説明

電気車制御装置

【課題】インバータ周波数で発生するトルクリップルに起因する騒音を抑制する。
【解決手段】実施形態に係る制御装置は、電気車の主電動機を駆動する可変電圧可変周波数インバータ(VVVFインバータ)を制御する電気車制御装置であって、運転台からのノッチ指令値及び現在の速度に基づいて、前記インバータの第1電流指令値を演算する電流演算部11と、ノッチ指令0が入力された時、前記第1電流指令値を一定の傾きで減少させ、第2電流指令値を提供する電流制御部12と、前記電流制御部12からの前記第2電流指令値に基づいて、インバータゲート指令を生成するベクトル制御部13と、前記ノッチ指令0が入力された時、前記第1電流指令値又は前記インバータの出力電流実際値に基づいて、前記インバータへのゲート指令をオフするまでの時間を演算するオフ時間演算部16と、前記ノッチ指令0が入力された時から、前記オフ時間演算部にて演算された時間経過後、前記インバータへのゲート指令をオフする時間計測部14とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気車の主電動機を駆動するインバータ等の電力変換装置のトルク制御に関する。
【背景技術】
【0002】
図5(a)は、従来の電気車制御装置の構成を示すブロック図であって、特にインバータゲート指令をオフする制御を行うための構成を示している。
【0003】
電気車制御用の可変電圧可変周波数インバータ(以下VVVFインバータ)において、加速中に運転台からVVVFインバータ出力オフ指令、すなわちノッチ指令0が入力された場合、乗り心地を向上させる目的で、VVVFインバータのトルク電流を徐々に低下させる手法が一般に採用されている。このノッチ指令0は、車両を惰性走行させるための指令である。
【0004】
VVVFインバータのトルク電流を徐々に低下させる方法としては第1に、車速すなわちモータ回転速度(以下単に速度という)に係わらず、一定の時間内にVVVFインバータの出力電流を絞り込む方法がある。この方法の場合、車速が比較的低い場合はゆっくりと加速度を低下させ、高い場合は比較的急激に加速度を低下するので、乗り心地に問題が生じる。
【0005】
第2の方法として、乗り心地を改善させるため、VVVFインバータの出力トルクを低下させる比率を一定(前後振動加速度度を一定)にする方法がある。図5(a)は、この第2の方法を実現するための制御装置の構成を示すブロック図である。
【0006】
図5(a)において、電流演算部11は運転台からのノッチ指令値及び現在の速度に基づいて、インバータ出力電流指令値を演算する。ジャーク制御部12は、電流指令値の立ち上がり及び立ち下がりのタイミング及び傾きを制御する電流制御部である。特にジャーク制御部12は、ノッチ指令0が入力された時、電流指令値を一定の減少率(傾きdi/dt)で減少させる。ベクトル制御部13は、ジャーク制御部12からの電流指令値及び他の情報に基づいてベクトル制御し、インバータのゲート指令を生成する。このゲート指令は、主電動機(本例では誘導電動機)を駆動するVVVFインバータへ、出力スイッチ15を介して提供される。オフタイマ14は、ノッチ指令0が入力されてから所定時間後、出力スイッチ15をオフとし、これによりインバータのU、V、W相の全ゲート指令が0に設定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図5(b)、5(c)は、図5(a)に示す制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【0008】
先ず0以外のノッチ指令が入力されると、最初は励磁電流が流れ、モータ回転子に磁束が発生し磁束位置が検出される。この磁束位置はベクトル制御部15にて用いられ、トルク電流分を含む指令値に対応するゲート指令が生成されることで、モータにトルク電流が流れ車両が停止から加速し始める。その後、加速中にノッチ指令0が入力されると、オフタイマ14の時間計測が開始されると共に、電流は一定の傾きで減少してゆく。
【0009】
図5(b)は、ノッチ指令0が入力された時からインバータの電流が、最大値から励磁電流まで減少する時間と、オフタイマの一定計測時間Tcoが一致した場合を示している。図5(c)は、ノッチ指令0が入力された時からインバータの電流が励磁電流まで減少する時間が、オフタイマの一定計測時間Tcoより短い一般的な場合を示している。
【0010】
図5(c)の場合、インバータの電流が励磁電流まで減少してからオフされるまでの時間T1の間、励磁電流によりVVVFインバータの動作が継続することになる。このとき、電流フィードバック制御のため、各インバータ出力相の電流検出器の感度バラつき等により、インバータ周波数成分のトルクリップルが微小に存在する。例えばインバータU相の電流検出器の感度が他の相に比べて低い場合、U相には他の相より大きな電流が流れ、モータにはトルクリップルが発生する。
【0011】
図6はモータ駆動系の構造を示す図である。
【0012】
車両駆動用のモータ(主電動機)20は、モータ駆動軸より継手を介して、車輪22を駆動するためギアボックス21を経由し、車輪22へ回転力を伝達する。この構造で、VVVFインバータ出力として、励磁電流による出力ゼロ付近でのインバータ周波数のトルクリップルが生じた場合、駆動ギア23と被駆動ギア24の遊び分のチャタリング(chattering)が発生し、騒音の原因となる。
【0013】
従って本発明は、インバータ周波数で発生するトルクリップルに起因する騒音を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
実施形態に係る制御装置は、電気車の主電動機を駆動する可変電圧可変周波数インバータ(VVVFインバータ)を制御する電気車制御装置であって、運転台からのノッチ指令値及び現在の速度に基づいて、前記インバータの第1電流指令値を演算する電流演算部11と、ノッチ指令0が入力された時、前記第1電流指令値を一定の傾きで減少させ、第2電流指令値を提供する電流制御部12と、前記電流制御部12からの前記第2電流指令値に基づいて、インバータゲート指令を生成するベクトル制御部13と、前記ノッチ指令0が入力された時、前記第1電流指令値又は前記インバータの出力電流実際値に基づいて、前記インバータへのゲート指令をオフするまでの時間を演算するオフ時間演算部16と、前記ノッチ指令0が入力された時から、前記オフ時間演算部にて演算された時間経過後、前記インバータへのゲート指令をオフする時間計測部14とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は、第1実施形態に係る電気車制御装置の構成を示すブロック図、(b)、(c)は、(a)に示す制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【図2】(a)は、第2実施形態に係る電気車制御装置の構成を示すブロック図、(b)、(c)は、(a)に示す制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【図3】(a)は、第3実施形態に係る電気車制御装置の構成を示すブロック図、(b)、(c)は、(a)に示す制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【図4】(a)は、第4実施形態に係る電気車制御装置の構成を示すブロック図、(b)、(c)は、(a)に示す制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【図5】(a)は、インバータゲート指令をオフする制御を行う従来の電気車制御装置の構成を示し、(b)、(c)は、(a)に示す制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【図6】モータ駆動系の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態に係る電気車制御装置について、図面を参照して説明する。
【0017】
[第1実施形態]
図1(a)は、第1実施形態に係る電気車制御装置の構成を示すブロック図である。この電気車制御装置は、運転台からノッチ指令を入力し、ノッチ指令に対応するトルクを発生するためゲート信号を生成し、主電動機を駆動するインバータに該信号を出力する。
【0018】
電流演算部11は運転台からのノッチ指令値及び現在の速度(車速またはモータ回転速度)に基づいて、インバータ出力電流指令値を演算する。また電流演算部11は一例として、5段階(ノッチ指令1〜5)のノッチ指令値を入力し、電流演算部11のブロック内に示されるように、ノッチ指令値をパラメータとする速度/電流特性に従って、インバータ出力電流指令値を演算する。この速度/電流特性は、運転士の手動操作で運転する時の一般的な特性である。尚、ノッチ指令0はインバータを構成するスイッチング素子を全てオフさせるための指令である。
【0019】
ゲートオフ時間演算部16は、電流演算部11の出力電流指令値を所定の傾きdi/dtで除算することで、ゲートオフ時間Timeを演算する。従って、電流指令値が大きいほど、ゲートオフ時間Timeは大きな値となる。ここで、傾きdi/dtは、ノッチ指令0の入力後にインバータ出力電流を減少させる時の電流(加速度)減少率を示し、乗り心地等から決定される一定値である。
【0020】
オフタイマ14は、ノッチ指令値が0に立ち下がった時に時間計測を開始し、T端子に入力されるゲートオフ時間Timeが経過すると、Q端子に時間計測終了を示す信号(例えば論理1)を出力する時間計測部である。この信号に応じて出力スイッチ15はオフされ、インバータのU、V、W相の全ゲート指令が0に設定される。
【0021】
ジャーク制御部12及びベクトル制御部13の動作は図5で前述した通りである。
【0022】
図1(b)、1(c)は、図1(a)に示す制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【0023】
先ず0以外のノッチ指令が入力されると前述したように、最初は励磁電流Imがモータの固定子に流れ、回転子に磁束が発生し磁束位置が検出される。この磁束位置、電流指令値及び速度等に基づいて、ベクトル制御部15はゲート指令を生成し、モータにトルク電流が流れ車両が発進する。
【0024】
その後、ノッチ指令0が入力されると、オフタイマ14はゲートオフ時間演算部から提供されていたゲートオフ時間をラッチすると共に、例えばその値のカウントダウンを行い時間計測を開始する。このときジャーク制御部12は出力電流指令値を、ノッチ指令0の入力直前の値から所定の傾きdi/dtで減少させてゆく。ベクトル演算部13は、減少する電流指令値に対応するゲート指令を生成し、出力スイッチ15を介してVVVFインバータに提供する。この結果、車両の加速度は徐々に減少される。
【0025】
図1(b)は、ノッチ指令0が入力された時からインバータの電流が、最大値から励磁電流まで減少した場合を示し、図1(c)は最大値の1/2の電流から励磁電流まで減少した場合を示す。何れの場合でも、インバータの電流が励磁電流まで減少すると、オフタイマ14の時間計測は完了し、出力スイッチ15がオフされ、全てのゲート指令がオフに設定される。
【0026】
従って、従来の図5(c)のように、ノッチ指令0を入力して電流値が減少した後、モータが励磁電流で動作することが無いので、インバータ周波数成分のトルクリップルが発生せず、モータ駆動系のギアのチャタリングは大幅に低減される。
【0027】
尚、本実施形態では、ゲートオフ時間Timeは電流指令値に基づいて算出したが、電流指令値の代わりにインバータに流れている実際の電流値あるいはその平均値に基づいて算出しても良い。
【0028】
[第2実施形態]
図2(a)は、第2実施形態に係る電気車制御装置の構成を示すブロック図である。
【0029】
第2実施形態の構成は、図1(a)の第1実施形態に比べ、電流演算部11及びゲートオフ時間演算部16の構成が異なっている。本例でも電流演算部11は、一例として5段階のノッチ指令値を入力し、図2(a)に示される速度/電流特性に従って、インバータ出力電流指令値を演算する。この速度/電流特性は、自動定速度運転に適した特性であって、出力電流指令値は全速度域において、ノッチ指令値毎に異なっている。すなわち出力電流指令値(トルク電流分)はノッチ指令値に実質的に比例している。運転士が走行中に自動定速度運転を選択すると、図2(a)に示されるような速度/電流特性が適用され、速度が一定に保たれる。尚、この速度/電流特性は、図1の速度/電流特性と好適に併用される。
【0030】
ゲートオフ時間演算部16は、例えばノッチ指令値を常に所定時間記憶し、ノッチ指令0が入力されると、直前のノッチ指令値を読出す。またゲートオフ時間演算部16は、読み出したノッチ指令値を所定の傾きdi/dtで除算し、更に係数Kを乗算することで、ゲートオフ時間Timeを算出する。このようにゲートオフ時間は、図2に示すようなノッチ指令値に対する速度/電流特性に応じて、ノッチ指令値そのものを使用して好適に演算できる。
【0031】
図2(b)、2(c)は、図2(a)に示す制御装置の動作を示すタイムチャートであるが、図1(b)、1(c)の第1実施形態と同様であるから、詳細な説明は割愛する。
【0032】
[第3実施形態]
図3(a)は、第3実施形態に係る電気車制御装置の構成を示すブロック図である。
【0033】
第3実施形態の構成は、図5(a)の従来構成に比べ、ジャーク制御部12とベクトル制御部13の間に、電流指令補正部17aが追加されている。
【0034】
電流指令補正部17aは、ノッチ指令0が入力され、電流指令値が一定の傾きdi/dtで減少し、励磁電流値よりLだけ大きな値まで減少すると、その値を保持する。出力スイッチ15はオフタイマ14の時間計測結果に基づいて、ノッチ指令0が入力されてから一定時間Tco後オフされる。
【0035】
図3(b)、3(c)は、図3(a)に示す制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【0036】
図3(b)は、ノッチ指令0が入力された時からインバータの電流が、最大値から励磁電流まで減少する時間と、オフタイマの一定計測時間Tcoが一致した場合を示しており、図5(b)と同様である。図3(c)は、ノッチ指令0が入力された時からインバータの電流が励磁電流まで減少する時間が、オフタイマの一定計測時間Tcoより短い一般的な場合を示している。
【0037】
図3(c)の場合、インバータの電流が励磁電流+Lの値まで減少すると、電流指令補正部17aの動作により、その値が維持される。この電流指令補正制御により、モータは僅かなプラス方向のトルクを発生する。この状態を図6のモータ駆動系構成図で説明する。被駆動ギア24が回転方向Aに回転すると車両が前進する場合、電流指令補正部17aの働きにより、駆動ギア23には回転方向Bのトルクが僅かに発生している。この結果、ギア23と24間のギャップCは無くなり、常に接触状態を維持しようとするので、ギアのチャタリングが大幅に抑制される。
【0038】
[第4実施形態]
図4(a)は、第4実施形態に係る電気車制御装置の構成を示すブロック図である。
【0039】
第4実施形態の構成は、図5(a)の従来構成に比べ、ジャーク制御部12とベクトル制御部13の間に、電流指令補正部17bが追加されている。
【0040】
電流指令補正部17bは、ノッチ指令0が入力され、電流指令値が一定の傾きdi/dtで減少し、励磁電流値まで減少すると、マイナスの補正値を重畳し、その値を保持する。出力スイッチ15はオフタイマ14の時間計測結果に基づいて、ノッチ指令0が入力されてから一定時間後オフされる。
【0041】
図4(b)、4(c)は、図4(a)に示す制御装置の動作を示すタイムチャートである。
【0042】
図4(b)は、ノッチ指令0が入力された時からインバータの電流が、最大値から励磁電流まで減少する時間と、オフタイマの一定計測時間Tcoが一致した場合を示しており、図5(b)と同様である。図4(c)は、ノッチ指令0が入力された時からインバータの電流が励磁電流まで減少する時間が、オフタイマの一定計測時間Tcoより短い一般的な場合を示している。
【0043】
図4(c)の場合、インバータの電流が励磁電流値まで減少すると、電流指令補正部17bの動作により、マイナスの補正値(−L)が電流に重畳される。この電流指令補正制御により、モータには僅かなマイナス方向のトルクが発生する。この状態を図6のモータ駆動系構成図で説明する。被駆動ギア23が回転方向Aに回転すると車両が前進する場合、電流指令補正部17bの働きにより、駆動ギア23には回転方向Bとは逆方向のトルクが僅かに発生する。この結果、ギア23と24間のギャップDは無くなり、常に接触状態を維持しようとするので、ギアのチャタリングが大幅に抑制される。
【0044】
以上説明したように上記実施形態によれば、VVVFインバータの出力ゼロ付近でインバータ周波数のトルクリップルが生じることを回避し、ギアの遊び分のチャタリングによる騒音発生を防ぐことが可能となる。
【0045】
以上の説明はこの発明の実施の形態であって、この発明の装置及び方法を限定するものではなく、様々な変形例を容易に実施することができるものである。例えば、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を構成できる。
【符号の説明】
【0046】
11…電流演算部、12…ジャーク制御部、13…ベクトル制御部、14…オフタイマ、15…出力スイッチ、16…ゲートオフ時間演算部、17…電流指令補正部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車の主電動機を駆動する可変電圧可変周波数インバータ(VVVFインバータ)を制御する電気車制御装置であって、
運転台からのノッチ指令値及び現在の速度に基づいて、前記インバータの第1電流指令値を演算する電流演算部と、
ノッチ指令0が入力された時、前記第1電流指令値を一定の傾きで減少させ、第2電流指令値を提供する電流制御部と、
前記電流制御部からの前記第2電流指令値に基づいて、インバータゲート指令を生成するベクトル制御部
前記ノッチ指令0が入力された時、前記第1電流指令値又は前記インバータの出力電流実際値に基づいて、前記インバータへのゲート指令をオフするまでの時間を演算する時間演算部と、
前記ノッチ指令0が入力された時から、前記時間演算部にて演算された時間経過後、前記インバータへのゲート指令をオフする時間計測部と、
を具備する制御装置。
【請求項2】
前記時間演算部は、前記第1電流指令または前記出力電流実際値が大きいほど、前記インバータへのゲート指令をオフするまでの時間を長く設定することを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記電流演算部は、各ノッチ指令に対する電流/速度特性に従って、前記インバータの第1電流指令値を演算し、前記電流/速度特性は全速度域において各ノッチ指令固有の電流値を有し、前記電流値は同一速度においてノッチ指令値の大きさに比例していることを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項4】
前記時間演算部は、前記ノッチ指令0が入力される直前のノッチ指令に基づいて、前記インバータへのゲート指令をオフするまでの時間を設定することを特徴とする請求項1又は3記載の制御装置。
【請求項5】
前記時間演算部は、前記ノッチ指令0が入力される直前のノッチ指令が大きいほど、前記インバータへのゲート指令をオフするまでの時間を長く設定することを特徴とする請求項4記載の制御装置。
【請求項6】
電気車の主電動機を駆動する可変電圧可変周波数インバータ(VVVFインバータ)を制御する電気車制御装置であって、
運転台からのノッチ指令値及び現在の速度に基づいて、前記インバータの第1電流指令値を演算する電流演算部と、
ノッチ指令0が入力された時、前記第1電流指令値を一定の傾きで減少させ、第2電流指令値を提供する電流制御部と、
前記電流制御部からの前記第2電流指令値に基づいて、インバータゲート指令を生成するベクトル制御部と、
前記ノッチ指令0が入力された時から所定時間経過後、前記インバータへのゲート指令をオフする時間計測部と、
前記電流制御部により、前記第2電流指令値が前記主電動機の励磁電流値付近まで減少した場合、前記第2電流指令値を微小トルクが発生する値に補正する電流指令補正部と、
を具備する制御装置。
【請求項7】
前記電流指令補正部は、前記第2電流指令値が前記主電動機の励磁電流値付近まで減少した場合、前記第2電流指令値をプラス側の微小トルクが発生する値に補正することを特徴とする請求項6記載の制御装置。
【請求項8】
前記電流指令補正部は、前記第2電流指令値が前記主電動機の励磁電流値付近まで減少した場合、前記第2電流指令値をマイナス側の微小トルクが発生する値に補正することを特徴とする請求項6記載の制御装置。
【請求項9】
電気車の主電動機を駆動する可変電圧可変周波数インバータ(VVVFインバータ)を制御する制御方法であって、
運転台からのノッチ指令値及び現在の速度に基づいて、前記インバータの第1電流指令値を演算するステップと、
ノッチ指令0が入力された時、前記第1電流指令値を一定の傾きで減少させ、第2電流指令値を提供するステップと、
前記第2電流指令値に基づいて、インバータゲート指令を生成するステップと、
前記ノッチ指令0が入力された時、前記第1電流指令値又は前記インバータの出力電流実際値に基づいて、前記インバータへのゲート指令をオフするまでの時間を演算するステップと、
前記ノッチ指令0が入力された時から、前記演算されたオフするまでの時間の経過後、前記インバータへのゲート指令をオフするステップと、
を具備する制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−147604(P2012−147604A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5072(P2011−5072)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】