電子線式寸法計測装置及びそれを用いた寸法計測方法
【課題】ArF露光用のフォトレジスト等、低S/Nの信号波形による寸法計測が必要な試料においても、精度の高い寸法計測を実現する電子線式寸法計測装置及びそれを用いた寸法計測方法を提供する。
【解決手段】電子線式寸法計測装置(測長SEM装置)において、予め、寸法計測対象試料と同種のサンプル試料から得たサンプル信号波形(あるいは画像)の部分波形(あるいは部分画像)を登録しておき、寸法計測対象試料から得られた計測対象信号波形(あるいは画像)と前記サンプル登録波形の波形照合を行い、照合結果に基づき寸法計測対象パターンの寸法値を算出する。
【解決手段】電子線式寸法計測装置(測長SEM装置)において、予め、寸法計測対象試料と同種のサンプル試料から得たサンプル信号波形(あるいは画像)の部分波形(あるいは部分画像)を登録しておき、寸法計測対象試料から得られた計測対象信号波形(あるいは画像)と前記サンプル登録波形の波形照合を行い、照合結果に基づき寸法計測対象パターンの寸法値を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子線で半導体装置等の試料を走査し、試料が発生する二次電子信号、あるいは反射電子信号等、パターンの形状を反映した信号波形を用いてパターンの寸法を計測する電子線式寸法計測装置(測長SEM装置)及びそれを用いた寸法計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に述べられているように、半導体製造工程でのパターン寸法管理には、走査電子顕微鏡(SEM)を半導体専用に特化した測長SEMが用いられている。測長SEMの原理は、電子銃から放出された電子ビームを収束レンズで細く絞り、走査コイルにより試料上を2次元的に走査し、該電子ビームの照射によって試料から発生した二次電子を検出器で捕らえることで、電子線像が得られる。二次電子はパターンエッジ部でより多く発生するため、電子線像は、パターンエッジに相当する部分が明るい画像となる。このように、測長SEMでは、電子線像上でのエッジ間距離に画素サイズを乗じることにより寸法を求める。
【0003】
ところで、エッジ位置を自動検出するための種々の方法が提案されているが、ここでは代表的な二つの方法について述べる。
(1)しきい値法
しきい値法の考え方は、特許文献1に示されている。図1のように、左右のパターンエッジに相当する信号量の大きい部分を、それぞれ左ホワイトバンド(左WB)、右ホワイトバンド(右WB)と呼ぶことにする。しきい値法は、左右WBそれぞれで、Max値、Min値を求め、これらを所定の比率で内分するしきい値レベルを算出し、しきい値を信号波形が横切るポジションをエッジ位置として検出し、左右エッジ間の距離を寸法(CD値)とする。
(2)関数当てはめ法
関数当てはめ法は、信号波形に対して所定の関数をフィッティングし、関数上の所定ポイントをエッジ位置とする方法である。例えば、非特許文献2には、次の(1)式に示すシグモイド関数を用いた方法が述べられている。
【0004】
【数1】
【0005】
ここで、a、b、c、x0はパラメータであり、最小二乗法により信号波形と最もフィッティングする値を求める。シグモイド関数は図2のように上下が平らな変形S字カーブである。フィッティングが可能なのは、WBの片側だけなので、最小二乗法でパラメータを算出するにあたっては、フィッティングする信号波形の領域を適正に設定する必要がある。x0は最大値と最小値の中間値を持つ位置に相当し、通常このx0をエッジ位置とする。左右それぞれのWBにてエッジ位置を検出し、その距離を寸法(CD値)とする。
【0006】
【特許文献1】特開昭55−72807号公報
【非特許文献1】社団法人 日本半導体製造装置協会(SEAJ) 平成15年度半導体製造装置技術ロードマップに関する調査研究報告書第5編計測
【非特許文献2】J. S. Villarrubia、 A. E. Vladar、 T. Postek、 “A Simulation Study of Repeatability and Bias in the CD-SEM、” Proc. SPIE 5038、 pp. 138-149 (2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子ビームの照射によってダメージを受けやすい試料がある。近年半導体露光の主流となっているArF露光用のフォトレジストはその典型的な例で、電子ビームの照射によってシュリンクする特性を有す。電子線式寸法計測装置には計測精度と共に、シュリンク量の低減が求められている。シュリンク量の低減には、基本的に照射する電子ビームエネルギー量を小さくすることが有効で、結果として、図3(b)に示すようなS/Nの非常に低い信号波形を用いた寸法計測が必要となる。なお、図3(a)には電子ビームエネルギー量を大きくした場合のS/Nの高い電子線像を示す。そのため、S/Nの低い信号波形で、いかに高い計測精度を得るかが課題である。なお、寸法計測装置においては精度を再現性で表現するのが一般的であるため、以下、再現性という言葉を用いることにする。
【0008】
ところで、(1)しきい値法と(2)関数当てはめ法をS/Nの低い信号波形に適用した場合の課題について以下に説明する。
(1)しきい値法
S/Nが低い、例えば図3(b)に示したような信号波形に対してしきい値法を適用した場合、精度の高い計測が困難なのは明らかである。ノイズの現れ方はランダムなので、同じ試料を計測してもMax値、Min値は計測するつど異なった値となり、しきい値レベルが変動する。さらに、しきい値が信号波形を横切るポジションもノイズの影響でばらつく。この両方の効果により、再現性の低下は免れない。図4のように平滑化のオペレータサイズを大きくすればS/Nは改善するが、信号波形が鈍り、正しいエッジ位置を計測していることにならないという課題がある。
(2)関数当てはめ法
関数当てはめ法は、しきい値法に比べれば、ノイズに対してロバストである。しきい値法はMax値、Min値、しきい値を横切る信号波形のポジションのいずれもが、ノイズによる局所的な信号波形変化の影響をもろに受けるのに対し、関数当てはめ法は、図2に示すように信号波形のより広い領域が全体としてフィットするようパラメータが決定されるので、局所的な信号波形変化の影響を受けづらい。しかし、高い再現性が得られるのは、用いる関数が信号波形を良く表現している場合に限られ、信号波形が関数と乖離している場合には、大きな誤差が生じかねない。実際、発明者らが行った、しきい値法、シグモイド関数による関数当てはめ法の再現性を様々な試料にて比較する実験においても、関数当てはめ法の再現性が、しきい値法を下回るという結果であった。
【0009】
シグモイド関数は、上下点対称であるが、信号波形は一般に上下点対称ではない。また、前述のように、シグモイド関数を用いる場合、フィッティングする信号波形の領域を設定する必要があり、領域設定の誤差も再現性を悪くした一因と考えられる。別の関数を導入すれば再現性が向上する可能性もあるが、信号波形の形は様々なバリエーションがあり、全てを網羅する関数を準備するのは困難である。
【0010】
本発明の目的は、ArF露光用のフォトレジスト等、低S/Nの信号波形による寸法計測が必要な試料においても、精度の高い寸法計測を実現する電子線式寸法計測装置及びそれを用いた寸法計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明は予め、電子線式寸法計測装置(測長SEM装置)及びそれを用いた寸法計測方法において、寸法計測対象試料と同種の試料から得たサンプル信号波形(あるいは画像)の部分波形(あるいは部分画像)をレシピのテンプレートして登録しておき、寸法計測対象試料の信号波形(あるいは画像)とサンプル登録波形との波形照合を行い、該波形照合結果に基づき寸法計測対象パターンの寸法値を算出するようにしたものである。
【0012】
また、本発明は、電子線式寸法計測装置(測長SEM装置)を用いて寸法計測対象試料に形成された寸法計測対象パターンの寸法を計測する方法であって、予め、前記寸法計測対象試料と同種のサンプル試料に形成されたサンプルパターンを計測レシピに基づいて前記電子線式寸法計測装置を用いて撮像してサンプルパターン信号を取得し、該取得されるサンプルパターン信号を基に1次元若しくは2次元のサンプル信号波形を形成し、該形成されたサンプル信号波形の部分波形をサンプル登録波形として登録しておく登録過程と、前記寸法計測対象試料に形成された寸法計測対象パターンを前記計測レシピに基づいて前記電子線式寸法計測装置を用いて撮像して寸法計測対象パターン信号を取得し、該取得される寸法計測対象パターン信号を基に1次元若しくは2次元の計測対象信号波形を形成し、該形成された計測対象信号波形と前記登録過程で登録しておかれたサンプル登録波形との波形照合を行う波形照合過程と、該波形照合過程で行われた波形照合結果に基づき前記寸法計測対象パターンの寸法値を算出する寸法算出過程とを有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記波形照合過程において、取得される寸法計測対象パターン信号を基に複数箇所での1次元若しくは2次元の計測対象信号波形を形成し、該形成された複数箇所での計測対象信号波形と前記登録過程で登録しておかれたサンプル登録波形との波形照合を行い、前記寸法算出過程において、前記波形照合過程で行われた波形照合結果における前記複数箇所のばらつきに基づき、前記寸法計測対象パターンのエッジラフネス量を算出することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記波形照合過程において、前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形が、更に前記サンプル信号波形に対してフィルタリング処理により算出される近似波形における部分波形であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記波形照合過程において、前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形が、更に前記サンプル信号波形に対して関数当てはめにより算出される近似波形における部分波形であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記波形照合過程において、更に前記サンプル信号波形に対してフィルタサイズを変えたフィルタリング処理により複数の近似波形を算出し、該算出された複数の近似波形の部分波形を前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形とし、前記寸法算出過程において、前記波形照合過程で行なわれた波形照合結果として、前記複数の近似波形の部分波形と前記計測対象信号波形との複数の波形照合結果のうち最も良く照合した波形照合結果であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記波形照合過程において、更に前記サンプル信号波形に対して関数当てはめにより近似波形を算出し、さらに座標変換により該近似波形を縮小又は拡大して複数の縮小又は拡大波形を算出し、該算出して得た複数の縮小又は拡大波形の部分波形を前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形とし、前記寸法算出過程において、前記波形照合過程で行なわれた波形照合結果として、前記複数の縮小又は拡大波形の部分波形と前記計測対象信号波形との複数の波形照合結果のうち最も良く照合した波形照合結果であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、局所的な波形変化の影響を受けやすいしきい値法の弱点と、信号波形を良く表現しない関数だと計測誤差が生じる関数当てはめ法の弱点を克服するものである。信号波形間の照合による寸法計測なので、計測に関わる信号波形の領域が広い分、局所的な信号波形変化を受けづらい。また、関数の代わりに、寸法計測対象と同種の実際の試料から得た信号波形を用いるため、波形の不適合の問題がない。同種の試料とは、同一製造プロセスによる試料の意である。半導体製造プロセスが安定していれば、同一製造プロセスによる試料(ウエハ)の断面形状には大きな差はなく、従って、信号波形も似通っているのが普通である。よって、関数当てはめ法に比べてリスクが小さい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、各種の荷電粒子線装置(SEM、FIB等)に適用可能であるが、以下の実施の形態では代表として電子線式寸法計測装置を対象に説明する。半導体製造工程でのパターン寸法管理には、走査電子顕微鏡(SEM)を半導体専用に特化した測長SEMが用いられている。図5には本発明に係る測長SEMの原理を示す。測長SEMは、電子光学系1、ステージ機構系2、ウエハ搬送系(図示せず)、真空排気系(図示せず)、光学顕微鏡3、制御系4および信号処理系5より構成される。電子光学系1は、電子銃9、収束レンズ10、対物レンズ11、検出器12、ブランキング制御電極(図示せず)、偏向器13、ウエハ15から発生する2次電子を上記検出器12に向けるEXB(図示せず)、ウエハ高さ検出器14より構成される。ステージ機構系2は、XYステージ(図示せず)、ウエハ15を載置するためのホルダ21、ホルダ21及びウエハ15に負の電圧を印加するリターディング電源(図示せず)より構成される。制御系4は、ビーム偏向補正制御部41、信号検出系制御部(A/D変換部も含む)42、ブランキング制御部(図示せず)、電子光学系制御部43、ウエハ高さセンサ検出系44、機構・ステージ制御部45より構成される。
【0020】
信号処理部5は、図8に示す計測レシピ(撮像レシピ)を設定する計測レシピ設定部511、図6及び図9に示す処理フローを実行する信号波形登録部512、並びに図7及び図10に示す処理フローを実行する寸法算出部513を有するCPU部51、入出力等の操作を行う操作部52、寸法計測対象試料と同一製造プロセスのサンプル試料から取得されるSEM画像や寸法計測対象試料から取得されるSEM画像等を記憶する画像メモリ53、ウエハ上のチップ及びパターンの配列情報、撮像するレシピ条件並びに取得させるSEM画像(具体的にはWB(White Band)や作成された信号波形や信号波形の照合等)等のGUI(Graphical User Interface)画面を表示するディスプレイ(表示装置)54、計測レシピ設定部511で設定された計測レシピ情報、信号波形登録部512で算出されたcd値や切り出された部分信号波形、並びに寸法算出部513で算出されたライン幅のCD値やホール寸法のCD値、並びにラインエッジラフネスLER(L)、(R)の値(M箇所のエッジ検出箇所のばらつき(標準偏差))やラフネスLWRの値(M個のCD値のばらつき(標準偏差))などが記憶(登録)される記憶装置55より構成される。そして、画像メモリ53や記憶装置55に記憶された画像や各種データが操作部52の操作によりGUI等を介して出力されることになる。なお、測長SEMを用いて大量の計測を行う場合、計測のための一連の動作、例えばウエハの種類に応じてウエハのレイアウト、計測箇所の座標、計測条件などを記述したレシピと呼ばれる自動計測用ファイル56を作成しておくことが好ましい。
【0021】
電子銃9から放出された電子ビームは収束レンズ10で細く絞られ、偏向器(走査コイル)13により試料15上を2次元的に走査される。電子ビーム照射によって試料15から発生した二次電子(パターン信号)を検出器12で捕らえることで、電子線像が得られる。二次電子(パターン信号)はパターンエッジ部でより多く発生するため、電子線像は、パターンエッジに相当する部分が明るい画像となる。電子線像の倍率は、計測レシピ(撮像レシピ)として、CRT上の走査幅(一定)と、試料上の電子ビームの走査幅(可変)の比で任意に変えられる。測長SEMでは、電子線像上でのラインパターン寸法(エッジ間距離)1に画素サイズpを乗じることによりラインパターン寸法S(S=l×p)を求める。
【0022】
ところで、近年半導体露光の主流となっているArF露光用のフォトレジストは、電子ビームの照射によってシュリンクする特性を有する。そのため、測長SEM(電子線式寸法計測装置)では、計測精度と共に、シュリンク量の低減が求められている。シュリンク量の低減には、基本的に照射する電子ビームエネルギー量を小さくすることが有効で、結果として、図3(b)に示すようなS/Nの非常に低い信号波形を用いた寸法計測が必要となる。
【0023】
[第1の実施の形態]
本発明に係る電子線式寸法計測装置(測長SEM)の第1の実施の形態における寸法計測の処理フローについて図6、図7及び図8を用いて説明する。
【0024】
図6は、図5に示すCPU51の計測レシピ設定部511及び信号波形登録部512において、操作部52、ディスプレイ54及び画像メモリ53等を用いて、S/Nの非常に低い信号波形を用いた寸法計測が必要な寸法計測対象試料と同一製造プロセス(好ましくは同一製造ロット単位)で製造された試料群(ウエハ群)から少なくとも1つのサンプル試料(サンプルウエハ)を抽出し(ピックアップし)、該抽出されたサンプル試料から取得された信号波形を登録する手順を示す。
【0025】
まず、寸法計測対象試料と同一製造プロセス(好ましくは同一製造ロット単位)によって製造された試料群から少なくとも一つのサンプル試料を抽出し、該抽出したサンプル試料(ウエハ名、製造プロセス名、製造ロット名などで指定される。)から取得された信号波形を登録するためには、測長SEMでの計測レシピ(撮像レシピ)を設定する必要がある。計測レシピ設定部511において、操作部52を用いて設定する計測レシピとしては、図8にGUI画面170で示すように、加速電圧(V)(172)、ビーム電流(pA)(173)、横倍率(k倍)(174)、縦倍率(k倍)(175)、及びフレーム加算数(枚)(176)などが考えられる。その外、計測レシピとしては、ウエハの種類(異なる製造プロセスの場合も含む)に応じたウエハのレイアウト情報、計測箇所の座標情報も含む。
【0026】
また、計測レシピ設定部511において、操作部52を用いて抽出したサンプル試料に関する情報(ウエハ名、製造プロセス名、製造ロット名など)が指定されることになる。その結果、寸法計測対象と同一製造プロセスによって製造された試料群の内、指定されたサンプル試料に対して、設定された加速電圧、ビーム電流、横倍率、縦倍率、及びフレーム加算数で画像171を撮像してSEM画像を取得して画像メモリ53に記憶される(S61)。これらの撮像条件(撮像レシピ)は、図7に示すステップS71において寸法計測対象パターンが形成された試料を撮像する撮像条件と等しくすることが望ましい。
【0027】
次に、図8に示すように、182にて矩形カーソルモードにし、画像171上でカーソルをドラッグすることで、信号波形作成領域(矩形枠で示した着目領域)を指定する。x始点177、y始点178、x幅179、y幅180はドラッグに連動して、数字が変化する。カーソルを用いて領域を指定する代わりに、177、178、179、180に数字を入力しても良い。そして、181のクリックによって、信号波形作成領域の画像が画像メモリ53又はCPU部51の内部メモリに登録される。この際、画像171上での信号波形作成領域の座標は、サンプルウエハ上に形成された基準マークに基づくサンプルウエハ上の座標に変換されることになる。従って、寸法計測対象試料の場合でも、測長SEMに対して同じように位置決めされることになる。
【0028】
次に、信号波形登録部512は、図6上に矩形枠で示した着目領域(信号波形作成領域)について、ライン加算(y方向各ラインの信号波形の加算)及び平滑化を行ってサンプル信号波形を作成し(S62)、この作成されたサンプル信号波形から、例えば図1に示すしきい値法などによりラインパターン幅寸法cdを計測し(S63)、この値をサンプル試料の情報及び設定された計測レシピの情報と共に例えば記憶装置55に登録する。該しきい値法は、左右WBのそれぞれで、例えば諧調値(濃淡値)のMax値、Min値を求め、これらを所定の比率で内分するしきい値レベルを算出し、しきい値を信号波形が横切るポジションをエッジ位置として検出し、左右エッジ間の距離をラインパターン幅寸法(cd値)とする。続いて、信号波形登録部512は、信号波形から左側WB部、右側WB部に相当する箇所を切り出し(S64)、これを例えば記憶装置55に追加して登録する(S65)。波形切り出しの始点、終点の決定は、しきい値を与えるなどして自動的に算出するか、または、信号波形をGUI画面54(170)に表示し、操作部52の操作によりマニュアルで座標点を指定しても良い。以上により、寸法計測対象パターンの寸法を計測するのに先立って、寸法計測対象パターンが形成された試料(ウエハ)と同一製造プロセスで製造されたサンプル試料(サンプルウエハ)のパターンを計測レシピ条件で撮像して得られるSEM画像を基に、矩形枠で示した着目領域(信号波形作成領域)の座標情報、計測された寸法cd値、並びに切り出された左用及び右用部分波形が、サンプル試料の情報及び設定された計測レシピの情報と共に例えば記憶装置55に登録されることになる。
【0029】
画像取得ステップS61は、具体的には、図9に示すように、測長SEMにサンプルウエハを搬入し(S611)、寸法計測箇所付近にステージを移動し(S612)、10000倍程度の低倍で画像を撮像し(S613)、登録画像をテンプレートとするパターン認識により、寸法計測箇所の正確な位置を求め(S614)、寸法計測箇所付近の適当なパターンを利用してフォーカス合わせ(S615)を行った後に、より狭い範囲に一次電子ビームの走査範囲を限定することにより寸法計測用の150000倍程度の高倍の画像を撮像し(S616)、指定されたサンプルウエハに対して、設定された加速電圧、ビーム電流、横倍率、縦倍率、及びフレーム加算数で画像171を撮像してSEM画像を取得して画像メモリ53に記憶されることになる。なお、ステップS61(S612〜S616)〜S65は、サンプルウエハに対して測定点数繰返され、測長SEMから搬出される(S66)。
【0030】
次に、寸法算出部513での寸法計測対象試料の寸法計測対象パターンの寸法を計測する手順について図7を用いて説明する。まず、図5に示す測長SEMにてサンプル試料と同じ撮像条件(撮像レシピ)で寸法計測対象パターンのSEM画像を取得する(S71)。次に、寸法算出部513は、図6に示すS62と同様に図7上に矩形枠で示した着目領域(信号波形作成領域)について、ライン加算(y方向各ラインの信号波形の加算)及び平滑化を行って計測対象信号波形を作成する(S72)。続いて、寸法算出部513は、先に例えば記憶装置55に登録したサンプル登録波形(切り出された左用部分波形及び右用部分波形)を読み込み(S73)、波形の照合を行う(S74)。波形照合は、左右のWBのそれぞれで行う。具体的には、サンプル登録波形を1画素ずつずらし、S72で作成した計測対象信号波形との相関値を求め、相関値が最大となるずらし量を求める。左WBでのずらし量をdl、右WBでのずらし量をdrとすると、寸法計測対象パターンの寸法CDは次に示す(2)式により求めることができる(S75)。ここでは、サンプル登録波形としてサンプル信号波形の部分波形を登録するとしたが、図6のステップS61で取得されるSEM画像そのものを例えば記憶装置55に記憶しておき、ステップS73の代わりに上記寸法計測対象パターンのSEM画像を読み込み、ステップS62〜S64を実行した後、ステップS74に進むようにしても良い。
【0031】
CD=cd+(dr−dl) (2)
なお、cdは、サンプルウエハに形成されたラインパターンを撮像して得られるSEM画像を基に例えばしきい値法によって計測されるラインパターン幅である。
【0032】
画像取得ステップS71は、具体的には、図9と同様に図10に示すように、測長SEMに寸法計測対象パターンが形成されたウエハを搬入し(S711)、寸法計測箇所付近にステージを移動し(S712)、10000倍程度の低倍で画像を撮像し(S713)、登録画像をテンプレートとするパターン認識により、寸法計測箇所の正確な位置を求め(S714)、寸法計測箇所付近の適当なパターンを利用してフォーカス合わせ(S715)を行った後に、より狭い範囲に一次電子ビームの走査範囲を限定することにより寸法計測用の150000倍程度の高倍の画像を撮像し(S716)、寸法計測対象ウエハに対して、サンプルウエハにおいて設定された撮像レシピ(加速電圧、ビーム電流、横倍率、縦倍率、及びフレーム加算数)で画像を撮像してSEM画像を取得して画像メモリ53に記憶されることになる。なお、ステップS71(S712〜S716)〜S75は、寸法計測対象ウエハに対して測定点数繰返され、測長SEMから搬出される(S76)。
【0033】
即ち、本発明に係る、図3(b)に示すようなS/Nの非常に低い信号波形を用いて寸法計測を行うためには、サンプル登録波形(または画像)が必要である。そのため、ステップS73にてサンプル登録波形(切り出された左用部分波形及び右用部分波形の各々)を読み込み、上記ステップS74、S75にて寸法を計測する。以上説明したように、本発明は、製造プロセスが同一であるサンプルウエハから得られるサンプル登録波形(または画像)を読み込むステップS73を含む点を特徴とするものである。
【0034】
図11はステップS74の波形照合の方法をより詳しく説明するものである。図11(a)の(1)〜(5)は左WB用のサンプル登録波形をそれぞれ−8画素、―4画素、0画素、+4画素、+8画素ずらした状況を示している。なお、ずらす1画素の値としては1〜3nm程度である。計測対象信号波形との相関値を求めた結果が図11(b)である。この実施例では、ずらし量0画素において、相関値が最大となっている。この場合、真に相関値が最大となるずらし量の実数値xは−1<x<1と考えられる。相関値が最大となるずらし量を画素以下の精度で求めるには、例えば、ずらし量−1画素、0画素、+1画素における相関値に放物線を当てはめ、そのピーク位置を算出するような方法をとればよい。
【0035】
以上が、本発明の基本的な第1の実施の形態である。本第1の実施の形態によれば、ラインパターン計測の再現性が向上する。同様の方法により、複数のラインパターンのピッチを計測することも可能である。発明者らの実験によれば、しきい値法に対して約30%再現性が向上した。
【0036】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、寸法計測対象試料と同一製造プロセスによるサンプル試料から得たサンプル登録波形(信号波形)そのものを寸法計測対象波形との照合に用いた第1の実施の形態に対して、信号波形登録部512又は寸法算出部513において、照合の精度を上げるためにサンプル試料から得られるサンプル登録波形に対して更に関数当てはめまたはフィルタイング処理により近似波形を算出して波形変形を行うものである。
【0037】
寸法計測対象試料と同一製造プロセスによるサンプル試料から得たサンプル登録波形(信号波形)とはいえ、全く同一の信号波形とはなり得ないし、撮像時のフォーカス誤差により波形が多少変化することもあり得る。こうした状況下でも、第2の実施の形態によれば、サンプル登録波形に対して波形変形を行うため、測長SEMで撮像される計測対象信号波形がS/Nの非常に低いものであっても、再現性を確保することが可能となる。
【0038】
図12には第2の実施の形態である波形変形方法の一実施例を示す。例えば寸法算出部513において、読み出された、画素ピッチの離散的なデータである元々のサンプル登録波形(信号波形)200に対して、関数当てはめの一つである各データ間をなめらかにつなぐスプライン関数を求める(S741)。3次自然スプライン関数を用いた場合、各データ間の値は3次式で連続的に表現される。このように各データ間の値が3次式で連続的に表現される近似波形を算出することにより、該算出された近似波形を上記計測対象信号波形との波形照合に用いることが可能となる。
【0039】
また、この後、更に、サンプリングピッチを変えてリサンプリングすれば(S742)、サンプル登録波形(信号波形)の波形変形である縮小あるいは拡大が可能となる。図12では、−8%〜+8%、4%刻みとしているが(212)、実際はより細かいピッチ(例えば1%刻み)で多数の波形を作成し登録しておき、波形照合のステップS74では、全波形との照合を行い、最も高い相関値が得られた場合のずらし量(dr,dl)を採用するようにする。即ち、更に座標変換により上記関数当てはめによって算出される近似波形を縮小あるいは拡大して複数の縮小又は拡大波形を算出し、該縮小あるいは拡大して得た複数の縮小又は拡大波形を上記計測対象信号波形と照合し、複数の照合結果のうち最も良く照合した照合結果(最も高い相関値が得られた場合のずらし量(dr,dl))に基づき、寸法計測対象パターンの寸法値や後述するエッジラフネス量を算出することが可能となる。
【0040】
なお、波形変形の方法としては、サンプル登録波形(信号波形)にフィルタリング処理の他の一つであるσ値を振ったガウスフィルタを作用させるようにしても良い。このようにサンプリング登録波形に対してフィルタリング処理を行って近似波形を算出し、該算出された近似波形を上記計測対象信号波形との波形照合に用いることが可能となる。また、サンプリング登録波形に対してフィルタサイズを変えてフィルタリング処理を行って複数の近似波形を算出し、該算出された複数の近似波形を上記計測対象信号波形と照合し、複数の照合結果のうち最も良く照合した照合結果に基づき、寸法計測対象パターンの寸法値や後述するエッジラフネス量を算出することも可能である。
【0041】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、ライン計測をライン上の多数の箇所で行う、いわゆる多点計測に適用した実施例である。図6に示すサンプル登録波形を登録する手順は第1の実施の形態と同じである。多点計測においては、図7に相当する手順が、図13のようになる。まず、SEM画像を取得し(S71a)、画像メモリ53に記憶する。次に、寸法算出部513は、ライン上のN箇所にて計測対象信号波形を作成し(S72a)、さらに例えば記憶装置55からサンプル登録波形を読み込み(S73)、N個の計測対象信号波形のそれぞれにおいて、画素単位若しくは画素単位以下でずらされた左用部分波形及び右用部分波形の各々と照合を行い、N箇所における相関値が最大となるずらし量dli、dri(i=1〜N)を求める(S74a)。そして、寸法算出部513は、ライン幅CDについて次の(3)式で示すように、N箇所の平均として求める(S75a)。
【0042】
CD=cd+(i=1〜NΣ(dri−dli)/N) (3)
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、多点(N箇所)の平均値としてライン幅CDが算出されるので、さらに再現性を向上させることが可能となる。
【0043】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態は、本発明をラインエッジラフネスの計測に適用した実施例である。図6に示す登録波形(信号波形)を登録する手順は第1の実施の形態と同様である。ラインエッジラフネス計測においては、図7に相当する手順が、図14(a)に示すようになる。画像を取得し(S71b)、画像メモリ53に記憶する。その後、寸法算出部513は、図14(b)に示すように、ライン上のM計測箇所(w1〜wM)にて信号波形を作成する(S72b)。より短い周期のラフネスを計測するためには、個々のライン加算数を5ライン程度と小さく、かつ、各計測箇所のライン方向にずらすピッチを小さくする(エッジラフネスのより短い周期に応じて細かく1ライン程度とする)必要がある。例えば、ライン加算数は1〜5ライン、各計測箇所のライン方向のピッチ(隣り合う計測箇所のライン方向のピッチ)は1ライン程度(1〜3nm程度)とする。
【0044】
次に、寸法算出部513は、記憶装置55からサンプル登録波形の読み込みを行い(S73)、M個の信号波形のそれぞれにおいてサンプル登録波形との照合を行い、相関値が最大となるずらし量dli、dri(i=1〜M)を求める(S74b)。更に、寸法算出部513は、ラインエッジラフネスLER(L)、(R)の左右それぞれについて、ステップS75bに示したように、M箇所のエッジ検出箇所の「ばらつき」を示す標準偏差(Standard Deviation) stdev(dl1,dl2,・・・dlM),stdev(dr1,dr2,・・・drM)として求める。また、寸法算出部513は、ライン幅のラフネスLWRについて、ステップS75bに示したように、M個のCD値の「ばらつき」を示す標準偏差(Standard Deviation) stdev(CD1,CD2,・・・CDM)として求める。なお、CDiは次の(4)式で表される。また、ラインエッジラフネスLER(L)、(R)並びにライン幅のラフネスLWRの「ばらつき」を表す指標としては、標準偏差でなく、最大値と最小値との差で表しても良い。
【0045】
CDi=cdi+(dri−dli) (4)
以上説明したように、寸法算出部513は、各計測箇所のライン方向のライン加算数を小さく、かつ計測箇所間のライン方向のピッチを小さくしたM個の計測対象信号波形のそれぞれにおいてサンプル登録波形との照合を行い、相関値が最大となるずらし量dli、dri(i=1〜M)を求め、ラインエッジラフネスLER(L)、(R)の左右それぞれについて、M計測箇所のエッジ検出箇所のばらつきを示す標準偏差(Standard Deviation) stdev(dl1,dl2,・・・dlM),stdev(dr1,dr2,・・・drM)として求め、ライン幅のラフネスLWRについて、M計測箇所のCD値のばらつきを示す標準偏差(Standard Deviation) stdev(CD1,CD2,・・・CDM)として求めることが、容易に、且つ再現性を向上させて可能となる。さらに、これら算出されたエッジラフネス量などは表示手段54、170などに表示される。
【0046】
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態は、本発明をホールパターン寸法計測に適用した実施例である。図15には寸法計測対象試料と同一製造プロセスによって製造されたサンプル試料から得た信号波形を登録する手順を示す。図5に示す測長SEMにて寸法計測対象試料と同一製造プロセスによって製造されたサンプル試料(ウエハ)のSEM画像を取得し(S61c)、画像メモリ53等に記憶する。そして、信号波形登録部512は、図上に矩形枠で囲んだ着目ホールについて、0度方向、45度方向、90度方向、135度方向の4方向についてライン加算、さらに平滑化を行ってサンプル信号波形を作成する(S62c)。信号波形登録部512は、このサンプル信号波形から、図1に示すしきい値法などの手法によりホール寸法di(i=0、45、90、135)を計測し(S63c)、この値をサンプル試料の情報及び設定された計測レシピの情報と共に例えば記憶装置55に登録する。該しきい値法は、0〜135のWBのそれぞれで、例えば諧調値(濃淡値)のMax値、Min値を求め、これらを所定の比率で内分するしきい値レベルを算出し、しきい値を信号波形が横切るポジションをエッジ位置として検出し、0〜135のエッジ間の距離をホール寸法(di(i=0、45、90、135)値)とする。続いて、信号波形登録部512は、サンプル信号波形から左側WB部、右側WB部に相当する箇所を切り出し(S64c)、これを例えば記憶装置55に登録する(S65c)。波形切り出しの始点、終点の決定は、しきい値を与えるなどして自動的に算出するか、または、マニュアルで座標点を指定しても良い。なお、ここでは、0度方向、45度方向、90度方向、135度方向の4方向としたが、計測の目的に応じて方向数を増減しても良い。
【0047】
図16には寸法計測対象試料の寸法計測対象のホール寸法を計測する手順を示す。図6に示す測長SEMにて寸法計測対象試料のSEM画像を取得し(S71c)、例えば画像メモリ53に記憶する。そして、寸法算出部513は、ステップS62cと同様に信号波形を作成する(S72c)。続いて、寸法算出部513は、先に記憶したサンプル登録波形を記憶装置55から読み込み(S73c)、読み込まれたサンプル登録波形と作成された計測対象信号波形との波形の照合を行う(S74c)。波形照合は、左右のWBのそれぞれで行う。具体的には、サンプル登録波形を1画素ピッチでずらし、ステップS72cで作成した計測対象信号波形との相関値を求め、相関値が最大となるずらし量を求める。左WBでのずらし量をdli(i=0、45、90、135)、右WBでのずらし量をdri(i=0、45、90、135)とすると、計測対象のホール寸法Di(i=0、45、90、135)は次の(5)式で示すように求めることができる(S75c)。
【0048】
Di(i=0、45、90、135)=di+(dri−dli)(i=0、45、90、135) (5)
以上の説明では1個のホールの寸法を計測するとしたが、複数のホール寸法を計測して、その平均を求めても良い。このように、第5の実施の形態によれば、測長SEMで撮像される計測対象信号波形がS/Nの非常に低いものであっても、ホールパターン寸法を再現性良く、しかも容易に計測することが可能となる。
【0049】
[第6の実施の形態]
第6の実施の形態は、本発明をホールパターン寸法計測に適用した別の実施例である。図17には、寸法計測対象試料と同一製造プロセスによって製造されたサンプル試料から得た信号波形を登録する手順を示す。本実施例では、2次元の信号波形、すなわち、画像を登録する。図6に示す測長SEMにて寸法計測対象試料と同一製造プロセスによって製造されたサンプル試料のSEM画像を取得し(S61c)、画像メモリ53等に記憶する。そして、信号波形登録部512は、図上に矩形枠で囲んだ着目ホールについて、図15のステップS62a〜S63aと同様にして、0度方向、45度方向、90度方向、135度方向の4方向のホール寸法di(i=0、45、90、135)を計測し(S62c〜S63c)、この値をサンプル試料の情報及び設定された計測レシピの情報と共に例えば記憶装置55に登録する。続いて、信号波形登録部512は、着目ホールを含む部分画像を切り出し、アフィン変換等により、部分画像を縮小、拡大した画像を生成する(S64d)。そして、これら生成した縮小、拡大したサンプル部分画像を例えば記憶装置55に登録する(S65d)。
【0050】
図18には寸法計測対象試料の寸法計測対象のホール寸法を計測する手順を示す。図5に示す測長SEMにて寸法計測対象のSEM画像を取得し(S71d)、画像メモリ53に記憶する。寸法算出部513は、先に記憶したサンプル部分画像群を例えば記憶装置55から読み込み(S72d)、寸法計測対象のホールとの照合を行う(S73d)。照合の指標としては、たとえば、相関値を用いる。相関値が最大となる拡大率rを求め(S74d)、該最大となる拡大率rを、次の(6)式で示すように、ステップS63cで計測したホール寸法di(i=0、45、90、135)に乗じることで、計測対象のホール寸法Davgを求めることが可能となる(S75d)。
【0051】
Davg=r×((d0+d45+d90+d135)/4) (6)
以上の説明では、ホール1個を含む画像を拡大、縮小したが、ホールを複数の扇形領域に分割し、寸法計測対象画像上で、扇形の小画像を走査して、照合する位置を求めるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】従来の寸法計測方法であるしきい値法を説明するための図である。
【図2】従来の寸法計測方法である関数当てはめ法を説明する図である。
【図3】本発明に係る測長SEM装置において、照射1次電子ビームエネルギーが大きい場合と小さい場合とで取得される信号波形の違いを示す図である。
【図4】平滑化による信号波形の変化を示す図である。
【図5】本発明に係る測長SEM装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図6】本発明に係る測長SEM装置の第1の実施の形態である寸法計測のフローチャートにおいて、予め計測レシピ(撮像レシピ)に基づいてサンプル試料から取得されるサンプル登録波形(サンプル信号波形)を登録しておくフローを示す図である。
【図7】本発明に係る測長SEM装置の第1の実施の形態である寸法計測のフローチャートにおいて、計測レシピ(撮像レシピ)に基づいて寸法計測対象試料から取得されるパターン信号をサンプル登録波形と波形照合して寸法計測対象パターンの寸法を計測するフローを示す図である。
【図8】本発明に係る測長SEM装置の第1の実施の形態である設定された計測レシピ(撮像レシピ)に基づいて画像登録のためのGUI画面の一実施例を示す図である。
【図9】図6に示すフローを具体的に示したフロー図である。
【図10】図7に示すフローを具体的に示したフロー図である。
【図11】本発明に係る波形照合の一実施例を説明するための図である。
【図12】本発明に係る第2の実施の形態でのサンプル登録波形に対する波形変形の一実施例を説明するための図である。
【図13】本発明に係る第3の実施の形態での多点寸法計測の実施例を示すフローチャートである。
【図14】本発明に係る第4の実施の形態であるエッジラフネスのばらつきを寸法計測する実施例を示すフローチャートである。
【図15】本発明に係る第5の実施の形態であるホールパターン寸法計測における予めサンプル登録波形を登録する実施例を示すフローチャートである。
【図16】本発明に係る第5の実施の形態であるホールパターン寸法計測における寸法計測の実施例を示すフローチャートである。
【図17】本発明に係る第6の実施の形態であるホールパターン寸法計測における図15と異なる実施例を示すフローチャートである。
【図18】本発明に係る第6の実施の形態であるホールパターン寸法計測における図16と異なる実施例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1…電子光学系、2…ステージ機構系、3…光学顕微鏡、4…制御系、5…信号処理系、9…電子銃、10…収束レンズ、11…対物レンズ、12…検出器、13…偏向器、14…ウエハ高さ検出器、15…ウエハ(試料)、21…ホルダ、41…ビーム偏向補正制御部、42…信号検出系制御部(A/D変換部も含む)、43…電子光学系制御部、44…ウエハ高さセンサ検出系、45…機構・ステージ制御部、51…CPU部、511…計測レシピ設定部、512…信号波形登録部、513…寸法算出部、52…操作部、53…画像メモリ、54…ディスプレイ(表示装置)、55…記憶装置、56…自動計測用ファイル、170…GUI画面、170〜181…ビームランディング角較正等を自動実行するための条件設定用GUI画面上の各部、190〜195…波形登録のためのGUI画面上の各部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子線で半導体装置等の試料を走査し、試料が発生する二次電子信号、あるいは反射電子信号等、パターンの形状を反映した信号波形を用いてパターンの寸法を計測する電子線式寸法計測装置(測長SEM装置)及びそれを用いた寸法計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に述べられているように、半導体製造工程でのパターン寸法管理には、走査電子顕微鏡(SEM)を半導体専用に特化した測長SEMが用いられている。測長SEMの原理は、電子銃から放出された電子ビームを収束レンズで細く絞り、走査コイルにより試料上を2次元的に走査し、該電子ビームの照射によって試料から発生した二次電子を検出器で捕らえることで、電子線像が得られる。二次電子はパターンエッジ部でより多く発生するため、電子線像は、パターンエッジに相当する部分が明るい画像となる。このように、測長SEMでは、電子線像上でのエッジ間距離に画素サイズを乗じることにより寸法を求める。
【0003】
ところで、エッジ位置を自動検出するための種々の方法が提案されているが、ここでは代表的な二つの方法について述べる。
(1)しきい値法
しきい値法の考え方は、特許文献1に示されている。図1のように、左右のパターンエッジに相当する信号量の大きい部分を、それぞれ左ホワイトバンド(左WB)、右ホワイトバンド(右WB)と呼ぶことにする。しきい値法は、左右WBそれぞれで、Max値、Min値を求め、これらを所定の比率で内分するしきい値レベルを算出し、しきい値を信号波形が横切るポジションをエッジ位置として検出し、左右エッジ間の距離を寸法(CD値)とする。
(2)関数当てはめ法
関数当てはめ法は、信号波形に対して所定の関数をフィッティングし、関数上の所定ポイントをエッジ位置とする方法である。例えば、非特許文献2には、次の(1)式に示すシグモイド関数を用いた方法が述べられている。
【0004】
【数1】
【0005】
ここで、a、b、c、x0はパラメータであり、最小二乗法により信号波形と最もフィッティングする値を求める。シグモイド関数は図2のように上下が平らな変形S字カーブである。フィッティングが可能なのは、WBの片側だけなので、最小二乗法でパラメータを算出するにあたっては、フィッティングする信号波形の領域を適正に設定する必要がある。x0は最大値と最小値の中間値を持つ位置に相当し、通常このx0をエッジ位置とする。左右それぞれのWBにてエッジ位置を検出し、その距離を寸法(CD値)とする。
【0006】
【特許文献1】特開昭55−72807号公報
【非特許文献1】社団法人 日本半導体製造装置協会(SEAJ) 平成15年度半導体製造装置技術ロードマップに関する調査研究報告書第5編計測
【非特許文献2】J. S. Villarrubia、 A. E. Vladar、 T. Postek、 “A Simulation Study of Repeatability and Bias in the CD-SEM、” Proc. SPIE 5038、 pp. 138-149 (2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子ビームの照射によってダメージを受けやすい試料がある。近年半導体露光の主流となっているArF露光用のフォトレジストはその典型的な例で、電子ビームの照射によってシュリンクする特性を有す。電子線式寸法計測装置には計測精度と共に、シュリンク量の低減が求められている。シュリンク量の低減には、基本的に照射する電子ビームエネルギー量を小さくすることが有効で、結果として、図3(b)に示すようなS/Nの非常に低い信号波形を用いた寸法計測が必要となる。なお、図3(a)には電子ビームエネルギー量を大きくした場合のS/Nの高い電子線像を示す。そのため、S/Nの低い信号波形で、いかに高い計測精度を得るかが課題である。なお、寸法計測装置においては精度を再現性で表現するのが一般的であるため、以下、再現性という言葉を用いることにする。
【0008】
ところで、(1)しきい値法と(2)関数当てはめ法をS/Nの低い信号波形に適用した場合の課題について以下に説明する。
(1)しきい値法
S/Nが低い、例えば図3(b)に示したような信号波形に対してしきい値法を適用した場合、精度の高い計測が困難なのは明らかである。ノイズの現れ方はランダムなので、同じ試料を計測してもMax値、Min値は計測するつど異なった値となり、しきい値レベルが変動する。さらに、しきい値が信号波形を横切るポジションもノイズの影響でばらつく。この両方の効果により、再現性の低下は免れない。図4のように平滑化のオペレータサイズを大きくすればS/Nは改善するが、信号波形が鈍り、正しいエッジ位置を計測していることにならないという課題がある。
(2)関数当てはめ法
関数当てはめ法は、しきい値法に比べれば、ノイズに対してロバストである。しきい値法はMax値、Min値、しきい値を横切る信号波形のポジションのいずれもが、ノイズによる局所的な信号波形変化の影響をもろに受けるのに対し、関数当てはめ法は、図2に示すように信号波形のより広い領域が全体としてフィットするようパラメータが決定されるので、局所的な信号波形変化の影響を受けづらい。しかし、高い再現性が得られるのは、用いる関数が信号波形を良く表現している場合に限られ、信号波形が関数と乖離している場合には、大きな誤差が生じかねない。実際、発明者らが行った、しきい値法、シグモイド関数による関数当てはめ法の再現性を様々な試料にて比較する実験においても、関数当てはめ法の再現性が、しきい値法を下回るという結果であった。
【0009】
シグモイド関数は、上下点対称であるが、信号波形は一般に上下点対称ではない。また、前述のように、シグモイド関数を用いる場合、フィッティングする信号波形の領域を設定する必要があり、領域設定の誤差も再現性を悪くした一因と考えられる。別の関数を導入すれば再現性が向上する可能性もあるが、信号波形の形は様々なバリエーションがあり、全てを網羅する関数を準備するのは困難である。
【0010】
本発明の目的は、ArF露光用のフォトレジスト等、低S/Nの信号波形による寸法計測が必要な試料においても、精度の高い寸法計測を実現する電子線式寸法計測装置及びそれを用いた寸法計測方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明は予め、電子線式寸法計測装置(測長SEM装置)及びそれを用いた寸法計測方法において、寸法計測対象試料と同種の試料から得たサンプル信号波形(あるいは画像)の部分波形(あるいは部分画像)をレシピのテンプレートして登録しておき、寸法計測対象試料の信号波形(あるいは画像)とサンプル登録波形との波形照合を行い、該波形照合結果に基づき寸法計測対象パターンの寸法値を算出するようにしたものである。
【0012】
また、本発明は、電子線式寸法計測装置(測長SEM装置)を用いて寸法計測対象試料に形成された寸法計測対象パターンの寸法を計測する方法であって、予め、前記寸法計測対象試料と同種のサンプル試料に形成されたサンプルパターンを計測レシピに基づいて前記電子線式寸法計測装置を用いて撮像してサンプルパターン信号を取得し、該取得されるサンプルパターン信号を基に1次元若しくは2次元のサンプル信号波形を形成し、該形成されたサンプル信号波形の部分波形をサンプル登録波形として登録しておく登録過程と、前記寸法計測対象試料に形成された寸法計測対象パターンを前記計測レシピに基づいて前記電子線式寸法計測装置を用いて撮像して寸法計測対象パターン信号を取得し、該取得される寸法計測対象パターン信号を基に1次元若しくは2次元の計測対象信号波形を形成し、該形成された計測対象信号波形と前記登録過程で登録しておかれたサンプル登録波形との波形照合を行う波形照合過程と、該波形照合過程で行われた波形照合結果に基づき前記寸法計測対象パターンの寸法値を算出する寸法算出過程とを有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記波形照合過程において、取得される寸法計測対象パターン信号を基に複数箇所での1次元若しくは2次元の計測対象信号波形を形成し、該形成された複数箇所での計測対象信号波形と前記登録過程で登録しておかれたサンプル登録波形との波形照合を行い、前記寸法算出過程において、前記波形照合過程で行われた波形照合結果における前記複数箇所のばらつきに基づき、前記寸法計測対象パターンのエッジラフネス量を算出することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記波形照合過程において、前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形が、更に前記サンプル信号波形に対してフィルタリング処理により算出される近似波形における部分波形であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記波形照合過程において、前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形が、更に前記サンプル信号波形に対して関数当てはめにより算出される近似波形における部分波形であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記波形照合過程において、更に前記サンプル信号波形に対してフィルタサイズを変えたフィルタリング処理により複数の近似波形を算出し、該算出された複数の近似波形の部分波形を前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形とし、前記寸法算出過程において、前記波形照合過程で行なわれた波形照合結果として、前記複数の近似波形の部分波形と前記計測対象信号波形との複数の波形照合結果のうち最も良く照合した波形照合結果であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記波形照合過程において、更に前記サンプル信号波形に対して関数当てはめにより近似波形を算出し、さらに座標変換により該近似波形を縮小又は拡大して複数の縮小又は拡大波形を算出し、該算出して得た複数の縮小又は拡大波形の部分波形を前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形とし、前記寸法算出過程において、前記波形照合過程で行なわれた波形照合結果として、前記複数の縮小又は拡大波形の部分波形と前記計測対象信号波形との複数の波形照合結果のうち最も良く照合した波形照合結果であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、局所的な波形変化の影響を受けやすいしきい値法の弱点と、信号波形を良く表現しない関数だと計測誤差が生じる関数当てはめ法の弱点を克服するものである。信号波形間の照合による寸法計測なので、計測に関わる信号波形の領域が広い分、局所的な信号波形変化を受けづらい。また、関数の代わりに、寸法計測対象と同種の実際の試料から得た信号波形を用いるため、波形の不適合の問題がない。同種の試料とは、同一製造プロセスによる試料の意である。半導体製造プロセスが安定していれば、同一製造プロセスによる試料(ウエハ)の断面形状には大きな差はなく、従って、信号波形も似通っているのが普通である。よって、関数当てはめ法に比べてリスクが小さい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、各種の荷電粒子線装置(SEM、FIB等)に適用可能であるが、以下の実施の形態では代表として電子線式寸法計測装置を対象に説明する。半導体製造工程でのパターン寸法管理には、走査電子顕微鏡(SEM)を半導体専用に特化した測長SEMが用いられている。図5には本発明に係る測長SEMの原理を示す。測長SEMは、電子光学系1、ステージ機構系2、ウエハ搬送系(図示せず)、真空排気系(図示せず)、光学顕微鏡3、制御系4および信号処理系5より構成される。電子光学系1は、電子銃9、収束レンズ10、対物レンズ11、検出器12、ブランキング制御電極(図示せず)、偏向器13、ウエハ15から発生する2次電子を上記検出器12に向けるEXB(図示せず)、ウエハ高さ検出器14より構成される。ステージ機構系2は、XYステージ(図示せず)、ウエハ15を載置するためのホルダ21、ホルダ21及びウエハ15に負の電圧を印加するリターディング電源(図示せず)より構成される。制御系4は、ビーム偏向補正制御部41、信号検出系制御部(A/D変換部も含む)42、ブランキング制御部(図示せず)、電子光学系制御部43、ウエハ高さセンサ検出系44、機構・ステージ制御部45より構成される。
【0020】
信号処理部5は、図8に示す計測レシピ(撮像レシピ)を設定する計測レシピ設定部511、図6及び図9に示す処理フローを実行する信号波形登録部512、並びに図7及び図10に示す処理フローを実行する寸法算出部513を有するCPU部51、入出力等の操作を行う操作部52、寸法計測対象試料と同一製造プロセスのサンプル試料から取得されるSEM画像や寸法計測対象試料から取得されるSEM画像等を記憶する画像メモリ53、ウエハ上のチップ及びパターンの配列情報、撮像するレシピ条件並びに取得させるSEM画像(具体的にはWB(White Band)や作成された信号波形や信号波形の照合等)等のGUI(Graphical User Interface)画面を表示するディスプレイ(表示装置)54、計測レシピ設定部511で設定された計測レシピ情報、信号波形登録部512で算出されたcd値や切り出された部分信号波形、並びに寸法算出部513で算出されたライン幅のCD値やホール寸法のCD値、並びにラインエッジラフネスLER(L)、(R)の値(M箇所のエッジ検出箇所のばらつき(標準偏差))やラフネスLWRの値(M個のCD値のばらつき(標準偏差))などが記憶(登録)される記憶装置55より構成される。そして、画像メモリ53や記憶装置55に記憶された画像や各種データが操作部52の操作によりGUI等を介して出力されることになる。なお、測長SEMを用いて大量の計測を行う場合、計測のための一連の動作、例えばウエハの種類に応じてウエハのレイアウト、計測箇所の座標、計測条件などを記述したレシピと呼ばれる自動計測用ファイル56を作成しておくことが好ましい。
【0021】
電子銃9から放出された電子ビームは収束レンズ10で細く絞られ、偏向器(走査コイル)13により試料15上を2次元的に走査される。電子ビーム照射によって試料15から発生した二次電子(パターン信号)を検出器12で捕らえることで、電子線像が得られる。二次電子(パターン信号)はパターンエッジ部でより多く発生するため、電子線像は、パターンエッジに相当する部分が明るい画像となる。電子線像の倍率は、計測レシピ(撮像レシピ)として、CRT上の走査幅(一定)と、試料上の電子ビームの走査幅(可変)の比で任意に変えられる。測長SEMでは、電子線像上でのラインパターン寸法(エッジ間距離)1に画素サイズpを乗じることによりラインパターン寸法S(S=l×p)を求める。
【0022】
ところで、近年半導体露光の主流となっているArF露光用のフォトレジストは、電子ビームの照射によってシュリンクする特性を有する。そのため、測長SEM(電子線式寸法計測装置)では、計測精度と共に、シュリンク量の低減が求められている。シュリンク量の低減には、基本的に照射する電子ビームエネルギー量を小さくすることが有効で、結果として、図3(b)に示すようなS/Nの非常に低い信号波形を用いた寸法計測が必要となる。
【0023】
[第1の実施の形態]
本発明に係る電子線式寸法計測装置(測長SEM)の第1の実施の形態における寸法計測の処理フローについて図6、図7及び図8を用いて説明する。
【0024】
図6は、図5に示すCPU51の計測レシピ設定部511及び信号波形登録部512において、操作部52、ディスプレイ54及び画像メモリ53等を用いて、S/Nの非常に低い信号波形を用いた寸法計測が必要な寸法計測対象試料と同一製造プロセス(好ましくは同一製造ロット単位)で製造された試料群(ウエハ群)から少なくとも1つのサンプル試料(サンプルウエハ)を抽出し(ピックアップし)、該抽出されたサンプル試料から取得された信号波形を登録する手順を示す。
【0025】
まず、寸法計測対象試料と同一製造プロセス(好ましくは同一製造ロット単位)によって製造された試料群から少なくとも一つのサンプル試料を抽出し、該抽出したサンプル試料(ウエハ名、製造プロセス名、製造ロット名などで指定される。)から取得された信号波形を登録するためには、測長SEMでの計測レシピ(撮像レシピ)を設定する必要がある。計測レシピ設定部511において、操作部52を用いて設定する計測レシピとしては、図8にGUI画面170で示すように、加速電圧(V)(172)、ビーム電流(pA)(173)、横倍率(k倍)(174)、縦倍率(k倍)(175)、及びフレーム加算数(枚)(176)などが考えられる。その外、計測レシピとしては、ウエハの種類(異なる製造プロセスの場合も含む)に応じたウエハのレイアウト情報、計測箇所の座標情報も含む。
【0026】
また、計測レシピ設定部511において、操作部52を用いて抽出したサンプル試料に関する情報(ウエハ名、製造プロセス名、製造ロット名など)が指定されることになる。その結果、寸法計測対象と同一製造プロセスによって製造された試料群の内、指定されたサンプル試料に対して、設定された加速電圧、ビーム電流、横倍率、縦倍率、及びフレーム加算数で画像171を撮像してSEM画像を取得して画像メモリ53に記憶される(S61)。これらの撮像条件(撮像レシピ)は、図7に示すステップS71において寸法計測対象パターンが形成された試料を撮像する撮像条件と等しくすることが望ましい。
【0027】
次に、図8に示すように、182にて矩形カーソルモードにし、画像171上でカーソルをドラッグすることで、信号波形作成領域(矩形枠で示した着目領域)を指定する。x始点177、y始点178、x幅179、y幅180はドラッグに連動して、数字が変化する。カーソルを用いて領域を指定する代わりに、177、178、179、180に数字を入力しても良い。そして、181のクリックによって、信号波形作成領域の画像が画像メモリ53又はCPU部51の内部メモリに登録される。この際、画像171上での信号波形作成領域の座標は、サンプルウエハ上に形成された基準マークに基づくサンプルウエハ上の座標に変換されることになる。従って、寸法計測対象試料の場合でも、測長SEMに対して同じように位置決めされることになる。
【0028】
次に、信号波形登録部512は、図6上に矩形枠で示した着目領域(信号波形作成領域)について、ライン加算(y方向各ラインの信号波形の加算)及び平滑化を行ってサンプル信号波形を作成し(S62)、この作成されたサンプル信号波形から、例えば図1に示すしきい値法などによりラインパターン幅寸法cdを計測し(S63)、この値をサンプル試料の情報及び設定された計測レシピの情報と共に例えば記憶装置55に登録する。該しきい値法は、左右WBのそれぞれで、例えば諧調値(濃淡値)のMax値、Min値を求め、これらを所定の比率で内分するしきい値レベルを算出し、しきい値を信号波形が横切るポジションをエッジ位置として検出し、左右エッジ間の距離をラインパターン幅寸法(cd値)とする。続いて、信号波形登録部512は、信号波形から左側WB部、右側WB部に相当する箇所を切り出し(S64)、これを例えば記憶装置55に追加して登録する(S65)。波形切り出しの始点、終点の決定は、しきい値を与えるなどして自動的に算出するか、または、信号波形をGUI画面54(170)に表示し、操作部52の操作によりマニュアルで座標点を指定しても良い。以上により、寸法計測対象パターンの寸法を計測するのに先立って、寸法計測対象パターンが形成された試料(ウエハ)と同一製造プロセスで製造されたサンプル試料(サンプルウエハ)のパターンを計測レシピ条件で撮像して得られるSEM画像を基に、矩形枠で示した着目領域(信号波形作成領域)の座標情報、計測された寸法cd値、並びに切り出された左用及び右用部分波形が、サンプル試料の情報及び設定された計測レシピの情報と共に例えば記憶装置55に登録されることになる。
【0029】
画像取得ステップS61は、具体的には、図9に示すように、測長SEMにサンプルウエハを搬入し(S611)、寸法計測箇所付近にステージを移動し(S612)、10000倍程度の低倍で画像を撮像し(S613)、登録画像をテンプレートとするパターン認識により、寸法計測箇所の正確な位置を求め(S614)、寸法計測箇所付近の適当なパターンを利用してフォーカス合わせ(S615)を行った後に、より狭い範囲に一次電子ビームの走査範囲を限定することにより寸法計測用の150000倍程度の高倍の画像を撮像し(S616)、指定されたサンプルウエハに対して、設定された加速電圧、ビーム電流、横倍率、縦倍率、及びフレーム加算数で画像171を撮像してSEM画像を取得して画像メモリ53に記憶されることになる。なお、ステップS61(S612〜S616)〜S65は、サンプルウエハに対して測定点数繰返され、測長SEMから搬出される(S66)。
【0030】
次に、寸法算出部513での寸法計測対象試料の寸法計測対象パターンの寸法を計測する手順について図7を用いて説明する。まず、図5に示す測長SEMにてサンプル試料と同じ撮像条件(撮像レシピ)で寸法計測対象パターンのSEM画像を取得する(S71)。次に、寸法算出部513は、図6に示すS62と同様に図7上に矩形枠で示した着目領域(信号波形作成領域)について、ライン加算(y方向各ラインの信号波形の加算)及び平滑化を行って計測対象信号波形を作成する(S72)。続いて、寸法算出部513は、先に例えば記憶装置55に登録したサンプル登録波形(切り出された左用部分波形及び右用部分波形)を読み込み(S73)、波形の照合を行う(S74)。波形照合は、左右のWBのそれぞれで行う。具体的には、サンプル登録波形を1画素ずつずらし、S72で作成した計測対象信号波形との相関値を求め、相関値が最大となるずらし量を求める。左WBでのずらし量をdl、右WBでのずらし量をdrとすると、寸法計測対象パターンの寸法CDは次に示す(2)式により求めることができる(S75)。ここでは、サンプル登録波形としてサンプル信号波形の部分波形を登録するとしたが、図6のステップS61で取得されるSEM画像そのものを例えば記憶装置55に記憶しておき、ステップS73の代わりに上記寸法計測対象パターンのSEM画像を読み込み、ステップS62〜S64を実行した後、ステップS74に進むようにしても良い。
【0031】
CD=cd+(dr−dl) (2)
なお、cdは、サンプルウエハに形成されたラインパターンを撮像して得られるSEM画像を基に例えばしきい値法によって計測されるラインパターン幅である。
【0032】
画像取得ステップS71は、具体的には、図9と同様に図10に示すように、測長SEMに寸法計測対象パターンが形成されたウエハを搬入し(S711)、寸法計測箇所付近にステージを移動し(S712)、10000倍程度の低倍で画像を撮像し(S713)、登録画像をテンプレートとするパターン認識により、寸法計測箇所の正確な位置を求め(S714)、寸法計測箇所付近の適当なパターンを利用してフォーカス合わせ(S715)を行った後に、より狭い範囲に一次電子ビームの走査範囲を限定することにより寸法計測用の150000倍程度の高倍の画像を撮像し(S716)、寸法計測対象ウエハに対して、サンプルウエハにおいて設定された撮像レシピ(加速電圧、ビーム電流、横倍率、縦倍率、及びフレーム加算数)で画像を撮像してSEM画像を取得して画像メモリ53に記憶されることになる。なお、ステップS71(S712〜S716)〜S75は、寸法計測対象ウエハに対して測定点数繰返され、測長SEMから搬出される(S76)。
【0033】
即ち、本発明に係る、図3(b)に示すようなS/Nの非常に低い信号波形を用いて寸法計測を行うためには、サンプル登録波形(または画像)が必要である。そのため、ステップS73にてサンプル登録波形(切り出された左用部分波形及び右用部分波形の各々)を読み込み、上記ステップS74、S75にて寸法を計測する。以上説明したように、本発明は、製造プロセスが同一であるサンプルウエハから得られるサンプル登録波形(または画像)を読み込むステップS73を含む点を特徴とするものである。
【0034】
図11はステップS74の波形照合の方法をより詳しく説明するものである。図11(a)の(1)〜(5)は左WB用のサンプル登録波形をそれぞれ−8画素、―4画素、0画素、+4画素、+8画素ずらした状況を示している。なお、ずらす1画素の値としては1〜3nm程度である。計測対象信号波形との相関値を求めた結果が図11(b)である。この実施例では、ずらし量0画素において、相関値が最大となっている。この場合、真に相関値が最大となるずらし量の実数値xは−1<x<1と考えられる。相関値が最大となるずらし量を画素以下の精度で求めるには、例えば、ずらし量−1画素、0画素、+1画素における相関値に放物線を当てはめ、そのピーク位置を算出するような方法をとればよい。
【0035】
以上が、本発明の基本的な第1の実施の形態である。本第1の実施の形態によれば、ラインパターン計測の再現性が向上する。同様の方法により、複数のラインパターンのピッチを計測することも可能である。発明者らの実験によれば、しきい値法に対して約30%再現性が向上した。
【0036】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、寸法計測対象試料と同一製造プロセスによるサンプル試料から得たサンプル登録波形(信号波形)そのものを寸法計測対象波形との照合に用いた第1の実施の形態に対して、信号波形登録部512又は寸法算出部513において、照合の精度を上げるためにサンプル試料から得られるサンプル登録波形に対して更に関数当てはめまたはフィルタイング処理により近似波形を算出して波形変形を行うものである。
【0037】
寸法計測対象試料と同一製造プロセスによるサンプル試料から得たサンプル登録波形(信号波形)とはいえ、全く同一の信号波形とはなり得ないし、撮像時のフォーカス誤差により波形が多少変化することもあり得る。こうした状況下でも、第2の実施の形態によれば、サンプル登録波形に対して波形変形を行うため、測長SEMで撮像される計測対象信号波形がS/Nの非常に低いものであっても、再現性を確保することが可能となる。
【0038】
図12には第2の実施の形態である波形変形方法の一実施例を示す。例えば寸法算出部513において、読み出された、画素ピッチの離散的なデータである元々のサンプル登録波形(信号波形)200に対して、関数当てはめの一つである各データ間をなめらかにつなぐスプライン関数を求める(S741)。3次自然スプライン関数を用いた場合、各データ間の値は3次式で連続的に表現される。このように各データ間の値が3次式で連続的に表現される近似波形を算出することにより、該算出された近似波形を上記計測対象信号波形との波形照合に用いることが可能となる。
【0039】
また、この後、更に、サンプリングピッチを変えてリサンプリングすれば(S742)、サンプル登録波形(信号波形)の波形変形である縮小あるいは拡大が可能となる。図12では、−8%〜+8%、4%刻みとしているが(212)、実際はより細かいピッチ(例えば1%刻み)で多数の波形を作成し登録しておき、波形照合のステップS74では、全波形との照合を行い、最も高い相関値が得られた場合のずらし量(dr,dl)を採用するようにする。即ち、更に座標変換により上記関数当てはめによって算出される近似波形を縮小あるいは拡大して複数の縮小又は拡大波形を算出し、該縮小あるいは拡大して得た複数の縮小又は拡大波形を上記計測対象信号波形と照合し、複数の照合結果のうち最も良く照合した照合結果(最も高い相関値が得られた場合のずらし量(dr,dl))に基づき、寸法計測対象パターンの寸法値や後述するエッジラフネス量を算出することが可能となる。
【0040】
なお、波形変形の方法としては、サンプル登録波形(信号波形)にフィルタリング処理の他の一つであるσ値を振ったガウスフィルタを作用させるようにしても良い。このようにサンプリング登録波形に対してフィルタリング処理を行って近似波形を算出し、該算出された近似波形を上記計測対象信号波形との波形照合に用いることが可能となる。また、サンプリング登録波形に対してフィルタサイズを変えてフィルタリング処理を行って複数の近似波形を算出し、該算出された複数の近似波形を上記計測対象信号波形と照合し、複数の照合結果のうち最も良く照合した照合結果に基づき、寸法計測対象パターンの寸法値や後述するエッジラフネス量を算出することも可能である。
【0041】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、ライン計測をライン上の多数の箇所で行う、いわゆる多点計測に適用した実施例である。図6に示すサンプル登録波形を登録する手順は第1の実施の形態と同じである。多点計測においては、図7に相当する手順が、図13のようになる。まず、SEM画像を取得し(S71a)、画像メモリ53に記憶する。次に、寸法算出部513は、ライン上のN箇所にて計測対象信号波形を作成し(S72a)、さらに例えば記憶装置55からサンプル登録波形を読み込み(S73)、N個の計測対象信号波形のそれぞれにおいて、画素単位若しくは画素単位以下でずらされた左用部分波形及び右用部分波形の各々と照合を行い、N箇所における相関値が最大となるずらし量dli、dri(i=1〜N)を求める(S74a)。そして、寸法算出部513は、ライン幅CDについて次の(3)式で示すように、N箇所の平均として求める(S75a)。
【0042】
CD=cd+(i=1〜NΣ(dri−dli)/N) (3)
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、多点(N箇所)の平均値としてライン幅CDが算出されるので、さらに再現性を向上させることが可能となる。
【0043】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態は、本発明をラインエッジラフネスの計測に適用した実施例である。図6に示す登録波形(信号波形)を登録する手順は第1の実施の形態と同様である。ラインエッジラフネス計測においては、図7に相当する手順が、図14(a)に示すようになる。画像を取得し(S71b)、画像メモリ53に記憶する。その後、寸法算出部513は、図14(b)に示すように、ライン上のM計測箇所(w1〜wM)にて信号波形を作成する(S72b)。より短い周期のラフネスを計測するためには、個々のライン加算数を5ライン程度と小さく、かつ、各計測箇所のライン方向にずらすピッチを小さくする(エッジラフネスのより短い周期に応じて細かく1ライン程度とする)必要がある。例えば、ライン加算数は1〜5ライン、各計測箇所のライン方向のピッチ(隣り合う計測箇所のライン方向のピッチ)は1ライン程度(1〜3nm程度)とする。
【0044】
次に、寸法算出部513は、記憶装置55からサンプル登録波形の読み込みを行い(S73)、M個の信号波形のそれぞれにおいてサンプル登録波形との照合を行い、相関値が最大となるずらし量dli、dri(i=1〜M)を求める(S74b)。更に、寸法算出部513は、ラインエッジラフネスLER(L)、(R)の左右それぞれについて、ステップS75bに示したように、M箇所のエッジ検出箇所の「ばらつき」を示す標準偏差(Standard Deviation) stdev(dl1,dl2,・・・dlM),stdev(dr1,dr2,・・・drM)として求める。また、寸法算出部513は、ライン幅のラフネスLWRについて、ステップS75bに示したように、M個のCD値の「ばらつき」を示す標準偏差(Standard Deviation) stdev(CD1,CD2,・・・CDM)として求める。なお、CDiは次の(4)式で表される。また、ラインエッジラフネスLER(L)、(R)並びにライン幅のラフネスLWRの「ばらつき」を表す指標としては、標準偏差でなく、最大値と最小値との差で表しても良い。
【0045】
CDi=cdi+(dri−dli) (4)
以上説明したように、寸法算出部513は、各計測箇所のライン方向のライン加算数を小さく、かつ計測箇所間のライン方向のピッチを小さくしたM個の計測対象信号波形のそれぞれにおいてサンプル登録波形との照合を行い、相関値が最大となるずらし量dli、dri(i=1〜M)を求め、ラインエッジラフネスLER(L)、(R)の左右それぞれについて、M計測箇所のエッジ検出箇所のばらつきを示す標準偏差(Standard Deviation) stdev(dl1,dl2,・・・dlM),stdev(dr1,dr2,・・・drM)として求め、ライン幅のラフネスLWRについて、M計測箇所のCD値のばらつきを示す標準偏差(Standard Deviation) stdev(CD1,CD2,・・・CDM)として求めることが、容易に、且つ再現性を向上させて可能となる。さらに、これら算出されたエッジラフネス量などは表示手段54、170などに表示される。
【0046】
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態は、本発明をホールパターン寸法計測に適用した実施例である。図15には寸法計測対象試料と同一製造プロセスによって製造されたサンプル試料から得た信号波形を登録する手順を示す。図5に示す測長SEMにて寸法計測対象試料と同一製造プロセスによって製造されたサンプル試料(ウエハ)のSEM画像を取得し(S61c)、画像メモリ53等に記憶する。そして、信号波形登録部512は、図上に矩形枠で囲んだ着目ホールについて、0度方向、45度方向、90度方向、135度方向の4方向についてライン加算、さらに平滑化を行ってサンプル信号波形を作成する(S62c)。信号波形登録部512は、このサンプル信号波形から、図1に示すしきい値法などの手法によりホール寸法di(i=0、45、90、135)を計測し(S63c)、この値をサンプル試料の情報及び設定された計測レシピの情報と共に例えば記憶装置55に登録する。該しきい値法は、0〜135のWBのそれぞれで、例えば諧調値(濃淡値)のMax値、Min値を求め、これらを所定の比率で内分するしきい値レベルを算出し、しきい値を信号波形が横切るポジションをエッジ位置として検出し、0〜135のエッジ間の距離をホール寸法(di(i=0、45、90、135)値)とする。続いて、信号波形登録部512は、サンプル信号波形から左側WB部、右側WB部に相当する箇所を切り出し(S64c)、これを例えば記憶装置55に登録する(S65c)。波形切り出しの始点、終点の決定は、しきい値を与えるなどして自動的に算出するか、または、マニュアルで座標点を指定しても良い。なお、ここでは、0度方向、45度方向、90度方向、135度方向の4方向としたが、計測の目的に応じて方向数を増減しても良い。
【0047】
図16には寸法計測対象試料の寸法計測対象のホール寸法を計測する手順を示す。図6に示す測長SEMにて寸法計測対象試料のSEM画像を取得し(S71c)、例えば画像メモリ53に記憶する。そして、寸法算出部513は、ステップS62cと同様に信号波形を作成する(S72c)。続いて、寸法算出部513は、先に記憶したサンプル登録波形を記憶装置55から読み込み(S73c)、読み込まれたサンプル登録波形と作成された計測対象信号波形との波形の照合を行う(S74c)。波形照合は、左右のWBのそれぞれで行う。具体的には、サンプル登録波形を1画素ピッチでずらし、ステップS72cで作成した計測対象信号波形との相関値を求め、相関値が最大となるずらし量を求める。左WBでのずらし量をdli(i=0、45、90、135)、右WBでのずらし量をdri(i=0、45、90、135)とすると、計測対象のホール寸法Di(i=0、45、90、135)は次の(5)式で示すように求めることができる(S75c)。
【0048】
Di(i=0、45、90、135)=di+(dri−dli)(i=0、45、90、135) (5)
以上の説明では1個のホールの寸法を計測するとしたが、複数のホール寸法を計測して、その平均を求めても良い。このように、第5の実施の形態によれば、測長SEMで撮像される計測対象信号波形がS/Nの非常に低いものであっても、ホールパターン寸法を再現性良く、しかも容易に計測することが可能となる。
【0049】
[第6の実施の形態]
第6の実施の形態は、本発明をホールパターン寸法計測に適用した別の実施例である。図17には、寸法計測対象試料と同一製造プロセスによって製造されたサンプル試料から得た信号波形を登録する手順を示す。本実施例では、2次元の信号波形、すなわち、画像を登録する。図6に示す測長SEMにて寸法計測対象試料と同一製造プロセスによって製造されたサンプル試料のSEM画像を取得し(S61c)、画像メモリ53等に記憶する。そして、信号波形登録部512は、図上に矩形枠で囲んだ着目ホールについて、図15のステップS62a〜S63aと同様にして、0度方向、45度方向、90度方向、135度方向の4方向のホール寸法di(i=0、45、90、135)を計測し(S62c〜S63c)、この値をサンプル試料の情報及び設定された計測レシピの情報と共に例えば記憶装置55に登録する。続いて、信号波形登録部512は、着目ホールを含む部分画像を切り出し、アフィン変換等により、部分画像を縮小、拡大した画像を生成する(S64d)。そして、これら生成した縮小、拡大したサンプル部分画像を例えば記憶装置55に登録する(S65d)。
【0050】
図18には寸法計測対象試料の寸法計測対象のホール寸法を計測する手順を示す。図5に示す測長SEMにて寸法計測対象のSEM画像を取得し(S71d)、画像メモリ53に記憶する。寸法算出部513は、先に記憶したサンプル部分画像群を例えば記憶装置55から読み込み(S72d)、寸法計測対象のホールとの照合を行う(S73d)。照合の指標としては、たとえば、相関値を用いる。相関値が最大となる拡大率rを求め(S74d)、該最大となる拡大率rを、次の(6)式で示すように、ステップS63cで計測したホール寸法di(i=0、45、90、135)に乗じることで、計測対象のホール寸法Davgを求めることが可能となる(S75d)。
【0051】
Davg=r×((d0+d45+d90+d135)/4) (6)
以上の説明では、ホール1個を含む画像を拡大、縮小したが、ホールを複数の扇形領域に分割し、寸法計測対象画像上で、扇形の小画像を走査して、照合する位置を求めるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】従来の寸法計測方法であるしきい値法を説明するための図である。
【図2】従来の寸法計測方法である関数当てはめ法を説明する図である。
【図3】本発明に係る測長SEM装置において、照射1次電子ビームエネルギーが大きい場合と小さい場合とで取得される信号波形の違いを示す図である。
【図4】平滑化による信号波形の変化を示す図である。
【図5】本発明に係る測長SEM装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図6】本発明に係る測長SEM装置の第1の実施の形態である寸法計測のフローチャートにおいて、予め計測レシピ(撮像レシピ)に基づいてサンプル試料から取得されるサンプル登録波形(サンプル信号波形)を登録しておくフローを示す図である。
【図7】本発明に係る測長SEM装置の第1の実施の形態である寸法計測のフローチャートにおいて、計測レシピ(撮像レシピ)に基づいて寸法計測対象試料から取得されるパターン信号をサンプル登録波形と波形照合して寸法計測対象パターンの寸法を計測するフローを示す図である。
【図8】本発明に係る測長SEM装置の第1の実施の形態である設定された計測レシピ(撮像レシピ)に基づいて画像登録のためのGUI画面の一実施例を示す図である。
【図9】図6に示すフローを具体的に示したフロー図である。
【図10】図7に示すフローを具体的に示したフロー図である。
【図11】本発明に係る波形照合の一実施例を説明するための図である。
【図12】本発明に係る第2の実施の形態でのサンプル登録波形に対する波形変形の一実施例を説明するための図である。
【図13】本発明に係る第3の実施の形態での多点寸法計測の実施例を示すフローチャートである。
【図14】本発明に係る第4の実施の形態であるエッジラフネスのばらつきを寸法計測する実施例を示すフローチャートである。
【図15】本発明に係る第5の実施の形態であるホールパターン寸法計測における予めサンプル登録波形を登録する実施例を示すフローチャートである。
【図16】本発明に係る第5の実施の形態であるホールパターン寸法計測における寸法計測の実施例を示すフローチャートである。
【図17】本発明に係る第6の実施の形態であるホールパターン寸法計測における図15と異なる実施例を示すフローチャートである。
【図18】本発明に係る第6の実施の形態であるホールパターン寸法計測における図16と異なる実施例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1…電子光学系、2…ステージ機構系、3…光学顕微鏡、4…制御系、5…信号処理系、9…電子銃、10…収束レンズ、11…対物レンズ、12…検出器、13…偏向器、14…ウエハ高さ検出器、15…ウエハ(試料)、21…ホルダ、41…ビーム偏向補正制御部、42…信号検出系制御部(A/D変換部も含む)、43…電子光学系制御部、44…ウエハ高さセンサ検出系、45…機構・ステージ制御部、51…CPU部、511…計測レシピ設定部、512…信号波形登録部、513…寸法算出部、52…操作部、53…画像メモリ、54…ディスプレイ(表示装置)、55…記憶装置、56…自動計測用ファイル、170…GUI画面、170〜181…ビームランディング角較正等を自動実行するための条件設定用GUI画面上の各部、190〜195…波形登録のためのGUI画面上の各部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子線式寸法計測装置を用いて寸法計測対象試料に形成された寸法計測対象パターンの寸法を計測する方法であって、
予め、前記寸法計測対象試料と同種のサンプル試料に形成されたサンプルパターンを計測レシピに基づいて前記電子線式寸法計測装置を用いて撮像してサンプルパターン信号を取得し、該取得されるサンプルパターン信号を基に1次元若しくは2次元のサンプル信号波形を形成し、該形成されたサンプル信号波形の部分波形をサンプル登録波形として登録しておく信号波形登録過程と、
前記寸法計測対象試料に形成された寸法計測対象パターンを前記計測レシピに基づいて前記電子線式寸法計測装置を用いて撮像して寸法計測対象パターン信号を取得し、該取得される寸法計測対象パターン信号を基に1次元若しくは2次元の計測対象信号波形を形成し、該形成された計測対象信号波形と前記信号波形登録過程で登録しておかれたサンプル登録波形との波形照合を行い、該行われた波形照合結果に基づき前記寸法計測対象パターンの寸法値を算出する寸法算出過程とを有することを特徴とする電子線式寸法計測装置を用いた寸法計測方法。
【請求項2】
電子線式寸法計測装置を用いて寸法計測対象試料に形成された寸法計測対象パターンの寸法を計測する方法であって、
予め、寸法計測対象試料と同種のサンプル試料に形成されたサンプルパターンを計測レシピに基づいて前記電子線式寸法計測装置を用いて撮像してサンプルパターン信号を取得し、該取得されるサンプルパターン信号を基に1次元若しくは2次元のサンプル信号波形を形成し、該形成されたサンプル信号波形の部分波形をサンプル登録波形として登録しておく信号波形登録過程と、
前記寸法計測対象試料に形成された寸法計測対象パターンを前記計測レシピに基づいて前記電子線式寸法計測装置を用いて撮像して寸法計測対象パターン信号を取得し、該取得される寸法計測対象パターン信号を基に複数箇所での1次元若しくは2次元の計測対象信号波形を形成し、該形成された複数箇所での計測対象信号波形と前記信号波形登録過程で登録しておかれたサンプル登録波形との波形照合を行い、該行われた波形照合結果における前記複数箇所のばらつきに基づき、前記寸法計測対象パターンのエッジラフネス量を算出する寸法算出過程とを有することを特徴とする電子線式寸法計測装置を用いた寸法計測方法。
【請求項3】
前記寸法算出過程において、前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形が、更に前記サンプル信号波形に対してフィルタリング処理により算出される近似波形における部分波形であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子線式寸法計測装置を用いた寸法計測方法。
【請求項4】
前記寸法算出過程において、前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形が、更に前記サンプル信号波形に対して関数当てはめにより算出される近似波形における部分波形であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子線式寸法計測装置を用いた寸法計測方法。
【請求項5】
前記寸法算出過程において、更に前記サンプル信号波形に対してフィルタサイズを変えたフィルタリング処理により複数の近似波形を算出し、該算出された複数の近似波形の部分波形を前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形とし、前記波形照合が行なわれた波形照合結果として、前記複数の近似波形の部分波形と前記計測対象信号波形との複数の波形照合結果のうち最も良く照合した波形照合結果であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子線式寸法計測装置を用いた寸法計測方法。
【請求項6】
前記寸法算出過程において、更に前記サンプル信号波形に対して関数当てはめにより近似波形を算出し、さらに座標変換により該近似波形を縮小又は拡大して複数の縮小又は拡大波形を算出し、該算出して得た複数の縮小又は拡大波形の部分波形を前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形とし、前記波形照合が行なわれた波形照合結果として、前記複数の縮小又は拡大波形の部分波形と前記計測対象信号波形との複数の波形照合結果のうち最も良く照合した波形照合結果であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子線式寸法計測装置を用いた寸法計測方法。
【請求項7】
寸法計測対象試料に形成された寸法計測対象パターンの寸法を計測する電子線式寸法計測装置であって、
計測レシピ設定部と、
予め、前記寸法計測対象試料と同種のサンプル試料に形成されたサンプルパターンを前記計測レシピ設定部で設定された計測レシピに基づいて撮像してサンプルパターン信号を取得し、該取得されるサンプルパターン信号を基に1次元若しくは2次元のサンプル信号波形を形成し、該形成されたサンプル信号波形の部分波形をサンプル登録波形として登録しておく信号波形登録部と、
前記寸法計測対象試料に形成された寸法計測対象パターンを前記計測レシピ設定部で設定された計測レシピに基づいて撮像して寸法計測対象パターン信号を取得し、該取得される寸法計測対象パターン信号を基に1次元若しくは2次元の計測対象信号波形を形成し、該形成された計測対象信号波形と前記信号波形登録部で登録しておかれたサンプル登録波形との波形照合を行い、該行われた波形照合結果に基づき前記寸法計測対象パターンの寸法値を算出する寸法算出部とを備えたことを特徴とする電子線式寸法計測装置。
【請求項8】
寸法計測対象試料に形成された寸法計測対象パターンの寸法を計測する電子線式寸法計測装置であって、
計測レシピ設定部と、
予め、寸法計測対象試料と同種のサンプル試料に形成されたサンプルパターンを前記計測レシピ設定部で設定された計測レシピに基づいて撮像してサンプルパターン信号を取得し、該取得されるサンプルパターン信号を基に1次元若しくは2次元のサンプル信号波形を形成し、該形成されたサンプル信号波形の部分波形をサンプル登録波形として登録しておく信号波形登録部と、
前記寸法計測対象試料に形成された寸法計測対象パターンを前記計測レシピ設定部で設定された計測レシピに基づいて撮像して寸法計測対象パターン信号を取得し、該取得される寸法計測対象パターン信号を基に複数箇所での1次元若しくは2次元の計測対象信号波形を形成し、該形成された複数箇所での計測対象信号波形と前記信号波形登録部で登録しておかれたサンプル登録波形との波形照合を行い、該行われた波形照合結果における前記複数箇所のばらつきに基づき、前記寸法計測対象パターンのエッジラフネス量を算出する寸法算出部と、
該寸法算出部で算出されたエッジラフネス量を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする電子線式寸法計測装置。
【請求項9】
前記寸法算出部において、前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形が、更に前記サンプル信号波形に対してフィルタリング処理により算出される近似波形における部分波形であることを特徴とする請求項7または8に記載の電子線式寸法計測装置。
【請求項10】
前記寸法算出部において、前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形が、更に前記サンプル信号波形に対して関数当てはめにより算出される近似波形における部分波形であることを特徴とする請求項7または8に記載の電子線式寸法計測装置。
【請求項11】
前記寸法算出部において、更に前記サンプル信号波形に対してフィルタサイズを変えたフィルタリング処理により複数の近似波形を算出し、該算出された複数の近似波形の部分波形を前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形とし、前記波形照合が行なわれた波形照合結果として、前記複数の近似波形の部分波形と前記計測対象信号波形との複数の波形照合結果のうち最も良く照合した波形照合結果であることを特徴とする請求項7または8に記載の電子線式寸法計測装置。
【請求項12】
前記寸法算出部において、更に前記サンプル信号波形に対して関数当てはめにより近似波形を算出し、さらに座標変換により該近似波形を縮小又は拡大して複数の縮小又は拡大波形を算出し、該算出して得た複数の縮小又は拡大波形の部分波形を前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形とし、前記波形照合が行なわれた波形照合結果として、前記複数の縮小又は拡大波形の部分波形と前記計測対象信号波形との複数の波形照合結果のうち最も良く照合した波形照合結果であることを特徴とする請求項7または8に記載の電子線式寸法計測装置。
【請求項1】
電子線式寸法計測装置を用いて寸法計測対象試料に形成された寸法計測対象パターンの寸法を計測する方法であって、
予め、前記寸法計測対象試料と同種のサンプル試料に形成されたサンプルパターンを計測レシピに基づいて前記電子線式寸法計測装置を用いて撮像してサンプルパターン信号を取得し、該取得されるサンプルパターン信号を基に1次元若しくは2次元のサンプル信号波形を形成し、該形成されたサンプル信号波形の部分波形をサンプル登録波形として登録しておく信号波形登録過程と、
前記寸法計測対象試料に形成された寸法計測対象パターンを前記計測レシピに基づいて前記電子線式寸法計測装置を用いて撮像して寸法計測対象パターン信号を取得し、該取得される寸法計測対象パターン信号を基に1次元若しくは2次元の計測対象信号波形を形成し、該形成された計測対象信号波形と前記信号波形登録過程で登録しておかれたサンプル登録波形との波形照合を行い、該行われた波形照合結果に基づき前記寸法計測対象パターンの寸法値を算出する寸法算出過程とを有することを特徴とする電子線式寸法計測装置を用いた寸法計測方法。
【請求項2】
電子線式寸法計測装置を用いて寸法計測対象試料に形成された寸法計測対象パターンの寸法を計測する方法であって、
予め、寸法計測対象試料と同種のサンプル試料に形成されたサンプルパターンを計測レシピに基づいて前記電子線式寸法計測装置を用いて撮像してサンプルパターン信号を取得し、該取得されるサンプルパターン信号を基に1次元若しくは2次元のサンプル信号波形を形成し、該形成されたサンプル信号波形の部分波形をサンプル登録波形として登録しておく信号波形登録過程と、
前記寸法計測対象試料に形成された寸法計測対象パターンを前記計測レシピに基づいて前記電子線式寸法計測装置を用いて撮像して寸法計測対象パターン信号を取得し、該取得される寸法計測対象パターン信号を基に複数箇所での1次元若しくは2次元の計測対象信号波形を形成し、該形成された複数箇所での計測対象信号波形と前記信号波形登録過程で登録しておかれたサンプル登録波形との波形照合を行い、該行われた波形照合結果における前記複数箇所のばらつきに基づき、前記寸法計測対象パターンのエッジラフネス量を算出する寸法算出過程とを有することを特徴とする電子線式寸法計測装置を用いた寸法計測方法。
【請求項3】
前記寸法算出過程において、前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形が、更に前記サンプル信号波形に対してフィルタリング処理により算出される近似波形における部分波形であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子線式寸法計測装置を用いた寸法計測方法。
【請求項4】
前記寸法算出過程において、前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形が、更に前記サンプル信号波形に対して関数当てはめにより算出される近似波形における部分波形であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子線式寸法計測装置を用いた寸法計測方法。
【請求項5】
前記寸法算出過程において、更に前記サンプル信号波形に対してフィルタサイズを変えたフィルタリング処理により複数の近似波形を算出し、該算出された複数の近似波形の部分波形を前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形とし、前記波形照合が行なわれた波形照合結果として、前記複数の近似波形の部分波形と前記計測対象信号波形との複数の波形照合結果のうち最も良く照合した波形照合結果であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子線式寸法計測装置を用いた寸法計測方法。
【請求項6】
前記寸法算出過程において、更に前記サンプル信号波形に対して関数当てはめにより近似波形を算出し、さらに座標変換により該近似波形を縮小又は拡大して複数の縮小又は拡大波形を算出し、該算出して得た複数の縮小又は拡大波形の部分波形を前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形とし、前記波形照合が行なわれた波形照合結果として、前記複数の縮小又は拡大波形の部分波形と前記計測対象信号波形との複数の波形照合結果のうち最も良く照合した波形照合結果であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子線式寸法計測装置を用いた寸法計測方法。
【請求項7】
寸法計測対象試料に形成された寸法計測対象パターンの寸法を計測する電子線式寸法計測装置であって、
計測レシピ設定部と、
予め、前記寸法計測対象試料と同種のサンプル試料に形成されたサンプルパターンを前記計測レシピ設定部で設定された計測レシピに基づいて撮像してサンプルパターン信号を取得し、該取得されるサンプルパターン信号を基に1次元若しくは2次元のサンプル信号波形を形成し、該形成されたサンプル信号波形の部分波形をサンプル登録波形として登録しておく信号波形登録部と、
前記寸法計測対象試料に形成された寸法計測対象パターンを前記計測レシピ設定部で設定された計測レシピに基づいて撮像して寸法計測対象パターン信号を取得し、該取得される寸法計測対象パターン信号を基に1次元若しくは2次元の計測対象信号波形を形成し、該形成された計測対象信号波形と前記信号波形登録部で登録しておかれたサンプル登録波形との波形照合を行い、該行われた波形照合結果に基づき前記寸法計測対象パターンの寸法値を算出する寸法算出部とを備えたことを特徴とする電子線式寸法計測装置。
【請求項8】
寸法計測対象試料に形成された寸法計測対象パターンの寸法を計測する電子線式寸法計測装置であって、
計測レシピ設定部と、
予め、寸法計測対象試料と同種のサンプル試料に形成されたサンプルパターンを前記計測レシピ設定部で設定された計測レシピに基づいて撮像してサンプルパターン信号を取得し、該取得されるサンプルパターン信号を基に1次元若しくは2次元のサンプル信号波形を形成し、該形成されたサンプル信号波形の部分波形をサンプル登録波形として登録しておく信号波形登録部と、
前記寸法計測対象試料に形成された寸法計測対象パターンを前記計測レシピ設定部で設定された計測レシピに基づいて撮像して寸法計測対象パターン信号を取得し、該取得される寸法計測対象パターン信号を基に複数箇所での1次元若しくは2次元の計測対象信号波形を形成し、該形成された複数箇所での計測対象信号波形と前記信号波形登録部で登録しておかれたサンプル登録波形との波形照合を行い、該行われた波形照合結果における前記複数箇所のばらつきに基づき、前記寸法計測対象パターンのエッジラフネス量を算出する寸法算出部と、
該寸法算出部で算出されたエッジラフネス量を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする電子線式寸法計測装置。
【請求項9】
前記寸法算出部において、前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形が、更に前記サンプル信号波形に対してフィルタリング処理により算出される近似波形における部分波形であることを特徴とする請求項7または8に記載の電子線式寸法計測装置。
【請求項10】
前記寸法算出部において、前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形が、更に前記サンプル信号波形に対して関数当てはめにより算出される近似波形における部分波形であることを特徴とする請求項7または8に記載の電子線式寸法計測装置。
【請求項11】
前記寸法算出部において、更に前記サンプル信号波形に対してフィルタサイズを変えたフィルタリング処理により複数の近似波形を算出し、該算出された複数の近似波形の部分波形を前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形とし、前記波形照合が行なわれた波形照合結果として、前記複数の近似波形の部分波形と前記計測対象信号波形との複数の波形照合結果のうち最も良く照合した波形照合結果であることを特徴とする請求項7または8に記載の電子線式寸法計測装置。
【請求項12】
前記寸法算出部において、更に前記サンプル信号波形に対して関数当てはめにより近似波形を算出し、さらに座標変換により該近似波形を縮小又は拡大して複数の縮小又は拡大波形を算出し、該算出して得た複数の縮小又は拡大波形の部分波形を前記計測対象信号波形と波形照合されるサンプル登録波形とし、前記波形照合が行なわれた波形照合結果として、前記複数の縮小又は拡大波形の部分波形と前記計測対象信号波形との複数の波形照合結果のうち最も良く照合した波形照合結果であることを特徴とする請求項7または8に記載の電子線式寸法計測装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−120968(P2007−120968A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−309692(P2005−309692)
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月25日(2005.10.25)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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