説明

露光装置及び露光方法並びに表示用パネル基板製造装置及び表示用パネル基板の製造方法

【課題】
本発明は、各光ビーム照射領域の各ミラーの描画中心点位置をデジタル値に変換する際に、周期的な偏りが生じないよう分散させて、均一に近い露光量で基板全面に亘って描画することができる露光装置または露光方法或いは前記露光装置または露光方法を適用し、高画質な表示用パネルを製造できる表示用パネル製造装置または表示用パネル製造方法を提供することである。
【解決手段】
本発明は、複数のミラーを直交する二方向に配列した空間的光変調器により描画データに基づいてフォトレジストが塗布された基板に光ビームを照射して描画する光ビーム照射装置と前記基板とを相対的に走査し、前記走査の位置をデジタル的に検出して行う際に、前記基板に描画する一定の描画領域内の露光量が均一に近づくように前記一定の描画領域内の前記各ミラーの描画中心点位置を分散させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ装置等の表示用パネル基板の製造において、フォトレジストが塗布された基板へ光ビームを照射し、光ビームにより基板を走査して、基板にパターンを描画する露光装置及び露光方法並びにそれらを用いた表示用パネル基板製造装置または表示用パネル基板の製造方法に係り、特に複数のミラーを直行する二方向に配列した空間的光変調器を用い、各ミラーの角度を変更して基板へ照射する光ビームを変調する露光装置及び露光方法並びにそれらを用いた表示用パネル基板製造装置または表示用パネル基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示用パネルとして用いられる液晶ディスプレイ装置のTFT(Thin Film Transistor)基板やカラーフィルタ基板、プラズマディスプレイパネル用基板、有機EL(Electroluminescence)表示パネル用基板等の製造は、露光装置を用いて、フォトリソグラフィー技術により基板上にパターンを形成して行われる。露光装置としては、従来、レンズ又は鏡を用いてマスクのパターンを基板上に投影するプロジェクション方式と、マスクと基板との間に微小な間隙(プロキシミティギャップ)を設けてマスクのパターンを基板へ転写するプロキシミティ方式とがあった。
【0003】
近年、フォトレジストが塗布された基板へ光ビームを照射し、光ビームにより基板を走査して、基板にパターンを描画する露光装置が開発されている。光ビームにより基板を走査して、基板にパターンを描画するため、高価なマスクが不要となる。また、描画データ及び走査のプログラムを変更することにより、さまざまな種類の表示用パネル基板に対応することができる。このような露光装置として、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−332221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光ビームにより基板にパターンを描画する際、光ビームの変調には、DMD(Digital Micromirror Device)が用いられる。DMDは、光ビームを反射することにより、基板へ照射する二方向に配列して構成され、各ミラーの角度を変更することにより、基板へ反射する光ビームを変調する。現在市販されているDMDは、各ミラーの寸法が10〜15μm角程度であり、隣接するミラー間には1μm程度の間隙が設けられている。DMDを光ビームによる基板の走査方向と平行に配置すると、各ミラーの配列方向(直交する二方向)が基板の走査方向と平行及び垂直になるので、隣接するミラー間の間隙と基板とが相対的に平行に移動し、この間隙に対応する箇所ではパターンの描画ができない。そのため、DMDは、特許文献1に記載の様に光ビームによる基板の走査方向に対して傾けて使用される。
【0006】
DMDにより変調された光ビームは、光ビーム照射装置の装置光学系を含むヘッド部から、基板へ照射される。DMDの各ミラーに対応する各光ビーム照射領域は、ミラーの形状と同じ正方形であり、基板に描画されるパターンは、微小な正方形のドットを並べたものとなる。
特許文献1に記載の方法によれば、基板上の或る大きさの正方形領域内における各光ビーム照射領域の中心点の分布は、理想的には図11の様になる。
【0007】
しかし、実際の装置においては、基板の移動を行うステージのエンコーダの分解能によって各光ビーム照射領域の各ミラーによる描画中心点位置がデジタル値となるため、図11に示す様な理想的な分布ではなく、図12に示すような描画中心点位置に周期的な偏りが生じた分布となってしまい、露光結果に影響を及ぼしかねないことがわかってきた。
【0008】
本発明の第1の目的は、各光ビーム照射領域の各ミラーの描画中心点位置をデジタル値に変換する際に、周期的な偏りが生じないよう分散させて、均一に近い露光量で基板全面に亘って描画することができる露光装置または露光方法を提供することである。
本発明の第2の目的は、第1の目的を達成できる露光装置または露光方法を適用し、高画質な表示用パネルを製造できる表示用パネル製造装置または表示用パネル製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記第1の目的を達成するために、複数のミラーを直交する二方向に配列した空間的光変調器により描画データに基づいてフォトレジストが塗布された基板に光ビームを照射して描画する光ビーム照射装置と前記基板とを相対的に走査し、前記走査の位置をデジタル的に検出して行う際に、前記基板に描画する一定の描画領域内の露光量が均一に近づくように一定の描画領域内の前記各ミラーの描画中心点位置を分散させることを第1の特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記第1の目的を達成するために、第1の特徴に加え、前記各ミラーは前記走査方向に配列されたミラーであることを第2の特徴とする。
さらに、本発明は、上記第1の目的を達成するために、第2の特徴に加え、前記分散は前記走査方向に配列されたミラーによる分散パターンを前記走査方向と垂直な方向に位相をずらして分散させて行うことを第3の特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記第1の目的を達成するために、第1の特徴に加え、前記分散は、前記検出によって生じる前記一定の描画領域内の偏った位置ズレを分散させて行うことを第4の特徴とする。
さらに、本発明は、上記第2の目的を達成するために、第1乃至第4のいずれかの特徴を有する露光装置または露光方法によって表示用パネル基板の製造を行うことを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、各光ビーム照射領域の各ミラーの描画中心点位置をデジタル値に変換する際に、周期的な偏りが生じないよう分散させて、均一に近い露光量で基板全面に亘って描画することができる露光装置または露光方法を提供できる。
また、本発明によれば、上記した露光装置または露光方法を適用し、高画質な表示用パネルを製造できる表示用パネル製造装置または表示用パネル製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態による露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施の形態による露光装置の側面図である。
【図3】本発明の一実施の形態による露光装置の正面図である。
【図4】光ビーム照射装置の概略構成を示す図である。
【図5】ゲートに搭載された光ビーム照射装置の上面図である。
【図6】ゲートに搭載された光ビーム照射装置の側面図である。
【図7】DMDの走査方向に対する傾きを説明する図である。
【図8】レーザー測長系の動作を説明する図である。
【図9】描画制御部の概略構成を示す図である。
【図10】光ビームにより描画するパターンの一例を示す図である。
【図11】光ビーム照射領域の各ミラー描画中心点の理想的な分布の一例を示す図である。
【図12】ステージのエンコーダによってデジタル値に変換されたときの光ビーム照射領域の各ミラー描画中心点位置の分布の一例を示す図である。
【図13】あるミラーの描画中心位置を基準として、デジタル値のエンコーダ出力EOで規定されるミラーの実描画中心点位置Pr、当該ミラーの理想的な描画中心点位置Pi、及び両者の差の絶対値で規定される誤差Err(=│Pr−Pi)、各描画位置と描画間隔Pdを示した表である。
【図14】本発明の一実施形態である処理フローを示す図である。
【図15】図13に示した条件で図14の処理フローに基づき走査方向1ラインの各描画位置の描画間隔、積算誤差等を示した表である
【図16】本発明の一実施形態を用いて、光ビーム照射領域の各ミラー描画中心点位置を均一に近く分布させた一例を示す図である。
【図17】光ビームによる基板の走査を説明する図である。
【図18】光ビームによる基板の走査を説明する図である。
【図19】光ビームによる基板の走査を説明する図である。
【図20】光ビームによる基板の走査を説明する図である。
【図21】液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図22】液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態による露光装置の概略構成を示す図である。また、図2は本発明の一実施の形態による露光装置の側面図、図3は本発明の一実施の形態による露光装置の正面図である。露光装置は、ベース3、Xガイド4、Xステージ5、Yガイド6,16、Yステージ7,17、θステージ8,18、チャック10、ゲート11、光ビーム照射装置20、リニアスケール31,33、エンコーダ32,34、レーザー測長系、レーザー測長系制御装置40、ステージ駆動回路60、及び主制御装置70を含んで構成されている。なお、図2及び図3では、レーザー測長系のレーザー光源41、レーザー測長系制御装置40、ステージ駆動回路60、及び主制御装置70が省略されている。露光装置は、これらの他に、基板1をチャック10へ搬入し、また基板1をチャック10から搬出する基板搬送ロボット、装置内の温度管理を行う温度制御ユニット等を備えている。
なお、以下に説明する実施の形態におけるXY方向は例示であって、X方向とY方向とを入れ替えてもよい。
【0015】
図1及び図2において、チャック10は、基板1の受け渡しを行う受け渡し位置にある。受け渡し位置において、図示しない基板搬送ロボットにより基板1がチャック10へ搬入され、また図示しない基板搬送ロボットにより基板1がチャック10から搬出される。チャック10は、基板1の裏面を真空吸着して支持する。基板1の表面には、フォトレジストが塗布されている。
【0016】
基板1の露光を行う露光位置の上空に、ベース3をまたいでゲート11が設けられている。ゲート11には、複数の光ビーム照射装置20が搭載されている。図4は、光ビーム照射装置の概略構成を示す図である。光ビーム照射装置20は、光ファイバー22、レンズ23、ミラー24、DMD(Digital Micromirror Device)25、投影レンズ26、及びDMD駆動回路27を含んで構成されている。光ファイバー22は、レーザー光源ユニット21から発生された紫外光の光ビームを、光ビーム照射装置20内へ導入する。光ファイバー22から射出された光ビームは、レンズ23及びミラー24を介して、DMD25へ照射される。DMD25は、光ビームを反射する複数の微小なミラーを直交する二方向に配列して構成された空間的光変調器であり、各ミラーの角度を変更して光ビームを変調する。DMD25により変調された光ビームは、投影レンズ26を含むヘッド部20aから照射される。DMD駆動回路27は、主制御装置70から供給された描画データに基づいて、DMD25の各ミラーの角度を変更する。
【0017】
図5は、ゲートに搭載された光ビーム照射装置の上面図である。また、図6は、ゲートに搭載された光ビーム照射装置の側面図である。なお、本実施の形態では、光ビーム照射装置20からの光ビームによる基板1の走査方向(X方向)に1つの光ビーム照射装置20が設けられているが、走査方向に2つ以上の光ビーム照射装置20を設けてもよい。また、本実施の形態では、走査方向と直交する方向(Y方向)に8組の光ビーム照射装置20が設けられているが、走査方向と直交する方向に7組以下又は9組以上の光ビーム照射装置を設けてもよい。
【0018】
図5において、ゲート11の上面には、Y方向へ伸びる2対のYガイド16が設けられている。各Yガイド16には、Yステージ17がそれぞれ搭載されており、各Yステージ17は、各Yガイド16に沿ってY方向へ移動する。各Yステージ17には、ボールねじ及びモータや、リニアモータ等の図示しない駆動機構が設けられており、各駆動機構は、図1のステージ駆動回路60により駆動される。図6において、各Yステージ17には、図面奥行き方向に8つのθステージ18がそれぞれ搭載されており、各θステージ18には、光ビーム照射装置20がそれぞれ搭載されている。各θステージ18は、後述するモータ及びエンコーダを備え、主制御装置70の制御により、図5に示すθ方向へ回転して、各光ビーム照射装置20をθ方向へ回転させる。
【0019】
図1の主制御装置70は、図5の8つの光ビーム照射装置20を搭載した各θステージ18をそれぞれ制御して、各θステージ18に搭載された光ビーム照射装置20を同じ角度だけ回転させることにより、各光ビーム照射装置20のDMD25が、走査方向に対して傾いて配置される。
【0020】
図7は、DMDの走査方向に対する傾きを説明する図である。図7は、図5の各光ビーム照射装置20のDMD25を示す。DMD25のミラー部25aには、例えば、一辺が10〜15μmの正方形のミラーが、DMD25の長辺方向に1024個、DMD25の短辺方向に256個配列されている。一例として、ミラーの寸法が10μm、隣接するミラー間の隙間が1μmのとき、ミラーのピッチ(各ミラーの中心間の距離)は、11μmとなる。図7において、図5の各光ビーム照射装置20のDMD25は、走査方向に対して角度θだけ傾いて配置されている。
【0021】
図2及び図3において、チャック10は、θステージ8に搭載されており、θステージ8の下にはYステージ7及びXステージ5が設けられている。Xステージ5は、ベース3に設けられたXガイド4に搭載され、Xガイド4に沿ってX方向へ移動する。Yステージ7は、Xステージ5に設けられたYガイド6に搭載され、Yガイド6に沿ってY方向へ移動する。θステージ8は、Yステージ7に搭載され、θ方向へ回転する。Xステージ5、Yステージ7、及びθステージ8には、ボールねじ及びモータや、リニアモータ等の図示しない駆動機構が設けられており、各駆動機構は、図1のステージ駆動回路60により駆動される。
【0022】
θステージ8のθ方向への回転により、チャック10に搭載された基板1は、直交する二辺がX方向及びY方向へ向く様に回転される。Xステージ5のX方向への移動により、チャック10は、受け渡し位置と露光位置との間を移動される。露光位置において、Xステージ5のX方向への移動により、各光ビーム照射装置20のヘッド部20aから照射された光ビームが、基板1をX方向へ走査する。また、Yステージ7のY方向への移動により、各光ビーム照射装置20のヘッド部20aから照射された光ビームによる基板1の走査領域が、Y方向へ移動される。図1において、主制御装置70は、ステージ駆動回路60を制御して、θステージ8のθ方向へ回転、Xステージ5のX方向への移動、及びYステージ7のY方向への移動を行う。
【0023】
なお、本実施の形態では、Xステージ5によりチャック10をX方向へ移動することによって、光ビーム照射装置20からの光ビームによる基板1の走査を行っているが、光ビーム照射装置20を移動することにより、光ビーム照射装置20からの光ビームによる基板1の走査を行ってもよい。また、本実施の形態では、Yステージ7によりチャック10をY方向へ移動することによって、光ビーム照射装置20からの光ビームによる基板1の走査領域を変更しているが、光ビーム照射装置20を移動することにより、光ビーム照射装置20からの光ビームによる基板1の走査領域を変更してもよい。
【0024】
図1及び図2において、ベース3には、X方向へ伸びるリニアスケール31が設置されている。リニアスケール31には、Xステージ5のX方向への移動量を検出するための目盛が付けられている。また、Xステージ5には、Y方向へ伸びるリニアスケール33が設置されている。リニアスケール33には、Yステージ7のY方向への移動量を検出するための目盛が付けられている。
【0025】
図1及び図3において、Xステージ5の一側面には、リニアスケール31に対向して、エンコーダ32が取り付けられている。エンコーダ32は、リニアスケール31の目盛を検出して、パルス信号を主制御装置70へ出力する。また、図1及び図2において、Yステージ7の一側面には、リニアスケール33に対向して、エンコーダ34が取り付けられている。エンコーダ34は、リニアスケール33の目盛を検出して、パルス信号を主制御装置70へ出力する。主制御装置70は、エンコーダ32のパルス信号をカウントして、Xステージ5のX方向への移動量を検出し、エンコーダ34のパルス信号をカウントして、Yステージ7のY方向への移動量を検出する。
【0026】
図8は、レーザー測長系の動作を説明する図である。なお、図8においては、図1に示したゲート11、及び光ビーム照射装置20が省略されている。レーザー測長系は、公知のレーザー干渉式の測長系であって、レーザー光源41、レーザー干渉計42,44、及びバーミラー43,45を含んで構成されている。バーミラー43は、チャック10のY方向へ伸びる一側面に取り付けられている。また、バーミラー45は、チャック10のX方向へ伸びる一側面に取り付けられている。
【0027】
レーザー干渉計42は、レーザー光源41からのレーザー光をバーミラー43へ照射し、バーミラー43により反射されたレーザー光を受光して、レーザー光源41からのレーザー光とバーミラー43により反射されたレーザー光との干渉を測定する。この測定は、Y方向の2箇所で行う。レーザー測長系制御装置40は、主制御装置70の制御により、レーザー干渉計42の測定結果から、Xステージ5により移動されるチャック10のX方向の位置及び回転を検出する。
【0028】
一方、レーザー干渉計44は、レーザー光源41からのレーザー光をバーミラー45へ照射し、バーミラー45により反射されたレーザー光を受光して、レーザー光源41からのレーザー光とバーミラー45により反射されたレーザー光との干渉を測定する。レーザー測長系制御装置40は、主制御装置70の制御により、レーザー干渉計44の測定結果から、Xステージ5により移動されるチャック10のY方向の位置を検出する。
【0029】
図4において、主制御装置70は、光ビーム照射装置20のDMD駆動回路27へ描画データを供給する描画制御部を有する。図9は、描画制御部の概略構成を示す図である。描画制御部71は、メモリ72,76、バンド幅設定部73、中心点座標決定部74、座標決定部75、及び描画データ作成部77を含んで構成されている。
各θステージ18は、モータ18a及びエンコーダ18bをそれぞれ備えている。モータ18aは、主制御装置70により駆動され、θステージ18をθ方向へ回転させる。エンコーダ18bは、モータ18aの回転量を検出して、モータ18aの回転量に応じたパルス信号を主制御装置70へ出力する。なお、図5の図面奥行き方向に8つのθステージ18がそれぞれ設けられているが、図9では、8つのθステージ18をそれぞれまとめて1つのθステージ18として示している。
また、θステージ18は、モータを用いずに、手動で回転させる構成としてもよい。その場合、図9のエンコーダ18bの代わりに、θステージ18の回転量を示すデータを入力する入力装置が設けられる。
【0030】
メモリ76には、設計値マップが格納されている。設計値マップには、描画データがXY座標で示されている。描画データ作成部77は、各θステージ18のエンコーダ18bからのパルス信号をカウントして、各θステージ18の回転量を検出し、各光ビーム照射装置20のDMD25の走査方向に対する傾きを検出する。そして、描画データ作成部77は、検出した傾きに基づき、メモリ76に格納された設計値マップから、各光ビーム照射装置20のDMD駆動回路27へ供給する描画データを作成する。メモリ72は、描画データ作成部77が作成した描画データを、そのXY座標をアドレスとして記憶する。
【0031】
バンド幅設定部73は、メモリ72から読み出す描画データのY座標の範囲を決定することにより、光ビーム照射装置20のヘッド部20aから照射される光ビームのY方向のバンド幅を設定する。
【0032】
レーザー測長系制御装置40は、露光位置における基板1の露光を開始する前のチャック10のXY方向の位置を検出する。中心点座標決定部74は、レーザー測長系制御装置40が検出したチャック10のXY方向の位置から、基板1の露光を開始する前のチャック10の中心点のXY座標を決定する。図1において、光ビーム照射装置20からの光ビームにより基板1の走査を行う際、主制御装置70は、ステージ駆動回路60を制御して、Xステージ5によりチャック10をX方向へ移動させる。基板1の走査領域を移動する際、主制御装置70は、ステージ駆動回路60を制御して、Yステージ7によりチャック10をY方向へ移動させる。図9において、中心点座標決定部74は、エンコーダ32,34からのパルス信号をカウントして、Xステージ5のX方向への移動量及びYステージ7のY方向への移動量を検出し、チャック10の中心点のXY座標を決定する。
【0033】
座標決定部75は、中心点座標決定部74が決定したチャック10の中心点のXY座標に基づき、各光ビーム照射装置20のDMD駆動回路27へ供給する描画データのXY座標を決定する。メモリ72は、座標決定部75が決定したXY座標をアドレスとして入力し、入力したXY座標のアドレスに記憶された描画データを、各光ビーム照射装置20のDMD駆動回路27へ出力する。
【0034】
以下、本発明の一実施の形態による露光方法について説明する。本実施の形態では、図7において、図5の各光ビーム照射装置20のDMD25を、走査方向に対してミラーの間隔分だけ傾けて配置する。
【0035】
図10は、光ビームにより描画するパターンの一例を示す図である。図10において、灰色で塗りつぶした正方形の部分は、DMD25の各ミラーに対応する各光ビーム照射領域26aを示している。
【0036】
本実施形態では、図5の光ビーム照射装置20を用いて、パターン2aを描画する。図5の光ビーム照射装置20のDMD25を、走査方向に対してミラーの間隔分だけ傾けて配置すると、直交する二方向の内の走査方向に近い方向に配列された複数のミラーのいずれかが、隣接するミラー間の隙間に対応する箇所をカバーするので、パターンの描画を隙間無く行うことができる。なお、本実施の形態において図10のDMD25の各ミラーに対応する各光ビーム照射領域26aは互いに隣り合っているが、異なる実施の形態として各光ビーム照射領域26aは互いに重なり合っていてもよい。
【0037】
図11は、或る大きさの正方形領域内におけるDMD25の各ミラーに対応する各光ビーム照射領域26aの中心点の理想的な分布の一例を示す図である。基板1に描画(露光)されるパターンを高画質に描画(露光)するためには、DMD25の各ミラーに対応する各光ビーム照射領域26aの描画中心点位置を図11に示すように均一に分布させなければならない。
【0038】
しかしながら、課題で説明したように、各光ビーム照射領域の描画中心点位置はステージのエンコーダの分解能によって規定されるデジタル値となるため、図11に示す様な理想的な分布ではなく、図12に示すような描画中心点位置に周期的な偏りが生じた分布となってしまい、描画(露光)結果に影響を及ぼしかねないことが解った。
【0039】
例えば、Xステージ5のエンコーダ32の分解能Rslが0.5μm、ミラーピッチPp(各ミラーの中心点位置間の距離=ミラー照射領域+ミラー間の隙間)が11.6μmの場合を説明する。
図13は、前記条件におけるあるミラーの描画中心位置を基準として、デジタル値のエンコーダ出力EOで規定されるミラーの実描画中心点位置Pr、当該ミラーの理想的な描画中心点位置Pi、及び両者の差の絶対値で規定される誤差Err(=│Pr−Pi)、各描画(露光)位置の描画間隔Pdを示した表である。描画はミラーピッチPpの倍数に最も近いエンコーダ出力EO毎に行なわれる。従って、本例では描画(露光)は当初11.5μmの倍数の位置で行なわれ、ミラーの露光中心点位置と理想的な当該ミラーの中心点位置Piの差がって積算されていく。しかし、描画(露光)位置数5番目では、積算誤差がエンコ−ダ分解能のErrにあたる0.5μmとなるので、露光中心点位置を12.0μm進めて積算誤差をリセットする。このNo.1からNo.5の描画(露光)が繰り返して行なわれる。この結果、前ミラーの描画中心点位置との距離である描画間隔Pdは最初の4描画(露光)が11.5μmとなり、5番目の描画がさらに0.5μm離れた12.0μmの位置に描画(露光)される。このような描画が基板の走査方向に対して垂直方向に配列したミラーに対して同期して行なわれる。
この結果、図12に示すように、5描画毎の周期的な偏りが生じた分布となってしまう。
【0040】
従って、本発明では複数個のミラーで構成される一定の描画領域、例えば図10に示す描画パターン2a内、或いは、図12で示す全ミラーで構成される正方形領域内に対して均一的な描画(露光)が得られるように、即ち前述した周期的な偏りが生じないように前記蓄積誤差を分散して描画(露光)する。分散させる方向としては、走査方向または走査方向に対して垂直な方向あるいは両方向が考えられる。その一例として、走査方向に分散させる場合を示す。
【0041】
図14はその一実施形態の処理フローを示す図であり、図15は図13に示した条件で
図14の処理フローに基づき走査方向1ラインの各描画位置の描画間隔、積算誤差等を示した表である。図14において、パラメータC、Imax、Iminを変えることによって、走査方向の分散の仕方を変えることができる。本実施形態では、C=0.1、Imin=−1、Imax=1とする。
【0042】
まず、ステージエンコーダの分解能Rsl(0.5μm)を得る(ステップ1)。次に、描画間隔P(12.6μm)を得、その分解能の基づくデジタル値Pd(12.5μm)を得る(ステップ2)。
次に描画間隔誤差Err(以下、単に誤差という)を式(1)に基づき計算し、積算誤差ΣErrを零にリセットする(ステップ3)。本例の場合は誤差Errは0.1μmとなる。実際は、処理装置のデジタル化により端数が出てくるので複雑な数字となる。
Err=│P−int((P+Rsl/2)/Rsl)×Rsl│ (1)
次に、誤差Errの符号Sを式(2)により求める(ステップ4)。本例では符号Sは+1となる。
S=(P−int((P+Rsl/2)/Rsl)×Rsl)/Err (2)
次に、I=Imin(=−1)とおき(ステップ5)、描画間隔毎に図13に示す描画中心点位置Pr及び式(3)により一定の描画領域、例えば図12に示す複数のミラーで構成される正方形領域内)に対して均一的な描画が得られるように計算する(ステップ6)。積算誤差は誤差が0.1だから0.1ずつ増えて行く。
ΣErr=ΣErr+Err (3)
次に分散指標Dを式(4)で計算し、積算誤差ΣErrと比較する(ステップ7)。
D=Rsl−I×C (4)
分散指標Dは、定数パラメータCに対して可変パラメータIが変化することによって変動し、積算誤差ΣErr以上になる一致する描画位置数が変化する。図15では、I=−1のときが6位置、I=0のときが4位置、I=1のとき4位置となる。この走査方向の描画位置の変動が周期的な偏りを緩和する。その結果、一定の描画領域に対してより均一的な描画(露光)が得られる。
【0043】
ステップ6において、分散指標Dが積算誤差ΣErr以上となったとき、分解能Rsl分の誤差が発生したとし、式(5)に示すように描画位置の描画間隔Pdに分解能Rslを加えて(式(5))に位置ズレをリセットする(ステップ8)。
Pd=Pd+S×Rsl (5)
また、描画位置に変更した分だけ、積算誤差ΣErrを式(6)のように補正する(ステップ9)。
ΣErr=ΣErr+S×Rsl (6)
そしてIに1を加え(ステップ10)、ステップ11へ行く。
【0044】
一方、分散指標Dが積算誤差ΣErrより小さいときは、まだ描画間隔の補正は早いと判断しステップ11に行く。ステップ11では更なる描画中心点位置の算出が必要かを判断し、必要でないならば終了する。必要であるならば変動パラメータIは変動幅を上限になったかを判断し、上限であればステップ5に行き、下限の値にリセットし、上限でないならばステップ6に行きステップ6からの処理を繰り返す。
このような処理をすることによって図15が得られる。図15ではある走査方向の1ラインの一部のデータを示したものである。
【0045】
図14では、各ラインに対して同じ処理をしているので各ラインの同じ描画位置に同じデータが出てくる。このような状態でもある一定の描画領域から見れば十分に均一された描画(露光)が得られる。
さらに、図16では隣接ラインに図15に計算する描画位置をずらすことによって更に一定の描画領域の平均化を図っている。
【0046】
本実施形態に、各光ビーム照射領域(描画領域)の各ミラーの描画中心点位置をデジタル値に変換する際に、周期的な偏りが生じないよう分散させて、均一に近い露光量で基板全面に亘って描画することができる。これにより、高画質な表示用パネルを製造することが可能となる。
【0047】
図17〜図20は、光ビームによる基板の走査を説明する図である。図17〜図20は、8つの光ビーム照射装置20を用い、基板1のX方向の走査を4回行って、基板1全体を走査する例を示している。図17〜図20においては、各光ビーム照射装置20のヘッド部20aが破線で示されている。各光ビーム照射装置20のヘッド部20aから照射された光ビームは、Y方向にバンド幅Wを有し、Xステージ5のX方向への移動によって、基板1を矢印で示す方向へ走査する。
【0048】
図17は、1回目の走査を示し、X方向への1回目の走査により、図17に灰色で示す走査領域でパターンの描画が行われる。1回目の走査が終了すると、Yステージ7のY方向への移動により、基板1がY方向へバンド幅Wと同じ距離だけ移動される。図18は、2回目の走査を示し、X方向への2回目の走査により、図18に灰色で示す走査領域でパターンの描画が行われる。2回目の走査が終了すると、Yステージ7のY方向への移動により、基板1がY方向へバンド幅Wと同じ距離だけ移動される。図19は、3回目の走査を示し、X方向への3回目の走査により、図19に灰色で示す走査領域でパターンの描画が行われる。3回目の走査が終了すると、Yステージ7のY方向への移動により、基板1がY方向へバンド幅Wと同じ距離だけ移動される。図20は、4回目の走査を示し、X方向への4回目の走査により、図20に灰色で示す走査領域でパターンの描画が行われ、基板1全体の走査が終了する。
【0049】
複数の光ビーム照射装置20からの複数の光ビームにより基板1の走査を並行して行うことにより、基板1全体の走査に掛かる時間を短くすることができ、タクトタイムを短縮することができる。
なお、図17〜図20では、基板1のX方向の走査を4回行って、基板1全体を走査する例を示したが、走査の回数はこれに限らず、基板1のX方向の走査を3回以下又は5回以上行って、基板1全体を走査してもよい。
【0050】
以上説明した実施の形態によれば、光ビーム照射領域26aの中心点を、基板1の一定の描画領域内に周期的な偏りを生じることなく分布させることができ、描画品質を向上することができる。
【0051】
本発明の露光装置又は露光方法を用いて基板の露光を行うことにより、パターン前面に渡って均一に近い露光量で描画して、描画品質を向上させることができるので、高品質な表示用パネル基板を製造することができる。
【0052】
例えば、図21は、液晶ディスプレイ装置のTFT基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。薄膜形成工程(ステップ101)では、スパッタ法やプラズマ化学気相成長(CVD)法等により、基板上に液晶駆動用の透明電極となる導電体膜や絶縁体膜等の薄膜を形成する。レジスト塗布工程(ステップ102)では、ロール塗布法等によりフォトレジストを塗布して、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜上にフォトレジスト膜を形成する。露光工程(ステップ103)では、露光装置を用いて、フォトレジスト膜にパターンを形成する。現像工程(ステップ104)では、シャワー現像法等により現像液をフォトレジスト膜上に供給して、フォトレジスト膜の不要部分を除去する。エッチング工程(ステップ105)では、ウエットエッチングにより、薄膜形成工程(ステップ101)で形成した薄膜の内、フォトレジスト膜でマスクされていない部分を除去する。剥離工程(ステップ106)では、エッチング工程(ステップ105)でのマスクの役目を終えたフォトレジスト膜を、剥離液によって剥離する。これらの各工程の前又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。これらの工程を数回繰り返して、基板上にTFTアレイが形成される。
【0053】
また、図22は、液晶ディスプレイ装置のカラーフィルタ基板の製造工程の一例を示すフローチャートである。ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)では、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、剥離等の処理により、基板上にブラックマトリクスを形成する。着色パターン形成工程(ステップ202)では、染色法や顔料分散法等により、基板上に着色パターンを形成する。この工程を、R、G、Bの着色パターンについて繰り返す。保護膜形成工程(ステップ203)では、着色パターンの上に保護膜を形成し、透明電極膜形成工程(ステップ204)では、保護膜の上に透明電極膜を形成する。これらの各工程の前、途中又は後には、必要に応じて、基板の洗浄/乾燥工程が実施される。
【0054】
図21に示したTFT基板の製造工程では、露光工程(ステップ103)において、図22に示したカラーフィルタ基板の製造工程では、ブラックマトリクス形成工程(ステップ201)及び着色パターン形成工程(ステップ202)の露光処理において、本発明の露光装置又は露光方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 基板 2a パターン
3 ベース 4 Xガイド
5 Xステージ 6,16 Yガイド
7,17 Yステージ 8,18 θステージ
10 チャック 11 ゲート
20 光ビーム照射装置 20a ヘッド部
21 レーザー光源ユニット 22 光ファイバー
23 レンズ 24 ミラー
25 DMD(Digital Micromirror Device)
(空間的光変調器)
25a ミラー部 26 投影レンズ
26a 光ビーム照射領域 27 DMD駆動回路
31,33 リニアスケール 32,34 エンコーダ
40 レーザー測長系制御装置 41 レーザー光源
42,44 レーザー干渉計 43,45 バーミラー
60 ステージ駆動回路 70 主制御装置
71 描画制御部 72,76 メモリ
73 バンド幅設定部 74 中心点座標決定部
75 座標決定部 77 描画データ作成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のミラーを直交する二方向に配列した空間的光変調器により描画データに基づいてフォトレジストが塗布された基板に光ビームを照射して描画する光ビーム照射装置と、前記基板と前記光ビーム照射装置とを相対的に走査する走査手段と、前記走査手段の位置をデジタル的に検出する検出手段とを有する露光装置において、
前記基板に描画する一定の描画領域内の露光量が均一に近づくように前記一定の描画領域内の前記各ミラーの描画中心点位置を分散させる分散手段を有することを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記各ミラーは前記走査方向に配列されたミラーであることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記分散手段は前記走査方向に配列されたミラーによる分散パターンを前記走査方向と垂直な方向に位相をずらして分散させる手段であることを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記分散手段は、前記検出手段によって生じる前記一定の描画領域内の偏った位置ズレを分散させる手段であることを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項5】
前記光ビーム照射装置を搭載して回転し、前記光ビーム照射装置の空間的光変調器を走査方向に対して傾けるステージを有することを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項6】
前記光ビーム照射装置の空間的光変調器は、走査方向に対してミラーの間隔分だけ傾いて配置されたことを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の露光装置。
【請求項7】
複数のミラーを直交する二方向に配列した空間的光変調器により描画データに基づいてフォトレジストが塗布された基板に光ビームを照射して描画する光ビーム照射装置と前記基板とを相対的に走査し、前記走査の位置をデジタル的に検出して行う露光方法において、
前記基板に描画する一定の描画領域内の露光量が均一に近づくように前記一定の描画領域内の前記各ミラーの描画中心点位置を分散させることを特徴とする露光方法。
【請求項8】
前記各ミラーは前記走査方向に配列されたミラーであることを特徴とする請求項7に記載の露光方法。
【請求項9】
前記分散は前記走走査方向に配列されたミラーによる分散パターンを前記走査方向と垂直な方向に位相をずらして分散させて行うことを特徴とする請求項8に記載の露光方法。
【請求項10】
前記分散は、前記検出によって生じる前記一定の描画領域の偏った位置ズレを分散させて行うことを特徴とする請求項7に記載の露光方法。
【請求項11】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の露光装置を用いて基板の露光を行うことを特徴とする表示用パネル基板製造装置。
【請求項12】
請求項7乃至請求項10のいずれか一項に記載の露光方法を用いて基板の露光を行うことを特徴とする表示用パネル基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−38759(P2012−38759A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174553(P2010−174553)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】