説明

電子写真用シームレスベルト及びそれを用いた電子写真装置

【課題】耐久性、耐摩耗性、耐傷性に優れ、好適な表面光沢度を有し、高品質なフルカラー画像を提供可能な電子写真用シームレスベルトとそれを用いた電子写真装置を提供する。
【解決手段】基層上に、少なくとも下記一般式(i)で示されるビスアリルナジイミドを硬化させてなるポリイミドを主成分として含有する表面層を設けた積層構成の電子写真用シームレスベルトとする。これを中間転写ベルト501としてフルカラー電子写真装置に装備する。式(i)中、Rは少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価の炭化水素基を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真用シームレスベルト、特にフルカラー電子写真に用いられる中間転写ベルト及びそれを装備する電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置の装置内ではさまざまな機能、用途を担う部材としてシームレスベルトが用いられている。このようなシームレスベルトとしては、例えば、定着ベルト、転写ベルト、紙搬送ベルトなどが挙げられる。その中でも、フルカラー電子写真装置により、感光体上に形成された4色のトナー画像を、一旦中間転写ベルトに転写して該中間転写ベルト上にフルカラー画像を形成し、その後に紙などの転写媒体に一括転写する方式で用いられる中間転写ベルトが代表的なものとして挙げられる。
【0003】
複写機のフルカラー化が進み、中間転写ベルトの需要が急増している。中間転写ベルトとしては、従来から熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、ゴムやエラストマーなどの材料が使用されている。一般的に中間転写ベルトを用いる方式では、高速性を得るために中間転写ベルトに対峙する各色の色現像装置を直列に配置したタンデム方式といわれる方式が主流となっている。
【0004】
このタンデム方式に使用される中間転写ベルトとしては、走行中にベルトの変形による色重ねずれが生じず、繰返し使用に耐えうる高強度を有するものが要求され、また難燃性も要求されるため、ポリイミドやポリアミドイミドが好ましく用いられている。とりわけ耐クリープ変形性や耐久性の点でポリイミドが好ましく用いられている。
【0005】
また、タンデム方式の電子写真装置(画像形成装置)においては、各色の重ね合わせ位置や画像濃度の監視・制御のため、反射光を利用した検出手段が用いられていることがある。このような検出手段を用いる場合には、例えば、固定位置から走行中の中間転写ベルト表面に所定強度の赤外光を照射し、そのときの中間転写ベルト表面からの反射光を赤外線反射光検知装置(光センサー)で検出することにより監視・制御が行われる。そのため、このような検出手段を用いる画像形成装置に装備する中間転写ベルトには十分に高い表面反射率・光沢度が要求される。
前述のポリイミド樹脂は高い表面反射率・光沢度を有しており、この点でも中間転写ベルト用の材料として適していると言える。
【0006】
一方、近年は高速で大量の印刷物を出力する高性能画像形成装置の需要が高まってきており、それにともなって中間転写ベルトの高耐久・高寿命化要求も高まってきている。タンデム方式の画像形成装置においては、印刷用紙と中間転写ベルトを接触させて印刷を行うため、上述のように大量の印刷物を高速で通紙させると、ベルトが損傷したり、摩耗してしまうといった問題点があった。このようにベルト表面が損傷や摩耗を引き起こすと、転写性が低下して中抜け、濃度むら、あるいは色むら等の様々な異常画像の原因となってしまうほか、ベルト表面の光沢度が低下してしまうという問題点があった。
【0007】
このような問題を解決するための手段として、中間転写ベルト基層上に表面層を積層して耐久性を高める方法が知られており、この種の複数層構成の高機能中間転写ベルトが提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0008】
例えば、特許文献1では、表面層の主成分として硬化メタアクリル樹脂または硬化アクリル樹脂を用いることが提案されている。しかし、基層と表面層の間に接着性を高める中間層を設ける必要があるほか、表面層に熱線、活性光線、電子線などを照射する必要があるため、生産性やコスト面で不利であるという問題がある。また、光沢度制御について配慮した技術的記載もないことから、前述の反射光を利用した検出手段による色の重ね合わせ位置や画像濃度の監視・制御において課題が残されている。
また、特許文献2では、フッ素樹脂中にPETやナイロン等の繊維を含んだ表面層を積層させることが提案されており、これによって、特にひび割れに対して優れた耐久性が得られるとしている。しかし、繊維を含ませることによってベルトの電気特性の均一性が損なわれる恐れがあるほか、生産性に劣るという難点がある。特許文献2では主に磨耗に対する耐久性を向上させることを主眼としており、光沢度について配慮した技術的な記載はない。
また、特許文献3では、熱可塑性の基層に300℃以下の熱硬化樹脂を硬化剤にて硬化させる層を積層することが提案されている。これにより、表面層の耐擦傷性を向上させて光沢度低下を抑制することができるとしている。
また、特許文献4では、無機フィラーを含有する基層と、無機フィラーを含有しない最外層とを共押出しにより形成して積層構成とする導電性エンドレスベルトが提案されている。これにより、光沢性が優れた表面層とすることができるとしている。
しかし、特許文献3及び特許文献4ではいずれも基層として、一般的に知られた熱可塑性樹脂(熱可塑性ポリアミド、ポリイミド等は含まれていない)を用いるため、表面層の熱硬化時において変形や抵抗の変化が生じ、生産安定性に劣っているほか、ポリイミド等の熱硬化性樹脂を基層とする構成と比べて耐熱性や機械特性に劣っている。
【0009】
上記において、ポリイミドを基層とする中間転写ベルトの耐久性を高めるために積層する表層材料としてポリイミド系以外の材料を用いると、基層との接着性が悪いという問題がある。一方、表層に一般的なポリイミド系の樹脂を用いる場合、材料の保存可能時間が短く、低温で保存しなければならないなど制約があり、生産性、コスト面で不利な点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来技術の問題を解決し、耐久性、耐摩耗性、耐傷性に優れ、反射光を利用した検出手段に好適な表面光沢度を維持し、中抜け、濃度むら、色むら等の異常画像を発生することなく、高品質なフルカラー画像を提供する長寿命な電子写真用シームレスベルト、特にフルカラー電子写真装置の中間転写ベルト、及びそれを用いた電子写真装置(フルカラー電子写真装置)を、生産性やコスト面に優れた材料を用いて提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは鋭意検討した結果、以下の〔1〕〜〔8〕に記載する発明によって上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。以下、本発明について具体的に説明する。
【0012】
〔1〕:上記課題は、基層上に、少なくとも表面層を設けてなる電子写真用シームレスベルトであって、
前記表面層は、少なくとも下記一般式(i)で示されるビスアリルナジイミドを硬化させてなるポリイミドを主成分として含有することを特徴とする電子写真用シームレスベルトにより解決される。
【0013】
【化1】

【0014】
(但し、式(i)中、Rは少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価の炭化水素基を示す。)
【0015】
〔2〕:上記〔1〕に記載の電子写真用シームレスベルトにおいて、前記電子写真用シームレスベルトが、電子写真用中間転写ベルトであることを特徴とする。
【0016】
〔3〕:上記〔1〕又は〔2〕に記載の電子写真用シームレスベルトにおいて、前記一般式(i)で示されるビスアリルナジイミドのRが、下記化学式(ii)〜(iv)で示される2価の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする。
【0017】
【化2】

【0018】
〔4〕:上記〔1〕乃至〔3〕のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルトにおいて、前記基層が、前記一般式(i)で示されるビスアリルナジイミドを硬化させてなるポリイミド以外のポリイミドを主成分として含有することを特徴とする。
【0019】
〔5〕:上記〔4〕に記載の電子写真用シームレスベルトにおいて、前記一般式(i)で示されるビスアリルナジイミドを硬化させてなるポリイミド以外のポリイミドが、有機溶媒中にポリアミック酸を含む溶液から得られるものであることを特徴とする。
【0020】
〔6〕:上記〔1〕乃至〔5〕のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルトにおいて、前記表面層が、少なくともカーボンブラックと前記一般式(i)で示されるビスアリルナジイミドと溶媒を含むカーボンブラック分散液により塗布・加熱形成されたものであることを特徴とする。
【0021】
〔7〕:上記〔6〕に記載の電子写真用シームレスベルトにおいて、前記カーボンブラックの表面層に占める含有量が、2wt%〜20wt%であることを特徴とする。
【0022】
〔8〕:上記課題は、像担持体上に順次形成される複数のカラートナー現像画像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一次転写を行ない、該一次転写画像を被記録媒体に一括して二次転写する電子写真装置において、
前記中間転写ベルトが〔1〕乃至〔7〕のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルトであることを特徴とする電子写真装置により解決される。
【発明の効果】
【0023】
本発明の電子写真用シームレスベルトによれば、基層上に、少なくとも前記一般式(i)で示されるビスアリルナジイミドを硬化させてなるポリイミドを主成分として含有する表面層を設けてなるため、耐久性、耐摩耗性、耐傷性に優れ、反射光を利用した検出手段に好適な表面光沢度を維持することができる。
すなわち、上記構成とした本発明の電子写真用シームレスベルトは、繰返し使用においても変形が小さく、高強度を有するため、長寿命であり、フルカラー電子写真装置の中間転写ベルトとして用いた場合でも、通紙等による中間転写ベルト表面の摩耗・損傷を防止し、長期に亘って高転写性を維持し、中抜け、濃度むら、色むら等の異常画像を発生することなく、高品質なフルカラー画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るシームレスベルトが用いられるベルト構成部等を装備した電子写真装置を説明するための要部概略構成を示す模式図である。
【図2】電子写真装置のベルト構成部に配備される本発明に係る1つのシームレスベルト(中間転写ベルト)に沿って複数の感光体ドラムが並設されている一構成例を示す要部概略模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
前述のように本発明における電子写真用シームレスベルトは、基層上に、少なくとも表面層を設けてなる電子写真用シームレスベルトであって、
前記表面層は、少なくとも下記一般式(i)で示されるビスアリルナジイミドを硬化させてなるポリイミドを主成分として含有することを特徴とするものである。
【0026】
【化3】

【0027】
(但し、式(i)中、Rは少なくとも2個以上の炭素原子を有する含む2価の炭化水素基を示す。)
【0028】
ここで、前記電子写真用シームレスベルトが、電子写真用中間転写ベルトであることが好ましい。
【0029】
また、前記一般式(i)で示されるビスアリルナジイミドのRが、下記化学式(ii)〜(iv)で示される2価の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0030】
【化4】

【0031】
本発明における電子写真用シームレスベルトを構成する基層、及び表面層について以下詳しく説明する。
[基層]
本発明の電子写真用シームレスベルトを構成する基層に用いる基層樹脂としては、走行中にクリープ変形等が起らず、繰返し使用に耐える強度と難燃性を有するものであればいずれも使用可能であるが、これらの要求特性を十分に満たすポリイミドが好ましく用いられる。すなわち、近年のフルカラー電子写真装置の高画質化及び高速化に伴い、中間転写ベルトとしても色ずれが発生しないための寸法安定性や高強度が求められている。これらの点から、基層としてポリイミドが特に好ましい。以下、ポリイミドを例に説明する。
【0032】
本発明の電子写真用シームレスベルトの基層に用いられるポリイミドとしては、前記一般式(i)で示されるビスアリルナジイミドを硬化させてなるポリイミド以外のポリイミドが用いられ、熱可塑性タイプ、溶剤可溶タイプ、熱硬化タイプのいずれも使用可能であるが、構成成分として種々の材料を配合させる必要性があり、特に電気抵抗を調整するための抵抗調整剤を配合させるために、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を有機極性溶媒中に含む溶液(塗工液:ポリイミドワニス)とし、これに構成成分を混合して塗工し、加熱処理して環化(イミド化)し、ポリイミドとするタイプのものが好適である。なお、本発明においては、環化(イミド化)を要するポリイミドを熱硬化タイプのポリイミドと呼称する。
【0033】
本発明における上記塗工液の組成分であるポリイミド前駆体及び当該前駆体の加熱処理(イミド化)により生成する基層用のポリイミドについて詳しく説明する。
<基層用のポリイミド>
本発明に用いられる基層用のポリイミドは、まず一般的に知られている芳香族多価カルボン酸無水物あるいはその誘導体と芳香族ジアミンとの反応によって、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を経由して得られる。すなわち、ポリイミドは一般的に、その剛直な主鎖構造によって溶媒等に対して不溶であり、また不融の性質を有する。そのため、酸無水物と芳香族ジアミンから、まず有機溶媒に可溶なポリイミド前駆体(ポリアミック酸、またはポリアミド酸)を合成し、この段階で様々な方法で成型加工が行なわれ、その後ポリアミック酸を加熱もしくは化学的な方法で脱水反応させて環化(イミド化)し、ポリイミドとする。反応の概略を下記反応式(I)に示す。
【0034】
【化5】

【0035】
(式中、Ar1は少なくとも1つの炭素6員環を含む4価の芳香族残基を示し、Ar2は少なくとも1つの炭素6員環を含む2価の芳香族残基を示す。)
【0036】
上記少なくとも1つの炭素6員環を含む4価の芳香族残基を有する芳香族多価カルボン酸無水物の具体例としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。 これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。
また、エチレンテトラカルボン酸二無水物やシクロペンタンテトラカルボン酸二無水物のような他の(非芳香族系の)多価カルボン酸無水物を、本発明の目的を損なわない範囲(50モル%未満の範囲)で、併用することができる。
【0037】
次に、芳香族多価カルボン酸無水物と反応させる、少なくとも1つの炭素6員環を含む2価の芳香族残基を有する芳香族ジアミンの具体例としては、例えば、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、1,1−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−エタン、1,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、4,4’−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ベンゾフェノン、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ジフェニルスルホン、ビス〔4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル〕スルホン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン等が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用される。
【0038】
上記多価カルボン酸無水物成分とジアミン成分とを略等モル用いて有機極性溶媒中で重合反応させることにより、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)を得ることができる。下記にポリアミック酸の製造方法について具体的に説明する。
なお、ポリアミック酸の重合反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独あるいは混合溶媒として用いるのが望ましい。溶媒としては、ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されないが、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
【0039】
ポリイミド前駆体を製造する場合の例として、まず、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気下において、1種あるいは複数種のジアミンを上記の有機溶媒に溶解するか、あるいはスラリー状に分散させる。この溶液に、前記した少なくとも1種の多価カルボン酸無水物あるいは、その誘導体を添加(固体状態のままでも、有機溶媒に溶解した溶液状態でも、スラリー状態でもよい)すると、発熱を伴って開環重付加反応が起こり、急速に溶液の粘度増大が見られ、高分子量のポリアミック酸溶液が得られる。この際の反応温度は、−20℃〜100℃、望ましくは60℃以下に制御することが好ましい。反応時間は、30分〜12時間程度である。
上記は一例であり、反応における上記添加手順とは逆に、まず前記多価カルボン酸無水物あるいはその誘導体を有機溶媒に溶解または拡散させておき、この溶液中に前記ジアミンを添加させてもよい。ジアミンの添加は、固体状態のままでも、有機溶媒に溶解した溶液状態でも、スラリー状態でもよい。すなわち、酸二無水物成分と、ジアミン成分との混合順序は限定されない。さらには、前記テトラカルボン酸二無水物と前記ジアミンとを同時に有機極性溶媒中に添加して反応させてもよい。
【0040】
上記のようにして、前記多価カルボン酸無水物あるいはその誘導体と、前記ジアミン成分とをおよそ等モル、有機極性溶媒中で重合反応することにより、ポリアミック酸組成物が有機極性溶媒中に均一に溶解した状態でポリイミド前駆体溶液が得られる。
【0041】
本発明におけるポリイミド前駆体溶液(ポリアミック酸溶液)は、上記のようにして合成したものを使用することも可能であるが、簡便には有機溶媒にポリアミック酸組成物が溶解された状態の、いわゆるポリイミドワニスとして上市されているものを入手して使用することもできる。
このような例としては、トレニース(東レ社製)、U−ワニス(宇部興産社製)、オプトマー(JSR社製)、SE812(日産化学社製)、CRC8000(住友ベークライト社製)等が代表的なものとして挙げられる。
【0042】
また、熱可塑性タイプとしては、オーラム(三井化学)、ベスペル(デュポン)などがある。また、溶剤可溶タイプとしては、リカコート(新日本理化)、ブロック共重合ポリイミド(ピーアイ技研)、GPI(群栄化学工業)等がある。これらは、本発明の目的とする特性を損なわない範囲の副成分樹脂として、熱硬化性タイプのポリイミドに添加混合して用いることができる。
【0043】
合成あるいは入手したポリアミック酸溶液に、必要に応じた組成分を配合して基層用塗工液が調製される。基層用塗工液は支持体(成形用の型)に塗布された後、加熱等の処理により、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸からポリイミドへの転化(イミド化)が行なわれる。
【0044】
ポリアミック酸からポリイミドへ転化させる方法は、加熱のみの方法(1)、または化学的方法(2)によってイミド化することができる。加熱のみの方法(1)は、ポリアミック酸を200〜350℃に加熱処理することによってポリイミドに転化する方法であり、ポリイミドを得る簡便かつ実用的な方法である。一方、化学的方法(2)は、ポリアミック酸を脱水環化試薬(カルボン酸無水物と第3アミンの混合物など)により反応した後、加熱処理して完全にイミド化する方法であり、(1)の加熱のみの方法に比べると煩雑でコストのかかる方法であるため、通常(1)の方法が多く用いられている。しかしながら最近では、(2)の方法の一種であるが、イミダゾールやキノリンなどのアミン類を触媒としてワニスに含有させることによって乾燥時におけるイミド化を促進させる方法がとられることも多い。
【0045】
ポリイミドの本来的な性能を発揮させるためには、相当するポリイミドのガラス転移温度以上に加熱して、イミド化を完結させることが必要であるが、これによると、より低温でイミド化が促進され、機械的耐久性も向上すると言われている。しかし、これらの触媒は極少量であり、乾燥中に分解・昇華するものもあるが、不純物として残留するものもあり好ましくない。
【0046】
イミド化の進行状況(イミド化の程度)は、通常行なわれているイミド化率の測定手法により評価することができる。
このようなイミド化率の測定方法としては、例えば、9〜11ppm付近のアミド基に帰属されるHと6〜9ppm付近の芳香環に帰属されるHとの積分比から算出する核磁気共鳴分光法(NMR法)、フ−リエ変換赤外分光法(FT−IR法)、イミド閉環に伴う水分を定量する方法、カルボン酸中和滴定法など種々の方法が用いられているが、中でもフ−リエ変換赤外分光法(FT−IR法)は最も一般的な方法である。
【0047】
フーリエ変換赤外分光法(FT−IR法)では、イミド化率を、例えば、次のように定義する。すなわち、焼成段階(イミド化処理段階)でのイミド基のモル数を(A)とし、100%イミド化された場合(理論的)のイミド基のモル数を(B)とすると、次により表わされる。
イミド化率=[(A)/(B)]×100
【0048】
この定義におけるイミド基のモル数は、FT−IR法により測定されるイミド基の特性吸収の吸光度比から求めることができる。例えば、代表的な特性吸収として、以下の吸光度比を用いてイミド化率を評価することができる。
(1)イミドの特性吸収の1つである725cm-1(イミド環C=O基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,015cm-1との吸光度比
(2)イミドの特性吸収の1つである1,380cm-1(イミド環C−N基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,500cm-1との吸光度比
(3)イミドの特性吸収の1つである1,720cm-1(イミド環C=O基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,500cm-1との吸光度比
(4)イミドの特性吸収の1つである1,720cm-1とアミド基の特性吸収1,670cm-1(アミド基N−H変角振動とC−N伸縮振動の間の相互作用)との吸光度比
また、3000〜3300cm-1にかけてのアミド基由来の多重吸収帯が消失していることを確認すればさらにイミド化完結の信頼性は高まる。
【0049】
本発明の基層を形成する基層用塗工液では、上記ポリイミドに他の樹脂を併用してもよい。また、中間転写ベルトとしての必要な機能を付与するための種々の材料を配合する。
配合する材料としては、例えば、抵抗調整剤、補強材、レベリング剤、界面活性剤、滑剤、酸化防止剤、触媒等を配合することができる。この中でも特に抵抗調整剤は重要である。
【0050】
次に、抵抗調整剤について説明する。抵抗調整剤は、中間転写ベルトを所定の抵抗値に調整する必要上、添加が欠かせない。
抵抗調整剤としては、ポリイミドの抵抗値を調整しうるものなら適用できる。例えば、カーボンブラック、黒鉛、あるいは、銅、スズ、アルミニウム、インジウム等の金属や、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化スズ、スズをドープした酸化インジウム等の金属酸化物微粉末などの充填材やポリエーテルアミドやポリエーテルエステルアミド、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンなどのような導電性高分子材料、また、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジル、アンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウムなどのようなイオン導電性材料を用いてもよい。また、これらを併用することも可能である。なお、本発明における抵抗調整剤は、これらの例示化合物に限定されるものではない。
【0051】
本発明の電子写真用シームレスベルトの基層においては、上記抵抗調整剤のうち、カーボンブラックが好ましく用いられる。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッキェンブラック、チャネルブラックなどのものが使用できるが、これらの表面を酸化処理した酸化処理カーボンブラックが好ましい。また、必要に応じて分散助剤を用いてもよい。さらには、カーボンブラックの表面官能基と、その官能基と反応性を有する有機化合物とを反応させて表面処理したものでもよい。
【0052】
次に、前記ポリイミド前駆体を含む基層用塗工液を用いてシームレスベルトの基層を形成する方法について説明する。例えば、以下のような工程にて基層を形成する。
ポリアミック酸溶液に抵抗調整剤を分散させる分散液作製工程、該工程により得られる分散液を所定の抵抗調整剤の含有量に調整する塗布液作製工程、該工程により作製された塗布液を支持体(成形用の型)に塗布・流延する工程、支持体に塗布・流延された塗膜中の溶媒を加熱により除去する工程、昇温加熱して塗膜中に含まれる前駆体のイミド化を促進する工程、により基層が形成される。次いで、形成された薄膜(基層)上に表面層が設けられてシームレスベルトが製造される。
【0053】
前記抵抗調整剤を分散させる工程では、ポリイミド前駆体溶液に直接抵抗調整剤を分散・混合させる方法、または予め溶媒に抵抗制御剤を分散させてからポリイミド前駆体溶液と混合させる方法がある。
ここでは、抵抗調整剤としてカーボンブラックを分散させる方法を例として以下説明する。なお、下記は一例でありこれに限定されるものではない。
【0054】
N−メチル−2−ピロリドンにカーボンブラックとポリイミド前駆体少量を混合し、ジルコニアビーズを用いて、ボールミルやペイントシェーカー、ビーズミル等にて所定時間分散させる。ある程度の粒径に分散された後、取り出した液を分散液とする。
該分散液にポリイミド前駆体溶液を混合することにより所定のカーボンブラック濃度になるように希釈する。このときの混合方法としては、遠心式攪拌機、ヘンシェルミキサー、ホモジナイザー、遊星式攪拌機などを用いて行なうことができる。
必要に応じて、レベリング剤や触媒などの添加剤をこのときに添加することもできる。
また、攪拌後は真空脱泡機などを用いて脱泡することが好ましい。
【0055】
次に、上記作製の基層用塗工液を塗布する工程について説明する。
支持体に製膜する方法としては、遠心成形、ロールコート、ブレードコート、リングコート、ディッピング、スプレーコート、ディスペンサーコート、ダイコートなどがある。
シームレスベルトの基層をポリイミドにより形成する方法として遠心成形法を用いることができる。しかし、遠心成形法では支持体の内面に基層用塗工液を塗布して製膜するため、その基層表面に別の層(例えば、表面層を直接形成する場合には表面層)を積層する場合、基層を製膜後、一旦脱型して基層を別の型に移し、別のコーティング方法にて表面層を形成する必要があり、工程が煩雑になる。
このため、本発明の基層上に、少なくとも表面層を設けてなる電子写真用シームレスベルト構成の場合、支持体の外面に基層用塗工液を塗布して基層を形成し、必要に応じて中間層などを介在させて表面層を順次積層するのが好ましく、このような工法として、ロールコート、ディスペンサーコート、リングコート、ダイコート、スプレー塗工が好ましく用いられる。
【0056】
上記方法にて予め離型剤を塗布した支持体(金属製の円筒支持体)外面に、所定膜厚にポリアミック酸を含む塗布液を塗布後、熱風乾燥機、IHヒーター、遠赤外線ヒーターなどにより塗膜を乾燥させる。乾燥においては、まず、80〜120℃程度の温度にて10〜60分間乾燥させ、その後、2〜5℃/分程度の昇温速度にて昇温させ、300〜400℃でイミド化焼成を行なう。その後、充分冷却した後に表面層の塗布を実施する。なお、基層以外の他の層、例えば、表面層や必要により設ける中間層等は必ずしも同様の工法で成形する必要はない。
【0057】
本発明で形成する基層の膜厚としては、50〜100μmが好ましい。膜厚が薄すぎると強度が不足し耐久性に劣り、厚すぎると剛性が大きすぎて曲率の小さい駆動ローラにて安定して駆動させるのが困難になる。また、抵抗調整剤として用いるカーボンブラックの含有量としては、5〜25wt%が好ましく、体積抵抗値として106〜1010Ωcmとなることが好ましい。カーボンブラックの含有量が少なすぎると抵抗値のばらつきを制御するのが難しく、また多すぎると膜が脆く屈曲性に劣り耐久性に劣る。抵抗値は、低すぎると転写時にトナーが非画像部に散って鮮明性が低下する。一方、高すぎると転写電界がうまく作用せず転写効率上、好ましくない。
【0058】
[表面層]
次に、本発明の電子写真用シームレスベルトを構成する表面層について説明する。
前述のように本発明における表面層は、少なくとも前記一般式(i)で示されるビスアリルナジイミドを硬化させてなるポリイミドを主成分として含有する。
ここで、前記式(i)中のRは少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価の炭化水素基を示すが、2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基等が挙げられ、前記化学式(ii)〜(iv)で示される2価の炭化水素基は好ましく用いられる。なお、アルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基等は酸素原子、窒素原子などのヘテロ原子を結合中に有していてもよく、また置換基を有していてもよい。
【0059】
上記ビスアリルナジイミドとして市販されているものを使用することができる。
例えば、前記一般式(i)のR部分が化学式(ii)に相当するものとして、丸善石油化学株式会社のBANI−M、前記一般式(i)のR部分が化学式(iii)に相当するものとして、丸善石油化学株式会社のBANI−H、化学式(i)のR部分が化学式(iv)に相当するものとして、丸善石油化学株式会社のBANI−X等が挙げられる。
【0060】
ビスアリルナジイミドは、アリル基及びノルボルネン骨格中の二重結合の付加反応により進行して硬化し、三次元架橋構造を形成する。すなわち、ビスアリルナジイミドは、通常の熱硬化性樹脂と同様に、加熱することで反応が進行する。
得られたビスアリルナジイミド硬化物は適度な硬度を有し、電子写真用シームレスベルト表面層の耐摩耗性及び耐傷性が向上し、かつ、ベルトが装備される電子写真装置内における反射光を利用した検出手段に好適な表面光沢度[表面における20°光沢度が60〜200]を維持することができて検出センサに不具合が生じず、長寿命化できる。
なお、上記表面における20°光沢度は、光沢度計PG−1〔日本電色工業(株)〕により測定[測定面積は10.0×10.6mm2]した値である。
【0061】
前記ビスアリルナジイミドは融点が低く、また、脂肪族炭化水素、脂肪族アルコールを除くほとんどの有機溶媒に可溶である。そのため、ビスアリルナジイミドを有機溶媒に溶解した溶液(表面層用塗工液)とすることで、前記「基層」で説明したのと同様の塗工法で基層上に表面層を形成することができる。表面層用塗工液を用いて前記基層上に塗膜形成すれば連続生産に好適である。また、表面層用塗工液は、必要に応じて溶媒などにて粘度の調整も可能であり、種々の添加材料の配合も容易である。配合する材料としては、例えば、抵抗調整剤、補強材、レベリング剤、界面活性剤、滑剤、酸化防止剤、触媒等を配合することができる。
【0062】
この中でも特に重要な抵抗調整剤の配合について説明する。抵抗調整剤としては前述と同様のものが適用できる。特に、カーボンブラックは好適に用いられる。本発明のビスアリルナジイミドは、カーボンブラックに対する分散性がよく、抵抗値のばらつきの小さいものが得られやすい。
ここでは、抵抗制御剤としてカーボンブラックを分散させる方法を例として説明する。なお、下記は一例でありこれに限定されるものではない。
【0063】
N−メチル−2−ピロリドンにカーボンブラックとビスアリルナジイミド少量を混合し、ジルコニアビーズを用いて、ボールミルやペイントシェーカー、ビーズミル等にて所定時間分散させる。ある程度の粒径に分散された後、取り出した液を分散液とする。
該分散液にビスアリルナジイミドを混合することにより所定のカーボンブラック濃度になるように希釈する。このときの混合方法としては、遠心式攪拌機、ヘンシェルミキサー、ホモジナイザー、遊星式攪拌機などを用いて行なうことができる。
必要に応じて、レベリング剤や触媒などの添加剤をこのときに添加することもできる。また、攪拌後は真空脱泡機などを用いて脱泡することが好ましい。
【0064】
次に、得られた表面層用塗工液を、前述した同様の工法から好適に選ばれる工法を選択して前記基層(前記基層用のポリイミドを含む)上に所定膜厚になるように塗布する。最終的な膜厚は特に制限されないが、0.5〜50μm程度にすることが好ましく、1〜20μm程度にすることがより好ましい。
【0065】
表面層用塗工液を塗布した後、乾燥機にて加熱硬化させる。まず、80〜120℃程度の温度にて10〜60分間乾燥させ、その後、2〜5℃/分程度の昇温速度にて昇温させ、200〜400℃程度の温度で数時間加熱し、硬化させることが好ましい。加熱後は冷却して、金型から脱型し、シームレスベルトを得る。
【0066】
なお、前述の電子写真用シームレスベルトの説明では基層と表面層の2層構成を主体に説明してきたが、必ずしも2層構成に限定されるものではなく、例えば、基層と表面層との間に中間層を設けるなど必要に応じて多数層に積層してもよい。
【0067】
本発明の電子写真用シームレスベルトは、繰返し使用においても変形が小さく、耐久性を有するため、電子写真装置(特にフルカラー電子写真装置)の中間転写ベルトとして好適に用いられる。すなわち、フルカラー電子写真装置の中間転写ベルトとして用いた場合でも、通紙等による中間転写ベルト表面の摩耗・損傷が防止され、長期に亘って高転写性が維持される。これにより、異常画像(中抜け、濃度むら、色むら等)を発生することなく、高品質なフルカラー画像を出力することができる。
【0068】
電子写真装置に装備されるベルト構成部に用いられる本発明のシームレスベルトについて、要部模式図を参照しながら以下に詳しく説明する。なお、模式図は一例であって、これに限定されるものではない。
図1の模式図に、本発明に係るシームレスベルトが用いられるベルト構成部等を装備した電子写真装置を説明するための要部概略構成を示す。
図1に示すベルト構成部である中間転写ユニット(500)は、複数のローラに張架された中間転写体である中間転写ベルト(501)などにより構成されている。この中間転写ベルト(501)の周りには、2次転写ユニット(600)の2次転写電荷付与手段である2次転写バイアスローラ(605)、中間転写体クリーニング手段であるベルトクリーニングブレード(504)、潤滑剤塗布手段の潤滑剤塗布部材である潤滑剤塗布ブラシ(505)などが対向するように配設されている。
【0069】
また、位置検知用マークが中間転写ベルト(501)の外周面あるいは内周面に図示しない位置検知用マークが設けられる。ただし、中間転写ベルト(501)の外周面側については位置検知用マークがベルトクリーニングブレード(504)の通過域を避けて設ける工夫が必要であり、配置上の困難さを伴うことがあるので、その場合には位置検知用マークを中間転写ベルト(501)の内周面側に設けてもよい。
【0070】
マーク検知用センサとしての光学センサ(514)は、中間転写ベルト(501)が架け渡されている1次転写バイアスローラ(507)とベルト駆動ローラ(508)との間の位置に設けられる。位置検知は中間転写ベルト表面からの光反射を検知することによって行なっている。このため、中間転写ベルト表面の光沢度が低下したり、または不均一になると検出が安定しないが、本発明のシームレスベルト(中間転写ベルト)を用いることで表面光沢度の低下を抑制でき、検出を安定化することができる。
【0071】
この中間転写ベルト(501)は、1次転写電荷付与手段である1次転写バイアスローラ(507)、ベルト駆動ローラ(508)、ベルトテンションローラ(509)、2次転写対向ローラ(510),クリーニング対向ローラ(511)、及びフィードバック電流検知ローラ(512)に張架されている。各ローラは導電性材料で形成され、1次転写バイアスローラ(507)以外の各ローラは接地されている。1次転写バイアスローラ(507)には、定電流または定電圧制御された1次転写電源(801)により、トナー像の重ね合わせ数に応じて所定の大きさの電流または電圧に制御された転写バイアスが印加されている。
【0072】
中間転写ベルト(501)は、図示しない駆動モータによって矢印方向に回転駆動されるベルト駆動ローラ(508)により、矢印方向に駆動される。このベルト構成部である中間転写ベルト(501)は、通常、半導体、または絶縁体で、単層または多層構造となっているが、本発明のシームレスベルトが好ましく用いられ、これによって耐久性が向上すると共に、優れた画像形成が実現できる。また、中間転写ベルトは、感光体ドラム(200)上に形成されたトナー像を重ね合わせるために、通紙可能最大サイズより大きく設定されている。
【0073】
2次転写手段である2次転写バイアスローラ(605)は、2次転写対向ローラ(510)に張架された部分の中間転写ベルト(501)のベルト外周面に対して、後述する接離手段としての接離機構によって、接離可能に構成されている。2次転写バイアスローラ(605)は、2次転写対向ローラ(510)に張架された部分の中間転写ベルト(501)との間に被記録媒体である転写紙Pを挟持するように配設されており、定電流制御される2次転写電源(802)によって所定電流の転写バイアスが印加されている。
【0074】
レジストローラ(610)は、2次転写バイアスローラ(605)と2次転写対向ローラ(510)に張架された中間転写ベルト(501)との間に、所定のタイミングで転写材である転写紙(P)を送り込む。また、2次転写バイアスローラ(605)には、クリーニング手段であるクリーニングブレード(608)が当接している。該クリーニングブレード(608)は、2次転写バイアスローラ(605)の表面に付着した付着物を除去してクリーニングするものである。
【0075】
このような構成のカラー複写機において、画像形成サイクルが開始されると、感光体ドラム(200)は、図示しない駆動モータによって矢印で示す半時計方向に回転され、それぞれのカラーに応じ、帯電チャージャ(203)による帯電、露光手段(L)による像露光の後、該感光体ドラム(200)上に、Bk(ブラック)トナー像形成、C(シアン)トナー像形成、M(マゼンタ)トナー像形成、Y(イエロー)トナー像形成が行なわれる。中間転写ベルト(501)はベルト駆動ローラ(508)によって矢印で示す時計回りに回転される。この中間転写ベルト(501)の回転に伴って、1次転写バイアスローラ(507)に印加される電圧による転写バイアスにより、Bkトナー像、Cトナー像、Mトナー像、Yトナー像の1次転写が行なわれ、最終的にBk、C、M、Yの順に中間転写ベルト(501)上に各トナー像が重ね合わせて形成される。
【0076】
例えば、上記Bkトナー像形成は次のように行なわれる。
図1において、帯電チャージャ(203)は、コロナ放電によって感光体ドラム(200)の表面を負電荷で所定電位に一様に帯電する。上記ベルトマーク検知信号に基づき、タイミングを定め、図示しない書き込み光学ユニットにより、Bkカラー画像信号に基づいてレーザ光によるラスタ露光を行なう。このラスタ像が露光されたとき、当初一様帯電された感光体ドラム(200)の表面の露光された部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、Bk静電潜像が形成される。このBk静電潜像に、Bk現像機(231K)の現像ローラ上の負帯電されたBkトナーが接触することにより、感光体ドラム(200)の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷のない部分つまり露光された部分にはトナーが吸着し、静電潜像と相似なBkトナー像が形成される。
【0077】
このようにして感光体ドラム(200)上に形成されたBkトナー像は、感光体ドラム(200)と接触状態で等速駆動回転している中間転写ベルト(501)のベルト外周面に1次転写される。この1次転写後の感光体ドラム(200)の表面に残留している若干の未転写の残留トナーは、感光体ドラム(200)の再使用に備えて、感光体クリーニング装置(201)で清掃される。この感光体ドラム(200)側では、Bk画像形成工程の次にC画像形成工程に進み、所定のタイミングでカラースキャナによるC画像データの読み取りが始まり、そのC画像データによるレーザ光書き込みによって、感光体ドラム(200)の表面にC静電潜像を形成する。
【0078】
そして、先のBk静電潜像の後端部が通過した後で、且つC静電潜像の先端部が到達する前にリボルバ現像ユニット(230)の回転動作が行なわれ、C現像機(231C)が現像位置にセットされ、C静電潜像がCトナーで現像される。以後、C静電潜像領域の現像を続けるが、C静電潜像の後端部が通過した時点で、先のBk現像機(231K)の場合と同様にリボルバ現像ユニットの回転動作を行ない、次のM現像機(231M)を現像位置に移動させる。これもやはり次のY静電潜像の先端部が現像位置に到達する前に完了させる。なお、M及びYの画像形成工程については、それぞれのカラー画像データ読み取り、静電潜像形成、現像の動作が上述のBk、Cの工程と同様であるので説明は省略する。
【0079】
このようにして感光体ドラム(200)上に順次形成されたBk、C、M、Yのトナー像は、中間転写ベルト(501)上の同一面に順次位置合わせされて1次転写される。これにより、中間転写ベルト(501)上に最大で4色が重ね合わされたトナー像が形成される。一方、上記画像形成動作が開始される時期に、転写紙(P)が転写紙カセット又は手差しトレイなどの給紙部から給送され、レジストローラ(610)のニップで待機している。
そして、2次転写対向ローラ(510)に張架された中間転写ベルト(501)と2次転写バイアスローラ(605)によりニップが形成された2次転写部に、上記中間転写ベルト(501)上のトナー像の先端がさしかかるときに、転写紙(P)の先端がこのトナー像の先端に一致するように、レジストローラ(610)が駆動されて、転写紙ガイド板(601)に沿って転写紙(P)が搬送され、転写紙(P)とトナー像とのレジスト合わせが行なわれる。
【0080】
このようにして、転写紙(P)が2次転写部を通過すると、2次転写電源(802)によって2次転写バイアスローラ(605)に印可された電圧による転写バイアスにより、中間転写ベルト(501)上の4色重ねトナー像が転写紙(P)上に一括転写(2次転写)される。この転写紙としては従来、比較的平滑である普通紙が用いられているが、近年、リサイクルペーパーなど比較的表面性の粗い紙も用いられる。さらには、写真画像などをコート紙やエンボス紙のような多種多様な紙を用いて印刷することが多くなってきている。特に、エンボス加工紙のような表面に凹凸や模様がある用紙を用いる場合、その凹凸によってトナー像がうまく転写できない問題が発生する。従来のようなポリイミドによる中間転写ベルトでは、この凹凸形状に追従できないため、凹部へトナーが転写せず転写むらが発生する。この現象は特に2色以上が重なる色の部分では模様上に色調が異なる色むら画像となってしまう。本発明の中間転写ベルトを用いることで、用紙の凹凸によるむらを発生させることがない良好な転写が実現できる。
【0081】
この転写紙(P)は、転写紙ガイド板(601)に沿って搬送されて、2次転写部の下流側に配置した除電針からなる転写紙除電チャージャ(606)との対向部を通過することにより除電された後、ベルト構成部であるベルト搬送装置(210)により定着装置(270)に向けて送られる(図1参照)。そして、この転写紙(P)は、定着装置(270)の定着ローラ(271)、(272)のニップ部でトナー像が溶融定着された後、図示しない排出ローラで装置本体外に送り出され、図示しないコピートレイに表向きにスタックされる。なお、定着装置(270)は必要によりベルト構成部を備えた構成とすることもできる。
【0082】
一方、上記ベルト転写後の感光体ドラム(200)の表面は、感光体クリーニング装置(201)でクリーニングされ、上記除電ランプ(202)で均一に除電される。また、転写紙(P)にトナー像を2次転写した後の中間転写ベルト(501)のベルト外周面に残留した残留トナーは、ベルトクリーニングブレード(504)によってクリーニングされる。該ベルトクリーニングブレード(504)は、図示しないクリーニング部材離接機構によって、該中間転写ベルト(501)のベルト外周面に対して所定のタイミングで接離されるように構成されている。
【0083】
このベルトクリーニングブレード(504)の上記中間転写ベルト(501)の移動方向上流側には、該中間転写ベルト(501)のベルト外周面に対して接離するトナーシール部材(502)が設けられている。このトナーシール部材(502)は、上記残留トナーのクリーニング時に上記ベルトクリーニングブレード(504)から落下した落下トナーを受け止めて、該落下トナーが上記転写紙(P)の搬送経路上に飛散するのを防止している。このトナーシール部材(502)は、上記クリーニング部材離接機構によって、上記ベルトクリーニングブレード(504)とともに、該中間転写ベルト(501)のベルト外周面に対して接離される。
【0084】
このようにして残留トナーが除去された中間転写ベルト(501)のベルト外周面には、上記潤滑剤塗布ブラシ(505)により削り取られた潤滑剤(506)が塗布される。該潤滑剤(506)は、例えば、ステアリン酸亜鉛などの固形体からなり、該潤滑剤塗布ブラシ(505)に接触するように配設されている。この潤滑剤塗布機構は、転写性能又はクリーニング性能を長期的に良好な状態に維持するためのものであるが、中間転写ベルトの性能によって必要がない場合には敢えて当機能を使用しなくてもよい。また、この中間転写ベルト(501)のベルト外周面に残留した残留電荷は、該中間転写ベルト(501)のベルト外周面に接触した図示しないベルト除電ブラシにより印加される除電バイアスによって除去される。ここで、上記潤滑剤塗布ブラシ(505)及び上記ベルト除電ブラシは、それぞれの図示しない接離機構により、所定のタイミングで、上記中間転写ベルト(501)のベルト外周面に対して接離されるようになっている。
【0085】
ここで、リピートコピーの時は、カラースキャナの動作及び感光体ドラム(200)への画像形成は、1枚目の4色目(Y)の画像形成工程に引き続き、所定のタイミングで2枚目の1色目(Bk)の画像形成工程に進む。また、中間転写ベルト(501)は、1枚目の4色重ねトナー像の転写紙への一括転写工程に引き続き、ベルト外周面の上記ベルトクリーニングブレード(504)でクリーニングされた領域に、2枚目のBkトナー像が1次転写されるようにする。その後は、1枚目と同様動作になる。以上は、4色フルカラーコピーを得るコピーモードであったが、3色コピーモード、2色コピーモードの場合は、指定された色と回数の分について、上記同様の動作を行なうことになる。また、単色コピーモードの場合は、所定枚数が終了するまでの間、リボルバ現像ユニット(230)の所定色の現像機のみを現像動作状態にし、ベルトクリーニングブレード(504)を中間転写ベルト(501)に接触させたままの状態にしてコピー動作を行なう。
なお、図1に記載の符号中、70は除電ローラ、80はアースローラ、204は電位センサ、205はトナー画像濃度センサ、503は帯電チャージャ、513はトナー像を示す。
【0086】
上記実施形態では、感光体ドラム1を一つだけ備えた複写機について説明したが、本発明の電子写真用シームレスベルトは、例えば、図2に示すような複数の感光体ドラム(感光体)を一つの中間転写ベルトに沿って並設した画像形成装置の当該中間転写ベルトにも適用できる。
図2の要部概略模式図は、電子写真装置のベルト構成部に配備される本発明に係る1つのシームレスベルト(中間転写ベルト)に沿って複数の感光体ドラムが並設されている一構成例を示す。すなわち、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム(感光体)(21BK),(21Y),(21M),(21C)を備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例を示す。
【0087】
図2において、プリンタ本体(10)は電子写真方式によるカラー画像形成を行なうための、画像書込部(12)、画像形成部(13)、給紙部(14)、から構成されている。画像信号を元に画像処理部で画像処理して画像形成用の黒(BK)、マゼンタ(M)、イエロー(Y),シアン(C)の各色信号に変換し、画像書込部(12)に送信する。画像書込部(12)は、例えば、レーザ光源と、回転多面鏡等の偏向器と、走査結像光学系、及びミラー群、からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部の各色毎に設けられた像坦持体(感光体)(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)に各色信号に応じた画像書込を行なう。
【0088】
画像形成部(13)は黒(BK)用、マゼンタ(M)用、イエロー(Y)用、シアン(C)用の各像坦持体である感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)を備えている。この各色用の各感光体としては、通常OPC感光体が用いられる。各感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)の周囲には、帯電装置、上記書込部(12)からのレーザ光の露光部、黒、マゼンタ、イエロー、シアンの各色用の現像装置(20BK)、(20M)、(20Y)、(20C)、1次転写手段としての1次転写バイアスローラ(23BK)、(23M)、(23Y)、(23C)、クリーニング装置(表示略)、及び図示しない感光体除電装置等が配設されている。なお、上記現像装置(20BK)、(20M)、(20Y)、(20C)には、2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。ベルト構成部である中間転写ベルト(22)は、各感光体(21BK)、(21M)、(21Y)、(21C)と、各1次転写バイアスローラ(23BK)、(23M)、(23Y)、(23C)との間に介在し、各感光体上に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。
【0089】
一方、転写紙(P)は、給紙部(14)から給紙された後、レジストローラ(16)を介して、ベルト構成部である転写搬送ベルト(50)に坦持される。そして、中間転写ベルト(22)と転写搬送ベルト(50)とが接触するところで、上記中間転写ベルト(22)上に転写されたトナー像が、2次転写手段としての2次転写バイアスローラ(60)により2次転写(一括転写)される。これにより、転写紙(P)上にカラー画像が形成される。このカラー画像が形成された転写紙(P)は、転写搬送ベルト(50)により定着装置(15)に搬送され、この定着装置(15)により転写された画像が定着された後、プリンタ本体外に排出される。
【0090】
なお、上記2次転写時に転写されずに上記中間転写ベルト(22)上に残った残留トナーは、ベルトクリーニング装置(25)によって中間転写ベルト(22)から除去される。このベルトクリーニング装置(25)の下流側には、潤滑剤塗布装置(表示略)が配設されている。この潤滑剤塗布装置は、固形潤滑剤と、中間転写ベルト(22)に摺擦して固形潤滑剤を塗布する導電性ブラシとで構成されている。該導電性ブラシは、中間転写ベルト(22)に常時接触して、中間転写ベルト(22)に固形潤滑剤を塗布している。固形潤滑剤は、中間転写ベルト(22)のクリーニング性を高め、フィルミィングの発生を防止し耐久性を向上させる作用がある。
【0091】
また、位置検知用マークが中間転写ベルト(22)の外周面あるいは内周面に図示しない位置検知用マークが設けられる。ただし、中間転写ベルト(22)の外周面側については位置検知用マークがベルトクリーニング装置(25)の通過域を避けて設ける工夫が必要であり、配置上の困難さを伴うことがあるので、その場合には位置検知用マークを中間転写ベルト(22)の内周面側に設けてもよい。マーク検知用センサとしての光学センサ(28)は、2次転写バイアスローラ(60)とベルト駆動ローラ(24)との間の位置に設けられる。位置検知は中間転写ベルト表面からの光反射を検知することによって行なっている。よって、中間転写ベルト表面の光沢度が低下する、または不均一になると検出が安定しない。本発明の中間転写ベルトを用いることで表面光沢度の低下を抑制でき、検出を安定化することができる。
なお、図2に記載の符号中、26はベルト従動ローラ、27は潤滑剤塗布装置、70はバイアスローラを示す。
【0092】
本発明におけるシームレスベルトは、上述したような中間転写ベルト(501)または(22)を装備した中間転写ベルト方式の画像形成装置に好適に適用できる他、該中間転写ベルト(501)または(22)の代りに転写搬送ベルトを装備した転写搬送ベルト方式の画像形成装置にも適用できる。さらに、転写搬送ベルト方式の画像形成装置の場合においても、前記1感光体ドラム方式あるいは4感光体ドラム方式の何れにも適用可能である。
【実施例】
【0093】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、これら実施例によって制限されるものではない。
【0094】
[実施例1]
〔中間転写ベルトAの作製〕
(基層用塗工液Aの調製)
まず、下記に示す各構成材料を混合し、φ1mmのジルコニアビーズを用いて、ビーズミル分散機にて5時間分散し、基層用カーボン分散液Aを作製した。
<基層用カーボン分散液Aの構成材料>
・ポリイミド溶液U−ワニスA(宇部興産 固形分18%): 2重量部
・カーボンブラックSpecialblack4(デグサ):10重量部
・N−メチル−2−ピロリドン(三菱化学): 88重量部
【0095】
上記基層用カーボン分散液Aを用いて、下記処方にて構成材料を混合し、遠心式攪拌脱泡機により、混合、脱泡し、基層用塗工液Aを得た。
<基層用塗工液Aの構成材料>
・上記基層用カーボン分散液A: 50重量部
・ポリイミド溶液U−ワニスA(宇部興産;固形分18wt%): 50重量部
・ポリエーテル変性シリコーンFZ2105(東レダウコーニング):0.01重量部
【0096】
〔基層の形成〕
次に、外径100mm、長さ300mmの外面を鏡面仕上げした上に離型剤を施した金属製円筒を型として用い、この円筒型を50rpm(回/分)で回転させながら、上記基層用塗工液Aを円筒外面に均一にディスペンサーを用いて流延して塗布した。塗布量としては最終的な膜厚が70μmになるような液量の条件とした。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度3℃/分で100℃まで昇温して30分加熱した。その後回転を停止し、高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に投入し、昇温速度2℃/分で310℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)した。加熱を停止した後、常温まで徐冷し、金属製円筒型外面に基層を形成した。
【0097】
(表面層用塗工液Aの調製)
まず、下記に示す各構成材料を混合し、φ1mmのジルコニアビーズを用いて、ビーズミル分散機にて5時間分散し、表面層用カーボン分散液Aを作製した。
<表面層用カーボン分散液Aの構成材料>
・ビスアリルナジイミド溶液BANI−X
(丸善石油化学;固形分50wt%): 1重量部
・カーボンブラックSpecialblack4(デグサ社):10重量部
・N−メチル−2−ピロリドン(三菱化学): 89重量部
【0098】
上記表面層用カーボン分散液Aを用いて、下記処方にて構成材料を混合し、遠心式攪拌脱泡機により、混合、脱泡し、表面層用塗工液Aを得た。
【0099】
<表面層用塗工液Aの構成材料>
・上記表面層用カーボン分散液A: 20重量部
・ビスアリルナジイミド溶液BANI−X
(丸善石油化学;固形分50wt%): 80重量部
・ポリエーテル変性シリコーンFZ2105
(東レダウコーニング): 0.01重量部
【0100】
〔基層上への表面層Aの形成〕
前記金属製円筒型上に形成されたポリイミド製の基層外面に、上記表面層用塗工液Aを、基層の場合と同様にディスペンサーを用いて均一に流延して塗布した。塗布量としては最終的な膜厚が5μmになるような液量の条件とした。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度3℃/分で110℃まで昇温して30分加熱した。引き続き、昇温速度3℃/分で300℃まで昇温して120分加熱処理した。加熱を停止した後、常温まで徐冷し、基層上に表面層Aが形成されたシームレスベルトを金属製円筒型から脱型して中間転写ベルトAを得た。
【0101】
[実施例2]
〔中間転写ベルトBの作製〕
実施例1と同様に形成した基層の上に下記表面層用塗工液Bを用いて表面層を形成し、中間転写ベルトBを得た。
【0102】
(表面層用塗工液Bの調製)
まず、下記に示す各構成材料を混合し、φ1mmのジルコニアビーズを用いて、ビーズミル分散機にて5時間分散し、表面層用カーボン分散液Bを作製した。
<表面層用カーボン分散液Bの構成材料>
・ビスアリルナジイミド溶液BANI−M
(丸善石油化学;固形分50wt%): 1重量部
・カーボンブラックSpecialblack4(デグサ社): 10重量部
・N−メチル−2−ピロリドン(三菱化学): 89重量部
【0103】
上記表面層用カーボン分散液Bを用いて、下記処方にて構成材料を混合し、遠心式攪拌脱泡機により、混合、脱泡し、表面層用塗工液Bを得た。
【0104】
<表面層用塗工液Bの構成材料>
・上記表面層用カーボン分散液B: 22重量部
・ビスアリルナジイミド溶液BANI−M
(丸善石油化学;固形分50wt%): 78重量部
・ポリエーテル変性シリコーンFZ2105(東レダウコーニング):0.01重量部
【0105】
〔基層上への表面層Bの形成〕
実施例1と同様に基層用塗工液Aを用いて金属製円筒型上に形成されたポリイミド製の基層外面に、基層の場合と同様にして上記表面層塗布液Bを均一にディスペンサーを用いて流延して塗布した。塗布量としては最終的な膜厚が10μmになるような液量の条件とした。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度3℃/分で110℃まで昇温して30分加熱した。引き続き、昇温速度3℃/分で300℃まで昇温して120分加熱処理した。加熱を停止した後、常温まで徐冷し、基層上に表面層Bが形成されたシームレスベルトを金属製円筒型から脱型して中間転写ベルトBを得た。
【0106】
[実施例3]
〔中間転写ベルトCの作製〕
実施例1と同様に形成した基層の上に下記表面層用塗工液Cを用いて表面層を形成し、中間転写ベルトCを得た。
【0107】
(表面層用塗工液Cの調製)
まず、下記に示す各構成材料を混合し、φ1mmのジルコニアビーズを用いて、ビーズミル分散機にて5時間分散し、表面層用カーボン分散液Cを作製した。
<表面層用カーボン分散液Cの構成材料>
・ビスアリルナジイミド溶液BANI−H
(丸善石油化学;固形分50wt%): 1重量部
・カーボンブラックSpecialblack4(デグサ社): 10重量部
・N−メチル−2−ピロリドン(三菱化学): 89重量部
【0108】
上記表面層用カーボン分散液Cを用いて、下記処方にて構成材料を混合し、遠心式攪拌脱泡機により、混合、脱泡し、表面層用塗工液Cを得た。
【0109】
<表面層用塗工液Cの構成材料>
・上記表面層用カーボン分散液C: 19重量部
・ビスアリルナジイミド溶液BANI−H
(丸善石油化学;固形分50wt%): 81重量部
・ポリエーテル変性シリコーンFZ2105(東レダウコーニング):0.01重量部
【0110】
〔基層上への表面層Cの形成〕
実施例1と同様に基層用塗工液Aを用いて金属製円筒型上に形成されたポリイミド製の基層外面に、基層の場合と同様にして上記表面層塗布液Cを均一にディスペンサーを用いて流延して塗布した。塗布量としては最終的な膜厚が10μmになるような液量の条件とした。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度3℃/分で110℃まで昇温して30分加熱した。引き続き、昇温速度3℃/分で300℃まで昇温して120分加熱処理した。加熱を停止した後、常温まで徐冷し、基層上に表面層Cが形成されたシームレスベルトを金属製円筒型から脱型して中間転写ベルトCを得た。
【0111】
[実施例4]
〔中間転写ベルトDの作製〕
実施例1と同様に形成した基層の上に下記表面層用塗工液Dを用いて表面層を形成し、中間転写ベルトDを得た。
【0112】
(表面層用塗工液Dの調製)
まず、下記に示す各構成材料を混合し、φ1mmのジルコニアビーズを用いて、ビーズミル分散機にて5時間分散し、表面層用カーボン分散液Dを作製した。
<表面層用カーボン分散液Dの構成材料>
・ビスアリルナジイミド溶液BANI−X
(丸善石油化学;固形分50wt%): 1重量部
・カーボンブラックSpecialblack4(デグサ社): 10重量部
・N−メチル−2−ピロリドン(三菱化学): 89重量部
【0113】
上記表面層用カーボン分散液Dを用いて、下記処方にて構成材料を混合し、遠心式攪拌脱泡機により、混合、脱泡し、表面層用塗工液Dを得た。
【0114】
<表面層用塗工液Dの構成材料>
・上記表面層用カーボン分散液D: 50重量部
・ビスアリルナジイミド溶液BANI−X
(丸善石油化学;固形分50wt%): 50重量部
・ポリエーテル変性シリコーンFZ2105(東レダウコーニング):0.01重量部
【0115】
〔基層上への表面層Dの形成〕
実施例1と同様に基層用塗工液Aを用いて金属製円筒型上に形成されたポリイミド製の基層外面に、基層の場合と同様にして上記表面層塗布液Dを均一にディスペンサーを用いて流延して塗布した。塗布量としては最終的な膜厚が10μmになるような液量の条件とした。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転しながら熱風循環乾燥機に投入して、昇温速度3℃/分で110℃まで昇温して30分加熱した。引き続き、昇温速度3℃/分で300℃まで昇温して120分加熱処理した。加熱を停止した後、常温まで徐冷し、基層上に表面層Dが形成されたシームレスベルトを金属製円筒型から脱型して中間転写ベルトDを得た。
【0116】
[比較例1]
〔中間転写ベルトEの作製〕
実施例1の中間転写ベルトAにおいて、表面層用塗工液Aの調製に用いたビスアリルナジイミドを以下の組成で混合した樹脂材料に代えて表面層を形成した以外は、実施例1と同様にして中間転写ベルトEを得た。
<樹脂材料の組成>
・ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂(バイロンUR1350;東洋紡績):100重量部
・TDI変性イソシアネート硬化剤 コロネートL(日本ポリウレタン工業)7重量部
【0117】
[比較例2]
〔中間転写ベルトFの作製〕
実施例1の中間転写ベルトAにおいて、表面層用塗工液Aの調製に用いたビスアリルナジイミドを以下の組成で混合した樹脂材料に代えて表面層を形成した以外は、実施例1と同様にして中間転写ベルトFを得た。
<樹脂材料の組成>
・ポリイミド溶液U−ワニスS(宇部興産;固形分18.5wt%): 50重量部
【0118】
[比較例3]
〔中間転写ベルトGの作製〕
実施例1の中間転写ベルトAにおいて、表面層を設けない基層のみの単層構造とした以外は実施例1と同様にして中間転写ベルトGを得た。
【0119】
実施例1〜4、比較例1〜3の各中間転写ベルトを図2に記載の電子写真装置の中間転写ベルトとして装備し、1週間静置した後に、シアンのベタ画像をプリントし、プリントされたベタ画像の画像濃度(ID)を測定した。
その後、各中間転写ベルトを取り出して表面の光沢度(20°光沢度)を測定し、再び中間転写ベルトとして装備し、連続1万枚プリント出力を行なった。その後、シームレスベルトを取り出してもう一度表面の20°光沢度を測定した。また、最後にプリントされたベタ画像の画像濃度を測定した。
プリント用の用紙として、TYPE6200(リコー)を用いた。
光沢度の測定には光沢度計PG−1(日本電色工業(株))を用いた。測定面積は10.0×10.6mm2である。
画像濃度測定には分光濃度測定器X−Rite(型式520 X−Rite社)を用いた。
各測定結果を下記表1に示す。
【0120】
【表1】

【0121】
表1に示すように、比較例1においては、連続出力試験中に表面層が剥離してしまったため、試験を中断した。実施例1〜4ではこのような現象は起きず、本発明で用いる表面層は基層との接着性に優れ、長期の使用に耐えうることが確認された。
比較例2においては、ポリイミドの表面層を付与したため、大幅な画像濃度(ID)や光沢度の低下は起こらなかった。しかし、特にハーフトーン出力時に濃度むらが顕著であった。これは表面層に用いたポリイミドのカーボンブラック分散性が悪く、抵抗ばらつきが大きかったことによるものと考えられる。一方、実施例1〜4においてはこのような異常画像は見られなかった。
連続出力試験前後で画像濃度を測定した結果、現像剤などの劣化が原因で全ての場合でIDが低下しているが、表面層の無い比較例3に比べて、本発明のビスアリルナジイミドを硬化させてなるポリイミドを主成分として含有する表面層を設けた実施例1〜4は明らかにID低下の度合いが小さかった。即ち、本発明の表面層を設けることによって転写性の低下を抑えることが可能であることが確認された。さらに、比較例3では中抜けや濃度むら等の異常画像が確認された。
また、必要とされるベルト表面の20°光沢度が60〜200の範囲で、さらにその範囲の中でもより好ましくは80〜150であることを踏まえて考察すると、表1に示したプリント出力前後の表面における20°光沢度測定の結果から、実施例1〜4では光沢度が十分に維持されており、耐摩耗性、耐傷性に優れていると言える。
以上のことから、本発明により、耐摩耗性、耐傷性に優れ、一定の表面光沢度と高い転写率及び転写性能を維持し、中抜けや濃度むらのような異常画像がなく、高品質なフルカラー画像を実現することができる長寿命で、中間転写ベルトとして好適な電子写真用シームレスベルトが得られることが確認された。
このような電子写真用シームレスベルトを用いれば、複写機、レーザープリンターあるいは普通ファクシミリ等の電子写真装置(画像形成装置)において強く要請されている高速化、フルカラー化、高画質化等に対応することができる。
【符号の説明】
【0122】
(図1)
P 転写紙
L 露光手段
70 除電ローラ
80 アースローラ
200 感光体ドラム
201 感光体クリーニング装置
202 除電ランプ
203 帯電チャージャ
204 電位センサ
205 トナー画像濃度センサ
210 ベルト搬送装置
230 リボルバ現像ユニット
231Y Y現像機
231K Bk現像機
231C C現像機
231M M現像機
270 定着装置
271、272 定着ローラ
500 中間転写ユニット
501 中間転写ベルト
502 トナーシール部材
503 帯電チャージャ
504 ベルトクリーニングブレード
505 潤滑剤塗布ブラシ
506 潤滑剤
507 1次転写バイアスローラ
508 ベルト駆動ローラ
509 ベルトテンションコントローラ
510 2次転写対向ローラ
511 クリーニング対向ローラ
512 フィードバッグ電流検知ローラ
513 トナー画像
514 光学センサ
600 2次転写ユニット
601 転写紙ガイド板
605 2次転写バイアスローラ
606 転写紙除電チャージャ
608 クリーニングブレード
610 レジストローラ
801 1次転写電源
802 2次転写電源
(図2)
P 転写紙
10 プリンタ本体
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20BK、20M、20Y、20C 現像装置
21BK、21M、21Y、21C 感光体
22 中間転写ベルト
23BK、23M、23Y、23C 1次転写バイアスローラ
24 ベルト駆動ローラ
25 ベルトクリーニング部材
26 ベルト従動ローラ
27 潤滑剤塗布装置
28 光学センサ
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスローラ
70 バイアスローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0123】
【特許文献1】特開2007−316622号公報
【特許文献2】特開2004−053952号公報
【特許文献3】特開2005−266793号公報
【特許文献4】特開2009−25786号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基層上に、少なくとも表面層を設けてなる電子写真用シームレスベルトであって、
前記表面層は、少なくとも下記一般式(i)で示されるビスアリルナジイミドを硬化させてなるポリイミドを主成分として含有することを特徴とする電子写真用シームレスベルト。
【化1】


(但し、式(i)中、Rは少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価の炭化水素基を示す。)
【請求項2】
前記電子写真用シームレスベルトが、電子写真用中間転写ベルトであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項3】
前記一般式(i)で示されるビスアリルナジイミドのRが、下記化学式(ii)〜(iv)で示される2価の炭化水素基から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真用シームレスベルト。
【化2】

【請求項4】
前記基層が、前記一般式(i)で示されるビスアリルナジイミドを硬化させてなるポリイミド以外のポリイミドを主成分として含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項5】
前記一般式(i)で示されるビスアリルナジイミドを硬化させてなるポリイミド以外のポリイミドが、有機溶媒中にポリアミック酸を含む溶液から得られるものであることを特徴とする請求項4に記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項6】
前記表面層が、少なくともカーボンブラックと前記一般式(i)で示されるビスアリルナジイミドと溶媒を含むカーボンブラック分散液により塗布・加熱形成されたものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項7】
前記カーボンブラックの表面層に占める含有量が、2wt%〜20wt%であることを特徴とする請求項6に記載の電子写真用シームレスベルト。
【請求項8】
像担持体上に順次形成される複数のカラートナー現像画像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一次転写を行ない、該一次転写画像を被記録媒体に一括して二次転写する電子写真装置において、
前記中間転写ベルトが請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真用シームレスベルトであることを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−17974(P2011−17974A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163713(P2009−163713)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】