説明

電子写真用シームレスベルトおよびその製造方法

【課題】小型、高速、高画質な画像形成装置に対応すべく、とりわけ、耐屈曲性や吸着搬送力に優れ、且つ良質な画像形成を行うことの出来る電子写真用シームレスベルトを提供する。
【解決手段】少なくとも熱可塑性樹脂を含有する層を有する電子写真用シームレスベルトにおいて、前記熱可塑性樹脂を含有する層について、第一昇温として10℃/minで室温から200℃まで加熱し、その後−10℃/minで100℃まで降温し、その後第二昇温として10℃/minで200℃まで加熱する熱量測定を行った際、前記第一昇温時には、溶融開始温度±20℃の温度範囲内で最大吸熱ピーク及び他の吸熱ピークまたはショルダーが観測され、前記第二昇温時に前記溶融開始温度±20℃の温度範囲内で観測される吸熱ピークまたはショルダーの数が、前記第一昇温時に前記溶融開始温度±20℃の温度範囲内で観測される吸熱ピークまたはショルダーの数より少ない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真画像形成装置に用いられる転写搬送ベルト、中間転写ベルト、感光体ベルト等の電子写真用シームレスベルト及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、文書や画像をカラーで出力する機会が増え、カラー電子写真画像形成装置の実用化が進んでいる。それに伴い、主要部品の一つである中間転写ベルトや転写搬送ベルトなどの需要も増え、高機能化が求められている。
【0003】
中間転写ベルトを用いた画像形成方法としては、次のような方法がある。例えば、1つの電子写真感光体で一次帯電、露光、現像を1色ずつ順次行い、各色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック等)のトナー像を中間転写ベルト上に一旦転写(一次転写)した後、これを転写材上に一括して転写(二次転写)する。これによりカラー画像を形成する方式が中間転写方式である。また、例えば、直列に配置された各色用の画像形成部(電子写真感光体、一次帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段などを有する)において各色のトナー像をそれぞれ形成し、これらを中間転写ベルトに転写した後、転写材上に一括して二次転写する。こうすることで画像を形成する方式がインライン型中間転写方式である。
【0004】
また、転写搬送ベルトを用いた画像形成方法としては、次のような方法がある。例えば、直列に配置された各色用の画像形成部(上記と同様の手段を有する)において、各色のトナー像をそれぞれ形成し、これらを転写搬送ベルトによって各画像形成部に順次搬送される転写材上に順次転写する。こうすることでカラー画像を形成するインライン型画像形成装置などが良く知られている。
【0005】
このようなフルカラー画像形成装置において、高品質画像を形成する上で重大な課題の一つとして、各色の像担持体上に形成されたフルカラー画像の各成分画像を、転写材上に位置ずれさせることなく形成することが挙げられる。また、各色の画像濃度が使用環境、使用年数に拠らず一定で、同一画像を出力した際の色再現性に優れていることが挙げられる。
【0006】
画像濃度を一定に保つ為の調整方法の例としては、次のような方法が挙げられる。まず、各画像形成部で形成された各色ごとのサンプルトナー画像(ハーフトーン画像やベタ画像)を転写ベルト(転写搬送ベルトまたは中間転写ベルト)に転写する。そして、転写ベルト上のサンプルトナー画像を光学センサ(濃度検知センサ)で読み取り、各色の現像デバイスや露光量を調節して濃度を調整する方法である。この場合、通常画像が形成されない転写搬送ベルト上においても、良好なトナー画像を作像する必要が有る。
【0007】
また、上記調整の際には、形成した各色画像を転写材上に位置ずれさせることなく出力する為に、次のような補正をしている。すなわち、各色毎のサンプルトナー画像を転写ベルト上に転写し、光学センサ(位置検知センサ)を用いて読み取ることで、感光ドラムに書き込むレーザーの位置や、各色ごとの画像書き出しタイミングを変更してトナー像の位置ズレを補正している。したがって、転写ベルト上のトナー像が不明瞭であれば、位置ズレの原因となる。また、あくまで転写ベルト上で各色の書き出し位置を調整している為、転写ベルト上に転写材がしっかりと吸着していないと各色のトナー像がずれてしまうといった問題がある。
【0008】
一方、このところ、電子写真画像形成装置の小型化が進み、その観点から転写材を垂直(あるいは斜め上方)に搬送する垂直インライン方式のものが市販されてきている。また更なる小型化のために、バイアスを印加して紙の転写ベルトへの吸着を補助していた吸着ローラを取り除くといった方法もあるが、そのためにはより一層、転写搬送ベルト自体に転写材を吸着する力が必要となってくる。
【0009】
静電吸着により転写材を搬送する転写搬送ベルトにおいては、高い吸着力は転写搬送ベルトの電気抵抗を高くすることで容易に達成できる。しかしながら、単に電気抵抗が高くするだけでは、転写搬送ベルトにサンプルトナー画像を作像した際に、そのトナー像が電気的に不安定な状態になりやすい。特にベルト上に転写した時や駆動ローラからベルトが離れた際にトナーの飛び散り等が発生し、意図したサンプル画像がベルト上に作像出来なくなり、濃度検知や位置検知が正常に行えなくなるという問題がある。また、中間転写ベルトにおいても、高温高湿環境下で良好な転写を行いかつ低温低湿環境下でトナー画像の異常放電を抑止する為には、単なる電気抵抗調整だけでは問題解決には至っていない。
【0010】
さらに、電子写真形成装置の小型化、高速化、高寿命化に伴い、電子写真用シームレスベルトの引張り強さ、耐屈曲性といった機械特性も重要な課題となっている。
【0011】
従来、静電吸着による転写搬送ベルトとしては、特許文献1や特許文献2といったものが知られているが、上記にあげた問題の解決や更なる要求に対しては十分に満足できるまでには至っていなかった。
【特許文献1】特開2002−328537号公報
【特許文献2】特開2003−186268号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
画像形成装置の小型化、高画質化、高耐久化に伴い、従来提案されている電子写真用シームレスベルトでは必要な特性を満足し得なくなってきた。
【0013】
そこで本発明の目的は、上記のような画像形成装置に対応すべく、とりわけ、耐屈曲性や高温高湿化における紙搬送力に優れ、且つ良質な画像形成を行うことの出来る電子写真用シームレスベルトを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者等は係る目的を達成すべく鋭意検討した結果、以下に示すような電子写真用シームレスベルトによって上記の問題点が解決できることを見出した。
少なくとも熱可塑性樹脂を含有する層を有する電子写真用シームレスベルトにおいて、
前記熱可塑性樹脂を含有する層について、第一昇温として10℃/minで室温から200℃まで加熱し、その後−10℃/minで100℃まで降温し、その後第二昇温として10℃/minで200℃まで加熱する熱量測定を行った際、
前記第一昇温時には、溶融開始温度±20℃の温度範囲内で最大吸熱ピーク及び他の吸熱ピークまたはショルダーが観測され、
前記第二昇温時に前記溶融開始温度±20℃の温度範囲内で観測される吸熱ピークまたはショルダーの数が、前記第一昇温時に前記溶融開始温度±20℃の温度範囲内で観測される吸熱ピークまたはショルダーの数より少ない。
【0015】
前記の電子写真用シームレスベルトは、前記熱可塑性樹脂を含有する層を形成するための原料成分をチューブまたはシート状に成形した後、熱処理を伴う二次加工を行うことで製造することができる。
【0016】
また、前記の電子写真用シームレスベルトを有することを特徴とする画像形成装置とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、耐屈曲性に優れ、高い紙吸着搬送力を保ったまま、異常放電などによるベルト上に転写されたパッチ画像の不良、とりわけベルト上でのトナーの飛び散りの少ない電子写真用シームレスベルトを得ることが出来る。そして、良質な画像形成が可能な電子写真装置を得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の電子写真用シームレスベルトは、少なくとも熱可塑性樹脂を含有する層を有するものである。そして、その熱可塑性樹脂を含有する層について熱量測定を行った際に、以下の条件1及び2を満たすことを特徴とする。ただし、熱量測定は、第一昇温として10℃/minで室温から200℃まで加熱し、その後−10℃/minで100℃まで降温し、その後第二昇温として10℃/minで200℃まで加熱する方法で行う。
条件1:第一昇温時には、溶融開始温度±20℃の温度範囲内で最大吸熱ピーク及び他の吸熱ピークまたはショルダーが観測される。
条件2:第二昇温時に溶融開始温度±20℃の温度範囲内で観測される吸熱ピークまたはショルダーの数が、第一昇温時に溶融開始温度±20℃の温度範囲内で観測される吸熱ピークまたはショルダーの数より少ない。
【0019】
すなわち、第一昇温時には、溶融開始温度±20℃の温度範囲内で複数の吸熱ピークまたはショルダーが観測されるが、第二昇温時には、その吸熱ピークまたはショルダーが減少することになる。
【0020】
このような条件を満足するということは、電子写真用シームレスベルトが含有する熱可塑性樹脂の少なくとも1種が、結晶の大きさ分布に複数のピークまたはショルダーを有することを意味すると考えられる。すなわち、第一昇温時には、結晶の大きさの違いにより吸熱ピークまたはショルダーが複数発現する。そして、完全に溶融し再結晶化した後は、結晶の大きさの分布が単一のものとなり、第二昇温時には、吸熱ピークまたはショルダーの数が減少する。
【0021】
なお、熱可塑性樹脂を複数種使用することで、第一昇温時に、吸熱ピークまたはショルダーが複数発現することも考えられる。ただし、その場合は、第二昇温時には、その吸熱ピークまたはショルダーの数は減少しない。
【0022】
本発明における熱量測定としては、示差操作熱量測定(DSC)を用いて、JIS K
7121を参考に測定することができる。ただし、それと同程度の定量性を有していれば、示差熱分析(DTA)やそれに代わる分析方法を利用することもできる。詳しい測定条件については、後述する実施例に記載する。
【0023】
吸熱ピークは、熱量測定曲線(例えばDSC曲線)の極値から判断する。また、吸熱ショルダーは、熱量測定曲線の微分値が極値となる点、即ち、変曲点より判断する。
【0024】
本発明における溶融開始温度は、フローテスター測定より得られた流出開始温度とする。詳しい測定条件については、後述する実施例に記載する。
【0025】
上記のような条件を満足する電子写真用シームレスベルトとすることで、良好な結果が得られる理由は必ずしも定かではないが、本発明者等は次のように考えている。まず、高抵抗な電子写真用シームレスベルトは、電圧をかけつづけることでチャージアップを起こしやすいという問題がある。チャージアップした状態でベルト上にトナー像を転写すると、そのトナー像は電気的に不安的な状態になりやすく、駆動時の振動やベルト形状の変化などをきっかけにトナーが所定の位置からベルト上の別の位置へ移動してしまう。つまり、トナー像が飛び散ってしまう。ところが、上記のような条件を満たす電子写真用シームレスベルトでは、結晶の大きさ分布に複数のピークまたはショルダーを有することで、マクロ的に均一であっても、ミクロ的にはその結晶の大きさに応じた不均一な電気特性をもつ。そこに高電圧をかけると、大きな結晶が存在する部分に局所的にバリスタ特性が発現すると考えられ、高い電圧をかけた時に一定以上の電荷がたまるのを防ぎ、異常なチャージアップを抑制しているものと考えられる。一方、マクロ的な抵抗は高いままであるため、紙吸着力は高いレベルを保つことができると考えられる。
【0026】
本発明の電子写真用シームレスベルトに用いることの出来る熱可塑性樹脂としては、上記のような条件を満足できるものであれば特に制約はない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;ポリフェニレンサルファイド等の硫黄含有樹脂;ポリフッ化ビニリデン、(ポリ)エチレン−四フッ化エチレン共重合体等のフッ素含有樹脂;ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ塩化ビニリデン、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、液晶ポリマー、及びこれらの各種変性樹脂や共重合体、が挙げられる。中でも、機械的強度や成形性などの観点から、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)が特に好ましい。熱可塑性樹脂は1種でも良く、2種以上でも良い。
【0027】
本発明の電子写真用シームレスベルトの熱可塑性樹脂を含有する層を形成するための原料成分には、成形安定性や機械強度を損なわない程度の量の熱可塑性樹脂が含まれていればよい。耐屈曲性の観点から、原料成分は熱可塑性樹脂を50質量%以上含んでいることが好ましく、60質量%以上がより好ましい。原料成分は熱可塑性樹脂のみでも良いが、後述する電子導電剤やイオン導電剤等を含有することもできる。なお、2種以上の熱可塑性樹脂を使用した場合、ここで言う熱可塑性樹脂の量はその合計量を意味する。
【0028】
本発明において原料成分が含有する熱可塑性樹脂は、吸熱ピークまたはショルダーをコントロールし、本発明の作用効果を効率的に発現させる為に、95質量%以上が同一種類の熱可塑性樹脂であることが好ましい。すなわち、原料成分に含まれる熱可塑性樹脂は1種でも良く(この場合は100質量%となる)、2種以上の熱可塑性樹脂を含む場合は、そのうちの1種類の熱可塑性樹脂が、熱可塑性樹脂の合計量の95質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、97質量%以上である。また、例えば95質量%以下の量とすることもできる。なお、ここで言う同一種類の熱可塑性樹脂とは、基本骨格が同一の熱可塑性樹脂を意味するものとする。すなわち、基本骨格が同一であれば、結晶性や分子量等のグレードが異なる熱可塑性樹脂も同一種類の熱可塑性樹脂とする。
【0029】
本発明で使用する原料成分には、得られる電子写真用シームレスベルトの特性を損なわない範囲で電子導電剤やイオン導電剤等を併せて使用することが出来る。電子導電剤としては、例えば、カーボンブラック、天然グラファイト、人工グラファイト等の炭素材料;銅、ニッケル、鉄等の金属紛;酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫等の金属酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性高分子;などが挙げられる。イオン導電剤としては、例えば、ポリエーテルエステルアミド等の帯電防止樹脂;パーフルオロブタンスルホン酸カリウム等の金属塩;などが挙げられる。電子導電剤やイオン導電剤は、1種または2種以上を使用することができる。本発明においては、環境変動特性や電気特性を考慮し、カーボンブラックを含有していることが好ましい。カーボンブラックの添加量は原料成分の1〜30質量%が好ましい。
【0030】
本発明の電子写真用シームレスベルトは、半導電領域の抵抗値を有していることが好ましい。具体的には、高温高湿下での紙吸着力を考慮すると、その表面抵抗率が23℃/50%RHの環境下において108〜1015Ω/□であることが好ましく、1011〜1015Ω/□であることがより好ましい。
【0031】
また本発明の電子写真用シームレスベルトは熱可塑性樹脂を含んだ層を有していれば、単層でも多層でも良いが、好ましくは単層である。
【0032】
熱量測定において前記のような条件を満たす特性を有する本発明の電子写真用シームレスベルトの製造方法としては、例えば、次のような方法が挙げられる。まず、押出し成形法、押出しインフレーション成形法、押出しブロー成形法、射出成形法、及び、インジェクションブロー成形法などの溶融成形法によってチューブまたはシート状に成形する(一次加工)。そして、得られたシームレスベルトに更に熱処理を伴う二次加工を行う。二次加工の例としては、後述する実施例1に記載の円筒型を用いた熱処理などが挙げられる。この時、二次加工における熱処理の温度はシームレスベルトの溶融開始温度付近に設定し、また、完全に溶融させないように加熱を行う。その結果、一次加工によって形成されたシームレスベルトの一部を溶融し、一次加工とは異なる条件で冷却固化を行うことで、融解して再結晶化した結晶のみ大きさが変化すると考えられる。つまり、二つの加工工程の加熱温度・加熱時間・冷却速度の違い等により、熱可塑性樹脂の少なくとも1種が、結晶の大きさ分布に複数のピークまたはショルダーを有するようになる。これにより、熱量測定において前記のような条件を満たす特性を有するようになると考えられる。ただし、上記の特性を有していれば、その製法は特に限定はされない。
【0033】
以上のような本発明の電子写真用シームレスベルトは、画像形成装置に用いられる転写搬送ベルト、中間転写ベルト、感光体ベルト等に好適である。
【0034】
図1は、本発明の電子写真用シームレスベルトを転写搬送ベルトとして具備する、垂直インライン方式の画像形成装置の概略構成図である。図1の画像形成装置は、複数の感光体に夫々異なる色のトナー像を形成し、この各感光体に順次接触して垂直上方に搬送される1枚の転写材に位置を合わせて、各感光体上のトナー像を転写し、フルカラー画像を得るものである。
【0035】
図1に示された画像形成装置は、電子写真プロセス手段として4つの画像形成部が垂直方向に並設されている。各画像形成部は、像担持体としての感光ドラム1、1次帯電器としての1次帯電器2、露光光3を発する露光手段(不図示)、及びクリーニング部材19をそれぞれ含んで構成されている。また、各画像形成部には、各色に対応した現像器(イエロー色現像器4Y、マゼンタ色現像器4M、シアン色現像器4C、ブラック色現像器4K)が配置されている。各現像器4Y、4M、4C、4Kには、それぞれイエロートナーY、マゼンタトナーM、シアントナーC、ブラックトナーBKが収容されている。
【0036】
上記画像形成部の横には、駆動ローラ8、従動ローラ9及び張架ローラ10の間に張設された無端状の転写搬送ベルト5と、各画像形成部の感光ドラム1にそれぞれ対向した一に転写部材6とが配置されている。
【0037】
装置本体内の底部には、記録媒体として複数枚の記録紙(転写材)Pを積層収容して成るカセット(不図示)が設置されている。そして、該カセット内の記録紙Pが給紙ローラ13によって1枚ずつ送り出され、転写材ガイド14を経て吸着ローラ7及び従動ローラ9の間まで搬送可能となっている。また、装置本体内の上記記録紙Pの搬送方向下流側には、分離帯電器11及び定着器12が配設されており、記録された記録紙Pが排出される構造になっている。
【0038】
そして、各画像形成部においては、感光ドラム1が図示矢印方向に所定の速度で回転駆動され、これらは1次帯電ローラ2によってそれぞれ一様に帯電処理される。このように帯電処理された各感光ドラム1に対して画像情報に応じた露光光3が露光部(不図示)によって発され、各感光ドラム1には画像情報に応じた静電潜像が形成される。その後、各静電潜像は各現像器4Y、4M、4C、4Kによって現像されて、イエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像としてそれぞれ顕像化される。
【0039】
一方、前述のように吸着ローラ7及び従動ローラ9の間まで搬送された記録紙Pは、バイアス電源31が印加されている吸着ローラ7により帯電され、転写搬送ベルト5に吸着されてこれと共に移動して各画像形成部を通過する。その過程で記録紙Pには、バイアス電源30により転写部材6に印可された転写バイアスの作用により、イエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像が重ねて転写される。そして、上述のように各カラートナー像の転写を受けた記録紙Pは、分離帯電器11によって除電されて転写搬送ベルト5から分離された後、定着器12に搬送されてカラートナー像の加熱定着を受け、最後に装置本体から排出される。
【0040】
この垂直インライン方式の画像形成装置は、転写材を各記録装置に順次搬送しながら各色画像を重畳転写するため、1工程でカラー画像が形成されるので、画像出力時間が短いという利点がある。
【0041】
図2は、本発明の電子写真用シームレスベルトを中間転写ベルトとして具備する、中間転写方式の画像形成装置の概略構成図である。図2の画像形成装置は、1つの感光体で一次帯電、露光、現像を1色ずつ順次行い、各色のトナー像を中間転写ベルト上に一旦転写した後、これを転写材上に一括して転写することで、フルカラー画像を得るものである。
【0042】
図2において、第1の画像担持体としての感光ドラム1は、矢印の方向に所定の周速度(プロセススピード)で回転駆動される。感光ドラム1は回転過程で、1次帯電器2により所定の極性・電位に一様に帯電処理される。次いで不図示の像露光手段(カラー原稿画像の色分解・結像露光光学系や、画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザービームを出力するレーザースキャナによる走査露光系など)からの露光光3により画像露光を受ける。そうすることにより目的のカラー画像の第1の色成分像(例えばイエロー色成分像)に対応した静電潜像が形成される。
【0043】
次いで、その静電潜像が第1の現像器(イエロー色現像器4Y)により第1色であるイエロートナーYにより現像される。この時第2〜第4の現像器(マゼンタ色現像器4M、シアン色現像器4C及びブラック色現像器4K)の各現像器は作動−オフになっていて感光ドラム1には作用せず、上記第1色のイエロートナー画像は上記第2〜第4の現像器により影響を受けない。
【0044】
中間転写ベルト15は時計方向に感光ドラム1と同じ周速度をもって回転駆動されている。そして、感光ドラム1上に形成担持された上記第1色のイエロートナー画像が、感光ドラム1と中間転写ベルト15とのニップ部を通過する。その過程で、バイアス電源32から中間転写ベルト15に印加される1次転写バイアスにより形成される電界により、イエロートナー画像が中間転写ベルト15の外周面に順次中間転写(1次転写)されていく。中間転写ベルト15に対応する第1色のイエロートナー画像の転写を終えた感光ドラム1の表面は、クリーニング部材19により清掃される。
【0045】
同様に、第2色のマゼンタトナーMにより現像されたマゼンタトナー画像、第3色のシアントナーCにより現像されたシアントナー画像、第4色のブラックトナーBKにより現像されたブラックトナー画像が、順次中間転写ベルト15上に重ね合わせて転写される。こうして目的のカラー画像に対応した合成カラートナー画像が形成される。感光ドラム1から中間転写ベルト15への第1〜第4色のトナー画像の順次重畳転写のための1次転写バイアスはトナーとは逆極性(+)で、バイアス電源32から印加される。その印加電圧は、例えば+100V〜+2kVの範囲である。
【0046】
一方、2次転写部材17が、2次転写対向部材18に対応し平行に軸受させて中間転写ベルト15の下面部に離間可能な状態に配設してある。なお、中間転写ベルト15は2次転写対向部材18と張架ローラ10とにより張架され回転する。感光ドラム1から中間転写ベルト15への第1〜第3色のトナー画像の1次転写工程において、2次転写部材17は中間転写ベルト15から離間することも可能である。
【0047】
中間転写ベルト15上に転写された合成カラートナー画像の転写材Pへの転写は、次のように行われる。まず、2次転写部材17が中間転写ベルト15に当接される。それと共に、給紙ローラ13から転写材ガイド14を通って、中間転写ベルト5と2次転写ローラ7との当接ニップに所定のタイミングで転写材Pが給送され、2次転写バイアスがバイアス電源33から2次転写部材17に印加される。この2次転写バイアスにより中間転写ベルト5から第2の画像担持体である転写材Pへ合成カラートナー画像が転写(2次転写)される。トナー画像の転写を受けた転写材Pは定着器12へ導入され加熱定着される。
【0048】
転写材Pへの画像転写終了後、中間転写ベルト15にはクリーニング用帯電部材20が当接され、感光ドラム1とは逆極性のバイアスをバイアス電源34から印加される。そうすることにより、転写材Pに転写されずに中間転写ベルト15上に残留しているトナー(転写残トナー)に感光ドラム1と逆極性の電荷が付与される。前記転写残トナーは、感光ドラム1とのニップ部及びその近傍において感光ドラム1に静電的に転写されることにより、中間転写ベルトがクリーニングされる。
【0049】
図3は、本発明の電子写真用シームレスベルトを中間転写ベルトとして具備する、インライン中間転写方式(4パス式)の画像形成装置の概略構成図である。図3の画像形成装置では、各色用に画像形成部(感光ドラム、一次帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段など)が直列に配置されている。そして、各画像形成部において、各色のトナー像をそれぞれ形成し、これらを中間転写ベルトに転写した後、転写材上に一括して二次転写する。そうすることで、フルカラー画像を得るものである。
【0050】
各構成部材の機能は、基本的に図2の画像形成装置と同じである。ただし、図3の画像形成装置では、中間転写ベルト上に残留している転写残トナーのクリーニング用にベルトクリーニング部材21が別途設けられている。
【実施例】
【0051】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
【0052】
(実施例1)
表1の実施例1に基づいた原料配合を2軸の押出し混練機で混練・分散させた後、ストランドカッターを用いて熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。次に該ペレットを図4に示されるインフレーション成形機が具備する1軸押出し機100のホッパー102へ投入し約220℃〜240℃に加熱することにより溶融体とした。該溶融体は環状ダイス103に導かれ、該環状ダイス103から外部冷却リング105を経てチューブ状に押出されて筒状フィルム(チューブ)110となると同時に、空気導入路104より供給される圧縮空気によってチューブを膨張させた。膨張したチューブは、安定板106を通過した後、挟持部材としてのピンチロール107を経て、一定の折り径で引き取られながら、長さ300mmになるようにカッター108でチューブの軸方向と垂直方向に断続的に切断することで円筒体を得た。
【0053】
次に、この円筒体に熱処理を伴う二次加工を行った。まず、該円筒体を厚さ0.5mmのニッケル製の筒(外型)と外周面にPFA製のチューブを有する内型との間に配置した。その後、内型の内部に0.4MPaの圧縮空気を送り込むことで、外型と成形体、成形体と内型をそれぞれ密着させた。この状態で外型外周面を180℃になるまで均一に加熱し、その後、30秒間冷却を行った。このときの加熱時間は10.1秒、また、冷却後の温度は28.8℃であった。冷却終了後、内型内部に密封していた圧縮空気を排出して、成形体を取り出した。該操作によって、結晶のコントロールを行い、同時にサイズ精度、表面性を向上させた。さらに、幅を260mmに切り揃えて、ベルト状部材(電子写真用シームレスベルト)を得た。
【0054】
また、各物性値は以下の様に測定した。
【0055】
(1)熱量測定による吸熱ピーク測定
<測定装置>
示差走査熱量計(Rigaku製、商品名:Thermo Plus 2/DSC8230)
<試料準備>
細かく裁断したシームレスベルトを常温で減圧乾燥する。試料量は約5mgとする。
【0056】
<測定方法>
測定前に減圧乾燥を行った上記試料を上記装置に用いることのできるSamplePanにつめる。Refarenceとしてアルミニウムを使用し、また、SamplePanはアルミニウム製のものを使用した。一回目の昇温は室温(約25℃)から10℃/minで200℃まで加熱し、その後、−10℃/minで100℃まで降温し、さらに10℃/minで200℃まで再加熱を行った。なお、測定は窒素ガス気流下(20ml/min)で行った。
【0057】
その結果、一回目の昇温時(ファーストラン)には二つの吸熱ピークが現れ、二回目の昇温時(セカンドラン)には吸熱ピークは一つとなった(DSC曲線を図5に示す)。
【0058】
(2)溶融開始温度
本発明における溶融開始温度とは、フローテスター測定において得られた流出開始温度と同一のものである。以下に測定条件を示す。
【0059】
<測定装置>
フローテスターCFT−500D(島津製作所製商品名)
<試料準備>
フローテスターのシリンダ孔に充填できるように切断したシームレスベルトを温度約75〜85℃、湿度0〜50%RHで4時間乾燥する。
【0060】
<測定方法>
十分に乾燥した試料を約1g〜3g秤量し、シリンダ孔に出来るだけ空隙が出来ないように充填する。一定温度下で、プランジャーにより294Nの荷重をかけ、直径1mm、長さ1mmのノズル(ダイ)より押出し、流出開始温度を測定する。
【0061】
<測定条件>
昇温速度:5℃/min
測定モード:昇温法
測定開始温度:130℃
予熱時間:120s
プランジャー面積:1cm2
フローテスターによる流出開始温度は168℃であった。
【0062】
(3)表面抵抗測定
表面抵抗の測定には、ハイレスターUP(ダイアインスツルメンツ製商品名)を用いて行った。その他の測定条件は以下のとおりである。
測定環境:23℃/50%RH
プローブ:UR−100プローブ
測定時間:30秒
測定電圧:100V〜1000V
(4)サンプルトナー画像の飛び散り評価
サンプルトナー画像の飛び散り評価は、転写搬送ベルトを用いた垂直搬送タイプのインライン電子写真装置(図1)を用いてベルト上に4色それぞれの横棒状のベタ画像やハーフトーン画像等を直接転写し、それを目視で確認することによって行った。評価基準は以下のように設けた。
◎:トナー像の飛び散りが無く良好なサンプルトナー画像が得られる。
〇:若干の飛び散りが見られることもあるがサンプルトナー画像にはほとんど異常は無い。
△:若干の飛び散りが生じサンプルトナー画像に乱れが見られる(実用可)。
×:サンプルトナー画像に実用不可レベルの飛び散りが見られる(実用不可)。
【0063】
また、この評価は使用環境によって差が見られたため、15℃/10%RHと30℃/80%RHの環境下で測定し、結果が悪い方をその実施例の評価とした。なお、測定サンプルおよび測定装置は予め測定雰囲気に24時間以上放置した。
【0064】
(5)吸着搬送力の測定
吸着搬送力の測定は以下のように行った。
【0065】
転写材をほぼ垂直に搬送し、吸着ローラを有しない電子写真形成装置(図1において吸着ローラ7を取り外したもの)を用いて、給紙スロットから給紙した転写材にベルト上で電圧(一次転写バイアス)を印加して吸着搬送させる。転写材としては、キヤノン社製、カラーレーザーコピアA4サイズ、81.4g/m2をA5サイズに裁断したものを使用する。転写材が完全にベルト上に乗ったところで搬送を停止させ、ベルトユニットを水平に倒す。搬送を停止させてから20秒たった時点で、フォースゲージを用いて紙のみを水平方向に100mm/s程度の速さで引張り、引張り力の最大値を読み取ることで、その値を吸着力とした。
【0066】
吸着力は使用環境に左右され、特に高温高湿な場所では吸着力は低下する傾向にある。そのため測定は32.5℃/80%RHの環境で行い、測定に用いた転写搬送ベルトを含む電子写真形成装置とA5紙は同環境で36時間以上エージングをして測定した。
【0067】
また、別途画像評価を行い吸着力との関係を検討した結果、吸着力は少なくとも100gf以上必要であり、200gf以上あると色ずれの無い良好な画像が得られた。よって、以下のように評価基準を設けた。
◎:200gf以上
〇:150gf以上
△:100gf以上(実用可)
×:100gf未満(実用不可)
(6)耐屈曲性の評価
MIT式耐揉疲労試験機(東洋精機製、型式D)を用いて、JIS P 8115に準拠して、耐屈曲性試験を行った。サンプルは該シームレスベルトから長さ100mm、幅15mmに切り出したものを用いた。その他測定条件は以下の通りである。
荷重:14.7N
折り曲げ角度:左右それぞれ135°
折り曲げ速度:175回/分
折り曲げ装置:先端R 0.38mm、ヒラキ 0.25mm
また、以下のように評価基準を設けた。
◎:1万5千回以上
〇:1万回以上
△:5千回以上
×:5千回未満
上記の測定条件にしたがって、図1の吸着ローラをはずした画像形成装置を用いて、吸着搬送力・パッチ画像の飛び散りを測定した結果、どちらも十分に満足する電子写真用シームレスベルトが得られた。また、耐屈曲性においても良好な結果が得られた。
【0068】
(実施例2)
実施例1と同様にして作製した電子写真用シームレスベルトを、図3に示す中間転写方式の画像形成装置に設置し、実施例1と同様の方法でサンプルトナー画像の飛び散り評価及び耐屈曲性の評価を行った。この画像形成装置おいても、問題なく使用することが出来ることを確認した。
【0069】
(実施例3)
二次加工時の加熱温度を220℃に、加熱時間を13.8秒とする他は、実施例1と同様にして電子写真用シームレスベルトの作製及び評価を行った。
【0070】
(実施例4〜6)
実施例1において、それぞれ用いた材料を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真用シームレスベルトの作製及び評価を行った。
【0071】
(比較例1)
実施例1における二次加工を以下の様に変更して電子写真用シームレスベルトを作製し、実施例1と同様にして評価を行った。
【0072】
チューブ押出しによって作成された折り目のある筒状体を熱膨張率の異なる金属からなる一組の円筒型を用いてサイズと表面平滑性の調整と折り目除去を行った。内型には熱膨張率の高いアルミニウム材を、外型にはアルミニウムより熱膨張率の低いステンレスを用いた。外型は内表面にバフがけを行い鏡面に仕上げたものを用いた。内型の外径と外型の内径の寸法ギャップは170μmである。熱膨張率の高い内型に円筒体を被せて、その内型の内面を平滑に加工した外型に挿入し、180℃に設定したオーブンで2時間加熱する。冷却後シリンダから外したシームレスベルトの端部をカットして電子写真用シームレスベルトを作製した。
【0073】
(比較例2)
実施例1の二次加工において、加熱後180℃で5分間保持した後、冷却を行った。それ以外は実施例1と同様にしてシームレスベルトの作製及び評価を行った。
【0074】
【表1】

【0075】
<表の説明>
PVDF1:ポリフッ化ビニリデン、アルケマ社製カイナー720(商品名)
PVDF2:ポリフッ化ビニリデン、アルケマ社製カイナー740(商品名)
PVDF3:ポリフッ化ビニリデン、呉羽化学製KF#1100(商品名)
PEEA1:ポリエーテルエステルアミド、三洋化成工業製ペレスタットNC63(商品名)
PEEA2:ポリエーテルエステルアミド、富士化成工業製TPAE−10(商品名)
CB1:カーボンブラック、電気化学工業製デンカブラック(商品名)
CB2:カーボンブラック、ケッチェンブラックインターナショナル製ケッチェンブラックEC600JD(商品名)
KFBS:パーフロロブタンスルホン酸カリウム、三菱マテリアル製KFBS(商品名)
ZnO:酸化亜鉛粒子、堺化学工業製酸化亜鉛一種
ピーク数1:一回目の昇温(ファーストラン)時の吸熱ピーク数
ピーク数2:二回目の昇温(セカンドラン)時の吸熱ピーク数
使用用途:ETB→転写搬送ベルトとして使用、ITB→中間転写ベルトとして使用
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】垂直インライン方式の画像形成装置の概略構成図である。
【図2】中間転写方式の画像形成装置の概略構成図である。
【図3】インライン中間転写方式の画像形成装置の概略構成図である。
【図4】インフレーション成形機の概略構成図である。
【図5】実施例1で得られた電子写真用シームレスベルトのDSC曲線である。
【符号の説明】
【0077】
1 感光体(感光ドラム)
2 一次帯電器
3 露光光
4Y イエロー色現像器
4M マゼンタ色現像器
4C シアン色現像器
4K ブラック色現像器
5 転写搬送ベルト
6 転写部材
7 吸着ローラ
8 駆動ローラ
9 従動ローラ
10 張架ローラ
11 分離帯電器
12 定着器
13 給紙ローラ
14 転写材ガイド
15 中間転写ベルト
16 一次転写部材
17 二次転写部材
18 二次転写対向部材
19 クリーニング部材
20 クリーニング用帯電部材
21 ベルトクリーニング部材
30,31,32,33,34 バイアス電源
100 1軸押出し機
102 ホッパー
103 環状ダイス
104 気体導入路
105 外部冷却リング
106 安定板
107 ピンチローラ
108 裁断機(カッター)
110 筒状フィルム(チューブ)
P 転写材
Y イエロートナー
M マゼンタトナー
C シアントナー
BK ブラックトナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも熱可塑性樹脂を含有する層を有する電子写真用シームレスベルトにおいて、
前記熱可塑性樹脂を含有する層について、第一昇温として10℃/minで室温から200℃まで加熱し、その後−10℃/minで100℃まで降温し、その後第二昇温として10℃/minで200℃まで加熱する熱量測定を行った際、
前記第一昇温時には、溶融開始温度±20℃の温度範囲内で最大吸熱ピーク及び他の吸熱ピークまたはショルダーが観測され、
前記第二昇温時に前記溶融開始温度±20℃の温度範囲内で観測される吸熱ピークまたはショルダーの数が、前記第一昇温時に前記溶融開始温度±20℃の温度範囲内で観測される吸熱ピークまたはショルダーの数より少ないことを特徴とする電子写真用シームレスベルト。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂を含有する層が、熱可塑性樹脂を50質量%以上含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂を含有する層が含有する熱可塑性樹脂のうち、95質量%以上が同一種類であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂を含有する層が、カーボンブラックを1質量%以上30質量%以下含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項5】
前記熱可塑性樹脂として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルトの製造方法であって、
前記熱可塑性樹脂を含有する層を形成するための原料成分をチューブまたはシート状に成形した後、熱処理を伴う二次加工を行うことを特徴とする電子写真用シームレスベルトの製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルトを有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−199206(P2007−199206A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−15538(P2006−15538)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】