説明

電流検出装置

【課題】バッテリの種類に関わらず取り付け可能であり、取り付け作業が容易な電流検出装置を提供する。
【解決手段】電流検出装置20の検出部21は、バッテリ本体11から上方へ突出するバッテリポスト12に設けられる。このとき、検出部21は、バッテリポスト12の上端面13からバッテリ本体11側へ外径の変化量が概ね一定のテーパ状の部分に取り付けられる。このように、検出部21は、バッテリポスト12のバッテリ本体11から離れた側に設けられる。そのため、検出部21は、バッテリポスト12の形状に関わらずバッテリポスト12に取り付け可能である。また、検出部21は開口部25にバッテリポスト12を挿入することにより、バッテリポスト12に取り付けられる。そのため、取り付け作業が簡略化される。さらに、検出部21は、バッテリ本体11のバッテリポスト12側に形成される空間に設けられる。そのため、省スペース化が図られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリのバッテリポストを流れる電流を検出する電流検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリから出力またはバッテリに入力される電流を検出する電流検出装置は、例えば特許文献1に開示されているものが一般的である。特許文献1に開示されている電流検出装置は、バッテリポストに取り付けられるターミナルと、このターミナルに取り付けられるハーネスとの接続部分に設けられている。しかしながら、特許文献1のような一般的な電流検出装置の場合、ターミナルとハーネスとを接続するためのねじ締め工程を必要とし、取り付け作業が煩雑になるという問題がある。
【0003】
一方、バッテリポストを流れる電流を検出する電流検出装置として例えば特許文献2が開示されている。特許文献2では、バッテリポストの大径部に電流検出装置が取り付けられている。詳細には、バッテリポストは、バッテリ本体側の基端部側が他の部分よりも大径の台座状に形成されている。特許文献2では、この台座状の大径部に電流検出装置を取り付けることにより、省スペース化および取り付け作業性の向上を図っている。
【0004】
しかしながら、バッテリポストの大径部は、特に規格化されていない。また、欧州や米国では大径部が設けられていないバッテリが広く流通している。そのため、特許文献2の場合、想定外の形状の大径部やそもそも大径部が設けられていないバッテリには、電流検出装置の取り付けが困難であるという問題がある。
【特許文献1】特開2002−141054号公報
【特許文献2】特開2002−50415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、バッテリの種類に関わらず取り付け可能であり、取り付け作業が容易な電流検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明では、検出部はバッテリポストの円柱部またはテーパ部に設けられている。バッテリポストは、バッテリ本体と反対側の端部からバッテリ本体にかけて外径が概ね一定の円柱部または外径の変化量が概ね一定のテーパ部を有している。このような円柱部またはテーパ部に検出部を設けることにより、検出部はバッテリポストのバッテリ本体から離れた側に設けられる。一方、バッテリポストの円柱部またはテーパ部は、大径部と異なり、その形状が例えばJIS、BCI、DINによって規格化されている。これにより、バッテリポストの円柱部またはテーパ部の形状は、バッテリの種類に関わらず所定の規格内に設定されている。したがって、バッテリの種類に関わらず取り付けることができる。また、検出部にバッテリポストを挿入することにより、検出部はバッテリポストに取り付けられる。したがって、取り付け作業を容易にすることができる。さらに、バッテリポストはバッテリ本体から突出しているため、検出部はバッテリ本体のバッテリポスト側に形成される空間に設けられる。したがって、搭載に必要な空間を低減することができ、省スペース化を図ることができる。
【0007】
請求項2記載の発明では、検出部の開口部の内径は最大径のバッテリポストにあわせて設定されている。バッテリポストは、例えばJIS規格の場合、正極用のバッテリポストおよび負極用のバッテリポストが規格化されるとともに、それぞれ太端子および細端子が設定されている。このようなJIS規格の場合、開口部の内径を最も大径の正極用の太端子にあわせて設定することにより、この開口部には他の各種のバッテリポストが挿入可能である。したがって、単一の開口部によって複数の種類のバッテリポストに対応することができ、開口部を有する検出部の種類を低減することができる。
【0008】
請求項3から7のいずれか一項記載の発明では、保持構造部を備えている。保持構造部は、バッテリポストから外部へ電力を取り出すターミナル部材と検出部および変換出力部を一体に有するケーシングとを保持する。これにより、ターミナル部材とケーシングとは保持構造部により容易に組み付けられる。例えば、ターミナル部材をバッテリポストに取り付けた後、このターミナル部材にケーシングを取り付けたり、ターミナル部材とケーシングとを一体に組み付けた後、組み付けられた一体のターミナル部材とケーシングとがバッテリポストに取り付けられる。その結果、バッテリポストへのターミナル部材ならびに検出部および変換出力部を有するケーシングの取り付けが容易になる。したがって、取り付け作業を容易にすることができる。
【0009】
請求項4または5記載の発明では、ケーシングに設けられている爪部とターミナル部材に設けられている穴部、またはターミナル部材に設けられている爪部とケーシングに設けられている穴部との嵌め込みによって、保持構造部が構成され、ケーシングとターミナル部材とは保持される。したがって、爪部と穴部との嵌め込みという簡単な作業でケーシングとターミナル部材とを一体に組み付けることができる。
【0010】
請求項6記載の発明では、ケーシングに設けられている鈎状部とターミナル部材に設けられている鍔部との嵌め込みによって、保持構造部が構成され、ケーシングとターミナル部材とは保持される。ターミナル部材の鍔部は、ケーシングに対しターミナル部材を検出部の径方向へスライドさせることにより、ケーシングの鈎状部に嵌め込まれる。したがって、ケーシングに対するターミナル部材のスライドという簡単な作業でケーシングとターミナル部材とを一体に組み付けることができる。
請求項7記載の発明では、ケーシングとターミナル部材とは回転支持部を中心に相対的に回転可能である。これにより、ケーシングとターミナル部材とは回転支持部を中心に回転可能に保持されている。したがって、回転支持部へのターミナル部材の取り付けという簡単な作業でケーシングとターミナル部材とを一体に組み付けることができる。
【0011】
請求項8記載の発明では、検出部をターミナル部材のバッテリ本体側に設け、変換出力部は検出部およびターミナル部材の径方向外側に設けている。これにより、バッテリ本体のバッテリポストが突出する側に形成された空間は、検出部、ターミナル部材および変換出力部の搭載ために有効な利用が図られる。したがって、省スペース化を図ることができる。
請求項9記載の発明では、検出部の径方向内側には複数の凸部が設けられている。凸部は、検出部の内側からさらに径方向内側に突出し、内側の端部がバッテリポストに接する。これにより、検出部の内周側に挿入されるバッテリポストは、凸部によって支持される。したがって、バッテリポストと検出部とを安定して組み付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明による電流検出装置の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による電流検出装置を取り付けたバッテリを図1に示す。図1に示すようにバッテリ10は、バッテリ本体11およびバッテリポスト12を備えている。バッテリ本体11は、例えば図示しない電極板や電解質溶液を収容している。バッテリポスト12は、導電性の金属によって形成され、バッテリ本体11から突出している。一般に、バッテリポスト12は、天地方向においてバッテリ本体11の上端面から上方へ突出して設けられている。バッテリポスト12は、円柱状またはテーパ状に形成されている。第1実施形態の場合、バッテリポスト12は、バッテリ本体11と反対側の端部である上端面13からバッテリ本体11側へかけて外径の変化量が概ね一定なテーパ状に形成されている。すなわち、バッテリポスト12は、全体がテーパ部を形成している。なお、バッテリポスト12は、上端面13からバッテリ本体11側へかけて外径が概ね一定の円柱状に形成してもよい。このように、第1実施形態の場合、バッテリポスト12は、軸方向の途中において外径が変化する段差を形成していない。
【0013】
電流検出装置20は、検出部21、変換出力部22およびケーシング23を備えている。ケーシング23は、樹脂で形成され、検出部21および変換出力部22を一体に収容している。検出部21は、図2に示すように略円環状に形成され、図1に示すように内側にコア24が設けられている。円環状に形成された検出部21は、内周側にバッテリポスト12が挿入される開口部25を形成している。バッテリポスト12を電流が流れることにより、バッテリポスト12の周囲には磁界が発生する。検出部21のコア24は、このバッテリポスト12の周囲に発生した磁界を検出する。変換出力部22は、検出部21のコア24で検出した磁束を電圧に変換するとともに、変換した電圧を外部へ出力する。変換出力部22は、検出部21のコア24で検出した磁束を電圧に変換する回路基板26を有している。回路基板26は、例えば半導体集積回路や各種の素子などで構成されている。これにより、バッテリポスト12を電流が流れると、変換出力部22はバッテリポスト12を流れる電流に対応した電圧を外部へ出力する。
【0014】
検出部21においてバッテリポスト12が挿入される開口部25の内径は、バッテリポスト12にあわせて設定されている。バッテリポスト12は、上述したように例えばJISなどの各国の標準規格によって形状が規格化されている。JIS規格の場合、バッテリポスト12は正極および負極についてそれぞれ太端子および細端子が規格化されている。このJIS規格の場合、バッテリポスト12は、正極の太端子が最大径となる。そこで、開口部25の内径は、バッテリポスト12のうち最大径となる正極の太端子にあわせて設定されている。最大径となる正極の太端子にあわせることにより、開口部25には正極の太端子だけでなく、正極の細端子、ならびに負極の太端子および細端子のいずれも挿入可能である。その結果、開口部25の設計を正極の太端子の一種類にあわせても、その他の端子径となる各種のバッテリポスト12に対応可能となる。例えば米国のBCI規格、あるいは欧州のDIN規格などの場合も、開口部25は複数の種類のバッテリポスト12のうち最大径のものにあわせて設計することが望ましい。
【0015】
バッテリ10のバッテリポスト12には、上述の電流検出装置20とともにバッテリ10から外部へ電力を取り出すためのターミナル部材30が取り付けられる。ターミナル部材30は、導電性の金属で形成され、バッテリポスト12が挿入される円環状の取付部31を有している。ターミナル部材30の取付部31と反対側は、図2に示すようにバッテリ10から取り出された電流が流れるケーブル32が接続されている。バッテリポスト12にターミナル部材30を取り付けることにより、ケーブル32を経由してバッテリ10の電力が外部へ取り出される。ターミナル部材30は、板状に形成されている第一板部材33および第二板部材34から構成されている。第一板部材33および第二板部材34は、スタッドボルト35およびかしめ部36によって一体に結合されている。
【0016】
円環状の取付部31は、図1に示すようにバッテリポスト12に接する内周側に接触部37を有している。接触部37は、ターミナル部材30を形成する導電性の金属によって弾性変形可能に形成されている。そのため、取付部31にバッテリポスト12を挿入したとき、接触部37はバッテリポスト12の外壁への密着精度が向上する。この接触部37は、バッテリポスト12の軸方向の長さが大きく設定されている。また、検出部21のコア24も、バッテリポスト12の軸方向の長さがバッテリポスト12の全長よりも小さく設定されている。その結果、軸方向の全長が短いバッテリポスト12のテーパ状の部分にターミナル部材を取り付ける場合でも、接触部37とバッテリポスト12との接触面積は十分に確保される。
【0017】
電流検出装置20およびターミナル部材30は、バッテリポスト12に設けられている。より詳細には、ターミナル部材30は、バッテリポスト12の上端面13すなわちバッテリ本体11と反対側の端部から下端すなわちバッテリ本体11側の端部までの間に取り付けられている。ターミナル部材30は、円環状の取付部31において内周側がバッテリポスト12の外周壁に接している。バッテリポスト12にターミナル部材30が接することにより、バッテリ10とターミナル部材30とは電気的に接続される。一方、電流検出装置20は、検出部21がターミナル部材30の下方すなわちバッテリ本体11側に位置している。検出部21は、ターミナル部材30の下方において、バッテリポスト12の径方向外側に設けられている。また、電流検出装置20の変換出力部22は、バッテリポスト12に取り付けられているターミナル部材30および検出部21の径方向外側に設けられている。電流検出装置20のケーシング23は、検出部21および変換出力部22を一体として収容している。そのため、検出部21と変換出力部22との間の位置関係は、ケーシング23の形状によって規定されている。したがって、電流検出装置20は、バッテリポスト12の上端面13からバッテリ本体11側まで外径の変化量が一定なテーパ状の部分に取り付けられている。
【0018】
電流検出装置20は、図2に示すようにケーシング23にターミナル部材30を保持するための保持構造部を備えている。保持構造部は、爪部41および穴部42を有している。第1実施形態の場合、爪部41はケーシング23に設けられ、穴部42はターミナル部材30を貫いて設けられている。ケーシング23は、円環状の検出部21から上方すなわちバッテリ本体11とは反対側へ立ち上がる爪部41を有している。一方、ターミナル部材30は、爪部41に対応する穴部42を有している。爪部41は、先端に返しが設けられた矢形状に形成されている。そのため、爪部41を穴部42に挿入しつつターミナル部材30をケーシング23側へ押し込むことにより、爪部41は穴部42に嵌め込まれる。すなわち、ケーシング23の爪部41とターミナル部材30の穴部42とは、いわゆるスナップフィットを構成している。このように爪部41と穴部42とを嵌め合わせたとき、ケーシング23の開口部25とターミナル部材30の取付部31とが重なり合う。そのため、爪部41と穴部42との嵌め合わせにより一体に構成された電流検出装置20およびターミナル部材30は、一体となった構成を維持したままバッテリポスト12に取り付けられる。
【0019】
ターミナル部材30に電流検出装置20を一体的に保持することにより、開口部25の内径を外径が最大の正極の太端子に合わせて設計した場合でも、ターミナル部材30がバッテリポスト12に取り付けられることよって電流検出装置20も所定の位置に取り付けられる。すなわち、電流検出装置20はターミナル部材30に保持されているため、ターミナル部材30がバッテリポスト12に取り付けられることにより、電流検出装置20の位置も決定される。
【0020】
電流検出装置20をバッテリ10のバッテリポスト12に取り付ける場合、まず電流検出装置20とターミナル部材30とが一体に組み付けられる。このとき、電流検出装置20のケーシング23に設けられている爪部41をターミナル部材30に設けられている穴部42に嵌め込むことにより、電流検出装置20とターミナル部材30とは一体に組み付けられる。そして、一体に組み付けられた電流検出装置20およびターミナル部材30は、バッテリ10のバッテリポスト12に取り付けられる。電流検出装置20とターミナル部材30とが一体に組み付けられたとき、電流検出装置20の開口部25とターミナル部材30の取付部31とは重なり合っている。そのため、開口部25および取付部31の内側にバッテリポスト12が挿入される。取付部31に設けられている弾性変形可能な接触部37がバッテリポスト12に接することによって、バッテリ10とターミナル部材30とが電気的に接続されるとともに、ターミナル部材30およびこれに保持されている電流検出装置20はバッテリポスト12との位置関係が規定されつつバッテリポスト12に固定される。
【0021】
以上説明した本発明の第1実施形態では、検出部21はテーパ状のバッテリポスト12に設けられている。このようなテーパ状のバッテリポスト12に検出部21を設けることにより、検出部21はバッテリポスト12のバッテリ本体11から離れた側に設けられる。そのため、検出部21は、バッテリポスト12の形状に関わらずバッテリポスト12に取り付け可能である。したがって、バッテリ10の種類に関わらず電流検出装置20をバッテリポスト12に取り付けることができる。また、検出部21にバッテリポスト12を挿入することにより、検出部21はバッテリポスト12に取り付けられる。したがって、取り付け作業を容易にすることができる。さらに、バッテリポスト12はバッテリ本体11から突出しているため、検出部21はバッテリ本体11のバッテリポスト12側に形成される空間に設けられる。したがって、搭載に必要な空間を低減することができ、省スペース化を図ることができる。
【0022】
また、第1実施形態では、検出部21の開口部25の内径は、規格化されているバッテリポスト12のうち最大径となる正極用の太端子にあわせて設定されている。そのため、この開口部25にはその規格に含まれる他の各種のバッテリポスト12が挿入可能である。したがって、単一の開口部25よって複数の種類のバッテリポスト12に対応することができ、開口部25を有する検出部21の設計を簡略化することができる。
さらに、第1実施形態では、ケーシング23に設けられている爪部41とターミナル部材30に設けられている穴部42との嵌め込みによって、保持構造部が構成され、電流検出装置20とターミナル部材30とは保持される。したがって、爪部41と穴部42との嵌め込みという簡単な作業で電流検出装置20とターミナル部材30とを一体に組み付けることができる。
【0023】
さらに、第1実施形態では、検出部21をターミナル部材30のバッテリ本体11側に設け、変換出力部22は検出部21およびターミナル部材30の径方向外側に設けている。これにより、バッテリ本体11のバッテリポスト12が突出する側、すなわちバッテリ本体11の上方に形成された空間は、検出部21、ターミナル部材30および変換出力部22の搭載ために有効な利用が図られる。したがって、省スペース化を図ることができる。
さらに、第1実施形態では、バッテリポスト12の軸方向において、ターミナル部材30の接触部37の全長を拡大し、検出部21のコア24の全長を縮小している。そのため、接触部37とバッテリポスト12との接触面積を確保しつつ、バッテリポスト12からの検出部21の突出が低減される。第1実施形態のように電流検出装置20をバッテリポスト12のバッテリ本体11と反対側すなわち上端面13側に取り付ける場合、バッテリポスト12の全長によってはその取り付けが妨げられる場合がある。そこで、接触部37の全長を拡大しつつコア24の全長を縮小することにより、接触部37とバッテリポスト12との接触面積の確保による電流取り出し性能の維持と、コア24の短縮による省スペース化を図っている。したがって、バッテリ10の種類およびバッテリポスト12の形状に関係なく確実な電流の取り出しを達成できるとともに、省スペース化を両立することができる。
【0024】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の変形例を図3に示す。第1実施形態では、ケーシング23に爪部41を設け、ターミナル部材30に穴部42を設ける例について説明した。しかし、図3に示す変形例のように、ターミナル部材30に爪部43を設け、ケーシング23に穴部44を設けてもよい。この場合でも、爪部43を穴部44に嵌め込むことにより、電流検出装置20とターミナル部材30とは一体に組み付けられる。したがって、爪部43と穴部44との嵌め込みという簡単な作業で電流検出装置20とターミナル部材30とを一体に組み付けることができる。
【0025】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による電流検出装置を図4に示す。
第2実施形態では、保持構造部が第1実施形態と異なっている。第2実施形態の場合、保持構造部は、電流検出装置20のケーシング23に設けられている鈎状部51と、ターミナル部材30に設けられている鍔部52とを有している。鈎状部51は、ケーシング23に設けられ、ケーシング23からバッテリ本体11と反対側すなわち上方へ立ち上がっている。鈎状部51は、上端が変換出力部22側へ突出することにより、ケーシング23の端面との間に溝53を形成している。鍔部52は、ターミナル部材30の第一板部材33に設けられている。鍔部52は、第一板部材33から外側へ突起状に突出している。この鍔部52は、鈎状部51に嵌め込まれる。
検出部21の径方向へターミナル部材30をスライドさせることにより、ターミナル部材30の鍔部52はケーシング23の鈎状部51が形成する溝53に嵌め込まれる。このように鍔部52を鈎状部51の溝53に嵌め込むことにより、ターミナル部材30は電流検出装置20のケーシング23に保持される。
【0026】
第2実施形態では、ケーシング23に設けられている鈎状部51とターミナル部材30に設けられている鍔部52との嵌め込みによって、保持構造部が構成され、電流検出装置20とターミナル部材30とは保持される。ターミナル部材30の鍔部52は、ケーシング23に対しターミナル部材30をスライドさせることにより、ケーシング23の鈎状部51に嵌め込まれる。したがって、電流検出装置20のケーシング23に対するターミナル部材30のスライドという簡単な作業で電流検出装置20とターミナル部材30とを一体に組み付けることができる。
【0027】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による電流検出装置を図5に示す。
第3実施形態では、図5に示すように保持構造部が第1実施形態と異なっている。第3実施形態の場合、ケーシング23は検出部21を挟んで変換出力部22の反対側に回転支持部61を有している。回転支持部61は、ケーシング23において変換出力部22と同様に上方側へ設けられている。回転支持部61は、ターミナル部材30のスタッドボルト35の軸方向の端部が嵌め込まれ、スタッドボルト35を回転可能に支持する。そのため、電流検出装置20のケーシング23とターミナル部材30とは、回転支持部61におけるスタッドボルト35の回転によって相対的に回転可能である。これにより、ターミナル部材30は、回転支持部61と反対側の端部すなわち電流検出装置20の変換出力部22側において、図5の矢印R1およびR2方向へ開閉可能である。
【0028】
上記の構成により、ターミナル部材30および電流検出装置20をバッテリ10のバッテリポスト12の取り付ける場合、まずターミナル部材30のスタッドボルト35をケーシング23の回転支持部61に取り付ける。これにより、電流検出装置20とターミナル部材30とは、一体に組み付けられる。そして、一体に組み付けられた電流検出装置20およびターミナル部材30は、ターミナル部材30の回転支持部61とは反対側の端部すなわちケーブル32側の端部と電流検出装置20の変換出力部22とを重ねた状態でバッテリ10のバッテリポスト12に取り付けられる。その結果、バッテリポスト12に電流検出装置20およびターミナル部材30の取り付けが完了する。
【0029】
第3実施形態では、電流検出装置20のケーシング23とターミナル部材30とは回転支持部61を中心に相対的に回転可能である。すなわち、回転支持部61にターミナル部材30を取り付けることにより、電流検出装置20とターミナル部材30とは一体に組み付けられる。したがって、回転支持部61へのターミナル部材30の取り付けという簡単な作業で電流検出装置20とターミナル部材30とを一体に組み付けることができる。
【0030】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態による電流検出装置を図6に示す。
第4実施形態では、ケーシング23は開口部25に複数の凸部71を有している。凸部71は、開口部25の径方向内側へ突出している。凸部71は、径方向内側の端面がバッテリポスト12の外周壁に接触可能である。複数の凸部71の端面がバッテリポスト12の外周壁に接することにより、バッテリポスト12に対するケーシング23の位置が安定する。なお、ターミナル部材30の接触部37をバッテリ本体11側へ延長する場合、凸部71とバッテリポスト12との間にターミナル部材30の接触部37が挟み込まれてもよい。このように凸部71とバッテリポスト12との間にターミナル部材30の接触部37を挟み込む場合でも、凸部71がターミナル部材30の接触部37に接することにより、バッテリポスト12に対する電流検出装置20の位置は安定する。
第4実施形態では、検出部21の径方向内側には複数の凸部71が設けられている。これにより、検出部21の内周側に挿入されるバッテリポスト12は、凸部71によって支持される。したがって、バッテリポスト12と検出部21とを安定して組み付けることができる。
【0031】
(その他の実施形態)
以上説明した複数の実施形態では、バッテリポスト12は上端面13からバッテリ本体11側まで外径の変化量が概ね一定のテーパ状に形成された例を説明した。しかし、バッテリポスト12は、上端面13からバッテリ本体11側まで外径が概ね一定の円柱状でもよい。また、円柱状またはテーパ状のバッテリポスト12は、バッテリ本体11側の端部に円柱状またはテーパ状の部分よりも外径が大きな大径部を有していてもよい。この場合でも、電流検出装置20は、バッテリポスト12の円柱状またはテーパ状の部分に取り付けられる。
【0032】
また、第1実施形態において保持構造部を構成する爪部41、42および穴部42、44の位置、ならびに第2実施形態において保持構造部を構成する鈎状部51および鍔部52の位置など、保持構造部を構成する各部の位置は、上述した例に限らず、任意の位置に設けることができる。また、例えば第1実施形態の保持構造部と第2実施形態の保持構造部とを組み合わせる場合のように、複数の実施形態を組み合わせて適用してもよい。同様に、第4実施形態の構成を第1実施形態から第3実施形態に組み合わせて適用してもよい。
【0033】
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態による電流検出装置を取り付けたバッテリを示す模式的な断面図
【図2】本発明の第1実施形態による電流検出装置およびターミナル部材を示す概略斜視図
【図3】本発明の第1実施形態の変形例による電流検出装置およびターミナル部材を示す概略斜視図
【図4】本発明の第2実施形態による電流検出装置およびターミナル部材を示す概略斜視図
【図5】本発明の第3実施形態による電流検出装置およびターミナル部材を示す概略断面図
【図6】本発明の第4実施形態による電流検出装置を示す概略平面図
【符号の説明】
【0035】
図面中、10はバッテリ、11はバッテリ本体、12はバッテリポスト、20は電流検出装置、21は検出部、22は変換出力部、23はケーシング、24はコア、25は開口部、30はターミナル部材、41、43は爪部(保持構造部)、42、44は穴部(保持構造部)、51は鈎状部(保持構造部)、52は鍔部(保持構造部)、61は回転支持部(保持構造部)、71は凸部を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリ本体と、前記バッテリ本体から突出するバッテリポストとを備えるバッテリの前記バッテリポストに取り付けられ、前記バッテリポストを流れる電流を検出する電流検出装置であって、
前記バッテリポストの前記バッテリ本体と反対側の端部から前記バッテリ本体までの間において外径が概ね一定の円柱部または外径の変化量が概ね一定のテーパ部の径方向外側に設けられ、前記ポスト部を流れる電流によって生じた磁束を検出するコアを有する検出部と、
前記検出部で検出した磁束を電圧に変換して外部へ出力する変換出力部と、
を備えることを特徴とする電流検出装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記バッテリポストが挿入される円形状の開口部を有し、
前記開口部の内径は、規格化されている最大径のバッテリポストを挿入可能に設定されていることを特徴とする請求項1記載の電流検出装置。
【請求項3】
前記バッテリポストの径方向外側に、前記バッテリポストから電力を取り出すターミナル部材を備えるバッテリに適用され、
前記検出部および前記変換出力部を有するケーシングと、
前記ケーシングに設けられ、前記ターミナル部材を前記ケーシングに保持する保持構造部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1または2記載の電流検出装置。
【請求項4】
前記保持構造部は、前記ケーシングに設けられている爪部と、前記ターミナル部材に設けられ前記爪部が嵌め込まれる穴部とを有することを特徴とする請求項3記載の電流検出装置。
【請求項5】
前記保持構造部は、前記ターミナル部材に設けられている爪部と、前記ケーシングに設けられ前記爪部が嵌め込まれる穴部とを有することを特徴とする請求項3記載の電流検出装置。
【請求項6】
前記保持構造部は、前記ケーシングに設けられている鈎状部と、前記ターミナル部材に設けられ前記ケーシングに対し前記検出部の径方向へ前記ターミナル部材をスライドさせることにより前記鈎状部に嵌め込まれる鍔部とを有することを特徴とする請求項3記載の電流検出装置。
【請求項7】
前記保持構造部は、前記検出部を挟んで前記変換出力部と反対側の端部において前記ケーシングと前記ターミナル部材とを相対的に回転可能に支持する回転支持部を有することを特徴とする請求項3記載の電流検出装置。
【請求項8】
前記検出部は、前記ターミナル部材の前記バッテリ本体側に設けられ、
前記変換出力部は、前記検出部および前記ターミナル部材の径方向外側に設けられていることを特徴とする請求項3から7のいずれか一項記載の電流検出装置。
【請求項9】
前記ケーシングは、前記検出部の径方向内側からさらに内側へ突出して端部が前記バッテリポストに接する複数の凸部を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の電流検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−48571(P2010−48571A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−210622(P2008−210622)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】