説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】 複数の接続部の接続不良の有無を容易に発見できる電気光学装置及び電子機器等を提供すること。
【解決手段】 複数の画素電極が形成された第1基板10と共通電極24が形成された第2基板20とを有する電気光学装置は、第1基板に配置されて第2基板の共通電極を駆動する複数の駆動回路160と、第1基板と第2基板とを電気的に接続して第1基板に配置された複数の駆動回路の各々の出力線を第2基板の共通電極にそれぞれ接続する複数の接続部50−1〜50−4と、複数の接続部の導通を検査する検査回路200−1〜200−4とを有し、検査回路は、検査時に、第1基板側から複数の接続部の一つを介して第2基板の共通電極に供給され、かつ、共通電極から複数の接続部の他の一つを介して第1基板側に供給される検査信号が入力される信号入力部210を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚の基板間に液晶等の電気光学素子を有する電気光学装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば液晶装置は、第1,第2基板間に封入された液晶を、第1,第2基板に形成された電極に電圧を印加することにより駆動される。第1基板には複数の画素電極が形成され、第2基板には共通電極が形成される。第1基板には共通電極を駆動する駆動回路が配置される。第1,第2基板同士は複数の接続部により電気的に接続される。第1基板に設けられた駆動回路は、複数の接続部を介して共通電極を駆動する。
【0003】
特許文献1は、製造時にガラス基板である第1基板の割れや欠けの大きさを判断する目盛りを第1基板に設けて、生産性を向上させる技術を開示している。特許文献2は、液晶表示装置の画素不良である点欠陥を、補助容量信号線及び補助容量信号幹線のインピーダンスを低下させずに修正できる技術を開示している。特許文献3は、第2基板に形成された共通電極(対向電極)の負荷を測定して、その負荷に適した駆動を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−102134号公報
【特許文献2】特開2010−97100号公報
【特許文献3】特開2008−83286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気光学装置の高精細化により、第1,第2基板間を接続する複数の接続部の一つが外れるだけでも、共通電極の抵抗値が異なり、階調表示が変化する等の表示不良となる。その際、接続不良を含む様々な要因で生ずる表示不良は目視で確認できるが、その原因を突き止めることは困難である。
【0006】
本発明の幾つかの態様によれば、複数の接続部の接続不良の有無を容易に発見できる電気光学装置及び電子機器等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の一態様は、複数の画素電極が形成された第1基板と、前記複数の画素電極と対向する共通電極が形成された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置される電気光学素子と、を有する電気光学装置において、
前記第1基板に配置され、前記第2基板の前記共通電極を駆動する複数の駆動回路と、
前記第1基板と前記第2基板とを電気的に接続して、前記第1基板に配置された前記複数の駆動回路の各々の出力線を、前記第2基板の前記共通電極にそれぞれ接続する複数の接続部と、
前記複数の接続部の導通を検査する検査回路と、
を有し、
前記検査回路は、検査時に、前記第1基板側から前記複数の接続部の一つを介して前記第2基板の前記共通電極に供給され、かつ、前記共通電極から前記複数の接続部の他の一つを介して前記第1基板側に供給される検査信号が入力される信号入力部を有する電気光学装置に関する。
【0008】
本発明の一態様では、複数の接続部の2つが導通していれば、その2つの接続部を経由して検査信号の電位、電流等が検査回路の信号入力部を介して計測できる。逆に、2つの接続部のいずれか一方が非導通であれば、検査信号の電位、電流等は検査回路の信号入力部を介して計測できない。よって、接続部の数がM(Mは2以上の整数)であれば、(M−1)個の接続部の各々から検査信号を供給して、残りの少なくとも1個の接続部を介して検査信号を少なくとも1つの検査回路に供給することで、M個の接続部のいずれかが非導通であることを、目視に頼らずに検査できる。検査信号が入力される検査回路の数を最大で接続部の数だけ増やせば、接続部のいずれかが非導通であるかを検出することができる。
【0009】
(2)本発明の一態様では、前記検査信号は、前記複数の接続部の一つと直接接続された前記出力線を有する前記複数の駆動回路の一つから供給することができる。こうして、通常動作時に共通電極を駆動する駆動回路の一つを、検査信号の出力回路として兼用することができる。こうすると、検査信号の出力回路を別個に設ける必要がない。
【0010】
(3)本発明の一態様では、前記検査回路は、第1の検査回路と、第2の検査回路とを含み、前記第1の検査回路は前記信号入力部を有し、前記第2の検査回路は信号出力部を含み、前記信号出力部は、前記検査信号の供給時にアクティブとされる検査信号出力スイッチを介して前記複数の接続部の一つの前記出力線をプルアップまたはプルダウンすることで、前記検査信号の電位を設定することができる。
【0011】
こうすると、駆動回路から検査信号を出力させる必要がなく、駆動回路の出力線をプルアップまたはプルダウンすることで検査信号を出力することができる。
【0012】
(4)本発明の一態様では、前記複数の駆動回路の各々は、最終出力段にバッファーを含み、前記信号入力部は、前記複数の接続部の他の一つと直接接続される前記バッファーの出力線に分岐接続される検査信号入力線を含み、前記信号入力部に前記検査信号が入力される検査時に、前記信号入力部と接続された前記バッファーの出力端がハイインピーダンスに設定されても良い。
【0013】
こうすると、検査信号は、バッファー側には供給されずに、バッファーの出力線から分岐した検査信号入力線を経由して取り込むことができる。
【0014】
(5)発明の一態様では、前記バッファーの出力端がハイインピーダンスに設定される間に、前記検査信号入力線の電位を、前記検査信号の電位とは異なる電位に設定する電位設定回路をさらに有することができる。こうすると、バッファーの出力端がハイインピーダンスに設定されても、検査信号入力線がフローティング電位にならず、しかも、検査信号が入力されれば検査信号の電位となり、入力されなければ設定電位となる。これにより、誤測定を低減できる。
【0015】
(6)発明の一態様では、前記電位設定回路は、検査時にアクティブとなる第1スイッチを介して前記検査信号入力線をプルアップまたはプルダウンすることができる。検査信号がHIGHであれば検査信号入力線をプルダウンさせればよく、検査信号がLOWであれば検査信号入力線をプルアップすれば良い。こうして、検査信号入力線がフローティング電位にならず、誤測定を低減できる。
【0016】
(7)本発明の一態様では、前記信号入力部は、前記検査信号入力線に直列接続され、検査時にアクティブとされる第2スイッチを含み、前記第2スイッチを介して前記検査信号が記憶される記憶部をさらに有することができる。これにより、検査結果を記憶部に保持しておくことができる。
【0017】
(8)本発明の一態様では、前記複数の駆動回路の数をN(Nは3以上の羅整数)としたとき、前記N個の駆動回路の各々は、検査時に異なるタイミングで前記検査信号を出力し、N個の信号入力部が設けられ、前記N個の信号入力部の各々は、前記第1スイッチを介して(N−1)個の検査信号がそれぞれ記憶される(N−1)個の記憶部をさらに有することができる。こうすると、N×(N−1)通りの検査結果が得られ、N個の接続部の量不良の判定に供することができる。
【0018】
(9)本発明の一態様では、前記信号入力部は、前記複数の駆動回路の他の一つの前記出力線に分岐接続される検査信号入力線と、前記検査信号入力線に直列接続され、検査時にアクティブとされて前記検査信号入力線をプルダウンまたはプルアップして、前記検査信号入力線の電位を前記検査信号の電位と異なる電位に設定する第1スイッチと、有し、前記複数の駆動回路の各々は、最終出力段にバッファーを含み、前記信号出力部から前記信号入力部に前記検査信号を供給する検査時に、前記信号出力部に接続された前記バッファー及び前記信号入力部に接続された前記バッファーの各々の出力端がハイインピーダンスに設定されてもよい。
【0019】
こうすると、信号出力部がプルアップされれば信号入力部はプルダウンされ、逆に、信号出力部がプルダウンされれば信号入力部はプルアップされ、それにより信号出力部と信号入力部との間で検査信号を流すことが可能となる。
【0020】
(10)本発明の一態様では、前記記憶部の情報に基づいて異常か否かを判定する判定部と、前記判定部にて以上と判断されたときに、異常処理を実行する異常処理部と、をさらに有することができる。それにより、接続部の異常を警報し、あるいは通常動作を停止させることができる。
【0021】
(11)本発明の他の態様は、上述した電気光学装置を含む電子機器を定義している。
【0022】
(12)本発明の他の態様では、前記検査時は、バワーオンリセット信号に基づいて設定することができる。こうすると、電源を立ち上げ毎に検査を実施することができる。よって、経時的に接続部が劣化した場合でも速やかに異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る電気光学装置の構成例を示す図である。
【図2】図2(A)(B)は第1,第2基板の平面図である。
【図3】第1,第2基板同士を電気的に接続する接続部を示す模式図である。
【図4】複数の接続部に接続された共通電極の等価回路図である。
【図5】検査回路を示す回路図である。
【図6】接続部の数をNとしたときにN個の検査回路で測定されるN×(N−1)個の検査結果を示す説明図である。
【図7】検査時のタイミングチャートである。
【図8】検査回路の変形例を示す図である。
【図9】検査回路の信号出力部と信号入力部をプルアップまたはプルダウンにより実現する例を示す図である。
【図10】電子機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0025】
1.電気光学装置
図1に、電気光学装置の構成例を示す。この電気光学装置は、電気光学パネル100(狭義には、液晶表示パネル)、走査線駆動回路110、データ線駆動回路120、表示コントローラー130、波形信号供給回路140を含む。
【0026】
図1は、例えば特開2007−148417号公報または特開2001−100707号公報などで知られている等間隔サブフレーム駆動方式にて電気光学パネル100を駆動するものである。電気光学パネル100は、表示画像を表示するための複数の画素PX11…と、その複数の画素PX11…を駆動する複数の画素回路PC11…を含む。この画素回路PC11…には、ゲート信号GX1…、データ信号SD1…、駆動用波形電圧SON,SOFF、共通電極駆動電圧VCOM、サブフレーム同期信号SF_SYNCが入力される。1つの画素PX11…には1つの画素回路PC11…が対応し、その画素と画素回路が、ゲートラインとデータラインに沿ってマトリックス状に配置される。例えば、ゲート信号GX1のラインとデータ信号SD1のラインの交点には、画素PX11と画素回路PC11が配置される。
【0027】
表示コントローラー130は、外部のホストコントローラー等からのデータ転送用クロック信号DCK、データ信号DATA、その他の制御信号を受けて、電気光学装置の各構成要素を制御し、電気光学装置の表示制御を行う。また、表示コントローラー130は、データ信号DATAに基づいて等間隔サブフレーム駆動用のデータ信号を生成する。すなわち、データ信号DATAの階調データを、オン論理レベルとオフ論理レベルの組み合わせであるサブフレームパターンに変換する。
【0028】
走査線駆動回路110は、電気光学パネル100に対してゲート信号GX1〜GXm(mは自然数)を供給する。ゲート信号GX1〜GXmは、画素回路によりデータ信号SD1〜SDnが取り込まれるゲートラインを指示する信号である。走査線駆動回路110には、表示コントローラー130からの水平同期信号HSYNCやサブフレーム同期信号SF_SYNC等が入力される。
【0029】
データ線駆動回路120は、電気光学パネル100に対してデータ信号SD1〜SDnを供給する。データ信号SD1〜SDnは、各データライン上の画素に対応する等間隔サブフレーム駆動用のデータ信号である。データ線駆動回路120には、表示コントローラー130からの水平同期信号HSYNCやサブフレーム同期信号SF_SYNC、サブフレームパターンに変換されたデータ信号等が入力される。
【0030】
波形信号供給回路140は、電気光学パネル100に対して、オン駆動用波形電圧SON、オフ駆動用波形電圧SOFF、共通電極駆動電圧VCOMを供給する。波形信号供給回路140には、温度センサー150からの温度検出結果TSや、表示コントローラー130からの水平同期信号カウント値HC、サブフレーム同期信号カウント値SFC、サブフレーム同期信号SF_SYNCが入力される。なお、波形信号供給回路140が、共通電極駆動電圧VCOMを供給する後述の共通電極駆動回路160を含んでいる。
【0031】
上記の電気光学装置は、例えばLCOS(広義には、液晶表示装置)により構成される。LCOSとは、シリコン基板(広義には、半導体基板)に画素回路や、配線層、反射電極(画素電極)、液晶層、共通電極が積層されて形成された液晶表示装置である。シリコン基板には、波形信号供給回路140等の周辺回路も集積される。LCOSは、反射型の液晶表示装置であり、透明な共通電極側から入射された光が液晶層を通過して反射電極により反射され、その反射光が再び液晶層を通過して出射される。表示画像は、その出射光がスクリーン等に投影されることで得られる。
【0032】
2.第1,第2基板と接続部
図2(A)(B)は、図1に示す電気光学装置を構成する第1基板10と第2基板20を示している。図2(A)に示す第1基板10は例えば半導体基板にて形成されたアクティブマトリクス基板である。第1基板10には、画素回路部30、インターフェース回路40、図1の走査線駆動回路110を2分割して配置された第1,第2走査線駆動回路110A,110Bと、データ線駆動回路120とが形成されている。画素回路部30は、複数の走査線32(GX1〜GXm)と、複数の走査線32と交差する複数のデータ線34(SD1〜SDn)と、複数の走査線32の各1本と複数のデータ線34の各1本に各々が接続された複数の画素36(PC11+PX11等)とを含む。なお、図2(A)では図示されていないが、図1の温度センサー150を第1基板10に形成することもできる。
【0033】
後述するように本実施形態では第1基板10に検査回路が増設される。検査信号を外部に出力させるために、インターフェース回路40を入出力可能とするか、あるいは検査回路の信号入力部や信号出力部に接続されるテスト端子を第1基板10に増設することができる。
【0034】
例えば、図2(A)に示すインターフェース回路40は、図1の表示コントローラー130と接続されている。図1では、表示コントローラー130に、検査信号に基づいて異常か否かを判定する判定部132と、判定部132にて異常と判断されたときに、異常処理を実行する異常処理部134とを設けている。異常処理部134は、正常動作時には実施されない処理として、例えば警告などを行うことができる。
【0035】
一方、ガラス基板である第2基板20には、図2(B)に示すように、透明電極(ITO)にて共通電極24が形成されている。この共通電極24に共通電極駆動電圧VCOMを供給して駆動する共通電極駆動回路160は、図2(A)に示すように、第1基板10に設けられている。
【0036】
このために、第1,第2基板10,20同士を電気的に接続している。第1基板10の複数個所例えば4箇所には、例えばAlにて形成された第1パッド12が形成されている。共通電極駆動回路160は、4つの第1パッド12に対応して4つ設けられている。4つの共通電極駆動回路160の各一つが、4つの第1パッド12の各一つに接続されている。
【0037】
一方、第2基板20には、図2(B)に示すように、第1パッド12に対応させて、透明電極(ITO)により4つの第2パッド22が形成されている。
【0038】
図3は、第1,第2基板10,20の電気的接続を模式的に示している。第1基板10の第1パッド12と第2基板20の第2パッド22とは、銀素材にて接続されて、接続部である銀点パッド50(50−1〜50−4)が形成される。
【0039】
図4は、4つの銀点パッド50−1〜50−4に接続された第2基板20上の共通電極24の等価回路図である。図4に示すように、共通電極24が第2基板20のほぼ全域に形成されることから、共通電極24は寄生抵抗等に起因した抵抗値を有する。
【0040】
ここで、4箇所の銀点パッド50−1〜50−4が全て接続しているか否かは、銀点パッド50−1〜50−4が第1,第2基板10,20間に存在するため、目視では判定し難い。特に電気光学パネル100の高精細化により、第1,第2基板10,20間を接続する複数の銀点パッド50−1〜50−4の一つが外れるだけでも、共通電極24の抵抗値が異なってしまう。それにより、階調表示が変化する等の表示不良となる。その際、接続不良を含む様々な要因で生ずる表示不良は目視で確認できるが、その原因を突き止めることは困難である。
【0041】
3.電気光学装置に内蔵される検査回路
本実施形態では、電気光学装置に内蔵される検査回路を設け、銀点パッド50−1〜50−4一つが外れているか否かを検査して、銀点パッド50−1〜50−4の導通を検査回路により検査するものである。
【0042】
図5に示すように、図2(A)に示す第1基板10に設けられた4つの共通電極駆動回路160に隣接して、4つの検査回路200−1〜200−4を設けている。なお、図5では2つの銀点パッド50−1,502に接続される2つの検査回路200−1,200−2のみを示しているが、他の検査回路200−3,2004も同一の構成である。
【0043】
4つの検査回路200−1〜200−4の各々は、検査時に、第1基板10側から複数の銀点パッド50−1〜50−4の一つを介して第2基板20の共通電極24に供給され、かつ、共通電極24から複数の銀点パッド50−1〜50−4の他の一つを介して第1基板10側に供給される検査信号が入力される信号入力部210を有する。
【0044】
図5の例では、銀点パッド50−2に接続された共通電極駆動回路160のバッファー162を介して供給される検査信号は、銀点パッド50−2、共通電極24、銀点パッド50−1を介して、検査回路200−1の信号入力部210に供給される。
【0045】
もし、銀点パッド50−1,50−2が導通していれば、検査信号の電位、電流等が検査回路200−1の信号入力部210を介して計測できる。逆に、銀点パッド50−1,50−2のいずれか一方が非導通であれば、検査信号の電位、電流等は検査回路200−1の信号入力部210を介して計測できない。
【0046】
銀点パッド50−1,50−2のいずれかが非道通であると測定された場合、いずれか一方を他の銀点パッド50−3または50−4に差し替えて検査することで、銀点パッド50−1,50−2のいずれが非道通であったかを追求することができる。
【0047】
このとき、検査信号の供給は、通常動作時にVCOM信号を供給する4つの共通電極駆動回路160の少なくとも一つを兼用することができる。こうすると、検査信号の出力回路を別個に設ける必要がない。
【0048】
図5において、検査回路200−1の信号入力部210は、共通電極駆動回路160のバッファー162の出力線164に分岐接続される検査信号入力線212を有することができる。また、バッファー162の出力端を、検査時にハイインピーダンスに設定することができる。こうすると、検査信号は、バッファー162側には供給されずに、共通電極駆動回路160の出力線164から分岐した検査信号入力線212を経由して取り込むことができる。バッファー162の出力端をハイインピーダンスにするには、バッファーを構成するCMOSトランジスタにVDD電源線及びVSS電源線を接続する箇所を断続するスイッチを設ければ良い。VDD,VSS電源が断たれると、バッファーの出力線はフローティング電位となり、ハイインピーダンスとなる。
【0049】
さらに、バッファー162の出力端がハイインピーダンスに設定される間に、検査信号入力線212の電位を、検査信号の電位とは異なる電位に設定する電位設定回路220をさらに有することができる。こうすると、バッファー162の出力端がハイインピーダンスに設定されても、検査信号入力線212がフローティング電位にならず、しかも、検査信号が入力されれば検査信号の電位となり、入力されなければ設定電位となる。これにより、誤測定を低減できる。
【0050】
図5に示す電位設定回路220は、検査時にアクティブとなる例えばn型トランジスタで形成される第1スイッチ222を介して検査信号入力線212をプルダウンしている。この場合、検査信号レベルはHIGHに設定されればよい。逆に、電位設定回路220は、検査時にアクティブとなる例えばp型トランジスタで形成される第1スイッチ(図示せず)を介して検査信号入力線212をプルアップしてもよい。この場合、検査信号レベルはLOWに設定されればよい。なお、図5に示す抵抗器R1により、HIGHである検査信号レベルと接地レベルとの電位差が維持される。また、抵抗器R2は静電気保護抵抗である。
【0051】
信号入力部210は、検査信号入力線212に直列接続され、検査時にアクティブとされる第2スイッチ214と、第2スイッチ214を介して検査信号が記憶される記憶部230をさらに有することができる。これにより、検査結果を記憶部230に保持しておくことができる。
【0052】
図5では共通電極駆動回路160の数をN(Nは3以上の整数)としたとき(本実施形態ではN=4)、N個の駆動回路160の各々は、検査時に異なるタイミングで検査信号を出力することができる。N個の信号入力部210は、第2スイッチ214を介して(N−1)個の検査信号がそれぞれ記憶される(N−1)個の記憶部例えば第1〜第3ラッチ231,232,233をさらに有することができる。
【0053】
こうすると、図6に示すように、N×(N−1)通りの検査結果を測定することができる。本実施形態ではN=4であるので、4×3=12通りの検査結果A〜Lが得られる。例えば、銀点パッド50−1から検査信号を出力して銀点パッド50−2,50−3,50−4を介して検査信号を入力することで、検査結果A〜Cが得られる。これにより、4つの銀点パッド50−1〜50−4の導通の良不良を判定できる。
【0054】
第1〜第3ラッチ231,232,233に正しい検査結果をラッチするために、タイミング制御が必要である。図6は、検査時のタイミングチャートである。検査の初期に、第1〜第3ラッチ231,232,233はリセット信号RESTの例えば立ち上がりエッジの時刻t0でリセットされる。リセット信号RESTは検査モード信号であり、例えばバワーオンリセット信号を用いることができる。
【0055】
本実施形態では、リセット信号RESTにより、第1スイッチ222をオンさせて検査信号入力線212をプルダウンすると同時に、バッファー162の出力端をハイインピーダンスに設定している。これにより、例えば検査回路200−1の信号入力部210で検査信号の入力準備が完了する。
【0056】
銀点パッド50−1以外の他の例えば銀点パッド50−2を介して検査信号がHIGH出力される。このとき、銀点パッド50−1,50−2の双方が導通していれば信号入力線212の電位はHIGHとなり、銀点パッド50−1,50−2の一方が非導通であれば信号入力線212の電位はLOWとなる。この信号入力線212の電位は、第2のスイッチ214がオンしないと、第1ラッチ231へ伝送されない。本実施形態では、リセット信号RESTを遅延回路240にて遅延させ、遅延されたリセット信号RESTがHIGHである期間(t1−t6)に亘って、第2スイッチ214をオンさせている。
【0057】
その後、第1クロック信号CLK1が第1ラッチ231に入力される時刻t2にて初めて、信号入力線212の電位が第1ラッチ231にてラッチされる(図6の検査結果A)。その後、検査信号の出力が銀点パッド50−3,50−4へと順次切り替えられるのに続いて第2,第3クロック信号CLK2,CLK3が立ち上がり、時刻t3,t4にて図6の検査結果B,Cが、第2,第3ラッチ232,233にてラッチされる。時刻t6に達すると、検査回路200−1は非検査時の状態に復帰される。
【0058】
4.検査回路の他の例
図8は、信号入力部210が一つの記憶部例えばラッチ230のみを有する例を示している。この場合、クロック信号CLKを用いずに、リセット信号RESTのみでタイミング制御することができる。図5と同様に、ラッチ230のリセットと、第1スイッチ222によるプルダウンと、バッファー162の出力端のハイインピーダンス設定は、リセット信号RESTの立ち上がりエッジで設定する。第2スイッチ214のオン動作は、1段の遅延回路240にて遅延させたリセット信号RESTにて実施する点も、図5と同一である。ラッチ230へのクロック信号の取り込みを、2段の遅延回路241,242にて遅延させたリセット信号RESTを用いることで、クロック信号CLKが不要となる。
【0059】
5.信号入力部と信号出力部
図9の実施形態では、銀点パッド50−1に接続された検査回路200−1に信号入力部300を設け、銀点パッド50−2に接続された検査回路200−2に信号出力部310を設けている。
【0060】
信号入力部300は、出力線164に分岐接続される検査信号入力線302と、検査信号入力線302に直列接続され、検査時にアクティブとされて検査信号入力線302をプルダウンする第1スイッチ304とを有する。この第1スイッチ304は、バッファー162の出力端をハイインピーダンスにする検査時にアクティブとされる。
【0061】
一方、信号出力部310は、信号出力部は、検査信号の供給時にアクティブとされる検査信号出力スイッチ312を介して共通電極駆動回路160の出力線164をプルアップまたはプルダウンすることで、検査信号の電位を設定する。この検査信号出力スイッチ312は、バッファー162の出力端をハイインピーダンスにする検査時にアクティブとされる。
【0062】
こうすると、信号出力部310から信号入力部300に向けて図示矢印A方向に電流が流れる。この電流を測定することで、銀点パッド50−1,50−2の導通を検査できる。なお、電流測定回路を第1基板10に設けても良いし、あるいはその電流を外部で検出しても良い。また、図9とは逆に、信号出力部310側にてプルダウンさせ、信号入力部300にてプルアップしても良い。
【0063】
なお、図9に示す信号入力部300を、図5に示す信号入力部210に置き換えては位置しても良い。これとは逆に、図9に示す信号出力部310を図9の銀点パッド50−2側に配置してもよい。
【0064】
6.電子機器
図10のプロジェクター400は、ライトバルブとして機能する液晶表示装置410を含んで構成される。液晶表示装置410は、大別して液晶パネル412とその駆動回路414を含む。プロジェクター400は、液晶表示装置410に加えて、表示情報出力源420、表示情報処理回路430、クロック発生回路440及び電源回路450を含んで構成される。表示情報出力源420は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)、光ディスク装置等のメモリー、画像信号を同調して出力する同調回路等を含み、クロック発生回路440からのクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等の表示情報を表示情報処理回路430に出力する。表示情報処理回路430は、増幅・極性反転回路、相展開回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、或いはクランプ回路等を含むことができる。電源回路450は、上述の各回路に電力を供給する。
【0065】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できる。
【符号の説明】
【0066】
10 第1基板、12 第1パッド、20 第2基板、22 第2パッド、50−1〜50−4 接続部(銀点パッド)、100 電気光学パネル、132 判定部、134 異常処理部、160 共通電極駆動回路、200−1〜200−4 検査回路、210 信号入力部、212、検査信号入力線、214 第2スイッチ、220 電位設定回路、222 第1スイッチ、230 記憶部、231〜233 第1〜第3ラッチ、240〜242 遅延回路、300 信号入力部、302 信号入力線、304 第1のスイッチ、310 信号出力部、312 検査信号出力スイッチ、REST リセット信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素電極が形成された第1基板と、前記複数の画素電極と対向する共通電極が形成された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置される電気光学素子と、を有する電気光学装置において、
前記第1基板に配置され、前記第2基板の前記共通電極を駆動する複数の駆動回路と、
前記第1基板と前記第2基板とを電気的に接続して、前記第1基板に配置された前記複数の駆動回路の各々の出力線を、前記第2基板の前記共通電極にそれぞれ接続する複数の接続部と、
前記複数の接続部の導通を検査する検査回路と、
を有し、
前記検査回路は、検査時に、前記第1基板側から前記複数の接続部の一つを介して前記第2基板の前記共通電極に供給され、かつ、前記共通電極から前記複数の接続部の他の一つを介して前記第1基板側に供給される検査信号が入力される信号入力部を有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記検査信号は、前記複数の接続部の一つと直接接続された前記出力線を有する前記複数の駆動回路の一つから供給されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記検査回路は、第1の検査回路と、第2の検査回路とを含み、
前記第1の検査回路は前記信号入力部を有し、
前記第2の検査回路は信号出力部を含み、前記信号出力部は、前記検査信号の供給時にアクティブとされる検査信号出力スイッチを介して前記複数の接続部の一つの前記出力線をプルアップまたはプルダウンすることで、前記検査信号の電位を設定することを特徴とする電気光学装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記複数の駆動回路の各々は、最終出力段にバッファーを含み、
前記信号入力部は、前記複数の接続部の他の一つと直接接続される前記バッファーの出力線に分岐接続される検査信号入力線を含み、
前記信号入力部に前記検査信号が入力される検査時に、前記信号入力部と接続された前記バッファーの出力端がハイインピーダンスに設定されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記バッファーの出力端がハイインピーダンスに設定される間に、前記検査信号入力線の電位を、前記検査信号の電位とは異なる電位に設定する電位設定回路をさらに有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記電位設定回路は、検査時にアクティブとなる第1スイッチを介して前記検査信号入力線をプルアップまたはプルダウンすることを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれかにおいて、
前記信号入力部は、
前記検査信号入力線に直列接続され、検査時にアクティブとされる第2スイッチを含み、
前記第2スイッチを介して前記検査信号が記憶される記憶部をさらに有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
請求項4乃至7のいずれかにおいて、
前記複数の駆動回路の数をN(Nは3以上の整数)としたとき、前記N個の駆動回路の各々は、検査時に異なるタイミングで前記検査信号を出力し、
N個の信号入力部が設けられ、前記N個の信号入力部の各々は、前記第1スイッチを介して(N−1)個の検査信号がそれぞれ記憶される(N−1)個の記憶部をさらに有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項3において、
前記信号入力部は、
前記複数の駆動回路の他の一つの前記出力線に分岐接続される検査信号入力線と、
前記検査信号入力線に直列接続され、検査時にアクティブとされて前記検査信号入力線をプルダウンまたはプルアップして、前記検査信号入力線の電位を前記検査信号の電位と異なる電位に設定する第1スイッチと、
を有し、
前記複数の駆動回路の各々は、最終出力段にバッファーを含み、
前記信号出力部から前記信号入力部に前記検査信号を供給する検査時に、前記信号出力部に接続された前記バッファー及び前記信号入力部に接続された前記バッファーの各々の出力端がハイインピーダンスに設定されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
請求項8または9のいずれかにおいて、
前記記憶部の情報に基づいて異常か否かを判定する判定部と、
前記判定部にて以上と判断されたときに、異常処理を実行する異常処理部と、
をさらに有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の電気光学装置を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項12】
請求項11おいて、
前記検査時は、バワーオンリセット信号に基づいて設定されることを特徴とする電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−159701(P2012−159701A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19519(P2011−19519)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】