説明

電子部品挟持装置および電子部品挟持方法

【課題】電子部品を挟持した際に、一層確実に安定した部品姿勢が得られる電子部品挟持装置を提供する。
【解決手段】このハンド(電子部品挟持装置)20は、ホルダ1と、このホルダ1のシリンダ1a内に摺嵌されたピストン2と、シリンダ1a内へのエアの供給状態に応じて、ピストン2に連動して開閉駆動される一対の可動爪10,12と、その一対の可動爪10,12同士の間に配設されたストッパ8とを有している。そして、一対の可動爪10,12は、シリンダ1a内に正圧が加えられたときには相互の先端部が離間して電子部品を解放し、シリンダ1a内へのエアの供給が遮断されたときには相互の先端部が接近して電子部品を挟持し、シリンダ1a内に負圧が加えられたときには挟持している電子部品を更にストッパ8側に引き込むようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に電子部品を搭載するための電子部品搭載機の搭載ヘッドに備えられる電子部品挟持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電子部品挟持装置の一例を図7に示す(例えば特許文献1参照)。
同図に示すハンド120は、基板上に電子部品を搭載するための電子部品挟持装置であって、同図に示すように、本体部としてのホルダ101を有している。そして、このホルダ101の下端には固定爪110が下方に突設され、この固定爪110には水平方向に延びるストッパ118が一体形成されている。そして、この固定爪110に対向して且つストッパ118に離接可能に可動爪112が配設されている。さらに、上記ホルダ101には、そのシリンダ101a内にピストン102が摺動可能に嵌装(摺嵌)されている。このピストン102には下方にロッド102aが一体に設けられており、このロッド102aの先端にピン107が設けられ、このピン107を介して上記可動爪112が揺動可能に連結されている。これにより、シリンダ101aへのエアの供給状態に応じて固定爪110との対向方向に可動爪112が開閉されるようになっている。ここで、上記ストッパ118は、このハンド120で電子部品を挟持する際に、電子部品の上面と接触すべき上下方向の突き当ての基準面をもつ位置決め部であり、このストッパ118を電子部品上面に正確且つ確実に押し当てることにより、電子部品を挟持したときに安定した部品姿勢が確保されるようになっている。なお、このストッパ118は、可動爪112の閉じ位置のストッパという役割も果たしている。
【特許文献1】特開2002−361587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の電子部品挟持装置では、図8に示すように、ストッパ118を電子部品Dの上面に押し当てた際、電子部品Dとの対向方向への押し込み過ぎや、逆に押し込み不足によって、電子部品Dの姿勢に傾きが発生する場合がある。そして、その状態のままで電子部品Dを挟持すれば、図9に示すように、電子部品Dが傾いた姿勢のまま挟持されたり、ストッパ118下面(基準面)と電子部品D上面との間に隙間が発生したままの部品姿勢で挟持されてしまい、正確な部品認識および部品搭載は難しくなる。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、電子部品を挟持した際に、一層確実に安定した部品姿勢が得られる電子部品挟持装置および電子部品挟持方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明のうち第一の発明は、電子部品搭載機の搭載ヘッドに装着される電子部品挟持装置であって、内部にシリンダが形成された本体部と、該本体部のシリンダ内に摺嵌されたピストンと、前記シリンダ内への作動流体の供給状態に応じた前記ピストンの変位に連動して駆動され、前記シリンダ内に正圧が加えられたときには互いの先端部が離間して電子部品を解放し、前記シリンダ内への作動流体の供給が遮断されたときには互いの先端部が接近して電子部品を挟持する一組の挟持爪と、該一組の挟持爪同士の間に配設された位置決め部とを有し、前記位置決め部を電子部品の上端に当接させつつ前記一組の挟持爪の先端部間で電子部品を挟持する電子部品挟持装置において、前記位置決め部に対する前記一組の挟持爪が挟持している電子部品の当接姿勢を修正する姿勢修正手段を備え、当該姿勢修正手段は、前記シリンダ内に負圧が加えられたときに、前記一組の挟持爪が挟持している電子部品を前記一組の挟持爪と共に前記位置決め部側に引き込むようになっていることを特徴としている。
【0005】
第一の発明に係る電子部品挟持装置によれば、シリンダ内に負圧を加えると、一組の挟持爪で挟持している電子部品を一組の挟持爪と共に位置決め部側に引き込むようになっているので、位置決め部の当接面に電子部品の上面部を確実に突き当てることができる。したがって、仮に、一旦、電子部品が傾いた姿勢のまま挟持されたり、位置決め部の当接面と電子部品の上面との間に隙間が発生したまま挟持されたりした場合であっても、その部品姿勢を修正可能であり、これにより、一層確実に安定した部品姿勢を得ることができる。
【0006】
ここで、第一の発明に係る電子部品挟持装置において、前記一組の挟持爪は、相互の先端部が、互いの対向方向に同時に離間および接近される一対の可動爪から構成されていることは好ましい。このような構成であれば、一組の挟持爪が互いに対向方向に同時に離間および接近される一対の可動爪なので、挟持すべき電子部品を左右均等に挟持および解放する上で好適である。
【0007】
また、第一の発明に係る電子部品挟持装置において、前記姿勢修正手段は、前記本体部内にこれと同軸に設けられ且つその軸方向に沿ってスライド移動するスライダを有して構成されており、前記一組の挟持爪は、当該スライダに支軸を介して連結され、前記シリンダ内に負圧が加えられたときに、前記ピストンの軸方向変位に連動して当該スライダがスライド移動されることによって、前記一組の挟持爪が挟持している電子部品を前記一組の挟持爪と共に前記位置決め部側に引き込むようにスライド移動することは好ましい。このような構成であれば、スライダが、本体部内にこれと同軸に且つその軸方向に沿って一組の挟持爪と共にスライド移動可能に設けられているので、電子部品の姿勢修正手段をコンパクトに構成する上で好適であり、また、構成が簡単なので、姿勢修正手段を電子部品挟持装置に安価に盛り込むことが可能である。
【0008】
また、本発明のうち第二の発明は、基板上に電子部品を搭載するための電子部品搭載機の搭載ヘッドに装着される電子部品挟持装置を用いて、該電子部品挟持装置の位置決め部を電子部品の上端に当接させつつ一組の挟持爪の先端部間で電子部品を挟持する電子部品挟持方法であって、前記電子部品挟持装置として第一の発明に係る電子部品挟持装置を用い、前記一組の挟持爪が挟持している電子部品を持ち上げてから所定位置での部品認識がなされる前までの間に前記シリンダ内に負圧を加え、前記一組の挟持爪が挟持している電子部品を前記一組の挟持爪と共に前記位置決め部側に引き込むことによって前記位置決め部に対する電子部品の当接姿勢を修正することを特徴としている。
【0009】
第二の発明に係る電子部品挟持方法によれば、本発明に係る電子部品挟持装置を用いており、一組の挟持爪が挟持している電子部品を持ち上げてから所定位置での部品認識がなされる前までの間にシリンダ内に負圧を加え、一組の挟持爪が挟持している電子部品を一組の挟持爪と共に位置決め部側に引き込むことによって、位置決め部に対する一組の挟持爪が挟持している電子部品の当接姿勢を修正するので、一層確実に安定した部品姿勢が得られ、所定位置での部品認識時には、位置決め部の当接面に電子部品の上面部を確実に突き当てた状態で部品認識をすることができる。したがって、仮に、一旦、電子部品が傾いた姿勢のまま挟持されたり、位置決め部の下面と電子部品の上面との間に隙間が発生したまま挟持された場合であっても、その部品姿勢を部品認識時前に修正可能であり、安定した部品認識および部品搭載をすることができる。
【発明の効果】
【0010】
上述したように、本発明に係る電子部品挟持装置および電子部品挟持方法によれば、電子部品を挟持した際に、一層確実に安定した部品姿勢が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1に示すように、この電子部品搭載機100は、XYZ方向に移動自在とされるとともに、Z方向の軸線廻りに回転自在なヘッドシャフト111を有する搭載ヘッド110を備えている。そして、そのヘッドシャフト111の先端部に、本発明に係る電子部品挟持装置の一実施形態であるハンド20が装着されており、このハンド20を用いて、電子部品供給装置120のピックアップ部121からエンボステープT上の電子部品Dをピックアップし、そのピックアップした電子部品Dを基板K上の所定の位置に搭載するものである。
【0012】
次に、上記ハンド20について図2および図3を参照して詳しく説明する。
図2に示すように、このハンド20は、本体部としてのホルダ1を有して構成されている。ホルダ1は、その上部(同図上側)のエア供給口1k側が上記ヘッドシャフト111の下端に装着されるようになっている。そして、このホルダ1には、その内部の略中央にシリンダ1aが形成されている。このシリンダ1aは、ホルダ1の軸方向に沿った円筒状をなし、上記エア供給口1kに連通して形成されている。さらに、このホルダ1には、シリンダ1aの下方(同図下側)に、シリンダ1a部分よりも大径の円筒状の機構室1bが下方に開口して形成されている。そして、このホルダ1のシリンダ1a内に、その軸方向の一定範囲でスライド移動可能に円筒状のピストン2が摺嵌されている。このピストン2には、その下方に、小径のロッド2aが同軸に設けられており、このロッド2aが、上記機構室1b下方の開口部から張り出している。
【0013】
さらに、上記ホルダ1の機構室1b内には、スライダ6およびストッパ8がロッド2aと同軸に配設されている。また、機構室1b内には、3つの圧縮コイルばね3,4,5が所定の位置に設けられており、ピストン2、スライダ6およびストッパ8の位置を規制している。なお、スライダ6およびストッパ8には、機構室1b内に位置する部分の側面に、上下に所定範囲の長孔から形成された係止溝6m、8mがそれぞれ形成されており、この係止溝6m、8mに対し、係止ピン14がホルダ1の外側から差し込まれることで、3つの圧縮コイルばね3,4,5との協働によって、ピストン2、スライダ6およびストッパ8の所期の組み込み状態が保持されている。
【0014】
詳しくは、スライダ6は、機構室1b内に位置する部分が円環状をなしており、この円環状の部分が、上記ピストン2のロッド2aと同軸に且つその軸方向に沿ってスライド移動可能に外嵌されている。そして、このスライダ6の下部は、機構室1bの開口部から下方に張り出しており、その張り出している部分の左右に、一組の挟持爪として、一対の可動爪10,12が水平方向を向くピン11、13をそれぞれの支点として揺動自在に枢支されている。
【0015】
ここで、これら一対の可動爪10,12について図3を参照して説明する。なお、一対の可動爪10,12は、相互に点対称をなすため、図3では一方の可動爪12のみを図示しており、他方の可動爪10の図示は省略している(なお、可動爪10に対応する符号を括弧書きにて付記)。
図3に示すように、各可動爪(10),12は、略L字状をなしており、略L字状の中央部に、水平方向の貫通孔(10d),12dが、揺動の支軸となる上記ピン11,13(図2(b)参照)を挿通可能に形成されている。そして、その略L字状をなす一方の腕(10b),12bには二股部(10e),12eを有している。また、他方の腕が、電子部品を挟持するための先端部(10a),12aとして側面視が矩形状に形成され(図2(a)参照)、この先端部(10a),12aが下方に突出して配設されている。そして、図2に示すように、上記ロッド2aの先端には、水平方向を向く軸7が設けられており、この軸7が、一対の可動爪10,12の二股部(10e),12eに嵌め込まれており、これにより、ピストン2の軸方向変位に連動して一対の可動爪10,12が開閉駆動されるようになっている(図2(b)参照)。
【0016】
一方、図2に示すように、ストッパ8は、上記機構室1b内に位置する部分が円環状をなしており、上記スライダ6の円環状部と同軸に且つその軸方向に沿ってスライド移動可能にスライダ6の円環状部に外嵌されるとともに、機構室1bの内壁面に対しても殆ど隙間なく内嵌された状態で下方の開口部側から嵌め込まれている。さらに、このストッパ8の下部の一部は、機構室1bの開口部から下方に張り出しており、この張り出している部分は、その先端部分が水平方向に側面視が略L字状に形成されている。そして、この略L字状の先端部分が、上記一対の可動爪10,12の先端部10a,12a同士の間に位置するように設けられている。ここで、ストッパ8の略L字状の先端部分の下端面が電子部品の位置決め部として設けられており、ストッパ8の位置決め部を基準面として電子部品の上端に当接させつつ可動爪10,12の先端部10a,12aで電子部品を挟持および解放するようになっている。
【0017】
ここで、上記3つの圧縮コイルばね3,4,5のうち、ストッパ付勢ばね3は、ストッパ8の円環状部上面と機構室1b天井面との間に介装されており、ストッパ8は、このストッパ付勢ばね3によって下方に付勢されている。これにより、ストッパ8は、ストッパ付勢ばね3によって単独で付勢されることで、ストッパ8の当接面によって電子部品の上下方向の位置を位置決めする際におけるダンパー機能を有している。
【0018】
また、ピストン付勢ばね4は、スライダ6の円環状部上面とピストン2下面との間に介装されており、ピストン2は、ピストン付勢ばね4によって上方に付勢されている。ここで、このピストン付勢ばね4の付勢力の程度は、エア供給口1kからのシリンダ1a内へのエアの供給が遮断されたときには、ピストン2がピストン付勢ばね4によって上方にスライド移動し、また、シリンダ1a内に正圧が加えられたときには、ピストン付勢ばね4の付勢力に抗してピストン2が下方にスライド移動するように設定されている。これにより、このピストン2は、ホルダ1上部の給排口1kからの作動流体であるエアの給排および遮断に応じて、軸方向に進退駆動されるようになっている。そして、ピストン2の進退駆動に連動して、エアの供給が遮断されたときには、一対の可動爪10,12の先端部10a,12aが接近して電子部品を挟持し、また、シリンダ1a内に正圧が加えられたときには、一対の可動爪10,12の先端部10a,12aが離間して電子部品を解放する。なお、通常時、一対の可動爪10,12は、ピストン付勢ばね4の付勢力により閉じられるが、このとき、閉じた状態での各可動爪10,12の先端部10a,12aの位置は、ストッパ8の左右の端面により規制されている。
【0019】
また、スライダ付勢ばね5は、径方向においてストッパ付勢ばね3とピストン付勢ばね4との間に配設されるとともに、スライダ6の円環状部の上面と機構室1bの天井面との間に介装されている。スライダ6は、このスライダ付勢ばね5によって下方に付勢されることで常態において下端位置に保持され、これにより、スライダ6は、スライダ付勢ばね5によって付勢されることでダンパー機能を有するとともに、シリンダ1a内に負圧が加えられたときに、ピストン2の軸方向変位に連動して当該スライダ6が上方にスライド移動されることによって、一対の可動爪10,12をストッパ8の当接面側に引き込むようになっており、上述した「課題を解決するための手段」に記載の「姿勢修正手段」を構成している。
【0020】
次に、この電子部品搭載機100の搭載ヘッド110に装着されたハンド20で電子部品を挟持する一連の動作、およびその作用・効果について説明する。
図1に示す電子部品搭載機100によって電子部品Dを基板K上に搭載するときは、まず、その搭載ヘッド110からハンド20のエア供給口1kにエアを供給(図4(a)での符号A1)することによって、図4(a)に示すように、ホルダ1内のシリンダ1aに正圧を加える。これにより、ピストン2はピストン付勢ばね4の付勢力に抗して下降し、これに連動して一対の可動爪10,12が揺動して、互いの先端部10a,12aが互いの対向方向に同時に離間する。
【0021】
次いで、この一対の可動爪10,12の先端部10a,12aが離間した状態で、ハンド20を電子部品供給装置120のピックアップ部121に上方から接近させて電子部品Dの上面の高さまで下降させ、図4(b)に示すように、ストッパ8の下端面(基準面)を電子部品Dの上端に当接させる。この当接をさせる際、スライダ6がスライダ付勢ばね5の付勢力に抗して上方に摺動することによって、当接に伴う衝撃を吸収して電子部品Dを保護する。
【0022】
次いで、搭載ヘッド110からのホルダ1内のシリンダ1aへのエアの供給を遮断する。加えられていた正圧が遮断されることによって、図4(c)に示すように、ピストン2がピストン付勢ばね4の付勢力で上方に摺動し、これに連動して可動爪10,12が揺動して互いの先端部10a,12aが互いの対向方向に同時に接近して、電子部品は一対の可動爪10,12の先端部10a,12a間に挟持される。これにより、このハンド20は、一対の可動爪10,12の先端部10a,12aによって電子部品Dの水平方向の位置を位置決めするとともに、ストッパ8の当接面によって電子部品Dの上下方向の位置を位置決めし、一定の相対位置関係で電子部品Dを挟持する。
【0023】
次いで、所定位置で部品認識を行うために、図4(d)に示すように、電子部品Dを挟持した状態でハンド20を上昇させる。ここで、高精度な電子部品の搭載を実現するためには、挟持される電子部品Dとハンド20との相対的な位置関係が一定に保持されている必要がある。しかし、上記図4(a)〜(c)までの一連の挟持動作のみによって挟持を完了とした場合、図5(b)に示すように、ストッパ8の当接面と電子部品Dの上面との間に隙間が生じる場合がある。そのため、このような部品姿勢では、安定した部品認識、および部品搭載の上で不十分となるおそれがある。
【0024】
そこで、このハンド20を用いた電子部品挟持方法においては、図4(d)(ないし図5)に示す、電子部品Dを持ち上げてから所定位置での部品認識がなされる前までの間に、図6に示すように、更にエア供給口1kからエアを排気(図6(a)での符号A2)する。これにより、ホルダ1内のシリンダ1aに負圧が加わり、ピストン2が上方に引き上げられ、これに連動する一対の可動爪10,12にも上方に引き上げる力が作用し、これにともなってスライダ6もスライダ付勢ばね5に抗して引き上げられる。したがって、一対の可動爪10,12、スライダ6および一対の可動爪10,12で挟持されている電子部品Dが全体として上昇する。このとき、ストッパ8の位置は移動しないため、挟持している電子部品Dを更にストッパ8側に引き込む。これにより、ストッパ8の当接面に、電子部品Dの上面部を確実に突き当てることができる。したがって、仮に、一旦、電子部品Dが傾いた姿勢のまま挟持されたり、ストッパ8下面と電子部品D上面との間に隙間が生じたまま挟持されていたとしても、図6(b)に示すように、確実に安定した部品姿勢が得られる。
【0025】
次いで、挟持された電子部品Dは、所定位置での部品認識後に、基板K上の所定の搭載位置まで搬送される。そして、搭載ヘッド110からハンド20にエアが再び供給されると、一対の可動爪10,12の先端部10a,12aが互いに離間し、これにより、電子部品Dはハンド20から解放されて基板K上の所定の位置に載置される。
以上、説明したように、このハンド20によれば、シリンダ1a内に負圧を加えると、一対の可動爪10,12で挟持している電子部品Dを一対の可動爪10,12と共にストッパ8側に引き込み、ストッパ8の当接面に電子部品Dの上面部を確実に突き当てることができる。したがって、電子部品Dが傾いた姿勢のまま挟持されたり、ストッパ8の当接面と電子部品Dの上面との間に隙間が発生したまま挟持されたりした場合であっても、その部品姿勢を修正可能であり、これにより、確実に安定した部品姿勢を得ることができる。さらに、確実に安定した部品姿勢が確保できるため、安定した部品認識によって部品搭載不良が低減し、また、部品廃棄の低減となる。
【0026】
また、一対の可動爪10,12は、相互の先端部10a,12aが、互いの対向方向に同時に離間および接近されるので、挟持すべき電子部品Dを左右均等に挟持および解放する上で好適である。
さらに、スライダ6は、ホルダ1内にこれと同軸に設けられ且つその軸方向に沿ってスライド移動するように構成されており、一対の可動爪10,12は、このスライダ6にピン11,13を介して連結され、シリンダ1a内に負圧が加えられたときに、ピストン2の軸方向変位に連動してこのスライダ6がスライド移動される。よって、一対の可動爪10,12が挟持している電子部品Dを一対の可動爪10,12と共にストッパ8側に引き込むようにスライド移動させており、これによって、ストッパ8に対する一対の可動爪10,12が挟持している電子部品Dの当接姿勢を修正する姿勢修正手段が構成されているので、電子部品Dの姿勢修正手段をコンパクトに構成する上で好適である。また、構成が簡単なので、姿勢修正手段を電子部品搭載機100用のハンド20に安価に盛り込むことができる。
【0027】
なお、本発明に係る電子部品挟持装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、電子部品Dを挟持するために、相互の先端部が、互いの対向方向に同時に離間および接近される一対の可動爪10,12を備える例で説明したが、これに限定されず、電子部品Dを挟持可能な一組の挟持爪を備える構成であれば、相互が別個のタイミングで揺動されたり、スライド移動される構成としてもよいし、また、いずれか一方を固定爪とし、他方のみを可動爪としてもよい。しかし、挟持すべき電子部品Dを左右均等に挟持および解放する上では、上記実施形態のように、電子部品Dを挟持可能な一組の挟持爪を、互いの対向方向に同時に離間および接近される一対の可動爪によって構成することは好ましい。
【0028】
また、上記実施形態では、位置決め部に対する一組の挟持爪が挟持している電子部品の当接姿勢を修正する姿勢修正手段を、シリンダ内に負圧が加えられたときに、スライダがスライド移動されることによって、一組の挟持爪が挟持している電子部品を一組の挟持爪と共に位置決め部側に引き込むようにスライド移動するようにした構成例で説明したが、これに限らず、種々の変形が可能である。しかし、上記実施形態に示す構成から姿勢修正手段を電子部品挟持装置に盛り込むことは、姿勢修正手段をコンパクトに、また安価に盛り込む上で好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る電子部品挟持装置が装着された電子部品搭載機の搭載ヘッドの概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る電子部品挟持装置の一実施形態の説明図であり、同図(a)はその左側面側の断面図、同図(b)はその正面側の断面図であり、各断面図は軸線を含む断面にて示している。
【図3】図2に示す可動爪の斜視図である。
【図4】本発明に係る電子部品挟持装置の動作を説明する図((a)〜(d))である。
【図5】本発明に係る電子部品挟持装置の動作を説明する図であり、同図(a)は正面図、(b)は左側面の一部を示す図である。
【図6】本発明に係る電子部品挟持装置の動作を説明する図であり、同図(a)は正面図、(b)は左側面の一部を示す図である。
【図7】従来の電子部品挟持装置の一例を説明する図であり、同図は軸線を含む断面にて示している。
【図8】従来の電子部品挟持装置の動作の一例を説明する図(正面の要部)である。なお、同図下向きの矢印は、電子部品Dとの対向方向への押し込みのイメージを示している。
【図9】従来の電子部品挟持装置の動作の一例を説明する図(側面の要部)である。なお、同図上向きの矢印は、挟持した電子部品Dを持ち上げたイメージを示している。
【符号の説明】
【0030】
1 ホルダ(本体部)
1a シリンダ
2 ピストン
2a ロッド
3 ストッパ付勢ばね
4 ピストン付勢ばね
5 スライダ付勢ばね
6 スライダ
6m、8m 係止溝
7 軸
8 ストッパ(位置決め部)
10 可動爪(挟持爪)
11 ピン(可動爪の支軸)
12 可動爪(挟持爪)
13 ピン(可動爪の支軸)
14 係止ピン
20 ハンド(電子部品挟持装置)
D 電子部品
T エンボステープ
K 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品搭載機の搭載ヘッドに装着される電子部品挟持装置であって、内部にシリンダが形成された本体部と、該本体部のシリンダ内に摺嵌されたピストンと、前記シリンダ内への作動流体の供給状態に応じた前記ピストンの変位に連動して駆動され、前記シリンダ内に正圧が加えられたときには互いの先端部が離間して電子部品を解放し、前記シリンダ内への作動流体の供給が遮断されたときには互いの先端部が接近して電子部品を挟持する一組の挟持爪と、該一組の挟持爪同士の間に配設された位置決め部とを有し、前記位置決め部を電子部品の上端に当接させつつ前記一組の挟持爪の先端部間で電子部品を挟持する電子部品挟持装置において、
前記位置決め部に対する前記一組の挟持爪が挟持している電子部品の当接姿勢を修正する姿勢修正手段を備え、当該姿勢修正手段は、前記シリンダ内に負圧が加えられたときに、前記一組の挟持爪が挟持している電子部品を前記一組の挟持爪と共に前記位置決め部側に引き込むことを特徴とする電子部品挟持装置。
【請求項2】
前記一組の挟持爪は、相互の先端部が、互いの対向方向に同時に離間および接近される一対の可動爪から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品挟持装置。
【請求項3】
前記姿勢修正手段は、前記本体部内にこれと同軸に設けられ、且つその軸方向に沿ってスライド移動するスライダを有して構成されており、前記一組の挟持爪は、当該スライダに支軸を介して連結され、前記シリンダ内に負圧が加えられたときに、前記ピストンの変位に連動して当該スライダがスライド移動されることによって、前記一組の挟持爪が挟持している電子部品を前記一組の挟持爪と共に前記位置決め部側に引き込むようにスライド移動することを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品挟持装置。
【請求項4】
電子部品搭載機の搭載ヘッドに装着される電子部品挟持装置を用いて、該電子部品挟持装置の位置決め部を電子部品の上端に当接させつつ一組の挟持爪の先端部間で電子部品を挟持する電子部品挟持方法であって、
前記電子部品挟持装置として請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子部品挟持装置を用い、前記一組の挟持爪が挟持している電子部品を持ち上げてから所定位置での部品認識がなされる前までの間に前記シリンダ内に負圧を加え、前記一組の挟持爪が挟持している電子部品を前記一組の挟持爪と共に前記位置決め部側に引き込むことによって、前記位置決め部に対する電子部品の当接姿勢を修正することを特徴とする電子部品挟持方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−36265(P2010−36265A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198346(P2008−198346)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】