説明

電気炉の操業方法

【課題】 溶解効率と電力原単位とに優れる電気炉の操業方法を提供する。
【解決手段】 クラスト8の溶融温度として予め定められる温度の炉体4内における位置を連ねて形成される炉内プロフィール20を作成し、また炉体内の電極5の位置を求め、炉内プロフィールおよび炉体内の電極の位置を可視化する。この可視化される炉内の状況に基づいて、炉体内への原料の追加投入や、電極に関して操業条件の調整を行う。このような操業条件の調整で、棚吊り等のトラブル発生を防止することも可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に被溶解物を溶解させる電気炉の操業方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炉体内に被溶解物を装入し、炉体内へ挿入するようにして設けられる複数の電極を用いて被溶解物を溶解させる溶解方法としては、電極と被溶解物との間でアークを発生させてアークの熱で溶解させる電気アーク炉を用いる方法、炉体内へ挿入される電極を被溶解物へ没入させて電極から被溶解物に直接通電して抵抗発熱を発生させることによって溶解させる電気抵抗炉を用いる方法などがある。
【0003】
電気アーク炉を用いる溶解方法は、たとえば製鋼原料であるスクラップを溶解することに用いられている。また電気抵抗炉を用いる溶解方法は、固化スラグ(特許文献1参照)、産業廃棄物(特許文献2参照)、焼却灰(特許文献3参照)などを溶解することに用いられている。
【0004】
ところで、鉄鋼製品の1種であるステンレス鋼の生産工程では、集塵ダスト、酸洗スラッジなどの副生物が多量に発生する。副生物は金属成分を含むので有用であり、従来産業廃棄物として処分されていた副生物をステンレス鋼の製鋼原料として再利用することが試みられている。上記副生物を製鋼原料として再利用するに際しては、その電気的特性や細粒であるという形状特性から、電気抵抗炉を用いて溶解する方法が考えられている。
【0005】
図13は、副生物の溶解に用いられる電気抵抗炉1の構成を示す。電気抵抗炉1は、上方に向かって開口部2が形成され内面が耐火材3によって内張りされる炉体4と、開口部2から炉体4の内部へ挿入され炉体内の副生物である原料に通電するための棒状電極5とを含む。電気抵抗炉1では、3本の電極5を備えるので、個々の電極をそれぞれ5a,5b,5cで表し、総称する場合には電極5で表す。
【0006】
電気抵抗炉1における原料を溶解する方法、すなわち操業方法は以下のようなものである。電気抵抗炉1では、電極5が炉体内の原料に没入され、3本の電極5a,5b,5cの相互間に三相交流が供給されることによって、原料に電流が直接流れて抵抗発熱し、原料が溶解される。原料の溶解が進行するのに伴い、開口部2からシュータを使用して炉体内へ原料が追加投入される。原料が繰り返し追加投入されて炉体内の溶解された原料がある程度の量に達すると、電極5への電力供給を停止し、炉体4および耐火材3を貫通するようにして予め形成されたタップ孔6に詰められている封止材7を除去し、タップ孔6から溶解した原料の金属成分を出湯させる。なお、金属成分を出湯させた後、炉体内で金属成分の層上に生成されている溶解スラグもタップ孔6から出して除去する。
【0007】
このような電気抵抗炉1の操業における原料の追加投入に際しては、炉の操作者が、開口部2から目視して得られる外観状況に基づいて炉内状況を想像しながら、予め決められたタイミングで、予め決められた量の原料を投入している。
【0008】
電気抵抗炉1では電極相互間で通電するので、電流は電極5の先端部付近で最も多く流れる。したがって、炉体内の温度分布が必ずしも均一にはならず、相対的に温度の低い部分が生じることがある。このような温度の低い部分は耐火材3で構成される炉壁付近に発生し易く、炉壁に原料が固着して塊状物8が生成されることがある。この塊状物はクラストと呼ばれることがある。クラスト8が生成されて炉体4の内方に向かって成長すると、平面的に考えた場合には溶解に利用できる有効な炉内面積が減少し、三次元的に考えた場合には炉内容積が減少する。
【0009】
開口部2からの目視による外観状況のみに基づいて原料が追加投入されるので、炉内面積の減少した部分に原料が投入されることがある。このような場合、投入された原料は、電極5の先端部付近であって抵抗発熱が多く温度も高い領域へ円滑に落下することができない。その結果、追加投入される原料を逐次抵抗発熱で溶解させることができず、原料の効率的な溶解を行うことができなくなる。
【0010】
さらに、投入された原料が、炉内面積の減少した領域で滞留し溶解されることなく軟化して一体化すると、開口部2をあたかも蓋のようにして塞ぐという、いわゆる棚吊りを形成することがある。棚吊りが形成されると、以後に投入される原料は、棚吊りの上に堆積され、電極5の先端部付近であって抵抗発熱が多く温度も高い領域へ達することができなくなる。また、電極5からの通電によって生じる抵抗発熱は、炉体内であって棚吊りの下方に存在する原料の昇温に大部分が費やされるので、棚吊り下方の原料が過昇温の状態になる。この過昇温になった原料からの熱伝導や輻射によって棚吊りが溶解して一気に崩落すると、棚吊りの上に堆積していた未溶解の原料が溶解した原料中へ落下する。棚吊りから落下した原料が溶解された過昇温の原料と急激に反応することによって発生するガスと、原料そのものとが、炉体内から外方に向かって噴出し飛散する現象を吹上げという。吹上げが発生すると、飛散した原料およびガスによって炉体内の熱が外へ持出されるので、熱損失が増大し原料の溶解効率が一層低下する。
【0011】
このように、クラスト8が成長して炉内面積・容積が減少した状態で操業すると、原料の溶解効率が低下し、原料の溶解処理量が減少して電力原単位も増加するという問題がある。
【0012】
従来の操業方法において電極5の昇降は、クラスト8が成長して炉内面積・容積が減少している位置に関わらず、電流値をほぼ一定にする自動制御によって行われている。すなわち、原料内への電極5の没入深さが深いと、深い位置の原料温度は高く、また電極5の通電面積も大きくなり抵抗が小さくなるので電流が多く流れる。このような場合、電流値が所定値まで減少するように電極5を上昇させ、原料に対する電極5の没入深さが浅くなるように制御される。一方、原料内への電極5の没入深さが浅く、電流値が所定値よりも小さい場合は、上記と逆に電極を下降させるように制御される。このことによって、原料に対する電極5の没入深さはほぼ一定に保たれるが、クラスト8の成長位置とは無関係に電極5が昇降されるので、上記のような溶解効率の低下などの問題が生じる。
【0013】
一般的に鉄材料の溶解に使用する高炉に関する先行技術には、炉底および炉壁を構成する耐火物に複数の温度センサを設け、温度センサによる測定値に基づいて伝熱解析を行い、炉底耐火物の侵食形状および炉底耐火物上に生成した炉内溶融物の凝固層形状を予測するというものがある(たとえば特許文献4および特許文献5参照)。
【特許文献1】特開昭58−173379号公報
【特許文献2】特開平449033号公報
【特許文献3】特開2005−321121号公報
【特許文献4】特開平7−278632号公報
【特許文献5】特開平9−67607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献4および特許文献5では、炉底耐火物の寿命が高炉寿命を律速することから、炉底耐火物の侵食形状および炉底耐火物上に生成した炉内溶融物の凝固層形状の予測精度を向上することによって、高炉寿命診断の精度を向上することが開示される。
【0015】
特許文献4および特許文献5には、いずれも炉内状況を推測することが開示されるが、推測した炉内状況を炉底耐火物ひいては高炉の寿命予測または延長のために用いているに過ぎず、炉内の原料の溶解効率を向上させるという思想については、全く開示も示唆もしていない。
【0016】
本発明の目的は、溶解効率と電力原単位とに優れ、棚吊り等のトラブル発生が少ない電気炉の操業方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本件発明者らは、炉壁の厚さ方向に伝わる熱流量に基づく熱伝導計算から求められる炉体内の所定温度の位置を連ねて形成される炉内プロフィールを作成し、該炉内プロフィールによって炉内状況を把握した上で、原料を追加投入し、また電極位置を適当な位置へ変位させて通電することによって、原料の効率的溶解と棚吊り等のトラブル発生の防止とが実現されるとの知見を得て本発明の完成に至ったものである。
【0018】
本発明の操業方法は、炉体内で複数の電極間で通電して、電極間に介在する被溶解物を溶解させる電気炉の操業方法であって、被溶解物が炉体の内壁に固着して生成される塊状物の溶融温度として予め定められる温度の位置を連ねて炉内プロフィールを作成し、炉内プロフィールおよび電極の位置を可視化し、可視化される炉内プロフィールおよび電極の位置に基づいて、操業条件の調整を行うことを特徴とする。
【0019】
前記操業条件の調整は、前記被熔解物の前記炉体内への追加投入に関して行う。また前記操業条件の調整は、前記電極に関して行う。
【0020】
前記複数の電極のうちの少なくとも一部は、前記炉体に対して相対変位可能に設けられ、前記電極に関して行う操業条件の調整は、該相対変位可能な電極を変位させて行う。
【0021】
前記塊状物の溶融温度として予め定められる温度の位置を、炉体の炉壁に複数の測定箇所を分布させ、各測定箇所で炉壁の厚さ方向に複数の温度センサを設けて検出する温度を用いて熱伝導計算することによって求める。
【発明の効果】
【0022】
本発明の電気炉の操業方法によれば、溶解効率が高くて処理能力に優れるとともに、電力原単位が低く抑えられ、さらに棚吊り等のトラブル発生を防止することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の操業方法の実施に好適に用いられる電気炉10の構成を簡略化して示す。
【0024】
本発明の操業方法に好適に用いられる電気炉10は、電気抵抗炉11と、可視化装置12とを含む。可視化装置12は、後述するように炉内プロフィール20を作成して表示する。なお、図1に示す電気抵抗炉11で、図13に示す電気抵抗炉1と対応する部分については同一の参照符号を付し、重複する説明を省略する。この電気炉10は、ステンレス鋼の生産工程で発生する副生物である製鋼原料を溶解することに使用される。
【0025】
電気抵抗炉11は、内面が耐火材3によって内張りされる炉体4と、3本の棒状電極5と、電極5を昇降させることによって炉体4に対して相対変位させる電極昇降装置21と、電極5の昇降量を測定する昇降量測定器22と、耐火材3の内部に設けられる複数の温度センサ23とを含む。電気抵抗炉11は、開口部2の上部に炉蓋を備えるものであっても良い。なお、図1では図示を省略しているけれども、電気抵抗炉11の周囲には、電極5に電力を供給する電源、炉体内へ原料を投入するためのシュータ、その他の炉の稼動のために必要な機器、装置が備えられる。
【0026】
炉体4は、鋼製であり、ほぼ円筒形状を有し、上方に開口部2が形成される容器状構造体である。炉体4の底部および側壁は耐火材3によって内張りされる。電気抵抗炉11では、耐火材3として、定形の耐火レンガ3aと、不定形耐火物3bとが用いられる。
【0027】
電極5は、炭素製であり、円柱または円筒形状を有する。電極5には、その長さ方向の所定位置に通電用の端子24である通称ホルダーが設けられる。端子24には前述のように図示を省略するケーブルが接続され、該ケーブルを介して電源が接続され、電源から電力供給される。
【0028】
電極5の炉体内に位置する端部と反対側の端部は保持部材25に装着される。保持部材25は電極昇降装置21の駆動で昇降変位する。電極昇降装置21は、昇降駆動部26と操作部27とを含む。また昇降量測定器22は、昇降駆動部26と保持部材25との間に設けられ、電極5が昇降した変位量を測定する。操作部27から昇降駆動部26を操作して、電極5を1本ずつ個別に昇降させることができ、また3本まとめて昇降させることができる。
【0029】
温度センサ23には、たとえばアルメル−クロメル熱電対が用いられる。熱電対はアルメル−クロメルに限定されるものではなく、白金−白金・ロジウムなど他の種類の熱電対であっても良い。また温度センサ23は、熱電対に限定されるものではなく、高温に耐えて温度測定できるものであれば他のものであっても良い。
【0030】
図2は、炉体内の周方向に熱電対23が設けられる位置を示す。熱電対23は、炉体内の周方向に適宜な間隔をおいて14箇所に配置される。熱電対23が配置される周方向の位置および配置される箇所の数は特に限定されるものではないが、熱電対23は炉体内の周方向全体にわたって配置されることが好ましい。周方向全体にわたって炉内状況を把握できるようにするためである。
【0031】
図2中において電極5の周囲に散在し仮想線で囲まれる領域28は、シュータから炉体内へ原料が投入される位置を表す。電気抵抗炉11では、9箇所に原料の投入位置が設定される。
【0032】
熱電対23は、炉体4の内周に沿った設置箇所の各位置において電極5の昇降方向に4箇所設けられる。図1では、熱電対23が電極昇降方向に設けられる位置を、炉の浅い方から深い方へ向かって順番にA、B、C、Dとして表す。熱電対23が電極5の昇降方向に設けられる位置A〜Dは、電極5の昇降範囲、特に電極5の炉体内に位置する先端部が昇降する範囲にわたって配置されることが望ましい。電極昇降方向にも炉内状況を把握し、通電時に最も発熱量が大きくなる電極先端部が配置されるべき位置を特定できるようにするためである。
【0033】
図3は、熱電対23が耐火材3の厚さ方向に設けられる位置を示す。熱電対23は、電極昇降方向における1つの設置箇所において、耐火材3の厚さ方向に異なる位置2箇所を選択して設置される。後述する炉内プロフィール作成装置31によって炉内プロフィールを作成するためには、炉体4の側壁を構成する耐火材3の厚さ方向の異なる位置で温度を測定し、耐火材3の厚さ方向の熱流量を求めなければならない。したがって、熱電対23は、耐火材3の厚さ方向に少なくとも2箇所以上設置されることが必要である。
【0034】
可視化装置12は、炉内プロフィール作成装置31と、図形処理装置32と、表示装置33とを含む。炉内プロフィール作成装置31は、炉内プロフィール演算部34と入力部35とを含む。入力部35は、たとえばキーボードなどで構成され、耐火材3およびクラスト8の熱伝導率ならびに耐火材3の厚さを炉内プロフィール演算部34へ入力することができる。
【0035】
炉内プロフィール演算部34は、入力部35から入力されるデータと、熱電対23で検出される温度とを用いて熱伝導計算を行い、クラスト8の溶融温度として予め定められる温度の炉体内における位置を算出し、該位置を連ねて形成される炉内プロフィール20を作成する。
【0036】
図形処理装置32は、図形処理部36と入力部37とを含む。入力部37は、たとえばキーボードなどで構成され、電極5の寸法である長さおよび直径を図形処理部36へ入力することができる。図形処理部36は、入力されるデータを元に図形化処理、すなわち入力されるデータを画像情報に変換するものである。炉内プロフィール作成装置31によって作成される炉内プロフィールは、図形処理部36に対して出力され、図形処理部36で画像情報に変換される。また、図形処理装置32では、電極長さおよび電極昇降装置21の動作に基づいて推定される炉体内の電極位置を図形化することができる。
【0037】
図形処理装置32は、炉内プロフィールまたは電極位置だけを図形化することもでき、また炉内プロフィールと電極位置とを1つに集合して図形化することもできる。
【0038】
表示装置33は、たとえば液晶ディスプレイまたは陰極線管などで実現され、図形処理装置32から出力される画像情報を受けて可視像として表示する。表示装置33は、さらにプリンタを含むものであっても良い。
【0039】
本発明の操業方法についての説明の前に、電気抵抗炉11おける溶解動作について簡単に説明する。溶解開始前においては、電極5は、その先端部がタップ孔6とほぼ同じ深さの位置にあり、この状態で炉体内に原料と還元剤、また必要に応じて造滓剤等のスラグ成分調整材が投入される。
【0040】
次いで、電源から電極5へ電力供給して電極相互間に通電することによって上記の原料等に直接電流を流す。直接通電によって原料等で発生する抵抗発熱を利用して原料等を溶解させる。原料等の溶解が進行するのに応じて、炉体内へ追加の原料が投入され、投入された原料が逐次溶解される。溶解された原料、特に金属成分がある程度の量に達すると、電極5に対する電力供給が停止され、溶解した金属成分および溶融スラグが、タップ孔6から排出される。
【0041】
電気抵抗炉11では、原料等の初期投入から溶解された金属成分および溶融スラグが炉外へ排出されるまでを一連の動作として繰り返し実行される。前記一連の動作をチャージと呼ぶ。
【0042】
本発明の方法は、炉体内で複数の電極間で通電して、電極間に介在する被溶解物である原料を溶解させる電気炉10の操業方法であって、原料が炉体4の内壁に固着して生成されるクラスト8の溶融温度として予め定められる温度の位置を連ねて炉内プロフィール20を作成し、炉内プロフィール20および電極5の位置を可視化し、可視化される炉内プロフィール20および電極5の位置に基づいて、操業条件の調整を行う。
【0043】
炉内プロフィール作成において、クラスト8の溶融温度として予め定められる温度の炉体内における位置は、上記のように炉体4の炉壁に複数の測定箇所を分布させ、各測定箇所で炉壁の厚さ方向に複数の熱電対23を設けて検出する温度を用いて熱伝導計算することによって求められる。
【0044】
図4は、炉内プロフィール作成装置31における炉内プロフィールの求め方を説明するものである。なお、図4は、熱電対23が設置される場所のうち、炉体4の周方向の1箇所であって、かつ電極昇降方向の1箇所における断面を見たものである。図4に例示する電気抵抗炉11では、基礎耐火材層41、第1耐火レンガ層42、第2耐火レンガ層43、第3耐火レンガ層44および不定形耐火物がスタンプされたスタンプ層45の5層からなる耐火材3の層と、その炉体内方側に固着した原料であるクラスト8が存在する構成となっている。
【0045】
図4中のλ1〜λ5は、耐火レンガ層42〜44、スタンプ層45およびクラスト8の熱伝導率であり、b1〜b5は、前記各層の厚さである。
【0046】
熱電対23は、耐火材3の厚さ方向に2箇所、すなわち、基礎耐火材層41と第1耐火レンガ層42との間、および第2耐火レンガ層43と第3耐火レンガ層44との間に設けられる。基礎耐火材層41と第1耐火レンガ層42との間に設置される熱電対23を熱電対23α、第2耐火レンガ層43と第3耐火レンガ層44との間に設置される熱電対23を熱電対23βで表す。
【0047】
熱電対23αおよび23βによる測温結果は、炉内プロフィール演算部34へ入力される。この測温結果と、入力部35から入力される熱伝導率および厚さのデータに基づいて炉内プロフィールが求められる。図4の例示では、クラスト8の溶融温度として予め定められる温度を1200℃としている。クラスト8の融点は、その組成によって異なるが、炉壁に付着したクラスト8を採取し、ゼーゲルコーン試験などによって予め求めることができる。
【0048】
次に、炉内プロフィール演算部34における炉内プロフィールの求め方について説明する。なお、炉内プロフィールを求めるにあたって、炉体4の側壁に対する垂直方向の熱流量Qが一定であると仮定している。
【0049】
まず、熱電対23αおよび23βの測温結果t1およびt3を用いて、炉体4の側壁に対する垂直方向の熱流量Qを算出する。熱流量Qを求めるための基本式は式(1)で与えられる。
Q=K・ΔT ・・・(1)
ここで、 K:熱貫流率
ΔT:各層の表裏間の温度差[deg]
Q:熱流量[Kcal/m・h]
【0050】
第1および第2耐火レンガ層42,43における熱貫流率Kは、それぞれの熱伝導率と厚さとを用いて式(2)で与えられるので、熱流量Qが式(3)で求められる。
1/K=b1/λ1+b2/λ2 ・・・(2)
Q=K・(t3−t1) ・・・(3)
【0051】
熱流量Qを一定と仮定しているので、各層の熱伝導率λと、厚さbとを用いて、以下の式(4)〜(6)から熱電対が設置されていない層境界の温度t2,t4,t5が求められる。
Q=λ2/b2・(t3−t2)・・・(4)
Q=λ3/b3・(t4−t3)・・・(5)
Q=λ4/b4・(t5−t4)・・・(6)
【0052】
t5が、1200℃以下の場合、クラスト8の溶融位置を示すクラスト8の厚さb5は、スタンプ層45の侵食されていない表面、またはクラスト8の厚さ方向のどこかにあるので、式(7)によって求められる。
Q=λ5/b5・(1200−t5)・・・(7)
【0053】
またt5が1200℃を超える場合、クラスト8がすべて溶融していることを示し、スタンプ層45が侵食されて、1200℃となる位置がスタンプ層45内のどこかにあり、そのスタンプ層45の厚さbxは式(8)で求められる。
Q=λ4/bx・(1200−t4)・・・(8)
【0054】
図4に例示する電気抵抗炉11では、基礎耐火材層41から第2耐火レンガ層43までの厚さが0.25mになるように形成されるので、1200℃となる炉内位置までの距離Lは、t5が1200℃以下の場合には式(9)で求められ、t5が1200℃を超える場合には式(10)で求められる。
L=(0.25+b3+b4+b5)・・・(9)
L=(0.25+b3+bx) ・・・(10)
【0055】
表1および表2に示す実測データに基づいて演算した例を以下に示す。表1に示す耐火レンガ層はシャモットレンガからなり、スタンプ層はカーボンペーストからなる。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
上記の式(2)および式(3)から熱貫流率Kおよび熱流量Qが求められる。
1/K=0.065/0.84+0.115/0.92からK=4.9、
Q=4.9(679.8−266.8)からQ=2023.7である。
【0059】
以下この熱流量Qを用いて、上記式(4)〜(6)から、温度t2,t4,t5がそれぞれ次のように求められる。t2=426.8℃、t4=909.5℃、t5=1219.8℃である。t5が1200℃を超えるので、炉体内の1200℃となる位置は、上記式(8)で求められる。
【0060】
2023.7=4.5/bx(1200−909.5)からbx=0.646となる。したがって、1200℃となる炉内位置までの距離Lは、上記式(10)から、L=(0.25+0.115+0.646)=1.011mとなる。
【0061】
炉内プロフィール作成装置31では、熱電対23が設置されるすべての箇所について上記の演算が行われ、炉内で1200℃となる位置を連ねて形成される炉内プロフィールが作成される。
【0062】
炉内プロフィール作成装置31によって作成される炉内プロフィールは、図形処理部36に対して出力され、図形処理部36で画像情報に変換される。図形処理部36で画像情報に変換された炉内プロフィールは、さらに図形処理部36から表示装置33へ出力され、表示装置33で可視像にされる。
【0063】
なお、ここでは図形処理装置32での図形化に際し、炉内プロフィール作成装置31によって得られる距離Lを、円筒形状を有する炉体4の半径である3.5mから減算し、炉体4の中心からの距離として炉内プロフィールを表している。
【0064】
表示装置33で可視像にされた炉内プロフィールの例を図5および図6に示す。図5は、電気抵抗炉11の上面から見た炉内プロフィールである。図5には、図1に示す電極昇降方向における熱電対設置箇所のうち、相異なるA、BおよびCそれぞれの位置における炉の周方向の炉内プロフィールを示す。図5中の第1の曲線51がA位置での炉内プロフィールを示し、以下第2の曲線52がB位置、第3の曲線53がC位置の炉内プロフィールを表す。なお、先の図2で示したように炉の周方向には14箇所に熱電対23を設置しているが、図5では12箇所からの温度測定結果に基づいて炉内プロフィールを求めている。
【0065】
図6は、電気抵抗炉11の断面から見た炉内プロフィールである。図6には、炉の周方向に熱電対23を設置した箇所のうち、1箇所について電極昇降方向にA位置、B位置およびC位置を連ねて形成される炉内プロフィールを示す。本来周方向の1箇所ごとに図示するべきであるけれども、周方向12箇所のそれぞれにおける深さ方向の炉内プロフィールを便宜上1つの断面上に重ねて表示したものである。図6にT1〜T12で示す曲線は、周方向の12箇所の熱電対設置位置のそれぞれに対応する炉内プロフィールである。
【0066】
したがって、図6に示すA位置のデータを周方向に配置し、該データを連ねて形成される曲線が図5の第1の曲線51である。同様に図6のB位置のデータを周方向に配置して得られるのが第2の曲線52であり、C位置のデータを周方向に配置して得られるのが第3の曲線53である。
【0067】
炉体内の電極5の位置は、図形処理装置32によって求められる。炉体内の電極位置の推定はたとえば次のようにして行うことができる。電極5の寸法、特に長さを実測して入力部37から図形処理部36へ入力する。また図形処理部36には、炉体4の縁などに定められる基準位置から電極5が相対的に変位した量を昇降量測定器22で測定して入力される。この電極長さと、電極5の基準位置からの変位量とに基づいて電極5の位置、特に電極5の先端位置を推定することができる。
【0068】
電極先端は操業を通じて消耗するが、たとえば以下のような補正をすることによって電極位置の推定精度を向上することができる。電極5の長さを1日に1回実測する。操業1チャージあたりの電極消耗量は経験則から求められるので、1チャージごとに前記実測値に対して電極消耗量を減算する修正を行う。該修正値を入力部37から図形処理部36へ入力することによって電極5の推定位置の補正をすることができる。
【0069】
また、炉体内の電極5の位置を可視化するステップは、図形処理部36で求められた炉体内の電極5の推定位置が、画像情報に変換され、図形処理部36から表示装置33へ出力されて表示装置33で可視像にされることで実行される。図形処理装置32は、炉内プロフィールまたは電極位置だけを図形化することもでき、また炉内プロフィールと電極位置とを1つに集合して図形化することもできる。
【0070】
図7は、炉内プロフィールと電極の推定位置とを1つに集合して図形化したものである。図7に示すような可視化された炉内プロフィール20および電極5の位置に基づいて、電極5に関する操業条件の調整、すなわち電極5を昇降方向に所望の位置まで変位させ、変位させた位置で電極間への通電が行われる。ここで、所望の位置としては、炉内プロフィール20に基づいて任意の位置が選択され得るけれども、一般的にはクラスト8が炉体4の内方へ最も突出している位置が選択される。図7に示すような可視化された炉内プロフィール20と電極位置とに基づいて、すなわち可視化された炉内状況に基づいて、電極5の推定先端位置を、所望の位置へ精度良く移動させることができる。
【0071】
図8は、電極を所望の位置まで変位させる際の制御フローの一例を示す。ステップa1では、熱電対23による測温結果に基づいて炉内プロフィール作成装置31で炉内プロフィールが作成される。ステップa2では、予め与えられる電極寸法と昇降量測定器22の測定結果とから電極5の位置特に先端位置が求められる。ステップa3では、図形処理装置32と表示装置33とで炉内プロフィールおよび電極位置が、上記図7に示すような1画像として表示される。
【0072】
ステップa4では、炉内プロフィールに対して電極位置が適正か否かが判断される。ここで、電極位置が適正とは、たとえば電極5の先端が、クラスト8が炉の内方へ最も突出している位置にある場合などとして設定することができる。電極5が適正位置にあればステップa7へ進んで運転が継続される。電極5が適正位置にない場合にはステップa5へ進む。
【0073】
ステップa5では、3本の電極5を個別にまたは一括して位置調整する。電極位置を強制的に変位させるので、位置調整後電流・電圧の調整が行われる。その後ステップa6へ進む。ステップa6では、電極位置を調整して炉内状況を確認し、原料および必要に応じて還元剤であるコークスの追加投入位置および量を定めて投入し、ステップa7へ進んで運転を継続する。
【0074】
ステップa4およびa5の電極位置適否の判断と電極位置制御とは、人手によるものであっても良く、また制御装置による自動制御であっても良い。すなわち、操作者が可視化された炉内状況に基づいて判断し、その判断結果に応じて電極昇降装置21を動作させるようにしても良く、またマイクロコンピュータなどの制御装置を備え、炉内プロフィールと電極位置との入力に応答して制御装置が電極昇降装置21を動作制御するようにしても良い。
【0075】
電極5の先端位置付近は抵抗発熱量が最も多いので、電極先端位置をたとえばクラスト8が炉内側へ最も突出して成長した位置へ精度良く移動させることによって、該位置のクラスト8を優先的に溶解させることができる。したがって、クラスト8が炉内側へ大きく成長することを防止することが可能になり、炉内容積が減少することを防止できる。
【0076】
前述の図5および図6に示す炉内プロフィールは、図7に示す可視化された炉内状況に基づいて電極5の先端位置を所望の位置へ変位させてクラスト8を積極的に溶解させた結果得られたものである。
【0077】
図5、図6および図7に示すような可視化された炉内プロフィールおよび電極位置に基づいて原料の追加投入に関する操業条件の調整が行われる。原料の追加投入に際しては、クラスト8が炉体4の内方へあまり成長しておらず炉内プロフィールの狭まっていない位置が、炉体内へ原料を追加投入するのに適した位置として定められるとともに、炉内容積の大きさに従って炉体内へ原料を追加投入するのに適した量が定められる。
【0078】
炉内プロフィールが狭まっていない位置へ適当量の原料を投入することによって、投入された原料は、炉内の電極先端部で通電されて抵抗発熱量の多い場所まで円滑に落下することができる。原料は、炉内へ落ち込んでいくとき、炉内底部からのガスの流れで、予熱、乾燥、予備還元が進むので、落下先の抵抗発熱量が多い場所で効率的に溶解処理が行われる。このような操業方法をとることによって、棚吊りおよび吹上げなどのトラブルの発生が防止され、溶解効率が向上するので、処理能力が向上し電力原単位を改善することができる。
【0079】
また、炉内プロフィールがスタンプ層45などの耐火材3側に位置する場合には、耐火材3の侵食を知ることができる。このことから、耐火材3の異常損耗を早期に察知し、出湯後に炉壁を補修することによって、漏銑などの操業トラブルも未然防止することができる。
【0080】
このことによって、前述したように操業時における棚吊りおよび吹上げなどのトラブルの発生が防止され、溶解効率を改善して処理能力を向上するとともに電力原単位の減少を実現することができる。
【0081】
(実施例)
以下本発明の実施例について説明する。ここでは、本発明の方法である可視化された炉内プロフィールおよび電極推定位置に基づいてクラスト8を積極的に溶解させるとともに、可視化された炉内プロフィールに基づいて炉内容積の大きい位置へ適当量の追加原料を投入するようにして操業した操業実施例と、電極の昇降を電流値制御しながら操業するとともに外観状況から炉内状況を想像して予め定める位置に予め定める量の追加原料を投入するようにして操業した操業比較例との操業実績を比較する。
【0082】
操業実施例および操業比較例ともに、10日ないし11日間操業した実績を抽出し、原料処理量、電力原単位、金属成分生産量および操業安定性について評価した。
【0083】
原料処理量は、電気抵抗炉へ投入して溶解処理することができた原料の量を重量で表したものである。電力原単位は、原料1トンを溶解処理するのに要した電力量である。金属成分生産量は、原料から取り出すことができ製鋼副原料として使用することができた金属成分の量を重量で表したものである。操業安定性は、操業中に発生するトラブルの1種である吹上げの頻度と、入電時および止電時における電極位置の安定性とによって評価した。
【0084】
原料処理量および金属成分生産量は多いほど好ましく、電力原単位は少ない方が好ましい。原料処理量および金属成分生産量については、1日あたりの平均値で評価した。
【0085】
操業安定性のうち操業トラブルは、吹上げの発生がない場合を○、吹上げが発生したけれども発生頻度が少ない場合を△、吹上げの発生頻度が多い場合を×として評価した。
【0086】
操業安定性のうち入電時および止電時の電極位置については、特に止電時の電極位置のばらつきの程度によって評価した。ここで、入電時とは、当該チャージの溶解作業を終えた後、次チャージの溶解のために電極からの通電を開始するときをいう。また止電時とは、炉体内にある程度の金属成分の溶解量が得られ、タップ孔から金属成分の溶湯を出湯するために通電を停止するときをいう。
【0087】
まず、操業安定性のうち入電時および止電時の電極位置の変動を求めた結果を図9および図10に示す。図9は操業実施例の電極位置を示し、図10は操業比較例の電極位置を示す。図9および図10中で、♯1,♯2,♯3は、それぞれ第1,第2,第3電極を表し、入は入電時の電極位置を表し、止は止電時の電極位置を表す。図9および図10は、操業した実績を3本の電極それぞれについて求めた結果を示す。1日に8チャージの溶解を行い、入電時の電極位置は1チャージ目の入電時の位置であり、止電時の電極位置は8チャージ目の止電時の位置である。
【0088】
入電時の電極位置は、操業実施例および操業比較例のいずれにおいても大きくばらついていない。これは次の理由による。炉内にある程度の金属成分の溶解量が得られてタップ孔から出湯する場合、電極を降下させ溶湯を押し出して出湯し易くするが、電極先端を降下させて停止する位置がタップ孔の位置でほぼ一定になるからである。
【0089】
一方、止電時における各電極の位置のばらつきは、操業実施例では約200mm程度に収まっているけれども、操業比較例では300mmを超えている。これは次の理由による。原料の溶解がある程度進行して金属成分の溶湯の上層に溶融スラグが生成されると、電極先端位置は溶湯のほぼ湯面近くにあって、溶融スラグまたは溶融スラグおよび金属成分の溶湯に電極から通電するようになる。操業実施例のように、クラストを積極的に溶解してある程度の大きさの炉内容積を常に確保しながら溶解すると、出湯必要量に達した湯面の位置がチャージごとに、また操業日ごとに大きく変動することがなくほぼ同じ位置になるので、湯面近くの電極先端位置もばらつきが小さくなり、安定操業が実現される。操業比較例のようにクラストの成長と関係なく通電すると、クラストの成長の程度によって電極位置が大きくばらつき安定的な操業が阻害される。すなわちクラストが成長して炉内容積が減少する場合には、溶湯の量が増加するのに伴って湯面が大きく上昇し電極位置も上昇するが、クラストがほとんど成長せずに炉内容積が減少しない場合には、溶湯の量が増加しても湯面が大きく上昇することがなく、電極位置も大きく上昇しない。
【0090】
図11および図12は、図9および図10に示す電極位置を異なる観点で表すものである。図11および図12は、操業実施例および操業比較例のそれぞれについて操業日数の経過に伴う入電時および止電時の電極位置の推移を直線近似して表す。図11および図12から、電極の入電時の位置と止電時の位置との間隔は、操業日数の経過とともに拡大する傾向がある。また11日間の操業終了時点における入電時と止電時との電極位置の間隔は、操業実施例に比べて操業比較例の方が大きく、操業比較例では電極位置特に止電時の電極位置が没入位置の浅い方へ推移してしまい、電極位置の変動が大きいことを示す。
【0091】
このことから、操業実施例では、操業日ごとの炉内容積がほぼ同じで安定しているのに対して、操業比較例では、炉内容積が安定していないことが判る。
【0092】
操業実績の他の評価結果を表3および表4に示す。
【0093】
【表3】

【0094】
【表4】

【0095】
操業実施例は、操業比較例に比べて原料処理量で約8トン/日多く、金属成分生産量で約4トン/日多い。その結果電力原単位も、操業実施例の方が操業比較例よりも大きく改善されている。
【0096】
また操業実施例では、吹上げが発生しないかまたは発生しても頻度が少ないのに対して、操業比較例では、10日間の操業のうち発生頻度の多い日が3日もあり、操業実施例の方が操業比較例よりも操業安定性に優れることが判る。操業実施例の場合、吹上げがほとんど発生しないので熱損失の少ないことも処理能力向上に寄与している。
【0097】
本発明の電気炉の操業方法によれば、溶解効率が改善されて処理能力の向上が実現され、電力原単位も減少させることができ、操業トラブルの発生も防止されることが明らかである。
【0098】
以上で説明しているように、本実施の形態では、炉体内に挿入する電極間で被溶解物に通電する形式の電気抵抗炉の操業方法を、製鋼原料の溶解効率向上に利用している。しかしながら、これに限定されることなく、電極の形式等が異なる電気抵抗炉や、さらには電気抵抗炉以外の電気炉で、産業廃棄物、固化スラグ、焼却灰などの溶解を行う場合に対しても有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の操業方法の実施に好適に用いられる電気炉10の構成を簡略化して示す。
【図2】炉体内の周方向に熱電対23が設けられる位置を示す。
【図3】熱電対23が耐火材3の厚さ方向に設けられる位置を示す。
【図4】炉内プロフィール作成装置31における炉内プロフィールの求め方を説明するものである。
【図5】電気抵抗炉11の上面から見た炉内プロフィールである。
【図6】電気抵抗炉11の断面から見た炉内プロフィールである。
【図7】炉内プロフィールと電極の推定位置とを1つに集合して図形化したものである。
【図8】電極を所望の位置まで変位させる際の制御フローの一例を示す。
【図9】操業実施例の電極位置を示す。
【図10】操業比較例の電極位置を示す。
【図11】操業実施例の電極位置を示す。
【図12】操業比較例の電極位置を示す。
【図13】副生物の溶解に用いられる電気抵抗炉1の構成を示す。
【符号の説明】
【0100】
1,11 電気抵抗炉
3 耐火材
4 炉体
5 電極
8 クラスト
10 電気炉
12 可視化装置
21 電極昇降装置
22 昇降量測定器
23 熱電対
31 炉内プロフィール作成装置
32 図形処理装置
33 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉体内で複数の電極間で通電して、電極間に介在する被溶解物を溶解させる電気炉の操業方法であって、
被溶解物が炉体の内壁に固着して生成される塊状物の溶融温度として予め定められる温度の位置を連ねて炉内プロフィールを作成し、
炉内プロフィールおよび電極の位置を可視化し、
可視化される炉内プロフィールおよび電極の位置に基づいて、操業条件の調整を行うことを特徴とする電気炉の操業方法。
【請求項2】
前記操業条件の調整は、前記被溶解物の前記炉体内への追加投入に関して行うことを特徴とする請求項1記載の電気炉の操業方法。
【請求項3】
前記操業条件の調整は、前記電極に関して行うことを特徴とする請求項1または2記載の電気炉の操業方法。
【請求項4】
前記複数の電極のうちの少なくとも一部は、前記炉体に対して相対変位可能に設けられ、
前記電極に関して行う操業条件の調整は、該相対変位可能な電極を変位させて行うことを特徴とする請求項3記載の電気炉の操業方法。
【請求項5】
前記塊状物の溶融温度として予め定められる温度の位置を、
炉体の炉壁に複数の測定箇所を分布させ、各測定箇所で炉壁の厚さ方向に複数の温度センサを設けて検出する温度を用いて熱伝導計算することによって求めることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の電気炉の操業方法。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2008−116066(P2008−116066A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297099(P2006−297099)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000004581)日新製鋼株式会社 (1,178)
【Fターム(参考)】