説明

電流検出回路及びこれを用いたスイッチングレギュレータ

【課題】インダクタに流れる電流に応じた連続的な信号を得る。
【解決手段】インダクタに接続され、電源から前記インダクタに流れる電流をスイッチングする第1のトランジスタと、前記インダクタ及び前記第1のトランジスタが接続されたノードに接続され、前記第1のトランジスタのオフ期間の一部においてオンになる第2のトランジスタとを有するスイッチングレギュレータの電流検出回路であって、前記第1のトランジスタを流れる電流に応じた検出電流を生成する電流生成回路と、前記第1のトランジスタのオン期間において前記検出電流に応じた電圧を出力し、前記第1のトランジスタのオフ期間において前記検出電流に応じた電圧を保持して出力する保持回路と、前記保持回路の出力電圧に応じた電流を生成する出力トランジスタとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、各種電子機器に直流電圧を供給するスイッチングレギュレータ及びそれに用いられる電流検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
高効率な電力変換が可能であるので、近年、スイッチングレギュレータが多くの電子機器の電源回路として用いられている。その1つの例としての降圧型のスイッチングレギュレータは、例えばリチウムイオンバッテリーから供給されるDC3〜4Vの入力電圧を高周波で断続するスイッチングトランジスタと、パルス状になったスイッチングトランジスタの出力を平滑するインダクタと、出力キャパシタと、制御回路とを有し、負荷へDC1〜2V程度の電源電圧を供給する。
【0003】
制御回路は、出力キャパシタから負荷へ供給される出力電圧を監視して、この出力電圧を安定化するようにスイッチングトランジスタのオンオフ時間を制御する。スイッチングレギュレータの制御方法としては、インダクタに流れる電流を検出してスイッチングトランジスタを制御することによって出力電圧を安定化する、カレントモード制御方式が多用されている。
【0004】
図8は、従来のスイッチングレギュレータの構成例を示す回路図である。図8のスイッチングレギュレータは、インダクタ電流検出回路900を有しており、特許文献1に開示されている。図9は、図8のスイッチングレギュレータにおける信号の波形を示すグラフである。図8において、入力端子T1には直流電圧Vinが入力されている。スイッチングトランジスタ2のゲートには、トランジスタ2をスイッチングする駆動信号が供給されている。整流トランジスタ4は、ドレインがトランジスタ2のドレインに接続されている。比較器5は、トランジスタ4のドレイン電圧と接地電位とを比較し、その結果を示す信号でトランジスタ4を駆動する。
【0005】
インダクタ6の一端は、トランジスタ2とトランジスタ4との接続点に接続されている。出力キャパシタ7は、インダクタ6の他端である出力端子T2に接続され、出力端子T2から負荷に出力電圧Voutが供給される。トランジスタ2に流れる電流をIL1とし、トランジスタ4に流れる電流をIL2とすると、インダクタ6に流れる電流はIL1+IL2となる。
【0006】
検出トランジスタ912のソース及びゲートは、トランジスタ2のソース及びゲートに接続されている。検出トランジスタ912のサイズはトランジスタ2の1/Nとする。差動増幅器914によって、トランジスタ2と検出トランジスタ912の各ドレイン電位が等しくなるようにトランジスタ922のドレイン−ソース間インピーダンスが調整されるので、トランジスタ912及び922には電流IL1/Nが流れる。トランジスタ928はトランジスタ922とカレントミラーを構成し、トランジスタ928にも電流IL1/Nが流れる。
【0007】
検出トランジスタ942のドレイン及びゲートは、トランジスタ4のドレイン及びゲートに接続されている。検出トランジスタ942のサイズはトランジスタ4の1/Nとする。差動増幅器944によって、トランジスタ942のソース電位と接地電位とが等しくなるようにトランジスタ958のドレイン−ソース間インピーダンスが調整されるので、トランジスタ942及び958には電流IL2/Nが流れる。端子TCから流入する電流は(IL1+IL2)/Nとなるので、インダクタ電流IL1+IL2を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,377,034号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図8の電流検出回路900では、トランジスタ2とトランジスタ4とがともにオフとなるデッドタイム等において、電流が検出されないという問題がある。例えば図9に示されているように、インダクタに流れる電流ILは連続であるが、電流検出回路900で得られる電流(IL1+IL2)/Nは不連続になってしまう。特にインダクタ電流の平均値を制御する平均カレントモード制御方式では、このような不連続な信号に従ってスイッチングレギュレータの制御を行うことは難しいという問題がある。
【0010】
本発明は、スイッチングレギュレータのインダクタに流れる電流に応じた連続的な信号を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施形態による電流検出回路は、インダクタに接続され、電源から前記インダクタに流れる電流をスイッチングする第1のトランジスタと、前記インダクタ及び前記第1のトランジスタが接続されたノードに接続され、前記第1のトランジスタのオフ期間の一部においてオンになる第2のトランジスタとを有するスイッチングレギュレータの電流検出回路であって、前記第1のトランジスタを流れる電流に応じた検出電流を生成する電流生成回路と、前記第1のトランジスタのオン期間において前記検出電流に応じた電圧を出力し、前記第1のトランジスタのオフ期間において前記検出電流に応じた電圧を保持して出力する保持回路と、前記保持回路の出力電圧に応じた電流を生成する出力トランジスタとを有する。
【0012】
これによると、第1のトランジスタのオフ期間では検出電流に応じた電圧を保持するので、第2のトランジスタの電流を検出することなく、インダクタに流れる電流に応じた連続的な信号を得ることができる。
【0013】
本発明の実施形態による他の電流検出回路は、インダクタに接続され、電源から前記インダクタに流れる電流をスイッチングする第1のトランジスタと、前記インダクタ及び前記第1のトランジスタが接続されたノードに接続され、前記第1のトランジスタのオフ期間の一部においてオンになる第2のトランジスタとを有するスイッチングレギュレータの電流検出回路であって、前記第2のトランジスタを流れる電流に応じた検出電流を生成する電流生成回路と、前記第2のトランジスタのオン期間において前記検出電流に応じた電圧を出力し、前記第2のトランジスタのオフ期間において前記検出電流に応じた電圧を保持して出力する保持回路と、前記保持回路の出力電圧に応じた電流を生成する出力トランジスタとを有する。
【0014】
これによると、第2のトランジスタのオフ期間では検出電流に応じた電圧を保持するので、第1のトランジスタの電流を検出することなく、インダクタに流れる電流に応じた連続的な信号を得ることができる。
【0015】
本発明の実施形態による更に他の電流検出回路は、インダクタに接続され、電源から前記インダクタに流れる電流をスイッチングする第1のトランジスタと、前記インダクタ及び前記第1のトランジスタが接続されたノードに接続され、前記第1のトランジスタのオフ期間の一部においてオンになる第2のトランジスタとを有するスイッチングレギュレータの電流検出回路であって、前記第1のトランジスタを流れる電流に応じた第1の検出電流を生成する第1の電流生成回路と、前記第1のトランジスタのオン期間において前記第1の検出電流に応じた電圧を出力し、前記第1及び第2のトランジスタがともにオフである期間において前記第1の検出電流に応じた電圧を保持して出力する第1の保持回路と、前記第1の保持回路の出力電圧に応じた電流を生成する第1の出力トランジスタと、前記第2のトランジスタを流れる電流に応じた第2の検出電流を生成する第2の電流生成回路と、前記第2のトランジスタのオン期間において前記第2の検出電流に応じた電圧を出力し、前記第1及び第2のトランジスタがともにオフである期間において前記第2の検出電流に応じた電圧を保持して出力する第2の保持回路と、前記第2の保持回路の出力電圧に応じた電流を生成する第2の出力トランジスタとを有する。前記第1の出力トランジスタと前記第2の出力トランジスタとは並列に接続されている。
【0016】
これによると、第1のトランジスタのオフ期間では第1の検出電流に応じた電圧を保持し、第2のトランジスタのオフ期間では第2の検出電流に応じた電圧を保持するので、デッドタイムにおいても出力信号の値が急変しない。したがって、インダクタに流れる電流に応じた連続的な信号を得ることができる。
【0017】
本発明の実施形態によるスイッチングレギュレータは、インダクタと、前記インダクタに接続され、電源から前記インダクタに流れる電流をスイッチングする第1のトランジスタと、前記インダクタ及び前記第1のトランジスタが接続されたノードに接続され、前記第1のトランジスタのオフ期間の一部においてオンになる第2のトランジスタと、電流検出回路とを有する。前記電流検出回路は、前記第1のトランジスタを流れる電流に応じた検出電流を生成する電流生成回路と、前記第1のトランジスタのオン期間において前記検出電流に応じた電圧を出力し、前記第1のトランジスタのオフ期間において前記検出電流に応じた電圧を保持して出力する保持回路と、前記保持回路の出力電圧に応じた電流を生成する出力トランジスタとを有する。
【0018】
本発明の実施形態による他のスイッチングレギュレータは、インダクタと、前記インダクタに接続され、電源から前記インダクタに流れる電流をスイッチングする第1のトランジスタと、前記インダクタ及び前記第1のトランジスタが接続されたノードに接続され、前記第1のトランジスタのオフ期間の一部においてオンになる第2のトランジスタと、電流検出回路とを有する。前記電流検出回路は、前記第2のトランジスタを流れる電流に応じた検出電流を生成する電流生成回路と、前記第2のトランジスタのオン期間において前記検出電流に応じた電圧を出力し、前記第2のトランジスタのオフ期間において前記検出電流に応じた電圧を保持して出力する保持回路と、前記保持回路の出力電圧に応じた電流を生成する出力トランジスタとを有する。
【0019】
本発明の実施形態による更に他のスイッチングレギュレータは、インダクタと、前記インダクタに接続され、電源から前記インダクタに流れる電流をスイッチングする第1のトランジスタと、前記インダクタ及び前記第1のトランジスタが接続されたノードに接続され、前記第1のトランジスタのオフ期間の一部においてオンになる第2のトランジスタと、電流検出回路とを有する。前記電流検出回路は、前記第1のトランジスタを流れる電流に応じた第1の検出電流を生成する第1の電流生成回路と、前記第1のトランジスタのオン期間において前記第1の検出電流に応じた電圧を出力し、前記第1及び第2のトランジスタがともにオフである期間において前記第1の検出電流に応じた電圧を保持して出力する第1の保持回路と、前記第1の保持回路の出力電圧に応じた電流を生成する第1の出力トランジスタと、前記第2のトランジスタを流れる電流に応じた第2の検出電流を生成する第2の電流生成回路と、前記第2のトランジスタのオン期間において前記第2の検出電流に応じた電圧を出力し、前記第1及び第2のトランジスタがともにオフである期間において前記第2の検出電流に応じた電圧を保持して出力する第2の保持回路と、前記第2の保持回路の出力電圧に応じた電流を生成する第2の出力トランジスタとを有する。前記第1の出力トランジスタと前記第2の出力トランジスタとは並列に接続されている。
【発明の効果】
【0020】
本発明の実施形態によれば、インダクタに流れる電流に応じた連続的な信号を得ることができる。また、得られた信号を用いて例えば平均カレントモード制御をスイッチングレギュレータに対して行うことにより、スイッチングノイズによる誤動作のない出力電圧の安定化制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電流検出回路を有するスイッチングレギュレータの構成例を示す回路図である。
【図2】図1のスイッチングレギュレータにおける信号の波形を示すグラフである。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る電流検出回路を有するスイッチングレギュレータの構成例を示す回路図である。
【図4】図3のスイッチングレギュレータにおける信号の波形を示すグラフである。
【図5】第2の実施形態の変形例に係る電流検出回路を有するスイッチングレギュレータの構成例を示す回路図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る電流検出回路を有するスイッチングレギュレータの構成例を示す回路図である。
【図7】図6のスイッチングレギュレータにおける信号の波形を示すグラフである。
【図8】従来のスイッチングレギュレータの構成例を示す回路図である。
【図9】図8のスイッチングレギュレータにおける信号の波形を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。図面において下2桁が同じ参照番号で示された構成要素は、互いに対応しており、同一の又は類似の構成要素である。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電流検出回路を有するスイッチングレギュレータの構成例を示す回路図である。図1のスイッチングレギュレータは、スイッチングトランジスタ2と、整流トランジスタ4と、比較器5と、インダクタ6と、出力キャパシタ7と、AND回路8と電流検出回路100とを有している。スイッチングトランジスタ2及び整流トランジスタ4は、図1のスイッチングレギュレータの出力回路を構成している。
【0024】
電流検出回路100は、電流生成回路10,40と、補助トランジスタ22,52と、出力トランジスタ28,58と、保持回路30,60と、PMOSFET(p-channel Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)53,54と、NMOSFET(n-channel Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)55とを有している。電流生成回路10は、検出トランジスタ12と、差動増幅器14とを有している。保持回路30は、スイッチ32と、補助スイッチ34と、キャパシタ36とを有している。電流生成回路40は、検出トランジスタ42と、差動増幅器44とを有している。保持回路60は、スイッチ62と、補助スイッチ64と、キャパシタ66とを有している。
【0025】
入力端子T1には、バッテリー等の電源が接続され、直流電圧Vinが入力される。スイッチングトランジスタ2は、PMOSFETであって、そのソースは入力端子T1に接続され、ゲートにはスイッチングトランジスタ2をスイッチングする駆動信号Vgが入力されている。インダクタ6の一端は、スイッチングトランジスタ2のドレインに接続されている。整流トランジスタ4はNMOSFETであって、そのドレインはスイッチングトランジスタ2とインダクタ6とが接続されたノードに接続されている。整流トランジスタ4のソースは接地されている。出力キャパシタ7は、インダクタ6の他端である出力端子T2に接続されている。出力キャパシタ7は、出力電圧Voutを平滑化して、出力端子T2から負荷に供給する。
【0026】
スイッチングトランジスタ2と整流トランジスタ4とは交互にオンになり、インダクタ6にインダクタ電流を流して出力キャパシタ7へ電流を供給する。ここで、スイッチングの際にスイッチングトランジスタ2及び整流トランジスタ4が同時にオンする期間が発生しないように、スイッチングトランジスタ2及び整流トランジスタ4がともにオフであるデッドタイム期間が設けられる。このため、実際には整流トランジスタ4は、スイッチングトランジスタ2のオフ期間の一部においてオンになる。スイッチングトランジスタ2からインダクタ6へ流れるインダクタ電流をIL1、整流トランジスタ4からインダクタ6へ流れるインダクタ電流をIL2とする。電流検出回路100は、インダクタ電流IL=IL1+IL2にほぼ比例する電流Isを生成する。
【0027】
比較器5は、整流トランジスタ4のドレイン電圧を接地電位と比較し、比較結果をAND回路8に出力する。AND回路8は、比較器5の出力と制御信号S2との論理和を求め、整流トランジスタ4のゲートに出力する。
【0028】
このような構成により、整流トランジスタ4は整流機能を有する。すなわち、整流トランジスタ4のソースからドレインに電流が流れるとき、電圧降下によって整流トランジスタ4のドレイン電圧は接地電圧を下回るので、比較器5はHレベルを出力して整流トランジスタ4をオンにする。このとき、制御信号S2はHレベル、駆動信号Vg2はLレベルであるとする。一方、逆方向に電流が流れようとすると、比較器5はLレベルを出力して整流トランジスタ4をオフにする。
【0029】
図1の電流検出回路100において、第1の検出トランジスタ12は、PMOSFETであって、そのソース及びゲートがスイッチングトランジスタ2のソース及びゲートにそれぞれ接続され、スイッチングトランジスタ2に同期して同様に動作する。第1の検出トランジスタ12のサイズは、スイッチングトランジスタ2のサイズの1/Nであるとする。Nの値は、例えば数千〜数万である。トランジスタのサイズは、例えばトランジスタのゲート幅や、ゲート幅/ゲート長を意味する。トランジスタ22のサイズとトランジスタ28のサイズとは等しいとする。
【0030】
第1の検出トランジスタ12の電流はNMOSFETである補助トランジスタ22に流れる。差動増幅器14は、スイッチングトランジスタ2及び第1の検出トランジスタ12のそれぞれのドレイン電位の差を増幅して、補助トランジスタ22のゲートに出力する。この構成によって、スイッチングトランジスタ2及び第1の検出トランジスタ12の各ドレイン電位が等しくなるように補助トランジスタ22のドレイン−ソース間インピーダンスが調整されるので、トランジスタ12は、電流IL1に精度良く比例する電流IL1/Nを生成する。補助トランジスタ22にも電流IL1/Nが流れる。
【0031】
トランジスタ28のゲートは、スイッチ32を介してトランジスタ22のゲートと接続され、トランジスタ28とトランジスタ22とはカレントミラーを構成する。スイッチ32がオンのとき、トランジスタ28にはトランジスタ22と同じく電流IL1/Nが流れる。トランジスタ28のゲート−ソース間には補助スイッチ34とキャパシタ36とが並列に接続され、トランジスタ28のドレインは出力端子TCに接続されている。スイッチ32及び補助スイッチ34は、それぞれ制御信号S1,S2に従って動作する。
【0032】
NMOSFETである第2の検出トランジスタ42は、そのドレイン及びゲートが整流トランジスタ4のドレイン及びゲートにそれぞれ接続され、整流トランジスタ4に同期して同様に動作する。第2の検出トランジスタ42のサイズは、整流トランジスタ4のサイズの1/Nであるとする。また、トランジスタ42のサイズとトランジスタ52のサイズとは等しいとする。トランジスタ53のサイズとトランジスタ54のサイズとは等しいとする。トランジスタ55のサイズとトランジスタ58のサイズとは等しいとする。
【0033】
差動増幅器44は、トランジスタ42のソース電位と接地電位との差を増幅して、補助トランジスタ52のゲートに出力する。トランジスタ52のソースはトランジスタ42のソースに接続され、トランジスタ52のドレインはPMOSFETであるトランジスタ53のゲート及びドレインに接続される。
【0034】
トランジスタ53はトランジスタ54とカレントミラーを構成し、トランジスタ53及びトランジスタ54のソースは入力端子T1に接続されている。トランジスタ54のドレインは、NMOSFETであるトランジスタ55のドレイン及びゲートに接続されている。トランジスタ55のソースは接地されている。この構成によって、トランジスタ42のソース電位と接地電位とが等しくなるように補助トランジスタ52のドレイン−ソース間インピーダンスが調整されるので、トランジスタ42は、電流IL2に精度良く比例する電流IL2/Nを生成する。補助トランジスタ52にも電流IL2/Nが流れる。
【0035】
トランジスタ53及びトランジスタ54のカレントミラーによってトランジスタ54のドレインからも電流IL2/Nが流れ、この電流は更にトランジスタ55を流れる。トランジスタ58のゲートは、スイッチ62を介してトランジスタ55のゲートと接続され、トランジスタ58とトランジスタ55とはカレントミラーを構成する。スイッチ62がオンのとき、トランジスタ58にはトランジスタ55と同じく電流IL2/Nが流れる。トランジスタ58のゲート−ソース間には補助スイッチ64とキャパシタ66とが並列に接続され、トランジスタ58のドレインは出力端子TCに接続されている。スイッチ62及び補助スイッチ64は、それぞれ制御信号S3,S4に従って動作する。
【0036】
以上のような電流生成回路10,40は一例であって、それぞれ電流IL1,IL2に比例する電流を生成する回路であれば、他の構成を有していてもよい。
【0037】
図2は、図1のスイッチングレギュレータにおける信号の波形を示すグラフである。図2には、スイッチングトランジスタ2への駆動信号Vg、インダクタ6に流れる電流IL、第1の検出トランジスタ12を流れる検出電流IL1/N、第2の検出トランジスタ42を流れる検出電流IL2/N、スイッチ32の制御信号S1、補助スイッチ34の制御信号S2、スイッチ62の制御信号S3、補助スイッチ64の制御信号S4、トランジスタ28を流れる検出電流Is1、トランジスタ58を流れる検出電流Is2、及び出力端子TCから流入する検出電流Is1+Is2が示されている。図1及び図2を参照して、図1の電流検出回路の動作を説明する。
【0038】
スイッチ32,62及び補助スイッチ34,64は、それぞれに入力される制御信号がHレベルのときにオンになる。スイッチングトランジスタ2はPチャンネルトランジスタなので、駆動信号VgがLレベルのときにオンになる。これと連動して検出電流IL1/Nを流すために、スイッチ32の制御信号S1は駆動信号Vgの反転信号とする。一方、補助スイッチ34の制御信号S2は、制御信号S1のLレベルの期間及びその前後のデッドタイム期間にLレベルとなる。すなわち、制御信号S2は、整流トランジスタ4を駆動する比較器5の出力に同期する。
【0039】
スイッチングトランジスタ2のオン期間において、スイッチ32がオンになり、出力トランジスタ28のゲートには、トランジスタ22のゲート電圧、すなわち、電流Is1(=IL1/N)に応じた電圧が与えられる。出力トランジスタ28は、ゲートに与えられた電圧に応じた電流Is1を生成する。
【0040】
スイッチ32がターンオフ後のデッドタイム期間中には、キャパシタ36は出力トランジスタ28のゲート電圧を保持する。このため、デッドタイム期間中も出力トランジスタ28には電流Is1が流れ続ける。デッドタイム期間が終了して整流トランジスタ4がターンオンすると同時に補助スイッチ34がオンとなり、出力トランジスタ28のゲートは接地されるので、出力トランジスタ28には電流Is1が流れなくなる。
【0041】
スイッチ62の制御信号S3は制御信号S2に等しく、補助スイッチ64の制御信号S4は制御信号S1に等しい。整流トランジスタ4のオン期間において、スイッチ62がオンになり、出力トランジスタ58のゲートには、トランジスタ55のゲート電圧、すなわち、電流Is2(=IL2/N)に応じた電圧が与えられる。出力トランジスタ58は、ゲートに与えられた電圧に応じた電流Is2を生成する。
【0042】
スイッチ62がターンオフ後のデッドタイム期間中には、キャパシタ66は出力トランジスタ58のゲート電圧を保持する。このため、デッドタイム期間中も出力トランジスタ58には電流Is2が流れ続ける。デッドタイム期間が終了してスイッチングトランジスタ2がターンオンすると同時に補助スイッチ64がオンとなり、出力トランジスタ58のゲートは接地されるので、出力トランジスタ58には電流Is2が流れなくなる。
【0043】
図2に示されているように、出力トランジスタ28及び58のドレインが接続される出力端子TCから流入する電流Is(=Is1+Is2)は、デッドタイム期間中にも保持される。スイッチングトランジスタ2がスイッチングする毎に電流Isがゼロになることがないので、インダクタ電流ILに高精度に比例する連続的な信号である電流Isを生成することができる。
【0044】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係る電流検出回路を有するスイッチングレギュレータの構成例を示す回路図である。図3のスイッチングレギュレータは、電流検出回路100に代えて電流検出回路200を有し、平均化回路70と、駆動信号生成部80と、誤差増幅器91と、基準電圧源92と、抵抗93とを更に有している点が、図1のスイッチングレギュレータとは異なっている。図3のスイッチングレギュレータは、出力端子TCから出力される検出電流Isを用いて、出力端子T2から出力される出力電圧Voutを安定化制御する。
【0045】
電流検出回路200は、電流生成回路10と、補助トランジスタ22と、NMOSFET22と、PMOSFET24と、PMOSFETである出力トランジスタ29と、保持回路230とを有している。電流生成回路10及び補助トランジスタ22は、図1を参照して説明したものと同様である。保持回路230は、スイッチ32と、キャパシタ36とを有している。
【0046】
補助トランジスタ22とトランジスタ23とは、カレントミラーを構成している。PMOSFET24と出力トランジスタ29とは、カレントミラーを構成している。補助トランジスタ22のサイズとトランジスタ23のサイズとは等しいとする。トランジスタ24のサイズと出力トランジスタ29のサイズとは等しいとする。
【0047】
出力トランジスタ29のゲートは、スイッチ32を介してトランジスタ24のゲートと接続されている。スイッチ32がオンのとき、出力トランジスタ29にはトランジスタ24と同じく電流IL1/Nが流れ、この電流が検出電流Isとして出力端子TCから出力される。出力トランジスタ29のゲート−ソース間にはキャパシタ36が並列に接続され、トランジスタ29のドレインは出力端子TCに接続されている。スイッチ32は、制御信号S1に従って動作する。
【0048】
平均化回路70は、オペアンプ72と、基準電圧Vr2を出力する基準電圧源74と、キャパシタ76と、抵抗78とを有している。駆動信号生成部80は、三角波発生器82と、PWM比較器84と、インバータ86とを有している。
【0049】
誤差増幅器91は、出力電圧Voutと目標電圧である基準電圧源92の基準電圧Vr1との差を増幅して、出力電圧Voutと基準電圧Vr1との間の誤差を示す誤差信号を生成し、抵抗93を介してオペアンプ72に出力する。オペアンプ72は、入力された信号を平滑化して、平均化信号VaとしてPWM比較器84に出力する。三角波発生器82は、三角波電圧Vtを発生する。PWM比較器84は、平均化信号Vaと三角波電圧Vtとに基づいてパルス電圧を生成する。インバータ86は、パルス電圧を反転して駆動信号Vgとして出力する。駆動信号Vgは、スイッチングトランジスタ2に与えられる。
【0050】
以上の構成で行われる平均カレントモード制御と呼ばれる制御について説明する。まず、電流Isはインダクタ6に流れる電流を示す検出電流であるとし、誤差増幅器91から出力される誤差信号の電圧をVe、抵抗93の抵抗値をRiとすると、オペアンプ72の反転入力端子には電圧(Ve+Ri×Is)が与えられる。オペアンプ72は、この反転入力端子の電圧と基準電圧Vr2との差を平滑化及び増幅し、得られた平均化信号Vaを出力する。
【0051】
PWM比較器84は、平均化信号Vaと三角波電圧Vtとを比較し、比較結果をパルス電圧として出力する。このパルス電圧の1周期に占めるHレベルの期間の割合は、スイッチングトランジスタ2の1周期に占めるオン時間の割合であるデューティ比Dに等しい。三角波電圧Vtが一定の周期で電圧0〜Etの間での増減を繰り返すとすると、デューティ比Dは、
D=Va/Et
で表される。
【0052】
例えば、出力端子T2からの出力電流が減少したり、入力電圧Vinが上昇したりすると、出力電圧Voutも上昇する。上昇した出力電圧Voutが基準電圧Vr1を越えると、誤差電圧Veは上昇する。誤差電圧Veの上昇によって、オペアンプ72の反転入力端子に与えられる電圧も上昇し、オペアンプ72が出力する平均化信号Vaは低下する。平均化信号Vaの低下に伴い、デューティ比Dは低下する。すなわちスイッチングトランジスタ2のオン時間が短縮されるため、インダクタ6に蓄えられる励磁エネルギーは減少し、インダクタ6を流れる電流は減少する。
【0053】
このため、インダクタ6を介して出力端子T2へ供給される電力が減少するので、上昇した出力電圧Voutを低下させるように負帰還がかかる。誤差電圧Veの上昇によってインダクタ6を流れる電流が減少する関係は、平均化回路70におけるオペアンプ72の入力のイマジナリーショートを考慮して、
Ve+Ri×Is=Vr2
のように表される。つまり、誤差電圧Veの変動に対し検出電流Isが逆に変動する。
【0054】
ここで、キャパシタ76及び抵抗78によって、検出電流Isに重畳している交流分が減衰されているので、検出電流Isの平均値が誤差電圧Veの変動に従って変動する。また、負帰還によって出力電圧Voutは基準電圧Vr1に等しくなる。
【0055】
図4は、図3のスイッチングレギュレータにおける信号の波形を示すグラフである。図4には、スイッチングトランジスタ2への駆動信号Vg、インダクタ6に流れる電流IL、検出トランジスタ12を流れる検出電流IL1/N、スイッチ32の制御信号S1、出力トランジスタ29を流れる検出電流Is、三角波電圧Vt、及び平均化信号Vaが示されている。図3及び図4を参照して、図3の電流検出回路200の動作を説明する。
【0056】
スイッチングトランジスタ2はPチャンネルトランジスタなので、駆動信号VgがLレベルのときにオンとなる。これと連動して検出電流IL1/Nを流すために、スイッチ32の制御信号S1は駆動信号Vgの反転信号とする。
【0057】
スイッチングトランジスタ2のオン期間において、スイッチ32がオンになり、出力トランジスタ29のゲートには、トランジスタ22のゲート電圧、すなわち、電流Is(=IL1/N)に応じた電圧が与えられる。出力トランジスタ29は、ゲートに与えられた電圧に応じた電流Isを生成する。
【0058】
スイッチ32がターンオフしてから再びオンするまでの期間、すなわちスイッチングトランジスタ2のオフ期間には、キャパシタ36は出力トランジスタ29のゲート電圧を保持する。このため、オフ期間中も出力トランジスタ29には電流Isが流れ続ける。したがって、検出電流Isは、実際のインダクタ電流ILとは、スイッチングトランジスタ2のオン期間だけ比例関係にあり、検出電流Isはインダクタ電流ILに近似した波形を有する。しかし、平均カレントモード制御においては、厳密にインダクタ電流を検出する必要はなく、インダクタ電流ILのおおよそのレベルを検出制御することによっても出力電圧Voutの制御が可能である。
【0059】
このような平均カレントモード制御方法は、インダクタ電流を平均化した信号を用いて駆動信号を生成するので、スイッチングノイズの影響を受け難いという特徴がある。しかし、第1の実施形態のようにスイッチングトランジスタ2と整流トランジスタ4との両方の電流を検出して加算する場合には、各トランジスタ電流を検出する回路においてミラー比の不一致があると、電流の急峻な変動が生じてしまう。その変動の影響は平均化しても取り除くことはできず、チャタリングのような誤作動の危険性が生じる。
【0060】
これに対し、本実施形態のように、スイッチングトランジスタ2のオン期間のみインダクタ電流を検出し、オフ期間は検出電流値を保持すると、検出電流の急変はターンオン時に限定される。しかもその影響は、図4に示すように、平均化信号Vaが三角波電圧Vtを上回った直後に急増することとして現れるので、むしろチャタリング等が防止され、スイッチングレギュレータの動作が安定する。
【0061】
以上のように本実施形態の電流検出回路によれば、スイッチングトランジスタ2のオン時の電流を検出した後、オフ時には検出値を保持することによって近似的にインダクタ電流を検出することができる。
【0062】
(第2の実施形態の変形例)
第2の実施形態のように、スイッチングトランジスタ2のオン時の電流を検出した後、オフ時には検出値を保持することによって近似的にインダクタ電流を検出する場合には、デューティ比がゼロになると要注意である。なぜなら、実際のインダクタ電流ILは減少していくのに対し、検出電流Isは保持されたままだからである。
【0063】
図5は、第2の実施形態の変形例に係る電流検出回路を有するスイッチングレギュレータの構成例を示す回路図である。図5のスイッチングレギュレータは、駆動信号生成部80に代えて駆動信号生成部380を有している点が、図3のスイッチングレギュレータとは異なっている。駆動信号生成部380は、三角波発生器82と、基準電圧源383と、PWM比較器384と、NAND回路386と、オフセット電圧源387と、ヒステリシス比較器388とを有している。
【0064】
PWM比較器384は、基準電圧源383の電圧が与えられる非反転入力端子を更に有している点が、PWM比較器84とは異なっている。ヒステリシス比較器388は、基準電圧Vr1にオフセット電圧源387の電圧が加算された基準電圧Vr3と、出力電圧Voutとを比較する。ヒステリシス比較器388のヒステリシスは、オフセット電圧源387の電圧又はそれに近い値に設定される。NAND回路386は、PWM比較器384の比較結果と、ヒステリシス比較器388の比較結果との論理和を駆動信号Vgとして出力する。
【0065】
PWM比較器384は、2つの非反転入力のうちの電位が高い方を優先して用いるものとし、基準電圧源383の電圧は、三角波電圧Vtの波形と所定の低電位で交差するように設定される。PWM比較器384は、平均化信号Vaが基準電圧源383の電圧より小さい場合には、基準電圧源383の電圧と三角波電圧Vtの波形との交点で決まる幅を有するパルスを出力する。つまり、平均化信号Vaがどんなに低下しても、PWM比較器384が出力するパルスの幅は、所定値より小さくならない。言い換えると、PWM比較器384は、スイッチングトランジスタ2のオン期間の長さが所定の閾値以上となるように(デューティ比が最小デューティ比Dmin以上となるように)、パルスを出力する。ヒステリシス比較器388がHレベルを出力しているときには、NAND回路386は、PWM比較器384の出力信号を反転させて、駆動信号Vgとして出力する。
【0066】
図5のスイッチングレギュレータは、電流検出回路200がインダクタ電流を近似的に検出し、これを用いて平均カレントモード制御によって出力電圧Voutを安定化制御する点は、図3のスイッチングレギュレータと同様である。ところが、デューティ比が非常に小さくなる軽負荷時には、以下のように動作する。
【0067】
まず、軽負荷であっても、出力電圧Voutを安定化するために、出力端子T2へ供給するインダクタ電流を減少しようとして平均化信号Vaが低下する。ところが、基準電圧源383の電圧で設定される最小デューティ比Dmin以下にはならないので、出力端子T2への供給電力が過剰となり、出力電圧Voutは目標電圧である基準電圧Vr1を越えて増加する。出力電圧Voutが基準電圧Vr3を越えると、ヒステリシス比較器388はLレベルを出力し、NAND回路386を介して駆動信号VgをHレベルにしてスイッチングトランジスタ2をオフにする。
【0068】
スイッチングトランジスタ2のオフ状態ではインダクタ電流の出力端子T2への供給はなくなり、出力電圧Voutは低下していく。出力電圧Voutが基準電圧Vr1まで下がると、ヒステリシス比較器388は出力をHレベルに戻す。このとき、PWM比較器384が平均化信号Vaと三角波電圧Vtとを比較することによって駆動信号VgがNAND回路386を介して出力されるようになる。この駆動信号Vgによってスイッチングトランジスタ2はスイッチング動作を再開する。出力端子T2からの供給電力が軽負荷状態のままであれば、最小デューティ比Dminでのスイッチング動作によって再び出力電圧Voutは上昇し、上記動作を繰り返す。
【0069】
なお、ヒステリシス比較器388によるスイッチング動作の停止期間には、図5のスイッチングレギュレータを構成する各回路の動作を必要最小限となるようにして、低消費電力化を図ってもよい。
【0070】
以上のように図5のスイッチングレギュレータによれば、最小デューティ比Dminを設定するので、実際のインダクタ電流ILは減少していくのに、検出電流Isは保持されたままという状態を回避することができる。また、そのために発生する軽負荷時の出力電圧Voutの上昇をヒステリシス比較器383によって検出し、検出された場合にはスイッチング動作を停止する。このことにより、出力電圧Voutの過電圧状態を回避するとともに、停止期間があるので軽負荷時の低消費電力化も達成できる。
【0071】
(第3の実施形態)
図3及び図5のスイッチングレギュレータでは、スイッチングトランジスタのオン時の電流を検出した後、オフ時には検出値を保持するが、本実施形態では、整流トランジスタの電流を検出した後、スイッチングトランジスタのオン時には検出値を保持するような電流検出方法について説明する。
【0072】
図6は、本発明の第3の実施形態に係る電流検出回路を有するスイッチングレギュレータの構成例を示す回路図である。図6のスイッチングレギュレータは、電流検出回路200及び駆動信号生成部80に代えて電流検出回路400及び駆動信号生成部480を有する点が、図3のスイッチングレギュレータとは異なっている。図5のスイッチングレギュレータは、出力端子TCから出力される検出電流Isを用いて、出力端子T2から出力される出力電圧Voutを安定化制御する。
【0073】
電流検出回路400は、電流生成回路40と、補助トランジスタ52と、PMOSFET53と、PMOSFETである出力トランジスタ59と、保持回路460とを有している。電流生成回路40、補助トランジスタ52、及びPMOSFET53は、図1を参照して説明したものと同様である。
【0074】
出力トランジスタ59のゲートは、スイッチ62を介してトランジスタ53のゲートと接続されている。トランジスタ53と出力トランジスタ59とはカレントミラーを構成している。トランジスタ53のサイズと出力トランジスタ59のサイズとは等しいとする。スイッチ62がオンのとき、出力トランジスタ59にはトランジスタ53と同じく電流IL2/Nが流れる。出力トランジスタ59のゲート−ソース間にはキャパシタ66が並列に接続され、出力トランジスタ59のドレインは出力端子TCに接続されている。スイッチ62は、制御信号S3に従って動作する。
【0075】
駆動信号生成部480は、三角波発生器82と、基準電圧源483と、PWM比較器484と、インバータ86とを有している。PWM比較器484は、基準電圧源483の電圧Vr4が与えられる非反転入力端子を更に有している点が、PWM比較器84とは異なっている。
【0076】
PWM比較器484は、2つの非反転入力のうちの電位が低い方を優先して用いるものとし、基準電圧源483の電圧Vr4は、三角波電圧Vtの波形と所定の高電位で交差するように設定される。PWM比較器484は、平均化信号Vaが電圧Vr4より大きい場合には、電圧Vr4と三角波電圧Vtの波形との交点で決まる幅を有するパルスを出力する。つまり、平均化信号Vaがどんなに上昇しても、PWM比較器484が出力するパルスの幅は、所定値より大きくならない。言い換えると、PWM比較器484は、スイッチングトランジスタ2のオン期間の長さが所定の閾値以下となるように(デューティ比が最大デューティ比Dmax以下となるように)、パルスを出力する。インバータ86は、PWM比較器484の出力信号を反転させて、駆動信号Vgとして出力する。
【0077】
図6のスイッチングレギュレータは、電流検出回路400がインダクタ電流を近似的に検出し、これを用いて平均カレントモード制御によって出力電圧Voutを安定化制御する点は、図3のスイッチングレギュレータと同様である。
【0078】
次に、電流検出回路400が、インダクタ6を流れる電流ILをこれに近似した検出電流Isとして検出する動作を説明する。図7は、図6のスイッチングレギュレータにおける信号の波形を示すグラフである。図7には、スイッチングトランジスタ2への駆動信号Vg、整流トランジスタ4への駆動信号Vgl、インダクタ6に流れる電流IL、検出トランジスタ42を流れる検出電流IL1/N、スイッチ62の制御信号S3、出力トランジスタ59を流れる検出電流Is、三角波電圧Vt、及び平均化信号Vaが示されている。図6及び図7を参照して、図6の電流検出回路400の動作を説明する。
【0079】
整流トランジスタ4はNチャンネルトランジスタなので、駆動信号VglがHレベルのときにオンとなる。これと連動して検出電流IL2/Nを流すために、スイッチ62の制御信号S3は駆動信号Vglと同じ信号とする。
【0080】
整流トランジスタ4のオン期間において、スイッチ62がオンになり、出力トランジスタ59のゲートには、トランジスタ53のゲート電圧、すなわち、電流Is(=IL2/N)に応じた電圧が与えられる。出力トランジスタ59は、ゲートに与えられた電圧に応じた電流Isを生成する。
【0081】
スイッチ62がターンオフしてから再びオンするまでの期間、すなわち整流トランジスタ4のオフ期間には、キャパシタ66は出力トランジスタ59のゲート電圧を保持する。このため、オフ期間中も出力トランジスタ59には電流Isが流れ続ける。したがって、検出電流Isは、実際のインダクタ電流ILとは、整流トランジスタ4のオン期間だけ比例関係にあり、検出電流Isはインダクタ電流ILに近似した波形を有する。しかし、平均カレントモード制御においては、厳密にインダクタ電流を検出する必要はなく、インダクタ電流ILのおおよそのレベルを検出制御することによっても出力電圧Voutの制御が可能である。
【0082】
本実施形態のように、整流トランジスタ4のオン期間のみインダクタ電流を検出し、オフ期間は検出電流値を保持すると、検出電流の急変はスイッチングトランジスタ2のターンオフ時に限定される。しかもその影響は、図7に示すように、平均化信号が三角波電圧Vtを下回った直後に急減することとして現れるので、むしろチャタリング等が防止され、スイッチングレギュレータの動作が安定する。
【0083】
さて、本実施形態のように、スイッチングトランジスタのオフ時の電流を検出した後、オン時には検出値を保持することによって近似的にインダクタ電流を検出する場合、デューティ比が1になると要注意である。なぜなら、実際のインダクタ電流ILは増加していくのに対し、検出電流Isは保持されたままだからである。PWM比較器484が出力するパルスのデューティ比が最大デューティ比Dmax以下となるようにしたのはこのためである。
【0084】
以上のように本実施形態の電流検出回路によれば、整流トランジスタ4のオン時の電流を検出した後、オフ時には検出値を保持することによって近似的にインダクタ電流を検出することができる。
【0085】
以上の各実施形態においては、電流検出回路が降圧型スイッチングレギュレータの電流を検出する場合を例として説明したが、本発明はこの構成には限定されない。本発明の電流検出回路は、直列接続された2つのスイッチの接続点から連続的に電流を出力するスイッチングレギュレータに対して同様に適用することができる。すなわち、本発明は、降圧型に限らず、昇圧型や反転型のスイッチングレギュレータにも適用することができる。
【0086】
本発明の多くの特徴及び優位性は、記載された説明から明らかであり、よって添付の特許請求の範囲によって、本発明のそのような特徴及び優位性の全てをカバーすることが意図される。更に、多くの変更及び改変が当業者には容易に可能であるので、本発明は、図示され記載されたものと全く同じ構成及び動作に限定されるべきではない。したがって、全ての適切な改変物及び等価物は本発明の範囲に入るものとされる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上説明したように、本発明の実施形態によると、インダクタに流れる電流に応じた連続的な信号を得ることができるので、本発明は、電流検出回路及びスイッチングレギュレータ等について有用である。
【符号の説明】
【0088】
10,40 電流生成回路
22,52 補助トランジスタ
28,29,58,59 出力トランジスタ
30,60,230,460 保持回路
32,62 スイッチ
34,64 補助スイッチ
36,66 キャパシタ
70 平均化回路
80,380,480 駆動信号生成部
82 三角波発生器
84,384,484 PWM比較器
91 誤差増幅器
100,200,400 電流検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インダクタに接続され、電源から前記インダクタに流れる電流をスイッチングする第1のトランジスタと、前記インダクタ及び前記第1のトランジスタが接続されたノードに接続され、前記第1のトランジスタのオフ期間の一部においてオンになる第2のトランジスタとを有するスイッチングレギュレータの電流検出回路であって、
前記第1のトランジスタを流れる電流に応じた検出電流を生成する電流生成回路と、
前記第1のトランジスタのオン期間において前記検出電流に応じた電圧を出力し、前記第1のトランジスタのオフ期間において前記検出電流に応じた電圧を保持して出力する保持回路と、
前記保持回路の出力電圧に応じた電流を生成する出力トランジスタとを備える
電流検出回路。
【請求項2】
請求項1に記載の電流検出回路において、
前記検出電流が流れる補助トランジスタを更に備え、
前記保持回路は、
一端が前記補助トランジスタの制御端子、又は前記補助トランジスタとカレントミラーを構成するトランジスタの制御端子に接続され、前記第1のトランジスタのオン期間にオンになるスイッチと、
前記スイッチの他端に接続されたキャパシタとを有し、
前記出力トランジスタは、制御端子が前記スイッチの他端に接続されている
電流検出回路。
【請求項3】
インダクタに接続され、電源から前記インダクタに流れる電流をスイッチングする第1のトランジスタと、前記インダクタ及び前記第1のトランジスタが接続されたノードに接続され、前記第1のトランジスタのオフ期間の一部においてオンになる第2のトランジスタとを有するスイッチングレギュレータの電流検出回路であって、
前記第2のトランジスタを流れる電流に応じた検出電流を生成する電流生成回路と、
前記第2のトランジスタのオン期間において前記検出電流に応じた電圧を出力し、前記第2のトランジスタのオフ期間において前記検出電流に応じた電圧を保持して出力する保持回路と、
前記保持回路の出力電圧に応じた電流を生成する出力トランジスタとを備える
電流検出回路。
【請求項4】
請求項3に記載の電流検出回路において、
前記検出電流が流れる補助トランジスタを更に備え、
前記保持回路は、
一端が前記補助トランジスタの制御端子、又は前記補助トランジスタとカレントミラーを構成するトランジスタの制御端子に接続され、前記第2のトランジスタのオン期間にオンになるスイッチと、
前記スイッチの他端に接続されたキャパシタとを有し、
前記出力トランジスタは、制御端子が前記スイッチの他端に接続されている
電流検出回路。
【請求項5】
インダクタに接続され、電源から前記インダクタに流れる電流をスイッチングする第1のトランジスタと、前記インダクタ及び前記第1のトランジスタが接続されたノードに接続され、前記第1のトランジスタのオフ期間の一部においてオンになる第2のトランジスタとを有するスイッチングレギュレータの電流検出回路であって、
前記第1のトランジスタを流れる電流に応じた第1の検出電流を生成する第1の電流生成回路と、
前記第1のトランジスタのオン期間において前記第1の検出電流に応じた電圧を出力し、前記第1及び第2のトランジスタがともにオフである期間において前記第1の検出電流に応じた電圧を保持して出力する第1の保持回路と、
前記第1の保持回路の出力電圧に応じた電流を生成する第1の出力トランジスタと、
前記第2のトランジスタを流れる電流に応じた第2の検出電流を生成する第2の電流生成回路と、
前記第2のトランジスタのオン期間において前記第2の検出電流に応じた電圧を出力し、前記第1及び第2のトランジスタがともにオフである期間において前記第2の検出電流に応じた電圧を保持して出力する第2の保持回路と、
前記第2の保持回路の出力電圧に応じた電流を生成する第2の出力トランジスタとを備え、
前記第1の出力トランジスタと前記第2の出力トランジスタとは並列に接続されている
電流検出回路。
【請求項6】
請求項5に記載の電流検出回路において、
前記第1の検出電流が流れる第1の補助トランジスタと、
前記第2の検出電流が流れる第2の補助トランジスタとを更に備え、
前記第1の保持回路は、
一端が前記第1の補助トランジスタの制御端子、又は前記第1の補助トランジスタとカレントミラーを構成するトランジスタの制御端子に接続され、前記第1のトランジスタのオン期間にオンになる第1のスイッチと、
前記第1のスイッチの他端に接続された第1のキャパシタとを有し、
前記第1の出力トランジスタは、制御端子が前記第1のスイッチの他端に接続されており、
前記第2の保持回路は、
一端が前記第2の補助トランジスタの制御端子、又は前記第2の補助トランジスタとカレントミラーを構成するトランジスタの制御端子に接続され、前記第2のトランジスタのオン期間にオンになる第2のスイッチと、
前記第2のスイッチの他端に接続された第2のキャパシタとを有し、
前記第2の出力トランジスタは、制御端子が前記第2のスイッチの他端に接続されている
電流検出回路。
【請求項7】
請求項6に記載の電流検出回路において、
前記第1の保持回路は、前記第2のスイッチと同様に動作する第1の補助スイッチを更に有し、
前記第2の保持回路は、前記第1のスイッチと同様に動作する第2の補助スイッチを更に有する
電流検出回路。
【請求項8】
インダクタと、
前記インダクタに接続され、電源から前記インダクタに流れる電流をスイッチングする第1のトランジスタと、
前記インダクタ及び前記第1のトランジスタが接続されたノードに接続され、前記第1のトランジスタのオフ期間の一部においてオンになる第2のトランジスタと、
電流検出回路とを備え、
前記電流検出回路は、
前記第1のトランジスタを流れる電流に応じた検出電流を生成する電流生成回路と、
前記第1のトランジスタのオン期間において前記検出電流に応じた電圧を出力し、前記第1のトランジスタのオフ期間において前記検出電流に応じた電圧を保持して出力する保持回路と、
前記保持回路の出力電圧に応じた電流を生成する出力トランジスタとを有する
スイッチングレギュレータ。
【請求項9】
請求項8に記載のスイッチングレギュレータにおいて、
前記出力トランジスタで生成された電流を平均化し、得られた平均化信号を出力する平均化回路と、
前記平均化信号に基づいて、前記第1のトランジスタを制御する駆動信号を生成する駆動信号生成部とを更に備える
スイッチングレギュレータ。
【請求項10】
請求項9に記載のスイッチングレギュレータにおいて、
前記スイッチングレギュレータの出力電圧と目標電圧との間の誤差を示す誤差信号を生成する誤差増幅器を更に備え、
前記平均化回路は、前記出力トランジスタで生成された電流と前記誤差信号との和を平均化して前記平均化信号を生成し、
前記駆動信号生成部は、
三角波信号を生成する三角波発生器と、
前記平均化信号と前記三角波信号とを比較して前記駆動信号を生成する比較器とを有する
スイッチングレギュレータ。
【請求項11】
請求項9に記載のスイッチングレギュレータにおいて、
前記駆動信号生成部は、前記第1のトランジスタのオン期間の長さが所定の閾値以上となるように前記駆動信号を生成する
スイッチングレギュレータ。
【請求項12】
請求項11に記載のスイッチングレギュレータにおいて、
前記駆動信号生成部は、前記スイッチングレギュレータの出力電圧が前記目標電圧より高い所定の電圧に達すると、前記第1のトランジスタを停止させるように前記駆動信号を生成する
スイッチングレギュレータ。
【請求項13】
インダクタと、
前記インダクタに接続され、電源から前記インダクタに流れる電流をスイッチングする第1のトランジスタと、
前記インダクタ及び前記第1のトランジスタが接続されたノードに接続され、前記第1のトランジスタのオフ期間の一部においてオンになる第2のトランジスタと、
電流検出回路とを備え、
前記電流検出回路は、
前記第2のトランジスタを流れる電流に応じた検出電流を生成する電流生成回路と、
前記第2のトランジスタのオン期間において前記検出電流に応じた電圧を出力し、前記第2のトランジスタのオフ期間において前記検出電流に応じた電圧を保持して出力する保持回路と、
前記保持回路の出力電圧に応じた電流を生成する出力トランジスタとを有する
スイッチングレギュレータ。
【請求項14】
請求項13に記載のスイッチングレギュレータにおいて、
前記出力トランジスタで生成された電流を平均化し、得られた平均化信号を出力する平均化回路と、
前記平均化信号に基づいて、前記第1のトランジスタを制御する駆動信号を生成する駆動信号生成部とを更に備える
スイッチングレギュレータ。
【請求項15】
請求項14に記載のスイッチングレギュレータにおいて、
前記スイッチングレギュレータの出力電圧と目標電圧との間の誤差を示す誤差信号を生成する誤差増幅器を更に備え、
前記平均化回路は、前記出力トランジスタで生成された電流と前記誤差信号との和を平均化して前記平均化信号を生成し、
前記駆動信号生成部は、
三角波信号を生成する三角波発生器と、
前記平均化信号と前記三角波信号とを比較して前記駆動信号を生成する比較器とを有する
スイッチングレギュレータ。
【請求項16】
請求項14に記載のスイッチングレギュレータにおいて、
前記駆動信号生成部は、前記第1のトランジスタのオン期間の長さが所定の閾値以下となるように前記駆動信号を生成する
スイッチングレギュレータ。
【請求項17】
インダクタと、
前記インダクタに接続され、電源から前記インダクタに流れる電流をスイッチングする第1のトランジスタと、
前記インダクタ及び前記第1のトランジスタが接続されたノードに接続され、前記第1のトランジスタのオフ期間の一部においてオンになる第2のトランジスタと、
電流検出回路とを備え、
前記電流検出回路は、
前記第1のトランジスタを流れる電流に応じた第1の検出電流を生成する第1の電流生成回路と、
前記第1のトランジスタのオン期間において前記第1の検出電流に応じた電圧を出力し、前記第1及び第2のトランジスタがともにオフである期間において前記第1の検出電流に応じた電圧を保持して出力する第1の保持回路と、
前記第1の保持回路の出力電圧に応じた電流を生成する第1の出力トランジスタと、
前記第2のトランジスタを流れる電流に応じた第2の検出電流を生成する第2の電流生成回路と、
前記第2のトランジスタのオン期間において前記第2の検出電流に応じた電圧を出力し、前記第1及び第2のトランジスタがともにオフである期間において前記第2の検出電流に応じた電圧を保持して出力する第2の保持回路と、
前記第2の保持回路の出力電圧に応じた電流を生成する第2の出力トランジスタとを有し、
前記第1の出力トランジスタと前記第2の出力トランジスタとは並列に接続されている
スイッチングレギュレータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−268542(P2010−268542A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115848(P2009−115848)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】