説明

電子写真画像形成装置

【課題】ユーザが画像形成装置の初期設置時にカートリッジの取り出し、装着の動作を行う必要がなく、また、輸送時にトナー漏れを起こすことのない電子写真画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像容器は、現像剤収容部の現像剤を現像剤担持体51aに供給する第一の開口部と、現像剤担持体51aの回転軸方向の一端部に設けられる第二の開口部64と、第一の開口部を閉塞し、第二の開口部64を通過可能な第一の現像剤封止部材と、第二の開口部64を塞ぐ第二の現像剤封止部材と、を有し、カートリッジ5aは、第一の現像剤封止部材を除去した後に第二の開口部64を塞ぐ第三の現像剤封止部材65を有し、第二の開口部64を第三の現像剤封止部材65で塞いだ後、装着部に装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも像担持体上の静電潜像を現像するための現像手段及び現像剤を収納する現像剤収容部を一体にまとめたカートリッジを備えた電子写真画像形成装置に関するものである。
【0002】
ここで、電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成プロセスを用いて記録媒体に画像を形成するものである。例えば、電子写真複写機、電子写真プリンター(LEDプリンター、レーザビームプリンタなど)、電子写真ファクシミリ装置、及び、電子写真ワードプロセッサーなどが含まれる。
【背景技術】
【0003】
従来、電子写真画像形成装置(以下、単に「画像形成装置」という。)においては、カートリッジ方式を採用したものがある。斯かる装置では、少なくとも、像担持体に形成された静電潜像を現像するための現像手段及び現像剤を収納する現像剤収容部を一体にまとめてカートリッジとし、画像形成装置本体に対して着脱可能とされる。このカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをユーザ自身で行うことができるので、格段に操作性を向上させることができる。
【0004】
カートリッジ方式として、像担持体としてのドラム状の電子写真感光体(以下、「感光体ドラム」という。)に作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化したプロセスカートリッジ方式がある。このプロセスカートリッジは、現像手段及び現像剤収容部を有した現像装置を具備している。また、現像装置のみをカートリッジ化した現像カートリッジ方式も実用化されている。
【0005】
ここで、現像装置は、現像剤(以下、「トナー」という。)を収容した現像剤収容部(以下、「トナー収容室」という。)と、現像剤担持体などの現像手段を有する現像室とを備えた現像容器を備えている。トナー収容室と現像室との間には、トナー収容室内のトナーを現像室へと供給するために第一の開口部(以下、「トナー供給口」という。)が設けられている。カートリッジ未使用状態では、トナー供給口は、熱溶着等で第一の現像剤封止部材(以下、「トナーシール」という。)が固定されている。そのため、トナーは、トナー収容室内に封止された状態となる。
【0006】
現像装置を構成する現像容器には、トナーシールをカートリッジ外に引き抜くための第二の開口部(以下、「引き抜き口」という。)が形成されている。この引き抜き口には、内部のトナーが外部に漏れ出るのを防止しつつ、トナーシールの引き抜きを許容する第二の現像剤封止部材(以下、「トナー容器シール」という。)が配置されている。
【0007】
ユーザがカートリッジを使用する際には、トナーシールを引き抜き口から引き抜き、カートリッジ外に取り外すことにより使用可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−333808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述したように、カートリッジはトナーをトナー収容室内に封止するトナーシールが設けられている。カートリッジは出荷されてからユーザ先に輸送される際に、強い衝撃・振動を受ける可能性がある。そのとき、カートリッジにトナーシールが設けられていないとトナーがカートリッジ外に漏れてしまう。従って、カートリッジの輸送時の漏れを防止するためにカートリッジにはトナーシールが設けられている。
【0010】
一方で、近年ユーザビリティの向上を目的として、カートリッジを画像形成装置に装着した状態で出荷する形態(以下、「装着同梱」という。)をとっている。
【0011】
しかし、トナーシールが設けられたカートリッジを画像形成装置に装着した状態で出荷すると、ユーザは画像形成装置の初期設置時にカートリッジを取り出し、トナーシールを引き抜き、カートリッジを装着するという動作を行う必要があった。
【0012】
そこで、本発明では装着同梱のカートリッジに対しトナーシールを設けないように、予めカートリッジからトナーシールを引き抜き、画像形成装置に装着し、出荷するという装着同梱を実現しうる構成を提案する。
【0013】
この構成を実現することにより、ユーザが画像形成装置の初期設置時に行う動作を簡易化できる。なお、カートリッジは、出荷されてから画像形成装置に装着されるまではトナーシールが設けられているため、その間の輸送時におけるトナー漏れを防止できる。
【0014】
ここで、画像形成装置の輸送時においても、装着同梱されたカートリッジが衝撃・振動を受けることが考えられる。従来例では、トナーシールをカートリッジ外に引き抜くための引き抜き口と引き抜き口を塞ぐトナー容器シールが配置されている。しかし、装着同梱されたカートリッジにはトナーシールが無いため、衝撃・振動により引き抜き口とトナー容器シールの間に隙間ができ、トナーが画像形成装置内に漏れてしまことが懸念される。
【0015】
そこで、本発明の目的は、ユーザが画像形成装置の初期設置時にカートリッジの取り出し、装着の動作を行う必要がなく、また、輸送時にトナー漏れを起こすことのない電子写真画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的は本発明に係る電子写真画像形成装置にて達成される。要約すれば、本発明は、少なくとも現像剤及び前記現像剤を担持し搬送する現像剤担持体を備えた現像容器を有するカートリッジと、前記カートリッジが装着される装着部とを有し、記録媒体に画像を形成するための電子写真画像形成装置であって、
前記現像容器は、
前記現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記現像剤担持体を具備する現像室と、
前記現像剤収容部の現像剤を前記現像剤担持体に供給する第一の開口部と、
前記現像剤担持体の回転軸方向の一端側に設けられる第二の開口部と、
前記第一の開口部を閉塞し、前記第二の開口部を通過可能な第一の現像剤封止部材と、
前記第二の開口部を塞ぐ第二の現像剤封止部材と、を有し、
前記カートリッジは、
前記第一の現像剤封止部材を除去した後に前記第二の開口部を塞ぐ第三の現像剤封止部材を有し、前記第二の開口部を前記第三の現像剤封止部材で塞いだ後、前記装着部に装着される、
ことを特徴とする電子写真画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザが画像形成装置の初期設置時にカートリッジの取り出し、装着の動作を行う必要がなく、また、画像形成装置は、カートリッジを装着した状態であっても、輸送時にトナー漏れを起こすことがない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成断面図で、現像待機位置の状態を示す。
【図2】本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成断面図で、現像位置の状態を示す。
【図3】本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成断面図で、現像位置の状態を示す。
【図4】本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略構成断面図で、現像カートリッジの画像形成装置本体への装着時の状態を示す。
【図5】本発明に係る現像カートリッジを示す断面図である。
【図6】本発明に係る現像カートリッジを示す断面図である。
【図7】本発明に係る現像カートリッジを示す側面図である。
【図8】図7の線A−Aに取った本発明に係る現像カートリッジの断面図である。
【図9】図8と同様の本発明に係る現像カートリッジの断面図である。
【図10】図8と同様の本発明に係る現像カートリッジの詳細図である。
【図11】図9と同様の本発明に係る現像カートリッジの詳細図である。
【図12】図9と同様の本発明に係る現像カートリッジの詳細図であり、トナーシールが除去された状態を示す。
【図13】本発明に係る現像カートリッジを示す斜視図で、支持部材が省略されている。
【図14】本発明に係る第三の現像剤封止部材が現像カートリッジに装着された状態を示す側面図である。
【図15】本発明に係る第三の現像剤封止部材の現像カートリッジへの装着動作を示す断面図である。
【図16】本発明に係る第三の現像剤封止部材の現像カートリッジへの装着動作を示す断面図である。
【図17】本発明に係る第三の現像剤封止部材が現像カートリッジへの装着された状態を示す断面図でる。
【図18】本発明に係る第三の現像剤封止部材の現像カートリッジへの装着動作示す斜視図である。
【図19】本発明に係る第三の現像剤封止部材の斜視図である。
【図20】本発明に係る第三の現像剤封止部材を現像カートリッジに装着した状態で画像形成装置本体への装着動作を示す斜視図である。
【図21】本発明に係る第三の現像剤封止部材が現像カートリッジに装着された状態を示す断面図である。
【図22】本発明に係る第三の現像剤封止部材の外れ防止動作を示す詳細図である。
【図23】本発明に係る第三の現像剤封止部材の外れ防止動作を示す詳細図である。
【図24】本発明に係る第三の現像剤封止部材の外れ防止動作を示す詳細図である。
【図25】本発明に係る第三の現像剤封止部材の外れ防止動作を示す詳細図である。
【図26】本発明に係る別の第三の現像剤封止部材が現像カートリッジに装着された状態を示す側面図である。
【図27】本発明に係る別の第三の現像剤封止部材の外れ防止動作を示す詳細図である。
【図28】本発明に係る別の第三の現像剤封止部材の外れ防止動作を示す詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る電子写真画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。
【0020】
実施例1
(電子写真画像形成装置の全体構成及び画像形成動作の説明)
最初に、図1を参照して、本発明に係る電子写真画像形成装置の一実施例の全体構成及び画像形成動作について説明する。本実施例にて、電子写真画像形成装置(以下、単に「画像形成装置」という。)は、4色フルカラーのレーザビームプリンタとされる。
【0021】
図1に示すように、画像形成装置100は、像担持体としてのドラム状の電子写真感光体、即ち、感光体ドラム2aを有する。感光体ドラム2aの周囲には、感光体ドラム2aを一様に帯電するための帯電手段2bと、感光体ドラム2a上にレーザー光を照射して静電潜像を形成するための露光手段15とを有している。更に、感光体ドラム2aの周囲には、感光体ドラム2a上に形成された静電潜像を対応する色のトナーで現像して顕像化する回転式現像装置5を有している。現像装置5は、イエロー現像装置5a、マゼンタ現像装置5b、シアン現像装置5c、ブラック現像装置5dを備えている。感光体ドラム2aの周りには、更に、感光体ドラム2a上の残留トナーを除去するクリーニング手段2cが配置されている。本実施例では、感光体ドラム2aの下方に、中間転写体としての中間転写ベルト3が配置されている。
【0022】
本実施例では、感光体ドラム2aと帯電手段2bとクリーニング手段2cが一体に構成され、かつ、画像形成装置本体100Aに対して着脱可能なドラムカートリッジ2を構成している。感光体ドラム2aと帯電手段2bとクリーニング手段2cは、各々が独立した構成でも良いし、一体化された構成でも良い。
【0023】
回転式現像装置5を構成しているイエロー現像装置5a、マゼンタ現像装置5b、シアン現像装置5c、ブラック現像装置5dは、画像形成装置100に対して回転自在に取り付けられたロータリ1に保持されている。また、イエロー現像装置5a、マゼンタ現像装置5b、シアン現像装置5c、ブラック現像装置5dは、ロータリ1に対して着脱可能な現像カートリッジ方式とされている。
【0024】
以下、イエロー現像装置5a、マゼンタ現像装置5b、シアン現像装置5c、ブラック現像装置5dをそれぞれイエロー現像カートリッジ5a、マゼンタ現像カートリッジ5b、シアン現像カートリッジ5c、ブラック現像カートリッジ5dとして説明する。上述のように、現像カートリッジ5a、5b、5c、5dは、装着部であるロータリ1を介して画像形成装置本体100Aに対して着脱自在に装着可能とされる。
【0025】
先ず、感光体ドラム2aを、中間転写ベルト3の回転方向である図1矢印A方向と同期させて、図1矢印B方向に回転させる。そして、この感光体ドラム2aの表面を帯電手段2bによって均一に帯電するとともに、露光手段15によってイエロー画像の光照射を行い、感光体ドラム2a上にイエローの静電潜像を形成する。
【0026】
この静電潜像の形成と同時に、各色の現像カートリッジ5a、5b、5c、5dを保持し、かつ回転可能なロータリ1は、ロータリ被駆動歯車1Aが画像形成装置本体100Aに設けたロータリギア17にて駆動される。従って、ロータリ1は、ロータリ回転軸1aを中心にして図1中矢印C方向に回転する。これによって、ロータリ1は回転して、イエロー現像カートリッジ5aを、図2に示す状態である、感光体ドラム2aと対向する現像位置に配置する。
【0027】
そして、感光体ドラム2aに形成された潜像にイエロー現像剤が付着するように、感光体ドラム2aと、カートリッジ5a内の現像剤担持体である現像ローラ51aに電位差を設ける。これによって、感光体ドラム2aに成形された潜像にイエロー現像剤を付着させて現像する。即ち、感光体ドラム2aにイエロー現像剤像(即ち、トナー像)が形成される。現像カートリッジの全体構成及び作動態様については、後で詳しく説明する。
【0028】
その後、中間転写ベルト3内側に配置された1次転写ローラ4にトナーと逆極性の電圧を印加して、感光体ドラム2a上のイエローのトナー像を中間転写ベルト3上に1次転写する。
【0029】
上述のようにしてイエロートナー像の1次転写が終了すると、ロータリ1が画像形成装置100のロータリギア17の駆動を受け、矢印C方向へ回転移動する。そして、マゼンタ現像カートリッジ5b、シアン現像カートリッジ5c、ブラック現像カートリッジ5dが順次、感光体ドラム2aに対向する現像位置に位置決めされる。イエローの場合と同様にして、マゼンダ、シアン、そしてブラックの各色について、静電潜像の形成、現像、1次転写が順次行われ、中間転写ベルト3上に4色のトナー像を重ね合わせる。
【0030】
この間、図1及び図2に示すように、2次転写ローラ6は、中間転写ベルト3とは非接触状態にある。また、中間転写ベルト3のクリーニングユニット10も中間転写ベルト3とは非接触状態に位置する。
【0031】
一方、トナー像の被転写体である記録媒体、即ち、シート40は、画像形成装置下部に設けられた給紙カセット7に積載収納されており、給紙ローラ8によって給紙カセット7から一枚ずつ分離給送され、レジストローラ9に給紙する。レジストローラ9は、給紙されたシート40を中間転写ベルト3と2次転写ローラ6の間に送り出す。ここで、図3に示すように、2次転写ローラ6が中間転写ベルト3に圧接された状態になる。
【0032】
更に、2次転写ローラ6にはトナーと逆極性の電圧が印加されており、前述の中間転写ベルト3上に重ね合わせた4色のトナー像は、搬送されてきたシート40の表面に2次転写されて行く。
【0033】
トナー像が転写されたシート40は、定着器11に送られる。定着器11においては、シート40が熱圧され、トナー像がシート40上に定着される。これにより、シート40上には画像が形成される。その後、シート40は、定着器11から画像形成装置100の排紙部12へ排出される。
【0034】
(現像カートリッジの説明)
現像装置5を構成するイエロー現像カートリッジ5a、マゼンタ現像カートリッジ5b、シアン現像カートリッジ5c、ブラック現像カートリッジ5dは全て同様の構成とされる。従って、本実施例でのイエロー現像カートリッジ5a、マゼンタ現像カートリッジ5b、シアン現像カートリッジ5c、ブラック現像カートリッジ5dの構成の説明は、イエロー現像カートリッジ5aで行う。
【0035】
次に、図5〜図9を参照して、イエロー現像カートリッジ5aについて説明する。図5及び図6は、本実施例のイエロー現像カートリッジ5aの断面図であり、図7はイエロー現像カートリッジ5aの側面図である。また、図8、図9は本実施例のイエロー現像カートリッジ5aの図7で示した現像ローラ51aの回転軸方向の断面図である。
【0036】
イエロー現像カートリッジ5aは、カートリッジ枠体である現像容器55を有している。現像容器55は、現像剤(トナー)60を収容する現像剤収容部(トナー収容室)56と、トナー収容室56と分離された現像室57とを有している。現像室57は、トナー60を感光体ドラム2aに担持し搬送する現像剤担持体である現像ローラ51aと現像ローラ51aにトナーを供給する供給ローラ52とを有している。トナー収容室56と現像室57との間には、現像ローラ51aの回転軸方向に延在して略矩形状のトナー供給口58が設けられている。トナー供給口58は、トナー収容室56内のトナー60を現像室57へと供給する第一の開口部である。図5、図8に示すように、トナー供給口58には、トナー収容室56と現像室57を分離するための、フィルム状のトナーシール(第一の現像剤封止部材)59が熱溶着などの方法により現像容器55に固定され、トナー供給口58を閉塞している。
【0037】
図8に示すように、現像ローラ51aの回転軸方向にて一端側には、現像容器55に引き抜き口(第二の開口部)64が形成されており、トナーシール59が通過可能に設置されている。トナーシール59は、この引き抜き口64から、図9中矢印G方向にイエロー現像カートリッジ5a外部へと引き出される。引き抜き口64にはトナーシール59が通された状態で、即ち、トナーシール59が現像容器55に設置された状態で、トナー容器シール(第二の現像剤封止部材)63が引き抜き口64に挿入されている。これによって、トナーシール59が除去された後でもトナー60が現像容器55内から外部へと洩れ出すことを防止する。
【0038】
ここで、トナー容器シール63について、図10〜図13を用いて説明する。図10は図9の詳細図であり、図11はトナーシール59の引き抜き動作を示す詳細図である。図12はトナーシール59がイエロー現像カートリッジ5a外部へ引き出された状態を示す詳細図である。また、図13は、イエロー現像カートリッジ5aの端部の斜視図である。トナー容器シール63の構成を分かり易く説明するために支持部材61は省略されている。
【0039】
図13に示すように、トナー容器シール63は、材料に熱可塑性エラストマーを用い、フィン部63aとベース部63bから形成される。トナー容器シール63は、幅b1、高さh1である。それに対して、トナー容器シール63が挿入される引き抜き口64は、幅b2、高さh2であり、b1>b2、h1>h2の関係となっている。そのため、トナー容器シール63が図13中矢印J方向に引き抜き口64に挿入される際に、トナー容器シール63の高さh1は、引き抜き口64の高さh2に対して圧入される。それによりトナー容器シール63に設けられた当接面63c、63dは、引き抜き口64に設けられた内壁64c、内壁64dにそれぞれ密着する。一方、トナー容器シール63の幅b1は、フィン部63aが図10中矢印Y方向に、即ち、トナーシール59の引き出し方向に変形することで図10中矢印H方向、即ち、トナーシール59方向に押圧力を発生させる。この押圧力によりトナーシール59は、引き抜き口64に設けられた内壁64aに押し付けられる。また、トナー容器シール63に設けられた当接面63eが引き抜き口64の内壁64bに密着する。以上により、トナー容器シール63は、引き抜き口64を密閉することが可能となる。
【0040】
図8に戻って説明すると、トナーシール59は、現像容器55に取り付けられた状態にて、トナー収容室56側に位置してトナー供給口58を閉鎖した閉鎖部59Aと、現像室57側に位置した引き抜き部59B部とを有している。引き抜き部59Bは、一端59Cが閉鎖部59Aと連結し、他端59Dが引き抜き口64から外部へと引き出されている。トナーシール59は、引き抜き口64よりイエロー現像カートリッジ5a外部に引き出されている引き出し部59Dを持って図8及び図9中矢印G方向に引っ張る。すると、トナーシール59は、引き抜き口64とは反対側の部分59C位置の溶着面58aから順次引き剥がされ始める。
【0041】
ここで、図8に示すように、トナーシール59は、トナー収容室56内のトナー60と接するトナーシール59のトナー付着面59aにはトナー60が付着した状態となっている。そのトナーシール59が引き抜かれるとき、トナー容器シール63に設けられたフィン部63aは、図9又は図11中矢印H方向に押圧力が発生しているため、フィン部63aとトナーシール59のトナー付着面59aが密着した状態となっている。これにより、フィン部63aがトナー60を封止しつつ、トナー付着面59aに付着したトナー60を掻き取ることができる。図12より、トナーシール59がイエロー現像カートリッジ5aから完全に取り除かれても、トナー容器シール63に設けられたフィン部63aは図12中矢印H方向に押圧力が発生した状態となっている。そのため、フィン部63aは引き抜き口64に設けられた内壁64aと密着することになる。よって、トナーシール59が完全に取り除かれても、現像容器55内のトナー60がイエロー現像カートリッジ5a外に洩れてしまうことはない。
【0042】
前述したように、トナーシール59を取り除くことで、トナー収容室56内のトナー60は、図2に示す感光体ドラムと対向する現像位置において、図6に示すように、現像室57内に自由落下する。現像室57内のトナー60は、トナー供給ローラ52に供給され、トナー供給ローラ52は図6中矢印E方向に回転することによって、現像ローラ51aにトナー60を供給する。現像ローラ51aは弾性ゴムローラで構成され、図6中矢印F方向に回転し、現像ローラ51a上のトナー60は現像ブレード53によって規制され、感光体ドラム2aに対して現像される。現像後に現像ローラ51a上に残されたトナー60はトナー供給ローラ52によって除去される。その後、再びトナー供給ローラ52によって現像ローラ51にトナーが供給される。
【0043】
また、現像位置では、安定的に現像ローラ51aを感光体ドラム2aに当接させるため、イエロー現像カートリッジ5aが保持されたロータリ1ごと、感光体ドラム2a方向に付勢させている。これによって、イエロー現像カートリッジ5aの現像ローラ51aが感光体ドラム2aに所定の加圧力で当接する状態となる。
【0044】
(第三の現像剤封止部材の説明)
次に、第三の現像剤封止部材(以下、「キャップシール」という。)について説明する。図14は、キャップシール65をイエロー現像カートリッジ5aに装着した状態を示す、図7と同様の側面図である。図15、図16、図17は、図14で示したイエロー現像カートリッジ5aの現像ローラ51aの回転軸方向の、図14にて線B−Bに取った断面図であり、図15、図16はキャップシール65のイエロー現像カートリッジ5aへの装着動作を示している。図17はキャップシール65をイエロー現像カートリッジ5aに装着した状態を示している。図18はキャップシール65のイエロー現像カートリッジ5aへの装着動作を示す斜視図であり、図19はキャップシール65の図18中矢印Rから見た斜視図である。
【0045】
図15に示すように、キャップシール65は、トナーシール59が取り除かれた後に、イエロー現像カートリッジ5aへ装着される。キャップシール65は、トナー容器シール63と同様に材料に熱可塑性エラストマーを用いており、図18及び図19に示すように、突起部65b、係合部65a、シール部65cから形成されている。係合部65aは幅b3、高さh3で、シール部65cは幅b6、高さh6で構成されている。図18に示すように、係合部65aが係合する支持部材61に設けられた被係合部61aは幅b4、高さh4で構成されており、b3>b4、h3>h4の関係になっている。また、シール部65cは、支持部材61に設けられた面61bと、引き抜き口64に設けられた内壁64aとで形成された幅b5と、引き抜き口64の高さh2の間に装着され、b6>b5、h6>h2の関係となっている。
【0046】
図15及び図18よりキャップシール65は、図15及び図18中矢印K方向からイエロー現像カートリッジ5aに装着される。その際、上記説明したように係合部65aは、被係合部61aに圧入される。また、図16に示すように、突起部65bは支持部材61に設けられた面61cに突き当たることで変形する。さらに、キャップシール65を図16中矢印K方向に移動させると、図17に示すように支持部材61とトナー容器シール63の間に挿入される。このとき、図18及び図19に示すように、シール部65cの高さh6は引き抜き口64の高さh2に対して大きいため圧入固定される。シール部65cの幅b6も引き抜き口64に設けられた内壁64aと支持部材61に設けられた面61bとで形成された幅b5に対して大きくなっているため、圧入固定される。これにより、図17に示すように、キャップシール65が図17中矢印M方向に外れることを防止している。また、図15、図17にて、シール部65cを形成する面65dは引き抜き口64を形成する内壁64aに、面65eは面64eに、面65fは支持部材61に設けられた面61bにそれぞれ密着する。以上により、イエロー現像カートリッジ5aはキャップシール65が装着された状態となり、この状態で画像形成装置100に装着される。
【0047】
上述したように、マゼンタ現像カートリッジ5b、シアン現像カートリッジ5c、ブラック現像カートリッジ5dの構成は全て同様であり、キャップシール65が装着された状態で、画像形成装置100に装着される。これにより画像形成装置100は出荷状態となる。
【0048】
ここで、画像形成装置100が出荷されてからユーザに届くまでの輸送時に衝撃及び振動を受ける可能性がある。その際、トナー容器シール63に設けられたフィン部63aにも衝撃及び振動がかかることになる。それにより、引き抜き口64に設けられた内壁64aとの間に隙間が生じてしまい、トナー60が画像形成装置100内に飛散してしまう。しかし、図17に示すようにキャップシール65がトナー60を封止しているため、画像形成装置100の輸送時にトナー60が画像形成装置100に飛散してしまうことを防止できる。
【0049】
前述したように、イエロー現像カートリッジ5aは、キャップシール65が装着された状態で、把手54を持って装着方向Dに沿って画像形成装置100に装着される。図4は、イエロー現像カートリッジ5aが装着された画像形成装置100の断面図であり、図20は、イエロー現像カートリッジ5aの画像形成装置100への装着動作を示す斜視図である。図21は、図14で示した側面図におけるP−P断面図である。
【0050】
図20及び図21に示すように、イエロー現像カートリッジ5aは、ロータリ1への装着に用いられるガイド55aを有し、また、現像ローラ51aの回転軸方向反対側にガイド55aと同様形状のガイド62a(図21)を有する。ガイド62aは支持部材62に設けられている。
【0051】
ロータリ1は、本実施例では、図20に示すように、被駆動歯車1Aが形成された両ロータリ回転支持体1b、1cと、両ロータリ回転支持体1b、1cを連結する中心軸1aにて構成されている。ガイド55aは、ロータリ回転支持体1bに設けられた溝1eに、ガイド62aはロータリ回転支持体1cに設けられた溝1fにそれぞれ案内されることで、イエロー現像カートリッジ5aは図20中矢印D方向に移動し、ロータリ1への装着が可能となる。本実施例にて、ロータリ1は、具体的には、ロータリ回転支持体1b、1cの溝1e、1fは、イエロー現像カートリッジ5aの画像形成装置本体に対する装着部を構成している。
【0052】
次に、キャップシール65が装着された状態のイエロー現像カートリッジ5aを画像形成装置100に装着する際のキャップシール65の外れ防止構成について、図22〜図25を用いて説明する。図22、図23は、図14で示したイエロー現像カートリッジ5aのQ−Q断面図であり、図24、図25はP−P断面図である。
【0053】
イエロー現像カートリッジ5aの装着の際に装着の過程にて、キャップシール65に設けられた装着方向Dの最下流端に位置する第一の当接部65iがロータリ1に接触してしまう可能性がある。このとき、図22にて、第一当接部65iが図22に示す矢印N方向に力F1を受ける。この時、第一当接部65iで受けた力F1は引き抜き口64の内壁64cと当接する、装着方向にて上流側に位置する第二の当接部65hに伝わる。そのため、第二当接部65hは内壁64cを力F1で押すことになり、第二当接部65hは内壁64cから反力F2を受ける。その結果、第一当接部65iと第二当接部65hの間に変形が生じることになる。これにより、図22に示す第一当接部65iと第二当接部65h間の寸法a1が図23に示すa1’に、図22に示す引き抜き口64の内壁64dと当接する第四の当接部65jと第二当接部65h間の寸法h2が図23に示すh2’になる。そのため、図23に示すように、内壁64dと第四の当接部65jとの間に隙間tができてしまい、キャップシール65は引き抜き口64に対する圧入固定が弱まる。そのため、キャップシール65がイエロー現像カートリッジ5aから図21中矢印M方向に外れてしまう可能性がある。
【0054】
これを防止するために、図14に示すようにキャップシール65には、支持部材61に設けられた被当接部61dと当接する第三の当接部65gが設けられている。図24、図25にて、第三の当接部65gは第一当接部65iと第二当接部65hの間に配設されており、また、イエロー現像カートリッジ5aの装着方向である図14中矢印D方向に対して直交した面を有している。第一当接部65iが力F1を受けると、この力F1が第三の当接部65gに伝わり、第三の当接部65gは被当接部61dを力F1で押すことになる。そのため、第三の当接部65gは被当接部61dから反力F2を受け、第一当接部65iと第三の当接部65gの間に変形が生じることになる。これにより、図24に示す第一当接部65iと第三当接部65g間の寸法a2が図25に示すa2’になる。また、図24に示す第一当接部65iと第二当接部65h間の寸法a1が図25に示すa1’’に、図24に示す引き抜き口64の内壁64dと当接する第四の当接部65jと第二当接部65h間の寸法h2が図25に示すh2’’になる。
【0055】
このとき、第一当接部65iと第三の当接部65g間の寸法a2は、第一当接部65iと第二当接部65h間の寸法a1より小さいため、a2−a2’<a1−a1’’となり、キャップシール65の変形を抑制することができる。これにより、内壁64dと第四の当接部65jとの間に隙間tが発生することはなく、キャップシール65が引き抜き口64に圧入固定された状態を保つことができる。よって、第三の当接部65gを設けることで、キャップシール65がイエロー現像カートリッジ5aから図21中矢印M方向に進行して外れてしまうことを防止できる。
【0056】
キャップシール65に熱可塑性エラストマーを用いた例を述べたが、キャップシール65にモルトプレンを用いてもよい。
【0057】
また、ここでは複数の現像カートリッジをロータリに装着する画像形成装置の構成を説明したが、複数のプロセスカートリッジ若しくは現像カートリッジを垂直又は水平に並べた画像形成装置の構成に適用しても良い。
【0058】
さらに、1つのプロセスカートリッジ若しくは現像カートリッジを装着する画像形成装置の構成に適用しても良い。
【0059】
実施例2
次に、第三の当接部がイエロー現像カートリッジ装着方向と角度をなしている場合について説明する。図26は、第二の実施例を示すイエロー現像カートリッジ5aの側面図である。図27と図28は、図26に示したイエロー現像カートリッジ5aのS−S断面図である。上記第一実施例と説明の重複する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
キャップシール65pに設けられた第三の当接部65qがイエロー現像カートリッジ5aの装着方向である図26中矢印D方向に対して角度θをなしている。第一当接部65kが力F3を受けると、この力F3が第三の当接部65qに伝わり、第三の当接部65qは支持部材61pに設けられた被当接部61gを力F3の分力F3’で押すことになる。そのため、第三の当接部65qは被当接部65kから反力F4’を受ける。反力F4’の分力F4によって第一当接部65kと第三の当接部65qの間に変形が生じることになる。
【0061】
ここで、第三の当接部65qが設けられていない場合は、第一当接部65kと第二当接部65mとの間の寸法a1が変形するため、キャップシール65の変形が大きくなってしまう。しかし、第三の当接部65qを設けることで図27に示すように、第一当接部65kと第三当接部65q間の寸法a3が図28に示すa3’になる。また、図27に示す第一当接部65kと第二当接部65m間の寸法a1が図28に示すa1’に、図27に示す引き抜き口64の内壁64nと当接する第四の当接部65nと第二当接部65m間の寸法h2が図28に示すh2’’になる。このとき、第一当接部65kと第三の当接部65q間の寸法a3は第一当接部65kと第二当接部65m間の寸法a1より小さいため、a3−a3’<a1−a1’となり、キャップシール65の変形を抑制することができる。
【0062】
これにより、内壁64nと第四の当接部65nとの間に隙間が発生することはなく、キャップシール65が引き抜き口64に圧入固定された状態を保つことができる。
【0063】
角度θに関しては、図中26矢印D方向を0°とすると0°<θ<180°の範囲に形成されていれば、キャップシール65の外れ防止効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0064】
1 ロータリ
2a 感光体ドラム(像担持体)
5 回転式現像装置
5a〜5d 現像カートリッジ
40 シート(記録媒体)
51(51a〜51d) 現像ローラ(現像剤担持体)
52 トナー供給ローラ
55 現像容器
55a,62a ガイド
56 トナー収容室(現像剤収容部)
57 現像室
58 トナー供給開口(第一の開口部)
59 トナーシール(第一の現像剤封止部材)
61、61p、62 支持部材
63 トナー容器シール(第二の現像剤封止部材)
64 引き抜き口(第二の開口部)
65、65p キャップシール(第三の現像剤封止部材)
65i、65k 第一の当接部
65h、65m 第二の当接部
65g、65q 第三の当接部
65j、65n 第四の当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも現像剤及び前記現像剤を担持し搬送する現像剤担持体を備えた現像容器を有するカートリッジと、前記カートリッジが装着される装着部とを有し、記録媒体に画像を形成するための電子写真画像形成装置であって、
前記現像容器は、
前記現像剤を収容する現像剤収容部と、
前記現像剤担持体を具備する現像室と、
前記現像剤収容部の現像剤を前記現像剤担持体に供給する第一の開口部と、
前記現像剤担持体の回転軸方向の一端側に設けられる第二の開口部と、
前記第一の開口部を閉塞し、前記第二の開口部を通過可能な第一の現像剤封止部材と、
前記第二の開口部を塞ぐ第二の現像剤封止部材と、を有し、
前記カートリッジは、
前記第一の現像剤封止部材を除去した後に前記第二の開口部を塞ぐ第三の現像剤封止部材を有し、前記第二の開口部を前記第三の現像剤封止部材で塞いだ後、前記装着部に装着される、
ことを特徴とする電子写真画像形成装置。
【請求項2】
前記第三の現像剤封止部材は、
前記カートリッジの前記装着部への装着方向の最下流端に位置する第一の当接部と、
前記第二の開口部に係合し、前記第一の当接部に対して前記カートリッジの前記装着部への装着方向にて上流側に位置する第二の当接部と、
前記第一の当接部と前記第二の当接部との間に配設され、前記カートリッジが前記装着部へ装着される過程で前記第一の当接部が前記装着部に突き当たったときに前記第一の当接部が前記装着部に押され、前記第三の現像剤封止部材が、押された方向に進行することを妨げ、前記カートリッジの装着方向と角度をなす第三の当接部と、を有し、
前記第三の当接部は、前記カートリッジに設けられた被当接部と当接する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子写真画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate


【公開番号】特開2012−42620(P2012−42620A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182538(P2010−182538)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】