説明

電源装置

【課題】電源電圧供給回路用の起動回路を不要とする電源装置を提供することにある。
【解決手段】交流電圧を直流電圧に変換する整流平滑回路11と、この整流平滑回路11から出力される直流電圧を所定の直流電圧に昇圧するアクティブフィルタ20と、このアクティブフィルタ20から出力される昇圧直流電圧を高周波電圧に変換して放電灯12に印加させるインバータ30と、外部の調光信号に基づいてインバータ30を制御する制御回路50と、この制御回路50に電源電圧を供給する電源電圧供給回路60とを備え、この電源電圧供給回路60は、アクティブフィルタ20から電源電圧用の電圧を受けて動作する電源装置であって、電源投入時に、アクティブフィルタ20を動作させた後に、制御回路50を動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、直流電圧を昇圧するアクティブフィルタなどを備えた電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、直流電圧を低周波電力に変換するインバータなどを備えた放電灯点灯装置(電源装置)が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる放電灯点灯装置は、交流電圧を昇圧して直流電圧に変換するアクティブフィルタと、放電灯に流れる電流を制御する限流回路と、アクティブフィルタからの直流電圧を低周波電力に変換するインバータと、放電灯に始動パルスを印加する始動パルス発生回路と、始動パルス発生回路などを制御する制御回路などとを備えている。
【0004】
また、図2に示す放電灯点灯装置が提案されており、この放電灯点灯装置は、交流電圧を直流電圧に変換する整流平滑回路1と、この整流平滑回路1から出力される直流電圧を所定の直流電圧に昇圧するアクティブフィルタ2と、このアクティブフィルタ2から出力される昇圧直流電圧を高周波電圧に変換して負荷に印加させるインバータ3と、外部からの調光信号に基づいてインバータ3を制御する制御回路4と、この制御回路4に電源電圧を供給する電源電圧供給回路5と、電源電圧供給回路5を起動させる起動回路6などとを備えている。
【0005】
この放電灯点灯装置は、電源が投入されると、起動回路6の抵抗R1を介してコンデンサC1が充電され、コンデンサC1が所定電圧になるとトランジスタTr1がオンして起動抵抗R2に電流が流れ、コンデンサC2が充電されていく。そして、トランジスタTr2とツェナーダイオードZn3のドロッパ回路により所定電圧を生成し、この所定電圧が制御回路4に供給されて制御回路4が起動する。
【0006】
制御回路4は、起動されるとアクティブフィルタ2のアクティブフィルタICに掛けてある動作禁止を解除し、これによりアクティブフィルタICが動作を開始する。アクティブフィルタICの動作により、スイッチ素子Q1がオン・オフされてトランスTの二次コイルTaに電圧が発生し、この電圧がダイオードD1,抵抗R5,ダイオードD2を介してドロッパ回路のトランジスタTr2のコレクタに供給される。
【0007】
また、制御回路4は、アクティブフィルタICの動作開始後に起動回路6のトランジスタTr3をオンさせてツェナーダイオードZn2を導通させる。これにより、トランジスタTr1のゲートの電圧がコンデンサC2に供給される電圧より低い電圧となり、トランジスタTr1がオフし、起動抵抗R2が電源電圧供給回路5から切り離さられる。
【0008】
このため、アクティブフィルタICの起動後は、起動抵抗R2を介さずにトランスTの二次コイルTaから電圧が電源電圧供給回路5へ供給されることとなり、制御回路4の起動後は起動抵抗R2による損失の防止が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−74092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような放電灯点灯装置にあっては、起動回路6を設けなければならないのでその装置の回路が複雑になってしまうという問題がある。
【0011】
この発明の目的は、電源電圧供給回路用の起動回路を不要とする電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、交流電圧を直流電圧に変換する整流平滑回路と、この整流平滑回路から出力される直流電圧を所定の直流電圧に昇圧するアクティブフィルタと、このアクティブフィルタから出力される昇圧直流電圧を高周波電圧に変換して負荷に印加させるインバータと、外部信号に基づいて前記インバータを制御する制御回路と、この制御回路に電源電圧を供給する電源電圧供給回路とを備え、この電源電圧供給回路は、前記アクティブフィルタから電源電圧用の電圧を受けて動作する電源装置であって、
電源投入時に、前記アクティブフィルタを動作させた後に、前記制御回路を動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、起動回路が不要となるので、回路の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明に係る電源装置の構成を示した回路図である。
【図2】従来の放電灯点灯装置の構成を示した回路図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、この発明に係る電源装置の実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0016】
図1は電源装置の一つである放電灯点灯装置10を示す。この放電灯点灯装置10は、交流電圧を直流電圧に変換する整流平滑回路11と、この整流平滑回路11から出力される直流電圧を所定の直流電圧に昇圧するアクティブフィルタ20と、このアクティブフィルタ20から出力される昇圧直流電圧を高周波電圧に変換して放電灯(負荷)12に印加させるインバータ30と、外部からの調光信号(外部信号)を検知する調光回路40と、この調光回路40が検出した調光信号などに基づいて、調光信号がない場合は全光点灯するようインバータ30を制御する制御回路50と、この制御回路50に電源電圧を供給する電源電圧供給回路60と、整流平滑回路11から出力される直流電圧が所定電圧以下に下がったことを検出する低電圧検出回路70と、放電灯12の過電圧や負荷電流(複数の放電灯12の電流)のアンバランスを検出する異常検出回路80とを備えている。
【0017】
アクティブフィルタ20は、トランス21とアクティブフィルタIC22とスイッチ素子23等とを有する。アクティブフィルタIC22は、起動抵抗Raを介して整流平滑回路11から直流電圧の供給を受けると起動して動作を開始し、スイッチ素子23をオン・オフさせる。
【0018】
トランス21の二次コイル21aの一端にはダイオード24のアノードとダイオード26のアノードとが接続され、ダイオード24のカソードには抵抗25の一端が接続されている。抵抗25の他端はアクティブフィルタIC22の電源端子(図示せず)に接続され、この電源端子には起動抵抗Raが接続されている。
【0019】
電源電圧供給回路60は、トランジスタ61とツェナーダイオード62と抵抗63等とを有し、このトランジスタ61とツェナーダイオード62と抵抗63とでドロッパ回路が形成されている。
【0020】
トランジスタ61のベースにはツェナーダイオード62のカソードが接続され、トランジスタ61のベースとコレクタとの間に抵抗63が接続されている。また、ツェナーダイオード62のアノードとトランジスタ61のコレクタとの間にコンデンサ64が接続され、トランジスタ61のコレクタがアクティブフィルタ20のダイオード26のカソードに接続されている。トランジスタ61のエミッタとツェナーダイオード62のアノードとの間にはコンデンサ65が接続されている。
【0021】
また、トランジスタ61のエミッタは制御回路50の制御用ICの電源端子(図示せず)に接続されており、トランジスタ61から電源電圧が制御用ICに供給されるようになっている。
【0022】
制御回路50は、CPUなどの制御用ICを有し、低電圧検出回路70が低電圧を検出したときや異常検出回路80が放電灯12の過電圧やアンバランスなどを検出したときインバータ30の発振を停止させたり、調光回路40が検出する調光信号に基づいてインバータ30の発振周波数の制御やアクティブフィルタIC22の昇圧直流電圧の制御を行ったりする。
【0023】
また、制御回路50は、アクティブフィルタ20に動作を禁止するための禁止を掛けないように設定されている。
[動 作]
次に、上記のように構成される放電灯点灯装置10の動作について説明する。
【0024】
電源が投入されると、整流平滑回路11から出力される直流電圧が起動抵抗Raを介してアクティブフィルタ20のアクティブフィルタIC22の電源端子に供給される。アクティブフィルタIC22は、制御用ICによって動作を禁止する禁止が掛けられていないことにより、電源端子に直流電圧が供給されると起動し、スイッチ素子23をオン・オフさせていく。
【0025】
このスイッチ素子23のオン・オフ動作により、トランス21の二次コイル21aに電圧が発生し、この電圧によりダイオード26を介してトランジスタ61がオンする。
【0026】
トランジスタ61がオンすると、このトランジスタ61およびツェナーダイオード62等からなるドロッパ回路により、トランス21の二次コイル21aで発生した電圧が一定の電圧(例えば5V)となって制御回路50の制御用ICの電源端子に供給される。
【0027】
そして、トランス21の二次コイル21aで発生した電圧が上昇して、ツェナーダイオード62のツェナー電圧(所定電圧)より高くなるとトランジスタ61がオフし、制御回路50の制御用ICの電源端子への電圧の供給が停止される。
【0028】
これら動作が繰り返し行われることにより、電源電圧供給回路60から一定電圧が制御回路50の制御用ICの電源端子に供給されることになる。
【0029】
これにより制御用ICは起動して全光点灯するようにインバータ30を制御したり、調光回路40が検出する調光信号に基づいてインバータ30を制御していく。
【0030】
このように、アクティブフィルタ20が起動した後に、電源電圧供給回路60はトランス21の二次コイル21aに発生する電圧によって起動されて動作していくので、従来のように起動回路は不要となり、このため放電灯点灯装置10の回路の構成が簡素化され、小型化を図ることができるとともに安価な放電灯点灯装置10を提供することができる。
【0031】
ところで、スイッチ素子23がオン・オフ動作すると、トランス21の一次コイル21bに流れる電流が断続され、この断続によって一次コイル21bに高電圧が発生し、この高電圧がダイオードD20を介して電解コンデンサC20に充電され、この電解コンデンサC20の高電圧がインバータ30に供給されることになる。そして、インバータ30がその高電圧を所定の高周波電圧に変換して放電灯12に印加し、これにより放電灯12が点灯する。
【0032】
放電灯12が全光から調光へ移行する場合、つまり、調光回路40が調光信号(暗光信号)を検出したとき、制御回路50はインバータ30の発振周波数を放電灯12の発光を暗くする周波数に制御するとともに、アクティブフィルタIC22を制御して、スイッチ素子23のオン・オフ動作の繰り返し周期を長くし、これによりインバータ30に入力する直流電圧(電解コンデンサC20の充電電圧)を低圧に移行させる。
【0033】
この際、スイッチ素子23のオン・オフ動作の繰り返し周期を除々に長くしていき、低圧側へ徐々に移行させていく。この移行時間を長くすることにより、インバータ30の発振停止期間が発生しないようにしている。
【0034】
これは、スイッチ素子23のオン・オフ動作の繰り返し周期を急に長くしてしまうと、アクティブフィルタIC22へ昇圧電流電圧を下げるよう制御用ICから制御がかかったとき、電解コンデンサC20に蓄えられた電圧が一気に下がることができないため、アクティブフィルタIC22の過電圧保護が動作し、この動作により発振停止期間が起きるからである。
【0035】
上記実施例では、この発明を放電灯点灯装置に適用した場合について説明したが、他の電源装置に適用することもできる。
【0036】
また、この発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0037】
10 放電灯点灯装置(電源装置)
11 整流平滑回路
12 放電灯(負荷)
20 アクティブフィルタ
30 インバータ
50 制御回路
60 電源電圧供給回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧を直流電圧に変換する整流平滑回路と、この整流平滑回路から出力される直流電圧を所定の直流電圧に昇圧するアクティブフィルタと、このアクティブフィルタから出力される昇圧直流電圧を高周波電圧に変換して負荷に印加させるインバータと、外部信号に基づいて前記インバータを制御する制御回路と、この制御回路に電源電圧を供給する電源電圧供給回路とを備え、この電源電圧供給回路は、前記アクティブフィルタから電源電圧用の電圧を受けて動作する電源装置であって、
電源投入時に、前記アクティブフィルタを動作させた後に、前記制御回路を動作させることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記負荷は放電灯であり、外部信号は調光信号であり、
前記放電灯の異常を検出する異常検出回路と、
前記アクティブフィルタに入力する電圧が所定電圧以下であるかを検出する低電圧検出回路とを備え、
前記制御回路は、前記異常検出回路が異常を検出したとき、または低電圧検出回路が低電圧を検出したとき前記インバータの発振を停止させる請求項1に記載の電源装置であって、
前記制御回路は、前記調光信号により前記放電灯を全光から調光へ移行するとき、前記アクティブフィルタの昇圧電圧を全光から調光へ移行させる際の移行時間を長くしたことを特徴とする電源装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−135721(P2011−135721A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294085(P2009−294085)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000180450)四変テック株式会社 (55)
【Fターム(参考)】