説明

電子部品供給装置

【課題】実用性の高い電子部品供給装置を提供する。
【解決手段】電子部品を所定の位置で供給するテープフィーダ74と、テープフィーダの下縁部をスライド可能に保持するスライド部98と、テープフィーダのテープ化部品の送り出し方向の側の側壁面102が取り付けられる側壁面取付部100と、テープフィーダの側壁面に上下方向に並んで立設される1対の立設ピン104,106と、側壁面取付部に形成され、1対の立設ピンが嵌合される1対の嵌合穴112,114とを備えた電子部品供給装置において、下方に位置する立設ピン106が偏心軸を中心に回転する偏心ピンであり、その偏心ピンが嵌合される嵌合穴114が上下方向に延びる長穴であり、偏心ピンを制御可能に回転させるように構成する。この構成により、テープフィーダを上方に位置する立設ピン104を中心に揺動させて、電子部品の供給位置を調整することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品供給装置、特に、テープフィーダによって電子回路部品を供給する電子部品供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テープフィーダは、キャリアテープに形成された多数の収容凹部に電子回路部品(以下、「電子部品」と略す場合がある)が収容されるテープ化部品を送り出すことで所定の位置で電子部品を供給するとともに、ベース上に設けられたテープフィーダ装着台に着脱可能に装着される構造とされている。このような構造のテープフィーダを備えた電子部品供給装置(以下、「供給装置」と略す場合がある)には、電子部品の供給位置を一定させるべく、テープフィーダ装着台に対するテープフィーダの位置を規定するための位置決め機構が設けられているものが多くある。
【0003】
しかしながら、位置決め機構によってテープフィーダの位置を規定しても、電子部品の供給位置が、正規の供給位置から僅かにズレることがあり、装着ヘッドの吸着ノズルによって電子部品を適切に吸着できない虞がある。このため、下記特許文献に記載されている供給装置では、実際の電子部品の供給位置と正規の電子部品の供給位置とのズレ量を取得し、そのズレ量に基づいて、装着ヘッドの移動位置を制御することで、吸着ノズルによって電子部品を適切に吸着するための技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−77892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献に記載の技術によれば、吸着ノズルによって電子部品を適切に吸着することは可能となるが、電子部品を吸着する毎に、電子部品の供給位置のズレ量に基づいて、装着ヘッドの移動位置を制御する必要がある。また、供給装置には、回路基板の搬送方向に並んで配列された複数のテープフィーダを備え、複数の吸着ノズルを有する装着ヘッドの少なくとも2つの吸着ノズルに同時に少なくとも2つの電子部品を供給するように構成されているものがある。そのように構成された供給装置では、複数のテープフィーダのうちの少なくとも2つのテープフィーダの電子部品供給位置の間の距離が、複数の吸着ノズルのうちの少なくとも2つの吸着ノズルとの間の距離と同じとされている。このため、電子部品の供給位置のズレにより2つのテープフィーダの供給位置の間の距離が変化した場合には、装着ヘッドの移動位置を制御しても、2つの吸着ノズルによって適切に2つの電子部品を同時吸着することができない虞がある。
【0006】
このように、テープ化部品を送り出すことで所定の位置で電子部品を供給する供給位置は、種々の問題を抱え、実用性を改善する余地が多分に残されたものとなっている。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い供給位置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願の請求項1に記載の電子部品供給装置は、キャリアテープに形成された多数の収容凹部に電子部品が収容されるテープ化部品を送り出すことで所定の位置で電子部品を供給するテープフィーダと、(a)電子部品が装着される回路基板の搬送方向に直角な方向に延びるようにベース上に配置され、前記テープフィーダの下縁部をスライド可能に保持するスライド部と、(b)前記テープフィーダの前記テープ化部品の送り出し方向の側の側壁面が取り付けられる側壁面取付部とを有し、前記テープフィーダが着脱可能に装着されるテープフィーダ装着台と、(A)前記テープフィーダの側壁面に上下方向に並んだ状態で立設される1対の立設ピンと、(B)前記側壁面取付部に形成され、前記テープフィーダが前記テープフィーダ装着台に装着された状態で、前記1対の立設ピンが嵌合される1対の嵌合穴とを有し、前記テープフィーダ装着台に対する前記テープフィーダの位置を規定する位置決め機構とを備えた電子部品供給装置であって、前記1対の立設ピンの一方が、その一方の中心軸から偏心した偏心軸を中心に回転する偏心ピンであって、前記1対の嵌合穴のうちの前記偏心ピンが嵌合されるものが、上下方向に延びる長穴であり、当該電子部品供給装置が、前記偏心ピンを前記偏心軸を中心に回転させる回転モータと、その回転モータの作動を制御し、前記テープフィーダ装着台に対する前記テープフィーダの位置を調整するテープフィーダ位置調整部を有する制御装置とを備えるように構成される。
【0008】
また、請求項2に記載の電子部品供給装置は、請求項1に記載の電子部品供給装置において、前記テープフィーダが、前記搬送方向に並んで複数配列され、それら複数のテープフィーダのうちの少なくとも2つのテープフィーダの電子部品供給位置の間の距離が特定距離とされ、当該電子部品供給装置が、少なくとも2つの吸着ノズルの間の距離が前記特定距離とされた複数の吸着ノズルを有する装着ヘッドの前記少なくとも2つの吸着ノズルに同時に少なくとも2つの電子部品を供給するように構成される。
【0009】
また、請求項3に記載の電子部品供給装置は、請求項1または請求項2に記載の電子部品供給装置において、前記テープフィーダ位置調整部が、装着ヘッドに吸着された電子部品を撮像する撮像装置によって得られた画像データに基づいて、前記回転モータの作動を制御するように構成される。
【0010】
また、請求項4に記載の電子部品供給装置は、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の電子部品供給装置において、前記偏心ピンが、前記1対の立設ピンのうちの下方に位置するものであるように構成される。
【0011】
また、請求項5に記載の電子部品供給装置は、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の電子部品供給装置において、前記テープフィーダが、前記テープ化部品を送り出す送出装置を備え、前記制御装置が、前記送出装置の作動を制御し、前記テープフィーダの電子部品供給位置を調整する電子部品供給位置調整部を有するように構成される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の供給装置では、偏心ピンを長穴内に嵌合させた状態で回転させることで、1対の立設ピンのうちの偏心ピンとは異なるものを中心に、テープフィーダを揺動させることが可能となっている。これにより、テープフィーダの位置を、テープ化部品の送り出し方向に直角な方向に調整することが可能となり、テープフィーダによる電子部品の供給位置を、テープ化部品の送り出し方向に直角な方向に調整することが可能となる。また、テープ化部品の送り出しを調整することで、供給位置をテープ化部品の送り出し方向に調整することが可能である。つまり、請求項1に記載の供給装置では、電子部品の供給位置を任意の位置に調整することが可能となる。したがって、請求項1に記載の供給装置によれば、供給位置のズレ量に基づく装着ヘッドの位置制御を行うことなく、吸着ノズルによる電子部品の吸着を適切に行うことが可能となる。また、複数の吸着ノズルによる電子部品の同時吸着も適切に行うことが可能となる。
【0013】
また、請求項2に記載の供給装置は、複数の吸着ノズルによる電子部品の同時吸着に対応した構造とされている。このため、請求項2に記載の供給装置では、電子部品の供給位置を任意の位置に調整する効果を充分に活かすことが可能となる。
【0014】
また、請求項3に記載の供給装置では、装着ヘッドに吸着された電子部品の画像データに基づいて、電子部品の供給位置を調整することが可能となっている。これにより、吸着ノズルによる電子部品の吸着のズレを低減させることが可能となる。
【0015】
また、請求項4に記載の供給装置では、偏心ピンがテープフィーダの側壁面の下方に設けられている。テープフィーダ内の側壁面の上方の近傍には、通常、テープ化部品を送り出すための装置、具体的には、例えば、テープ化部品に一定ピッチで形成された送り穴に係合するスプロケット,そのスプロケットを駆動するためのモータ等が設けられており、空きスペースが非常に少ない。一方、テープフィーダ内の側壁面の下方の近傍には、上方と比較すると、空きスペースが比較的多い。したがって、請求項4に記載の供給装置によれば、偏心ピンを回転させるための回転モータをある程度自由に配設することが可能となり、設計の自由度を高くすることが可能となる。
【0016】
また、請求項5に記載の供給装置では、テープ化部品の送出装置の作動を制御することで、電子部品の供給位置をテープ化部品の送り出し方向に制御可能に調整することが可能となっている。これにより、電子部品の供給位置を確実に任意の位置に調整することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例である電子部品供給装置が取り付けられた電子部品装着機が2台並べられて構成されている電子部品装着装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示す電子部品装着機の備える装着ヘッドを示す斜視図である。
【図3】図2に示す装着ヘッドを下方からの視点において示す底面図である。
【図4】図1に示す電子部品装着機の備えるテープフィーダを一方の側面からの視点において示す斜視図である。
【図5】図1に示す電子部品装着機の備えるテープフィーダを他方の側面からの視点において示す斜視図である。
【図6】図1に示す電子部品装着機の備えるテープフィーダを示す概略断面図である。
【図7】図4乃至図6に示すテープフィーダの一部および、そのテープフィーダによって送り出されるテープ化部品を示す平面図である。
【図8】図4乃至図6に示すテープフィーダが装着されるテープフィーダ装着台を示す斜視図である。
【図9】図1に示す電子部品装着機の備える制御装置を示すブロック図である。
【図10】本発明の電子部品供給装置によって電子部品が供給される装着ヘッドの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例および変形例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0019】
<電子部品装着装置の構成>
図1に、電子部品装着装置(以下、「装着装置」と略す場合がある)10を示す。その図は、装着装置10の外装部品の一部を取り除いた斜視図である。装着装置10は、1つのシステムベース12と、そのシステムベース12の上に互いに隣接されて並んで配列された2つの電子部品装着機(以下、「装着機」と略す場合がある)16とを含んで構成されており、回路基板に電子部品を装着する作業を行うものとされている。なお、以下の説明において、装着機16の並ぶ方向をX軸方向とし、その方向に直角な水平の方向をY軸方向と称する。
【0020】
装着装置10の備える装着機16の各々は、主に、フレーム部20とそのフレーム部20に上架されたビーム部22とを含んで構成された装着機本体24と、回路基板をX軸方向に搬送するとともに設定された位置に固定する搬送装置26と、その搬送装置26によって固定された回路基板に回路部品を装着する装着ヘッド28と、ビーム部22に配設されて装着ヘッド28をX軸方向およびY軸方向に移動させる移動装置30と、フレーム部20の前方に配設され装着ヘッド28に電子部品を供給する電子部品供給装置(以下、「供給装置」と略す場合がある)32とを備えている。
【0021】
搬送装置26は、2つのコンベア装置40,42を備えており、それら2つのコンベア装置40,42は、互いに平行、かつ、X軸方向に延びるようにフレーム部20のY軸方向での中央部に配設されている。2つのコンベア装置40,42の各々は、電磁モータ44(図9参照)によって各コンベア装置40,42に支持される回路基板をX軸方向に搬送する構造とされている。さらに、コンベア装置40,42の各々は、基板保持装置46(図9参照)を有しており、所定の位置において回路基板を固定的に保持する構造とされている。
【0022】
装着ヘッド28は、搬送装置26によって保持された回路基板に対して電子部品を装着するものであり、図2に示すように、電子部品を吸着する吸着ノズル50を先端部に保持する装着ユニット52を8個備えている。吸着ノズル50の各々は、正負圧供給装置(図9参照)54を介して負圧エア,正圧エア通路に通じており、負圧にて電子部品を吸着保持し、僅かな正圧が供給されることで保持した電子部品を離脱する構造とされている。概して軸状をなす装着ユニット52は、間欠回転するユニット保持体56の外周部に、等角度ピッチで、軸方向が垂直となる状態に保持されており、吸着ノズル50は、図3に示すように、ユニット保持体56の下面から下方に向かって8等配の位置で延び出している。
【0023】
また、ユニット保持体56は、保持体回転装置58によって、装着ユニット52の配設角度ピッチに等しい角度ずつ間欠回転させられ、そのユニット保持体56に保持される装着ユニット52が間欠回転させられる。間欠回転における装着ユニット52の1つの停止位置である昇降ステーション(最も前方に位置するステーション)において、そのステーションに位置する装着ユニット52は、ユニット昇降装置60によって昇降させられる。これにより、装着ユニット52の先端部に保持される吸着ノズル50は、後に説明する供給装置32から電子部品を吸着する。また、装着ヘッド28では、8個の吸着ノズル50のうちの連続する3個の吸着ノズル50の両端に位置するもの、つまり、ある1つの吸着ノズル50に隣接する2個の吸着ノズル50によって、供給装置32から同時に2つの電子部品を吸着することもできるようになっている。ちなみに、同時吸着を行う2つの吸着ノズル50間の距離は、特定距離Lとされている。
【0024】
また、昇降ステーションとは別の停止位置が、ユニット自転ステーションとされており、そのステーションにおいて、そのステーションに位置する装着ユニット52が、ユニット自転装置62によって自転させられる。これにより、吸着保持された電子部品の上下方向の位置および電子部品の保持姿勢を変更することが可能とされている。
【0025】
移動装置30は、上記装着ヘッド28をフレーム部20上の任意の位置に移動させるものであり、装着ヘッド28をX軸方向に移動させるためのX軸方向スライド機構(図示省略)と、装着ヘッド28をY軸方向に移動させるためのY軸方向スライド機構(図示省略)とを備えている。X軸方向スライド機構は、X軸方向に移動可能にビーム部22に設けられたX軸スライダ(図示省略)と、駆動源としての電磁モータ(図9参照)64とを有しており、その電磁モータ64によって、X軸スライダがX軸方向の任意の位置に移動可能とされている。また、Y軸方向スライド機構は、Y軸方向に移動可能にX軸スライダに設けられたY軸スライダ66と、駆動源としての電磁モータ(図9参照)68とを有しており、その電磁モータ68によって、Y軸スライダ66がY軸方向の任意の位置に移動可能とされている。そして、そのY軸スライダ66に装着ヘッド28が取り付けられることで、装着ヘッド28は、移動装置30によって、フレーム部20上の任意の位置に移動可能とされている。なお、装着ヘッド28は、Y軸スライダ66にワンタッチで着脱可能とされており、種類の異なる作業ヘッド、例えば、ディスペンサヘッド等に変更することが可能とされている。
【0026】
また、供給装置32は、フレーム部20の前方側の端部に配設されており、フィーダ型の供給装置とされている。供給装置32は、回路部品がテーピング化されたテープ化部品(図7参照)70をリール72に巻回させた状態で収容する複数のテープフィーダ74と、それら複数のテープフィーダ74の各々に収容されているテープ化部品70を送り出す複数の送出装置(図4乃至図6参照)76とを有しており、テープ化部品70から電子部品を装着ヘッド28への供給位置に順次供給する構造とされている。
【0027】
テープフィーダ74の上端面には、図4乃至図6に示すように、リール72から引き出されたテープ化部品70が延在させられており、そのテープ化部品70がテープフィーダ74に内蔵されている送出装置76によって送り出されることで、テープフィーダ74の上端面の先端部において、電子部品が供給されるようになっている。詳しく言えば、テープ化部品70は、図7に示すように、多数の収容凹部78および送り穴80が等ピッチで形成されたキャリアテープ82と、収容凹部78に収容される電子部品84と、キャリアテープ82の電子部品84が収容された収容凹部78を覆うトップカバーテープ86とから構成されている。一方、送出装置76は、図4乃至図6に示すように、テープ化部品70のキャリアテープ82に形成された送り穴80に係合するスプロケット88と、電磁モータ90と、その電磁モータ90の回転力をスプロケット88に伝達するための伝達機構92とから構成されている。
【0028】
この構成により、テープフィーダ74によって電子部品が供給される際には、送出装置76の電磁モータ90が作動されることで、キャリアテープ82にトップカバーテープ86が貼着された状態のテープ化部品70が、スプロケット88によって、収容凹部78の形成ピッチと同ピッチ分、送り出される。そして、剥離装置(図示省略)によって、キャリアテープ82からトップカバーテープ86が剥ぎ取られる。これにより、電子部品84が収容された収容凹部78が順次解放され、その解放された収容凹部78から回路部品84が吸着ノズル50によって取り出される。
【0029】
また、テープフィーダ74は、フレーム部20の前方側の端部に固定的に設けられたテープフィーダ装着台96に着脱可能とされている。テープフィーダ装着台96は、図8に示すように、フレーム部20の上面にY軸方向に延びるように形成されたスライド部98と、そのスライド部98の搬送装置26に近い側に立設された立設面部100とから構成されている。スライド部98は、テープフィーダ74の下縁部を嵌合させた状態でテープフィーダ74をスライドさせることが可能とされており、テープフィーダ74のテープフィーダ装着台96への装着時には、テープフィーダ74の下縁部をスライド部98に嵌合させた状態でテープフィーダ74を立設面部100に接近させる方向にスライドさせる。これにより、図6に示すように、テープフィーダ74のテープ化部品の送り出し方向の側の側壁面102が立設面部100に取り付けられて、テープフィーダ74がテープフィーダ装着台96に装着される。
【0030】
テープフィーダ74の側壁面102には、上下方向に並んだ状態で1対の立設ピン104,106が立設されている。1対の立設ピン104,106のうちの上方に位置する第1立設ピン104は、側壁面102に固定されている。一方、1対の立設ピン104,106のうちの下方に位置する第2立設ピン106は、それの中心軸から偏心した偏心軸108を中心に回転可能とされており、その偏心軸108は回転モータ110に接続されている。
【0031】
そのテープフィーダ74の側壁面102が取り付けられる立設面部100には、上下方向に並んだ状態で1対の嵌合穴112,114が形成されており、テープフィーダ74のテープフィーダ装着台96への装着時に、1対の立設ピン104,106が1対の嵌合穴112,114に嵌合されるようになっている。1対の嵌合穴112,114のうちの第1立設ピン104が嵌合される第1嵌合穴112は、それの内径が第1立設ピン104の外径より僅かに大きな円形状の穴とされており、第1立設ピン104を殆ど隙間なく嵌合させることが可能となっている。一方、1対の嵌合穴112,114のうちの第2立設ピン106が嵌合される第2嵌合穴114は、上下方向に延びる長穴とされており、その長穴の幅、つまり、短径は、第2立設ピン106の外径より僅かに大きくされている。これにより、第2嵌合穴114は、それの幅方向において第2立設ピン106を殆ど隙間なく嵌合させることが可能となっている。なお、テープフィーダ74の側壁面102には、1対の立設ピン104,106の間に、コネクタ116が設けられており、テープフィーダ装着台96の立設面部100の1対の嵌合穴112,114の間に形成されたコネクタ接続部118に接続されるようになっている。
【0032】
このような構造により、テープフィーダ74がテープフィーダ装着台96に装着された際に、1対の立設ピン104,106が1対の嵌合穴112,114に嵌合されることで、テープフィーダ74のテープフィーダ装着台96に対する位置を規定することが可能となる。つまり、供給装置32は、1対の立設ピン104,106と1対の嵌合穴112,114とによって構成されるテープフィーダ74の位置決め機構を備えるものとされている。ちなみに、テープフィーダ装着台96には複数のテープフィーダ74がX軸方向に並んで装着されるようになっており、それら複数のテープフィーダ74の各々に上記位置決め機構が備えられている。各位置決め機構によって装着位置が規定されている複数のテープフィーダ74のうちの隣り合う2つのテープフィーダ74の電子部品供給位置の間の距離は、上記特定距離Lとされている。つまり、2つのテープフィーダ74による電子部品の供給位置の間の距離は、装着ヘッド28の8個の吸着ノズル50のうちの2個の吸着ノズル50の間の距離と同じとされており、それら2個の吸着ノズル50によって、隣り合う2つのテープフィーダ74から電子部品を同時に吸着することが可能となっている。
【0033】
また、第2嵌合穴114に嵌合された状態の第2立設ピン106が、回転モータ110によって回転させられることで、テープフィーダ74のX軸方向における位置を調整することが可能となっている。詳しく言えば、第2嵌合穴114に嵌合された状態の第2立設ピン106を、偏心軸108を中心に回転させると、第2立設ピン106の外周面によって、長穴形状の第2嵌合穴114を区画する内壁がX軸方向に押圧される。この際、第2立設ピン106は、第2嵌合穴114内を上下方向に移動し、テープフィーダ74が、第1嵌合穴112に嵌合された第1立設ピン104を中心に揺動する。これにより、テープフィーダ74のX軸方向における位置が調整される。そして、回転モータ110を停止することで、テープフィーダ74はその調整された位置において位置決めされる。
【0034】
また、装着機16は、マークカメラ(図9参照)130およびパーツカメラ(図2,9参照)132を備えている。マークカメラ130は、下方を向いた状態でY軸スライダ66の下面に固定されており、移動装置30によって移動させられることで、回路基板の表面を任意の位置において撮像することが可能となっている。一方、パーツカメラ132は、上を向いた状態でフレーム部20の搬送装置26と供給装置32との間に設けられており、装着ヘッド28の吸着ノズル50によって吸着保持された電子部品を撮像することが可能となっている。マークカメラ130によって得られた画像データおよび、パーツカメラ132によって得られた画像データは、画像処理装置134(図9参照)において処理され、回路基板に関する情報,基板保持装置46による回路基板の保持位置誤差,吸着ノズル50による電子部品の保持位置誤差等が取得される。
【0035】
さらに、装着機16は、図9に示すように、制御装置140を備えている。制御装置140は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体とするコントローラ142と、上記電磁モータ44,64,68,基板保持装置46,正負圧供給装置54,ユニット昇降装置60,ユニット自転装置62,送り装置76,回転モータ110の各々に対応する複数の駆動回路144とを備えている。また、コントローラ142には、各駆動回路144を介して搬送装置,移動装置等の駆動源が接続されており、搬送装置,移動装置等の作動を制御することが可能とされている。さらに、コントローラ142には、マークカメラ130およびパーツカメラ132によって得られた画像データを処理する画像処理装置134が接続されている。
【0036】
<電子部品装着機による装着作業>
装着機16では、上述した構成によって、搬送装置26に保持された回路基板に対して、装着ヘッド28によって電子部品の装着作業を行うことが可能とされている。具体的に説明すれば、まず、搬送装置26によって、回路基板を装着作業位置まで搬送するとともに、その位置において回路基板を固定的に保持する。次に、移動装置30によって、装着ヘッド28を回路基板上に移動させ、マークカメラ130によって、回路基板を撮像する。その撮像により回路基板の種類,搬送装置26による回路基板の保持位置誤差が取得される。その取得された回路基板の種類に応じた電子部品を、供給装置32のテープフィーダ74によって供給し、その回路部品の供給位置に、装着ヘッド28を移動装置30によって移動させる。これにより、装着ヘッド28の吸着ノズル50によって回路部品が吸着保持される。なお、本装着機16では、上述したように、2つの吸着ノズル50によって、2つのテープフィーダ74から電子部品を同時吸着することが可能となっている。
【0037】
続いて、電子部品を保持した状態の装着ヘッド28を、移動装置30によってパーツカメラ132上に移動させ、パーツカメラ132によって、装着ヘッド28に保持された電子部品を撮像する。その撮像により電子部品の保持位置誤差が取得される。そして、移動装置30によって、装着ヘッド28を回路基板上の装着位置に移動させ、装着ヘッド28によって、回路基板および電子部品の保持位置誤差に基づいて装着ノズル50を自転させた後に,電子部品が装着される。
【0038】
<テープフィーダによる電子部品の供給位置の調整>
上述したように、本装着機16は、供給装置32のテープフィーダ74によって供給された電子部品を、装着ヘッド28の吸着ノズル50によって吸着保持し、その吸着保持された電子部品を回路基板上に装着するように構成されている。このように構成された装着機では、吸着ノズル50によって電子部品を適切に吸着することは重要であり、吸着ノズル50は、電子部品のあらかじめ設定されている箇所を吸着することが望ましい。このため、テープフィーダ74は、あらかじめ規定されている位置において、電子部品を供給することが望ましく、電子部品の供給位置を規定するべく、供給装置32には、上述したように、テープフィーダ74の位置を規定するための機構が設けられている。
【0039】
しかしながら、そのような機構によってテープフィーダ74の位置を規定しても、テープフィーダ74は所定の位置から僅かにズレる場合があり、テープフィーダ74のズレに伴って、電子部品の供給位置も所定の位置からズレる場合がある。このような場合には、吸着ノズル50による電子部品の吸着が適切に行えない虞がある。特に、本装着機16では、2つの吸着ノズル50によって、2つのテープフィーダ74から電子部品を同時吸着することが可能となっているため、2つのテープフィーダ74の供給位置がズレると、それら2つのテープフィーダ74の供給位置の間の距離が上記特定距離Lから変化する場合がある。このような場合には、2つの吸着ノズル50による電子部品の同時吸着が適切に行えない虞がある。
【0040】
そこで、本作業機16では、テープフィーダ74による電子部品の供給位置のズレを補正するべく、電子部品の供給位置を調整するための供給位置調整制御を行っている。この制御では、供給位置のズレ量に基づいて、テープフィーダ74の送出装置76およびテープフィーダ74の位置決め機構の回転モータ110の作動を制御することで、電子部品の供給位置を調整している。詳しく言えば、まず、装着作業時にパーツカメラ132によって撮像された電子部品の画像データ、つまり、吸着ノズル50に吸着保持された状態の電子部品の画像データから、吸着ヘッド50による電子部品の保持位置誤差を取得する。そして、その保持位置誤差に基づいて、電子部品供給位置のX軸方向へのズレ量およびY軸方向へのズレ量を演算する。これらの処理は、図9に示すコントローラ142の供給位置ズレ量取得部150において行われる。
【0041】
そして、その取得された電子部品供給位置のX軸方向へのズレ量に基づいて、回転モータ110の作動を制御することで、テープフィーダ74の位置をX軸方向に調整し、電子部品供給位置をX軸方向に調整する。この処理は、図9に示すコントローラ142のテープフィーダ位置調整部152において行われる。さらに、取得された電子部品供給位置のY軸方向へのズレ量に基づいて、テープフィーダ74の送出装置76の作動を制御することで、テープ化部品70の送り出し量を調整し、電子部品供給位置をY軸方向に調整する。この処理は、図9に示すコントローラ142の電子部品供給位置調整部154において行われる。以上の処理によって、電子部品供給位置のズレを無くすことが可能となり、吸着ノズル50による電子部品の吸着を適切に行うことが可能となる。
【0042】
ちなみに、上記実施例において、電子部品供給装置32は、電子部品供給装置の一例であり、電子部品供給装置32を構成するテープフィーダ74、テープフィーダ装着台96は、テープフィーダ、テープフィーダ装着台の一例である。そのテープフィーダ装着台96のスライド部98、立設面部100は、スライド部、側壁面取付部の一例である。第1立設ピン104、第2立設ピン106は、1対の立設ピンの一例であり、第1嵌合穴112、第2嵌合穴114は、1対の嵌合穴の一例である。そして、それら第1立設ピン104、第2立設ピン106、第1嵌合穴112、第2嵌合穴114によって構成される機構は、位置決め機構の一例である。回転モータ110は、回転モータの一例であり、制御装置140は、制御装置の一例である。その制御装置140のテープフィーダ位置調整部152、電子部品供給位置調整部154は、テープフィーダ位置調整部、電子部品供給位置調整部の一例である。また、装着ヘッド28、吸着ノズル50は、装着ヘッド、吸着ノズルの一例であり、パーツカメラ132は、撮像装置の一例である。
【0043】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、供給位置調整制御を実行する制御装置140は、装着機16に対応して設けられるものであったが、複数のテープフィーダ74の各々に供給位置調整制御を実行するための制御装置を設けてもよい。
【0044】
また、上記実施例では、装着ヘッドとして、複数の吸着ノズルが円環状に配置された装着ヘッド、所謂、ロータリヘッドが採用されていたが、図10に示す多連型の装着ヘッド160を採用することが可能である。この装着ヘッド160は、8個の単位搭載ヘッド162によって構成されており、各単位搭載ヘッド162の下端面に吸着ノズル164が設けられている。ちなみに、隣り合う2個の吸着ノズル164の間の距離は、上記特定距離Lとされている。
【符号の説明】
【0045】
28:装着ヘッド 32:電子部品供給位置 50:吸着ノズル 74:テープフィーダ 76:送出装置 96:テープフィーダ装着台 98:スライド部 100:立設面部(側壁面取付部) 104:第1立設ピン(位置決め機構) 106:第2立設ピン(偏心ピン)(位置決め機構) 110:回転モータ 112:第1嵌合穴(位置決め機構) 114:第2嵌合穴(長穴)(位置決め機構) 140:制御装置 152:テープフィーダ位置調整部 154:供給位置調整部 160:装着ヘッド 164:吸着ノズル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアテープに形成された多数の収容凹部に電子部品が収容されるテープ化部品を送り出すことで所定の位置で電子部品を供給するテープフィーダと、
(a)電子部品が装着される回路基板の搬送方向に直角な方向に延びるようにベース上に配置され、前記テープフィーダの下縁部をスライド可能に保持するスライド部と、(b)前記テープフィーダの前記テープ化部品の送り出し方向の側の側壁面が取り付けられる側壁面取付部とを有し、前記テープフィーダが着脱可能に装着されるテープフィーダ装着台と、
(A)前記テープフィーダの側壁面に上下方向に並んだ状態で立設される1対の立設ピンと、(B)前記側壁面取付部に形成され、前記テープフィーダが前記テープフィーダ装着台に装着された状態で、前記1対の立設ピンが嵌合される1対の嵌合穴とを有し、前記テープフィーダ装着台に対する前記テープフィーダの位置を規定する位置決め機構と
を備えた電子部品供給装置であって、
前記1対の立設ピンの一方が、その一方の中心軸から偏心した偏心軸を中心に回転する偏心ピンであって、
前記1対の嵌合穴のうちの前記偏心ピンが嵌合されるものが、上下方向に延びる長穴であり、
当該電子部品供給装置が、
前記偏心ピンを前記偏心軸を中心に回転させる回転モータと、
その回転モータの作動を制御し、前記テープフィーダ装着台に対する前記テープフィーダの位置を調整するテープフィーダ位置調整部を有する制御装置と
を備えた電子部品供給装置。
【請求項2】
前記テープフィーダが、前記搬送方向に並んで複数配列され、
それら複数のテープフィーダのうちの少なくとも2つのテープフィーダの電子部品供給位置の間の距離が特定距離とされ、
当該電子部品供給装置が、
少なくとも2つの吸着ノズルの間の距離が前記特定距離とされた複数の吸着ノズルを有する装着ヘッドの前記少なくとも2つの吸着ノズルに同時に少なくとも2つの電子部品を供給するように構成された請求項1に記載の電子部品供給装置。
【請求項3】
前記テープフィーダ位置調整部が、
装着ヘッドに吸着された電子部品を撮像する撮像装置によって得られた画像データに基づいて、前記回転モータの作動を制御するように構成された請求項1または請求項2に記載の電子部品供給装置。
【請求項4】
前記偏心ピンが、前記1対の立設ピンのうちの下方に位置するものである請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の電子部品供給装置。
【請求項5】
前記テープフィーダが、
前記テープ化部品を送り出す送出装置を備え、
前記制御装置が、
前記送出装置の作動を制御し、前記テープフィーダの電子部品供給位置を調整する電子部品供給位置調整部を有する請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の電子部品供給装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−73997(P2013−73997A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210234(P2011−210234)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】