説明

電子透かしの埋め込み及び検出

情報信号に電子透かしを埋め込む及び情報信号中の電子透かしを検出する方法及びシステムが開示される。電子透かしを埋め込む方法は、電子透かし秘密を供給するステップ(106)と、情報信号(101)にディジタル電子透かしを埋め込むステップ(107)とを有し、該埋め込みは前記電子透かし秘密により制御され、前記方法は更に、前記情報信号からディジタル電子指紋(103)を算出するステップ(102)と、前記算出されたディジタル電子指紋を基準ディジタル電子指紋として保存し、前記基準ディジタル電子指紋に関連して、識別子データアイテムを保存するステップ(104)とを有し、前記識別子データアイテムから前記電子透かし秘密が導出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報信号へのディジタル電子透かしの埋め込み、及び情報信号中のディジタル電子透かしの検出に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばインターネットを介したマルチメディアコンテンツの配布のようなディジタル信号配布においては一般に、配布された信号の認可されていない更なる配布に対する保護を提供できることが望ましい。例えば、著作権保護されたマテリアルの配布においては、このことは重要な問題である。かようなシナリオの例は、例えば楽曲のようなオーディオコンテンツがインターネットを介してサーバから1以上のクライアントコンピュータに配布される、電子音楽配信システムである。
【0003】
ディジタル電子透かしは、配布されるコンテンツにラベル付けし、配布者又は他の関係者が該配布されるコンテンツを追跡する(例えば個々のユーザに送信されたコンテンツを追跡する)ことを可能とするために、配布される情報信号に埋め込まれても良い。
【0004】
埋め込まれた電子透かしによる配布された情報信号の追跡に対する潜在的な脅威は、所謂コピー攻撃(copy-attack)である。かような攻撃においては、悪意あるユーザが、情報信号中に埋め込まれたディジタル電子透かしを推定し、該推定された電子透かしを別の情報コンテンツを表す他の情報信号に埋め込む。
【0005】
Jiri Fridrichによる論文「Image watermarking for tamper detection」(Proc. ICIP’98、Chicago、1998年)は、ディジタルカメラによりディジタル画像に電子透かしを埋め込む方法を開示している。ここでは電子透かしが、前記ディジタルカメラの秘密鍵に敏感に依存し、画像の特徴に連続的に依存する。それ故、この先行技術の方法においては、生成される電子透かしが前記ディジタル画像の内容に依存し、それにより前記電子透かしの他の画像への認可されていないコピーのリスクを減少させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上述の先行技術の方法の問題は、例えば圧縮損失等によるコンテンツの劣化によって、特徴取得処理が失敗し得ることである。これにより、電子透かし検出の信頼性をも減少させる。なぜなら、該検出の処理はこれらの特徴データに依存するからである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の及び他の問題は、情報信号にディジタル電子透かしを埋め込む方法であって、前記方法は、
電子透かし秘密を供給するステップと、
情報信号にディジタル電子透かしを埋め込むステップと、
を有し、該埋め込みは前記電子透かし秘密により制御され、前記方法は更に、
前記情報信号からディジタル電子指紋を算出するステップと、
前記算出されたディジタル電子指紋を基準ディジタル電子指紋として保存し、前記基準ディジタル電子指紋に関連して、識別子データアイテムを保存するステップと、
を有し、前記識別子データアイテムから前記電子透かし秘密が導出される方法によって解決される。
【0008】
それ故、前記算出されたディジタル電子指紋を、電子透かし埋め込みにおいて利用される電子透かし秘密と関連する基準電子透かしとして保存することにより、後続する電子透かし検出器がコンテンツ特有の電子透かし秘密を識別するための頑強な(robust)メカニズムが提供される。前記電子透かし秘密は、情報コンテンツのディジタル電子指紋と関連して保存されるため、後に検出システムによって識別され得る。更に、前記識別された電子指紋は、起こり得る前記情報信号の劣化によっては認識不可能な程には劣化せず、これにより前記電子透かし秘密の取得を可能とし、前記電子透かしを正しく検出する機能を向上させる。
【0009】
更に、異なる電子透かし秘密は異なる情報コンテンツに関連するため、或る情報信号から異なる情報コンテンツを担持する別の情報信号への推定された電子透かしの上述のコピー攻撃は、正しくない秘密を持つ電子透かし、即ち正常に検出されない電子透かしに帰着する。それ故、コピー攻撃に対する高い安全性が提供されることは有利である。
【0010】
本説明の目的のため、情報信号なる語は、とりわけ画像、動画、オーディオ又はこれらの組み合わせのような配布されるべき知覚情報のような情報コンテンツを有する、いずれのアナログ又はディジタルの信号又はデータをも指す。かような情報信号の例は、ビデオ信号のようなマルチメディア信号、オーディオ信号、画像、映像等を含む。幾つかの実施例において、情報コンテンツはディジタル情報信号としてエンコードされる。例えば、オーディオ信号は、例えばオーディオコーディング方式、MPEG−1、MPEG−2、MPEG−2 ACC等に従ってエンコードされる。
【0011】
ここでは、ディジタル電子指紋なる語は、信号中の情報コンテンツを示す情報信号から頑強な特徴を抽出し、コンパクトな形態で前記抽出された特徴を保存する、いずれかの適切な方法に起因するデータアイテムを有する。それ故、電子指紋は、対象となる対応する情報コンテンツの表現である。好ましくは、電子指紋は、元の情報信号よりも短い。更に、電子指紋は好ましくは、対象となる情報信号の最も適切な知覚的特徴を表す。かような電子指紋は、時には「頑強なハッシュ」としても知られる。頑強なハッシュなる語は、データ処理及び信号劣化の点で或る程度頑強であるハッシュ関数を指す。例えばオーディオ信号の場合には、かような劣化は圧縮/伸張、コーディング、AD/DA変換等により生じる。頑強なハッシュは、時には頑強なサマリー、頑強なシグネチャ、又は知覚的ハッシュとも呼ばれる。
【0012】
本発明によれば、例えばデータベース中に、多くの情報コンテンツの電子指紋が基準電子指紋として保存される。例えば、かようなデータベースは、多くの楽曲、これら楽曲の電子指紋及び関連する電子透かし秘密又は少なくとも識別子データアイテムを有しても良い。前記識別子データアイテムから該電子透かし秘密が導出される。それ故、電子透かし検出の間、情報信号中のコンテンツは、関連する情報コンテンツの電子指紋を計算し、前記計算された電子指紋をルックアップキー又は検索パラメータとして利用して前記データベースにおいてルックアップ又は検索を実行することにより認識される。
【0013】
幾つかの実施例においては、各データベースのレコードは、基準電子指紋及び対応する電子透かし秘密を有しても良い。それ故、識別子データアイテムが直接前記電子透かし秘密を含む。他の実施例においては、各データベースのレコードは識別子データアイテムを有しても良い。前記識別子データアイテムから、所定の関数により電子透かし秘密が導出される。例えば、前記識別子データアイテムは、前記基準電子指紋に関連する情報コンテンツを識別する、例えば楽曲データベース中の楽曲識別子のような、コンテンツ識別子であっても良いし、又はかようなコンテンツ識別子を含んでも良い。前記電子透かし秘密は次いで、前記コンテンツ識別子の関数として決定されても良い。このことは、コンテンツ識別子を証明する汎用の電子指紋データベースが利用され得るという利点を持つ。
【0014】
情報信号自体の代わりに電子指紋をデータベースに保存することには、幾つかの利点がある。例えば以下の通りである。
【0015】
電子指紋は、該電子指紋が計算された元の信号よりもかなり短いため、電子指紋の比較のほうが、情報信号の比較よりも効率的である。
【0016】
合致する電子指紋をデータベースにおいて検索するほうが、情報信号全体を検索するよりも効率的である。なぜなら、より短いアイテムの照合しか要しないからである。
【0017】
合致する電子指紋を検索するほうが成功する見込みが高い。なぜなら、情報信号に対する少しの変更(例えば異なるフォーマットによるエンコード又はビットレートの変更)は電子指紋に影響を与えないからである。
【0018】
オーディオの電子指紋を生成する方法の例は、Jaap Haitsma、Ton Kalker及びJob Oostveenによる「Robust Audio Hashing For Content Identification」(「International Workshop on Content-Based Multimedia Indexing」、Brescia、2001年9月)に記載されている。該文献はそれ自体、オーディオ電子指紋の計算及び該電子指紋からの識別子の取得を開示している。
【0019】
ディジタル電子透かしなる語は、情報信号に、該信号のサンプルを変更することによって埋め込まれるべきいずれのディジタルデータのアイテムをも有する。好ましくは、電子透かし方式は、電子透かしが知覚不可能であるように、即ち電子透かしが前記情報信号の品質に大きく影響を与えないように設計されるべきである。多くのアプリケーションにおいて、更に電子透かしは頑強であるべきである。即ち、電子透かしは起こり得る信号処理演算の後にも信頼性高く検出可能であるべきである。本説明の目的のため、ディジタル電子透かしは、情報信号に付加されるべき実際のメッセージを有する電子透かしペイロード(payload)を含む。ディジタル電子透かしは、電子透かしキーとも呼ばれる、電子透かし秘密に基づいて埋め込まれる。
【0020】
電子透かし秘密なる語は、電子透かしの埋め込み/検出、及び/又は電子透かしからのペイロードの抽出のために必要とされる秘密のパラメータを指す。かようなパラメータの例は、M. D. Swanson、B. Zhu、A. H. Tewfik及びL. Boneyによる「Robust audio watermarking using perceptual masking」(「Signal Processing」、Vol. 66、337-355頁、1998年)に呈示されているようなスペクトル拡散電子透かし方式における疑似ランダム拡散シーケンスである。
【0021】
本発明の更に他の利点は、電子指紋と電子透かし秘密との間の関係が、必ずしもいずれかの所定のアルゴリズムに依存しない点である。前記関係は任意に選択されることができる。該関係は好ましくは、電子指紋からの電子透かし秘密の及びその逆の一意な同定を可能とする1対1の関係として選択される。
【0022】
好適な実施例においては、電子透かし秘密は、例えば一方向ハッシュ関数のような、反転が計算的に困難な又は不可能な関数によって、基準電子指紋に関連付けられる。それ故、前記関数は、入力xをとり出力h=H(x)を返すいずれかの変換Hを有する。このとき、与えられた値hに対して、H(x)=hであるような何らかの入力xを見出すことが計算的に不可能であるようにする。従って、電子指紋データベースへのアクセス権を持たない、認可されていないユーザにとっては、与えられた電子指紋からは電子透かし秘密を推定することが計算的に不可能であり、これにより本方法のセキュリティを向上させる。
【0023】
他の好適な実施例においては、電子透かし秘密が、電子指紋に関連しない、又は少なくとも部分的にしか関連しないランダム的な処理によって決定される。
【0024】
更に他の好適な実施例においては、ディジタル電子透かしは、情報信号を示す電子透かしペイロードを有する。好ましくは、本方法は更に、情報信号の情報コンテンツを示す識別子から導出される暗号化鍵に基づき、前記電子透かしペイロードをエンコードするステップを有する。従って、前記ペイロードは前記情報コンテンツに依存し、これによりコピー攻撃のリスクを更に減少させる。
【0025】
更なる好適な実施例は、従属する請求項に記載される。
【0026】
本発明は、上述の方法を含む種々の方法、及び以下の更なる方法及びシステム、及び更なる製品手段で実装されることができる。これらは、それぞれ最初に記載した方法と共に説明される利益及び利点のうちの1以上のものをもたらし、それぞれ最初に記載した方法と共に説明された好適な実施例、及び従属する請求項に開示された好適な実施例に対応する1以上の好適な実施例を持つ。
【0027】
従って、本発明は更に、情報信号中のディジタル電子透かしを検出する方法であって、前記方法は、
それぞれの基準情報信号から算出された複数のディジタル基準電子指紋を供給するステップを有し、各前記ディジタル電子指紋は対応する電子透かし秘密に関連し、前記方法は更に、
情報信号からディジタル電子指紋を算出するステップと、
前記複数のディジタル基準電子指紋から、前記算出されたディジタル電子指紋に対応する、合致するディジタル電子指紋を決定するステップと、
前記合致するディジタル電子指紋に関連する電子透かし秘密によるディジタル電子透かしが前記情報信号に存在するか否かを検出するステップと、
を有する方法に関連する。
【0028】
基準電子指紋は、例えばインターネット又は他の通信ネットワークに接続されたサーバのような、リモートな位置におけるデータベースに保存されても良い。本実施例においては、クライアント装置が電子指紋を計算し、インターネット又は他の通信ネットワークを介して該電子指紋をサーバに送信する。サーバは対応する識別子データアイテムを返信する。該アイテムから、関連する電子透かし秘密が導出されることができる。それ故、合致するディジタル電子指紋を決定するステップは、前記電子指紋データベースにクエリを送信するステップと、前記合致するディジタル電子透かしに関連する電子透かし秘密を含む応答を前記電子指紋データベースから受信するステップを有する。前記クエリは、算出されたディジタル電子指紋を有する。
【0029】
更に他の好適な実施例においては、合致するディジタル電子指紋を決定するステップは、抽出された電子指紋ビットの信頼性情報に基づいて、電子指紋データベースにおける検索を実行するステップを有する。
【0030】
更に他の好適な実施例においては、前記情報信号はエンコードされた情報信号を有し、前記ディジタル電子指紋を算出するステップは、前記エンコードされた情報信号をデコードするステップと、前記デコードされた情報信号から前記電子指紋を算出するステップとを有する。従って、実際の電子指紋はコーディング方式には依存せず、それにより、コーディングにかかわらず実際の情報コンテンツに合致する電子指紋のデータベースからのより効率的且つ信頼性高い取得が可能となる。ここで、コーディングなる語は、圧縮方式も含むものと意図されている。
【0031】
上述の及び以下の方法の特徴はソフトウェアによって実装されても良く、コンピュータ実行可能命令の実行により、データ処理システム又は他の処理手段において実行されても良いことは留意されたい。前記命令は、記憶媒体から、又はコンピュータネットワークを介して他のコンピュータから、RAMのようなメモリにロードされたプログラムコード手段であっても良い。代替として、説明される特徴は、ソフトウェアの代わりに又はソフトウェアと組み合わせて、ハードウェアの回路によって実装されても良い。
【0032】
ここで及び以下において、処理手段なる語は、汎用の又は特殊用途のプログラム可能なマイクロプロセッサ、ディジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理アレイ(PLA)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向け電子回路等又はこれらの組み合わせを有する。
【0033】
本発明は更に、情報信号にディジタル電子透かしを埋め込む装置であって、前記装置は、
情報信号にディジタル電子透かしを埋め込む手段を有し、該埋め込みは電子透かし秘密により制御され、前記装置は更に、
前記情報信号からディジタル電子指紋を算出する手段と、
前記算出されたディジタル電子指紋を基準ディジタル電子指紋として保存し、前記基準ディジタル電子指紋に関連して、識別子データアイテムを保存する手段と、
を有し、前記識別子データアイテムから前記電子透かし秘密が導出される装置に関する。
【0034】
本発明は更に、情報信号中のディジタル電子透かしを検出する装置であって、前記装置は、
それぞれの基準情報信号から算出された複数のディジタル基準電子指紋を供給する手段を有し、各前記ディジタル電子指紋は対応する電子透かし秘密に関連し、前記方法は更に、
情報信号からディジタル電子指紋を算出する手段と、
前記複数のディジタル基準電子指紋から、前記算出されたディジタル電子指紋に対応する、合致するディジタル電子指紋を決定する手段と、
前記合致するディジタル電子指紋に関連する電子透かし秘密によるディジタル電子透かしが前記情報信号に存在するか否かを検出する手段と、
を有する装置に関する。
【0035】
幾つかの基準電子指紋を提供する手段は、かようなデータアイテムを保存するための記憶媒体及び/又はかようなデータアイテムを受信するための通信手段及び/又はかようなデータアイテムを提供するために適切ないずれかの他の回路又は装置を有しても良い。
【0036】
とりわけ、複数のディジタル基準電子指紋を提供する手段は、記憶媒体にアクセスするためのいずれかの回路又は装置を有しても良い。例えば、上述の手段は、例えば有線又は無線データリンクを介してデータを通信するためのいずれかの回路又は装置を有しても良い。かような通信回路又は装置の例は、ネットワークインタフェース、ネットワークカード、無線送信器/受信器、ケーブルモデム、電話モデム、サービス総合ディジタル網(ISDN)アダプタ、ディジタル加入者線(DSL)アダプタ、衛星送受信器、イーサネット(登録商標)アダプタ等を含む。
【0037】
代替として、又は加えて、複数のディジタル基準電子指紋を提供する手段は、前記ディジタル基準電子指紋を保存するための適切な記憶媒体を有しても良い。記憶媒体の例は、磁気テープ、光ディスク、ディジタルビデオディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD又はCD−ROM等)、ミニディスク、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、強誘電メモリ、EEPROM(electrically erasable programmable read only memory)、フラッシュメモリ、EPROM、読み取り専用メモリ(ROM)、SRAM(static random access memory)、DRAM(dynamic random access memory)、SDRAM(synchronous dynamic random access memory)、強磁性メモリ、光記憶装置、電荷結合素子、スマートカード、PCMCIAカード等を含む。
【0038】
本発明は更に、データベースシステムであって、前記データベースシステムは、
それぞれの基準情報信号から算出された複数のディジタル基準電子指紋が保存され、前記ディジタル基準電子指紋のそれぞれと関連してそれぞれの識別子データアイテムが保存された記憶媒体を有し、前記識別子データアイテムから、前記ディジタル電子指紋に関連する対応する電子透かし秘密が導出され、前記データベースシステムは更に、
電子透かし処理システムから、情報信号にディジタル電子透かしを埋め込むための入力として適切な電子透かし秘密の要求を受信する手段を有し、前記要求は電子透かし処理システムによって前記情報信号から算出されたディジタル電子指紋を有し、前記データベースシステムは更に、
前記複数のディジタル基準電子指紋から、前記算出されたディジタル電子指紋に対応する、合致するディジタルディジタル電子指紋を決定する手段と、
前記電子透かし処理システムに応答を送信する手段と、
を有し、前記応答は、前記決定された合致するディジタル電子指紋に関連して保存された前記識別子データアイテムを有するデータベースシステムに関する。
【0039】
本発明のこれらの及び他の態様は、図を参照しながら以下に記載される実施例により説明され明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
図1は、電子透かしを埋め込むシステムの実施例のブロック図を示す。前記システムは情報信号101を受信し、該情報信号101に電子透かし108が埋め込まれ、電子透かしを入れられた情報信号109に帰着する。前記システムは、情報信号101を受信し、前記情報信号の情報コンテンツから1以上の電子指紋103を計算する、電子指紋算出ブロック102を有する。
【0041】
前記システムは更に、電子指紋データベース記憶モジュール104を有する。該モジュール104は、算出された電子指紋103を電子指紋算出ブロック102から受信し、該電子指紋と関連する電子透かし秘密106をも受信する。前記電子透かし秘密は、電子指紋算出ブロック102により算出された電子指紋に基づいて生成されても良いし、又は前記電子指紋とは独立に生成されても良い。
【0042】
データベース105の代わりに、前記基準電子指紋は、例えばファイルシステム中のファイルとしてのように、別の方法で保存されても良いことは留意されたい。多くの基準電子指紋が保存される場合には、データベースシステムが効率的な検索を実現することが、該データベースシステムの利点である。
【0043】
前記システムは更に、電子透かし埋め込みモジュール107を有する。該モジュール107は、情報信号101、電子透かし秘密106及び情報信号101に埋め込まれるべき電子透かしペイロード108を受信する。前記電子透かし埋め込みモジュールは、電子透かし秘密106に基づいて前記情報信号に電子透かしペイロード108を埋め込み、電子透かし108が埋め込まれた対応する電子透かしが入れられた情報信号109を生成する。電子透かし秘密106は、前記埋め込みの処理の1以上のパラメータを決定する。前記電子透かし秘密の知識が無ければ、前記電子透かしペイロードは、前記電子透かしを入れられた信号から抽出されることができない。例えば、M. D. Swanson、B. Zhu、A. H. Tewfik及びL. Boneyによる「Robust audio watermarking using perceptual masking」(「Signal Processing」、Vol. 66、337-355頁、1998年)に記載されるような拡散シーケンスの知識が無ければ、情報担体に埋め込まれた電子透かしも、該電子透かしのペイロードも、検出されることができない。
【0044】
図2は、電子透かしを検出するシステムのブロック図を示す。この検出システムは、図1に関連して説明されたような電子指紋算出ブロック102及び電子指紋データベース105を有する。前記検出システムは、電子透かしを入れられた情報信号201を受信し、該信号201は電子指紋算出ブロック102に送られる。算出された電子指紋103は、電子指紋データベースモジュール204に送られる。該モジュール204は、電子指紋データベース105へのアクセスを持つ。前記算出された電子指紋と、データベース105中の基準電子指紋との比較に基づき、電子指紋データベースモジュール204が、合致する基準電子指紋を特定し、対応する関連する電子透かし秘密106を取得する。
【0045】
電子透かし秘密106は電子透かし検出ブロック202に送られ、電子透かし検出ブロック202は電子透かしの入れられた情報信号201をも受信する。電子透かし検出ブロック202は、前記電子透かし秘密に基づいて埋め込まれた電子透かしを検出し、電子透かしペイロードを抽出し、該電子透かしペイロード203を出力する。
【0046】
図3は、電子指紋データベースモジュールの実施例を模式的に示す。電子指紋データベースモジュール204は、入力モジュール301、データベース管理システム(DBMS)バックエンドモジュール303及び応答モジュール304を有する。
【0047】
入力モジュール301は、オーディオ電子指紋を受信し、該電子指紋をDBMSバックエンドモジュール303に供給する。DBMSバックエンドモジュール303は、いずれかの合致する基準電子指紋を識別し、前記合致する基準電子指紋に関連するいずれかの付加データを取得するため、データベース105に対してクエリを実行する。図3に示されるように、データベース105は、電子指紋FP1、FP2、FP3、FP4及びFP5、並びにそれぞれ関連する付加情報のセットD1、D2、D3、D4及びD5を有する。前記付加情報は、コンテンツ識別子及び/又は電子透かし秘密及び/又は他の識別子データアイテムを含む。国際特許出願公開WO02/065782は(参照により全体が本明細に組み込まれたものとする)、オーディオクリップに対して計算された電子指紋を、データベースに保存された電子指紋と照合するための、種々の照合戦略を記載している。国際特許出願公開WO02/065782は更に、未知の情報信号を表す電子指紋を、該未知の信号を識別するために、データベースに保存された、識別された情報信号の複数の電子指紋と照合する効率的な方法を開示している。本方法は、抽出された電子指紋ビットの信頼性情報を利用する。前記電子指紋ビットは、前記電子指紋ビットを得るため、情報信号の特徴の計算及び前記特徴に対する閾値設定により決定される。特徴が非常に前記閾値に近い値を持つ場合には、信号における小さな変化が、前記電子指紋ビットを逆の値へと導き得る。特徴値と閾値との間の差の絶対値は、各電子指紋ビットを信頼性の高いもの又は信頼性の高くないものとマークするために利用される。これらの信頼性は、実際の照合手順を改善するために利用される。
【0048】
データベース105は、クエリ時間及び/又はデータ構造を最適化するための種々の方法で構成され得る。入力モジュール301からの出力は、データベース105におけるテーブルを設計する際に考慮に入れられるべきである。図3に示される実施例においては、データベース105は、それぞれの電子指紋及び識別子データアイテムを有するエントリ(レコード)を持つ単一のテーブルを有する。DBMSバックエンドモジュール303は、前記クエリの結果を応答モジュール304に送る。応答モジュール304は、例えば上述の及び以下の電子透かし検出システムのような要求側のアプリケーションに、前記結果を返す。
【0049】
一実施例においては、各基準電子指紋は、関連する電子透かし秘密と共に保存される。他の実施例においては、電子透かし秘密がコンテンツ識別子から算出されることができるように、各基準電子指紋が前記コンテンツ識別子と共に保存される。
【0050】
図4は、電子透かし埋め込みを伴う音楽配信システムの実施例のブロック図を示す。前記システムは、コンテンツデータベース401を有する。該コンテンツデータベース401は、例えばパルスコード変調(PCM)表現のような一連のサンプル値として表現された、元のオーディオトラックを有する。前処理モジュール438において、データベース401に保存されたコンテンツが処理され、データベースシステム408に保存される前処理された情報に帰着する。とりわけ、前処理モジュール438は、オーディオ電子透かし(AWM)前算出モジュール402を有する。オーディオ電子透かし(AWM)前算出モジュール402は、PCMオーディオトラックを受信し該PCMオーディオトラックを処理し、後の電子透かしの埋め込みによって利用されるべき情報に帰着させる。該情報は、AWM副情報と呼ばれる。前算出されることができる副情報の例は、例えば心理音響モデルパラメータ及びローカル電子透かしパワー値を有する。それ故、電子透かし秘密に依存しない前算出された情報を提供することにより、後の電子透かし埋め込み処理がより効率的となる。前記前処理された副情報は、データベースシステム408のデータベース405に保存される。前処理モジュール438は更に、エンコーダモジュール403を有する。エンコーダモジュール403は、AAC(advanced audio coding)方式又は他のいずれかの適切な規格の又は固有の方式に従ってのように、適切なオーディオコーディング(AC)方式に従って前記元のオーディオトラックをエンコードする。前記エンコードされたオーディオトラックは、データベースシステム408のコンテンツデータベース406に保存される。前処理モジュール438は更に、前記元のオーディオトラックから1以上の電子指紋を算出する電子指紋抽出モジュール404を有する。前記抽出された電子指紋は、オーディオトラックを識別する楽曲IDと共に、データベースシステム408の電子指紋データベース407に保存される。オーディオ電子指紋を生成する方法の例は、Jaap Haitsma、Ton Kalker及びJob Oostveenによる「Robust Audio Hashing For Content Identification」(上述の箇所)に記載されている。
【0051】
前記システムは更に、コンテンツデータベース406からエンコードされたオーディオトラックを受信し、データベース405から対応するAWM副情報を受信し、電子指紋データベース407から対応する楽曲ID(SID)416を受信する、電子透かしモジュール428を有する。前記電子透かしモジュールは更に、前記楽曲の現在のインスタンスを識別する楽曲カウンタCを受信する。例えば、前記カウンタは、電子透かし処理が呼び出される度にインクリメントされ、それにより埋め込み処理により生成された実際のオーディオファイルを識別しても良い。以上の入力により、電子透かしモジュール428は、電子透かしを入れられたエンコードされたオーディオファイル429を生成する。
【0052】
とりわけ、電子透かしモジュール428は、コンテンツデータベース403から受信されたエンコードされたオーディオファイルをデコードするためのモノラルデコーダ409を有する。前記モノラルデコーダは、例えばモノラルPCMファイルのようなモノラルオーディオファイル414を生成し、前記モノラルオーディオファイルを電子透かし埋め込みモジュール410に送る。前記電子透かし埋め込みモジュールは更に、現在のオーディオファイルに対応するAWM副情報412を受信する。該情報に基づいて、電子透かしが埋め込まれる。電子透かし埋め込みモジュール410は更に、秘密生成器415からコンテンツ依存の電子透かし秘密430を受信し、ペイロードエンコーダ420から電子透かしペイロード421を受信する。電子透かし埋め込みモジュール410は、受信された電子透かし秘密430及び電子透かし副情報412に従って、電子透かしペイロード412をモノラルPCMファイル414に埋め込み、電子透かしを入れられたPCMファイルをエンコーダモジュール411に送る。エンコーダモジュール411は、電子透かしを入れられたオーディオファイルを再エンコードし、電子透かしを入れられたエンコードされたオーディオファイル429に帰着する。好ましくは、再エンコーダ411は更に、前記元のオーディオ情報の効率的なエンコードを確実とするために、AAC副情報のような付加的なエンコード情報を受信する。
【0053】
秘密生成器415は、電子指紋データベース407から受信された、現在のオーディオファイルに対応する楽曲ID(416)に基づき、秘密430を生成する。従って、各楽曲IDに対して、異なる秘密S=Secret(SID)が生成される。一実施例においては、関数Secret(SID)は、例えば楽曲IDの一方向ハッシュ関数のような、反転が計算的に困難な関数である。
【0054】
ペイロードエンコーダ420は、ペイロード生成器418から電子透かしペイロードを受信し、前記電子指紋データベースから楽曲ID416を受信する。前記ペイロード生成器は、楽曲カウンタC(417)を受信し、PL=Payload(C)に従ってカウンタ依存のペイロード419を生成する。ここで「Payload」は適切に選択された関数である。ペイロードエンコーダ420は、楽曲依存の暗号化鍵Kを用いて、カウンタ依存のペイロード419の(n,N)エンコードを実行する。とりわけ、前記ペイロードエンコーダは、楽曲ID(SID)を受信し、楽曲IDの関数として暗号化鍵K=K(SID)を生成し、ペイロード419及び暗号化鍵Kからコード語を生成する。それ故、ペイロード419がnビットを有すると仮定すると、(n,N)コーディングはNビットを有するコード語に帰着する。ここでN>nであり、nビットの語は、適切にスタフィングビット(例えば全てゼロ)を付加し、次いでNビットのコード語を鍵Kを用いて暗号化して最終的なNビットのコード語とすることにより拡張される。特定のNビット語のみが(n,N)コーディングの正しいコード語を構成し、これにより不正な正のコード語のリスク、即ち偶然に不正なカウンタシーケンスを生成するリスクを減少させることに留意されたい。
【0055】
従って、前記ペイロードエンコーダはペイロードP=P(PL,K)を生成し、該ペイロードは電子透かし埋め込み器に送られる。ペイロードPがペイロードカウンタC及び楽曲IDに依存し、それにより成功するコピー攻撃のリスクを減少させ、生成されたオーディオファイルの追跡を可能とすることは有利である。
【0056】
前記システムは更に、前記電子透かしモジュールから電子透かしを入れられたオーディオファイル429を受信する暗号化モジュール424を有する。暗号化モジュール424は更に、鍵生成モジュール423から暗号化鍵Kを受信する。鍵生成モジュール423は、生成された電子透かしを入れられたオーディオファイルが配布されるべき先の顧客又はクライアントの顧客又はクライアントID(CID)422を受信する。顧客IDから、いずれかの適切な暗号化鍵生成アルゴリズムに従って、前記鍵生成モジュールが暗号化鍵K=K(CID)を生成する。暗号化モジュール424は、鍵Kに基づいて電子透かしを入れられたエンコードされたオーディオファイル429を暗号化し、該顧客への配布の準備ができた暗号化された電子透かしを入れられたエンコードされたオーディオファイル425に帰着する。ここで暗号化モジュール424は、トリプルDES(triple-DES)、AES又は他のいずれかの適切に選択されたアルゴリズムのような暗号化アルゴリズムを実装しても良い。例えば、コンピュータネットワークを介して、ファイル425がダウンロードサーバに転送され、該ダウンロードサーバが該ファイル425を要求側のクライアントに転送しても良い。暗号化モジュール424は更に、ログデータベース427にエントリを保存する。該エントリは、生成されたオーディオファイルを識別する楽曲カウンタCと顧客ID(CID)とを有する。これにより、現在のオーディオファイルの特定の顧客への配布の追跡を可能とする。
【0057】
図5は、図4の音楽配信システムの電子透かし検出システムのブロック図を示す。前記検出システムは、エンコードされた電子透かしを入れられたオーディオファイル500を受信する。前記検出システムは、デコーディングモジュール503を有する。デコーディングモジュール503は、エンコードされたファイルをデコードし、デコードされたオーディオファイル501(例えばモノラルPCMファイル)を生成する。該ファイル501は、図4と共に説明されたような電子指紋抽出モジュール404に送られる。抽出された電子指紋504は、データベースモジュール502に送られる。データベースモジュール502は、前記抽出された電子指紋をキーとして利用して、上述の電子指紋データベース407を検索する。該検索の結果、データベースモジュール502は、データベース407から前記電子指紋に対応する楽曲ID(SID)を取得する。合致する電子透かしが見つからなかった場合は、前記検出システムは電子透かし検出を中止し、対応するエラーメッセージを生成する。データベースモジュール502は、前記取得された楽曲ID416を秘密生成器415に転送する。秘密生成器415は、図4と共に説明されたように、前記楽曲IDに対応する電子透かし秘密を生成する。電子透かし秘密430は、電子透かし検出モジュール505に転送される。電子透かし検出モジュール505は、電子透かしを入れられたオーディオファイル501及び電子透かし秘密430を受信し、秘密430に従って前記オーディオファイルから電子透かしを抽出する。前記抽出された電子透かしは、ペイロードデコードモジュール506に送られる。ペイロードデコードモジュール506は、前記電子透かしから電子透かしペイロードをデコードする。デコードモジュール506は、図4のペイロードエンコーダ420の逆の動作を実行する。即ちペイロードデコードモジュール506は、データベースモジュール502から楽曲IDを受信し、暗号化鍵K=K(SID)を生成し、該Kを用いて(n,N)デコードを実行し、デコードされたペイロードに帰着させる。前記デコードされたペイロードは、確認モジュール507に送られる。確認モジュール507は、ペイロードPLから楽曲カウンタCを算出し、図4と共に説明されたログデータベース427を検索し、対応する顧客ID508を取得する。それ故、確認モジュール507は、楽曲カウンタCを決定するため、図4のモジュール418により実装される処理の逆を実装する。ログデータベース427から取得された顧客又はクライアントID(CID)は次いで、電子透かしを入れられたオーディオファイル501が元々配布された先の顧客又はクライアントのIDまで、該電子透かしを入れられたオーディオファイル501を追跡するために利用される。
【0058】
上述の構成は、汎用の又は特殊用途のプログラム可能なマイクロプロセッサ、ディジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理アレイ(PLA)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向け電子回路等又はこれらの組み合わせとして実装されても良いことは留意されたい。
【0059】
上述の実施例は本発明を限定するものではなく説明するものであって、当業者は添付される請求項の範囲から逸脱することなく多くの代替実施例を設計することが可能であろうことは留意されるべきである。
【0060】
例えば、本発明はオーディオファイルに限定されるものではなく、映画、画像、マルチメディアデータ等のような他のいずれの情報信号に組み合わせて利用されても良い。
【0061】
請求項において、括弧の間に配置されたいずれの参照記号も、請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。「有する(comprising)」なる語は、請求項に列記されたもの以外の要素又はステップの存在を除外するものではない。要素に先行する「1つの(a又はan)」なる語は、複数のかような要素の存在を除外するものではない。
【0062】
本発明は、幾つかの別個の要素を有するハードウェアによって、及び適切にプログラムされたコンピュータによって実装されることができる。幾つかの手段を列挙している装置の請求項において、これら手段の幾つかは同一のハードウェアのアイテムによって実施化されても良い。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に利用されることができないことを示すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】電子透かしを埋め込むシステムの実施例のブロック図を示す。
【図2】電子透かしを検出するシステムの実施例のブロック図を示す。
【図3】電子指紋データベースモジュールの実施例を模式的に示す。
【図4】電子透かしの埋め込みを伴う音楽配信システムの実施例のブロック図を示す。
【図5】図4の音楽配信システムの電子透かし検出システムのブロック図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報信号にディジタル電子透かしを埋め込む方法であって、前記方法は、
電子透かし秘密を供給するステップと、
情報信号にディジタル電子透かしを埋め込むステップと、
を有し、該埋め込みは前記電子透かし秘密により制御され、前記方法は更に、
前記情報信号からディジタル電子指紋を算出するステップと、
前記算出されたディジタル電子指紋を基準ディジタル電子指紋として保存し、前記基準ディジタル電子指紋に関連して、識別子データアイテムを保存するステップと、
を有し、前記識別子データアイテムから前記電子透かし秘密が導出される方法。
【請求項2】
前記情報信号はオーディオ信号であり、前記ディジタル電子指紋はオーディオ電子指紋であり、前記ディジタル電子透かしはオーディオ電子透かしである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記算出されたディジタル電子指紋及び前記識別子データアイテムを保存するステップは、前記算出されたディジタル電子指紋及び前記識別子データアイテムを電子指紋データベースに保存するステップを有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記電子透かし秘密は、計算的に反転が不可能である関数によって、前記算出された電子指紋と関連付けられる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記電子透かし秘密はランダム的な処理によって決定される、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ディジタル電子透かしは電子透かしペイロードを有し、前記電子透かしペイロードは前記情報信号を示すものである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記情報信号の情報コンテンツを示す識別子から導出された暗号化鍵に基づき前記電子透かしペイロードをエンコードするステップを更に有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記情報信号はビデオ信号である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
情報信号中のディジタル電子透かしを検出する方法であって、前記方法は、
それぞれの基準情報信号から算出された複数のディジタル基準電子指紋を供給するステップを有し、各前記ディジタル電子指紋は対応する電子透かし秘密に関連し、前記方法は更に、
情報信号からディジタル電子指紋を算出するステップと、
前記複数のディジタル基準電子指紋から、前記算出されたディジタル電子指紋に対応する、合致するディジタル電子指紋を決定するステップと、
前記合致するディジタル電子指紋に関連する電子透かし秘密によるディジタル電子透かしが前記情報信号に存在するか否かを検出するステップと、
を有する方法。
【請求項10】
前記合致するディジタル電子指紋を決定するステップは、電子指紋データベースに前記算出されたディジタル電子指紋を有するクエリを送信するステップと、前記電子指紋データベースから識別子データアイテムを有する応答を受信するステップとを有し、前記識別子データアイテムから、前記合致するディジタル電子指紋に関連する電子透かし秘密が導出される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記クエリを送信するステップ及び前記応答を受信するステップは、通信ネットワークを介して通信するステップを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記情報信号はエンコードされた情報信号を有し、前記ディジタル電子指紋を算出するステップは、前記エンコードされた情報信号をデコードするステップと、前記デコードされた情報信号から前記電子指紋を算出するステップとを有する、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記合致するディジタル電子指紋を決定するステップは、前記算出されたディジタル電子指紋についての信頼性情報に基づき、電子指紋データベースにおける検索を実行するステップを有する、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
情報信号にディジタル電子透かしを埋め込む装置であって、前記装置は、
情報信号にディジタル電子透かしを埋め込む手段を有し、該埋め込みは電子透かし秘密により制御され、前記装置は更に、
前記情報信号からディジタル電子指紋を算出する手段と、
前記算出されたディジタル電子指紋を基準ディジタル電子指紋として保存し、前記基準ディジタル電子指紋に関連して、識別子データアイテムを保存する手段と、
を有し、前記識別子データアイテムから前記電子透かし秘密が導出される装置。
【請求項15】
情報信号中のディジタル電子透かしを検出する装置であって、前記装置は、
それぞれの基準情報信号から算出された複数のディジタル基準電子指紋を供給する手段を有し、各前記ディジタル電子指紋は対応する電子透かし秘密に関連し、前記方法は更に、
情報信号からディジタル電子指紋を算出する手段と、
前記複数のディジタル基準電子指紋から、前記算出されたディジタル電子指紋に対応する、合致するディジタル電子指紋を決定する手段と、
前記合致するディジタル電子指紋に関連する電子透かし秘密によるディジタル電子透かしが前記情報信号に存在するか否かを検出する手段と、
を有する装置。
【請求項16】
データベースシステムであって、前記データベースシステムは、
それぞれの基準情報信号から算出された複数のディジタル基準電子指紋が保存され、前記ディジタル基準電子指紋のそれぞれと関連してそれぞれの識別子データアイテムが保存された記憶媒体を有し、前記識別子データアイテムから、前記ディジタル電子指紋に関連する対応する電子透かし秘密が導出され、前記データベースシステムは更に、
電子透かし処理システムから、情報信号にディジタル電子透かしを埋め込むための入力として適切な電子透かし秘密の要求を受信する手段を有し、前記要求は電子透かし処理システムによって前記情報信号から算出されたディジタル電子指紋を有し、前記データベースシステムは更に、
前記複数のディジタル基準電子指紋から、前記算出されたディジタル電子指紋に対応する、合致するディジタルディジタル電子指紋を決定する手段と、
前記電子透かし処理システムに応答を送信する手段と、
を有し、前記応答は、前記決定された合致するディジタル電子指紋に関連して保存された前記識別子データアイテムを有するデータベースシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−528017(P2007−528017A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518476(P2006−518476)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051126
【国際公開番号】WO2005/006326
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】