説明

電極接合構造及びその接合方法並びに導電性接着剤及びその製造方法

【課題】導電性接着剤を用いて接合される2つの電極の間に安定した導電性を得ることができる電極接合構造及びその接合方法並びに導電性接着剤及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】ベース樹脂21中に導電性フィラー22を分散し導電性フィラー22の接触によって導通を得る導電性接着剤2を、2つの電極31、41の間に介在させることにより、2つの電極31、41を接合している電極接合構造である。導電性接着剤2中の導電性フィラー22又は/及び少なくとも一方の電極31、41の表面に、導電性フィラー22よりも大きさが小さく導電性を有する微細導電性物質23を付着させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極接合構造及びその接合方法並びに導電性接着剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に電子部品の電極を接合する場合、接着成分であるエポキシ、シリコーン、アクリル等の樹脂(以下、ベース樹脂という)にAg等の導電性粒子を含有した導電性接着剤が用いられる。この導電性接着剤を基板の電極に塗布し、電子部品の電極を導電性接着剤上に配置する。その後、導電性接着剤を加熱し、固化させる。そして、導電性接着剤中に固定された導電性粒子によって電極間に導電経路が形成される。このようにして、接合される2つの電極の間に導電性が得られる。
【0003】
導電性接着剤の導電性は、導電性粒子の配合量によって変化する。例えば、ベース樹脂としてアクリル系樹脂、導電性粒子としてAgを用いた場合、導電性粒子の含有率が約50〜70体積%(重量%で記載されている非特許文献1のデータを体積%に変換)の範囲で導電性接着剤の体積固有抵抗値が最も低くなり、優れた導電性を示すことが非特許文献1によって開示されている。
しかしながら、導電性粒子の含有率を最適な量に調整した場合においても、電極間の導電性が低下することがある。この原因として、導電性接着剤と電極との界面付近における導電性粒子の存在位置が大きく影響していると考えられる。
【0004】
即ち、導電性接着剤内部においては、導電性粒子が多く存在しているため、導電性に大きな影響はない。しかし、導電性接着剤と電極との界面付近においては、導電性粒子が電極と必ずしも接触しているとは限らず、導電性粒子と電極との間には絶縁性を示すベース樹脂が存在している。導電性粒子と電極との間のベース樹脂の厚みが100nm以下の場合、トンネル効果により導電性を確保することができるが、ベース樹脂の厚みが100nm以上の場合、ベース樹脂が絶縁層として働き、導電性を確保することができないおそれがある。
【0005】
このベース樹脂の厚み、即ち、導電性接着剤と電極との界面付近における導電性粒子の存在位置は、導電性接着剤の硬化条件等によって大きく複雑に変化するため、導電性接着剤の硬化条件を調整することで導電性粒子の存在位置を制御することはきわめて困難である。そのため、電極との界面付近の導電性を確実に安定的に得ることができる手法が求められている。
【0006】
例えば特許文献1では、ベース樹脂にカーボンナノチューブと導電性粒子とを混合した導電性ペーストを印刷し、導電性に優れたアンテナを形成することが提案されている。また、特許文献2及び特許文献3では、ベース樹脂にカーボンナノチューブや微細な導電性粒子を混合することで導電性を向上させることが提案されている。
しかしながら、上記に示される方法では、電極との界面付近にカーボンナノチューブや導電性粒子を確実に存在させることができるとは言えない。したがって、電極との界面付近の導電性を確実に安定的に得ることができない。
【0007】
【特許文献1】特開2002−109489号公報
【特許文献2】特開2003−203450号公報
【特許文献3】特開2004−27134号公報
【非特許文献1】「導電性フィラーの開発と応用」技術情報協会 1996年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、導電性接着剤を用いて接合される2つの電極の間に安定した導電性を得ることができる電極接合構造及びその接合方法並びに導電性接着剤及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、ベース樹脂中に導電性フィラーを分散し該導電性フィラーの接触によって導通を得る導電性接着剤を、2つの電極の間に介在させることにより、該2つの電極を接合する電極接合構造であって、
上記導電性接着剤中の上記導電性フィラー又は/及び少なくとも一方の上記電極の表面には、上記導電性フィラーよりも大きさが小さく導電性を有する微細導電性物質を付着させていることを特徴とする電極接合構造にある(請求項1)。
【0010】
本発明の電極接合構造は、上記導電性接着剤中の上記導電性フィラー又は少なくとも一方の上記電極の表面に、あるいは上記導電性フィラー及び少なくとも一方の上記電極の表面に、上記導電性フィラーよりも大きさが小さく導電性を有する上記微細導電性物質を付着させている。そのため、上記導電性接着剤と上記電極との界面付近において、上記導電性フィラーと上記電極との間に確実に上記微細導電性物質を介在させることができる。それ故、両者間の導電性が確保され、接合される上記2つの電極の間に安定した導電性を得ることができる。
このように、本発明の電極接合構造は、導電性接着剤を用いて接合される2つの電極の間に安定した導電性を得ることができる。
【0011】
第2の発明は、ベース樹脂中に導電性フィラーを分散し該導電性フィラーの接触によって導通を得る導電性接着剤を、2つの電極の間に介在させることにより、該2つの電極を接合する電極接合方法において、
少なくとも一方の上記電極の表面に、上記導電性フィラーよりも大きさが小さく導電性を有する微細導電性物質を付着させる微細導電性物質付着工程と、
その後、上記導電性接着剤を上記2つの電極間に配置させて硬化させる導電性接着剤配設工程とを有することを特徴とする電極接合方法にある(請求項7)。
【0012】
本発明の電極接合方法は、少なくとも一方の上記電極の表面に、上記導電性フィラーよりも大きさが小さく導電性を有する上記微細導電性物質を付着させる微細導電性物質付着工程を行う。その後、導電性接着剤配設工程を行い、上記2つの電極を接合する。
即ち、上記導電性接着剤を塗布する前に、少なくとも一方の上記電極の表面に上記導電性フィラーよりも大きさが小さく導電性を有する上記微細導電性物質を予め付着させておく。
【0013】
これにより、上記導電性接着剤と上記電極との界面付近において、上記導電性フィラーと上記電極との間に上記微細導電性物質を確実に介在させることができる。そのため、両者間の導電性が確保され、上記2つの電極の間に安定した導電性を得ることができる。
このように、本発明の電極接合方法は、導電性接着剤を用いて接合される2つの電極の間に安定した導電性を得ることができる。
【0014】
第3の発明は、ベース樹脂中に導電性フィラーを分散し該導電性フィラーの接触によって導通を得る導電性接着剤を、2つの電極の間に介在させることにより、該2つの電極を接合する電極接合方法において、
上記導電性接着剤中の上記導電性フィラーの表面に、該導電性フィラーよりも大きさが小さく導電性を有する微細導電性物質を付着させておくことを特徴とする電極接合方法にある(請求項14)。
【0015】
本発明の電極接合方法は、上記導電性接着剤中の上記導電性フィラーの表面に、該導電性フィラーよりも大きさが小さく導電性を有する上記微細導電性物質を付着させておく。そして、上記ベース樹脂中に上記微細導電性物質を表面に付着させた上記導電性フィラーを分散させてなる導電性接着剤を用いて上記2つの電極を接合する。
【0016】
これにより、上記導電性接着剤と上記電極との界面付近において、上記導電性フィラーと上記電極との間に上記微細導電性物質を確実に介在させることができる。そのため、両者間の導電性が確保され、上記2つの電極の間に安定した導電性を得ることができる。
このように、本発明の接合方法は、導電性接着剤を用いて接合される2つの電極の間に安定した導電性を得ることができる。
【0017】
第4の発明は、ベース樹脂中に導電性フィラーを分散し該導電性フィラーの接触によって導通を得る導電性接着剤において、
上記導電性フィラーの表面には、該導電性フィラーよりも大きさが小さく導電性を有する微細導電性物質が付着していることを特徴とする導電性接着剤にある(請求項18)。
【0018】
本発明の導電性接着剤は、上記導電性フィラーの表面に、該導電性フィラーよりも大きさが小さく導電性を有する上記微細導電性物質が付着している。
これにより、上記導電性接着剤と上記電極との界面付近において、上記導電性フィラーと上記電極との間に上記微細導電性物質を確実に介在させることができる。そのため、両者間の導電性が確保され、上記2つの電極の間に安定した導電性を得ることができる。
このように、本発明の導電性接着剤は、導電性接着剤を用いて接合される2つの電極の間に安定した導電性を得ることができる。
【0019】
第5の発明は、ベース樹脂中に導電性フィラーを分散し該導電性フィラーの接触によって導通を得る導電性接着剤を製造する方法であって、
上記導電性フィラーの表面に、該導電性フィラーよりも大きさが小さく導電性を有する微細導電性物質を付着させる微細導電性物質付着工程と、
上記導電性フィラーと上記ベース樹脂とを混合する混合工程とを有することを特徴とする導電性接着剤の製造方法にある(請求項22)。
【0020】
本発明の導電性接着剤の製造方法は、上記導電性フィラーの表面に、該導電性フィラーよりも大きさが小さく導電性を有する上記微細導電性物質を付着させる微細導電性物質付着工程を行う。その後、混合工程を行い、上記導電性接着剤を製造する。
即ち、上記導電性フィラーの表面に、該導電性フィラーよりも大きさが小さく導電性を有する上記微細導電性物質を付着させている。
【0021】
これにより、上記導電性接着剤と上記電極との界面付近において、上記導電性フィラーと上記電極との間に上記微細導電性物質を確実に介在させることができる。そのため、両者間の導電性が確保され、上記2つの電極の間に安定した導電性を得ることができる。
このように、本発明の製造方法によって得られる導電性接着剤は、導電性接着剤を用いて接合される2つの電極の間に安定した導電性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
第1の発明において、上記微細導電性物質を上記電極の表面に付着させる場合、両方の上記電極の表面に付着させることがより好ましい。この場合には、上記導電性接着剤と上記電極との界面付近において、上記導電性フィラーと上記電極との間の導電性がより充分に確保され、接合される上記2つの電極の間に安定した導電性をより効果的に得ることができる。
【0023】
また、上記微細導電性物質は、その熱伝導率が10W/mK以上であることが好ましい(請求項2)。より好ましくは、上記熱伝導率が100W/mK以上であることが良い。この場合には、接合される上記2つの電極の間の導電性に加えて放熱性も向上させることができる。
一般的に電極間の熱伝導は、熱伝導率の高い上記導電性フィラーを介して生じる。しかし、電極間の熱伝導は、上記導電性フィラーの分散状態等により、熱伝導率の低い上記ベース樹脂に妨げられることがある。そのため、熱伝導率の高い上記微細導電性物質を上記導電性フィラー又は上記電極に付着させることにより、熱伝達経路を充分に確保し、接合される上記2つの電極の間の熱伝導率及びそれに伴う放熱性を向上させることができる。
【0024】
また、上記微細導電性物質は、その最小部分の大きさが100nm以下であることが好ましい(請求項3)。この場合には、上記導電性フィラーと上記電極との間に上記微細導電性物質を容易に介在させることができ、両者間におけるトンネル効果を確実に発現させることができる。そのため、両者間の導電性が確保され、上記2つの電極の間に安定した導電性を得ることができる。
また、上記微細導電性物質の形状は、例えば、球状、扁平状、繊維状等とすることができる。球状や繊維状であれば直径が、扁平状であれば短辺が100nm以下であることが好ましい。
【0025】
より好ましくは、いずれの形状においても、その最大外形寸法が、例えば繊維状であればその長さが100nm以下であることが良い。
【0026】
また、上記微細導電性物質は、少なくとも一方の上記電極の表面に付着していることが好ましい(請求項4)。この場合には、上記導電性フィラーと上記電極との間に上記微細導電性物質を確実に介在させることができる。そのため、両者間の導電性が確保され、上記2つの電極の間に安定した導電性を得ることができる。
【0027】
また、上記微細導電性物質は、上記導電性フィラーの表面に付着していることが好ましい(請求項5)。この場合には、上記導電性フィラーと上記電極との間に微細導電性物質を確実に介在させることができる。そのため、両者間の導電性が確保され、上記2つの電極間に安定した導電性を得ることができる。
【0028】
また、上記微細導電性物質は、カーボンナノチューブ、導電性ウイスカー又は微細金属粒子よりなることが好ましい(請求項6)。この場合には、上記導電性フィラーと上記電極との間及び上記2つの電極の間の導電性がより優れたものとなる。
【0029】
また、上記微細導電性物質は、ナノチューブ、ウイスカー又は粒子状であるかどうかにかかわらず、つまり形状等にかかわらず、例えばカーボン、金属、無機化合物、有機化合物等、導電性を有するものであれば使用可能である。
カーボンとしては、上記カーボンナノチューブ以外にカーボンブラック等を用いることができる。金属としては、Au、Ag、Cu、Ni、Zn、Sn等を用いることができる。その中でも、樹脂中において絶縁性の酸化膜を形成しないAu、Agがより好ましい。無機化合物としては、SiC等を用いることができる。有機化合物としては、導電性ポリマー微粒子等を用いることができる。
【0030】
第2の発明において、両方の上記電極の表面に、上記導電性フィラーよりも大きさが小さく導電性を有する微細導電性物質を付着させることがより好ましい。この場合には、上記導電性接着剤と上記電極との界面付近において、上記導電性フィラーと上記電極との間の導電性がより充分に確保され、接合される上記2つの電極の間に安定した導電性をより効果的に得ることができる。
【0031】
また、上記と同様の理由により、上記微細導電性物質は、その熱伝導率が10W/mK以上であることが好ましい(請求項8)。
また、上記微細導電性物質は、その最小部分の大きさが100nm以下であることが好ましい(請求項9)。
【0032】
また、上記微細導電性物質はカーボンナノチューブであり、上記微細導電性物質付着工程では、上記電極に上記カーボンナノチューブを成長させる成長触媒を予め付着又は蒸着させておき、CVD法(化学的気相蒸着法)を行うことにより、上記電極の表面から上記カーボンナノチューブを成長させることが好ましい(請求項10)。この場合には、上記導電性フィラーと上記電極との間に上記カーボンナノチューブを確実に介在させることができる。そのため、両者間の導電性が確保され、上記2つの電極の間に安定した導電性を得ることができる。また、上記導電性フィラーと上記電極との間及び上記2つの電極の間の導電性はより優れたものとなる。
【0033】
また、上記微細導電性物質はカーボンナノチューブであり、上記微細導電性物質付着工程では、上記電極と別途準備した上記カーボンナノチューブとを接触させた状態で加熱処理を行い、上記電極を構成する原子と上記カーボンナノチューブとの化合物を生成させることにより、上記カーボンナノチューブを上記電極に付着させることが好ましい(請求項11)。この場合には、上記導電性フィラーと上記電極との間に上記カーボンナノチューブを確実に介在させることができる。そのため、両者間の導電性が確保され、上記2つの電極の間に安定した導電性を得ることができる。また、上記導電性フィラーと上記電極との間及び上記2つの電極の間の導電性はより優れたものとなる。
【0034】
また、上記微細導電性物質は導電性ウイスカーであり、上記微細導電性物質付着工程では、上記電極を加熱処理することにより、該電極の表面から上記導電性ウイスカーを成長させることが好ましい(請求項12)。この場合には、上記導電性フィラーと上記電極との間に上記導電性ウイスカーを確実に介在させることができる。そのため、両者間の導電性が確保され、上記2つの電極の間に安定した導電性を得ることができる。また、上記導電性フィラーと上記電極との間及び上記2つの電極の間の導電性はより優れたものとなる。
【0035】
また、上記微細導電性物質付着工程では、上記微細導電性物質を含有する液体を上記電極の表面に吹き付け、その後上記液体を乾燥させることにより、上記微細導電性物質を上記電極に付着させることが好ましい(請求項13)。この場合には、上記導電性フィラーと上記電極との間に上記微細導電性物質を確実に介在させることができる。そのため、両者間の導電性が確保され、上記2つの電極の間に安定した導電性を得ることができる。
また、上記液体は、ベース樹脂と混合しやすく、かつ揮発などにより除去しやすい溶剤が好ましい。例えば、アルコール類、トルエン、キシレン等を用いることができる。
【0036】
第3の発明においても、上記と同様の理由により、上記微細導電性物質は、その熱伝導率が10W/mK以上であることが好ましい(請求項15)。
また、上記微細導電性物質は、その最小部分の大きさが100nm以下であることが好ましい(請求項16)。
また、上記微細導電性物質は、カーボンナノチューブ、導電性ウイスカー又は微細金属粒子よりなることが好ましい(請求項17)。
【0037】
第4の発明においても、上記と同様の理由により、上記微細導電性物質は、その熱伝導率が10W/mK以上であることが好ましい(請求項19)。
また、上記微細導電性物質は、その最小部分の大きさが100nm以下であることが好ましい(請求項20)。
また、上記微細導電性物質は、カーボンナノチューブ、導電性ウイスカー又は微細金属粒子よりなることが好ましい(請求項21)。
【0038】
第5の発明においても、上記と同様の理由により、上記微細導電性物質は、その熱伝導率が10W/mK以上であることが好ましい(請求項23)。
また、上記微細導電性物質は、その最小部分の大きさが100nm以下であることが好ましい(請求項24)。
【0039】
また、上記微細導電性物質はカーボンナノチューブであり、上記微細導電性物質付着工程では、上記導電性フィラーに上記カーボンナノチューブを成長させる成長触媒を予め付着又は蒸着させておき、CVD法(化学的気相蒸着法)を行うことにより、上記導電性フィラーの表面から上記カーボンナノチューブで成長させることが好ましい(請求項25)。
【0040】
また、上記微細導電性物質はカーボンナノチューブであり、上記微細導電性物質付着工程では、上記導電性フィラーと別途準備した上記カーボンナノチューブとを接触させた状態で加熱処理を行い、上記導電性フィラーと上記カーボンナノチューブとの化合物を生成させることにより、上記カーボンナノチューブを上記導電性フィラーに付着させることが好ましい(請求項26)。
【0041】
また、上記微細導電性物質は導電性ウイスカーであり、上記微細導電性物質付着工程では、上記導電性フィラーを加熱処理することにより、該導電性フィラーの表面から上記導電性ウイスカーを成長させることが好ましい(請求項27)。
また、上記微細導電性物質付着工程では、上記微細導電性物質を含有する液体を上記導電性フィラーの表面に吹き付け、その後上記液体を乾燥させることにより、上記微細導電性物質を上記導電性フィラーに付着させることが好ましい(請求項28)。
【0042】
また、上記微細導電性物質付着工程では、上記微細導電性物質と上記ベース樹脂を構成する成分の1種又は2種以上を含む液体を作製し、該液体中に上記導電性フィラーを混合させることにより、上記微細導電性物質を上記導電性フィラーの表面に凝集させて付着させることが好ましい(請求項29)。この場合には、上記微細導電性物質付着工程において、特に乾燥を施すことなく上記導電性フィラーの表面に上記微細導電性物質を付着させることができる。そして、この上記微細導電性物質付着工程の後には、表面に上記微細導電性物質を付着させた上記導電性フィラーを含有する液体と上記ベース樹脂を構成するその他の樹脂とを混合する混合工程を行い、上記導電性接着剤を作製することができる。
【0043】
なお、上記ベース樹脂を構成する成分としては、例えばエポキシ樹脂及びその硬化材としてのアミン系硬化材、イミダゾール系硬化材、酸無水物系硬化材等、あるいはアクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂等、また塗布性のため粘度を調整する希釈材としてのブチルセロソルブ、ナフサ等の炭化水素系、反応希釈材としてのグリシジルエーテル類等、分散材としての各種シランカップリング材、チタネートカップリング材等、低弾性率化改良材としてのシリコーン樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂等がある。
そのうち、上記液体を構成する成分として、例えばエポキシ樹脂、各種希釈材、反応性希釈材等がある。
【実施例】
【0044】
(実施例1)
本発明の実施例にかかる電極接合構造について、図1、図2を用いて説明する。
本例の電極接合構造1は、図1、図2に示すごとく、ベース樹脂21中に導電性フィラー22を分散し導電性フィラー22の接触によって導通を得る導電性接着剤2を、2つの電極31、41の間に介在させることにより、2つの電極31、41を接合している。
そして、両方の電極31、41の表面には、導電性フィラー22よりも大きさが小さく導電性を有する微細導電性物質23を付着させている。
以下、これを詳説する。
【0045】
本例の電極接合構造1は、図1に示すごとく、基板3に設けられた電極31と電子部品4に設けられた電極41との間に導電性接着剤2を介在させることにより、2つの電極31、41を接合している。
また、図2に示すごとく、導電性接着剤2は、ベース樹脂中21に導電性フィラー22を分散させてなる。そして、導電性フィラー22よりも大きさが小さく導電性を有する微細導電性物質23を電極31、41の表面に設け、導電性接着剤2中の導電性フィラー22と両方の電極31、41との間にそれぞれ介在させている。
【0046】
本例の導電性接着剤2は、ベース樹脂21としてアクリル樹脂、導電性フィラー22としてAg(銀)を用いた。
また、微細導電性物質23として、カーボンナノチューブを用いた。このカーボンナノチューブは、繊維状で直径が約30〜50nm、長さが約1〜30μmであり、C(炭素)より構成されている。
【0047】
次に、電極接合構造1の電極接合方法について説明する。
本例の電極接合方法は、ベース樹脂21中に導電性フィラー22を分散し導電性フィラー22の接触によって導通を得る導電性接着剤2を、2つの電極31、41の間に介在させることにより、2つの電極31、41を接合している。
そして、電極31、41の表面に、導電性フィラー22よりも大きさが小さく導電性を有する微細導電性物質23を付着させる微細導電性物質付着工程と、導電性接着剤2を2つの電極31、41間に配置させて硬化させる導電性接着剤配設工程とを有する。
【0048】
まず、微細導電性物質付着工程として、電極31、41にカーボンナノチューブを成長させる成長触媒を予め付着又は蒸着させておき、CVD法(化学的気相蒸着法)を行うことにより、電極31、41表面からカーボンナノチューブを成長させる。
次に、導電性接着剤配設工程として、導電性接着剤2を2つの電極31、41間に配置し、加熱によって硬化させる。
このようにして、電極接合構造1の2つの電極31、41を接合する。
【0049】
なお、微細導電性物質付着工程では、電極31、41と別途準備したカーボンナノチューブとを接触させた状態で加熱処理を行い、電極31、41を構成する原子とカーボンナノチューブとの化合物を生成させることにより、カーボンナノチューブを電極31、41に付着させることもできる。
【0050】
次に、本例の電極接合構造1における作用効果について説明する。
本例の電極接合構造1は、ベース樹脂21中に導電性フィラー22を分散させてなる導電性接着剤2を、2つの電極31、41の間に介在させることにより、2つの電極31、41を接合している。
そして、導電性接着剤2中の導電性フィラー22と電極31、41との間には、導電性フィラー22よりも大きさが小さく導電性を有する微細導電性物質23をそれぞれ介在させている。
【0051】
即ち、本例では、導電性接着剤2と電極31、41との界面付近において、電極31、41表面から成長させた微細導電性物質23としてのカーボンナノチューブを導電性接着剤2中の導電性フィラー22と両方の電極31、41との間にそれぞれ介在させている。これにより、両者間の導電性が確保され、接合される2つの電極31、41の間に安定した導電性を得ることができる。
【0052】
また、微細導電性物質23として導電性に優れたカーボンナノチューブを用いたため、導電性フィラー22と電極31、41との間及び2つの電極31、41の間の導電性はより優れたものとなる。
このように、本例の電極接合構造1は、導電性接着剤2を用いて接合される2つの電極31、41の間に安定した導電性を得ることができる。
【0053】
(実施例2)
本例は、実施例1の電極接合構造1において、微細導電性物質23として上記のカーボンナノチューブに代えて導電性ウイスカーを用いた例である。
本例の導電性ウイスカーは、繊維状で直径が約0.3〜0.7μm、長さが約10〜20μmであり、Sn(錫)より構成されている。なお、この導電性ウイスカーの成分としては、カーボン、チタン酸カリウム等に変更することができる。
【0054】
また、電極接合構造1の電極接合方法における微細導電性物質付着工程おいて、電極31、41を加熱処理することにより、電極31、41を形成するめっき皮膜の残留応力が開放されるに伴って生じる金属原子の移動と再配列による結晶化によって、電極31、41の表面から導電性ウイスカーを成長させる
その他は、実施例1と同様である。
【0055】
本例では、導電性接着剤2と電極31、41との界面付近において、電極31、41表面から成長させた微細導電性物質23としての導電性ウイスカーを導電性接着剤2中の導電性フィラー22と両方の電極31、41との間にそれぞれ介在させている。これにより、両者間の導電性が確保され、接合される2つの電極31、41の間に安定した導電性を得ることができる。
【0056】
また、微細導電性物質23として導電性に優れたSnより構成された導電性ウイスカーを用いたため、導電性フィラー22と電極31、41との間及び2つの電極31、41の間の導電性はより優れたものとなる。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0057】
(実施例3)
本例は、実施例1の電極接合構造1において、微細導電性物質23として上記のカーボンナノチューブに代えて微細金属粒子を用いた例である。
本例の微細金属粒子は、棒状で直径が約10nm、長さが約20nmであり、Au(金)より構成されている。
【0058】
また、電極接合構造1の電極接合方法における微細導電性物質付着工程おいて、微細金属粒子を含有する液体を電極31、41の表面に吹き付け、その後上記液体を乾燥させることにより、微細金属粒子を電極31、41に付着させる。
本例の上記液体として、キシレンを用いた。
その他は、実施例1と同様である。
【0059】
本例では、導電性接着剤2と電極31、41との界面付近において、電極31、41表面から成長させた微細導電性物質23としての微細金属粒子を導電性接着剤2中の導電性フィラー22と両方の電極31、41との間にそれぞれ介在させている。これにより、両者間の導電性が確保され、接合される2つの電極31、41の間に安定した導電性を得ることができる。
【0060】
また、微細導電性物質23として導電性に優れたAuより構成された微細金属粒子を用いたため、導電性フィラー22と電極31、41との間及び2つの電極31、41の間の導電性はより優れたものとなる。
その他は、実施例1と同様の作用効果を有する。
【0061】
(実施例4)
本例の電極接合構造1は、図3に示すごとく、導電性フィラー22よりも大きさが小さく導電性を有する微細導電性物質23を導電性フィラー22の表面に設け、導電性接着剤2中の導電性フィラー22と両方の電極31、41との間にそれぞれ介在させている。
また、微細導電性物質23として、カーボンナノチューブを用いた。このカーボンナノチューブは、繊維状で直径が約30〜50nm、長さが約1〜30μmであり、C(炭素)より構成されている。
その他は、実施例1と同様である。
【0062】
次に、本例の電極接合構造1の電極接合方法について説明する。
本例の電極接合方法は、ベース樹脂21中に導電性フィラー22を分散させてなる導電性接着剤2を、2つの電極31、41の間に介在させることにより、2つの電極31、41を接合している。
そして、導電性接着剤2中の導電性フィラー22の表面に、導電性フィラー22よりも大きさが小さく導電性を有する微細導電性物質23を付着させておく。
【0063】
即ち、導電性フィラー22の表面に導電性フィラー22よりも大きさが小さく導電性を有する微細導電性物質23を付着させた導電性接着剤2を予め作製しておく。
その後、作製した導電性接着剤2を2つの電極31、41間に配置し、加熱によって硬化させる。
このようにして、電極接合構造1の2つの電極31、41を接合する。
【0064】
次に、本例の導電性接着剤2について説明する。
本例の導電性接着剤2は、ベース樹脂21中に導電性フィラー22を分散させてなる。
そして、導電性フィラー22の表面には、導電性フィラー22よりも大きさが小さく導電性を有する微細導電性物質23が付着している。
【0065】
次に、本例の導電性接着剤2の製造方法について説明する。
本例の導電性接着剤2の製造方法は、導電性フィラー22の表面に、導電性フィラー22よりも大きさが小さく導電性を有する微細導電性物質23を付着させる微細導電性物質付着工程と、導電性フィラー22とベース樹脂21とを混合する混合工程とを有する。
【0066】
まず、微細導電性物質付着工程として、導電性フィラー22にカーボンナノチューブを成長させる成長触媒を予め付着又は蒸着させておき、CVD法(化学的気相蒸着法)を行うことにより、導電性フィラー22の表面からカーボンナノチューブを成長させる。
次に、混合工程として、表面にカーボンナノチューブを成長させた導電性フィラー22とベース樹脂21とを混合する。
このようにして、導電性接着剤2を作製する。
【0067】
なお、微細導電性物質付着工程では、導電性フィラー22と別途準備したカーボンナノチューブとを接触させた状態で加熱処理を行い、導電性フィラー22を構成する原子とカーボンナノチューブとの化合物を生成させることにより、カーボンナノチューブを導電性フィラー22に付着させることもできる。
【0068】
次に、本例の電気接合構造1における作用効果について説明する。
本例では、導電性接着剤2と電極31、41との界面付近において、導電性フィラー22表面から成長させた微細導電性物質23としてのカーボンナノチューブを導電性接着剤2中の導電性フィラー22と両方の電極31、41との間にそれぞれ介在させている。これにより、両者間の導電性が確保され、接合される2つの電極31、41の間に安定した導電性を得ることができる。
【0069】
また、微細導電性物質23として導電性に優れたカーボンナノチューブを用いたため、導電性フィラー22と電極31、41との間及び2つの電極31、41の間の導電性はより優れたものとなる。
このように、本例の電極接合構造1は、導電性接着剤2を用いて接合される2つの電極31、41の間に安定した導電性を得ることができる。
なお、本例では、微細導電性物質23を導電性フィラー22の表面に設けたが、さらに電極31、41の表面に設けることもできる。即ち、上述した実施例1と本例を同時に実施することもできる。
【0070】
(実施例5)
本例は、実施例4の電極接合構造1において、微細導電性物質23として上記のカーボンナノチューブに代えて導電性ウイスカーを用いた例である。
本例の導電性ウイスカーは、繊維状で直径が約0.3〜0.7μm、長さが約10〜20μmであり、Sn(錫)より構成されている。なお、この導電性ウイスカーの成分としては、カーボン、チタン酸カリウム等に変更することができる。
【0071】
また、本例の導電性接着剤2の製造方法では、微細導電性物質付着工程において、上記導電性フィラー22を加熱処理することにより、導電性フィラー22に施されためっき皮膜の残留応力が開放されるに伴って生じる金属原子の移動と再配列による結晶化によって、導電性フィラー22の表面から導電性ウイスカーを成長させる。
その他は、実施例4と同様である。
【0072】
本例では、導電性接着剤2と電極31、41との界面付近において、導電性フィラー22の表面から成長させた微細導電性物質23としての導電性ウイスカーを導電性接着剤2中の導電性フィラー22と両方の電極31、41との間にそれぞれ介在させている。これにより、両者間の導電性が確保され、接合される2つの電極31、41の間に安定した導電性を得ることができる。
【0073】
また、微細導電性物質23として導電性に優れたSnより構成された導電性ウイスカーを用いたため、導電性フィラー22と電極31、41との間及び2つの電極31、41の間の導電性はより優れたものとなる。
その他は、実施例4と同様の作用効果を有する。
【0074】
(実施例6)
本例は、実施例4の電極接合構造1において、微細導電性物質23として上記のカーボンナノチューブに代えて微細金属粒子を用いた例である。
本例の微細金属粒子は、棒状で直径が約10nm、長さが約20nmであり、Au(金)より構成されている。
【0075】
また、本例の導電性接着剤2の製造方法では、微細導電性物質付着工程において、微細金属粒子を含有する液体を導電性フィラー22の表面に吹き付け、その後上記液体を乾燥させることにより、微細金属粒子を導電性フィラー22に付着させる。
本例の上記液体として、キシレンを用いた。
その他は、実施例4と同様である。
【0076】
本例では、導電性接着剤2と電極31、41との界面付近において、導電性フィラー22に付着させた微細導電性物質23としての微細金属粒子を導電性接着剤2中の導電性フィラー22と両方の電極31、41との間にそれぞれ介在させている。これにより、両者間の導電性が確保され、接合される2つの電極31、41の間に安定した導電性を得ることができる。
【0077】
また、微細導電性物質23として導電性に優れたAuより構成された微細金属粒子を用いたため、導電性フィラー22と電極31、41との間及び2つの電極31、41の間の導電性はより優れたものとなる。
その他は、実施例4と同様の作用効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】実施例1における、電極接合構造を示す説明図。
【図2】実施例1における、導電性接着剤と電極との界面付近を示す説明図。
【図3】実施例4における、導電性接着剤と電極との界面付近を示す説明図。
【符号の説明】
【0079】
1 電極接合構造
2 導電性接着剤
21 ベース樹脂
22 導電性フィラー
23 微細導電性物質
31、41 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース樹脂中に導電性フィラーを分散し該導電性フィラーの接触によって導通を得る導電性接着剤を、2つの電極の間に介在させることにより、該2つの電極を接合する電極接合構造であって、
上記導電性接着剤中の上記導電性フィラー又は/及び少なくとも一方の上記電極の表面には、上記導電性フィラーよりも大きさが小さく導電性を有する微細導電性物質を付着させていることを特徴とする電極接合構造。
【請求項2】
請求項1において、上記微細導電性物質は、その熱伝導率が10W/mK以上であることを特徴とする電極接合構造。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記微細導電性物質は、その最小部分の大きさが100nm以下であることを特徴とする電極接合構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、上記微細導電性物質は、少なくとも一方の上記電極の表面に付着していることを特徴とする電極接合構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、上記微細導電性物質は、上記導電性フィラーの表面に付着していることを特徴とする電極接合構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、上記微細導電性物質は、カーボンナノチューブ、導電性ウイスカー又は微細金属粒子よりなることを特徴とする電極接合構造。
【請求項7】
ベース樹脂中に導電性フィラーを分散し該導電性フィラーの接触によって導通を得る導電性接着剤を、2つの電極の間に介在させることにより、該2つの電極を接合する電極接合方法において、
少なくとも一方の上記電極の表面に、上記導電性フィラーよりも大きさが小さく導電性を有する微細導電性物質を付着させる微細導電性物質付着工程と、
その後、上記導電性接着剤を上記2つの電極間に配置させて硬化させる導電性接着剤配設工程とを有することを特徴とする電極接合方法。
【請求項8】
請求項7において、上記微細導電性物質は、その熱伝導率が10W/mK以上であることを特徴とする電極接合方法。
【請求項9】
請求項7又は8において、上記微細導電性物質は、その最小部分の大きさが100nm以下であることを特徴とする電極接合方法。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか1項において、上記微細導電性物質はカーボンナノチューブであり、上記微細導電性物質付着工程では、上記電極に上記カーボンナノチューブを成長させる成長触媒を予め付着又は蒸着させておき、CVD法を行うことにより、上記電極の表面から上記カーボンナノチューブを成長させることを特徴とする電極接合方法。
【請求項11】
請求項7〜9のいずれか1項において、上記微細導電性物質はカーボンナノチューブであり、上記微細導電性物質付着工程では、上記電極と別途準備した上記カーボンナノチューブとを接触させた状態で加熱処理を行い、上記電極を構成する原子と上記カーボンナノチューブとの化合物を生成させることにより、上記カーボンナノチューブを上記電極に付着させることを特徴とする電極接合方法。
【請求項12】
請求項7〜9のいずれか1項において、上記微細導電性物質は導電性ウイスカーであり、上記微細導電性物質付着工程では、上記電極を加熱処理することにより、該電極の表面から上記導電性ウイスカーを成長させることを特徴とする電極接合方法。
【請求項13】
請求項7〜9のいずれか1項において、上記微細導電性物質付着工程では、上記微細導電性物質を含有する液体を上記電極の表面に吹き付け、その後上記液体を乾燥させることにより、上記微細導電性物質を上記電極に付着させることを特徴とする電極接合方法。
【請求項14】
ベース樹脂中に導電性フィラーを分散し該導電性フィラーの接触によって導通を得る導電性接着剤を、2つの電極の間に介在させることにより、該2つの電極を接合する電極接合方法において、
上記導電性接着剤中の上記導電性フィラーの表面に、該導電性フィラーよりも大きさが小さく導電性を有する微細導電性物質を付着させておくことを特徴とする電極接合方法。
【請求項15】
請求項14において、上記微細導電性物質は、その熱伝導率が10W/mK以上であることを特徴とする電極接合方法。
【請求項16】
請求項14又は15において、上記微細導電性物質は、その最小部分の大きさが100nm以下であることを特徴とする電極接合方法。
【請求項17】
請求項14〜16のいずれか1項において、上記微細導電性物質は、カーボンナノチューブ、導電性ウイスカー又は微細金属粒子よりなることを特徴とする電極接合方法。
【請求項18】
ベース樹脂中に導電性フィラーを分散し該導電性フィラーの接触によって導通を得る導電性接着剤において、
上記導電性フィラーの表面には、該導電性フィラーよりも大きさが小さく導電性を有する微細導電性物質が付着していることを特徴とする導電性接着剤。
【請求項19】
請求項18において、上記微細導電性物質は、その熱伝導率が10W/mK以上であることを特徴とする導電性接着剤。
【請求項20】
請求項18又は19において、上記微細導電性物質は、その最小部分の大きさが100nm以下であることを特徴とする導電性接着剤。
【請求項21】
請求項18〜20のいずれか1項において、上記微細導電性物質は、カーボンナノチューブ、導電性ウイスカー又は微細金属粒子よりなることを特徴とする導電性接着剤。
【請求項22】
ベース樹脂中に導電性フィラーを分散し該導電性フィラーの接触によって導通を得る導電性接着剤を製造する方法であって、
上記導電性フィラーの表面に、該導電性フィラーよりも大きさが小さく導電性を有する微細導電性物質を付着させる微細導電性物質付着工程と、
上記導電性フィラーと上記ベース樹脂とを混合する混合工程とを有することを特徴とする導電性接着剤の製造方法。
【請求項23】
請求項22において、上記微細導電性物質は、その熱伝導率が10W/mK以上であることを特徴とする導電性接着剤の製造方法。
【請求項24】
請求項22又は23において、上記微細導電性物質は、その最小部分の大きさが100nm以下であることを特徴とする導電性接着剤の製造方法。
【請求項25】
請求項22〜24のいずれか1項において、上記微細導電性物質はカーボンナノチューブであり、上記微細導電性物質付着工程では、上記導電性フィラーに上記カーボンナノチューブを成長させる成長触媒を予め付着又は蒸着させておき、CVD法を行うことにより、上記導電性フィラーの表面から上記カーボンナノチューブを成長させることを特徴とする導電性接着剤の製造方法。
【請求項26】
請求項22〜24のいずれか1項において、上記微細導電性物質はカーボンナノチューブであり、上記微細導電性物質付着工程では、上記導電性フィラーと別途準備した上記カーボンナノチューブとを接触させた状態で加熱処理を行い、上記導電性フィラーと上記カーボンナノチューブとの化合物を生成させることにより、上記カーボンナノチューブを上記導電性フィラーに付着させることを特徴とする導電性接着剤の製造方法。
【請求項27】
請求項22〜24のいずれか1項において、上記微細導電性物質は導電性ウイスカーであり、上記微細導電性物質付着工程では、上記導電性フィラーを加熱処理することにより、該導電性フィラーの表面から上記導電性ウイスカーを成長させることを特徴とする導電性接着剤の製造方法。
【請求項28】
請求項22〜24のいずれか1項において、上記微細導電性物質付着工程では、上記微細導電性物質を含有する液体を上記導電性フィラーの表面に吹き付け、その後上記液体を乾燥させることにより、上記微細導電性物質を上記導電性フィラーに付着させることを特徴とする導電性接着剤の製造方法。
【請求項29】
請求項22〜24のいずれか1項において、上記微細導電性物質付着工程では、上記微細導電性物質と上記ベース樹脂を構成する成分の1種又は2種以上を含む液体を作製し、該液体中に上記導電性フィラーを混合させることにより、上記微細導電性物質を上記導電性フィラーの表面に凝集させて付着させることを特徴とする導電性接着剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−49369(P2006−49369A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224415(P2004−224415)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】