説明

電池の故障判定装置

【課題】電流遮断機構の作動検知を速やかに行うことを目的とする。
【解決手段】複数の単電池12を備え、電池の異常状態において電流を遮断する電流遮断機構を備えた車両用の組電池11と、組電池11とモータ34に供給される組電池11の電力の電圧を調整するコンバータ31とを接続する接続回路に接続され、コンバータ31のスイッチング動作に伴う電圧変動を抑制するフィルタコンデンサ18と、フィルタコンデンサ18の電圧値に関する情報を取得する第1の電圧センサ19と、フィルタコンデンサ18の電圧値の変化の度合いに基づき、電流遮断機構の作動の有無を判別するコントローラ30と、を有することを特徴とする電池の故障判定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流遮断機構を備えた組電池の故障を検知する電池の故障判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池異常時に電池セルに設けられた電流遮断機構を作動させることにより電流を遮断する機能を備えた電源機器が知られている。特許文献1は、電池セル群の電圧から電流遮断機構の作動した電池セルの有無を判断し、作動が判定された場合は電流経路の一部に接続したスイッチング素子を駆動して組電池の充放電を停止させる電源機器を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−182779号公報
【特許文献2】特開2008−253064号公報
【特許文献3】特開平08−075811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、電池セル群の電圧の変化を検知するまでに時間を要するため、電流遮断機構の作動検知を速やかに行うことができなかった。そこで、本発明は、電流遮断機構の作動検知を速やかに行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願発明に係る電池の故障判定装置は、(1)複数の単電池を備え、電池の異常状態において電流を遮断する電流遮断機構を備えた車両用の組電池と、前記組電池とモータに供給される前記組電池の電力の電圧を調整するコンバータとを接続する接続回路に接続され、前記コンバータのスイッチング動作に伴う電圧変動を抑制するフィルタコンデンサと、前記フィルタコンデンサの電圧値に関する情報を取得する第1の電圧センサと、前記フィルタコンデンサの電圧値の変化の度合いに基づき、前記電流遮断機構の作動の有無を判別するコントローラと、を有することを特徴とする。
【0006】
(2)上記(1)の構成において、さらに、前記組電池の電流値に関する情報を取得する電流センサを備え、前記コントローラは、前記電流センサにより検出される電流値が前記組電池の内部において断線したことを示す断線閾値であり、かつ、前記フィルタコンデンサの電圧値の変化の度合が変化量閾値よりも高い場合には、前記電流遮断機構が作動したものと判別してもよい。
【0007】
(2)の構成によれば、電池異常以外の要因でフィルタコンデンサの電圧値が急激に変動した場合に(例えば、車両がスリップした場合)、コントローラが電流遮断機構が作動したものと誤判断するのを防止できる。
【0008】
(3)上記(1)又は(2)の構成において、前記組電池は、複数の前記単電池を備える電池ブロックを複数備え、各前記電池ブロックはそれぞれ第2の電圧センサを備えることができる。
【0009】
(3)の構成によれば、第2の電圧センサが電池異常により使用できなくなった場合でも、電流遮断機構の作動の有無を判別することができる。また、電流遮断機構の作動の有無が早期に判別されることにより、第2の電圧センサを保護できる場合もある。第2の電圧センサが保護されることにより、不具合の解析が容易となる。
【0010】
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかの構成において、各前記単電池は、使用電圧を超えたときに前記コントローラに信号を出力する出力回路部を備えてもよい。
【0011】
(4)の構成によれば、出力回路部が電池異常により使用できなくなった場合でも、電流遮断機構の作動の有無を判別することができる。また、電流遮断機構の作動の有無が早期に判別されることにより、出力回路部を保護できる場合もある。出力回路部が保護されることにより、不具合の解析が容易となる。
【0012】
(5)上記(1)〜(4)のいずれかの構成において、前記単電池は、リチウムイオン電池であってもよい。
【0013】
(6)上記(5)の構成において、前記接続回路には、電流の通電状態を切り替えるリレーが設けられており、前記コントローラは、前記電流遮断機構が作動すると、前記リレーをオフしてもよい。
【0014】
(6)の構成によれば、組電池に高圧の電力が印加され続けるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電流遮断機構の作動検知を速やかに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】故障判定装置のブロック図である。
【図2】充電時に電流遮断機構が作動したときの、昇圧前フィルタコンデンサの電圧挙動を示す模式図である。
【図3】放電時に電流遮断機構が作動したときの、昇圧前フィルタコンデンサの電圧挙動を示す模式図である。
【図4】ΔVLの変動量を算出する方法を模式的に示したグラフである。
【図5】ΔVLの時間的な変化を示したグラフである。
【図6】実施例1の故障判定方法を示すフローチャートである。
【図7】実施例2の故障判定方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施例1)
図1は電池の故障判定装置のブロック図である。本実施例の故障判定装置1は、バッテリの電力によってモータを駆動し、このモータの駆動力により車輪を回転させる第1の駆動経路と、内燃機関で得られた駆動力により車輪を回転させる第2の駆動経路とを動力源として兼用するハイブリッド自動車に搭載することができる。
【0018】
組電池11は、複数の電池ブロック13を備える。これらの電池ブロック13は電気的に直列に接続されている。各電池ブロック13は、複数の単電池12を含む。これらの単電池12は、電気的に直列に接続されている。単電池12は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池などの二次電池であってもよい。
【0019】
コントローラ30は、故障判定装置1全体の制御を司る。各電池ブロック13はそれぞれ、電圧センサ14aを備える。各電圧センサ14aは、各電池ブロック13の電圧を検出して、その検出結果をコントローラ30に出力する。電流センサ14bは、組電池11に流れる電流を検出して、その検出結果をコントローラ30に出力する。
【0020】
各単電池12はそれぞれ、電圧値が使用電圧を超えると、コントローラ30に信号を出力する図示しない出力回路部と、電流遮断機構を備える。単電池12の使用電圧は、電池の劣化を防止する観点から設定される設計値であり、電池の種類に応じて異なる。電流遮断機構は、電流が過剰に流れたときに自己発熱により溶融して電流を遮断する電流ヒューズであってもよい。電流遮断機構は、周辺の温度が伝熱することにより可溶体が溶断して電流を遮断する温度ヒューズであってもよい。電流遮断機構は、特開平10−302744号公報に記載されるような圧力による変形を利用して単電池12内の電流経路を遮断する機構であってもよい。
【0021】
コントローラ30は、メモリ21に記憶された種々のプログラムを実行する。メモリ21は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、VRAM(Video RAM)であってもよい。
【0022】
組電池11は、システムメインリレーSMR−G,SMR−B,SMR−Pを介して、コンバータとしての昇圧回路31に接続されている。組電池11のプラス端子には、システムメインリレーSMR−Gが接続され、組電池11のマイナス端子には、システムメインリレーSMR−Bが接続されている。また、システムメインリレーSMR−Pおよびプリチャージ抵抗17は、システムメインリレーSMR−Bに対して並列に接続されている。
【0023】
これらのシステムメインリレーSMR−G,SMR−B,SMR−Pは、コイルに対して通電したときに接点が閉じるリレーである。SMRがオンとは通電状態を意味し、SMRがオフとは非通電状態を意味する。
【0024】
コントローラ30は、電流遮断時、すなわちイグニッションスイッチのポジションがOFF位置になるときには、全てのシステムメインリレーSMR−G,SMR−B,SMR−Pをオフする。すなわち、システムメインリレーSMR−G,SMR−B,SMR−Pのコイルに対する励磁電流をオフにする。なお、イグニッションスイッチのポジションは、OFF位置→ACC位置の順に切り替わる。
【0025】
ハイブリッドシステム起動時(メイン電源接続時)、すなわち、たとえば運転者がブレーキペダルを踏み込んでプッシュ式のスタートスイッチを押し込むと、コントローラ30は、最初にシステムメインリレーSMR−Gをオンにする。次に、コントローラ30は、システムメインリレーSMR−Pをオンしてプリチャージを実行する。
【0026】
システムメインリレーSMR−Pにはプリチャージ抵抗17が接続されている。このため、システムメインリレーSMR−Pをオンしてもインバータ32への入力電圧は緩やかに上昇し、突入電流の発生を防止できる。
【0027】
コントローラ30は、インバータ32の電圧値が、例えば、組電池11の電圧値の約80%〜100%程度に達したとき、或いはインバータ32の電圧値が略電池モジュール13の電圧値に等しくなったときに、プリチャージを完了し、システムメインリレーSMR−PをオフしてシステムメインリレーSMR−Bをオンする。
【0028】
イグニッションスイッチのポジションがON位置からOFF位置に切り替わると、コントローラ30は、先ずシステムメインリレーSMR−Bをオフし、続いてシステムメインリレーSMR−Gをオフする。これにより、組電池11とインバータ32との間の電気的な接続が遮断され、電源遮断状態となる。
【0029】
昇圧回路31は、組電池11の出力電圧を昇圧して、インバータ32に供給する。インバータ32は、昇圧回路31からの直流電力を交流電力に変換し、交流電力をモータ・ジェネレータ(三相交流モータ)34に供給する。これにより、モータ・ジェネレータ34が駆動され、モータ・ジェネレータ34で生成された運動エネルギは、車輪に伝達されて車両を走行させることができる。ここで、昇圧回路31およびインバータ32により、パワーコントロールユニット33が構成される。
【0030】
一方、車両の制動時において、モータ・ジェネレータ34は、車両の運動エネルギを電気エネルギに変換して、インバータ32に供給する。インバータ32は、モータ・ジェネレータ34からの交流電力を直流電力に変換する。昇圧回路31は、インバータ32からの直流電力を降圧して、昇圧前フィルタコンデンサ18に供給する。
【0031】
昇圧前フィルタコンデンサ18は、昇圧回路31のスイッチング動作に応じて直流電力に付与される電圧の変動を平滑化する。コンデンサ電圧センサ19は、昇圧前フィルタコンデンサ18の両端の電圧を測定する。コントローラ30は、コンデンサ電圧センサ19により測定された電圧値をメモリ21に記憶するが、詳細については後述する。
【0032】
次に、組電池11の内部において電流遮断機構が作動したときの、昇圧前フィルタコンデンサ18の電圧変化について説明する。図2は、組電池11の充電時に単電池12の電流遮断機構が作動した場合における、昇圧前フィルタコンデンサ18の電圧挙動を模式的に示した模式図であり、横軸は経過時間を示し、縦軸は昇圧前電圧VLを示す。同図を参照して、組電池11の充電時に電流遮断機構が作動すると、それまで充電に用いられていた電流が組電池11に流れなくなり、昇圧前フィルタコンデンサ18の昇圧前電圧VLが上昇する。
【0033】
昇圧前フィルタコンデンサ18は、昇圧前電圧VLが上限電圧値よりも高くならないように設計されている。昇圧前フィルタコンデンサ18の昇圧前電圧VLは、上限電圧値に達すると、徐々に又は急激に低下する。
【0034】
図3は、組電池11の放電時に単電池12の電流遮断機構が作動した場合における、昇圧前フィルタコンデンサ18の電圧挙動を模式的に示した模式図であり、横軸は経過時間を示し、縦軸は昇圧前電圧VLを示す。同図を参照して、組電池11の放電時に電流遮断機構が作動すると、パワーコントロールユニット33は、組電池11から電力を取得することが不可能となるため、昇圧前フィルタコンデンサ18にチャージされた電荷を取得するように動作する。その結果、昇圧前フィルタコンデンサ18の昇圧前電圧VLが降下する。
【0035】
このように、組電池11に含まれるいずれかの単電池12において電流遮断機構が作動した場合には、昇圧前フィルタコンデンサ18の昇圧前電圧VLが大きく変動する。したがって、この電圧変化の度合いに基づき、電流遮断機構の動作の有無を速やかに判別することができる。
【0036】
具体的には、昇圧前フィルタコンデンサ18の昇圧前電圧VLの変化の度合いを示すΔVLの変動量が閾値(変化量閾値)を超えたときに、単電池12の電流遮断機構が動作したものと判別することができる。変化量閾値は、電池の種類、解析結果などに応じて設定される設計値であってもよい。
【0037】
図4は、ΔVLの変動量を算出する方法を模式的に示したグラフであり、横軸が時間、縦軸が昇圧前電圧VLである。図5は、ΔVLの時間的な変化を示したグラフであり、横軸が時間、縦軸がΔVLである。
【0038】
ΔVLは、所定周期でサンプリングした昇圧前電圧VLを所定回数積算することにより算出される。所定周期は8msecであってもよい。所定回数は5回であってもよい。つまり、40msec毎にΔVLを算出してもよい。
【0039】
ここで、昇圧前電圧VLをサンプリングする周期は、誤検知を防止する観点から、設計的に定められるものであり、車両への搭載条件、電池の種類などに応じて変動する。例えば、車両タイヤの摩擦抵抗が急激に変動する場合(スリップ状態の場合、グリップ状態の場合を含む)、電流遮断機構が作動した場合と同様に昇圧前フィルタコンデンサ18の昇圧前電圧VLは急激に変動する。しかしながら、昇圧前電圧VLのサンプリング周期を適切な値に設定することにより、昇圧前電圧VLの電圧変化の挙動の違いを明確化することができる。
【0040】
次に、組電池11の内部が断線したときの故障判定方法について、図6のフローチャートを参照しながら説明する。ステップS101において、コントローラ30は、コンデンサ電圧センサ19の出力、つまり昇圧前電圧VLをサンプリングする。ステップS102において、コントローラ30は、サンプリング回数が所定回数に達したか否かを判別する。サンプリング回数が所定回数に達した場合には、ステップS103に進む。
【0041】
ステップS103において、コントローラ30は、所定回数サンプリングした昇圧前電圧VLを合算してΔVLを算出する。ステップS104において、コントローラ30は、メモリ21に記憶された直近に算出したΔVLと比較して、ΔVLの変動量を算出する。
【0042】
ステップS105において、コントローラ30は、ΔVLの変動量が閾値を超えたか否かを判別する。ΔVLの変動量が閾値を超えている場合には、ステップS106に進む。
ステップS106において、コントローラ30は、電流遮断機構が作動したものと判別する。
【0043】
コントローラ30は、電流遮断機構が作動したと判別した場合には、システムメインリレーSMR−G、SMR−Bをオフに切り替える。これにより、高圧な電流が組電池11に継続して印加されるのを防止できる。その結果、組電池11を高圧から保護することができる。
【0044】
電流遮断機構が作動した場合、電流遮断機構が作動した箇所の電圧値は増大する。このため、組電池11の電圧値から電流遮断機構の作動の有無を判別する方法が考えられる。しかしながら、電流遮断機構が作動するような電池の異常状態においては、単電池12から受ける熱などによって電圧センサ14aが正常に機能しないおそれがある。本実施形態の故障判定装置によれば、電圧センサ14aが正常に機能しない場合であっても、コンデンサ電圧センサ19により検出される昇圧前フィルタコンデンサ18の電圧値の変化の度合いに基づき、電流遮断機構が作動したことを検知することができる。したがって、信頼性の高い故障判定装置を提供することができる。
【0045】
各単電池12に設けられた電圧が所定値を超えると信号を出力する各出力回路部から出力される信号に基づき、電流遮断機構の作動の有無を判別する方法も考えられる。しかしながら、電流遮断機構が作動するような電池の異常状態では、組電池11から受ける熱などによって出力回路部が正常に機能しないおそれがある。本実施形態の構成によれば、出力回路部が正常に機能しない場合であっても、コンデンサ電圧センサ19により検出される昇圧前フィルタコンデンサ18の電圧値の変化の度合いに基づき、電流遮断機構が作動したことを検知することができる。したがって、信頼性の高い故障判定装置を提供することができる。
【0046】
その一方、電流遮断機構が作動したことを早期に検知することにより、各電圧センサ14aの機能を損なうことなく保護できる場合がある。この場合、電圧センサ14aにより検出された電圧値を回収時に調べることにより、故障した電池ブロック13が特定され、不具合の解析が容易となる。
(実施例2)
実施例1では、昇圧前フィルタコンデンサ18の電圧値の変化の度合いのみに基づき、電流遮断機構の作動の有無を判別したが、本実施例ではさらに電流センサ14bの電流値を判別基準に含める。
【0047】
単電池12が正常に動作している場合には、組電池11に電流が流れる。他方、単電池12の電流遮断機構が作動している場合には、組電池11に電流が流れない。したがって、組電池11に流れる電流値を検知する電流センサ14bの検知結果を用いることにより、より正確な遮断検知を行うことができる。すなわち、実施例1では、昇圧前電圧VLのサンプリング周期を適切な値に設定することにより、いわゆるスリップ状態などの場合と電流遮断機構が作動する場合とを区別したが、本実施例においては必ずしもこのような区別を行う必要がない。組電池11の回路には、スリップなどにより昇圧前電圧VLが急激に変化した場合には電流が流れ、電流遮断機構が作動した場合には電流が流れない。
【0048】
したがって、電流センサ14bにより検出される電流値が断線を示す値(以下、断線閾値という)であり、かつ、昇圧前フィルタコンデンサ18の昇圧前電圧VLの変化の度合いが閾値よりも大きい場合には、単電池12の電流遮断機構が作動したものと判別することができる。
【0049】
ここで、断線閾値は、0A、或いは0A以外であってもよい。組電池11の内部が断線している場合、当然のことながら、組電池11の内部には電流が流れない。しかしながら、電流センサ14bのオフセット誤差により、組電池11の内部が断線しているにも拘わらず、電流センサ14bにより検出される電流値が0Aとならない場合(例えば、±4A)がある。また、このようにオフセット誤差がある場合でも、いわゆる学習機能を備えることにより、オフセット誤差が徐々に小さくなる場合もある(例えば、±0.5A)。このように断線閾値は、故障判定装置の設計条件に基づき変動するものである。
【0050】
図7のフローチャートを参照しながら、組電池11の内部が断線した場合の故障判定方法について説明する。ステップS201において、コントローラ30は、電流センサ14bにより検出される電流値が断線閾値であるか否かを判別する。本フローチャートでは、断線閾値が0Aであるものとする。
【0051】
ステップS202において、コントローラ30は、コンデンサ電圧センサ19の出力、つまり昇圧前電圧VLをサンプリングする。ステップS203において、コントローラ30は、サンプリング回数が所定回数に達したか否かを判別する。サンプリング回数が所定回数に達した場合には、ステップS204に進む。
【0052】
ステップS204において、コントローラ30は、サンプリングした昇圧前電圧VLを合算してΔVLを算出する。ステップS205において、コントローラ30は、メモリ21に記憶された直近に算出したΔVLと比較して、ΔVLの変動量を算出する。
【0053】
ステップS206において、コントローラ30は、ΔVLの変動量が閾値を超えたか否かを判別する。ΔVLの変動量が閾値を超えている場合には、ステップS207に進む。
ステップS207において、電流センサ14bにより検出される電流値を再度サンプリングし、0Aから変化がない場合にはステップS208に進む。
【0054】
ステップS208において、コントローラ30は、電流遮断機構が作動したものと判別する。
【0055】
コントローラ30は、電流遮断機構が作動したと判別した場合には、システムメインリレーSMR−G、SMR−Bをオフに切り替える。これにより、高圧な電流が組電池11に継続して印加されるのを防止できる。
【0056】
(変形例1)
コントローラ30は、コンデンサ電圧センサ19から出力される電圧値が閾値を超えたときに、昇圧前電圧VLの変化の度合が大きいと判別してもよい。この場合、コントローラ30は、ΔVLを算出せずに、所定周期でサンプリングされた各昇圧前電圧VLを閾値と比較することにより、電流遮断機構の作動の有無を判別する。
【符号の説明】
【0057】
1 故障判定装置 11 組電池 12 単電池
13 電池ブロック 14a 電圧センサ 14b 電流センサ
17 プリチャージ抵抗 18 昇圧前フィルタコンデンサ
19 コンデンサ電圧センサ 31 昇圧回路 32 インバータ
34 モータ・ジェネレータ34


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池を備え、電池の異常状態において電流を遮断する電流遮断機構を備えた車両用の組電池と、
前記組電池とモータに供給される前記組電池の電力の電圧を調整するコンバータとを接続する接続回路に接続され、前記コンバータのスイッチング動作に伴う電圧変動を抑制するフィルタコンデンサと、
前記フィルタコンデンサの電圧値に関する情報を取得する第1の電圧センサと、
前記フィルタコンデンサの電圧値の変化の度合いに基づき、前記電流遮断機構の作動の有無を判別するコントローラと、を有することを特徴とする電池の故障判定装置。
【請求項2】
さらに、前記組電池の電流値に関する情報を取得する電流センサを備え、
前記コントローラは、前記電流センサにより検出される電流値が前記組電池の内部において断線したことを示す断線閾値であり、かつ、前記フィルタコンデンサの電圧値の変化の度合が変化量閾値よりも高い場合には、前記電流遮断機構が作動したものと判別することを特徴とする請求項1に記載の電池の故障判定装置。
【請求項3】
前記組電池は、複数の前記単電池を備える電池ブロックを複数備え、各前記電池ブロックはそれぞれ第2の電圧センサを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電池の故障判定装置。
【請求項4】
各前記単電池は、使用電圧を超えると前記コントローラに信号を出力する出力回路部を備えることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の電池の故障判定装置。
【請求項5】
前記単電池は、リチウムイオン電池であることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一つに記載の電池の故障判定装置。
【請求項6】
前記接続回路には、電流の通電状態を切り替えるリレーが設けられており、
前記コントローラは、前記電流遮断機構が作動すると、前記リレーをオフすることを特徴とする請求項5に記載の電池の故障判定装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−85455(P2012−85455A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230273(P2010−230273)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】