説明

電気機器ケース

【課題】導電性樹脂の特徴を生かし、且つ、感電防止にも確実に対応することができるバッテリーケースなどの電気機器ケースを提供する。
【解決手段】トレー11は内側の導電性樹脂層11Aと外側の絶縁性樹脂層11Bとを有する2層構造とし、カバー12も内側の導電性樹脂層12Aと外側の絶縁性樹脂層12Bとを有する2層構造とする。そして、カバーがトレーを覆った状態で車両に搭載された際は、例えば、トレーのフランジ部11−3にカバーのフランジ部12−3が載置され、トレーのフランジ部の前側部分11−3A及び後側部分11−3Bにおける導電性樹脂層11Aの端面11A−1が、カバーの保護部12−4の前側部分12−4A及び後側部分12−4Bによって覆われ、且つ、この保護部の前側部分及び後側部分における導電性樹脂層12Aの端面12A−1が、前側のクロスメンバ41と後側のクロスメンバ42にそれぞれ覆われる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の電気機器を収容するための電気機器ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
モータを駆動源とする電気自動車又はモータとエンジンを駆動源とするハイブリッド車に装備されるバッテリーケース(電気機器ケース)には、前記モータの電力源となるバッテリーや、このバッテリーの充放電制御などを行うためのバッテリー制御部品などが収容される。そして、前記バッテリー制御部品においては頻繁に制御電圧や制御電流が変動するため、電磁波を発生し、この電磁波が車両の電子回路などに対する電気ノイズとなる。また、前記バッテリーの電圧は数百ボルトにもなり、バッテリー制御部品は高電位制御部品である。
【0003】
このため、車両のバッテリーケースには、バッテリー制御部品から発生される電磁波(電気ノイズ)がバッテリーケースの外に漏れないようにするための機能(電磁波遮蔽機能)と、メンテナンス作業員などの人がバッテリーケースに触れても感電しないようにするための機能(感電防止機能)とが要求される。
【0004】
これに対し、バッテリーケースを金属製のものにすれば、当該バッテリーケースによって電磁波を遮蔽することができる。しかし、この場合には、金属材料の加工が難しいため、バッテリーケースの形状を単純なものにせざるを得ない。
【0005】
一方、導電性樹脂を用いてバッテリーケースを製造する場合には、樹脂の形状自由度(加工の容易性)を活かして、バッテリーケースを容易に任意の形状にすることができる。このため、導電性樹脂は、車両の床下などの限られたスペースに配設されるバッテリーケースの素材として用いるのに好適なものである。しかも、導電性樹脂は導電性材料を樹脂に混入した導電性を有するものであるため、導電性樹脂によって作製されたバッテリーケースは、電磁波を遮蔽することもできる。
【0006】
なお、導電性樹脂を用いたケースの従来例としては、下記の特許文献1,2に開示されたものがある。特許文献1には車両などに搭載する燃料電池ケースを、導電性樹脂層と絶縁性樹脂層の2層構造にすることが開示されている。特許文献2には、電子部品群を導電性樹脂層で封止し、この導電性樹脂層の表面に絶縁性樹脂層を設けた構成の回路モジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−130321号公報
【特許文献2】特開2006−286915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
導電性樹脂は、上記のように車両の限られたスペースに搭載するバッテリーケースの素材として適しており、電磁波遮蔽機能を発揮することもできるものであるが、感電防止の観点では対応が不十分である。
【0009】
即ち、感電を防止するためには、人が接触可能な部位(露出導電部)を、完全導体もしくは絶縁体とする必要がある(このことは法規上からも求められている)。これに対して導電性樹脂は、金属のような完全導体ではなく絶縁体でもない、半導体性のものであるため、感電防止機能への対応は難しい。
【0010】
例えば、車両の床下にバッテリーケースを配設する場合、バッテリーケースの下面や側面はバッテリーケースと別体のカバーによって完全に覆うことができる。このため、バッテリーケースの下面部分や側面部分への人の接触は、防止することができる。しかし、特にハイブリッド車では床下の車両前部(エンジン)から車両後部へマフラーが延びているため、バッテリーケースの前面や後面は別体のカバーで完全に覆うことができず、バッテリーケースの前側や後側にはある程度の隙間を設けざるを得ない。この場合、バッテリーケースは、人の手が前記隙間から入ってバッテリーケースの前側や後側の部分に触れたとしても、人が感電するのを確実に防止することができる構造とする必要がある。
【0011】
従って本発明は上記の事情に鑑み、導電性樹脂の特徴を生かし、且つ、感電防止にも確実に対応することができるバッテリーケースなどの電気機器ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決する第1発明の電気機器ケースは、車両の電気機器を内部に収容するトレーと、このトレーを上から覆うカバーとを有し、前記車両に配設される電気機器ケースにおいて、
前記トレーは内側の導電性樹脂層と外側の絶縁性樹脂層とを有する2層構造であり、底板部と、この底板部の周縁から上方に延びた側板部と、この側板部の上端から水平に延びたフランジ部とを有し、且つ、このフランジ部の少なくとも一部が車体側フレームに載置され、
前記カバーは内側の導電性樹脂層と外側の絶縁性樹脂層とを有する2層構造であり、上板部と、この上板部の周縁から下方に延びた側板部と、この側板部の下端から水平に延びたフランジ部と、このフランジ部の縁から下方に延びた保護部とを有し、
前記カバーが前記トレーを覆った状態で前記車両に搭載された際は、前記トレーの前記フランジ部に前記カバーの前記フランジ部が載置され、前記トレーの前記フランジ部の少なくとも一部における前記導電性樹脂層の端面が、前記カバーの前記保護部によって覆われ、且つ、この保護部における前記導電性樹脂層の端面が、前記車体側フレームによって覆われること、
を特徴とする。
【0013】
また、第2発明の電気機器ケースは、第1発明の電気機器ケースにおいて、
前記トレーの前記フランジ部の少なくとも一部は、前記車両の前後方向の前方に延びる前側部分及び後方に延びる後側部分を形成し、
前記カバーの前記フランジ部の少なくとも一部は、前記車両の前後方向の前方に延びる前側部分及び後方に延びる後側部分を形成し、
前記車体側フレームは、前側のクロスメンバと後側のクロスメンバであり、
前記カバーが前記トレーを覆った状態で前記車両に搭載された際は、前記トレーの前記フランジ部の少なくとも前記前側部分及び前記後側部分における前記導電性樹脂層の端面が、前記カバーの前記フランジ部の少なくとも前記前側部分及び前記後側部分の縁から下方に延びた前記保護部によって覆われ、且つ、この保護部における前記導電性樹脂層の端面が、前記前側のクロスメンバと前記後側のクロスメンバによって覆われること、
を特徴とする。
【0014】
また、第3発明の電気機器ケースは、第1発明の電気機器ケースにおいて、
前記トレーの前記フランジ部の少なくとも一部は、前記車両の車幅方向側方に延びる左右部分を形成し、
前記カバーの前記フランジ部の少なくとも一部は、前記車両の車幅方向側方に延びる左右部分を形成し、
前記車体側フレームは、一対のサイドメンバであり、
前記カバーが前記トレーを覆った状態で前記車両に搭載された際は、前記トレーの前記フランジ部の少なくとも前記左右部分における前記導電性樹脂層の端面が、前記カバーの前記フランジ部の少なくとも前記左右部分の縁から下方に延びた前記保護部によって覆われ、且つ、この保護部における前記導電性樹脂層の端面が、前記サイドメンバによって覆われること、
を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1発明の電気機器ケースによれば、トレーは内側の導電性樹脂層と外側の絶縁性樹脂層とを有する2層構造であり、カバーも内側の導電性樹脂層と外側の絶縁性樹脂層とを有する2層構造であるため、トレー及びカバーの導電性樹脂層によって電磁波(電気ノイズ)を遮蔽することができ、しかも、樹脂(導電性樹脂,絶縁性樹脂)の特徴を活かして、例えばトレーの底板部やカバーの上面部に凹部や凸部を形成するなど、トレーやカバーを車両の配置スペースに応じた複雑な形状にすることもできる。
そして、トレーのフランジ部の少なくとも一部における導電性樹脂層の端面が、カバーの保護部によって覆われ、且つ、この保護部における導電性樹脂層の端面が、車体側フレームによって覆われるため、これらの導電性樹脂層の端面に人が触れることはできない。
従って、例えばバッテリーケースの周辺の一部に隙間があって、当該隙間から人の手が入ってバッテリーケースの一部に触れることがあっても、この人の手が、導電性樹脂層の端面に触れて感電するのを確実に防止することができる。
【0016】
第2発明の電気機器ケースによれば、第1発明の場合と同様にトレーは内側の導電性樹脂層と外側の絶縁性樹脂層とを有する2層構造であり、カバーも内側の導電性樹脂層と外側の絶縁性樹脂層とを有する2層構造であるため、トレー及びカバーの導電性樹脂層によって電磁波(電気ノイズ)を遮蔽することができ、しかも、樹脂(導電性樹脂,絶縁性樹脂)の特徴を活かして、例えばトレーの底板部やカバーの上面部に凹部や凸部を形成するなど、トレーやカバーを車両の配置スペースに応じた複雑な形状にすることもできる。
そして、トレーのフランジ部の少なくとも前側部分及び後側部分における導電性樹脂層の端面が、カバーのフランジ部の少なくとも前側部分及び後側部分の縁から下方に延びた保護部によって覆われ、且つ、この保護部における導電性樹脂層の端面が、前側のクロスメンバと後側のクロスメンバによって覆われるため、これらの導電性樹脂層の端面に人が触れることはできない。従って、例えばマフラーなどの配置上、バッテリーケースの前側や後側に隙間を設けざるを得ない場合、当該隙間から人の手が入ってバッテリーケースの前側や後側の部分に触れることがあっても、この人の手が、導電性樹脂層の端面に触れて感電するのを確実に防止することができる。
【0017】
第3発明の電気機器ケースによれば、第1発明の場合と同様にトレーは内側の導電性樹脂層と外側の絶縁性樹脂層とを有する2層構造であり、カバーも内側の導電性樹脂層と外側の絶縁性樹脂層とを有する2層構造であるため、トレー及びカバーの導電性樹脂層によって電磁波(電気ノイズ)を遮蔽することができ、しかも、樹脂(導電性樹脂,絶縁性樹脂)の特徴を活かして、例えばトレーの底板部やカバーの上面部に凹部や凸部を形成するなど、トレーやカバーを車両の配置スペースに応じた複雑な形状にすることもできる。
そして、トレーのフランジ部の少なくとも左右部分における導電性樹脂層の端面が、カバーのフランジ部の少なくとも左右部分の縁から下方に延びた保護部によって覆われ、且つ、この保護部における導電性樹脂層の端面が、サイドメンバによって覆われるため、これらの導電性樹脂層の端面に人が触れることはできない。従って、例えばバッテリーケースの側方に隙間を設けざるを得ない場合、当該隙間から人の手が入ってバッテリーケースの左右部分に触れることがあっても、この人の手が、導電性樹脂層の端面に触れて感電するのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態例に係るバッテリーケースの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態例に係るバッテリーケースの設置状態を示す斜視図である。
【図3】図2のA−A線矢視の要部断面の拡大図である。
【図4】図2のB−B線矢視の要部断面の拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態例に係るバッテリーケースのカバーの製造(射出成型)工程を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態例に係るバッテリーケースのトレーの製造(射出成型)工程を示す図である。
【図7】本発明の比較例1のバッテリーケースの要部断面図である。
【図8】本発明の比較例2のバッテリーケースの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づき詳細に説明する。
【0020】
<構造>
図1〜図4に基づき、本発明の実施の形態例に係るバッテリーケース(電気機器ケース)1の構造について説明する。なお、図1〜図4において、Z軸方向はバッテリーケース1が搭載された車両の上下方向(鉛直方向)、X軸方向は前記車両の前後方向(水平方向)、Y軸方向は前記車両の車幅方向(左右方向:水平方向)である。
【0021】
本実施の形態例のバッテリーケース1は、車両(モータを駆動源とする電気自動車又はモータとエンジンを駆動源とするハイブリッド車)に搭載され、その内部に前記モータの電力源となるバッテリーや、このバッテリーの充放電制御などを行うためのバッテリー制御部品などを収容するものである。バッテリーケース1は、車両の床下に配設されて前記床に固定される(図示省略)。
【0022】
詳述すると、図1〜図4に示すように、バッテリーケース1は、トレー11とカバー12とを有して成るものである。トレー11は上側が開口しており、カバー12はトレー11を上から覆う。トレー11とカバー12は何れも、導電性樹脂を用いて射出成型されたものである(図5,図6参照:詳細後述)。
【0023】
トレー11は平面視(Z軸方向視)が矩形状のものであり、底板部11−1と側板部11−2とフランジ部11−3とを有している。底板部11−1は平面視が矩形状である。側板部11−2は平面視がロ字状であり、底板部11−1の周縁から上方(Z軸方向)へ延びている。フランジ部11−3は平面視がロ字状であり、側板部11−2の上端(先端)から水平(X軸方向及びY軸方向)に延びている。図3及び図4に示すように、フランジ部11−3は、車両の前方側の部分である(即ち車両の前後方向の前方に延びる)前側部分11−3Aと、車両の後方側の部分である(即ち車両の前後方向の後方に延びる)後側部分11−3Bと、車両の右側方側の部分である(即ち車両の車幅方向の右側方に延びる)右側部分11−3Cと、車両の左側方側の部分である(即ち車両の車幅方向の左側方に延びる)左側部分11−3Dとを有している。図1に示すように、トレー11内には、両側の収容部11a,11bと中央の収容部11cとが設けられており、収容部11a,11bにはバッテリーが収容され、収容部11cにはバッテリー制御部品が収容される(バッテリー及びバッテリー制御部品は図示省略)。
【0024】
また、図3及び図4に示すように、トレー11はその全体(底板部11−1、側板部11−2及びフランジ部11−3)が、内側(上側)の導電性樹脂層11Aと外側(下側)の絶縁性樹脂層11Bから成る2層構造になっている。導電性樹脂層11Aは導電性樹脂によって形成された層であり、絶縁性樹脂層11Bは絶縁性樹脂によって形成された層である。絶縁性樹脂層11Bは厚さが例えば0.5mm以下のものであり、導電性樹脂層11Aの表面に導電性樹脂層11Aと一体に成型されている。但し、トレー製造上、トレー11のフランジ部11−3における導電性樹脂層11Aの端面11A−1は、絶縁性樹脂層11Bに覆われておらず、露出している。
【0025】
トレー11は、フランジ部11−3の前側部分11−3Aと後側部分11−3Bとが、前側のクロスメンバ41と後側のクロスメンバ42とにそれぞれ載置され、これらのクロスメンバ41,42によって支持されている。即ち、クロスメンバ41,42によってバッテリーケース1の荷重を受けている。クロスメンバ41,42は鋼板等の金属で形成された車体側のフレームの一部であり、横断面がロ字状を成している。
【0026】
図1〜図4に示すように、カバー12は平面視が矩形状のものであり、上板部12−1と側板部12−2とフランジ部12−3と保護部12−4とを有している。上板部12−1は平面視が矩形状である。側板部12−2は平面視がロ字状であり、上板部12−1の周縁から下方(Z軸方向)へ延びている。フランジ部12−3は平面視がロ字状であり、側板部12−2の下端(先端)から水平(X軸方向及びY軸方向)に延びている。図3及び図4に示すように、フランジ部12−3は、車両の前方側の部分である(即ち車両の前後方向の前方に延びる)前側部分12−3Aと、車両の後方側の部分である(即ち車両の前後方向の後方に延びる)後側部分12−3Bと、車両の右側方側の部分である(即ち車両の車幅方向の右側方に延びる)右側部分12−3Cと、車両の左側方側の部分である即ち車両の車幅方向の左側方に延びる)左側部分12−3Dとを有している。カバー12のフランジ部12−3は、トレー11のフランジ部11−3に対応する位置に形成され、このフランジ部11−3と平行になっている。
【0027】
図1〜図4に示すように、保護部12−4は平面視がロ字状であり、フランジ部12−3の周縁(先端)から下方へ延びている。詳述すると、図3及び図4に示すように、保護部12−4は、車両の前方側の部分である前側部分12−4Aと、車両の後方側の部分である後側部分12−4Bと、車両の右側方側の部分である右側部分12−4Cと、車両の左側方側の部分である左側部分12−4Dとを有している。保護部12−4の前側部分12−4Aはフランジ部12−3の前側部分12−3Aの縁から下方へ延び、保護部12−4の後側部分12−4Bはフランジ部12−3の後側部分12−3Bの縁から下方へ延び、保護部12−4の右側部分12−4Cはフランジ部12−3の右側部分12−3Cの縁から下方へ延び、保護部12−4の左側部分12−4Dはフランジ部12−3の左側部分12−3Dの縁から下方へ延びている。
【0028】
また、図3及び図4に示すように、カバー12はその全体(上板部12−1、側板部12−2、フランジ部12−3及び保護部12−4)が、内側(下側)の導電性樹脂層12Aと外側(上側)の絶縁性樹脂層12Bから成る2層構造になっている。導電性樹脂層12Aは導電性樹脂によって形成された層であり、絶縁性樹脂層12Bは絶縁性樹脂によって形成された層である。絶縁性樹脂層12Bは厚さが例えば0.5mm以下のものであり、導電性樹脂層12Aの表面に導電性樹脂層12Aと一体に成型されている。但し、カバー製造上、カバー11の保護部12−4における導電性樹脂層12Aの端面12A−1は、絶縁性樹脂層12Bに覆われておらず、露出している。
【0029】
導電性樹脂層11A,12Aを形成するための導電性樹脂としては、例えば金属繊維(SUS繊維、銅繊維など)や炭素繊維などの導電性材料を樹脂に混入したものなどを用いることができる。絶縁性樹脂層11B,12Bを形成するための絶縁性樹脂としては、導電性材料が混入されていない樹脂(ポリプロピレン、ポリアミドなど)を用いることができる。
【0030】
図2〜図4に示すように、カバー12がトレー11を覆った状態で車両に搭載された際は、トレー11のフランジ部11−3にカバー12のフランジ部12−3が載置される。そして、このときにカバー12の保護部12−4は、トレー11の端面11A−1を覆う。即ち、トレー11の端面11A−1を、カバー12の保護部12−4の絶縁性樹脂層12Bによって覆うことにより、人がトレー11の端面11A−1に触れないように保護している。
【0031】
しかも、図3に示すように、バッテリーケース1の前側及び後側においては、カバー12の端面12A−1(即ち保護部12−4の前側部分12−4A及び後側部分12−4Bにおける導電性樹脂層12の端面12A−1)が、クロスメンバ41,42によって覆われた状態になる。従って、このカバー12の端面12A−1への人の接触も防止することができる。図示例ではカバー12の端面12A−1とクロスメンバ41,42の上面41a,42aとの間に僅かな隙間を有しているが、これに限定するものではなく、カバー12の端面12A−1がクロスメンバ41,42の上面41a,42aに接触していてもよい。
【0032】
なお、図4に示すように、バッテリーケース1の左右両側では、カバー11の端面12A−1(即ち保護部12−4の右側部分12−4C及び左側部分12−4Dにおける導電性樹脂層12Aの端面12A−1)が、車体側フレームによって覆われてはいない。しかし、バッテリーケース1の下面や側面は、一点鎖線で示すようにバッテリーケース11と別体のカバー43によって完全に覆われており、バッテリーケース1の左右両側においては、このカバー43によって、人がカバー11の端面12A−1に接触するのを防止することができる。
【0033】
一方、ハイブリッド車の場合、車両の床下には車両前部(エンジン)から車両後部へ延びたマフラーが設けられているため、バッテリーケース1の前側や後側は別体のカバー43で完全に覆うことができず、バッテリーケース1の前側や後側にはある程度の隙間を設けざるを得ない。このため、人の手が前記隙間から入るおそれがある。しかし、前述のとおり、バッテリーケース1の前側及び後側においては、カバー11の端面12A−1をクロスメンバ41,42によって覆うことにより、人の手がカバー12の端面12A−1へ触れるのを防止している(図3)。
【0034】
また、人の手が前記隙間から入っても、前述のとおり、トレー11の端面11A−1はカバー12の保護部12−4(絶縁性樹脂層12B)によって覆われているため、人の手がトレー11の端面11A−1に触れるおそれはない。なお、図示例ではバッテリーケース1の左右両側においても、トレー11の端面11A−1(即ちフランジ部11−3の右側部分11−3C及び左側部分11−3Dにおける導電性樹脂層11Aの端面11A−1)を、カバー12の保護部12−4(即ち右側部分12−4C及び左側部分12−4D)によって覆っているが(図4)、バッテリーケース1の左右両側では、前述のように別体のカバー43がバッテリーケース1を完全に覆っているため、保護部12−4の右側部分12−4Cや左側部分12−4Dをカバー12に設けず、トレー11の端面11A−1が保護部12−4に覆われていなくてもよい。
【0035】
<製造工程>
次に、図5及び図6に基づき、カバー12とトレー11の製造(射出成型)方法について説明する。
【0036】
図5(a)に示すように、カバー12の射出成型には、下側に配設された凸状の金型である雄型51と、上側に配設された凹状の金型である雌型52とが用いられる。雄型51には材料供給路51aが形成されている。そして、雄型51は、カバー12の上板部12−1を成型するために形成された上面部51bと、カバー12の側板部12−2、フランジ部12−3及び保護部12−4を成型するために上面部51bの周縁に形成された段部51cとを有している。また、雄型51の周縁部には、バネ51dを介して材料把持部51eが設けられている。雌型52は、カバー12の上板部12−1を成型するために形成された下面部52aと、カバー12の側板部12−2、フランジ部12−3及び保護部12−4を成型するために下面部52aの周縁に形成された段部52bとを有している。また、雌型52の周縁部には、材料把持部52cが形成されている。
【0037】
カバー製造手順としては、まず、図5(a)の表皮材セット工程において、カバー12の絶縁性樹脂層12Bの厚さに相当する肉厚を有する絶縁性樹脂のフィルムである表皮材61を、雄型51の材料把持部51eと雌型52の材料把持部52cによって把持する。
次に、図5(b)の樹脂供給工程において、導電性樹脂62を、矢印C1で示すように材料供給路51aを介して雄型51と表皮材61との間に供給(射出)する。また、このとき、図5(b)に矢印D1で示すように雌型52を下降させる。
そして、図5(c)の加圧・冷却工程において、矢印D2で示すように雌型52を更に下降させて加圧することにより、導電性樹脂62を矢印C2に示すように雄型51と表皮材61の間の隙間全体に広げて、冷却する。かくして、表皮材61が絶縁性樹脂層12Bとなり、導電性樹脂62が導電性樹脂層12Aとなって、カバー12が成型される。なお、この成型されたカバー12は、図5(c)に示す一点鎖線Gの位置で切断されて寸法が調整され、端面12A−1が露出した状態となる。
【0038】
図6(a)に示すように、トレー11の射出成型には、下側に配設された凸状の金型である雄型71と、上側に配設された凹状の金型である雌型72とが用いられる。雄型71には材料供給路71aが形成されている。そして、雄型71は、トレー11の底板部11−1を成型するために形成された上面部71bと、トレー11の側板部11−2及びフランジ部11−3を成型するために上面部71bの周縁に形成された段部71cとを有している。また、雄型71の周縁部には、バネ71dを介して材料把持部71eが設けられている。雌型72は、トレー11の底板部11−1を成型するために形成された下面部72aと、トレー11の側板部11−2及びフランジ部11−3を成型するために下面部72aの周縁に形成された段部72bとを有している。また、雌型72の周縁部には、材料把持部72cが形成されている。
【0039】
トレー製造手順としては、まず、図6(a)の表皮材セット工程において、トレー11の絶縁性樹脂層11Bの厚さに相当する肉厚を有する絶縁性樹脂のフィルムである表皮材81を、雄型71の材料把持部71eと雌型72の材料把持部72cによって把持する。
次に、図6(b)の樹脂供給工程において、導電性樹脂82を、矢印E1で示すように材料供給路71aを介して雄型71と表皮材81との間に供給(射出)する。また、このとき、図6(b)に矢印F1で示すように雌型72を下降させる。
そして、図6(c)の加圧・冷却工程において、矢印F2で示すように雌型72を更に下降させて加圧することにより、導電性樹脂82を矢印E2に示すように雄型71と表皮材81の間の隙間全体に広げて、冷却する。かくして、表皮材81が絶縁性樹脂層11Bとなり、導電性樹脂82が導電性樹脂層11Aとなって、カバー11が成型される。なお、この成型されたトレー11は、図6(c)に示す一点鎖線Hの位置で切断されて寸法が調整され、端面11A−1が露出した状態となる。
【0040】
<作用効果>
以上のように、本実施の形態例のバッテリーケース1は、車両のバッテリー及びバッテリー制御部品を内部に収容するトレー11と、このトレー11を上から覆うカバー12とを有し、トレー11は内側の導電性樹脂層11Aと外側の絶縁性樹脂層11Bとを有する2層構造であり、底板部11−1と、この底板部11−2の周縁から上方に延びた側板部11−2と、この側板部12−2の上端から水平に延びたフランジ部11−3とを有し、且つ、このフランジ部11−3の車両の前後方向の前方に延びる前側部分11−3A及び後方に延びる後側部分11−3Bが前側のクロスメンバ41と後側のクロスメンバ42にそれぞれ載置され、カバー12は内側の導電性樹脂層12Aと外側の絶縁性樹脂層12Bとを有する2層構造であり、上板部12−1と、この上板部12−1の周縁から下方に延びた側板部12−2と、この側板部12−2の下端から水平に延びたフランジ部12−3と、このフランジ部12−3の車両の前後方向の前方に延びる前側部分12−3A及び後方に延びる後側部分12−3Bの縁から下方に延びた保護部12−4の前側部分12−4A及び後側部分12−4Bとを有し、カバー12がトレー11を覆った状態で車両に搭載された際は、トレー11のフランジ部11−3にカバー12のフランジ部12−3が載置され、トレー11のフランジ部11−3の前側部分11−3A及び後側部分11−3Bにおける導電性樹脂層11Aの端面11A−1が、カバー12の保護部12−4の前側部分12−4A及び後側部分12−4Bによって覆われ、且つ、この保護部12−4の前側部分12−4A及び後側部分12−4Bにおける導電性樹脂層12Aの端面12A−1が、前側のクロスメンバ41と後側のクロスメンバ42にそれぞれ覆われることを特徴としている。
【0041】
このため、本実施の形態例のバッテリーケース1によれば、次のような作用効果が得られる。
【0042】
即ち、トレー11は内側の導電性樹脂層11Aと外側の絶縁性樹脂層11Bとを有する2層構造であり、カバー12も内側の導電性樹脂層12Aと外側の絶縁性樹脂層12Bとを有する2層構造であるため、トレー11及びカバー12の導電性樹脂層11A,12Aによって電磁波(電気ノイズ)を遮蔽することができ、しかも、樹脂(導電性樹脂,絶縁性樹脂)の特徴を活かして、例えばトレー11の底板部11−1やカバー12の上面部12−1に凹部や凸部を形成するなど、トレー11やカバー12を車両の配置スペースに応じた複雑な形状にすることもできる。
そして、トレー11のフランジ部11−3の前側部分11−3A及び後側部分11−3Bにおける導電性樹脂層11Aの端面11A−1が、カバー12のフランジ部12−3の前側部分12−3A及び後側部分12−3Bの縁から下方に延びた保護部12−4の前側部分12−4A及び後側部分12−4Bによって覆われ、且つ、この保護部12−4の前側部分12−4A及び後側部分12−4Bにおける導電性樹脂層12Aの端面12A−1が、前側のクロスメンバ41と後側のクロスメンバ42によって覆われるため、これらの導電性樹脂層11A,12Aの端面11A−1,12A−1に人が触れることはできない。従って、例えばマフラーなどの配置上、バッテリーケース1の前側や後側に隙間を設けざるを得ない場合、当該隙間から人の手が入ってバッテリーケース1の前側や後側の部分に触れることがあっても、この人の手が、導電性樹脂層11A,12Aの端面11A−1,12A−1に触れて感電するのを確実に防止することができる。
【0043】
図7の比較例1と図8の比較例2について説明する。図7の比較例1では、カバー12に保護部が無く、トレー11のフランジ部11−3における導電性樹脂層11Aの端面11A−1と、カバー12のフランジ部12−3における導電性樹脂層12Aの端面12A−1が露出しているため、これらの導電性樹脂層11A,12Aの端面11A−1,12A−1に人が触れて感電するおそれがある。図8の比較例2では、トレー11に保護部11−4を設け、この保護部1−2によってカバー12のフランジ部12−3における導電性樹脂層12Aの端面12A−1を覆っているため、この導電性樹脂層12Aの端面12A−1に人が触れることは防止できる。しかし、トレー11の保護部11−4における導電性樹脂層11Aの端面11A−1をクロスメンバ41で覆うことはできないため、この導電性樹脂層11Aの端面11A−1に人が触れて感電するおそれがある。
【0044】
これに対して、前述のとおり本実施の形態例ではトレー11の導電性樹脂層11Aの端面11A−1をカバー12の保護部12−4で覆い、且つ、カバー12の導電性樹脂層12Aの端面12A−1をクロスメンバ41,42で覆うことができるため、これらの導電性樹脂層11A,12Aの端面11A−1,12A−1に人が触れて感電するのを確実に防止することができる。
【0045】
なお、上記ではトレー11のフランジ部11−3の前側部分11−3A及び後側部分11−3Bを車体側フレーム(クロスメンバ41,42)に載置する場合について説明したが、必ずしもこれに限定するものではなく、例えばバッテリーケース1の右側方側や左側方側に隙間が生じてしまう場合には、トレー11のフランジ部11−3の右側部分11−3C及び左側部分11−3Dを車体側フレーム(例えば一対のサイドメンバ)に載置することにより、当該車体側フレームによって、カバー12の保護部12−4の右側部分12−4C及び左側部分12−4Dにおける導電性樹脂層12Aの端面12A−1を覆うようしてもよい。
即ち、バッテリーケース1の周辺の一部に隙間があって、当該隙間から人の手が入ってバッテリーケース1の一部に触れることがある場合には、トレー11のフランジ部11−3の少なくとも一部における導電性樹脂層11Aの端面11A−1が、カバー12の保護部12−4によって覆われ、且つ、この保護部12−4における導電性樹脂層12Aの端面12A−1が、車体側フレームによって覆われるようにすることより、前記隙間から入った人の手が、これらの導電性樹脂層11A,12Aの端面11A−1,12A−1に触れて感電するのを確実に防止することができるようにすればよい。
【0046】
例えばトレー11を一対のサイドメンバに載置する場合には、図4に二点鎖線で示すような状態になる。トレー11は、フランジ部11−3の右側部分11−3Cと左側部分11−3Dとが、右側のサイドメンバ91と左側のサイドメンバ92とにそれぞれ載置され、これらのサイドメンバ91,92によって支持される(サイドメンバ91,92によってバッテリーケース1の荷重を受ける)。サイドメンバ91,92は鋼板等の金属で形成された車体側のフレームの一部であり、横断面がロ字状を成している。カバー12の端面12A−1(即ち保護部12−4の右側部分12−4C及び左側部分12−4Dにおける導電性樹脂層12の端面12A−1)は、サイドメンバ91,92によって覆われた状態になる。なお、図示例ではカバー12の端面12A−1とサイドメンバ91,92の上面91a,92aとの間に僅かな隙間を有しているが、これに限定するものではなく、カバー12の端面12A−1がサイドメンバ91,92の上面91a,92aに接触していてもよい。
【0047】
即ち、この場合のバッテリーケース1は、車両のバッテリー及びバッテリー制御部品を内部に収容するトレー11と、このトレー11を上から覆うカバー12とを有し、トレー11は内側の導電性樹脂層11Aと外側の絶縁性樹脂層11Bとを有する2層構造であり、底板部11−1と、この底板部11−2の周縁から上方に延びた側板部11−2と、この側板部12−2の上端から水平に延びたフランジ部11−3とを有し、且つ、このフランジ部11−3の車両の車幅方向側方に延びる左右部分11−3C,11−3Dが一対のサイドメンバ91,92にそれぞれ載置され、カバー12は内側の導電性樹脂層12Aと外側の絶縁性樹脂層12Bとを有する2層構造であり、上板部12−1と、この上板部12−1の周縁から下方に延びた側板部12−2と、この側板部12−2の下端から水平に延びたフランジ部12−3と、このフランジ部12−3の車両の車幅方向側方に延びた左右部分12−3C,12−3Dの縁から下方に延びた保護部12−4の左右部分12−4C,12−4Dを有し、カバー12がトレー11を覆った状態で車両に搭載された際は、トレー11のフランジ部11−3にカバー12のフランジ部12−3が載置され、トレー11のフランジ部11−3の左右部分11−3C,11−3Dにおける導電性樹脂層11Aの端面11A−1が、カバー12の保護部12−4の左右部分12−4C,12−4Dによって覆われ、且つ、この保護部12−4の左右部分12−4C,12−4Dにおける導電性樹脂層12Aの端面12A−1が、一対のサイドメンバ91,92にそれぞれ覆われることを特徴とする構成となる。
【0048】
このため、本バッテリーケース1によれば、トレー11は内側の導電性樹脂層11Aと外側の絶縁性樹脂層11Bとを有する2層構造であり、カバー12も内側の導電性樹脂層12Aと外側の絶縁性樹脂層12Bとを有する2層構造であるため、トレー11及びカバー12の導電性樹脂層11A,12Aによって電磁波(電気ノイズ)を遮蔽することができ、しかも、樹脂(導電性樹脂,絶縁性樹脂)の特徴を活かして、例えばトレー11の底板部11−1やカバー12の上面部12−1に凹部や凸部を形成するなど、トレー11やカバー12を車両の配置スペースに応じた複雑な形状にすることもできる。
そして、トレー11のフランジ部11−3の左右部分11−3C,11−3Dにおける導電性樹脂層11Aの端面11A−1が、カバー12の保護部12−4の左右部分12−4C,12−4Dによって覆われ、且つ、この保護部12−4の左右部分12−4C,12−4Dにおける導電性樹脂層12Aの端面12A−1が、一対のサイドメンバ91,92にそれぞれ覆われるため、これらの導電性樹脂層11A,12Aの端面11A−1,12A−1に人が触れることはできない。従って、例えばバッテリーケース1の側方に隙間を設けざるを得ない場合、当該隙間から人の手が入ってバッテリーケース1の左右部分に触れることがあっても、この人の手が、導電性樹脂層11A,12Aの端面11A−1,12A−1に触れて感電するのを確実に防止することができる。
【0049】
また、上記ではバッテリーやバッテリー制御部品を収容するバッテリーケース1の場合について説明したが、必ずしもこれに限定するものではなく、その他の電気機器(特に電磁波を発生し、且つ、高電位である電気機器)にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は車両の電気機器を収容するための電気機器ケースに関するものであり、特に電気自動車やハイブリッド車においてバッテリーやバッテリー制御部品を収容するためのバッテリーケースなどに適用して有用なものである。
【符号の説明】
【0051】
1 バッテリーケース
11 トレー
11a,11b,11c 収容部
11A 導電性樹脂層
11A−1 端面
11B 絶縁性樹脂層
11−1 底板部
11−2 側板部
11−3 フランジ部
11−3A フランジ部の前側部分
11−3B フランジ部の後側部分
11−3C フランジ部の右側部分
11−3D フランジ部の左側部分
12 カバー
12A 導電性樹脂層
12A−1 端面
12B 絶縁性樹脂層
12−1 上板部
12−2 側板部
12−3 フランジ部
12−3A フランジ部の前側部分
12−3B フランジ部の後側部分
12−3C フランジ部の右側部分
12−3D フランジ部の左側部分
12−4 保護部
12−4A 保護部の前側部分
12−4B 保護部の後側部分
12−4C 保護部の右側部分
12−4D 保護部の左側部分
41 前側のクロスメンバ
41a 上面
42 後側のクロスメンバ
42a 上面
43 バッテリーケースと別体のカバー
51 雄型
51a 材料供給路
51b 上面部
51c 段部
51d バネ
51e 材料把持部
52 雌型
52a 下面部
52b 段部
52c 材料把持部
61 表皮材
62 導電性樹脂
71 雄型
71a 材料供給路
71b 上面部
71c 段部
71d バネ
71e 材料把持部
72 雌型
72a 下面部
72b 段部
72c 材料把持部
81 表皮材
82 導電性樹脂
91 右側のサイドメンバ
91a 上面
92 左側のサイドメンバ
92a 上面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の電気機器を内部に収容するトレーと、このトレーを上から覆うカバーとを有し、前記車両に配設される電気機器ケースにおいて、
前記トレーは内側の導電性樹脂層と外側の絶縁性樹脂層とを有する2層構造であり、底板部と、この底板部の周縁から上方に延びた側板部と、この側板部の上端から水平に延びたフランジ部とを有し、且つ、このフランジ部の少なくとも一部が車体側フレームに載置され、
前記カバーは内側の導電性樹脂層と外側の絶縁性樹脂層とを有する2層構造であり、上板部と、この上板部の周縁から下方に延びた側板部と、この側板部の下端から水平に延びたフランジ部と、このフランジ部の縁から下方に延びた保護部とを有し、
前記カバーが前記トレーを覆った状態で前記車両に搭載された際は、前記トレーの前記フランジ部に前記カバーの前記フランジ部が載置され、前記トレーの前記フランジ部の少なくとも一部における前記導電性樹脂層の端面が、前記カバーの前記保護部によって覆われ、且つ、この保護部における前記導電性樹脂層の端面が、前記車体側フレームによって覆われること、
を特徴とする電気機器ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機器ケースにおいて、
前記トレーの前記フランジ部の少なくとも一部は、前記車両の前後方向の前方に延びる前側部分及び後方に延びる後側部分を形成し、
前記カバーの前記フランジ部の少なくとも一部は、前記車両の前後方向の前方に延びる前側部分及び後方に延びる後側部分を形成し、
前記車体側フレームは、前側のクロスメンバと後側のクロスメンバであり、
前記カバーが前記トレーを覆った状態で前記車両に搭載された際は、前記トレーの前記フランジ部の少なくとも前記前側部分及び前記後側部分における前記導電性樹脂層の端面が、前記カバーの前記フランジ部の少なくとも前記前側部分及び前記後側部分の縁から下方に延びた前記保護部によって覆われ、且つ、この保護部における前記導電性樹脂層の端面が、前記前側のクロスメンバと前記後側のクロスメンバによって覆われること、
を特徴とする電気機器ケース。
【請求項3】
請求項1に記載の電気機器ケースにおいて、
前記トレーの前記フランジ部の少なくとも一部は、前記車両の車幅方向側方に延びる左右部分を形成し、
前記カバーの前記フランジ部の少なくとも一部は、前記車両の車幅方向側方に延びる左右部分を形成し、
前記車体側フレームは、一対のサイドメンバであり、
前記カバーが前記トレーを覆った状態で前記車両に搭載された際は、前記トレーの前記フランジ部の少なくとも前記左右部分における前記導電性樹脂層の端面が、前記カバーの前記フランジ部の少なくとも前記左右部分の縁から下方に延びた前記保護部によって覆われ、且つ、この保護部における前記導電性樹脂層の端面が、前記サイドメンバによって覆われること、
を特徴とする電気機器ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−227074(P2012−227074A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95701(P2011−95701)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】