説明

電子部品の製造方法及び電子部品製造装置

【課題】マザーの積層体段階で外部電極を高精度に印刷することを可能とする電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】複数の内部電極が内蔵されており、端面に内部電極の位置を表す位置情報マーク4が形成されているマザーのセラミック積層体5を用意し、マザーのセラミック積層体5の端面5a,5bに露出している位置情報マークを読み取り、位置情報マーク4に基づく位置情報に基づいてマザーのセラミック積層体5の主面に外部電極5を印刷し、マザーのセラミック積層体5を分割し、個々の積層セラミック電子部品単位の積層体を得る、電子部品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マザーのセラミック積層体を用いて複数の電子部品を製造する電子部品の製造方法及び製造装置に関し、特に、外部電極形成工程が改良された電子部品の製造方法及び電子部品製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化に伴って、使用される電子部品の小型化が進んでいる。従って、電子部品素子の外表面に形成される外部電極を高精度に形成する必要がある。
【0003】
また、電子部品素子の端面だけでなく、上面及び下面に至るように外部電極を形成することが多い。下記の特許文献1には、このような外部電極を有する積層電子部品の製造方法が開示されている。図14及び図15は、特許文献1に記載の電子部品の製造方法を示す各斜視図である。図14に示すように、マザーの積層体ブロック101を用意する。マザーの積層体ブロック101の上面に、マスクスクリーン102を重ねる。マスクスクリーン102は、複数の貫通孔102aを有する。貫通孔102aは、外部電極を印刷するために設けられている。
【0004】
マスクスクリーン102をマザーの積層体ブロック101上に重ねた状態で導電ペーストをスクリーン印刷する。それによって、図15に示すように、マザーの積層体ブロック101上に、複数の外部電極103が形成される。次に、マザーの積層体ブロック101の下面側にも、同様にして外部電極を形成する。しかる後、図15の矢印A−A線及びB−B線で示す方向に積層体ブロック101を切断する。すなわち、上記外部電極103の中央で切断が行われる。このようにして、図15の下方に示す電子部品素子104が得られる。
【0005】
電子部品素子104では、上記外部電極103の切断により、外部電極部分103aが上面に形成されている。また、下面にも、外部電極部分105aが形成されている。次に、外部電極部分103a,105aを接続するように、端面104a,104bに導電ペーストを印刷し、外部電極を完成させる。このようにして、電子部品素子104の端面104a,104bから上面及び下面に至る外部電極を有する電子部品が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−201653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、電子機器の小型化を図るために、電子部品を基板に埋め込む構造が検討されている。電子部品を基板に埋め込むことにより、電子機器のより一層の小型化を進めることができる。
【0008】
電子部品を基板に埋め込む構造では、電子部品素子の上面及び下面に外部電極が形成される。上面または下面の外部電極を、基板内に設けられているビアホール電極により、基板表面の電極と電気的に接続する。このような構造では、外部電極をビアホールと確実に電気的に接続するために、外部電極を高精度に形成しなければならない。
【0009】
特許文献1に記載の電子部品の製造方法では、前述のように、マザーの積層体ブロック101の段階で、電子部品素子104の上面及び下面に位置する外部電極がスクリーン印刷により形成される。従って、電子部品素子104の上面及び下面に位置している外部電極部分を効率良く形成することができる。
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法では、図15に矢印A−A線及びB−B線で示すように、マザーの積層体ブロック101が切断されるが、この切断を高精度に行わねばならない。さもなければ、電子部品素子104の上面及び下面に位置している外部電極部分103a,105aを高精度に形成することはできない。ところが、特許文献1には、外部電極103を切断するように積層体ブロック101を切断することが記載されているだけであり、具体的な切断に際しての位置あわせ等については特に記載されていない。
【0011】
また、特許文献1には、上記のような基板に埋め込まれる電子部品のように、上面及び下面に至っている外部電極部分を高精度に形成する必要があることについて記載されていない。基板に埋め込まれる電子部品では、電子部品素子の上面及び下面に位置している外部電極部分を前述のように高精度に形成しなければならないが、特許文献1に記載の製造方法を実施しただけでは、これらの外部電極部分を高精度に形成することはできない。
【0012】
本発明の目的は、マザーの積層体段階で個々の電子部品における電子部品素子の上面及び下面に位置している外部電極を高精度に形成することを可能とする電子部品の製造方法及び該製造方法を可能とする電子部品の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る電子部品の製造方法は、第1,第2の主面と、第1〜第4の端面とを有し、複数の内部電極が内蔵されており、かつ前記内部電極に対して予め定められた位置関係となるように設けられており、かつ端面に露出するように設けられた位置情報マークを有するマザーのセラミック積層体を用意する工程と、前記マザーのセラミック積層体の少なくとも1つの端面に露出している前記位置情報マークを読み取る工程と、前記位置情報マークに基づく内部電極位置情報に基づいて、前記マザーのセラミック積層体の主面に外部電極を印刷する工程と、前記マザーのセラミック積層体を分割し、個々の積層セラミック電子部品単位の積層体を得る工程とを備える。
【0014】
本発明に係る電子部品の製造方法のある特定の局面では、前記マザーのセラミック積層体を用意する工程において、前記マザーのセラミック積層体の端面に前記内部電極を露出させ、露出している内部電極が前記位置情報マークとして用いられる。
【0015】
本発明に係る電子部品の製造方法の他の特定の局面では、前記位置情報マークが前記内部電極とは異なる印刷基準マークである。この場合には、印刷基準マークの露出部分に基づき、外部電極を高精度に印刷することができる。
【0016】
本発明に係る電子部品の製造方法のさらに他の特定の局面では、前記複数の内部電極が、前記マザーのセラミック積層体を平面視した際に、前記マザーのセラミック積層体内においてマトリックス状に配置されており、前記外部電極として、複数本のストライプ状の外部電極が形成される。この場合には、マザーのセラミック積層体を切断することにより、電子部品素子の上面及び下面に外部電極が形成されている電子部品の量産性を高めることができる。また、複数の内部電極がマトリックス状に配置されているので、位置情報マークから与えられた位置情報に基づき、ストライプ状の外部電極を高精度に切断することができる。
【0017】
本発明に係る電子部品の製造方法のさらに他の特定の局面では、前記位置情報マークが、前記マザーのセラミック積層体の対向し合う第1,第2の端面の双方に露出している。この場合には、マザーのセラミック積層体の第1の端面及び第2の端面のいずれをも用いて、外部電極の切断を行うことができる。
【0018】
本発明に係る電子部品の製造方法のさらに他の特定の局面では、前記マザーのセラミック積層体を用意する工程が、前記内部電極及び前記位置情報マークが上面に印刷されたセラミックグリーンシートを用意する工程と、該セラミックグリーンシートの外周縁の少なくとも一部を、前記位置情報マークが切断後外周縁に位置するように切断する工程と、前記位置情報マークが外周縁に露出した前記セラミックグリーンシートを複数枚積層する工程とを備える。この場合には、マザーのセラミック積層体を得るに先立ち、位置情報マークが外周縁に位置するようにセラミックグリーンシートの外周縁の少なくとも一部が切断されるので、得られたマザーのセラミック積層体において、端面に確実に位置情報マークを露出させることができる。
【0019】
本発明に係る電子部品の製造方法のさらに別の特定の局面では、前記マザーのセラミック積層体を用意する工程が、前記内部電極及び前記位置情報マークが上面に印刷された複数枚のセラミックグリーンシートを積層して積層体を得、該積層体を得る工程と、前記位置情報マークが端面に露出するように切断する工程とを備える。この場合には、積層体の切断により、位置情報マークが積層体の端面に確実に露出される。
【0020】
本発明に係る電子部品の製造装置は、第1,第2の主面と、第1〜第4の端面とを有し、第1,第2の主面を結ぶ方向において複数のセラミックグリーンシートが積層されているマザーのセラミック積層体を用いて電子部品を製造する電子部品製造装置であって、前記マザーのセラミック積層体の少なくとも1つの端面に露出している位置情報マークを検出する検出装置と、前記マザーのセラミック積層体の第1,第2の主面の少なくとも一方に複数の外部電極を印刷するための印刷装置と、前記検出装置により検出された位置情報マークに基づく位置情報に従って、前記印刷装置において、マザーのセラミック積層体の第1及び第2の主面の少なくとも一方に複数の外部電極を印刷するように印刷位置を制御する制御装置とを備える。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る電子部品の製造方法によれば、マザーのセラミック積層体の少なくとも1つの端面に露出している位置情報マークを検出し、該位置情報マークの位置情報に基づき、マザーのセラミック積層体の主面に外部電極を高精度に印刷することができる。従って、マザーのセラミック積層体を切断することにより、電子部品素子の上面及び下面に位置している外部電極の精度が高められた電子部品を確実に提供することが可能となる。よって、例えば、基板に埋め込まれる電子部品などに好適な電子部品を提供することが可能となる。
【0022】
本発明に係る電子部品の製造装置では、マザーのセラミック積層体の端面に露出している位置情報マークを検出し、該位置情報マークに基づく位置情報に従って、印刷装置によりマザーのセラミック積層体を第1及び第2の主面の内少なくとも一方に複数の外部電極を高精度に印刷することができる。従って、複数の外部電極が高精度に印刷されたマザーのセラミック積層体を切断することにより、電子部品素子の上面及び下面に位置している外部電極の形成精度が高められた電子部品を確実に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子部品の製造方法を説明するための斜視図である。
【図2】(a)は、本発明の一実施形態の電子部品の製造方法において、セラミックグリーンシート上に複数の内部電極を形成する工程を説明するための正面断面図であり、(b)は、該複数の内部電極及び位置情報マークが印刷されたセラミックグリーンシートの平面図である。
【図3】本発明の一実施形態の電子部品の製造方法において用意されるマザーのセラミック積層体の内部構造を示す部分切欠正面断面図である。
【図4】本発明の一実施形態の電子部品の製造方法で用意されるマザーのセラミック積層体の斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態の変形例において用意されるセラミックグリーンシート及びセラミックグリーンシート上に形成される複数の内部電極及び複数の位置情報マークを示す平面図である。
【図6】図5に示したマザーのセラミック積層体の外周縁部分を切断により除去することにより得られたマザーのセラミック積層体を示す平面図である。
【図7】本発明の一実施形態の電子部品の製造方法において、マザーのセラミック積層体を印刷ステージ上に載置する工程を示す正面断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る電子部品の製造方法において、マザーのセラミック積層体の上面に複数の外部電極を印刷する工程を説明するための斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態の電子部品の製造方法において、複数の外部電極が上面に印刷されたマザーのセラミック積層体を示す斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態の電子部品の製造方法において、マザーのセラミック積層体を切断する工程を説明するための斜視図である。
【図11】(a)は、本発明の一実施形態の製造方法で得られる電子部品を説明するための斜視図であり、(b)はその正面断面図である。
【図12】(a),(b)は、図11に示した電子部品の電子部品素子の両端面にさらに外部電極を形成することにより得られた電子部品の斜視図及び正面断面図である。
【図13】本発明の一実施形態の電子部品の製造方法により得られた電子部品が埋め込まれている基板を説明するための正面断面図である。
【図14】従来の電子部品の製造方法の一例を説明するための斜視図である。
【図15】従来の電子部品の製造方法の一例において、マザーの積層体ブロックを切断し個々の電子部品素子を得る工程を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0025】
本発明の一実施形態の電子部品の製造方法としてセラミックコンデンサの製造方法を説明する。
【0026】
本発明の位置実施形態の製造方法では、まず、第1,第2の主面及び第1〜第4の端面を有し、複数の内部電極が内蔵されており、かつ少なくとも1つの端面に内部電極の位置を表す位置情報マークが形成されているマザーのセラミック積層体を用意する。このマザーのセラミック積層体を用意する工程は、本実施形態では、以下のようにして行われる。
【0027】
まず、図2(a)に示すように、合成樹脂フィルムからなるキャリアフィルム1上に、マザーのセラミックグリーンシート2を形成する。次に、図2(b)に平面図で示すように、矩形のマザーのセラミックグリーンシート2の上面に、複数の内部電極3と、複数の位置情報マーク4とを形成する。位置情報マーク4は、後述する外部電極を印刷するための印刷基準マークである。
【0028】
特に限定されるわけではないが、本実施形態では、複数の内部電極3は、図2(b)に示すように、マトリックス状に整列されている。また、内部電極3は、長手方向を有する矩形の形状を有する。
【0029】
複数の内部電極3は、導電ペーストのスクリーン印刷などにより形成することができる。もっとも、複数の内部電極3は、蒸着、メッキもしくはスパッタリング等の薄膜形成法により形成されてもよい。
【0030】
上記位置情報マーク4は、マザーのセラミックグリーンシート2の辺2a及び辺2bに沿って整列形成されている。ここでは、辺2aと、辺2bとは対向しており、後述するマザーのセラミック積層体の対向し合う第1,第2の端面に位置する。
【0031】
辺2c及び辺2dが互いに対向しており、辺2c及び辺2d側には、位置情報マーク4は形成されていない。もっとも、辺2cに沿うように及び辺2dに沿うように位置情報マークが設けられてもよい。
【0032】
位置情報マーク4は、長さ方向を有する矩形の形状を有する。位置情報マーク4の長さ方向は、内部電極3の長さ方向と直交している。ただ、本実施形態では、位置情報マーク4の平面形状は、細長い矩形であるが、内部電極3の平面形状とは異なっている。もっとも、位置情報マーク4の平面形状は特に限定されず、正方形、円形、三角形等の任意の形状とすることができる。
【0033】
上記位置情報マーク4は、本実施形態では、内部電極3と同じ材料により同一工程において形成される。従って、位置情報マーク4を形成するための別の工程を必要としない。
【0034】
もっとも、位置情報マーク4は、内部電極3と異なる材料で形成されていてもよい。その場合には、内部電極3を形成する前に、あるいは内部電極3を形成した後に位置情報マーク4を形成する。
【0035】
なお、本実施形態では、内部電極3とは別に位置情報マーク4を形成したが、マザーのセラミックグリーンシート2上において、外周縁に最も近い内部電極を位置情報マークとして用いてもよい。
【0036】
位置情報マーク4は、内部電極3と同時に導電ペーストの印刷により形成されているが、位置情報マーク4も、蒸着、メッキまたはスパッタリングなどの他の方法により形成されてもよい。
【0037】
もっとも、重要なことは、位置情報マーク4の位置に対し、内部電極3の位置が予め定められた関係になるように内部電極3及び位置情報マーク4を形成する必要がある。
【0038】
次に、キャリアフィルム1に支持されているマザーのセラミックグリーンシート2を、図2(b)の一点鎖線Aで切断する。すなわち、マザーのセラミックグリーンシート2の一点鎖線Aよりも外側の部分を除去する。それによって、マザーのセラミックグリーンシート2Aを得る。マザーのセラミックグリーンシート2Aは、一点鎖線Aで囲まれた平面形状を有する。一点鎖線Aは位置情報マーク4の長さ方向中央において位置情報マーク4を横断するように延びている。従って、上記切断により、位置情報マーク4は、切断後のマザーのセラミックグリーンシート2Aの辺2a1に露出することとなる。同様に、辺2b1側においても位置情報マーク4が露出することとなる。
【0039】
また、本実施形態では、一点鎖線Aは、最外側の内部電極3の外側端縁を通過している。
【0040】
上記一点鎖線Aの切断に際しては、例えば一点鎖線Aに沿う矩形枠状の切断刃を有するカッティングヘッドを用いて行うことができる。
【0041】
他方、積層ステージ上において図3に示すように、マザーのセラミックグリーンシート2Aと同じ平面形状の無地のマザーのセラミックグリーンシート2Cを複数枚積層する。次に、上記マザーのセラミックグリーンシート2Aを積層する。さらに、マザーのセラミックグリーンシート2A上に、内部電極3の位置が面方向においてずらされているマザーのセラミックグリーンシート2Bを図3に示すように積層する。マザーのセラミックグリーンシート2Bは、上記マザーのセラミックグリーンシート2Aと同様にして得ることができる。
【0042】
マザーのセラミックグリーンシート2Aとマザーのセラミックグリーンシート2Bとを交互に複数枚積層する。しかる後、マザーのセラミックグリーンシート2Aと同じ平面形状の無地のマザーのセラミックグリーンシート2Dを複数枚積層する。このようにして、図3及び図4に示すマザーのセラミック積層体5を得ることができる。図4に示すように、得られたマザーのセラミック積層体5では、端面5aに、上記位置情報マーク4が露出している。なお、端面5b側においても、上記位置情報マーク4が露出している。
【0043】
なお、本実施形態では、上記マザーのセラミックグリーンシート2を得た後に、積層に先立ち一点鎖線Aで打ち抜き、マザーのセラミックグリーンシート2Aを得ていた。
【0044】
しかしながら、一点鎖線Aで打ち抜かずに、マザーのセラミックグリーンシート2を積層してもよい。すなわち、マザーのセラミックグリーンシート2と同じ平面形状の複数枚の無地のセラミックグリーンシートを積層する。次に、マザーのセラミックグリーンシート2を積層する。さらに、内部電極の位置が面方向においてずらされていることを除いてはマザーのセラミックグリーンシート2と同様に構成されているマザーのセラミックグリーンシートを積層する。さらに、無地のマザーのセラミックグリーンシートを積層する。このようにして、図5に平面図で示すマザーのセラミック積層体6を得てもよい。この場合、マザーのセラミック積層体6を得た後に、図5の一点鎖線Bに沿って切断し、図6に平面図で示すマザーのセラミック積層体6Aを得てもよい。この場合、一点鎖線Bは、前述した一点鎖線Aと同様に、位置情報マーク4を長さ方向中央において横断するように延びている。従って、図6に示すマザーのセラミック積層体6においては、端面6a,6bに位置情報マーク4が露出することとなる。このように、位置情報マーク4を端面に露出させる工程は、マザーのセラミックグリーンシート段階で行わずともよく、マザーのセラミック積層体段階で行ってもよい。
【0045】
図4に戻り、本実施形態では、端面5a及び端面5bに位置情報マーク4が露出しているマザーのセラミック積層体5を用意する。
【0046】
次に、図7に示すように、印刷ステージ11上にマザーのセラミック積層体5を載置する。印刷ステージ11は、上面11aが平坦面とされている。この上面11aに複数の吸引孔11bが開口している。複数の吸引孔11bを真空ポンプなどの吸引源に接続し、吸引する。それによって、マザーのセラミック積層体5が印刷ステージ11上に固定される。
【0047】
印刷に際しては、図1〜図8に示す印刷装置が用いられる。すなわち、図1に示すように、上記印刷ステージ11に駆動装置12が接続されている。また、印刷ステージ11上のマザーのセラミック積層体5の端面5a,5bに露出している位置情報マーク4を検出する検出装置13,14が設けられている。検出装置13,14は、例えばカメラなどの撮像手段により構成することができる。
【0048】
検出装置13,14が、制御装置15に接続されている。制御装置15は、検出装置13,14により検出された位置情報マーク4の位置情報に基づき、駆動装置12を駆動し、印刷ステージ11を所定の位置に位置決めする。
【0049】
上記駆動装置12は、適宜の往復駆動源及び回転駆動源を組み合わせて構成することができる。すなわち、印刷ステージ11を図示の矢印Cで示すように、Y方向に往復駆動させ得る往復駆動源と、矢印Dで略図的に示すように、マザーのセラミック積層体5の上面の中心を通るZ軸回りに印刷ステージ11を回転駆動させる回転駆動源とを有する。従って、駆動装置12により、印刷ステージ11を、Y方向に移動させることができ、Z軸回りに回転させることができる。
【0050】
他方、図8に示すように、印刷装置10は、スクリーン版17とスキージ18とを有する。スクリーン版17は、本実施形態では、矩形板状の形状を有する。スクリーン版17は、平面形状がストライプ状の複数の貫通孔17aを有する。
【0051】
上記印刷装置10を用いた外部電極の印刷工程を説明する。まず、印刷ステージ11上にマザーのセラミック積層体5を載置する。この状態で、検出装置13,14を駆動し、位置情報マーク4を検出する。この位置情報マーク4の位置情報に基づき、制御装置15は、マザーのセラミック積層体5の上面5eの正しい位置に外部電極が形成されるように、印刷ステージ11を位置決めする。すなわち、駆動装置12を駆動し、印刷ステージ11上に固定されているマザーのセラミック積層体5の位置を所定の位置に位置決めする。この所定の位置とは、スクリーン版17の貫通孔17aが、マザーのセラミック積層体5の上面5g用の外部電極印刷予定位置となる位置である。従って、駆動装置12を駆動してマザーのセラミック積層体5を移動し、貫通孔17aの下方に外部電極形成位置がくるようにマザーのセラミック積層体5の位置決めが行われる。この位置決めが完了した段階でスクリーン版17及びスキージ18を用いて導電ペースト19を印刷する。
【0052】
なお、図8では、スキージ18は、矢印で示すようにストライプ状の貫通孔17aの長さ方向に延びる方向に移動されていた。もっとも、本発明においては、スキージ18を、図8のストライプ状の貫通孔17aの幅方向に移動させてもよい。その場合には、好ましくは、スクリーン版17と、マザーのセラミック積層体5の上面5eとを一定間隔あけておき、その状態でスキージ18にスクリーン版17を押し付け、スクリーン版17を延ばしながら印刷してもよい。それによって、ストライプ状の貫通孔17aの間隔や幅を調整しながら印刷することができる。
【0053】
本実施形態では、複数の内部電極3はマザーのセラミック積層体5内に内蔵されているため、外部からマザーの内部電極3を確認することができない。しかしながら、位置情報マーク4は、マザーのセラミック積層体5の端面5a,5bに露出している。また、位置情報マーク4と内部電極3とは、予め定められた位置関係に配置されている。従って、外表面に露出している位置情報マーク4の位置情報に基づき、複数の内部電極3に対して正しい位置となるように外部電極を高精度に印刷することができる。
【0054】
このようにして、図9に示すように、マザーのセラミック積層体5の上面5e上に、複数本のストライプ状の外部電極21を形成する。
【0055】
次に、マザーのセラミック積層体5の下面5fにも同様にして複数のストライプ状の外部電極を形成する。
【0056】
しかる後、図10に細線E,Fで示すようにマザーのセラミック積層体5を厚み方向に切断する。ここで、細線Eは、隣接する内部電極の中央部を通っている。細線Fは、外部電極21の中央を通っている。その結果、図11(a)及び(b)に示す電子部品チップ22を得ることができる。電子部品チップ22は、上記マザーのセラミック積層体5が分割されることにより形成された電子部品素子23と、上記外部電極21が分割することにより形成された外部電極21A,21Bを有し、内部電極3が端面23a,23bに露出している。また、マザーのセラミック積層体5の下面側にも前述した通り複数本のストライプ状の外部電極が形成されている。この複数本の外部電極が上記切断により分割され、図11(a)及び(b)に示す外部電極24A,24Bが形成されている。
【0057】
上記のように、複数本のストライプ状の外部電極21及びマザーのセラミック積層体5の下面に形成される複数本のストライプ状の外部電極を高精度に形成することができるので、上記外部電極21A,21B,24A,24Bも予め定めた目的位置に高精度に形成することができる。
【0058】
次に、図12(a),(b)に示すように、電子部品素子23の端面23a,23bに導電ペーストを塗布し、焼付けることにより、外部電極25A,25Bを形成する。外部電極25Aは、端面23a側に形成されており、外部電極21Aと外部電極24Aとを電気的に接続している。同様に、外部電極25Bは端面23bを覆うように形成されており、電子部品素子23の上面に位置している外部電極21Bと、下面に位置している外部電極24Bとを電気的に接続している。このようにして、積層セラミックコンデンサである電子部品26を得ることができる。
【0059】
上記電子部品26では、電子部品素子23の上面23c及び下面23d上に位置している外部電極21A,21B,24A,24Bが目的とする位置に高精度に形成されている。従って、例えば、図13に示すように、基板31に埋め込む用途に好適に用いることができる。図13では、基板31内に、電子部品26が埋め込まれている。電子部品26の電子部品素子23の上面23c及び下面23dが、基板31の上面31aと平行な方向とされている。基板31の上面には、電極32,33が形成されている。また、基板31内には、ビアホール電極34,35が形成されている。ビアホール電極34は、電極32と、埋め込まれている電子部品26の外部電極21Aと電気的に接続している。同様に、ビアホール電極35は、電極33と基板31内に埋め込まれている電子部品26の外部電極21Bと電気的に接続している。本実施形態では、外部電極21A,21Bを高精度に形成することができる。従って、上記ビアホール電極34,35の一端を確実に外部電極21A,24Aに接続することができる。
【0060】
もっとも、本実施形態で得られる電子部品26は、このような基板埋込型の電子部品に限定されず、様々な用途に用いることができる。例えば、基板上に実装されるチップ型電子部品として電子部品26を用いてもよい。その場合においても、電子部品素子23の上面23c及び下面23d上の外部電極部分を高精度に形成することができるので、実装の信頼性を高めることができる。
【0061】
なお、電子部品26では、上記端面23a,23bに外部電極25A,25Bを形成したが、外部電極25A,25Bは形成されずともよい。特に、厚みが非常に薄い電子部品素子の場合には、端面23a,23bに必ずしも外部電極を形成する必要はない。
【0062】
また、上記実施形態では、外部電極21の印刷に際し、スクリーン印刷法を用いたが、外部電極印刷方法はこれに限定されるものではない。例えば、インクジェット法、凹版もしくは凸版を用いた印刷法、あるいは凹版または凸版が外周面に形成されている印刷ロールをブランケットロールを介してマザーのセラミック積層体5の上面に外部電極21を印刷する方法など適宜の印刷方法を用いることができる。そのお陰で電子写真法やフォトリソグラフィ法を用いて外部電極21を印刷してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…キャリアフィルム
2…セラミックグリーンシート
2A〜2D…セラミックグリーンシート
2a〜2d…辺
3…内部電極
4…位置情報マーク
5…セラミック積層体
5a,5b…端面
5e…上面
5f…下面
5g…上面
6…セラミック積層体
6A…セラミック積層体
6a,6b…端面
10…印刷装置
11…印刷ステージ
11a…上面
11b…吸引孔
12…駆動装置
13,14…検出装置
15…制御装置
17…スクリーン版
17a…貫通孔
18…スキージ
19…導電ペースト
21…外部電極
21A,21B…外部電極
22…電子部品チップ
23…電子部品素子
23a,23b…端面
23c…上面
23d…下面
24A,24B…外部電極
25A,25B…外部電極
26…電子部品
31…基板
31a…上面
32,33…電極
34,35…ビアホール電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1,第2の主面と、第1〜第4の端面とを有し、複数の内部電極が内蔵されており、かつ前記内部電極に対して予め定められた位置関係となるように設けられており、かつ前記端面に露出するように設けられた位置情報マークを有するマザーのセラミック積層体を用意する工程と、
前記マザーのセラミック積層体の少なくとも1つの端面に露出している前記位置情報マークを読み取る工程と、
前記位置情報マークに基づく内部電極位置情報に基づいて、前記マザーのセラミック積層体の主面に外部電極を印刷する工程と、
前記マザーのセラミック積層体を分割し、個々の積層セラミック電子部品単位の積層体を得る工程とを備える、電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記マザーのセラミック積層体を用意する工程において、前記マザーのセラミック積層体の端面に前記内部電極を露出させ、露出している内部電極を前記位置情報マークとして用いる、請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記位置情報マークが前記内部電極とは異なる印刷基準マークである、請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記複数の内部電極が、前記マザーのセラミック積層体を平面視した際に、前記マザーのセラミック積層体内においてマトリックス状に配置されており、前記外部電極として、複数本のストライプ状の外部電極を形成する、請求項1または2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記位置情報マークが、前記マザーのセラミック積層体の対向し合う第1,第2の端面の双方に露出している、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記マザーのセラミック積層体を用意する工程が、前記内部電極及び前記位置情報マークが上面に印刷されたセラミックグリーンシートを用意する工程と、該セラミックグリーンシートの外周縁の少なくとも一部を、前記位置情報マークが切断後外周縁に位置するように切断する工程と、前記位置情報マークが外周縁に露出した前記セラミックグリーンシートを複数枚積層する工程とを備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項7】
前記マザーのセラミック積層体を用意する工程が、前記内部電極及び前記位置情報マークが上面に印刷された複数枚のセラミックグリーンシートを積層して積層体を得る工程と、該積層体を前記位置情報マークが端面に露出するように切断する工程とを備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子部品の製造方法。
【請求項8】
第1,第2の主面と、第1〜第4の端面とを有し、第1,第2の主面を結ぶ方向において複数のセラミックグリーンシートが積層されているマザーのセラミック積層体を用いて電子部品を製造する電子部品製造装置であって、
前記マザーのセラミック積層体の少なくとも1つの端面に露出している位置情報マークを検出する検出装置と、
前記マザーのセラミック積層体の第1,第2の主面の少なくとも一方に複数の外部電極を印刷するための印刷装置と、
前記検出装置により検出された位置情報マークに基づく位置情報に従って、前記印刷装置において、マザーのセラミック積層体の第1及び第2の主面の少なくとも一方に複数の外部電極を印刷するように印刷位置を制御する制御装置とを備える、電子部品の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−222577(P2011−222577A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86879(P2010−86879)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】