説明

露光装置、基板処理装置及びデバイス製造方法

【課題】帯状の基板にデバイスを効率的に製造できる露光装置を提供すること。
【解決手段】所定の円筒面に沿ってパターンを有するマスクを円筒面の円周方向に回転させつつパターンを基板に転写する露光装置であって、パターンのうち円筒面の第一領域に位置する第一部分パターンの像を第一投影領域に投影する第一投影光学系と、パターンのうち第一領域から円周方向に沿って間隔を置いた第二領域に位置する第二部分パターンの像を、第一投影領域と異なる第二投影領域に投影する第二投影光学系と、マスクの円周方向への回転に同期して、第一投影領域及び第二投影領域を経由するように基板を搬送する基板搬送装置と、を備え、搬送装置は、第一投影領域と第二投影領域との間における基板の搬送経路の経路長を調整する経路調整装置を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置、基板処理装置及びデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置などの表示装置を構成する表示素子として、例えば液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子が知られている。現在、これらの表示素子では、各画素に対応して基板表面に薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を形成する能動的素子(アクティブデバイス)が主流となってきている。
【0003】
近年では、可撓性を有する基板(例えばフィルム部材など)上に表示素子を形成する技術が提案されている。このような技術として、例えばロール・トゥ・ロール方式(以下、単に「ロール方式」と表記する)と呼ばれる手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。ロール方式では、基板供給側の供給用ローラーに巻かれた帯状の基板を送り出すと共に送り出された基板を基板回収側の回収用ローラーで巻き取りながら基板を搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/129819号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、表示装置では表示画面の大型化が期待されており、上記のようなロール方式においても、帯状の基板に大型の表示素子を効率的に製造可能とする技術が要望されている。
【0006】
そこで、本発明の態様は、帯状の基板に表示素子等のデバイスを効率的に製造することができる露光装置、基板処理装置及びデバイス製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様に従えば、所定の円筒面に沿ってパターンを有するマスクを円筒面の円周方向に回転させつつパターンを基板に転写する露光装置であって、パターンのうち円筒面の第一領域に位置する第一部分パターンの像を第一投影領域に投影する第一投影光学系と、パターンのうち第一領域から円周方向に沿って間隔を置いた第二領域に位置する第二部分パターンの像を、第一投影領域と異なる第二投影領域に投影する第二投影光学系と、マスクの円周方向への回転に同期して、第一投影領域及び第二投影領域を経由するように基板を搬送する基板搬送装置と、を備え、搬送装置は、第一投影領域と第二投影領域との間における基板の搬送経路の経路長を調整する経路調整装置を含む露光装置が提供される。
【0008】
本発明の第二の態様に従えば、帯状の基板を処理する基板処理装置であって、前記基板を該基板の長手方向に搬送する基板搬送部と、前記基板搬送部による前記基板の搬送経路に沿って設けられ、該搬送経路に沿って搬送される前記基板を処理する基板処理部と、を備え、前記基板処理部は、前記基板にパターンを転写する本発明の第一の態様に従う露光装置を有する基板処理装置が提供される。
【0009】
本発明の第三の態様に従えば、基板を処理してデバイスを製造するデバイス製造方法であって、本発明の第二の態様に従う露光装置を用いて、前記基板にパターンを転写することと、前記パターンが転写された前記基板を該パターンに基づいて加工することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の態様によれば、帯状の基板に表示素子等のデバイスを効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第一実施形態に係る基板処理装置の構成を示す概略図。
【図2】本実施形態に係る露光装置の構成を示す概略図。
【図3】本実施形態に係る露光装置の一部の構成を示す斜視図。
【図4】本実施形態に係る露光装置の一部の構成を示す斜視図。
【図5】本実施形態に係る露光装置の一部の構成を示す斜視図。
【図6】本実施形態に係る露光装置の一部の構成を示す平面図。
【図7】本実施形態に係る露光装置の動作の様子を示す図。
【図8】マスクの他の構成を示す図。
【図9】半導体デバイスを製造する際の製造工程の一部を示すフローチャート。
【図10】液晶表示素子の製造する際の製造工程の一部を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る基板処理装置FPAの構成を示す図である。
図1に示すように、基板処理装置FPAは、帯状の基板(例えば、帯状のフィルム部材)FBを供給する基板供給部SU、基板FBの表面(被処理面)に対して処理を行う基板処理部PR、基板FBを回収する基板回収部CL、及び、これらの各部を制御する制御部CONTを有している。
【0013】
なお、本実施形態では、図1に示すようにXYZ座標系を設定し、以下では適宜このXYZ座標系を用いて説明を行う。XYZ座標系は、例えば、水平面に沿ってX軸及びY軸が設定され、鉛直方向に沿って上向きにZ軸が設定される。また、基板処理装置FPAは、全体としてX軸に沿って、そのマイナス側(−側)からプラス側(+側)へ基板FBを搬送する。その際、帯状の基板FBの幅方向(短尺方向)は、Y軸方向に設定される。
【0014】
基板処理装置FPAは、基板供給部SUから基板FBが送り出されてから、基板回収部CLによって基板FBが回収されるまでの間に、基板FBの表面に各種処理を実行する装置である。基板処理装置FPAは、基板FB上に例えば有機EL素子、液晶表示素子等の表示素子(電子デバイス)を形成する場合に用いることができる。
【0015】
基板処理装置FPAにおいて処理対象となる基板FBとしては、例えば樹脂フィルムやステンレス鋼などの箔(フォイル)を用いることができる。例えば、樹脂フィルムは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレンビニル共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、などの材料を用いることができる。
【0016】
基板FBは、例えば200℃程度の熱を受けても寸法が変わらないように熱膨張係数が小さい方が好ましい。例えば、無機フィラーを樹脂フィルムに混合して熱膨張係数を小さくすることができる。無機フィラーの例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化ケイ素などが挙げられる。
【0017】
基板FBの幅方向(短尺方向)の寸法は例えば1m〜2m程度に形成されており、長さ方向(長尺方向)の寸法は例えば10m以上に形成されている。勿論、この寸法は一例に過ぎず、これに限られることは無い。例えば基板FBのY方向の寸法が50cm以下であっても構わないし、2m以上であっても構わない。また、基板FBのX方向の寸法が10m以下であっても構わない。
【0018】
基板FBは、可撓性を有するように形成されている。ここで可撓性とは、基板に自重程度の力を加えても線断したり破断したりすることはなく、該基板を撓めることが可能な性質をいう。また、自重程度の力によって屈曲する性質も可撓性に含まれる。また、上記可撓性は、該基板の材質、大きさ、厚さ、又は温度などの環境、等に応じて変わる。なお、基板FBとしては、1枚の帯状の基板を用いても構わないが、複数の単位基板を接続して帯状に形成される構成としても構わない。
【0019】
基板供給部SUは、例えばロール状に巻かれた基板FBを基板処理部PRへ送り出して供給する。この場合、基板供給部SUには、基板FBを巻きつける軸部や当該軸部を回転させる回転駆動装置などが設けられる。この他、例えばロール状に巻かれた状態の基板FBを覆うカバー部などが設けられた構成であっても構わない。なお、基板供給部SUは、ロール状に巻かれた基板FBを送り出す機構に限定されず、帯状の基板FBをその長さ方向に順次送り出す機構を含むものであればよい。
【0020】
基板回収部CLは、基板処理部PRからの基板FBを例えばロール状に巻きとって回収する。基板回収部CLには、基板供給部SUと同様に、基板FBを巻きつけるための軸部や当該軸部を回転させる回転駆動源、回収した基板FBを覆うカバー部などが設けられている。なお、基板処理部PRにおいて基板FBがパネル状に切断される場合などには例えば基板FBを重ねた状態に回収するなど、ロール状に巻いた状態とは異なる状態で基板FBを回収する構成であっても構わない。
【0021】
基板処理部PRは、基板供給部SUから供給される基板FBを基板回収部CLへ搬送すると共に、搬送の過程で基板FBの被処理面Fpに対して処理を行う。基板処理部PRは、例えば処理装置10、搬送装置30及びアライメント装置50を有している。
【0022】
処理装置10は、基板FBの被処理面Fpに対して例えば有機EL素子を形成するための各種装置を有している。このような装置としては、例えば被処理面Fp上に隔壁を形成するための隔壁形成装置、電極を形成するための電極形成装置、発光層を形成するための発光層形成装置などが挙げられる。より具体的には、液滴塗布装置(例えばインクジェット型塗布装置、スピンコート型塗布装置)、成膜装置(例えば蒸着装置、スパッタリング装置)、露光装置、現像装置、表面改質装置、洗浄装置などが挙げられる。これらの各装置は、基板FBの搬送経路に沿って適宜設けられる。本実施形態では、処理装置10として、露光装置が設けられている。
【0023】
搬送装置30は、基板処理部PR内において基板FBを基板回収部CL側へ搬送するローラー装置Rを有している。ローラー装置Rは、基板FBの搬送経路に沿って複数設けられている。複数のローラー装置Rのうち少なくとも一部のローラー装置Rには、駆動機構(不図示)が取り付けられている。このようなローラー装置Rが回転することにより、基板FBがX軸方向に搬送されるようになっている。複数のローラー装置Rのうち一部のローラー装置Rが基板FBの表面と交差する方向に移動可能に設けられた構成であっても構わない。
【0024】
アライメント装置50は、基板FBに対してアライメント動作を行う。アライメント装置50は、基板FBの位置を検出するアライメントカメラ51と、当該アライメントカメラ51の検出結果に基づいて基板FBの位置及び姿勢の少なくとも一方を調整する調整装置52とを有している。
【0025】
アライメントカメラ51は、例えば基板FBに形成されたアライメントマークを検出し、検出結果を制御部CONTに送信する。制御部CONTは、当該検出結果に基づいて基板FBの位置情報を求め、当該位置情報に基づいて調整装置52による調整量を制御する。
【0026】
図2は、処理装置10として用いられる露光装置EXの構成を示す図である。露光装置EXは、マスクMに形成されたパターンPmの像を基板FBに投影する装置である。露光装置EXは、図2に示すように、マスクMを照明する照明装置IUと、マスクMを保持して移動及び回転可能なマスク移動装置MSTと、基板FBに対してパターンPmの像を投影する投影装置PUと、基板FBを搬送する基板搬送装置FSTとを有している。
【0027】
照明装置IUは、マスクMに露光光ELIを照明する。照明装置IUは、複数の照明光学系ILを有している。照明光学系ILから射出される露光光は、複数の方向からマスクMに対して照射される(例えば+X方向及び−X方向から照射される)。
【0028】
マスク移動装置MSTは、保持部40及び駆動装置ACMを有している。保持部40は、概形として円筒状に形成されており、その外周面に相当する円筒面40aに沿ってマスクMを保持するように形成されている。保持部40は、円筒面40aの円周方向に沿って(すなわち、円筒面40aの中心軸線としての軸線C回りに)回転可能に設けられている。駆動装置ACMは、保持部40を円筒面40aに沿って回転駆動させると共に、保持部40を図中X方向、Y方向及びZ方向へ移動させることができる。
【0029】
マスクMは、保持部40によって取り外し可能に保持される。図3は、マスクMの構成を示す図である。マスクMとしては、シート状に形成された反射型マスクが用いられる。
マスクMに形成されたパターンPmは、例えば短冊状(長矩形状)の4つのパターンP1〜P4に分割された状態で形成されている。各パターンP1〜P4は、等ピッチで図3の図中左右方向に並んだ異なる4つの領域にそれぞれ形成されている。マスクMは、パターンPmが円筒面40aに沿って配置されるように保持部40に保持される。その際、マスクMは、各パターンP1〜P4の長手方向(長辺方向)が円筒面40aの円周方向と一致するように保持される。各パターンP1〜P4の長手方向の寸法は、例えば円筒面40aの半周の寸法と等しくなるように形成されている。
【0030】
図2に示すように、投影装置PUは、複数の投影光学系PLを有している。複数の投影光学系PLの一部は、マスクMに対して基板FBの搬送方向上流側(−X側)に配置されており、保持部40の−X側に位置するパターンPmの像を、保持部40よりも−X側に位置する基板FBに対して投影する。また、複数の投影光学系PLの他の一部は、マスクMに対して基板FBの下流側(+X側)に配置されており、保持部40の+X側に位置するパターンPmの像を、保持部40よりも+X側に位置する基板FBに対して投影する。
なお、本実施形態では、各投影光学系PLとして、例えばマスクMに形成されたパターンPmの像を拡大して投影する拡大光学系(すなわち、投影倍率として拡大倍率を有する光学系)が用いられている。ただし、各投影光学系PLは、拡大光学系に限定されず、等倍又は縮小倍の投影倍率を有する光学系とすることもできる。
【0031】
また、各投影光学系PLは、投影像(パターンPmの像)の投影位置を基板FBの表面に沿った方向(XY平面に沿った方向)へ調整可能な調整機構をそれぞれ備えている。この調整機構として、例えば図2に示すように、露光光ELIを透過させるとともに、投影光学系PLの光軸に対して傾斜可能(すなわち、光軸に垂直な軸線HVa回りに回転可能)に設けられた平行平板ガラスHVを用いることができる。各投影光学系が、基板FBの幅方向(Y方向)に沿った軸線HVa回りに回転可能な平行平板ガラスHVを備えることで、パターンPmの像の投影位置は、基板FBの搬送方向(X方向)に沿って調整可能とされる。
【0032】
基板搬送装置FSTは、投影装置PUによってパターンPmの像が投影される各投影領域PAを経由するように基板FBを搬送する。基板搬送装置FSTは、第一ステージ81、第二ステージ82、搬送ローラー83〜84、経路調整装置ADJ及び駆動装置ACFを有している。第一ステージ81及び第二ステージ82は、保持部40の−X側に配置される投影光学系PLの投影領域PAと+X側に配置される投影光学系PLの投影領域PAとに対応した位置にそれぞれ配置されている。第一ステージ81及び第二ステージ82の+Z側の面には、XY平面に平行な平坦面が形成されている。当該平坦面は、基板FBを支持する基板支持面81a及び82aとなっている。第一ステージ81及び第二ステージ82は、図示しないエアベアリング機構がそれぞれ設けられており、このエアベアリング機構によって基板FBを基板支持面81a及び82a上に非接触に支持することができる。基板支持面81a及び82aは、それぞれ投影光学系PLにより、保持部40に保持されたマスクMのパターンPmと(もしくは円筒面40aと)光学的に共役な位置に配置されている。搬送ローラー83及び84は、基板FBを+X方向へ搬送する。
【0033】
経路調整装置ADJは、移動部85及び駆動機構86を有している。移動部85は、基板FBの−Z側に配置されている。移動部85は、X方向(基板FBの搬送方向)に関して第一ステージ81と第二ステージ82との間に設けられている。移動部85は、例えば円筒状に形成され、その円周方向に回転可能に設けられており、その回転の中心軸線がY方向に平行になるように配置されている。また、移動部85は、その中心軸線回りに回転可能に設けられている。移動部85の中心軸線方向の寸法は、基板FBのY方向(幅方向)の寸法よりも大きく形成されている。
【0034】
移動部85は、駆動機構86の駆動によって基板FBの表面と交差する方向(例えば図中Z方向)に移動可能に設けられている。移動部85が+Z側に移動することにより、基板FBのうち搬送ローラー83と搬送ローラー84との間の部分が移動部85に掛けられた状態となる。このため、基板FBの移動経路は、X方向に設定された直線経路に対して+Z側に湾曲された経路(迂回した経路)に変更される。
【0035】
駆動装置ACFは、制御部CONTからの制御信号に基づいて搬送ローラー83及び84の回転速度を調整し、これによって基板FBの搬送速度を調整する。制御部CONTは、マスクMの回転速度に応じた搬送速度で基板FBが搬送されるように、駆動装置ACMの駆動及び駆動装置ACFの駆動を制御する。具体的には、制御部CONTは、円筒面40aに沿ったマスクMの移動速度(周速度)に対する、基板FBの長さ方向への搬送速度(すなわち、基板FBの表面の移動速度)の比が、投影光学系PLの投影倍率(拡大倍率)と等しくなるように、駆動装置ACM及び駆動装置ACFの駆動を制御する。
【0036】
図4は、マスク移動装置MST、照明装置IU及び投影装置PUの構成を示す図である。図4に示すように、照明装置IUは、4つの照明光学系IL(IL1〜IL4)を有している。照明光学系IL1〜IL4は、保持部40に保持されたマスクMの4つのパターンP1〜P4のそれぞれに対応して1つずつ設けられている。照明光学系IL1,IL3は、図中−X側からそれぞれパターンP1,P3を露光光ELIで照明する。照明光学系IL2,IL4は、図中+X側からそれぞれパターンP2,P4を露光光ELIで照明する。
【0037】
このように、照明装置IUは、マスクMのうち円筒面40aの−X側の所定領域(第一領域)を露光光ELIで照明する第一照明光学系(照明光学系IL1及びIL3)と、マスクMのうち円筒面40aの+X側の所定領域(第二領域)を露光光ELIで照明する第二照明光学系(照明光学系IL2及びIL4)とを有している。
【0038】
図5は、投影装置PU、投影領域PA及び基板FBの位置関係を示す平面図である。
図5に示すように、投影装置PUは、4つの投影光学系PL(PL1〜PL4)を有している。
【0039】
投影光学系PL1には、照明光学系IL1から射出されパターンP1で反射された露光光ELIが入射される。投影光学系PL2には、照明光学系IL2から射出されパターンP2で反射された露光光ELIが入射される。投影光学系PL3には、照明光学系IL3から射出されパターンP3で反射された露光光ELIが入射される。投影光学系PL4には、照明光学系IL4から射出されパターンP4で反射された露光光ELIが入射される。投影光学系PL1〜PL4は、それぞれパターンP1〜P4で反射された露光光ELIを基板FBに対する所定の投影領域PA1〜PA4に照射してパターンP1〜P4の像を拡大投影する。
【0040】
このように投影装置PUは、保持部40の−X側の投影領域PA1及びPA3にそれぞれパターンP1及びP3の像を投影する第一投影光学系(投影光学系PL1及びPL3)と、保持部40の+X側の投影領域PA2及びPA4にそれぞれパターンP2及びP4の像を投影する第二投影光学系(投影光学系PL2及びPL4)とを有している。また、当該第一投影光学系は、複数の第一単位光学系(本実施形態では2つの投影光学系PL1及びPL3)を有している。第二投影光学系は、複数の第二単位光学系(本実施形態では2つの投影光学系PL2及びPL4)を有している。
【0041】
すなわち、本実施形態では、第一照明光学系から円筒面40aの第一領域に位置するパターンP1及びパターンP3に照射された露光光ELIが第一投影光学系に入射され、当該第一投影光学系によって第一投影領域にパターンP1及びP3の像がそれぞれ投影される。
【0042】
同様に、第二照明光学系から円筒面40aの第二領域に位置するパターンP2及びパターンP4に照射された露光光ELIが第二投影光学系に入射され、当該第二投影光学系によって第二投影領域にパターンP2及びP4の像がそれぞれ投影される。
【0043】
各投影領域PA1〜PA4は、例えばY方向に沿って2辺が平行な平行四辺形状に形成されている。各投影領域PA1〜PA4は、Y方向の端部の幅(X方向の寸法)が徐々に小さくなるように形成されている。以下、この幅が徐々に小さくなっている部分をテーパー部分と表記する。なお、投影領域PA1〜PA4の形状は、平行四辺形状に限定されるものではなく、例えばY方向の端部にテーパー部を有する台形状または六角形状とすることもできる。投影領域PA1〜PA4の形状は、それぞれ投影光学系PL1〜PL4に設けられた不図示のブラインドによって設定される。
【0044】
投影光学系PL1及び投影光学系PL2は、投影領域PA1の+Y側に形成されるテーパー部分のY方向に関する位置と投影領域PA2の−Y側に形成されるテーパー部分のY方向に関する位置とが重なるように配置されている。また、投影光学系PL2及び投影光学系PL3は、投影領域PA2の+Y側に形成されるテーパー部分のY方向に関する位置と投影領域PA3の−Y側に形成されるテーパー部分のY方向に関する位置とが重なるように配置されている。更に、投影光学系PL3及び投影光学系PL4は、投影領域PA3の+Y側に形成されるテーパー部分のY方向に関する位置と投影領域PA4の−Y側に形成されるテーパー部分のY方向に関する位置とが重なるように配置されている。
【0045】
投影光学系PL1及びPL3の投影領域PA1及びPA3は、X方向に関して等しい位置に配置されている。同様に、投影光学系PL2及びPL4の投影領域PA2及びPA4は、X方向に関して等しい位置に配置されている。また、マスクMの回転進行方向に関して円筒面40aの円周方向に沿った第一領域から第二領域までの間隔(すなわち、第一投影光学系の視野領域から第二投影光学系の視野領域までの間隔)Dmは、円筒面40aの半径(実質的には保持部40の半径)をRとすると、本実施形態の場合、円筒面40aの周方向の寸法の半分(πR)に等しい。また、本実施形態では、第一投影光学系及び第二投影光学系は、第一投影領域(投影領域PA1及びPA3)と第二投影領域(投影領域PA2及びPA4)との間のX方向の直線間隔DLと、第一投影光学系及び第二投影光学系の投影倍率βと、間隔Dmとが、DL≦β×Dmを満足するように配置されている。さらに、経路調整装置ADJの移動部85は、後述のように、第一投影領域から第二投影領域までの基板FBの経路長Dp(図7参照)が、Dp=β×Dmを満足するように配置される。
【0046】
次に、上記のように構成された基板処理装置FPAを用いて有機EL素子、液晶表示素子などの表示素子(電子デバイス)を製造する工程を説明する。基板処理装置FPAは、制御部CONTの制御に従って、当該表示素子を製造する。
【0047】
まず、不図示のローラーに巻き付けられた帯状の基板FBを基板供給部SUに取り付ける。制御部CONTは、この状態から基板供給部SUから当該基板FBが送り出されるように、不図示のローラーを回転させる。そして、基板処理部PRを通過した当該基板FBを基板回収部CLに設けられた不図示のローラーで巻き取らせる。この基板供給部SU及び基板回収部CLを制御することによって、基板FBの被処理面Fpを基板処理部PRに対して連続的に搬送することができる。
【0048】
制御部CONTは、基板FBが基板供給部SUから送り出されてから基板回収部CLで巻き取られるまでの間に、基板処理部PRの搬送装置30によって基板FBを当該基板処理部PR内で適宜搬送させつつ、処理装置10によって表示素子の構成要素を基板FB上に順次形成させる。この工程の中で、露光装置EXによって処理を行う場合、まず保持部40にマスクMを取り付ける。
【0049】
次に、制御部CONTは、照明装置IUからマスクMのパターンPmに対して露光光ELIを照射させる。投影光学系PLは、当該パターンPmの像を投影領域PA1〜PA4に対して投影する。
【0050】
図6に示すように、投影領域PA1〜PA4は、基板FBのうち第一ステージ81及び第二ステージ82の基板支持面81a及び82a上に配置された部分に形成される。基板FBの当該部分は、基板支持面81a及び82aに倣って平坦にされている。投影領域PA1〜PA4は、平坦にされた基板FB上に形成される。
【0051】
制御部CONTは、まず、保持部40の上流側(−X側)において露光処理を行わせる。制御部CONTは、照明光学系IL1及びIL3から露光光ELIをそれぞれパターンP1及びP3に照射させる。このとき、図7に示すように、パターンP1及びパターンP3は、円筒面40aの−X側に位置する第一領域MA1(すなわち、投影光学系PL1及びPL3の視野領域)に配置された状態で露光光ELIが照射される。
【0052】
パターンP1及びP3に照射された露光光ELIは、それぞれパターンP1及びP3で反射され、投影光学系PL1及びPL3に入射される。投影光学系PL1及びPL3を介した露光光ELIは、それぞれ投影領域PA1及びPA3に照射される。この動作により、投影領域PA1及びPA3にはパターンP1及びP3の拡大像がそれぞれ投影される。
【0053】
この状態で、制御部CONTは、駆動装置ACMによって保持部40を回転させつつ、基板FBを+X方向に搬送させる。基板FBを+X方向に搬送する。この動作により、基板FBのうちY方向に離れた2つの領域が、投影領域PA1及びPA2に投影されるパターンP1及びP2の像によって+X側から−X側へと順に露光され、基板FBにX軸方向に沿った帯状の露光領域PB1及びPB3が形成される。このとき、制御部CONTは、円筒面40aに沿ったマスクMの移動速度(周速度)に対する基板FBの長さ方向への移動速度の比が、第一投影光学系の投影倍率(拡大倍率)と等しくなるように、保持部40の回転速度と基板FBの移動速度とを調整しつつ、駆動装置ACM及び駆動装置ACFに当該動作を行わせる。
【0054】
続いて、制御部CONTは、基板FBの移動にともない露光領域PB1及びPB3の+X側端部が投影領域PA2及びPA4と等しいX方向位置に到達したら、次に保持部40の下流側(+X側)において露光処理を行わせる。制御部CONTは、照明光学系IL2及びIL4から露光光ELIをそれぞれパターンP2及びP4に照射させる。パターンP2及びP4を介した露光光ELIは、投影光学系PL2及びPL4に入射する。このとき、図7に示すように、パターンP2及びパターンP4は、円筒面40aの+X側に位置する第二領域MA2(すなわち、投影光学系PL2及びPL4の視野領域)に配置された状態で露光光ELIが照射される。
【0055】
投影光学系PL2及びPL4を介した露光光ELIは、投影領域PA2及びPA4に照射される。投影領域PA2及びPA4には、パターンP2及びP4の拡大像がそれぞれ投影される。これによって、基板FBのうちY方向に離れた2つの領域が、それぞれパターンP2の像及びP4の像によって+X側から−X側へと順に露光され、X軸方向に沿った帯状の露光領域PB2,PB4が基板FBに形成される。このとき、露光領域PB2の−Y側の端部及び+Y側の端部は、それぞれ露光領域PB1の+Y側の端部及び露光領域PB3の−Y側の端部に重なった状態で露光され、露光領域PB4の−Y側の端部は、露光領域PB3の+Y側の端部に重なった状態で露光される。
【0056】
本実施形態では、基板FB上には、投影領域PA1〜PA4に投影される単独の像のみによって露光される部分と、投影領域PA1に投影される像の一部と投影領域PA2に投影される像の一部とによって露光される部分と、投影領域PA2に投影される像の一部と投影領域PA3に投影される像の一部とによって露光される部分と、投影領域PA3に投影される像の一部と投影領域PA4に投影される像の一部とによって露光される部分と、が形成されることになる。このように露光動作を行うことにより、基板FB上には、パターンP1〜P4を短手方向に相互に連結したパターンの拡大像に対応する露光パターンPfが形成されることになる。
【0057】
制御部CONTは、上記露光動作を行う際、保持部40の回転速度及び基板FBの搬送速度を調整することに加えて、図7に示すように、投影領域PA1及びP3から投影領域PA2及びP4までの基板FBの搬送経路の経路長Dpを経路調整装置ADJに調整させる。当該経路長Dpは、投影領域PA1及びP3から投影領域PA2及びP4までのX方向に沿った間隔DLとは必ずしも一致しない。経路調整装置ADJの移動部85によって基板FBの搬送経路が曲げられる場合には、経路長Dpは間隔DLよりも大きくなる。
【0058】
制御部CONTは、パターンP1及びP3に露光光ELIが照射されるときの第一領域MA1とパターンP2及びP4に露光光ELIが照射されるときの第二領域MA2との間隔Dmと、投影光学系PL1〜PL4の投影倍率βとに基づいて基板FBの経路長Dpを調整する。
【0059】
具体的には、制御部CONTは、間隔Dmと、投影倍率βと、経路長Dpとが、Dp=Dm×βの関係を満足するように当該経路長Dpを調整する。ここで、間隔Dmとは、マスクMの回転進行方向に、第一領域MA1のうち円筒面40aの円周方向の中心から、第二領域MA2のうち円筒面40aの円周方向の中心までの円周方向に沿った距離である。
したがって、本実施形態では、円筒面40aの円周の半径をRとすると、Dm=πRとなる。よって、制御部CONTは、Dp=πR×βを満たすように経路長Dpを調整する。
なお、Dm=πRが満足される場合に限定されず、一般には、間隔Dmは、間隔Dmに対応する円筒面40aの円弧の中心角φ(ラジアン)を用いてDm=φ×Rとなる。この場合、制御部CONTは、Dp=φ×R×βを満たすように経路長Dpを調整する。
【0060】
基板FBが搬送ローラー83から搬送ローラー84までの間でX方向に沿って直線状に搬送される場合、経路長Dpは投影領域PA1及びPA3と投影領域PA2及びPA4との間隔DLに等しくなる(Dp=DL)。これに対して、間隔DL,Dm及び投影倍率βがDL=β×Dmを満足する場合、制御部CONTは、駆動機構86によって移動部85を基板FBから退避させ、搬送ローラー83から搬送ローラー84までの間で基板FBを直線状に搬送させる状態を維持する。一方、間隔DL,Dm及び投影倍率βがDL<β×Dmを満足する場合には、制御部CONTは、駆動機構86により移動部85を+Z側に移動させ、搬送ローラー83から搬送ローラー84までの間における基板FBの搬送経路を迂回させることにより経路長Dpを増大させ、Dp=β×Dmを満足させる。移動部85の移動距離と、経路長Dpの変化量との関係については、予め設計値として決定されるか、あるいは実験やシミュレーションなどによって求められる。制御部CONTは、その関係に基づいて最適な経路長Dpとなるように移動部85を移動させる。また、制御部CONTは、経路長Dpを計測する不図示の計測装置の計測結果に基づいて、Dp=β×Dmが満足されるように移動部85を移動させることもできる。
【0061】
また、制御部CONTは、第一投影光学系(投影光学系PL1及びPL3)が備える平行平板ガラスHVと、第二投影光学系(投影光学系PL2及びPL4)が備える平行平板ガラスHVとの少なくとも一方を、図示しない駆動装置によって、それぞれ対応する軸線HVa回りに回転させることで、第一投影光学系によるパターンPmの像の投影位置(すなわち、第一投影領域)と第二投影光学系によるパターンPmの像の投影位置(すなわち、第二投影領域)の少なくとも一方をX方向に移動させ、経路長Dpを変化させることができる。このため、制御部CONTは、経路調整装置として平行平板ガラスHVを用いて、Dp=β×Dmが満足されるように経路長Dpを調整することができる。
【0062】
さらに、制御部CONTは、経路調整装置ADJと平行平板ガラスHVとを併用して経路長Dpを調整することもできる。この場合、制御部CONTは、例えば、経路調整装置ADJによって経路長Dpの粗調整を行い、平行平板ガラスHVによって経路長Dpの微調整をすることができる。
【0063】
なお、平行平板ガラスHVの回転量と、経路長Dpの変化量との関係については、予め設計値として決定されるか、あるいは実験やシミュレーションなどによって求められる。
制御部CONTは、その関係に基づいて所望の経路長Dpとなるように平行平板ガラスHVを回転させることができる。また、制御部CONTは、経路長Dpを計測する不図示の計測装置の計測結果に基づいて、平行平板ガラスHVを回転させることができる。
【0064】
以上のように、本実施形態の露光装置EXは、基板搬送装置FSTが、第一投影領域(投影領域PA1及びPA3)と第二投影領域(投影領域PA2及びPA4)との間における基板FBの搬送経路の経路長Dpを調整する経路調整装置ADJを含むこととしたので、第一投影領域において基板FBに転写されるパターンP1及びP3(ひいては、露光領域PB1及びPB3)と、第二投影領域において基板FBに転写されるパターンP2及びP4(ひいては、露光領域PB2及びPB4)とを簡便に、かつ高精度に位置合わせすることができる。これにより、露光装置EXは、帯状の基板FBに表示素子等のデバイスを効率的に製造することができる。
【0065】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
上記実施形態では、投影光学系PL(PL1〜PL4)として拡大光学系(β>0)が用いられた例を説明したが、これに限られることは無く、例えば投影光学系PL(PL1〜PL4)として、等倍光学系(β=1)が用いられた構成とすることができる。この場合、マスクMに形成されるパターンPmは、図8に示すように、パターンP1〜P4が1つに接続された状態で形成されることになる。
【0066】
また、上記実施形態では、マスクMとして、照明装置IUからの露光光ELIを反射する反射型のマスクMを用いた構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、例えば露光光ELIを透過する透過型のマスクを用いても構わない。また、上記実施形態では、円筒状の保持部40に可撓性を有するシート状のマスクMを取り付け可能に保持させる構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、例えば円筒状のマスクMの円筒外周面に直接パターンが形成されている構成のマスクを用いても構わない。
【0067】
上記実施形態の露光装置EXの光源としては、例えばg線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)、YAGレーザの第3高調波(波長355nm)、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、F2レーザ(157nm)などを用いることができる。
【0068】
また、前述した実施形態においては、有機EL表示素子を製造する場合を例に挙げて説明したが、もちろん、有機EL表示素子の製造に用いられる露光装置だけではなく、例えば、液晶表示素子の製造に用いられる露光装置にも本発明を適用することができる。帯状の基板に表示素子等のデバイスを製造するために用いる露光装置であれば、本発明は、種々のデバイスの製造に用いることができる。
【0069】
次に本発明の一実施形態による露光装置をリソグラフィー工程で使用したマイクロデバイスの製造方法の実施形態について説明する。図9は、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを製造する際の製造工程の一部を示すフローチャートである。まず、図9のステップS10において、帯状の基板に金属膜が蒸着される。次のステップS12において、その基板の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップS14において、露光装置EXを用いて、マスクM上のパターンの像が投影装置PU(投影光学系PL1〜PL4)を介して、その基板の各ショット領域に順次露光転写される(転写工程)。
【0070】
その後、ステップS16において、その基板のフォトレジストの現像(現像工程)が行われた後、ステップS18において、レジストパターンを介してその基板のエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、その基板の各ショット領域に形成される。その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く効率的に製造することができる。
【0071】
また、露光装置EXでは、帯状の基板に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を製造することもできる。以下、図10のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。図10は、マイクロデバイスとしての液晶表示素子の製造する際の製造工程の一部を示すフローチャートである。
【0072】
図10中のパターン形成工程S20では、本実施形態の露光装置EXを用いてマスクMのパターンを感光性基板(例えば、レジストが塗布されたガラス製もしくはプラスティック製の基板)に転写露光する、所謂光リソグラフィー工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。
その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レチクル剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルタ形成工程S22へ移行する。
【0073】
次に、カラーフィルタ形成工程S22では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、又はR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルタを形成する。そして、カラーフィルタ形成工程S22の後に、セル組み立て工程S24が実行される。セル組み立て工程S24では、パターン形成工程S20にて得られた所定パターンを有する基板、及びカラーフィルタ形成工程S22にて得られたカラーフィルタ等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。
【0074】
セル組み立て工程S24では、例えば、パターン形成工程S20にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルタ形成工程S22にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。その後、モジュール組立工程S26にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く効率的に製造することができる。
【符号の説明】
【0075】
FPA…基板処理装置 FB…基板 CONT…制御部 EX…露光装置 M…マスク MST…マスク移動装置 PU…投影装置 PL(PL1〜PL4)…投影光学系 FST…基板搬送装置 ELI…露光光 Pm(P1〜P4)…パターン PA(PA1〜PA4)…投影領域 ADJ…経路調整装置 DL…間隔 Dp…経路長 Dm…間隔
β…投影倍率 LS…レンズ LH…レンズホルダ 10…処理装置 81…第一ステージ 82…第二ステージ 85…移動部 86…駆動機構 180…ステージ機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の円筒面に沿ってパターンを有するマスクを前記円筒面の円周方向に回転させつつ前記パターンを基板に転写する露光装置であって、
前記パターンのうち前記円筒面の第一領域に位置する第一部分パターンの像を第一投影領域に投影する第一投影光学系と、
前記パターンのうち前記第一領域から前記円周方向に沿って間隔を置いた第二領域に位置する第二部分パターンの像を、前記第一投影領域と異なる第二投影領域に投影する第二投影光学系と、
前記マスクの前記円周方向への回転に同期して、前記第一投影領域及び前記第二投影領域を経由するように前記基板を搬送する基板搬送装置と、を備え、
前記搬送装置は、前記第一投影領域と前記第二投影領域との間における前記基板の搬送経路の経路長を調整する経路調整装置を含む
露光装置。
【請求項2】
前記経路調整装置は、前記円筒面の円周方向に沿った前記第一領域と前記第二領域との間隔と、前記第一投影光学系及び前記第二投影光学系の投影倍率と、に基づいて前記経路長を調整する
請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記経路調整装置は、前記円筒面の円周方向に沿った前記第一領域と前記第二領域との間隔Dmと、前記第一投影光学系及び前記第二投影光学系の投影倍率βと、前記第一投影領域と前記第二投影領域との間における前記経路長DpとがDp=Dm×βの関係を満足するように前記経路長を調整する
請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記経路調整装置は、前記第一投影領域と前記第二投影領域との間隔に基づいて前記経路長を調整する
請求項2又は3に記載の露光装置。
【請求項5】
前記経路調整装置は、前記基板を支持して前記基板の表面に交差する方向に移動可能な移動部を有する
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項6】
前記移動部は、円筒状に形成され、円周方向に回転可能に設けられ、前記基板の搬送方向に回転するように配置されている
請求項5に記載の露光装置。
【請求項7】
前記第一投影光学系は、複数の第一単位光学系を含み、
前記第一投影領域は、複数の前記第一単位光学系による複数の第一単位領域を含み、
複数の前記第一単位光学系は、複数の前記第一単位領域が前記基板の搬送方向に交差する方向に並ぶように配置されている
請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項8】
前記第二投影光学系は、複数の第二単位光学系を含み、
前記第二投影領域は、複数の前記第二単位光学系による複数の第二単位領域を含み、
複数の前記第二単位光学系は、複数の前記第二単位領域が前記基板の搬送方向に交差する方向に並ぶように配置されている
請求項1から請求項7のうちいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項9】
前記第一投影光学系は、複数の第一単位光学系を含み、
前記第一投影領域は、複数の前記第一単位光学系による複数の第一単位領域を含み、
前記第二投影光学系は、複数の第二単位光学系を含み、
前記第二投影領域は、複数の前記第二単位光学系による複数の第二単位領域を含み、
複数の前記第一単位光学系及び複数の前記第二単位光学系は、前記第一単位領域と前記第二単位領域とが前記基板の搬送方向に交差する方向に交互に並ぶように配置されている
請求項1から請求項8のうちいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項10】
複数の前記第一単位光学系及び複数の前記第二単位光学系は、前記基板の搬送方向に交差する方向において前記第一単位領域と前記第二単位領域との位置が一部重なるように配置されている
請求項9に記載の露光装置。
【請求項11】
帯状の基板を処理する基板処理装置であって、
前記基板を該基板の長手方向に搬送する基板搬送部と、
前記基板搬送部による前記基板の搬送経路に沿って設けられ、該搬送経路に沿って搬送される前記基板を処理する基板処理部と、を備え、
前記基板処理部は、前記基板にパターンを転写する請求項1から請求項10のうちいずれか一項に記載の露光装置を有する
基板処理装置。
【請求項12】
基板を処理してデバイスを製造するデバイス製造方法であって、
請求項1から請求項10のうちいずれか一項に記載の露光装置を用いて、前記基板にパターンを転写することと、
前記パターンが転写された前記基板を該パターンに基づいて加工することと、
を含むデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−221537(P2011−221537A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89072(P2011−89072)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】