説明

電気接続部材、IC検査用ソケット

【課題】 安定した電気接続が可能で、リードを傷つけずに検査が可能であり、かつ高温ファンクションテスト時の熱の逃げを最小限にすることができる電気接続部材を提供する。
【解決手段】 電気接続部材1aは、基材30を有し、基材30の一端の両面には、弾性体31が設けられている。
弾性体31の周囲には絶縁シート33が巻きつけられており、絶縁シート33の外側の面には、導電パターン35が設けられている。
導電パターン35には、欠損部としてのスリット41が複数設けられている。
なお、スリット41は、導電パターン35において、少なくともリード15と接触する部分に設けられる。
このような構造にすることにより、リード15と導電パターンを接触させた際の接触面積が従来よりも小さくなり、高温ファンクションテストにおける熱の逃げを小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続部材および電気接続部材を有するIC検査用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
IC等の電子デバイスは、コンピュータ等の情報機器に広く用いられている。
【0003】
ここで、ICは出荷前に所望の特性を有しているか否かの検査を行う場合が多い。
【0004】
検査には種々の検査があるが、その1つとして、高温ファンクションテストがある。
【0005】
高温ファンクションテストは、ICを所定の温度に加熱した状態で動作確認を行う試験であり、ICを検査用ソケットに挿入して検査装置と電気的に接続し、ICを加熱した状態で検査装置からICに、検査用の信号や電流を付加することにより行う。
【0006】
ここで、検査の際には、検査用ソケットのコンタクト(電気接続部材)とICのリードを接触させて電気的に接続する必要がある。
【0007】
電気接続部材としては、例えばピン状の金属からなるのもの(特許文献1、2)、エラストマシートに電極を埋め込んだもの(特許文献3、4)がある。
【0008】
一方、電気接続部材の構造は、リードと安定した電気接続が可能で、かつリードとの接触の際にリードを傷つけないような構造である必要がある。
【0009】
しかし、特許文献1、2の構造では、リードを傷つける恐れがあり、また、特許文献3、4のような構造では、安定した電気接続が困難な場合がある。
【0010】
そこで、電気接続部材として、弾性体に導電パターンを巻き付けた構造が提案されている。
【0011】
例えば特許文献5の図1には、表面に導電パターンとしての金属薄膜を形成した絶縁シートを、弾性材に巻きつけることにより形成された粘着式コネクタ(電気接続部材)が記載されている(特許文献5)。
【0012】
このような構造にすることにより、リードと電気接続部材が接触すると、弾性体がリードの形状に対応して弾性変形し、導電パターンも弾性体の変形に追従して変形する。
【0013】
そのため、特許文献1〜4と比べると、より小さい接触荷重で、より大きな接触面積を得ることができ、安定した電気接続が可能で、かつリードを傷つけずに検査が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平11−339916号公報
【特許文献2】特開平8−8017号公報
【特許文献3】特開2005−300279号公報
【特許文献4】特開2004−171905号公報
【特許文献5】特許3909771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献5のような構造は、安定した電気接続が可能で、かつリードを傷つけずに検査が可能であるという点で有用な構造である。
【0016】
しかしながら、上記構造では、従来の構造よりも接触面積が増大することにより、リードとコンタクトの間の接触熱抵抗が小さくなるため、高温ファンクションテストにおいて、ICに加えられた熱が、コンタクトを通して外部に逃げやすくなる。
【0017】
そのためテスト中にICを所定の温度に保つためには、より構造を工夫する必要があった。
【0018】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、安定した電気接続が可能で、リードを傷つけずに検査が可能であり、かつ高温ファンクションテスト時の熱の逃げを最小限にすることができる電気接続部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前述した目的を達成するために、第1の発明は、2つの接続対象物を電気的に接続する電気接続部材であって、弾性体と、前記弾性体に巻きつけられた絶縁シートと、前記絶縁シートの外側の面に設けられ、前記2つの接続対象物間を接続する導電パターンと、を有し、前記導電パターンには、欠損部が設けられていることを特徴とする電気接続部材である。
【0020】
前記欠損部は、前記導電パターンの表面の、前記2つの接続対象物のうち、少なくとも1つの接続対象物と接触する接触部分に設けられている。
【0021】
前記欠損部は、穴部またはスリットである。
【0022】
第2の発明は、2つの接続対象物を電気的に接続する電気接続部材であって、弾性体と、前記弾性体に巻きつけられた絶縁シートと、前記絶縁シートに設けられ、前記2つの接続対象物間を接続する導電パターンと、を有し、前記導電パターンは、前記絶縁シートの外側の面に設けられ、前記2つの接続対象物にそれぞれ接触される2つの接触部分と、前記絶縁シートの内側の面に設けられ、前記2つの接触部分の間を連結する連結部分と、からなることを特徴とする電気接続部材である。
【0023】
第3の発明は、第1の発明または第2の発明記載の電気接続部材を有することを特徴とするIC検査用ソケットである。
【0024】
第1の発明では、電気接続部材が前記弾性体に巻きつけられた絶縁シートと、絶縁シートの外側の面に設けられた導電パターンを有しており、導電パターンには、接続対象物との接触部分に欠損部が設けられている。
【0025】
そのため、接続対象物(リード)と導電パターンが接触したときの接触面積が従来よりも小さくなり、高温ファンクションテスト時に、接続対象物に加えられた熱が電気接続部材を通して逃げる熱量が少なくなる。
【0026】
第2の発明では、電気接続部材が弾性体に巻きつけられた絶縁シートと、絶縁シートに設けられた導電パターンを有しており、導電パターンは、接続対象物との接触部分が絶縁シートの外側の面に、接触部分間を連結する連結部分が絶縁シートの内側の面にそれぞれ設けられている。
【0027】
そのため、絶縁シートの外側の面には、接続対象物との接触に必要な最小限の面積の導電パターンを設ければよく、接続対象物(リード)と導電パターンが接触したときの接触面積が従来よりも小さくなり、高温ファンクションテスト時に、電気接続部材を通して逃げる熱量が少なくなる。
【0028】
第3の発明では、IC検査用ソケットの電気接続部材に、第1の発明または第2の発明の電気接続部材が用いられている。
【0029】
そのため、IC検査用ソケットを用いた高温ファンクションテスト時に、電気接続部材を通して逃げる熱量が少なくなる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、安定した電気接続が可能で、リードを傷つけずに検査が可能であり、かつ高温ファンクションテスト時の熱の逃げを最小限にすることができる電気接続部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】IC検査用ソケット3を示す分解斜視図である。
【図2】図1のソケット7を裏返した状態を示す斜視図である。
【図3】図1の領域Bの拡大図である。
【図4】図1において、IC検査用ソケット3の構成部材を組み合わせた状態でのC−C断面図である。
【図5】図4の領域Dの拡大図である。
【図6】電気接続部材1aを示す斜視図である。
【図7】図6のE方向矢視図である。
【図8】図6の電気接続部材1aの端部の拡大図である。
【図9】図9(a)は、図6のF方向矢視図であって、図9(b)は図9(a)のF2−F2断面図の一部である。
【図10】導電パターン35の変形例を示す図である。
【図11】電気接続部材51aの側面図である。
【図12】図12(a)は、図11のG方向矢視図であって、図12(b)は図12(a)のH−H断面図の一部である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面に基づいて本発明に好適な実施形態を詳細に説明する。
【0033】
まず、図1を参照して、本実施形態に係る電気接続部材1a、1b、1c、1dを備えたIC検査用ソケット3の概略構成を説明する。
【0034】
ここでは、IC検査用ソケット3として、高温ファンクションテスト用のIC検査用ソケットが例示されている。
【0035】
図1に示すように、IC検査用ソケット3は、基板5、ソケット7、プッシャーガイド9、プッシャー11を有している。
【0036】
図1に示すように、IC検査用ソケット3は、土台となる基板5を有している。
【0037】
基板5上にはテストの際にIC13が挿入されるソケット7が設けられている。
【0038】
ソケット7はプラスチック等の絶縁体で形成される。
【0039】
また、ソケット7と対向するようにして、テストの際にIC13を加熱し、またIC13のリード15を押圧するプッシャー11が設けられている。
【0040】
プッシャー11はプラスチック等の絶縁体で形成される。
【0041】
また、ソケット7とプッシャー11の間には、後述するソケット7の高さ寸法10aと、プッシャー11のガイド溝深さ10bが適切な関係にない場合には、プッシャーガイド9が設けられる。
【0042】
プッシャーガイド9はプラスチック等の絶縁体で形成される。
【0043】
次に、図1〜図5を参照して、ソケット7、プッシャー11、プッシャーガイド9の構造について、詳細に説明する。
【0044】
まず、ソケット7の構造について説明する。
【0045】
図1に示すように、ソケット7は上面に、IC13が挿入される凹部17が設けられている。
【0046】
また図2に示すように、ソケット7の底面には、溝部19a、19b、19c、19dが設けられ、溝部19a、19b、19c、19dには接続対象物たるIC13のリード15と基板5の接続パッド(図示せず)に接触し、これらの間を接続する電気接続部材1a、1b、1c、1dが設けられている。
【0047】
なお、図3に示すように、溝部19a、19dは、その一部が凹部17側(ソケット7の上面側)に貫通して設けられており、貫通した部分は開口部21a、21dを形成している。
【0048】
凹部17内の開口部21a、21dの周囲には、IC13を挿入する際の位置決めに用いられる位置決め片23が複数個設けられている。
【0049】
なお、溝部19b、19cおよび周囲の構造も溝部19a、19dと同様である。
【0050】
次に、プッシャー11の構造について説明する。
【0051】
図1、図4および図5に示すように、プッシャー11は板状の本体25を有し、本体25の底面には、IC13を加熱するためのヒータ27が設けられている。
【0052】
また、本体25の底面の、ヒータ27の周囲には、IC13のリード15を押圧するためのリード押さえ片29が設けられている。
【0053】
さらに、本体25の側面には、ソケット7またはプッシャーガイド9と接触するフランジ25aが設けられている。
【0054】
次に、電気接続部材1aの構造について、図6〜図10を参照して説明する。
【0055】
なお、電気接続部材1b、1c、1dの構造は、電気接続部材1aの構造と同様であるため、説明を省略する。
【0056】
図6〜図8に示すように、電気接続部材1aは、骨組となる板状の基材30を有し、
基材30の一方の側の両面には、シリコンゴムやゲル等の弾性材料からなる弾性体31が設けられている。
【0057】
弾性体31の周囲にはポリイミドやポリアミド等の絶縁性材料からなる絶縁シート33の中間部が巻きつけられている。
【0058】
また、絶縁シート33の外側の面には、金属薄膜からなる導電パターン35が設けられている。
【0059】
導電パターン35は、弾性体31の上側および下側の絶縁シート33上に位置する接触部分35a、35bと、絶縁シート33の弾性体巻き付け部分に位置し、接触部分35a、35b間を連結する連結部分35cからなる。後述するように、接触部分35aは、接続対象物の1つとしてのIC13のリード15と接続される。また、接触部分35bは、接続対象物の1つとしての基板5の接続パッド(図示せず)に接続される。
【0060】
図9に示すように、導電パターン35には、欠損部としてのスリット41が複数設けられている。
【0061】
なお、スリット41は、導電パターン35において、少なくとも接続対象物としてのIC13のリード15と接触する接触部分35aに設けられる。
【0062】
詳細は後述するが、導電パターン35にスリット41を設けることにより、導電パターン35の表面とリード15が接触した際に、スリット41を設けない場合と比べて、導電パターン35とリード15の接触面積を小さくし、IC13に加えられた熱の逃げを小さくすることができる。
【0063】
なお、図9では欠損部の形状をスリット41のように、導電パターン35の長手方向に沿ったスリット状としているが、欠損部を設けない場合と比べて、リード15との接触の際の接触面積を小さくできる形状であれば、上記の形状に限定されるものではない。
【0064】
例えば図10(a)に示すスリット41aのように、導電パターン35の長手方向と交差するようなスリット形状でもよいし、図10(b)に示す穴部41bのように、穴状の形状としてもよい。
【0065】
一方、図7に示すように、絶縁シート33の一端は両面粘着シート37aと両面粘着シート37bに挟みこまれて固定され、他の端部は両面粘着シート37cと片面粘着シート39に挟み込まれて固定されている。
【0066】
そして、両面粘着シート37bと両面粘着シート37cを基材30の他側の両面に貼着することにより、絶縁シート33を基材30に固定している。
【0067】
以上のように構成した電気接続部材1aは、両面粘着シート37aの、絶縁シート33と接触している面と反対側の面をソケット7の溝部19aに貼り付けることにより、ソケット7に固定される。この時、絶縁シート33の弾性体31への巻き付け部分は、開口部21a内に収納され、導電パターン35のリード15との接触部分35aは凹部17内に突出し、基板5の接続パッドとの接触部分35bはソケット7の底面から突出している。
【0068】
同様にして、電気接続部材1b、1c、1dも溝部19b、19c、19dに固定されている。
【0069】
プッシャーガイド9は、ソケット7の凹部17と略同じ大きさの穴を有する枠状をなしている。
【0070】
次に、IC検査用ソケット3を用いてIC13に対して高温ファンクションテストを行う際の手順について図1、図4および図5を参照して説明する。
【0071】
まず、基板5上の所定位置にソケット7、プッシャーガイド9を重ね合わせ、これらの四隅に貫通形成した穴9a、7a(基板の穴は図示しない)にねじ(図示しない)を通し、締め付け固定する。このとき、導電パターン35の接触部分35bは基板5の接続パッド(図示しない)に弾性的に接触する。基板5の接続パッドは配線パターンを介して図示しない検査装置に接続される。
【0072】
このようにして基板5上に取り付けたソケット7の凹部17に、被検査体としてのIC13を挿入する。
【0073】
この際、位置決め片23をガイドにして、リード15が電気接続部材1a、1b、1c、1dの導電パターン35の接触部分35aと接触するようにする。
【0074】
次に、図示しないアクチュエータを用いてプッシャー11を図4のA1の向きに移動させ、IC13の上面をヒータ27と接触させる。
【0075】
また、図5に示すように、リード押さえ片29をリード15と接触させ、リード15を導電パターン35の接触部分35aに押圧させる。
【0076】
ここで、図4に示すように、ソケット7の高さである高さ寸法10aと、プッシャー11のフランジ25aの底面からリード押さえ片29の端部までの距離であるガイド溝深さ10bは、リード押さえ片29によるリード15の導電パターン35の接触部分35aに対する適切な押圧力が得られるような関係である必要がある。
【0077】
具体的には、プッシャー11のガイド溝深さ10bと電気接続部材1a、1b、1c、1dの高さを足した高さが、ソケット7の高さ寸法10aよりも若干大きい程度の関係が望ましい。
【0078】
このような関係とすることにより、ソケット7と、プッシャー11を組み合わせた際に、リード15の、導電パターン35の接触部分35aに対する適切な押圧(接触)力が得られる。
【0079】
もし、適切な押圧(接触)力が得られない関係である場合は、ソケット7とプッシャー11の間にプッシャーガイド9を挟み込む。
【0080】
適切な押圧(接触)力が得られるような関係である場合は、プッシャーガイド9は不要である。
【0081】
即ち、ソケット7をある特定のIC専用のソケットとして設計した時は、プッシャーガイド9は不要である。
【0082】
ここではソケット7を標準化しており、プッシャーガイド9を交換するだけで、高さやリード長さの異なる様々なICに適用可能に構成している。
【0083】
この状態では、IC13は電気接続部材1a、1b、1c、1d、基板5を介して図示しない検査装置と電気的に接続されている。
【0084】
ここで、電気接続部材1a、1b、1c、1dの弾性体31はリード15に押圧されており、リード15の形状に応じた形状に変形している。
【0085】
また、導電パターン35も弾性体31の変形に追従してリード15の形状に応じた形状に変形している。
【0086】
そのため、電気接続部材1a、1b、1c、1dはピンやエラストマシートを用いた構造よりも小さい接触荷重で、大きな接触面積を得ることができ、安定した電気接続が可能で、かつリード15を傷つける恐れもない。
【0087】
次に、図示しない電源に接続されたヒータ27を作動させ、IC13を所定の温度、例えば120〜130℃程度に加熱する。
【0088】
次に、図示しない検査装置を用いて、IC13に、基板5、電気接続部材1a、1b、1c、1dを介して電気信号や電流を加えて、動作の確認試験を行う。
【0089】
ここで、高温ファンクションテスト中のIC検査用ソケット3内において、最も温度が高い部分は、ヒータ27およびヒータ27に加熱されたIC13である。
【0090】
一方、最も温度が低い部分は、土台となる基板5である。
【0091】
そのため、ヒータ27によってIC13に加えられた熱は、基板5との温度勾配により、基板5側に逃げようとする。
【0092】
この際、熱の逃げる経路としては2つの経路がある。
【0093】
1つは図5のB1経路のような、リード15→リード押さえ片29(プッシャー11)→プッシャーガイド9→ソケット7→基板5、という経路である。
【0094】
もう1つは、図5のC1経路のような、リード15→電気接続部材1a、1b、1c、1d(導電パターン35)→基板5、という経路である。
【0095】
B1経路とC1経路を比較すると、B1経路は、経路を構成するリード押さえ片29(プッシャー11)、プッシャーガイド9、ソケット7がプラスチック等の絶縁体で形成されているが、C1経路は、経路を構成する導電パターン35が金属で形成されている。
【0096】
プラスチックは金属と比べて熱伝導率が低いため、C1経路のほうが、B1経路よりも熱が通りやすい。
【0097】
そのため、ヒータ27によってIC13に加えられた熱は主として、B1経路よりも熱が通りやすいC1経路を介して基板5に逃げることになる。
【0098】
しかし、前述のように、電気接続部材1aの導電パターン35には、欠損部としてのスリット41が複数設けられている。
【0099】
そのため、電気接続部材1aは、欠損部を有さない従来の電気接続部材と比べてリード15と導電パターン35の接触面積が小さくなり、熱の逃げを小さくすることができる。
【0100】
即ち、IC検査用ソケット3は従来よりも高温ファンクションテスト中に温度を一定に保ちやすい。
【0101】
検査が終了すると、ヒータ27による加熱を停止し、図示しないアクチュエータを用いてプッシャー11を図4のA2の向きに移動させ、IC13とヒータ27の接触を解除する。
【0102】
また、リード押さえ片29とリード15の接触も解除する。
【0103】
そして、IC13を、ソケット7の凹部17から取り出す。
【0104】
このように、第1の実施形態によれば、IC検査用ソケット3に用いられる電気接続部材1aが、弾性体31、弾性体31に巻き付けられた絶縁シート33、絶縁シート33の外側の面に形成された導電パターン35を有し、導電パターン35には欠損部としてのスリット41が設けられている。
【0105】
そのため、従来の電気接続部材と比べてリード15と導電パターン35の接触面積が小さくなり、安定した電気接続が可能で、リード15を傷つけずに検査が可能であり、かつ従来よりも高温ファンクションテスト時の熱の逃げを小さくすることができる。
【0106】
次に、第2の実施形態に係る電気接続部材51aを有するIC検査用ソケット3aについて、図11および図12を参照して説明する。
【0107】
なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の機能を果たす要素については同一の番号を付し、説明を省略する。
【0108】
また、第1の実施形態に係るIC検査用ソケット3と異なるところは電気接続部材51aのみであり、電気接続部材51a以外のIC検査用ソケット3aの構造は第1の実施形態に係るIC検査用ソケット3の構造と同様であるため、記載を省略している。
【0109】
図11および図12に示すように、電気接続部材51aは、導電パターン35を構成するIC13のリード15との接触部分35aと基板5のパッドとの接触部分35bが絶縁シート33の外側の面に設けられ、これら接触部分35a、35bを連結する連結部分35cが絶縁シート33の内側の面に設けられている。
【0110】
接触部分35a、35bと連結部分35cとの間は絶縁シート33を貫通するベア(スルーホール)35dで接続されている。
【0111】
その他の構成は、第1の実施形態に係る電気接続部材1aと同様である。
【0112】
このような構造にすることにより、接触部分35a、35bを、リード15や基板5の接続パッドとの接触に必要な最小限の面積に形成することができるので、従来の電気接続部材よりもリード15と導電パターン35の接触面積が小さくなり、安定した電気接続が可能で、リード15を傷つけずに検査が可能であり、かつ従来よりも高温ファンクションテスト時の熱の逃げを小さくすることができる。
【0113】
このように、第2の実施形態によれば、IC検査用ソケット3aに用いられる電気接続部材51aが、弾性体31、弾性体31に巻き付けられた絶縁シート33、絶縁シート33に形成された導電パターン35を有し、導電パターン35は、接続対象物と接触する接触部分35a、35bを絶縁シート33の外側の面に設け、接触部分35a、35b間を連結する連結部分35cを絶縁シート33の内側の面に設けている。
【0114】
従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0115】
上記した実施形態では、本発明をICの検査用ソケットに適用した場合について説明したが、本発明は、何等、これに限定されることなく、2つの接続対象物を、熱を逃がさないように電気的に接続する必要がある全ての機器に用いることができる。
【符号の説明】
【0116】
1a………電気接続部材
3…………IC検査用ソケット
5…………基板
7…………ソケット
9…………プッシャーガイド
11………プッシャー
13………IC
15………リード
17………凹部
19a……溝部
21a……開口部
23………位置決め片
25………本体
27………ヒータ
29………リード押さえ片
30………基材
31………弾性体
33………絶縁シート
35………導電パターン
35a……接触部分
35b……接触部分
35c……連結部分
35d……ベア
37a……両面粘着シート
39………片面粘着シート
41………スリット
51a……電気接続部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの接続対象物を電気的に接続する電気接続部材であって、
弾性体と、
前記弾性体に巻きつけられた絶縁シートと、
前記絶縁シートに設けられ、前記2つの接続対象物間を接続する導電パターンと、
を有し、
前記導電パターンは、前記絶縁シートの外側の面に設けられ、前記2つの接続対象物にそれぞれ接触される2つの接触部分と、
前記絶縁シートの内側の面に設けられ、前記2つの接触部分の間を連結する連結部分と、
からなることを特徴とする電気接続部材。
【請求項2】
請求項1に記載の電気接続部材を有することを特徴とするIC検査用ソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−245055(P2010−245055A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165709(P2010−165709)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【分割の表示】特願2007−242507(P2007−242507)の分割
【原出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】