説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】従来の電気光学装置では、耐湿性を向上させることが困難である。
【解決手段】液晶パネル33と、液晶パネル33の入射面57に固着し、且つ入射面57から液晶パネル33の側面をまたいで液晶パネル33の出射面59に固着した第1シート161及び第2シート163と、第1シート161及び第2シート163の外側から第1シート161及び第2シート163を包む第1フィルム165及び第2フィルム167と、を含み、液晶パネル33には、画素領域79が設定されており、第1シート161及び第2シート163は、平面視で、画素領域79の外側で液晶パネル33に固着しており、第1フィルム165及び第2フィルム167は、平面視で、画素領域79の外側で第1シート161及び第2シート163を包んでいる、ことを特徴とする電気光学装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気光学装置の1つである液晶装置では、一対の基板間に液晶が介在した構成が広く採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−12934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載された液晶装置では、一対の基板間に介在する液晶の耐湿性は、シール材と封止材とで確保される。
しかしながら、シール材や封止材での耐湿性は、時間の経過にともなって劣化することがある。つまり、従来の電気光学装置では、耐湿性を向上させることが困難であるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現され得る。
【0006】
[適用例1]複数の画素の前記画素ごとに、出射する光の量が制御される電気光学パネルと、前記電気光学パネルの一方の面に固着し、且つ前記一方の面から前記電気光学パネルの側面をまたいで前記電気光学パネルの他方の面に固着した熱伝導性シートと、前記熱伝導性シートの外側から前記熱伝導性シートを包む非吸湿性フィルムと、を含み、前記電気光学パネルには、平面視で、電気光学機能が有効な領域である有効領域が設定されており、前記熱伝導性シートは、平面視で、前記有効領域の外側で前記電気光学パネルに固着しており、前記非吸湿性フィルムは、平面視で、前記有効領域の外側で前記熱伝導性シートを包んでいる、ことを特徴とする電気光学装置。
【0007】
この適用例の電気光学装置は、電気光学パネルと、熱伝導性シートと、非吸湿性フィルムと、を含む。電気光学パネルでは、複数の画素の画素ごとに、出射する光の量が制御される。熱伝導性シートは、電気光学パネルの一方の面に固着し、この一方の面から電気光学パネルの側面をまたいで他方の面に固着している。非吸湿性フィルムは、熱伝導性シートの外側から熱伝導性シートを包んでいる。
電気光学パネルには、平面視で、電気光学機能が有効な領域である有効領域が設定されている。熱伝導性シートは、平面視で、有効領域の外側で電気光学パネルに固着している。非吸湿性フィルムは、平面視で、有効領域の外側で熱伝導性シートを包んでいる。
この電気光学装置では、電気光学パネルの側面が非吸湿性フィルムで包まれる。このため、非吸湿性フィルムで電気光学パネルの側面を水分の進入から保護することができる。これにより、電気光学装置の耐湿性を向上させやすくすることができる。
また、この電気光学装置では、電気光学パネルと非吸湿性フィルムとの間に熱伝導性シートが介在している。このため、電気光学パネルに発生した熱を、熱伝導性シートを介して放熱しやすくすることができる。これにより、熱による非吸湿性フィルムの劣化の進行を遅らせることができ、電気光学装置の耐湿性を長持ちさせやすくすることができる。
【0008】
[適用例2]上記の電気光学装置であって、前記熱伝導性シートは、前記一方の面に固着した第1シートと、前記他方の面に固着した第2シートとを、平面視で、前記電気光学パネルの領域よりも外側で互いに固着した構成を有しており、前記非吸湿性フィルムは、前記一方の面に固着した第1フィルムと、前記他方の面に固着した第2フィルムとを、前記熱伝導性シートよりも外側で互いに固着した構成を有している、ことを特徴とする電気光学装置。
【0009】
この適用例では、熱伝導性シートは、第1シートと第2シートとを互いに固着した構成を有している。第1シートは、電気光学パネルの一方の面に固着している。第2シートは、電気光学パネルの他方の面に固着している。第1シートと第2シートとは、平面視で、電気光学パネルの領域よりも外側で互いに固着している。
また、非吸湿性フィルムは、第1フィルムと第2フィルムとを互いに固着した構成を有している。第1フィルムは、電気光学パネルの一方の面に固着している。第2フィルムは、電気光学パネルの他方の面に固着している。第1フィルムと第2フィルムとは、熱伝導性シートよりも外側で互いに固着している。
上記の構成により、熱伝導性シート及び非吸湿性フィルムのそれぞれを構成することができる。
【0010】
[適用例3]上記の電気光学装置であって、前記熱伝導性シートは、グラファイトを含有する材料で構成されている、ことを特徴とする電気光学装置。
【0011】
この適用例では、熱伝導性シートがグラファイトを含有する材料で構成されているので、熱伝導性シートの熱伝導性を高めやすくすることができる。
【0012】
[適用例4]上記の電気光学装置であって、前記熱伝導性シートは、金属を含有する材料で構成されている、ことを特徴とする電気光学装置。
【0013】
この適用例では、熱伝導性シートが金属を含有する材料で構成されているので、熱伝導性シートの熱伝導性を高めやすくすることができる。
【0014】
[適用例5]上記の電気光学装置であって、前記熱伝導性シートは、金属箔で構成されている、ことを特徴とする電気光学装置。
【0015】
この適用例では、熱伝導性シートが金属箔で構成されているので、熱伝導性シートの熱伝導性を高めやすくすることができる。
【0016】
[適用例6]上記の電気光学装置であって、前記熱伝導性シートは、樹脂製シートと、前記樹脂製シートの前記電気光学パネル側に設けられた熱伝導膜と、を有する、ことを特徴とする電気光学装置。
【0017】
この適用例では、熱伝導性シートが樹脂製シートと、樹脂製シートの電気光学パネル側に設けられた熱伝導膜と、を有するので、熱伝導性シートの熱伝導性を高めやすくすることができる。
【0018】
[適用例7]上記の電気光学装置であって、前記電気光学パネルは、基板と、前記基板に設けられた導電部と、を有しており、前記熱伝導性シートと前記導電部との間に、絶縁材が介在している、ことを特徴とする電気光学装置。
【0019】
この適用例では、電気光学パネルは、基板と、基板に設けられた導電部と、を有している。そして、熱伝導性シートと導電部との間に、絶縁材が介在している。これにより、熱伝導性シートによる導電部の短絡を低く抑えることができる。
【0020】
[適用例8]上記の電気光学装置であって、前記非吸湿性フィルムは、前記熱伝導性シート側に、無機材料で構成された無機膜を有している、ことを特徴とする電気光学装置。
【0021】
この適用例では、非吸湿性フィルムが熱伝導性シート側に無機材料で構成された無機膜を有しているので、非吸湿性フィルムの非吸湿性を高めやすくすることができる。
【0022】
[適用例9]上記の電気光学装置であって、前記無機膜は、酸化シリコンを含有する材料で構成されている、ことを特徴とする電気光学装置。
【0023】
この適用例では、無機膜は、酸化シリコンを含有する材料で構成されている。これにより、酸化シリコンの無機膜を有する非吸湿性フィルムを構成することができる。
【0024】
[適用例10]複数の画素の前記画素ごとに、出射する光の量が制御される電気光学パネルと、前記電気光学パネルの一方の面に固着し、且つ前記一方の面から前記電気光学パネルの側面をまたいで前記電気光学パネルの他方の面に固着した非吸湿性フィルムと、を含み、前記非吸湿性フィルムは、樹脂製フィルムと、前記樹脂製フィルムの前記電気光学パネル側に設けられた無機膜と、前記無機膜の前記電気光学パネル側に設けられた熱伝導膜と、を有する、ことを特徴とする電気光学装置。
【0025】
この適用例の電気光学装置は、電気光学パネルと、非吸湿性フィルムと、を含む。電気光学パネルでは、複数の画素の画素ごとに、出射する光の量が制御される。非吸湿性フィルムは、電気光学パネルの一方の面に固着し、この一方の面から電気光学パネルの側面をまたいで他方の面に固着している。
非吸湿性フィルムは、樹脂製フィルムと、無機膜と、熱伝導膜と、を有している。無機膜は、樹脂製フィルムの電気光学パネル側に設けられている。熱伝導膜は、無機膜の電気光学パネル側に設けられている。
この電気光学装置では、電気光学パネルの側面が非吸湿性フィルムで包まれる。このため、非吸湿性フィルムで電気光学パネルの側面を水分の進入から保護することができる。これにより、電気光学装置の耐湿性を向上させやすくすることができる。
また、この電気光学装置では、電気光学パネルと無機膜との間に熱伝導膜が介在している。このため、電気光学パネルに発生した熱を、熱伝導膜を介して放熱しやすくすることができる。これにより、熱による非吸湿性フィルムの劣化の進行を遅らせることができ、電気光学装置の耐湿性を長持ちさせやすくすることができる。
【0026】
[適用例11]上記の電気光学装置を有する、ことを特徴とする電子機器。
【0027】
この適用例の電子機器は、電気光学装置を有している。この電気光学装置は、電気光学パネルと、熱伝導性シートと、非吸湿性フィルムと、を含む。電気光学パネルでは、複数の画素の画素ごとに、出射する光の量が制御される。熱伝導性シートは、電気光学パネルの一方の面に固着し、この一方の面から電気光学パネルの側面をまたいで他方の面に固着している。非吸湿性フィルムは、熱伝導性シートの外側から熱伝導性シートを包んでいる。
電気光学パネルには、平面視で、電気光学機能が有効な領域である有効領域が設定されている。熱伝導性シートは、平面視で、有効領域の外側で電気光学パネルに固着している。非吸湿性フィルムは、平面視で、有効領域の外側で熱伝導性シートを包んでいる。
この電気光学装置では、電気光学パネルの側面が非吸湿性フィルムで包まれる。このため、非吸湿性フィルムで電気光学パネルの側面を水分の進入から保護することができる。これにより、電気光学装置の耐湿性を向上させやすくすることができる。
また、この電気光学装置では、電気光学パネルと非吸湿性フィルムとの間に熱伝導性シートが介在している。このため、電気光学パネルに発生した熱を、熱伝導性シートを介して放熱しやすくすることができる。これにより、熱による非吸湿性フィルムの劣化の進行を遅らせることができ、電気光学装置の耐湿性を長持ちさせやすくすることができる。
そして、この電子機器は、耐湿性を向上させやすくすることができる電気光学装置を有している。このため、電子機器では、電気光学装置における耐湿性を向上させやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態におけるプロジェクターの主要構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態におけるプロジェクターの画像形成部の主要構成を示す図。
【図3】本実施形態におけるプロジェクターの画像形成パネルを示す斜視図。
【図4】図3中のA−A線における断面図。
【図5】本実施形態での液晶パネルを示すブロック図。
【図6】本実施形態における液晶パネルの等価回路図。
【図7】本実施形態での画像形成パネルにおける偏光状態を説明する図。
【図8】第1実施形態におけるライトバルブユニットを示す平面図。
【図9】図8中のD−D線における断面図。
【図10】第2実施形態におけるライトバルブユニットを示す断面図。
【図11】図10中のE部の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
実施形態について、電子機器の1つであるプロジェクターを例に、図面を参照しながら説明する。
本実施形態におけるプロジェクター1は、主要構成を示すブロック図である図1に示すように、光学系3と、制御部5と、を有している。プロジェクター1は、図示しない外部装置から入力される画像信号に応じた画像を、光学系3を介してスクリーン8などに投射することができる。
光学系3は、画像信号に基づいた画像を形成し、形成した画像をスクリーン8などに投射する。制御部5は、画像信号に基づいて光学系3の駆動を制御する。
【0030】
光学系3は、ランプ11と、画像形成部13と、投射レンズ部15と、を有している。
ランプ11は、画像形成部13や投射レンズ部15を経てスクリーン8に向けて出射される投射光17を発生する。ランプ11としては、例えば、高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどが採用され得る。
画像形成部13は、後述する画像形成パネルなどを有している。画像形成部13は、制御部5から入力される画像データなどに基づいて画像形成パネルに画像を形成する。画像形成部13には、ランプ11からの光が照射される。このため、画像形成部13に形成された画像は、ランプ11からの光によって投射レンズ部15に投影される。
【0031】
投射レンズ部15には、ランプ11からの光が画像形成部13を経て入射される。投射レンズ部15は、入射された光を広げる方向に屈折させて、投射光17として出射する。このため、画像形成部13に形成された画像は、拡大された状態でスクリーン8に投射され得る。
【0032】
ここで、画像形成部13の構成について、詳細を説明する。
画像形成部13は、主要構成を示す図である図2に示すように、分光部31と、液晶パネル33と、クロスダイクロイックプリズム35と、を有している。
分光部31には、ランプ11からの光41が入射される。分光部31は、光41から、赤系(R)の色の光41R、緑系(G)の色の光41G、及び青系(B)の色の光41Bのそれぞれを分離する。
【0033】
ここで、Rの色は、純粋な赤の色相に限定されず、橙等を含む。Gの色は、純粋な緑の色相に限定されず、青緑や黄緑等を含む。Bの色は、純粋な青の色相に限定されず、青紫や青緑等を含む。他の観点から、Rの色を呈する光41Rは、光の波長のピークが、可視光領域で570nm以上の範囲にある光であると定義され得る。また、Gの色を呈する光41Gは、光の波長のピークが500nm〜565nmの範囲にある光であると定義され得る。Bの色を呈する光41Bは、光の波長のピークが415nm〜495nmの範囲にある光であると定義され得る。
【0034】
分光部31は、ダイクロイックミラー43と、ダイクロイックミラー45と、反射ミラー47と、反射ミラー48と、反射ミラー49と、を有している。光41は、光軸51aに沿って分光部31に入射する。
ダイクロイックミラー43は、光軸51aと交差する位置に設けられている。ダイクロイックミラー43は、光軸51aの方向に対して傾斜している。ダイクロイックミラー43は、光41のうちで、Rの光41Rを透過させ、Gの光41G及びBの光41Bを反射させることができる。
【0035】
従って、ダイクロイックミラー43によって、光41からRの光41Rが分離され得る。他方で、Gの光41G及びBの光41Bが混合した光53が、ダイクロイックミラー43によって、光41から分離され得る。
ダイクロイックミラー43を透過した光41Rは、光軸51aに沿って反射ミラー47へ導かれる。
他方で、ダイクロイックミラー43によって反射された光53は、光軸51aが光軸51bに変えられてから、ダイクロイックミラー45へ導かれる。
【0036】
ダイクロイックミラー45は、光軸51bと交差する位置に設けられている。ダイクロイックミラー45は、光軸51bの方向に対して傾斜している。ダイクロイックミラー45は、光53のうちで、Bの光41Bを透過させ、Gの光41Gを反射させることができる。従って、ダイクロイックミラー45によって、光53からGの光41GとBの光41Bとが分離され得る。
ダイクロイックミラー45を透過した光41Bは、光軸51bに沿って反射ミラー48へ導かれる。
他方で、ダイクロイックミラー45によって反射された光41Gは、光軸51bが光軸51cに変えられる。
【0037】
反射ミラー47は、光41Rの光軸51aと交差する位置に設けられている。反射ミラー47は、光軸51aの方向に対して傾斜している。光41Rは、反射ミラー47で反射することによって、光軸51aが光軸51dに変えられる。
反射ミラー48は、光41Bの光軸51bと交差する位置に設けられている。反射ミラー48は、光軸51bの方向に対して傾斜している。光41Bは、反射ミラー48によって光軸51bが光軸51eに変えられてから、反射ミラー49に導かれる。
反射ミラー49は、光41Bの光軸51eと交差する位置に設けられている。反射ミラー49は、光軸51eの方向に対して傾斜している。光41Bは、反射ミラー49で反射することによって、光軸51eが光軸51fに変えられる。
【0038】
クロスダイクロイックプリズム35は、光軸51c、光軸51d及び光軸51fの交点に重なる位置に設けられている。クロスダイクロイックプリズム35は、面35aと、面35bと、面35cと、面35dと、を有している。
面35aは、反射ミラー47側に向けられている。面35bは、ダイクロイックミラー45側に向けられている。面35cは、反射ミラー49側に向けられている。
【0039】
液晶パネル33は、光41R,41G及び41Bごとに設けられている。つまり、プロジェクター1は、光41Rに対応する液晶パネル33と、光41Gに対応する液晶パネル33と、光41Bに対応する液晶パネル33と、を有している。なお、以下において、液晶パネル33を光41R,41G及び41Bごとに識別する場合には、液晶パネル33は、液晶パネル33R、液晶パネル33G及び液晶パネル33Bと表記される。
液晶パネル33R、液晶パネル33G及び液晶パネル33Bは、相互に同じ仕様の液晶パネル33が採用され得る。
【0040】
液晶パネル33Rは、面35aと反射ミラー47との間において、光軸51dに交差する位置に設けられている。液晶パネル33Rは、面35aに対向している。
液晶パネル33Gは、面35bとダイクロイックミラー45との間において、光軸51cに交差する位置に設けられている。液晶パネル33Gは、面35bに対向している。
液晶パネル33Bは、面35cと反射ミラー49との間において、光軸51fに交差する位置に設けられている。液晶パネル33Bは、面35cに対向している。
【0041】
ここで、液晶パネル33は、透過型の液晶パネルであり、ライトバルブとしてプロジェクター1に適用されている。
液晶パネル33は、後述する複数の画素と、画素ごとに駆動が制御される液晶と、を有している。液晶パネル33は、複数の画素に入射された光の偏光状態を、画素ごとに変化させることができる。
なお、分光部31と各液晶パネル33との間には、後述する偏光板及び位相差板(図示せず)が設けられている。また、各液晶パネル33とクロスダイクロイックプリズム35との間にも、後述する偏光板及び位相差板(図示せず)が設けられている。
この構成により、液晶パネル33では、液晶パネル33の複数の画素に入射された光の偏光状態を画素ごとに変化させることによって、液晶パネル33を透過した光で画像を形成することができる。
【0042】
液晶パネル33を透過した光は、クロスダイクロイックプリズム35に導かれる。
液晶パネル33Rを透過した光41Rは、面35aからクロスダイクロイックプリズム35に入射する。
液晶パネル33Gを透過した光41Gは、面35bからクロスダイクロイックプリズム35に入射する。
液晶パネル33Bを透過した光41Bは、面35cからクロスダイクロイックプリズム35に入射する。
このため、面35aには、Rの画像が投影され、面35bには、Gの画像が投影され、面35cには、Bの画像が投影され得る。
【0043】
クロスダイクロイックプリズム35に入射した光41R,41G及び41Bは、クロスダイクロイックプリズム35によって合成される。つまり、クロスダイクロイックプリズム35によって、Rの画像、Gの画像及びBの画像が合成され得る。
クロスダイクロイックプリズム35によって合成された光41R,41G及び41Bは、画像光55としてクロスダイクロイックプリズム35の面35dから出射される。
【0044】
面35dから出射された画像光55は、投射レンズ部15へ導かれてから、投射レンズ部15に入射する。投射レンズ部15に入射した画像光55は、投射光17(図1)としてスクリーン8などに投射される。
【0045】
ここで、液晶パネル33の構成について、詳細を説明する。
液晶パネル33は、斜視図である図3に示すように、入射面57を有している。入射面57は、図2に示す光源の一例であるランプ11から出射された光41(光41R,41G,41B)が入射する面である。また、液晶パネル33は、図3中のA−A線における断面図である図4に示すように、出射面59を有している。液晶パネル33において、出射面59は、入射面57とは反対側の面である。出射面59は、図2に示す画像形成部13において、クロスダイクロイックプリズム35側に向けられている。
【0046】
また、液晶パネル33は、図4に示すように、防塵用基板63と、防塵用基板65と、素子基板71と、対向基板73と、液晶75と、シール材77と、を有している。
素子基板71には、入射面57側すなわち液晶75側に、後述するスイッチング素子などが設けられている。
対向基板73は、素子基板71よりも入射面57側で素子基板71に対向し、且つ素子基板71との間に隙間を有した状態で設けられている。対向基板73には、出射面59側すなわち液晶75側に、後述する共通電極などが設けられている。
なお、本実施形態では、素子基板71は、平面視で、対向基板73よりもはみ出ている。素子基板71において、対向基板73よりもはみ出た領域は、張出領域71aと呼ばれる。張出領域71aは、図3に示すように、対向基板73の輪郭に沿って周状に設けられている。張出領域71aは、平面視で、対向基板73を外側から囲んでいる。
【0047】
液晶75は、図4に示すように、素子基板71及び対向基板73の間に挟持されており、液晶パネル33の周縁よりも内側で表示領域を囲むシール材77によって、素子基板71及び対向基板73の間に封止されている。本実施形態では、液晶75の駆動方式として、VA(Vertical Alignment)型の駆動方式が採用されている。
防塵用基板63は、素子基板71よりも出射面59側、すなわち液晶75側とは反対側に設けられている。
防塵用基板65は、対向基板73よりも入射面57側、すなわち液晶75側とは反対側に設けられている。
プロジェクター1では、素子基板71や対向基板73にごみなどの異物が付着すると、スクリーン8などに異物が投影されてしまうことがある。素子基板71や対向基板73と異物との間に防塵用基板63や防塵用基板65を介在させることによって、異物がデフォーカスされる。これにより、投写画像において、異物の投影像を目立ちにくくすることができる。
【0048】
前述した位相差板66aは、防塵用基板65の入射面57側、すなわち液晶75側とは反対側に設けられている。
位相差板66bは、防塵用基板63の出射面59側、すなわち液晶75側とは反対側に設けられている。液晶パネル33では、位相差板66a及び位相差板66bは、それぞれ、入射された光に対して1/4波長の位相差を付与する。
また、前述した偏光板67aは、位相差板66aの液晶パネル33側とは反対側に設けられている。偏光板67bは、位相差板66bの液晶パネル33側とは反対側に設けられている。偏光板67a及び偏光板67bは、それぞれ、透過軸に沿った偏光軸を有する直線偏光を透過させることができる。
【0049】
ここで、液晶パネル33には、液晶パネル33の平面図である図5に示すように、複数の画素78が設定されている。複数の画素78は、領域79内で、図中のX方向及びY方向に配列しており、X方向を行方向とし、Y方向を列方向とするマトリクスMを構成している。図5では、構成をわかりやすく示すため、画素78が誇張され、且つ画素78の個数が減じられている。
なお、領域79は、画像が形成(表示)される領域に相当する。このため、以下において、領域79は、画素領域79と表記される。
本実施形態では、Y方向に沿って並ぶ複数の画素78が、1つの画素列78Cを構成している。また、X方向に沿って並ぶ複数の画素78が、1つの画素行78Lを構成している。この観点から、X方向は、画素行78Lが延在する方向であるともみなされ得る。また、Y方向は、画素列78Cが延在する方向であるともみなされ得る。
【0050】
また、液晶パネル33は、走査線駆動回路81と、信号線駆動回路83と、封止材85と、端子電極87と、複数の走査線Tと、複数の信号線Sと、を有している。
なお、走査線駆動回路81と、信号線駆動回路83と、端子電極87とは、後述するスイッチング素子と同様に、素子基板71に形成されている。図5では、構成をわかりやすく示すため、端子電極87が誇張され、且つ端子電極87の個数が減じられている。
なお、本実施形態では、X方向は、走査線Tが延在する方向に相当している。Y方向は、信号線Sが延在する方向に相当している。
【0051】
走査線駆動回路81は、各走査線Tに選択信号を供給する。信号線駆動回路83は、各信号線Sにデータ信号(画像データ)を供給する。
端子電極87は、FPC(Flexible Printed Circuit)などの外部配線を接続するための端子である。端子電極87と走査線駆動回路81との間や、端子電極87と信号線駆動回路83との間は、配線89を介して電気的に接続されている。
なお、端子電極87は、図4に示す張出領域71aに設けられている。
【0052】
シール材77には、図5に示すように、注入口77aが形成されている。注入口77aは、液晶75のセル内への導入路である。注入口77aは、環状に設けられるシール材77の一部を欠いた構成を有しており、セル内とセル外とを連通させる。
本実施形態では、液晶75のセル内への注入方法として、減圧注入法が採用されている。減圧注入法とは、注入口77aと液晶75とを真空に近い減圧環境下で当接させてから、減圧環境の圧力を上昇させることによってセル内に液晶75を注入する方法である。
注入口77aは、封止材85によって塞がれている。これにより、液晶75は、セル内に封止されている。
なお、セル内への液晶75の注入方法は、減圧注入法に限定されず、滴下法(ODF(One Drop Fill)とも呼ばれる)も採用され得る。滴下法が採用される場合、注入口77a及び封止材85は省略され得る。
【0053】
複数の走査線T及び複数の信号線Sは、図6に示すように、格子状に配線されている。複数の走査線Tは、Y方向に互いに間隔をあけた状態で、X方向に沿って延びている。複数の信号線Sは、X方向に互いに間隔をあけた状態で、Y方向に沿って延びている。各画素78は、各走査線Tと各信号線Sとの交差に対応して設定されている。
各信号線Sは、Y方向に沿って並ぶ複数の画素78すなわち各画素列78C(図5)に対応している。各走査線Tは、X方向に沿って並ぶ複数の画素78すなわち各画素行78L(図5)に対応している。
また、液晶パネル33は、画素78ごとに、スイッチング素子の1つであるTFT(Thin Film Transistor)素子91と、画素電極93と、共通電極97と、を有している。なお、共通電極97は、マトリクスMを構成する複数の画素78間にまたがって一連した状態で設けられている。つまり、共通電極97は、マトリクスMを構成する複数の画素78に平面視で重なる領域に設けられており、複数の画素78間にまたがって共通して機能する。
【0054】
TFT素子91のゲート電極は、対応する走査線Tに電気的に接続されている。TFT素子91のソース電極は、対応する信号線Sに電気的に接続されている。各画素78において、TFT素子91のドレイン電極は、画素電極93に電気的に接続されている。
各画素78において、画素電極93と共通電極97とは、画素電極93と共通電極97との間に電界を形成する一対の電極を構成している。液晶75(図4)は、画素電極93と共通電極97との間に介在している。本実施形態では、画素電極93と共通電極97とは、互いに対向している。
TFT素子91は、このTFT素子91に電気的に接続される走査線Tに選択信号が供給されるとオン状態となる。このとき、このTFT素子91に電気的に接続される信号線Sからデータ信号が供給され、画素電極93がデータ信号の大きさに応じた電位に保たれる。このとき、共通電極97を画素電極93の電位とは異なる電位に保つと、画素電極93と共通電極97との間に電位差が発生する。これにより、画素78ごとに、画素電極93と共通電極97との間に電界を発生させることができる。
【0055】
液晶パネル33では、画素電極93と共通電極97との間に電圧を印加すると、画素電極93と共通電極97との間に電界が発生する。この電界によって液晶75の配向状態を画素78ごとに変化させることができる。
本実施形態では、液晶75に電界が作用すると、液晶75がオン状態になる。他方で、液晶75に作用する電界が解除されると、液晶75がオフ状態になる。
プロジェクター1では、図2に示す画像形成部13に光41を照射した状態で、各液晶パネル33における液晶75の配向状態を画素78ごとに変化させることにより、表示が制御される。液晶75の配向状態は、画素電極93の電位と共通電極97の電位との差(以下、駆動電圧と呼ぶ)によって変化し得る。
なお、本実施形態では、液晶75は、入射した光に1/2波長の位相差を付与することができる。これは、液晶75のリタデーション(複屈折率と厚みとの積)の設定により実現され得る。本実施形態では、入射した光に1/2波長の位相差を付与するリタデーションが設定されている。
【0056】
液晶パネル33では、駆動電圧が0Vのときに、液晶75がオフ状態にある。他方で、駆動電圧が0Vを超えると、液晶75がオフ状態からオン状態に変化する。
図7(a)は、液晶75がオフ状態のときの液晶パネル33における偏光状態を示す図であり、図7(b)は、液晶75がオン状態のときの液晶パネル33における偏光状態を示す図である。
液晶パネル33では、偏光板67aの透過軸121と、偏光板67bの透過軸123とは、図7(a)及び図7(b)に示すように、互いに直交している。
なお、図7(a)及び図7(b)において、X'方向及びY'方向は、X'方向が偏光板67aの透過軸121の方向を示し、Y'方向が偏光板67bの透過軸123の方向を示している。X'方向及びY'方向は、XY平面内で互いに直交する任意の2方向である。
【0057】
位相差板66aの遅相軸125は、平面視でX'方向に対して、時計方向に45度の傾きを有する方向に設定されている。
従って、偏光板67aを透過した直線偏光143は、位相差板66aによって1/4波長の位相差が与えられ、平面視で反時計方向に回転する円偏光144として液晶75に入射する。
【0058】
液晶75に入射した円偏光144は、液晶75がオフ状態のときに、図7(a)に示すように、偏光状態が維持されたまま(位相差が付与されずに)円偏光144として位相差板66bに向けて出射される。
ここで、位相差板66bの遅相軸127は、平面視でX'方向に対して、時計方向に45度の傾きを有する方向に設定されている。
【0059】
このため、位相差板66bに入射した円偏光144は、位相差板66bによって1/4波長の位相差が与えられ、平面視でX'方向に沿った偏光軸を有する直線偏光145として偏光板67bに向けて出射される。
偏光板67bに向けて出射された直線偏光145は、偏光軸が偏光板67bの透過軸123に対して直交しているため、偏光板67bによって吸収される。
【0060】
他方で、液晶75がオン状態のときに、液晶75に入射された円偏光144は、図7(b)に示すように、1/2波長の位相差が与えられ、平面視で時計方向に回転する(円偏光144とは逆回転の)円偏光147として位相差板66bに向けて出射される。
位相差板66bに入射した円偏光147は、位相差板66bによって1/4波長の位相差が与えられ、平面視でY'方向に沿った偏光軸を有する直線偏光149として偏光板67bに向けて出射される。
偏光板67bに向けて出射された直線偏光149は、偏光軸が偏光板67bの透過軸123に沿っているため、偏光板67bを透過する。
【0061】
このように、液晶パネル33では、液晶75のオン状態及びオフ状態の切り替えにより、画像の形成が制御される。
本実施形態では、液晶75がオフ状態のときに液晶パネル33からの光の出射が遮断される所謂ノーマリーブラック(初期的に“黒表示”の状態)の表示モードが採用されている。しかしながら、表示モードは、ノーマリーブラックに限定されず、所謂ノーマリーホワイト(初期的に“白表示”の状態)も採用され得る。
【0062】
上述した液晶パネル33は、図8に示すように、保持体151に保持された状態で、ライトバルブユニット150としてプロジェクター1に組み込まれている。
保持体151には、液晶パネル33の画素領域79に対応して開口部153が設けられている。ライトバルブユニット150では、開口部153を介して、液晶パネル33の入射面57が露呈している。また、保持体151は、ねじ孔154を有している。ライトバルブユニット150は、保持体151のねじ孔154に挿入されたねじ(図示せず)を介してプロジェクター1に取り付けられている。
なお、液晶パネル33の端子電極87(図5)に接続されたFPC155は、保持体151の内側から外側に延びている。
【0063】
ライトバルブユニット150は、図8中のD−D線における断面図である図9に示すように、液晶パネル33と、保持体151と、を有している。
保持体151は、第1シート161と、第2シート163と、第1フィルム165と、第2フィルム167と、固定プレート169と、を有している。
第1シート161は、液晶パネル33の出射面59側に設けられており、図示しない接着剤を介して出射面59に固着している。第1シート161は、平面視で、液晶パネル33の領域よりも外側に広がっている。第1シート161には、開口部173が設けられている。開口部173は、平面視で画素領域79を覆っている。
【0064】
第2シート163は、液晶パネル33の入射面57側に設けられており、図示しない接着剤を介して入射面57に固着している。第2シート163には、開口部175が設けられている。開口部175は、平面視で画素領域79を覆っている。なお、本実施形態では、第2シート163は、入射面57から液晶パネル33の側面をまたいで第1シート161に至っている。第1シート161と第2シート163とは、平面視で、液晶パネル33の領域よりも外側で、互いに固着している。このため、第1シート161及び第2シート163は、入射面57に固着し、且つ入射面57から液晶パネル33の側面をまたいで出射面59に固着しているとみなされ得る。
第1シート161及び第2シート163は、それぞれ、液晶パネル33に発生する熱を放熱させる。このため、第1シート161及び第2シート163としては、それぞれ、例えばグラファイトシートなどの高い熱伝導性を有する材料を採用することが好ましい。本実施形態では、第1シート161及び第2シート163として、グラファイトシートが採用されている。
【0065】
なお、本実施形態では、第2シート163と液晶パネル33の側面との間にカバー171が設けられている。カバー171としては、例えば、シリコーン樹脂などの絶縁性が高い材料が採用され得る。
前述したように、液晶パネル33には、張出領域71aに端子電極87(図5)が設けられている。このため、例えば、第1シート161及び第2シート163が導電性を有している場合、端子電極87間に短絡が発生しやすくなる。これに対し、本実施形態では、第2シート163と液晶パネル33の側面との間にカバー171が設けられているので、端子電極87間の短絡の発生を低く抑えやすくすることができる。
なお、図9では、カバー171が液晶パネル33の側面全域を覆っている例が示されている。しかしながら、カバー171の構成は、これに限定されず、端子電極87間の短絡の発生を低く抑えるという観点から、少なくとも端子電極87などの導電部を覆っていればよい。
【0066】
第1フィルム165は、第1シート161の液晶パネル33側とは反対側に設けられており、図示しない接着剤を介して第1シート161に固着している。また、第1フィルム165は、平面視で、第1シート161の領域よりも外側に広がっており、第1シート161を覆っている。第1フィルム165には、開口部177が設けられている。開口部177は、平面視で画素領域79に重なっており、開口部173よりも内側に位置している。第1フィルム165は、平面視で、開口部173の内側で液晶パネル33の出射面59に、図示しない接着剤を介して固着している。
第2フィルム167は、第2シート163の液晶パネル33側とは反対側に設けられており、図示しない接着剤を介して第2シート163に固着している。また、第2フィルム167は、平面視で、第2シート163の領域よりも外側に広がっており、第2シート163を覆っている。第2フィルム167には、開口部153が設けられている。開口部153は、平面視で画素領域79に重なっており、開口部175よりも内側に位置している。第2フィルム167は、平面視で、開口部175の内側で液晶パネル33の入射面57に、図示しない接着剤を介して固着している。
【0067】
なお、本実施形態では、第2フィルム167は、入射面57から液晶パネル33の側面をまたいで第1フィルム165に至っている。第1フィルム165と第2フィルム167とは、平面視で、液晶パネル33の領域よりも外側で、互いに固着している。このため、第1フィルム165及び第2フィルム167は、入射面57に固着し、且つ入射面57から液晶パネル33の側面をまたいで出射面59に固着しているとみなされ得る。このため、第1フィルム165及び第2フィルム167は、画素領域79の外側で第1シート161及び第2シート163を包んでいる。
第1フィルム165及び第2フィルム167は、それぞれ、液晶パネル33への水分の進入を低く抑える。このため、第1フィルム165及び第2フィルム167としては、それぞれ、耐湿性や非吸湿性が高い材料を採用することが好ましい。このような材料としては、例えば、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。本実施形態では、第1フィルム165及び第2フィルム167として、ポリイミドフィルムが採用されている。
【0068】
固定プレート169は、第1フィルム165の液晶パネル33側とは反対側に設けられており、図示しない接着剤を介して第1フィルム165に固着している。固定プレート169には、開口部179が設けられている。開口部179は、平面視で画素領域79を覆っている。
固定プレート169は、第1フィルム165、第1シート161、第2シート163、第2フィルム167、及び液晶パネル33の支えとなる部材である。固定プレート169によって、第1フィルム165、第1シート161、第2シート163、及び第2フィルム167の剛性が高められている。これにより、液晶パネル33を保持するという保持体151の機能が保たれる。
【0069】
本実施形態において、液晶パネル33が電気光学パネルに対応し、第1シート161及び第2シート163が熱伝導性シートに対応し、第1フィルム165及び第2フィルム167が非吸湿性フィルムに対応している。また、画素領域79が有効領域に対応し、端子電極87が導電部に対応し、カバー171が絶縁材に対応している。
本実施形態では、液晶パネル33の側面が第1フィルム165及び第2フィルム167で包まれる。このため、第1フィルム165及び第2フィルム167で液晶パネル33の側面を水分の進入から保護することができる。これにより、ライトバルブユニット150の耐湿性を向上させやすくすることができる。
また、このライトバルブユニット150では、液晶パネル33と第1フィルム165及び第2フィルム167との間に第1シート161及び第2シート163が介在している。このため、液晶パネル33に発生した熱を、第1シート161及び第2シート163を介して放熱しやすくすることができる。これにより、熱による第1フィルム165及び第2フィルム167の劣化の進行を遅らせることができ、ライトバルブユニット150の耐湿性を長持ちさせやすくすることができる。
【0070】
なお、本実施形態では、第1シート161及び第2シート163として、グラファイトシートが採用されているが、第1シート161及び第2シート163の材料はこれに限定されない。第1シート161及び第2シート163としては、例えばアルミニウムや銅などの高い熱伝導性を有する金属を含有する材料も採用され得る。
また、第1シート161及び第2シート163としては、例えばアルミニウムや銅などの金属を含有する金属箔も採用され得る。
また、第1シート161及び第2シート163としては、それぞれ、樹脂製シートに熱伝導膜を設けた構成も採用され得る。この構成では、樹脂製シートの液晶パネル33側に熱伝導膜が設けられる。熱伝導膜としては、例えば、ダイヤモンドライクカーボンなどの有機膜が採用され得る。
また、本実施形態では、第1フィルム165及び第2フィルム167として、ポリイミドフィルムが採用されているが、第1フィルム165及び第2フィルム167の構成はこれに限定されない。第1フィルム165及び第2フィルム167の構成としては、それぞれ、樹脂製フィルムに無機膜を設けた構成も採用され得る。この構成では、樹脂製フィルムの第1シート161及び第2シート163側に、無機材料で構成された無機膜が設けられる。無機膜の材料としては、例えば、酸化シリコンを含有する材料などが採用され得る。
【0071】
第2実施形態について説明する。
第2実施形態におけるプロジェクター1は、図10に示すライトバルブユニット180を有している。第2実施形態におけるプロジェクター1は、第1実施形態におけるライトバルブユニット150がライトバルブユニット180に替えられていることを除いては、第1実施形態におけるプロジェクター1と同様の構成を有している。このため、第2実施形態において、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0072】
第2実施形態では、第1実施形態におけるライトバルブユニット150の保持体151が保持体181に替えられている。
保持体181は、第1フィルム183と、第2フィルム185と、固定プレート169と、を有している。
第1フィルム183は、液晶パネル33の出射面59側に設けられており、図示しない接着剤を介して出射面59に固着している。第1フィルム183は、平面視で、液晶パネル33の領域よりも外側に広がっている。第1フィルム183には、開口部187が設けられている。開口部187は、平面視で画素領域79を覆っている。
【0073】
第2フィルム185は、液晶パネル33の入射面57側に設けられており、図示しない接着剤を介して入射面57に固着している。第2フィルム185には、開口部153が設けられている。開口部153は、平面視で画素領域79を覆っている。なお、本実施形態では、第2フィルム185は、入射面57から液晶パネル33の側面をまたいで第1フィルム183に至っている。第1フィルム183と第2フィルム185とは、平面視で、液晶パネル33の領域よりも外側で、互いに固着している。このため、第1フィルム183及び第2フィルム185は、入射面57に固着し、且つ入射面57から液晶パネル33の側面をまたいで出射面59に固着しているとみなされ得る。
【0074】
保持体181では、第1フィルム183及び第2フィルム185は、それぞれ、図10中のE部の拡大図である図11に示すように、樹脂製フィルム191と、無機膜193と、熱伝導膜195と、を有している。
無機膜193は、樹脂製フィルム191の液晶パネル33(図10)側に設けられている。熱伝導膜195は、無機膜193の液晶パネル33側に設けられている。
樹脂製フィルム191の材料としては、耐湿性や非吸湿性が高い材料を採用することが好ましい。このような材料としては、例えば、ポリイミドフィルムなどが挙げられる。第1フィルム183及び第2フィルム185では、樹脂製フィルム191として、ポリイミドフィルムが採用されている。
【0075】
無機膜193の材料としては、例えば、酸化シリコンを含有する材料などが採用され得る。第1フィルム183及び第2フィルム185では、無機膜193の材料として、酸化シリコンが採用されている。
そして、無機膜193は、CVD(Chemical Vapor Deposition)技術などを活用して、樹脂製フィルム191に酸化シリコンの膜を形成することによって設けられ得る。
熱伝導膜195としては、例えば、ダイヤモンドライクカーボンなどの有機膜が採用され得る。第1フィルム183及び第2フィルム185では、熱伝導膜195の材料として、ダイヤモンドライクカーボンが採用されている。
そして、熱伝導膜195は、CVD技術などを活用して、無機膜193上にダイヤモンドライクカーボンの膜を形成することによって設けられ得る。
【0076】
第2実施形態では、第1フィルム183及び第2フィルム185が非吸湿性フィルムに対応している。
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第2実施形態では、第1実施形態における第1シート161及び第2シート163を省略することができるので、ライトバルブユニット180の薄型化を図ったり、コストの軽減を図ったりしやすい。
【0077】
なお、本実施形態では、ライトバルブとして、透過型の液晶パネル33が採用されている。しかしながら、液晶パネル33は、透過型に限定されず、反射型も採用され得る。
また、本実施形態では、液晶パネル33をプロジェクター1に適用した例を説明したが、液晶パネル33が適用され得る電子機器はプロジェクター1に限定されない。液晶パネル33は、例えば、ディスプレイ、携帯電話機などの電子機器にも表示装置として適用され得る。
また、本実施形態では、液晶75の駆動方式としてVA型の駆動方式が採用されているが、駆動方式はこれに限定されない。液晶75の駆動方式は、TN(Twisted Nematic)型、IPS(In Plane Switching)型、FFS(Fringe Field Switching)型等の種々の方式も採用され得る。
【符号の説明】
【0078】
1…プロジェクター、3…光学系、5…制御部、13…画像形成部、33…液晶パネル、57…入射面、59…出射面、63…防塵用基板、65…防塵用基板、71…素子基板、71a…張出領域、73…対向基板、75…液晶、78…画素、79…画素領域、150…ライトバルブユニット、151…保持体、153…開口部、154…ねじ孔、155…FPC、161…第1シート、163…第2シート、165…第1フィルム、167…第2フィルム、169…固定プレート、171…カバー、173…開口部、175…開口部、177…開口部、179…開口部、180…ライトバルブユニット、181…保持体、183…第1フィルム、185…第2フィルム、187…開口部、191…樹脂製フィルム、193…無機膜、195…熱伝導膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素の前記画素ごとに、出射する光の量が制御される電気光学パネルと、
前記電気光学パネルの一方の面に固着し、且つ前記一方の面から前記電気光学パネルの側面をまたいで前記電気光学パネルの他方の面に固着した熱伝導性シートと、
前記熱伝導性シートの外側から前記熱伝導性シートを包む非吸湿性フィルムと、を含み、
前記電気光学パネルには、平面視で、電気光学機能が有効な領域である有効領域が設定されており、
前記熱伝導性シートは、平面視で、前記有効領域の外側で前記電気光学パネルに固着しており、
前記非吸湿性フィルムは、平面視で、前記有効領域の外側で前記熱伝導性シートを包んでいる、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記熱伝導性シートは、前記一方の面に固着した第1シートと、前記他方の面に固着した第2シートとを、平面視で、前記電気光学パネルの領域よりも外側で互いに固着した構成を有しており、
前記非吸湿性フィルムは、前記一方の面に固着した第1フィルムと、前記他方の面に固着した第2フィルムとを、前記熱伝導性シートよりも外側で互いに固着した構成を有している、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記熱伝導性シートは、グラファイトを含有する材料で構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記熱伝導性シートは、金属を含有する材料で構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記熱伝導性シートは、金属箔で構成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記熱伝導性シートは、樹脂製シートと、前記樹脂製シートの前記電気光学パネル側に設けられた熱伝導膜と、を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記電気光学パネルは、基板と、前記基板に設けられた導電部と、を有しており、
前記熱伝導性シートと前記導電部との間に、絶縁材が介在している、
ことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記非吸湿性フィルムは、前記熱伝導性シート側に、無機材料で構成された無機膜を有している、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記無機膜は、酸化シリコンを含有する材料で構成されている、
ことを特徴とする請求項8に記載の電気光学装置。
【請求項10】
複数の画素の前記画素ごとに、出射する光の量が制御される電気光学パネルと、
前記電気光学パネルの一方の面に固着し、且つ前記一方の面から前記電気光学パネルの側面をまたいで前記電気光学パネルの他方の面に固着した非吸湿性フィルムと、を含み、
前記非吸湿性フィルムは、
樹脂製フィルムと、
前記樹脂製フィルムの前記電気光学パネル側に設けられた無機膜と、
前記無機膜の前記電気光学パネル側に設けられた熱伝導膜と、を有する、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の電気光学装置を有する、
ことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−64754(P2011−64754A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213013(P2009−213013)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】