露光装置及びデバイス製造方法
【課題】流出した液体による被害の拡大を防止し、露光処理及び計測処理を良好に行うことができる露光装置を提供する。
【解決手段】露光装置(EX)は、移動可能なテーブル(PT)と、テーブル(PT)の移動を案内する上面(41A)を有するベース部材(41)と、ベース部材(41)の上面(41A)に液体(LQ)が有るか否かを検出する検出装置(60)とを備えている。
【解決手段】露光装置(EX)は、移動可能なテーブル(PT)と、テーブル(PT)の移動を案内する上面(41A)を有するベース部材(41)と、ベース部材(41)の上面(41A)に液体(LQ)が有るか否かを検出する検出装置(60)とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を介して基板を露光する露光装置及びデバイス製造方法に関するものである。
本願は、2004年7月12日に出願された特願2004−205009号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスや液晶表示デバイスは、マスク上に形成されたパターンを感光性の基板上に転写する、いわゆるフォトリソグラフィの手法により製造される。このフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置は、マスクを支持するマスクステージと基板を支持する基板ステージとを有し、マスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながらマスクのパターンを投影光学系を介して基板に転写するものである。近年、デバイスパターンのより一層の高集積化に対応するために投影光学系の更なる高解像度化が望まれている。投影光学系の解像度は、使用する露光波長が短いほど、また投影光学系の開口数が大きいほど高くなる。そのため、露光装置で使用される露光波長は年々短波長化しており、投影光学系の開口数も増大している。そして、現在主流の露光波長はKrFエキシマレーザの248nmであるが、更に短波長のArFエキシマレーザの193nmも実用化されつつある。
また、露光を行う際には、解像度と同様に焦点深度(DOF)も重要となる。解像度R、及び焦点深度δはそれぞれ以下の式で表される。
R=k1・λ/NA … (1)
δ=±k2・λ/NA2 … (2)
ここで、λは露光波長、NAは投影光学系の開口数、k1、k2はプロセス係数である。(1)式、(2)式より、解像度Rを高めるために、露光波長λを短くして、開口数NAを大きくすると、焦点深度δが狭くなることが分かる。
【0003】
焦点深度δが狭くなり過ぎると、投影光学系の像面に対して基板表面を合致させることが困難となり、露光動作時のフォーカスマージンが不足するおそれがある。そこで、実質的に露光波長を短くして、且つ焦点深度を広くする方法として、例えば下記特許文献1に開示されている液浸法が提案されている。この液浸法は、投影光学系の下面と基板表面との間を水や有機溶媒等の液体で満たして液浸領域を形成し、液体中での露光光の波長が空気中の1/n(nは液体の屈折率で通常1.2〜1.6程度)になることを利用して解像度を向上するとともに、焦点深度を約n倍に拡大するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第99/49504号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液浸領域の液体や露光用の液体が流出し、その状態を放置しておくと、露光装置の置かれている環境(湿度等)が変動し、例えばステージの位置計測を行うための干渉計の光路の環境変動が生じて計測精度が劣化する等の不都合が生じる。また、流出した液体により、周辺機器等に故障や漏電等、錆びの発生などといった不都合が生じる可能性があり、露光精度及び計測精度の劣化を招くおそれがある。また、流出した液体が拡大すると、露光装置を構成する各種機器等に影響を及ぼす等、被害が拡大するおそれもある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、流出した液体による被害の拡大を防止し、露光処理及び計測処理を良好に行うことができる露光装置、及びデバイス製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は実施の形態に示す図1〜図24に対応付けした以下の構成を採用している。但し、各要素に付した括弧付き符号はその要素の例示に過ぎず、各要素を限定するものではない。
【0008】
本発明の露光装置(EX)は、液体(LQ)を介して基板(P)を露光する露光装置において、移動可能なテーブル(PT、PT1、PT2)と、テーブル(PT、PT1、PT2)の移動を案内する上面(41A)を有するベース部材(41)と、ベース部材(41)の上面(41A)に液体(LQ)が有るか否かを検出する検出装置(60)とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、テーブルの移動を案内するベース部材の上面に液体が有るか否かを検出する検出装置を設けたので、検出装置が液体を検出した場合には、その液体を除去する等の適切な処置を迅速に講ずることができる。したがって、流出した液体による被害の拡大を防止し、露光処理及び計測処理を良好に行うことができる。
【0010】
また本発明の露光装置(EX)は、液体(LQ)を介して基板(P)を露光する露光装置において、液体(LQ)を検出可能な検出装置(60)と、検出装置(60)を支持して移動可能な可動部材(44、50、PT等)とを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、液体を検出可能な検出装置を可動部材に支持して移動することで、検出対象領域の比較的広い領域について液体が有るか否かを検出することができる。したがって、流出した液体による被害の拡大を防止し、露光処理及び計測処理を良好に行うことができる。
【0012】
本発明のデバイス製造方法は、上記記載の露光装置(EX)を用いることを特徴とする。
本発明によれば、露光処理及び計測処理を良好に行うことができるので、所望の性能を有するデバイスを製造することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、流出した液体による被害の拡大を防止できるので、露光処理及び計測処理を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】基板テーブルを示す概略構成図である。
【図3】基板テーブルを上方から見た平面図である。
【図4】検出装置が液体を検出している様子を説明するための模式図である。
【図5】検出光とベース部材表面との位置関係を示す模式図である。
【図6】検出光の照射位置の一例を説明するための図である。
【図7】基板テーブルが露光位置とロード・アンロード位置との間を移動する様子を説明するための図である。
【図8】検出装置が液体を検出している様子の別の形態を示す図である。
【図9】検出装置の設置位置の変形例を示す図である。
【図10】検出装置の設置位置の変形例を示す図である。
【図11】検出装置の設置位置の変形例を示す図である。
【図12】検出装置の別の実施形態を示す図である。
【図13】検出装置の別の実施形態を示す図である。
【図14】検出装置の別の実施形態を示す図である。
【図15】検出装置の別の実施形態を示す図である。
【図16】検出装置の別の実施形態を示す図である。
【図17】ベース部材上の液体を回収する液体回収機構を説明するための図である。
【図18】気体軸受に設けられた液体回収口及び検出装置の位置関係を示す図である。
【図19】第1テーブル及び第2テーブルを備えた露光装置の一例を示す図である。
【図20】検出装置の別の実施形態を示す図である。
【図21】図20のA−A線断面矢視図である。
【図22】液体回収機構の別の実施形態を示す斜視図である。
【図23】検出装置の別の実施形態を示す図である。
【図24】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の露光装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【0016】
図1において、露光装置EXは、マスクMを支持して移動可能なマスクテーブルMTと、基板Pを支持して移動可能な基板テーブルPTと、マスクテーブルMTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板テーブルPTに支持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。制御装置CONTには、露光処理に関して異常が生じたときに警報を発する警報装置Kが接続されている。
【0017】
また露光装置EXは、投影光学系PL等を支持するメインコラム3を備えている。メインコラム3は、床面FDに水平に載置された定盤4上に設けられている。メインコラム3には、内側に向けて突出する上側段部3A及び下側段部3Bが形成されている。
【0018】
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、基板P上に液体LQの液浸領域AR2を形成可能な液浸機構1を備えている。液浸機構1は、基板P上に液体LQを供給する液体供給機構10と、基板P上の液体LQを回収する液体回収機構20とを備えている。露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に転写している間、液体供給機構10から供給した液体LQにより投影光学系PLの投影領域AR1を含む基板P上の一部に、投影領域AR1よりも大きく且つ基板Pよりも小さい液浸領域AR2を局所的に形成する。具体的には、露光装置EXは、投影光学系PLの像面側先端部の光学素子2と基板Pの表面との間に液体LQを満たして液浸領域AR2を形成し、この投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMのパターン像を基板P上に投影することによってこの基板Pを露光する。
【0019】
また、投影光学系PLの像面近傍、具体的には投影光学系PLの像面側端部の光学素子2の近傍には、液浸機構1の一部を構成するノズル部材70が配置されている。ノズル部材70は、基板P(基板テーブルPT)の上方において投影光学系PLの先端部の周りを囲むように設けられた環状部材である。
【0020】
また、後に詳述するように、露光装置EXは、基板テーブルPTの移動を案内する上面41Aを有するベース部材41を有しており、そのベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出する検出装置60を備えている。
【0021】
本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な平面内でマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向に垂直な方向(非走査方向)をY軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は半導体ウエハ上に感光性材料であるフォトレジストを塗布したものを含み、「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
【0022】
照明光学系ILは、メインコラム3の上部に固定された支持コラム5により支持されている。照明光学系ILは、マスクテーブルMTに支持されているマスクMを露光光ELで照明するものであり、露光用光源、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、及び露光光ELによるマスクM上の照明領域をスリット状に設定する可変視野絞り等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。
【0023】
本実施形態において、液体LQには純水が用いられる。純水はArFエキシマレーザ光のみならず、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
【0024】
マスクテーブルMTは、マスクMを保持して移動可能に設けられている。メインコラム3の上側段部3Aには防振ユニット6を介してベース部材31が支持されている。マスクテーブルMTの下面には非接触ベアリングである気体軸受(エアベアリング)32が複数設けられている。マスクテーブルMTはエアベアリング32によりベース部材31の上面(ガイド面)31Aに対して非接触支持されており、リニアモータ等を含むマスクテーブル駆動機構により、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。これらマスクテーブルMT及びマスクテーブル駆動機構等によって、マスクMを支持して移動するマスクステージMSTの少なくとも一部が構成されている。
【0025】
マスクテーブルMTには移動鏡35が設けられている。また、移動鏡35に対向する位置にはレーザ干渉計36が設けられている。マスクMを支持したマスクテーブルMTの2次元方向の位置、及びθZ方向の回転角(場合によってはθX、θY方向の回転角も含む)はレーザ干渉計36によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、レーザ干渉計36の計測結果に基づいてマスクテーブル駆動機構を駆動することでマスクテーブルMTに支持されているマスクMの位置を制御する。
【0026】
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影するものであって、基板P側の先端部に設けられた光学素子(レンズ)2を含む複数の光学素子で構成されており、これら光学素子は鏡筒PKで支持されている。投影光学系PLの先端部の光学素子2は鏡筒PKより露出しており、液浸領域AR2の液体LQに接触するようになっている。また、光学素子2のうち液浸領域AR2の液体LQと接触する液体接触面(下面)2Aは、液体LQに対して親液性となっている。
【0027】
本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4、1/5、あるいは1/8の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また投影光学系PLは、反射素子を含まない屈折系、屈折素子を含まない反射系、屈折素子と反射素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。投影光学系PLの鏡筒PKを支持した鏡筒定盤8は、防振ユニット7を介してメインコラム3の下側段部3Bに支持されている。
【0028】
基板テーブルPTは、基板ホルダPHを介して基板Pを保持して移動可能に設けられている。基板テーブルPT上には凹部53が設けられており、基板ホルダPHは凹部53に配置されている。また、基板テーブルPTの上面43は平坦面となっており、その上面43と基板ホルダPHに保持された基板Pの表面とはほぼ面一となっている。
【0029】
基板テーブルPTの下面には複数の非接触ベアリングである気体軸受(エアベアリング)42が設けられている。定盤4上には、防振ユニット9を介してベース部材41が支持されている。エアベアリング42は、ベース部材41の上面(ガイド面)41Aに対向する軸受面42Sを有している。エアベアリング42は、軸受面42Sに設けられ、ベース部材41の上面41Aに対して気体(エア)を吹き出す吹出口42Bと、軸受面42Sに設けられ、軸受面42Sとガイド面41Aとの間の気体を吸引する吸気口42Aとを備えている。エアベアリング42は、吹出口42Bからの気体の吹き出しによる反発力と吸気口42Aによる吸引力との釣り合いにより、基板テーブルPTの下面PTA(軸受面42S)とガイド面41Aとの間に一定の隙間を保持し、ベース部材41の上面41Aに対して基板テーブルPTを非接触支持する。基板テーブルPTは、エアベアリング42によってベース部材41の上面41Aに対して非接触支持された状態で、後述するリニアモータ47、48、Xガイドステージ44、及び被ガイド部材50等を含む基板テーブル駆動機構PSTDにより、ベース部材41の上面41Aに案内されつつ、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。また、基板テーブルPT上の基板ホルダPHは、不図示のホルダ駆動機構により、Z軸方向、θX方向、及びθY方向に移動可能に設けられている。これら基板テーブルPT及び基板テーブル駆動機構PSTD等によって、基板Pを支持して移動する基板ステージPSTが構成されている。ホルダ駆動機構及び基板テーブル駆動機構PSTDは制御装置CONTにより制御される。
【0030】
また、露光装置EXは、基板テーブルPTに支持されている基板Pの表面の位置を検出する不図示のフォーカス・レベリング検出系を備えている。フォーカス・レベリング検出系は、基板P表面のZ軸方向の位置情報、及び基板PのθX及びθY方向の傾斜情報を検出する。なお、フォーカス・レベリング検出系の構成としては、例えば特開平8−37149号公報に開示されているものを用いることができる。フォーカス・レベリング検出系の検出結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、フォーカス・レベリング検出系の検出結果に基づいて、ホルダ駆動機構を駆動し、基板ホルダPHに保持されている基板Pの表面のフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角を制御して基板Pの表面を投影光学系PLの像面に合わせ込む。
【0031】
基板テーブルPTには移動鏡45が設けられている。また、移動鏡45に対向する位置にはレーザ干渉計46が設けられている。基板Pを支持した基板テーブルPTの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計46によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはレーザ干渉計46の計測結果に基づいて基板テーブル駆動機構PSTDを駆動することで基板テーブルPTに支持されている基板PのX軸方向及びY軸方向における位置決めを行う。
【0032】
基板テーブルPTは、Xガイドステージ44によりX軸方向に移動自在に支持されている。基板テーブルPTは、Xガイドステージ44に案内されつつXリニアモータ47によりX軸方向に所定ストロークで移動可能である。Xリニアモータ47は、Xガイドステージ44にX軸方向に延びるように設けられた固定子47Aと、この固定子47Aに対応して設けられ基板テーブルPTに固定された可動子47Bとを備えている。そして、可動子47Bが固定子47Aに対して駆動することで、基板テーブルPTがXガイドステージ44に非接触支持された状態でX軸方向に移動する。
【0033】
Xガイドステージ44の長手方向両端には、このXガイドステージ44を基板テーブルPTとともにY軸方向に移動可能な一対のYリニアモータ48、48が設けられている。Yリニアモータ48のそれぞれは、Xガイドステージ44の長手方向両端に設けられた可動子48Bと、この可動子48Bに対応して設けられた固定子48Aとを備えている。そして、可動子48Bが固定子48Aに対して駆動することでXガイドステージ44が基板テーブルPTとともにY軸方向に移動する。また、Yリニアモータ48、48のそれぞれの駆動を調整することでXガイドステージ44及び基板テーブルPTはθZ方向にも回転移動可能となっている。
【0034】
ベース部材41のX軸方向両側のそれぞれには、L字状に形成され、Xガイドステージ44のY軸方向への移動を案内するガイド部49が設けられている。ガイド部49は定盤4上に支持されている。本実施形態において、ガイド部49の平坦部49B上に、Yリニアモータ48の固定子48Aが設けられている。一方、Xガイドステージ44の下面の長手方向両端部のそれぞれには凹形状の被ガイド部材50(50A、50B)が設けられている。ガイド部49は被ガイド部材50と係合し、ガイド部49の上面(ガイド面)49Aと被ガイド部材50の内面とが対向するように設けられている。ガイド部49のガイド面49Aには非接触ベアリングである気体軸受(エアベアリング)51が設けられており、Xガイドステージ44はガイド面49Aに対して非接触支持されている。被ガイド部材50は、Xガイドステージ44の移動に伴って移動する。
【0035】
また、Yリニアモータ48の固定子48Aとガイド部49の平坦部49Bとの間には非接触ベアリングである気体軸受(エアベアリング)52が介在しており、固定子48Aはエアベアリング52によりガイド部49の平坦部49Bに対して非接触支持される。このため、運動量保存の法則によりXガイドステージ44及び基板テーブルPTの+Y方向(−Y方向)の移動に応じて固定子48Aが−Y方向(+Y方向)に移動する。この固定子48Aの移動によりXガイドステージ44及び基板テーブルPTの移動に伴う反力が相殺されるとともに重心位置の変化を防ぐことができる。すなわち、固定子48Aは所謂カウンタマスとしての機能を有している。
【0036】
液体供給機構10は、液体LQを投影光学系PLの像面側の空間に供給するためのものであって、液体LQを送出可能な液体供給部11と、液体供給部11にその一端部を接続する供給管13とを備えている。供給管13の他端部はノズル部材70に接続されている。液体供給部11は、液体LQを収容するタンク、及び加圧ポンプ等を備えている。なお、タンクおよび加圧ポンプなどは、露光装置EXが備えていなくてもよく、それらの少なくとも一部を、露光装置EXが設置される工場などの設備で代用してもよい。
【0037】
供給管13の途中には、供給管13の流路を開閉するバルブ15が設けられている。バルブ15の開閉動作は制御装置CONTにより制御されるようになっている。なお、本実施形態におけるバルブ15は、例えば停電等により露光装置EX(制御装置CONT)の駆動源(電源)が停止した場合に供給管13の流路を機械的に閉塞する所謂ノーマルクローズ方式となっている。
【0038】
液体回収機構20は、投影光学系PLの像面側の空間から液体LQを回収するためのものであって、液体LQを回収可能な液体回収部21と、液体回収部21にその一端部を接続する回収管23とを備えている。回収管23の他端部はノズル部材70に接続されている。液体回収部21は例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えている。なお、真空系、気液分離器、およびタンクなどは、露光装置EXが備えていなくてもよく、それらの少なくとも一部を、露光装置EXが設置される工場などの設備で代用してもよい。
【0039】
投影光学系PLを構成する複数の光学素子のうち、液体LQに接する光学素子2の近傍にはノズル部材70が配置されている。ノズル部材70は、基板P(基板テーブルPT)の上方において、光学素子2の側面を囲むように設けられた環状部材である。ノズル部材70と光学素子2との間には隙間が設けられており、ノズル部材70は光学素子2に対して振動的に分離されるように所定の支持機構で支持されている。ノズル部材70の下面70Aは、基板P(基板テーブルPT)の上方に設けられ、基板Pの表面(基板テーブルPTの上面43)と対向する。また、ノズル部材70の下面70A、及び光学素子2の下面2Aのそれぞれはほぼ平坦面であり、ノズル部材70の下面70Aと光学素子2の下面2Aとはほぼ面一となっている。これにより、所望の範囲内に液浸領域AR2を良好に形成することができる。
【0040】
ノズル部材70の下面70Aには、基板P上に液体LQを供給する液体供給口12が設けられている。液体供給口12はノズル部材70の下面70Aに複数設けられている。また、ノズル部材70の内部には、供給管13の他端部と液体供給口12とを接続する内部流路が形成されている。
【0041】
更に、ノズル部材70の下面70Aには、基板P上の液体LQを回収する液体回収口22が設けられている。本実施形態において、液体回収口22は、ノズル部材70の下面70Aにおいて、液体供給口12を囲むように、光学素子2の光軸AXに対して外側に設けられている。また、ノズル部材70の内部には、回収管23の他端部と液体回収口22とを接続する内部流路が形成されている。
【0042】
液体供給部11及び液体回収部21の動作は制御装置CONTにより制御される。基板P上に液体LQの液浸領域AR2を形成する際、制御装置CONTは、液体供給部11より液体LQを送出し、供給管13、及びノズル部材70の内部流路を介して、基板Pの上方に設けられている液体供給口12より基板P上に液体LQを供給する。また、基板P上の液体LQは、液体回収口22より回収され、ノズル部材70の回収流路、及び回収管23を介して液体回収部21に回収される。なお液浸機構1の構成は、上述のものに限られず、例えば、欧州特許公開第1420298号公報、国際公開第2004/055803号公報、国際公開第2004/057589号公報、国際公開第2004/057590号公報に記載されているものも用いることができる。
【0043】
次に、図2及び図3を参照しながら検出装置60について説明する。図2は基板ステージPSTを示す斜視図、図3は基板ステージPSTの平面図である。
【0044】
検出装置60は、基板テーブルPTの移動を案内するベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出するものである。検出装置60は、検出光Laを射出する投光部61と、検出光Laに対して所定位置に配置された受光部62とを備えている。本実施形態において、投光部61は、互いに対向する2つの第1、第2被ガイド部材50A、50Bのうち、ベース部材41に対して−X側に設けられた第1被ガイド部材50Aに取り付けられ、受光部62は、+X側に設けられた第2被ガイド部材50Bに取り付けられている。これら第1、第2被ガイド部材50A、50Bのそれぞれに取り付けられた投光部61と受光部62とは、ベース部材41を挟んで対向するように設けられている。
【0045】
上述したように、被ガイド部材50は、基板テーブルPTを駆動する基板テーブル駆動機構PSTDの一部を構成するXガイドステージ44に取り付けられており、本実施形態の検出装置60(投光部61及び受光部62)は、基板テーブルPTを移動するための基板テーブル駆動機構PSTDに設けられた構成となっている。被ガイド部材50は、Yリニアモータ48の駆動により、Xガイドステージ44とともにベース部材41に対して移動する可動部材となっている。したがって、検出装置60(投光部61及び受光部62)は、ベース部材41に対して移動可能な可動部材(被ガイド部材50)に取り付けられた構成となっている。
【0046】
図3に示すように、投光部61は、Y軸方向に複数(本実施形態では2つ)並んで第1被ガイド部材50Aに設けられ、受光部62は、投光部61に対応するように、Y軸方向に複数(2つ)並んで第2被ガイド部材50Bに設けられている。そして、Yリニアモータ48の駆動により、投光部61を支持する第1被ガイド部材50Aと、受光部62を支持する第2被ガイド部材50Bとが同期移動するようになっている。
【0047】
図4は検出装置60とベース部材41との位置関係を示す模式的に示す側面図である。図4に示すように、検出装置60の投光部61から射出された検出光Laは、ベース部材41の上面41Aに対して略平行に照射される。そして、検出装置60は、受光部62の受光結果に基づいて、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出する。
【0048】
投光部61と受光部62とは対向しており、投光部61から射出された検出光Laは受光部62に到達し、その受光部62に所定の光量(光強度)で受光されるようになっている。このとき、例えば図4に示すように、ベース部材41の上面41Aに液体LQの液滴(水滴)が存在している場合において、検出光Laが液体LQに照射されると、その検出光Laは液体LQによって屈折又は散乱、あるいは吸収される。したがって、検出光Laの光路上に液体LQが有る場合、受光部62で受光される光量(光強度)が低下する、あるいは検出光Laが受光部62に到達しなくなる。そこで、検出装置60は、受光部62の受光結果(受光量)に基づいて、検出光Laの光路上に液体LQが有るか否かを検出することができる。そして、検出光Laの光路上に液体Laが有るか否かを検出することで、検出装置60は、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出することができる。
【0049】
本実施形態においては、検出装置60は、液体LQを光学的に(非接触方式で)検出する構成であるため、例えばベース部材41近傍や基板テーブル駆動機構PSTD近傍に配線や各種機器などを配置する必要がない。そのため、基板テーブルPTや基板テーブル駆動機構PSTDの移動に及ぼす影響を少なくすることができる。
【0050】
検出光Laとしては可視光などを使用することもできるが、所定波長(所定波長帯域)の赤外光を用いることが好ましい。具体的には、検出光Laとして、波長が例えば約1200nm、約1450nm、約1940nm、及び約2950nmの赤外光を用いることが好ましい。水(液体)LQには、上記波長の光(赤外光)を吸収する性質があるため、上記波長を有する検出光(赤外光)Laを液体LQに照射したとき、その検出光Laの光エネルギーが水(液体)LQに吸収され、受光部62に受光される光量が大きく低下する。したがって、検出光Laが液体LQに照射されたときの受光部62での受光量と、検出光Laが液体LQに照射されないときの受光部62での受光量との差が大きくなるため、検出装置60は、液体LQが有るか否かをより高感度に検出することができる。なお検出光Laとして上記波長を有する赤外光を用いる場合、例えば約1940nmの波長を有する赤外光(2μm帯レーザ光)と、約2950nmの波長を有する赤外光(3μm帯レーザ光)とを組み合わせた2波長レーザ光を照射するようにしてもよい。あるいは、互いに異なる波長(波長帯域)を有する3つ以上の複数のレーザ光を組み合わせた検出光を照射するようにしてもよい。
【0051】
ところで、上述した実施形態においては、検出光Laは、ベース部材41の上面41Aとほぼ平行に照射される構成であり、その検出光Laの光路上に液体Laが有るか否かを検出することによって、ベース部材41上に液体LQが有るか否かを検出する構成である。つまり、ベース部材41上に液体LQがある場合、検出光Laを液体LQに確実に照射する必要がある。そのため、検出装置60は、ベース部材41上に存在する液体LQに検出光Laを確実に照射するために、検出光Laがベース部材41表面より所定距離以内の離れた領域の内側を通過するようにしている。具体的には、検出光Laは、ベース部材41の上面41Aより5.5mm以内の離れた領域を通過するように設定されている。このことについて図5を参照しながら説明する。
【0052】
図5において、ベース部材41の上面41Aには液体LQが液滴(水滴)の状態で配置されている。このとき、
cosθ = 1−(ρ×g×h2)/(2×T) …(1A)の関係が成り立つ。ここで、
θ:物体表面に対する液体LQの接触角、
ρ:液体の密度、
h:液体(液滴)の高さ、
T:表面張力係数、
g:重力加速度、である。本実施形態において液体LQは水であるため、ρ=998〔kg/m3〕、T=73×10−3〔N/m〕である。上記(1A)式を変形すると、
h = 〔(2×T)×(1−cosθ)/(ρ×g)〕1/2 …(2A)となる。θ=180°(cosθ=−1)とすると、h=5.46×10−3〔m〕、すなわち約5.5mmとなる。実際には、接触角θは180°よりも小さい値であるため、高さhの値も5.5mm以下となる。したがって、ベース部材41の上面41Aとその上面41Aにほぼ平行に照射される検出光Laとの距離Dが5.5mm以下となるように設定することにより、ベース部材41の上面41Aに存在する液体LQに検出光Laを確実に照射することができる。
【0053】
次に、上述した露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法について説明する。
制御装置CONTは、基板テーブルPTにロードされた基板Pを露光するために、液浸機構1を駆動し、基板P上に液体LQの液浸領域AR2を形成する。そして、制御装置CONTは、照明光学系ILを使ってマスクMを露光光ELで照明し、マスクMのパターン像を投影光学系PL及び液体LQを介して基板Pに投影する。上述したように、本実施形態における露光装置EXは、マスクMと基板Pとを同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに走査露光するものである。図2や図3に示すように、基板P上にはマトリクス状に複数のショット領域SHが設定されており、1つのショット領域SHへの露光終了後に、基板Pのステッピング移動によって次のショット領域SHが走査開始位置に移動し、以下、ステップ・アンド・スキャン方式で基板Pを移動しながら各ショット領域に対する走査露光処理が順次行われる。制御装置CONTは、基板Pを支持した基板テーブルPTを移動するために、基板テーブル駆動機構PSTDを構成するXリニアモータ47やYリニアモータ48を駆動する。そして、Yリニアモータ48の駆動に伴って、検出装置60を支持している被ガイド部材50(50A、50B)も、ベース部材41に対して移動する。ここで、検出装置60の投光部61からは、基板Pの露光中及び露光前後において、検出光Laが常時射出されている。
【0054】
図6の模式図に示すように、基板テーブルPT(基板P)上より液体LQが流出し、その流出した液体LQがベース部材41の上面41A上に残留する可能性がある。制御装置CONTは、検出装置60の投光部61より検出光Laを常時射出しているので、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出することができる。ここで、投光部61及び受光部62は2つずつY軸方向に並んで配置されており、図6や図3に示すように、それら投光部61から射出される検出光Laは、基板テーブルPTのエッジ部PTE近傍に照射されるようになっている。基板テーブルPT上から流出する液体LQは、基板テーブルPTのエッジ部PTEよりベース部材41上に流出するため、基板テーブルPTのエッジ部PTE近傍に検出光Laが照射されるようにしておくことで、基板テーブルPT上より流出する液体LQを迅速且つ良好に検出することができる。また、基板Pを露光するときのステップ・アンド・スキャン移動においては、その移動ストロークは小さい場合があるが、そのような場合、基板テーブルPTのエッジ部PTEより離れたところに検出光Laが照射される構成では、液体LQがベース部材41上に流出してから、その液体LQが検出光Laによって検出されるまでに時間がかかる可能性があり、被害が拡大するおそれがある。しかしながら、基板テーブルPTのエッジ部PTE近傍など、液体LQが流出しやすい位置に応じて検出光Laの光路を設定することで、流出する液体LQを迅速且つ良好に検出することができる。
【0055】
また、露光中においては、検出装置60(投光部61及び受光部62)を支持する被ガイド部材50は、ベース部材41に対して相対的に移動しており、投光部61を支持する第1被ガイド部材50Aと、受光部62を支持する第2被ガイド部材50Bとは同期移動している。制御装置CONTは、投光部61を支持する第1被ガイド部材50Aと、受光部62を支持する第2被ガイド部材50Bとを同期移動しつつ、第1被ガイド部材50Aに支持されている投光部61より検出光Laを照射し、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出する。このように、制御装置CONTは、検出装置60をベース部材41に対して移動することで、検出光Laとベース部材41とを相対的に移動しつつ、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出するので、その検出装置60を使って、ベース部材41の上面41Aの比較的広い領域において、液体LQが有るか否かを検出することができる。
【0056】
また、液体LQがベース部材41の上面41Aに有る状態において、検出光Laとベース部材41とを相対的に移動しながら、検出光Laを照射することにより、ベース部材41上における液体LQの位置を求めることができる。つまり、被ガイド部材50と基板テーブルPTとは、Y軸方向に関してほぼ一緒に移動するので、レーザ干渉計46を使って基板テーブルPTの位置を計測することで、検出装置60を設けられた被ガイド部材50の位置を計測することができる。そこで、被ガイド部材50の位置(つまり検出装置60の位置)をレーザ干渉計46を使ってモニタしつつ、被ガイド部材50を移動しながら検出光Laを照射することで、制御装置CONTは、レーザ干渉計46の位置計測結果と、検出装置60の受光部62の受光結果とに基づいて、レーザ干渉計46で規定される座標系における液体LQの位置を求めることができる。
【0057】
そして、検出装置60が液体LQを検出したときには、制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、基板テーブルPT上より液体LQが流出するなどの異常が生じたと判断する。異常が生じたと判断した場合、制御装置CONTは、例えば液体供給機構10による単位時間当たりの液体供給量を低減したり、あるいは液体供給機構10による液体LQの供給を停止する。液体供給機構10による液体LQの供給を停止するときは、液体供給部11の駆動を停止してもよいし、バルブ15を使って供給管13の流路を閉じるようにしてもよい。あるいは、制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、液体回収機構20による単位時間当たりの液体回収量を増やす。あるいは、制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、基板Pに対する露光動作や基板ステージPSTの移動を停止する。このように、ベース部材41上に液体LQが有るか否かを検出装置60を使って検出し、その検出結果に基づいて露光動作や液体供給・回収動作等を制御することにより、ベース部材41上の液体LQが床面FD等に流出して被害が拡大することを防止することができる。
【0058】
また、ベース部材41上に液体LQがある場合、エアベアリング42の吸気口42Aに液体LQが流入する可能性があるため、液体LQが有ることを検出したときには、制御装置CONTは、吸気口42Aからの吸気動作を停止するようにしてもよい。また、検出光Laの光路を、エアベアリング42の近傍に設定しておくことにより、ベース部材41上の液体LQが吸気口42Aに流入する前に、その液体LQを検出光Laを使って検出することができ、その検出結果に応じて適切な処置を講ずることにより、ベース部材41上に流出した液体LQが、吸気口42Aに流入することを未然に防ぐことができる。また、エアベアリング42の軸受面42Sとベース部材41の上面41Aとの間に液体LQが浸入すると、その液体LQによって基板テーブルPTのZ軸方向の位置が変動する可能性があるが、検出装置60の検出結果に基づいて適切な処置を講ずることで、そのような不都合も防止することができる。
【0059】
また、検出装置60の検出結果が異常であると判断したとき、制御装置CONTは、警報装置Kを駆動して警告を発することも可能である。これにより、例えばオペレータは露光装置EX内部において、液体LQが漏洩するなどの異常が発生したことを把握できるため、適切な処置を施すことができる。警報装置Kは、警告灯、警告音、ディスプレイなどを使って警報を発することができる。
【0060】
なおここでは、検出装置60は基板Pのステップ・アンド・スキャン移動に合わせて、検出装置60の検出領域(検出光Laの光路)を移動して液体LQを検出しているが、第1のショット領域を露光した後、次の第2のショット領域を露光する前に、ステップ移動とは異なる移動状態で、被ガイド部材50を動かし、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出するようにしてもよい。例えば、第1のショット領域を露光した後、ステップ移動距離よりも大きく被ガイド部材50を動かして、ベース部材41の上面41Aの比較的広い領域について検出動作を行い、その後、第2のショット領域を露光するといった構成も可能である。こうすることにより、第2のショット領域を露光する前に、ベース部材41上に液体LQが有るか否かを知ることができ、液体LQが無いことを確認した後、第2のショット領域を露光することができる。また、液体LQが有る場合には、第2のショット領域を露光する前に、適切な処置を施すことができる。
【0061】
なお、検出装置60による検出動作は、基板Pの液浸露光前、あるいは基板P上に液体LQを供給する前に行うことも可能である。例えば液浸露光を行う前に、ベース部材41に液体LQが無いことを検出装置60を使って確認した後、液浸露光処理を行うことができる。
【0062】
基板Pの液浸露光が終了した後、制御装置CONTは、液体回収機構20等を使って、基板P上の液体LQや基板テーブルPTの上面43に残留している液体LQを回収する。基板P表面を含む基板テーブルPT上の液体LQを回収した後、制御装置CONTは、検出装置60を使って、ベース部材41上に液体LQが有るか否かを検出することができる。この場合、基板Pの露光処理は終了しているため、例えば被ガイド部材50を大きく動かしてベース部材41の任意の位置に対応させて検出装置60を配置することができる。
【0063】
そして、制御装置CONTは、露光済みの基板Pを基板ステージPSTより搬出(アンロード)する。基板Pをアンロード(搬出)するときやロード(搬入)するときは、図7に示す模式図のように、制御装置CONTは、基板テーブルPTを露光位置PJ1とロード・アンロード位置PJ2との間で移動するために、被ガイド部材50をベース部材41に対して大きく移動するので、その被ガイド部材50に支持されている検出装置60を使って、ベース部材41上の比較的広い領域について液体LQの検出を行うことができる。
そして、ロード・アンロード位置PJ2まで移動された基板テーブルPT上の露光済みの基板Pは搬送系Hに渡される。なお、制御装置CONTは、ロード・アンロード位置PJ2で未露光の基板Pを基板テーブルPTにロードした後、その基板テーブルPTを露光位置PJ1に移動する前や、ロード・アンロード位置PJ2で露光済みの基板Pを基板テーブルPTよりアンロードした後、未露光の基板Pをロードする前に、検出装置60を支持した可動部材(ここでは被ガイド部材50)をベース部材41に対して大きく移動し、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出するようにしてもよい。
【0064】
以上説明したように、基板テーブルPTの移動を案内するベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出する検出装置60を設けたので、検出装置60が液体LQを検出した場合には、その液体LQを除去する等の適切な処置を迅速に講ずることができる。したがって、流出した液体LQによる被害の拡大を防止し、露光処理及び計測処理を良好に行うことができる。
【0065】
また、液体LQを検出可能な検出装置60を可動部材である被ガイド部材50で支持して移動することで、その被ガイド部材50以外の部材(ベース部材41)の比較的広い領域について液体LQが有るか否かを検出することができる。したがって、流出した液体LQによる被害の拡大を防止し、露光処理及び計測処理を良好に行うことができる。
【0066】
なお本実施形態においては、投光部61及び受光部62のそれぞれが、X軸方向に関し、ベース部材41を挟んだ両側のそれぞれに配置されており、投光部61より検出光Laを射出しつつ、被ガイド部材50をY軸方向に移動することで、その被ガイド部材50とは別の部材であるベース部材41上における液体LQのY軸方向に関する位置を検出する構成であるが、投光部61及び受光部62のそれぞれを、Y軸方向に関し、ベース部材41を挟んだ両側のそれぞれにも配置し、その投光部61及び受光部62をベース部材41に対して相対移動可能な可動部材に支持し、投光部61及び受光部62をX軸方向に同期移動しながら投光部61より検出光Laを射出することにより、ベース部材41上における液体LQのX軸方向に関する位置も検出することができる。また、本実施形態では、投光部61及び受光部62は2つずつ設けられているが、もちろん任意の複数設けられていてもよいし、1つずつ設けられていてもよい。
【0067】
なお、本実施形態においては、検出装置60はベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出しているが、被ガイド部材50に対する検出装置60の取り付け位置を、上述した実施形態とは別の位置に変更することで、あるいは新たな検出装置60を取り付けることで、図8に示す平面図のように、ベース部材41の側面41Bの液体LQも検出することができる。
【0068】
なお、上述した実施形態においては、検出装置60は、被ガイド部材50に取り付けられているが、基板テーブル駆動機構PSTDを構成する任意の部材に取り付けることができる。あるいは、基板テーブル駆動機構PSTD以外の、ベース部材41に対して相対的に移動可能な可動部材を設け、その可動部材に検出装置60を取り付けるようにしてもよい。例えば、図9に示すように、検出装置60の発光部61及び受光部62を、基板テーブルPTのうちベース部材41の上面41Aと対向する下面PTAに設けるようにしてもよい。図9に示す例では、投光部61が基板テーブルPTの下面PTAの−Y側のエッジ領域に取り付けられ、受光部62が、投光部61と対向するように、基板テーブルPTの下面PTAの+Y側のエッジ領域に取り付けられている。更に、図10に示すように、検出装置60の投光部61及び受光部62を、ベース部材41の上面41Aに対して基板テーブルPTを非接触支持するためのエアベアリング42に設けるようにしてもよい。本実施形態においては、エアベアリング42は基板テーブルPTの下面PTAの複数位置のそれぞれに設けられており、複数のエアベアリング42のうち第1のエアベアリングの側面に投光部61が設けられ、前記第1のエアベアリングとは別の第2のエアベアリングの側面に、投光部61と対向するように受光部62が設けられている。
【0069】
また、上述した実施形態においては、基板テーブルPTの移動を案内する上面41Aを有するベース部材41に液体LQが付着しているか否かを検出しているが、もちろん、露光装置EXを構成するベース部材41以外の任意の部材に液体LQが付着しているか否かを、可動部材に取り付けられた検出装置60を使って検出することができる。また、その検出装置60を使って、ベース部材41が設置された定盤4上や床面FD上に液体LQが有るか否かを検出することもできる。
【0070】
更に、ベース部材41に液体LQが有るか否かを検出する検出装置60をベース部材41に対してほぼ動かない固定部材に取り付けるようにしてもよい。例えば図11に示す例では、検出装置60の投光部61及び受光部62はメインコラム3に取り付けられ、ベース部材41を挟んで対向するように設けられている。このような構成によっても、検出装置60を使ってベース部材41に液体LQが有るか否かを検出することができる。また、メインコラム3に対する投光部61及び受光部62の取り付け位置を最適化することで、その投光部61及び受光部62を使って、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出することができるし、あるいはベース部材41の側面41Bに液体LQが有るか否かを検出することもできるし、定盤4上や床面FDに液体LQが有るか否かを検出することもできる。もちろん、メインコラム3に取り付けた投光部61及び受光部62を使って、露光装置EXを構成するベース部材41以外の任意の部材・機器上に液体LQが有るか否かを検出することができる。
【0071】
なお、上述した実施形態では、検出装置60は、液浸領域AR2を形成する液体LQを検出しているが、例えばリニアモータを冷却する冷却液など、露光装置EXにおいては、液浸領域AR2を形成する液体LQ以外の液体がベース部材41上などに流出する可能性がある。検出装置60は、そのような液体(冷却液など)も検出することができる。
【0072】
以下、別の実施形態について説明する。以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
【0073】
図12に示すように、複数の検出光Laをマトリクス状に2次元的に照射することによっても、ベース部材41上における液体LQの位置を求めることができる。図12において、検出装置60は、ベース部材41の+Y側に配置され、X軸方向に並んだ複数の検出光Laを射出する第1射出部61Xと、ベース部材41の−Y側に配置され、第1射出部61Xから射出された検出光Laに対して所定位置に配置された第1受光部62Xと、ベース部材41の−X側に配置され、Y軸方向に並んだ複数の検出光Laを射出する第2射出部61Yと、ベース部材41の+X側に配置され、第2射出部61Yから射出された検出光Laに対して所定位置に配置された第2受光部62Yとを備えている。第1受光部62Xは、第1射出部61Xより射出される複数の検出光Laに対応した複数の受光素子を有しており、同様に、第2受光部62Yは、第2射出部61Yより射出される複数の検出光Laに対応した複数の受光素子を有している。第1射出部61Xより射出された検出光La、及び第2射出部61Yより射出された検出光Laのそれぞれは、ベース部材41の上面41Aとほぼ平行に照射され、これら検出光Laの光路は平面視においてマトリクス状に設けられている。ここで図12に示すように、第1射出部61Xから射出された複数の検出光Laのうち特定の検出光Laxの光路上に液体LQが有る場合、第1受光部62Xの複数の受光素子のうち、その検出光Laxに対応する受光素子で受光される光量が低下する。同様に、第2射出部61Yから射出された複数の検出光Laのうち特定の検出光Layの光路上に液体LQがある場合、第2受光部62Yの複数の受光素子のうち、その検出光Layに対応する受光素子で受光される光量が低下する。制御装置CONTは、第1、第2受光部62X、62Yそれぞれの受光結果に基づいて、液体LQの位置が検出光Laxと検出光Layとの交点付近であることを特定することができる。ここで、検出光Lax、Layを受光する受光素子の位置情報は設計値などにより予め分かっているため、制御装置CONTは、検出光Lax、Layを受光した受光素子の位置情報に基づいて、ベース部材41上における液体LQの位置を求めることができる。
【0074】
また図13に示すように、検出装置60は、射出部61から複数位置のそれぞれに検出光Laを照射したときの受光部62の受光結果に基づいて、ベース部材41上に有る液体LQの大きさ(液体LQで覆われている領域の大きさ)を求めることができる。
図13に示す例では、射出部61はY軸方向に並んだ複数の検出光LaをX軸方向に沿って照射している。受光部62は前記複数の検出光Laに対応した複数の受光素子を有している。これら受光素子の位置情報は設計値などによって予め分かっている。投光部61から射出される複数の検出光Laのうち、一部の検出光La1が液体LQに照射されると、その検出光La1に対応する受光部62の受光素子には検出光La1が到達しない、あるいは受光素子で受光される光量が低下する。一方、残りの一部の検出光La2は液体LQを介さないで受光部62に到達する。したがって、検出装置60は、検出光La1を受光した受光部62の受光素子の受光結果と、その受光素子の位置情報とに基づいて、液体LQのエッジ部LGを検出し、液体LQ(液体LQで覆われている領域)の大きさを求めることができる。
【0075】
図14に示す検出装置65Aは、検出光Laを照射する射出部と、光を受光する受光部との機能を兼ね備えている。そして、検出装置65Aは、基板テーブルPTの側面に設けられており、ベース部材41の上面41Aに対して上方から検出光Laを照射するとともに、ベース部材41の上面41Aからの光を受光し、その受光結果に基づいて、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出する。ベース部材41の上面41Aに液体LQが存在しない場合、ベース部材41の上面41Aに対して照射した検出光Laの反射光は所定の光強度で検出装置65Aに受光される。一方、ベース部材41の上面41Aに液体LQが存在する場合、ベース部材41の上面41Aに照射した検出光Laは、液体LQで散乱あるいは吸収されるため、その反射光は、前記所定の光強度よりも弱い光強度で検出装置65Aに受光される。検出装置65Aは、反射光の受光結果に基づいて、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出することができる。また、図14において、Xガイドステージ44の下面には、検出装置65Aと同等の構成を有する検出装置65Bが設けられている。検出装置65Bから射出される検出光Laは、ベース部材41の側面41B近傍に照射されるようになっている。ベース部材41の側面41Bに液体LQが無い場合には、検出装置65Bから射出された検出光Laは、定盤4で反射し、所定の光強度で検出装置65Bに受光される。一方、ベース部材41の側面41Bに液体LQが有る場合には、その反射光は、前記所定の光強度よりも弱い光強度で検出装置65Bに受光されるため、検出装置65Bは、ベース部材41の側面41Bに液体LQが有るか否かを検出することができる。なお、図14の実施形態においても、検出装置65Aを支持する基板テーブルPTや検出装置65Bを支持するXガイドステージ44を移動しつつ検出することができる。また、この場合においても、検出光Laとして所定波長の赤外光を用いることにより、液体LQの検出精度を向上することができる。
【0076】
図15に示す検出装置65Cは、上記検出装置65Aと同等の構成を有しており、被ガイド部材50に取り付けられている。そして、基板テーブルPTの下面PTAに取り付けられたエアベアリング42の側面に、検出装置65Cより検出光Laが照射される。ここで、エアベアリング42の側面には、検出光Laを反射する反射面を有するミラー66Cが設けられている。反射面を設けることにより、検出光Laの光路上に液体LQが無い場合には、検出装置65Cより反射面に対して照射された検出光Laの反射光は、高い光強度で検出装置65Cに受光される。そのため、検出光Laの光路上に液体LQが有る場合と無い場合とでの検出装置65Cの受光量の差が大きくなるため、液体LQをより高感度に検出することができる。同様に、被ガイド部材50には、上記検出装置65Aと同等の構成を有し、ベース部材41の側面41Bに検出光Laを照射する検出装置65Dが設けられており、そのベース部材41の側面41Bには反射面を有するミラー66Dが設けられている。検出装置65Dは、ミラー66Dを設けられたベース部材41の側面41Bに検出光Laを照射することで、側面41Bに液体LQが有るか否かを高感度に検出することができる。また、上記検出装置65Aと同等の構成を有する検出装置を例えば被ガイド部材50に取り付け、基板テーブルPTの側面に対して検出光を照射し、基板テーブルPTの側面に液体LQが有るか否かを検出することももちろん可能である。この場合においても、基板テーブルPTの側面に反射面を設けることで、液体LQが有るか否かを高感度に検出することができる。そして、基板テーブルPTの側面の液体を検出可能な検出装置によって、基板テーブルPTの側面に付着している液体LQを検出可能であるとともに、基板テーブルPT上より流出し、その基板テーブルPTの側面を伝って流れ落ちる液体LQも検出することができるので、基板テーブルPT上より液体LQが流出したとき、その流出した液体LQを前記検出装置を使って迅速に検出することができ、適切な処置を迅速に講ずることができる。
【0077】
図16は、基板テーブルPTの下面PTAに、上記検出装置65Aと同等の構成を有する検出装置65Fを設けた状態を示す図である。検出装置65Fは、ベース部材41Aの上面41Aに検出光Laを照射する。このように、基板テーブルPTの下面PTAに検出装置65Fを設けることも可能である。なおこの場合、ベース部材41の上面41Aに反射面を設けるようにしてもよい。
【0078】
図17は基板テーブルの別の実施形態を模式的に示した側面図、図18はエアベアリング42を軸受面42S側から見た図である。
【0079】
図17において、基板テーブルPTの下面PTAには、ベース部材41の上面41Aに対して基板テーブルPTを非接触支持するためのエアベアリング42が設けられている。そして、エアベアリング42のうち、ベース部材41の上面41Aに対向する軸受面42Sには、ベース部材41の上面41Aに対して気体(エア)を吹き出す吹出口42Bと、軸受面42Sとガイド面41Aとの間の気体を吸引する吸気口42Aとが設けられている。吸気口42A及び吹出口42Bは、エアベアリング42の軸受面42Sの中央領域42Tに設けられている。
【0080】
また、図18に示すように、エアベアリング42の軸受面42Sのうち、吸気口42A及び吹出口42Bを設けられた中央領域42T以外の周縁領域42Eには、上記検出装置65Aと同等の構成を有する検出装置65Eが設けられている。検出装置65Eは、中央領域42Tの外側の周縁領域42Eの複数の所定位置のそれぞれに、その中央領域42Tを囲むように設けられており、ベース部材41の上面41Aに検出光Laを照射するとともに、その上面41Aからの反射光を受光するようになっている。そして、検出装置65Eは、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出可能である。また、エアベアリング42の軸受面42Sには、ベース部材41の上面41A上の液体LQを回収可能な液体回収口26が設けられている。液体回収口26は、軸受面42Sのうち、吸気口42A及び吹出口42Bを設けられた中央領域42Tの外側の周縁領域42Eに設けられており、周縁領域42Eにおいて検出装置65E以外の複数の所定位置のそれぞれに、中央領域42Tを囲むように設けられている。図17に示すように、液体回収口26は、回収流路27を介して第2液体回収部28に接続されている。第2液体回収部28は、上述した液体回収部21と同等の構成を有している。そして、ベース部材41上の液体LQを回収する第2液体回収機構29が、第2液体回収部28、回収流路24、及び液体回収口26を含んで構成されている。
【0081】
図17及び図18に示す実施形態においても、基板Pを保持した基板テーブルPTとベース部材41の上面41Aとが相対移動される。例えば基板Pの露光中において、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有る場合、上面41A上の液体LQは検出装置65Eに検出される。制御装置CONTは、検出装置65Eの検出結果に基づいて、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有ると判断した場合、第2液体回収機構29を制御して、液体回収口26を介してその上面41Aの液体LQを回収することができる。ここで、第2液体回収機構29の液体回収口26は、吸気口42Aを有する中央領域42Tの外側の周縁領域42Eに設けられているので、吸気口42Aに液体LQを流入させることなく、基板テーブルPT(エアベアリング42)とベース部材41とを相対的に移動しながら、液体回収口26を介して上面41A上の液体LQを回収することができる。また、図17及び図18の構成によれば、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有る場合でも、基板Pに対する露光動作を停止することなく、ベース部材41の上面41Aの液体LQを回収することができるため、露光装置EXの稼働率の低下等の不都合を防止できる。もちろん、ベース部材41上の液体LQを検出した場合には、基板Pに対する露光動作を停止して、基板テーブルPT(エアベアリング42)とベース部材41とを相対移動しつつ、ベース部材41の上面41Aの液体LQを液体回収口26を介して回収するようにしてもよい。また、基板Pの露光前後においても、基板テーブルPT(エアベアリング42)とベース部材41とを相対移動しつつ、ベース部材41の上面41Aの比較的広い領域について、液体回収口26を使って液体回収動作を行うようにしてもよい。
【0082】
また、ベース部材41の上面41Aや側面41Bを撥液性にしておくことで、液体LQを残留させることなく、液体回収動作をより円滑に行うことができる。ベース部材41を撥液性にするための撥液化処理としては、ポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素系樹脂やアクリル系樹脂といった撥液性材料を塗布する処理が挙げられる。また、上記撥液性材料は、ベース部材41の上面41A及び側面41Bの全域に設けてもよいし、撥液性を必要とする一部の領域に選択的に設けるようにしてもよい。
【0083】
ところで、上述した各実施形態においては、露光装置EXは1つの基板テーブルPTを備えた構成であるが、本発明は2つのテーブルを備えた露光装置にも適用可能である。このことについて、図19を参照しながら説明する。
【0084】
図19に示す露光装置EX2は、基板Pを保持した状態で移動可能な基板テーブルPT1と、基板テーブルPT1に並ぶ位置に設けられ、基板テーブルPT1上の基板Pの露光に際して各種計測処理を行うための計測テーブルPT2とを備えている。計測テーブルPT2は基板Pを保持しないテーブルであり、計測テーブルPT2上には、例えば特開平4−65603号公報に開示されているような、FIA(フィールド・イメージ・アライメント)方式の基板アライメント系で計測される計測マークや、例えば特開平7−176468号公報に開示されているような、VRA(ビジュアル・レチクル・アライメント)方式で計測される計測マークが設けられている。更に、計測テーブルPT2上には、例えば特開昭57−117238号公報に開示されているような照度ムラセンサ、特開平11−16816号公報に開示されているような照射量センサ(照度センサ)等の光センサも設けられている。そして、本実施形態の露光装置EX2では、基板テーブルPT1上の基板Pを露光する前に、計測テーブルPT2上の光センサや計測マークを使って各種補正処理(レンズキャリブレーション処理等)が行われる。
【0085】
基板テーブルPT1及び計測テーブルPT2は、ステージ駆動機構により、ベース部材41上で互いに独立して2次元移動可能となっている。また、基板テーブルPT1及び計測テーブルPT2のXY方向の位置は、レーザ干渉計によって計測される。
【0086】
図19に示す実施形態においては、上述した液浸機構1により、投影光学系PLの直下の所定領域AR3に液浸領域AR2が形成され、計測テーブルPT2を使って計測処理を行うときには、投影光学系PLと計測テーブルPT2とが対向し、その投影光学系PLと計測テーブルPT2との間に液体LQが満たされて液浸領域AR2が形成される。また、基板テーブルPT1上の基板Pを露光するときには、投影光学系PLと基板テーブルPT1とが対向し、その投影光学系PLと基板テーブルPT1(基板P)との間に液体LQが満たされて液浸領域AR2が形成される。すなわち、基板テーブルPT1上及び計測テーブルPT2上の双方に液体LQの液浸領域AR2が形成される構成である。そして、本実施形態においては、基板テーブルPT1上と計測テーブルPT2上との間で液体LQの液浸領域AR2を移動するようになっており、液浸領域AR2を移動する際には、図19に示すように、制御装置CONTは、基板テーブル駆動機構を使って、基板テーブルPT1と計測テーブルPT2とを近接又は接触した状態で、上記所定領域AR3を含む領域内で、基板テーブルPT1と計測テーブルPT2とを一緒に移動し、液浸領域AR2を基板テーブルPT1の上面と計測テーブルPT2の上面との間で移動する。こうすることにより、液浸機構1による液体供給動作を一旦停止することなく、基板テーブルPT1と計測テーブルPT2との隙間(ギャップ)からの液体LQの流出を抑えた状態で、基板テーブルPT1上と計測テーブルPT2上との間で液浸領域AR2を移動することができる。
【0087】
ところで、本実施形態では、基板テーブルPT1と計測テーブルPT2とを近接又は接触した状態で、基板テーブルPT1上と計測テーブルPT2上との間で液浸領域AR2を移動することで、基板テーブルPT1と計測テーブルPT2とのギャップからのベース部材41上への液体LQの流出を防止しているものの、そのギャップから僅かに液体LQが流出するおそれがある。そこで、図19に示すように、検出装置60の投光部61は、ベース部材41上の上記所定領域AR3に対応する領域に検出光Laを照射する。なお、この場合の投光部61は、例えばメインコラム3等の固定部材に取り付けられる。また、その投光部61に対応する受光部62は、ベース部材41を挟んで投光部61と対向するメインコラム3などの所定位置に取り付けられる。このように、液体LQが流出しやすい領域に応じて検出光Laの光路を設定することで、流出する液体LQを迅速且つ良好に検出することができる。
【0088】
また、図19の実施形態においては、基板テーブルPT1に設けられたエアベアリング42の軸受面42S、及び計測テーブルPT2に設けられたエアベアリング42の軸受面42Sのそれぞれに、図18を参照して説明した検出装置65Eが設けられている。その場合において、例えば基板テーブルPT1がロード・アンロード位置で基板Pのロード・アンロード作業を行っている間、制御装置CONTは、計測テーブルPT2とベース部材41とを相対移動しつつ、計測テーブルPT2のエアベアリング42に設けられた検出装置65Eを使って、ベース部材41上に液体LQが有るか否かを検出することができる。
こうすることにより、露光装置EXの稼働率を向上することできる。
【0089】
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報などに開示されている基板ステージを2つ備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。ツインステージ型の露光装置においても、2つのステージを近接または接触させた状態で、2つのステージ間で液浸領域AR2を移動させることができる。
【0090】
また、上述したように、特開平11−135400号公報に開示されているような基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置にも適用できる。
【0091】
なお、上述した各実施形態においては、基板テーブルPT上から流出した液体LQを検出光Laを使って検出しているが、他の方式で液体LQを検出することもできる。例えば、光ファイバを使って液体LQを検出することもできる。このことについて、図20及び図21を参照しながら説明する。図20は基板テーブルPTを上方から見た平面図、図21は図20のA−A線断面矢視図である。
【0092】
図20において、液体LQを検出するための光ファイバ90は、所謂クラッドレスファイバであって、光を伝搬するコア部のまわりにはクラッド部が設けられていない。そして、光ファイバ90のコア部は、その周囲の気体(本実施形態では空気)より高い屈折率を有し、且つ液体(本実施形態では純水)LQより低い屈折率を有している。そのため、光ファイバ90の周囲が空気で満たされている場合、光は空気より高い屈折率を有するコア部に閉じ込められて伝搬される。つまり、光ファイバ90の入射端部91から入射した光はその光量を大きく減衰せずに射出端部92より射出する。ところが、液体(純水)LQが光ファイバ90の表面に付着した場合、その液体LQと光ファイバ90との界面で全反射が生じないため、光は光ファイバ90の液体付着部分から外部に漏洩する。したがって、光ファイバ90の入射端部91から入射した光は射出端部92より射出する際の光量を減衰させる。
【0093】
図20においては、光ファイバ90は、Xガイドステージ44の上面の周縁部に沿って設けられている。光ファイバ90の入射端部91には、光ファイバ90に対して光を入射可能な投光部93Aが接続され、投光部93Aは、光ファイバ90の入射端部91に対して所定の光量の光を射出する。一方、光ファイバ90の射出端部92には、光ファイバ90を伝搬して射出端部92より射出した光を受光可能な受光部93Bが接続されている。
制御装置CONTは、投光部93Aから光ファイバ90に入射したときの光の光量と、受光部93Bで受光した光の光量とに基づいて、光ファイバ90の入射端部91に対する射出端部92の光の減衰率を求め、その求めた結果に基づいて、光ファイバ90に液体LQが付着したかどうか、すなわち基板テーブルPT上からXガイドステージ44上に液体LQが流出したか否かを判断する。そして、制御装置CONTは、液体LQが漏洩したと判断したとき、液体供給機構10による液体の供給動作の停止等、適切な処置を講ずる。
【0094】
ここで、Xガイドステージ44には、Xリニアモータ47の固定子47Aが設けられており、その固定子47Aは、例えばコイルユニットと、前記コイルユニットを囲むハウジング部とを有している。そして、図21に示すように、Xガイドステージ44の表面(ここでは固定子47Aのハウジング部の表面)は、中央部から周縁部に向かって下がるように傾斜した傾斜領域44Sを有している。光ファイバ90は、その傾斜領域44Sのうち最も下部位置に配置されている。したがって、基板テーブルPT上からXガイドステージ44上に流出した液体LQは、重力作用によって傾斜領域44Sの下部に移動する。したがって、その傾斜領域44Sの下部に配置されている光ファイバ90は、流出した液体LQを確実に検出することができる。
【0095】
また、図22に示すように、上記光ファイバ90に替えて、あるいは上記光ファイバ90と併用して、Xガイドステージ44の傾斜領域44Sの下部に、回収孔92を有する回収管93を設けてもよい。回収孔92は回収管93の壁部に所定間隔で複数設けられている。回収管93の内部は負圧に維持されており、Xガイドステージ44上に流出した液体LQは、回収孔92を介して回収管93の内部に流入し、回収される。
【0096】
また、図23に示すように、Xガイドステージ44の表面(ここでは固定子47Aのハウジング部の表面)は、周縁部から中央部に向かって下がるように傾斜した傾斜領域44S’を有した構成であってもよい。光ファイバ90は、その傾斜領域44S’のうち最も下部位置に配置されている。したがって、基板テーブルPT上からXガイドステージ44上に流出した液体LQは、重力作用によって傾斜領域44S’の下部に移動する。したがって、その傾斜領域44S’の下部に配置されている光ファイバ90は、流出した液体LQを確実に検出することができる。また、図23の実施形態においても、上記光ファイバ90に替えて、あるいは上記光ファイバ90と併用して、Xガイドステージ44の傾斜領域44S’の下部に、図22に示したような、回収孔92を有する回収管93を設けてもよい。なお、液体LQを検出方式として、撮像素子を用いた検出方式を採用することもできる。例えば被ガイド部材50に撮像素子を配置して、撮像素子の出力を画像処理したり、モニタに表示して、ベース部材41の上面41aに残留した液体LQを検出してもよい。
【0097】
上述したように、本実施形態における液体LQは純水により構成されている。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。なお工場等から供給される純水の純度が低い場合には、露光装置が超純水製造器を持つようにしてもよい。
【0098】
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
【0099】
なお、上述したように液浸法を用いた場合には、投影光学系の開口数NAが0.9〜1.3になることもある。このように投影光学系の開口数NAが大きくなる場合には、従来から露光光として用いられているランダム偏光光では偏光効果によって結像性能が悪化することもあるので、偏光照明を用いるのが望ましい。その場合、マスク(レチクル)のライン・アンド・スペースパターンのラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明を行い、マスク(レチクル)のパターンからは、S偏光成分(TE偏光成分)、すなわちラインパターンの長手方向に沿った偏光方向成分の回折光が多く射出されるようにするとよい。投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が液体で満たされている場合、投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が空気(気体)で満たされている場合に比べて、コントラストの向上に寄与するS偏光成分(TE偏光成分)の回折光のレジスト表面での透過率が高くなるため、投影光学系の開口数NAが1.0を越えるような場合でも高い結像性能を得ることができる。また、位相シフトマスクや特開平6−188169号公報に開示されているようなラインパターンの長手方向に合わせた斜入射照明法(特にダイポール照明法)等を適宜組み合わせると更に効果的である。特に、直線偏光照明法とダイポール照明法との組み合わせは、ライン・アンド・スペースパターンの周期方向が所定の一方向に限られている場合や、所定の一方向に沿ってホールパターンが密集している場合に有効である。例えば、透過率6%のハーフトーン型の位相シフトマスク(ハーフピッチ45nm程度のパターン)を、直線偏光照明法とダイポール照明法とを併用して照明する場合、照明系の瞳面においてダイポールを形成する二光束の外接円で規定される照明σを0.95、その瞳面における各光束の半径を0.125σ、投影光学系PLの開口数をNA=1.2とすると、ランダム偏光光を用いるよりも、焦点深度(DOF)を150nm程度増加させることができる。
【0100】
また、直線偏光照明と小σ照明法(照明系の開口数NAiと投影光学系の開口数NApとの比を示すσ値が0.4以下となる照明法)との組み合わせも有効である。
【0101】
また、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、微細なライン・アンド・スペースパターン(例えば25〜50nm程度のライン・アンド・スペース)を基板P上に露光するような場合、マスクMの構造(例えばパターンの微細度やクロムの厚み)によっては、Wave guide効果によりマスクMが偏光板として作用し、コントラストを低下させるP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりS偏光成分(TE偏光成分)の回折光が多くマスクMから射出されるようになる。この場合、上述の直線偏光照明を用いることが望ましいが、ランダム偏光光でマスクMを照明しても、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
【0102】
また、マスクM上の極微細なライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合、Wire Grid効果によりP偏光成分(TM偏光成分)がS偏光成分(TE偏光成分)よりも大きくなる可能性もあるが、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、25nmより大きいライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合には、S偏光成分(TE偏光成分)の回折光がP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりも多くマスクMから射出されるので、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
【0103】
更に、マスク(レチクル)のラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明(S偏光照明)だけでなく、特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線(周)方向に直線偏光する偏光照明法と斜入射照明法との組み合わせも効果的である。特に、マスク(レチクル)のパターンが所定の一方向に延びるラインパターンだけでなく、複数の異なる方向に延びるラインパターンが混在(周期方向が異なるライン・アンド・スペースパターンが混在)する場合には、同じく特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法とを併用することによって、投影光学系の開口数NAが大きい場合でも高い結像性能を得ることができる。例えば、透過率6%のハーフトーン型の位相シフトマスク(ハーフピッチ63nm程度のパターン)を、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法(輪帯比3/4)とを併用して照明する場合、照明σを0.95、投影光学系PLの開口数をNA=1.00とすると、ランダム偏光光を用いるよりも、焦点深度(DOF)を250nm程度増加させることができ、ハーフピッチ55nm程度のパターンで投影光学系の開口数NA=1.2では、焦点深度を100nm程度増加させることができる。
【0104】
更に、上述の各種照明法に加えて、例えば特開平4−277612号公報や特開2001−345245号公報に開示されている累進焦点露光法や、多波長(例えば二波長)の露光光を用いて累進焦点露光法と同様の効果を得る多波長露光法を適用することも有効である。
【0105】
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子2が取り付けられており、このレンズにより投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。また、上述の液浸法を適用した露光装置は、投影光学系PLの光学素子2の射出側の光路空間を液体(純水)で満たして基板Pを露光する構成になっているが、国際公開第2004/019128号公報に開示されているように、投影光学系PLの光学素子2の入射側の光路空間も液体(純水)で満たすようにしてもよい。
【0106】
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
【0107】
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされている構成であるが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たす構成であってもよい。
【0108】
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。この場合も表面処理は用いる液体LQの極性に応じて行われる。
【0109】
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0110】
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
【0111】
また、露光装置EXとしては、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第1パターンの縮小像を投影光学系(例えば1/8縮小倍率で反射素子を含まない屈折型投影光学系)を用いて基板P上に一括露光する方式の露光装置にも適用できる。この場合、更にその後に、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第2パターンの縮小像をその投影光学系を用いて、第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光するスティッチ方式の一括露光装置にも適用できる。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスクを用いても良い。
また、国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞をウエハW上に形成することによって、ウエハW上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
【0112】
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、本発明は、露光対象の基板の表面全体が液体で覆われる液浸露光装置にも本発明を適用可能である。露光対象の基板の表面全体が液体で覆われる液浸露光装置の構造及び露光動作は、例えば特開平6−124873号公報、特開平10−303114号公報、米国特許第5,825,043号などに記載されている。
【0113】
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0114】
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
【0115】
各ステージPST、MSTの駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニットと、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージPST、MSTを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージPST、MSTに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージPST、MSTの移動面側に設ければよい。
【0116】
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0117】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図24に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【符号の説明】
【0118】
1…液浸機構、2…光学素子、10…液体供給機構、20…液体回収機構、26…液体回収口、29…第2液体回収機構、41…ベース部材、41A…上面、41B…側面、42…エアベアリング、42A…吸気口、42B…吹出口、42E…周縁領域、42S…軸受面、42T…中央領域、46…レーザ干渉計、50…被ガイド部材、50A…第1ガイド部材、50B…第2ガイド部材、60…検出装置、61…投光部、62…受光部、65A〜65E…検出装置、70…ノズル部材、CONT…制御装置、EX…露光装置、FD…床面、La…検出光、LQ…液体、P…基板、PST…基板ステージ、PSTD…基板テーブル駆動機構、PT…基板テーブル、PT1…基板テーブル、PT2…計測テーブル、PTA…基板テーブル下面、PTE…基板テーブルエッジ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を介して基板を露光する露光装置及びデバイス製造方法に関するものである。
本願は、2004年7月12日に出願された特願2004−205009号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスや液晶表示デバイスは、マスク上に形成されたパターンを感光性の基板上に転写する、いわゆるフォトリソグラフィの手法により製造される。このフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置は、マスクを支持するマスクステージと基板を支持する基板ステージとを有し、マスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながらマスクのパターンを投影光学系を介して基板に転写するものである。近年、デバイスパターンのより一層の高集積化に対応するために投影光学系の更なる高解像度化が望まれている。投影光学系の解像度は、使用する露光波長が短いほど、また投影光学系の開口数が大きいほど高くなる。そのため、露光装置で使用される露光波長は年々短波長化しており、投影光学系の開口数も増大している。そして、現在主流の露光波長はKrFエキシマレーザの248nmであるが、更に短波長のArFエキシマレーザの193nmも実用化されつつある。
また、露光を行う際には、解像度と同様に焦点深度(DOF)も重要となる。解像度R、及び焦点深度δはそれぞれ以下の式で表される。
R=k1・λ/NA … (1)
δ=±k2・λ/NA2 … (2)
ここで、λは露光波長、NAは投影光学系の開口数、k1、k2はプロセス係数である。(1)式、(2)式より、解像度Rを高めるために、露光波長λを短くして、開口数NAを大きくすると、焦点深度δが狭くなることが分かる。
【0003】
焦点深度δが狭くなり過ぎると、投影光学系の像面に対して基板表面を合致させることが困難となり、露光動作時のフォーカスマージンが不足するおそれがある。そこで、実質的に露光波長を短くして、且つ焦点深度を広くする方法として、例えば下記特許文献1に開示されている液浸法が提案されている。この液浸法は、投影光学系の下面と基板表面との間を水や有機溶媒等の液体で満たして液浸領域を形成し、液体中での露光光の波長が空気中の1/n(nは液体の屈折率で通常1.2〜1.6程度)になることを利用して解像度を向上するとともに、焦点深度を約n倍に拡大するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第99/49504号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液浸領域の液体や露光用の液体が流出し、その状態を放置しておくと、露光装置の置かれている環境(湿度等)が変動し、例えばステージの位置計測を行うための干渉計の光路の環境変動が生じて計測精度が劣化する等の不都合が生じる。また、流出した液体により、周辺機器等に故障や漏電等、錆びの発生などといった不都合が生じる可能性があり、露光精度及び計測精度の劣化を招くおそれがある。また、流出した液体が拡大すると、露光装置を構成する各種機器等に影響を及ぼす等、被害が拡大するおそれもある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、流出した液体による被害の拡大を防止し、露光処理及び計測処理を良好に行うことができる露光装置、及びデバイス製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は実施の形態に示す図1〜図24に対応付けした以下の構成を採用している。但し、各要素に付した括弧付き符号はその要素の例示に過ぎず、各要素を限定するものではない。
【0008】
本発明の露光装置(EX)は、液体(LQ)を介して基板(P)を露光する露光装置において、移動可能なテーブル(PT、PT1、PT2)と、テーブル(PT、PT1、PT2)の移動を案内する上面(41A)を有するベース部材(41)と、ベース部材(41)の上面(41A)に液体(LQ)が有るか否かを検出する検出装置(60)とを備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、テーブルの移動を案内するベース部材の上面に液体が有るか否かを検出する検出装置を設けたので、検出装置が液体を検出した場合には、その液体を除去する等の適切な処置を迅速に講ずることができる。したがって、流出した液体による被害の拡大を防止し、露光処理及び計測処理を良好に行うことができる。
【0010】
また本発明の露光装置(EX)は、液体(LQ)を介して基板(P)を露光する露光装置において、液体(LQ)を検出可能な検出装置(60)と、検出装置(60)を支持して移動可能な可動部材(44、50、PT等)とを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、液体を検出可能な検出装置を可動部材に支持して移動することで、検出対象領域の比較的広い領域について液体が有るか否かを検出することができる。したがって、流出した液体による被害の拡大を防止し、露光処理及び計測処理を良好に行うことができる。
【0012】
本発明のデバイス製造方法は、上記記載の露光装置(EX)を用いることを特徴とする。
本発明によれば、露光処理及び計測処理を良好に行うことができるので、所望の性能を有するデバイスを製造することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、流出した液体による被害の拡大を防止できるので、露光処理及び計測処理を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】基板テーブルを示す概略構成図である。
【図3】基板テーブルを上方から見た平面図である。
【図4】検出装置が液体を検出している様子を説明するための模式図である。
【図5】検出光とベース部材表面との位置関係を示す模式図である。
【図6】検出光の照射位置の一例を説明するための図である。
【図7】基板テーブルが露光位置とロード・アンロード位置との間を移動する様子を説明するための図である。
【図8】検出装置が液体を検出している様子の別の形態を示す図である。
【図9】検出装置の設置位置の変形例を示す図である。
【図10】検出装置の設置位置の変形例を示す図である。
【図11】検出装置の設置位置の変形例を示す図である。
【図12】検出装置の別の実施形態を示す図である。
【図13】検出装置の別の実施形態を示す図である。
【図14】検出装置の別の実施形態を示す図である。
【図15】検出装置の別の実施形態を示す図である。
【図16】検出装置の別の実施形態を示す図である。
【図17】ベース部材上の液体を回収する液体回収機構を説明するための図である。
【図18】気体軸受に設けられた液体回収口及び検出装置の位置関係を示す図である。
【図19】第1テーブル及び第2テーブルを備えた露光装置の一例を示す図である。
【図20】検出装置の別の実施形態を示す図である。
【図21】図20のA−A線断面矢視図である。
【図22】液体回収機構の別の実施形態を示す斜視図である。
【図23】検出装置の別の実施形態を示す図である。
【図24】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の露光装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明に係る露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【0016】
図1において、露光装置EXは、マスクMを支持して移動可能なマスクテーブルMTと、基板Pを支持して移動可能な基板テーブルPTと、マスクテーブルMTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板テーブルPTに支持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。制御装置CONTには、露光処理に関して異常が生じたときに警報を発する警報装置Kが接続されている。
【0017】
また露光装置EXは、投影光学系PL等を支持するメインコラム3を備えている。メインコラム3は、床面FDに水平に載置された定盤4上に設けられている。メインコラム3には、内側に向けて突出する上側段部3A及び下側段部3Bが形成されている。
【0018】
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、基板P上に液体LQの液浸領域AR2を形成可能な液浸機構1を備えている。液浸機構1は、基板P上に液体LQを供給する液体供給機構10と、基板P上の液体LQを回収する液体回収機構20とを備えている。露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に転写している間、液体供給機構10から供給した液体LQにより投影光学系PLの投影領域AR1を含む基板P上の一部に、投影領域AR1よりも大きく且つ基板Pよりも小さい液浸領域AR2を局所的に形成する。具体的には、露光装置EXは、投影光学系PLの像面側先端部の光学素子2と基板Pの表面との間に液体LQを満たして液浸領域AR2を形成し、この投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介してマスクMのパターン像を基板P上に投影することによってこの基板Pを露光する。
【0019】
また、投影光学系PLの像面近傍、具体的には投影光学系PLの像面側端部の光学素子2の近傍には、液浸機構1の一部を構成するノズル部材70が配置されている。ノズル部材70は、基板P(基板テーブルPT)の上方において投影光学系PLの先端部の周りを囲むように設けられた環状部材である。
【0020】
また、後に詳述するように、露光装置EXは、基板テーブルPTの移動を案内する上面41Aを有するベース部材41を有しており、そのベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出する検出装置60を備えている。
【0021】
本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な平面内でマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向に垂直な方向(非走査方向)をY軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は半導体ウエハ上に感光性材料であるフォトレジストを塗布したものを含み、「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
【0022】
照明光学系ILは、メインコラム3の上部に固定された支持コラム5により支持されている。照明光学系ILは、マスクテーブルMTに支持されているマスクMを露光光ELで照明するものであり、露光用光源、露光用光源から射出された光束の照度を均一化するオプティカルインテグレータ、オプティカルインテグレータからの露光光ELを集光するコンデンサレンズ、リレーレンズ系、及び露光光ELによるマスクM上の照明領域をスリット状に設定する可変視野絞り等を有している。マスクM上の所定の照明領域は照明光学系ILにより均一な照度分布の露光光ELで照明される。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。
【0023】
本実施形態において、液体LQには純水が用いられる。純水はArFエキシマレーザ光のみならず、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
【0024】
マスクテーブルMTは、マスクMを保持して移動可能に設けられている。メインコラム3の上側段部3Aには防振ユニット6を介してベース部材31が支持されている。マスクテーブルMTの下面には非接触ベアリングである気体軸受(エアベアリング)32が複数設けられている。マスクテーブルMTはエアベアリング32によりベース部材31の上面(ガイド面)31Aに対して非接触支持されており、リニアモータ等を含むマスクテーブル駆動機構により、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。これらマスクテーブルMT及びマスクテーブル駆動機構等によって、マスクMを支持して移動するマスクステージMSTの少なくとも一部が構成されている。
【0025】
マスクテーブルMTには移動鏡35が設けられている。また、移動鏡35に対向する位置にはレーザ干渉計36が設けられている。マスクMを支持したマスクテーブルMTの2次元方向の位置、及びθZ方向の回転角(場合によってはθX、θY方向の回転角も含む)はレーザ干渉計36によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、レーザ干渉計36の計測結果に基づいてマスクテーブル駆動機構を駆動することでマスクテーブルMTに支持されているマスクMの位置を制御する。
【0026】
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影するものであって、基板P側の先端部に設けられた光学素子(レンズ)2を含む複数の光学素子で構成されており、これら光学素子は鏡筒PKで支持されている。投影光学系PLの先端部の光学素子2は鏡筒PKより露出しており、液浸領域AR2の液体LQに接触するようになっている。また、光学素子2のうち液浸領域AR2の液体LQと接触する液体接触面(下面)2Aは、液体LQに対して親液性となっている。
【0027】
本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4、1/5、あるいは1/8の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。また投影光学系PLは、反射素子を含まない屈折系、屈折素子を含まない反射系、屈折素子と反射素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。投影光学系PLの鏡筒PKを支持した鏡筒定盤8は、防振ユニット7を介してメインコラム3の下側段部3Bに支持されている。
【0028】
基板テーブルPTは、基板ホルダPHを介して基板Pを保持して移動可能に設けられている。基板テーブルPT上には凹部53が設けられており、基板ホルダPHは凹部53に配置されている。また、基板テーブルPTの上面43は平坦面となっており、その上面43と基板ホルダPHに保持された基板Pの表面とはほぼ面一となっている。
【0029】
基板テーブルPTの下面には複数の非接触ベアリングである気体軸受(エアベアリング)42が設けられている。定盤4上には、防振ユニット9を介してベース部材41が支持されている。エアベアリング42は、ベース部材41の上面(ガイド面)41Aに対向する軸受面42Sを有している。エアベアリング42は、軸受面42Sに設けられ、ベース部材41の上面41Aに対して気体(エア)を吹き出す吹出口42Bと、軸受面42Sに設けられ、軸受面42Sとガイド面41Aとの間の気体を吸引する吸気口42Aとを備えている。エアベアリング42は、吹出口42Bからの気体の吹き出しによる反発力と吸気口42Aによる吸引力との釣り合いにより、基板テーブルPTの下面PTA(軸受面42S)とガイド面41Aとの間に一定の隙間を保持し、ベース部材41の上面41Aに対して基板テーブルPTを非接触支持する。基板テーブルPTは、エアベアリング42によってベース部材41の上面41Aに対して非接触支持された状態で、後述するリニアモータ47、48、Xガイドステージ44、及び被ガイド部材50等を含む基板テーブル駆動機構PSTDにより、ベース部材41の上面41Aに案内されつつ、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。また、基板テーブルPT上の基板ホルダPHは、不図示のホルダ駆動機構により、Z軸方向、θX方向、及びθY方向に移動可能に設けられている。これら基板テーブルPT及び基板テーブル駆動機構PSTD等によって、基板Pを支持して移動する基板ステージPSTが構成されている。ホルダ駆動機構及び基板テーブル駆動機構PSTDは制御装置CONTにより制御される。
【0030】
また、露光装置EXは、基板テーブルPTに支持されている基板Pの表面の位置を検出する不図示のフォーカス・レベリング検出系を備えている。フォーカス・レベリング検出系は、基板P表面のZ軸方向の位置情報、及び基板PのθX及びθY方向の傾斜情報を検出する。なお、フォーカス・レベリング検出系の構成としては、例えば特開平8−37149号公報に開示されているものを用いることができる。フォーカス・レベリング検出系の検出結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、フォーカス・レベリング検出系の検出結果に基づいて、ホルダ駆動機構を駆動し、基板ホルダPHに保持されている基板Pの表面のフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角を制御して基板Pの表面を投影光学系PLの像面に合わせ込む。
【0031】
基板テーブルPTには移動鏡45が設けられている。また、移動鏡45に対向する位置にはレーザ干渉計46が設けられている。基板Pを支持した基板テーブルPTの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計46によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはレーザ干渉計46の計測結果に基づいて基板テーブル駆動機構PSTDを駆動することで基板テーブルPTに支持されている基板PのX軸方向及びY軸方向における位置決めを行う。
【0032】
基板テーブルPTは、Xガイドステージ44によりX軸方向に移動自在に支持されている。基板テーブルPTは、Xガイドステージ44に案内されつつXリニアモータ47によりX軸方向に所定ストロークで移動可能である。Xリニアモータ47は、Xガイドステージ44にX軸方向に延びるように設けられた固定子47Aと、この固定子47Aに対応して設けられ基板テーブルPTに固定された可動子47Bとを備えている。そして、可動子47Bが固定子47Aに対して駆動することで、基板テーブルPTがXガイドステージ44に非接触支持された状態でX軸方向に移動する。
【0033】
Xガイドステージ44の長手方向両端には、このXガイドステージ44を基板テーブルPTとともにY軸方向に移動可能な一対のYリニアモータ48、48が設けられている。Yリニアモータ48のそれぞれは、Xガイドステージ44の長手方向両端に設けられた可動子48Bと、この可動子48Bに対応して設けられた固定子48Aとを備えている。そして、可動子48Bが固定子48Aに対して駆動することでXガイドステージ44が基板テーブルPTとともにY軸方向に移動する。また、Yリニアモータ48、48のそれぞれの駆動を調整することでXガイドステージ44及び基板テーブルPTはθZ方向にも回転移動可能となっている。
【0034】
ベース部材41のX軸方向両側のそれぞれには、L字状に形成され、Xガイドステージ44のY軸方向への移動を案内するガイド部49が設けられている。ガイド部49は定盤4上に支持されている。本実施形態において、ガイド部49の平坦部49B上に、Yリニアモータ48の固定子48Aが設けられている。一方、Xガイドステージ44の下面の長手方向両端部のそれぞれには凹形状の被ガイド部材50(50A、50B)が設けられている。ガイド部49は被ガイド部材50と係合し、ガイド部49の上面(ガイド面)49Aと被ガイド部材50の内面とが対向するように設けられている。ガイド部49のガイド面49Aには非接触ベアリングである気体軸受(エアベアリング)51が設けられており、Xガイドステージ44はガイド面49Aに対して非接触支持されている。被ガイド部材50は、Xガイドステージ44の移動に伴って移動する。
【0035】
また、Yリニアモータ48の固定子48Aとガイド部49の平坦部49Bとの間には非接触ベアリングである気体軸受(エアベアリング)52が介在しており、固定子48Aはエアベアリング52によりガイド部49の平坦部49Bに対して非接触支持される。このため、運動量保存の法則によりXガイドステージ44及び基板テーブルPTの+Y方向(−Y方向)の移動に応じて固定子48Aが−Y方向(+Y方向)に移動する。この固定子48Aの移動によりXガイドステージ44及び基板テーブルPTの移動に伴う反力が相殺されるとともに重心位置の変化を防ぐことができる。すなわち、固定子48Aは所謂カウンタマスとしての機能を有している。
【0036】
液体供給機構10は、液体LQを投影光学系PLの像面側の空間に供給するためのものであって、液体LQを送出可能な液体供給部11と、液体供給部11にその一端部を接続する供給管13とを備えている。供給管13の他端部はノズル部材70に接続されている。液体供給部11は、液体LQを収容するタンク、及び加圧ポンプ等を備えている。なお、タンクおよび加圧ポンプなどは、露光装置EXが備えていなくてもよく、それらの少なくとも一部を、露光装置EXが設置される工場などの設備で代用してもよい。
【0037】
供給管13の途中には、供給管13の流路を開閉するバルブ15が設けられている。バルブ15の開閉動作は制御装置CONTにより制御されるようになっている。なお、本実施形態におけるバルブ15は、例えば停電等により露光装置EX(制御装置CONT)の駆動源(電源)が停止した場合に供給管13の流路を機械的に閉塞する所謂ノーマルクローズ方式となっている。
【0038】
液体回収機構20は、投影光学系PLの像面側の空間から液体LQを回収するためのものであって、液体LQを回収可能な液体回収部21と、液体回収部21にその一端部を接続する回収管23とを備えている。回収管23の他端部はノズル部材70に接続されている。液体回収部21は例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、回収された液体LQと気体とを分離する気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えている。なお、真空系、気液分離器、およびタンクなどは、露光装置EXが備えていなくてもよく、それらの少なくとも一部を、露光装置EXが設置される工場などの設備で代用してもよい。
【0039】
投影光学系PLを構成する複数の光学素子のうち、液体LQに接する光学素子2の近傍にはノズル部材70が配置されている。ノズル部材70は、基板P(基板テーブルPT)の上方において、光学素子2の側面を囲むように設けられた環状部材である。ノズル部材70と光学素子2との間には隙間が設けられており、ノズル部材70は光学素子2に対して振動的に分離されるように所定の支持機構で支持されている。ノズル部材70の下面70Aは、基板P(基板テーブルPT)の上方に設けられ、基板Pの表面(基板テーブルPTの上面43)と対向する。また、ノズル部材70の下面70A、及び光学素子2の下面2Aのそれぞれはほぼ平坦面であり、ノズル部材70の下面70Aと光学素子2の下面2Aとはほぼ面一となっている。これにより、所望の範囲内に液浸領域AR2を良好に形成することができる。
【0040】
ノズル部材70の下面70Aには、基板P上に液体LQを供給する液体供給口12が設けられている。液体供給口12はノズル部材70の下面70Aに複数設けられている。また、ノズル部材70の内部には、供給管13の他端部と液体供給口12とを接続する内部流路が形成されている。
【0041】
更に、ノズル部材70の下面70Aには、基板P上の液体LQを回収する液体回収口22が設けられている。本実施形態において、液体回収口22は、ノズル部材70の下面70Aにおいて、液体供給口12を囲むように、光学素子2の光軸AXに対して外側に設けられている。また、ノズル部材70の内部には、回収管23の他端部と液体回収口22とを接続する内部流路が形成されている。
【0042】
液体供給部11及び液体回収部21の動作は制御装置CONTにより制御される。基板P上に液体LQの液浸領域AR2を形成する際、制御装置CONTは、液体供給部11より液体LQを送出し、供給管13、及びノズル部材70の内部流路を介して、基板Pの上方に設けられている液体供給口12より基板P上に液体LQを供給する。また、基板P上の液体LQは、液体回収口22より回収され、ノズル部材70の回収流路、及び回収管23を介して液体回収部21に回収される。なお液浸機構1の構成は、上述のものに限られず、例えば、欧州特許公開第1420298号公報、国際公開第2004/055803号公報、国際公開第2004/057589号公報、国際公開第2004/057590号公報に記載されているものも用いることができる。
【0043】
次に、図2及び図3を参照しながら検出装置60について説明する。図2は基板ステージPSTを示す斜視図、図3は基板ステージPSTの平面図である。
【0044】
検出装置60は、基板テーブルPTの移動を案内するベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出するものである。検出装置60は、検出光Laを射出する投光部61と、検出光Laに対して所定位置に配置された受光部62とを備えている。本実施形態において、投光部61は、互いに対向する2つの第1、第2被ガイド部材50A、50Bのうち、ベース部材41に対して−X側に設けられた第1被ガイド部材50Aに取り付けられ、受光部62は、+X側に設けられた第2被ガイド部材50Bに取り付けられている。これら第1、第2被ガイド部材50A、50Bのそれぞれに取り付けられた投光部61と受光部62とは、ベース部材41を挟んで対向するように設けられている。
【0045】
上述したように、被ガイド部材50は、基板テーブルPTを駆動する基板テーブル駆動機構PSTDの一部を構成するXガイドステージ44に取り付けられており、本実施形態の検出装置60(投光部61及び受光部62)は、基板テーブルPTを移動するための基板テーブル駆動機構PSTDに設けられた構成となっている。被ガイド部材50は、Yリニアモータ48の駆動により、Xガイドステージ44とともにベース部材41に対して移動する可動部材となっている。したがって、検出装置60(投光部61及び受光部62)は、ベース部材41に対して移動可能な可動部材(被ガイド部材50)に取り付けられた構成となっている。
【0046】
図3に示すように、投光部61は、Y軸方向に複数(本実施形態では2つ)並んで第1被ガイド部材50Aに設けられ、受光部62は、投光部61に対応するように、Y軸方向に複数(2つ)並んで第2被ガイド部材50Bに設けられている。そして、Yリニアモータ48の駆動により、投光部61を支持する第1被ガイド部材50Aと、受光部62を支持する第2被ガイド部材50Bとが同期移動するようになっている。
【0047】
図4は検出装置60とベース部材41との位置関係を示す模式的に示す側面図である。図4に示すように、検出装置60の投光部61から射出された検出光Laは、ベース部材41の上面41Aに対して略平行に照射される。そして、検出装置60は、受光部62の受光結果に基づいて、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出する。
【0048】
投光部61と受光部62とは対向しており、投光部61から射出された検出光Laは受光部62に到達し、その受光部62に所定の光量(光強度)で受光されるようになっている。このとき、例えば図4に示すように、ベース部材41の上面41Aに液体LQの液滴(水滴)が存在している場合において、検出光Laが液体LQに照射されると、その検出光Laは液体LQによって屈折又は散乱、あるいは吸収される。したがって、検出光Laの光路上に液体LQが有る場合、受光部62で受光される光量(光強度)が低下する、あるいは検出光Laが受光部62に到達しなくなる。そこで、検出装置60は、受光部62の受光結果(受光量)に基づいて、検出光Laの光路上に液体LQが有るか否かを検出することができる。そして、検出光Laの光路上に液体Laが有るか否かを検出することで、検出装置60は、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出することができる。
【0049】
本実施形態においては、検出装置60は、液体LQを光学的に(非接触方式で)検出する構成であるため、例えばベース部材41近傍や基板テーブル駆動機構PSTD近傍に配線や各種機器などを配置する必要がない。そのため、基板テーブルPTや基板テーブル駆動機構PSTDの移動に及ぼす影響を少なくすることができる。
【0050】
検出光Laとしては可視光などを使用することもできるが、所定波長(所定波長帯域)の赤外光を用いることが好ましい。具体的には、検出光Laとして、波長が例えば約1200nm、約1450nm、約1940nm、及び約2950nmの赤外光を用いることが好ましい。水(液体)LQには、上記波長の光(赤外光)を吸収する性質があるため、上記波長を有する検出光(赤外光)Laを液体LQに照射したとき、その検出光Laの光エネルギーが水(液体)LQに吸収され、受光部62に受光される光量が大きく低下する。したがって、検出光Laが液体LQに照射されたときの受光部62での受光量と、検出光Laが液体LQに照射されないときの受光部62での受光量との差が大きくなるため、検出装置60は、液体LQが有るか否かをより高感度に検出することができる。なお検出光Laとして上記波長を有する赤外光を用いる場合、例えば約1940nmの波長を有する赤外光(2μm帯レーザ光)と、約2950nmの波長を有する赤外光(3μm帯レーザ光)とを組み合わせた2波長レーザ光を照射するようにしてもよい。あるいは、互いに異なる波長(波長帯域)を有する3つ以上の複数のレーザ光を組み合わせた検出光を照射するようにしてもよい。
【0051】
ところで、上述した実施形態においては、検出光Laは、ベース部材41の上面41Aとほぼ平行に照射される構成であり、その検出光Laの光路上に液体Laが有るか否かを検出することによって、ベース部材41上に液体LQが有るか否かを検出する構成である。つまり、ベース部材41上に液体LQがある場合、検出光Laを液体LQに確実に照射する必要がある。そのため、検出装置60は、ベース部材41上に存在する液体LQに検出光Laを確実に照射するために、検出光Laがベース部材41表面より所定距離以内の離れた領域の内側を通過するようにしている。具体的には、検出光Laは、ベース部材41の上面41Aより5.5mm以内の離れた領域を通過するように設定されている。このことについて図5を参照しながら説明する。
【0052】
図5において、ベース部材41の上面41Aには液体LQが液滴(水滴)の状態で配置されている。このとき、
cosθ = 1−(ρ×g×h2)/(2×T) …(1A)の関係が成り立つ。ここで、
θ:物体表面に対する液体LQの接触角、
ρ:液体の密度、
h:液体(液滴)の高さ、
T:表面張力係数、
g:重力加速度、である。本実施形態において液体LQは水であるため、ρ=998〔kg/m3〕、T=73×10−3〔N/m〕である。上記(1A)式を変形すると、
h = 〔(2×T)×(1−cosθ)/(ρ×g)〕1/2 …(2A)となる。θ=180°(cosθ=−1)とすると、h=5.46×10−3〔m〕、すなわち約5.5mmとなる。実際には、接触角θは180°よりも小さい値であるため、高さhの値も5.5mm以下となる。したがって、ベース部材41の上面41Aとその上面41Aにほぼ平行に照射される検出光Laとの距離Dが5.5mm以下となるように設定することにより、ベース部材41の上面41Aに存在する液体LQに検出光Laを確実に照射することができる。
【0053】
次に、上述した露光装置EXを用いて基板Pを露光する方法について説明する。
制御装置CONTは、基板テーブルPTにロードされた基板Pを露光するために、液浸機構1を駆動し、基板P上に液体LQの液浸領域AR2を形成する。そして、制御装置CONTは、照明光学系ILを使ってマスクMを露光光ELで照明し、マスクMのパターン像を投影光学系PL及び液体LQを介して基板Pに投影する。上述したように、本実施形態における露光装置EXは、マスクMと基板Pとを同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに走査露光するものである。図2や図3に示すように、基板P上にはマトリクス状に複数のショット領域SHが設定されており、1つのショット領域SHへの露光終了後に、基板Pのステッピング移動によって次のショット領域SHが走査開始位置に移動し、以下、ステップ・アンド・スキャン方式で基板Pを移動しながら各ショット領域に対する走査露光処理が順次行われる。制御装置CONTは、基板Pを支持した基板テーブルPTを移動するために、基板テーブル駆動機構PSTDを構成するXリニアモータ47やYリニアモータ48を駆動する。そして、Yリニアモータ48の駆動に伴って、検出装置60を支持している被ガイド部材50(50A、50B)も、ベース部材41に対して移動する。ここで、検出装置60の投光部61からは、基板Pの露光中及び露光前後において、検出光Laが常時射出されている。
【0054】
図6の模式図に示すように、基板テーブルPT(基板P)上より液体LQが流出し、その流出した液体LQがベース部材41の上面41A上に残留する可能性がある。制御装置CONTは、検出装置60の投光部61より検出光Laを常時射出しているので、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出することができる。ここで、投光部61及び受光部62は2つずつY軸方向に並んで配置されており、図6や図3に示すように、それら投光部61から射出される検出光Laは、基板テーブルPTのエッジ部PTE近傍に照射されるようになっている。基板テーブルPT上から流出する液体LQは、基板テーブルPTのエッジ部PTEよりベース部材41上に流出するため、基板テーブルPTのエッジ部PTE近傍に検出光Laが照射されるようにしておくことで、基板テーブルPT上より流出する液体LQを迅速且つ良好に検出することができる。また、基板Pを露光するときのステップ・アンド・スキャン移動においては、その移動ストロークは小さい場合があるが、そのような場合、基板テーブルPTのエッジ部PTEより離れたところに検出光Laが照射される構成では、液体LQがベース部材41上に流出してから、その液体LQが検出光Laによって検出されるまでに時間がかかる可能性があり、被害が拡大するおそれがある。しかしながら、基板テーブルPTのエッジ部PTE近傍など、液体LQが流出しやすい位置に応じて検出光Laの光路を設定することで、流出する液体LQを迅速且つ良好に検出することができる。
【0055】
また、露光中においては、検出装置60(投光部61及び受光部62)を支持する被ガイド部材50は、ベース部材41に対して相対的に移動しており、投光部61を支持する第1被ガイド部材50Aと、受光部62を支持する第2被ガイド部材50Bとは同期移動している。制御装置CONTは、投光部61を支持する第1被ガイド部材50Aと、受光部62を支持する第2被ガイド部材50Bとを同期移動しつつ、第1被ガイド部材50Aに支持されている投光部61より検出光Laを照射し、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出する。このように、制御装置CONTは、検出装置60をベース部材41に対して移動することで、検出光Laとベース部材41とを相対的に移動しつつ、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出するので、その検出装置60を使って、ベース部材41の上面41Aの比較的広い領域において、液体LQが有るか否かを検出することができる。
【0056】
また、液体LQがベース部材41の上面41Aに有る状態において、検出光Laとベース部材41とを相対的に移動しながら、検出光Laを照射することにより、ベース部材41上における液体LQの位置を求めることができる。つまり、被ガイド部材50と基板テーブルPTとは、Y軸方向に関してほぼ一緒に移動するので、レーザ干渉計46を使って基板テーブルPTの位置を計測することで、検出装置60を設けられた被ガイド部材50の位置を計測することができる。そこで、被ガイド部材50の位置(つまり検出装置60の位置)をレーザ干渉計46を使ってモニタしつつ、被ガイド部材50を移動しながら検出光Laを照射することで、制御装置CONTは、レーザ干渉計46の位置計測結果と、検出装置60の受光部62の受光結果とに基づいて、レーザ干渉計46で規定される座標系における液体LQの位置を求めることができる。
【0057】
そして、検出装置60が液体LQを検出したときには、制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、基板テーブルPT上より液体LQが流出するなどの異常が生じたと判断する。異常が生じたと判断した場合、制御装置CONTは、例えば液体供給機構10による単位時間当たりの液体供給量を低減したり、あるいは液体供給機構10による液体LQの供給を停止する。液体供給機構10による液体LQの供給を停止するときは、液体供給部11の駆動を停止してもよいし、バルブ15を使って供給管13の流路を閉じるようにしてもよい。あるいは、制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、液体回収機構20による単位時間当たりの液体回収量を増やす。あるいは、制御装置CONTは、検出装置60の検出結果に基づいて、基板Pに対する露光動作や基板ステージPSTの移動を停止する。このように、ベース部材41上に液体LQが有るか否かを検出装置60を使って検出し、その検出結果に基づいて露光動作や液体供給・回収動作等を制御することにより、ベース部材41上の液体LQが床面FD等に流出して被害が拡大することを防止することができる。
【0058】
また、ベース部材41上に液体LQがある場合、エアベアリング42の吸気口42Aに液体LQが流入する可能性があるため、液体LQが有ることを検出したときには、制御装置CONTは、吸気口42Aからの吸気動作を停止するようにしてもよい。また、検出光Laの光路を、エアベアリング42の近傍に設定しておくことにより、ベース部材41上の液体LQが吸気口42Aに流入する前に、その液体LQを検出光Laを使って検出することができ、その検出結果に応じて適切な処置を講ずることにより、ベース部材41上に流出した液体LQが、吸気口42Aに流入することを未然に防ぐことができる。また、エアベアリング42の軸受面42Sとベース部材41の上面41Aとの間に液体LQが浸入すると、その液体LQによって基板テーブルPTのZ軸方向の位置が変動する可能性があるが、検出装置60の検出結果に基づいて適切な処置を講ずることで、そのような不都合も防止することができる。
【0059】
また、検出装置60の検出結果が異常であると判断したとき、制御装置CONTは、警報装置Kを駆動して警告を発することも可能である。これにより、例えばオペレータは露光装置EX内部において、液体LQが漏洩するなどの異常が発生したことを把握できるため、適切な処置を施すことができる。警報装置Kは、警告灯、警告音、ディスプレイなどを使って警報を発することができる。
【0060】
なおここでは、検出装置60は基板Pのステップ・アンド・スキャン移動に合わせて、検出装置60の検出領域(検出光Laの光路)を移動して液体LQを検出しているが、第1のショット領域を露光した後、次の第2のショット領域を露光する前に、ステップ移動とは異なる移動状態で、被ガイド部材50を動かし、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出するようにしてもよい。例えば、第1のショット領域を露光した後、ステップ移動距離よりも大きく被ガイド部材50を動かして、ベース部材41の上面41Aの比較的広い領域について検出動作を行い、その後、第2のショット領域を露光するといった構成も可能である。こうすることにより、第2のショット領域を露光する前に、ベース部材41上に液体LQが有るか否かを知ることができ、液体LQが無いことを確認した後、第2のショット領域を露光することができる。また、液体LQが有る場合には、第2のショット領域を露光する前に、適切な処置を施すことができる。
【0061】
なお、検出装置60による検出動作は、基板Pの液浸露光前、あるいは基板P上に液体LQを供給する前に行うことも可能である。例えば液浸露光を行う前に、ベース部材41に液体LQが無いことを検出装置60を使って確認した後、液浸露光処理を行うことができる。
【0062】
基板Pの液浸露光が終了した後、制御装置CONTは、液体回収機構20等を使って、基板P上の液体LQや基板テーブルPTの上面43に残留している液体LQを回収する。基板P表面を含む基板テーブルPT上の液体LQを回収した後、制御装置CONTは、検出装置60を使って、ベース部材41上に液体LQが有るか否かを検出することができる。この場合、基板Pの露光処理は終了しているため、例えば被ガイド部材50を大きく動かしてベース部材41の任意の位置に対応させて検出装置60を配置することができる。
【0063】
そして、制御装置CONTは、露光済みの基板Pを基板ステージPSTより搬出(アンロード)する。基板Pをアンロード(搬出)するときやロード(搬入)するときは、図7に示す模式図のように、制御装置CONTは、基板テーブルPTを露光位置PJ1とロード・アンロード位置PJ2との間で移動するために、被ガイド部材50をベース部材41に対して大きく移動するので、その被ガイド部材50に支持されている検出装置60を使って、ベース部材41上の比較的広い領域について液体LQの検出を行うことができる。
そして、ロード・アンロード位置PJ2まで移動された基板テーブルPT上の露光済みの基板Pは搬送系Hに渡される。なお、制御装置CONTは、ロード・アンロード位置PJ2で未露光の基板Pを基板テーブルPTにロードした後、その基板テーブルPTを露光位置PJ1に移動する前や、ロード・アンロード位置PJ2で露光済みの基板Pを基板テーブルPTよりアンロードした後、未露光の基板Pをロードする前に、検出装置60を支持した可動部材(ここでは被ガイド部材50)をベース部材41に対して大きく移動し、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出するようにしてもよい。
【0064】
以上説明したように、基板テーブルPTの移動を案内するベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出する検出装置60を設けたので、検出装置60が液体LQを検出した場合には、その液体LQを除去する等の適切な処置を迅速に講ずることができる。したがって、流出した液体LQによる被害の拡大を防止し、露光処理及び計測処理を良好に行うことができる。
【0065】
また、液体LQを検出可能な検出装置60を可動部材である被ガイド部材50で支持して移動することで、その被ガイド部材50以外の部材(ベース部材41)の比較的広い領域について液体LQが有るか否かを検出することができる。したがって、流出した液体LQによる被害の拡大を防止し、露光処理及び計測処理を良好に行うことができる。
【0066】
なお本実施形態においては、投光部61及び受光部62のそれぞれが、X軸方向に関し、ベース部材41を挟んだ両側のそれぞれに配置されており、投光部61より検出光Laを射出しつつ、被ガイド部材50をY軸方向に移動することで、その被ガイド部材50とは別の部材であるベース部材41上における液体LQのY軸方向に関する位置を検出する構成であるが、投光部61及び受光部62のそれぞれを、Y軸方向に関し、ベース部材41を挟んだ両側のそれぞれにも配置し、その投光部61及び受光部62をベース部材41に対して相対移動可能な可動部材に支持し、投光部61及び受光部62をX軸方向に同期移動しながら投光部61より検出光Laを射出することにより、ベース部材41上における液体LQのX軸方向に関する位置も検出することができる。また、本実施形態では、投光部61及び受光部62は2つずつ設けられているが、もちろん任意の複数設けられていてもよいし、1つずつ設けられていてもよい。
【0067】
なお、本実施形態においては、検出装置60はベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出しているが、被ガイド部材50に対する検出装置60の取り付け位置を、上述した実施形態とは別の位置に変更することで、あるいは新たな検出装置60を取り付けることで、図8に示す平面図のように、ベース部材41の側面41Bの液体LQも検出することができる。
【0068】
なお、上述した実施形態においては、検出装置60は、被ガイド部材50に取り付けられているが、基板テーブル駆動機構PSTDを構成する任意の部材に取り付けることができる。あるいは、基板テーブル駆動機構PSTD以外の、ベース部材41に対して相対的に移動可能な可動部材を設け、その可動部材に検出装置60を取り付けるようにしてもよい。例えば、図9に示すように、検出装置60の発光部61及び受光部62を、基板テーブルPTのうちベース部材41の上面41Aと対向する下面PTAに設けるようにしてもよい。図9に示す例では、投光部61が基板テーブルPTの下面PTAの−Y側のエッジ領域に取り付けられ、受光部62が、投光部61と対向するように、基板テーブルPTの下面PTAの+Y側のエッジ領域に取り付けられている。更に、図10に示すように、検出装置60の投光部61及び受光部62を、ベース部材41の上面41Aに対して基板テーブルPTを非接触支持するためのエアベアリング42に設けるようにしてもよい。本実施形態においては、エアベアリング42は基板テーブルPTの下面PTAの複数位置のそれぞれに設けられており、複数のエアベアリング42のうち第1のエアベアリングの側面に投光部61が設けられ、前記第1のエアベアリングとは別の第2のエアベアリングの側面に、投光部61と対向するように受光部62が設けられている。
【0069】
また、上述した実施形態においては、基板テーブルPTの移動を案内する上面41Aを有するベース部材41に液体LQが付着しているか否かを検出しているが、もちろん、露光装置EXを構成するベース部材41以外の任意の部材に液体LQが付着しているか否かを、可動部材に取り付けられた検出装置60を使って検出することができる。また、その検出装置60を使って、ベース部材41が設置された定盤4上や床面FD上に液体LQが有るか否かを検出することもできる。
【0070】
更に、ベース部材41に液体LQが有るか否かを検出する検出装置60をベース部材41に対してほぼ動かない固定部材に取り付けるようにしてもよい。例えば図11に示す例では、検出装置60の投光部61及び受光部62はメインコラム3に取り付けられ、ベース部材41を挟んで対向するように設けられている。このような構成によっても、検出装置60を使ってベース部材41に液体LQが有るか否かを検出することができる。また、メインコラム3に対する投光部61及び受光部62の取り付け位置を最適化することで、その投光部61及び受光部62を使って、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出することができるし、あるいはベース部材41の側面41Bに液体LQが有るか否かを検出することもできるし、定盤4上や床面FDに液体LQが有るか否かを検出することもできる。もちろん、メインコラム3に取り付けた投光部61及び受光部62を使って、露光装置EXを構成するベース部材41以外の任意の部材・機器上に液体LQが有るか否かを検出することができる。
【0071】
なお、上述した実施形態では、検出装置60は、液浸領域AR2を形成する液体LQを検出しているが、例えばリニアモータを冷却する冷却液など、露光装置EXにおいては、液浸領域AR2を形成する液体LQ以外の液体がベース部材41上などに流出する可能性がある。検出装置60は、そのような液体(冷却液など)も検出することができる。
【0072】
以下、別の実施形態について説明する。以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
【0073】
図12に示すように、複数の検出光Laをマトリクス状に2次元的に照射することによっても、ベース部材41上における液体LQの位置を求めることができる。図12において、検出装置60は、ベース部材41の+Y側に配置され、X軸方向に並んだ複数の検出光Laを射出する第1射出部61Xと、ベース部材41の−Y側に配置され、第1射出部61Xから射出された検出光Laに対して所定位置に配置された第1受光部62Xと、ベース部材41の−X側に配置され、Y軸方向に並んだ複数の検出光Laを射出する第2射出部61Yと、ベース部材41の+X側に配置され、第2射出部61Yから射出された検出光Laに対して所定位置に配置された第2受光部62Yとを備えている。第1受光部62Xは、第1射出部61Xより射出される複数の検出光Laに対応した複数の受光素子を有しており、同様に、第2受光部62Yは、第2射出部61Yより射出される複数の検出光Laに対応した複数の受光素子を有している。第1射出部61Xより射出された検出光La、及び第2射出部61Yより射出された検出光Laのそれぞれは、ベース部材41の上面41Aとほぼ平行に照射され、これら検出光Laの光路は平面視においてマトリクス状に設けられている。ここで図12に示すように、第1射出部61Xから射出された複数の検出光Laのうち特定の検出光Laxの光路上に液体LQが有る場合、第1受光部62Xの複数の受光素子のうち、その検出光Laxに対応する受光素子で受光される光量が低下する。同様に、第2射出部61Yから射出された複数の検出光Laのうち特定の検出光Layの光路上に液体LQがある場合、第2受光部62Yの複数の受光素子のうち、その検出光Layに対応する受光素子で受光される光量が低下する。制御装置CONTは、第1、第2受光部62X、62Yそれぞれの受光結果に基づいて、液体LQの位置が検出光Laxと検出光Layとの交点付近であることを特定することができる。ここで、検出光Lax、Layを受光する受光素子の位置情報は設計値などにより予め分かっているため、制御装置CONTは、検出光Lax、Layを受光した受光素子の位置情報に基づいて、ベース部材41上における液体LQの位置を求めることができる。
【0074】
また図13に示すように、検出装置60は、射出部61から複数位置のそれぞれに検出光Laを照射したときの受光部62の受光結果に基づいて、ベース部材41上に有る液体LQの大きさ(液体LQで覆われている領域の大きさ)を求めることができる。
図13に示す例では、射出部61はY軸方向に並んだ複数の検出光LaをX軸方向に沿って照射している。受光部62は前記複数の検出光Laに対応した複数の受光素子を有している。これら受光素子の位置情報は設計値などによって予め分かっている。投光部61から射出される複数の検出光Laのうち、一部の検出光La1が液体LQに照射されると、その検出光La1に対応する受光部62の受光素子には検出光La1が到達しない、あるいは受光素子で受光される光量が低下する。一方、残りの一部の検出光La2は液体LQを介さないで受光部62に到達する。したがって、検出装置60は、検出光La1を受光した受光部62の受光素子の受光結果と、その受光素子の位置情報とに基づいて、液体LQのエッジ部LGを検出し、液体LQ(液体LQで覆われている領域)の大きさを求めることができる。
【0075】
図14に示す検出装置65Aは、検出光Laを照射する射出部と、光を受光する受光部との機能を兼ね備えている。そして、検出装置65Aは、基板テーブルPTの側面に設けられており、ベース部材41の上面41Aに対して上方から検出光Laを照射するとともに、ベース部材41の上面41Aからの光を受光し、その受光結果に基づいて、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出する。ベース部材41の上面41Aに液体LQが存在しない場合、ベース部材41の上面41Aに対して照射した検出光Laの反射光は所定の光強度で検出装置65Aに受光される。一方、ベース部材41の上面41Aに液体LQが存在する場合、ベース部材41の上面41Aに照射した検出光Laは、液体LQで散乱あるいは吸収されるため、その反射光は、前記所定の光強度よりも弱い光強度で検出装置65Aに受光される。検出装置65Aは、反射光の受光結果に基づいて、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出することができる。また、図14において、Xガイドステージ44の下面には、検出装置65Aと同等の構成を有する検出装置65Bが設けられている。検出装置65Bから射出される検出光Laは、ベース部材41の側面41B近傍に照射されるようになっている。ベース部材41の側面41Bに液体LQが無い場合には、検出装置65Bから射出された検出光Laは、定盤4で反射し、所定の光強度で検出装置65Bに受光される。一方、ベース部材41の側面41Bに液体LQが有る場合には、その反射光は、前記所定の光強度よりも弱い光強度で検出装置65Bに受光されるため、検出装置65Bは、ベース部材41の側面41Bに液体LQが有るか否かを検出することができる。なお、図14の実施形態においても、検出装置65Aを支持する基板テーブルPTや検出装置65Bを支持するXガイドステージ44を移動しつつ検出することができる。また、この場合においても、検出光Laとして所定波長の赤外光を用いることにより、液体LQの検出精度を向上することができる。
【0076】
図15に示す検出装置65Cは、上記検出装置65Aと同等の構成を有しており、被ガイド部材50に取り付けられている。そして、基板テーブルPTの下面PTAに取り付けられたエアベアリング42の側面に、検出装置65Cより検出光Laが照射される。ここで、エアベアリング42の側面には、検出光Laを反射する反射面を有するミラー66Cが設けられている。反射面を設けることにより、検出光Laの光路上に液体LQが無い場合には、検出装置65Cより反射面に対して照射された検出光Laの反射光は、高い光強度で検出装置65Cに受光される。そのため、検出光Laの光路上に液体LQが有る場合と無い場合とでの検出装置65Cの受光量の差が大きくなるため、液体LQをより高感度に検出することができる。同様に、被ガイド部材50には、上記検出装置65Aと同等の構成を有し、ベース部材41の側面41Bに検出光Laを照射する検出装置65Dが設けられており、そのベース部材41の側面41Bには反射面を有するミラー66Dが設けられている。検出装置65Dは、ミラー66Dを設けられたベース部材41の側面41Bに検出光Laを照射することで、側面41Bに液体LQが有るか否かを高感度に検出することができる。また、上記検出装置65Aと同等の構成を有する検出装置を例えば被ガイド部材50に取り付け、基板テーブルPTの側面に対して検出光を照射し、基板テーブルPTの側面に液体LQが有るか否かを検出することももちろん可能である。この場合においても、基板テーブルPTの側面に反射面を設けることで、液体LQが有るか否かを高感度に検出することができる。そして、基板テーブルPTの側面の液体を検出可能な検出装置によって、基板テーブルPTの側面に付着している液体LQを検出可能であるとともに、基板テーブルPT上より流出し、その基板テーブルPTの側面を伝って流れ落ちる液体LQも検出することができるので、基板テーブルPT上より液体LQが流出したとき、その流出した液体LQを前記検出装置を使って迅速に検出することができ、適切な処置を迅速に講ずることができる。
【0077】
図16は、基板テーブルPTの下面PTAに、上記検出装置65Aと同等の構成を有する検出装置65Fを設けた状態を示す図である。検出装置65Fは、ベース部材41Aの上面41Aに検出光Laを照射する。このように、基板テーブルPTの下面PTAに検出装置65Fを設けることも可能である。なおこの場合、ベース部材41の上面41Aに反射面を設けるようにしてもよい。
【0078】
図17は基板テーブルの別の実施形態を模式的に示した側面図、図18はエアベアリング42を軸受面42S側から見た図である。
【0079】
図17において、基板テーブルPTの下面PTAには、ベース部材41の上面41Aに対して基板テーブルPTを非接触支持するためのエアベアリング42が設けられている。そして、エアベアリング42のうち、ベース部材41の上面41Aに対向する軸受面42Sには、ベース部材41の上面41Aに対して気体(エア)を吹き出す吹出口42Bと、軸受面42Sとガイド面41Aとの間の気体を吸引する吸気口42Aとが設けられている。吸気口42A及び吹出口42Bは、エアベアリング42の軸受面42Sの中央領域42Tに設けられている。
【0080】
また、図18に示すように、エアベアリング42の軸受面42Sのうち、吸気口42A及び吹出口42Bを設けられた中央領域42T以外の周縁領域42Eには、上記検出装置65Aと同等の構成を有する検出装置65Eが設けられている。検出装置65Eは、中央領域42Tの外側の周縁領域42Eの複数の所定位置のそれぞれに、その中央領域42Tを囲むように設けられており、ベース部材41の上面41Aに検出光Laを照射するとともに、その上面41Aからの反射光を受光するようになっている。そして、検出装置65Eは、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有るか否かを検出可能である。また、エアベアリング42の軸受面42Sには、ベース部材41の上面41A上の液体LQを回収可能な液体回収口26が設けられている。液体回収口26は、軸受面42Sのうち、吸気口42A及び吹出口42Bを設けられた中央領域42Tの外側の周縁領域42Eに設けられており、周縁領域42Eにおいて検出装置65E以外の複数の所定位置のそれぞれに、中央領域42Tを囲むように設けられている。図17に示すように、液体回収口26は、回収流路27を介して第2液体回収部28に接続されている。第2液体回収部28は、上述した液体回収部21と同等の構成を有している。そして、ベース部材41上の液体LQを回収する第2液体回収機構29が、第2液体回収部28、回収流路24、及び液体回収口26を含んで構成されている。
【0081】
図17及び図18に示す実施形態においても、基板Pを保持した基板テーブルPTとベース部材41の上面41Aとが相対移動される。例えば基板Pの露光中において、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有る場合、上面41A上の液体LQは検出装置65Eに検出される。制御装置CONTは、検出装置65Eの検出結果に基づいて、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有ると判断した場合、第2液体回収機構29を制御して、液体回収口26を介してその上面41Aの液体LQを回収することができる。ここで、第2液体回収機構29の液体回収口26は、吸気口42Aを有する中央領域42Tの外側の周縁領域42Eに設けられているので、吸気口42Aに液体LQを流入させることなく、基板テーブルPT(エアベアリング42)とベース部材41とを相対的に移動しながら、液体回収口26を介して上面41A上の液体LQを回収することができる。また、図17及び図18の構成によれば、ベース部材41の上面41Aに液体LQが有る場合でも、基板Pに対する露光動作を停止することなく、ベース部材41の上面41Aの液体LQを回収することができるため、露光装置EXの稼働率の低下等の不都合を防止できる。もちろん、ベース部材41上の液体LQを検出した場合には、基板Pに対する露光動作を停止して、基板テーブルPT(エアベアリング42)とベース部材41とを相対移動しつつ、ベース部材41の上面41Aの液体LQを液体回収口26を介して回収するようにしてもよい。また、基板Pの露光前後においても、基板テーブルPT(エアベアリング42)とベース部材41とを相対移動しつつ、ベース部材41の上面41Aの比較的広い領域について、液体回収口26を使って液体回収動作を行うようにしてもよい。
【0082】
また、ベース部材41の上面41Aや側面41Bを撥液性にしておくことで、液体LQを残留させることなく、液体回収動作をより円滑に行うことができる。ベース部材41を撥液性にするための撥液化処理としては、ポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))等のフッ素系樹脂やアクリル系樹脂といった撥液性材料を塗布する処理が挙げられる。また、上記撥液性材料は、ベース部材41の上面41A及び側面41Bの全域に設けてもよいし、撥液性を必要とする一部の領域に選択的に設けるようにしてもよい。
【0083】
ところで、上述した各実施形態においては、露光装置EXは1つの基板テーブルPTを備えた構成であるが、本発明は2つのテーブルを備えた露光装置にも適用可能である。このことについて、図19を参照しながら説明する。
【0084】
図19に示す露光装置EX2は、基板Pを保持した状態で移動可能な基板テーブルPT1と、基板テーブルPT1に並ぶ位置に設けられ、基板テーブルPT1上の基板Pの露光に際して各種計測処理を行うための計測テーブルPT2とを備えている。計測テーブルPT2は基板Pを保持しないテーブルであり、計測テーブルPT2上には、例えば特開平4−65603号公報に開示されているような、FIA(フィールド・イメージ・アライメント)方式の基板アライメント系で計測される計測マークや、例えば特開平7−176468号公報に開示されているような、VRA(ビジュアル・レチクル・アライメント)方式で計測される計測マークが設けられている。更に、計測テーブルPT2上には、例えば特開昭57−117238号公報に開示されているような照度ムラセンサ、特開平11−16816号公報に開示されているような照射量センサ(照度センサ)等の光センサも設けられている。そして、本実施形態の露光装置EX2では、基板テーブルPT1上の基板Pを露光する前に、計測テーブルPT2上の光センサや計測マークを使って各種補正処理(レンズキャリブレーション処理等)が行われる。
【0085】
基板テーブルPT1及び計測テーブルPT2は、ステージ駆動機構により、ベース部材41上で互いに独立して2次元移動可能となっている。また、基板テーブルPT1及び計測テーブルPT2のXY方向の位置は、レーザ干渉計によって計測される。
【0086】
図19に示す実施形態においては、上述した液浸機構1により、投影光学系PLの直下の所定領域AR3に液浸領域AR2が形成され、計測テーブルPT2を使って計測処理を行うときには、投影光学系PLと計測テーブルPT2とが対向し、その投影光学系PLと計測テーブルPT2との間に液体LQが満たされて液浸領域AR2が形成される。また、基板テーブルPT1上の基板Pを露光するときには、投影光学系PLと基板テーブルPT1とが対向し、その投影光学系PLと基板テーブルPT1(基板P)との間に液体LQが満たされて液浸領域AR2が形成される。すなわち、基板テーブルPT1上及び計測テーブルPT2上の双方に液体LQの液浸領域AR2が形成される構成である。そして、本実施形態においては、基板テーブルPT1上と計測テーブルPT2上との間で液体LQの液浸領域AR2を移動するようになっており、液浸領域AR2を移動する際には、図19に示すように、制御装置CONTは、基板テーブル駆動機構を使って、基板テーブルPT1と計測テーブルPT2とを近接又は接触した状態で、上記所定領域AR3を含む領域内で、基板テーブルPT1と計測テーブルPT2とを一緒に移動し、液浸領域AR2を基板テーブルPT1の上面と計測テーブルPT2の上面との間で移動する。こうすることにより、液浸機構1による液体供給動作を一旦停止することなく、基板テーブルPT1と計測テーブルPT2との隙間(ギャップ)からの液体LQの流出を抑えた状態で、基板テーブルPT1上と計測テーブルPT2上との間で液浸領域AR2を移動することができる。
【0087】
ところで、本実施形態では、基板テーブルPT1と計測テーブルPT2とを近接又は接触した状態で、基板テーブルPT1上と計測テーブルPT2上との間で液浸領域AR2を移動することで、基板テーブルPT1と計測テーブルPT2とのギャップからのベース部材41上への液体LQの流出を防止しているものの、そのギャップから僅かに液体LQが流出するおそれがある。そこで、図19に示すように、検出装置60の投光部61は、ベース部材41上の上記所定領域AR3に対応する領域に検出光Laを照射する。なお、この場合の投光部61は、例えばメインコラム3等の固定部材に取り付けられる。また、その投光部61に対応する受光部62は、ベース部材41を挟んで投光部61と対向するメインコラム3などの所定位置に取り付けられる。このように、液体LQが流出しやすい領域に応じて検出光Laの光路を設定することで、流出する液体LQを迅速且つ良好に検出することができる。
【0088】
また、図19の実施形態においては、基板テーブルPT1に設けられたエアベアリング42の軸受面42S、及び計測テーブルPT2に設けられたエアベアリング42の軸受面42Sのそれぞれに、図18を参照して説明した検出装置65Eが設けられている。その場合において、例えば基板テーブルPT1がロード・アンロード位置で基板Pのロード・アンロード作業を行っている間、制御装置CONTは、計測テーブルPT2とベース部材41とを相対移動しつつ、計測テーブルPT2のエアベアリング42に設けられた検出装置65Eを使って、ベース部材41上に液体LQが有るか否かを検出することができる。
こうすることにより、露光装置EXの稼働率を向上することできる。
【0089】
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報などに開示されている基板ステージを2つ備えたツインステージ型の露光装置にも適用できる。ツインステージ型の露光装置においても、2つのステージを近接または接触させた状態で、2つのステージ間で液浸領域AR2を移動させることができる。
【0090】
また、上述したように、特開平11−135400号公報に開示されているような基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置にも適用できる。
【0091】
なお、上述した各実施形態においては、基板テーブルPT上から流出した液体LQを検出光Laを使って検出しているが、他の方式で液体LQを検出することもできる。例えば、光ファイバを使って液体LQを検出することもできる。このことについて、図20及び図21を参照しながら説明する。図20は基板テーブルPTを上方から見た平面図、図21は図20のA−A線断面矢視図である。
【0092】
図20において、液体LQを検出するための光ファイバ90は、所謂クラッドレスファイバであって、光を伝搬するコア部のまわりにはクラッド部が設けられていない。そして、光ファイバ90のコア部は、その周囲の気体(本実施形態では空気)より高い屈折率を有し、且つ液体(本実施形態では純水)LQより低い屈折率を有している。そのため、光ファイバ90の周囲が空気で満たされている場合、光は空気より高い屈折率を有するコア部に閉じ込められて伝搬される。つまり、光ファイバ90の入射端部91から入射した光はその光量を大きく減衰せずに射出端部92より射出する。ところが、液体(純水)LQが光ファイバ90の表面に付着した場合、その液体LQと光ファイバ90との界面で全反射が生じないため、光は光ファイバ90の液体付着部分から外部に漏洩する。したがって、光ファイバ90の入射端部91から入射した光は射出端部92より射出する際の光量を減衰させる。
【0093】
図20においては、光ファイバ90は、Xガイドステージ44の上面の周縁部に沿って設けられている。光ファイバ90の入射端部91には、光ファイバ90に対して光を入射可能な投光部93Aが接続され、投光部93Aは、光ファイバ90の入射端部91に対して所定の光量の光を射出する。一方、光ファイバ90の射出端部92には、光ファイバ90を伝搬して射出端部92より射出した光を受光可能な受光部93Bが接続されている。
制御装置CONTは、投光部93Aから光ファイバ90に入射したときの光の光量と、受光部93Bで受光した光の光量とに基づいて、光ファイバ90の入射端部91に対する射出端部92の光の減衰率を求め、その求めた結果に基づいて、光ファイバ90に液体LQが付着したかどうか、すなわち基板テーブルPT上からXガイドステージ44上に液体LQが流出したか否かを判断する。そして、制御装置CONTは、液体LQが漏洩したと判断したとき、液体供給機構10による液体の供給動作の停止等、適切な処置を講ずる。
【0094】
ここで、Xガイドステージ44には、Xリニアモータ47の固定子47Aが設けられており、その固定子47Aは、例えばコイルユニットと、前記コイルユニットを囲むハウジング部とを有している。そして、図21に示すように、Xガイドステージ44の表面(ここでは固定子47Aのハウジング部の表面)は、中央部から周縁部に向かって下がるように傾斜した傾斜領域44Sを有している。光ファイバ90は、その傾斜領域44Sのうち最も下部位置に配置されている。したがって、基板テーブルPT上からXガイドステージ44上に流出した液体LQは、重力作用によって傾斜領域44Sの下部に移動する。したがって、その傾斜領域44Sの下部に配置されている光ファイバ90は、流出した液体LQを確実に検出することができる。
【0095】
また、図22に示すように、上記光ファイバ90に替えて、あるいは上記光ファイバ90と併用して、Xガイドステージ44の傾斜領域44Sの下部に、回収孔92を有する回収管93を設けてもよい。回収孔92は回収管93の壁部に所定間隔で複数設けられている。回収管93の内部は負圧に維持されており、Xガイドステージ44上に流出した液体LQは、回収孔92を介して回収管93の内部に流入し、回収される。
【0096】
また、図23に示すように、Xガイドステージ44の表面(ここでは固定子47Aのハウジング部の表面)は、周縁部から中央部に向かって下がるように傾斜した傾斜領域44S’を有した構成であってもよい。光ファイバ90は、その傾斜領域44S’のうち最も下部位置に配置されている。したがって、基板テーブルPT上からXガイドステージ44上に流出した液体LQは、重力作用によって傾斜領域44S’の下部に移動する。したがって、その傾斜領域44S’の下部に配置されている光ファイバ90は、流出した液体LQを確実に検出することができる。また、図23の実施形態においても、上記光ファイバ90に替えて、あるいは上記光ファイバ90と併用して、Xガイドステージ44の傾斜領域44S’の下部に、図22に示したような、回収孔92を有する回収管93を設けてもよい。なお、液体LQを検出方式として、撮像素子を用いた検出方式を採用することもできる。例えば被ガイド部材50に撮像素子を配置して、撮像素子の出力を画像処理したり、モニタに表示して、ベース部材41の上面41aに残留した液体LQを検出してもよい。
【0097】
上述したように、本実施形態における液体LQは純水により構成されている。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。なお工場等から供給される純水の純度が低い場合には、露光装置が超純水製造器を持つようにしてもよい。
【0098】
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
【0099】
なお、上述したように液浸法を用いた場合には、投影光学系の開口数NAが0.9〜1.3になることもある。このように投影光学系の開口数NAが大きくなる場合には、従来から露光光として用いられているランダム偏光光では偏光効果によって結像性能が悪化することもあるので、偏光照明を用いるのが望ましい。その場合、マスク(レチクル)のライン・アンド・スペースパターンのラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明を行い、マスク(レチクル)のパターンからは、S偏光成分(TE偏光成分)、すなわちラインパターンの長手方向に沿った偏光方向成分の回折光が多く射出されるようにするとよい。投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が液体で満たされている場合、投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が空気(気体)で満たされている場合に比べて、コントラストの向上に寄与するS偏光成分(TE偏光成分)の回折光のレジスト表面での透過率が高くなるため、投影光学系の開口数NAが1.0を越えるような場合でも高い結像性能を得ることができる。また、位相シフトマスクや特開平6−188169号公報に開示されているようなラインパターンの長手方向に合わせた斜入射照明法(特にダイポール照明法)等を適宜組み合わせると更に効果的である。特に、直線偏光照明法とダイポール照明法との組み合わせは、ライン・アンド・スペースパターンの周期方向が所定の一方向に限られている場合や、所定の一方向に沿ってホールパターンが密集している場合に有効である。例えば、透過率6%のハーフトーン型の位相シフトマスク(ハーフピッチ45nm程度のパターン)を、直線偏光照明法とダイポール照明法とを併用して照明する場合、照明系の瞳面においてダイポールを形成する二光束の外接円で規定される照明σを0.95、その瞳面における各光束の半径を0.125σ、投影光学系PLの開口数をNA=1.2とすると、ランダム偏光光を用いるよりも、焦点深度(DOF)を150nm程度増加させることができる。
【0100】
また、直線偏光照明と小σ照明法(照明系の開口数NAiと投影光学系の開口数NApとの比を示すσ値が0.4以下となる照明法)との組み合わせも有効である。
【0101】
また、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、微細なライン・アンド・スペースパターン(例えば25〜50nm程度のライン・アンド・スペース)を基板P上に露光するような場合、マスクMの構造(例えばパターンの微細度やクロムの厚み)によっては、Wave guide効果によりマスクMが偏光板として作用し、コントラストを低下させるP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりS偏光成分(TE偏光成分)の回折光が多くマスクMから射出されるようになる。この場合、上述の直線偏光照明を用いることが望ましいが、ランダム偏光光でマスクMを照明しても、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
【0102】
また、マスクM上の極微細なライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合、Wire Grid効果によりP偏光成分(TM偏光成分)がS偏光成分(TE偏光成分)よりも大きくなる可能性もあるが、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、25nmより大きいライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合には、S偏光成分(TE偏光成分)の回折光がP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりも多くマスクMから射出されるので、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
【0103】
更に、マスク(レチクル)のラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明(S偏光照明)だけでなく、特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線(周)方向に直線偏光する偏光照明法と斜入射照明法との組み合わせも効果的である。特に、マスク(レチクル)のパターンが所定の一方向に延びるラインパターンだけでなく、複数の異なる方向に延びるラインパターンが混在(周期方向が異なるライン・アンド・スペースパターンが混在)する場合には、同じく特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法とを併用することによって、投影光学系の開口数NAが大きい場合でも高い結像性能を得ることができる。例えば、透過率6%のハーフトーン型の位相シフトマスク(ハーフピッチ63nm程度のパターン)を、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法(輪帯比3/4)とを併用して照明する場合、照明σを0.95、投影光学系PLの開口数をNA=1.00とすると、ランダム偏光光を用いるよりも、焦点深度(DOF)を250nm程度増加させることができ、ハーフピッチ55nm程度のパターンで投影光学系の開口数NA=1.2では、焦点深度を100nm程度増加させることができる。
【0104】
更に、上述の各種照明法に加えて、例えば特開平4−277612号公報や特開2001−345245号公報に開示されている累進焦点露光法や、多波長(例えば二波長)の露光光を用いて累進焦点露光法と同様の効果を得る多波長露光法を適用することも有効である。
【0105】
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子2が取り付けられており、このレンズにより投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。また、上述の液浸法を適用した露光装置は、投影光学系PLの光学素子2の射出側の光路空間を液体(純水)で満たして基板Pを露光する構成になっているが、国際公開第2004/019128号公報に開示されているように、投影光学系PLの光学素子2の入射側の光路空間も液体(純水)で満たすようにしてもよい。
【0106】
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
【0107】
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされている構成であるが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たす構成であってもよい。
【0108】
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。この場合も表面処理は用いる液体LQの極性に応じて行われる。
【0109】
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0110】
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
【0111】
また、露光装置EXとしては、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第1パターンの縮小像を投影光学系(例えば1/8縮小倍率で反射素子を含まない屈折型投影光学系)を用いて基板P上に一括露光する方式の露光装置にも適用できる。この場合、更にその後に、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で第2パターンの縮小像をその投影光学系を用いて、第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光するスティッチ方式の一括露光装置にも適用できる。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスクを用いても良い。
また、国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞をウエハW上に形成することによって、ウエハW上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
【0112】
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、本発明は、露光対象の基板の表面全体が液体で覆われる液浸露光装置にも本発明を適用可能である。露光対象の基板の表面全体が液体で覆われる液浸露光装置の構造及び露光動作は、例えば特開平6−124873号公報、特開平10−303114号公報、米国特許第5,825,043号などに記載されている。
【0113】
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0114】
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
【0115】
各ステージPST、MSTの駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニットと、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージPST、MSTを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージPST、MSTに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージPST、MSTの移動面側に設ければよい。
【0116】
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0117】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図24に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【符号の説明】
【0118】
1…液浸機構、2…光学素子、10…液体供給機構、20…液体回収機構、26…液体回収口、29…第2液体回収機構、41…ベース部材、41A…上面、41B…側面、42…エアベアリング、42A…吸気口、42B…吹出口、42E…周縁領域、42S…軸受面、42T…中央領域、46…レーザ干渉計、50…被ガイド部材、50A…第1ガイド部材、50B…第2ガイド部材、60…検出装置、61…投光部、62…受光部、65A〜65E…検出装置、70…ノズル部材、CONT…制御装置、EX…露光装置、FD…床面、La…検出光、LQ…液体、P…基板、PST…基板ステージ、PSTD…基板テーブル駆動機構、PT…基板テーブル、PT1…基板テーブル、PT2…計測テーブル、PTA…基板テーブル下面、PTE…基板テーブルエッジ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を介して基板を露光する露光装置において、
移動可能なテーブルと、
前記テーブルの移動を案内する上面を有するベース部材と、
前記ベース部材の上面に液体が有るか否かを検出する検出装置とを備えた露光装置。
【請求項2】
前記検出装置は前記ベース部材の側面の液体も検出する請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記検出装置は前記ベース部材が設置された床面上の液体を検出可能である請求項1又は2記載の露光装置。
【請求項4】
前記テーブルは基板を保持可能である請求項1〜3のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項5】
前記検出装置は非接触方式で液体を検出する請求項1〜4のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項6】
前記検出装置は検出光を射出可能であり、前記検出光と前記ベース部材とを相対的に移動しつつ検出する請求項1〜5のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項7】
前記検出装置は前記ベース部材に対して移動可能な可動部材に設けられている請求項1〜6のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項8】
前記可動部材と前記ベース部材とを相対的に移動しつつ、前記検出装置で検出する請求項7記載の露光装置。
【請求項9】
前記検出装置を設けられた可動部材の位置を計測する位置計測装置と、
前記位置計測装置の計測結果と前記検出装置の検出結果とに基づいて前記液体の位置を求める制御装置とを備えた請求項7又は8記載の露光装置。
【請求項10】
前記検出装置は前記テーブルを移動するための駆動機構に設けられている請求項1〜9のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項11】
前記検出装置は前記テーブルに設けられている請求項1〜10のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項12】
前記検出装置は前記テーブルのうち前記ベース部材の上面に対向する下面に設けられている請求項1〜11のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項13】
前記検出装置は、前記ベース部材の上面に対して前記テーブルを非接触支持するための気体軸受に設けられている請求項1〜12のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項14】
前記検出装置は、検出光を射出する投光部と、前記検出光に対して所定位置に配置された受光部とを有する請求項1〜13のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項15】
前記投光部を支持する第1可動部材と、前記受光部を支持する第2可動部材とを有し、
前記第1可動部材と前記第2可動部材とを同期移動しつつ検出する請求項14記載の露光装置。
【請求項16】
前記投光部と前記受光部とは、前記ベース部材を挟んで対向するように設けられている請求項14又は15記載の露光装置。
【請求項17】
前記検出光は、前記ベース部材の上面に対して略平行に照射される請求項14〜16のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項18】
前記検出光は、前記基板テーブルのエッジ部近傍に照射される請求項14〜17のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項19】
前記検出装置は、前記ベース部材に対して検出光を照射するとともに前記ベース部材からの光を受光し、該受光結果に基づいて前記ベース部材の表面の液体を検出する請求項1〜14のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項20】
前記ベース部材には、前記検出光を反射する反射面が設けられている請求項19記載の露光装置。
【請求項21】
前記ベース部材上で互いに独立して移動可能な第1テーブル及び第2テーブルを有し、
前記第1テーブルが所定の位置で所定作業を行っている間、前記第2テーブルと前記ベース部材とを相対移動しつつ、該第2テーブルに設けられた前記検出装置を使って液体を検出する請求項1〜20記載の露光装置。
【請求項22】
投影光学系と、
前記投影光学系直下の所定領域に液体を供給して液浸領域を形成する液浸機構と、
前記ベース部材上で互いに独立して2次元面内で移動可能な第1テーブル及び第2テーブルと、
前記第1テーブルと前記第2テーブルとを近接又は接触した状態で、前記所定領域を含む領域内で前記第1テーブルと前記第2テーブルとを一緒に移動し、前記液浸領域を前記第1テーブルの上面と前記第2テーブルの上面との間で移動する駆動機構とを備え、
前記検出装置は、ベース部材上の前記所定領域に対応する領域に検出光を照射する請求項1〜20のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項23】
前記ベース部材上の液体を回収する液体回収機構を備えた請求項1〜22のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項24】
前記検出装置の検出結果に基づいて前記液体回収機構を制御する制御装置を備えた請求項23記載の露光装置。
【請求項25】
前記テーブルに設けられ、前記ベース部材の上面に対して前記テーブルを非接触支持するための気体軸受を有し、
前記液体回収機構の液体回収口が前記気体軸受に設けられている請求項23又は24記載の露光装置。
【請求項26】
前記気体軸受は前記上面に対向する軸受面を有し、
前記軸受面は気体を吹き出す吹出口及び気体を吸引する吸気口のうち少なくともいずれか一方を設けられた第1領域を有し、
前記液体回収口は前記軸受面のうち前記第1領域の外側に設けられている請求項25記載の露光装置。
【請求項27】
前記軸受面のうち前記第1領域以外の第2領域に液体を検出する検出装置が設けられている請求項25又は26記載の露光装置。
【請求項28】
前記テーブルと前記ベース部材の上面とを相対移動しつつ、前記ベース部材の上面の液体を前記液体回収口を介して回収する請求項23〜27のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項29】
前記ベース部材上の少なくとも一部は撥液性を有する請求項1〜28のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項30】
液体を介して基板を露光する露光装置において、
液体を検出可能な検出装置と、
前記検出装置を支持して移動可能な可動部材とを備えた露光装置。
【請求項31】
前記検出装置は前記可動部材以外の所定部材に液体が有るか否かを非接触方式で検出する請求項30記載の露光装置。
【請求項32】
前記可動部材は、前記基板を保持して移動可能なテーブルを移動するための駆動機構を含む請求項30又は31記載の露光装置。
【請求項33】
前記所定部材は、前記基板を保持して移動可能なテーブルの移動を案内するガイド面を有するベース部材を含む請求項30〜32のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項34】
前記検出装置は、検出光を射出する投光部と、前記検出光に対して所定位置に設けられ、前記検出光を受光する受光部とを有し、
前記投光部を支持する第1可動部材と、前記受光部を支持する第2可動部材とを有し、
前記第1可動部材と前記第2可動部材とを同期移動しつつ液体を検出する請求項30〜33のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項35】
前記検出装置は前記所定部材に対して検出光を照射するとともに前記所定部材からの光を受光し、該受光結果に基づいて前記所定部材上の液体を検出する請求項30〜33のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項36】
2次元面内で互いに独立して移動可能な第1テーブル及び第2テーブルを有し、前記検出装置は前記第1テーブル及び前記第2テーブルのうち少なくともいずれか一方に設けられている請求30〜35のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項37】
請求項1〜請求項36のいずれか一項記載の露光装置を用いるデバイス製造方法。
【請求項1】
液体を介して基板を露光する露光装置において、
移動可能なテーブルと、
前記テーブルの移動を案内する上面を有するベース部材と、
前記ベース部材の上面に液体が有るか否かを検出する検出装置とを備えた露光装置。
【請求項2】
前記検出装置は前記ベース部材の側面の液体も検出する請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記検出装置は前記ベース部材が設置された床面上の液体を検出可能である請求項1又は2記載の露光装置。
【請求項4】
前記テーブルは基板を保持可能である請求項1〜3のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項5】
前記検出装置は非接触方式で液体を検出する請求項1〜4のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項6】
前記検出装置は検出光を射出可能であり、前記検出光と前記ベース部材とを相対的に移動しつつ検出する請求項1〜5のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項7】
前記検出装置は前記ベース部材に対して移動可能な可動部材に設けられている請求項1〜6のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項8】
前記可動部材と前記ベース部材とを相対的に移動しつつ、前記検出装置で検出する請求項7記載の露光装置。
【請求項9】
前記検出装置を設けられた可動部材の位置を計測する位置計測装置と、
前記位置計測装置の計測結果と前記検出装置の検出結果とに基づいて前記液体の位置を求める制御装置とを備えた請求項7又は8記載の露光装置。
【請求項10】
前記検出装置は前記テーブルを移動するための駆動機構に設けられている請求項1〜9のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項11】
前記検出装置は前記テーブルに設けられている請求項1〜10のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項12】
前記検出装置は前記テーブルのうち前記ベース部材の上面に対向する下面に設けられている請求項1〜11のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項13】
前記検出装置は、前記ベース部材の上面に対して前記テーブルを非接触支持するための気体軸受に設けられている請求項1〜12のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項14】
前記検出装置は、検出光を射出する投光部と、前記検出光に対して所定位置に配置された受光部とを有する請求項1〜13のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項15】
前記投光部を支持する第1可動部材と、前記受光部を支持する第2可動部材とを有し、
前記第1可動部材と前記第2可動部材とを同期移動しつつ検出する請求項14記載の露光装置。
【請求項16】
前記投光部と前記受光部とは、前記ベース部材を挟んで対向するように設けられている請求項14又は15記載の露光装置。
【請求項17】
前記検出光は、前記ベース部材の上面に対して略平行に照射される請求項14〜16のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項18】
前記検出光は、前記基板テーブルのエッジ部近傍に照射される請求項14〜17のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項19】
前記検出装置は、前記ベース部材に対して検出光を照射するとともに前記ベース部材からの光を受光し、該受光結果に基づいて前記ベース部材の表面の液体を検出する請求項1〜14のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項20】
前記ベース部材には、前記検出光を反射する反射面が設けられている請求項19記載の露光装置。
【請求項21】
前記ベース部材上で互いに独立して移動可能な第1テーブル及び第2テーブルを有し、
前記第1テーブルが所定の位置で所定作業を行っている間、前記第2テーブルと前記ベース部材とを相対移動しつつ、該第2テーブルに設けられた前記検出装置を使って液体を検出する請求項1〜20記載の露光装置。
【請求項22】
投影光学系と、
前記投影光学系直下の所定領域に液体を供給して液浸領域を形成する液浸機構と、
前記ベース部材上で互いに独立して2次元面内で移動可能な第1テーブル及び第2テーブルと、
前記第1テーブルと前記第2テーブルとを近接又は接触した状態で、前記所定領域を含む領域内で前記第1テーブルと前記第2テーブルとを一緒に移動し、前記液浸領域を前記第1テーブルの上面と前記第2テーブルの上面との間で移動する駆動機構とを備え、
前記検出装置は、ベース部材上の前記所定領域に対応する領域に検出光を照射する請求項1〜20のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項23】
前記ベース部材上の液体を回収する液体回収機構を備えた請求項1〜22のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項24】
前記検出装置の検出結果に基づいて前記液体回収機構を制御する制御装置を備えた請求項23記載の露光装置。
【請求項25】
前記テーブルに設けられ、前記ベース部材の上面に対して前記テーブルを非接触支持するための気体軸受を有し、
前記液体回収機構の液体回収口が前記気体軸受に設けられている請求項23又は24記載の露光装置。
【請求項26】
前記気体軸受は前記上面に対向する軸受面を有し、
前記軸受面は気体を吹き出す吹出口及び気体を吸引する吸気口のうち少なくともいずれか一方を設けられた第1領域を有し、
前記液体回収口は前記軸受面のうち前記第1領域の外側に設けられている請求項25記載の露光装置。
【請求項27】
前記軸受面のうち前記第1領域以外の第2領域に液体を検出する検出装置が設けられている請求項25又は26記載の露光装置。
【請求項28】
前記テーブルと前記ベース部材の上面とを相対移動しつつ、前記ベース部材の上面の液体を前記液体回収口を介して回収する請求項23〜27のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項29】
前記ベース部材上の少なくとも一部は撥液性を有する請求項1〜28のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項30】
液体を介して基板を露光する露光装置において、
液体を検出可能な検出装置と、
前記検出装置を支持して移動可能な可動部材とを備えた露光装置。
【請求項31】
前記検出装置は前記可動部材以外の所定部材に液体が有るか否かを非接触方式で検出する請求項30記載の露光装置。
【請求項32】
前記可動部材は、前記基板を保持して移動可能なテーブルを移動するための駆動機構を含む請求項30又は31記載の露光装置。
【請求項33】
前記所定部材は、前記基板を保持して移動可能なテーブルの移動を案内するガイド面を有するベース部材を含む請求項30〜32のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項34】
前記検出装置は、検出光を射出する投光部と、前記検出光に対して所定位置に設けられ、前記検出光を受光する受光部とを有し、
前記投光部を支持する第1可動部材と、前記受光部を支持する第2可動部材とを有し、
前記第1可動部材と前記第2可動部材とを同期移動しつつ液体を検出する請求項30〜33のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項35】
前記検出装置は前記所定部材に対して検出光を照射するとともに前記所定部材からの光を受光し、該受光結果に基づいて前記所定部材上の液体を検出する請求項30〜33のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項36】
2次元面内で互いに独立して移動可能な第1テーブル及び第2テーブルを有し、前記検出装置は前記第1テーブル及び前記第2テーブルのうち少なくともいずれか一方に設けられている請求30〜35のいずれか一項記載の露光装置。
【請求項37】
請求項1〜請求項36のいずれか一項記載の露光装置を用いるデバイス製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−9897(P2012−9897A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209554(P2011−209554)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【分割の表示】特願2006−529038(P2006−529038)の分割
【原出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【分割の表示】特願2006−529038(P2006−529038)の分割
【原出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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