説明

電子機器部品情報管理システム

【目的】 電子機器を構成する複数の部品の内、いずれかの部品を交換するときに役立つ情報を容易に参照できるようにする。
【構成】 画像形成装置を構成する各部品を生産する画像形成装置第1〜n部品生産工場1,……,2に設置された第1〜n部品情報管理装置10,……,20の各読取装置11,……,21が各部品に添付されたIDチップ80に記憶されている各部品にそれぞれ固有のID番号を読み取り、制御装置15,……,25がそのID番号に対応する部品に関する部品固有情報を入力し、上記読み取ったID番号に上記入力した部品固有情報を対応させて記憶装置16,……,26にそれぞれ記憶し、その記憶した部品固有情報をネットワークを介して外部の画像形成装置を組み立てる画像形成装置組立工場3の組立工程毎に設置された各画像形成装置組立情報管理装置30,……,40等から参照可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ファクシミリ装置、プリンタ、複写機等の画像形成装置、パーソナルコンピュータ等の電気部品又は電子部品を内蔵した電子機器の電子機器部品情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、現像装置に不揮発メモリを備え、その不揮発メモリに感光体のIDと濃度制御情報とを対で記憶させる装置(例えば、特許文献1参照)があった。
また、RFIDチップに消耗品の情報を記録して管理する方法(例えば、特許文献2参照)があった。
【特許文献1】特開2003−330233号公報
【特許文献2】特開2002−272822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の技術では、電子機器の組み立て時又は故障の修理時、各部品に関する情報を容易に参照できないので、略性能が同じである部品に交換したい場合にその部品の選定に手間がかかるという問題があった。
この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、電子機器を構成する複数の部品の内、いずれかの部品を交換するときに役立つ情報を容易に参照できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は上記の目的を達成するため、次の(1)〜(5)の各電子機器部品情報管理システムを提供する。
(1)電子機器を構成する各部品を生産する各部品生産工場に設置された各部品情報管理装置と、上記部品生産工場で生産された部品を予め決められた組立工程毎に組み付けて上記電子機器を組み立てる電子機器組立工場の上記組立工程毎に設置された各電子機器組立情報管理装置とからなり、上記各部品情報管理装置は、上記各部品に添付されたID番号記憶部に記憶されている各部品にそれぞれ固有のID番号を読み取るID番号読取手段と、そのID番号読取手段によって読み取ったID番号に対応する部品に関する部品固有情報を入力する部品固有情報入力手段と、上記ID番号読取手段によって読み取ったID番号に前記部品固有情報入力手段によって入力した部品固有情報を対応させて記憶する部品固有情報記憶手段と、外部からの要求に基づいて上記部品固有情報記憶手段に記憶した部品固有情報を送信する送信手段を有し、上記各電子機器組立情報管理装置は、上記電子機器を組み立てるときの予め決められた組立工程毎に組み付ける部品に添付されたID番号記憶部からID番号を読み取るID番号読取手段と、そのID番号読取手段によって読み取ったID番号に対応する部品固有情報を上記各部品情報管理装置に要求する部品固有情報要求手段と、その部品固有情報要求手段による要求に応じて送信された部品固有情報を受信する部品固有情報受信手段と、その部品固有情報受信手段によって受信した部品固有情報を表示する部品固有情報表示手段と、上記電子機器に予め付与された固有の機器識別情報に各組立工程で組み付けた部品に添付されたID番号記憶部から読み取ったID番号とを対応させた組立固有情報を記憶する組立固有情報記憶手段と、外部からの要求に基づいて上記組立固有情報記憶手段に記憶した組立固有情報を送信する送信手段を有する電子機器部品情報管理システム。
【0005】
(2)上記(1)の電子機器部品情報管理システムにおいて、上記各部品情報管理装置に、上記各部品の製品特性値を測定する製品特性値測定手段と、上記部品固有情報記憶手段に記憶した該当する部品固有情報に上記製品特性値測定手段によって測定した上記ID番号に対応する部品の製品特性値を付加する製品特性値付加手段を設けた電子機器部品情報管理システム。
(3)上記(1)又は(2)の電子機器部品情報管理システムにおいて、上記電子機器組立情報管理装置に、上記組立固有情報記憶手段に記憶した該当する組立固有情報の各組立工程に組立工程時に実施した調整の調整情報を付加する調整情報付加手段を設けた電子機器部品情報管理システム。
【0006】
(4)上記(3)の電子機器部品情報管理システムにおいて、上記電子機器組立情報管理装置に、上記調整情報付加手段によって付加した調整情報を変更する調整情報変更手段を設けた電子機器部品情報管理システム。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかの電子機器部品情報管理システムにおいて、上記各部品情報管理装置及び上記各電子機器組立情報管理装置における各ID番号読取手段は、上記部品に添付されたID番号記憶部に記憶されている部品に固有のID番号を無線通信によって読み取る手段である電子機器部品情報管理システム。
【発明の効果】
【0007】
この発明による電子機器部品情報管理システムは、電子機器を構成する複数の部品の内、いずれかの部品を交換するときに役立つ情報を容易に参照することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、この発明の電子機器部品情報管理システムの一実施例である画像形成装置部品情報管理システムの構成を示すブロック図である。
この画像形成装置部品情報管理システムは、電子機器であるファクシミリ装置、プリンタ、複写機等の画像形成装置を構成する各部品を製造する複数箇所の工場である画像形成装置第1部品生産工場1、……、画像形成装置第n部品生産工場2(nは正の整数)と、画像形成装置第1部品生産工場1、……、画像形成装置第n部品生産工場2で生産された部品を予め決められた組立工程毎に組み付けて画像形成装置を組み立てる画像形成装置組立工場3と、画像形成装置組立工場3で組立生産された画像形成装置が市場に出荷され、その購入先の会社や事務所で稼働中の画像形成装置93と、その画像形成装置93を監視するデータセンタ4とが互いにデータの送受信を可能に接続されている。
【0009】
画像形成装置第1部品生産工場1は、画像形成装置の第1部品70を生産(製造)する工場であり、内部に第1部品情報管理装置10が設置されている。
この第1部品情報管理装置10は、読取装置11と部品特性測定器14を接続した端末装置12とインタフェース(I/F)13とからなる。
読取装置11は、第1部品70に添付されたIDチップ80に記憶されている第1部品70に固有のID番号を読み取るID番号読取手段に相当する。
端末装置12は、CPU、ROM及びRAM等からなるマイクロコンピュータを内蔵し、この第1部品情報管理装置10の全体の制御を司り、この発明の各種の機能を実現する制御装置15と、この発明に係る各種の情報を記憶するハードディスク装置等の記憶装置16とからなる。
【0010】
制御装置15は、読取装置11によって読み取った第1部品70のID番号にそのID番号に対応する第1部品70に関する各種の部品情報を入力する部品固有情報入力手段の機能を果たす。また、読取装置11によって読み取ったID番号に上記入力した部品固有情報を対応させて記憶装置16に記憶する部品固有情報記憶手段の機能を果たす。
さらに、記憶装置16に記憶した第1部品70のID番号に対応する部品固有情報に部品特性測定器14によって測定した第1部品70の製品特性値を付加する製品特性値付加手段の機能も果たす。また、外部からの要求に基づいて記憶装置16に記憶した部品固有情報を要求元へI/F13とネットワークを介して送信する送信手段の機能を果たす。
部品特性測定器14は、第1部品70の製品特性値を測定する製品特性値測定手段の機能を果たす。
【0011】
上述と同様に、画像形成装置第n部品生産工場2は、画像形成装置の第n部品71を生産する工場であり、内部に第n部品情報管理装置20が設置されている。
この第n部品情報管理装置20は、読取装置21と部品特性測定器24を接続した端末装置22とインタフェース(I/F)23とからなる。
読取装置21は、第n部品71に添付されたIDチップ80に記憶されている第n部品71に固有のID番号を読み取るID番号読取手段に相当する。
端末装置22は、CPU、ROM及びRAM等からなるマイクロコンピュータを内蔵し、この第n部品情報管理装置20の全体の制御を司り、この発明の各種の機能を実現する制御装置25と、この発明に係る各種の情報を記憶するハードディスク装置等の記憶装置26とからなる。
【0012】
制御装置25は、読取装置21によって読み取った第n部品71のID番号にそのID番号に対応する第n部品71に関する各種の部品情報を入力する部品固有情報入力手段の機能を果たす。また、読取装置21によって読み取ったID番号に上記入力した部品固有情報を対応させて記憶装置26に記憶する部品固有情報記憶手段の機能を果たす。
さらに、記憶装置26に記憶した第n部品71のID番号に対応する部品固有情報に部品特性測定器24によって測定した第n部品71の製品特性値を付加する製品特性値付加手段の機能も果たす。また、外部からの要求に基づいて記憶装置26に記憶した部品固有情報を要求元へI/F23とネットワークを介して送信する送信手段の機能を果たす。
部品特性測定器24は、第n部品71の製品特性値を測定する製品特性値測定手段の機能を果たす。
【0013】
このようにして、同図中には、画像形成装置第1部品生産工場1と画像形成装置第n部品生産工場2のみを示し、他の部品生産工場の図示を省略したが、画像形成装置第1部品生産工場1と画像形成装置第n部品生産工場2以外の図示を省略した他の部品生産工場内でもそれぞれの生産する部品に関する部品固有情報を記憶する。
【0014】
次に、画像形成装置組立工場3は、上記各画像形成装置第1〜n部品生産工場1,……,2で生産された各部品を予め決められた組立工程毎に組み付けて画像形成装置を組み立てる工場であり、内部には予め決められた画像形成装置の組立工程毎に複数の画像形成装置組立情報管理装置30,……,40が設置されている。
【0015】
画像形成装置組立情報管理装置30は、画像形成装置60に第1部品70を組み付ける第1工程の管理装置であり、読取装置31を接続した端末装置32がインタフェース(I/F)50を介してネットワークと通信可能に接続されている。
読取装置31は、画像形成装置60を組み立てるときの予め決められた組立工程の第1工程で組み付ける第1部品70に添付されたIDチップ80からID番号を読み取るID番号読取手段に相当する。また、第1部品70の代替部品を組み付ける場合にはその代替部品のID番号を読み取る。
端末装置32は、CPU、ROM及びRAM等からなるマイクロコンピュータを内蔵し、この装置の全体の制御を司り、この発明の各種の機能を実現する制御装置33と、この発明に係る各種の情報を記憶するハードディスク装置等の記憶装置34と、この発明に係る部品固有情報と組立固有情報等の各種情報を表示するCRT、LCD等の表示装置35とからなる。
【0016】
制御装置33は、読取装置31によって読み取った部品のID番号に対応する部品固有情報をI/F50とネットワークを介して上記各第1〜n部品情報管理装置10,20に要求する部品固有情報要求手段の機能を果たす。また、上記要求に応じて送信された部品固有情報を受信する部品固有情報受信手段の機能も果たす。さらに、画像形成装置60に予め付与された固有の機器識別情報に上記組立工程順に第1組立工程で組み付けた部品に添付されたIDチップから読み取ったID番号とを対応させた組立固有情報を記憶装置34に記憶する組立固有情報記憶手段の機能も果たす。また、外部からの要求に基づいて記憶装置34に記憶した組立固有情報をI/F50とネットワークを介して要求元へ送信する送信手段の機能も果たす。
【0017】
さらに、記憶装置34に記憶した組立固有情報の第1組立工程に第1組立工程時に実施した調整の調整情報を付加する調整情報付加手段の機能も果たす。また、上記付加した調整情報を変更する調整情報変更手段の機能も果たす。
表示装置35は、上記受信した部品固有情報を表示する部品固有情報表示手段の機能を果たす。
【0018】
上述と同様に、画像形成装置組立情報管理装置40は、画像形成装置60に第n部品71を組み付ける第n工程の管理装置であり、読取装置41を接続した端末装置42がインタフェース(I/F)50を介してネットワークと通信可能に接続されている。
読取装置41は、画像形成装置60を組み立てるときの予め決められた組立工程の第n工程で組み付ける第n部品71に添付されたIDチップ80からID番号を読み取るID番号読取手段に相当する。また、第n部品71の代替部品を組み付ける場合にはその代替部品のID番号を読み取る。
端末装置42は、CPU、ROM及びRAM等からなるマイクロコンピュータを内蔵し、この装置の全体の制御を司り、この発明の各種の機能を実現する制御装置43と、この発明に係る各種の情報を記憶するハードディスク装置等の記憶装置44と、この発明に係る部品固有情報と組立固有情報等の各種情報を表示するCRT、LCD等の表示装置45とからなる。
【0019】
制御装置43は、読取装置41によって読み取った部品のID番号に対応する部品固有情報をI/F50とネットワークを介して上記各第1〜n部品情報管理装置10,20に要求する部品固有情報要求手段の機能を果たす。また、上記要求に応じて送信された部品固有情報を受信する部品固有情報受信手段の機能も果たす。さらに、画像形成装置60に予め付与された固有の機器識別情報に上記組立工程順に第1組立工程で組み付けた部品に添付されたIDチップから読み取ったID番号とを対応させた組立固有情報を記憶装置44に記憶する組立固有情報記憶手段の機能も果たす。また、外部からの要求に基づいて記憶装置44に記憶した組立固有情報をI/F50とネットワークを介して要求元へ送信する送信手段の機能も果たす。
【0020】
さらに、記憶装置44に記憶した組立固有情報の第n組立工程に第n組立工程時に実施した調整の調整情報を付加する調整情報付加手段の機能も果たす。また、上記付加した調整情報を変更する調整情報変更手段の機能も果たす。
表示装置45は、上記受信した部品固有情報を表示する部品固有情報表示手段の機能を果たす。
【0021】
このようにして、同図中には、画像形成装置組立工場3内には、第1工程の画像形成装置組立情報管理装置30と第n工程の画像形成装置組立情報管理装置40のみを示し、他の組立情報管理装置の図示を省略したが、第1工程の画像形成装置組立情報管理装置30と第n工程の画像形成装置組立情報管理装置40以外の図示を省略した他の組立情報管理装置でもそれぞれの工程時の組立固有情報を記憶する。
また、図中には画像形成装置60の制御ユニット72も組み付けたものを図示したが、その制御ユニット72は上記画像形成装置部品製造工場で製造され、上述と同じように制御ユニット72に固有のID番号を記憶したIDチップが添付されており、上記組立工程順の所定の順番の工程において画像形成装置60内に組み付けられる。
【0022】
次に、データセンタ4は、マイクロコンピュータによって実現させるパーソナルコンピュータ等のサービス情報管理装置(PCO)90がインタフェース(I/F)91を介してネットワーク接続された各部品情報管理装置、画像形成装置組立情報管理装置、会社又は事務所に設置された画像形成装置93に内蔵された制御ユニット(CNT)72と通信可能である。
このサービス情報管理装置90は、会社又は事務所に設置された画像形成装置93の稼働状況等を監視し、その画像形成装置に組み込まれた、部品のID番号と部品固有情報と製品特性値、及び組立固有情報と、その画像形成装置の稼働状況、例えば使用時間、使用回数、あるいは特性値から、部品の交換、再調整の時期等を判断し、サービス計画を作成して上記画像形成装置93に対するサービスを実施することができる。
【0023】
例えば、コンデンサの寿命時間は、通電電流、通電時間、周囲温度、コンデンサの種類等の情報から予め予測できるので、サービス情報管理装置90は、その予測した寿命時間に基づいてコンデンサの交換の要否を判断することができる。
また、電源出力部のコンデンサであれば、そのコンデンサに流れる電流はそのコンデンサに接続される電気部品の特性から演算処理に基づいて求めることができる。また、上記電気部品の組立固有情報の部品のID番号に基づいてそのID番号に対応する部品固有情報からその製品特性値を得られる。さらに、予測したコンデンサの寿命時間に基づいて、そのコンデンサの再利用の可否を判断することができる。
【0024】
上記部品(画像形成装置を含む)に組み込まれるIDチップ80は、128ビットあるいは96ビットの読み出し専用メモリ(ROM)であり、IDチップを生産する時に、番号が書き込まれたものである。
例えば、96ビットのものは米国オートIDセンタがID番号を管理しており、128ビットのものは日本のユビキタスIDセンタによってID番号が管理されている。
すなわち、ID番号を書き込まれた読み出し専用メモリは、96ビットあるいは、128ビットの識別番号であり、一括管理された全く違う番号である。
日本製では日立製作所(登録商標)のミューチップが商品として実用化している。そのミューチップの構成については、公知技術(例えば、特開2001−250097号公報参照)に詳細に説明されている。
【0025】
例えば、ID番号の読み出しを無線で行うようにした場合、無線によってID番号を読み出せるようにしたIDチップは、例えば、一般的に知られた方式である無線周波数識別(Radio Frequency Identification:RFID)の技術を用いると良い。IDチップ内のアンテナ構造については、公知技術(例えば、特開2002−117383号公報参照)に詳細に説明されている。
また、ミューチップの解説と応用については、電子情報通信学会誌 Vol.87,No.1,2004 P.4−9に詳しく説明されている。
【0026】
図2は、上記IDチップ80の構成の一例を示すブロック図である。
このIDチップ80は無線周波数識別(Radio Frequency Identification:RFID)チップである。
このRFIDチップは製造時点で部品毎(又は画像形成装置毎)に固有のID番号を書き込み、その各ID番号はID番号管理センタで管理された重複しない番号であり、外部からの電磁信号をうけるとIDチップ内部に起電圧を生じ、それによってリセット信号が発生し、それに続いて、ID番号を送信するRFID(無線周波数識別:)技術を利用したものである。
【0027】
IDチップ80は、アンテナ100が読取装置からの電波を受けると、整流回路&電圧リミッタ101の整流回路でその電波の高周波電流を直流に変換し、整流回路&電圧リミッタ101の電圧リミッタで所定の電圧にする。パワーONリセット部102は電圧リミッタからの電圧に基づいてコントロール部103へパワーONリセット信号を出力し、10ビット制御レジスタとデコーダとROM104を備えたコントロール部103は、ROM104に予め登録されている部品のID番号(又は画像形成装置の装置番号)を読み出し、クロック回路105、制御レジスタ、デコーダを介してアンテナ100からID番号(又は画像形成装置の装置番号)を外部へ送信する。
したがって、読取装置はIDチップ80からID番号(又は画像形成装置の装置番号)を読み取ることができる。
【0028】
図3は、部品固有情報リストのフォーマットの一例を示す図である。
この部品固有情報リストは、各画像形成装置部品生産工場の記憶装置16,26に記憶され、部品毎に固有のID番号に対応して部品固有情報とその部品の各種の製品特性値とが記憶される。
部品固有情報には、部品名称、部番、生産日、生産社名、機番等がある。
図4は、組立固有情報リストのフォーマットの一例を示す図である。
この組立固有情報リスト(部品組付表)は、画像形成装置組立工場3の画像形成装置組立情報管理装置30,40の記憶装置34,44に記憶され、画像形成装置の機器識別情報である装置番号毎に予め決められた組立工程順に組立工程毎に組み付ける部品の部品IDと製品調整値とが記憶される。
【0029】
図5は、第1〜n部品情報管理装置10,20における部品生産工程の処理を示すフローチャート図である。
この部品生産工程では、ステップ(図中「S」で示す)1で第1〜n部品情報管理装置の各読取装置は部品に添付されたIDチップからその部品に固有のID番号を読み取るID番号読取処理を実行し、ステップ2で端末装置の制御装置は記憶装置の部品固有情報リストに上記読み取ったID番号を登録し、ステップ3で制御装置は上記ID番号に対応する部品の部品固有情報を入力し、ステップ4で部品特性値測定器によって上記ID番号に対応する部品の特性値を測定して入力し、ステップ5で記憶装置の部品固有情報リストに登録したID番号に上記部品固有情報と上記特性値とを対応させて記憶し、この処理を終了する。
【0030】
このようにして作成された各部品固有情報リストは、ネットワークを介して画像形成装置組立工場3の画像形成装置組立情報管理装置30,……,40、データセンタ4のサービス情報管理装置90、会社又は事務所に設置された画像形成装置93の制御ユニット72でそれぞれ参照することができる。
【0031】
さらに、部品生産工程について説明する。
画像形成装置第1部品生産工場1で第1部品70が種々の工程を経て作られると、その第1部品70には、その第1部品70に固有の識別情報として割り当てられたID番号を記録したIDチップ80が取り付けられる。
そして、読取装置11によってIDチップ80からID番号を読み取り、端末装置12の制御装置15が記憶装置16に部品固有情報リストとして登録してデータベース化する。それと同時あるいは前後して、部品特性測定器14によって第1部品70の特性値を測定して、端末装置12の制御装置15がその特性値を上記ID番号の部品固有情報に付加する。
【0032】
同様にして、画像形成装置第n部品生産工場2で第n部品71が種々の工程を経て作られると、その第n部品71には、その第n部品71に固有の識別情報として割り当てられたID番号を記録したIDチップ80が取り付けられる。
そして、読取装置21によってIDチップ80からID番号を読み取り、端末装置22の制御装置25が記憶装置26に部品固有情報リストとして登録してデータベース化する。それと同時あるいは前後して、部品特性測定器24によって第n部品71の特性値を測定して、端末装置22の制御装置25がその特性値を上記ID番号の部品固有情報に付加する。
【0033】
このようにして、部品全てあるいは特性値の管理が必要な部品についてID番号とその部品固有情報又は特性値を記録する。
また、この部品生産工程において、各部品に対する調整工程を自動調整測定機で行い、その調整結果の調整値を上記ID番号の部品固有情報と特性値とに付加するようにしてもよい。
ここで、画像形成装置第1〜n部品生産工場の各部品工場にデータベースを置かずに、ネットワーク上の一カ所に共通のデータベースとして記憶してアクセス可能にしてもよい。その場合は、各部品工場と外部のネットワークの間にネットワークインタフェースを用いたときの信頼性と安全性を確保する必要がある。
このようにして作られた各部品は、画像形成装置組立工場3に集められて組立工場のなかの各工程によって組み付けられて行く。
【0034】
図6は、上記部品のID番号読取処理の詳細な処理を示すフローチャート図である。
この処理は、ステップ11で部品を乗せたベルトコンベアが流れて読取装置に接近すると、ステップ12で読取装置がベルトコンベア上の部品のIDチップから信号を読み取って制御装置へ出力し、制御装置が読取装置からの読取信号を入力して、ステップ13でその読取信号がID番号か否かを判断し、ID番号でなければステップ12の処理へ戻り、ID番号ならステップ14でそのID番号を制御装置内のRAMに一時的に記憶し、この処理を終了する。
【0035】
次に、画像形成装置組立工場3における組立工程について説明する。
図8は、画像形成装置を組み立てる組立工程時に予め決められた部品をそのまま組み付けるときの処理を示すフローチャート図である。
この組立工程1では、ステップ(図中「S」で示す)31で各画像形成装置組立情報管理装置の各読取装置は、予め生産する画像形成装置に固有の装置番号を記憶したIDチップが添付された部品(又は装置筐体)からその装置番号を読み取る装置番号読取処理を実行し、ステップ32で第1工程の画像形成装置組立情報管理装置の制御装置は記憶装置の組立固有情報リストに上記読み取った装置番号を登録し、第2工程以降の画像形成装置組立情報管理装置の制御装置は部品固有情報等の登録先として参照するために保持する。
【0036】
ステップ33で各画像形成装置組立情報管理装置の各読取装置は部品に添付されたIDチップからその部品に固有のID番号を読み取るID番号読取処理を実行し、ステップ34で制御装置はネットワークを介してID番号に対応する部品の部品固有情報と特性値とを第1〜n部品情報管理装置に要求し、ステップ35で上記要求に対して送信された上記ID番号に対応する部品の部品固有情報と特性値とを受信すると、それらを表示装置に表示する。
ステップ36で画像形成装置にその部品を組み付け、ステップ36で制御装置は記憶装置の組立固有情報リストの装置番号の該当する工程にID番号を登録し、ステップ38でその部品の調整作業が有りか否かを判断し、なければそのまま処理を終了し、有ればステップ39で制御装置は記憶装置の組立固有情報リストの装置番号の該当する工程にその調整作業の調整結果である調整情報(各種調整値等のデータ)を登録し、この処理を終了する。
【0037】
このようにして各組立工程毎に順次ID番号が追加された組立固有情報リストは、最終工程の画像形成装置組立情報管理装置40で完成し、記憶装置44に記憶された組立固有情報リストを他の画像形成装置組立情報管理装置、データセンタ4のサービス情報管理装置90、会社又は事務所に設置された画像形成装置93の制御ユニット72でそれぞれ参照することができる。
【0038】
図7は、図8に示す装置番号読取処理の詳細な処理を示すフローチャート図である。
この処理は、ステップ21で装置番号を記憶したIDチップが添付された部品を乗せたベルトコンベアが流れて読取装置に接近すると、ステップ22で読取装置がベルトコンベア上の部品のIDチップから信号を読み取って制御装置へ出力し、制御装置が読取装置からの読取信号を入力して、ステップ23でその読取信号が装置番号か否かを判断し、装置番号でなければステップ22の処理へ戻り、装置番号ならステップ24でその装置番号を制御装置内のRAMに一時的に記憶し、この処理を終了する。
【0039】
次に、画像形成装置を組み立てる組立工程時に代替部品を組付けるときの処理について説明する。
図9は、画像形成装置を組み立てる組立工程時に代替部品を組み付けるときの処理を示すフローチャート図である。
この組立工程2では、ステップ(図中「S」で示す)41で各画像形成装置組立情報管理装置の各読取装置は、予め生産する画像形成装置に固有の装置番号を記憶したIDチップが添付された部品(又は装置筐体)からその装置番号を読み取る装置番号読取処理を実行し、ステップ42で第1工程の画像形成装置組立情報管理装置の制御装置は記憶装置の組立固有情報リストに上記読み取った装置番号を登録し、第2工程以降の画像形成装置組立情報管理装置の制御装置は部品固有情報等の登録先として参照するために保持する。
ステップ43で上記装置番号に対応する組立工程の作業指示を参照して表示装置に表示する。この組立工程の作業指示を記載したデータは画像形成装置組立工場内の図示を省略した端末装置から参照するようにすると良い。
【0040】
ステップ44で各画像形成装置組立情報管理装置の各読取装置は部品に添付されたIDチップからその部品に固有のID番号を読み取るID番号読取処理を実行し、ステップ45で制御装置はネットワークを介してID番号に対応する部品の部品固有情報と特性値とを第1〜n部品情報管理装置に要求し、ステップ46で上記要求に対して送信された上記ID番号に対応する部品の部品固有情報と特性値とを受信すると、それらを表示装置に表示する。
【0041】
ステップ47で上記表示内容に基づいて同じ特性値を持つ代替部品を選定し、読取装置によってその部品に添付されたIDチップからその部品に固有のID番号を読み取るID番号読取処理を実行し、ステップ48で画像形成装置にその代替部品を組み付け、ステップ49で制御装置は記憶装置の組立固有情報リストの装置番号の該当する工程に代替部品のID番号を登録し、ステップ50でその代替部品の調整作業が有りか否かを判断し、なければそのまま処理を終了し、有ればステップ51で制御装置は記憶装置の組立固有情報リストの装置番号の該当する工程にその調整作業の調整結果である調整情報(各種調整値等のデータ)を登録し、この処理を終了する。
【0042】
図10は、上記調整作業における調整工程の処理を示すフローチャート図である。
この調整工程では、ステップ61で画像形成装置組立管理情報装置の制御装置が調整作業内容を読み出して表示し、ステップ62で作業者から部品固有情報要の指示が有ったか否かを判断し、なければステップ64で作業者による部品の調整作業を実行してこの処理を終了し、有ればステップ63で調整対象の部品のID番号に対応する部品固有情報とその部品固有情報に対応する特性値を第1〜n部品情報管理装置のいずれかから取得して表示し、ステップ64で作業者による部品の調整作業を実行してこの処理を終了する。
このようにして、作業者は部品の調整時に調整対象の部品の特性値を参照しながら調整作業を能率良く行うことができる。
【0043】
さらに、組立工程について説明する。
画像形成装置組立工場3では、まず、読取装置31,……,41によって画像形成装置の筐体又は所定の部品に添付された装置番号が記憶されたIDチップから装置番号を読み取り、第1工程では記憶装置の組立固有情報リストに登録すると共に、その装置番号に対応する組立工程の作業指示を取得し、その他の工程では装置番号に対応する組立工程の作業指示を取得し、その作業指示に従って部品の組み付け作業を実施する。組み付け作業では、各組立工程によって組み付ける部品のID番号を各読取装置31,……,41で読み取り、その読みとったID番号から部品固有情報を参照することが可能であり、その組立工程に対応する組立固有情報に組み付けた部品のID番号を登録する。
【0044】
同様にして、別の工程によって画像形成装置に制御ユニット(CNT)を組み付け、そのID番号を組立固有情報の該当する装置番号の該当する工程に登録する。
また、画像形成装置に組み付けた部品のID番号に対応する部品固有情報を参照し、その部品固有情報に従って、上記制御ユニットに特定の情報を外部記憶装置から付加させることもできる。例えば、制御ユニットの通信機能を使ってその制御ユニットで動作させる制御ソフトウェアの一部データを、組み付けた部品に対応させて最適な制御を行えるように書き換える。組立固有情報と部品固有情報には、それらの作業内容を記録するようにしてもよい。このようにして、一連の組立工程を行うことで画像形成装置が完成する。
【0045】
また、上記組立工程において、画像形成装置に既に組み付けられた部品の部品固有情報から、新たに組み付ける部品の特性値が所定の範囲にはいる部品のID番号を選択して組み付けるようにしてもよい。その先に組み付けられた部品の部品固有情報から、新たに組み付ける部品の特性値を限定する場合は、部品の在庫から、該当するID番号の部品を選定して、その組立工程に供給するようにしてもよい。
さらに、先に組み付けられた部品の部品固有情報と新たに組み付ける部品の部品固有情報から、先に組み付けられた部品あるいは新たに組み付ける部品の特性値を変更したり、例えば、調整用スイッチを切り換える等の処理によってその変更後の特性値を組立固有情報に記憶、又は必要に応じて部品固有情報の更新を行うようにしてもよい。
【0046】
また、組立固有情報に登録された既に組み込まれた部品の特性値と、新たに組み付ける部品の部品固有情報の特性とを比較して、組立工程を調整することもできる。
さらに、組立工程において、組み付けた部品の部品固有情報の特性値に基づいて、その後の組立工程で使用する部品の特性値が所定範囲内の部品を選択可能に表示するようにすることもできる。
また、部品のID番号から読み出した部品固有情報に対応する特性値により、画像形成装置に内蔵される制御部の変数を組立工程で調整することもできる。
さらに、新たに組み付ける部品のID番号の部品固有情報に対応する特性値と、既に組み付けられた部品の部品固有情報に対応する特性値とから、制御部の変数を組立工程で調整することもできる。
【0047】
また、新たに組み付ける部品のID番号の部品固有情報に対応する特性値と、既に組み付けられた部品の部品固有情報とから、既に組み付けられた部品あるいは新たに組み付ける部品の特性値を調整するようにすることもできる。
さらに、組立工程での組立固有情報を、各組立工程の画像形成装置組立情報管理装置30,……,40に配備した記憶装置に記憶せずに、ネットワークで共通に接続可能な共通の外部記憶装置に記憶するようにしても良い。あるいは、部品固有情報用の外部記憶装置と組立固有情報用の外部記憶装置を共通にするようにしても良い。
【0048】
また、制御ユニット72で動作させる制御ソフトウェアの一部データ書き換えを、複数の部品を組み付けた時点で、それらの部品の部品固有情報の組合せから最適値を求めて更新することもできる。このようにすれば、制御ソフトウェアを、画像形成装置に組み込んだ各部品の特性値の組合せを考量した最適な制御を行えるように変更することができる。
さらに、部品の特性値を測定しながら可変抵抗を調整することによって特性値の変更もできる。そして、調整時の特性値を、部品固有情報又は組立固有情報に付加、あるいは更新することもできる。
さらにまた、既に組み付けた部品の特性値に応じて他の部品の調整値を変更することもできる。
【0049】
次に、画像形成装置の電子写真装置の組み立て時の処理について説明する。
図11は、画像形成装置の主要部分の構成を示すブロック図である。
この画像形成装置は、感光体(OPC)200を帯電器(CR)201で均一に帯電し、露光器202から照射したレーザ光(L)によって感光体200上に情報を書き込み、それを現像器(DR)203で顕像化し、転写器(TR)204で転写紙(P)206に転写し、定着器(FU)205で転写紙206に転写された画像を加熱定着する。
【0050】
ここで、感光体200の物理的特性はある程度ばらつきが有るため、組立工程において帯電器201の調整をしたり、現像器203の調整をしたり、転写器204の調整をすることがある。
また、帯電器201、現像器203、転写器204にも個々の部品毎に物理的又は機械的な特性値にばらつきがあり、従来は全ての組合せでも所定の特性値が得られるように、最終的には所定の画像が得られるように、個々の部品の特性値のばらつきを一定の幅に制限するため、使用できない部品が発生したが、上述した画像形成装置部品情報管理システムを用いれば、個々の部品の特性値を管理できるので、ほぼ全ての部品を使うことができる。さらには、各部品の組み合せによって最終的に望まれる最適な特性値になるように、制御ソフトウェアなり、部品を調整することができる。
【0051】
また、生産された画像形成装置が会社や事務所に設置されて稼働した後、その画像形成装置に内蔵された、顧客情報収集ユニットを介して稼働状況を知り、例えば部品交換の時期、あるいは監視できる部品の特性値が所定の範囲外になった時、その画像形成装置に組み込まれた、交換対象の部品について、組立固有情報からその部品のID番号を読み出し、さらに部品固有情報からその部品の特性値と一致あるいは近似した部品のID番号を検索して、サービスパーツ倉庫から、その部品を出庫し、それを持って、サービスマンが会社や事務所へ部品交換に行き、交換したことを確認したら、部品固有情報、組立固有情報、あるいはサービス固有情報を書き換えることもできる。
このようにして、今までと同じ特性値の部品に交換するので、お客様のところで再調整をしたりせず、初期の品質を維持することができる。
【0052】
または、部品交換の時、新たに組み付ける部品のID番号の組立固有情報あるいは部品固有情報を利用して、必要に応じて画像形成装置で実行させる制御ソフトウェアの一部書き換え等を付加しながら、再組み付けすることで、初期の品質を維持することができる。
その時もそれぞれの部品固有情報及び組立固有情報を更新する。
特に、感光体200と関連部品は組み合せによる特性が重要であり、プロセスカートリッジとして管理されるので、個々の部品にその特性値等の特性情報を記憶させてはいないが、そのID番号から部品固有情報を読み出し、プロセスカートリッジとしての構成で部品固有情報を再構築するとよい。
【0053】
また、画像形成装置がお客様から回収されたら、その画像形成装置のサービス情報、組立固有情報、部品固有情報を用いて、そのまま再生できるか否かを判断し、再生できる場合はどの部品を交換あるいは再調整するかを判断することもできる。
上記判断で画像形成装置の再生には向かないと判断した場合、部品レベルでの再利用の可否を判断するとよい。さらに、部品レベルでもそのまま使えるか再調整が必要か、どの様に再調整するかを判断するとよい。さらにまた、部品としても再利用できない部分については、その破棄方法を判断するとよい。上述したように、部品は非接触でそのID番号を読み取れるので、ベルトコンベアに載せて流し、仕分けは自動的に行うこともできる。
なお、上述の実施形態では部品及び画像形成装置の筐体をベルトコンベアに載せて読取装置へ移動させる場合を示したが、作業者が読取装置を手にして部品及び画像形成装置の筐体へ近接させてID番号と装置番号を読み取るようにしても良い。
【0054】
また、制御ユニットとスイッチング電源部が別部品の場合、組立工程においてスイッチング電源部のID番号から特性値を取り出し、制御部ユニットの制御ソフトウェアのゲイン(G)として入力して調整するようにすることもできる。
さらに、定着器205の定着ヒータの電力値を検出して、定着ヒータの通電制御をする場合、定着ヒータの電力値は±10%前後部品バラツキがあるため、通常は実動作で電力値を求めていたが、事前に定着ヒータの電力値を測定すれば、その電力値から定着ヒータの通電制御の上限値(例えば、点灯デューティの上限)を制御ソフトウェアに書き込むことができる。
また、例えば、定着ヒータとして2本のヒータを使う場合、システムの規格を満足するため、通常は各ヒータの部品バラツキを±10%にしていたが、例えば部品バラツキを±20%にしても、2本のヒータの組合せによっては、それでもシステムの規格を満足できるので、今までは使えないものと選別して破棄していた部品を有効に使うことができる。
【0055】
この実施形態の電子機器部品情報管理システムは、画像形成装置の各部品には、それぞれ重複しないID番号のみを読み出し可能なIDチップを添付するので、部品の小型化と低コスト化が実現できる。
また、部品からその部品のID番号を読み出して、そのID番号に対応した部品固有情報を作成して記憶装置に記憶するので、部品のコストアップと大型化を防止すると共に、十分な量の部品固有情報を記憶することができる。
さらに、画像形成装置の組立工程において、各部品のID番号から得た部品固有情報を組立固有情報に展開することができるので、組立工程の管理が容易にできる。
また、組立工程において、その部品のID番号のみを読み込めば、部品情報管理装置又は組立情報管理装置からその部品に関する十分な部品固有情報を入手できるので、組立工程における作業を最適化することが容易にできる。
【0056】
さらに、部品生産(製造)時に各部品のID番号にその部品の部品固有情報を対応させて記憶するので、部品の製品特性値を測定してその製品特性値を上記部品固有情報に付加することが容易にできる。
また、組立工程においても、各部品のID番号に基づいてその部品の必要十分な製品特性値を容易に読み出せるので、その製品特性値に基づいて組立方法を調整する等の処置ができ、最適な状態の画像形成装置を組み立てることができる。
さらに、複数の部品が組合わさった時の相互作用に対しても、必要十分な部品固有情報を得られるので、それに応じた組立方法を調整する等の処理ができ、組立後の画像形成装置の各部品の特性値を最良な状態にすることができ、最適な状態の画像形成装置を組み立てることができる。
【0057】
また、画像形成装置の各部品の部品固有情報を管理し、かつ既に組み付けた部品の部品固有情報も管理するので、他の組み付けた部品と相互作用のある部品を新たに組み付ける場合にその部品の選定を容易にすることができ、組立後の画像形成装置の各部品の特性値を最良な状態にすることができ、最適な状態の画像形成装置を組み立てることができる。
さらに、画像形成装置の各部品の部品固有情報を容易に得られるので、その部品固有情報を活用して、組み付け工程において画像形成装置で動作させる制御ソフトウェア等のデータを書き換えることが容易にでき、最良な特性を得る各部品からなる画像形成装置を組み立てることができる。
また、複数の部品特性から決まる制御仕様についても、十分な部品固有情報が容易に得られるので、組み付け工程にて制御ソフトを書き換える等、最良な特性を得る組立(製品)を実現できる。
【0058】
さらに、画像形成装置に既に組み付けた部品の部品固有情報を容易に得られるので、その部品固有情報に基づいて部品の調整作業をすることができ、画像形成装置の最良な部品を得て最良な特性を得る各部品からなる画像形成装置を組み立てることができる。
また、部品生産時に調整工程が有る場合にも、その部品のID番号に対応させてその調整結果とその測定値を容易に記憶することができる。
さらに、部品の部品固有情報を記憶する記憶装置と組み立てでの組立固有情報を記憶する記憶装置をネットワークで接続しているので、部品の生産工場、画像形成装置の組立工場、及び会社や事務所に設置された画像形成装置で共通の情報を有効に活用できる。
また、部品の部品固有情報と組み立てでの部品固有情報をネットワークを介して共通の記憶装置に記憶するようにすれば、記憶装置を有効に活用できる。
【0059】
さらに、部品生産時の部品固有情報と組み立て時の組立固有情報と、製品化された画像形成装置の市場での稼働情報とを一括管理することができるので、経時的な交換部品の管理、各部品の特性値の管理が容易にでき、利用者が使用する画像形成装置に対する最適なサービス計画の立案ができる。
また、部品を交換する場合にも、全ての部品の特性値を部品固有情報として備えているので、同等の特性値の部品を代替部品として容易に出庫することができる、さらに、代替部品に交換しても元の部品と特性値が変わらないので、製品の品質を低下させることなく維持できる。
さらに、部品(又は装置)のID番号は96ビットあるいは128ビットを使えるので、ほぼ無限の数値であり、全ての部品(又は装置)にID番号を与えることができる。
【0060】
また、ID番号の付与を一括管理するようにすれば、各ID番号が他のID番号と重複することが無いので情報の信頼性を確保することができる。
さらに、ID番号の読み出しを無線で行うようにすれば、作業者は特別の操作をすることなく部品又は画像形成装置のID番号を読み取らせることができる。
また、画像形成装置に組み付けられる部品の特性値を、組み付け時に容易に入手できるので、画像形成装置の制御ユニットで動作させる制御ソフトを部品の特性値に応じた制御仕様に書き換えることができ、高性能な画像形成装置を生産することができる。
さらに、部品の組み付け時に複数の部品の特性値を容易に入手して参照できるので、画像形成装置の制御ユニットで動作させる制御ソフトを部品の組合せに影響する制御仕様に書き換えることができ、高性能な画像形成装置を生産することができる。
【0061】
また、各部品の特性値を組み付け時に容易に得られるので、調整機能を持った部品を他の部品との組合せで調整することが容易にでき、高性能な画像形成装置を生産することができる。
さらに、各部品の特性値を組み付け時に容易に得られるので、既に組み付けた部品と組合せが最適になる部品を容易に選択できるので、画像形成装置装置の高性能化、部品の有効活用化ができる。
また、IDチップは電波を受けると、自動的にID番号を送信するので、ID番号の読み取りに手間がかからず、高い生産性が得られる。
さらに、製品に組み付けられた部品の部品固有情報、組み付け時に付加された組立固有情報、市場でのサービスの実績を記録したサービス情報を総合的に容易に活用できるので、製品、あるいは部品のリサイクルの最適化が計れる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
この発明による電子機器部品情報管理システムは、デスクトップパソコン,ノートブックパソコン等のパーソナルコンピュータと、CD系ドライブ、DVD系ドライブ等の光ディスク装置と、デジタルカメラとその他の各種電子機器を生産するシステムにおいても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】この発明の電子機器部品情報管理システムの一実施例である画像形成装置部品情報管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すIDチップの構成の一例を示すブロック図である。
【図3】部品固有情報リストのフォーマットの一例を示す図である。
【図4】組立固有情報リストのフォーマットの一例を示す図である。
【図5】図1に示す第1〜n部品情報管理装置における部品生産工程の処理を示すフローチャート図である。
【図6】図5に示す部品のID番号読取処理の詳細な処理を示すフローチャート図である。
【0064】
【図7】図8に示す装置番号読取処理の詳細な処理を示すフローチャート図である。
【図8】図1に示す各画像形成装置組立情報管理装置で画像形成装置を組み立てる組立工程時に予め決められた部品をそのまま組み付けるときの処理を示すフローチャート図である。
【図9】図1に示す各画像形成装置組立情報管理装置で画像形成装置を組み立てる組立工程時に代替部品を組み付けるときの処理を示すフローチャート図である。
【図10】図8及び図9に示す調整作業における調整工程の処理を示すフローチャート図である。
【図11】電子写真装置の主要部分の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0065】
1:画像形成装置第1部品生産工場 2:画像形成装置第n部品生産工場 3:画像形成装置組立工場 60,93:画像形成装置 4:データセンタ 10:第1部品情報管理装置 11,21,31,41:読取装置 12,22,32,42:端末装置 13,23,50,91,94:I/F 14,24:部品特性測定器 15,25,33,43:制御装置 16,26,34,44:記憶装置 30,40:画像形成装置組立情報管理装置 70:第1部品 71:第n部品 72:制御ユニット 80:IDチップ 90:サービス情報管理装置 100:アンテナ 101:整流回路&電圧リミッタ 102:パワーONリセット部 103:コントロール部 104:ROM 105:クロック回路 200:感光体 201:帯電器 202:露光器 203:現像器 204:転写器 205:定着器 206:転写紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器を構成する各部品を生産する各部品生産工場に設置された各部品情報管理装置と、前記部品生産工場で生産された部品を予め決められた組立工程毎に組み付けて前記電子機器を組み立てる電子機器組立工場の前記組立工程毎に設置された各電子機器組立情報管理装置とからなり、
前記各部品情報管理装置は、前記各部品に添付されたID番号記憶部に記憶されている各部品にそれぞれ固有のID番号を読み取るID番号読取手段と、該ID番号読取手段によって読み取ったID番号に対応する部品に関する部品固有情報を入力する部品固有情報入力手段と、前記ID番号読取手段によって読み取ったID番号に前記部品固有情報入力手段によって入力した部品固有情報を対応させて記憶する部品固有情報記憶手段と、外部からの要求に基づいて前記部品固有情報記憶手段に記憶した部品固有情報を送信する送信手段とを有し、
前記各電子機器組立情報管理装置は、前記電子機器を組み立てるときの予め決められた組立工程毎に組み付ける部品に添付されたID番号記憶部からID番号を読み取るID番号読取手段と、該ID番号読取手段によって読み取ったID番号に対応する部品固有情報を前記各部品情報管理装置に要求する部品固有情報要求手段と、該部品固有情報要求手段による要求に応じて送信された部品固有情報を受信する部品固有情報受信手段と、該部品固有情報受信手段によって受信した部品固有情報を表示する部品固有情報表示手段と、前記電子機器に予め付与された固有の機器識別情報に各組立工程で組み付けた部品に添付されたID番号記憶部から読み取ったID番号とを対応させた組立固有情報を記憶する組立固有情報記憶手段と、外部からの要求に基づいて前記組立固有情報記憶手段に記憶した組立固有情報を送信する送信手段とを有することを特徴とする電子機器部品情報管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の電子機器部品情報管理システムにおいて、
前記各部品情報管理装置に、前記各部品の製品特性値を測定する製品特性値測定手段と、前記部品固有情報記憶手段に記憶した該当する部品固有情報に前記製品特性値測定手段によって測定した前記ID番号に対応する部品の製品特性値を付加する製品特性値付加手段とを設けたことを特徴とする電子機器部品情報管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電子機器部品情報管理システムにおいて、
前記電子機器組立情報管理装置に、前記組立固有情報記憶手段に記憶した該当する組立固有情報の各組立工程に組立工程時に実施した調整の調整情報を付加する調整情報付加手段を設けたことを特徴とする電子機器部品情報管理システム。
【請求項4】
請求項3記載の電子機器部品情報管理システムにおいて、
前記電子機器組立情報管理装置に、前記調整情報付加手段によって付加した調整情報を変更する調整情報変更手段を設けたことを特徴とする電子機器部品情報管理システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子機器部品情報管理システムにおいて、
前記各部品情報管理装置及び前記各電子機器組立情報管理装置における各ID番号読取手段は、前記部品に添付されたID番号記憶部に記憶されている部品に固有のID番号を無線通信によって読み取る手段であることを特徴とする電子機器部品情報管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−155339(P2006−155339A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−346610(P2004−346610)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】