説明

電子装置

【課題】回路基板の冷却性を向上させつつ、外部接続用端子や、回路基板と外部接続用端子との接続部の信頼性を向上させることができる電子装置を提供すること。
【解決手段】電子装置は、ハウジング60内の冷媒中に配置されるものであり、電子部品15が封止された状態で搭載されるとともに電子部品15と電気的に接続された外部用パッド14が設けられた回路基板10と、外部用パッド14と電気的に接続された端子1000と、端子1000及び端子1000と外部用パッド14との接続部を冷媒から隔離する隔離部材としての接着剤50とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子装置が搭載される装置の一例として、特許文献1に開示された電動コンプレッサがあった。この電動コンプレッサは、冷媒吸入口と冷媒吐出口とを有するハウジングと、ハウジング内に収納される圧縮機構部と、ハウジング内において回転自在に支持され圧縮機構部に駆動力を伝える駆動軸と、ハウジング内に収納され駆動軸の径方向外周側に配置されているステータコアと、ハウジング内に収納されステータコアに回巻されているステータコイルと、ハウジング内においてステータコアに対して回転軸の径方向中心側に配置されステータコイルから発生される回転磁界に基づいて駆動軸を回転させるロータと、ハウジングの外壁に装着されステータコイルに駆動電流を流してステータコアから回転磁界を発生させる電子装置の一部としての回路基板(駆動回路)と、ハウジングの内壁における回路基板側とステータコアの外壁との間に設けられ圧縮機構の冷媒圧縮に伴って冷媒入口側から圧縮機構側に流れる冷媒を通過させる第1の冷媒流路と、を備える。
【0003】
このような構成を有することによって、電動コンプレッサは、第1の冷媒流路内を流れる冷媒がハウジングを介して回路基板を冷却する。さらに、ステータコアの外壁に対して第1の冷媒流路側には、冷媒とステータコアとの間の熱伝導を妨げる断熱膜が設けられている。これによって、この電動コンプレッサは、回路基板を良好に冷却することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている電動コンプレッサにおいては、回路基板に冷媒がかからない様にするため、ハウジングの外壁の取付面に回路基板を搭載する必要がある。よって、この回路基板は、主にハウジングの取付面に接触している一面からしか放熱できない。
【0005】
また、回路基板の冷却性を向上させるためには、回路基板の体格を大型化して、ハウジングとの接触面積を増やすことも考えられる。しかしながら、このように回路基板の体格を大きくすると、電動コンプレッサ自体の体格も大きくなる。
【0006】
そこで、ハウジング内の冷媒中に回路基板を配置して、回路基板を直接冷媒で冷却することが考えられる。従来、ハウジング内の冷媒中に回路基板が配置された電子装置の一例として、特許文献2に開示された電子装置がある。
【0007】
この特許文献2に開示された電子装置は、各回路構成要素(回路基板)がそれぞれ、フレキシブルな1つの導体路支持体(回路基板)の各導体路に電気的に接続され、フレキシブルな導体路支持体が折り畳まれた状態で回路構成要素と一緒に液密のハウジング(ケーシング)の室内に配置されている。このハウジングの内室は、非導電性の冷媒(冷却液)で満たされており、冷媒がすべての回路構成要素と接触している。これによって、電子装置が構造的にコンパクトで、比較的小さくなっており、すべての回路構成要素が均一に良好に冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−203904号公報
【特許文献2】特表2005−505144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献2に開示された電子装置におけるハウジングの壁には、ハウジング内に設けられた回路基板と、ハウジング外に設けられた外部回路とを電気的に接続するための外部接続用端子(接続部)が液密に設けられている。そして、回路基板と外部接続用端子とは、冷媒で満たされたハウジング内で電気的に接続されている。つまり、外部接続用端子と回路基板との接続部が直接冷媒に触れることになる。
【0010】
接続部や外部接続用端子は、このように直接冷媒に触れると、冷媒の種類によっては腐食する可能性がある。また、例えば、導電性の冷媒を用いた場合、接続部や外部接続用端子と冷媒とが導通してしまう可能性がある。このように、接続部や外部接続用端子は、直接冷媒に触れると信頼性に問題が生じる可能性がある。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、回路基板の冷却性を向上させつつ、外部接続用端子や、回路基板と外部接続用端子との接続部の信頼性を向上させることができる電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために請求項1に記載の電子装置は、
ハウジング内の冷媒中に配置されるものであり、電子部品が封止された状態で搭載されるとともに電子部品と電気的に接続された外部接続用電極が設けられた回路基板と、
外部接続用電極と電気的に接続された外部接続用端子と、
外部接続用端子及び外部接続用電極と外部接続用端子との接続部を冷媒から隔離する隔離部材と、を備えることを特徴とする。
【0013】
このように、回路基板は、冷媒中に配置されるので、直接冷媒に触れることになる。よって、回路基板の冷却性を向上させることができる。
【0014】
さらに、外部接続用端子及び外部接続用電極と外部接続用端子との接続部を冷媒から隔離する隔離部材を備えることによって、外部接続用端子や回路基板と外部接続用端子との接続部が、冷媒に触れることを抑制できる。よって、金属に対して腐食作用のある冷媒を用いた場合であっても、外部接続用端子や回路基板と外部接続用端子との接続部が腐食することを抑制できる。また、導電性の冷媒を用いた場合であっても、外部接続用端子や回路基板と外部接続用端子の接続部が冷媒と導通することを抑制できる。従って、回路基板の冷却性を向上させつつ、外部接続用端子や、回路基板と外部接続用端子との接続部の信頼性を向上させることができる。換言すると、非導電性の冷媒だけではなく、金属に対して腐食作用のある冷媒や導電性の冷媒を用いることができる。よって、冷媒の選択の自由度を向上させることができる。
【0015】
なお、電子部品は、封止された状態で回路基板に搭載されているため、金属に対して腐食作用のある冷媒や導電性の冷媒を用いた場合であっても、この冷媒によって信頼性が低下することはない。
【0016】
例えば、請求項2に示すように、回路基板は、少なくとも熱可塑性樹脂を含む絶縁基材と、電子部品と外部接続用電極とに電気的に接続された配線部とを含み、電子部品及び配線部は、熱可塑性樹脂にて封止されるようにしてもよい。
【0017】
このようにすることによって、容易に電子部品及び配線部を封止することができる。つまり、熱可塑性樹脂は加熱すると溶融し、加熱温度が下がると固化する。よって、熱可塑性樹脂を加熱しながら、加圧することで、電子部品及び配線部を容易に封止することができる。
【0018】
また、請求項3に示すように、
回路基板は、外部接続用端子の一部がハウジングの壁を貫通する貫通孔からハウジング外に配置された状態で、ハウジングの内壁に取り付けられるものであり、
回路基板の内壁との対向面には、外部接続用端子及び接続部を囲いつつ、貫通孔に対向する位置を囲って、隔離部材としての熱可塑性樹脂が配置されており、
隔離部材としての熱可塑性樹脂は、ハウジングの内壁に密着してハウジングの内壁に貼り付きつつ、外部接続用端子及び接続部を冷媒から隔離するようにしてもよい。
【0019】
このようにすることによって、ハウジングに対して回路基板を取り付けつつ、外部接続用端子及び接続部を冷媒から隔離することができる。さらに、外部接続用端子の一部をハウジング外に配置させつつ、ハウジングに設けられた外部接続用端子が挿入される貫通孔から、冷媒が漏れることも抑制できる。
【0020】
また、請求項4に示すように、
回路基板は、外部接続用端子の一部がハウジングの壁を貫通する貫通孔からハウジング外に配置された状態で、隔離部材を介してハウジングの内壁に取り付けられるものであり、
隔離部材は、回路基板の内壁との対向面において、外部接続用端子及び接続部を囲いつつ、貫通孔に対向する位置を囲って配置された接着剤からなり、
接着剤にてハウジングの内壁と内壁に対向する回路基板の表面とを接着することで、外部接続用端子及び接続部を冷媒から隔離するようにしてもよい。
【0021】
このようにすることによって、ハウジングに対して回路基板を取り付けつつ、外部接続用端子及び接続部を冷媒から隔離することができる。さらに、外部接続用端子の一部をハウジング外に配置させつつ、ハウジングに設けられた外部接続用端子が挿入される貫通孔から、冷媒が漏れることも抑制できる。
【0022】
なお、請求項5に示すように、
回路基板は、外部接続用端子の一部がハウジングの壁を貫通する貫通孔からハウジング外に配置された状態で、隔離部材の一部を介してハウジングの内壁に取り付けられるものであり、
隔離部材は、回路基板の内壁との対向面において、外部接続用端子及び接続部を囲いつつ、貫通孔に対向する位置を囲って配置された環状の弾性部材と、回路基板を内壁側に押圧してハウジングに取り付ける押圧部材とを備え、
押圧部材にて回路基板が内壁側に押圧されて、弾性部材がハウジングの内壁と内壁に対向する回路基板の表面とに密着することで、外部接続用端子及び接続部を冷媒から隔離するようにしてもよい。
【0023】
このようにすることによって、ハウジングに対して回路基板を取り付けつつ、外部接続用端子及び接続部を冷媒から隔離することができる。さらに、外部接続用端子の一部をハウジング外に配置させつつ、ハウジングに設けられた外部接続用端子が挿入される貫通孔から、冷媒が漏れることも抑制できる。なお、環状の弾性部材としては、例えば、Oリングなどのパッキンを用いることができる。
【0024】
また、請求項6に示すように、
隔離部材は、ハウジングの壁を貫通する第1貫通孔を封止しつつ、ハウジングの壁に取り付けられた台座と、台座におけるハウジング内に配置され、回路基板と対向する搭載面に回路基板を取り付ける接着剤とを含み、
隔離部材として台座は、ハウジング内とハウジング外との間で貫通し、回路基板を取り付けられた状態で外部接続用端子が配置される第2貫通孔が設けられ、
隔離部材としての接着剤は、回路基板における搭載面との対向面において、外部接続用端子及び接続部を囲いつつ、第2貫通孔に対向する位置を囲って配置されており、台座の搭載面と搭載面に対向する回路基板の対向面とに密着することで、外部接続用端子及び接続部を冷媒から隔離するようにしてもよい。
【0025】
このようにすることによって、ハウジングに対して回路基板を取り付けつつ、外部接続用端子及び接続部を冷媒から隔離することができる。さらに、外部接続用端子の一部をハウジング外に配置させつつ、台座に設けられた外部接続用端子が挿入される貫通孔から、冷媒が漏れることも抑制できる。
【0026】
また、請求項7に示すように、絶縁基材は、可撓性を有しており、回路基板は、ハウジングの内壁に対して、ハウジングの内壁の形状に沿った形状で取り付けられるようにしてもよい。
【0027】
このようにすることによって、ハウジングの形状に関係なく、回路基板をハウジングの内壁に取り付けることができる。よって、ハウジングの体格を大きくすることなく、回路基板をハウジング内に配置することができる。
【0028】
また、上述の絶縁基材としては、請求項8に示すように、熱可塑性樹脂を含む基材フィルムを複数枚積層し、相互に接着してなるものを採用することができる。このようにすることによって、電子部品や配線部を内部に配置した状態で複数枚の基材フィルムを積層して、これを加熱しながら、基材フィルムの積層方向から加圧することで駆動回路を構成することができる。
【0029】
その他にも、絶縁基材としては、請求項9に示すように、熱可塑性樹脂を含み接着層として機能する基材フィルムと、熱硬化性樹脂を含む基材フィルムとを相互に積層接着してなるものを採用することができる。
【0030】
また、例えば、請求項10に示すように、ハウジングは、電動コンプレッサに適用されるものであり、回路基板は、電動コンプレッサの駆動回路としてもよい。さらに、この場合、請求項11に示すように、電子部品は、インバータ形成用のパワー素子が設けられていてもよい。
【0031】
また、電子装置が電動コンプレッサに適用される場合、具体的には、請求項12に示すように、
ハウジングは、冷媒吸入口と冷媒吐出口とを有するものであり、
ハウジング内には、
電動コンプレッサにおける電動モータと、
電動モータを駆動する駆動回路と、
電動モータの回転駆動力によって駆動されて冷媒吸入口から冷媒を吸入し、冷媒を圧縮して冷媒吐出口から吐出する圧縮機構部と、
冷媒吸入口と圧縮機構部との間に設けられる冷媒が流れる冷媒流路と、が設けられ、
駆動回路は、冷媒流路に配置されるようにしてもよい。
【0032】
また、請求項13に示すように、
電動モータは、
ハウジング内において回転自在に支持されて圧縮機構部に回転駆動力を伝える駆動軸と、
駆動軸の径方向外側に配置されているステータコア、及びステータコアに回巻されているステータコイルを含み、駆動回路からの駆動電流によって回転磁界を発生するステータと、
ステータコアに対して駆動軸の径方向中心側に配置され、ステータから発生される回転磁界に基づいて駆動軸を回転させるロータと、を備え、
冷媒流路は、ハウジングの内壁と、ハウジングの内壁と対向するステータコアの外壁との間であって、駆動軸の軸線方向に延設されるようにしてもよい。
【0033】
このようにすることによって、駆動回路と電動モータの両方を冷却することができるので好ましい。
【0034】
また、このようにハウジングの内壁と、ハウジングの内壁と対向するステータコアの外壁との間に冷媒流路を設ける場合、請求項14に示すように、ステータコアの外壁には、駆動軸の径方向中心側に凹んで、かつ駆動軸の軸線方向に延びる第1凹部が設けられ、冷媒流路は、ハウジングの内壁と第1凹部との間に設けられるようにしてもよい。
【0035】
このようにすることによって、電動コンプレッサ自体の体格を大きくすることなく、駆動回路をハウジングの内部に搭載することができる。
【0036】
また、ハウジングの内壁と、ハウジングの内壁と対向するステータコアの外壁との間に冷媒流路を設ける場合、請求項15に示すように、ハウジングの内壁には、駆動軸の径方向外側に凹んで、かつ駆動軸の軸線方向に延びる第2凹部が設けられ、冷媒流路は、第2凹部とステータコアの外壁との間に設けられるようにしてもよい。
【0037】
なお、この第2凹部には、駆動回路が取り付けられる。しかしながら、上述のように、本発明の駆動回路は、比較的自由に形状を変えることができる。よって、第2凹部の形状は、特に限定されるとなく、比較的自由に設定することができる。
【0038】
また、請求項16に示すように、駆動回路は、厚さ方向に垂直な仮想平面において、前記電子部品が配置される電子部品領域と、当該電子部品領域を囲う領域であり電子部品が配置されない周辺領域と、を備えるようにしてもよい。
【0039】
このようにすることによって、熱圧着などによって駆動回路をハウジングに取り付ける際に、電子部品領域に対する押圧力よりも周辺領域に対する押圧力を強くすることで、駆動回路とハウジングとの接合力を向上させつつ、電子部品に対する応力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施の形態における電動コンプレッサ100の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1におけるII−II線断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における駆動回路10の概略構成を示す断面図である。
【図4】図3におけるIV−IV線断面図である。
【図5】変形例1における電動コンプレッサの断面図である。
【図6】変形例2における電動コンプレッサの断面図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態における回路基板の取付構造を示す断面図である。
【図8】変形例3における回路基板の取付構造を示す断面図である。
【図9】変形例4における回路基板の取付構造を示す断面図である。
【図10】変形例5における回路基板の取付構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0042】
(第1の実施の形態)
図1に、本実施の第1の形態に係る電動コンプレッサ100の概略構成を示す。つまり、本実施の形態は、本発明の電子装置を電動コンプレッサ100に適用した例である。なお、この電動コンプレッサ100は、例えば、自動車のエンジンルーム内に配置される。
【0043】
電動コンプレッサ100は、熱伝導性の良いアルミニウムやアルミニウム合金などからなる第1ハウジング41(本発明のハウジングに相当)と第2ハウジング42(本発明のハウジングに相当)とを備える。第1ハウジング41(ハウジング)は、底部41aと側壁とによって囲まれた有底部材であって、この底部41aと対向する部位が開口している。なお、本実施の形態においては、第1ハウジング41の一例として、後ほど説明する電動モータ20に形状に合わせて、有底の円筒形状の部材を採用している。つまり、第1ハウジング41は、電動モータ20の駆動軸22に垂直な仮想平面での断面が円形を有している。よって、第1ハウジング41の側壁は、曲面形状を有するものである。なお、本発明においては、第1ハウジング41の形状はこれに限定されるものではない。
【0044】
この第1ハウジング41の開口側端部には、第2ハウジング42が設けられており、第1ハウジング41と第2ハウジング42とは、ボルト43によって接合されている。このように、第1ハウジング41と第2ハウジング42とが接合されることによって、ハウジングの内部に空間部S3が構成される。一方、第1ハウジング41の底部41a側においては、第1ハウジング41の底部41aと電動モータ20との間に吸入側空間部S1が形成されている。
【0045】
また、この空間部S3内には、電動モータ20、この電動モータ20を駆動するものでありハウジング41,42の外部に設けられた外部回路及び電動モータ20と電気的に接続される駆動回路10(回路基板)、電動モータ20の回転駆動力によって駆動される圧縮機構部30、及び電動モータ20と圧縮機構部30との間に配置された軸支持部材21などが収容されている。
【0046】
また、第1ハウジング41(例えば、底部41aなど)には、圧縮機構部30による冷媒圧縮によって、冷媒を第1ハウジング41(吸入側空間部S1)内に吸入するための吸入口41a1(冷媒吸入口)が形成されている。つまり、この吸入口41a1は、第1ハウジング41(吸入側空間部S1)と、この第1ハウジング41の外部とを連通するものである。
【0047】
一方、第2ハウジング42には、例えば、後ほど説明する固定スクロール32と対向する位置などに、圧縮機構部30によって圧縮された冷媒を第2ハウジング42外に吐出するための吐出口42a1(冷媒吐出口)が形成されている。つまり、この吐出口42a1は、第2ハウジング42(後ほど説明する圧縮室34)と、この第2ハウジング42の外部とを連通するものである。なお、この冷媒は、HFC系冷媒、HC系冷媒、及びHFO系冷媒などを採用することができる。さらに、冷媒は、導電性の冷媒や金属に対する腐食作用の冷媒などであっても採用することができる。具体的にはイオン液体や冷却水などを採用することができる。
【0048】
また、図2に示すように、駆動回路10(回路基板)は、後ほど説明する冷媒流路c1中であり、且つ第1ハウジング41の内壁の曲面(曲面形状の内壁面)に沿った形状で取り付けられている。つまり、駆動回路10は、湾曲した形状で第1ハウジング41の内壁に取り付けられている。この駆動回路10は、電動コンプレッサ100の外部に設けられた外部回路から供給される直流電力を三相交流電力に変換して電動モータ20に供給するとともに、電動モータ20の回転数を制御するためのインバータなどを含む回路を構成するものである。この駆動回路10は、金属からなる3つの配線1020によって電動モータ20と電気的に接続されている。この3つの配線1020は、それぞれ電動モータ20の三相の1つに対応している。なお、図2においては、便宜上電動モータ20の断面構造は簡略化して図示している。
【0049】
また、第1ハウジング41における駆動回路10が取り付けられる部位には、駆動回路10と外部の回路とを電気的に接続するための金属からなる端子1000(外部接続用端子)を気密状態で通すための穴部411aが設けられている。この穴部411aは、端子1000が配置された状態で絶縁性のシール部材411が設けられることで気密状態とされている(シールされている)。つまり、第1ハウジング41内部側である空間部S3と、第1ハウジング41の外部側とがシールされ、空間部S3内の気密性が保たれている。なお、この駆動回路10に関しては、後ほど詳しく説明する。
【0050】
上述のように、電動モータ20は、本実施の形態においては、第1ハウジング41の内部に設けられた駆動回路10から供給される三相交流電力によって駆動される三相同期モータを採用している。この電動モータ20は、ハウジング内において回転自在に支持されて圧縮機構部30に回転駆動力を伝える駆動軸22と、駆動軸22の径方向外側に配置されているステータコア24a及びステータコア24aに回巻されているステータコイル24bとを含み駆動回路10からの駆動電流によって回転磁界を発生するステータ24と、ステータコア24aに対して駆動軸22の径方向中心側に配置されステータ24から発生される回転磁界に基づいて駆動軸22を回転させる中空の円筒形状のロータ23とを備えている。
【0051】
この駆動軸22の一方の端部は、第1ハウジング41の底部41aに嵌入されたベアリング(図示省略)によって回転可能に支持されている。駆動軸22の他方の端部は、軸支持部材21を貫通するとともに、軸支持部材21に嵌入されたベアリング22aによって回転可能に支持されている。軸支持部材21は、例えば、正六角形に形成された外周面を有する六角形状部(図示省略)と、円筒部(図示省略)とを有する中空の部材であって、円筒部が第1ハウジング41に嵌入されている。
【0052】
また、ステータコア24aの外壁には、図2に示すように、第1ハウジング41の内壁との間に冷媒流路c1を構成するための凹部24a1(本発明の第1凹部に相当する)が設けられている。つまり、本実施の形態における電動コンプレッサ100は、ハウジング内において吸入口41a1と圧縮機構部30との間に冷媒が流れる冷媒流路c1が設けられる。このステータコア24aにおける凹部24a1部分の断面(駆動軸22に垂直な仮想平面で切断した場合の断面)形状はコ字形状をなすものである。なお、本実施の形態においては、3つの凹部24a1を設ける例を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0053】
この冷媒流路c1(凹部24a1)は、駆動軸22の径方向中心側に凹んで、かつ駆動軸22の軸線方向に延びるように形成されている。また、冷媒流路c1は、駆動軸22を中心とする円周方向に同一間隔でずれるように配置されている。換言すると、ステータコア24aは、駆動軸22に垂直な仮想平面での断面が歯車形状をしている。
【0054】
このように、冷媒流路c1は、第1ハウジング41の内壁と、この第1ハウジング41の内壁と対向するステータコア24aの外壁との間であって、駆動軸22の軸線方向に延設される。従って、図1に示すように、冷媒流路c1は、吸入側空間部S1から圧縮機構部30側にかけて連通されている。また、この冷媒流路c1を流れる冷媒は、空間部S3を通って、後ほど説明する圧縮機構部30に吸入される。つまり、吸入側空間部S1と圧縮室34とは、冷媒流路c1などを介して連通している。
【0055】
なお、このように、冷媒流路c1を第1ハウジング41の内壁と、この第1ハウジング41の内壁と対向するステータコア24aの外壁との間に設けることで、冷媒流路c1に配置される駆動回路10だけでなく、電動モータ20も冷却することができる。
【0056】
ここで、圧縮機構部30に関して説明する。圧縮機構部30は、上述の軸支持部材21を貫通した駆動軸22の一方の端部に接続されている。また、圧縮機構部30は、電動モータ20の回転駆動力によって駆動されて吸入口41a1から冷媒を吸入し、この冷媒を圧縮して吐出口42a1から吐出するものである。
【0057】
この圧縮機構部30は、第1ハウジング41に対して固定される固定スクロール32と、固定スクロール32と電動モータ20との間において固定スクロール32と対向して配置される旋回スクロール33とを備えている。駆動軸22の一方の先端部(圧縮機構部30側の端部)には、駆動軸22の軸中心線から偏心した偏心部22bが設けられており、偏心部22bと旋回スクロール33とが、旋回スクロール33の電動モータ20側に嵌入されたベアリング27とブッシュ28とを介して接続されている。また、軸支持部材21の圧縮機構部30側の面には、ピン26の一端が嵌入されている。ピン26の他端は、旋回スクロール33の電動モータ20側に形成された凹部内に挿入されており、旋回スクロール33の自転を抑制している。
【0058】
固定スクロール32は、電動モータ20側に突出する固定ラップ32aを有しており、旋回スクロール33は、固定スクロール32の固定ラップ32aに対向するように電動モータ20とは反対側に突出する旋回ラップ33aを有している。固定スクロール32と旋回スクロール33との間には、固定ラップ32aと旋回ラップ33aとによって仕切られた空間である圧縮室34が形成されている。また、固定スクロール32の中央部には、吐出ポート32bと吐出弁35とが設けられており、圧縮室34と吐出側空間部S2とが、吐出ポート32b、吐出弁35及び吐出口42a1を介して連通している。
【0059】
以上のように構成される電動コンプレッサ100において、電動モータ20のステータコイル24bに電力が供給されると、ロータ23と駆動軸22とが一体となって回転し、駆動軸22の回転に伴って旋回スクロール33が旋回する。旋回スクロール33が旋回すると、固定スクロール32と旋回スクロール33との間に形成された圧縮室34の容積が変化して、第1ハウジング41外部(外部冷媒回路内)の冷媒が吸入側空間部S1から冷媒流路c1を通って圧縮室34内に吸入される。そして、圧縮室34内で圧縮された冷媒は、固定スクロール32の吐出ポート32b、吐出弁35、及び吐出口42a1を介して吐出側空間部S2に吐出される。
【0060】
次に、図2〜4に基づいて、駆動回路10及び第1ハウジング41に対する駆動回路10の取り付け構造に関して説明する。図4に示すように、この駆動回路10は、熱可塑性樹脂11からなる絶縁基材の内部に配置された電子部品15と、絶縁基材における表面に形成され電動モータ20と配線1020にて電気的に接続される内部用パッド14a(内部接続用電極)と、絶縁基材における表面に形成され外部回路と端子1000にて電気的に接続された外部用パッド14(外部接続用電極)と、絶縁基材の内部に配置され、内部用パッド14a及び外部用パッド14と対応する電子部品15の端子とを電気的に接続する配線部としての導体パターン12及び層間接続部13を備えるものである。換言すると、駆動回路10は、熱可塑性樹脂11からなる絶縁基材中に導体パターン12が多層に配置され、異なる層の導体パターン12の一部が層間接続部13(例えば、導電性ペーストなどを採用することができる)によって電気的に層間接続されると共に、絶縁基材中に導体パターン12及び層間接続部13と電気的に接続された電子部品15が配置された多層基板である。また、この熱可塑性樹脂11からなる絶縁基材は可撓性を有するものである。このように、駆動回路10は、絶縁基材として可撓性を有しているものを採用することによって、可撓性とすることができる。換言すると、駆動回路10は、柔軟性を有するものである。よって、駆動回路10は、形状を比較的自由に変形させることができる。
【0061】
なお、内部用パッド14aの構成、設置位置は、これに限定されるものではなく、配線1020を介して電動モータ20と電気的に接続可能であれば採用することができる。また、駆動回路10は、冷媒中に配置されるものである。よって、内部用パッド14a、内部用パッド14aと配線1020との接続部、配線1020と電動モータ20との接続部などを必要に応じて、封止材(例えば接着剤など)で封止するようにしてもよい。特に、例えば、冷媒として金属に対して腐食作用のある冷媒や、導電性の冷媒を用いた場合、内部用パッド14a、内部用パッド14aと配線1020との接続部、配線1020と電動モータ20との接続部の信頼性を向上することができる。
【0062】
この熱可塑性樹脂11は、表面に配線部の一部としての導体パターン12が形成されると共に、この導体パターン12を底部とするビアホール13a内に導電体(例えば、導電性ペースト)が埋め込まれた配線部の一部としての層間接続部13(接続ビア)を有する熱可塑性の樹脂フィルム(基材フィルム)や、電子部品15の体格に応じた貫通孔を有する熱可塑性の樹脂フィルム(基材フィルム)などを複数層積層して、相互に接着(溶着)して構成されている。なお、積層する樹脂フィルムの枚数は、駆動回路10に柔軟性を持たせるのに適した枚数とする。
【0063】
電子部品15は、上述のような複数の熱可塑性の樹脂フィルムと接着して設けられており、熱可塑性樹脂11によって封止された状態である。よって、熱可塑性樹脂11中に内蔵する電子部品15は、ベアチップであっても採用することができる。なお、この熱可塑性樹脂11を構成する樹脂フィルムの構成材料は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、及びポリエーテルエーテルケトンとポリエーテルイミド、或いは液晶ポリマーなどを採用することができる。
【0064】
また、図3に示すように、外部用パッド14は、駆動回路10の一方の表面(絶縁基材における一方面)であり、第1ハウジング41との対抗面に設けられ、内部用パッド14aは、駆動回路10の他方の表面(絶縁基材における他方面、つまり、外部用パッド14の形成面に対する裏面)に設けられている。
【0065】
なお、駆動回路10は、図3に示すように、厚さ方向に垂直な仮想平面において、内蔵する電子部品15が配置される電子部品領域a1と、この電子部品領域a1を囲う領域であり電子部品15が配置されない周辺領域a2とを備える。ただし、駆動回路10は、このように電子部品領域a1と周辺領域a2とに必ず区分けする必要があるわけではない。
【0066】
この駆動回路10は、以下のようにして製造することができる。上述のような複数枚の熱可塑性の樹脂フィルムを内部に電子部品15を配置しつつ積層する。この状態の複数枚の熱可塑性の樹脂フィルムを加熱しながら、積層方向における両側から加圧する。例えば、250〜350℃の雰囲気温度下で1〜10MPaの圧力で10〜20分間加圧する。このようにして、一括で熱圧着接合して駆動回路10を製造することができる。なお、この製造方法は、一例であり、これに限定されるものではない。
【0067】
この駆動回路10は、図3に示すように、冷媒流路c1中であり且つ第1ハウジング41の内壁(曲面)に、例えば接着剤などによって取り付けられる。駆動回路10を第1ハウジング41に取り付ける場合、駆動回路10の表面に設けられた外部用パッド14と第1ハウジング41に設けられた端子用の穴部411aとが一致するように、駆動回路10と第1ハウジング41とを位置合わせして取り付けられる。つまり、駆動回路10は、外部用パッド14が穴部411aと位置合わせされて第1ハウジング41に取り付けられる。
【0068】
このように、第1ハウジング41は、駆動回路10と対向する面に、駆動回路10と外部回路とを電気的に接続する端子1000がシール部材411にて気密に配置される穴部411aを有する。駆動回路10は、外部用パッド14が形成された一面側を対向面として、外部用パッド14が穴部411aと位置合わせされて第1ハウジング41の内壁に取り付けられる。これによって、冷媒の漏れを抑制しつつ、駆動回路10をハウジング(第1ハウジング41と第2ハウジング)内に配置することができる。
【0069】
また、駆動回路10は、第1ハウジング41の内壁に密着させて取り付けると好ましい。このようにすることによって、穴部411aにシール部材411を設けなくても、穴部411aから冷媒が漏れることを抑制しつつ、駆動回路10をハウジング(第1ハウジング41と第2ハウジング)内に配置することができる。この点に関しては、後ほど詳しく説明する。
【0070】
さらに、駆動回路10が熱可塑性樹脂11を用いて構成されているために、駆動回路10を第1ハウジング41に熱圧着によって取り付けてもよい。このようにすることによって、駆動回路10を第1ハウジング41の内壁に密着させて取り付けやすくなる。この点に関しては、後ほど詳しく説明する。また、このように、熱圧着によって駆動回路10を第1ハウジング41に取り付ける際に、電子部品領域a1に対する押圧力よりも周辺領域a2に対する押圧力を強くすることで、駆動回路10と第1ハウジング41との接合力を向上させつつ、電子部品15に対する応力を抑制することができる。
【0071】
なお、駆動回路10を接着剤にて第1ハウジング41の内壁(曲面)に取り付ける際にも駆動回路10を第1ハウジング41に押しつける必要がある。よって、接着剤によって駆動回路10を第1ハウジング41に取り付ける際であっても、電子部品領域a1に対する押圧力よりも周辺領域a2に対する押圧力を強くすることで、駆動回路10と第1ハウジング41との接合力を向上させつつ、電子部品15に対する応力を抑制することができる。
【0072】
このように、駆動回路10は、絶縁基材が可撓性を有しているため、比較的自由に形状を変えることができる。また、駆動回路10に内蔵される電子部品15や配線部としての導体パターン12や層間接続部13は、熱可塑性樹脂11中に配置されるので、この熱可塑性樹脂11によって封止することができる。よって、この駆動回路10は、冷媒流路中であり、且つ、円柱形状の第1ハウジング41の内壁に対して、第1ハウジング41の内壁の曲面に沿った形状で取り付けることができる。
【0073】
従って、本実施の形態における電動コンプレッサ100は、駆動回路10における第1ハウジング41への取付面以外を直接冷媒に触れさせることができるので、駆動回路10の体格を大型化することなく、駆動回路10の冷却性を向上することができる。
【0074】
また、上述のように、ステータコア24aに凹部24a1を設け、この凹部24a1と第1ハウジング41の内壁との間に構成した冷媒流路c1に駆動回路10を配置することで、第1ハウジング41外部に駆動回路10の搭載スペースを確保する必要がない。よって、電動コンプレッサ100自体の体格を大きくすることなく、駆動回路10をハウジングの内部に搭載することができる。
【0075】
なお、本実施の形態においては、駆動回路10における絶縁基材として、熱可塑性の樹脂フィルムを複数枚用いる例を採用しているが、発明はこれに限定されるものではない。本発明の駆動回路10における絶縁基材は、少なくとも熱可塑性樹脂を含むものであればよく、熱可塑性樹脂を含み接着層として機能する基材フィルムと、熱硬化性樹脂を含む基材フィルムとを相互に積層接着してなるものを採用するようにしてもよい。
【0076】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
【0077】
例えば、上述の実施の形態においては、円筒形状の第1ハウジング41の内壁(曲面)に駆動回路10を取り付ける例を採用したが本発明はこれに限定されるものではない。その他の例としては、図5に示す変形例1のようにしてもよい。つまり、中空の略四角柱形状の第1ハウジング44の角部に駆動回路10を取り付けるようにしてもよい。なお、図5に示す電動コンプレッサの断面図は、上述の図2に相当するものである。また、図5においては、便宜上電動モータ20などは省略している。
【0078】
本発明における駆動回路10は、上述のように、絶縁基材が可撓性(柔軟性)を有しているため、比較的自由に形状を変えることができる。よって、図5に示すような、第1ハウジング44の角部であっても取り付けることができる。
【0079】
また、上述の実施の形態においては、ステータコア24aに凹部24a1を設ける例を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、第1ハウジング45の内壁と対向するステータコア24aの外壁との間に冷媒流路を設ける場合、図6に示す変形例2のように、第1ハウジング45に凹部45a(本発明の第2凹部に相当する)を設けるようにしてもよい。つまり、第1ハウジング41の内壁には、駆動軸22の径方向外側に凹んで、かつ駆動軸22の軸線方向に延びる凹部45aを設ける。これによって、冷媒流路c2は、第2凹部45aとステータコア24aの外壁との間に設けられる。なお、図6は、上述の実施の形態における図2に相当する図面であり、便宜上電動モータ20の断面構造に関しては簡略化して図示している。
【0080】
この凹部45aには、駆動回路10が取り付けられるものである。しかしながら、上述のように、本発明の駆動回路10は、比較的自由に形状を変えることができる。よって、凹部45aの形状は、特に限定されることはなく、比較的自由な形状とすることができる。凹部45aの一例としては、図6に示すように、断面(駆動軸22に垂直な仮想平面で切断した場合の断面)形状がコ字形状をなすものである。
【0081】
なお、本実施の形態においては、ステータコア24aと第1ハウジング41の内壁との間に冷媒流路c1、c2を設ける例を採用したが本発明はこれに限定されるものではない。本発明の電動コンプレッサは、第1ハウジング41内において吸入口41a1と圧縮機構部30との間に設けられるものであれば、本発明の目的は達成できるものである。
【0082】
よって、本発明における駆動回路10を配置する位置は、ステータコア24aと第1ハウジング41の内壁との間に限定されるものではなく、冷媒流路を構成するハウジング(第1ハウジング41)の内壁であれば特に限定されるものではない。つまり、駆動回路10は、冷媒に晒される位置であって、ハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)の内壁の形状に沿った形状で取り付けられるものであれば、本発明の目的を達成できるものである。
【0083】
つまり、本発明は、回路基板の体格を大型化することなく、回路基板の冷却性を向上することができる電動コンプレッサを提供することを目的とするものである。
【0084】
よって、電動コンプレッサは、
冷媒吸入口(吸入口41a1)と冷媒吐出口(吐出口42a1)とを有するハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)と、
前記ハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)内に収納される電動モータ20と、
前記ハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)内に収納され、当該ハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)の外部に設けられた外部回路及び前記電動モータ20と電気的に接続されて前記電動モータ20を駆動する駆動回路10と、
前記ハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)内に収納され、前記電動モータ20の回転駆動力によって駆動されて前記冷媒吸入口(吸入口41a1)から冷媒を吸入し、該冷媒を圧縮して前記冷媒吐出口(吐出口42a1)から吐出する圧縮機構部30と、
前記ハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)内において前記冷媒吸入口(吸入口41a1)と前記圧縮機構部30との間に設けられる前記冷媒が流れる冷媒流路(冷媒流路c1、冷媒流路c2)と、を備える電動コンプレッサ100であって、
前記駆動回路10は、少なくとも熱可塑性樹脂11を含む絶縁基材の内部に配置された電子部品15と、前記絶縁基材における表面に形成され前記電動モータ20と電気的に接続される内部接続用電極(内部用パッド14a)と、前記絶縁基材における表面に形成され前記外部回路と電気的に接続される外部接続用電極(外部用パッド14)と、前記絶縁基材の内部に配置され、前記内部接続用電極(内部用パッド14a)及び前記外部接続用電極(外部用パッド14)と対応する前記電子部品15の端子とを電気的に接続する配線部(導体パターン12、層間接続部13)と、により構成され、
前記駆動回路10は、前記絶縁基材が可撓性を有しており、前記冷媒流路(冷媒流路c1、冷媒流路c2)を構成する前記ハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)の内壁に対して、当該ハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)の内壁の形状に沿った形状で取り付けられていることを特徴とするものであればよい。
【0085】
このように、駆動回路10は、絶縁基材が可撓性を有しているため、比較的自由に形状を変えることができる。また、駆動回路10の電子部品15や配線(導体パターン12、層間接続部13)部は、この熱可塑性樹脂11を含む絶縁基材中に配置されるので、この絶縁基材によって封止することができる。よって、外部回路及び電動モータ20と電気的に接続される駆動回路10は、冷媒流路中であり、且つ、ハウジングの内壁に対して、ハウジングの内壁の形状に沿った形状で取り付けることができる。
【0086】
従って、この電動コンプレッサ100は、駆動回路10におけるハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)への取付面以外を直接冷媒に触れさせることができるので、駆動回路10の体格を大型化することなく、駆動回路10の冷却性を向上することができる。
【0087】
また、上述の絶縁基材としては、熱可塑性樹脂11を含む基材フィルムを複数枚積層し、相互に接着してなるものを採用することができる。このようにすることによって、電子部品15や配線部(導体パターン12、層間接続部13)を内部に配置した状態で複数枚の基材フィルムを積層して、これを加熱しながら、基材フィルムの積層方向から加圧することで駆動回路を構成することができる。
【0088】
その他にも、絶縁基材としては、熱可塑性樹脂を含み接着層として機能する基材フィルムと、熱硬化性樹脂を含む基材フィルムとを相互に積層接着してなるものを採用することができる。
【0089】
また、基材フィルムは、配線部として、ビアホール(ビアホール13a)内に導電体が埋め込まれた接続ビア(層間接続部13)を有するようにしてもよい。
【0090】
また、ハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)は、駆動回路10と対向する面に、駆動回路10と外部回路とを電気的に接続する接続部材(端子1000)が気密に配置される穴部(穴部411a)を有するものであり、駆動回路10は、外部接続用電極(外部用パッド14)が形成された一面側を対向面として、外部接続用電極(外部用パッド14)が穴部(穴部411a)と位置合わせされてハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)の内壁に取り付けられるようにしてもよい。このようにすることによって、冷媒の漏れを抑制しつつ、駆動回路10をハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)内に配置することができる。
【0091】
電動モータは、
ハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)内において回転自在に支持されて圧縮機構部30に回転駆動力を伝える駆動軸22と、
駆動軸22の径方向外側に配置されているステータコア24a、及びステータコア24aに回巻されているステータコイル24bを含み、駆動回路10からの駆動電流によって回転磁界を発生するステータ24と、
ステータコア24aに対して駆動軸22の径方向中心側に配置され、ステータ24から発生される回転磁界に基づいて前記駆動軸22を回転させるロータ23と、を備え、
冷媒流路(冷媒流路c1、冷媒流路c2)は、ハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)の内壁と、ハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)の内壁と対向するステータコア24aの外壁との間であって、駆動軸22の軸線方向に延設されるようにしてもよい。このようにすることによって、駆動回路10と電動モータ20の両方を冷却することができるので好ましい。
【0092】
また、このようにハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)の内壁と、ハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)の内壁と対向するステータコア24aの外壁との間に冷媒流路(冷媒流路c1)を設ける場合、
ステータコア24aの外壁には、駆動軸22の径方向中心側に凹んで、かつ駆動軸22の軸線方向に延びる第1凹部24a1が設けられ、冷媒流路(冷媒流路c1)は、ハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)の内壁と第1凹部24a1との間に設けられるようにしてもよい。このようにすることによって、電動コンプレッサ100自体の体格を大きくすることなく、駆動回路10をハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)の内部に搭載することができる。
【0093】
また、ハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)の内壁と、ハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)の内壁と対向するステータコア24aの外壁との間に冷媒流路(冷媒流路c2)を設ける場合、ハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)の内壁には、駆動軸22の径方向外側に凹んで、かつ駆動軸22の軸線方向に延びる第2凹部45aが設けられ、冷媒流路(冷媒流路c2)は、第2凹部45aとステータコア24aの外壁との間に設けられるようにしてもよい。
【0094】
なお、この第2凹部45aには、駆動回路10が取り付けられる。しかしながら、上述のように、本発明の駆動回路10は、比較的自由に形状を変えることができる。よって、第2凹部45aの形状は、特に限定されるとなく、比較的自由に設定することができる。
【0095】
また、駆動回路10は、厚さ方向に垂直な仮想平面において、電子部品15が配置される電子部品領域a1と、この電子部品領域a1を囲う領域であり電子部品15が配置されない周辺領域a2とを備えるようにしてもよい。このようにすることによって、熱圧着などによって駆動回路10をハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)に取り付ける際に、電子部品領域a1に対する押圧力よりも周辺領域a2に対する押圧力を強くすることで、駆動回路10とハウジング(第1ハウジング41、第2ハウジング42)との接合力を向上させつつ、電子部品15に対する応力を抑制することができる。
【0096】
(第2の実施の形態)
上述のように、穴部411aから冷媒が漏れることを抑制するために、第1ハウジング41の内壁に駆動回路10を密着させて取り付けることによって、端子1000や端子1000と外部用パッド14との接続部を冷媒から隔離することができる。つまり、端子1000や端子1000と外部用パッド14との接続部を液密にすることができる。
【0097】
上述の実施の形態及び変形例においては、回路基板の取付構造を電動コンプレッサに適用した例を採用した。しかしながら、本発明における電子装置は、これに限定されるものではない。つまり、本発明の電子装置は、電動コンプレッサ以外、例えば、フューエルポンプ、ウォータポンプ、オイルポンプ等にも適用できるものである。また、本実施の形態の電子装置における回路基板は、ハウジングの内壁の形状に沿った形状で取り付けられていなくても目的は達成できるものである。
【0098】
第2の実施の形態における電子装置は、図7に示すように、回路基板10、端子1000(外部接続用端子)、隔離部材として接着剤50などを備える。回路基板10は、ハウジング内の冷媒中に配置されるものであり電子部品15が封止された状態で搭載されるとともに、この電子部品15と電気的に接続された外部用パッド14(外部接続用電極)が設けられる。端子1000は、回路基板10の外部用パッド14と電気的に接続される。接着材(例えば、エポキシ系接着剤など)50は、外部用パッド14と端子1000との接続部及び端子1000を冷媒から隔離するものである。なお、回路基板10の構成及び製造方法は、上述の駆動回路10と略同じである。よって、本実施の形態における回路基板は、上述の駆動回路と同じ符号を付与している。
【0099】
この回路基板10は、熱可塑性樹脂11からなる絶縁基材の内部に配置(封止)された電子部品15と、絶縁基材内に形成され端子1000に電気的に接続された外部用パッド14(外部接続用電極)と、絶縁基材の内部に配置され、外部用パッド14と対応する電子部品15の端子とを電気的に接続する配線部としての導体パターン(図示省略、上述の実施の形態と同様)及び層間接続部13を備えるものである。つまり、導体パターン及び層間接続部13を配線部として備える。また、図7に示すように、外部用パッド14は、回路基板10の一方の表面側(絶縁基材における一方面側)であり、ハウジング60の内壁61との対抗面側に設けられる。
【0100】
また、この熱可塑性樹脂11からなる絶縁基材は可撓性を有していてもよいし、可撓性を有していなくてもよい。換言すると、回路基板10は、柔軟性を有していてもよいし、柔軟性を有していなくてもよい。回路基板10として、柔軟性を有しているものを採用すると、形状を比較的自由に変形させることができる。なお、回路基板10は、絶縁基材として可撓性を有しているものを採用することによって、可撓性とすることができる。
【0101】
この熱可塑性樹脂11は、表面に配線部の一部としての導体パターンが形成されると共に、この導体パターンを底部とするビアホール13a内に導電体(例えば、導電性ペースト)が埋め込まれた配線部の一部としての層間接続部13(接続ビア)を有する熱可塑性の樹脂フィルム(基材フィルム)や、電子部品15の体格に応じた貫通孔を有する熱可塑性の樹脂フィルム(基材フィルム)などを複数層積層して、相互に接着(溶着)して構成されている。また、表層の熱可塑性樹脂11又は表層から数枚の熱可塑性樹脂11は、電子部品15の電極に対応した位置に、端子1000における絶縁基材内の配置される部分の体格に応じた穴を有している。なお、回路基板10に可撓性を持たせるためには、積層する樹脂フィルムの枚数を回路基板10に柔軟性を持たせるのに適した枚数とする。
【0102】
換言すると、回路基板10は、熱可塑性樹脂11からなる絶縁基材中に導体パターンが多層に配置され、異なる層の導体パターンの一部が層間接続部13(例えば、導電性ペーストなどを採用することができる)によって電気的に層間接続されると共に、絶縁基材中に導体パターン(配線部)及び層間接続部13(配線部)と電気的に接続された電子部品15が配置された多層基板である。
【0103】
電子部品15は、上述のような複数の熱可塑性の樹脂フィルムと接着して設けられており、熱可塑性樹脂11によって封止された状態である。よって、熱可塑性樹脂11中に内蔵する電子部品15は、ベアチップであっても採用することができる。また、端子1000の一部も、熱可塑性樹脂11中に内蔵される。
【0104】
なお、この熱可塑性樹脂11を構成する樹脂フィルムの構成材料は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、及びポリエーテルエーテルケトンとポリエーテルイミド、或いは液晶ポリマーなどを採用することができる。
【0105】
この回路基板10は、以下のようにして製造することができる。上述のような複数枚の熱可塑性の樹脂フィルムを、内部に電子部品15を配置しつつ、端子1000の一部を内部に配置して外部用パッド14と位置合わせして積層する。この状態の複数枚の熱可塑性の樹脂フィルムを加熱しながら、積層方向における両側から加圧する。例えば、250〜350℃の雰囲気温度下で1〜10MPaの圧力で10〜20分間加圧する。このようにして、一括で熱圧着接合して回路基板10を製造することができる。なお、この製造方法は、一例であり、これに限定されるものではない。
【0106】
これによって、回路基板10は、電子部品15と、導体パターン及び層間接続部13とが熱可塑性樹脂11にて封止される。このようにすることによって、容易に電子部品15及び導体パターン及び層間接続部13を封止することができる。熱可塑性樹脂11は加熱すると溶融し、加熱温度が下がると固化する。よって、熱可塑性樹脂を加熱しながら、加圧することで、電子部品15及び導体パターン及び層間接続部13を容易に封止することができる。
【0107】
なお、端子1000の構成に関しては、上述の端子と同様である。よって、本実施の形態における端子1000は、上述の端子1000と同じ符号を付与して詳しい説明を省略する。
【0108】
図7における符号60は、冷媒を囲うハウジングである。つまり、ハウジング60の内部には、冷媒が配置(満た)されている。よって、ハウジング60内は、冷媒雰囲気となっている。なお、例えば、ハウジング60は、上述の実施の形態と同様に、冷媒をハウジング60内に吸入するための吸入口(冷媒吸入口)及び、冷媒をハウジング60外に吐出するための吐出口(冷媒吐出口)が形成されていてもよい。この冷媒は、HFC系冷媒、HC系冷媒、及びHFO系冷媒などを採用することができる。さらに、冷媒は、導電性の冷媒や金属に対する腐食作用の冷媒などであっても採用することができる(例えば、イオン液体や冷却水)。
【0109】
また、ハウジング60における回路基板10が取り付けられる部位には、回路基板10と外部の回路とを電気的に接続するための金属からなる端子1000(外部接続用端子)を通すための貫通孔62が設けられている。つまり、ハウジング60の壁には、この壁を貫通する貫通孔62が設けられている。なお、上述の実施の形態においては、この貫通孔62は、絶縁性のシール部材411が設けられる旨を記載した。しかしながら、本実施の形態においては、貫通孔62は、接着剤50で封止されるので、シール部材411は必要ない。つまり、ハウジング60は、接着剤50によってシールされており、ハウジング60の内部側である空間部は気密性が保たれている。
【0110】
この回路基板10は、図7に示すように、ハウジング60の内壁61に、隔離部材である接着剤50によって取り付けられる。より詳細には、回路基板10は、端子1000の一部がハウジング60の壁を貫通する貫通孔62からハウジング60外に配置された状態で、接着剤50を介してハウジング60の内壁61に取り付けられる。これによって、回路基板10は、ハウジング60内の冷媒中に配置される。なお、回路基板10をハウジング60に取り付ける場合、回路基板10の外部用パッド14に接続された端子1000とハウジング60に設けられた端子用の貫通孔62とが一致するように、回路基板10とハウジング60とを位置合わせして取り付けられる。
【0111】
また、接着剤50は、回路基板10の内壁61との対向面において、端子1000及び端子1000と外部用パッド14との接続部を囲いつつ、貫通孔62に対向する位置を囲って配置される。つまり、接着剤50は、回路基板10と内壁61との間において、端子1000及び端子1000と外部用パッド14との接続部及び貫通孔62に対向する位置の周囲に設けられる。
【0112】
なお、上述のように、端子1000と外部用パッド14との接続部は、回路基板10における絶縁基材(熱可塑性樹脂11)によって冷媒から隔離されている。よって、接着剤50は、回路基板10の内壁61との対向面において、端子1000を囲いつつ、貫通孔62に対向する位置を囲って配置されると言い換えることができる。すなわち、接着剤は、回路基板10と内壁61との間において、端子1000及び貫通孔62に対向する位置の周囲に設けられとも言い換えることができる。
【0113】
このように、端子1000は、ハウジング60の内壁61と、内壁61に対向する回路基板10の表面とを接着剤50で接着することで冷媒から隔離される。つまり、端子1000は、接着剤50で冷媒から隔離される。なお、端子1000と外部用パッド14との接続部は、回路基板10の絶縁基材(熱可塑性樹脂11)で封止されている。よって、回路基板10の絶縁基材(熱可塑性樹脂11)に関しても、隔離部材と称することができる。
【0114】
このように、回路基板10は、冷媒中に配置されるので、直接冷媒に触れることになる。よって、回路基板10の冷却性を向上させることができる。
【0115】
さらに、このように、端子1000及び端子1000と外部用パッド14との接続部を冷媒から隔離する接着剤50などの隔離部材を備えることによって、端子1000及び端子1000と外部用パッド14との接続部が、冷媒に触れることを抑制できる。よって、金属に対して腐食作用のある冷媒を用いた場合であっても、端子1000や端子1000と外部用パッド14との接続部が腐食することを抑制できる。また、導電性の冷媒を用いた場合であっても、端子1000や端子1000と外部用パッド14との接続部が冷媒と導通することを抑制できる。従って、回路基板10の冷却性を向上させつつ、端子1000や端子1000と外部用パッド14との接続部の信頼性を向上させることができる。なお、電子部品15は、封止された状態で回路基板10に搭載されているため、金属に対して腐食作用のある冷媒や導電性の冷媒を用いた場合であっても、この冷媒によって信頼性が低下することはない。換言すると、第2の実施の形態における電子装置は、非導電性の冷媒だけではなく、金属に対して腐食作用のある冷媒や導電性の冷媒を用いることができる。よって、冷媒の選択の自由度を向上させることができる。
【0116】
また、このようにすることによって、ハウジング60に対して回路基板10を取り付けつつ、端子1000及び端子1000と外部用パッド14との接続部を冷媒から隔離することができる。さらに、端子1000の一部をハウジング60外に配置させつつ、ハウジング60に設けられた端子1000が挿入される貫通孔62から、冷媒が漏れることも抑制できる。
【0117】
なお、ここでは、外部用パッド14は、絶縁基材内に設けられる例を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、外部用パッド14は、絶縁基材の表面(内壁61に対する対向面)に設けられるようにしてもよい。このようにしても、端子1000及び端子1000と外部用パッド14との接続部は、隔離部材である接着剤50にて冷媒と隔離されているため、冷媒によって信頼性が低下することはない。
【0118】
なお、図示は省略するが、ハウジング60内の装置と電気的に接続するための内部用パッド(内部接続用電極)を、絶縁基材における表面(外部用パッド14と同じ面)に備えるようにしてもよい。又は、内部用パッドは、絶縁基材(熱可塑性樹脂11)内に設けてもよい。そして、この内部用パッドに接続される端子は、外部用パッド14に接続された端子1000と同じ方向に、絶縁基材から突出するように設ける。この場合、回路基板10とハウジング60内の装置とは、ハウジング60の外部(冷媒雰囲気外)で電気的に接続するとよい。このようにすることによって、回路基板10とハウジング60内の装置との接続部が冷媒に晒されることを抑制できるので好ましい。
【0119】
具体的には、ハウジング60内の装置に電気的に接続された装置側端子(装置用配線部)は、ハウジング60の壁に設けられた貫通孔に通された状態で、シール部材にて貫通孔に気密に保持される。これによって、装置側端子の一部は、ハウジング60の外部に配置される。つまり、装置側端子は、ハウジング60の壁に設けられた貫通孔に気密に保持されつつ、少なくとも一部がハウジング60の外部に配置される。
【0120】
一方、回路基板10の内部用パッドには、外部用パッド14と同様に、一部がハウジング60の外部に配置される端子が電気的に接続される。そして、内部用パッドに接続された端子やこの端子と内部用パッドとの接続部は、上述の端子1000や端子1000と外部用パッド14との接続部と同様に、接着剤50によって冷媒から隔離される。そして、装置側端子(装置用配線部)と、内部用パッドに接続された端子とは、ハウジング60の外部で電気的に接続する。なお、内部用パッドが絶縁基材(熱可塑性樹脂11)内に設けられている場合は、端子と内部用パッドとの接続部は、熱可塑性樹脂11によって冷媒から隔離される。
【0121】
このように、回路基板10は、ハウジング60の内壁61との対向面にのみ、電極(外部用パッド14や内部用パッド)を備えるようにすると好ましい。つまり、回路基板10は、回路基板10においては、絶縁基材(熱可塑性樹脂11)の外部に露出した金属部(電極である外部用パッド14や内部用パッド)は、ハウジング60の内壁61との対向面にのみに設けられるようにすると好ましい。これによって、端子1000や端子1000と電極(外部用パッド14や内部用パッド)との接続部を冷媒から隔離しやすいので好ましい。
【0122】
なお、絶縁基材としては、熱可塑性樹脂11を含み接着層として機能する基材フィルムと、熱硬化性樹脂を含む基材フィルムとを相互に積層接着してなるものを採用することができる。
【0123】
また、可撓性を有した絶縁基材を採用した回路基板10は、ハウジング60の内壁に対して、ハウジング60の内壁の形状に沿った形状で取り付けることができる。このようにすることによって、ハウジング60の形状に関係なく、回路基板10をハウジング60の内壁61に取り付けることができる。よって、ハウジング60の体格を大きくすることなく、回路基板10をハウジング60(冷媒雰囲気)内に配置することができる。
【0124】
(変形例3)
上述の実施の形態においては、接着剤50及び回路基板10の絶縁基材(熱可塑性樹脂11)によって、端子1000、端子1000と外部用パッド14との接続部を冷媒から隔離する例を用いたが本発明これに限定されるものではない。図8(a)に示す変形例3のように、Oリング80とネジ70によって、端子1000、端子1000と外部用パッド14との接続部を冷媒から隔離するようにしてもよい。上述の第2の実施の形態と、変形例3とは、同一な箇所が多いため、同一な箇所に関しては説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
【0125】
回路基板10は、基本的には、第2の実施の形態によるものと同一である。しかしながら、回路基板10は、ハウジング60の内壁61との対向面にのみ、電極(ここでは外部用パッド14)が設けられている。換言すると、回路基板10においては、絶縁基材(熱可塑性樹脂11)の外部に露出した金属部(ここでは電極である外部用パッド14)は、ハウジング60の内壁61との対向面にのみ設けられている。
【0126】
さらに、本変形例における回路基板10は、図8(a)に示すように、外部用パッド14が絶縁基材(熱可塑性樹脂11)の表面に設けられている。また、回路基板10は、一部(ここでは四隅)に絶縁基材(熱可塑性樹脂11)を貫通する貫通孔11aが設けられている。なお、外部用パッド14と端子1000とは、回路基板10が加熱・加圧によって製造された後に電気的に接続される。
【0127】
また、ハウジング60は、基本的には第2の実施の形態によるものと同一である。しかしながら、本変形例におけるハウジング60は、図8(a)に示すように、ネジ70の雄ネジ部71に対応する雌ネジ部63が設けられている。このハウジング60における雌ネジ部63は、このハウジング60に取り付けられる回路基板10における貫通孔11aに対向する位置に設けられる。図8(a)は、ハウジング60に対して回路基板10が取り付けられた状態の断面図であり、第2の実施の形態における図7に相当するものである。
【0128】
Oリング80は、本発明の隔離部材(環状の弾性部材)に相当するものである。このOリング80は、図8(b)に示すように、回路基板10の内壁61との対向面において、端子1000及び端子1000と外部用パッド14との接続部を囲いつつ、貫通孔62に対向する位置を囲って配置されるものである。図8(b)は、回路基板10に対して、Oリング80が配置され、貫通孔11aにネジ70が挿入された状態における、回路基板10の外部用パッド14側の平面図である。
【0129】
なお、本変形例においては、環状の弾性部材として、Oリング80を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。端子1000及び端子1000と外部用パッド14との接続部を囲いつつ、貫通孔62に対向する位置を囲うことができ、回路基板10とハウジング60の内壁61とに密着するものであれば採用することができる。
【0130】
また、本変形例においては、複数の端子1000、複数の接続部、及び複数の貫通孔62に対向する位置を一括で囲う一つのOリング80を採用したが本発明はこれに限定されるものではない。例えば、一つの端子1000、この端子1000と外部用パッド14との接続部、この端子1000が配置される貫通孔62に対向する位置を囲うOリング80を設けるようにしてもよい。つまり、図8(a)のように、3つの端子1000を有する場合は、三つのOリング80を用いるようにしてもよい。換言すると、端子1000(一つの端子1000、この端子1000と外部用パッド14との接続部、この端子1000が配置される貫通孔62に対向する位置)毎にOリングを設けるようにしてもよい。
【0131】
また、ネジ70は、本発明の隔離部材(押圧部材)に相当するものである。このネジ70は、図8(a)に示すように、回路基板10を内壁61側に押圧して、回路基板10をハウジング60に取り付けるものである。ネジ70は、少なくとも先端部の一部に雌ネジ部63に対応する雄ネジ部71が設けられている。なお、本変形例では、押圧部材として、ネジ70を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。回路基板10を内壁61側に押圧して、回路基板10をハウジング60に取り付けることができるものであれば採用することができる。
【0132】
この回路基板10は、端子1000の一部が貫通孔62からハウジング60外に配置された状態で、Oリング80を介して、ネジ70によってハウジング60の内壁61に取り付けられる。回路基板10は、雌ネジ部63に対して雄ネジ部71を螺子止めすることによって、ハウジング60の内壁61に押圧される。これによって、Oリング80は、ハウジング60の内壁61と、内壁61に対向する回路基板10の表面とに密着する。変形例3においては、このようにネジ70とOリング80とで、端子1000及び端子1000と外部用パッド14との接続部を冷媒から隔離するものである。
【0133】
このようにすることによって、ハウジング60に対して回路基板10を取り付けつつ、端子1000及び端子1000と外部用パッド14との接続部を冷媒から隔離することができる。さらに、端子1000の一部をハウジング60外に配置させつつ、ハウジング60に設けられた貫通孔62から、冷媒が漏れることも抑制できる。
【0134】
なお、本変形例においても、上述の実施の形態のように、端子1000が回路基板10の絶縁基材(熱可塑性樹脂11)によって封止された構造を採用してもよい。
【0135】
(変形例4)
また、上述の実施の形態においては、接着剤50及び回路基板10の絶縁基材(熱可塑性樹脂11)によって、端子1000、端子1000と外部用パッド14との接続部を冷媒から隔離する例を用いたが本発明これに限定されるものではない。図9(a)に示す変形例4のように、台座90と接着剤51とによって、端子1000、端子1000と外部用パッド14との接続部を冷媒から隔離するようにしてもよい。変形例4における回路基板10は、台座90の搭載面92bに搭載された状態でハウジング60に取り付けられるものである。上述の第2の実施の形態と、変形例4とは、同一な箇所が多いため、同一な箇所に関しては説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
【0136】
回路基板10は、基本的には、第2の実施の形態によるものと同一である。しかしながら、本変形例における回路基板10は、図9(a)に示すように、外部用パッド14が絶縁基材(熱可塑性樹脂11)の表面に設けられている。つまり、回路基板10においては、絶縁基材(熱可塑性樹脂11)の外部に露出した金属部(ここでは電極である外部用パッド14)は、台座90の搭載面92bとの対向面にのみ設けられている。なお、外部用パッド14と端子1000とは、回路基板10が加熱・加圧によって製造された後に電気的に接続される。
【0137】
また、ハウジング60は、基本的には第2の実施の形態によるものと同一である。しかしながら、本変形例におけるハウジング60は、図9(a)に示すように、台座90の一部が挿入される貫通孔64(第1貫通孔)が設けられるとともに、貫通孔64に沿うハウジング60の側壁に台座90の雄ネジ部91aに対応する雌ネジ部65が設けられている。図9(a)は、ハウジング60に対して回路基板10が取り付けられた状態の断面図であり、第2の実施の形態における図7に相当するものである。
【0138】
台座90は、本発明の隔離部材に相当するものであり、ハウジング60に取り付けられる取付部91と、回路基板10が搭載される載置部92とからなる。取付部91と載置部92は、円柱形状を有し、一体的に形成されるものである。取付部91と載置部92は、取付部91の中心軸と載置部92の中心軸とが同一の直線状となるように設けられている。
【0139】
取付部91は、自身の外周に沿って(すなわち壁部に)、ハウジング60の雌ネジ部65に対応する雄ネジ部91aが設けられている。載置部92は、一方の面側に取付部91が配置されており、この取付部91よりも直径が長く設けられている。そして、載置部92は、取付部91が設けられた方にハウジング60の内壁61と対向してOリング81が当接する当接面92aを有し、当接面92aの反対面に回路基板10が搭載される搭載面92bを有する。例えば、当接面92a及び搭載面92bは、平坦面をなすものである。また、台座90(取付部91と載置部92)は、搭載面92bに回路基板10が取り付けられた状態で端子1000が配置されるものであり、自身を中心軸方向に貫通する貫通孔91b(第2貫通孔)が設けられている。なお、図9(b)は、ハウジング60に取り付けられる前の台座90の平面図である。より具体的には、台座90をハウジング60の外側から見たときの平面図である。
【0140】
台座90は、図9(a)に示すように、取付部91を囲う位置に配置されたOリング81を介して、ハウジング60の壁に取り付けられる。よって、台座90は、ハウジング60の壁を貫通する貫通孔64を封止しつつ、ハウジング60の壁に取り付けられる。つまり、台座90は、雌ネジ部65に対して雄ネジ部91aを螺子止めすることによって、ハウジング60の内壁61側に取り付けられる。また、これによって、ハウジング60の内壁61と台座90の当接面92aとの間に配置されたOリング81は、ハウジング60の内壁61と、内壁61に対向する台座90の当接面92aとに密着する。
【0141】
回路基板10は、このようにハウジング60に取り付けられた台座90の搭載面92bに、隔離部材である接着剤51によって取り付けられる。より詳細には、回路基板10は、端子1000の一部が台座90の貫通孔91b及びハウジング60の貫通孔64からハウジング60外に配置された状態で、接着剤51を介して台座90の搭載面92bに取り付けられる。これによって、回路基板10は、ハウジング60内の冷媒中に配置される。なお、回路基板10を台座90に取り付ける場合、回路基板10の外部用パッド14に接続された端子1000と台座90に設けられた端子用の貫通孔91bとが一致するように、回路基板10と台座90とを位置合わせして取り付けられる。
【0142】
また、接着剤51は、回路基板10の搭載面92bとの対向面において、端子1000及び端子1000と外部用パッド14との接続部を囲いつつ、貫通孔91bに対向する位置を囲って配置される。つまり、接着剤は、回路基板10と搭載面92bとの間において、端子1000及び端子1000と外部用パッド14との接続部及び貫通孔62に対向する位置の周囲に設けられる。
【0143】
なお、本変形例においても、上述の実施の形態のように、端子1000の一部が回路基板10の絶縁基材(熱可塑性樹脂11)によって封止された構造を採用してもよい。この場合、端子1000と外部用パッド14との接続部は、回路基板10における絶縁基材(熱可塑性樹脂11)によって冷媒から隔離される。よって、接着剤51は、回路基板10の搭載面92bとの対向面において、端子1000を囲いつつ、貫通孔91bに対向する位置を囲って配置されると言い換えることができる。すなわち、接着剤51は、回路基板10と搭載面92bとの間において、端子1000及び貫通孔91bに対向する位置の周囲に設けられとも言い換えることができる。
【0144】
このように、端子1000は、台座90の貫通孔91bに配置され、台座90の搭載面92bと搭載面92bに対向する回路基板10の表面とを接着剤51で接着することで冷媒から隔離される。つまり、端子1000は、台座90と接着剤51で冷媒から隔離される。
【0145】
このようにすることによって、ハウジング60に対して回路基板10を取り付けつつ、端子1000及び端子1000と外部用パッド14との接続部を冷媒から隔離することができる。さらに、端子1000の一部をハウジング60外に配置させつつ、台座90に設けられた端子1000が挿入される貫通孔91bから、冷媒が漏れることも抑制できる。
【0146】
また、本変形例においても、可撓性を有した絶縁基材を用いた回路基板10を採用することができる。可撓性を有した絶縁基材を採用した回路基板10は、台座90の搭載面92bに対して、台座90の搭載面92bの形状に沿った形状で取り付けることができる。このようにすることによって、台座90の搭載面92bの形状に関係なく、回路基板10を台座90の搭載面92bに取り付けることができる。
【0147】
(変形例5)
上述の実施の形態においては、接着剤50及び回路基板10の絶縁基材(熱可塑性樹脂11)によって、端子1000、端子1000と外部用パッド14との接続部を冷媒から隔離する例を用いたが本発明これに限定されるものではない。図10に示す変形例5のように、回路基板10の絶縁基材(熱可塑性樹脂11)のみによって、端子1000、端子1000と外部用パッド14との接続部を冷媒から隔離するようにしてもよい。上述の第2の実施の形態と、変形例5とは、同一な箇所が多いため、同一な箇所に関しては説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。
【0148】
回路基板10は、基本的には、第2の実施の形態によるものと同一である。しかしながら、本変形例における回路基板10は、図10に示すように、外部用パッド14が絶縁基材(熱可塑性樹脂11)の表面に設けられている。つまり、外部用パッド14は、絶縁基材(熱可塑性樹脂11)の外部に露出するように設けられている。
【0149】
また、回路基板10は、ハウジング60の内壁61との対向面にのみ、電極(ここでは外部用パッド14)が設けられている。つまり、回路基板10においては、絶縁基材(熱可塑性樹脂11)の外部に露出した金属部(ここでは電極である外部用パッド14)は、ハウジング60の内壁61との対向面にのみ設けられている。図10は、ハウジング60に対して回路基板10が取り付けられた状態の断面図であり、第2の実施の形態における図7に相当するものである。
【0150】
さらに、回路基板10におけるハウジング60の内壁61と対向する対向面は、熱可塑性樹脂11によって構成されている。より具体的には、回路基板10の内壁61との対向面には、端子1000及び端子1000と外部用パッド14との接続部を囲いつつ、貫通孔62に対向する位置を囲って、隔離部材としての熱可塑性樹脂11が配置される。
【0151】
この回路基板10は、端子1000の一部がハウジング60の壁を貫通する貫通孔62からハウジング60外に配置された状態で、ハウジング60の内壁61に取り付けられるものであ。そして、隔離部材としての熱可塑性樹脂11は、ハウジング60の内壁61に密着してハウジング60の内壁61に貼り付きつつ、端子1000及び端子1000と外部用パッド14との接続部を冷媒から隔離する。
【0152】
なお、接着剤などを別途用いることなく、回路基板10をハウジング60の内壁に取り付けるには、例えば、回路基板10に熱を加えつつ、ハウジング60の内壁61に押し付けることによって取り付けることができる。すなわち、回路基板10は、熱圧着によってハウジング60の内壁61に取り付けることができる。
【0153】
このようにすることによって、接着剤や台座などを用いることなく、ハウジング60に対して回路基板10を取り付けつつ、端子1000及び端子1000と外部用パッド14との接続部を冷媒から隔離することができる。さらに、端子1000の一部をハウジング60外に配置させつつ、ハウジング60に設けられた貫通孔62から、冷媒が漏れることも抑制できる。
【0154】
また、本変形例においても、可撓性を有した絶縁基材を用いた回路基板10を採用することができる。可撓性を有した絶縁基材を採用した回路基板10は、ハウジング60の内壁に対して、ハウジング60の内壁の形状に沿った形状で取り付けることができる。このようにすることによって、ハウジング60の形状に関係なく、回路基板10をハウジング60の内壁61に取り付けることができる。よって、ハウジング60の体格を大きくすることなく、回路基板10をハウジング60(冷媒雰囲気)内に配置することができる。
【0155】
なお、上述の実施の形態2及び変形例3〜5は、上述の実施の形態1及び変形例1〜2と適宜組み合わせて実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0156】
S1 吸入側空間部、S2 吐出側空間部、S3 空間部、a1 電子部品領域、a2 周辺領域、c1 冷媒流路、c2 冷媒流路、10 駆動回路、11 熱可塑性樹脂、11a 貫通孔、12 導体パターン、13 層間接続部、13a ビアホール、14 外部用パッド、14a 内部用パッド、15 電子部品、20 電動モータ、21 軸支持部材、22 駆動軸、22a ベアリング、22b 偏心部、23 ロータ、24 ステータ、24a ステータコア、24a1 凹部、24b ステータコイル、26 ピン、27 ベアリング、28 ブッシュ、30 圧縮機構部、32 固定スクロール、32a 固定ラップ、32b 吐出ポート、33 旋回スクロール、33a 旋回ラップ、34 圧縮室、35 吐出弁、41a1 吸入口、41 第1ハウジング、41a 底部、42 第2ハウジング、42a1 吐出口、43 ボルト、45a 凹部、50,51 接続部材、60 ハウジング、61 内壁、62 貫通孔、63 雌ネジ部、64 貫通孔、65 雌ネジ部、70 ネジ、71 雄ネジ部、80,81 Oリング、90 台座、91 取付部、91a 雄ネジ部、91b 貫通孔、92 載置部、92a 当接面、92b 搭載面、100 電動コンプレッサ、411 シール部材、411a 穴部、1000 端子、1020 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内の冷媒中に配置されるものであり、電子部品が封止された状態で搭載されるとともに当該電子部品と電気的に接続された外部接続用電極が設けられた回路基板と、
前記外部接続用電極と電気的に接続された外部接続用端子と、
前記外部接続用端子及び前記外部接続用電極と前記外部接続用端子との接続部を前記冷媒から隔離する隔離部材と、を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記回路基板は、少なくとも熱可塑性樹脂を含む絶縁基材と、前記電子部品と前記外部接続用電極とに電気的に接続された配線部とを含み、
前記電子部品及び前記配線部は、前記熱可塑性樹脂にて封止されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記回路基板は、前記外部接続用端子の一部が前記ハウジングの壁を貫通する貫通孔から当該ハウジング外に配置された状態で、前記ハウジングの内壁に取り付けられるものであり、
前記回路基板の前記内壁との対向面には、前記外部接続用端子及び前記接続部を囲いつつ、貫通孔に対向する位置を囲って、前記隔離部材としての前記熱可塑性樹脂が配置されており、
前記隔離部材としての前記熱可塑性樹脂は、前記ハウジングの内壁に密着して前記ハウジングの内壁に貼り付きつつ、前記外部接続用端子及び前記接続部を前記冷媒から隔離することを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記回路基板は、前記外部接続用端子の一部が前記ハウジングの壁を貫通する貫通孔から当該ハウジング外に配置された状態で、前記隔離部材を介して前記ハウジングの内壁に取り付けられるものであり、
前記隔離部材は、前記回路基板の前記内壁との対向面において、前記外部接続用端子及び前記接続部を囲いつつ、前記貫通孔に対向する位置を囲って配置された接着剤からなり、
前記接着剤にて前記ハウジングの内壁と該内壁に対向する前記回路基板の表面とを接着することで、前記外部接続用端子及び前記接続部を前記冷媒から隔離することを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【請求項5】
前記回路基板は、前記外部接続用端子の一部が前記ハウジングの壁を貫通する貫通孔から当該ハウジング外に配置された状態で、前記隔離部材の一部を介して前記ハウジングの内壁に取り付けられるものであり、
前記隔離部材は、前記回路基板の前記内壁との対向面において、前記外部接続用端子及び前記接続部を囲いつつ、前記貫通孔に対向する位置を囲って配置された環状の弾性部材と、前記回路基板を前記内壁側に押圧して前記ハウジングに取り付ける押圧部材とを備え、
前記押圧部材にて前記回路基板が前記内壁側に押圧されて、前記弾性部材が前記ハウジングの内壁と該内壁に対向する前記回路基板の表面とに密着することで、前記外部接続用端子及び前記接続部を前記冷媒から隔離することを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【請求項6】
前記隔離部材は、前記ハウジングの壁を貫通する第1貫通孔を封止しつつ、当該ハウジングの壁に取り付けられた台座と、前記台座における前記ハウジング内に配置され、前記回路基板と対向する搭載面に当該回路基板を取り付ける接着剤とを含み、
前記隔離部材として前記台座は、前記ハウジング内と前記ハウジング外との間で貫通し、前記回路基板を取り付けられた状態で前記外部接続用端子が配置される第2貫通孔が設けられ、
前記隔離部材としての前記接着剤は、前記回路基板における前記搭載面との対向面において、前記外部接続用端子及び前記接続部を囲いつつ、前記第2貫通孔に対向する位置を囲って配置されており、前記台座の搭載面と該搭載面に対向する前記回路基板の対向面とに密着することで、前記外部接続用端子及び前記接続部を前記冷媒から隔離することを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【請求項7】
前記絶縁基材は、可撓性を有しており、
前記回路基板は、前記ハウジングの内壁に対して、当該ハウジングの内壁の形状に沿った形状で取り付けられることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項8】
前記絶縁基材は、前記熱可塑性樹脂を含む基材フィルムを複数枚積層し、相互に接着してなることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の電子装置。
【請求項9】
前記絶縁基材は、熱可塑性樹脂を含み接着層として機能する基材フィルムと、熱硬化性樹脂を含む基材フィルムとを相互に積層接着してなることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の電子装置。
【請求項10】
前記ハウジングは、電動コンプレッサに適用されるものであり、
前記回路基板は、前記電動コンプレッサの駆動回路であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項11】
前記電子部品は、インバータ形成用のパワー素子が設けられていることを特徴とする請求項10に記載の電子装置。
【請求項12】
前記ハウジングは、冷媒吸入口と冷媒吐出口とを有するものであり、
前記ハウジング内には、
前記電動コンプレッサにおける電動モータと、
前記電動モータを駆動する前記駆動回路と、
前記電動モータの回転駆動力によって駆動されて前記冷媒吸入口から冷媒を吸入し、該冷媒を圧縮して前記冷媒吐出口から吐出する圧縮機構部と、
前記冷媒吸入口と前記圧縮機構部との間に設けられる前記冷媒が流れる冷媒流路と、が設けられ、
前記駆動回路は、前記冷媒流路に配置されることを特徴とする請求項10又は11に記載の電子装置。
【請求項13】
前記電動モータは、
前記ハウジング内において回転自在に支持されて前記圧縮機構部に回転駆動力を伝える駆動軸と、
前記駆動軸の径方向外側に配置されているステータコア、及び当該ステータコアに回巻されているステータコイルを含み、前記駆動回路からの駆動電流によって回転磁界を発生するステータと、
前記ステータコアに対して前記駆動軸の径方向中心側に配置され、前記ステータから発生される回転磁界に基づいて前記駆動軸を回転させるロータと、を備え、
前記冷媒流路は、前記ハウジングの内壁と、当該ハウジングの内壁と対向する前記ステータコアの外壁との間であって、前記駆動軸の軸線方向に延設されることを特徴とする請求項12に記載の電子装置。
【請求項14】
前記ステータコアの外壁には、前記駆動軸の径方向中心側に凹んで、かつ前記駆動軸の軸線方向に延びる第1凹部が設けられ、
前記冷媒流路は、前記ハウジングの内壁と前記第1凹部との間に設けられることを特徴とする請求項13に記載の電子装置。
【請求項15】
前記ハウジングの内壁には、前記駆動軸の径方向外側に凹んで、かつ前記駆動軸の軸線方向に延びる第2凹部が設けられ、
前記冷媒流路は、前記第2凹部と前記ステータコアの外壁との間に設けられることを特徴とする請求項13に記載の電子装置。
【請求項16】
前記駆動回路は、厚さ方向に垂直な仮想平面において、前記電子部品が配置される電子部品領域と、当該電子部品領域を囲う領域であり前記電子部品が配置されない周辺領域と、を備えることを特徴とする請求項10乃至15のいずれか一項に記載の電子装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−228639(P2011−228639A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30002(P2011−30002)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】