説明

電源装置及びアーク加工用電源装置

【課題】ソフトスイッチング制御で用いる補助コンデンサの充放電を負荷状態にかかわらず確実とし、スイッチング損失の低減や電圧サージの抑制を図ることができる電源装置を提供する。
【解決手段】インバータ回路13の各ブリッジアームの中間点N1,N2間(出力端子間)に共振回路15が設けられる。共振回路15は、補助コンデンサC1の放電開始となるスイッチング素子S6の各オフに先立って共振動作を開始し、補助コンデンサC1の放電電流に基づくスイッチング素子S1〜S4の出力電流が増大するような共振電流を生じさせる。これにより、補助コンデンサC1の放電速度が速くなり、該補助コンデンサC1の放電時間が短縮化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ回路を有する電源装置及びアーク加工用電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アーク加工機等に用いられる電源装置は、例えば特許文献1に示されるように、商用電源(三相交流電源)を整流回路にて整流し平滑コンデンサにて平滑化した直流電圧に変換する直流変換回路と、スイッチング素子のフルブリッジ回路で構成されるインバータ回路とを備えている。インバータ回路は、各スイッチング素子が組毎に交互にオンオフ制御されることで、直流変換回路からの直流電圧を所定の高周波交流電圧に変換している。そして、インバータ回路からの所定の高周波交流電圧がアーク溶接やアーク切断等のアーク加工に適したアーク加工用直流電圧に更に変換されている。
【0003】
また、特許文献1の第1図及び第16図に示される電源装置では、直流変換回路を構成する平滑コンデンサとインバータ回路との間の一対の電源線間に補助コンデンサが接続されるとともに、平滑及び補助コンデンサ間の電源線上に補助スイッチング素子が配置されてなる。補助スイッチング素子は、インバータ回路のスイッチング素子のオンと同時オンされ、インバータ回路のスイッチング素子のオフ時にはそのオフよりも先にオフされる。このような補助スイッチング素子のオンオフ制御に基づく補助コンデンサの充放電動作を利用することで、各スイッチング素子におけるスイッチング損失を低減するソフトスイッチング制御が実施可能な構成となっている。尚、第1図の電源装置は200Vの入力交流電源対応であり、第16図の電源装置は400Vの入力交流電源対応となっている。
【特許文献1】特開2003−311408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、軽負荷時や無負荷時等において、補助コンデンサの充放電が不完全となる場合がある。この補助コンデンサの不完全な充放電動作は、スイッチング損失の増大やサージ電圧発生によるスイッチング素子の破損に繋がるため、これらを解決することが要望されている。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ソフトスイッチング制御で用いる補助コンデンサの充放電を負荷状態にかかわらず確実とし、スイッチング損失の低減や電圧サージの抑制を図ることができる電源装置及びアーク加工用電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、整流回路及びその出力側の一対の電源線間に接続された平滑コンデンサを有し、入力交流電源を整流・平滑化した直流電圧に変換する直流変換回路と、複数個のスイッチング素子を用いたフルブリッジ回路で構成され、第1組及び第2組のスイッチング素子が交互にオンオフして前記各電源線を介して供給された前記直流電圧を所定の交流電圧に変換するインバータ回路と、前記平滑コンデンサと前記インバータ回路との間の前記各電源線間に接続された補助コンデンサを有するとともに、前記平滑コンデンサと前記補助コンデンサとの間の前記電源線上に前記インバータ回路の第1組及び第2組のスイッチング素子と連動して動作される補助スイッチング素子が配置されてなる補助スイッチング回路とを備え、前記補助コンデンサの充電状態で前記インバータ回路のスイッチング素子のオフに先立って前記補助スイッチング素子をオフさせ、前記補助スイッチング素子のオフによる前記補助コンデンサの放電に伴いその放電後に前記インバータ回路のスイッチング素子をオフさせるソフトスイッチング制御が行われる構成の電源装置であって、前記インバータ回路の出力端子間に設けられ、前記補助コンデンサの放電開始となる前記補助スイッチング素子のオフ以前に共振動作を開始させ、前記補助コンデンサの放電電流に基づく前記インバータ回路のスイッチング素子の出力電流を増大させる共振電流を生じさせる共振回路を備えたことをその要旨とする。
【0007】
この発明では、インバータ回路の出力端子間(ブリッジアームの中間点間)に共振回路が設けられ、該共振回路は、補助コンデンサの放電開始となる補助スイッチング素子のオフ以前(オフと同時又はオフに先立って)に共振動作を開始させ、補助コンデンサの放電電流に基づくインバータ回路のスイッチング素子の出力電流が増大するような共振電流を生じさせる。これにより、補助コンデンサの放電速度が速くなり、該補助コンデンサの放電時間が短縮化される。従って、補助コンデンサの放電が短時間で速やかに行われ、軽負荷時や無負荷時であっても補助コンデンサの放電を確実に行うことが可能となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電源装置において、前記共振回路は、前記補助スイッチング素子のオフに先立って前記共振動作が開始されることをその要旨とする。
【0009】
この発明では、共振回路は、補助スイッチング素子のオフに先立って共振動作が開始される。つまり、補助スイッチング素子のオフに先立ってその共振動作にて生じる共振電流を予め増大させておくことができ、これにより補助スイッチング素子のオフにより補助コンデンサの放電が開始された時からその放電が速やかとなる。そのため、補助コンデンサの放電時間がより短縮化される。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電源装置において、前記共振回路は、前記インバータ回路のスイッチング素子のオフに基づいて、前記共振電流を前記補助コンデンサの充電電流として供給するように構成されていることをその要旨とする。
【0011】
この発明では、インバータ回路のスイッチング素子のオフ時には既に放電が完了している補助コンデンサに対し、共振回路は、共振動作にて生じる共振電流をその補助コンデンサの充電電流として供給する。これにより、共振回路からの共振電流が補助コンデンサの充電電流としても用いられることから、補助コンデンサの充電速度が速くなり、該補助コンデンサの充電時間が短縮化される。従って、補助コンデンサの充電が短時間で速やかに行われ、軽負荷時や無負荷時であっても補助コンデンサの充電を確実に行うことが可能となる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電源装置において、前記共振回路は、還流ダイオードを有し前記補助スイッチング素子と連動して交互に動作される一対の共振用スイッチング素子を共振インダクタの両側にそれぞれ逆向きに接続し、前記各共振用スイッチング素子を前記インバータ回路の各出力端子にそれぞれ接続して構成されていることをその要旨とする。
【0013】
この発明では、共振回路は、還流ダイオードを有し補助スイッチング素子と連動して交互に動作される一対の共振用スイッチング素子が共振インダクタの両側にそれぞれ逆向きに接続され、各共振用スイッチング素子がインバータ回路の各出力端子にそれぞれ接続されて構成される。つまり、共振回路を2個のスイッチング素子と共振インダクタとで簡素に構成可能である。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電源装置において、前記直流変換回路は、1個の前記平滑コンデンサが前記各電源線間に接続されてなり、前記補助スイッチング回路は、前記インバータ回路の第1組及び第2組のスイッチング素子の両者と連動して動作される1個の前記補助スイッチング素子が一方の前記電源線上に配置されてなることをその要旨とする。
【0015】
この発明では、直流変換回路は、1個の平滑コンデンサが各電源線間に接続され、補助スイッチング回路は、インバータ回路の第1組及び第2組のスイッチング素子の両者と連動して動作される1個の補助スイッチング素子が一方の電源線上に配置される。つまり、直流変換回路及び補助スイッチング回路が簡素に構成され、電源装置の構成の簡素化に寄与できる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電源装置において、前記直流変換回路は、2個の前記平滑コンデンサが前記各電源線間に直列に接続されてなり、前記各平滑コンデンサは、自身の前記直流電圧を後段の前記インバータ回路にそれぞれ供給可能に接続され、前記補助スイッチング回路は、前記インバータ回路の第1組及び第2組のスイッチング素子の対応する素子とそれぞれ連動して動作される前記補助スイッチング素子が前記各電源線上にそれぞれ配置されてなることをその要旨とする。
【0017】
この発明では、直流変換回路は、2個の平滑コンデンサが各電源線間に直列に接続され、各平滑コンデンサは、自身の直流電圧を後段のインバータ回路にそれぞれ供給可能に接続される。補助スイッチング回路は、インバータ回路の第1組及び第2組のスイッチング素子の対応する素子とそれぞれ連動して動作される補助スイッチング素子が各電源線上にそれぞれ配置される。これにより、各平滑コンデンサからの直流電圧が後段のインバータ回路にて交互に使用されることから、インバータ回路を低い耐圧で構成しながらも高い電圧の入力交流電源に対応することが可能である。
【0018】
請求項7に記載の発明は、複数個のスイッチング素子を用いたフルブリッジ回路で構成され、第1組及び第2組のスイッチング素子が交互にオンオフして一対の電源線を介して供給された直流電圧を所定の交流電圧に変換するインバータ回路と、前記インバータ回路前段の前記各電源線間に接続された補助コンデンサを有するとともに、その補助コンデンサ前段の前記電源線上に前記インバータ回路の第1組及び第2組のスイッチング素子と連動して動作される補助スイッチング素子が配置されてなる補助スイッチング回路とを備え、前記補助コンデンサの充電状態で前記インバータ回路のスイッチング素子のオフに先立って前記補助スイッチング素子をオフさせ、前記補助スイッチング素子のオフによる前記補助コンデンサの放電に伴いその放電後に前記インバータ回路のスイッチング素子をオフさせるソフトスイッチング制御が行われる構成の電源装置であって、前記インバータ回路の出力端子間に設けられ、前記補助コンデンサの放電開始となる前記補助スイッチング素子のオフ以前に共振動作を開始させ、前記補助コンデンサの放電電流に基づく前記インバータ回路のスイッチング素子の出力電流を増大させる共振電流を生じさせる共振回路を備えたことをその要旨とする。
【0019】
この発明では、直流電源入力型の電源装置であり、該電源装置においても上記請求項1と同様の作用効果を有する。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電源装置を用い、加工対象物のアーク加工を行うアーク加工用電圧を生成するように構成されているアーク加工用電源装置である。
【0020】
この発明では、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電源装置が用いられてアーク加工用電源装置が構成されるため、上記各請求項の作用効果が得られるアーク加工用電源装置を提供できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ソフトスイッチング制御で用いる補助コンデンサの充放電が負荷状態にかかわらず確実となり、スイッチング損失の低減や電圧サージの抑制を図ることができる電源装置及びアーク加工用電源装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のアーク加工用電源装置11を備えたアーク加工機10を示す。アーク加工機10は、その電源装置11から出力される加工用直流電圧をトーチTHに供給し、そのトーチTHから加工対象物Mに向けてアークを発生させることで、加工対象物Mに対してアーク溶接やアーク切断等のアーク加工を行う装置である。
【0023】
アーク加工用電源装置11は、200Vの入力交流電源対応であり、その交流電圧を直流電圧に変換する直流変換回路12と、その直流電圧を所定の高周波交流電圧に変換するインバータ回路13とを備えてなる。
【0024】
直流変換回路12は、ダイオードを用いたブリッジ回路で構成され三相の入力交流電源を全波整流する一次側整流回路DR1と、該整流回路DR1の出力側の電源線L1,L2間に接続され該整流回路DR1の出力電圧を平滑化する1個の平滑コンデンサC0を有してなる。直流変換回路12は、この整流回路DR1及び平滑コンデンサC0にて入力交流電源から直流電圧を生成している。
【0025】
インバータ回路13は、電源線L1,L2に接続され、IGBTよりなる4個のスイッチング素子S1〜S4を用いたフルブリッジ回路で構成されている。この場合、スイッチング素子S1,S2が電源線L1,L2間に直列に接続されて一方のブリッジアームが構成されるとともに、スイッチング素子S3,S4が電源線L1,L2間に直列に接続されてもう一方のブリッジアームが構成されている。尚、これらのスイッチング素子S1〜S4には、それぞれ還流ダイオードD1〜D4が逆接続されている。各スイッチング素子S1〜S4は、ゲートに入力される出力制御回路SCからの制御信号に基づいて、スイッチング素子S1,S4とスイッチング素子S2,S3とがそれぞれ組をなして交互にオンオフ駆動され、直流変換回路12から出力された直流電圧を所定の高周波交流電圧に変換し、該高周波交流電圧を変圧器INTの一次側コイルに供給している。
【0026】
また本実施形態では、インバータ回路13及び前記直流変換回路12の間に補助スイッチング回路14が備えられているとともに、インバータ回路13の一対のブリッジアームの中間点N1,N2間、即ちインバータ回路13の出力端子間に共振回路15が備えられている。
【0027】
補助スイッチング回路14は、IGBTよりなる1個のスイッチング素子S6と、1個の補助コンデンサC1とを備えている。スイッチング素子S6は平滑コンデンサC0の後段の電源線L2上に配置され、該スイッチング素子S6には還流ダイオードD6が逆接続されている。スイッチング素子S6は、ゲートに入力される出力制御回路SCからの制御信号に基づいて交互にオンオフ駆動される。スイッチング素子S6の後段の電源線L1,L2間には補助コンデンサC1が接続されている。
【0028】
共振回路15は、前記インバータ回路13のスイッチング素子S1,S2間の中間点(出力端子)N1と、スイッチング素子S3,S4間の中間点(出力端子)N2との間に接続されている。共振回路15は、IGBTよりなる2個のスイッチング素子S7,S8と、2個のインダクタ(共振インダクタLr及び直列インダクタLs)とを備えている。スイッチング素子S7は、そのコレクタが中間点N1に接続されるとともに、エミッタが共振インダクタLrを介してスイッチング素子S8のエミッタに接続され、該スイッチング素子S8のコレクタは中間点N2に接続されている。各スイッチング素子S7,S8には、それぞれ還流ダイオードD7,D8が逆接続されている。各スイッチング素子S7,S8は、ゲートに入力される出力制御回路SCからの制御信号に基づいて交互にオンオフ駆動される。直列インダクタLsは、一端が中間点N1に接続されるとともに、他端が変圧器INTの一次側コイルを介して中間点N2に接続されている。
【0029】
そして、補助スイッチング回路14のスイッチング素子S6及び共振回路15のスイッチング素子S7,S8は、前記インバータ回路13のスイッチング素子S1〜S4の動作に付随したオンオフ駆動がなされ、このスイッチング素子S1〜S4のスイッチング損失を低減、及びスイッチング素子S6〜S8自身のスイッチング損失を低減するソフトスイッチング制御が行われる。尚、この制御についての詳細は、インバータ回路13の制御と合わせて後述する。
【0030】
インバータ回路13で生成された高周波交流電圧は、変圧器INTの一次側コイルに供給され、該変圧器INTの二次側には、二次側整流回路DR2及び直流リアクトルDCLが備えられる。二次側整流回路DR2は、変圧器INTの二次側コイルの両端にそれぞれアノードが接続される2個のダイオードD11,D12を備え、各ダイオードD11,D12のカソードが接続される該整流回路DR2の出力側には、直流リアクトルDCLが接続されている。直流リアクトルDCLは、出力線L3を介してトーチTHと接続される。二次側整流回路DR2及び直流リアクトルDCLは、インバータ回路13からの高周波交流電圧をアーク加工用直流電圧に変換してトーチTHに出力する。一方、変圧器INTの二次側コイルの中間タップに接続された出力線L4は加工対象物Mと接続され、トーチTHへのアーク加工用直流電圧の供給に基づきトーチTHから加工対象物Mに向けてアークが生じるようになっている。
【0031】
次に、上記したインバータ回路13のスイッチング素子S1〜S4と、補助スイッチング回路14のスイッチング素子S6、及び共振回路15のスイッチング素子S7,S8とをスイッチング制御する出力制御回路SCのその制御について図2を参照しつつ説明する。尚、図2において、「S1」〜「S4」,「S6」〜「S8」は、スイッチング素子S1〜S4,S6〜S8のオンオフ状態を示しており、電圧「V」及び電流「I」の添え字「s1〜s4,s6〜s8,c1」は各素子の符号に対応付けてあり、各素子にかかる電圧及び電流を示している。尚、この電圧「V」及び電流「I」の添え字「s1〜s4,s6〜s8」については、還流ダイオードD1〜D4,D6〜D8も含んでいる。
【0032】
出力制御回路SCは、先ずはインバータ回路13の主たる動作として直流電圧から高周波交流電圧を生成するために、インバータ回路13のスイッチング素子S1,S4の組とスイッチング素子S2,S3の組とを所定周波数で交互にオンオフさせる。ここで、出力制御回路SCは、出力線L4等から実出力電流値の検出を行っており、その実出力電流値と出力設定値とに基づいてPWM制御を実施、即ちオンパルス幅W(デューティ)の変更にてスイッチング素子S1〜S4のオン時間を調整し、その高周波交流電圧を制御している。
【0033】
また、この出力制御回路SCは、インバータ回路13のスイッチング素子S1〜S4のオンオフ動作に付随してスイッチング素子S6を動作させるとともに、スイッチング素子S1,S4と組でスイッチング素子S7を、スイッチング素子S2,S3と組でスイッチング素子S8をそれぞれ動作させ、インバータ回路13の主たる動作に付随して補助スイッチング回路14及び共振回路15の各スイッチング素子S6〜S8を動作させるソフトスイッチング制御も行っている。
【0034】
詳述すると、出力制御回路SCは、インバータ回路13のスイッチング素子S1,S4のオン側では、補助スイッチング回路14のスイッチング素子S6を同時にオンさせる。これに対し、インバータ回路13のスイッチング素子S1,S4のオフ側では、出力制御回路SCは、そのオフよりも所定時間T1前にスイッチング素子S6をオフ、更にそのスイッチング素子S6をオフよりも所定時間T2前に共振回路15のスイッチング素子S7をオンさせる。そして、出力制御回路SCは、もう一方の組のスイッチング素子S2,S3のオンと同時にスイッチング素子S7をオフさせる。因みに、スイッチング素子S1,S4のオンからスイッチング素子S7のオフまでの間は少なくとも、もう一方の組のスイッチング素子S2,S3,S8をオフ状態に維持している。もう一方の組のスイッチング素子S2,S3,S8のオンオフ動作については、スイッチング素子S2,S3のオン以降、スイッチング素子S1,S4,S7の上記オンオフ動作と同様に実施される。
【0035】
このような出力制御回路SCのスイッチング制御により、各タイミングでの回路各所の電流及び電圧変化を見てみると、先ず、スイッチング素子S1,S4,S6がオン状態、スイッチング素子S2,S3,S7,S8がオフ状態にある時刻t0前においては、平滑コンデンサC0(補助コンデンサC1)の端子間電圧がインバータ回路13のスイッチング素子S1,S4に供給される。スイッチング素子S1,S4からの出力電圧は、直列インダクタLsを介して変圧器INTの一次側コイルに供給され、これに伴い変圧器INTの二次側では、二次側整流回路DR2のダイオードD11側から直流リアクトルDCLを介してトーチTHにアーク加工用直流電圧が出力される。
【0036】
「時刻t0」になると、スイッチング素子S7がオンされる。このオンに基づいて共振回路15が共振動作を開始し、共振インダクタLrに共振電流が生じて、中間点N1からスイッチング素子S7、共振インダクタLr及び還流ダイオードD8の経路でこの共振電流が流れる。これにより、スイッチング素子S7を流れる電流Is7が増加し、これに連動してスイッチング素子S1,S4を流れる電流(出力電流)Is1,Is4も増加する。尚、共振インダクタLrにより生じる共振電流はゼロからの立ち上がりが緩やかであるため、スイッチング素子S7はゼロ電流でのオンとなり、そのスイッチング損失が低減されている。スイッチング素子S1,S4からは、変圧器INTの一次側コイル側に平滑コンデンサC0の端子間電圧に基づく出力電圧の供給が継続され、変圧器INTの二次側ではダイオードD11側からの直流リアクトルDCLへの電流供給が継続される。補助コンデンサC1の端子間電圧は、依然、平滑コンデンサC0の端子間電圧と同等に維持されている。
【0037】
「時刻t1」になると、スイッチング素子S6がオフされる。このオフに基づいて、スイッチング素子S1,S4への平滑コンデンサC0からの端子間電圧の供給が遮断されるものの、補助コンデンサC1の放電が開始され該コンデンサC1の端子間電圧の供給に替わる。尚、このスイッチング素子S6のオフ時には、時刻t1以前に補助コンデンサC1の端子間電圧が平滑コンデンサC0の端子間電圧まで充電されていることから、スイッチング素子S6をゼロ電圧(端子間の電位差がゼロ)でオフでき、そのスイッチング損失が低減されている。スイッチング素子S1,S4からは、変圧器INTの一次側コイル側に今度は補助コンデンサC1の端子間電圧に基づく出力電圧の供給が継続され、変圧器INTの二次側では同様にダイオードD11側からの直流リアクトルDCLへの電流供給が継続される。
【0038】
また、このときにおいてもスイッチング素子S1,S4を流れる電流Is1,Is4が変圧器INTの一次側コイル側のみ流れる態様とした場合の電流値と比較して大きく、しかも本実施形態ではスイッチング素子S7を流れる電流Is7が時刻t1直前よりも更に増加する設定となっているため、これに連動してスイッチング素子S1,S4を流れる電流Is1,Is4も一層増加する。これにより、補助コンデンサC1の放電速度が速くなり、該補助コンデンサC1の放電時間が短縮化される。従って、スイッチング素子S1,S4がオフされるよりも前に補助コンデンサC1の放電が短時間で速やかに行われるようになっている。
【0039】
「時刻t2」において、補助コンデンサC1の放電が完了すると、オン状態のスイッチング素子S1、変圧器INTの一次側コイル(直列インダクタLs)、及び還流ダイオードD3を使用した経路と、オン状態のスイッチング素子S4、変圧器INTの一次側コイル(直列インダクタLs)、及び還流ダイオードD2を使用した経路とに還流電流が流れる。また、共振インダクタLrの共振電流に基づいてスイッチング素子S7側に分岐した経路でも還流電流が流れる。変圧器INTの二次側では、時刻t2前までに直流リアクトルDCLに蓄積された電磁エネルギーの放出に基づいて、両方のダイオードD11,D12を経路とした還流電流が流れる。
【0040】
「時刻t3」になると、スイッチング素子S1,S4がオフされる。このスイッチング素子S1,S4のオフ時には、補助コンデンサC1が既に時刻t2で放電されていることから、スイッチング素子S1,S4をゼロ電圧(端子間の電位差がゼロ)でオフでき、そのスイッチング損失が低減されている。また、このオフに基づいて、直列インダクタLsに蓄積された電磁エネルギーの放出に基づいて還流ダイオードD2,D3を使用した経路で還流電流が流れ、共振インダクタLrに蓄積された電磁エネルギーの放出に基づいてスイッチング素子S7側に分岐した経路でも引き続き還流電流が流れる。そして、変圧器INTの一次側コイル側のみ流れる態様とした場合の電流値と比較して大きくなるこれら双方の還流電流に基づいて、補助コンデンサC1の充電が再び開始される。これにより、補助コンデンサC1の充電速度が速くなり、該補助コンデンサC1の充電時間が短縮化される。従って、次にスイッチング素子S2,S3,S6がオンされるよりも前に補助コンデンサC1の充電が短時間で速やかに行われる。変圧器INTの二次側では、ダイオードD11,D12の両経路を流れる還流電流が継続して生じている。
【0041】
「時刻t4」になると、補助コンデンサC1の充電が完了する。これにより、直列インダクタLs及び共振インダクタLrに蓄積された電磁エネルギーの放出に基づいて生じる還流電流が還流ダイオードD6を使用した経路に切り替わり、これにより平滑コンデンサC0の充電が開始される。尚、変圧器INTの二次側では、依然としてダイオードD11,D12の両経路を流れる還流電流が生じている。
【0042】
「時刻t5」において、直列インダクタLs及び共振インダクタLrの電磁エネルギーがやがて消失すると、平滑コンデンサC0への充電が完了し、変圧器INTの一次側で生じていた還流電流(共振電流)が消失する。
【0043】
「時刻t6」になると、スイッチング素子S7がオフされるとともに、スイッチング素子S2,S3,S6がともにオンされる。この場合、変圧器INTの一次側での還流電流(共振電流)が消失していることから、スイッチング素子S7は、ゼロ電流でのオフとなり、そのスイッチング損失が低減されている。また、直列インダクタLsによりスイッチング素子S2,S3,S6にかかる電流のゼロからの立ち上がりが緩やかであるため、該スイッチング素子S2,S3,S6はゼロ電流でのオンとなり、これらのスイッチング損失が低減されている。また、スイッチング素子S6においては、補助コンデンサC1と平滑コンデンサC0との端子間電圧が同電圧となっていることからゼロ電圧でのオンとなり、このことからもスイッチング損失が低減されている。
【0044】
スイッチング素子S2,S3,S6のオンに基づいて、平滑コンデンサC0の端子間電圧がインバータ回路13のスイッチング素子S2,S3に供給される。スイッチング素子S2,S3からの出力電圧は、直列インダクタLsを介して変圧器INTの一次側コイルに供給され、これに伴い変圧器INTの二次側では、二次側整流回路DR2のダイオードD12側から直流リアクトルDCLを介してトーチTHにアーク加工用直流電圧が出力される。
【0045】
「時刻t7」になると、スイッチング素子S8がオンされ、以降は上記した動作と同様の動作をスイッチング素子S2,S3,S6,S8が行い、アーク加工用直流電圧の出力が継続されるようになっている。
【0046】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施形態では、インバータ回路13の各ブリッジアームの中間点N1,N2間(出力端子間)に共振回路15が設けられている。共振回路15は、補助コンデンサC1の放電開始となる補助スイッチング回路14のスイッチング素子S6のオフに時間T2だけ先立って共振動作を開始し、補助コンデンサC1の放電電流に基づくインバータ回路13のスイッチング素子S1〜S4の出力電流(電流Is1〜Is4)が増大するような共振電流を生じさせる。これにより、補助コンデンサC1の放電速度が速くなり、該補助コンデンサC1の放電時間が短縮化される。従って、補助コンデンサC1の放電が短時間で速やかに行われ、軽負荷時や無負荷時であっても補助コンデンサC1の放電を確実に行うことができる。その結果、スイッチング損失の低減や電圧サージの抑制を図ることができるアーク加工用電源装置11を提供することができる。
【0047】
(2)本実施形態では、共振回路15のスイッチング素子S7,S8は、その時々のオン時においてスイッチング素子S6のオフに先立ってオンされ、該スイッチング素子S6のオフに先立って共振インダクタLrによる共振動作が開始される。つまり、補助スイッチング回路14のスイッチング素子S6のオフに先立ってこの共振回路15のスイッチング素子S7,S8がその時々でオンされることで、立ち上がりの緩やかなインダクタLrの共振電流(共振エネルギー)を補助コンデンサC1の放電開始前に予め増大させておくことができ、これによりスイッチング素子S6のオフにより補助コンデンサC1の放電が開始された時からその放電が速やかとなる。そのため、本実施形態では、補助コンデンサC1の放電時間をより短縮化できる構成となっている。
【0048】
(3)本実施形態では、インバータ回路13のスイッチング素子S1〜S4のオフ時には既に放電が完了している補助コンデンサC1に対し、共振回路15は、共振動作にて生じる共振電流をその補助コンデンサC1の充電電流として供給する。これにより、共振回路15からの共振電流が補助コンデンサC1の充電電流としても用いられることから、補助コンデンサC1の充電速度が速くなり、該補助コンデンサC1の充電時間が短縮化される。従って、補助コンデンサC1の充電が短時間で速やかに行われ、軽負荷時や無負荷時であっても補助コンデンサC1の充電を確実に行うことができる。
【0049】
(4)本実施形態では、共振回路15は、還流ダイオードD7,D8を有しスイッチング素子S6と連動して交互に動作されるスイッチング素子S7,S8が共振インダクタLrの両側にそれぞれ逆向きに接続され、各スイッチング素子S7,S8がインバータ回路13の各ブリッジアームの中間点N1,N2間に接続されて構成されている。また、本実施形態の共振回路15は、変圧器INTの一次側コイルに直列接続される直列インダクタLsを有している。つまり、共振回路15を2個のスイッチング素子S7,S8とインダクタLr,Lsとで簡素に構成することができる。
【0050】
(5)本実施形態では、直流変換回路12を1個の平滑コンデンサC0を用い、補助スイッチング回路14を1個のスイッチング素子S6を用いてそれぞれ簡素に構成され、電源装置11の構成の簡素化に寄与できる。
【0051】
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。
図3は、本実施形態のアーク加工用電源装置11aを備えたアーク加工機10を示す。本実施形態のアーク加工用電源装置11aは、400Vの入力交流電源対応である。
【0052】
詳述すると、直流変換回路12aでは、一次側整流回路DR1の出力側の電源線L1,L2間に同容量の2個の平滑コンデンサCa,Cbが直列に接続されている。
補助スイッチング回路14aでは、IGBTよりなるスイッチング素子S5が平滑コンデンサCa,Cbの後段の電源線L1上に配置され、IGBTよりなるスイッチング素子S6が平滑コンデンサCa,Cbの後段の電源線L2上に配置されている。各スイッチング素子S5,S6には、それぞれ還流ダイオードD5,D6が逆接続されている。各スイッチング素子S5,S6は、ゲートに入力される出力制御回路SCからの制御信号に基づいて交互にオンオフ駆動される。スイッチング素子S5,S6と補助コンデンサC1との間の電源線L1,L2間にはダイオードD9,D10が直列に接続されており、該ダイオードD9,D10は電源線L2から電源線L1に向けて順方向となるように接続されている。そして、このダイオードD9,D10間と前記平滑コンデンサCa,Cb間とは互いに接続されている。
【0053】
次に、上記したインバータ回路13のスイッチング素子S1〜S4と、補助スイッチング回路14aのスイッチング素子S5,S6、及び共振回路15のスイッチング素子S7,S8とをスイッチング制御する出力制御回路SCのその制御について図4を参照しつつ説明する。尚、図4において、本実施形態においても「S1」〜「S8」は、スイッチング素子S1〜S8のオンオフ状態を示しており、電圧「V」及び電流「I」の添え字「s1〜s8,c1」は各素子の符号に対応付けてあり、各素子にかかる電圧及び電流を示している。尚、この電圧「V」及び電流「I」の添え字「s1〜s8」については、還流ダイオードD1〜D8も含んでいる。
【0054】
本実施形態の出力制御回路SCは、インバータ回路13のスイッチング素子S1,S4のオン側では、補助スイッチング回路14aのスイッチング素子S5を同時にオンさせる。これに対し、インバータ回路13のスイッチング素子S1,S4のオフ側では、出力制御回路SCは、そのオフよりも所定時間T1前にスイッチング素子S5をオフ、更にそのスイッチング素子S5をオフよりも所定時間T2前に共振回路15のスイッチング素子S7をオンさせる。そして、出力制御回路SCは、もう一方の組のスイッチング素子S2,S3のオンと同時にスイッチング素子S7をオフさせる。因みに、スイッチング素子S1,S4のオンからスイッチング素子S7のオフまでの間は少なくとも、もう一方の組のスイッチング素子S2,S3,S6,S8をオフ状態に維持している。もう一方の組のスイッチング素子S2,S3,S6,S8のオンオフ動作については、スイッチング素子S2,S3のオン以降、スイッチング素子S1,S4,S5,S7の上記オンオフ動作と同様に実施される。
【0055】
つまり、上記のような制御を実施することで、インバータ回路13のスイッチング素子S1,S4の組のオンオフ動作時には、一方の平滑コンデンサCaとダイオードD10とを使用した経路で一次側整流回路DR1の出力電圧の半分の直流電圧がそのインバータ回路13に供給され、スイッチング素子S2,S3の組のオンオフ動作時には、一方の平滑コンデンサCbとダイオードD9とを使用した経路で一次側整流回路DR1の出力電圧の半分の直流電圧がそのインバータ回路13に供給されて、400Vの入力交流電源であっても前記第1実施形態と同様に動作するように構成されている。
【0056】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)本実施形態では、直流変換回路12a及び補助スイッチング回路14aの構成が前記第1実施形態と若干異なるが、前記第1実施形態の作用効果(1)〜(4)と同様の作用効果を得ることができる。
【0057】
(2)本実施形態では、直流変換回路12aにて2個の平滑コンデンサCa,Cbを用いるとともに、補助スイッチング回路14aにて2個のスイッチング素子S5,S6とダイオードD9,D10を用いて上記接続とすることで、補助スイッチング回路14aよりも後段のインバータ回路13及び共振回路15等を同一回路構成としながら、前記第1実施形態よりも高い400Vの入力交流電源に対応することができる。
【0058】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、共振回路15を2個のスイッチング素子S7,S8とインダクタLr,Lsとで構成したが、スイッチング素子やインダクタの数や配置等、適宜変更してもよい。またこれらの素子の他に、コンデンサや抵抗等を付加又は置換して構成してもよい。
【0059】
・上記各実施形態では、共振回路15のスイッチング素子S7,S8をスイッチング素子S5,S6のオフに先立ってオンさせて共振動作を開始させたが、スイッチング素子S7,S8のオンをスイッチング素子S5,S6のオフと同時としてもよい。また、スイッチング素子S1〜S4のオフよりも前なら、スイッチング素子S7,S8のオンをスイッチング素子S5,S6のオフよりも若干遅らせることもできる。また、スイッチング素子S7,S8のオフは、次にオンするスイッチング素子S1〜S4のオンと同時でなくとも、共振電流が消失したスイッチング素子S1〜S4のオンより手前でオフさせてもよい。
【0060】
・上記各実施形態では、共振回路15は、スイッチング素子S1〜S4のオフに基づいてその共振電流を補助コンデンサC1の充電電流として供給するように構成されているが、その共振電流が補助コンデンサC1の放電時のみに生じる構成とし、共振電流を充電電流としてまで用いない構成としてもよい。
【0061】
・上記各実施形態では、スイッチング素子S1〜S8にIGBTを用いたが、IGBT以外のスイッチング素子を用いて構成してもよい。
・上記各実施形態では、アーク加工用電源装置11に実施したが、アーク加工用以外の目的で用いられる交流−交流変換電源装置に実施してもよい。また、直流変換回路12,12aを省略した直流−交流変換電源装置に実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】第1実施形態におけるアーク加工用電源装置(200V入力対応)を示す回路図である。
【図2】第1実施形態における電源装置各所の波形図である。
【図3】第2実施形態におけるアーク加工用電源装置(400V入力対応)を示す回路図である。
【図4】第2実施形態における電源装置各所の波形図である。
【符号の説明】
【0063】
11,11a…電源装置、12…直流変換回路、13…インバータ回路、
14,14a…補助スイッチング回路、15…共振回路、C1…補助コンデンサ、
C0,Ca,Cb…平滑コンデンサ、
D7,D8…還流ダイオード、DR1…一次側整流回路(整流回路)、
L1,L2…電源線、Lr…共振インダクタ、M…加工対象物、
N1,N2…中間点(出力端子)、
S1〜S4…スイッチング素子、
S5,S6…スイッチング素子(補助スイッチング素子)、
S7,S8…スイッチング素子(共振用スイッチング素子)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
整流回路及びその出力側の一対の電源線間に接続された平滑コンデンサを有し、入力交流電源を整流・平滑化した直流電圧に変換する直流変換回路と、
複数個のスイッチング素子を用いたフルブリッジ回路で構成され、第1組及び第2組のスイッチング素子が交互にオンオフして前記各電源線を介して供給された前記直流電圧を所定の交流電圧に変換するインバータ回路と、
前記平滑コンデンサと前記インバータ回路との間の前記各電源線間に接続された補助コンデンサを有するとともに、前記平滑コンデンサと前記補助コンデンサとの間の前記電源線上に前記インバータ回路の第1組及び第2組のスイッチング素子と連動して動作される補助スイッチング素子が配置されてなる補助スイッチング回路とを備え、
前記補助コンデンサの充電状態で前記インバータ回路のスイッチング素子のオフに先立って前記補助スイッチング素子をオフさせ、前記補助スイッチング素子のオフによる前記補助コンデンサの放電に伴いその放電後に前記インバータ回路のスイッチング素子をオフさせるソフトスイッチング制御が行われる構成の電源装置であって、
前記インバータ回路の出力端子間に設けられ、前記補助コンデンサの放電開始となる前記補助スイッチング素子のオフ以前に共振動作を開始させ、前記補助コンデンサの放電電流に基づく前記インバータ回路のスイッチング素子の出力電流を増大させる共振電流を生じさせる共振回路を備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置において、
前記共振回路は、前記補助スイッチング素子のオフに先立って前記共振動作が開始されることを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電源装置において、
前記共振回路は、前記インバータ回路のスイッチング素子のオフに基づいて、前記共振電流を前記補助コンデンサの充電電流として供給するように構成されていることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電源装置において、
前記共振回路は、還流ダイオードを有し前記補助スイッチング素子と連動して交互に動作される一対の共振用スイッチング素子を共振インダクタの両側にそれぞれ逆向きに接続し、前記各共振用スイッチング素子を前記インバータ回路の各出力端子にそれぞれ接続して構成されていることを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電源装置において、
前記直流変換回路は、1個の前記平滑コンデンサが前記各電源線間に接続されてなり、
前記補助スイッチング回路は、前記インバータ回路の第1組及び第2組のスイッチング素子の両者と連動して動作される1個の前記補助スイッチング素子が一方の前記電源線上に配置されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の電源装置において、
前記直流変換回路は、2個の前記平滑コンデンサが前記各電源線間に直列に接続されてなり、前記各平滑コンデンサは、自身の前記直流電圧を後段の前記インバータ回路にそれぞれ供給可能に接続され、
前記補助スイッチング回路は、前記インバータ回路の第1組及び第2組のスイッチング素子の対応する素子とそれぞれ連動して動作される前記補助スイッチング素子が前記各電源線上にそれぞれ配置されてなることを特徴とする電源装置。
【請求項7】
複数個のスイッチング素子を用いたフルブリッジ回路で構成され、第1組及び第2組のスイッチング素子が交互にオンオフして一対の電源線を介して供給された直流電圧を所定の交流電圧に変換するインバータ回路と、
前記インバータ回路前段の前記各電源線間に接続された補助コンデンサを有するとともに、その補助コンデンサ前段の前記電源線上に前記インバータ回路の第1組及び第2組のスイッチング素子と連動して動作される補助スイッチング素子が配置されてなる補助スイッチング回路とを備え、
前記補助コンデンサの充電状態で前記インバータ回路のスイッチング素子のオフに先立って前記補助スイッチング素子をオフさせ、前記補助スイッチング素子のオフによる前記補助コンデンサの放電に伴いその放電後に前記インバータ回路のスイッチング素子をオフさせるソフトスイッチング制御が行われる構成の電源装置であって、
前記インバータ回路の出力端子間に設けられ、前記補助コンデンサの放電開始となる前記補助スイッチング素子のオフ以前に共振動作を開始させ、前記補助コンデンサの放電電流に基づく前記インバータ回路のスイッチング素子の出力電流を増大させる共振電流を生じさせる共振回路を備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の電源装置を用い、加工対象物のアーク加工を行うアーク加工用電圧を生成するように構成されていることを特徴とするアーク加工用電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−296704(P2009−296704A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−144950(P2008−144950)
【出願日】平成20年6月2日(2008.6.2)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】