露光ヘッド、画像形成装置
【課題】リーク電流により発光する発光素子の光量を、光検出部(センサー)の検出値(オフセット値)に適切に反映させる。
【解決手段】第1の発光素子と、第2の発光素子と、第1の発光素子を駆動する第1の駆動素子と、第2の発光素子を駆動する第2の駆動素子と、第1の駆動素子に電気的に接続される第1の配線と、第2の駆動素子に電気的に接続される第2の配線と、第1の位置で第1の配線に接続されて第1の配線に電源を供給する第1の電源供給部と、第1の位置の第1の方向で第1の位置と第1の間隔を空ける第2の位置で第2の配線に接続されて第2の配線に電源を供給する第2の電源供給部と、光を検出する第1の光検出部と、第1の光検出部の第1の方向で第1の光検出部と第1の間隔の半分以下の第2の間隔を空けて基板に配されて光を検出する第2の光検出部と、を備える。
【解決手段】第1の発光素子と、第2の発光素子と、第1の発光素子を駆動する第1の駆動素子と、第2の発光素子を駆動する第2の駆動素子と、第1の駆動素子に電気的に接続される第1の配線と、第2の駆動素子に電気的に接続される第2の配線と、第1の位置で第1の配線に接続されて第1の配線に電源を供給する第1の電源供給部と、第1の位置の第1の方向で第1の位置と第1の間隔を空ける第2の位置で第2の配線に接続されて第2の配線に電源を供給する第2の電源供給部と、光を検出する第1の光検出部と、第1の光検出部の第1の方向で第1の光検出部と第1の間隔の半分以下の第2の間隔を空けて基板に配されて光を検出する第2の光検出部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、駆動信号が印加された発光素子が発光する光により露光を行なう露光ヘッドに関し、特に露光ヘッドが備える発光素子の光量を補正する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、長手方向に並ぶ多数の発光素子それぞれを駆動素子により駆動することで発光させる露光ヘッドが記載されている。さらに、この露光ヘッドでは、各発光素子の光量を適正値に補正するために、長手方向に間隔を空けて複数のセンサーが設けられている。つまり、複数のセンサーはそれぞれが担当する発光素子からの光を検出するものであり、各センサーの検出結果に基づいて、各発光素子の光量が適正値に補正される。
【0003】
ところで、発光素子の駆動ために、例えば特許文献2に記載されているようなトランジスター等の駆動素子を用いることができる。具体的には、この特許文献2では、トランジスターの出力端子が発光素子に接続されている。そして、トランジスターがオンすると、トランジスターの出力端子から発光素子に駆動信号(駆動電流)が印加され、これによって発光素子が発光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−99945号公報
【特許文献2】特開2010−46858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただし、このような駆動素子により発光素子を発光させる構成では、発光素子の光量補正を高精度に行えない場合があった。つまり、この光量補正では、複数の発光素子の一つが選択的に発光し、このときのセンサーの検出値が当該発光素子の光量として求められる。この際、選択されなかった発光素子を駆動する駆動素子はオフして駆動信号の出力を停止している。しかしながら、トランジスター等の駆動素子はオフ時にも一定のリーク電流を出力するため、選択されなかった発光素子がリーク電流により若干発光してしまう。そして、このリーク電流による光が光量検出対象である発光素子からの光に加算されてセンサーにより検出されると、光量検出対象である発光素子の光量が実際よりも大きく求められてしまい、その結果、光量補正の精度が低下する場合があった。
【0006】
このような問題に対応するために、全ての駆動素子をオフさせたときのセンサーの検出値をオフセット値として確認する動作を複数のセンサーで順次実行しておき、光量検出動作でセンサーが検出した光量値からこのオフセット値を差し引くことで、光量検出対象の発光素子の光量を正確に検出することが考えられる。ちなみに、このとき求められるセンサーのオフセット値は、リーク電流により発光する発光素子の光量を適切に反映したものであることが望ましい。しかしながら、トランジスターのリーク電流量の変化に起因して、次のような問題が発生するおそれがあった。
【0007】
つまり、電源からトランジスターへの電力供給は、電源とトランジスターを相互に接続する電源ラインを介して行われる。このとき、電源ラインが電気抵抗を有することから、電源ラインには電圧降下が生じる。より具体的には、電源との接続位置では電源ラインは高い電圧レベルを維持する一方、この接続位置から離れるにしたがって電源ラインの電圧は降下し、言い換えれば、電源接続位置を基点とした電圧降下が電源ラインに生じる。したがって、長手方向に並んで複数の電源を設け、各電源を電源ラインに接続した場合、複数の電源接続位置が間隔を空けて並ぶこととなり、これら電源接続位置の間隔を周期とする電圧降下が生じる。そして、このような電源ラインからトランジスターに電力を供給することで、トランジスターのリーク電流が電源接続位置の間隔で略周期的に変動して、その結果、発光素子の光量も電源接続位置の間隔で略周期的に変動する。ところが、センサーがこの発光素子の光量変動を捉えきれず、その結果、センサーのオフセット値がリーク電流により発光する発光素子の光量を適切に反映したものとならない場合があった。
【0008】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、リーク電流により発光する発光素子の光量を、光検出部(センサー)の検出値(オフセット値)に適切に反映させることを可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明にかかる露光ヘッドは、上記目的を達成するために、光を透過する基板と、基板に配されて基板を透過する光を発光する第1の発光素子と、第1の発光素子の第1の方向で基板に配されて基板を透過する光を発光する第2の発光素子と、基板に配されて第1の発光素子を駆動する第1の駆動素子と、第1の駆動素子の第1の方向で基板に配されて第2の発光素子を駆動する第2の駆動素子と、第1の方向に伸びて基板に配されるとともに第1の駆動素子に電気的に接続される第1の配線と、第1の配線の第1の方向で第1の方向に伸びて基板に配されるとともに第2の駆動素子に電気的に接続される第2の配線と、第1の位置で第1の配線に接続されて第1の配線に電源を供給する第1の電源供給部と、第1の位置の第1の方向で第1の位置と第1の間隔を空ける第2の位置で第2の配線に接続されて第2の配線に電源を供給する第2の電源供給部と、基板に配されて光を検出する第1の光検出部と、第1の光検出部の第1の方向で第1の光検出部と第1の間隔の半分以下の第2の間隔を空けて基板に配されて光を検出する第2の光検出部と、を備えることを特徴としている。
【0010】
また、この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、光を透過する基板、基板に配されて基板を透過する光を発光する第1の発光素子、第1の発光素子の第1の方向で基板に配されて基板を透過する光を発光する第2の発光素子、基板に配されて第1の発光素子を駆動する第1の駆動素子、第1の駆動素子の第1の方向で基板に配されて第2の発光素子を駆動する第2の駆動素子、第1の方向に伸びて基板に配されるとともに第1の駆動素子に電気的に接続される第1の配線、第1の配線の第1の方向で第1の方向に伸びて基板に配されるとともに第2の駆動素子に電気的に接続される第2の配線、第1の位置で第1の配線に接続されて第1の配線に電源を供給する第1の電源供給部、第1の位置の第1の方向で第1の位置と第1の間隔を空ける第2の位置で第2の配線に接続されて第2の配線に電源を供給する第2の電源供給部、基板に配されて光を検出する第1の光検出部、および第1の光検出部の第1の方向で第1の光検出部と第1の間隔の半分以下の第2の間隔を空けて基板に配されて光を検出する第2の光検出部を有する露光ヘッドと、第1の発光素子から発光されて基板を透過した光および第2の発光素子から発光されて基板を透過した光により潜像が形成される潜像担持体と、を備えることを特徴としている。
【0011】
このように構成された発明(露光ヘッド、画像形成装置)では、第1の発光素子を第1の駆動素子で駆動するとともに、第2の発光素子を第2の駆動素子で駆動している。そして、第1の駆動素子は第1の配線を介して第1の電源供給部に接続され、第2の駆動素子は第2の配線を介して第2の電源供給部に接続されており、言わば、第1および第2の配線が電源ラインとして機能している。そして、この発明では、第1および第2の電源供給部が電源ライン(第1および第2の配線)に接続される接続位置の間隔(第1の間隔)の半分以下の第2の間隔で、光を検出する第1および第2の光検出部が配されている。したがって、これら第1および第2の検出部の検出値に、リーク電流により発光する第1および第2の発光素子の光量を適切に反映させることが可能となっている。
【0012】
このとき、第1の配線と第2の配線が短絡されても良い。このように構成することで、第1の配線に対して第2の電源供給部で電源を供給することができ、第1の配線の電圧降下を小さく抑えることが可能となる。
【0013】
このとき、第1の駆動素子に対して第1の電源供給部の第1の方向の反対側で基板に配設されて、第2の位置で第1の配線に接続されて第1の配線に電源を供給する第3の電源供給部を備えるように構成しても良い。このように構成することで、第1の配線に対して、第3の電源供給部によっても電源を供給することができ、第1の配線の電圧降下をより小さく抑えることが可能となる。
【0014】
また、第1の駆動素子による第1の発光素子の駆動を制御する第1の駆動制御部と、第2の駆動素子による前記第2の発光素子の駆動を制御する第2の駆動制御部とを備えるように構成しても良い。このとき、第1の駆動制御部と第2の駆動制御部は第1の方向に前記第1の間隔で配されても良い。
【0015】
ちなみに、第1および第2の駆動素子はトランジスターで構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図。
【図2】図1の画像形成装置の電気的構成を示す図。
【図3】ラインヘッドの構造を示す部分斜視図。
【図4】ヘッド基板およびその周辺の構成を模式的に示す部分平面図。
【図5】センサーの電気的構成を示す図。
【図6】発光素子の発光を制御する電気的構成を示す図。
【図7】光量補正で実行される動作を示すフローチャート。
【図8】暗光量の周期変動とセンサーの配列ピッチとの関係を示す図。
【図9】第2実施形態における光量補正で実行される動作を示すフローチャート。
【図10】第3実施形態において発光素子の発光を制御する電気的構成を示す図。
【図11】第4実施形態において発光素子の発光を制御する電気的構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1実施形態
図1は本実施形態にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示す図である。この装置は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置である。この画像形成装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するメインコントローラーMCに与えられると、このメインコントローラーMCがエンジンコントローラーECに制御信号を与え、これに基づき、エンジンコントローラーECがエンジン部ENGおよびヘッドコントローラーHCなど装置各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどの記録材たるシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0018】
この実施形態にかかる画像形成装置が有するハウジング本体(図示省略)の内部には、電源回路基板、メインコントローラーMC、エンジンコントローラーECおよびヘッドコントローラーHCを内蔵する電装品ボックス(図示省略)が設けられている。また、画像形成ユニット2、転写ベルトユニット8および二次転写ユニット12もハウジング本体内に配設されている。
【0019】
画像形成ユニット2は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーション2Y(イエロー用)、2M(マゼンタ用)、2C(シアン用)および2K(ブラック用)を備えている。なお、図1においては、画像形成ユニット2の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号を付し、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
【0020】
各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kには、それぞれの色のトナー像がその表面に形成される感光体ドラム21が設けられている。各感光体ドラム21はそれぞれ専用の感光体カートリッジに保持されており、感光体カートリッジと一体的に装置本体に対して着脱自在に構成されている。さらに、感光体カートリッジそれぞれには、当該感光体カートリッジに関する情報を記憶するための不揮発性のメモリーが設けられている。そして、エンジンコントローラーECと各感光体カートリッジとの間で無線通信が行なわれる。こうすることで、各感光体カートリッジに関する情報がエンジンコントローラーECに伝達されるとともに、必要に応じて各メモリーの情報が更新記憶される。これらの情報に基づき各感光体カートリッジの使用履歴や消耗品の寿命が管理される。
【0021】
また、感光体カートリッジが装着された状態において、各感光体ドラム21はその回転軸が主走査方向MD(図1の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように配置されている。また、各感光体ドラム21の回転軸はそれぞれ専用の駆動モーターDMに接続され図中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより、感光体ドラム21表面が、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに搬送される。このように本実施形態では、感光体ドラム21の回転軸と駆動モーターDMとの間にギア等の動力伝達機構を設けること無く、感光体ドラム21の回転軸を駆動モーターDMで直接駆動するダイレクトドライブ方式が採用されている。
【0022】
また、感光体ドラム21の周囲には、その回転方向に沿って帯電部23、ラインヘッド29、現像部25、スクイーズローラーSQ1、SQ2および感光体クリーナ27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作およびトナー現像動作等が実行される。カラーモード実行時は、全ての画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kで形成されたトナー像を転写ベルトユニット8に設けた転写ベルト81に重ね合わせてカラー画像を形成する。また、モノクロモード実行時は、画像形成ステーション2Kのみを動作させてブラック単色画像を形成する。
【0023】
帯電部23はいわゆるコロナ帯電器で構成されており、感光体ドラム21表面に接触しない非接触型の帯電器である。この帯電部23は、帯電電圧発生部(図示省略)に接続されており、帯電電圧発生部からの給電を受けて帯電部23が感光体ドラム21に対向する帯電位置で感光体ドラム21の表面を所定の表面電位に帯電させる。
【0024】
ラインヘッド29は、その長手方向LGDが主走査方向MDに平行もしくは略平行となるように、かつ、その幅方向LTDが副走査方向SDに平行もしくは略平行となるように配置されている。ラインヘッド29は、長手方向LGDに配列された複数の発光素子を備えており、感光体ドラム21に対向配置されている。そして、帯電部23により帯電された感光体ドラム21の表面に、発光素子からの光を結像して静電潜像を形成する。
【0025】
図3はラインヘッドの構造を示す部分斜視図である。図4はラインヘッドが備えるヘッド基板周りの構成を示す平面図である。ヘッド基板294はガラス等の光透過性部材で構成されており、このヘッド基板294の裏面には複数の発光素子Eが解像度に応じたピッチで長手方向LGDに並んでいる。各発光素子Eはヘッド基板294の裏面に形成されたボトムエミッション型の有機EL素子である。さらに、ヘッド基板294の裏面には、トランジスターTr等で構成された駆動回路CTが形成されている。
【0026】
また、ヘッド基板294の幅方向LTD一方端には、長手方向LGDに等ピッチで直線的に並ぶ複数のフレキシブルプリント基板BDが取り付けられており、このフレキシブルプリント基板BDによってヘッド制御モジュール400とヘッド基板294が接続されている。また、各フレキシブルプリント基板BDにはドライバーDVが実装されており、その結果、複数のドライバーDVが長手方向LGDにドライバーピッチPdvで直線的に並ぶ。このドライバーDVは、ヘッド制御モジュール400からフレキシブルプリント基板BDを介して入力されるビデオデータVDに基づいて、駆動回路CTを動作させるものである。具体的には、ドライバーDVは、ビデオデータVDが示す電圧値を駆動回路CTに書き込み、駆動回路CTは書き込まれた電圧値に基づいた駆動電流を発光素子Eに印加する。各発光素子Eは、駆動回路CTから駆動電流の印加を受けて、互いに等しいもしくは略等しい発光スペクトルで発光する。こうして、各発光素子Eから射出された光は、ヘッド基板294を透過して、ヘッド基板294の表面から射出される。
【0027】
また、ヘッド基板294の裏面には、複数のセンサーS(n)が長手方向LGDに所定のセンサーピッチPscで直線的に並んでいる。ここで、nは1以上の自然数であり、センサーの番号を長手方向LGDに順番に示す。また、センサーピッチPscは、例えば、隣り合うセンサーS(n)、S(n+1)が有する受光面の幾何重心の長手方向LGDへの間隔として求めることができる。これらのセンサーS(n)それぞれは、その受光面をヘッド基板294の裏面に対向させて当該ヘッド基板294の裏面に取り付けられており、発光素子Eから射出されてヘッド基板294内部を進行してきた光を受光する。
【0028】
図5は、センサーの電気的構成を示す図である。同図に示すように、センサーS(n)は、受光素子PDと検出回路DCとで構成されている。受光素子PDの出力は検出回路DCの入力端子Tinに接続されており、検出回路DCは入力された信号をアンプによって増幅した後、A/Dコンバーターでデジタル信号に変換して、出力端子Toutより出力する。こうして、センサーS(n)は、受光量に応じたレベルの検出値を出力する。
【0029】
このようにヘッド基板294の裏面には発光素子Eはセンサーが配置される一方、ヘッド基板294の表面には、屈折率分布型ロッドレンズアレイ297が所定の間隔を空けて対向している。したがって、発光素子Eが射出した光ビームは、ヘッド基板294の裏面から表面へと透過した後、ロッドレンズアレイ297により正立等倍で結像される。これにより、感光体ドラム21の表面にスポットSPが形成されて、感光体ドラム21表面に潜像が形成される。
【0030】
このようなラインヘッド29による潜像形成動作は、メインコントローラーMCおよびヘッドコントローラーHCにより制御される。この制御動作について、図2を参照しながら説明する。外部装置からメインコントローラーMCに画像形成指令が与えられると、メインコントローラーMCは、エンジンコントローラーECにエンジン部ENGを起動させるための制御信号を送信する。また、メインコントローラーMCに設けられた画像処理部100が、画像形成指令に含まれる画像データに対して所定の信号処理を行い、各トナー色ごとのビデオデータVDを生成する。
【0031】
一方、制御信号を受けたエンジンコントローラーECは、エンジン部ENG各部の初期化およびウォームアップを開始する。これらが完了して画像形成動作を実行可能な状態になると、エンジンコントローラーECは、各ラインヘッド29を制御するヘッドコントローラーHCに対し画像形成動作の開始のきっかけとなる同期信号Vsyncを出力する。
【0032】
ヘッドコントローラーHCには、各ラインヘッド29を制御するヘッド制御モジュール400と、メインコントローラーMCとのデータ通信を司るヘッド側通信モジュール300とが設けられている。一方、メインコントローラーMCにはメイン側通信モジュール200が設けられている。メイン側通信モジュール200は、ヘッド側通信モジュール300からの要求毎に1ライン分のビデオデータVDをヘッド側通信モジュール300に出力する。ヘッド側通信モジュール300は、このビデオデータVDをヘッド制御モジュール400に受け渡す。そして、ヘッド制御モジュール400はビデオデータVDに基づいて各ラインヘッド29のドライバーDVを動作させることで発光素子を適宜発光させて、形成すべき画像の幅を主走査方向MDに有する1ライン分のライン潜像を形成する。このライン潜像形成は、感光体ドラム21表面の副走査方向SDへの移動に応じて順次実行され、その結果、2次元の潜像が感光体ドラム21表面に形成される。こうして形成された潜像は現像部25(図1)によりトナー像として現像される。
【0033】
以上が、本発明を適用可能なラインヘッド29および画像形成装置の概要である。そして、本実施形態のラインヘッド29は、目標光量Poで各発光素子Eを発光させるために、各発光素子Eの光量を補正する。続いて、この光量補正に関する構成および動作について詳述する。
【0034】
図6は、発光素子の発光を制御する電気的構成を示す図である。駆動回路CTでは、発光素子Eを駆動するトランジスターTrが発光素子E毎に設けられている。より具体的には、図6において、トランジスターTrのドレイン(出力端子)がダイオード表記で示される発光素子Eのアノードに接続される(ちなみに、発光素子Eのカソードはグランド電位に短絡されている)。したがって、トランジスターTrがオンすると、発光素子EはトランジスターTrから駆動電流の印加を受けて発光する。一方、トランジスターTrがオフすると、トランジスターTrから発光素子Eへの駆動電流の印加が停止され、発光素子Eは消灯する。
【0035】
また、各トランジスターTrに電源を供給するために複数の電源ラインLv1、Lv2、…が、長手方向LGDに並んで設けられている。電源ラインLv1、Lv2、…のそれぞれは、長手方向LGDに直線的に伸びるものであり、スイッチSWを介して電源VELに接続されるとともに、所定個数のトランジスターTrのソースに接続されており、接続先のトランジスターTrへの電源供給を担当する。電源ラインLv1で具体的に説明すると、電源ラインLv1は、長手方向LGDの一方端の電源接続位置x1でスイッチSWを介して電源VELに接続されるとともに、この電源接続位置x1よりも長手方向LGDの他方側でトランジスターTrに接続されている。同様に、他の電源ラインLv2についても電源VELやトランジスターTrが接続される。こうして、各電源ラインLv1、Lv2、…は、長手方向LGDに電源ピッチPvで並ぶ電源接続位置x1、x2、…において、スイッチSWを介して電源VELに接続される。また、この実施形態では、電源ラインLv1、Lv2、…それぞれは、互いに短絡されている。なお、第1実施形態では、電源ピッチPvはドライバーDVのピッチPdvと等しい(Pv=Pdv)。
【0036】
ここで、各スイッチSWは、電源ラインLv1、Lv2、…の接続先を、電源VELとグランドとの間で切り換えるものである。すなわち、スイッチSWを電源VELに接続することで、トランジスターTrをオン・オフ動作させて発光素子Eを適宜発光させることができる一方、スイッチSWをグランド電位に接続することで、トランジスターTrへの電源供給を遮断して、トランジスターTrを動作不能にさせることができる。なお、以下では、特に断らない限り、スイッチSWは電源VEL側に接続されており、トランジスターTrはオン・オフ動作が可能であるとして説明する。
【0037】
各トランジスターTrのゲートと電源ラインLv1、Lv2、…の間にはコンデンサーCが介挿させており、補正データ生成制御部402から各トランジスターTrのゲートに入力されたビデオデータVDはコンデンサーCに書き込まれる。そして、トランジスターTrはコンデンサーCに書き込まれたビデオデータVDに応じてオン/オフして、発光素子Eを適宜発光させる。
【0038】
また、ラインヘッド29を制御するヘッド制御モジュール400には、補正データ生成制御部402、補正電圧記憶部404およびオフセット記憶部406が内蔵されている。補正データ生成制御部402はセンサーS(n)の光量検出値に基づいてトランジスターTrのオン時のゲート電圧Vgを調整することで、発光素子Eの光量補正を実行する。つまり、センサーS(n)より出力された光量検出値は、補正データ生成制御部402に出力される。そして、補正データ生成制御部402は、補正電圧記憶部404およびオフセット記憶部406を用いつつ、この光量検出値に基づいて光量補正を実行する。
【0039】
続いて、補正データ生成制御部402が実行する光量補正の詳細について説明する。図7は、光量補正で実行される動作を示すフローチャートである。ステップS101では、複数のセンサーS(n)のオフセット値P2が順番に確認される。具体的には、ステップS101では、全てのトランジスターTrがオフして、全ての発光素子Eが消灯する。ただし、トランジスターTrはリーク電流を出力するため、各発光素子Eは消灯時においても若干発光する(暗光量を有する)。したがって、センサーS(n)は、暗光量で発光する発光素子Eからの光を受光して、これに応じたオフセット値P2を出力する。ここで、リーク電流によって発光する発光素子Eの光量を暗光量と称した。そして、補正データ生成制御部402は、このオフセット値P1を各センサーS(n)について一つずつ順番に確認する。この確認動作は、A/DコンバーターによるA/D変換が完了するために十分な時間をかけて、センサーS(n)毎に実行される。こうして、全センサーS(n)のオフセット値P1の確認および記憶が完了すると、ステップS102が実行される。
【0040】
ステップS102では、センサーS(n)のオフセット値P2とオフセット記憶部406に記憶されている記憶値PLとの差(=|PL−P2|)を求める。この記憶値PLは、以前に予め求められたセンサーS(n)のオフセット値であり、センサーS(n)毎にオフセット記憶部406に記憶されている。そして、オフセット値P2の記憶値PLに対する変化量が異常に大きい場合(例えば、記憶値PLの10倍以上の場合)には、印字画質に影響を与えると判断して、補正データ生成制御部402はエンジンコントローラーECに向けてエラー信号(警告信号)を出力する(ステップS103)。一方、オフセット値P2が異常ではないものの、記憶値PLに対して所定のレベル以上変化した場合(例えば、1%以上変化していた場合)は、補正データ生成制御部402は、このオフセット値P2を新たな記憶値PLとしてオフセット記憶部406に記憶させて(ステップS103)、ステップS106に進む。また、オフセット値P2の記憶値PLに対する変化量が所定レベル以下である場合は、補正データ生成制御部402は、オフセット記憶部406の記憶値PLの記憶更新を行なうこと無く(ステップS105)、ステップS106に進む。
【0041】
ステップS106では、全発光素子Eのうちの1つの発光素子E(i)が選択的に点灯して、光量PS(i)が検出される(「i」は発光素子Eの番号であり、長手方向LGDに順番に発光素子Eに付されているものとする)。具体的には、発光素子E(i)が点灯している間に、当該発光素子E(i)の光量検出を担当するセンサーS(n)の光量検出値PS(i)が補正データ生成制御部402によって読み出される。そして、補正データ生成制御部402は、発光素子E(i)を担当するセンサーS(n)のオフセット値P2を光量検出値PS(i)から減算した値を、実光量P(i)(=PS(i)−P1)として求める(ステップS107)。
【0042】
続いて、補正データ生成制御部402は、エンジンコントローラーEC(図2)より与えられる目標光量Poと実光量P(i)との差分(=P(i)−Po)を求めるとともに(ステップS108)、この差分を補正する補正データを算出して、補正電圧記憶部404に記憶する(ステップS109)。こうして、補正電圧記憶部404に記憶された補正データに基づいて発光素子E(i)の光量が調整されることで、発光素子E(i)は目標光量Poで発光する。そして、上記ステップS106からステップS109の動作は全発光素子Eについて実行される(ステップS110)。以上が光量補正で実行される動作である。
【0043】
ところで、図6を用いて上述したような構成では、電源VELからトランジスターTrへの電力供給は、電源VELとトランジスターTrを相互に接続する電源ラインLv1、Lv2、…を介して行われる。このとき、電源ラインLv1、Lv2、…が電気抵抗を有することから、電源ラインLv1、Lv2、…には電圧降下が生じる。したがって、図6に示すように、複数の電源VELを電源ラインLv1、Lv2、…に接続した場合、複数の電源接続位置x1、x2…が間隔を空けて並ぶこととなり、これら電源接続位置x1、x2、…の間隔Pv(電源ピッチ)を周期とする電圧降下が生じる(図6の「電源ライン電圧」の欄を参照)。そして、このような電源ラインLv1、Lv2、…からトランジスターTrに電力を供給することで、トランジスターTrのリーク電流が電源接続位置x1、x2…の間隔Pvで略周期的に変動して、その結果、発光素子Eの光量(暗光量)も電源接続位置x1、x2、…の間隔Pvで略周期的に変動する。
【0044】
本実施形態では、このような発光素子Eの暗光量の変動をセンサーS(n)によって確実に捕らえるために、センサーS(n)の配列ピッチPscと電源接続位置x1、x2、…の間隔Pvが、次式
Psc=Pv×1/2
を満たすように、各センサーS(n)が配置されている。そこで、暗光量の変動周期PvとセンサーS(n)の配列ピッチとの関係について詳述する。
【0045】
図8は、暗光量の周期変動とセンサーの配列ピッチとの関係を示す図である。同図では、初期における発光素子Eの暗光量(実線曲線)と、経時変化後における発光素子Eの暗光量(破線曲線)とが併記されているが、いずれの暗光量も周期Pvで略周期的に変動している。そして、本実施形態では、この暗光量の周期変動に対して、センサーS(n)をセンサーピッチPsc(=Pv×1/2)で配置している。したがって、暗光量の経時的な変化Δ1は勿論のこと、暗光量の周期的な変化Δ2も、センサーS(n)によって捉えることができる。こうして、第1実施形態では、リーク電流により発光する各発光素子Eの光量(暗光量)をセンサーS(n)の検出値に適切に反映させることが可能となっている。
【0046】
ちなみに、図8では、偶数番目のセンサーS(2)、S(4)、…は、電源接続位置x1、x2、…と長手方向LGDへの位置が一致しており、奇数番目のセンサーS(1)、S(3)、…は、電源接続位置x1、x2、…の中点と長手方向LGDへの位置が一致している。しかしながら、センサーS(n)の配置はこれに限られず、センサーS(n)の配列ピッチPscと電源接続位置x1、x2、…の間隔Pvが、次式
Psc=Pv×1/2
を満たすように、各センサーS(n)が配置することで、上記効果を奏することができる。
【0047】
さらには、センサーピッチPscも電源接続位置x1、x2、…の間隔Pvの半分(Psc=Pv×1/2)に限られず、センサーピッチPscが電源接続位置x1、x2、…の間隔Pvの半分以下(Psc≦Pv×1/2)であれば、上記効果を奏することができる。
【0048】
なお、第1実施形態では、各電源ラインLv1、Lv2、…が互いに短絡されている。そのため、各電源ラインLv1、Lv2、…の電圧降下を小さく抑えることができる。例えば、電源ラインLv1の電圧降下を例示して説明すると、この電源ラインLv1には、図6左側に設けられた当該電源ラインLv1用の電源VELが一端に接続されるとともに、図6略中央に設けられた電源ラインLv2用の電源VELが他端に接続される。これによって、電源ラインLv1はその両端で電源VELに接続されることとなり、一端のみで電源VELに接続される場合に比べて、電圧降下が小さく抑えられる。
【0049】
第2実施形態、
図9は、第2実施形態における光量補正で実行される動作を示すフローチャートである。第1実施形態と第2実施形態の差異は光量補正動作のみであるので、以下では、この差異点について主に説明することとし、共通部分については説明を適宜省略する。なお、この共通部分から第1実施形態と同様の効果が奏されることは言うまでも無い。
【0050】
図6を用いて説明したとおり、電源ラインLv1、Lv2、…はスイッチSWを介して電源VELに接続されている。したがって、スイッチSWをグランドに接続することで、トランジスターTrへの電源供給を遮断することができる。そこで、図9のフローチャートのステップS201では、各スイッチSWをグランドに接続することで、各トランジスターTrへの電源供給を遮断した状態で、各センサーS(n)のオフセット値P1を検出する。続く、ステップS202では、各スイッチSWを電源VELに接続した状態で、各センサーS(n)のオフセット値P2を検出する。そして、ステップS203では、暗光量分に相当するセンサーS(n)の検出値PA(=P2−P1)を算出する。
【0051】
補正データ生成制御部402は、以上のステップS201〜S203を実行した結果に基づいて、ステップS204〜S207を実行する。つまり、ステップS204では、暗光量分に相当する検出値PAとオフセット記憶部406に記憶されている記憶値PALとの差(=|PAL−PA|)を求める。この記憶値PALは、以前に予め求められた、暗光量分に相当する検出値PAであり、センサーS(n)毎にオフセット記憶部406に記憶されている。そして、検出値PAの記憶値PALに対する変化量が異常に大きい場合には、印字画質に影響を与えると判断して、補正データ生成制御部402はエンジンコントローラーECに向けてエラー信号(警告信号)を出力する(ステップS205)。一方、検出値PAが異常ではないものの、記憶値PALに対して所定のレベル以上変化した場合は、補正データ生成制御部402は、オフセット値P2を新たな記憶値PLとしてオフセット記憶部406に記憶させて(ステップS206)、ステップS208に進む。また、検出値PAの記憶値PALに対する変化量が所定レベル以下である場合は、補正データ生成制御部402は、オフセット記憶部406の記憶値PLの記憶更新を行なうこと無く(ステップS207)、ステップS208に進む。
【0052】
ステップS208では、全発光素子Eのうちの1つの発光素子E(i)が選択的に点灯して、光量PS(i)が検出される(「i」は発光素子Eの番号であり、長手方向LGDに順番に発光素子Eに付されているものとする)。具体的には、発光素子E(i)が点灯している間に、当該発光素子E(i)の光量検出を担当するセンサーS(n)の光量検出値PS(i)が補正データ生成制御部402によって読み出される。そして、補正データ生成制御部402は、発光素子E(i)を担当するセンサーS(n)のオフセット値P2を光量検出値PS(i)から減算した値を、実光量P(i)(=PS(i)−P1)として求める(ステップS209)。
【0053】
続いて、補正データ生成制御部402は、エンジンコントローラーEC(図2)より与えられる目標光量Poと実光量P(i)との差分(=P(i)−Po)を求めるとともに(ステップS210)、この差分を補正する補正データを算出して、補正電圧記憶部404に記憶する(ステップS211)。こうして、補正電圧記憶部404に記憶された補正データに基づいて発光素子E(i)の光量が調整されることで、発光素子E(i)は目標光量Poで発光する。そして、上記ステップS208からステップS211の動作は全発光素子Eについて実行される(ステップS212)。以上が光量補正で実行される動作である。
【0054】
第3実施形態
図10は、第3実施形態において発光素子の発光を制御する電気的構成を示す図である。第1実施形態と異なり第3実施形態では、各電源ラインLv1、Lv2、…は短絡されておらず、それぞれ分離されている。その結果、各電源ラインLv1、Lv2、…での電圧降下の様子は、第1実施形態では略放物線であったのに対して、第3実施形態では右向きに単調減少となっている。なお、その他の構成は第1実施形態と第3実施形態とは共通しており、この共通部分から第1実施形態と同様の効果が奏されるものである。
【0055】
第4実施形態
図11は、第4実施形態において発光素子の発光を制御する電気的構成を示す図である。第1実施形態と同様に第4実施形態では、電源ラインLv1、Lv2、…それぞれに対して電源VEL1、VEL2が設けられている。ここで第4実施形態が第1実施形態と異なるのは、電源ラインLv1に接続される複数のトランジスターTrに対して電源VEL1の反対側に配置されて、電源接続位置x2で電源ラインLv1に接続される電源VEL3を備える点である。こうして、電源ラインLv1には、複数のトランジスターTrを長手方向LGDに挟んで2つの電源VEL1、VEL3が接続される。また、その他の電源ラインLv2、…にも同様に2つずつ電源が設けられている。このように構成することで、各電源ラインLv1、Lv2、…に対して2つの電源によって電源供給することができ。各電源ラインLv1、Lv2、…の電圧降下をより小さく抑えることが可能となる。なお、その他の構成は第1実施形態と第4実施形態とは共通しており、この共通部分から第1実施形態と同様の効果が奏されるものである。
【0056】
また、第4実施形態に示す構成は、次のような利点も有する。つまり、第1実施形態で図6に示したような構成では、電源VELから(スイッチSWを介して)電源供給位置x2において接続される電源供給線には、電源ラインLv1、Lv2の両方に流れ込む電流が流れるため、電源VELから(スイッチSWを介して)電源供給位置x1に接続される電源供給線に比べて多くの電流が流れる。したがって、電源供給線自体の電圧降下を考えたとき、同じ太さの電源供給線であれば、電源供給位置x2に接続される電源供給線の電圧降下の方が大きく、電源供給位置x1での電圧より電源供給位置x2での電圧が低くなってしまい、電源ラインLv1の電圧降下が悪化してしまう。そこで、第4実施形態では、電源供給位置x2の電源供給系統をVEL3とVEL2に分け、電源ラインLv1には、独立した二つの電源VEL1とVEL3が接続されることで、電圧降下をより小さく抑えられている。
【0057】
その他
以上のように、上記実施形態では、ヘッド基板294が本発明の「基板」に相当し、発光素子Eが本発明の「第1の発光素子」「第2の発光素子」に相当し、トランジスターTrが本発明の「第1の駆動素子」「第2の駆動素子」に相当し、電源ラインLv1が本発明の「第1の配線」に相当し、電源ラインLv2が本発明の「第2の配線」に相当し、センサーS(n)が本発明の「第1の光検出部」「第2の光検出部」に相当している。また、第1〜第3の実施形態では、電源VELが本発明の「第1の電源供給部」「第2の電源供給部」に相当し、第4の実施形態では、電源VEL1が本発明の「第1の電源供給部」に相当し、電源VEL2が本発明の「第2の電源供給部」に相当し、電源VEL3が本発明の「第3の電源供給部」に相当する。また、電源ピッチPvが本発明の「第1の間隔」に相当し、センサーピッチPscが本発明の「第2の間隔」に相当する。また、長手方向LGDが本発明の「第1の方向」に相当し、ラインヘッド29が本発明の「露光ヘッド」に相当し、感光体ドラム21が本発明の「潜像担持体」に相当する。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。したがって、上記実施形態では、ヘッド基板294の裏面にセンサーS(n)が配設されていたが、センサーS(n)の配設位置はこれに限られず、例えば、ヘッド基板294の表面にセンサーS(n)が配設されても良い。
【0059】
また、ドライバーDVの配設位置も上記のものに限られない。したがって、ドライバーDVをヘッド基板294に配設するように構成しても良い。
【0060】
また、上記実施形態では、屈折率分布型ロッドレンズアレイ297により発光素子Eからの光を正立等倍で結像するラインヘッド29に対して本発明を適用した場合について説明した。しかしながら、本発明の適用対象はこれに限られず、例えば特開2008−36937号公報のように、反転光学系を2次元的に並べて、各反転光学系毎に対向配置された発光素子からの光を結像するラインヘッド29等、他の構成を具備するラインヘッド29に対しても本発明を適用可能である。
【0061】
また、上述の有機EL素子以外に、LED(Light Emitting Diode)等の光源を、発光素子Eとして用いることもできる。
【符号の説明】
【0062】
29…ラインヘッド、 402…補正データ生成制御部、 404…補正電圧記憶部404、 406…オフセット記憶部、 E…発光素子、 Tr…トランジスター、 S(n)…センサー、 PD…受光素子、 DC…検出回路、 Lv1、Lv2…電源ライン、 x1、x2…電源接続位置、 DV…ドライバー
【技術分野】
【0001】
この発明は、駆動信号が印加された発光素子が発光する光により露光を行なう露光ヘッドに関し、特に露光ヘッドが備える発光素子の光量を補正する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、長手方向に並ぶ多数の発光素子それぞれを駆動素子により駆動することで発光させる露光ヘッドが記載されている。さらに、この露光ヘッドでは、各発光素子の光量を適正値に補正するために、長手方向に間隔を空けて複数のセンサーが設けられている。つまり、複数のセンサーはそれぞれが担当する発光素子からの光を検出するものであり、各センサーの検出結果に基づいて、各発光素子の光量が適正値に補正される。
【0003】
ところで、発光素子の駆動ために、例えば特許文献2に記載されているようなトランジスター等の駆動素子を用いることができる。具体的には、この特許文献2では、トランジスターの出力端子が発光素子に接続されている。そして、トランジスターがオンすると、トランジスターの出力端子から発光素子に駆動信号(駆動電流)が印加され、これによって発光素子が発光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−99945号公報
【特許文献2】特開2010−46858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただし、このような駆動素子により発光素子を発光させる構成では、発光素子の光量補正を高精度に行えない場合があった。つまり、この光量補正では、複数の発光素子の一つが選択的に発光し、このときのセンサーの検出値が当該発光素子の光量として求められる。この際、選択されなかった発光素子を駆動する駆動素子はオフして駆動信号の出力を停止している。しかしながら、トランジスター等の駆動素子はオフ時にも一定のリーク電流を出力するため、選択されなかった発光素子がリーク電流により若干発光してしまう。そして、このリーク電流による光が光量検出対象である発光素子からの光に加算されてセンサーにより検出されると、光量検出対象である発光素子の光量が実際よりも大きく求められてしまい、その結果、光量補正の精度が低下する場合があった。
【0006】
このような問題に対応するために、全ての駆動素子をオフさせたときのセンサーの検出値をオフセット値として確認する動作を複数のセンサーで順次実行しておき、光量検出動作でセンサーが検出した光量値からこのオフセット値を差し引くことで、光量検出対象の発光素子の光量を正確に検出することが考えられる。ちなみに、このとき求められるセンサーのオフセット値は、リーク電流により発光する発光素子の光量を適切に反映したものであることが望ましい。しかしながら、トランジスターのリーク電流量の変化に起因して、次のような問題が発生するおそれがあった。
【0007】
つまり、電源からトランジスターへの電力供給は、電源とトランジスターを相互に接続する電源ラインを介して行われる。このとき、電源ラインが電気抵抗を有することから、電源ラインには電圧降下が生じる。より具体的には、電源との接続位置では電源ラインは高い電圧レベルを維持する一方、この接続位置から離れるにしたがって電源ラインの電圧は降下し、言い換えれば、電源接続位置を基点とした電圧降下が電源ラインに生じる。したがって、長手方向に並んで複数の電源を設け、各電源を電源ラインに接続した場合、複数の電源接続位置が間隔を空けて並ぶこととなり、これら電源接続位置の間隔を周期とする電圧降下が生じる。そして、このような電源ラインからトランジスターに電力を供給することで、トランジスターのリーク電流が電源接続位置の間隔で略周期的に変動して、その結果、発光素子の光量も電源接続位置の間隔で略周期的に変動する。ところが、センサーがこの発光素子の光量変動を捉えきれず、その結果、センサーのオフセット値がリーク電流により発光する発光素子の光量を適切に反映したものとならない場合があった。
【0008】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、リーク電流により発光する発光素子の光量を、光検出部(センサー)の検出値(オフセット値)に適切に反映させることを可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明にかかる露光ヘッドは、上記目的を達成するために、光を透過する基板と、基板に配されて基板を透過する光を発光する第1の発光素子と、第1の発光素子の第1の方向で基板に配されて基板を透過する光を発光する第2の発光素子と、基板に配されて第1の発光素子を駆動する第1の駆動素子と、第1の駆動素子の第1の方向で基板に配されて第2の発光素子を駆動する第2の駆動素子と、第1の方向に伸びて基板に配されるとともに第1の駆動素子に電気的に接続される第1の配線と、第1の配線の第1の方向で第1の方向に伸びて基板に配されるとともに第2の駆動素子に電気的に接続される第2の配線と、第1の位置で第1の配線に接続されて第1の配線に電源を供給する第1の電源供給部と、第1の位置の第1の方向で第1の位置と第1の間隔を空ける第2の位置で第2の配線に接続されて第2の配線に電源を供給する第2の電源供給部と、基板に配されて光を検出する第1の光検出部と、第1の光検出部の第1の方向で第1の光検出部と第1の間隔の半分以下の第2の間隔を空けて基板に配されて光を検出する第2の光検出部と、を備えることを特徴としている。
【0010】
また、この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、光を透過する基板、基板に配されて基板を透過する光を発光する第1の発光素子、第1の発光素子の第1の方向で基板に配されて基板を透過する光を発光する第2の発光素子、基板に配されて第1の発光素子を駆動する第1の駆動素子、第1の駆動素子の第1の方向で基板に配されて第2の発光素子を駆動する第2の駆動素子、第1の方向に伸びて基板に配されるとともに第1の駆動素子に電気的に接続される第1の配線、第1の配線の第1の方向で第1の方向に伸びて基板に配されるとともに第2の駆動素子に電気的に接続される第2の配線、第1の位置で第1の配線に接続されて第1の配線に電源を供給する第1の電源供給部、第1の位置の第1の方向で第1の位置と第1の間隔を空ける第2の位置で第2の配線に接続されて第2の配線に電源を供給する第2の電源供給部、基板に配されて光を検出する第1の光検出部、および第1の光検出部の第1の方向で第1の光検出部と第1の間隔の半分以下の第2の間隔を空けて基板に配されて光を検出する第2の光検出部を有する露光ヘッドと、第1の発光素子から発光されて基板を透過した光および第2の発光素子から発光されて基板を透過した光により潜像が形成される潜像担持体と、を備えることを特徴としている。
【0011】
このように構成された発明(露光ヘッド、画像形成装置)では、第1の発光素子を第1の駆動素子で駆動するとともに、第2の発光素子を第2の駆動素子で駆動している。そして、第1の駆動素子は第1の配線を介して第1の電源供給部に接続され、第2の駆動素子は第2の配線を介して第2の電源供給部に接続されており、言わば、第1および第2の配線が電源ラインとして機能している。そして、この発明では、第1および第2の電源供給部が電源ライン(第1および第2の配線)に接続される接続位置の間隔(第1の間隔)の半分以下の第2の間隔で、光を検出する第1および第2の光検出部が配されている。したがって、これら第1および第2の検出部の検出値に、リーク電流により発光する第1および第2の発光素子の光量を適切に反映させることが可能となっている。
【0012】
このとき、第1の配線と第2の配線が短絡されても良い。このように構成することで、第1の配線に対して第2の電源供給部で電源を供給することができ、第1の配線の電圧降下を小さく抑えることが可能となる。
【0013】
このとき、第1の駆動素子に対して第1の電源供給部の第1の方向の反対側で基板に配設されて、第2の位置で第1の配線に接続されて第1の配線に電源を供給する第3の電源供給部を備えるように構成しても良い。このように構成することで、第1の配線に対して、第3の電源供給部によっても電源を供給することができ、第1の配線の電圧降下をより小さく抑えることが可能となる。
【0014】
また、第1の駆動素子による第1の発光素子の駆動を制御する第1の駆動制御部と、第2の駆動素子による前記第2の発光素子の駆動を制御する第2の駆動制御部とを備えるように構成しても良い。このとき、第1の駆動制御部と第2の駆動制御部は第1の方向に前記第1の間隔で配されても良い。
【0015】
ちなみに、第1および第2の駆動素子はトランジスターで構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図。
【図2】図1の画像形成装置の電気的構成を示す図。
【図3】ラインヘッドの構造を示す部分斜視図。
【図4】ヘッド基板およびその周辺の構成を模式的に示す部分平面図。
【図5】センサーの電気的構成を示す図。
【図6】発光素子の発光を制御する電気的構成を示す図。
【図7】光量補正で実行される動作を示すフローチャート。
【図8】暗光量の周期変動とセンサーの配列ピッチとの関係を示す図。
【図9】第2実施形態における光量補正で実行される動作を示すフローチャート。
【図10】第3実施形態において発光素子の発光を制御する電気的構成を示す図。
【図11】第4実施形態において発光素子の発光を制御する電気的構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1実施形態
図1は本実施形態にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示す図である。この装置は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置である。この画像形成装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するメインコントローラーMCに与えられると、このメインコントローラーMCがエンジンコントローラーECに制御信号を与え、これに基づき、エンジンコントローラーECがエンジン部ENGおよびヘッドコントローラーHCなど装置各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどの記録材たるシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0018】
この実施形態にかかる画像形成装置が有するハウジング本体(図示省略)の内部には、電源回路基板、メインコントローラーMC、エンジンコントローラーECおよびヘッドコントローラーHCを内蔵する電装品ボックス(図示省略)が設けられている。また、画像形成ユニット2、転写ベルトユニット8および二次転写ユニット12もハウジング本体内に配設されている。
【0019】
画像形成ユニット2は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーション2Y(イエロー用)、2M(マゼンタ用)、2C(シアン用)および2K(ブラック用)を備えている。なお、図1においては、画像形成ユニット2の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号を付し、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
【0020】
各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kには、それぞれの色のトナー像がその表面に形成される感光体ドラム21が設けられている。各感光体ドラム21はそれぞれ専用の感光体カートリッジに保持されており、感光体カートリッジと一体的に装置本体に対して着脱自在に構成されている。さらに、感光体カートリッジそれぞれには、当該感光体カートリッジに関する情報を記憶するための不揮発性のメモリーが設けられている。そして、エンジンコントローラーECと各感光体カートリッジとの間で無線通信が行なわれる。こうすることで、各感光体カートリッジに関する情報がエンジンコントローラーECに伝達されるとともに、必要に応じて各メモリーの情報が更新記憶される。これらの情報に基づき各感光体カートリッジの使用履歴や消耗品の寿命が管理される。
【0021】
また、感光体カートリッジが装着された状態において、各感光体ドラム21はその回転軸が主走査方向MD(図1の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように配置されている。また、各感光体ドラム21の回転軸はそれぞれ専用の駆動モーターDMに接続され図中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより、感光体ドラム21表面が、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに搬送される。このように本実施形態では、感光体ドラム21の回転軸と駆動モーターDMとの間にギア等の動力伝達機構を設けること無く、感光体ドラム21の回転軸を駆動モーターDMで直接駆動するダイレクトドライブ方式が採用されている。
【0022】
また、感光体ドラム21の周囲には、その回転方向に沿って帯電部23、ラインヘッド29、現像部25、スクイーズローラーSQ1、SQ2および感光体クリーナ27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作およびトナー現像動作等が実行される。カラーモード実行時は、全ての画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kで形成されたトナー像を転写ベルトユニット8に設けた転写ベルト81に重ね合わせてカラー画像を形成する。また、モノクロモード実行時は、画像形成ステーション2Kのみを動作させてブラック単色画像を形成する。
【0023】
帯電部23はいわゆるコロナ帯電器で構成されており、感光体ドラム21表面に接触しない非接触型の帯電器である。この帯電部23は、帯電電圧発生部(図示省略)に接続されており、帯電電圧発生部からの給電を受けて帯電部23が感光体ドラム21に対向する帯電位置で感光体ドラム21の表面を所定の表面電位に帯電させる。
【0024】
ラインヘッド29は、その長手方向LGDが主走査方向MDに平行もしくは略平行となるように、かつ、その幅方向LTDが副走査方向SDに平行もしくは略平行となるように配置されている。ラインヘッド29は、長手方向LGDに配列された複数の発光素子を備えており、感光体ドラム21に対向配置されている。そして、帯電部23により帯電された感光体ドラム21の表面に、発光素子からの光を結像して静電潜像を形成する。
【0025】
図3はラインヘッドの構造を示す部分斜視図である。図4はラインヘッドが備えるヘッド基板周りの構成を示す平面図である。ヘッド基板294はガラス等の光透過性部材で構成されており、このヘッド基板294の裏面には複数の発光素子Eが解像度に応じたピッチで長手方向LGDに並んでいる。各発光素子Eはヘッド基板294の裏面に形成されたボトムエミッション型の有機EL素子である。さらに、ヘッド基板294の裏面には、トランジスターTr等で構成された駆動回路CTが形成されている。
【0026】
また、ヘッド基板294の幅方向LTD一方端には、長手方向LGDに等ピッチで直線的に並ぶ複数のフレキシブルプリント基板BDが取り付けられており、このフレキシブルプリント基板BDによってヘッド制御モジュール400とヘッド基板294が接続されている。また、各フレキシブルプリント基板BDにはドライバーDVが実装されており、その結果、複数のドライバーDVが長手方向LGDにドライバーピッチPdvで直線的に並ぶ。このドライバーDVは、ヘッド制御モジュール400からフレキシブルプリント基板BDを介して入力されるビデオデータVDに基づいて、駆動回路CTを動作させるものである。具体的には、ドライバーDVは、ビデオデータVDが示す電圧値を駆動回路CTに書き込み、駆動回路CTは書き込まれた電圧値に基づいた駆動電流を発光素子Eに印加する。各発光素子Eは、駆動回路CTから駆動電流の印加を受けて、互いに等しいもしくは略等しい発光スペクトルで発光する。こうして、各発光素子Eから射出された光は、ヘッド基板294を透過して、ヘッド基板294の表面から射出される。
【0027】
また、ヘッド基板294の裏面には、複数のセンサーS(n)が長手方向LGDに所定のセンサーピッチPscで直線的に並んでいる。ここで、nは1以上の自然数であり、センサーの番号を長手方向LGDに順番に示す。また、センサーピッチPscは、例えば、隣り合うセンサーS(n)、S(n+1)が有する受光面の幾何重心の長手方向LGDへの間隔として求めることができる。これらのセンサーS(n)それぞれは、その受光面をヘッド基板294の裏面に対向させて当該ヘッド基板294の裏面に取り付けられており、発光素子Eから射出されてヘッド基板294内部を進行してきた光を受光する。
【0028】
図5は、センサーの電気的構成を示す図である。同図に示すように、センサーS(n)は、受光素子PDと検出回路DCとで構成されている。受光素子PDの出力は検出回路DCの入力端子Tinに接続されており、検出回路DCは入力された信号をアンプによって増幅した後、A/Dコンバーターでデジタル信号に変換して、出力端子Toutより出力する。こうして、センサーS(n)は、受光量に応じたレベルの検出値を出力する。
【0029】
このようにヘッド基板294の裏面には発光素子Eはセンサーが配置される一方、ヘッド基板294の表面には、屈折率分布型ロッドレンズアレイ297が所定の間隔を空けて対向している。したがって、発光素子Eが射出した光ビームは、ヘッド基板294の裏面から表面へと透過した後、ロッドレンズアレイ297により正立等倍で結像される。これにより、感光体ドラム21の表面にスポットSPが形成されて、感光体ドラム21表面に潜像が形成される。
【0030】
このようなラインヘッド29による潜像形成動作は、メインコントローラーMCおよびヘッドコントローラーHCにより制御される。この制御動作について、図2を参照しながら説明する。外部装置からメインコントローラーMCに画像形成指令が与えられると、メインコントローラーMCは、エンジンコントローラーECにエンジン部ENGを起動させるための制御信号を送信する。また、メインコントローラーMCに設けられた画像処理部100が、画像形成指令に含まれる画像データに対して所定の信号処理を行い、各トナー色ごとのビデオデータVDを生成する。
【0031】
一方、制御信号を受けたエンジンコントローラーECは、エンジン部ENG各部の初期化およびウォームアップを開始する。これらが完了して画像形成動作を実行可能な状態になると、エンジンコントローラーECは、各ラインヘッド29を制御するヘッドコントローラーHCに対し画像形成動作の開始のきっかけとなる同期信号Vsyncを出力する。
【0032】
ヘッドコントローラーHCには、各ラインヘッド29を制御するヘッド制御モジュール400と、メインコントローラーMCとのデータ通信を司るヘッド側通信モジュール300とが設けられている。一方、メインコントローラーMCにはメイン側通信モジュール200が設けられている。メイン側通信モジュール200は、ヘッド側通信モジュール300からの要求毎に1ライン分のビデオデータVDをヘッド側通信モジュール300に出力する。ヘッド側通信モジュール300は、このビデオデータVDをヘッド制御モジュール400に受け渡す。そして、ヘッド制御モジュール400はビデオデータVDに基づいて各ラインヘッド29のドライバーDVを動作させることで発光素子を適宜発光させて、形成すべき画像の幅を主走査方向MDに有する1ライン分のライン潜像を形成する。このライン潜像形成は、感光体ドラム21表面の副走査方向SDへの移動に応じて順次実行され、その結果、2次元の潜像が感光体ドラム21表面に形成される。こうして形成された潜像は現像部25(図1)によりトナー像として現像される。
【0033】
以上が、本発明を適用可能なラインヘッド29および画像形成装置の概要である。そして、本実施形態のラインヘッド29は、目標光量Poで各発光素子Eを発光させるために、各発光素子Eの光量を補正する。続いて、この光量補正に関する構成および動作について詳述する。
【0034】
図6は、発光素子の発光を制御する電気的構成を示す図である。駆動回路CTでは、発光素子Eを駆動するトランジスターTrが発光素子E毎に設けられている。より具体的には、図6において、トランジスターTrのドレイン(出力端子)がダイオード表記で示される発光素子Eのアノードに接続される(ちなみに、発光素子Eのカソードはグランド電位に短絡されている)。したがって、トランジスターTrがオンすると、発光素子EはトランジスターTrから駆動電流の印加を受けて発光する。一方、トランジスターTrがオフすると、トランジスターTrから発光素子Eへの駆動電流の印加が停止され、発光素子Eは消灯する。
【0035】
また、各トランジスターTrに電源を供給するために複数の電源ラインLv1、Lv2、…が、長手方向LGDに並んで設けられている。電源ラインLv1、Lv2、…のそれぞれは、長手方向LGDに直線的に伸びるものであり、スイッチSWを介して電源VELに接続されるとともに、所定個数のトランジスターTrのソースに接続されており、接続先のトランジスターTrへの電源供給を担当する。電源ラインLv1で具体的に説明すると、電源ラインLv1は、長手方向LGDの一方端の電源接続位置x1でスイッチSWを介して電源VELに接続されるとともに、この電源接続位置x1よりも長手方向LGDの他方側でトランジスターTrに接続されている。同様に、他の電源ラインLv2についても電源VELやトランジスターTrが接続される。こうして、各電源ラインLv1、Lv2、…は、長手方向LGDに電源ピッチPvで並ぶ電源接続位置x1、x2、…において、スイッチSWを介して電源VELに接続される。また、この実施形態では、電源ラインLv1、Lv2、…それぞれは、互いに短絡されている。なお、第1実施形態では、電源ピッチPvはドライバーDVのピッチPdvと等しい(Pv=Pdv)。
【0036】
ここで、各スイッチSWは、電源ラインLv1、Lv2、…の接続先を、電源VELとグランドとの間で切り換えるものである。すなわち、スイッチSWを電源VELに接続することで、トランジスターTrをオン・オフ動作させて発光素子Eを適宜発光させることができる一方、スイッチSWをグランド電位に接続することで、トランジスターTrへの電源供給を遮断して、トランジスターTrを動作不能にさせることができる。なお、以下では、特に断らない限り、スイッチSWは電源VEL側に接続されており、トランジスターTrはオン・オフ動作が可能であるとして説明する。
【0037】
各トランジスターTrのゲートと電源ラインLv1、Lv2、…の間にはコンデンサーCが介挿させており、補正データ生成制御部402から各トランジスターTrのゲートに入力されたビデオデータVDはコンデンサーCに書き込まれる。そして、トランジスターTrはコンデンサーCに書き込まれたビデオデータVDに応じてオン/オフして、発光素子Eを適宜発光させる。
【0038】
また、ラインヘッド29を制御するヘッド制御モジュール400には、補正データ生成制御部402、補正電圧記憶部404およびオフセット記憶部406が内蔵されている。補正データ生成制御部402はセンサーS(n)の光量検出値に基づいてトランジスターTrのオン時のゲート電圧Vgを調整することで、発光素子Eの光量補正を実行する。つまり、センサーS(n)より出力された光量検出値は、補正データ生成制御部402に出力される。そして、補正データ生成制御部402は、補正電圧記憶部404およびオフセット記憶部406を用いつつ、この光量検出値に基づいて光量補正を実行する。
【0039】
続いて、補正データ生成制御部402が実行する光量補正の詳細について説明する。図7は、光量補正で実行される動作を示すフローチャートである。ステップS101では、複数のセンサーS(n)のオフセット値P2が順番に確認される。具体的には、ステップS101では、全てのトランジスターTrがオフして、全ての発光素子Eが消灯する。ただし、トランジスターTrはリーク電流を出力するため、各発光素子Eは消灯時においても若干発光する(暗光量を有する)。したがって、センサーS(n)は、暗光量で発光する発光素子Eからの光を受光して、これに応じたオフセット値P2を出力する。ここで、リーク電流によって発光する発光素子Eの光量を暗光量と称した。そして、補正データ生成制御部402は、このオフセット値P1を各センサーS(n)について一つずつ順番に確認する。この確認動作は、A/DコンバーターによるA/D変換が完了するために十分な時間をかけて、センサーS(n)毎に実行される。こうして、全センサーS(n)のオフセット値P1の確認および記憶が完了すると、ステップS102が実行される。
【0040】
ステップS102では、センサーS(n)のオフセット値P2とオフセット記憶部406に記憶されている記憶値PLとの差(=|PL−P2|)を求める。この記憶値PLは、以前に予め求められたセンサーS(n)のオフセット値であり、センサーS(n)毎にオフセット記憶部406に記憶されている。そして、オフセット値P2の記憶値PLに対する変化量が異常に大きい場合(例えば、記憶値PLの10倍以上の場合)には、印字画質に影響を与えると判断して、補正データ生成制御部402はエンジンコントローラーECに向けてエラー信号(警告信号)を出力する(ステップS103)。一方、オフセット値P2が異常ではないものの、記憶値PLに対して所定のレベル以上変化した場合(例えば、1%以上変化していた場合)は、補正データ生成制御部402は、このオフセット値P2を新たな記憶値PLとしてオフセット記憶部406に記憶させて(ステップS103)、ステップS106に進む。また、オフセット値P2の記憶値PLに対する変化量が所定レベル以下である場合は、補正データ生成制御部402は、オフセット記憶部406の記憶値PLの記憶更新を行なうこと無く(ステップS105)、ステップS106に進む。
【0041】
ステップS106では、全発光素子Eのうちの1つの発光素子E(i)が選択的に点灯して、光量PS(i)が検出される(「i」は発光素子Eの番号であり、長手方向LGDに順番に発光素子Eに付されているものとする)。具体的には、発光素子E(i)が点灯している間に、当該発光素子E(i)の光量検出を担当するセンサーS(n)の光量検出値PS(i)が補正データ生成制御部402によって読み出される。そして、補正データ生成制御部402は、発光素子E(i)を担当するセンサーS(n)のオフセット値P2を光量検出値PS(i)から減算した値を、実光量P(i)(=PS(i)−P1)として求める(ステップS107)。
【0042】
続いて、補正データ生成制御部402は、エンジンコントローラーEC(図2)より与えられる目標光量Poと実光量P(i)との差分(=P(i)−Po)を求めるとともに(ステップS108)、この差分を補正する補正データを算出して、補正電圧記憶部404に記憶する(ステップS109)。こうして、補正電圧記憶部404に記憶された補正データに基づいて発光素子E(i)の光量が調整されることで、発光素子E(i)は目標光量Poで発光する。そして、上記ステップS106からステップS109の動作は全発光素子Eについて実行される(ステップS110)。以上が光量補正で実行される動作である。
【0043】
ところで、図6を用いて上述したような構成では、電源VELからトランジスターTrへの電力供給は、電源VELとトランジスターTrを相互に接続する電源ラインLv1、Lv2、…を介して行われる。このとき、電源ラインLv1、Lv2、…が電気抵抗を有することから、電源ラインLv1、Lv2、…には電圧降下が生じる。したがって、図6に示すように、複数の電源VELを電源ラインLv1、Lv2、…に接続した場合、複数の電源接続位置x1、x2…が間隔を空けて並ぶこととなり、これら電源接続位置x1、x2、…の間隔Pv(電源ピッチ)を周期とする電圧降下が生じる(図6の「電源ライン電圧」の欄を参照)。そして、このような電源ラインLv1、Lv2、…からトランジスターTrに電力を供給することで、トランジスターTrのリーク電流が電源接続位置x1、x2…の間隔Pvで略周期的に変動して、その結果、発光素子Eの光量(暗光量)も電源接続位置x1、x2、…の間隔Pvで略周期的に変動する。
【0044】
本実施形態では、このような発光素子Eの暗光量の変動をセンサーS(n)によって確実に捕らえるために、センサーS(n)の配列ピッチPscと電源接続位置x1、x2、…の間隔Pvが、次式
Psc=Pv×1/2
を満たすように、各センサーS(n)が配置されている。そこで、暗光量の変動周期PvとセンサーS(n)の配列ピッチとの関係について詳述する。
【0045】
図8は、暗光量の周期変動とセンサーの配列ピッチとの関係を示す図である。同図では、初期における発光素子Eの暗光量(実線曲線)と、経時変化後における発光素子Eの暗光量(破線曲線)とが併記されているが、いずれの暗光量も周期Pvで略周期的に変動している。そして、本実施形態では、この暗光量の周期変動に対して、センサーS(n)をセンサーピッチPsc(=Pv×1/2)で配置している。したがって、暗光量の経時的な変化Δ1は勿論のこと、暗光量の周期的な変化Δ2も、センサーS(n)によって捉えることができる。こうして、第1実施形態では、リーク電流により発光する各発光素子Eの光量(暗光量)をセンサーS(n)の検出値に適切に反映させることが可能となっている。
【0046】
ちなみに、図8では、偶数番目のセンサーS(2)、S(4)、…は、電源接続位置x1、x2、…と長手方向LGDへの位置が一致しており、奇数番目のセンサーS(1)、S(3)、…は、電源接続位置x1、x2、…の中点と長手方向LGDへの位置が一致している。しかしながら、センサーS(n)の配置はこれに限られず、センサーS(n)の配列ピッチPscと電源接続位置x1、x2、…の間隔Pvが、次式
Psc=Pv×1/2
を満たすように、各センサーS(n)が配置することで、上記効果を奏することができる。
【0047】
さらには、センサーピッチPscも電源接続位置x1、x2、…の間隔Pvの半分(Psc=Pv×1/2)に限られず、センサーピッチPscが電源接続位置x1、x2、…の間隔Pvの半分以下(Psc≦Pv×1/2)であれば、上記効果を奏することができる。
【0048】
なお、第1実施形態では、各電源ラインLv1、Lv2、…が互いに短絡されている。そのため、各電源ラインLv1、Lv2、…の電圧降下を小さく抑えることができる。例えば、電源ラインLv1の電圧降下を例示して説明すると、この電源ラインLv1には、図6左側に設けられた当該電源ラインLv1用の電源VELが一端に接続されるとともに、図6略中央に設けられた電源ラインLv2用の電源VELが他端に接続される。これによって、電源ラインLv1はその両端で電源VELに接続されることとなり、一端のみで電源VELに接続される場合に比べて、電圧降下が小さく抑えられる。
【0049】
第2実施形態、
図9は、第2実施形態における光量補正で実行される動作を示すフローチャートである。第1実施形態と第2実施形態の差異は光量補正動作のみであるので、以下では、この差異点について主に説明することとし、共通部分については説明を適宜省略する。なお、この共通部分から第1実施形態と同様の効果が奏されることは言うまでも無い。
【0050】
図6を用いて説明したとおり、電源ラインLv1、Lv2、…はスイッチSWを介して電源VELに接続されている。したがって、スイッチSWをグランドに接続することで、トランジスターTrへの電源供給を遮断することができる。そこで、図9のフローチャートのステップS201では、各スイッチSWをグランドに接続することで、各トランジスターTrへの電源供給を遮断した状態で、各センサーS(n)のオフセット値P1を検出する。続く、ステップS202では、各スイッチSWを電源VELに接続した状態で、各センサーS(n)のオフセット値P2を検出する。そして、ステップS203では、暗光量分に相当するセンサーS(n)の検出値PA(=P2−P1)を算出する。
【0051】
補正データ生成制御部402は、以上のステップS201〜S203を実行した結果に基づいて、ステップS204〜S207を実行する。つまり、ステップS204では、暗光量分に相当する検出値PAとオフセット記憶部406に記憶されている記憶値PALとの差(=|PAL−PA|)を求める。この記憶値PALは、以前に予め求められた、暗光量分に相当する検出値PAであり、センサーS(n)毎にオフセット記憶部406に記憶されている。そして、検出値PAの記憶値PALに対する変化量が異常に大きい場合には、印字画質に影響を与えると判断して、補正データ生成制御部402はエンジンコントローラーECに向けてエラー信号(警告信号)を出力する(ステップS205)。一方、検出値PAが異常ではないものの、記憶値PALに対して所定のレベル以上変化した場合は、補正データ生成制御部402は、オフセット値P2を新たな記憶値PLとしてオフセット記憶部406に記憶させて(ステップS206)、ステップS208に進む。また、検出値PAの記憶値PALに対する変化量が所定レベル以下である場合は、補正データ生成制御部402は、オフセット記憶部406の記憶値PLの記憶更新を行なうこと無く(ステップS207)、ステップS208に進む。
【0052】
ステップS208では、全発光素子Eのうちの1つの発光素子E(i)が選択的に点灯して、光量PS(i)が検出される(「i」は発光素子Eの番号であり、長手方向LGDに順番に発光素子Eに付されているものとする)。具体的には、発光素子E(i)が点灯している間に、当該発光素子E(i)の光量検出を担当するセンサーS(n)の光量検出値PS(i)が補正データ生成制御部402によって読み出される。そして、補正データ生成制御部402は、発光素子E(i)を担当するセンサーS(n)のオフセット値P2を光量検出値PS(i)から減算した値を、実光量P(i)(=PS(i)−P1)として求める(ステップS209)。
【0053】
続いて、補正データ生成制御部402は、エンジンコントローラーEC(図2)より与えられる目標光量Poと実光量P(i)との差分(=P(i)−Po)を求めるとともに(ステップS210)、この差分を補正する補正データを算出して、補正電圧記憶部404に記憶する(ステップS211)。こうして、補正電圧記憶部404に記憶された補正データに基づいて発光素子E(i)の光量が調整されることで、発光素子E(i)は目標光量Poで発光する。そして、上記ステップS208からステップS211の動作は全発光素子Eについて実行される(ステップS212)。以上が光量補正で実行される動作である。
【0054】
第3実施形態
図10は、第3実施形態において発光素子の発光を制御する電気的構成を示す図である。第1実施形態と異なり第3実施形態では、各電源ラインLv1、Lv2、…は短絡されておらず、それぞれ分離されている。その結果、各電源ラインLv1、Lv2、…での電圧降下の様子は、第1実施形態では略放物線であったのに対して、第3実施形態では右向きに単調減少となっている。なお、その他の構成は第1実施形態と第3実施形態とは共通しており、この共通部分から第1実施形態と同様の効果が奏されるものである。
【0055】
第4実施形態
図11は、第4実施形態において発光素子の発光を制御する電気的構成を示す図である。第1実施形態と同様に第4実施形態では、電源ラインLv1、Lv2、…それぞれに対して電源VEL1、VEL2が設けられている。ここで第4実施形態が第1実施形態と異なるのは、電源ラインLv1に接続される複数のトランジスターTrに対して電源VEL1の反対側に配置されて、電源接続位置x2で電源ラインLv1に接続される電源VEL3を備える点である。こうして、電源ラインLv1には、複数のトランジスターTrを長手方向LGDに挟んで2つの電源VEL1、VEL3が接続される。また、その他の電源ラインLv2、…にも同様に2つずつ電源が設けられている。このように構成することで、各電源ラインLv1、Lv2、…に対して2つの電源によって電源供給することができ。各電源ラインLv1、Lv2、…の電圧降下をより小さく抑えることが可能となる。なお、その他の構成は第1実施形態と第4実施形態とは共通しており、この共通部分から第1実施形態と同様の効果が奏されるものである。
【0056】
また、第4実施形態に示す構成は、次のような利点も有する。つまり、第1実施形態で図6に示したような構成では、電源VELから(スイッチSWを介して)電源供給位置x2において接続される電源供給線には、電源ラインLv1、Lv2の両方に流れ込む電流が流れるため、電源VELから(スイッチSWを介して)電源供給位置x1に接続される電源供給線に比べて多くの電流が流れる。したがって、電源供給線自体の電圧降下を考えたとき、同じ太さの電源供給線であれば、電源供給位置x2に接続される電源供給線の電圧降下の方が大きく、電源供給位置x1での電圧より電源供給位置x2での電圧が低くなってしまい、電源ラインLv1の電圧降下が悪化してしまう。そこで、第4実施形態では、電源供給位置x2の電源供給系統をVEL3とVEL2に分け、電源ラインLv1には、独立した二つの電源VEL1とVEL3が接続されることで、電圧降下をより小さく抑えられている。
【0057】
その他
以上のように、上記実施形態では、ヘッド基板294が本発明の「基板」に相当し、発光素子Eが本発明の「第1の発光素子」「第2の発光素子」に相当し、トランジスターTrが本発明の「第1の駆動素子」「第2の駆動素子」に相当し、電源ラインLv1が本発明の「第1の配線」に相当し、電源ラインLv2が本発明の「第2の配線」に相当し、センサーS(n)が本発明の「第1の光検出部」「第2の光検出部」に相当している。また、第1〜第3の実施形態では、電源VELが本発明の「第1の電源供給部」「第2の電源供給部」に相当し、第4の実施形態では、電源VEL1が本発明の「第1の電源供給部」に相当し、電源VEL2が本発明の「第2の電源供給部」に相当し、電源VEL3が本発明の「第3の電源供給部」に相当する。また、電源ピッチPvが本発明の「第1の間隔」に相当し、センサーピッチPscが本発明の「第2の間隔」に相当する。また、長手方向LGDが本発明の「第1の方向」に相当し、ラインヘッド29が本発明の「露光ヘッド」に相当し、感光体ドラム21が本発明の「潜像担持体」に相当する。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。したがって、上記実施形態では、ヘッド基板294の裏面にセンサーS(n)が配設されていたが、センサーS(n)の配設位置はこれに限られず、例えば、ヘッド基板294の表面にセンサーS(n)が配設されても良い。
【0059】
また、ドライバーDVの配設位置も上記のものに限られない。したがって、ドライバーDVをヘッド基板294に配設するように構成しても良い。
【0060】
また、上記実施形態では、屈折率分布型ロッドレンズアレイ297により発光素子Eからの光を正立等倍で結像するラインヘッド29に対して本発明を適用した場合について説明した。しかしながら、本発明の適用対象はこれに限られず、例えば特開2008−36937号公報のように、反転光学系を2次元的に並べて、各反転光学系毎に対向配置された発光素子からの光を結像するラインヘッド29等、他の構成を具備するラインヘッド29に対しても本発明を適用可能である。
【0061】
また、上述の有機EL素子以外に、LED(Light Emitting Diode)等の光源を、発光素子Eとして用いることもできる。
【符号の説明】
【0062】
29…ラインヘッド、 402…補正データ生成制御部、 404…補正電圧記憶部404、 406…オフセット記憶部、 E…発光素子、 Tr…トランジスター、 S(n)…センサー、 PD…受光素子、 DC…検出回路、 Lv1、Lv2…電源ライン、 x1、x2…電源接続位置、 DV…ドライバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を透過する基板と、
前記基板に配されて前記基板を透過する光を発光する第1の発光素子と、
前記第1の発光素子の第1の方向で前記基板に配されて前記基板を透過する光を発光する第2の発光素子と、
前記基板に配されて前記第1の発光素子を駆動する第1の駆動素子と、
前記第1の駆動素子の前記第1の方向で前記基板に配されて前記第2の発光素子を駆動する第2の駆動素子と、
前記第1の方向に伸びて前記基板に配されるとともに前記第1の駆動素子に電気的に接続される第1の配線と、
前記第1の配線の前記第1の方向で前記第1の方向に伸びて前記基板に配されるとともに前記第2の駆動素子に電気的に接続される第2の配線と、
第1の位置で前記第1の配線に接続されて前記第1の配線に電源を供給する第1の電源供給部と、
前記第1の位置の前記第1の方向で前記第1の位置と第1の間隔を空ける第2の位置で前記第2の配線に接続されて前記第2の配線に電源を供給する第2の電源供給部と、
前記基板に配されて光を検出する第1の光検出部と、
前記第1の光検出部の前記第1の方向で前記第1の光検出部と前記第1の間隔の半分以下の第2の間隔を空けて前記基板に配されて光を検出する第2の光検出部と、
を備えることを特徴とする露光ヘッド。
【請求項2】
前記第1の配線と前記第2の配線が短絡されている請求項1に記載の露光ヘッド。
【請求項3】
前記第1の駆動素子に対して前記第1の電源供給部の前記第1の方向の反対側で前記基板に配設されて、前記第2の位置で前記第1の配線に接続されて前記第1の配線に電源を供給する第3の電源供給部を備える請求項2に記載の露光ヘッド。
【請求項4】
前記第1の駆動素子による前記第1の発光素子の駆動を制御する第1の駆動制御部と、前記第2の駆動素子による前記第2の発光素子の駆動を制御する第2の駆動制御部とを備えた請求項1ないし3のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項5】
前記第1の駆動制御部と前記第2の駆動制御部は前記第1の方向に前記第1の間隔で配されている請求項4に記載の露光ヘッド。
【請求項6】
前記第1の駆動素子はトランジスターであり、前記第2の駆動素子はトランジスターである請求項1ないし5のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項7】
光を透過する基板、前記基板に配されて前記基板を透過する光を発光する第1の発光素子、前記第1の発光素子の第1の方向で前記基板に配されて前記基板を透過する光を発光する第2の発光素子、前記基板に配されて前記第1の発光素子を駆動する第1の駆動素子、前記第1の駆動素子の前記第1の方向で前記基板に配されて前記第2の発光素子を駆動する第2の駆動素子、前記第1の方向に伸びて前記基板に配されるとともに前記第1の駆動素子に電気的に接続される第1の配線、前記第1の配線の前記第1の方向で前記第1の方向に伸びて前記基板に配されるとともに前記第2の駆動素子に電気的に接続される第2の配線、第1の位置で前記第1の配線に接続されて前記第1の配線に電源を供給する第1の電源供給部、前記第1の位置の前記第1の方向で前記第1の位置と第1の間隔を空ける第2の位置で前記第2の配線に接続されて前記第2の配線に電源を供給する第2の電源供給部、前記基板に配されて光を検出する第1の光検出部、および前記第1の光検出部の前記第1の方向で前記第1の光検出部と前記第1の間隔の半分以下の第2の間隔を空けて前記基板に配されて光を検出する第2の光検出部を有する露光ヘッドと、
前記第1の発光素子から発光されて前記基板を透過した光および前記第2の発光素子から発光されて前記基板を透過した光により潜像が形成される潜像担持体と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
光を透過する基板と、
前記基板に配されて前記基板を透過する光を発光する第1の発光素子と、
前記第1の発光素子の第1の方向で前記基板に配されて前記基板を透過する光を発光する第2の発光素子と、
前記基板に配されて前記第1の発光素子を駆動する第1の駆動素子と、
前記第1の駆動素子の前記第1の方向で前記基板に配されて前記第2の発光素子を駆動する第2の駆動素子と、
前記第1の方向に伸びて前記基板に配されるとともに前記第1の駆動素子に電気的に接続される第1の配線と、
前記第1の配線の前記第1の方向で前記第1の方向に伸びて前記基板に配されるとともに前記第2の駆動素子に電気的に接続される第2の配線と、
第1の位置で前記第1の配線に接続されて前記第1の配線に電源を供給する第1の電源供給部と、
前記第1の位置の前記第1の方向で前記第1の位置と第1の間隔を空ける第2の位置で前記第2の配線に接続されて前記第2の配線に電源を供給する第2の電源供給部と、
前記基板に配されて光を検出する第1の光検出部と、
前記第1の光検出部の前記第1の方向で前記第1の光検出部と前記第1の間隔の半分以下の第2の間隔を空けて前記基板に配されて光を検出する第2の光検出部と、
を備えることを特徴とする露光ヘッド。
【請求項2】
前記第1の配線と前記第2の配線が短絡されている請求項1に記載の露光ヘッド。
【請求項3】
前記第1の駆動素子に対して前記第1の電源供給部の前記第1の方向の反対側で前記基板に配設されて、前記第2の位置で前記第1の配線に接続されて前記第1の配線に電源を供給する第3の電源供給部を備える請求項2に記載の露光ヘッド。
【請求項4】
前記第1の駆動素子による前記第1の発光素子の駆動を制御する第1の駆動制御部と、前記第2の駆動素子による前記第2の発光素子の駆動を制御する第2の駆動制御部とを備えた請求項1ないし3のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項5】
前記第1の駆動制御部と前記第2の駆動制御部は前記第1の方向に前記第1の間隔で配されている請求項4に記載の露光ヘッド。
【請求項6】
前記第1の駆動素子はトランジスターであり、前記第2の駆動素子はトランジスターである請求項1ないし5のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項7】
光を透過する基板、前記基板に配されて前記基板を透過する光を発光する第1の発光素子、前記第1の発光素子の第1の方向で前記基板に配されて前記基板を透過する光を発光する第2の発光素子、前記基板に配されて前記第1の発光素子を駆動する第1の駆動素子、前記第1の駆動素子の前記第1の方向で前記基板に配されて前記第2の発光素子を駆動する第2の駆動素子、前記第1の方向に伸びて前記基板に配されるとともに前記第1の駆動素子に電気的に接続される第1の配線、前記第1の配線の前記第1の方向で前記第1の方向に伸びて前記基板に配されるとともに前記第2の駆動素子に電気的に接続される第2の配線、第1の位置で前記第1の配線に接続されて前記第1の配線に電源を供給する第1の電源供給部、前記第1の位置の前記第1の方向で前記第1の位置と第1の間隔を空ける第2の位置で前記第2の配線に接続されて前記第2の配線に電源を供給する第2の電源供給部、前記基板に配されて光を検出する第1の光検出部、および前記第1の光検出部の前記第1の方向で前記第1の光検出部と前記第1の間隔の半分以下の第2の間隔を空けて前記基板に配されて光を検出する第2の光検出部を有する露光ヘッドと、
前記第1の発光素子から発光されて前記基板を透過した光および前記第2の発光素子から発光されて前記基板を透過した光により潜像が形成される潜像担持体と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−101435(P2012−101435A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251742(P2010−251742)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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