説明

電気化学セルおよびその製造方法

【課題】電気化学セルの形状自由度を高め、小型・薄型化を容易とするとともに高容量を実現し、部品数および工数を減らして安価とする電気化学セルの提供。
【解決手段】樹脂材料からなり箱状に形成されたベース部材11と、金属材料からなり箱状のベース部材11の底部内側から外側に貫通固定される第1の集電端子15および箱状ベース部材11の側部内側から外側に貫通固定される第2の集電端子16と、ベース部材に溶着される樹脂材料からなるカバー部材13で電気化学セルを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非水電解質電池および電気二重層原理を利用した電気二重層キャパシタ等の電気化学セルおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非水電解質電池および電気二重層キャパシタ等の電気化学セルは、時計機能のバックアップ電源や半導体メモリのバックアップ電源、マイクロコンピュータやICメモリ等の電子装置の予備電源、ソーラ時計の電池、モータ駆動用の電源などとして使用されている。近年の電気化学セルは、半導体メモリの不揮発化、時計機能素子の低消費電力化により、容量、電流ともにそれほど大きなものの必要性が減ってきている。むしろ、電気化学セルのニーズとしては、ICや水晶、SAWデバイス等とともに高密度実装が要求され、小型・薄型化構造が求められている。
【0003】
従来、非水電解質電池および電気二重層キャパシタ等の電気化学セルは、コインやボタンのような形状の金属ケースでパッケージングされていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
図8に、従来の電気化学セルを説明する断面図を示す。電極としての正極活物質601、負極活物質603とセパレータ602を収納するための上端面側が円形に開口したステンレスの正極ケース61と、絶縁性の樹脂からなる円形のガスケット62を介して正極ケース61と勘合する円形の負極ケース63で構成されている。また、表面実装を必要とする場合は、正極ケース61に溶接される正極端子65aと、負極ケース63に溶接される負極端子65bとを有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−190427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上に述べた従来の非水電解質電池および電気二重層キャパシタ等の電気化学セルは、円形に開口した正極ケース61と円形の負極ケース63で円環状のガスケット62を押しつぶすことでカシメる封止構造がおこなわれていた。電気化学セルの封止性を確保するためには、コインやボタンのような形状であった。ところが、実装基板に配置されるICや水晶、SAWデバイスなどのパッケージは角型であるため、コイン型の電気化学セルを配置すると隙間が生じる。この隙間を有効に使えば、電気化学セルの蓄積容量は2割強の増加が見込める。また、正極ケース61は金属材料で成形されているが、負極端子65bと正極ケース61とは接触すると短絡してしまうため、隙間を確保しなければならない。すなわち、図8に示すように負極端子65bは正極ケース61の外径よりも外側に張り出す必要があり、実装基板上の占有スペースがさらに増えてしまうこととなった。したがって、実装基板上に配置した際、デッドスペースが生じて占有面積が増え、実装基板上の単位面積あたりの容量を高めることは困難であった。また、正極ケース61および負極ケース63に正極端子65aや負極端子65bを取り付ける場合、図12に示すようにそれぞれの部品を重ね合わせて溶接するため、電気化学セルの総厚が増してしまい薄型化が困難となるとともに、正極・負極端子を取り付けるための工数も増えて高価なものとなっていた。
【0007】
本発明は、電気化学セルの形状自由度を高め、小型・薄型化を容易とするとともに高容量を実現し、部品数および工数を減らして安価とすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、本発明は上記目的を達成するために、正極活物質と負極活物質からなる一対の電極と、一対の電極を分離するセパレータと、電解質と、前記一対の電極と電解質とを収納する箱状ベース部と、箱状ベース部を封止するカバー部とからなる電気化学セルであって、箱状ベース部と前記カバー部は、それぞれ樹脂材料からなり、一対の電極のうち一方の電極は、他方の電極より小さく、かつ箱状ベース部の底部内側から外側に貫通した第1の集電端子と接続され、一対の電極のうち他方の電極は、箱状ベース部の側部内側から外側に貫通した第2の集電端子と接続されたことを特徴とするものである。
【0009】
また、箱状ベース部は、側部内側に段差を有し、段差は、第2の集電端子と箱状ベース部の底部との間にあり、第2の集電端子は、段差の上に配置されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、カバー部と箱状ベース部は、溶着により封止されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、箱状ベース部とカバー部の樹脂材料は、熱可塑性樹脂ポリイミド系、ポリスチレン系、ポリフェニレンサルファイド系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエーテル系の何れかからなることを特徴とするものである。
【0012】
また、カバー部は、電解液を注入可能な注入口が設けられ、注入口は、栓部により封止されていることを特徴とするものである。
【0013】
また、第1の集電端子と第2の集電端子が、ステンレス、アルミニウム、またはアルミニウム合金のいずれかからなることを特徴とする。
【0014】
また、第1の集電端子の一部と第2の集電端子の一部が、箱状ベース部の底部外側と同一平面上に位置することを特徴とするものである。
【0015】
また、第1の集電端子は、箱状ベース部の底部内側から外側に貫通するように成形型に配置し、第2の集電体端子は、箱状ベース部の側部内側から外側に貫通するように成形型に配置する工程と、成形型内に樹脂材料を注入して箱状ベース部を成形する工程と、第1の集電端子に正極活物質と負極活物質からなる一対の電極の一方の他方の電極より小さい電極を接続する工程と、第2の集電端子に正極活物質と負極活物質からなる一対の電極の他方の電極を接続する工程と、一対の電極を分離するセパレータと電解質とを箱状ベース部に収納する工程と、箱状ベース部にカバー部を載置し、レーザー溶着または超音波溶着で封止する工程と、を有するものである。
【0016】
また、第1の集電端子と前記第2の集電端子が、フープに形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
上記の課題解決手段による作用は次の通りである。すなわち、一対の電極とセパレータと電解質とをベース部材の凹部に収納し、カバー部材と枠部材を重ね合わせて接合することで、任意の形状および封止構造をもつ電気化学セルが実現する。
【0018】
また、正極と負極は第1の集電端子と第2の集電端子で実装基板に接続される。電気化学セルの構成としては、ベース部材が第1の集電端子と第2の集電端子とを絶縁する。したがって、ベース部材の下端面に第1の集電端子と第2の集電端子とを配置することが可能となり、実装基板上のデッドスペースは極力小さくでき、高容量となる。
【0019】
また、枠接続端子は、枠部材、もしくは、カバー部材から延出する構造としたため、電気化学セルの総厚が増すことなく薄型化される。正極・負極端子を取り付けるための工数も不要となる。
【発明の効果】
【0020】
上述したように本発明は、電気化学セルの形状自由度を高め、小型・薄型化を容易とするとともに、高容量を実現し、部品数および工数を減らして安価とするという効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の電気化学セルの構成図である。
【図2】本発明の電気化学セルの外観図である。
【図3】本発明の電気化学セルの断面図である。
【図4】本発明の電気化学セルの外観図である。
【図5】本発明の電気化学セルの断面図である。
【図6】本発明の電気化学セルの製造方法を説明するフロー図である。
【図7】本発明の電気化学セルの製造方法を説明する外観図である。
【図8】従来の電気化学セルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図1〜7に基づいて説明する。
【0023】
図1および図2、図3においては、11は凹部11aを有する箱状に形成された樹脂材料からなるベース部材で、ベース部材11の凹部11aの内側から外側に、ベース部材11の壁面を貫通する第1の集電端子15および第2の集電端子16で容器を構成する。また、正極活物質101と第1の集電端子15とは導電性接着剤で貼りあわせ、凹部11aに正極活物質101と重ねあわせてセパレータ102を収納し、負極活物質102と第2の集電端子16とは導電接着剤で張り合わせ、図示しない電解質を収納する。また、ベース部材11とカバー部材13とを重ね合わせて溶着する。また、第1の集電端子15および第2の集電端子16にはステンレス、もしくは、アルミニウムが用いられる。
【0024】
ここで、集電端子の構成としては、第2の集電端子をカバー部材に置く構成も用いられる。
【0025】
また、集電端子の材質としては、ステンレスであれば19Cr−9Ni鋼、18Cr−12Ni−Mo−Cu鋼など、アルミニウム、アルミニウム合金などから、プレス性や切削性に適合する金属が用いられる。また、第1の集電端子をステンレスとし第2の集電端子をアルミニウム、アルミニウム合金とする構成及び逆の組み合わせの構成も用いられる。また、カバー部材とベース部材とを溶着する方法としては、YAGレーザ、半導体レーザなどの光吸収を用いる方法、カバー部材に超音波振動子を押し当ててベース部材との間を擦り合わせ、摩擦熱を用いる方法が用いられる。
【0026】
また、ベース部材の材料は絶縁性の樹脂で、ポリスチレン系、ポリフェニレンサルファイド系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエーテル系の熱可塑樹脂が、溶着性、剛性、耐熱性の面から適している。ここで、ポリスチレン系としてはシンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド系としてはリニア型および架橋型ポリフェニレンサルファイド、ポリエステル系としては液晶ポリマーの呼称の全芳香族ポリエステル、ポリアミド系としてはナイロン、ポリエーテル系としてはポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、などが選択される。また、これら樹脂にガラス繊維、マイカ、セラミックス微粉等を添加したものも用いられる。
【0027】
また、ベース部材と第1の集電端子および第2の集電端子で構成される容器に収納する電気化学セルの発電要素としては、非水電解質電池であれば、正極活物質にリチウム含有マンガン酸化物、リチウム含有コバルト酸化物、リチウム含有チタン酸化物、負極活物質に炭素、リチウム合金、遷移金属酸化物、シリコン酸化物など従来から知られているものを用いることが出来る。電気二重層キャパシタでは正極及び負極活物質に活性炭を用いることができる。
【0028】
また、セパレータとしては、大きなイオン透過度を有し、所定の機械的強度を有する絶縁膜が用いられ、ガラス繊維が安定して用いることができるが、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミドなどの樹脂を用いることもできる。セパレータの孔径、厚みは特に限定されないが、使用機器の電流値と電気化学セルの内部抵抗にもとづき決定する設計的事項である。また、セラミックスの多孔質体を用いることもできる。
【0029】
電解液の溶媒としては、電気二重層キャパシタや非水二次電池を例とすると、従来の非水溶媒が用いられる。この非水溶媒には、環状エステル類、鎖状エステル類、環状エーテル類、鎖状エーテル類、等が含まれる。リフロー実装を考慮すると、γ―ブチロラクトン(γBL)やプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、等から選ばれる単独または複合物で用いることができる。
【0030】
電解質としては、(C254PBF4、(C374PBF4、(CH3)(C253NBF4、(C254NBF4、(C254PPF6、(C254PCF3SO4、(C254NPF6、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO22]、チオシアン塩、アルミニウムフッ化塩などのリチウム塩、 等の一種以上の塩を用いることができる。ポリエチレンオキサイド誘導体かポリエチレンオキサイド誘導体を含むポリマー、ポリプロピレンオキサイド誘導体やポリプロピレンオキサイド誘導体を含むポリマー、リン酸エステルポリマー、PVDF等と非水溶媒、支持塩と併用しゲル状または固体状で用いることが含まれる。また、LiS/SiS2/Li4SiO4の無機固体電解質を用いることが含まれる。またピリジン系や脂環式アミン系、脂肪族アミン系のイオン性液体やアミジン系などの常温溶融塩でもよい。
【0031】
本発明の実施の形態では、ベース部材11と第1の集電端子15および第2の集電端子16との接合部は形状によらず密着し、また、ベース部材11とカバー部材13とは樹脂溶着による封止性が得られるため、形状の制約はない。すなわち、ベース部材11が角箱型の収納容器であっても、外部からの湿度の浸入を防ぐとともに、電気化学セルの特性を維持することができる。
【0032】
実施例では、平面実装型の実装例について述べるが、スルーホールに挿入して実装する挿入型の実装、ホルダーを用いた接触による実装形態においても構成が可能である。
【実施例1】
【0033】
図1に本発明の電気化学セルの構成図を示す。また、図2に本発明の電気化学セルの外観図を示す。また、図3に本発明の電気化学セルの断面図を示す。
【0034】
本実施例では、ベース部材11はポリフェニレンサルファイドを、第1の集電端子15および第2の集電端子16はステンレスの18Cr−12Ni−Mo−Cu鋼を用いた。また、第1の集電端子15がベース部材11の外壁に延出する部位と、第2の集電端子16がベース部材11の外壁に延出する部位とが同一平面上に位置する構成とした。また、第1の集電端子15および第2の集電端子16がベース部材11の外壁に延出する部位には、実装基板とはんだ接合を容易とするために錫めっきを施した。また、活物質は市販の活性炭に導電剤としてのカーボンブラックと、バインダーとしてPTFEを混練して作製した。混練物をロールプレスで圧延してシート状にし、切断して正極活物質101と負極活物質103とした。電解質は(C254NBF4を、PCに溶かしたものを用いた。ここで、電気化学セルの組立方法としては、ベース部材成形型内に第1の集電端子15および第2の集電端子16を配置し、ポリフェニレンサルファイド樹脂を注入して凹部11aを有する箱状のベース部材11を成形する。第1の集電端子15と正極活物質101とを接着したのち、凹部11aにセパレータ102を収め、凹部11aに負極活物質103を収め第2の集電端子と接着し、凹部11aに電解質を注入した。次にベース部材11とカバー部材13とを重ねあわせ、摩擦加熱工法の超音波溶着をおこなった。
【0035】
電気化学セルの封止性を評価するため、フッ素系液体に浸漬してリークテストをおこなったところ、10-5atm・cc/sec以上の封止性を有していることを確認した。また、この電気化学セルを、予備加熱が140℃・1分、本加熱が220℃以上の時間が20秒でピーク温度が240℃のリフロー炉を通してはんだ付けをおこない、はんだ付け前と後での特性に変化がないことを確認した。
【実施例2】
【0036】
図4に本発明の電気化学セルの外観図を示す。また、図5に本発明の電気化学セルの断面図を示す。
【0037】
ベース部材31はポリフェニレンサルファイドを、第1の集電端子35および第2の集電端子36はステンレスの18Cr−12Ni−Mo−Cu鋼を用いた。また、第1の集電端子15がベース部材11の外壁に延出する部位と、第2の集電端子16がベース部材11の外壁に延出する部位とが同一平面上に位置する構成とした。また、第1の集電端子35および第2の集電端子36がベース部材31の外壁に延出する部位には、実装基板とはんだ接合を容易とするために錫めっきを施した。また、カバー部材33に注入口33aを設置し、カバー部材33をベース部材31に溶着したのちに電解質を注入し栓部材37により封止する構成とした。また、活物質は市販の活性炭に導電剤としてのカーボンブラックと、バインダーとしてPTFEを混練して作製した。混練物をロールプレスで圧延してシート状にし、切断して正極活物質301と負極活物質303とした。電解質は(C254NBF4を、PCに溶かしたものを用いた。ここで、電気化学セルの組立方法としては、ベース部材成形型内に第1の集電端子35および第2の集電端子36を配置し、ポリフェニレンサルファイド樹脂を注入して凹部31aを有する箱状のベース部材31を成形する。第1の集電端子35と正極活物質301とを接着したのち、凹部31aにセパレータ302を収め、第2の集電端子36と負極活物質303とを接着した。次にベース部材31とカバー部材33とを重ねあわせ、摩擦加熱工法の超音波溶着をおこなったのち、電解質を注入口33aから注入し、注入口33aと栓部材37を勘合し、栓部材38を加熱溶着により封止をおこなった。
【0038】
電気化学セルの封止性を評価するため、フッ素系液体に浸漬してリークテストをおこなったところ、10-5atm・cc/sec以上の封止性を有していることを確認した。また、この電気化学セルを、予備加熱が140℃・1分、本加熱が220℃以上の時間が20秒でピーク温度が240℃のリフロー炉を通してはんだ付けをおこない、はんだ付け前と後での特性に変化がないことを確認した。
【実施例3】
【0039】
図6に本発明の電気化学セルの製造方法を説明するフロー図を示す。また、図7に本発明の電気化学セルの製造方法を説明する外観図を示す。
【0040】
フープに形成した第1の集電端子55および第2の集電端子56をベース部材成形型内に配置する(工程301)。次に、ベース部材成形型内に樹脂材料を注入して凹部51aを有する箱状にベース部材51を成形するとともに、第1の集電端子55および第2の集電端子56容器として組み立てる(工程302)。次に、一対の電極とセパレータと電解質とをベース部材の凹部51aに収納する(工程303)。ベース部材51と図示しないカバー部材を重ね合わせて溶着する(工程304)。
【0041】
ここで、第1の集電端子55および第2の集電端子56にはステンレスの18Cr−12Ni−Mo−Cu鋼の薄板を用いてプレス加工を行い、フープを作製した。プレス加工では、各工程においてワークの位置決めにも用いる送り穴59の加工と、第1の集電端子55および第2の集電端子56を保持するためのブリッジ58を残した窓抜き加工をおこなった。また、ベース部材51の樹脂材料はポリフェニレンサルファイドを用いた。熱可塑性樹脂のポリフェニレンサルファイドは、ベース部材成形型を用い射出成形した。この際、ベース部材成形型内に配置した第1の集電端子55および第2の集電端子56はベース部材51のポリフェニレンサルファイドに密着するとともに、所望の形状に成形が可能である。また、カバー部材の樹脂材料はポリフェニレンサルファイドを用いた。熱可塑性樹脂のポリフェニレンサルファイドは、カバー部材成形型を用い射出成形した。
【0042】
ベース部材51とカバー部材の接合には、超音波溶着を用い、具体的には、超音波振動体をカバー部材に均等に押し当てて振動させた。ベース部材51とカバー部材の接触面の樹脂が摩擦により発熱し溶融する。超音波振動を停止することにより溶融樹脂が冷却され固化するとともにベース部材51とカバー部材が接合する。
【0043】
この溶着の後、枠部材52とつながるブリッジ58をフープから切り離し、電気化学セルを作製した。 電気化学セルの封止性を評価するため、フッ素系液体に浸漬してリークテストをおこなったところ、10-5atm・cc/sec以上の封止性を有していることを確認した。また、この電気化学セルを、予備加熱が140℃・1分、本加熱が220℃以上の時間が20秒でピーク温度が240℃のリフロー炉を通してはんだ付けをおこない、はんだ付け前と後での特性に変化がないことを確認した。
【符号の説明】
【0044】
11、31、51 ベース部材
12,32、52 枠部材
13、33 カバー部材
15,35,55 第1の集電端子
16,36,56 第2の集電端子
61 正極缶
62 ガスケット
63 負極缶
65a 正極端子
65b 負極端子
601 正極
602 セパレータ
603 負極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質と負極活物質からなる一対の電極と、前記一対の電極を分離するセパレータと、電解質と、前記一対の電極と前記電解質とを収納する箱状ベース部と、前記箱状ベース部を封止するカバー部とからなる電気化学セルであって、
前記箱状ベース部と前記カバー部は、それぞれ樹脂材料からなり、
前記一対の電極のうち一方の電極は、他方の電極より小さく、かつ箱状ベース部の底部内側から外側に貫通した第1の集電端子と接続され、
前記一対の電極のうち他方の電極は、箱状ベース部の側部内側から外側に貫通した第2の集電端子と接続されたことを特徴とする電気化学セル。
【請求項2】
前記箱状ベース部は、側部内側に段差を有し、
前記段差は、前記第2の集電端子と前記箱状ベース部の底部との間にあり、
前記第2の集電端子は、前記段差の上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学セル。
【請求項3】
前記カバー部と前記箱状ベース部は、溶着により封止されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電気化学セル。
【請求項4】
前記箱状ベース部と前記カバー部の樹脂材料は、熱可塑性樹脂ポリイミド系、ポリスチレン系、ポリフェニレンサルファイド系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリエーテル系の何れかからなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項5】
前記カバー部は、前記電解液を注入可能な注入口が設けられ、
前記注入口は、栓部により封止されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項6】
前記第1の集電端子と前記第2の集電端子が、ステンレス、アルミニウム、またはアルミニウム合金のいずれかからなることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電気化学セル。
【請求項7】
前記第1の集電端子の一部と前記第2の集電端子の一部が、箱状ベース部の底部外側と同一平面上に位置することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電気化学セル。
【請求項8】
第1の集電端子は、箱状ベース部の底部内側から外側に貫通するように成形型に配置し、第2の集電体端子は、前記箱状ベース部の側部内側から外側に貫通するように前記成形型に配置する工程と、
前記成形型内に樹脂材料を注入して前記箱状ベース部を成形する工程と、
前記第1の集電端子に正極活物質と負極活物質からなる一対の電極の一方が他方の電極より小さい電極を接続する工程と、
前記第2の集電端子に正極活物質と負極活物質からなる一対の電極の他方の電極を接続する工程と、
前記一対の電極を分離するセパレータと電解質とを前記箱状ベース部に収納する工程と、
前記箱状ベース部にカバー部を載置し、レーザー溶着または超音波溶着で封止する工程と、を有する電気化学セルの製造方法。
【請求項9】
前記第1の集電端子と前記第2の集電端子が、フープに形成されていることを特徴とする請求項8に記載の電気化学セルの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−109250(P2012−109250A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−277112(P2011−277112)
【出願日】平成23年12月19日(2011.12.19)
【分割の表示】特願2004−273699(P2004−273699)の分割
【原出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】