポリオールとイソシアネートを混合すると重合が始まる。さらに、本発明では、短時間で重合させることが必要なので、架橋剤を使用する。架橋剤に同量程度の着色剤を混合するので、混合が容易で、かつ、混合して保存することができるので、本発明の連続成型法の工程に影響しない。
【0016】
<ポリウレタンの種類>
本発明に用いられるブレードは、熱硬化性ポリウレタン樹脂製が適している。
ウレタンの形成材料としては、イソシアネートおよびポリオールを含有するポリウレタン組成物が用いられる。
ポリオール成分として、エッジ部分を含む層はエステル系ポリウレタンが適している。バックアップ層はエステル系ポリウレタンあるいはエーテル系ポリウレタンを用いることができる。
本発明に用いられるポリウレタン原料は、非溶剤型の熱硬化性が望ましい。例えば、本出願人が、先に出願した特願2007−18162号に開示したエステル系ポリウレタン、エーテル系ポリウレタンを用いることができる。
【0017】
(1)エステル系ポリオール
本発明に用いるエステル系ポリウレタンは、従来から使用されているエステル系ポリウレタンを使用することができる。ポリエステルジオール、ポリエステルトリオール等のポリエステルポリオール。
ポリエステルポリオールとしては、多塩基性有機酸とポリオールとから製造される。ε−カプロラクタムの開環重合から得られるポリカプロラクトンジオール等のポリカプロラクトンポリオールも使用できる。
多塩基性有機酸としては、特に限定するものではなく、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソセバシン酸等の飽和脂肪酸や、マレイン酸、フマル酸等の不飽和脂肪酸や、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族酸等のジカルボン酸があげられる。また、無水マレイン酸、無水フタル酸等の酸無水物や、テレフタル酸ジメチル等のジアルキルエステル等を用いることもできる。さらに、不飽和脂肪酸の二量化によって得られる、ダイマー酸を用いることもできる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0018】
ポリオールとしては、特に限定するものではなく、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール(PPG)、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキシレングリコール等のジオールや、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、グリセリン等のトリオールや、ソルビトール等のヘキサオール等、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリエチレンアジペート、ポリエチレングリコール(PEG)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0019】
(2)エーテル系ポリオール
ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルポリオール。
ポリエーテルポリオールとして、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、トリメチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、α−メチルトリメチレンオキサイド、3,3′−ジメチルトリメチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキサミン等の環状エーテルがあげられる。
【0020】
(3)イソシアネート
イソシアネートとしては、特に限定するものではなく、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、3,3′−ビトリレン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートウレチジンジオン(2,4−TDIの二量体)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、カルボジイミド変性MDI、オルトトルイジンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル等のジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート等のトリイソシアネート、ポリメリックMDI、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、エッジに使用する場合は耐摩耗性の観点から、MDIが好ましい。
【0021】
(4)架橋剤
架橋剤(鎖延長剤)としては、従来公知のものであれば特に限定されるものではなく、例えば、1,4−ブタンジオール(1,4−BD)、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパン(TMP)、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2ジメチルイミダゾール、ポリエチレングリコール(PEG)等の分子量500以下のポリオールがあげられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
1,4−ブタンジオール(1,4−BD)(BD)、エチレングリコール(EG)、プロピレングリコール(PPG)(数平均分子量500以下)、ポリエチレングリコール(PEG)(数平均分子量500以下)などの短鎖ジオール
【0022】
(5)その他の素材
ポリウレタン組成物には、上記イソシアネート、ポリオールおよび架橋剤以外に、界面活性剤、難燃剤、着色剤、充填剤、可塑剤、安定剤、離型剤、触媒等通常用いられている剤を配合することができる。
上記触媒としては、三級アミン等のアミン系化合物、有機錫化合物等の有機金属化合物等があげられる。なかでも、アミン系化合物が好ましい。
上記三級アミンとしては、トリエチルアミン等のトリアルキルアミンや、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン等のテトラアルキルジアミンや、ジメチルエタノールアミン等のアミノアルコールや、エトキシル化アミンや、エトキシル化ジアミンや、ビス(ジエチルエタノールアミン)アジペート等のエステルアミンや、トリエチレンジアミンや、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等のシクロヘキシルアミン誘導体や、N−メチルモルホリン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−ジメチルモルホリン等のモルホリン誘導体や、N,N′−ジエチル−2−メチルピペラジン、N,N′−ビス−(2−ヒドロキシプロピル)−2−メチルピペラジン等のピペラジン誘導体等があげられる。
上記有機錫化合物としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキソエート)等のジアルキル錫化合物があげられる。また、2−エチルカプロン酸第1錫、オレイン酸第1錫等があげられる。
【0023】
(6)樹脂例
本発明で用いられる合成樹脂は、主に熱硬化性のポリウレタン樹脂である。特に、非溶剤型の2液性の熱硬化性ポリウレタンが適している。外周成型溝回転ドラムによる連続成型法は、注型から取り出しまでの時間が成形ドラムの一回転以内であり、30〜60秒程度で取り出し可能な程度に重合固化している必要がある。このような条件を満たすイソシアネートとポリオール、架橋剤、触媒を選定し設計する。取り出した後工程において、2次架橋、熟成工程を施すことができる。割型を用いる場合も、エッジ部分となるエステル系ポリウレタンの初期硬化時間を短くすることが望ましい。
【0024】
例えば、本出願人が先に特許第3004586号公報、特許第2942183号公報、特許第2645980号公報、特開2002−214989号公報、特開2002−214990号公報等に提案したポリウレタン樹脂を例示することができる次のようなポリウレタンを使用することができる。
【0025】
ウレタンプレポリマーの液状物および架橋剤との液状物のうち少なくとも一方に混合される高分子量ポリオールの成分が数平均分子量1000〜3000の2官能ポリオールと、数平均分子量92〜980の3官能ポリオールとを平均官能基数が2.02〜2.20となるポリオールにイソシアネート基の含量が5〜20%となる量のジイソシアネート化合物を混合してプレポリマーを調製し、そのプレポリマーに、OH基/NCO基の当量比が0.85〜1.00となる量の硬化剤とを40〜70℃において混合してポリウレタン液状物(未硬化ポリウレタン組成物)を調製する。
【0026】
なお、前記高分子量ポリオール成分の数平均分子量は、好ましくは1000〜3000の範囲がより望ましい。この組成物を注型することにより反応が円滑に行われ、得られるブレードの物性も好ましい。すなわち、使用されるポリオールの数平均分子量は、1000〜3000の範囲であり、1000未満であると、できあがったウレタンゴムが硬くなりすぎて必要な物性(柔軟性)が得られず、3000を超えると成形時の粘度が高く、注型加工することが困難となる。
また平均官能基数(f)がf=1ではモノオールとなるため重合せず、f≧5では多官能になりすぎるために、重合物の粘度が増大し且つ物性が低下するからである。
【0027】
本発明に係るポリウレタンエラストマー製造の為の成分としては、次のようなものが使用できる。ポリエーテル系ポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール類あるいは、ビスフェノールA、グリセリンのエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシド付加物類のポリエーテル型ポリオールが例示される。ポリエステル系ポリオールとしては、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマール酸等の2塩基酸とエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン等のグリコール類との重合反応により得られるポリエステル型ポリオールならびにポリカプロラクトンジオールを挙げることができる。
【0028】
ジイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、4,4ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4シクロヘキサンジイソシアネート等を挙げることができる。架橋剤(鎖延長剤)として、エチレングリコール、1,4ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の低分子量ジオール並びにエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン等のジアミンを挙げることができる。望ましくは、低分子量ジオールが用いられる。さらに必要に応じて多官能成分としてトリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、グリセリン、及びこれらのエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物を添加してもよい。この架橋剤に前記した着色剤を添加混合する。
【0029】
上記のポリウレタンの製造においては、OH基/NCO基の当量比は生成するポリウレタンの物性から0.8〜1.05がよく、望ましくは0.85〜1.00の範囲である。また必要に応じて一般的なアミン化合物や有機錫系化合物等の反応促進剤が用いられる。例えば、特許第2942183号公報、第0022段落に開示される反応促進剤は下記の一般化学式で表されるイミダゾール誘導体等であって、その具体例としては、化学構造上から反応温度依存性の高い2−メチルイミダゾールや1,2ジメチルイミダゾール等を挙げることができる。
【0030】
【化1】

式中Rは水素、メチル基,又はエチル基を示す。
【0031】
かかる、反応促進剤は有効量としてプレポリマー100重量部に対して、0.01〜0.5重量部、好ましくは0.05〜0.3重量部の範囲で用いられる。望ましくは更に感温性、或は遅効性を有するものが混合した樹脂の可使時間を長くとれ、脱型時間が短くなるため好適に用いられる。その具体例としては、ブロックアミンと称される1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7−有機酸塩、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5−有機酸塩またはこれらの混合物等が挙げられる。本発明では熱硬化型ポリウレタンの原料成分であるウレタンプレポリマーの液状物と架橋剤の液状物との混合撹拌に使用する2液混合注型機には、市販のものを使用できる。また計量ポンプはその定量精度を考慮して、3連以上のプランジャータイプを使用することが好ましいがギアーポンプタイプも使用可能である。特に、本発明の製造装置では、脱型時に所定の硬度を得るために反応促進剤を使用して速硬化処方にする必要があるので、撹拌混合室は、特公平6−11389号公報に開示されているような、混合室内での滞留を防ぎ、且つ反応熱による発熱を抑制した小容量のタイプが好ましい。
【0032】
2液性の熱硬化性のポリウレタン樹脂について詳しく例示した。加熱された回転する成型ドラムを使用するので、加熱硬化反応が注型直後から開始されるので、溶剤を含まない非溶剤型が好ましい。
【0033】
これらの合成樹脂成分を配合して、部分層になる樹脂組成とバックアップ層(ベース層)になる樹脂組成を作成して、使用する。
【0034】
<ポリウレタン弾性部材の製法>
エッジ部分を形成する部分層となるポリウレタン層とベース部層(バックアップ層)のポリウレタン層の2層に形成する方法は、(a)外周に溝を形成した回転成型ドラムを利用して連続成型する方法、(b)割型による個別に成型する方法を利用することができる。着色剤は、これらの部分層あるいはバックアップ層のポリウレタンに添加する。
(1)外周に溝を形成した回転成型ドラムを利用して連続成型する方法
この成型手段は、本願発明者が先に提案した特開2007−30385号公報に開示した手段を利用することができる。ブレードに使用されている合成樹脂製の弾性ゴムからなるテープの幅と同一かそれよりやや大きい幅を有する合成樹脂製のシートを連続して製造し、その長尺シートを定寸にカットし、金属製の支持体の一側縁に接合して現像ブレード、クリーニングブレード等に仕上げる技術を基本製法とする。
この製法に用いる基本的な製造手段は、外周に成形溝を設けた成形ドラムを、水平軸を中心に回転させつつ、ポリウレタン等の液状原料を頂点付近から成形溝に連続注型し、成形ドラムの回転動作中に重合させて、注型箇所より前の位置で長尺シート状となったポリウレタン等の連続成型物を剥離して、成形溝から取り出し、後工程に供給するものを用いるものである。長尺シート状の成型物が連続して産出されるので、後工程では、個別のブレード用に所定形状にカット、金属支持体との接合と一連の作業を連続して実施でき、稼働に無駄が無く生産性が高い。
【0035】
この連続成型法は、複数の注型機を備えたものである。それぞれの注型機から組成の異なる合成樹脂を成形ドラムの成形溝に連続供給することにより、部分2層の合成樹脂層を備えた合成樹脂製のブレード素材を製造する方法である。連続回転する成形ドラムの成形溝に対して、注型口を前後に配置した場合は、先に注型された合成樹脂の上に後から注型された合成樹脂が被覆された状態で硬化して層が形成される。先に注型する合成樹脂の位置、供給量、合成樹脂の組成や種類、成形ドラムの回転スピードなどによって、樹脂層の位置と幅、厚さをコントロールすることができる。後から注型する合成樹脂は、全体を充填するのに必要な量を供給することとなり、ベース層を形成する。
先行する合成樹脂を成形溝のコーナー部に注型した場合は、エッジ部分に異種材料を設けたブレード素材を製造することができる。中間部に注型した場合は、ブレード素材のニップ部に相当する中間位置に異種材料を設けることができる。
これらは検査された後に支持部材と接着接合される。クリーニングブレード用では、エッジの精度を高めるために、シートの縁がカットされるので、カット位置、カット後のエッジの仕上がりの検査が必要となる。
基本構成を図4に示す。
図4に示すように、弾性ゴム部材であるブレード素材の製造装置は、外周に成型用溝が形成された成形ドラム13、樹脂を供給する供給口する第1注型機ミキシングヘッド11、第2注型機ミキシングヘッド12、スチール製の鏡面を備えたエンドレスベルト14、冷却用コンベア20、裁断装置24、搬出用のコンベア25等から構成される。
【0036】
エッジ部分あるいはニップ部に異種材料層を設けたブレード素材は、エッジ部分あるいはニップ部の特性をベース部に影響を与えることなく発揮させることができるので、部分層を設けたブレードの特性を活かすことができる。異種材料を組み合わせることにより、弾性ゴムの物性値をコントロールすることができるので、高温域や低温域等の温度変化適性、あるいは、摩耗耐性などを向上させることができる。また、この成形ドラムを用いた合成樹脂テープの連続成形法は、本出願人が既に提案した各製法、構成要素を使用できるものである。
【0037】
成形溝に注型された合成樹脂は、成形ドラムの外周の一部に成形溝に蓋をする状態で設けられた回転する金属製のエンドレスベルトで覆われた領域において、成形ドラムから熱を受けて、硬化重合が進行し、エンドレスベルトが成形ドラムから離れる位置では、溝の断面形状を備えたテープ状に形成されている。このテープを成形溝から引き出して連続した合成樹脂テープが得られることは、従来の提案と同様である。
この手法においては、樹脂注型後数十秒以内(例えば、30〜60秒程度)に成形溝から取り出されること、成形のために加圧されないこと、重合硬化は回転する成型ドラムの下半部が中心であること、成形溝からの引き剥がし角度を小さくすることができる等の成形条件であるので、成形溝底面からの剥離が比較的容易であり、必ずしも離型剤を使用する必要がない。トナーが微細化やカラー化することによって、離型剤が悪影響となることがあり、本発明の一形態として、離型剤を使用しない場合は、このような不都合も生じない。また、離型剤を用いる必要がないことは、他の表面処理剤を作用させることもできることとなり積極的に表面改質に利用することも可能である。
【0038】
また、重合をコントロールするために、合成樹脂供給位置とエンドレスベルトで覆われるまでの間に、成形ドラムの溝に向けて加熱する外部加熱手段を講ずることもできる。テープ取り出し部近傍では、剥離を容易にするために外部から冷風などを吹きつける冷却手段を講ずることもできる。本発明で得られる樹脂テープのサイズは、幅、厚みとも十分に従来から使用されている現像ブレードやクリーニングブレードの範囲を満足することができる。例えば、厚みが0.40〜3.00mm程度のものは十分に製造できる。
成型課程の模式図を図5に示す。
【0039】
弧状に部分層を形成する一例を模式的に示す。
この例は、試験的に行った実測値に基づく一例であって、これに限定されるものではない。図6は、ベース層2と弧状の部分層1を備えた弾性ゴム部材を示す。弧を模式的に円弧として扱うと次のようになる。円弧状の部分層1は、仮想の半径Rの部分弧となり、その弦Xの2倍が幅となり、高さが円弧の高さYとなるものと想定することができる。
この幅Xと高さYの関係をグラフ化して図7に示す。このようにして得られたポリウレタン弾性ゴム部材に部分層1が所定の厚みと幅になるようにトリミングして切断成形することにより、所望のエッジの大きさを備えたクリーニングブレードを製造することができる。エッジ部分とベース部が異なる色に着色されていると切断位置の決定が容易である。
【0040】
(2)割型による個別に成型する方法(割型成型法)
割型成型法は、1枚のポリウレタン製の弾性ブレードの大きさに相当するキャビティーを成型する2枚の型部材をあわせて、キャビティー内へ液状のポリウレタン原料を注型し、重合硬化後脱型して製造するものである。型組みする前に一方の割型の壁面に筋状にエッジ部分又はニップ部を形成する液状のエステル系ポリウレタン原料を塗布し、半硬化させた後に型組みして、ベース部を形成するエーテル系ポリウレタン原料を注入して、硬化させて脱型して部分2層を形成したブレード素材を得る。
この割型による部分2層の成型方法は、本出願人が出願した特開2007−163676号公報に開示した手段を用いることができる。
【0041】
即ち、次のとおりである。
部分層に相当する位置に熱硬化性樹脂である液状合成樹脂を吐出するヘッドを移動させるか、あるいは金型を移動させることにより熱硬化性樹脂をビード状に塗布するように注型した後、割り金型を組み、ベースとなる熱硬化性樹脂を注型して加熱炉で一体成形する。一体成形されたブレード素材は、割り金型を解体して取り出して所定のサイズに裁断されてブレードとして用いられる。金型を組むときに支持体の一部をキャビティー内部にセットして、ベース形成用樹脂を注型すると支持体とブレードゴム体を一体的に接合できる。この例では、ポリウレタンの硬化成形と支持体との一体化を同時に行っているが、ポリウレタン弾性部材のみを硬化成形し、その後支持体と接着接合することもできる。
【実施例】
【0042】
ポリウレタン製弾性ゴム部材の製造手段は、外周に溝を形成した回転成型ドラムを利用して連続成型する方法を用い、図1に示すクリーニングブレード用ポリウレタン製弾性ゴム部材(シート)を作成した。
【0043】
<クリーニングブレード用ポリウレタン製弾性ゴム部材>
各試験用のサイズのクリーニングブレードを表1、表2の配合のウレタンによって作成した。
(1)エッジ識別用試験用
ポリウレタン製弾性ゴム部材:厚さ2.0mm、幅13.0mm、長さ326mm
(2)厚み識別試験用のポリウレタン製弾性ゴム部材の厚さは、表5に示す厚さに成形した。
各実施例に用いるポリウレタン弾性部材は、エッジ部分とベース層を構成するポリウレタンの組成を異ならせたものである。
各比較例に用いるポリウレタン弾性部材は、全体に同じ組成のポリウレタン組成である。
【0044】
<熱硬化型ポリウレタン>
エッジ層あるいはバックアップ層(ベース層)に用いたポリウレタンの配合は、表1、2に示したとおりである。本実施例では、予め顔料を添加混合した架橋剤を準備した。使用した顔料を表4に示す。
【0045】
<エッジ識別テスト>黒色の検査作業台にブレードを置いて、1分間でエッジ部を識別し梱包できる本数を調査した。
【0046】
<ブレードの例>
エッジ部分用ポリウレタン組成を表1、バックアップ層用ポリウレタンの組成を表2に示す。これらのポリウレタンを用い表3に示す試験例1〜13のポリウレタン弾性部材を用いたクリーニングブレードの例を示す。評価試験結果を表3に示す。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【表3】

【0050】
【表4】

【0051】
[考察]
(1)エッジの識別試験は、従来の無色−無色の組み合わせである試験例10に比べて、試験例1〜9では、4倍識別でき、エッジ部分とバックアップ層の色を異ならせることによる作業効率の向上が確認できた。
(2)一方、エッジ部あるいはバックアップ層を黄色に着色し、他方を無色にした試験例11,12では、2倍の作業効率の結果が示された。黄色単独では、ウレタンの地の色に近いことが影響していると考えられる。
(3)試験例13は、顔料濃度が低いために、識別力が弱くなったと考えられる。
【0052】
<シート厚識別テスト> 表1、表2に記載されたポリウレタンの組み合わせによるシートであって、厚さを表5に示す2種類に混在させた状態から、識別試験を行った。無着色のブレードは、金尺を使用して厚さを測定して識別した。着色されたブレードでは、道具を使用する事なく識別を行った。
混在させた組み合わせを表5に示す。混在試験に用いたエッジ部分とバックアップ層とを組み合わせたシートは表3に記載した試験例を援用した。
【0053】
【表5】

【0054】
[考察]
混在試験例1〜3では、従来の無色-無色の組み合わせのシートである混在試験例4に比べて、6倍の作業効率が得られることが確認された。
一方、エッジ部分とバックアップ層を黄色−無色(試験例11)、無色−黄色(試験例10)として混在試験例5では、作業効率の向上は3倍であった。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】クリーニングブレード装置の例を示す図。
【図2】全体2層の弾性ゴム部材とエッジ部分のみを異ならせた弾性ゴム部材を用いたクリーニングブレードの比較図。
【図3】着色剤の配合方法ついて例示する図
【図4】クリーニングブレードを連続して製造する装置の例を示す図。
【図5】クリーニングブレード連続成形法におけるポリウレタンの硬化課程を示す図。
【図6】弧状に形成された部分層の例を示す図。
【図7】形成される弧状の部分層の大きさを示すグラフ。
【符号の説明】
【0056】
1 エッジ部分(ニップ部)
2 ベース層(バックアップ層)
3 弾性ゴム部材(クリーニングブレード)
4 支持部材
10 外部加熱装置
11 第一注型機ミキシングベルト
12 第二注型機ミキシングベルト
13 成形ドラム
14 エンドレスベルト
15 回転軸
16 予熱ロール
17 ガイドロール
18 テンションロール
19 冷却ロール
20 冷却コンベヤ
21 冷却装置
22 弛み検知器
23 送りロール
24 裁断装置
25 コンベア
26 上側センサー
27 下側センサー
101 帯状ブレード素材
103 定尺寸法ブレード部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッジ部分とバックアップ層から構成されるポリウレタン製弾性ゴム部材において、
エッジ部分とバックアップ層とが異なる色に形成されたものであって、
架橋剤又は低分子ポリオールと相溶する着色剤を用いて着色したポリウレタンによって着色したエッジ部分又は/及びバックアップ層が形成されていることを特徴とする電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
【請求項2】
着色が、青、緑、赤又は黄色であることを特徴とする電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
【請求項3】
青色着色剤が、シアン系青色顔料であって、顔料濃度を0.06〜4.60%とすることを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
【請求項4】
緑色着色剤が、フタロシアニングリーンであって、顔料濃度を0.06〜2.07%とすることを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
【請求項5】
赤色着色剤が、マゼンダ系顔料であって、顔料濃度を0.06〜0.83%とすることを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
【請求項6】
黄色着色剤が、C.l.Pigment Yellow 81であって、顔料濃度を0.06〜4.16%以下とすることを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
【請求項7】
架橋剤成分として、1,4−ブタンジオール(BD)、エチレングリコール(EG)、 ポリプロピレングリコール(PPG)(数平均分子量500以下)、ポリエチレングリコール(PEG)(数平均分子量500以下)のいずれかの短鎖ジオールを用いることを特徴とする請求項1〜6記載の電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
【請求項8】
ポリウレタン製弾性ゴム部材が、外周に溝を形成した回転成型ドラムを利用して連続成型する成型手段によって得られたことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載されたポリウレタン製弾性ゴム部材を支持体に接着したことを特徴とする電子写真用のクリーニングブレード。
【請求項10】
エッジ部分とバックアップ層とが異なる色に形成されたポリウレタン製弾性ゴム部材の製造方法であって、外周に溝を形成した回転成型ドラムを利用して連続成型するポリウレタン製弾性ゴム部材の製造方法であって、
着色剤を架橋剤に添加して均一に混合し、その後ポリオールと混合し、更にその後イソシアネートと混合して得られたポリウレタンをエッジ部分成形用又は/及びバックアップ成型用として準備し、エッジ部分の成型用ポリウレタンを注型し、その後バックアップ層を形成するポリウレタンを注型することを特徴とするポリウレタン製弾性ゴム部材の製造方法。
【請求項11】
エッジ部分とバックアップ層とが異なる色に形成されたポリウレタン製弾性ゴム部材の製造方法であって、架橋剤又は低分子ポリオールと相溶する着色剤を用いて着色したポリウレタンによって着色したエッジ部分が形成されている電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材の製造方法であって、
ポリウレタン製弾性ゴム部材が、外周に溝を形成した回転成型ドラムを利用して連続成型する成型手段を用いて電子写真用のポリウレタン製弾性ゴム部材の製造方法であって
架橋剤又は低分子ポリオールと相溶する着色剤を架橋剤又は低分子ポリオールに添加混合して着色したポリウレタンをエッジ部分形成用の注型用ポリウレタンとして用い、
当該エッジ層を形成するポリウレタン材料を先に成形ドラムの溝内に流し込み該成形ドラムを回転しながら硬化させて、半硬化した後、バックアップ層を形成するポリウレタン材料を流しこみ回転させながら硬化させて部分2層から構成される帯状の弾性ゴム部材を取り出して、定寸にカットしてポリウレタン製弾性部材製造する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−145557(P2010−145557A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320362(P2008−320362)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000005061)バンドー化学株式会社 (429)
【Fターム(参考)】