説明

電子部品実装装置

【課題】生産性を低下させることなく転写ピンからペースト接着剤を除去することができる電子部品実装装置を提供することを目的とする。
【解決手段】同心円状に配置された2つの環状の貯留槽32、33を基板9に対して転写ヘッド4の移動方向に離れた位置に配置し、転写ヘッド4が貯留槽32、33と基板9の間を直線移動できるようにした。内側の貯留槽32にはペーストが貯留され、外側の貯留槽33はペーストと捨て打ち場になっており、転写ヘッド4は貯留槽32に設定された位置P1と基板9との間を移動しながらペーストの転写作業を行う。貯留槽33には捨て打ちを行う位置P2が転写ヘッド4の動線上に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペースト接着剤を転写した基板に電子部品を実装する電子部品実装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品を実装する分野において、ペースト接着剤を基板に供給する方法として、転写ヘッドに備わる転写ピンに付着させたペースト接着剤を基板に転写するものが知られている。転写ピンにはペースト接着剤を付着させ、基板に転写する転写面が備わっており、転写面には転写したい形状に合わせて突起部が形成されている。突起部に付着したペースト接着剤は基板に転写されるが、転写回数を重ねる毎に突起部と突起部の間にペースト接着剤が堆積し、これが基板に付着するなどして転写品質を低下させる原因となっている。従来、ペースト接着剤の供給位置と転写位置との間にクリーニング装置を設け、転写面を不織布などのクリーニング材に接触させることで転写面の清掃や堆積したペースト接着剤の除去を行う装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−7136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このクリーニング装置は場所を占有するとともに他の部材と干渉することのないような位置に配置されているため、必ずしも転写ヘッドの通常作業時の動線上には位置していない。そのため、転写ヘッドにクリーニングのために通常動作とは異なる動きが要求される結果として、転写ヘッドの移動に時間を要し、生産性が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、生産性を低下させることなく転写ピンからペースト接着剤を除去することができる電子部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の電子部品実装装置は、電子部品を基板に接合するためのペーストを貯留するペースト貯留部と、前記ペースト貯留部のペーストを転写ピンに付着させて基板に転写する転写ヘッドと、ペーストが転写された基板に電子部品を実装する実装ヘッドを備え、前記ペースト貯留部は、同心円状に配置された少なくとも2つの環状の槽と、前記槽を前記同心円の中心軸周りに回転させる槽回転手段と、前記槽の断面を遮蔽する遮蔽板と、前記遮蔽板と前記槽の底壁との隙間を調節する隙間調節手段を備え、少なくとも1つの前記槽は、前記転写ピンに残留するペーストを底壁に捨て打ちするために用いられる。
【0007】
請求項2に記載の電子部品実装装置は請求項1に記載の電子部品実装装置であって、前記底壁に捨て打ちされたペーストの形状を認識するためのカメラを備えた。
【0008】
請求項3に記載の電子部品実装装置は請求項1または2に記載の電子部品実装装置であって、前記底壁に前記転写ピンを洗浄する洗浄材を配置した。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ペーストの貯留槽を同心円状に配置された複数の環状の槽とし、その
うちの1つを捨て打ちの場として用いることで、専用の捨て打ちの場を設ける必要がなくなり、また、捨て打ちのために転写ヘッドが移動する距離を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態における電子部品実装装置の斜視図
【図2】本発明の実施の形態におけるペースト供給部移動機構の斜視図
【図3】本発明の実施の形態における電子部品実装装置の平面図
【図4】本発明の実施の形態における電子部品実装装置の捨て打ち動作のフローチャート
【図5】本発明の実施の形態における貯留槽の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態における電子部品実装装置の斜視図、図2は本発明の実施の形態におけるペースト供給部移動機構の斜視図、図3は本発明の実施の形態における電子部品実装装置の平面図、図4は本発明の実施の形態における電子部品実装装置の捨て打ち動作のフローチャート、図5は本発明の実施の形態における貯留槽の斜視図である。
【0012】
電子部品実装装置1は、図1に示すように、ピックアップヘッド2、ボンディングヘッド3、転写ヘッド4の3つの作業ヘッドと、部品供給テーブル5、部品中継テーブル6、実装テーブル7、ペースト供給テーブル8の4つの作業テーブル主要部として構成されている。作業ヘッドは、電子部品実装装置1の正面側から背面側に向けて奥行き方向にピックアップヘッド2、ボンディングヘッド3、転写ヘッド4の順に配置され、作業テーブルは、同じく部品供給テーブル5、部品中継テーブル6、実装テーブル7、ペースト供給テーブル8の順に配置されている。そのほか電子部品実装装置1には、基板9の搬送を担う基板搬送機構10と、各作業ヘッドの移動を担う直動機構11と、ペースト供給テーブル8の移動を担う直動機構30(図2参照)と、4つのカメラ12、13、14、15が備わっている。
【0013】
ピックアップヘッド2は、鉛直方向および電子部品実装装置1の奥行き方向(矢印a:基板9の搬送方向(矢印b)に対して直交する方向)に移動し、チップ20を運搬する。チップ20は部品供給テーブル5のウェハシート21の上に貼り付けられており、ピックアップヘッド2はノズル22にチップ20を吸着してウェハシート21から剥ぎ取り、部品中継テーブル6にチップ20を載置する。
【0014】
ウェハシート21上のチップ20は第1カメラ12によって位置や向きの確認がなされ、位置ずれが確認された場合には部品供給テーブル5を水平面内で動かしてチップ20の位置を修正し、チップ20の向きに応じてノズル22の角度を修正する。
【0015】
部品中継テーブル6は、移動テーブル23の上にノズルストッカ24や第2カメラ15とともに配置されている。移動テーブル23は直動装置25によって基板搬送方向(矢印b)に移動することができる。移動テーブル23の移動経路にはクリーニングヘッド26が配置されている。クリーニングヘッド26は、移動テーブル23が真下を移動するときに部品中継テーブル6の上面(チップ載置面)の清掃や不要チップの排除を行う。ノズルストッカ24には交換用のノズルおよび転写ピンが保管されている。
【0016】
ボンディングヘッド3は、鉛直方向および電子部品実装装置1の奥行き方向(矢印a)に移動し、ノズル27に吸着したチップ20を基板9に実装する。ボンディングヘッド3は、部品中継テーブル6に載置されたチップ20を吸着するほか、ウェハシート21から直接チップ20を吸着したり、ピックアップヘッド2に吸着されているチップ20を吸着
したりすることもできる。ピックアップヘッド2から受け取る場合は、ピックアップヘッド2の反転に伴って上下反転したチップ20を吸着し、反転したままの姿勢で実装するフリップチップ実装となる。
【0017】
部品中継テーブル6上のチップ20は第3カメラ13によって位置や向きの確認がなされ、位置ずれが確認された場合にはボンディングヘッド3の移動(矢印a)と部品中継テーブルの移動(矢印b)によってノズル27とチップ20の位置関係を修正し、チップ20の向きに応じてノズル27の角度を修正する。フリップチップ実装の場合は、ボンディングヘッド3のノズル27に吸着されたチップ20を第2カメラ15によって撮像し、位置や向きの確認を行う。
【0018】
転写ヘッド4は、鉛直方向および電子部品実装装置1の奥行き方向(矢印a)に移動し、転写ピン28に付着させたペーストを基板9に転写する。ペーストはペースト供給テーブル8に貯留されており、転写ヘッド4は転写ピン28をペーストに浸すことで定量のペーストを転写ピン28に付着させ、転写ピン28を基板9に押し当てることでペーストを転写する。
【0019】
基板9に転写されたペーストは第4カメラ14によって位置や形状の確認をするようにしてもよい。正しい位置に所定の形状に転写されていることが確認されたら、ペーストの上からチップ20を実装する。第4カメラ14は実装されたチップ20の位置や向きの確認にも用いられる。
【0020】
電子部品実装装置1の側方から装置内に搬入され基板9は基板搬送機構10によって実装テーブル7上に搬送される。基板搬送機構10はアーム29の先端を基板9の後部に引っ掛け、アーム29の動きに基板9を伴わせる形態で基板9の搬送を行う。
【0021】
ペースト供給テーブル8とその直動機構30について図2を参照して説明する。ペースト供給テーブル8は、L型プレート31を主体とし、その水平部分に同心円状に配置された2つの環状のペースト貯留槽32、33を配置している。第1貯留槽32は第2貯留槽33の内側に配置されており、第1貯留槽32にはペースト状の接着材が貯留されている。第2貯留槽33はペーストが存在しない空の貯留槽となっており、転写ピン28に残留したペーストを除去するための捨て打ち場として使用される。第1貯留槽32と第2貯留槽33はモータ34によって同心円の中心軸周りに回転するようになっている。
【0022】
各槽32、33にはそれぞれの断面を遮蔽する遮蔽板35が備わっている。2つの遮蔽板35はマイクロメータヘッド等を用いた調節機構36、37によってそれぞれ独立して昇降できるようになっており、昇降位置によって遮蔽板35と各槽32、33の底壁38、39との隙間を調節することができる。第1貯留槽32に貯留されたペーストは、遮蔽板35の下流側で遮蔽板35と底壁38の隙間に応じた厚さに均される。一方、第2貯留槽33では、捨て打ちされたペーストが底壁39に密着させた遮蔽板35によってかきとられるため、遮蔽板35の下流側の底壁39はペーストが付着していない状態になる。そのため遮蔽板35の下流側であればペーストが転写ピン28に再付着するおそれはなくなるので、ペーストの貯留槽を転用した面積の小さい領域でも何回も捨て打ちを行うことができ、また常に同じ位置で捨て打ちを行うことができる。
【0023】
図3に示すように、電子部品実装装置1は、同心円状に配置された2つの環状の貯留槽32、33を基板9に対して転写ヘッド4の移動方向に離れた位置に配置し、転写ヘッド4が貯留槽32、33と基板9の間を直線移動できるようになっている。内側の第1貯留槽32にはペーストが貯留され、外側の第2貯留槽33はペーストと捨て打ち場になっており、転写ヘッド4は第1貯留槽32に設定された位置P1と基板9との間を移動しなが
らペーストの転写作業を行う。第2貯留槽33には捨て打ちを行う位置P2が転写ヘッド4の動線上に設定されている。
【0024】
転写ヘッド4は、ペースト受け位置P1で転写ピン28を第1貯留槽32のペーストに浸し、調節された厚さのペーストを転写ピン28に付着させる。そして基板9の上方に移動し、位置決めを行った後に基板9にペーストを転写する。ペースト捨て打ち位置P2はペースト受け位置P1に対してa方向(転写ヘッド4の移動方向)であって、転写作業のために第1貯留槽32と基板9の間を移動する転写ヘッド4の動線上にあるので、転写ヘッド4は転写作業時の動線から離脱することなく捨て打ち動作を行うことができる。
【0025】
なお、モータ34の回転軸とペースト貯留槽32、33はL型プレート31の裏面側において無端ベルト40で連結されている。また、ピックアップヘッド2と部品中継テーブル6とボンディングヘッド3は、転写ヘッド4の動線上に配置されている。すなわちピックアップヘッド2とボンディングヘッド3と転写ヘッド4は同一直線上を移動するようになっている。このような配置により、各ヘッド間におけるチップの受け渡しや作業の引継ぎにおける位置合わせを容易に行うことができる。
【0026】
直動機構30は、水平に延伸されたレール41とロッドレスシリンダ42、そしてレール41に摺動自在に装着されたスライダ43で構成され、ロッドレスシリンダ42に内蔵されたマグネットを空圧によって移動させることで、磁性を備えたスライダ43がマグネットの動きに追随して移動する仕組みとなっている。スライダ43には鉛直方向に延伸されたレール44が取り付けられており、このレール44にL型プレート31の鉛直部分に取り付けられたスライダ45が摺動自在に装着されている。
【0027】
ペースト供給テーブル8は、レール41の全長を行程として電子部品実装装置1の奥行き方向(矢印a)に移動することができる。基板9にペーストを転写するときには電子部品実装装置1の背面側に移動させ、基板9に接近させることで、転写ヘッド4の移動距離を短縮し、転写作業の効率化を図る。これに対し、貯留槽32、33の清掃やペーストの補充等のメンテナンスの際には逆に正面側に移動させ、正面に位置する作業者に接近させることで、メンテナンスにおける作業性の向上を図る。
【0028】
ペースト供給テーブル8は、第2貯留槽33に捨て打ちされたペーストの形状を第3カメラ13によって確認する場合にも移動することになる。第4カメラは基板9に転写されたペーストの形状等を確認するためのものであるが、ペーストの転写位置と捨て打ち位置P2はペースト供給テーブル8の移動方向に並んでいるため、ペースト供給テーブル8を移動させることで、固定された第4カメラ14の視野角内に捨て打ちされたペーストを移動させることができる。
【0029】
直動機構30にはペースト供給テーブル8を鉛直方向に動かすためのペースト供給テーブル昇降機構46が備わっている。ペースト供給テーブル昇降機構46は、L型プレート31の側部に形成された凸部47と係合する凹部48をピストンロッドの先端に備えたシリンダ機構であり、ピストンロッドの伸縮によってペースト供給テーブル8を昇降させる。ペースト供給テーブル昇降機構46は電子部品実装装置1の背面側に配置されており、ペーストの液面と基板9の上面との高低差が小さくなるようにペースト供給テーブル8の昇降位置を調節する。この場合、ペースト供給テーブル8は基板9近くまで下降することになり、移動中のアーム29と干渉するおそれがあるので、基板搬送時にはペースト供給テーブル8を上昇させ、移動中のアーム29と干渉しない高さまで退避させる。
【0030】
電子部品実装装置1における捨て打ち動作について図4のフローチャートに従って説明する。電子部品実装装置1は稼動を開始(ST1)すると、最初に捨て打ち回数カウンタ
ーのゼロリセットを行う(ST2)。捨て打ち回数カウンターは電子部品実装装置1の制御系に備わっており、捨て打ちを行った回数をカウントアップする。捨て打ち回数カウンターには前回の稼動時に行われた捨て打ち回数がカウントアップされたままとなっている場合があるので、新たな稼動開始に際してはゼロリセットする必要がある。
【0031】
稼動を開始した電子部品実装装置1は所定のタイミングで捨て打ち動作の実施を要求する(ST3)。ペーストは転写の際に転写ピン28に押し付けられ、時間の経過とともに固着するので、この要求を行うタイミングは、一般的には稼動を開始してからの経過時間、ペースト転写回数によって決定される。そして、捨て打ち動作によって生産が中断することがないように、基板やチップの交換時や、各ノズルの交換時に合わせて一連の捨て打ち動作を行う。
【0032】
一連の捨て打ち動作は、捨て打ち用の貯留槽である第2貯留槽33の清掃(ST4)から始まる。第2貯留槽33の清掃は、遮蔽板35を底壁39に密着させた状態で第2貯留槽33を回転させることで行う。稼動開始後の最初の捨て打ち動作については未だ底壁39にペーストが付着していない状況なので、清掃動作は省略してもよい。その後、転写ピン28を底壁39に押し付ける捨て打ち動作を行う(ST5)。この捨て打ち動作によって、転写ピン28に残留するペーストのうち少なくとも底壁39に接触した部分が底壁39に付着し、転写ピン28から除去される。
【0033】
次に、底壁39に捨て打ちされたペーストを第3カメラ13で撮影し、ペーストの形状を確認する(ST6)。ペーストの形状は、転写ピン28の種類によって異なるほか、転写ピン28に残留するペーストの量や位置等によっても異なるため、予めペーストの形状パターンを電子データとして作成しておき、底壁39に捨て打ちされたペーストの画像データと照合する。形状パターンとの照合によりペーストの形状が正常であることを確認したら(ST7)、捨て打ち動作を終了し(ST8)、捨て打ち回数をカウントアップし(ST9)、通常の実装動作に復帰する。
【0034】
なお、正常なペーストの形状とは、転写ピン28に残留していたペーストの大部分が捨て打ちによって転写ピン28から除去され、底壁39に付着したと考えられる形状またはこれと同視できる形状であり、底壁39に付着しているペーストがこのような形状であれば、転写ピン28はペーストが残留していない清浄化された状態にあると判断することができる。
【0035】
照合の結果、ペーストの形状が正常でないことが確認されたら(ST7)、捨て打ち回数をカウントアップし(ST9)、再び一連の捨て打ち動作(ST4〜ST6)を繰り返す。この一連の捨て打ち動作(ST4〜ST6)はペーストの形状が正常であることが確認されるまで繰り返し行うが、捨て打ち回数が予め定めた許容値を超えたら、捨て打ちでは転写ピン28の清浄化は不可能と判断し、エラー警告を行う(ST10)。
【0036】
作業者はエラー警告を受けると、電子部品実装装置1の稼動を一旦停止させ、転写ピン28の状態を目視により確認する。洗浄等による清浄化が可能であれば、清浄化させた転写ピン28をそのまま使用し、電子部品実装装置1の稼動を再開する。容易には清浄化できないと判断した場合には別の転写ピンと交換した後に電子部品実装装置1の稼動を再開する。
【0037】
なお、エラー警告(ST10)の代わりに、自動的に転写ピンの交換を行うようにしてもよい。この場合、転写ヘッド4がノズルストッカ24のところまで移動し、ノズルストッカ24に保管されている転写ピンと交換し、その後は交換した新たな転写ピンを用いて転写作業を継続する。
【0038】
貯留槽32、33は金属や樹脂で形成されることが多いので、底壁39自体には転写ピン28を洗浄する能力はない。そこで、図5に示すように第2貯留槽33の底壁の上にペーストを溶かす薬品等をフェルト等に含ませた洗浄材50を配置し、転写ピン28の洗浄を行うようにすることもできる。この場合、洗浄材50は底壁の全てを覆うのではなく底壁の一部を表出させておくことで、捨て打ちと洗浄を併用して転写ピン28の清浄化を行うことができる。例えば捨て打ちを数回繰り返してもペーストの形状が正常でない場合には転写ピン28の洗浄を行うようなことも可能である。
【0039】
前述した実施形態では第1貯留槽32にペーストを貯留し、第2貯留槽33で捨て打ちを行うようにしているが、第1貯留槽32を捨て打ちに用い、第2貯留槽33にペーストを貯留してもよい。この場合、図2に示す位置P2が転写位置となり、位置P1が捨て打ち位置となる。これにより転写位置P2と基板9との直線距離が短くなるため、転写ヘッド4の移動時間を短縮することができ、生産性が向上する。その反面、捨て打ち時の移動量は増加するが、捨て打ち動作は転写動作に比べるとはるかに少ない頻度で行われるため、生産性を低下させるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、ペーストの貯留槽を同心円状に配置された複数の環状の槽とし、そのうちの1つを捨て打ちの場として用いることで、専用の捨て打ちの場を設ける必要がなくなり、また、捨て打ちのために転写ヘッドが移動する距離を短縮することができるという利点があり、基板にペーストを転写して電子部品を実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0041】
1 電子部品実装装置
2 ピックアップヘッド
3 ボンディングヘッド
4 転写ヘッド
5 部品供給テーブル
6 部品中継テーブル
7 実装テーブル
8 ペースト供給テーブル
9 基板
14 第4カメラ
28 転写ピン
32 第1貯留槽
33 第2貯留槽
35 遮蔽板
38、39 底壁
50 洗浄材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を基板に接合するためのペーストを貯留するペースト貯留部と、前記ペースト貯留部のペーストを転写ピンに付着させて基板に転写する転写ヘッドと、ペーストが転写された基板に電子部品を実装する実装ヘッドを備え、
前記ペースト貯留部は、同心円状に配置された少なくとも2つの環状の槽と、前記槽を前記同心円の中心軸周りに回転させる槽回転手段と、前記槽の断面を遮蔽する遮蔽板と、前記遮蔽板と前記槽の底壁との隙間を調節する隙間調節手段を備え、少なくとも1つの前記槽は、前記転写ピンに残留するペーストを底壁に捨て打ちするために用いられることを特徴とする電子部品実装装置。
【請求項2】
前記底壁に捨て打ちされたペーストの形状を認識するためのカメラを備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装装置。
【請求項3】
前記底壁に前記転写ピンを洗浄する洗浄材を配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−245372(P2010−245372A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93806(P2009−93806)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】