説明

電池モジュール

【課題】電線端末部における不具合を生じさせずに放熱性を向上させることが可能な電池モジュールを提供する。
【解決手段】一列状に並んだ電極端子12A,12Bのうちの端部の電極端子12Aには、フラット電線50に接続された第一端子金具70が取り付けられており、第一端子金具70は、電極端子12Aに挿通されて電極端子12Aと電気的に接続される電極側接続部71と、電極側接続部71の面よりもフラット電線50のフラットな面に沿う側に延出されてフラット電線50に接続される電線側接続部72とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド車用の電池モジュールは、正極及び負極の電極端子を有する単電池が横並びに配置されている。これら隣り合う単電池の電極端子間が接続部材(バスバー)で接続されることにより複数の単電池が直列や並列に接続されるようになっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−067184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記構成では、電極端子間を接続部材で接続する必要があるため、電極端子間ごとに接続部材を取り付けるという煩雑な作業が必要になる。
そこで、複数の接続部材を樹脂内に一体成形した電池接続プレートを形成し、この電池接続プレートを横並びに配置された単電池に取り付けることで、一度に複数の接続部材を取り付けることが考えられる。
【0005】
しかしながら、複数の接続部材を一体成形した電池接続プレートを用いる場合には、単電池の数が多くなると、電池接続プレートを成形するための金型が大型化し、そのためのコストが大きくなってしまう。また、単電池の数を変更する場合には、単電池の数に応じた長さの別の金型を新たに用意して、異なる長さの電池接続プレートを成形する必要が生じ、金型の形成等のコストが大きくなってしまうため、その分の製造コストが嵩むという問題があった。
そこで、本願発明者らは、複数の接続部材を一体成形した電池接続プレートではなく、接続部材の数に応じた樹脂製のユニットを設け、これらユニット同士を連結して複数の単電池に取り付けるようにした電池接続アセンブリを検討するに至った。
【0006】
ところで、接続部材により直列や並列に接続された単電池は、その端部における単電池の電極端子に負荷に連なる丸形の電線の端末部の丸形端子を電極端子に取り付けるようになっているが、丸形の電線は、放熱性が十分ではないことが問題となっていた。そこで、丸形の電線に代えて、扁平な形状のフラット導体を絶縁層で被覆して構成されたフラット電線を用いることが出来れば、そのフラット電線の表面積の大きさゆえに放熱性を向上させることができる。しかしながら、フラット電線は、そのフラットな形状ゆえに、丸形の電線と比較して屈曲させる方向の自由度が少なく、端子金具を電極端子に接続するとフラット電線に捩れを生じるおそれがあるという問題があった。
【0007】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、電線端末部における不具合を生じさせずに放熱性を向上させることが可能な電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電池モジュールは、単電池を複数個並べた単電池群における一列状に並んだ電極端子の隣り合う電極端子間を接続する金属製の接続部材を単位ユニット内に収容し、この単位ユニットを複数個連ねて構成される電池接続アセンブリを前記単電池群に装着して構成される電池モジュールであって、前記単位ユニットは、前記接続部材を収容する収容部と、扁平な形状のフラット導体を絶縁層で被覆して構成されたフラット電線をフラットな面が前記接続部材の面に対して交差する方向となるように保持する保持部と、を備え、前記一列状に並んだ電極端子のうちの端部の電極端子には、前記フラット電線に接続された第一端子金具が取り付けられており、前記第一端子金具は、前記電極端子に挿通され前記電極端子と電気的に接続される電極側接続部と、前記電極側接続部の面よりも前記フラット電線のフラットな面に沿う側に延出されて前記フラット電線に接続される電線側接続部とを有するところに特徴を有する(手段1)。
【0009】
フラット電線と電極端子とを電気的に接続しようとした場合、フラット電線は、一般に使用されている丸形の電線と比較して屈曲させる方向の自由度が少ない。そのため、フラット電線に接続した端子金具を電極端子に接続した場合にはフラット電線に捩れを生じてしまうおそれがある。一方、手段1の構成によれば、第一端子金具の電線側接続部は、電極側接続部の面よりもフラット電線のフラットな面に沿う側に延出されているため、この電線側接続部に接続されるフラット電線に生じる捩れを抑制することができる。よって、電池モジュールについて、電線端末部における不具合を生じさせずに放熱性を向上させることが可能となる。
【0010】
手段1の構成に加えて、前記単位ユニットにおける前記保持部は、前記フラット電線のフラットな面が前記接続部材の面に対して直交する方向で前記フラット電線を保持するものであり、前記電線側接続部の面は、前記電極側接続部の面と直交する方向に延出されているようにしてもよい(手段2)。
手段2の構成によれば、フラット電線のフラットな面が接続部材の面に対して直交する方向に配置される関係になるため、フラット電線をコンパクトに収容できるとともに、電線側接続部の面は、電極側接続部の面と直交する方向に延出されているため、フラット電線に生じる捩れを抑制することができる。
【0011】
手段1又は手段2の構成に加えて、前記第一端子金具は、前記単電池群の端部の単電池に装着される端部ユニットに収容されており、前記端部ユニットは、前記単位ユニットに連って前記電池接続アセンブリを構成するようにしてもよい(手段3)。
手段3の構成によれば、第一端子金具が収容された端部ユニットを他の単位ユニットとともに電池接続アセンブリとして単電池群に取り付けることが可能になるため、取付作業性を向上させることができる。
【0012】
手段1ないし手段3のいずれかの構成に加えて、前記単位ユニットには、溝部が設けられ、前記複数の単位ユニットを連ねると隣り合う前記溝部により電圧検知用の電線が配される電圧検知溝が構成され、前記収容部には、外部と絶縁するための仕切り壁が設けられており、前記保持部は、前記仕切り壁と前記溝部における溝壁との間に前記フラット電線を保持するようにしてもよい(手段4)。
手段4の構成によれば、収容部と溝部の構成を利用して、フラット電線を保持するための保持部を構成することができる。
【0013】
手段4の構成に加えて、前記単位ユニットは、前記収容部と前記溝部とを接続する接続部を備え、前記接続部が前記フラット電線を下方から支持するとともに、前記接続部材には、電圧検知用電線の端末部に取り付けられた電圧検知用端子が重ねられており、前記電圧検知用電線は、前記収容部から前記接続部に沿って前記溝部に導かれるようにしてもよい(手段5)。
手段5の構成によれば、収容部と溝部とを接続するための構成を利用して電圧検知線を溝部に導くことができる。
【0014】
手段1ないし手段5のいずれかの構成に加えて、前記一列状に並んだ電極端子のうち、前記第一端子金具が取り付けられた電極端子とは異なる側の端部の電極端子には、フラット電線に接続された第二端子金具が取り付けられており、前記第二端子金具は、前記電極端子に挿通され前記電極端子と電気的に接続される電極側接続部と、前記電極側接続部の面に沿う方向に延出されて前記フラット電線に接続される電線側接続部とを有するようにしてもよい(手段6)。
手段6の構成によれば、簡易な構成で第二端子金具とフラット電線とを接続することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電池モジュールについて電線端末部における不具合を生じさせずに放熱性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態1に係る電池モジュールを表す平面図
【図2】電池接続アセンブリを表す平面図
【図3】電池接続アセンブリを表す側面図
【図4】単位ユニットを表す分解斜視図
【図5】電池接続アセンブリの一端側の端部ユニットを表す分解斜視図
【図6】電池接続アセンブリの他端側の端部ユニットを表す分解斜視図
【図7】実施形態2に係る接続部材と電圧検知線との接続を表す斜視図
【図8】図7の各構成部品を表した斜視図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態を図1〜図6を参照しつつ説明する。
本実施形態の電池モジュール10は、電極端子12A,12Bを有する単電池11を複数個並べた単電池群に隣り合う電極端子12A,12B間を接続する電池接続アセンブリ20を装着して構成されるものであり、例えば、電気自動車またはハイブリッド自動車等の車両の駆動源として使用される。以下では、左右方向(幅方向)については図1を基準とし、図1の上方を前方、下方を後方とし、図1の紙面手前側を上方、紙面奥方を下方として説明する。
【0018】
電池モジュール10は、図1に示すように、例えば12個(複数個)の単電池11(単電池群)と、12個の単電池11を直列に接続するための電池接続アセンブリ20とを備えて構成されている。
単電池11は、内部に図示しない発電要素が収容された本体部13と、本体部13の端面から垂直に突出するボルト状の電極端子12A,12B(正極を12A,負極を12Bとして図示)とを有する。
【0019】
電極端子12A,12Bは、本体部13の上下の端部(図1では上端部側のみ図示)に設けられており、複数の単電池11が左右に隣接配置されることで、電極端子12A,12Bが一列状に並んで配置される。
なお、単電池11の上下の電極端子12A,12Bの極性は逆になっているとともに、隣り合う単電池11の極性(正負)の向きは、互いに異極の電極端子12A,12Bが隣り合うように構成されている。
【0020】
電池接続アセンブリ20は、図2に示すように、横並びに連なる例えば5個(複数個)の単位ユニット21と、5個の単位ユニット21の端部に連なる端部ユニット61,62とから構成されている。なお、単電池群の裏面側にも6個の単位ユニット21からなる電池接続アセンブリ(端部ユニット61,62を有さない)が取り付けられているが説明は省略する。
各単位ユニット21は、図4に示すように、電極端子12A,12B間を接続する接続部材22と、電圧検知線Wの端末部に取り付けられた電圧検知端子24(電圧検知用端子)と、接続部材22及び電圧検知端子24が装着される合成樹脂製の基部27とを備えており、隣り合う2個(又は所定個数)の単電池11に対して1個の単位ユニット21が複数の単電池11の上面に載置される。
【0021】
接続部材22は、銅、銅合金、ステンレス鋼(SUS)等の金属からなり、概ね長方形状をなし、電極端子12A,12Bが挿通される通し孔23,23を有する。
電圧検知端子24は、単電池11の電圧を検知するためのものであって、接続部材22の概ね左半分の領域に重ねられており、矩形の平板部25と、平板部25の後方に連なり電圧検知線W(電圧検知用電線)が圧着される圧着部26とからなる。
平板部25は、中心部に電極端子12Bを挿通可能な円形の通し孔25Aが形成されている。
圧着部26は、電圧検知線Wの芯線部分を圧着するワイヤバレル部と、電圧検知線Wを絶縁被覆の上からかしめて保持するインシュレーションバレル部とを有する。
電圧検知線Wは、芯線が絶縁被覆(絶縁層)で覆われた被覆電線であり、その端末では、絶縁被覆が剥ぎ取られて芯線が露出している。
【0022】
基部27は、接続部材22及び電圧検知端子24を収容する収容部28と、電圧検知線Wを挿通する溝部34と、収容部28及び溝部34を接続しフラット電線50を保持する保持部40とを備える。
収容部28は、接続部材22が載置される底面部29と、底面部29の外縁部から立ち上がり接続部材22を囲むように形成されてなる仕切り壁30とを有する。
底面部29は、電極端子12A,12Bが挿通される開口部が底面部29のほぼ全体に形成されており、底面部29の幅方向の中間部には、前後の仕切り壁30を連結する支持部29Aが形成されている。
【0023】
仕切り壁30は、工具等が電極端子12A,12B及び接続部材22に接触して短絡することを防止するために、工具等の接触が防止される高さで接続部材22の周囲に環状に立設されている。
【0024】
仕切り壁30のうち、支持部29Aの上方には、内方側に突出する係止凸部31が形成されている。係止凸部31と底面部29との間に接続部材22が挟まれた状態で係止される。
後方側の仕切り壁30には、仕切り壁30を分断する通し溝33が形成されている。
なお、詳しくは後述するが後方側の仕切り壁30は、他の部分よりも高く立設された保持壁43を有している。
【0025】
溝部34は、底板35と、底板35の両側縁から起立し、互いに対向配置された1対の溝壁部36,36により形成されており、単位ユニット21が左右に連結された場合には、隣り合う単位ユニット21の溝部34同士が連なることにより上方に開口する電線挿通溝を形成する。この電線挿通溝に配索された電圧検知線Wは図示しない電池ECUに導かれる。この電池ECUは、マイクロコンピュータ、素子等が搭載されたものであって、単電池11の電圧・電流・温度等の検知、各単電池11の充放電コントロール等を行うための機能を備えた周知の構成のものである。
前方側の溝壁部36には、溝壁部36,36を分断する通し溝37が形成されている。
なお、後述するが前方側の溝壁部36には他の部分よりも高く立設された保持壁44を有している。
【0026】
保持部40は、収容部28と溝部34とを接続する接続部41と、フラット電線50を前後両側から挟んで保持する一対の保持壁43,44とを備えている。
接続部41は、フラット電線50を下側から支えて保持する機能を有する部分であり、後側の仕切り壁30の下端部及び前側の溝壁部36の下端部を連ねるように左右一対設けられており(右側は図示略)、全体としてわずかに撓み変形可能になっている。左側の接続部41には、電圧検知線Wが通されるコ字状の電線通し凹部が形成されている。電圧検知線Wは、収容部28の通し溝33、接続部41の電線通し凹部、溝壁部36の通し溝37を通って溝部34に配される。
前側の保持壁43は、その基端部が仕切り壁30と一体となって仕切り壁30を上方に延出した形状をなしており、後側の保持壁43は、その基端部が前側の溝壁部36と一体となって溝壁部36を上方に延出した形状をなしている。
【0027】
これら一対の保持壁43,44の上端部には、内方側に突出する一対の係止部45,45が設けられている。係止部45,45は、先端側に向けて先細になる爪状をなす。係止部45,45の左右両側には、一対のスリットが設けられており、係止部45,45を含む部分が撓み変形可能な撓み片46となっている。これにより、フラット電線50を保持部40に装着する際に、フラット電線50の側縁部側から一対の係止部45,45間に挿入すると、撓み片46が外方側に撓み変形し、フラット電線50の側縁部が接続部41に当接するまで挿入されると撓み片46が復元変形してフラット電線50が接続部41と係止部45,45との間にほぼ隙間なく挟み込まれて保持される。
【0028】
保持壁43の高さは、フラット電線50をフラットな面50Aが接続部材22の平面と直交する方向となる姿勢でフラット電線50の側縁部を接続部41と係止部45,45との間に挟み込んで保持できる高さに設定される。
【0029】
フラット電線50は、扁平な形状のフラット導体51と、フラット導体51の周囲を覆う絶縁被覆53(絶縁層)とからなる。
フラット導体51は、複数本の芯線52を互いに接触状態で隣接配置することにより芯線全体として扁平な形状(断面略角形)としたものであって、各芯線52は、金属素線を撚り合わせたものが用いられている。なお、フラット導体51として、複数本の芯線52を有するものに代えて、断面長方形状の一本の金属導体からなる平角導体を用いてもよい。
【0030】
なお、本実施形態では、電池モジュール10は単電池11を直列に接続してなるものであるため、図示はしないが、電池モジュール10の下面側にも隣り合う異極の電極端子12A,12Bを接続するように単位ユニット21からなる(端部ユニット61,62は有さない)電池接続アセンブリが取り付けられている。
【0031】
端部ユニット61,62は、図1に示すように、単電池11の並び方向における一端側の第一ユニット61と、単電池11の並び方向における他方の端部側の第二ユニット62とからなる。
第一ユニット61は、図5に示すように、フラット電線50(第一フラット電線)の端末部に接続された第一端子金具70と、電圧検知端子24と、第一端子金具70及び電圧検知端子24が装着される合成樹脂製の基部61Aとからなる。
【0032】
第一端子金具70は、電極端子12Aに接続される電極側接続部71と、電極側接続部71の面に対して直交する方向に延出された電線側接続部72と、からなり、電極側接続部71と電線側接続部72との境界が、ほぼ直角に屈曲する屈曲部73となっている。これにより、電線側接続部72は、フラット電線50のフラットな面50Aに沿う方向(沿う側に近づくように)に延出されている。
【0033】
電極側接続部71は、矩形の平板であって、中心部に電極端子12A,12Bを挿通可能な通し孔71Aを有する。
電線側接続部72の幅寸法は、電極側接続部71の幅寸法よりも小さくなっており、これにより、電極側接続部71の後端面には、電線側接続部72が延出されない非延出部71Bが設けられ、電線側接続部72の左側に電圧検知線Wを挿通するスペースが確保されるようになっている。
この第一端子金具70の成形は、金属板材を展開形状に打ち抜いた後に曲げ加工を施すことにより行われる。
【0034】
電線側接続部72とフラット電線50との接続は、フラット電線50の端末部において絶縁被覆が剥ぎ取られて露出したフラット導体51に対して行われ、フラット導体51のフラットな面側と電線側接続部72の面72Aとの間に溶接や半田付け等の公知の接続手段を用いることで行われる。なお、電線側接続部72にかしめ片(ワイヤバレル)を形成し、フラット導体51を両側若しくは片側からかしめて圧着するようにしてもよい。
【0035】
基部61Aは、第一端子金具70を収容する箱形の収容部74と、電圧検知線Wを挿通する溝部80と、収容部74と溝部80とを接続する接続部84とを備えている。
収容部74は、接続部材22が載置される底面部75と、底面部75の外縁部から立ち上がる仕切り壁76が設けられている。
底面部75は、電極端子12Aが挿通される開口部が底面部75のほぼ全体に形成されている。
【0036】
仕切り壁76は、工具等が電極端子12A及び接続部材22に接触して短絡することを防止できる高さで立設されている。
【0037】
仕切り壁76のうち後方側については、左端から所定寸法の端壁76Aを残すことで、開口部76Bが形成されており、この開口部76Bに第一端子金具70とフラット電線50との接続部分を挿通させるようになっている。
仕切り壁76には、内方側に突出する一対の係止凸部77が形成されている。この係止凸部77は、一方が前側の仕切り壁76の内面に形成され、他方が端壁76Aの内面に形成されている。この係止凸部77と底面部75との間に第一端子金具70の電極側接続部71が挟まれて保持される。
【0038】
溝部80は、底板81と、底板81の両側縁から起立し、互いに対向配置された上下一対の溝壁部82,82により形成されており、隣り合う単位ユニット21の溝部34に連なる。
前方側の溝壁部82には、溝壁部82を分断する通し溝82Aが形成されている。
通し溝82Aは、上下方向の中間部より上方が傾斜状に広がる形状をなす。
【0039】
接続部84は、後側の仕切り壁76の下端部(底面部75)及び前側の溝壁部82の下端部(底板81)に連なるように設けられており、全体としてわずかに撓み変形可能になっている。この接続部84には、電圧検知線Wが通されるコ字状の電線通し凹部が形成されている。電圧検知線Wは、接続部84の電線通し凹部、通し溝82Aを通って溝部80に配される。
【0040】
第二ユニット62は、図6に示すように、フラット電線50(第二フラット電線)の端末部に接続された第二端子金具90と、電圧検知端子24と、第二端子金具90及び電圧検知端子24が装着される合成樹脂製の基部62Aとからなる。
第二端子金具90は、平板状であって、電極端子12A,12Bに挿通されて電極端子12A,12Bと電気的に接続される電極側接続部91と、電極側接続部91と一体に形成され電極側接続部91の面に対して同一平面上(電極側接続部91の面に沿う方向)に延出されて芯線に接続される電線側接続部92とからなる。
【0041】
電極側接続部91は、中心部に電極端子12A,12Bを挿通可能な通し孔91Aを有する。
電線側接続部92とフラット電線50との接続は、フラット電線50の端末部において絶縁被覆が剥ぎ取られて露出したフラット導体51に対して行われ、フラット導体51のフラットな面側と電線側接続部92の面との間に溶接や半田付け等の公知の接続手段を用いることで行われる。なお、電線側接続部92にかしめ片(ワイヤバレル)を形成し、フラット導体51を両側若しくは片側からかしめて圧着するようにしてもよい。
【0042】
基部62Aは、第二端子金具90を収容する収容部93と、電圧検知線Wを挿通する溝部96と、収容部28と溝部96とを接続する接続部99とを備えている。
収容部93は、底面部94と、底面部94のうち、右端側を除いた外縁部から立ち上がる仕切り壁95が設けられている。
底面部94は、電極端子12Bが挿通される開口部が形成されている。
【0043】
仕切り壁95は、工具等が電極端子12B及び接続部材22に接触して短絡することを防止するために、工具等の接触が防止される高さで立設されており、右端側については、フラット電線50の端末部を挿通するために仕切り壁95を有さない挿通部95Aとなっている。
【0044】
仕切り壁95には、内方側に突出する係止凸部95Bが仕切り壁95の前後に一対形成されている。これら一対の係止凸部95Bのうち、後方の係止凸部95Bは、左右一対のスリットの間に形成された撓み片95Cの先端部に形成されている。底面部94と係止凸部95Bとの間に第二端子金具90が挟まれた状態で係止される。
後方側の仕切り壁95には、仕切り壁95を分断する通し溝95Dが形成されている。
【0045】
溝部96は、底板97と、底板97の両側縁から起立し、互いに対向配置された上下一対の溝壁部98,98により形成されており、この溝部96が隣接する単位ユニット21の溝部34に連なる。
前方側の溝壁部98には、溝壁部98を分断する通し溝98Aが形成されている。
通し溝98Aは、上下方向の中間部より上方が傾斜状に広がる形状をなす。
【0046】
接続部99は、仕切り壁95の下端部(底板部94)及び前側の溝壁部98の下端部(底板97)に連なるように設けられており、全体としてわずかに撓み変形可能になっている。この接続部99には、電圧検知線Wが通されるコ字状の電線通し凹部が形成されている。電圧検知端子24から延出された電圧検知線Wは、通し溝95D、接続部99の電線通し凹部、通し溝98Aを通って溝部96に配される。
【0047】
次に、電池接続アセンブリ20の組み付けについて説明する。
接続部材22及び電圧検知線Wの端末に接続された電圧検知端子24を基部27に収容して各単位ユニット21を形成するとともに、端子金具70,90及び電圧検知線Wの端末に接続された電圧検知端子24を基部61A,62Aに収容して端部ユニット61,62を形成し、複数の単位ユニット21を左右に当接させた状態で並べ、これら複数の単位ユニット21の両脇に端部ユニット61,62を当接させる。
そして、各電圧検知端子24の電圧検知線Wを電圧検知溝に通した後に、第一端子金具70から延出されたフラット電線50を各単位ユニット21の保持部40に挿通して保持させる。
【0048】
次に、端部ユニット61,62の両側から挟みこむように複数の単位ユニット21と端部ユニット61,62とからなる電池接続アセンブリ20を(互いの間に生じる摩擦により当接状態を維持して)一体的に持ち上げ、接続部材22の通し孔23,23及び端子金具70,90の通し孔71A,91Aに、電極端子12A,12Bを一体的に挿通させる。
そして、各通し孔23,71A,91Aから突き出た電極端子12A,12Bに、ソケットレンチを使用してナット14を螺合させて締付けていく。また、単電池群の裏面側にも6個の単位ユニット21からなる電池接続アセンブリ(裏面側の電池接続アセンブリは、端部ユニット61,62を有さない)を取り付ける。これにより、電池モジュール10が完成する(図1)。
【0049】
上記実施形態の構成によれば、以下の効果を奏する。
(1)フラット電線50と電極端子12A,12Bとを電気的に接続しようとした場合、フラット電線50は、放熱性が良好であるものの一般に使用されている丸形の電線と比較して屈曲させる方向の自由度が少ない。そのため、フラット電線50に接続した端子金具を電極端子12A,12Bに接続した場合にはフラット電線50に捩れを生じてしまうおそれがある。一方、本実施形態によれば、第一端子金具70の電線側接続部72は、電極側接続部71の面よりもフラット電線50のフラットな面に沿う側に延出されているため、この電線側接続部72に接続されるフラット電線50に生じる捩れを抑制することができる。よって、電池モジュールについて、電線端末部における不具合を生じさせずに放熱性を向上させることが可能となる。
【0050】
(2)単位ユニット21における保持部40は、フラット電線50のフラットな面が接続部材22の面に対して直交する方向でフラット電線50を保持するものであり、電線側接続部72の面は、電極側接続部71の面と直交する方向に延出されている。このようにすれば、フラット電線50のフラットな面が接続部材22の面に対して直交する方向に配置される関係になるため、フラット電線50をコンパクトに収容できるとともに、電線側接続部72の面は、電極側接続部71の面と直交する方向に延出されているため、フラット電線50に生じる捩れを抑制することができる。
【0051】
(3)第一端子金具70は、単電池群の端部の単電池11に装着される端部ユニット61(第一ユニット)に収容されており、端部ユニット61は、単位ユニット21に連って電池接続アセンブリ20を構成するため、第一端子金具70が収容された端部ユニット61を他の単位ユニット21とともに電池接続アセンブリ20として単電池群に取り付けることが可能になり、取付作業性を向上させることができる。
【0052】
(4)単位ユニット21には、溝部34が設けられ、複数の単位ユニット21を連ねると隣り合う溝部34により電圧検知線W(電圧検知用電線)が配される電圧検知溝が構成され、収容部28には、外部と絶縁するための仕切り壁30が設けられており、保持部40は、仕切り壁30と溝部34の溝壁部36(溝壁)との間にフラット電線50を保持するため、収容部28と溝部34の構成を利用して、フラット電線50を保持するための保持部40を構成することができる。
【0053】
(5)単位ユニット21は、収容部28と溝部34とを接続する接続部41を備え、接続部41がフラット電線50を下方から支持するとともに、接続部材22には、電圧検知線Wの端末部に取り付けられた電圧検知用端子24が重ねられており、電圧検知線Wは、収容部28から接続部41に沿って溝部34に導かれるため、収容部28と溝部34とを接続するための構成を利用して電圧検知線Wを溝部34に導くことができる。
【0054】
(6)一列状に並んだ電極端子12A,12Bのうち、第一端子金具70が取り付けられた電極端子12Aとは異なる側の端部の電極端子12Bには、フラット電線50に接続された第二端子金具90が取り付けられており、第二端子金具90は、電極端子12Bに挿通され電極端子12Bと電気的に接続される電極側接続部91と、電極側接続部91の面に沿う方向に延出されてフラット電線50に接続される電線側接続部92とを有するため、簡易な構成で第二端子金具90とフラット電線50とを接続することができる。
【0055】
<実施形態2>
実施形態2について図7,図8を参照して説明する。
実施形態1では、電圧検知端子24を用いて接続部材22と電圧検知線Wとの間を電気的に接続することとしたが、実施形態2では、電圧検知線Wに金属片102を巻きつけて接続部材104に接続するものである。以下、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
図8に示すように、接続部材104の外縁部のうち、幅方向の中心部には、縁部を切り欠いた切欠部100が設けられており、切欠部100の中間部には、電圧検知線Wを接続する角柱状の接続凸部101が突出している。
この接続凸部101に電圧検知線Wの芯線を沿わせ、長方形状で薄肉の金属片102(共圧着端子)で芯線及び接続凸部101を包み込むように両側から巻きつけて(かしめつけて)圧着することにより、接続部材104と電圧検知線Wとを接続する(図7)。
【0057】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、接続部材22は、異極の電極端子12A,12Bを接続(単電池11を直列接続)するものとしたが、これに限られず、同極の電極端子を接続(単電池11を並列接続)するものでもよい。例えば、上記実施形態の電池モジュール10に更に別の単電池11を並列接続し、この並列接続における同極の電極端子を複数の接続部材22(電池接続アセンブリ20)で接続するようにしたものでもよい。
【0058】
(2)電池モジュール10を構成する単電池11の数については、12個としたが、これに限られず、13個以上、又は10個以下でもよく、これに応じ単電池群に取り付ける単位ユニット21の数も上記実施形態の5個に限らず、6個以上、又は、4個以下でもよい。
【0059】
(3)上記実施形態では、隣り合う単位ユニット21や端部ユニット61,62間に生じる摩擦を利用して電池接続アセンブリ20を持ち上げて単電池群に一体的に取り付ける構成としたが、隣り合う単位ユニット21や端部ユニット61,62間を連結する連結手段を設けるようにしてもよい。例えば、単位ユニット21の左右方向における一方の端部に係合部を設け、他方の端部に係合部に係合する被係合部を設けるとともに、端部ユニット61,62の単位ユニット21側の端部に係合部又は被係合部を設けるようにしてもよい。
【0060】
(4)上記実施形態では、第一端子金具70,第二端子金具90は、端部ユニット61,62として、基部61A,62Aに収容されるものであったが、これに限らず、第一端子金具70や第二端子金具90を基部61A,62Aを用いずに直接単電池11に取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10…電池モジュール
11…単電池
12A…正極端子(電極端子)
12B…負極端子(電極端子)
20…電池接続アセンブリ
21…単位ユニット
22…接続部材
24…電圧検知端子
27,61A,62A…基部
28,74,93…収容部
30,76,95…仕切り壁
34,80,96…溝部(電圧検知溝)
36,82,98…溝壁部
40…保持部
41,84,99…接続部
43…保持壁
45…係止部
50…フラット電線
50A…フラットな面
51…フラット導体
61…第一ユニット(端部ユニット)
62…第二ユニット(端部ユニット)
70…第一端子金具
71,91…電極側接続部
72,92…電線側接続部
90…第二端子金具
W…電圧検知線(電圧検知用電線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単電池を複数個並べた単電池群における一列状に並んだ電極端子の隣り合う電極端子間を接続する金属製の接続部材を単位ユニット内に収容し、この単位ユニットを複数個連ねて構成される電池接続アセンブリを前記単電池群に装着して構成される電池モジュールであって、
前記単位ユニットは、前記接続部材を収容する収容部と、扁平な形状のフラット導体を絶縁層で被覆して構成されたフラット電線をフラットな面が前記接続部材の面に対して交差する方向となるように保持する保持部と、を備え、
前記一列状に並んだ電極端子のうちの端部の電極端子には、前記フラット電線に接続された第一端子金具が取り付けられており、
前記第一端子金具は、前記電極端子に挿通され前記電極端子と電気的に接続される電極側接続部と、前記電極側接続部の面よりも前記フラット電線のフラットな面に沿う側に延出されて前記フラット電線に接続される電線側接続部とを有することを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
前記単位ユニットにおける前記保持部は、前記フラット電線のフラットな面が前記接続部材の面に対して直交する方向で前記フラット電線を保持するものであり、
前記電線側接続部の面は、前記電極側接続部の面と直交する方向に延出されていることを特徴とする請求項1記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記第一端子金具は、前記単電池群の端部の単電池に装着される端部ユニットに収容されており、前記端部ユニットは、前記単位ユニットに連って前記電池接続アセンブリを構成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記単位ユニットには、溝部が設けられ、前記複数の単位ユニットを連ねると隣り合う前記溝部により電圧検知用の電線が配される電圧検知溝が構成され、前記収容部には、外部と絶縁するための仕切り壁が設けられており、前記保持部は、前記仕切り壁と前記溝部における溝壁との間に前記フラット電線を保持することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記単位ユニットは、前記収容部と前記溝部とを接続する接続部を備え、前記接続部が前記フラット電線を下方から支持するとともに、前記接続部材には、電圧検知用電線の端末部に取り付けられた電圧検知用端子が重ねられており、前記電圧検知用電線は、前記収容部から前記接続部に沿って前記溝部に導かれることを特徴とする請求項4に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記一列状に並んだ電極端子のうち、前記第一端子金具が取り付けられた電極端子とは異なる側の端部の電極端子には、フラット電線に接続された第二端子金具が取り付けられており、
前記第二端子金具は、前記電極端子に挿通され前記電極端子と電気的に接続される電極側接続部と、前記電極側接続部の面に沿う方向に延出されて前記フラット電線に接続される電線側接続部とを有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−59500(P2012−59500A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200892(P2010−200892)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】